(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような監視システムでは、外部のネットワークに接続されたコンピュータなどにより構成される監視装置に収集されたデータを監視者が定期的に確認し、異常などの特定の状態が発生していることが推定された機器の保守管理を担う担当者(オペレータ)に機器の点検作業を指示することが一般的に行われる。
【0005】
しかしながら、上記のようなシステムでは、機器の異常発生から機器の点検が実際にオペレータによって開始されるまでの間に、監視者によるデータ確認、監視者からオペレータへの点検作業の指示連絡などのための時間がかかる。機器の異常内容によっては、早急な対応が深刻な故障や事故の発生を防止するために求められる場合があり、そのためには機器の異常発生をその機器のオペレータに早急に通信する技術が求められている。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、監視対象の異常などの状態に関する情報をオペレータに早急に通信することのできる監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る監視システムは、
各々オペレータが割り当てられた複数の監視対象を監視する監視システムであって、
互いに無線通信が可能な複数の無線センサーモジュールを含む無線センサーネットワークを有し、
前記複数の無線センサーモジュールは、個々の前記監視対象に対応して設けられ、
前記複数の無線センサーモジュールは、
前記対応する監視対象の物理的な状態を検出するセンサーの出力データをもとに、当該監視対象の前記状態に関する通知情報を生成する演算処理回路と、
前記生成された通知情報を、前記対応する監視対象に割り当てられた前記オペレータの無線端末
に送信する無線通信部とを具備し、
前記複数の無線センサーモジュールのうち前記通知情報を送信した前記無線センサーモジュールを第1の無線センサーモジュール、他の1以上の無線センサーモジュールの少なくとも1つを第2の無線センサーモジュールとして、
前記第1の無線センサーモジュールは、
前記通知情報の前記無線端末への通信に失敗した場合、前記第2の無線センサーモジュールに前記通知情報を送信し、
前記第2の無線センサーモジュールは、
前記第1の無線センサーモジュールより前記通知情報を受信したとき、前記無線通信部を使って前記通知情報を前記無線端末に送信するように構成される。
【0008】
本発明に係る監視システムでは、監視対象に割り当てられた無線センサーモジュールが、センサーにて当該監視対象の物理的な状態を検出し、演算処理回路にて、センサーの出力データをもとに当該監視対象の状態に関する通知情報を生成し、無線通信部を使って、その通知情報を当該監視対象に割り当てられたオペレータが携帯する無線端末
に送信する。これにより、監視対象の状態に関する通知情報を当該監視対象のオペレータに早急に通知することができる。
その際、監視対象の情報に関する情報を生成した第1の無線センサーモジュールの無線通信可能エリアの外に、通知情報の送信先である無線端末が存在する場合であっても、その送信先である無線端末が第2の無線センサーモジュールの無線通信可能エリア内に存在すれば、第2の無線センサーモジュールから送信された通知情報が無線端末にて受信され得る。
【0011】
さらに、前記第2の無線センサーモジュールは、
前記通知情報の前記無線端末への通信に失敗した場合、当該第2の無線センサーモジュールに各々割り当てられた他の第2のオペレータの無線端末に前記通知情報を送信するように構成されてもよい。
【0012】
状態に関する情報の本来の通知先であるオペレータの無線端末以外の他のオペレータの無線端末に、当該状態に関する情報が通知されることによって、情報の本来の通知先であるオペレータの監視対象の保守管理を、当該本来の通知先であるオペレータに代わって他のオペレータに代行してもらうなどの対処が可能になる。
【0013】
さらに、監視システムは、システム全体を監視する監視装置をさらに具備し、
前記第2の無線センサーモジュールは、前記第2のオペレータの無線端末への前記通知情報の通信に失敗した場合、前記監視装置に前記通知情報を送信するように構成されてもよい。
【0014】
また、前記通知情報は、前記監視対象の物理的状態が異常と判定されたときの前記監視対象の前記状態に関する情報と、前記監視対象もしくは前記オペレータを識別する情報を含むものであってよい。
【0015】
異常の状態に関する情報と前記監視対象もしくは前記オペレータを識別する情報をオペレータに通信することによって、異常が発生した監視対象に対してオペレータによる早急な対処が可能になる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、監視対象の異常などの状態に関する情報をその監視対象のオペレータに早急に通信することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面をもとに説明する。
図1は本発明に係る一実施形態である監視システムの全体的な概念図である。
この監視システム1は、例えば工場などの施設内の複数の機器10(10a、10b、10c)の劣化、異常など、監視対象の状態を監視するシステムである。
施設内には、個々の機器10の保守管理を行う複数のオペレータU(Ua、Ub、Uc)が存在する。つまり、機器10aはオペレータUaによって保守管理され、機器10bはオペレータUbによって保守管理され、機器10cはオペレータUcによって保守管理される。
【0019】
監視システム1は、無線センサーネットワーク100と監視装置200とを有する。無線センサーネットワーク100と監視装置200とはネットワーク300を通じて接続可能である。ここでネットワークはLAN(Local Area Network)であってもWAN(Wide Area Network)であってもよい。
【0020】
無線センサーネットワーク100は、ゲートウェイGと複数の無線センサーモジュールM(M1、M2、M3)などを含む。
【0021】
複数の無線センサーモジュールMは各々、個々の監視対象である機器10に一対一に対応して設けられる。すなわち、無線センサーモジュールM1は機器10aを監視対象とし、無線センサーモジュールM2は機器10bを監視対象とし、無線センサーモジュールM3は機器10cを監視対象とする。
【0022】
無線センサーモジュールMは各々、監視対象の機器10の状態を検出する1以上のセンサー21の検出信号を取り込み、監視対象の機器10の状態を検出し、分析して、異常などの特定の状態が判定された場合、その状態に関する情報を含む通知情報を生成して、監視対象の機器10を管理するオペレータUの無線端末30に無線送信する。
【0023】
なお、本明細書において、特定の無線センサーモジュールを指して呼ぶ場合は「無線センサーモジュールM1」、「無線センサーモジュールM2」、「無線センサーモジュールM3」と表記する。機器10(10a、10b、10c)、オペレータU(Ua、Ub、Uc)、無線端末30(30a、30b、30c)についても同様である。
【0024】
また、無線センサーモジュールMは、無線センサーネットワーク100に属する他のノード(ゲートウェイG、他の無線センサーモジュールM)との間で、センサーの検出データ、状態に関する情報などの情報を無線通信することが可能である。ゲートウェイGは、無線センサーモジュールMより受信した情報を外部のネットワーク300を通じて監視装置200に送信することが可能である。
【0025】
監視装置200は、無線センサーネットワーク100のゲートウェイGから外部のネットワーク300を通じて送信された情報を受信し、ディスプレイやスピーカなどの情報提示装置を通じて監視者U1にリアルタイムで提示することが可能である。
【0026】
監視装置200は、具体的には、例えばパーソナルコンピュータやサーバ用計算機などである。より詳細には、監視装置200はCPU(Central Processing Unit)、メモリ、ストレージデバイス、ネットワークインタフェース、ディスプレイ、スピーカ、ユーザ入力装置(マウス、キーボードなど)などを有する。
【0027】
[無線センサーネットワーク]
無線センサーネットワーク100には、例えばISA100.11aの規格による近距離無線通信(第1の無線方式)などが採用される。複数の無線センサーモジュールMとゲートウェイGはメッシュ型のネットワークの形態で接続可能とされている。メッシュ型のネットワークは、無線通信において障害物による遮断や反射波による干渉にさらされることによる電波環境の変化に対し、すべての無線センサーモジュールMで生成された検出データがゲートウェイGに収集されるための最適な無線通信経路が得られるように、互いにピアツーピアで無線接続されるノードのペアを変更することができる。
【0028】
図2はメッシュ型の無線センサーネットワーク100の構成例を示す図である。
このメッシュ型の無線センサーネットワーク100には、1機のゲートウェイGと3機の無線センサーモジュールM1、M2、M3がノードとして存在する。3機の無線センサーモジュールM1、M2、M3はゲートウェイGとピアツーピア接続により無線通信することが可能とされている。
【0029】
メッシュ型の無線センサーネットワーク100にはマネージャ(図示せず)が接続されている。なお、ゲートウェイGがこのマネージャの機能をもっていてもよい。マネージャは、ピアツーピア接続するノードのペアの管理と、各ノードのペアが通信に利用するタイムスロット、チャンネルなどの割り当てを行う。
【0030】
例えば、
図2において、ゲートウェイGは無線センサーモジュールM1とのペア、無線センサーモジュールM2とのペア、無線センサーモジュールM3とのペアに各々固有に割り当てられたタイムスロット、チャンネルを用いて無線通信するように設定される。
【0031】
このメッシュ型の無線センサーネットワーク100では、上記のペアの他、例えば、無線センサーモジュールM1と無線センサーモジュールM3とのペア、無線センサーモジュールM2と無線センサーモジュールM3とのペアなどの設定も可能とされる。
【0032】
なお、本発明は、必ずしもメッシュ型の無線センサーネットワークを用いたもの限定されるものではなく、スター型、バス型の無線センサーネットワークであってもよい。また、本発明は、必ずしも無線ネットワークを用いたものとは限らず、有線ネットワークを用いたものであってもよい。
【0033】
[無線センサーモジュール]
図3は無線センサーモジュールMの構成を示すブロック図である。
無線センサーモジュールMは、センサー信号処理回路11、マイクロプロセッサ12、メモリ13、第1の無線モジュール14、第1の無線アンテナ15、電源部16、第2の無線モジュール17および第2の無線アンテナ18を有する。
【0034】
センサー信号処理回路11は1以上のセンサー21a、21b、21cの出力信号をデジタルデータに変換して、マイクロプロセッサ12に供給する。機器の状態を検出するためのセンサーには、例えば、機器の振動を検出するための加速度センサー21a、温度を検出するための温度センサー21b、圧力を検出するための圧力センサー21cなどが挙げられる。
【0035】
なお、本実施形態において、油圧機器の油状態を検出する油状態センサー21dの出力は、無線センサーモジュールMの外部の信号変換モジュール22によってデジタルデータに変換されてマイクロプロセッサ12に供給される。但し、油状態センサー21dの出力も、その他のセンサー21a、21b、21cと同様にセンサー信号処理回路11に供給され、センサー信号処理回路11にてデジタルデータに変換されてもよい。
【0036】
マイクロプロセッサ12は、センサー信号処理回路11から供給されたセンサー出力データから機器診断用の検出データを生成する。例えば、マイクロプロセッサ12は、加速度センサー21aの出力データから、加速度の実効値、加速度の時間波形、速度の実効値、速度の時間波形、エンベロープ加速度のp-p値、エンベロープ加速度の時間波形などを算出する。その他、マイクロプロセッサ12は、温度センサー21b、圧力センサー21cおよび油状態センサー21dなどの各種のセンサーの出力データから機器診断用の検出データを生成する。
【0037】
マイクロプロセッサ12は、センサー21の検出データを分析して機器の劣化、異常などの状態を判定する。例えば、モータ機器の軸受などの劣化は、例えば加速度センサー21aの出力から生成される振動速度に関する検出データである加速度の実効値、速度の実効値、エンベロープ加速度のp-p値(ピークtoピーク値)などの増大として表れる。そこで、マイクロプロセッサ12は、検出データと異常診断用の閾値と比較し、検出データが閾値を超える場合に機器の異常を判断する。
図4はエンベロープ加速度のp-p値のトレンドデータの例を示す図である。この例は、エンベロープ加速度のp-p値が4月15日以降より増大しはじめ、6月15日あたりで閾値を越えたことにより、機器の異常が判断される場合を示している。
【0038】
メモリ13は、無線センサーモジュールMのマイクロプロセッサ12により生成された機器診断用の検出データの一時保存、および検出データに基づく異常などの状態の判定のための作業領域などとして用いられる。
【0039】
第1の無線モジュール14は、ゲートウェイGや他の無線センサーモジュールMとの無線通信のための処理を行うモジュールである。第1の無線モジュール14は第1の無線アンテナ15を有する。
【0040】
電源部16は、無線センサーモジュールMを動作させるために必要な電力を生成する。電源部16は、バッテリ16aと、バッテリ16aに蓄積された電荷から無線センサーモジュールMの動作用の定電圧を生成するDC/DCコンバータ16bを有する。
【0041】
第2の無線モジュール17は、無線センサーモジュールMの監視対象である機器の保守管理を担うオペレータUが携帯する無線端末30との無線通信を行うモジュールである。第2の無線モジュール17は、無線センサーネットワーク100で採用される無線方式とは異なる第2の無線方式、例えば無線LANなどによるものである。第2の無線モジュール17は、第2の無線アンテナ18を有する。
【0042】
[無線端末について]
オペレータUが携帯する無線端末30は、例えば、スマートホン、タブレット端末の他、時計形、ブレスレット形などの携帯端末いわゆるウェアラブル端末などであってよい。無線端末30は、具体的には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、ストレージデバイス、ネットワークインタフェース、第2の無線方式に対応する無線モジュール、ディスプレイ、スピーカ、ユーザ入力装置(マウス、キーボードなど)、振動デバイスなどを有する。ここで、無線モジュールは、無線センサーモジュールMに搭載された第2の無線モジュール17との間で例えば無線LANなどによる無線通信を行うためのものである。
【0043】
無線端末30には、無線センサーモジュールMから無線送信された通知情報を無線モジュールを用いて受信し、例えば、ディスプレイ、スピーカ、振動モータの駆動などの制御によって通知情報の内容をオペレータUに提示し、オペレータUからの受領応答の入力操作を検出して、無線モジュールを使って無線センサーモジュールMに受領応答を無線送信するようにCPUを動作させるアプリケーションプログラムがメモリなどにインストールされる。
【0044】
[通知情報の構成]
無線センサーモジュールMで生成される通知情報は、宛先、機器ID、状態データなどを含む。
【0045】
宛先は、通知情報の宛先であり、複数のオペレータUが各々携帯する無線端末30にユニークに割り当てられた端末IDなどである。
機器IDは、監視対象の複数の機器10にユニークに割り当てられたIDである。
状態データは、機器の状態に関する通知情報の本体であり、例えば、異常内容、機器診断用の検出データなどである。
【0046】
各々の無線センサーモジュールMのメモリ13には、自身に対応付けられた監視対象である機器10の機器IDおよび当該機器10のオペレータUが携帯する無線端末30の端末IDが保存されている。つまり無線センサーモジュールM1のメモリ13には、機器10aの機器ID、オペレータUaの無線端末30aの端末IDが保存されている。無線センサーモジュールM2のメモリ13には、機器10bの機器ID、オペレータUbの無線端末30bの端末IDが保存されている。同様に、無線センサーモジュールM2のメモリ13には、機器10cの機器ID、オペレータUcの無線端末30cの端末IDが保存されている。
【0047】
[通知情報の通信処理]
次に、本実施形態の監視システム1において、機器10aの特定の状態が無線センサーモジュールM1で判定された場合に、その機器10aのオペレータUaが携帯する無線端末30aに通知情報を通信する動作を説明する。なお、機器10aの特定の状態とは、この例では機器10aの異常状態とする。
【0048】
下記の無線センサーモジュールM1の動作は、その他の無線センサーモジュールM2、M3で機器10b、10cの特定の状態が判定された場合も同様である。
【0049】
図5は無線センサーモジュールM1による通知情報の通信処理のフローチャートである。
図6は無線センサーモジュールM1からオペレータUaの無線端末30aへの通知情報送信時の監視システム1を示す図である。
無線センサーモジュールM1のマイクロプロセッサ12は、センサー信号処理回路11が生成するセンサー出力データをもとに機器10aの異常の有無を判定する(ステップS101)。
【0050】
無線センサーモジュールM1のマイクロプロセッサ12は、機器10aの異常を判定すると(ステップS102のYES)、機器10aのオペレータUaが携帯する無線端末30aに宛てた通知情報を生成する(ステップS103)。この通知情報は、機器10aのオペレータUaが携帯する無線端末30aの端末ID、機器10aの機器ID、状態データなどで構成される。ここで、端末IDが通知情報の宛先となる。
【0051】
次に、無線センサーモジュールM1のマイクロプロセッサ12は、生成された通知情報を、機器10aのオペレータUaが携帯する無線端末30aに第2の無線モジュール17を使って無線送信するように制御をする(ステップS104)。
【0052】
無線端末30aのCPUは、無線センサーモジュールM1から無線送信された通知情報を受信すると、例えばディスプレイ、スピーカ、振動モータの起動などの制御によって通知情報の内容をオペレータUaに提示し、この通知情報の提示に対するオペレータUaからの受領応答の入力を待機する。オペレータUaからの受領応答の入力は、例えば、ディスプレイに表示された応答ボタンの操作、無線端末30aに固定的に設けられた特定のメカボタンの操作、音声入力などによって行われる。無線端末30aのCPUは、オペレータUaからの受領応答の入力を検出すると、通知情報の受領応答を無線センサーモジュールM1に返信する。
【0053】
無線センサーモジュールM1のマイクロプロセッサ12は、無線端末30aからの受領応答を受信すると(ステップS105のYES)、今回の通知情報の通信処理を終了し、最初のステップS101に戻る。
【0054】
また、無線センサーモジュールM1のマイクロプロセッサ12は、無線端末30aからの受領応答が例えば所定の待機時間内に受信されない場合など、受領応答を受信できない場合には(ステップS105のNO)、通知情報の通信失敗を判断し、通知情報の二次通信処理に移行する。
【0055】
[二次通信処理]
次に、通知情報の二次通信処理について説明する。
無線センサーモジュールM1からオペレータUaの無線端末30aに通知情報の無線送信が試みられても、例えば
図7に示すように、無線センサーモジュールM1の無線通信可能エリアAaに監視対象である機器10aのオペレータUaの無線端末30aが存在していなければ、無線端末30aにて通知情報が受信されない。
【0056】
そこで、無線センサーモジュールM1から他の1以上の無線センサーモジュールにオペレータUaの無線端末30aに対する通知情報の通信を依頼することによって、オペレータUaの無線端末30aに通知情報が届く確率が高くなり、信頼性の向上を図ることができる。
【0057】
以下、二次通信処理の詳細を説明する。
機器10aの異常状態を判定した無線センサーモジュールM1(以下「第1の無線センサーモジュール」と呼ぶ。)のマイクロプロセッサ12は、機器10aのオペレータUaが携帯する無線端末30aに割り当てられた端末IDと、機器10aの機器IDと、状態データなどで構成される通知情報を第2の無線モジュール17を使って無線センサーネットワーク100内の他の1以上の無線センサーモジュール(以下「第2の無線センサーモジュール」と呼ぶ。)に無線送信する。
【0058】
例として、無線センサーモジュールM2が第2の無線センサーモジュールである場合を想定する。
【0059】
第1の無線センサーモジュールM1のマイクロプロセッサ12は、機器10aのオペレータUaの無線端末30aの端末ID、機器10aの機器ID、状態データなどで構成される通知情報を、第1の無線モジュール14を使って無線センサーネットワーク100内の第2の無線センサーモジュールM2に無線送信する(
図5;ステップS106)。
【0060】
図8は第2の無線センサーモジュールM2の二次通信処理のフローチャートである。
第2の無線センサーモジュールM2のマイクロプロセッサ12は、第1の無線センサーモジュールM1から通知情報を受信すると(
図8;ステップS201)、この通知情報に宛先として含まれる端末IDをもとに、第2の無線モジュール17を使って、当該通知情報を、第2の無線センサーモジュールM2の無線通信可能エリアAb内に存在するオペレータUaの無線端末30aに送信するように試みる(
図8;ステップS202)。
【0061】
第2の無線センサーモジュールM2のマイクロプロセッサ12は、無線端末30aから通知情報の受領応答を受信すると(
図8;ステップS203のYES)、第1の無線モジュール14を使って第1の無線センサーモジュールM1に受領応答通知を送信し(
図8;ステップS204)、処理を終了する。
【0062】
第1の無線センサーモジュールM1のマイクロプロセッサ12は、第1の無線モジュール14を使って、第2の無線センサーモジュールM2より受領応答通知を受信すると(
図5;ステップS107の受領応答通知)、無線端末30aへの通知情報の通信が成功したことを判断し、二次通信処理を終了する。
【0063】
例えば、
図7では、第2の無線センサーモジュールM2の無線通信可能エリアAbに、オペレータUaの無線端末30aが存在する。このため、第2の無線センサーモジュールM2のマイクロプロセッサ12は、無線端末30aからの受領応答を受信し、第1の無線モジュール14を使って第1の無線センサーモジュールM1に受領応答通知を送信する。
【0064】
第1の無線センサーモジュールM1のマイクロプロセッサ12は、この受領応答通知を受信すると、今回の通知情報の通信動作を終了し、最初のステップS101に戻る。
【0065】
また、第2の無線センサーモジュールM2のマイクロプロセッサ12は、無線端末30aからの受領応答が例えば所定の待機時間内に受信されない場合など、受領応答を受信できない場合には(
図8;ステップS203のNO)、通知情報の三次通信処理に移行する(
図8;ステップS205)。
【0066】
なお、上記の二次通信処理において、通知情報は、機器10aの異常状態を判定した第1の無線センサーモジュールM1から、他の複数あるいはすべてのすべての第2の無線センサーモジュール(M2、M3)に同時に送信されてもよい。この場合も、他の複数あるいはすべての第2の無線センサーモジュール(M2、M3)から機器10aのオペレータUaの無線端末30aへの通知情報の送信が試みられる。
【0067】
第1の無線センサーモジュールM1のマイクロプロセッサ12は、他の複数あるいはすべての第2の無線センサーモジュール(M2、M3)のいずれかから受領応答通知を受けたならば、今回の通知情報の通信動作を終了し、最初のステップS101に戻る。
【0068】
[三次通信処理]
次に、三次通信処理について説明する。
ここまで通知情報の通信処理として、異常が検出された機器10aのオペレータUaの無線端末30aに通知情報を通信する場合について説明してきたが、オペレータUaの無線端末30aがどの無線センサーモジュールの無線通信可能エリアにも存在しない場合があり得る。そこで、本実施形態の監視システム1には、第2の無線センサーモジュールM2が、二次通信処理において異常状態が判定された機器のオペレータの無線端末からの受領応答の受信に失敗した場合には、その異常状態が判定された機器のオペレータの無線端末への通知情報の送信を中断し、第2の無線センサーモジュールM2自身の監視対象である機器のオペレータが携帯する無線端末に通知情報を送信する三次通信処理が用意されている。
【0069】
次に、三次通信処理の詳細を説明する。
図9は第2の無線センサーモジュールM2による三次通信処理のフローチャートである。
第2の無線センサーモジュールM2のマイクロプロセッサ12は、第1の無線センサーモジュールM1より受信した通知情報を、異常状態が判定された機器10aのオペレータUaの無線端末30aへではなく、第2の無線センサーモジュールM2自身の監視対象である機器10bのオペレータUbが携帯する無線端末30bに宛てて無線送信することを試みる(
図9;ステップS301)。
【0070】
第2の無線センサーモジュールM2のマイクロプロセッサ12は、無線端末30bからの受領応答を受信すると(
図9;ステップS302のYES)、第1の無線モジュール14を使って第1の無線センサーモジュールM1に受領応答通知を無線送信し(
図9;ステップS303)、処理を終了する。
【0071】
第1の無線センサーモジュールM1のマイクロプロセッサ12は、無線センサーモジュールM2からの受領応答通知を第1の無線モジュール14を使って無線受信すると(
図5;ステップS107の受領応答通知)、通知情報の通信処理を終了する。
【0072】
また、第2の無線センサーモジュールM2のマイクロプロセッサ12は、無線端末30bからの受領応答が例えば所定の待機時間内に受信されない場合など、受領応答を受信できない場合には(
図9;ステップS302のNO)、第1の無線モジュール14を使ってゲートウェイGを通じて監視装置200に通知情報を送信する(
図9;ステップS304)。監視装置200は、受信した通知情報を監視者U1に提示する。
【0073】
さらに、第2の無線センサーモジュールM2のマイクロプロセッサ12は、第1の無線モジュール14を使って、第1の無線センサーモジュールM1にエラー応答を送信する(
図9;ステップS305)。以上で第2の無線センサーモジュールM2による三次通信処理が終了する。
【0074】
なお、監視装置200への通知情報の送信と第1の無線センサーモジュールM1へのエラー応答の送信の順番は逆であってもよい。
【0075】
第1の無線センサーモジュールM1のマイクロプロセッサ12は、第2の無線センサーモジュールM2からのエラー通知を第1の無線モジュール14を使って受信すると(
図5;ステップ107のエラー通知)、所定のエラー処理を行う(
図5;ステップS108)。
【0076】
所定のエラー処理としては、例えば、
1.第1の無線センサーモジュールM1からオペレータUaの無線端末30aへの通知情報の無線送信を繰り返す。
2.第1の無線センサーモジュールM1および第2の無線センサーモジュールM2からオペレータUaの無線端末30aへの通知情報の無線送信を繰り返す。
3.最初のステップS101に戻る。
などが挙げられる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態の監視システム1によれば、無線センサーモジュールがセンサーの出力データをもとに機器の異常などの状態を判定し、判定した状態に関する通知情報を、その機器を保守管理するオペレータの無線端末に無線によって直接通信する。このため、機器の異常などの状態を早急に、その機器の保守管理を行うオペレータの無線端末に通信することができ、機器の状態に応じたオペレータによる早急な対応、例えば部品交換、修理などが可能になる。
【0078】
また、本実施形態の監視システム1によれば、二次通信処理によって、監視対象の機器に対応付けて配置された無線センサーモジュールから離れた場所にいるオペレータの無線端末にも通知情報が届く確率が高くなる。これにより、複数の機器が広範囲な領域に配置される場合の、各機器への通知情報の通信が可能になる。
【0079】
さらに、本実施形態の監視システム1によれば、三次通信処理によって、他の機器のオペレータの無線端末に宛てて通知情報を通知することによって、他の機器のオペレータによる緊急対応を期待することができ、異常状態を長い時間報知することによって起こり得る機器の深刻な故障や事故の発生を防止することができる。
【0080】
<変形例1>
ここまで監視対象の特に異常状態を無線センサーモジュールにおいて判定する場合について説明したが、異常状態だけでなく、オペレータに早急に通知すべき何らかの特定状態の発生を判定したとき、通知情報を無線端末に通信するようにしてもよい。例えば、特定状態になった監視対象をオペレータが直接観測するために、オペレータを早急に呼び出すような場合に本発明は適用可能である。
【0081】
<変形例2>
上記の実施形態において、二次通信処理と三次通信処理は、順番を入れ替えて実行されてもよい。
また、無線センサーモジュールM1からオペレータUaの無線端末30aへの通知情報の通信に失敗した後、上記の実施形態の二次通信処理をキャンセルして、三次通信処理のみを実行してもよい。
【0082】
本発明は、工場内の機器の状態を監視するシステムのみならず、例えば、ビル、鉄道、船舶、建設用車両など、様々な種類の設備、施設内の監視対象を監視する場合に適用できる。その他、橋梁、道路、トンネルなどの構築物において、監視対象となる部位の振動や変形などの状態を監視するシステムにも本発明は応用することができる。
【0083】
その他、本発明は、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。