特許第6937963号(P6937963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937963
(24)【登録日】2021年9月2日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】非常用防毒キット
(51)【国際特許分類】
   A62B 18/02 20060101AFI20210909BHJP
【FI】
   A62B18/02 A
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2021-512343(P2021-512343)
(86)(22)【出願日】2019年4月16日
(65)【公表番号】特表2021-520287(P2021-520287A)
(43)【公表日】2021年8月19日
(86)【国際出願番号】KR2019004562
(87)【国際公開番号】WO2019212168
(87)【国際公開日】20191107
【審査請求日】2020年10月29日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0049788
(32)【優先日】2018年4月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520424065
【氏名又は名称】ピノストーリー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PINOSTORY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】イ,ミョン ウォン
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2017−0105907(KR,A)
【文献】 特開昭62−106778(JP,A)
【文献】 特表平5−506388(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0042760(KR,A)
【文献】 特開2001−178836(JP,A)
【文献】 特開平10−305107(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第106983969(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部(10)の一方の側には、ユーザーの呼吸器の部位が密着されうる呼吸器密着部(11)が形成され;
前記本体部(10)内には、活性炭層(20)、不織布層(30)、及び水が収容されるウォーターチューブ(40)がそれぞれ備えられ;
前記本体部(10)内には、外部の加圧作用によってウォーターチューブ(40)内の水が漏れ出して不織布層(30)に吸収されるようにするピンまたは刃の形状の切開部材(50)が構成され;
前記本体部(10)の上面と下面には、空気の流通のための空気流通孔(10a)が形成されたことを特徴とする、非常用防毒キット。
【請求項2】
本体部(10)の一方の側には、ユーザーの呼吸器の部位が密着されうる呼吸器密着部(11)が形成され;
前記本体部(10)内には、活性炭層(20)、不織布層(30)、及び水が収容されるウォーターチューブ(40)がそれぞれ備えられ;
前記本体部(10)の一方の側には、ウォーターチューブ(40)に付着されたステッカー(41)における一方の側のグリップ部が露出されることにより、グリップ部を引っ張ってステッカー(41)をウォーターチューブ(40)から分離させたときにウォーターチューブ(40)内の水が漏れ出して不織布層(30)に吸収されうるようになっており;
前記本体部(10)の上面と下面には、空気の流通のための空気流通孔(10a)が形成されたことを特徴とする、非常用防毒キット。
【請求項3】
前記本体部(10)には、呼吸器密着部(11)の外部露出による異物吸着及び汚染の防止のためのカバー体(60)が着脱可能に備えられたことを特徴とする、請求項1または2に記載の非常用防毒キット。
【請求項4】
前記不織布層(30)は、有毒ガス粒子の1次捕集のための一重以上からなる第1不織布層(31)、及び、前記第1不織布層(31)よりも微細に製布された第2不織布層(32)によって構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の非常用防毒キット。
【請求項5】
前記本体部(10)の中央には中央通孔(12)が貫通して形成され、前記中央通孔(12)には、強化ガラスの破壊のために先端部に尖部(71)が形成された衝撃具(70)が挿入されて構成されており、前記衝撃具(70)は一定の曲率の形状をなす板バネ(80)によって支持され、前記衝撃具(70)の後端部には、打撃力の伝達のための可動部(72)が一体に備えられたことを特徴とする、請求項1または2に記載の非常用防毒キット。
【請求項6】
前記中央通孔(12)の先端部には、衝撃具(70)の尖部(71)による負傷の発生を防止するための保護板(90)が備えられ、前記保護板(90)を取り除くことができるように保護板(90)の一方の側には安全ピン(91)が備えられ、本体部(10)の一方の側にはガラス面への接着のための接着層(92)が構成されたことを特徴とする、請求項5に記載の非常用防毒キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常用防毒キットに関するものであり、より詳細には、火災などの非常事態が発生した際に、有毒ガスによる被害を最小限に抑えながら脱出を可能にするための非常用防毒キットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、地下鉄の駅舎や公共の建物、大型ショッピングモールなどといった多くの人々が集まる場所では、火災及び有毒ガスに対する備えが徹底的に要求される。
【0003】
つまり、緊急状況の際に避難するための通路の確保、火災を鎮火しうる消防設備、停電に備えるための非常誘導灯などが確保されねばならず、特に、有毒ガスによる窒息事故を防止するために非常用ガスマスクを備えておかねばならない。
【0004】
しかし、地下鉄の駅舎などの公共施設を除いては、大部分、ガスマスクが備えられていないのが実情であり、また、備えられているとしても、突然の火災による有毒ガスの発生時に速やかにガスマスクを探すのが困難になる。
【0005】
また、従来のガスマスクは、1秒を争う緊急状況で迅速な着用が難しいという問題点があった。
【0006】
したがって、使用が容易であるとともに、火災現場を迅速に脱け出して人命を救うことに実質的に役立つガスマスクが求められるというのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した従来技術の問題点を改善するためになされたもので、その目的は、携帯及び使用が容易であり、有毒ガスから呼吸器を実質的に保護することができる湿式構造をなす防毒キットを提供することにより、火災地域からの安全な脱出が可能となるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の防毒キットは、本体部の一方の側に、ユーザーの呼吸器の部位が密着されうる呼吸器密着部が形成され;前記本体部内には、活性炭層、不織布層、及び、水が収容されるウォーターチューブ(water tube)がいずれも備えられ;前記本体部内には、外部の加圧作用によってウォーターチューブ内の水が漏れて不織布層に吸収されるようにするピンまたは刃の形状の切開部材が構成され;前記本体部の上面と下面には、空気の流通のための空気流通孔が形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このような本発明の防毒キットは、携帯が容易であるので、火災などの非常事態が発生したときに迅速な使用が可能となるのであり、ウォーターチューブによる湿式防毒作用が行われるようになって有毒ガスの呼吸器流入を効果的に遮断することにより、人命被害の発生を最小化することができるという効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る防毒キットの外観斜視図である。
図2】本発明における防毒キットの側面構造図である。
図3】本発明における防毒キットの断面構造図である。
図4図3のA部の拡大図である。
図5】本発明の防毒キットの使用状態図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る防毒キットの断面構造図である。
図7図6のB部の拡大図である。
図8】本発明の第2実施形態における防毒キットの動作状態図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る防毒キットの断面構造図である。
図10】本発明の第3実施形態における防毒キットの動作状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の具体的な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
まず、本発明の第1実施形態に係る非常用防毒キットの構成を図1図4に基づいて考察する。
【0013】
本実施形態における防毒キットは、合成樹脂材質からなる本体部10の一方の側に、ユーザーの呼吸器の部位が密着されうる呼吸器密着部11が形成され、本体部10内には、活性炭層20、不織布層30、及び水が収容されるウォーターチューブ40が、それぞれ、順次に備えられており、前記ウォーターチューブ40の収容部には、外部の加圧作用によってウォーターチューブ40内の水が漏れ出して不織布層30に吸収されうるように、ピンまたは刃の形状の切開部材50が備えられる。
【0014】
特に、不織布層30は、有毒ガス粒子の1次捕集のための単一層または複数層(一重または多重)からなる第1不織布層31、及び、前記第1不織布層31よりも微細に製布された第2不織布層32によって構成されるということを確認することができる。
【0015】
前記呼吸器密着部11は、凹形の曲面形状、又は平面形状に形成されうる。
【0016】
一方、本体部10の上面と下面には、空気の流通のための空気流通孔10aが形成される。
【0017】
また、本体部10には、呼吸器密着部11の外部露出による異物吸着及び汚染発生の防止のためのカバー体60が、接着テープまたは嵌め合わせ方式で着脱可能に備えられる。
【0018】
次に、このような構成をなす本発明の防毒キットについての使用による作用効果について説明する。
【0019】
本発明の防毒キットは、小型サイズなので、平常時に携帯が簡便でありながら、火災などによる有毒ガス発生の際には、カバー体60を除去した後に、図5に示すようにユーザーの呼吸器部位に密着させることにより使用が行われる。
【0020】
つまり、この際には、本体部10に衝撃を加えたり押さえたりして、切開部材50によるウォーターチューブ40への穿孔が行われるようにすることにより、水が不織布層30に染み込んで吸収されるようになる。
【0021】
その後、図5に示すように、呼吸器の部位に、本体部10の呼吸器密着部11を密着させると、空気流通孔10aを通じて流入する有毒ガスが、第1不織布層31、第2不織布層32及び活性炭層20を通過する過程で浄化処理されるようになる。
【0022】
特に、第1、第2不織布層31、32には、水が吸収された状態を成すことで、湿式フィルター作用により、有毒物質浄化効率を向上させることができる。
【0023】
したがって、本発明の防毒キットは、携帯が容易であるので、火災などの非常事態が発生した際に迅速な使用が可能となるのであり、ウォーターチューブによる湿式防毒作用が行われうるようになって、有毒ガスの呼吸器流入を効果的に遮断することにより、人命被害の発生を最小限に抑えることができる。
【0024】
一方、図6図8は、本発明の第2実施形態に係る構造を示すものである。これらの図によれば、ウォーターチューブ40には水収容部の開閉のためのステッカー41が付着されて備えつけられており、前記ステッカー41は、本体部10の一方の側に、グリップ部(ハンドル部)が露出した状態を成すようにした。
【0025】
このような構造を成すと、火災などの非常事態が発生した際に、ステッカー41のグリップ部を引っ張って、ステッカー41をウォーターチューブ40から分離させたとき、ウォーターチューブ40に収容された水が漏れ出て不織布層30に吸収されうるようになる。
【0026】
したがって、切開部材50といった鋭い部品の使用がなくてもウォーターチューブ40の開閉動作が行われ得るので、使用過程で切開部材50による負傷の発生など、安全上の事故の発生を防止することができる。
【0027】
また、図9及び図10は、本発明の第3実施形態に係る構成を示すものである。本体部10の中央には中央通孔12が貫通して形成され、前記中央通孔12には強化ガラスの破壊のために先端部に尖部71が形成された衝撃具70が挿入されて構成されており、前記衝撃具70は一定の曲率の形状をなす板バネ80によって支持され、前記衝撃具70の後端部には打撃力の伝達のための可動部72が一体に備えられる。
【0028】
また、中央通孔12の先端部には、衝撃具70の尖部71による負傷の発生を防止するための保護板90が備えられるのであり、前記保護板90を取り除くことができるように、保護板90の一方の側には安全ピン91が備えられ、本体部10の一方の側にはガラス面への接着のための接着層92が構成される。
【0029】
このような構成を成すと、車両内または建物内に閉じ込められた場合、衝撃具70を用いて強化ガラスを破壊し、脱出することができるようになる。
【0030】
つまり、この際には、接着層92を用いて強化ガラスに本体部10を付着させた状態で、ユーザーが可動部72を押して衝撃を加えると、可動部72から加わる力に加えて板バネ80の瞬間的な弾性力が衝撃具70に伝達される。
【0031】
これにより、衝撃具70が強い弾性力を受けて前進することで、尖部71が強化ガラスを打撃することにより、強化ガラスが割れて外部への脱出が迅速に行われ得るようになる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10