【文献】
Database REGISTRY,1986年,RN 102399-65-5, Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 25 February 2021
【文献】
Database REGISTRY,1984年,RN 88378-76-1, Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 25 February 2021
【文献】
Database REGISTRY,2002年,RN 413597-22-5, Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 25 February 2021
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
全てのモイエティ及びその組み合わせについて、適切な原子価(valence)が維持されると理解されなければならない。
【0014】
また、本明細書の可変モイエティの特定具現例は、同一識別子(identifier)を有する他の特定具現例と同一であっても異なっていてもよいと理解されなければならない。例えば、多様な化学式において、R
1は、独立して選択され、同一であっても異なっていてもよい。多様な化学式において、R
30のような他の変数も、独立して選択され、同一であっても異なっていてもよい。
【0015】
本明細書で使用された用語「動物由来不純物(animal derived impurities)」は、「動物起源(animal origin)」を有する不純物を意味し、それは、多細胞有機体及び単細胞有機体を含む生物体界(動物界:Animalia)に由来するものを意味する。一部具現例において、用語「動物由来不純物」は、病原体、動物または微生物の代謝物、及び発熱源のようなバクテリア毒素を含む毒素でもある。
【0016】
本明細書で使用された用語「コール酸(CA:cholic acid)」は、下記構造を有する3α,7α,12α−トリヒドロキシ−5β−コラン−24−酸化合物を意味する:
[この文献は図面を表示できません]
【0017】
本明細書で使用された用語「ステロイド出発物質(steroid starting material)」は、下記のように、ステロイド環骨格を有する化合物を意味する:
[この文献は図面を表示できません]
本開示全般において、本明細書の化合物のステロイド骨格において、原子及び環の番号は、下記規則に従う:
[この文献は図面を表示できません]
【0018】
本明細書で使用された用語「ケノデオキシコール酸(CDCA:chenodeoxycholic acid)」は、下記構造を有する3α,7α−ジヒドロキシ−5β−コラン−24−酸化合物を意味する:
[この文献は図面を表示できません]
【0019】
本明細書で使用された用語「デオキシコール酸(DCA:deoxycholic acid)」は、下記構造を有する3α,12α−ジヒドロキシ−5β−コラン−24−酸化合物を意味する:
[この文献は図面を表示できません]
【0020】
本明細書で使用された用語「薬剤学的に許容可能な塩(pharmaceutically acceptable salt)」は、薬剤学的用途に適しており、合理的な利益/危険の比率に相応する塩を意味する。薬剤学的に許容可能な塩は、当業界に公知されている。例えば、本明細書の胆汁酸(例えば、CA、DCAまたはCDCA)は、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムまたはテトラアルキルアンモニウム塩の形態でもある。適切な塩は、P. Heinrich Stahl, Camille G. Wermuth (Eds.), Handbook of Pharmaceutical Salts Properties, Selection, and Use; 2002に記載されたものなどを含む。そのような薬剤学的に許容可能な塩は、胆汁酸(例えば、CA、DCAまたはCDCA)を適切な塩基と反応させることによっても製造される。例示的な目的として、そのような塩基の例は、ナトリウムヒドロキシド、カリウムヒドロキシドまたはリチウムヒドロキシドが含まれる。代案としては、該塩は、胆汁酸(例えば、CA、DCAまたはCDCA)のエステルを塩基に加水分解し、胆汁酸の酸形態につながる酸性ウォークアップを省略することによっても製造される。
【0021】
本明細書で使用された用語「化粧品学的に許容可能な塩(cosmetically acceptable salt)」は、化粧品学的用途に適しており、合理的な利益/危険の比率に相応する塩を意味する。化粧品学的に許容可能な塩は、当業界に公知されており、例えば、ナトリウム(Na
+)、カリウム(K
+)、リチウム(Li
+)、マグネシウム(Mg
2+)、カルシウム(Ca
2+)、バリウム(Ba
2+)、ストロンチウム(Sr
2+)及びアンモニウム(NH
4+)からなる群から選択される陽イオンの塩基添加塩を含む。
【0022】
本明細書で使用された用語「個体(subject)」は、試験管内(in vitro)または生体内(in vivo)において、本明細書に記載された方法に適する任意の動物またはその細胞を意味する。望ましい具現例において、前記個体は、ヒトである。
【0023】
本明細書で使用された用語「アルキル(alkyl)」は、1ないし10個の炭素原子を有する直鎖または分鎖の飽和炭化水素基のラジカルを意味する(「C
1−
10アルキル」)。一部具現例において、アルキル基は、1ないし9個の炭素原子を有する(「C
1−9アルキル」)。一部具現例において、アルキル基は、1ないし8個の炭素原子を有する(「C
1−8アルキル」)。一部具現例において、アルキル基は、1ないし7個の炭素原子を有する(「C
1−7アルキル」)。一部具現例において、アルキル基は、1ないし6個の炭素原子を有する(「C
1−6アルキル」)。一部具現例において、アルキル基は、1ないし5個の炭素原子を有する(「C
1−5アルキル」)。一部具現例において、アルキル基は、1ないし4個の炭素原子を有する(「C
1−4アルキル」)。一部具現例において、アルキル基は、1ないし3個の炭素原子を有する(「C
1−3アルキル」)。一部具現例において、アルキル基は、1または2個の炭素原子を有する(「C
1−2アルキル」)。一部具現例において、アルキル基は、1個の炭素原子を有する(「C
1アルキル」)。一部具現例において、アルキル基は、2ないし6個の炭素原子を有する(「C
2−6アルキル」)。C
1−6アルキル基の例は、メチル(C
1)、エチル(C
2)、プロピル(C
3)(例えば、n−プロピル、イソプロフィル)、ブチル(C
4)(例えば、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、イソブチル)、ペンチル(C
5)(例えば、n−ペンチル、3−フェンタニル、アミル、ネオペンチル、3−メチル−2−ブタニル、tert−アミル)及びヘキシル(C
6)(例えば、n−ヘキシル)を含む。アルキル基の追加的な例は、n−ヘプチル(C
7)、n−オクチル(C
8)などを含む。
【0024】
本明細書で使用された用語「選択的に置換されたアルキル(optionally substituted alkyl)」は、非置換であるか、あるいは1以上の置換基(例えば、本明細書に記載されたもの、例えば、Fのようなハロゲン)で置換されたアルキル基(「置換されたアルキル(substituted alkyl)」)を意味する。
【0025】
本明細書で使用された用語「ヒドロキシル保護剤(hydroxyl protecting agent)」は、適切な反応条件下でヒドロキシ基と反応し、ヒドロキシル保護基を形成する試薬を意味する。
【0026】
本明細書で使用された用語「ヒドロキシル保護基(hydroxyl protecting group)」は、予定された反応において、安定したヒドロキシ基の誘導体を形成する全ての官能基を意味し、前記ヒドロキシル保護基は、続けて選択的にも除去される。前記ヒドロキシル誘導体は、ヒドロキシル保護剤とヒドロキシ基との選択的反応によっても得られる。当業界の当業者であるならば、保護基、及び予定された反応の性質により、適切なヒドロキシル保護基を選択することができるであろう。例えば、多様なヒドロキシル保護基を導入して除去する方法は、「Protective Groups in Organic Synthesis」, 4
th ed. P. G. M. Wuts; T. W. Greene, John Wiley, 2007、及びP. J. Kocienski,「Protecting Groups」, 3
rd ed. G. Thieme, 2003において見られ、該内容は、本明細書に全体として参照として統合される。
【0027】
本開示に適切なヒドロキシル保護基の非制限的な例示は、ヒドロキシ基のエーテル、例えば、メチルエーテル、アリルエーテル、プレニルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル、トリフェニルメチルエーテル、2−トリメチルシリルエチルエーテル、tert−ブチルエーテル、シンナミルエーテル、プロパルギル(propargyl)エーテル、p−メトキシフェニルエーテル、ベンジルエーテル、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、2,6−ジメトキシベンジルエーテル、o−ニトロベンジルエーテル、p−ニトロベンジルエーテル、4−(トリメチルシリルメチル)−ベンジルエーテル、2−ナフチルメチルエーテル、ジフェニルメチルエーテル、(4−メトキシフェニル)−フェニルメチルエーテル、(4−フェニル−フェニル)−フェニルメチルエーテル、p,p’−ジニトロベンズヒドリルエーテル、5−ジベンゾスベリル(dibenzosuberyl)エーテル、トリス(4−tert−ブチルフェニル)メチルエーテル、(α−ナフチル)−ジフェニルメチルエーテル、p−メトキシフェニルジフェニルメチルエーテル、ジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチルエーテル、トリ(p−メトキシフェニル)メチルエーテル及び9−(9−フェニル)キサンテニル(xanthenyl)エーテルを形成することを含む。
【0028】
本開示に適切なヒドロキシル保護基の非制限的な例示は、また、ヒドロキシ基のアルコキシアルキルエーテル(例えば、アセタール及びケタール)、例えば、1−エトキシエチルエーテル、1−メチル−1−メトキシエチルエーテル、[(3,4−ジメトキシベンジル)オキシ]メチルエーテル、グアイアコール(guaiacol)メチルエーテル、2−メトキシエトキシメチルエーテル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、テトラヒドロフラニルエーテル、メトキシメチルエーテルベンジルオキシメチルエーテル、p−メトキシベンジルオキシメチルエーテル、p−ニトロベンジルオキシメチルエーテル、o−ニトロベンジルオキシメチルエーテル、(4−メトキシフェノキシ)メチルエーテル、tert−ブトキシメチルエーテル、4−ペンテニルオキシメチルエーテル、シロキシメチルエーテル、1−メトキシシクロヘキシルエーテル、4−メトキシテトラヒドロピラニルエーテル、1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イルエーテル、1−(2−フルオロフェニル)−4−メトキシピペリジン−4−イルエーテル、1−(4−クロロフェニル)−4−メトキシピペリジン−4−イルエーテルまたは1−メチル−1−ベンジルオキシエチルエーテルを形成するものを含む。
【0029】
本開示に適切なヒドロキシル保護基の非制限的な例示は、また、ヒドロキシ基のチオアセタールまたはチオケタール、例えば、テトラヒドロチオピラニルエーテル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニルエーテル、テトラヒドロチオフラニルエーテルまたは1,3−ベンゾジチオラン−2−イルエーテルを形成するものを含む。
【0030】
本開示に適切なヒドロキシル保護基の非制限的な例示は、また、ヒドロキシ基のシリルエーテル、例えば、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテル、tert−ブチルジメチルシリルエーテル、ジメチルイソプロピルシリルエーテル、ジエチルイソプロピルシリルエーテル、ジフェニルメチルシリルエーテル、トリフェニルシリルエーテル、ジメチルヘキシルシリルエーテル、2−ノルボルニル(norbornyl)ジメチルシリルエーテル、tert−ブチルジフェニルシリルエーテル、(2−ヒドロキシスチリル)ジメチルシリルエーテル、(2−ヒドロキシスチリル)ジイソプロピルシリルエーテル、tert−ブチルメトキシフェニルシリルエーテルまたはtert−ブトキシジフェニルシリルエーテルを形成するものを含む。
【0031】
本開示に適切なヒドロキシル保護基の非制限的な例示は、また、ヒドロキシ基のエステル、例えば、アセテートエステル、クロロアセテートエステル、トリフルオロアセテートエステル、フェノキシアセテートエステル、ホルメートエステル、ベンゾイルホルメートエステル、ジクロロアセテートエステル、卜リクロロアセテートエステル、メトキシアセテートエステル、p−クロロフェノキシアセテートエステル、フェニルアセテートエステル、3−フェニルプロピオネートエステル、4−ペンテノエートエステル、4−オキソペンタノエートエステル、ピバロエート(pivaloate)エステル、クロトネート(crotonate)エステル、4−メトキシクロトネートエステル、アングレート(angelate)エステル、ベンゾエートエステルまたはp−フェニルベンゾエートエステルを形成するものを含む。
【0032】
本開示に適切なヒドロキシル保護基の非制限的な例示は、また、ヒドロキシ基のカーボネート、例えば、メトキシメチルカーボネート、9−フルオレニルメチルカーボネート、メチルカーボネート、エチルカーボネート、2,2,2−卜リクロロエチルカーボネート、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート、ビニルカーボネート、アリルカーボネートまたはp−ニトロフェニルカーボネートを形成するものを含む。
【0033】
本開示に適切なヒドロキシル保護基の非制限的な例示は、また、ヒドロキシ基のスルフェネート、例えば、2,4−ジニトロフェニルスルフェネートを形成するものを含む。
【0034】
本明細書で使用された用語「オレフィン形成試薬(olefin formingre agent)」は、適切な条件下において、ケトンまたはアルデヒドと反応し、オレフィン結合を形成する試薬を意味する。一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、ウィッティヒ(Wittig)試薬でもある。一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、ホスホラスイリドまたはその前駆体、例えば、適切な条件(例えば、塩基使用)下において、ホスホラスイリドを形成することができるホスホニウム塩でもある。一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、有機金属試薬(例えば、レフォルマトスキー(Reformatsky)試薬のような有機亜鉛試薬)を含み、ここで、ケトンまたはアルデヒドは、まず、前記有機金属試薬とアルコール性中間体を形成し、その後脱水されることにより、オレフィンにも転換される。
【0035】
本明細書で使用された用語「イリド(ylide)」は、形式的に正電荷を帯びるヘテロ原子(一般的に、窒素、リンまたは硫黄)に直接的に結合された、形式的に負に荷電された原子(一般的に、炭素陰イオン)を含む中性両極性分子を意味する。従って、前記ヘテロ原子がホスフィンである場合、前記イリドは、「ホスホラスイリド(phosphorous ylide)」である。例えば、メチレントリフェニルホスホラン(Ph
3P=CH
2)は、ホスホラスイリドである。
【0036】
本明細書で使用された用語「ルイス酸(Lewis acid)」は、電子対受容体(electron pair acceptor)を意味する。ルイス酸は、BF
3(例えば、BF
3Et
2O)のようなボロン試薬及びアルキルアルミニウムハリド(例えば、Et
2AlCl及びMeAlCl
2)のような有機金属試薬を含む。
【0037】
コール酸、デオキシコール酸及びケノデオキシコール酸の合成
コール酸は、ステロイド骨格の3,7及び12番位置での3個のヒドロキシ基を含む。
コール酸の合成方法は、出発物質として、3,7,12−三酸素化ステロイド、3,7−二酸素化ステロイド、3,12−二酸素化ステロイドまたは3−酸素化ステロイドから始まるる。一部具現例において、コール酸は、3,12−二酸素化ステロイド出発物質からも合成される。一部具現例において、コール酸は、3,7,12−三酸素化ステロイド出発物質からも合成される。一部具現例において、コール酸は、3,7−二酸素化ステロイド出発物質からも合成される。本明細書に記載された任意の具現例において、コール酸は、3−ヒドロキシ官能基または3−OAc官能基を含むDHEAまたはAc−DHEAからも合成される。また、DHEAまたはAc−DHEAからコール酸を製造する方法は、例えば、2つの広い戦略を含んでもよい:(1)12−ヒドロキシ基、またはその保護された形態を導入し、続けて7−ヒドロキシ基、またはその保護された形態を導入するか、あるいは(2)7−ヒドロキシ基、またはその保護された形態を導入し、続けて12−ヒドロキシ基、またはその保護された形態を導入すること。
【0038】
デオキシコール酸は、3及び12番位置において、2個のヒドロキシ基を有し、出発物質として、3,12−二酸素化ステロイドまたは3−酸素化ステロイドからも合成される。一部具現例において、DHEAまたはAc−DHEAから、コール酸の合成戦略(1)がデオキシコール酸の合成にも適用される。
【0039】
一方、ケノデオキシコール酸は、3及び7番位置において、2個のヒドロキシ基を有し、出発物質として、3,7−二酸素化ステロイドまたは3−酸素化ステロイドからも合成される。従って、DHEAまたはAc−DHEAから、コール酸の合成戦略(2)がケノデオキシコール酸の合成にも適用される。
【0040】
一部具現例において、本開示は、また、本明細書に記載された任意の方法によって製造される、コール酸、デオキシコール酸またはケノデオキシコール酸、そのエステル、あるいはその薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩を提供する。
【0041】
方法1:3,12−二酸素化ステロイドからのコール酸合成
本開示の一部具現例は、3,12−二酸素化ステロイド出発物質から、コール酸、そのエステル、あるいはその薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩を製造する方法に係わるものである。3,12−二酸素化ステロイド出発物質は、3及び12番位置において、ヒドロキシ基、またはその保護された形態、あるいはケトン基または保護されたケトンを有するステロイド骨格を有する化合物を意味する。例えば、一部具現例において、前記3,12−二酸素化ステロイドは、下記環構造を有する3,12−ジケトン化合物、3,12−ジヒドロキシ化合物またはヒドロキシケトン化合物でもある(側鎖及び他の官能基は、省略される):
[この文献は図面を表示できません]
【0042】
一部具現例において、前記3,12−二酸素化ステロイドは、3,12−ジケトン化合物である。例えば、反応式1で示される反応順序を含んでもよい:
[この文献は図面を表示できません]
ここで、R
1は、H、または選択的に置換されたアルキルである。
【0043】
一部具現例において、前記方法は、下記を含む:
a)化学式I−1の化合物を化学式I−2の化合物に転換させる段階、
[化学式I−1]
[この文献は図面を表示できません]
[化学式I−2]
[この文献は図面を表示できません]
ここで、R
1は、H、または選択的に置換されたアルキル基であり、
b)化学式I−2の化合物を酸化させ、化学式I−3の化合物を形成する段階、
[化学式I−3]
[この文献は図面を表示できません]
c)化学式I−3の化合物をエポキシド形成試薬と反応させ、化学式I−4のエポキシドを形成する段階、
[化学式I−4]
[この文献は図面を表示できません]
d)化学式I−4のエポキシドを水素化条件で還元させ、化学式I−5のジケトンを形成する段階、
[化学式I−5]
[この文献は図面を表示できません]
e)化学式I−5のジケトンをケトン還元試薬と接触させ、化学式I−6の化合物を形成する段階、及び
[化学式I−6]
[この文献は図面を表示できません]
f)選択的に、R
1がHではない場合、化学式I−6の化合物を加水分解し、コール酸を提供する段階。
【0044】
一部具現例において、R
1は、水素である。しかし、精製の容易性のために、望ましい具現例において、R
1は、C
1−6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)である。一部具現例において、R
1は、また、選択的に置換されたアルキル(例えば、選択的に置換されたC
1−6アルキル)でもある。例えば、R
1は、選択的に1ないし3個(例えば、1,2または3個)の置換基で置換されたアルキルでもあり、ここにおいて、前述の1ないし3個の置換基は、独立して、C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
3−6カルボシクリル、3ないし6員のヘテロシクリル、5または6員のヘテロアリール、フェニル、置換されたフェニル(例えば、パラ−メトキシフェニル)、ヒドロキシル、C
1−6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシなど)、ハロゲン(例えば、FまたはCl)、あるいはC
1−6アルキルから独立して、選択される1または2の官能基で選択的に置換されたアミノである。望ましい具現例において、R
1は、C
1−6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)である。化学式I−1ないしI−6で、R
1は、同一であっても異なっていてもよい。一部具現例において、化学式I−1ないしI−6で、R
1は、例えば、C
1−6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)として同一でもある。
【0045】
前述の反応式1、またはa)、b)、c)、d)、e)及びf)による変形を行うための多様な条件が使用され、それは、下記の具現例及び実施例のセクションで例示される。他の有用な条件及び細部事項は、類似した変形について、関連技術分野に公知されたところを含む。
【0046】
本開示の特定具現例は、化学式I−1の化合物を、化学式I−2の化合物に転換する方法に係わるものである。そのような転換に有用な化学式I−1の化合物は、5−アルファ水素または5−ベータ水素を有することができる。一部具現例において、5−アルファ水素または5−ベータ水素を有する、実質的に純粋な(例えば、重量として、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%)化学式I−1の部分立体異性体が使用されもする。一部具現例において、化学式I−1の部分立体異性体の混合物、例えば、5−ベータ水素化合物に対する5−アルファ水素化合物の比率が、50:1ないし1:50の範囲であるものが使用されもする。一部具現例において、前記転換は、化学式I−1の化合物をハロゲン化剤と接触させ、ハロゲン化された中間体を形成し、続けて、前記ハロゲン化された中間体を除去条件で処理し、化学式I−2の化合物を形成するものを含む。使用に適するハロゲン化剤は、ケトンにアルファ−ハロゲンを導入するためのものであり、当業界に公知されたものを含む。一部具現例において、前記ハロゲン化剤は、臭素である。一部具現例において、前記ハロゲン化剤は、N−ブロモスクシンイミド(NBS)である。前記形成されたハロゲン化された中間体は、アルファ配列またはベータ配列を有することができる:
[この文献は図面を表示できません]
前記ハロゲン化された中間体の5番位置の立体化学は出発物質である化学式I−1の当該立体化学に依存し、アルファ水素またはベータ水素を有することができる。一部具現例において、Xは、臭素であり、R
1は、選択的に置換されたアルキル、例えば、C
1−6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)である。前記ハロゲン化された中間体(例えば、臭素化された中間体)は、続けて除去条件で処理され、化学式I−2の化合物であるアルファ−ベータ−不飽和ケトンを形成することができる。一部具現例において、前記ハロゲン化された中間体は、除去条件で処理する段階前に精製される。しかし、望ましくは、前記ハロゲン化された中間体は、除去条件で処理する段階前に精製されない。適切な除去条件は、アルファ−ハロゲン化されたケトンのHX(Xは、ハロゲン、例えば、Br)除去のために、当業界に知られた公知物を含む。例えば、一部具現例において、前記除去条件は、ハロゲン化された中間体を、適切な溶媒(例えば、DMF、DMSO)内の塩基(例えば、Li
2CO
3)、及び除去を遂行する試薬(例えば、LiBr)の存在下で、例えば、120゜Cないし180゜C範囲(例えば、120゜C、130゜C、140゜C、150゜C、160゜C、170゜C、180゜C、または前述の値間の全ての範囲)の温度に加熱することを含む。化学式I−1の化合物を、化学式I−2の化合物に転換させるために、ケトンをアルファ−ベータ−不飽和ケトンに転換する当業界に知られた他の方法も使用されもする。
【0047】
本開示の特定具現例は、例えば、酸化剤を使用し、化学式I−2の化合物を、化学式I−3の化合物に転換する方法に係わるものである。一部具現例において、前記酸化剤は、クロラニル(テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン)または2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)のようなベンゾキノン系酸化剤である。一部具現例において、前記方法は、化学式I−2の化合物をクロラニルまたはDDQと接触させ、化学式I−3の化合物を形成するものを含む。
【0048】
本開示の特定具現例は、化学式I−3の化合物を、化学式I−4のエポキシドに転換する方法に係わるものである。化学式I−3の化合物は、6,7番位置及び4,5番位置において、オレフィン二重結合を含み、それは、エポキシド形成試薬を使用することにより、化学式I−4のエポキシドにも転換される。一部具現例において、前記エポキシド形成試薬は、過カルボン酸である。一部具現例において、前記エポキシド形成試薬は、メタクロロ過安息香酸である。他の適切なエポキシド形成試薬は、4,5番位置のオレフィンは、そのままにしておき、6,7番位置において、エポキシドを選択的に生成することができる当業界に公知されたものを含む。
【0049】
本開示の特定具現例は、化学式I−4のエポキシドを、化学式I−5のジケトンに転換する方法に係わるものである。エポキシドを還元させる多様な方法が使用されもする。望ましくは、前記方法は、化学式I−4のエポキシドを水素化することを含む。一部具現例において、前記水素化は、不均一触媒、例えば、Pd、Ni、Pt、PtO
2、RhまたはRuを含む不均一金属触媒によって触媒される。一部具現例において、前記不均一金属触媒は、Pd/Cである。前記水素化は、多様なH
2圧力でも行われる。一部具現例において、前記水素化は、1atm、またはその近傍の水素圧力で行われる。一部具現例において、前記水素化は、1atm超過 (例えば、約2atms、約3atms、約5atms、約10atms、約15atms、または前述の値間の全ての範囲)の水素圧力で行われる。一部具現例において、前記水素化は、約15psiないし約100psi(例えば、約50psi)の水素圧力で行われる。
【0050】
本開示の特定具現例は、例えば、ケトン還元試薬を使用し、化学式I−5のジケトンを、化学式I−6の化合物に転換する方法に係わるものである。一部具現例において、前記ケトン還元試薬は、ボロヒドリド(例えば、NaBH
4、NaCNBH
3など)またはトリアルコキシアルミニウムヒドリド(例えば、トリ−イソプロポキシアルミニウムヒドリド、トリ−tert−ブトキシアルミニウムヒドリド)である。望ましい具現例において、前記ケトン還元試薬は、リチウムトリ−tert−ブトキシアルミニウムヒドリド(LiAlH(O−tBu)
3)である。
【0051】
R
1が水素ではない場合、例えば、R
1がC
1−6アルキルである場合、コール酸を合成するために、前記方法は、化学式I−6の化合物を加水分解することをさらに含む。従って、一部具現例において、R
1が水素ではない場合、前記方法は、化学式I−6の化合物を加水分解することを含む。適切な加水分解条件は、当業界に公知されたところを含む。例えば、前記加水分解は、化学式I−6の化合物を、酸媒介(例えば、BF
3媒介)、塩基媒介(例えば、アルカリ金属ヒドロキシド(例えば、NaOHまたはLiOH)を使用する)または求核剤媒介(例えば、I媒介)の加水分解条件下で反応させることによっても行われる。
【0052】
一部具現例において、コール酸のエステル、例えば、R
1が選択的に置換されたアルキルである化学式I−6の化合物は、所望生成物である。例えば、一部具現例において、前記方法は、コール酸の薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能なエステルの合成に係わるものである。そのような具現例において、a)ないしe)の順序のための望ましい反応条件は、それぞれの反応条件下において、エステル(すなわち、−CO
2R
1)の加水分解が最小限に起こるか、あるいは起こらないのである。しかし、所望する場合、コール酸のエステルは、また、コール酸を、所望するアルコールにエステル化することによっても製造される。
【0053】
一部具現例において、コール酸の塩は、所望生成物である。例えば、一部具現例において、前記方法は、コール酸の薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩の合成に係わるものである。従って、一部具現例において、前記方法は、例えば、コール酸を、適切な塩基、例えば、金属またはアンモニウムヒドロキシド(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムまたはテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド)と反応させることにより、コール酸の薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩を形成するところを含む。
【0054】
本明細書の前述の方法で使用される化学式I−1の化合物は、他の方法によっても製造される。本明細書に記載された任意の具現例において、化学式I−1の化合物は、本明細書に記載された方法、例えば、下記方法1Aによっても製造される。本明細書に記載された任意の具現例において、化学式I−1の化合物は、また、いかなる動物由来不純物もない合成物質でもある。
【0055】
方法1A:化学式I−1の3,12−二酸素化ステロイドの合成
本開示の特定具現例は、R
1がH、または選択的に置換されたアルキル基である化学式I−1の化合物の合成に係わるものである。化学式I−1は、5−アルファ水素または5−ベータ水素を有することができる。一部具現例において、化学式I−1の化合物は、5−アルファ水素または5−ベータ水素を有する実質的に純粋な(例えば、重量として、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%)部分立体異性体として存在する。一部具現例において、化学式I−1の化合物は、多様な比率、例えば、5−ベータ水素化合物に対する5−アルファ水素化合物の比率が、50:1ないし1:50の範囲である部分立体異性体混合物として存在する。
[化学式I−1]
[この文献は図面を表示できません]
【0056】
一部具現例において、化学式I−1の化合物は、反応式2によっても合成され、ここで、各変数及び変形(transformations)は、本明細書に記載された通りである:
[この文献は図面を表示できません]
【0057】
特定具現例は、化学式I−7のジオールを酸化させ、化学式I−1の化合物を提供する方法に係わるものである。
[化学式I−7]
[この文献は図面を表示できません]
化学式I−7は、5−アルファ水素または5−ベータ水素を有することができる。一部具現例において、化学式I−7の化合物は、5−アルファ水素または5−ベータ水素を有する実質的に純粋な(例えば、重量として、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%)部分立体異性体として存在する。一部具現例において、化学式I−7の化合物は、多様な比率、例えば、5−ベータ水素化合物に対する5−アルファ水素化合物の比率が、50:1ないし1:50の範囲である部分立体異性体混合物として存在する。一部具現例において、前記酸化は、三酸化クロム基盤またはクロメート基盤の酸化、またはその変形を含む。一部具現例において、前記酸化は、スワーン(Swern)酸化、またはその変形を含む。一部具現例において、前記酸化は、超原子価ヨウ素(hypervalent iodine)媒介酸化を含む。一部具現例において、前記酸化は、化学式I−7のジオールを、適切な酸化剤と接触させることを含む。一部具現例において、前記酸化剤は、クロム系酸化剤、例えば、ジョーンズ(Jones)試薬(希釈された硫酸内の三酸化クロム溶液)、クロロクロム酸ピリジウム(PCC)などである。望ましい一具現例において、前記酸化剤は、ジョーンズ試薬である。一部具現例において、前記酸化剤は、スワーン酸化剤である。本明細書で使用された用語「スワーン酸化剤」は、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンのような有機塩基の存在下で、アルコールをケトンまたはアルデヒドで酸化させることができるクロロスルホニウム活性種のような全ての活性化された形態のDMSOを含む。多様なスワーン酸化剤システムが知られている。例えば、典型的なスワーン酸化は、DMSO/塩化オキサリル基盤システムを使用することを含み、ここで、DMSOは、まず塩化オキサリルと反応し、クロロ(ジメチル)スルホニウムクロリドを生成し、それは、続けて、有機塩基(例えば、Et
3N)の存在下で、アルコールを、アルデヒド基またはケトン基に転換させる。他の例示的な有用な酸化剤は、DMSOを活性化させるために、シアヌル酸クロリド(cyanuric chloride)、無水トリフルオロ酢酸、カルボジイミド(carbodiimides)、ピリジン−三酸化硫黄複合体(pyridine-sulfur trioxide complex)を使用するか、あるいはクロロスルホニウム活性種を生成させるために、ジメチルスルフィド及びN−クロロスクシンイミドを使用する、スワーン酸化、またはその変形のための試薬を含む。一部具現例において、前記酸化剤は、2−ヨードキシ安息香酸(IBX)または1,1,1−トリアセトキシ−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オン(デス・マーチンペルヨージナン(Dess-Martin periodinane))でもある。
【0058】
一部具現例において、化学式I−7のジオールは、化学式I−8または化学式I−8aの化合物、またはその幾何異性体を水素化させる:
[化学式I−8]
[この文献は図面を表示できません]
[化学式I−8a]
[この文献は図面を表示できません]
ここで、Pg
1及びPg
2は、独立して、ヒドロキシル保護基であり、かつ選択的に、前記ヒドロキシル保護基を除去することによっても合成される。適切なヒドロキシル保護基は、当業界に公知された任意のもの、例えば、本明細書に記載されたものを含む。一部具現例において、Pg
1及びPg
2は、同一である。一部具現例において、Pg
1及びPg
2は、異なっている。望ましい具現例において、Pg
1及びPg
2は、いずれもヒドロキシ基とエステルを形成するヒドロキシル保護基であり、例えば、Pg
1及びPg
2は、いずれもアセチルである。一部具現例において、化学式I−7のジオールは、化学式I−8aの化合物を水素化することによって合成される。一部具現例において、化学式I−7のジオールは、化学式I−8aの化合物を水素化し、ヒドロキシル保護基を除去することによって合成される。一部具現例において、化学式I−7のジオールは、化学式I−8の化合物のヒドロキシル保護基を除去して化学式I−8aの化合物を生成し、化学式I−8aの化合物を水素化することによって合成される。
【0059】
化学式I−8または化学式I−8aのオレフィン二重結合が水素化され、化学式I−7のジオールを形成するので、化学式I−8及び化学式I−8aの化合物の幾何異性体も使用される。一部具現例において、前記方法は、化学式I−8または化学式I−8aの化合物を水素化することを含む。一部具現例において、前記方法は、化学式I−8または化学式I−8aの化合物の幾何異性体を水素化することを含む。一部具現例において、前記方法は、化学式I−8または化学式I−8aの化合物、及びその幾何異性体の混合物を水素化することを含む。
【0060】
化学式I−8または化学式I−8aの化合物を水素化する多様な方法が使用されもする。望ましくは、前記方法は、化学式I−8または化学式I−8aの化合物を不均一触媒、例えば、Pd、Ni、Pt、PtO2、RhまたはRuを含む不均一金属触媒の存在下で、H
2で水素化することを含む。一部具現例において、前記不均一金属触媒は、Pd/Cである。前記水素化は、多様なH
2圧力でも行われる。一部具現例において、前記水素化は、1atm、またはその近傍の水素圧力で行われる。一部具現例において、前記水素化は、1atm超過(例えば、約2atms、約3atms、約5atms、約10atms、約15atms、または前述の値間の全ての範囲)の水素圧力で行われる。一部具現例において、前記水素化は、約15psiないし約100psi(例えば、約50psi)の水素圧力で行われる。
【0061】
化学式I−8の化合物は、例えば、化学式I−9のアルデヒドを、オレフィン形成試薬と反応させても得られる:
[化学式I−9]
[この文献は図面を表示できません]
ここで、Pg
1及びPg
2は、独立して、本明細書で前述のところのヒドロキシル保護基である。多様なオレフィン形成試薬がそのような変形に適する。望ましくは、反応及びウォークアップの条件は、C20位置でエピメリ化が発生しないか、あるいは最小になるように制御される。一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、ホスホネートで置換されたアセテートを含む:
[この文献は図面を表示できません]
ここで、それぞれの場合のG
1及びR1aは、それぞれ独立して、選択的に置換されたアルキル基(例えば、選択的に置換されたC
1−6アルキル、例えば、エチル)である。前記ホスホネートで置換されたアセテートは、脱プロトン化され、ホスホネート安定化された炭素陰イオンを形成することができ、それは、化学式I−9のアルデヒド基と反応し、アルファ−ベータ−不飽和エステルを形成する。一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、エチル2−ジエトキシホスホリルアセテートである。一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、ホスホラスイリド(例えば、トリフェニルカルブエトキシメチレンホスホラン)またはその前駆体である。一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、化学式I−9のアルデヒド基と反応し、二次アルコールを形成し、脱水により、アルファ−ベータ−不飽和エステルを形成する有機亜鉛試薬のような有機金属試薬を含んでもよい。例えば、一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、2−炭素レフォルマトスキー(Reformatsky)試薬:
[この文献は図面を表示できません]
を含み、ここで、Xは、Cl、BrまたはIのようなハロゲンであり、かつR
1aは、選択的に置換されたアリル基(例えば、選択的に置換されたC
1−6アルキル、例えば、エチル)である。望ましくは、オレフィン形成試薬のエステル基(例えば、ホスホネートまたはレフォルマトスキー試薬でのR
1a)は、COOR
1のようであり、R
1は、Hではない。しかし、一部具現例において、例えば、R
1がHである場合、R
1aは、R
1と異なる。そのような具現例において、前記方法は、選択的に、化学式I−8bの−CO
2R
1aを、化学式I−8の−CO
2R
1で置換するものをさらに含んでもよい。
[化学式I−8b]
[この文献は図面を表示できません]
【0062】
化学式I−9のアルデヒドは、化学式I−11の当該アルコールを酸化させることからも形成される:
[化学式I−11]
[この文献は図面を表示できません]
ここで、Pg
1及びPg
2は、独立して、本明細書で前述のところに記載されたヒドロキシル保護基である。一部具現例において、前記酸化は、三酸化クロム基盤またはクロメート基盤の酸化、またはその変形を含む。一部具現例において、前記酸化は、スワーン酸化、またはその変形を含む。一部具現例において、前記酸化は、超原子価ヨウ素媒介酸化を含む。一部具現例において、前記酸化は、化学式I−11の化合物を、適切な酸化剤と接触させることを含む。多様な酸化剤が適する。一部具現例において、前記酸化剤は、クロム系酸化剤、例えば、クロロクロム酸ピリジウム(PCC)である。一部具現例において、前記酸化剤は、スワーン酸化剤である。多様なスワーン酸化剤システムが知られている。例えば、典型的なスワーン酸化は、DMSO/塩化オキサリル基盤システムを使用することを含み、ここで、DMSOは、まず塩化オキサリルと反応し、クロロ(ジメチル)スルホニウムクロリドを生成し、それは、続けて、有機塩基(例えば、Et
3N)の存在下で、アルコールをアルデヒド基またはケトン基に転換させる。他の例示的な有用な酸化剤は、DMSOを活性化させるために、シアヌル酸クロリド、無水トリフルオロ酢酸、カルボジイミド、ピリジン−三酸化硫黄複合体を使用するか、あるいはクロロスルホニウム活性種を生成させるために、ジメチルスルフィド及びN−クロロスクシンイミドを使用する、スワーン酸化、またはその変形のための試薬を含む。一部具現例において、前記酸化剤は、2−ヨードキシ安息香酸(IBX)または1,1,1−トリアセトキシ−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オン(デス・マーチンペルヨージナン)でもある。
望ましくは、反応及びウォークアップの条件は、C20位置において、エピメリ化が発生しないか、あるいは最小になるように制御される。
【0063】
化学式I−11の化合物の合成に多様な方法が適用されもする。望ましい具現例において、化学式I−11の化合物は、化学式I−10の化合物またはその幾何異性体からも合成される:
[化学式I−10]
[この文献は図面を表示できません]
ここで、Pg
1及びPg
2は、独立して、本明細書で前述のところに記載されたヒドロキシル保護基である。
一部具現例において、前記方法は、ルイス酸の存在下で、化学式I−10の化合物をホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドと反応させることを含む。この変形に、多様なルイス酸、例えば、ボロン基盤またはアルミニウム基盤のルイス酸が使用されもする。一部具現例において、前記ルイス酸は、BF
3を含む。他の適切なルイス酸は、オレフィンとアルデヒドとの類似した反応を促進し、アルコールを提供することができると当業界に公知されたものを含む。
【0064】
本明細書で前述のところに記載された方法で使用された化学式I−10の化合物は、他の方法によっても製造される。本明細書に記載された任意の具現例において、化学式I−10の化合物は、本明細書で記載された方法、例えば、下記方法1Bによっても製造される。本明細書に記載された任意の具現例において、化学式I−10の化合物は、また、いかなる動物由来不純物もない合成物質でもある。
【0065】
方法1B:化学式I−10の3,12−二酸素化ステロイドの合成
本開示の特定具現例は、化学式I−10の化合物、またはその幾何異性体を製造する方法に係わるものであり、ここで、Pg
1及びPg
2は、独立して、ヒドロキシル保護基である。一部具現例において、前記方法は、反応式3に例示されているように、DHEA、または保護されたDHEA(例えば、アセチル−DHEA)から、化学式I−10の化合物を得ることを含み、ここで、R
2、R
3、Pg
1及びPg
2は、本明細書に定義される:
[この文献は図面を表示できません]
【0066】
一部具現例において、前記方法は、下記を含む:
a)化学式I−13の化合物をアミンと反応させ、化学式I−14のイミンを形成する段階であり、ここで、R
2は、HまたはPg
1であり、Pg
1は、ヒドロキシル保護基(例えば、本明細書に記載されたもの)であり、mは、0、1または2であり、R
3は、C
1−6アルキル(例えば、4’位置のメチル基)である:
[化学式I−13]
[この文献は図面を表示できません]
[化学式I−14]
[この文献は図面を表示できません]
b)化学式I−14のイミンを、銅塩の存在下でO
2で酸化させ化学式I−15の化合物を形成する段階、
[化学式I−15]
[この文献は図面を表示できません]
c)化学式I−15の化合物を、オレフィン形成試薬と反応させ、化学式I−16の化合物またはその幾何異性体を形成する段階、及び
[化学式I−16]
[この文献は図面を表示できません]
d)化学式I−16で、ヒドロキシ基を保護し、化学式I−10の化合物、またはその幾何異性体を提供する段階。
【0067】
一部具現例において、化学式I−15において、12−ヒドロキシ基の保護は、17−ケトン官能基のオレフィン化前に生じる。従って、一部具現例において、前記方法は、また、下記を含んでもよい:
c’)化学式I−15の化合物において、ヒドロキシ基を保護し、化学式I−15aの化合物を形成する段階、及び
[化学式I−15a]
[この文献は図面を表示できません]
d’)続けて、化学式I−15aの化合物を、オレフィン形成試薬と反応させ、化学式I−10の化合物、またはその幾何異性体を提供する段階。
【0068】
a)のイミン形成、b)の銅媒介酸化、及びc)のオレフィン化反応は、3−ヒドロキシ基が保護されることを必要としない。従って、一部具現例において、前記方法は、DHEA、すなわち、R
2がHである場合から始まる。一部具現例において、前記方法は、R
2がPg
1、例えば、アセチルであるDHEAの保護された形態から始まる。
【0069】
化学式I−14の多様なイミンが、化学式I−10の化合物を製造する方法に適する。一部具現例において、化学式I−14のピリジン環は、非置換のもの、すなわち、mが0であるものである。一部具現例において、化学式I−14のピリジン環は、1または2のC
1−6アルキル基で置換されたものである。例えば、一部具現例において、化学式I−14のピリジン環は、4’−位置において、メチル基で置換されたものである。a)のイミン形成は、一般的に酸、例えば、パラ−トルエンスルホン酸によって触媒される。
【0070】
b)の適切な銅塩は、類似した変形のために、当業界に公知された任意のものを含む。一部具現例において、前記銅塩は、Cu(OTf)
2のような銅(II)塩である。一部具現例において、前記銅塩は、Cu(MeCN)
4PF
6のような銅(I)塩である。
【0071】
一部具現例において、c)またはd’)のオレフィン形成試薬は、ホスホラスイリドでもある。一部具現例において、c)またはd’)のオレフィン形成試薬は、エチレントリフェニルホスホランまたはその前駆体エチレントリフェニルホスホニウム塩でもある。一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、2−炭素有機金属試薬(例えば、有機亜鉛試薬)を含み、ここで、化学式I−15または化学式I−15aの17−ケトンは、まず有機金属試薬でアルコール性中間体を形成し、続けて、脱水により、オレフィンにも転換される。
【0072】
3−及び/または12−ヒドロキシ基保護に、多様な保護基が使用されもする。3−及び12−ヒドロキシ基の保護基は、同一である必要性がない。しかし、望ましい実施例において、Pg
1及びPg
2は、同一であり、例えば、Pg
1及びPg
2は、いずれもアセチルである。
【0073】
方法2:3,12−二酸素化ステロイドからのデオキシコール酸合成
デオキシコール酸(DCA)は、3,12−位置で2個のヒドロキシ基を含み、従って、化学式I−1の化合物(5−ベータ水素を有するベータ形態、化学式I−1b)のような中間体から、還元反応を介しても製造される。一部具現例において、本開示は、3,12−二酸素化ステロイドから、デオキシコール酸、そのエステル、あるいはその薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩を製造する方法に係わるものである。一部具現例において、前記方法は、反応式4による反応順序を含む:
[この文献は図面を表示できません]
【0074】
一部具現例において、前記デオキシコール酸、そのエステル、あるいはその薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩を製造する方法は、下記を含む:
a)化学式I−10の化合物、またはその幾何異性体を、ルイス酸の存在下で、ホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドと反応させ、化学式I−11の化合物を形成する段階、
[化学式I−10]
[この文献は図面を表示できません]
[化学式I−11]
[この文献は図面を表示できません]
ここで、Pg
1及びPg
2は、独立して、ヒドロキシル保護基であり、
b)化学式I−11の化合物を酸化させ、化学式I−9のアルデヒドを提供する段階、
[化学式I−9]
[この文献は図面を表示できません]
c)化学式I−9のアルデヒドを、オレフィン形成試薬と反応させ、化学式I−8の化合物、またはその幾何異性体を形成する段階、
[化学式I−8]
[この文献は図面を表示できません]
ここで、R
1は、H、または選択的に置換されたアルキル基(例えば、選択的に置換されたC
1−6アルキル)であり、
d)化学式I−8の化合物を水素化させ、続けてヒドロキシル保護基を除去するか、あるいは化学式I−8の化合物を脱保護させ、続けて脱保護された化合物を水素化させ、化学式I−7bのジオールを提供する段階、
[化学式I−7b]
[この文献は図面を表示できません]
e)化学式I−7bのジオールを酸化させ、化学式I−1bの化合物を提供する段階、
[化学式I−1b]
[この文献は図面を表示できません]
f)化学式I−1bの化合物をケトン還元試薬と接触させ、化学式I−12の化合物を形成する段階、及び
[化学式I−12]
[この文献は図面を表示できません]
g)選択的に、化学式I−12において、R
1がHではない場合、化学式I−12の化合物を加水分解し、デオキシコール酸を提供する段階。
【0075】
化学式I−8,I−7b,I−1b及びI−12において、R
1基は、同一であっても異なっていてもよい。一部具現例において、化学式I−8,I−7b,I−1b及びI−12において、R
1基は、例えば、C
1−6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)として同一でもある。
【0076】
方法2について、本明細書に記載された任意の具現例において、化学式I−1の化合物は、本明細書に記載された任意の方法、例えば、方法1Aにより、化学式I−10の化合物からも製造される。本明細書に記載された任意の具現例において、化学式I−10の化合物は、本明細書に記載された任意の方法、例えば、方法1Bによっても製造される。
【0077】
本開示の特定具現例は、例えば、ケトン還元試薬を使用し、化学式I−1の化合物を、化学式I−12の化合物に転換する方法に係わるものである。一部具現例において、前記ケトン還元試薬は、ボロヒドリド(例えば、NaBH
4、NaCNBH
3など)またはトリアルコキシアルミニウムヒドリド(例えば、トリ−イソプロポキシアルミニウムヒドリド、トリ−tert−ブトキシアルミニウムヒドリド)である。望ましい具現例において、前記ケトン還元試薬は、リチウムトリ−tert−ブトキシアルミニウムヒドリド(LiAlH(O−tBu)
3)である。
【0078】
R
1が水素ではない場合、例えば、R
1がC
1−6アルキルである場合、デオキシコール酸を合成するために、前記方法は、化学式I−12の化合物を加水分解することをさらに含む。従って、一部具現例において、R
1が水素ではない場合、前記方法は、化学式I−12の化合物を加水分解することを含む。適切な加水分解条件は、当業界に公知されたところを含む。例えば、前記加水分解は、化学式I−12の化合物を酸媒介(例えば、BF
3媒介)、塩基媒介(例えば、アルカリ金属ヒドロキシド(例えば、NaOHまたはLiOH)を使用する)、または求核剤媒介(例えば、I媒介)の加水分解条件下で反応させることによっても行われる。望ましい具現例において、前記加水分解は、化学式I−12の化合物を、アルカリ金属ヒドロキシド(例えば、NaOHまたはLiOH)と接触させることを含む。
【0079】
一部具現例において、デオキシコール酸のエステル、例えば、R
1が選択的に置換されたアルキルである化学式I−12の化合物は、所望生成物である。例えば、一部具現例において、前記方法は、デオキシコール酸の薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能なエステルの合成に係わるものである。そのような具現例において、a)ないしf)順序のための望ましい反応条件は、それぞれの反応条件下で、エステル(すなわち、−CO
2R
1)の加水分解が最小限に起こるか、あるいは起こらないのである。しかし、所望する場合、デオキシコール酸のエステルは、また、デオキシコール酸を所望するアルコールにエステル化することによっても製造される。
【0080】
一部具現例において、デオキシコール酸の塩は、所望生成物である。例えば、一部具現例において、前記方法は、デオキシコール酸の薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩の合成に係わるものである。従って、一部具現例において、前記方法は、例えば、デオキシコール酸を、適切な塩基、例えば、金属またはアンモニウムヒドロキシド(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムまたはテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド)と反応させることにより、デオキシコール酸の薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩を形成するところを含む。
【0081】
方法1,1A、1B及び2からの新規合成中間体
本開示の特定具現例は、コール酸及び/またはデオキシコール酸の製造に有用な新規合成中間体に係わるものである。一部具現例において、前記合成中間体は、化学式II−1、化学式II−2、化学式II−3または化学式II−4の化合物、またはその幾何異性体またはその塩である:
[化学式II−1]
[この文献は図面を表示できません]
[化学式II−2]
[この文献は図面を表示できません]
[化学式II−3]
[この文献は図面を表示できません]
[化学式II−4]
[この文献は図面を表示できません]
ここで、各化学式のR
10及びR
11は、それぞれ独立して、Hまたはヒドロキシル保護基であり、かつR
12は、H、または選択的に置換されたアルキルである。
【0082】
一部具現例において、R
10及びR
11は、同一である。一部具現例において、R
10及びR
11は、異なっている。一部具現例において、R
10及びR
11は、いずれもHである。一部具現例において、R
10及びR
11のうち一つは、Hであり、R
10及びR
11のうち他の一つは、ヒドロキシル保護基(例えば、本明細書に記載されたもの、例えば、アセチル)である。一部具現例において、R
10及びR
11は、いずれもヒドロキシル保護基(例えば、本明細書に記載されたもの、例えば、アセチル)である。
【0083】
一部具現例において、R
12は、Hである。一部具現例において、R
12は、選択的に置換されたアルキル(例えば、選択的に置換されたC
1−6アルキル)である。一部具現例において、R
12は、メチルである。一部具現例において、R
12は、エチルである。
【0084】
一部具現例において、化学式II−1、化学式II−2、化学式II−3または化学式II−4の化合物が分離される。一部具現例において、前記化学式II−1、化学式II−2、化学式II−3または化学式II−4の分離された化合物は、実質的に純粋である(例えば、重量として、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%純粋である)。一部具現例において、前記化学式II−1、化学式II−2、化学式II−3または化学式II−4の分離された化合物は、重量でもって、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、または明示された値間の任意の範囲値で、純粋である。一部具現例において、前記化学式II−1、化学式II−2、化学式II−3または化学式II−4の分離された化合物は、他の部分立体異性体及び/または幾何異性体が実質的にない(例えば、重量でもって、5%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満または0.1%未満)ものである。一部具現例において、前記化学式II−1、化学式II−2、化学式II−3または化学式II−4の分離された化合物は、重量でもって、約5%、約3%、約2%、約1%、約0.5%、約0.1%、または明示された値間の任意の範囲値で、他の部分立体異性体及び/または幾何異性体を有する。一部具現例において、前記化学式II−1、化学式II−2、化学式II−3または化学式II−4の分離された化合物は、他の部分立体異性体及び/または幾何異性体がない(すなわち、現在分析ツールを使用して検出することができない)。
【0085】
一部具現例において、本開示は、また、下記構造を有する化学式II−5、化学式II−6、化学式II−7または化学式II−8の化合物またはその塩を提供する:
[化学式II−5]
[この文献は図面を表示できません]
[化学式II−6]
[この文献は図面を表示できません]
[化学式II−7]
[この文献は図面を表示できません]
または
[化学式II−8]
[この文献は図面を表示できません]
ここで、R
20及びR
23は、それぞれ独立して、選択的に置換されたアルキルであるが、ただしR
20及びR
23がメチルではなく、かつ
R
21及びR
22は、それぞれ独立して、H、または選択的に置換されたアルキルである。
【0086】
一部具現例において、R
20は、選択的に置換されたC
2−6アルキルである。一部具現例において、R
20は、C
2−4アルキル、例えば、エチル、イソプロピルなどである。
【0087】
一部具現例において、R
23は、選択的に置換されたC
2−6アルキルである。一部具現例において、R
23は、C
2−4アルキル、例えば、エチル、イソプロピルなどである。
【0088】
一部具現例において、R
21は、Hである。一部具現例において、R
21は、選択的に置換されたアルキル、例えば、選択的に置換されたC
1−6アルキルである。一部具現例において、R
21は、C
2−4アルキル、例えば、エチル、イソプロピルなどである。
【0089】
一部具現例において、R
22は、Hである。一部具現例において、R
22は、選択的に置換されたアルキル、例えば、選択的に置換されたC
1−6アルキルである。一部具現例において、R
22は、C
2−4アルキル、例えば、エチル、イソプロピルなどである。
【0090】
一部具現例において、化学式II−5、化学式II−6、化学式II−7または化学式II−8の化合物が分離される。一部具現例において、前記化学式II−5、化学式II−6、化学式II−7または化学式II−8の分離された化合物は、実質的に純粋である(例えば、重量として、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%純粋である)。一部具現例において、前記化学式II−5、化学式II−6、化学式II−7または化学式II−8の分離された化合物は、重量でもって、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、または明示された値間の任意の範囲値で、純粋である。一部具現例において、前記化学式II−5、化学式II−6、化学式II−7または化学式II−8の分離された化合物は、他の部分立体異性体及び/または幾何異性体が実質的にない(例えば、重量でもって、5%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満または0.1%未満)ものである。一部具現例において、前記化学式II−5、化学式II−6、化学式II−7または化学式II−8の分離された化合物は、重量でもって、約5%、約3%、約2%、約1%、約0.5%、約0.1%、または明示された値間の任意の範囲値で、他の部分立体異性体及び/または幾何異性体を有する。一部具現例において、前記化学式II−5、化学式II−6、化学式II−7または化学式II−8の分離された化合物は、他の部分立体異性体及び/または幾何異性体がない(すなわち、現在分析ツールを使用して検出することができない)。
【0091】
化学式II−1ないし化学式II−8のうちいずれか一つの化合物は、本明細書、例えば、実施例セクションに記載された方法によって製造されて精製されもする。
【0092】
方法3:3,7−二酸素化ステロイドまたは3,7,12−三酸素化ステロイドからのコール酸合成
前述のところのように、コール酸の合成は3,7−二酸素化ステロイドまたは3,7,12−三酸素化ステロイドから出発することができる。一部具現例において、前記3,7−二酸素化ステロイドまたは3,7,12−三酸素化ステロイドは、3−ヒドロキシステロイド出発物質(例えば、DHEA)から、まず7−ヒドロキシ基を導入し、続けて12−ヒドロキシ基を導入することによっても得られる。多様な具現例において、本開示は、また、コール酸、そのエステル、あるいはその薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩を製造する方法を提供し、それは、3,7−二酸素化ステロイドまたは3,7,12−三酸素化ステロイドを、コール酸、そのエステル、あるいはその薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩に転換することを含む。例えば、一部具現例において、前記方法は、反応式5に示された反応順序を含み、ここで、R
30、Pg
10、Pg
11及びPg
12は、本明細書で定義される:
[この文献は図面を表示できません]
【0093】
一部具現例において、コール酸、そのエステル、あるいはその薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩を製造する方法は、下記を含む:
a)化学式III−1の化合物、またはその幾何異性体を、ルイス酸の存在下で、ホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドと反応させ、化学式III−2の化合物を形成する段階、
[化学式III−1]
[この文献は図面を表示できません]
[化学式III−2]
[この文献は図面を表示できません]
ここで、Pg
10、Pg
11及びPg
12は、それぞれ独立して、ヒドロキシル保護基であり、
b)化学式III−2の化合物を酸化させ、化学式III−3のアルデヒドを提供する段階、
[化学式III−3]
[この文献は図面を表示できません]
c)化学式III−3のアルデヒドを、オレフィン形成試薬と反応させ、化学式III−4の化合物、またはその幾何異性体を形成する段階、
[化学式III−4]
[この文献は図面を表示できません]
ここで、R
30は、H、または選択的に置換されたアルキル基であり、
d)化学式III−4の化合物を、金属触媒の存在下で、H
2ガスで水素化させ、続けてヒドロキシル保護基を除去するか、あるいは化学式III−4のヒドロキシル保護基を除去し、続けて、前記脱保護された化合物を、金属触媒の存在下で、H
2ガスで水素化させ、化学式III−5のトリオールを提供する段階、
[化学式III−5]
[この文献は図面を表示できません]
e)化学式III−5のトリオールを酸化させ、化学式III−6の化合物を提供する段階、
[化学式III−6]
[この文献は図面を表示できません]
f)化学式III−6の化合物をケトン還元試薬と接触させ、化学式III−7の化合物を形成する段階、及び
[化学式III−7]
[この文献は図面を表示できません]
g)選択的に、化学式III−7で、R
30がHではない場合、化学式III−7の化合物を加水分解し、コール酸を提供する段階。
【0094】
一部具現例において、R
30は、水素である。しかし、精製の容易性のために、望ましい具現例において、R
30は、アルキル(例えば、メチルまたはエチル)である。一部具現例において、R
30は、また選択的に置換されたアルキル(例えば、選択的に置換されたC
1−6アルキル)でもある。例えば、R
30は、1ないし3個(例えば、1,2または3個)の置換基で選択的に置換されたアルキルでもあり、ここにおいて、前述の1ないし3個の置換基は、独立して、C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
3−6カルボシクリル、3ないし6員のヘテロシクリル、5または6員のヘテロアリール、フェニル、置換されたフェニル(例えば、パラ−メトキシフェニル)、ヒドロキシル、C
1−6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシなど)、ハロゲン(例えば、FまたはCl)、あるいはC
1−6アルキルから、独立して選択される1または2の官能基で選択的に置換されたアミノである。望ましい具現例において、R
30は、C
1−6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)である。化学式III−4ないしIII−7のR
30は、同一であっても異なっていてもよい。一部具現例において、化学式III−4ないしIII−7のR
30は、例えば、C
1−6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)として同一でもある。
【0095】
Pg
10、Pg
11及びPg
12は、それぞれ独立して、ヒドロキシル保護基(例えば、本明細書に記載されたところのような)である。一部具現例において、Pg
10、Pg
11及びPg
12は、それぞれアセチルである。
【0096】
前述の反応式5、またはa)、b)、c)、d)、e)、f)及びg)による変形を行うための多様な条件が使用され、それは、下記の具現例及び実施例のセクションで例示される。他の有用な条件及び細部事項は、類似した変形について、関連技術分野に公知されたところを含む。
【0097】
本開示の特定具現例は、化学式III−1の化合物またはその幾何異性体を、化学式III−2の化合物に転換する方法に係わるものである。一部具現例において、前記方法は、化学式III−1の化合物を、ルイス酸の存在下で、ホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドと反応させることを含む。この変形に、多様なルイス酸、例えば、ボロン基盤またはアルミニウム基盤のルイス酸が使用されもする。一部具現例において、前記ルイス酸は、BF
3を含む。他の適切なルイス酸は、オレフィンとアルデヒドとの類似した反応を促進し、アルコールを提供することができると当業界に公知されたものを含む。
【0098】
本開示の特定具現例は、化学式III−2の化合物を、化学式III−3の化合物に酸化させる方法に係わるものである。一部具現例において、前記酸化は、三酸化クロム基盤またはクロメート基盤の酸化、またはその変形を含む。一部具現例において、前記酸化は、スワーン酸化、またはその変形を含む。一部具現例において、前記酸化は、超原子価ヨウ素媒介酸化を含む。一部具現例において、前記酸化は、化学式I−11の化合物を、適切な酸化剤と接触させることを含む。多様な酸化剤が適する。一部具現例において、前記酸化剤は、クロム系酸化剤、例えば、クロロクロム酸ピリジウム(PCC)である。一部具現例において、前記酸化剤は、スワーン酸化剤である。多様なスワーン酸化剤システムが知られている。例えば、典型的なスワーン酸化は、DMSO/塩化オキサリル基盤システムを使用することを含み、ここで、DMSOは、まず塩化オキサリルと反応し、クロロ(ジメチル)スルホニウムクロリドを生成し、それは、続けて、有機塩基(例えば、Et
3N)の存在下で、アルコールをアルデヒド基またはケトン基に転換させる。他の例示的な有用な酸化剤は、DMSOを活性化させるために、シアヌル酸クロリド、無水トリフルオロ酢酸、カルボジイミド、ピリジン−三酸化硫黄複合体を使用するか、あるいはクロロスルホニウム活性種を生成させるために、ジメチルスルフィド及びN−クロロスクシンイミドを使用する、スワーン酸化、またはその変形のための試薬を含む。一部具現例において、前記酸化剤は、2−ヨードキシ安息香酸(IBX)または1,1,1−トリアセトキシ−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オン(デス・マーチンペルヨージナン)でもある。望ましくは、反応及びウォークアップの条件は、C20位置でエピメリ化が発生しないか、あるいは最小になるように制御される。
【0099】
本開示の特定具現例は、オレフィン形成試薬を使用し、化学式III−3の化合物を、化学式III−4の化合物に転換する方法に係わるものである。望ましくは、反応及びウォークアップの条件は、C20位置でエピメリ化が発生しないか、あるいは最小になるように制御される。一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、ホスホネートで置換されたアセテートを含む:
[この文献は図面を表示できません]
ここで、それぞれの場合のG
10及びR
30aは、それぞれ独立して、選択的に置換されたアルキル基(例えば、選択的に置換されたC
1−6アルキル、例えば、エチル)である。前記ホスホネートで置換されたアセテートは、脱プロトン化され、ホスホネート安定化された炭素陰イオンを形成することができ、それは、化学式III−3のアルデヒド基と反応し、アルファ−ベータ−不飽和エステルを形成する。一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、エチル2−ジエトキシホスホリルアセテートである。一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、ホスホラスイリド(例えば、トリフェニルカルブエトキシメチレンホスホラン)またはその前駆体である。一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、化学式III−3のアルデヒド基と反応し、二次アルコールを形成し、脱水により、アルファ−ベータ−不飽和エステルを形成する有機亜鉛試薬のような有機金属試薬を含んでもよい。例えば、一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、2−炭素レフォルマトスキー試薬:
[この文献は図面を表示できません]
を含み、ここで、Xは、Cl、BrまたはIのようなハロゲンであり、かつR
30aは、選択的に置換されたアルキル基(例えば、選択的に置換されたC
1−6アルキル、例えば、エチル)である。望ましくは、オレフィン形成試薬のエステル基(例えば、ホスホネート、またはレフォルマトスキー試薬におけるR
30a)は、COOR
30のようであり、R
30は、Hではない。しかし、一部具現例において、例えば、R
30がHである場合、R
30aは、R
30と異なる。そのような具現例において、前記方法は、選択的に、化学式III−4aの−CO
2R
30aを化学式III−4の−CO
2R
30で置換するものをさらに含んでもよい。
[化学式III−4a]
[この文献は図面を表示できません]
【0100】
本開示の特定具現例は、化学式III−4の化合物を、化学式III−5の化合物に転換する方法に係わるものである。一部具現例において、前記方法は、化学式III−4の化合物を、金属触媒の存在下で、H
2ガスで水素化し、続けてヒドロキシル保護基を除去することを含む。一部具現例において、前記方法は、化学式III−4において、ヒドロキシル保護基を除去し、トリオール類似体を提供し、続けて、前記脱保護されたトリオール類似体を、金属触媒存在下で、H
2ガスで水素化することを含む。
【0101】
化学式III−5のトリオールを形成する前記変形の間、化学式III−4または化学式III−4のトリオール類似体でオレフィン二重結合が水素化されるので、化学式III−4または化学式III−4のトリオール類似体化合物の幾何異性体も使用される。一部具現例において、前記方法は、化学式III−4または化学式III−4のトリオール類似体化合物を水素化することを含む。一部具現例において、前記方法は、化学式III−4の化合物または化学式III−4のトリオール類似体の幾何異性体を水素化することを含む。一部具現例において、前記方法は、化学式III−4の化合物、及び化学式III−4のトリオール類似体の混合物を水素化することを含む。
【0102】
化学式III−4の化合物、または化学式III−4のトリオール類似体を水素化する多様な方法が使用されもする。望ましくは、前記方法は、化学式III−4の化合物、または化学式III−4のトリオール類似体を、不均一触媒、例えば、Pd、Ni、Pt、PtO2、RhまたはRuを含む不均一金属触媒の存在下で、H
2で水素化することを含む。一部具現例において、前記不均一金属触媒は、Pd/Cである。前記水素化は、多様なH
2圧力でも行われる。一部具現例において、前記水素化は、1atm、またはその近傍の水素圧力で行われる。一部具現例において、前記水素化は、1atm超過(例えば、約2atms、約3atms、約5atms、約10atms、約15atms、または前述の値間の全ての範囲)の水素圧力で行われる。一部具現例において、前記水素化は、約15psiないし約100psi(例えば、約50psi)の水素圧力で行われる。
【0103】
一部具現例において、化学式III−4の化合物は、順序にかかわらず、水素化、脱保護及びエステル加水分解の過程により、化学式III−5aに転換される:
[化学式III−5a]
[この文献は図面を表示できません]
そのような具現例において、前記方法は、化学式III−5aを、例えば、反応式5aの反応順序により、コール酸、そのエステル、あるいはその薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩に転換することを含む:
[この文献は図面を表示できません]
反応式5aの変形のための適切な条件は、本明細書、例えば、実施例セクションに記載されたところを含む。
【0104】
本開示の特定具現例は、化学式III−5の化合物を、化学式III−6の化合物に酸化させる方法に係わるものである。一部具現例において、前記酸化は、三酸化クロム基盤またはクロメート基盤の酸化、またはその変形を含む。一部具現例において、前記酸化は、スワーン酸化、またはその変形を含む。一部具現例において、前記酸化は、超原子価ヨウ素媒介酸化を含む。一部具現例において、前記酸化は、化学式III−5のトリオールを、適切な酸化剤と接触させることを含む。一部具現例において、前記酸化剤は、クロム系酸化剤、例えば、ジョーンズ試薬(希釈された硫酸内の三酸化クロム溶液)、クロロクロム酸ピリジウム(PCC)などである。望ましい一具現例において、前記酸化剤は、ジョーンズ試薬である。一部具現例において、前記酸化剤は、スワーン酸化剤である。多様なスワーン酸化剤システムが知られている。例えば、典型的なスワーン酸化は、DMSO/塩化オキサリル基盤システムを使用することを含み、ここで、DMSOは、まず塩化オキサリルと反応し、クロロ(ジメチル)スルホニウムクロリドを生成し、それは、続けて、有機塩基(例えば、Et
3N)の存在下で、アルコールをアルデヒド基またはケトン基に転換させる。他の例示的な有用な酸化剤は、DMSOを活性化させるために、シアヌル酸クロリド、無水トリフルオロ酢酸、カルボジイミド、ピリジン−三酸化硫黄複合体を使用するか、あるいはクロロスルホニウム活性種を生成させるために、ジメチルスルフィド及びN−クロロスクシンイミドを使用する、スワーン酸化、またはその変形のための試薬を含む。一部具現例において、前記酸化剤は、2−ヨードキシ安息香酸(IBX)または1,1,1−トリアセトキシ−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オン(デス・マーチンペルヨージナン)でもある。
【0105】
本開示の特定具現例は、例えば、ケトン還元試薬を使用し、化学式III−6の化合物を、化学式III−7の化合物に転換する方法に係わるものである。一部具現例において、前記ケトン還元試薬は、ボロヒドリド(例えば、NaBH
4、NaCNBH
3など)またはトリアルコキシアルミニウムヒドリド(例えば、トリ−イソプロポキシアルミニウムヒドリド、トリ−tert−ブトキシアルミニウムヒドリド)である。望ましい具現例において、前記ケトン還元試薬は、リチウムトリ−tert−ブトキシアルミニウムヒドリド(LiAlH(O−tBu)
3)である。
【0106】
R
30が水素ではない場合、例えば、R
30がC
1−6アルキルである場合、コール酸を合成するために、前記方法は、化学式III−7の化合物を加水分解することをさらに含む。従って、一部具現例において、R
30が水素ではない場合、前記方法は、化学式III−7の化合物を加水分解することを含む。適切な加水分解条件は、当業界に公知されたところを含む。例えば、前記加水分解は、化学式III−7の化合物を酸媒介(例えば、BF
3媒介)、塩基媒介(例えば、アルカリ金属ヒドロキシド(例えば、NaOHまたはLiOH)を使用する)または求核剤媒介(例えば、I媒介)の加水分解条件下で反応させることによっても行われる。望ましい具現例において、前記加水分解は、化学式III−7の化合物を、アルカリ金属ヒドロキシド(例えば、NaOHまたはLiOH)と接触させることを含む。
【0107】
一部具現例において、コール酸のエステル、例えば、R
30が選択的に置換されたアルキルである化学式III−7の化合物は、所望生成物である。例えば、一部具現例において、前記方法は、コール酸の薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能なエステルの合成に係わるものである。そのような具現例において、a)ないしf)順序のための望ましい反応条件は、それぞれの反応条件下で、エステル(すなわち、−CO
2R
30)の加水分解が最小限に起こるか、あるいは起こらないのである。しかし、所望する場合、コール酸のエステルは、また、コール酸を所望するアルコールにエステル化することによっても製造される。
【0108】
一部具現例において、コール酸の塩は、所望生成物である。例えば、一部具現例において、前記方法は、コール酸の薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩の合成に係わるものである。従って、一部具現例において、前記方法は、例えば、コール酸を、適切な塩基、例えば、金属またはアンモニウムヒドロキシド(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムまたはテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド)と反応させることにより、コール酸の薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩を形成するところを含む。
【0109】
前述の方法で使用された化学式III−1の化合物またはその幾何異性体は、異なる方法を介しても製造される。例えば、一部具現例において、化学式III−1の化合物またはその幾何異性体は、化学式III−8の化合物を、オレフィン形成試薬と反応させることからも合成される:
[化学式III−8]
[この文献は図面を表示できません]
ここで、R
31は、HまたはPg
10であり、R
32は、HまたはPg
11であり、及びR
33は、HまたはPg
12であり、R
31、R
32及びR
33のうち1以上がHである場合、前記化学式III−8の化合物と、オレフィン形成試薬との反応後、保護段階が遂行される。しかし、一部具現例において、R
31、R
32及びR
33のうち1以上がHである場合、前記保護段階は、またオレフィン形成試薬との反応前、まず行われもする。多様なオレフィン形成試薬がそのような変形に適する。一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、ホスホラスイリドでもある。一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、エチレントリフェニルホスホランまたはその前駆体エチレントリフェニルホスホニウム塩でもある。一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、2−炭素有機金属試薬(例えば、有機亜鉛試薬)を含み、ここで、化学式III−8の17−ケトンは、まず有機金属試薬でアルコール性中間体を形成し、続けて、脱水により、オレフィンにも転換される。
【0110】
一部具現例において、R
31、R
32及びR
33は、いずれもHであり(化学式III−8aの化合物)、前記保護段階は、オレフィン形成試薬との反応の前または後に遂行されることができる:
[化学式III−8a]
[この文献は図面を表示できません]
【0111】
化学式III−8aの化合物は、また、化学式III−8の化合物合成の出発物質としても提供され、ここで、R
31、R
32及びR
33のうち少なくとも一つは、Hではない。例えば、一部具現例において、R
31、R
32及びR
33は、それぞれアセチルであり、化学式III−8の化合物は、化学式III−8aの化合物を適切なアセチル供与体(donor)(例えば、無水酢酸)と反応させることによっても製造される。
【0112】
本明細書で記載された任意の実施例において、化学式III−8aの化合物は、本明細書に記載された方法、例えば、下記方法3Aによっても製造される。本明細書に記載された任意の具現例で、化学式III−8aの化合物は、いかなる動物由来不純物もない合成物質でもある。
【0113】
方法3A:DHEAからの3,7−二酸素化ステロイドを介する化学式III−8aの化合物の合成
本開示の特定具現例は、化学式III−8aの化合物を製造する方法に係わるものである。一部具現例において、前記方法は、反応式6に例示されているように、DHEAから、化学式III−8aの化合物を得ることを含む:
[この文献は図面を表示できません]
ここで、nは、0、1または2であり、かつR
34は、C
1−6アルキルである。
【0114】
一部具現例において、前記方法は、下記を含む:
a)デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)を化学式III−9の化合物に酸化させる段階、
[DHEA]
[この文献は図面を表示できません]
[化学式III−9]
[この文献は図面を表示できません]
b)化学式III−9の化合物をエポキシド形成試薬と反応させ、化学式III−10のエポキシドを形成する段階、
[化学式III−10]
[この文献は図面を表示できません]
c)化学式III−10のエポキシドを水素化条件で還元させ、化学式III−11のジケトンを形成する段階、
[化学式III−11]
[この文献は図面を表示できません]
d)化学式III−11のジケトンをケトン還元試薬と接触させ、化学式III−12の化合物を形成する段階、
[化学式III−12]
[この文献は図面を表示できません]
e)化学式III−12の化合物をアミンと反応させ、化学式III−13のイミンを形成する段階、及び
[化学式III−13]
[この文献は図面を表示できません]
ここで、nは、0、1または2であり、かつR
34は、C
1−6アルキルであり、
f)化学式III−13のイミンを、銅塩の存在下でO
2で酸化させ、化学式III−8aの化合物を形成する段階。
【0115】
多様な条件が、前記反応式6またはa)−f)に記載された変形に適しており、それは、下記の具現例及び実施例のセクションに例示される。他の有用な条件及び細部事項は、類似した変形について、関連技術分野に公知されたところを含む。
【0116】
例えば、DHEAは、酸化を介して、化学式III−9の化合物にも転換される。一部具現例において、前記酸化は、ベンゾキノン系酸化剤(例えば、DDQまたはクロラニル)及びアミンオキサイド(例えば、(2,2,6、6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシダニル(TEMPO)によっても行われる。
【0117】
化学式III−9の化合物は、エポキシド形成試薬を使用し、化学式III−10の化合物にも転換される。一部具現例において、前記エポキシド形成試薬は、過カルボン酸である。一部具現例において、前記エポキシド形成試薬は、メタクロロ過安息香酸である。他の適切なエポキシド形成試薬は、4,5番位置のオレフィンは、そのままにしておき、6,7番位置において、エポキシドを選択的に生成することができる当業界に公知されたものを含む。
【0118】
一部具現例において、化学式III−10の化合物の化学式III−11の化合物への転換は、水素化反応を介しても行われる。例えば、一部具現例において、前記方法は、化学式III−10の化合物を、不均一触媒、例えば、Pd、Ni、Pt、PtO
2、RhまたはRuを含む不均一金属触媒の触媒作用下で、H
2で水素化することを含む。一部具現例において、前記不均一金属触媒は、Pd/Cである。前記水素化は、多様なH
2圧力でも行われる。一部具現例において、前記水素化は、1atm、またはその近傍の水素圧力で行われる。一部具現例において、前記水素化は、1atm超過(例えば、約2atms、約3atms、約5atms、約10atms、約15atms、または前述の値間の全ての範囲)の水素圧力で行われる。一部具現例において、前記水素化は、約15psiないし約100psi(例えば、約50psi)の水素圧力で行われる。
【0119】
一部具現例において、化学式III−11の化合物の化学式III−12の化合物への転換は、還元反応を介しても行われる。多様なケトン還元試薬がそのような変形を行うのにも使用される。一部具現例において、前記ケトン還元試薬は、ボロヒドリド(例えば、NaBH
4、NaCNBH
3など)またはトリアルコキシアルミニウムヒドリド(例えば、トリ−イソプロポキシアルミニウムヒドリド、トリ−tert−ブトキシアルミニウムヒドリド)である。望ましい具現例において、前記ケトン還元試薬は、リチウムトリ−tert−ブトキシアルミニウムヒドリド(LiAlH(O−tBu)
3)である。
【0120】
一部具現例において、化学式III−12の3,7−ジヒドロキシ化合物は、相応するアミンで、化学式III−13のイミンにも転換される。化学式III−13の多様なイミンが、本明細書に記載された方法に適する。一部具現例において、化学式III−13のピリジン環は、非置換のもの、すなわち、nが0であるものである。一部具現例において、化学式III−13のピリジン環は、1または2のC
1−6アルキル基で置換されたものである。例えば、一部具現例において、化学式III−13のピリジン環は、4’−位置において、メチル基で置換されたものである。前記イミン形成は、一般的に酸、例えば、パラ−トルエンスルホン酸によって触媒される。
【0121】
化学式III−13の化合物の化学式III−8aの化合物への変形のための適切な銅塩は、類似した変形のために、当業界に公知された任意のものを含む。一部具現例において、前記銅塩は、Cu(OTf)
2のような銅(II)塩である。一部具現例において、前記銅塩は、Cu(MeCN)
4PF
6のような銅(I)塩である。
【0122】
化学式III−11の化合物の還元、化学式III−12の化合物のイミン形成、及び化学式III−13のイミンの銅媒介酸化は、ヒドロキシ基が保護されなければならないということや、それがないものでなければならないというを必要としない。従って、一部具現例において、目的生成物によって適切な保護または脱保護で、化学式III−11、化学式III−12及び化学式III−13のうち1以上が保護され、化学式III−8aまたは化学式III−8の化合物の合成にも使用される。一部具現例において、本開示は、反応式7により、化学式III−8の化合物を製造する方法を提供し、ここで、R
31、R
32、R
33及びR34は、前述のところに記載される:
[この文献は図面を表示できません]
反応式7に記載された変形は、化学式III−11a、化学式III−12a及び化学式III−13aのR
33、並びに化学式III−12a及び化学式III−13aのR
31がH、あるいは本明細書に記載されたヒドロキシル保護基でもあるということを除いては、反応式6に記載されたところと類似している。
【0123】
方法4:3,7−二酸素化ステロイドからのケノデオキシコール酸合成
ケノデオキシコール酸(CDCA)は、3,7−位置で2つのヒドロキシ基を含み、化学式III−12の化合物、またはそのヒドロキシル保護誘導体のような中間体によっても製造される。一部具現例において、本開示は、3,7−二酸素化ステロイドから、ケノデオキシコール酸、そのエステル、あるいはその薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩を製造する方法に係わるものである。一部具現例において、前記方法は、反応式8による反応順序を含み、ここで、Pg
20及びPg
21は、それぞれ独立して、ヒドロキシル保護基であり、R
40は、H、または選択的に置換されたアルキル基である:
[この文献は図面を表示できません]
【0124】
一部具現例において、前記方法は、下記を含む:
a)化学式IV−1の化合物、またはその幾何異性体を、ルイス酸の存在下で、ホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドと反応させ、化学式IV−2の化合物を形成する段階、
[化学式IV−1]
[この文献は図面を表示できません]
[化学式IV−2]
[この文献は図面を表示できません]
ここで、Pg
20及びPg
21は、それぞれ独立して、ヒドロキシル保護基であり、
b)化学式IV−2の化合物を酸化させ、化学式IV−3のアルデヒドを提供する段階、
[化学式IV−3]
[この文献は図面を表示できません]
c)化学式IV−3のアルデヒドを、オレフィン形成試薬と反応させ、化学式IV−4の化合物、またはその幾何異性体を形成する段階、
[化学式IV−4]
[この文献は図面を表示できません]
ここで、R
40は、H、または選択的に置換されたアルキル基であり、
d)化学式IV−4の化合物を、金属触媒の存在下で、H
2ガスで水素化させ、続けてヒドロキシル保護基を除去するか、あるいは化学式IV−4のヒドロキシル保護基を除去し、続けて、前記脱保護された化合物を、金属触媒の存在下で、H
2ガスで水素化させ、化学式IV−5のジオールを提供する段階、及び
[化学式IV−5]
[この文献は図面を表示できません]
e)選択的に、化学式IV−5で、R
40がHではない場合、化学式IV−5の化合物をケノデオキシコール酸に加水分解する段階。
【0125】
Pg
20及びPg
21の適切なヒドロキシル保護基は、当業界に公知された任意のもの、例えば、本明細書に記載されたものを含む。一部具現例において、Pg
20及びPg
21は、同一である。一部具現例において、Pg
20及びPg
21は、異なっている。望ましい具現例において、Pg
20及びPg
21は、いずれもヒドロキシ基とエステルを形成するヒドロキシル保護基であり、例えば、Pg
20及びPg
21は、いずれもアセチルである。
【0126】
一部具現例において、R
40は、水素である。しかし、精製の容易性のために、望ましい具現例において、R
40は、C
1−6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)である。一部具現例において、R
40は、また選択的に置換されたアルキル(例えば、選択的に置換されたC
1−6アルキル)でもある。例えば、R
40は、1ないし3個(例えば、1,2または3個)の置換基で選択的に置換されたアルキルでもあり、ここにおいて、前述の1ないし3個の置換基は、独立して、C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
3−6カルボシクリル、3ないし6員のヘテロシクリル、5または6員のヘテロアリール、フェニル、置換されたフェニル(例えば、パラ−メトキシフェニル)、ヒドロキシル、C
1−6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシなど)、ハロゲン(例えば、FまたはCl)、あるいはC
1−6アルキルから、独立して選択される1または2の官能基で選択的に置換されたアミノである。望ましい具現例において、R
40は、C
1−6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)である。化学式IV−4及びIV−5のR
40は、同一であっても異なっていてもよい。一部具現例において、化学式IV−4及びIV−5のR
40は、例えば、C
1−6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)として同一でもある。
【0127】
方法4の反応式8、及びa)、b)、c)、d)、及びe)の変形を行うための多様な条件が使用され、それは、下記の具現例及び実施例のセクションで例示される。他の有用な条件及び細部事項は、類似した変形について、関連技術分野に公知されたところを含む。
【0128】
本開示の特定具現例は、化学式IV−1の化合物を、化学式IV−2の化合物に転換する方法に係わるものである。一部具現例において、前記転換は、化学式IV−1の化合物またはその幾何異性体を、ルイス酸の存在下で、ホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドと反応させることを含む。この変形に、多様なルイス酸、例えば、ボロン基盤またはアルミニウム基盤のルイス酸が使用されもする。一部具現例において、前記ルイス酸は、BF
3を含む。他の適切なルイス酸は、オレフィンとアルデヒドとの類似した反応を促進し、アルコールを提供することができると当業界に公知されたものを含む。
【0129】
本開示の特定具現例は、酸化剤を使用し、化学式IV−2の化合物を、化学式IV−3の化合物に酸化させる方法に係わるものである。一部具現例において、前記酸化は、三酸化クロム基盤またはクロメート基盤の酸化、またはその変形を含む。一部具現例において、前記酸化は、スワーン酸化、またはその変形を含む。一部具現例において、前記酸化は、超原子価ヨウ素媒介酸化を含む。一部具現例において、前記酸化は、化学式IV−2の化合物を、適切な酸化剤と接触させることを含む。一部具現例において、前記酸化剤は、クロム系酸化剤、例えば、クロロクロム酸ピリジウム(PCC)である。一部具現例において、前記酸化剤は、スワーン酸化剤である。多様なスワーン酸化剤システムが知られている。例えば、典型的なスワーン酸化は、DMSO/塩化オキサリル基盤システムを使用することを含み、ここで、DMSOは、まず塩化オキサリルと反応し、クロロ(ジメチル)スルホニウムクロリドを生成し、それは、続けて、有機塩基(例えば、Et
3N)の存在下で、アルコールをアルデヒド基またはケトン基に転換させる。他の例示的な有用な酸化剤は、DMSOを活性化させるために、シアヌル酸クロリド、無水トリフルオロ酢酸、カルボジイミド、ピリジン−三酸化硫黄複合体を使用するか、あるいはクロロスルホニウム活性種を生成させるために、ジメチルスルフィド及びN−クロロスクシンイミドを使用する、スワーン酸化、またはその変形のための試薬を含む。一部具現例において、前記酸化剤は、2−ヨードキシ安息香酸(IBX)または1,1,1−トリアセトキシ−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オン(デス・マーチンペルヨージナン)でもある。望ましくは、反応及びウォークアップの条件は、C20位置でエピメリ化が発生しないか、あるいは最小になるように制御される。
【0130】
本開示の特定具現例は、オレフィン形成試薬を使用し、化学式IV−3の化合物を、化学式IV−4の化合物に転換する方法に係わるものである。多様なオレフィン形成試薬がそのような変形に適する。望ましくは、反応及びウォークアップの条件は、C20位置でエピメリ化が発生しないか、あるいは最小になるように制御される。一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、ホスホネートで置換されたアセテートを含む:
[この文献は図面を表示できません]
ここで、それぞれの場合のG
40及びR
40aは、それぞれ独立して、選択的に置換されたアルキル基(例えば、選択的に置換されたC
1−6アルキル、例えば、エチル)である。前記ホスホネートで置換されたアセテートは、脱プロトン化され、ホスホネート安定化された炭素陰イオンを形成することができ、それは、化学式IV−3のアルデヒド基と反応し、アルファ−ベータ−不飽和エステルを形成する。一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、エチル2−ジエトキシホスホリルアセテートである。一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、ホスホラスイリド(例えば、トリフェニルカルブエトキシメチレンホスホラン)またはその前駆体である。一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、化学式IV−3のアルデヒド基と反応し、二次アルコールを形成し、脱水により、アルファ−ベータ−不飽和エステルを形成する有機亜鉛試薬のような有機金属試薬を含んでもよい。例えば、一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、2−炭素レフォルマトスキー試薬:
[この文献は図面を表示できません]
を含み、ここで、Xは、Cl、BrまたはIのようなハロゲンであり、かつR
40aは、選択的に置換されたアルキル基(例えば、選択的に置換されたC
1−6アルキル、例えば、エチル)である。望ましくは、オレフィン形成試薬のエステル基(例えば、ホスホネート、またはレフォルマトスキー試薬におけるR
40a)は、COOR
40のようであり、R
40は、Hではない。しかし、一部具現例において、例えば、R
40がHである場合、R
40aは、R
40と異なる。そのような具現例において、前記方法は、選択的に、化学式IV−4aの−CO
2R
40aを化学式IV−4の−CO
2R
40で置換するものをさらに含んでもよい。
[化学式IV−4a]
[この文献は図面を表示できません]
【0131】
本開示の特定具現例は、化学式IV−4の化合物を、化学式IV−5の化合物に転換する方法に係わるものである。一部具現例において、化学式IV−5のジオールは、化学式IV−4の化合物を水素化し、ヒドロキシル保護基を除去することによって合成される。一部具現例において、化学式IV−5のジオールは、化学式IV−4のヒドロキシル保護基を除去し、二重結合を水素化することによって合成される。化学式IV−5のジオールを形成する前記変形の間、化学式IV−4のオレフィン二重結合が水素化されるので、化学式IV−4の化合物の幾何異性体も使用される。一部具現例において、前記方法は、化学式IV−4の化合物を水素化することを含む。一部具現例において、前記方法は、化学式IV−4の化合物の幾何異性体を水素化することを含む。一部具現例において、前記方法は、化学式IV−4の化合物及びその幾何異性体の混合物を水素化することを含む。
【0132】
化学式IV−4の化合物を水素化する多様な方法が使用されもする。望ましくは、前記方法は、化学式IV−4の化合物を、不均一触媒、例えば、Pd、Ni、Pt、PtO
2、RhまたはRuを含む不均一金属触媒の存在下で、H
2で水素化することを含む。一部具現例において、前記不均一金属触媒は、Pd/Cである。前記水素化は、多様なH
2圧力でも行われる。一部具現例において、前記水素化は、1atm、またはその近傍の水素圧力で行われる。一部具現例において、前記水素化は、1atm超過(例えば、約2atms、約3atms、約5atms、約10atms、約15atms、または前述の値間の全ての範囲)の水素圧力で行われる。一部具現例において、前記水素化は、約15psiないし約100psi(例えば、約50psi)の水素圧力で行われる。
【0133】
化学式IV−1の化合物またはその幾何異性体の合成に多様な方法が使用されもする。一部具現例において、化学式IV−1の化合物またはその幾何異性体は、化学式IV−6の化合物及びオレフィン形成試薬との反応からも得られ、
[化学式IV−6]
[この文献は図面を表示できません]
ここで、R
41は、HまたはPg
20であり、R
42は、HまたはPg
21であり、R
41及びR42のうち1または2のいずれもがHである場合、化学式IV−6の化合物と、オレフィン形成試薬との反応後、保護段階がある。一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、ホスホラスイリドでもある。一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、エチレントリフェニルホスホランまたはその前駆体エチレントリフェニルホスホニウム塩でもある。一部具現例において、前記オレフィン形成試薬は、2−炭素有機金属試薬(例えば、有機亜鉛試薬)を含み、ここで、化学式IV−6の17−ケトンは、まず有機金属試薬でアルコール性中間体を形成し、続けて、脱水により、オレフィンにも転換される。
【0134】
R
40が水素ではない場合、例えば、R
40がC
1−6アルキルである場合、ケノデオキシコール酸を合成するために、前記方法は、化学式IV−5の化合物を加水分解することをさらに含む。従って、一部具現例において、R
40が水素ではない場合、前記方法は、化学式IV−5の化合物を加水分解することを含む。適切な加水分解条件は、当業界に公知されたところを含む。例えば、前記加水分解は、化学式IV−5の化合物を酸媒介(例えば、BF
3媒介)、塩基媒介(例えば、アルカリ金属ヒドロキシド(例えば、NaOHまたはLiOH)を使用する)または求核剤媒介(例えば、I媒介)の加水分解条件下で反応させることによっても行われる。
【0135】
一部具現例において、
ケノデオキシコール酸のエステル、例えば、R
40が選択的に置換されたアルキルである化学式IV−5の化合物は、所望生成物である。例えば、一部具現例において、前記方法は、ケノデオキシコール酸の薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能なエステルの合成に係わるものである。そのような具現例において、a)ないしd)順序のための望ましい反応条件は、それぞれの反応条件下で、エステル(すなわち、−CO
2R
40)の加水分解が最小限に起こるか、あるいは起こらないのである。しかし、所望する場合、ケノデオキシコール酸のエステルは、また、コール酸を所望するアルコールにエステル化することによっても製造される。
【0136】
一部具現例において、ケノデオキシコール酸の塩は、所望生成物である。例えば、一部具現例において、前記方法は、ケノデオキシコール酸の薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩の合成に係わるものである。従って、一部具現例において、前記方法は、例えば、ケノデオキシコール酸を、適切な塩基、例えば、金属またはアンモニウムヒドロキシド(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムまたはテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド)と反応させることにより、ケノデオキシコール酸の薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩を形成するところを含む。
【0137】
化学式IV−6の化合物は、化学式III−11または化学式III−12から容易に利用されもする。例えば、R
41及びR
42がいずれもHである場合、化学式IV−6は、化学式III−12と同一である。R
41及びR
42が同一ヒドロキシル保護基である場合、適切な保護基を有する化学式III−12の二重保護は、化学式IV−6の化合物を提供することができる。また、R
41及びR
42が互いに異なる場合、化学式IV−6の化合物は、保護/脱保護段階及び還元段階の組み合わせを使用し、それらの本質的な反応性にかかわりなく、2個の3−及び7−ヒドロキシ基を区別するように、化学式III−11の化合物を介しても提供される。
【0138】
本明細書において、方法4について記載された任意の具現例において、化学式IV−6の化合物は、化学式III−11または化学式III−12の化合物からも製造され、それは、続けて本明細書に記載された任意の方法、例えば、方法3によっても製造される。本明細書に記載された任意の具現例において、化学式III−11または化学式III−12の化合物は、いかなる動物由来不純物もない合成物質でもある。
【0139】
また、当業界の当業者に明白なように、特定官能基が所望しない反応を行わないように、一般的な保護基が必要となる。多様な官能基の適切な保護基及び特定官能基を保護及び脱保護する適切な条件は、当業界に周知されている。例えば、多くの保護基が「Protective Groups in Organic Synthesis」, 4
th ed. P. G. M. Wuts; T. W. Greene, John Wiley, 2007、及びそこに引用された参照文献に記載されている。本明細書に記載された反応のための試薬は、一般的に知られた化合物や、または知られた方法、またはその自明な変形によっても製造される。例えば、多くの試薬は、アルドリッチ化学(Aldrich Chemical Co.; Milwaukee, Wisconsin,米国)、バッケム(Bachem; Torrance, California,米国)、エムカケム(Emka−Chem)またはシグマ(Sigma; St. Louis, Missouri,米国)のような商業的供給企業から購入することができる。他のものは、「Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis」, Volumes 1-15 (John Wiley and Sons, 1991); 「Rodd's Chemistry of Carbon Compounds」, Volumes 1-5 and Supplemental (Elsevier Science Publishers, 1989); 「Organic Reactions」, Volumes 1-40 (John Wiley and Sons, 1991); 「March's Advanced Organic Chemistry」, (Wiley, 7
th Edition);及び「Larock's Comprehensive Organic Transformations」 (Wiley-VCH, 1999)のような標準参考文献に記載された方法、またはその自明な変形によっても製造されるであろう。
【0140】
方法3及び4からの新規合成中間体
本開示の特定具現例は、例えば、コール酸及び/またはケノデオキシコール酸の製造に有用な新規合成中間体に係わるものである。一部具現例において、前記合成中間体は、化学式V−1、化学式V−2、化学式V−3または化学式V−4、またはその幾何異性体またはその塩である:
[化学式V−1]
[この文献は図面を表示できません]
[化学式V−2]
[この文献は図面を表示できません]
[化学式V−3]
[この文献は図面を表示できません]
[化学式V−4]
[この文献は図面を表示できません]
ここで、それぞれのR
50、R
51及びR
52は、独立して、Hまたはヒドロキシル保護基であり、かつR
53は、H、または選択的に置換されたアルキルである。
【0141】
それぞれの各化学式V−1、化学式V−2、化学式V−3及び化学式V−4のR
50、R
51及びR
52は、独立しても選択される。一部具現例において、R
50、R
51及びR
52は、それぞれHである。一部具現例において、R
50、R
51及びR
52は、それぞれ独立して、ヒドロキシル保護基(例えば、本明細書に記載されたもの)である。一部具現例において、R
50、R
51及びR
52は、同一のヒドロキシル保護基である。一部具現例において、R
50、R
51及びR
52のうち少なくとも二つは、同一のドロキシル保護基である。一部具現例において、R
50、R
51及びR
52のうち少なくとも二つは、異なっている。例えば、R
50、R
51及びR
52のうち一つは、水素であり、R
50、R
51及びR
52のうち他の二つは、同一または異なるヒドロキシル保護基である。適切なヒドロキシル保護基は、本明細書に記載された任意のものを含む。一部具現例において、ヒドロキシル保護基は、アセチルである。
【0142】
一部具現例は、化学式V−3の化合物、その幾何異性体またはその塩に係わるものである。化学式V−3のR
50、R
51及びR
52は、前述のところに記載される。一部具現例において、R
53は、Hである。一部具現例において、R
53は、選択的に置換されたアルキル(例えば、選択的に置換されたC
1−6アルキル)である。一部具現例において、R
53は、メチルである。一部具現例において、R
53は、エチルである。
【0143】
一部具現例において、化学式V−1、化学式V−2、化学式V−3または化学式V−4の化合物が分離される。一部具現例において、前述の化学式V−1、化学式V−2、化学式V−3または化学式V−4の分離された化合物は、実質的に純粋である(例えば、重量として、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%純粋である)。一部具現例において、前述の化学式V−1、化学式V−2、化学式V−3または化学式V−4の分離された化合物は、重量でもって、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、または明示された値間の任意の範囲値で、純粋である。一部具現例において、前述の化学式V−1、化学式V−2、化学式V−3または化学式V−4の分離された化合物は、他の部分立体異性体及び/または幾何異性体が実質的にない(例えば、重量でもって、5%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満または0.1%未満)ものである。一部具現例において、前述の化学式V−1、化学式V−2、化学式V−3または化学式V−4の分離された化合物は、重量でもって、約5%、約3%、約2%、約1%、約0.5%、約0.1%、または明示された値間の任意の範囲値で、他の部分立体異性体及び/または幾何異性体を有する。一部具現例において、前述の化学式V−1、化学式V−2、化学式V−3または化学式V−4の分離された化合物は、他の部分立体異性体及び/または幾何異性体がない(すなわち、現在分析ツールを使用して検出することができない)。
【0144】
一部具現例において、前記合成中間体は、化学式V−5、化学式V−6または化学式V−7の化合物、または化学式V−8の化合物またはその幾何異性体またはその塩である:
[化学式V−5]
[この文献は図面を表示できません]
[化学式V−6]
[この文献は図面を表示できません]
[化学式V−7]
[この文献は図面を表示できません]
[化学式V−8]
[この文献は図面を表示できません]
ここで、それぞれのR
54及びR
55は、独立して、Hまたはヒドロキシル保護基であり、かつR
56は、H、または選択的に置換されたアルキルであり、R
54及びR
55がいずれもアセチルであるならば、R
56は、メチルではない。
【0145】
それぞれの化学式V−5、化学式V−6、化学式V−7及び化学式V−8のR
54及びR
55は、独立しても選択される。一部具現例において、R
54及びR
55は、それぞれHである。一部具現例において、R
54及びR
55は、それぞれ独立して、ヒドロキシル保護基(例えば、本明細書に記載されたもの)である。一部具現例において、R
54及びR
55は、同一のドロキシル保護基である。一部具現例において、R
54及びR
55は、異なっている。例えば、R
54及びR
55のうち一つは、水素でもあり、R
54及びR
55のうち残りは、ヒドロキシル保護基でもある。適切なヒドロキシル保護基は、本明細書に記載された任意のものを含む。一部具現例において、ヒドロキシル保護基は、アセチルである。
【0146】
一部具現例は、化学式V−8の化合物、その幾何異性体またはその塩に係わるものである。化学式V−8のR
54、R
55及びR
56は、前述のところに記載される。一部具現例において、R
56は、Hである。一部具現例において、R
56は、選択的に置換されたアルキル(例えば、選択的に置換されたC
1−6アルキル)であり、R
54及びR
55がいずれもアセチルであるならば、R
56は、メチルではない。一部具現例において、R
56は、エチルである。
【0147】
一部具現例において、化学式V−5、化学式V−6、化学式V−7または化学式V−8の化合物が分離される。一部具現例において、前述の化学式V−5、化学式V−6、化学式V−7または化学式V−8の分離された化合物は、実質的に純粋である(例えば、重量として、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%純粋である)。一部具現例において、前述の化学式V−5、化学式V−6、化学式V−7または化学式V−8の分離された化合物は、重量でもって、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、または明示された値間の任意の範囲値で、純粋である。一部具現例において、前述の化学式V−5、化学式V−6、化学式V−7または化学式V−8の分離された化合物は、他の部分立体異性体及び/または幾何異性体が実質的にない(例えば、重量でもって、5%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満または0.1%未満)ものである。一部具現例において、前述の化学式V−5、化学式V−6、化学式V−7または化学式V−8の分離された化合物は、重量でもって、約5%、約3%、約2%、約1%、約0.5%、約0.1%、または明示された値間の任意の範囲値で、他の部分立体異性体及び/または幾何異性体を有する。一部具現例において、前述の化学式V−5、化学式V−6、化学式V−7または化学式V−8の分離された化合物は、他の部分立体異性体及び/または幾何異性体がない(すなわち、現在分析ツールを使用して検出することができない)。
【0148】
一部具現例において、前記合成中間体は、下記構造を有する化合物である:
[化学式III−8]
[この文献は図面を表示できません]
ここで、R
31、R
32及びR
33は、それぞれ独立して、Hまたはヒドロキシル保護基である。一部具現例において、R
31、R
32及びR
33は、それぞれHである。一部具現例において、R
31、R
32及びR
33は、それぞれ独立して、ヒドロキシル保護基(例えば、本明細書に記載されたもの)である。一部具現例において、R
31、R
32及びR
33は、同一のドロキシル保護基である。一部具現例において、R
31、R
32及びR
33のうち少なくとも二つは、同一のドロキシル保護基である。一部具現例において、R
31、R
32及びR
33のうち少なくとも二つは、異なっている。例えば、R
31、R
32及びR
33のうち一つは、水素でもあり、R
31、R
32及びR
33のうち残り二つは、同一または異なるヒドロキシル保護基でもある。化学式III−8の適切なヒドロキシル保護基は、本明細書に記載された任意のものを含む。一部具現例において、ヒドロキシル保護基は、アセチルである。
【0149】
一部具現例において、化学式III−8の化合物が分離される。一部具現例において、前記化学式III−8の分離された化合物は、実質的に純粋である(例えば、重量として、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%純粋である)。一部具現例において、前記化学式III−8の分離された化合物は、重量でもって、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、または明示された値間の任意の範囲値で、純粋である。一部具現例において、前記化学式III−8の分離された化合物は、他の部分立体異性体及び/または幾何異性体が実質的にない(例えば、重量でもって、5%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満または0.1%未満)ものである。一部具現例において、前記化学式III−8の分離された化合物は、重量でもって、約5%、約3%、約2%、約1%、約0.5%、約0.1%、または明示された値間の任意の範囲値で、他の部分立体異性体を有する。一部具現例において、前記化学式III−8の分離された化合物は、他の部分立体異性体がない(すなわち、現在分析ツールを使用して検出することができない)。
【0150】
薬剤学的組成物または化粧品学的組成物
本開示の特定具現例は、動物由来不純物がない、1以上のCA、DCA、CDCA、並びにそれらのエステル及び塩を含む薬剤学的組成物または化粧品学的組成物に係わるものである。
【0151】
一部具現例において、前記薬剤学的組成物または化粧品学的組成物は、有効量の高純度(例えば、重量として、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.9%の純度)コール酸、あるいはその薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩、あるいは本明細書に記載された高純度コール酸組成物、及び薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な賦形剤を含む。一部具現例において、前記コール酸、あるいはその薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩は、重量として、少なくとも99%の純度、例えば、重量でもって、99.2%、99.5%、99.9%または99.9%超過の純度を有する。本明細書に記載された任意の具現例において、前記コール酸、あるいはその薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩は、また、動物由来不純物がないことを特徴とする。一部具現例において、前記薬剤学的組成物または化粧品学的組成物は、有効量の高純度(例えば、重量として、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.9%の純度)ケノデオキシコール酸、あるいはその薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩をさらに含む。本明細書に記載された任意の具現例において、前記ケノデオキシコール酸、あるいはその薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩は、また、動物由来不純物がないことを特徴とする。一部具現例において、前記薬剤学的組成物または化粧品学的組成物は、有効量の高純度(例えば、重量として、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.9%の純度)デオキシコール酸、あるいはその薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩をさらに含む。本明細書に記載された任意の具現例において、前記デオキシコール酸、あるいはその薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩は、また、動物由来不純物がないことを特徴とする。
【0152】
前記高純度コール酸は、例えば、本明細書で提供される合成方法によっても得られる。一部具現例において、本開示は、また、高純度コール酸組成物を提供する。典型的には、本明細書の前記高純度コール酸組成物は、1以上の工程不純物と共に、コール酸またはその塩を含む。例えば、一部具現例において、前記高純度コール酸組成物は、コール酸またはその塩、及び化合物32ないし35(実施例6参照)のうちから選択される1以上(例えば、1個、2個、3個または全て)の化合物またはその塩を含むか、それらによって構成されるか、あるいはそれらによって必須に構成される。一部具現例において、前記高純度コール酸組成物は、化合物32ないし35のうちいずれか一つまたはその塩、化合物32ないし35のうちいずれか2個またはその塩、化合物32ないし35のうちいずれか3個またはその塩、または化合物32ないし35のいずれもまたはその塩を含んでもよい。一部具現例において、化合物32ないし35、及びその塩の総量は、場合により、コール酸及びその塩の重量、並びに/またはHPLC面積において、5%未満(例えば、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.2%未満、0.1%未満)であり、さらに望ましくは、2%未満または1%未満(例えば、0.5%未満、0.2%未満、0.1%未満)である。疑いの余地を避けるために、純度レベルが重量百分率として言及されるとき、それぞれの化合物、及びその全ての塩形態が考慮され、続けて遊離酸(free acid)形態の当量(equivalent weight)が重量百分率計算に使用される。例えば、化合物32及び塩の重量百分率が、コール酸及びその塩の1%未満であると言及される場合、それは、前記組成物に存在することができる化合物32の全ての塩形態を考慮した、遊離酸としての化合物32の当量が、同様に前記組成物に存在することができるコール酸の全ての塩形態を考慮した、遊離酸としての当量として表現されたコール酸の重量でもって1%未満であると理解されなければならない。組成物の純度を決定する方法は、当業界の当業者に知られている。例えば、本明細書のコール酸組成物の純度は、重量、HPLC面積、またはそれらいずれをも基準に分析される。当業者は、そのような純度レベルを決定するとき、分析方法を検証する方法を知ることができるであろう。本明細書に記載された任意の具現例において、本明細書の前記コール酸組成物の純度は、重量百分率を基準とする。
【0153】
化合物32ないし35のうちそれぞれ、またはその塩は、高純度コール酸組成物に存在する場合、前記コール酸及びその塩の重量、並びに/またはHPLC面積で、望ましくは5%未満(例えば、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.2%未満、0.1%未満)でなければならず、さらに望ましくは、2%未満または1%未満(例えば、0.5%未満、0.2%未満、0.1%未満)でなければならない。例えば、一部具現例において、前記高純度コール酸組成物は、化合物32またはその塩を、前記コール酸及びその塩の重量、並びに/またはHPLC面積で、1%未満(例えば、0.5%未満、0.2%未満、0.1%未満)の量で含む。一部具現例において、前記高純度コール酸組成物は、化合物33またはその塩を、前記コール酸及びその塩の重量、並びに/またはHPLC面積において、5%未満(例えば、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.2%未満、0.1%未満)、さらに望ましくは、2%未満または1%未満(例えば、0.5%未満、0.2%未満、0.1%未満)の量で含む。一部具現例において、前記高純度コール酸組成物は、化合物34またはその塩を、前記コール酸及びその塩の重量、並びに/またはHPLC面積で、1%未満(例えば、0.5%未満、0.2%未満、0.1%未満)の量で含む。一部具現例において、前記高純度コール酸組成物は、化合物35またはその塩を、前記コール酸及びその塩の重量、並びに/またはHPLC面積において、5%未満(例えば、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.2%未満、0.1%未満)、さらに望ましくは、2%未満または1%未満(例えば、0.5%未満、0.2%未満、0.1%未満)の量で含む。一部具現例において、前記高純度コール酸組成物は、コール酸またはその塩を、少なくとも95%(例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%)の純度で含む。一部具現例において、前記高純度コール酸組成物は、コール酸またはその塩を、重量及び/またはHPLC面積で、少なくとも99%、例えば、重量及び/またはHPLC面積で、99.2%、99.5%、99.9%または99.9%超過の純度で含む。
【0154】
本明細書の高純度コール酸組成物内の化合物32ないし35のレベルは、調節されもする。例えば、必要な場合、本明細書のコール酸組成物の追加的な精製でもって、1以上の化合物32ないし35のレベルを低下させるか、あるいは甚だしくは除去することができる。例えば、
図2に示されているように、そのような不純物は、ベースライン分離(baseline separation)を有するHPLCによって容易に分離される。実施例6を参照すれば、ここで、化合物32ないし35のそれぞれは、逆相HPLCによって分離され、特徴づけられ、同定された。典型的には、望ましくはないが、それぞれの実質的に純粋な(例えば、重量として、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の純粋さ)化合物32ないし35を、高純度コール酸組成物に添加することにより、化合物32ないし35のうち1以上のレベルを上昇させることができる。化合物32ないし35は、また、それ自体で有用であり、例えば、それらは、コール酸製造の品質管理、コール酸の原料確認、またはそのようなコール酸での潜在的合成経路確認に有用である。
【0155】
前記コール酸、あるいはその薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩を含む薬剤学的組成物または化粧品学的組成物は、適切な賦形剤で多様な形態にも剤形化される。適切な賦形剤は、当業界の当業者に一般的に利用可能な任意の固体、液体、半固体またはエアロゾル組成物の場合、ガス賦形剤でもある。固体賦形剤は、澱粉、セルロース、タルク、グルコース、ラクートス、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク(chalk)、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳(dried skim milk)などを含む。液体賦形剤及び半固体賦形剤の例は、グリセロール、プロピレングリコール、水、エチルアルコール、及び石油、植物性または合成起源のオイル類を含む多様なオイル類、例えば、ピーナッツオイル、大豆オイル、ミネラルオイル、ごまあぶらなどを含んでもよい。特に、注射用溶液のための液体担体(carriers)の例は、水、食塩水(saline)、水溶性デキストロース及びグリコールを含む。
【0156】
一部具現例において、前記薬剤学的組成物または化粧品学的組成物は、望ましくは、水溶性溶液、例えば、皮下注射に適するのである。一部具現例において、前記水溶性溶液は、下記を含む:(i)高純度のコール酸、ケノデオキシコール酸その薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩、またはそれらの組み合わせ、例えば、本明細書に記載された高純度コール酸組成物、及び(ii)薬剤学的、獣医学的または化粧品学的な賦形剤。一部具現例において、前記溶液は、下記のところからなる群から選択される二次治療剤をさらに含む:抗微生物剤、血管収縮剤、抗血栓剤、抗凝固剤、物質使用障害抑制剤(suds-depressants)、抗炎症剤、鎮痛剤、分散剤、抗分散剤、透過増進剤(penetration enhancers)、ステロイド、鎭静剤、筋肉弛緩剤及び下痢止め。一部具現例において、溶液は、500mLまでの溶液を含む容器の中に存在する。そのような容器は、注射器、または注射器搭載可能な容器でもある。
【0157】
前記コール酸、あるいはその薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩を剤形化する非制限的であって例示的な方法は、「Methods and Compositions of Bile Acids and Salts for Reduction of Fat」の名称を有するWO2015/198150に記載されたところを含み、その内容は、本明細書に全体として参照として統合される。
【0158】
使用方法
コール酸、デオキシコール酸及びケノデオキシコール酸は、医学的及び/または化粧品学的な用途を有すると知られている。例えば、WO2015/198150は、コール酸塩及び/またはケノデオキシコール酸塩が標的部位への局所投与により、哺乳動物において、皮下脂肪蓄積を低減させる用途を記述する。WO2015/198150は、またコール酸塩及び/またはケノデオキシコール酸塩組成物が、脂肪腫(lipomas)、脂肪、メゾセラピー(mesotherapy)、組織分離、腫瘍減少、癌減少、癌治療、及び身体の部分または領域から、ワックス、脂質、タンパク質または炭水化物を弛緩させたり、除去したり、身体的な消費または溶解の一助となるのに使用するように所望する任意の他の臨床的状況の解決にも使用されるということ記述する。例えば、脂肪腫の治療において、前記コール酸塩及び/またはケノデオキシコール酸塩組成物は、脂肪腫と接触して脂肪腫を溶解させるようにも皮下に注射される。デオキシコール酸を使用する方法は、例えば、米国特許番号7,622,130、及び米国特許出願公開番号2005−0267080Al及び同2006−0127468Alなどに記載されている。
【0159】
本明細書に記載された前述のCA、DCA、CDCA、並びにそれらのエステル及び塩は、また、任意の知られた医学的及び/または化粧品学的な用途にも使用される。一部具現例において、本開示は、また、個体において、局所脂肪沈着(localized fat deposit)の非手術的除去方法を提供する。一部具現例において、前記方法は、前述の任意の薬剤学的組成物または化粧品学的組成物、例えば、脂肪分解有効量の高純度(例えば、重量として、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.9%の純度)コール酸、ケノデオキシコール酸、その薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な塩、あるいはその組み合わせ、例えば、本明細書に記載された高純度コール酸組成物、及び薬剤学的にまたは化粧品学的に許容可能な賦形剤を含む薬剤学的組成物または化粧品学的組成物の有効量を個体に投与する段階を含む。
【0160】
実施例
望ましい実施例の多様な出発物質、中間体及び化合物は、適切な場合、沈澱、濾過、結晶化、蒸発、蒸溜及びクロマトグラフィのような一般的な技術を使用しても分離及び精製される。該化合物の特性分析(characterization)は、融点、質量スペクトル、核磁気共鳴、及び多様な他の分光分析のような一般的な方法を使用しも行われる。本明細書に記述された生成物の合成を行うための段階の例示的な実施例が、下記にさらに詳細に記述されている。表1は、下記実施例及び明細書全体に記載された例示的な反応式及び合成経路において、多様な化合物/モイエティ(moieties)/装置/過程/属性を表現するのに使用される略語を記述する。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0161】
実施例1
DHEAからのコール酸合成:経路1
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0162】
段階1
[この文献は図面を表示できません]
【0163】
15℃で、DHEA(50.00g、173.36mmol、1.00eq)及びDCM(1.00L)をフラスコに添加した。続けて、それを0℃に冷却させた後、そこに、TEMPO(2.73g、17.34mmol、0.10eq)を添加し、DDQ(86.58g、381.39mmol、2.20eq)を0℃で部分的に添加した。反応混合物を25℃に加温し、25℃で48時間撹拌し、TLCは、1つの新たな主要点(main spot)が形成されたことを示した。反応物を濾過し、濾液を飽和Na
2SO
3(100mL*2)及び塩水(200mL*2)で洗浄した。合わされた有機相(organic phase)を無水Na
2SO
4で乾燥させて真空で濃縮させた。残余物をカラムクロマトグラフィ(PE/EA=50/1から10/1まで)で精製し、化合物1(39.0g、135.35mmol、78.08%収率)を白色固体として得た。
1H NMR、(400MHz,CDCl
3);δ=6.21(s,2H)、5.78−5.71(m,1H)、2.66−2.55(m,1H)、2.53−2.46(m,1H)、2.46−2.35(m,2H)、2.22−2.13(m,2H)、2.08−2.01(m,1H)、1.92(td,J=3.1,13.0Hz,1H)、1.80−1.69(m,3H)、1.56−1.50(m,1H)、1.48−1.42(m,1H)、1.39−1.32(m,1H)、1.32−1.24(m,1H)、1.16(s,3H)、0.99(s,3H)
【0164】
段階2
[この文献は図面を表示できません]
【0165】
DCM(400.00mL)において、化合物1(39.00g、137.14mmol、1.00eq)溶液に、DCM(50.00mL)に溶解されたm−CPBA(61.25g、301.71mmol、87%純度、2.20eq)を滴加し、5℃で反応させた。生産された溶液を、5℃で24時間撹拌し、TLCは、出発物質が完全に消耗され、1つの新たな主要点が形成されたことを示した。次に、反応物を濾過し、濾液を飽和Na
2SO
3(200mL)で、25℃で0.5時間の間洗浄した。有機相を分離し、真空において濃縮させた。残余物をカラムクロマトグラフィ(PE/EA=20/1から5/1まで)で精製し、化合物2(16.12g、51.79mmol、37.76%収率)を、白色固体として得た。
1H NMR、(400MHz,CDCl
3):δ=6.16(s,1H)、3.55(d,J=3.8Hz,1H)、3.48(d,J=3.6Hz,1H)、2.63−2.50(m,3H)、2.30−2.22(m,2H)、2.21−2.14(m,1H)、1.98(ddd,J=2.3、5.3,13.2Hz,2H)、1.91−1.85(m,2H)、1.80−1.72(m,4H)、1.43−1.33(m,3H)、1.30−1.25(m,2H)、1.15(s,3H)、0.97(s,3H)
【0166】
段階3
[この文献は図面を表示できません]
【0167】
Py(160.00mL)において、化合物2(16.12g、53.66mmol、1.00eq)溶液に、25℃で、N
2保護下でPd/C(10%、1.70g)を添加した。懸濁液を真空下で脱気させ、H2で何回かパージ(purge)した。反応物を、H
2ガス下で、25℃で12時間撹拌し(50psi)、TLCは、出発物質が完全に消耗され、1つの新たな主要点が形成されたことを示した。反応混合物をセライト(celite)で濾過し、濾液を5%HCl(100mL)で洗浄し、EA(150mL)で抽出した。有機相を分離して真空で濃縮し、16.34gの組化合物3を淡黄色固体として得た。
【0168】
段階4
[この文献は図面を表示できません]
【0169】
THF(150.00mL)において、化合物3(16.34g、53.68mmol、1.00eq)溶液に、THF(30.00mL)に溶解されたLiAlH(t−BuO)
3(16.99g、67.10mmol、18.88mL、1.25eq)を5℃で滴加した。生成された溶液を、5℃で0.5時間撹拌した。TLCは、1つの主要点が形成されたことを示した。反応混合物を5% HCl(50ml)で反応終結させ、EA(50ml*2)で抽出し、有機相を分離して真空で濃縮した。残余物をシリカゲルクロマトグラフィ(PE/EA=5:1から2:1まで)で精製し、化合物4(6.20g、35.62%収率)を無色オイルとして得た。
【0170】
段階5
[この文献は図面を表示できません]
【0171】
トルエン(50.00mL)において、化合物4(6.00g、19.58mmol、1.00eq)及び2−ピリジルメタンアミン(10.59g、97.90mmol、9.99mL、5.00eq)の混合物に、25℃でPTSA(101.15mg、0.58mmol、0.03eq)を添加し、混合物をディーン・スターク装置を使用し、120℃で2時間撹拌した。続けて、反応混合物をEA(100ml)で希釈し、飽和NaHCO
3(20ml)及び水(50ml)で洗浄した。有機相を分離して真空で濃縮させた。残余物を25℃でEA(10ml)で練化処理し、化合物5(4.12g、10.13mmol、51.73%収率及び96.5%純度)を白色固体として得た。
1H NMR、(400MHz,CDCl
3):δ=8.45(brd,J=4.5Hz,1H)、7.63−7.56(m,1H)、7.34(d,J=7.8Hz,1H)、7.10−7.04(m,1H)、4.61−4.47(m,2H)、3.91(brs,1H)、3.47−3.36(m,2H)、2.46−2.36(m,1H)、2.31−2.20(m,1H)、2.18−2.07(m,2H)、2.01−1.92(m,2H)、1.91−1.78(m,3H)、1.68−1.62(m,2H)、1.48−1.39(m,2H)、1.38−1.25(m,5H)、1.20−1.11(m,2H)、0.98−0.93(m,1H)、0.88(s,3H)、0.83(s,3H)
【0172】
段階6
[この文献は図面を表示できません]
【0173】
アセトン(10.00mL)及びMeOH(10.00mL)において、化合物5(2.00g、5.04mmol、1.00eq)溶液に、25℃でアスコルビン酸ナトリウム(2.00g、10.09mmol、2.0eq)及びCu(MeCN)
4PF
6(2.63g、7.06mmol、1.40eq)を順次に添加した。25℃で5分間撹拌した後、酸素(15psi)を反応混合物全体に10分間バブリングさせた。続けて、反応物を50℃に加熱し、O
2ガス下で、50℃で2時間撹拌した。TLCは、1つの新たな主要点が形成されたことを示した。25℃に冷却した後、EA(100mL)及び飽和EDTA−Na
4(50mL)を添加し、混合物を25℃で30分間撹拌した。有機相を分離して真空で濃縮した。残余物をカラムクロマトグラフィ(PE/EA=3/1から1/2まで)で精製し、化合物6(0.25g、0.75mmol、14.95%収率)を淡黄色固体として得た。
【0174】
段階7
[この文献は図面を表示できません]
【0175】
フラスコ中のEtPPh
3Br(2.41g、6.50mmol、5.00eq)を70℃で1時間、高真空下で乾燥させた。乾燥THF(3.00mL)を添加した後、N
2下で、t−BuOK(0.73g、6.50mmol、5.00eq)を添加した。全体混合物を70℃で0.5時間、N
2下で続けて撹拌した。乾燥THF(2.00mL)において、化合物6(0.42g、1.30mmol、1.00eq)溶液を、70℃で前記反応物に添加し、反応物を70℃で2時間さらに撹拌した。TLCは、出発物質がいずれも消費され、1つの新たな主要点が形成されたことを示した。室温に冷却した後、溶液をEA(40mL)で希釈し、飽和NaCl溶液(10mL)で反応終結させた。水溶液をEA(20mL)で抽出し、Na
2SO
4相で乾燥させ、真空で濃縮し、淡黄色オイルとして0.48gを得た。
【0176】
得た黄色オイル(0.48g、1.45mmol、1.00eq)を、25℃でDCM(5.00mL)に溶解させた後、25℃で、Ac
2O(621.97mg、6.05mmol、570.62uL、4.2eq)、Et
3N(0.88g、8.70mmol、1.21mL、6.00eq)及びDMAP(35.44mg、290.11umol、0.20eq)を添加した。反応物を25℃で7時間撹拌した。TLCは、出発物質が完全に消耗され、1つの新たな主要点が形成されたことを示した。反応物をEA(50ml)で希釈し、H
2O(10mL)で洗浄し、Na
2SO
4相で乾燥させ、濾過し、有機層を真空で濃縮した。残余物をカラムクロマトグラフィ(PE/EA=50/1から20/1まで)で精製し、化合物7(0.18g、0.38mmol、26.28%収率)を無色オイルとして得た。
【0177】
段階8
[この文献は図面を表示できません]
【0178】
50mlフラスコに、化合物7(50.00mg、108.55umol、1.00eq)及びDCM(5.00mL)を添加した。反応物を0℃に冷却させた。0℃で、反応物にパラホルムアルデヒド(48.89mg、542.77umol、5.00eq)を添加した後、0℃で反応物に、BF
3・Et
2O(1.54mg、10.86umol、1.34uL、0.10eq)を添加した。反応物を15℃に加温し、15℃で2時間撹拌した。TLCは、1つの新たな主要点が形成されたことを示した。反応物をDCM(50ml)で希釈し、水(30ml)で反応終結させた。有機層を真空で濃縮した。残余物をpre−TLC(PE/EA=1/1)で精製し、無色オイル残余物(40mg)を得た。
【0179】
10mlチューブに、(COCl)
2(61.84mg、487.18umol、42.65uL、2.40eq)及びDCM(6.00mL)を添加した。混合物を−78℃に冷却させた。DMSO(63.44mg、811.96umol、63.44uL、4.00eq)を、−78℃で、反応混合物に滴加した。添加後、反応物を、−78℃で、0.5時間撹拌した。以前に製造した無色オイル残余物(2バッチ、100mg)を、−78℃で反応物に添加した。それを、−78℃で0.5時間撹拌した。TEA(205.41mg、2.03mmol、281.38uL、10.00eq)を、−78℃で滴加した。添加後、反応物を15℃に加温し、15℃で、0.5時間撹拌した。TLCは、1つの新たな主要点が形成されたことを示した。反応物をDCM(50ml)で希釈し、水(30ml)で反応終結させた。分離された有機層を真空で濃縮した。残余物をpre−TLCで精製し、化合物8(50mg、50%収率)を得た。
【0180】
段階9
[この文献は図面を表示できません]
【0181】
10mlチューブに、NaH(32.75mg、818.64umol、60%純度、4.00eq)及びTHF(2.00mL)を添加した後、15℃で、フラスコに、エチル2−ジエトキシホスホリルアセテート(229.41mg、1.02mmol、203.02uL、5.00eq)を添加した。生成された混合物を15℃で10分間撹拌した。15℃で、化合物8(100.00mg、204.66umol、1.00eq)をフラスコに添加し、15℃で0.5時間撹拌し、TLCは、1つの新たな主要点が形成されたことを示した。反応物を水(5ml)で反応終結させ、DCM(2*30ml)で抽出した。有機層を真空で濃縮した。残余物をpre−TLCで精製し、化合物9(100mg、87.46%収率)を無色オイルとして得た。
Mass(m/z):581.4(M
+ +23)
【0182】
段階10
[この文献は図面を表示できません]
【0183】
25℃で、35ml圧力チューブに、化合物9(100.00mg、178.99umol、1.00eq)、EtOH(4.00mL)及びPd/C(10.00mg)を添加した。混合物を、H
2ガス(50psi)でパージし、25℃で4時間撹拌した。TLCは、1つの新たな主要点が形成されたことを示した。生成された混合物を濾過し、濾液を真空で濃縮させ、化合物10(60mg、組物質)を無色オイルとして得た。
Mass(m/z):585.4(M
+ +23)
【0184】
段階11
[この文献は図面を表示できません]
【0185】
MeOH(4.00mL)において、化合物10(60.00mg、106.62umol、1.00eq)溶液に、25℃で、NaOH(51.18mg、1.28mmol、12.00eq)を添加した。その後、反応物を60℃に加熱し、60℃で2時間撹拌した。TLCは、1つの新たな主要点が形成されたことを示した。反応物を室温に冷却させ、真空で濃縮し、溶媒を除去し、生成された残余物を水(5ml)に溶解させ、HClでpH
3まで酸化させた。生成された水性層(aqueous layer)を、EA(3*15ml)で抽出した。有機層を真空で濃縮し、化合物10(70mg、組物質)を白色固体として得た。
Mass(m/z):431.1(M
+ +23)、839.1(2M
++23)
【0186】
段階12
[この文献は図面を表示できません]
【0187】
アセトン(3mL)において、化合物11(70mg、160.32umol、1.00eq)溶液に、ジョーンズ試薬(95.27mg、480.96umol、3eq)を20℃で滴加した。添加後、反応物を20℃で10分間撹拌し、TLCは、1つの新たな主要点が形成されたことを示した。反応物をイソプロパノール(0.5ml)で反応終結させ、水(5ml)で希釈した。生成された水性混合物をEA(3*15ml)で抽出した。有機層を真空で濃縮した。残余物をpre−TLCで精製し、化合物12(20mg、48umol、29.9%収率)を白色固体として得た。
Mass(m/z):403.3(M
+ +1)
【0188】
段階13
[この文献は図面を表示できません]
【0189】
THF(5mL)において、化合物12(10.00mg、24.84umol、1eq)溶液に、LiAlH(t−BuO)
3(94.38mg、372.65umol、104.40uL、15eq)を20℃で添加した。それを20℃で1時間撹拌し、40℃で16時間撹拌し、TLCは、1つの新たな主要点が形成されたことを示した。反応物をEA(50ml)で希釈し、HCl(10ml、1M)で反応終結させた。分離された有機階を真空で濃縮した。残余物をpre−TLCで精製し、CA(3mg、29.6%収率)を白色固体として得た。
1H NMR、(400MHz,DMSO−d6):δ=11.91(brs,1H)、4.30(d,J=4.39,1H)、4.10(d,J=3.51,1H)、3.99(d,J=3.26,1H)、3.79(brd,J=2.64,1H)、3.62(brs,1H)、3.23−3.14(m,1H)、2.27−2.06(m,5H)、1.82−1.63(m,6H)、1.41−1.13(m,11H)、1.01−0.96(m,1H)、0.92(d,
J=6.4、3H)、0.88−0.84(m,1H)、0.81(s,3H)、0.59(s,3H)
13C NMR、(100MHz,DMSO−
d6):δ=175.45、71.45、70.90、66.71、46.56、46.22、41.99、41.84、35.78、35.52、35.34、34.86、31.31、31.27、30.88、29.01,27.75、26.68、23.27、23.10、17.41,12.81
【0190】
実施例2
DHEAからのコール酸合成:経路2
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
段階1
[この文献は図面を表示できません]
【0191】
トルエン(250.00mL)において、DHEA(20.00g、69.34mmol、1.00eq)及び2−ピリジルメタンアミン(37.49g、346.70mmol、35.37mL、5.00eq)の混合物に、25℃で、PTSA(358.23mg、2.08mmol、0.03eq)を添加し、混合物を、ディーン・スターク装置で120℃で2時間撹拌した。続けて、反応混合物をEA(400ml)で希釈し、飽和NaHCO
3(100ml*2)及び水(100ml*2)で洗浄した。有機層を濃縮した。残余物を25℃で、EA(30ml)で練化処理し、化合物13(23.40g、57.80mmol、83.36%収率、93.5%純度)を白色固体として得た。
1H NMR、(400MHz,CDCl
3):δ=8.54(d,J=4.1Hz,1H)、7.67(dt,J=1.7、7.7Hz,1H)、7.45(d,
J=7.8Hz,1H)、7.19−7.11(m,1H)、5.40(brd,J=4.9Hz,1H)、4.70−4.53(m,2H)、3.63−3.48(m,1H)、2.54−2.43(m,1H)、2.38−2.25(m,3H)、2.15−2.03(m,2H)、1.96−1.85(m,3H)、1.75−1.70(m,1H)、1.64−1.36(m,6H)、1.26−1.10(m,2H)、1.07(s,3H)、1.03(brd,J=4.5Hz,1H)、0.94(s,3H)
【0192】
段階2
[この文献は図面を表示できません]
【0193】
アセトン(60.00mL)及びMeOH(60.00mL)において、化合物13(6.00g、15.85mmol、1.00eq)溶液に、25℃でアスコルビン酸ナトリウム(6.28g、31.70mmol、2.00eq)及びCu(MeCN)
4PF
6(8.27g、22.19mmol、1.40eq)を順次に添加した。25℃で5分間撹拌した後、酸素(15psi)を、反応混合物全般に10分間バブリングさせた。続けて、反応物を50℃に加熱し、O
2ガス下で、50℃で2時間撹拌した。25℃に冷却した後、EA(300mL)及び飽和EDTA−Na
4(100mL)を添加し、混合物を25℃で30分間撹拌した。有機相を分離して真空で濃縮した。残余物をカラムクロマトグラフィ(PE/EA=15/1から5/1まで)で精製し、化合物14(2.40g、7.88mmol、49.74%収率)を白色固体として得た。
1H NMR、(400MHz,CDCl
3):δ=5.43−5.38(m,1H)、3.88−3.79(m,1H)、3.59−3.51(m,1H)、3.09(s,1H)、2.51(dd,J=8.4、19.4Hz,1H)、2.40−2.33(m,1H)、2.31−2.22(m,1H)、2.20−2.09(m,2H)、2.08−1.97(m,1H)、1.93−1.86(m,2H)、1.76−1.63(m,3H)、1.56−1.45(m,3H)、1.33−1.24(m,1H)、1.20−1.09(m,2H)、1.07(s,3H)、0.99(s,3H)
【0194】
段階3
[この文献は図面を表示できません]
【0195】
フラスコ内のEtPPh
3Br(12.18g、32.80mmol、10.00eq)を、70℃で1時間、高真空下で乾燥させた。乾燥THF(100.00mL)を添加した後、N
2下で、t−BuOK(3.68g、32.80mmol、10.00eq)を添加した。全体混合物を70℃で0.5時間、N
2下で続けて撹拌した。乾燥THF(5.00mL)において、化合物14(1.00g、3.28mmol、1.00eq)溶液を70℃で反応物に添加し、反応物を70℃で2時間さらに撹拌した。TLCは、出発物質がいずれも消耗され、1つの新たな主要点が形成されたことを示した。室温に冷却した後、溶液をEA(100mL)で希釈し、飽和NH
4Cl溶液(30mL)で反応終結させた。水溶液をEA(50mL*2)で抽出し、合わされた有機層を塩水(40mL)で洗浄し、Na
2SO
4相で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し、1.04gの淡黄色オイルを得た。
【0196】
得られた淡黄色オイル(1.04g、3.29mmol、1.00eq)を、25℃でDCM(20.00mL)に溶解させた後、25℃で、Ac
2O(752.36mg、7.37mmol、690.24uL、2.24eq)、Et
3N(2.00g、19.74mmol、2.74mL、6.00eq)及びDMAP(80.39mg、658.00umol、0.20eq)を添加した。反応物を25℃で3時間撹拌した。TLCは、出発物質が完全に消耗され、1つの新たな主要点が形成されたことを示した。反応物をEA(100ml)で希釈し、H
2O(50mL)で洗浄し、Na
2SO
4相で乾燥させ、濾過し、有機層を真空で濃縮した。残余物をカラムクロマトグラフィ(PE/EA=30/1から20/1まで)で精製し、化合物15(1.14g、2.62mmol、79.59%収率、92%純度)を灰白色オイルとして得た。
1H NMR、(400MHz,CDCl
3):δ=5.41(d,J=5.0Hz,1H)、5.31−5.19(m,1H)、4.91(dd,J=5.0、10.9Hz,1H)、4.68−4.57(m,1H)、2.46−2.19(m,4H)、2.12−2.08(m,3H)、2.07−2.04(m,3H)、1.98(td,J=4.9、13.0Hz,1H)、1.91−1.81(m,2H)、1.72−1.65(m,1H)、1.65−1.61(m,3H)、1.60−1.41(m,5H)、1.37−1.12(m,4H)、1.05(s,3H)、1.02(s,3H)
Mass(m/z):423.2(M
+ +23)
【0197】
段階4
[この文献は図面を表示できません]
【0198】
DCM(100.00mL)において、化合物15(1.12g、2.80mmol、1.00eq)溶液に、パラホルムアルデヒド(2.7g、29.96mmol、10.7eq)を、0℃で一度に添加した後、0℃で、BF
3・Et
2O(39.74mg、280.00umol、34.56uL、0.10eq)を添加した。混合物を25℃に加温し、25℃で2時間撹拌した。TLCは、1つの新たな点が形成されたことを示した。反応混合物を、H
2O(15ml)で反応終結させ、DCM(10ml*3)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。残余物をシリカゲルクロマトグラフィ(PE:EA=30:1から15:1まで)で精製し、860mgの白色固体を得た。
【0199】
フラスコに、15℃で、塩化オキサリル(278.87mg、2.20mmol、192.32uL、1.10eq)及びDCM(20.00mL)を添加した。反応物を−78℃に冷却させ、−78℃で15分間撹拌した。続けて、DMSO(312.10mg、3.99mmol、312.10uL、2.00eq)を−78℃で反応物に滴加した。混合物を−78℃で15分間撹拌した。DCM(3.00mL)において、以前に得た白色固体(860.00mg、2.00mmol、1.00eq)溶液を、−78℃で反応器に添加した。混合物を−78℃で15分間さらに撹拌した。続けて、TEA(1.01g、9.99mmol、1.38mL、5.00eq)を−78℃で滴加した。生成された混合物を、−78℃で15分間、及び15℃で30分間撹拌し、TLCは、1つの新たな主要点が形成されたことを示し、反応物を、H
2O(5mL)で反応終結させ、DCM(15mL)で抽出した。有機相を塩水(50mL*2)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した後、カラムクロマトグラフィ(SiO2、PE:EA=60:1から30:1まで)で精製し、化合物16(510mg、59.5%収率)を白色固体として得た。
【0200】
段階5
[この文献は図面を表示できません]
【0201】
THF(10.00ml)において、NaH(476.00mg、11.90mmol、60%純度、10.00eq)溶液に、25℃でエチル2−ジエトキシホスホリルアセテート(2.67g、11.90mmol、2.36mL、10.00eq)を添加した。反応混合物を25℃で30分間撹拌した。THF(2.00mL)において、化合物16(510.00mg、1.19mmol、1.00eq)溶液を、25℃で反応物に添加し、25℃で2時間撹拌した。TLCは、出発物質がいずれも消耗されたことを示した。飽和NH
4Cl(15mL)を反応器に添加し、反応終結させた。混合物をEA(50mL*3)で抽出し、有機層を塩水(100mL*2)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。残余物をカラムクロマトグラフィ(PE:EA=50/1から30:1まで)で精製し、化合物17(720.00mg、929.00umol、78.07%収率、
1H NMRによって64.34%純度)を無色オイルとして得た。
1H NMR、(400MHz,CDCl
3):δ=7.01(dd,J=6.9、15.7Hz,1H)、5.80(dd,J=1.3,15.7Hz,1H)、5.45(brs,1H)、5.42(brd,J=5.0Hz,1H)、4.93(dd,J=5.1,10.7Hz,1H)、4.67−4.58(m,1H)、4.21(q,J=7.2、14.7Hz,2H)、3.12(q,J=6.7Hz,1H)、2.42−2.27(m,2H)、2.19−2.12(m,1H)、2.10(s,3H)、2.05(s,3H)、2.04−1.77(m,5H)、1.69−1.64(m,1H)、1.60−1.52(m,1H)、1.51−1.39(m,2H)、1.37(t,J=7.1,3H)、1.29−1.27(m,1H)、1.26−1.17(m,2H)、1.14(d,J=6.8Hz、3H)、1.07(s,3H)、0.95(s,3H)
Mass(m/z):521.2(M
+ +23)
【0202】
段階6
[この文献は図面を表示できません]
【0203】
MeOH(150.00mL)において、化合物17(660.00mg、1.32mmol、1.00eq)溶液に、15℃で、Pd/C(10%、70mg)を添加した。懸濁液を真空下で脱気させ、H
2で何回かパージした。反応物を25℃に加熱し、H
2(50psi)下で、25℃で12時間撹拌した。LCMSは、出発物質が完全に消耗されたことを示した。反応混合物を濾過して濾液を濃縮し、450.00mgの白色固体を得た。
【0204】
EtOH(10.00mL)において得た白色固体(350.00mg、693.48umol、1.00eq)の混合物に、N
2下で、15℃で、NaOH(332.87mg、8.32mmol、12.00eq)を一度に添加した。混合物を30℃に加熱し、30℃で2時間撹拌した。LCMSは、出発物質がいずれも消耗されたが、目標質量が検出されていないことを示した。他のバッチのNaOH(221.92mg、5.55mmol、8.00eq)を15℃で添加し、混合物を30℃で4時間さらに撹拌した。LCMSは、全ての出発物質が消耗され、所望質量が検出されたことを示した。混合物を減圧濃縮して溶媒を除去した。HCl水溶液(1N、10ml)を残余物に添加し、pHを4に調節した後、EA(50mL*3)で抽出した。有機層を塩水(10mL*2)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し、白色固体(260.00mg、662.30umol、95.50%収率)を得た。
【0205】
得られた白色固体(260.00mg)をEtOH(15.00mL)に15℃で溶解した後、15℃で、HCl(153.00mg、4.20mmol、150.00uL、6.34eq)を添加した。反応混合物を80℃に加熱し、80℃で30分間撹拌した。TLCは、出発物質がいずれも消耗され、2個の新たな点が形成されたことを示した。反応物を真空で濃縮し、それをカラムクロマトグラフィ(SiO
2、PE:EA=4:1から2:1まで)で精製し、化合物18(176mg)を白色固体として得た。
1H NMR、(400MHz,CDCl3):δ=4.14(q,J=7.1Hz,2H)、3.66−3.54(m,1H)、3.41(dd,J=4.7,11.0Hz,1H)、2.44−2.33(m,1H)、2.31−2.18(m,1H)、1.99−1.89(m,1H)、1.88−1.79(m,2H)、1.76−1.67(m,4H)、1.64−1.59(m,2H)、1.54−1.42(m,4H)、1.33−1.30(m,3H)、1.30−1.27(m,5H)、1.26−1.16(m,3H)、1.15−1.09(m,1H)、1.03(d,J=6.8Hz、3H)、0.98−0.86(m,2H)、0.83(s,3H)、0.74(s,3H)
Mass(m/z):443.3(M
+ +23)
【0206】
段階7
[この文献は図面を表示できません]
【0207】
化合物18(50mg、118.87umol、1.0eq)を1、5℃でアセトン(2.50mL)に溶解した後、黄色が持続されるまで、ジョーンズ試薬(150.00uL)を溶液に滴加した。混合物を15℃で15分間さらに撹拌した。TLCは、所望生成物が形成されたことを示した。i−PrOH(10ml)を滴加し、10分間撹拌し、残っているジョーンズ試薬を除去した。続けて、H
2O(10mL)を反応混合物に添加し、それをEA(50mL*2)で抽出した。合わされた有機相を塩水(15mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。残余物をカラムクロマトグラフィ(PE:EA=50/1から10/1まで)で精製し、化合物19(30.00mg、72.01umol、60.58%収率)を白色固体として得た。
1H NMR、(400MHz,DMSO):δ=4.05(q,J=7.2Hz,2H)、2.55(t,J=12.7Hz,1H)、2.36−2.23(m,3H)、2.22−2.10(m,3H)、2.10−2.03(m,1H)、2.00−1.85(m,2H)、1.85−1.63(m,5H)、1.50−1.42(m,1H)、1.38−1.25(m,7H)、1.21−1.16(m,4H)、1.15−1.09(m,1H)、1.03(s,3H)、0.99(s,3H)、0.92−0.84(m,1H)、0.79(d,J=6.5Hz、3H)
Mass(m/z):417.3(M
+ +1)
【0208】
段階8
[この文献は図面を表示できません]
【0209】
1,000mlフラスコに化合物19(20.00g、48.01mmol、1.00eq)及びAcOH(300.00mL)を添加した。反応物を0℃に冷却した後、すぐに製造されたAcOH(60.00mL)において、Br2(7.67g、48.01mmol、2.47mL、1.00eq)を反応物に滴加した。添加後、反応物を20℃に加温し、20℃で0.5時間撹拌した。続けて、反応物をEA(200ml)で希釈し、水(200ml)及び飽和NaHCO
3(3*200ml)で洗浄した。有機層を真空で濃縮し、20gの粗オイル(crude oil)残余物を得た。
【0210】
オイル残余物(20.00g)を1,000mlフラスコに添加し、DMF(500.00mL)をフラスコに添加し、溶液を製造した後、Li
2CO
3(12.61g、170.72mmol、4.23eq)及びLiBr(6.20g、71.44mmol、1.79mL、1.77eq)を反応混合物に添加した。続けて、反応物を150℃に加熱し、それを150℃で2時間撹拌した。TLC(PE/EA=2/1)が反応が終了したことを示した後、反応物を真空で濃縮し、EA(500ml)で希釈し、水(500ml)で洗浄し、有機層を真空で濃縮し、オイル残余物を得た。前記残余物をカラムクロマトグラフィで精製し、化合物20(5.4g、32%収率)を得た。
1H NMR、(400MHz,MeOD):δ=5.69(s,1H)、4.06(q,J=7.1Hz,2H)、2.58(t,1H)、2.43−2.09(m,7H)、1.99−1.61(m,8H)、1.35−1.24(m,6H)、1.20(s,3H)、1.09(t,J=8.0Hz、3H)、1.02(s,3H)、1.06−0.93(m,1H)、0.80(d,
J=6.4Hz3H)
Mass(m/z):415.1(M
+ +)
【0211】
段階9
[この文献は図面を表示できません]
【0212】
100mlフラスコに、化合物20(1.00g、2.41mmol、1.00eq)、AcOH(10.00mL)及びトルエン(1.00mL)を添加した。2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン(889.62mg、3.62mmol、1.50eq)を、室温で反応混合物に添加した。反応物を120℃に加熱し、それを120℃で2時間撹拌した。LCMSが反応が終了したことを示した後、それをEA(100ml)で希釈し、水(100ml)及び飽和NaHCO
3(2*100ml)で洗浄した。有機層を真空で濃縮し、黄色オイル残余物を得た。前記残余物をカラムクロマトグラフィで精製し、化合物21(650mg、89%純度、58%収率)を白色固体として得た。
1H NMR、(400MHz,CDCl
3):δ=6.20−6.12(m,2H)、5.74(s,1H)、5.41(s,1H)、4.16(q,J=7.1,2H)、2.73−1.32(m,19H)、1.28(t,J=7.1,3H)、1.22(s,3H)、1.15(s,3H)、0.90(d,J=6.3、3H)
Mass(m/z):413.1(M
+ +1)
【0213】
段階10
[この文献は図面を表示できません]
【0214】
100mlフラスコに、化合物21(2.50g、6.06mmol、1.00eq)及びDCM(60.00mL)を添加した。反応物を0℃に冷却させ、m−CPBA(2.09g、8.48mmol、70%純度、1.40eq)を、0℃でフラスコに添加し、それを0℃で48時間撹拌した。TLC(PE/EA=2/1)が反応が終了したことを示した後、それをDCM(100ml)で希釈し、飽和Na
2SO
3(2*60ml)で洗浄した後、有機層を真空で濃縮した。残余物をカラムクロマトグラフィ(TEAで塩基化)で精製し、化合物22(1.0g、38%収率)を白色固体として得た。
1H NMR、(400MHz,CDCl
3):δ=6.08(s,1H)、4.06(q,J=7.09,2H)、3.43(d,J=3.67,1H)、3.36(d,J=3.55,1H)、2.53−1.25(m,19H)、1.19(t,J=7.15、3H)、1.11(s,3H)、1.03(s,3H)、0.81(d,
J=7.15、3H)
Mass(m/z):429.2(M
+ +1)
【0215】
段階11
[この文献は図面を表示できません]
【0216】
圧力チューブに、化合物22(110.00mg、256.67umol、1.00eq)、Py(6.00mL)及びPd/C(50.00mg、256.67umol、1.00eq)を添加した。反応物を、H
2ガス(50psi)でパージし、20℃で16時間撹拌した。LCMSは、反応が終了したことを示した。反応物を濾過し、濾液を真空で濃縮し、化合物23(100mg、粗物質)を黄色オイルとして得た。
Mass(m/z):433.3(M
+ +1)
【0217】
段階12
[この文献は図面を表示できません]
【0218】
35mlフラスコに、化合物23(100mg、粗物質)及びTHF(10ml)を添加した。フラスコに、LiAlH(t−OBu)
3(117.09mg、462.33umol、130.10uL、2.00eq)を20℃で添加し、それを20℃で5時間撹拌した。TLC(PE/EA=1/3)が反応が終了したことを示した後、飽和NH
4Cl(20ml)で反応を終結させ、EA(100ml)で希釈し、水(50ml)で洗浄した。有機層を真空で濃縮し、化合物24(100mg、粗物質)を無色オイルとして得た。
Mass(m/z):459.3(M
+ +23)
【0219】
段階13
[この文献は図面を表示できません]
【0220】
35mlチューブに、化合物24(100mg、粗物質)及びEtOH(2ml)を添加した後、30℃で、反応物にNaOH(36.64mg、916.12umol、4.00eq)を添加した。生成された混合物を30℃で1時間撹拌した。TLC(AcOH/EA=1/50)後、所望生成物を確認した後、反応物を真空で濃縮し、溶媒を除去し、残余物を水(5ml)で希釈し、濃縮されたHClで、pH3まで酸性化した後、EA(3*20ml)で抽出した。有機層を真空で濃縮し、生成された残余物をpre−TLC(AcOH/EA=1/50)で精製し、CA(15mg)を白色固体として得た。
1H NMR、(400MHz,CDCl
3):δ=11.94(brs,1H)、4.33(d,J=4.27,1H)、4.13(d,J=3.51,1H)、4.02(d,J=3.39,1H)、3.79(brd,J=2.76,1H)、3.62(brs,1H)、3.22−3.16(m,1H)、2.27−2.02(m,5H)、1.78−1.44(m,6H)、1.47−1.13(m,11H)、1.01−0.96(m,1H)、0.93(d,J=6.4、3H)、0.88−0.84(m,1H)、0.81(s,3H)、0.59(s,3H)
Mass(m/z):817.6(2M
+ +1)
【0221】
実施例3
Ac−DHEAからのコール酸合成
[この文献は図面を表示できません]
【0222】
段階1
[この文献は図面を表示できません]
【0223】
フラスコに、Ac−DHEA(50g、151.30mmol、1.0eq)及びトルエン(1L)を添加し、2−ピリジルメタンアミン(37.49g、346.72mmol、35.37ml、5.0eq)を15℃で反応物に添加し、続けて15℃で、PTSA(781.64mg、4.54mmol、0.03eq)を添加した。反応物を、ディーン・スターク装置で2時間110℃に加熱した。反応物を15℃に冷却させ、EA(1L)を反応物に添加した。生成された混合物を、飽和NaHCO
3(2*100ml)及び水(2*100ml)で洗浄した。有機層を真空で濃縮した。残余物をEA(65ml)によって再結晶化させ、化合物25(54.0g、84.86%収率)を淡黄色固体として得た。
【0224】
段階2
[この文献は図面を表示できません]
【0225】
100mlフラスコに、25℃で、化合物25(10g、23.78mmol、1.00eq)、アスコルビン酸ナトリウム(9.42g、47.55mmol、2.00eq)及びCu(OTf)
2(19.78g、54.69mmol、2.30eq)を添加した。アセトン(90mL)及びMeOH(90mL)をフラスコに添加し、溶液を製造した。25℃で5分間撹拌した後、O
2(15psi)を反応混合物全般に5分間バブリングさせた。続けて、反応物を50℃に加熱し、それを、50℃で1.5時間撹拌した。TLC(PE/EA=2/1)は、ほとんどの出発物質が消耗され、新たな主要点が検出されたことを示した。反応物を25℃に冷却させた。EA(100ml)及び飽和EDTA−Na
4(100ml)を反応物に添加し、1時間撹拌した。生成された混合物を真空で濃縮し、有機溶媒を除去した。水性層をEA(3*150ml)で抽出した。合わされた有機層を真空で濃縮した。残余物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(PE/EA=20/1から2/1まで)で精製し、化合物26(6.2g、71.5%収率)を白色固体として得た。
1H NMR、(400MHz,CDCl
3):δ=5.43(d,J=5.2,1H)、4.66−4.59(m,1H)、3.87−3.79(m,1H)、3.08(s,1H)、2.50(dd,J=8.8、19.5Hz,1H)、2.46−2.37(m,2H)、2.15−2.05(m,2H)、2.05(s,3H)、2.03−2.01(m,1H)、1.91−1.85(m,3H)、1.71−1.60(m,3H)、1.52−1.30(m,1H)、1.29−1.13(m,3H)、1.08(s,3H)、0.98(s,3H)
【0226】
段階3
[この文献は図面を表示できません]
【0227】
250mlチューブに、EtPPh
3Br(26.63g、71.74mmol、5.00eq)を20℃で添加し、それを、N
2ガスでパージした。t−BuOK(8.05g、71.74mmol、5.00eq)及びTHF(100mL)を、20℃でフラスコに添加した。混合物を70℃に加熱し、それを、70℃で0.5時間撹拌した。化合物26(5g、14.35mmol、1.00eq)を70℃で反応物に添加し、2時間70℃でさらに撹拌した。TLC(PE/EA=2/1)は、全ての出発物質が消耗され、新たな点が形成されたことを示した。反応物をEA(250ml)で希釈し、水(100ml)で反応終結させ、分離した。水性層をEA(2*50ml)で抽出した。合わされた有機層を真空で濃縮し、9gの粗生成物を黄色オイルとして得た。
【0228】
250mlフラスコに、以前に得られた黄色オイル(9g、粗物質)を添加した。フラスコにDCM(75mL)を添加し、溶液を製造した。Ac
2O(2.80g、27.46mmol、2.57mL、2eq)を20℃でフラスコに添加した。DMAP(167.74mg、1.37mmol、0.1eq)及びEt
3N(5.56g、54.92mmol、7.64mL、4eq)を、20℃でフラスコに添加した。反応物を、20℃で16時間撹拌した。TLC(PE/EA=5/1)は、全ての出発物質が消耗され、新たな点が形成されたことを示した。反応物をDCM(100ml)で希釈し、水(50ml)で洗浄し、分離した。有機層を真空で濃縮した。残余物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(PE/EA=20/1から10/1まで)で精製し、化合物15(3.7g、66.9%収率)を修得し、それは、実施例2に記載された順序によってコール酸にも転換される。
【0229】
実施例4
デオキシコール酸の合成
[この文献は図面を表示できません]
【0230】
35mlフラスコに、化合物19及びTHF(10ml)を添加する。LiAlH(t−OBu)3(2.00eq)をフラスコに20℃で添加し、それを20℃で5時間撹拌する。TLC(PE/EA=1/3)が反応が終了したことを示した後、飽和NH
4Cl(20ml)で反応を終結させ、EA(100ml)で希釈し、水(50ml)で洗浄する。続けて、有機層を真空で濃縮し、化合物27を得る。
【0231】
35mlフラスコに、化合物27及びEtOH(2ml)を添加した後、30℃で反応物にNaOH(4.00eq)を添加する。生成された混合物を30℃で1時間撹拌する。TLC(AcOH/EA=1/50)が所望生成物を示した後、反応物を真空で濃縮し、溶媒を除去し、残余物を水(5ml)で希釈し、濃縮されたHClでpHを3に調節した後、EA(3*20ml)で抽出する。有機層を真空で濃縮し、生成された残余物をpre−TLC(AcOH/EA=1/50)で精製し、デオキシコール酸を得る。
【0232】
実施例5
ケノデオキシコール酸の合成
[この文献は図面を表示できません]
【0233】
段階1
[この文献は図面を表示できません]
【0234】
実施例1に記載された方法により、DHEAから得られる化合物4を、まず化合物28に転換させる。
【0235】
具体的には、フラスコ内のEtPPh
3Br(5.00eq)を、70℃で1時間、高真空下で乾燥させる。乾燥THF(3.00mL)を添加した後、N
2下で、t−BuOK(5.00eq)を添加する。全体混合物を、70℃で0.5時間、N
2下で続けて撹拌する。乾燥THF(2.00mL)において、化合物4(1.00eq)溶液を、70℃で反応物に添加し、反応物を70℃で2時間さらに撹拌する。TLCは、出発物質がいずれも消耗され、1つの新たな点が形成されることを示す。室温に冷却した後、溶液をEA(40mL)で希釈し、飽和NaCl溶液(10mL)で反応終結させる。水溶液をEA(20mL)で抽出し、Na
2SO
4相で乾燥させ、真空で濃縮し、中間生成物を得る。中間生成物(1.00eq)を、25℃でDCM(5.00mL)に溶解した後、25℃で、Ac
2O(4.2eq)、Et
3N(6.00eq)及びDMAP(0.20eq)を添加する。反応物を25℃で7時間撹拌する。反応物をEA(50ml)で希釈し、H
2O(10mL)で洗浄し、Na
2SO
4相で乾燥させ、濾過し、有機層を真空で濃縮する。残余物をカラムクロマトグラフィで精製し、化合物28を得る。
【0236】
段階2
[この文献は図面を表示できません]
【0237】
50mlフラスコに、化合物28(1.00eq)及びDCM(5.00mL)を添加する。反応物を0℃に冷却させ、パラホルムアルデヒド(5.00eq)を0℃で反応物に添加した後、0℃で、反応物に、BF
3・Et
2O(0.10eq)を添加する。反応物を15℃に加温し、15℃で2時間撹拌する。反応物をDCM(50ml)で希釈し、水(30ml)で反応終結させる。有機層を真空で濃縮する。残余物を精製し、中間生成物を得る。10mlチューブに、(COCl)
2(2.40eq)及びDCM(6.00mL)を添加する。混合物を−78℃に冷却させる。DMSO(4.00eq)を、−78℃で反応混合物に滴加する。添加後、反応物を−78℃で0.5時間撹拌する。続けて、中間体生成物を−78℃で反応物に添加する。それを、−78℃で0.5時間撹拌する。TEA(10.00eq)を−78℃で滴加する。添加後、反応物を15℃に加温し、15℃で0.5時間撹拌する。反応物をDCM(50ml)で希釈し、水(30ml)で反応終結させる。分離された有機層を真空で濃縮する。残余物を精製して化合物29を得る。
【0238】
段階3
[この文献は図面を表示できません]
【0239】
10mlチューブに、NaH(4.00eq)及びTHF(2.00mL)を添加した後、15℃で、フラスコにエチル2−ジエトキシホスホリルアセテート(5.00eq)を添加する。生成された混合物を、15℃で10分間撹拌する。フラスコに、化合物29(1.00eq)を15℃で添加し、15℃で0.5時間撹拌する。続けて、反応物を水(5ml)で反応終結させ、DCM(2*30ml)で抽出する。有機層を真空で濃縮する。残余物を精製して化合物30を得る。
【0240】
段階4
[この文献は図面を表示できません]
【0241】
35ml圧力チューブに、25℃で、化合物30(1.00eq)、EtOH(4.00mL)及びPd/C(Pd基準0.1eq)を添加する。混合物をH
2ガス(50psi)でパージし、25℃で4時間撹拌する。生成された混合物を濾過し、濾液を真空で濃縮し、化合物31を得る。
【0242】
段階5
[この文献は図面を表示できません]
【0243】
MeOH(4.00mL)において、化合物31(1.00eq)溶液に、25℃でNaOH(12.00eq)を添加する。その後、反応物を60℃に加熱し、60℃で2時間撹拌する。その後、反応物を室温に冷却する。それを真空で濃縮した後、生成された残余物を水(5ml)に溶解させ、HClでpHを3に調節する。生成された水性層をEA(3*15ml)で抽出する。有機層を真空で濃縮し、ケノデオキシコール酸を得る。
【0244】
実施例6
合成コール酸の特性
実施例1または2で生成された最終コール酸において、いくつかの工程不純物(例えば、
図2の不純物1−4参照)は、分取HPLC(例えば、Shimadzu LC−20AP prep HPLCシステム)に、溶離液として、H
2O(0.1% TFA)及びアセトニトリル、カラムは、Luna C18 300*50mm、10um、モニターとしてELSDを使用し、分離され、下記のように、化合物32,33,34及び35と確認された。当業者は、最適の分離を得るために、流量及び勾配(gradients)を調節する方法を知ることができるであろう。分離された生成物の純度は、分析用HPLC、例えば、溶離液として、H
2O(0.1% TFA)及びアセトニトリル、及びカラムとして、Luna C18 100*30mm、5umを使用しても分析される。
【0245】
下記の
1H−NMRスペクトルは、Bruker AV 400(400MHz)を使用して得られ、
13C NMRスペクトルは、Bruker AV 400(100MHz)を使用して得られた。NMRスペクトルを示すにおいて、次の規則が使用される:s=単一項(singlet)、d=二重項(doublet)、t=三重項(triplet)、m=多重項(multiplet)、br s=広い単一項、ov=重複(overlapped)、a及びbは、プロキラルメチレンにおいて、2つの互いに異なる陽性子を示す。
【0246】
化合物32は、下記構造を有する工程不純物である:
[この文献は図面を表示できません]
【0247】
化合物32は、例えば、実施例1の段階8(部分a)で形成された生成物の水素化及び脱保護によっても誘導される。質量スペクトル分析は、733.5においてピークを示す(陽性スキャン、2M+1)。陽性子及び炭素の化学的移動(ppm)分布は、表2Aに表示されている。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0248】
化合物32の
1H−NMRスペクトルは、ステロイド中の1つのコレステリル酸(cholesteric acid)誘導体の構造特性を示す。全ての陽性子は、スペクトルの脂肪族領域で共鳴し、3個のメチル信号は、高磁場(high field)でも観察される:0.59ppm(3H,s,H−18)、0.81ppm(3H,s,H−19)及び0.98ppm(3H,d,J=6.48Hz,H−21)。脂肪族領域の低磁場(lower field)においては、酸素原子に隣接した3個のメチンが発見される:3.79ppm(1H,m,H−12)、3.60ppm(1H,br.s,H−7)及び3.18ppm(1H,m,H−3)。一方、ステロイド骨格のC17側鎖の官能基の酸素原子に隣接した1つのメチレンは、低磁場領域である3.01ppm(1H,m)及び3.40ppm(1H,m)において共鳴する。
【0249】
COZYスペクトルにおいて、3.01ppm及び3.40ppmのメチレンは、1.33ppm(H−20)のメチン、及び4.22ppm(1H,t,J=5.26Hz)の活性陽性子と関連性がある。また、1.33ppmのメチンは、0.98ppmのメチル(H−21)、及び1.78ppmのメチン(H−17)とも関連性がある。そのような信号は、C17側鎖が、「1−ヒドロキシプロパン−2−イル」であることを証明する。HMBCスペクトルにおいてH−19は、C−1、C−10、C−5及びC−9と関連性があり、H−18は、C−12、C−13、C−14及びC−17と関連性があり、H−21は、C−20、C−22及びC−17と関連性がある。そのような相関信号は、多くの官能基の正確な結合を裏付ける。NOESYスペクトルにおいて、0.81ppm(H−19)のメチルが、1.23ppm(H−5)のメチンと関連性があるために、A/B環の相対配列は、「シス」であり、メチルH−19が1.32ppm(H−8)のメチンと関連性があり、2.14ppm(H−9)のメチンとは関連性がないので、B/C環の相対配列は、「トランス」であり、0.59ppm(H−18)のメチルが1.95ppm(H−14)のメチンと関連性がなく、H−8と関連性があるために、C/D環の相対配列は、「トランス」であり、0.59ppmのメチルは、1.33ppm(H−20)のメチンと関連性があり、1.78ppm(H−17)のメチンと関連性がないために、C−17の相対配列は、「β」であり、3.18ppm(H−3)のメチン、及びH−5;3.60ppm(H−7)のメチン、及びH−8/H−6(1.36ppm及び1.78ppm);3.79ppmのメチン、及びH−19の相関信号は、3α(OH)、7α(OH)及び12α(OH)の結論を裏付けることができる。しかし、キラル中心が環外部にあるために、NMR研究を基に、C−20の配列を保証することができない。結論として、化合物32の配列が、3α、5β、7α、8β、9α、10β、12α、13β、14α、17β、20(RまたはS)であることを決定することができる。
【0250】
化合物33は、下記構造を有する工程不純物である:
[この文献は図面を表示できません]
【0251】
化合物33は、コール酸のC20位置に係わる部分立体異性体であり、それは、例えば、コール酸までの合成を介して遂行された実施例1の段階8(または、エピメリ化)において形成されたマイナー異性体(minor isomer)にも由来する。質量スペクトル分析は、817.6でピークを示す(陽性スキャン、2M+1)。陽性子と炭素との化学的移動(ppm)分布は、表2Bに表示されている。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0252】
化合物33の
1H−NMRスペクトルは、ステロイド中の1つのコレステリル酸誘導体の構造特性を示す。全ての陽性子は、スペクトルの脂肪族領域で共鳴し、3個のメチル信号が高磁場でも観察される:0.59ppm(3H,s,H−18)、0.80ppm(3H,s,H−19)及び0.78ppm(3H,d,J=5.50Hz,H−21)。脂肪族領域の低磁場においては、酸素原子に隣接した3個のメチンが発見される:3.80ppm(1H,br.s,H−12)、3.61ppm(1H,br.s,H−7)及び3.18ppm(1H,tt,J1=10.3Hz,J2=4.0Hz,H−3)。
【0253】
COZYスペクトルにおいて、0.78ppm(H−21)のメチルは、1.34ppm(H−20)のメチンと関連性があり、H−20は、1.79ppm(H−17)のメチンと関連性がある。HMBCスペクトルによれば、H−21は、46.3ppm(C−17)及び39.3ppm(C−22)の炭素と関連性がある。2個のメチレンH22,H23は、175.2ppm(C−24)のカルボニルと関連性がある。そのような信号は、C17側鎖が、「1−n−吉草酸−4−イル」であることを証明する。
【0254】
HMBCスペクトルにおいて、H−19は、C−1、C−5、C−9及びC−10と関連性があり、H−18は、C−12、C−13、C−14及びC−17と関連性がある。そのような相関信号は、多くの官能基の正確な結合を裏付ける。
【0255】
NOESYスペクトルにおいて、0.80ppm(H−19)のメチルが、1.23ppm(H−5)のメチンと関連性があるために、A/B環の相対配列は、「シス」であり、メチルH−19が、1.33ppm(H−8)のメチンと関連性があり、2.14ppm(H−9)のメチンとは関連性がないために、B/C環の相対配列は、「トランス」であり、0.59ppm(H−18)のメチルは、1.99ppm(H−14)のメチンと関連性がなく、H−8と関連性があるので、C/D環の相対配列は、「トランス」であり、0.59ppmのメチルは、1.34ppm(H−20)のメチンと関連性があり、1.78ppm(H−17)のメチンと関連性がないために、C−17の相対配列は、「β」であり、3.18ppm(H−3)のメチン、及びH−5;3.61ppm(H−7)のメチン、及びH−8、H−6(1.36ppm及び1.79ppm);3.80ppmのメチン、及びH−18は、3α(OH)、7α(OH)及び12α(OH)の結論を裏付けることができる。しかし、キラル中心が環外部にあるので、NMRを基に、C−20の配列を保証することができない。結論として、前記配列が、3α、5β、7α、8β、9α、10β、12β、13β、14α、17β、20(RまたはS)であることを決定することができる。化合物33が、コール酸と、3,5,7,8,9,10,12,13,14及び17位置で同一立体化学を有し、コール酸は、C20で「R」配列を有するので、化合物33のC20立体化学は、「S」と決められる。
【0256】
化合物34は、下記構造を有する工程不純物である:
[この文献は図面を表示できません]
【0257】
化合物34は、コール酸のC17位置に係わる部分立体異性体であり、それは、例えば、コール酸までの合成を介して遂行された実施例1の段階10で形成されたマイナー異性体にも由来する。質量スペクトル分析は、407.3でピークを示す(陰性スキャン、M−1)。陽性子と炭素との化学的移動(ppm)分布は、表2Cに表示されている。
[この文献は図面を表示できません]
【0258】
化合物34の
1H−NMRスペクトルは、ステロイド中の1つのコレステリル酸誘導体の構造特性を示す。全ての陽性子は、スペクトルの脂肪族領域で共鳴し、高磁場において、3個のメチル信号が高磁場でも観察される:0.77ppm(3H,s,H−18)、0.88ppm(3H,s,H−19)及び0.80ppm(3H,d,J=6.48Hz,H−21)。脂肪族領域の低磁場においては、酸素原子に隣接した3個のメチンが発見される:4.27ppm(1H,br.s,H−12)、3.94ppm(1H,br.s,H−7)及び3.47ppm(1H,m,H−3)。
【0259】
COZYスペクトルにおいて、0.80ppm(H−21)のメチルは、1.90ppm(H−20)のメチンと関連性があり、H−20は、1.40ppm(H−17)のメチンと関連性がある。HMBCスペクトルによれば、H−21は、55.9ppm(C−17)及び31.9ppm(C−22)の炭素と関連性がある。2個のメチレンH22,H23は、178.5ppm(C−24)のカルボニルと関連性がある。そのような信号は、C17側鎖が「1−n−吉草酸−4−イル」であることを証明する。
【0260】
HMBCスペクトルにおいて、H−18は、C−1、C−10、C−5及びC−9と関連性があり、H−19は、C−12、C−13、C−14及びC−17と関連性があり、H−21は、C−20、C−22及びC−17と関連性がある。そのような相関信号は、多くの官能基の正確な結合を裏付ける。
【0261】
NOESYスペクトルにおいて、0.88ppm(H−19)のメチルが、1.39ppm(H−5)のメチンと関連性があるために、A/B環の相対配列は、「シス」であり、メチルH−19が1.62ppm(H−8)のメチンと関連性があり、2.27ppm(H−9)のメチンとは関連性がないために、B/C環の相対配列は、「トランス」であり、0.78ppm(H−18)のメチルが2.00ppm(H−14)のメチンとは関連性がなく、H−8と関連性があるために、C/D環の相対配列は、「トランス」であり、0.78ppmのメチルが1.39ppm(H−17)のメチンと関連性があり、1.90ppm(H−20)のメチンとは関連性がないために、C−17の相対配列は、「α」であり、H−3及びH−5;H−7及びH−8;H−6(1.57ppm及び1.92ppm)、H−12及びH−18の間の相関信号は、3α(OH)、7α(OH)及び12α(OH)の結論を裏付けることができる。
【0262】
しかし、キラル中心が環外部にあるために、NMR研究を基に、C−20の配列を保証することができない。結論として、前記配列が、3α、5β、7α、8β、9α、10β、12α、13β、14α、17α、20(RまたはS)であることを決定することができる。それにもかかわらず、化合物34は、化合物35の部分立体異性体であり(以下を参照)、C20立体化学だけが唯一の違いであり、化合物35のX線結晶構造は、それがC20S配列を有することを示すので、化合物34のC20での立体化学は、R配列と決められる。
【0263】
化合物35は、下記構造を有する工程不純物である:
[この文献は図面を表示できません]
【0264】
化合物35は、化合物34のC20位置に係わる部分立体異性体であり、それは、例えば、コール酸までの合成を介して遂行された実施例1の段階8−10で形成されたマイナー異性体にも由来する。質量スペクトル分析は、407.2でピークを示す(陰性スキャン、M−1)。陽性子と炭素との化学的移動(ppm)分布は、表2Dに表示されている。
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0265】
化合物35の
1H−NMRスペクトルは、ステロイド中の1つのコレステリル酸誘導体の構造特性を示す。全ての陽性子は、スペクトルの脂肪族領域で共鳴し、高磁場において、3個のメチル信号が観察される:0.75ppm(3H,s,H−18)、0.89ppm(3H,s,H−19)及び0.91ppm(3H,d,J=6.48Hz,H−21)。脂肪族領域の低磁場においては、酸素原子に隣接した3個のメチンが発見される:4.06ppm(1H,br.s,H−12)、3.94ppm(1H,br.s,H−7)及び3.48ppm(1H,m,H−3)。
【0266】
COZYスペクトルにおいて、0.91ppm(H−21)のメチルは、1.99ppm(H−20)のメチンと関連性があり、H−20は、1.57ppm(H−17)のメチンと関連性がある。HMBCスペクトルによれば、H−21は、55.7ppm(C−17)及び29.5ppm(C−22)の炭素と関連性がある。2個のメチレンH22,H23は、178.5ppm(C−24)のカルボニルと関連性がある。そのような信号は、C17側鎖が「1−n−吉草酸−4−イル」であることを証明する。
【0267】
HMBCスペクトルにおいて、H−18は、C−1、C−10、C−5及びC−9と関連性があり、H−19は、C−12、C−13、C−14及びC−17と関連性があり、H−21は、C−20、C−22及びC−17と関連性がある。そのような相関信号は、多くの官能基の正確な結合を裏付ける。
【0268】
NOESYスペクトルにおいて、0.89ppm(H−19)のメチルが1.41ppm(H−5)のメチンと関連性があるために、A/B環の相対配列は、「シス」であり、メチルH−19が1.61ppm(H−8)のメチンと関連性があり、2.25ppm(H−9)のメチンとは関連性がないために、B/C環の相対配列は、「トランス」であり、0.75ppm(H−18)のメチルは、2.01ppm(H−14)のメチンとは関連性がなく、H−8と関連性があるので、C/D環の相対配列は、「トランス」であり、0.75ppmのメチルが1.57ppm(H−17)のメチンと関連性があり、1.99ppm(H−20)のメチンとは関連性がないために、C−17の相対配列は、「α」であり、H−3及びH−5;H−7及びH−8;H−6(1.57ppm及び1.92ppm)、びH−12及びH−18の間の相関信号は、3α(OH)、7α(OH)及び12α(OH)の結論を裏付けることができる。
【0269】
しかし、キラル中心が環外部にあるために、NMR研究を基に、C−20の配列を保証することができない。結論として、化合物35の配列が3α、5β、7α、8β、9α、10β、12α、13β、14α、17α、20(RまたはS)であることを決定することができる。
【0270】
それにもかかわらず、化合物35結晶のX線構造を得て、それは、化合物35のC20位置において、立体化学がS配列であるという結論を下す(
図1参照)。
【0271】
X線構造分析:化合物35試料をアセトンに溶解させ、半分密封されたバイアルに保管した。溶媒は、室温で徐々に蒸発させる。二日目に、適切な大きさの結晶が得られた。透明度を顕微鏡で確認した後、グラフィック・モノクロメーティッド(graphic-monochromated)Mo Kα放射線(λ=0.71073Å)を使用したRigaku Saturn回折計(diffractometer)を使用し、結晶をX線試験に送った。下記パラメータが使用された:放射線モノクロメータ(radiation monochromator):人工多重膜フォーカシングミラー;単一チューブ径:ф=0.50mm;結晶からCCD検出器までの距離:d=45mm;チューブ圧力:50kV;チューブフロー:16mA.2.303°ないし31.246゜のシータ範囲において、総27,071個の反射が収集された。制限指数:12≦h≦12、−12≦k≦12、−42≦l≦43;それは、7,098個の固有反射(unique reflections)を生成した(R
int=0.0650)。構造は、直接方法を使用して解かれ、F2値において、全体行列最小二乗で精製された。非水素原子は、異方性に(anisotropically)精製された。水素原子を、計算された位置に固定させ、ライジングモード(riding mode)を使用して精製した。精製されたパラメータの総数は、7,098データと比較し、310個であった。全ての反射は、精製に含まれた。F2に係わる適合度は、1.031であり、[I>2σ(I)]の最終R値は、R=0.0668及びR
w=0.1664であった。最大差のピークと谷(hole)は、それぞれ0.391及び−0.413e.A−3であった。
【0272】
結晶は、0.20×0.18×0.12mm
3サイズを有する無色プリズムであった。結晶構造の対称は、次のパラメータを有する斜方晶系空間グループP2(1)2(1)2(1)と定められた:a=8.4747(4)Å、b=9.2565(4)Å、c=29.9531(11)Å、α=β=γ=90゜、V=2349.7(17)Å
3、Z=4、Dc=1.240Mg/m
3、F(000)=968、μ(Mo Kα)=0.088mm
−1そしてT=113(2)K(下記表3参照)。
【0274】
属(genus)と記載された本発明の様相と係わり、全ての個別種(species)は、個別的に本発明の分離された様相と見なされる。本発明の様態が特徴を「含む」と説明されれば、具現例においても、その特徴によって「構成される」または「必須に構成される」と考慮される。
【0275】
特定具現例の前述の説明は、他者の過度な実験なしに、本発明の一般的な概念を外れずに、当業界の技術内の知識を適用することにより、そのような特定具現例に、多様な応用を容易に修正し、かつ/または修正したり適用したりすることができるような、本発明の一般的な特性を十分に示すであろう。従って、前述の適用及び修正は、ここに提示された教示及び指針に基づいて、開示された具現例の等価物の意味内及び範囲内にあると意図される。本明細書の文言または用語は、制限目的ではなく、説明目的のためのものであるので、本明細書の用語または文言は、教示及び指針に照らし、当業者によって解釈されるものである。
【0276】
本開示の幅及び範囲は、前述の例示的な具現例のうちいずれによっても制限されるものではなく、特許特許の請求、及びその等価物によってのみ定義されるものである。
【0277】
本明細書に記述された多様な様相、具現例及びオプションは、いずれも任意及び全ての変形にも結合される。
【0278】
本明細書で言及された全ての刊行物、特許及び特許出願は、それぞれの個別刊行物、特許または特許出願が具体的であって個別的に、参照として含まれたものであると表示されるところと同一程度に本明細書に参照として含まれる。