(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1〜
図4を参照して、この発明を腕時計に適用した一実施形態について説明する。
この腕時計は、
図1および
図2に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1は、硬質の合成樹脂製のケース本体2と、ステンレスなどの金属製の外装アンテナ部材3と、を備えている。ケース本体2は、全体がほぼリング状に形成されている。
【0011】
外装アンテナ部材3は、
図1および
図2に示すように、高周波(例えば、1575.42MHz)の電波を受信するGPS用のアンテナであり、ケース本体2とほぼ同じ形状のリング状に形成され、時計のベゼルとしても機能している。この外装アンテナ部材3は、ケース本体2の上部に防水リング3aを介して複数のねじ4によって取り付けられている。
【0012】
この腕時計ケース1の上部開口部、つまり外装アンテナ部材3の上部開口部には、
図1および
図2に示すように、時計ガラス5がガラスパッキン5aを介して設けられている。この腕時計ケース1の下部、つまりケース本体2の下部には、裏蓋6が防水パッキン6aを介して取り付けられている。裏蓋6は金属製に限らず、非金属製のセラミックなどで形成されていても良い。
【0013】
また、この腕時計ケース1の12時側と6時側との各側部には、
図1に示すように、時計バンド(図示せず)が取り付けられるバンド取付部7が設けられている。この腕時計ケース1の3時側の側部には、スイッチ釦8が設けられており、この腕時計ケース1の9時側の側部、つまりケース本体2の9時側の側部には、
図2に示すように、センサ部10が設けられている。
【0014】
この腕時計ケース1の内部、つまりケース本体2の内部には、
図2に示すように、時計モジュール11が設けられている。この時計モジュール11は、指針を運針させて時刻を指示する時計ムーブメント、時刻などの情報を電気光学的に表示する表示部(いずれも図示せず)、これらを電気的に制御して駆動するための回路基板12などの時計機能に必要な各種の電子部品を備えている。
【0015】
ところで、センサ部10は、
図2に示すように、腕時計ケース1の外部の圧力を検出するためのものであり、ケース本体2に設けられた貫通孔13内に設けられている。この貫通孔13は、ケース本体2の内部側から外部側に向けて順に、小径孔13a、中径孔13b、大径孔13cが設けられている。
【0016】
センサ部10は、
図2に示すように、腕時計ケース1の外部の圧力を検出する圧力センサ14と、この圧力センサ14を保護する保護板15と、この保護板15を押える押え板16と、この押え板16を覆って保護する保護接続部材であるセンサカバー17と、を備えている。圧力センサ14は、貫通孔13の中径孔13b内に配置され、フレキシブルな配線基板18によって時計モジュール11の回路基板12と電気的に接続されている。
【0017】
保護板15は、
図2に示すように、中心部に通気孔15aが設けられた円板であり、圧力センサ14の外面に位置した状態で、貫通孔13の大径孔13c内にリング状の緩衝材19を介して配置されている。押え板16は、網目状のパネルであり、保護板15の外面に位置した状態で、貫通孔の大径孔13c内に配置されて、保護板15を圧力センサ14に向けて押え付けるように構成されている。
【0018】
すなわち、この押え板16は、
図2に示すように、保護板15を圧力センサ14に向けて押し付け、この押し付けられた保護板15によって緩衝材19を圧力センサ14に押し付けるように構成されている。これにより、圧力センサ14は、貫通孔13の小径孔13aの縁部に押し付けられた状態で、中径孔13b内に固定されている。
【0019】
一方、センサカバー17は、
図2および
図3に示すように、保護接続部材であり、押え板16を覆ってケース本体2の外面に配置される保護部20と、外装アンテナ部材3に電気的に接続される接続部21と、を備えている。このセンサカバー17は、ステンレスなどの金属製の薄板の板状部材によって形成され、保護部20と接続部21とが一体に形成されている。保護部20は、金属製の薄板に多数の小孔20aが設けられ、押え板16を覆ってケース本体2の外面に設けられている。
【0020】
接続部21は、
図2〜
図4に示すように、外装アンテナ部材3に対向して配置されており、容量結合を強めて外装アンテナ部材3に接続されている。この場合、容量結合の容量は、面積に比例し、距離に反比例する。また、結合インピーダンスは、容量に反比例し、かつ周波数にも反比例する。
【0021】
この場合、容量結合の容量C、真空の誘電率ε
<SUB>0</SUB>、接触面積S、センサ部10と外装アンテナ部材3との間隔(距離)dの関係は、
C=ε
<SUB>0</SUB>・(S/d)である。
【0022】
このため、接続部21は、外装アンテナ部材3に対する接触面積が広く、かつ外装アンテナ部材3に対する接触抵抗が小さくなるように形成されている。また、センサ部10と外装アンテナ部材3との距離は、短くなるように設定されている。
【0023】
この場合、接続部21は、
図2および
図3に示すように、センサカバー17の保護部20からケース本体2の外面に沿ってケース本体2の上部に向けて延びて、ケース本体2と外装アンテナ部材3との間に設けられた挿入溝部22に挿入された上、この挿入溝部22内で折り返されて外装アンテナ部材3の下面に弾力的に面接触または一部が接触して近接しているように構成されている。
【0024】
すなわち、この接続部21は、
図2〜
図4に示すように、ステンレスなどの金属製の薄板で、幅広の帯板状をなし、センサカバー17の保護部20からケース本体2の外面に沿って立ち上る連結部21aと、この連結部21aの先端で折り曲げられて挿入溝部22内に挿入される延長部21bと、この延長部21bの先端部の折返し部21dで折り返されて外装アンテナ部材3の下面に弾接する接触部21cと、を備えている。
【0025】
また、接続部21の面積または外装アンテナ部材3の下面に弾接する接触部21cの面積は、保護部20の面積に対して所定の大きさが必要であり、接続部21の面積または接触部21cの面積は、保護部20の面積の10%以上の面積となっている。
【0026】
この場合、ケース本体2と外装アンテナ部材3との間の挿入溝部22は、
図2および
図3に示すように、ケース本体2の上面に設けられた延長溝23と、外装アンテナ部材3の下面に設けられた接続溝24と、を備え、これらが互いに対応した状態で、センサカバー17における接続部21の挿入方向に長く形成されている。また、この挿入溝部22は、接続部21が挿入する挿入口の上下幅が広く、奥部に向かうに従って次第に狭く形成されている。
【0027】
この場合、ケース本体2の上面に設けられた延長溝23は、
図3に示すように、ケース本体2の外面側から内面側に向けて次第に深くなる形状で、溝幅が接続部21の幅よりも少し広く形成されている。これにより、延長溝23は、接続部21の延長部21bが挿入された際に、延長部21bの先端部で接触部21cが容易に折り返されるように構成されている。
【0028】
また、外装アンテナ部材3の下面に設けられた接続溝24は、
図3に示すように、ケース本体2の延長溝23に対応して設けられている。この接続溝24は、外装アンテナ部材3の内周側から外周側に向けて次第に高く(深く)なる形状で、ケース本体2の延長溝23と同様、溝幅が接続部21の幅よりも少し広い幅広に形成されている。
【0029】
これにより、この接続溝24は、
図3に示すように、内部の上面が接続面24aに形成され、この接続面24aが外装アンテナ部材3の内周側から外周側に向けて次第に高くなる傾斜面に形成されている。このため、この接続溝24は、接続部21の接触部21cが延長部21bの先端部の折返し部21dで折り返された際に、この折り返された接触部21cのほぼ全面が接続面24aに面接触状態で弾力的に接触するように構成されている。
【0030】
このため、この接続部21は、
図2〜
図4に示すように、外装アンテナ部材3に対する接触面積が広く、かつ外装アンテナ部材3に対する接触抵抗が小さく形成されている。また、センサ部10は、センサカバー17の保護部20と外装アンテナ部材3との距離が短くなるように配置されている。
【0031】
次に、このような腕時計の作用について説明する。
この腕時計を組み立てる場合には、予め、外装アンテナ部材3の上部開口部にガラスパッキン5aを介して時計ガラス5を取り付ける。この外装アンテナ部材3をケース本体2の上部に防水リング3aを介して配置して複数のねじ4によって取り付ける。このときには、外装アンテナ部材3の下面に設けられた接続溝24とケース本体2の上端部に設けられた延長溝23とを対応させる。これにより、ケース本体2と外装アンテナ部材3との間に挿入溝部22が形成される。
【0032】
この状態で、センサ部10をケース本体2の側部に設けられた貫通孔13に取り付ける。すなわち、センサ部10の圧力センサ14をケース本体2の貫通孔13の中径孔13b内に大径孔13c側から挿入させて配置する。このときには、予め、圧力センサ14にフレキシブルな配線基板18を接続し、この配線基板18を圧力センサ14と共に貫通孔13に挿入させてケース本体2の内部に送り込む。
【0033】
そして、貫通孔13の大径孔13c内に保護板15を緩衝材19と共に挿入させて、圧力センサ14の外面に保護板15を緩衝材19と共に配置する。この状態で、押え板16を貫通孔13の大径孔13c内に配置して保護板15を圧力センサ14に押し付ける。これにより、圧力センサ14が貫通孔13の中径孔13b内に固定される。そして、押え板16を覆ってセンサカバー17の保護部20をケース本体2の外面に配置させる。
【0034】
これにより、センサ部10がケース本体2の貫通孔13に組み付けられている。この状態では、センサカバー17の保護部20に設けられた多数の小孔20a、網目状の押え板16、保護板15の通気孔15aを通して、腕時計ケース1の外部の圧力が圧力センサ14に加わる。このため、この圧力センサ14は、腕時計ケース1の外部の圧力を検出することができる。
【0035】
また、センサカバー17の保護部20をケース本体2の外面に配置させる際には、接続部21の延長部21bと接触部21cとをケース本体2と外装アンテナ部材3との間に設けられた挿入溝部22に挿入させる。このときには、挿入溝部22がセンサカバー17における接続部21の挿入方向に長く形成され、かつ接続部21が挿入する挿入口の上下幅が広く、奥部に向かうに従って次第に狭く形成されていることにより、接続部21の延長部21bと接触部21cとが挿入溝部22に円滑にかつ容易に挿入される。
【0036】
この場合には、ケース本体2の延長溝23が外周側から内周側に向けて次第に深く形成されているが、外装アンテナ部材3の接続溝24が内周側から外周側に向けて次第に高く(深く)形成されているので、接続部21の折返し部21dがケース本体2の延長溝23の深い奥部に配置されるので、接続部21の延長部21bと接触部21cとが挿入溝部22内に容易にかつ良好に挿入される。
【0037】
また、接続部21の延長部21bと接触部21cとが挿入溝部22に挿入された際には、折返し部21dがばね部として機能し、この折返し部21dのばね性によって、折り返された接触部21cのほぼ全面が接続溝24内に傾斜して設けられた接続面24aに面接触で弾接する。このため、外装アンテナ部材3に接続部21が確実に接続されると共に、外装アンテナ部材3に対する接続部21の接触面積が広くなり、接触抵抗が小さくなる。
【0038】
この後、ケース本体2の内部に時計モジュール11を組み込む。このときには、予め、時計モジュール11の回路基板12に圧力センサ14のフレキシブルな配線基板18を接続する。そして、ケース本体2の下部に裏蓋6を防水パッキン6aと共に取り付ける。これにより、腕時計が組み立てられる。
【0039】
このように組み立てられた腕時計では、腕時計ケース1が合成樹脂製のケース本体2とこのケース本体2の上部に設けられた金属製の外装アンテナ部材3とで構成されているので、この外装アンテナ部材3によって電波を良好に受信することができる。また、この腕時計では、ケース本体2の9時側の側部にセンサ部10が設けられているので、このセンサ部10の圧力センサ14によって腕時計ケース1の外部の圧力を良好に検出することができる。
【0040】
この場合、センサ部10は、ケース本体2の側部に設けられた貫通孔13内に圧力センサ14が緩衝材19を介して保護板15によって保護され、この保護板15が押え板16によって圧力センサ14に押し付けられ、これにより圧力センサ14が貫通孔13内に固定されているので、腕時計ケース1の外部の圧力を確実にかつ良好に検出することができる。
【0041】
また、このセンサ部10は、保護接続部材であるセンサカバー17の保護部20がケース本体2の外面に取り付けられて押え板16を覆った状態で、センサカバー17の接続部21が外装アンテナ部材3に容量結合を強めて接続されるので、センサ部10が外装アンテナ部材3に接近して配置されていても、外装アンテナ部材3による電波受信がセンサ部10による影響を受けずに、外装アンテナ部材3で電波を良好に受信することができる。また、静電気対策も図ることができる。
【0042】
すなわち、センサカバー17の接続部21は、外装アンテナ部材に対する接触面積が広くなるように形成されていることにより、外装アンテナ部材3に対して容量結合を強めて接続することができる。このため、センサ部10が外装アンテナ部材3に接近して配置されていても、外装アンテナ部材3の電波受信に対するセンサ部10による影響を抑えることができる。また、センサカバー17の接続部21と外装アンテナ部材3との確実な接続により、静電気の経路が確実に設けられ、静電気対策も図ることができる。
【0043】
この場合、センサカバー17の接続部21は、ステンレスなどの金属製の薄板で、幅広の帯板状をなし、センサカバー17の保護部20からケース本体2の外面に沿って立ち上る連結部21aの先端で折り曲げられてケース本体2と外装アンテナ部材3との間の挿入溝部22に挿入される延長部21bと、この延長部21bの先端部の折返し部21dで折り返されて外装アンテナ部材3の接続面24aに弾接する接触部21cと、を備えているので、外装アンテナ部材3に対する接触面積を広くし、かつ確実に接続することができる。
【0044】
すなわち、挿入溝部22は、ケース本体2の上面の延長溝23と、外装アンテナ部材3の下面の接続溝24と、を備え、これらがセンサカバー17の接続部21の挿入方向に長く形成され、かつ接続部21の挿入口の上下幅が広く、奥部に向かうに従って次第に狭く形成されていることにより、接続部21の延長部21bと接触部21cとが挿入溝部22に円滑にかつ容易に挿入される。このため、センサカバー17の接続部21を挿入溝部22内に挿入させるだけで良いので、組立作業性が良い。
【0045】
すなわち、接続部21は、挿入溝部22の延長部21bがケース本体2の延長溝23内に挿入されて、接触部21cが折返し部21dで折り返されて外装アンテナ部材3の接続面24aに面接触で弾接するので、外装アンテナ部材3に対する接触部21cの接触面積を広くし、かつ外装アンテナ部材3に確実に接触されて接続されるので、外装アンテナ部材3に対して容量結合を強めて接続することができる。
【0046】
この場合、ケース本体2の延長溝23は、ケース本体2の外面側から内面側に向けて次第に深くなる形状に形成されていることにより、接続部21の延長部21bが挿入された際に、延長溝23内において接触部21cが折返し部21dによって容易にかつ円滑に折り返えされる。また、外装アンテナ部材3の接続溝24は、外装アンテナ部材3の内周側から外周側に向けて次第に高く(深く)なる形状に形成されていることにより、折返し部21dのばね性によって接触部21cが接続溝24内の接続面24aに広い面積で確実にかつ良好に接触される。
【0047】
この場合、接続溝24内の接続面24aは、外装アンテナ部材3の内周側から外周側に向けて次第に高くなる傾斜面に形成されているため、延長溝23内において折返し部21dで折り返された接触部21cが外装アンテナ部材3に接触する際に、折返し部21dのばね性によって接触部21cのほぼ全面が接続溝24内の接続面24aの全体に面接触状態で弾力的に接触されるので、接触部21cが外装アンテナ部材3に広い面積で確実にかつ良好に接触される。
【0048】
このため、この接続部21は、外装アンテナ部材3に対する接触面積が広く、外装アンテナ部材3に対する接触抵抗が小さく、かつ折返し部21dのばね性によって確実に接続されるので、外装アンテナ部材3に対して容量結合を強めて接続することができる。また、センサ部10は、外装アンテナ部材3との距離が短く配置されていても、接続部21を折り返して外装アンテナ部材3に接触させていることにより、外装アンテナ部材3に対する接触面積を広くすることができる。
【0049】
このように、この腕時計によれば、合成樹脂製のケース本体2と、このケース本体2の上部に設けられ、電波を受信する金属製の外装アンテナ部材3と、ケース本体2の側部に設けられたセンサ部10と、このセンサ部10を保護して外装アンテナ部材3に容量結合を強めて接続される保護接続部材であるセンサカバー17と、を備えていることにより、アンテナ特性の低下を防いで、アンテナ特性を安定させることができる。また、静電気対策も図ることができる。
【0050】
すなわち、この腕時計では、外装アンテナ部材3にセンサカバー17が容量結合を強めて接続されていることにより、外装アンテナ部材3にセンサ部10が接近して配置されていても、外装アンテナ部材3の電波受信に対するセンサ部10による影響を抑えることができるので、アンテナ特性の低下を防いで、アンテナ特性を安定させることができる。
【0051】
この場合、センサカバー17は、外装アンテナ部材3に対する接触面積が広くなるように形成されていることにより、容量結合を強めてセンサカバー17を外装アンテナ部材3に接続することができるので、外装アンテナ部材3の電波受信に対するセンサ部10による影響を確実に抑えることができ、これによりアンテナ特性の低下を防いで、アンテナ特性を安定させることができる。
【0052】
また、このセンサカバー17は、外装アンテナ部材3に対する接触面積が広くなるように形成されていることにより、外装アンテナ部材3に対するセンサカバー17の接触抵抗を小さくすることができ、これによっても容量結合を強めてセンサカバー17を外装アンテナ部材3に接続することができるので、更にアンテナ特性の低下を防いで、アンテナ特性を安定させることができる。
【0053】
また、この腕時計では、センサカバー17の接続部21が、センサ部10の外部からケース本体2の上面に沿って延長された上、折り返されて外装アンテナ部材3の下面に面接触していることにより、外装アンテナ部材3に対する接続部21の接触面積を広くすることができる。
【0054】
すなわち、センサカバー17の接続部21は、ステンレスなどの金属製の薄板で、幅広の帯板状をなし、センサカバー17の保護部20からケース本体2の外面に沿って立ち上る連結部21aと、この連結部21aの先端からケース本体2の上面に沿って延長された延長部21bと、この延長部21bの先端部の折返し部21dで折り返されて外装アンテナ部材3の下面に面接触で弾接する接触部21cと、を備えているので、外装アンテナ部材3に対する接触面積を確実に広くすることができる。
【0055】
また、この腕時計では、ケース本体2と外装アンテナ部材3との間にセンサカバー17の接続部21が挿入する挿入溝部22が挿入方向に長く設けられていることにより、接続部21の延長部21bを長く形成することができ、これにより折返し部21dで折り返された接触部21cを長く形成することができ、これにより外装アンテナ部材3に対する接触部21cの接触面積を確実に広くすることができる。
【0056】
また、挿入溝部22は、接続部21の挿入口の上下幅が広く、奥部に向かうに従って次第に狭く形成されていることにより、外装アンテナ部材3をケース本体2の上部に取り付けた状態で、センサカバー17の接続部21を挿入溝部22内に容易にかつ円滑に挿入させることができるので、組立作業性が良く、低コスト化を図ることができる。
【0057】
この場合、接続部21の延長部21bと接触部21cとは、挿入溝部22の延長溝23に挿入された際に、延長溝23の奥部が深く形成されていることにより、この延長溝23内において接触部21cを折返し部21dで確実にかつ良好に折り返えすことができるので、接触部21cを外装アンテナ部材3の接続面24aに確実にかつ良好に面接触状態で弾接させることができる。
【0058】
また、外装アンテナ部材3の下面に位置する挿入溝部22の接続溝24は、外装アンテナ部材3の内周側から外周側に向けて深く形成され、その内部に接続面24aが傾斜して設けられていることにより、接続部21における延長部21bが延長溝23に挿入して、接触部21cが折返し部21dで折り返された際に、折返し部21dのばね性によって接触部21cを接続溝24内に傾斜して設けられた接続面24aに確実にかつ良好に接触させることができる。
【0059】
さらに、この腕時計では、センサ部10と外装アンテナ部材3との距離が短く設定されていることにより、これによっても容量結合を強めてセンサカバー17を外装アンテナ部材3に接続することができるので、外装アンテナ部材3の電波受信に対するセンサ部10による影響を抑えることができるので、アンテナ特性の低下を防いで、アンテナ特性を安定させることができる。
【0060】
この場合、この腕時計では、センサ部10と外装アンテナ部材3との距離が短くても、接続部21を折り返して外装アンテナ部材3に接触させていることにより、外装アンテナ部材3に対する接触面積を広くすることができると共に、接触抵抗を小さくすることができるので、外装アンテナ部材3の電波受信に対するセンサ部10による影響を抑えることができ、これによってもアンテナ特性の低下を防いで、アンテナ特性を安定させることができる。
【0061】
なお、上述した実施形態では、センサカバー17の接続部21の接触部21cを外装アンテナ部材3の下面に設けられた接続溝24の接続面24aに弾接させた場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えば楔形状の押え片を接続部21の延長部21bと接触部21cとの間に差し込んで、接触部21cを接続溝24の接続面24aに圧接させても良い。また、この発明は、これに限らず、例えば組立作業性を考慮しなければ、ビスで接触部21cを接続溝24の接続面24aに押し付けても良い。
【0062】
上述した実施形態では、接続部21と外装アンテナ部材3は面接触に限らず、近接していれば接続部21は、容量結合を強めて外装アンテナ部材3に接続できるので、接続部21と外装アンテナ部材3の間には非接触部分があっても良い。
【0063】
また、上述した実施形態では、センサ部10が圧力センサ14を備えている場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えば温度センサなどの腕時計ケース1の外部環境を検出するセンサであっても良い。また、この発明は、必ずしもセンサである必要ななく、スピーカやマイクロホーンなどの電子部品であっても良く、またスイッチ釦8であっても良い。
【0064】
さらに、上述した実施形態では、腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の時計に適用することができる。また、この発明は、必ずしも時計である必要はなく、携帯電話機、携帯端末機などの各種の電子機器にも適用することができる。
【0065】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0066】
(付記)
請求項1に記載の発明は、合成樹脂製のケース本体と、前記ケース本体の上部に設けられ、電波を受信する金属製の外装アンテナ部材と、前記ケース本体の側部に設けられた電子部品と、前記電子部品を保護する保護部と前記外装アンテナ部材に接続される接続部を備える保護接続部材と、を備えていることを特徴とするアンテナ装置である。
【0067】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のアンテナ装置において、前記保護接続部材は、板状部材からなり、前記接続部は、前記外装アンテナ部材に対向して配置されていることを特徴とするアンテナ装置である。
【0068】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置において、前記保護接続部材は、前記外装アンテナ部材に対する接触抵抗が小さくなるように形成されていることを特徴とするアンテナ装置である。
【0069】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のアンテナ装置において、前記保護接続部材は、前記外装アンテナ部材に接続される接続部が、前記電子部品の外部から前記ケース本体の上面に沿って延長された上、折り返されて前記外装アンテナ部材の下面に対向して配置されることを特徴とするアンテナ装置である。
【0070】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のアンテナ装置において、前記ケース本体と前記外装アンテナ部材との間には、前記保護接続部材の前記接続部が挿入する挿入溝部が挿入方向に長く設けられていることを特徴とするアンテナ装置である。
【0071】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のアンテナ装置において、前記挿入溝部は、前記接続部が挿入する挿入口の上下幅が広く、奥部に向かうに従って次第に狭く形成されていることを特徴とするアンテナ装置である。
【0072】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載のアンテナ装置において、前記電子部品と前記外装アンテナ部材との距離が短く設定されていることを特徴とするアンテナ装置である。
【0073】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれかに記載のアンテナ装置において、前記電子部品は、前記ケース本体の外部環境を検出するセンサであることを特徴とするアンテナ装置である。
【0074】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8のいずれかに記載されたアンテナ装置を備えていることを特徴とする時計である。