(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。また、各図において、同一又は同様の構成を有する構造物が複数存在する場合には、煩雑となることを回避するため、一部に符号を付し、他に同一符号を付すことを省く場合がある。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、本実施形態の第1の実施例に係るダイヘッド100を用いた塗布工程の様子を示す斜視図である。本実施形態においては、リチウムイオン電池の電極シート材を製造する一工程である、電極シート500に電極層510をストライプ状に形成する塗布工程を一実施例として説明する。ここで電極シート500は塗工対象である被塗布材であり、電極層510を形成するためのスラリー状の電極材料はダイヘッド100から吐出される塗布液である。塗工装置は、電極シート500を一方向へ送り出す搬送ローラー410と、搬送ローラー410の近傍において電極シート500の搬送方向(白抜き矢印の方向)に直交するように設置されたダイヘッド100とを含む。
【0011】
ダイヘッド100は、塗布液を吐出する吐出工具である。ダイヘッド100には、チューブ420が接続されている。チューブ420は、不図示の貯留タンクからポンプによる輸送圧を受けて塗布液をダイヘッド100へ供給する。搬送ローラー410の回転速度やポンプによる輸送圧は、意図された電極層が形成されるように、不図示の制御部によって制御される。
【0012】
ダイヘッド100は、電極シート500の塗布領域のうち、搬送方向に直交する幅方向に沿って一列に4つの開口部を備え、それぞれから塗布液が吐出される。吐出された塗布液は、電極シート500上でそれぞれ一定の高さ(塗布厚)をもって電極層510を形成する。電極層510は、その後の乾燥工程を経て固化する。
【0013】
なお、図示するようにx軸、y軸およびz軸を定める。すなわち、電極シート500の搬送方向がx軸方向であり、電極シート500の幅方向がy軸方向であり、電極シート500の塗布面に垂直な方向がz軸方向である。以後の図面においてもダイヘッド100が
図1のように設置された状態を基準とする同様の座標軸を併記することにより、それぞれの図面が表す構造物の向きを示す。また、本実施形態においては、図面の簡略化のため構造物を互いに締結する締結構造を省いて図示する。実際には、ダイヘッド100は、締結構造として、ボルトやナット、雌ねじ孔や座繰りなどを有する。
【0014】
図2は、組み立てられた状態のダイヘッド100の斜視図である。ダイヘッド100は、主に、第1固定ブロック110、第2固定ブロック120、第1開口モジュール130、第2開口モジュール140、シム160によって構成されている。
【0015】
第1固定ブロック110および第2固定ブロック120は、電極シート500の塗布領域よりも幅広な長手方向を有する、全体的には直方体に近い金属ブロックである。第1開口モジュール130は、第1固定ブロック110および第2固定ブロック120の長手方向(y軸方向)に沿って配列された、第1ブロック131、第2ブロック132、第3ブロック133、第4ブロック134の集合体である。第2開口モジュール140は、同じく第1固定ブロック110および第2固定ブロック120の長手方向に沿って配列された、第1ブロック141、第2ブロック142、第3ブロック143、第4ブロック144の集合体である。
【0016】
第1開口モジュール130および第2開口モジュール140は、長手方向に沿って互いに対向するように組み合わされることにより、開口部150の少なくとも一部の内壁面を形成する開口ユニットとして機能する。第1固定ブロック110および第2固定ブロック120は、開口ユニットおよびシム160を挟み込んでこれらを固定する固定ユニットとして機能する。
【0017】
このようにして、第1固定ブロック110、第2固定ブロック120、第1開口モジュール130、第2開口モジュール140、シム160が一体化されると、塗布液である電極材料を吐出する開口部150が4つ形成される。具体的には、x軸方向に対向して配置された第1開口モジュール130の第1ブロック131と第2開口モジュール140の第1ブロック141の間に第1開口部151が、同様に、第2ブロック132と第2ブロック142の間に第2開口部152が、第3ブロック133と第3ブロック143の間に第3開口部153が、第4ブロック134と第4ブロック144の間に第2開口部154が形成される。第1開口部151、第2開口部152、第3開口部153、第4開口部154は、y軸方向に沿って一列に形成される。
【0018】
それぞれx軸方向に対向して配置された第1ブロック131と第1ブロック141の組と、第2ブロック132と第2ブロック142の組は、y軸方向に隣接しており、その境界部には、溝部が設けられている。同様に、第2ブロック132と第2ブロック142組と第3ブロック133と第3ブロック143の組の境界部、第3ブロック133と第3ブロック143の組と第4ブロック134と第4ブロック144の組の境界部にも、溝部が設けられている。溝部の具体的な構造やその機能については、後に詳述する。
【0019】
図3は、ダイヘッド100の一部の要素を分けて示す斜視図である。シム160は、金属薄板であり、第1ブロック131〜第4ブロック134が固定された第1固定ブロック110と、第1ブロック141〜第4ブロック144が固定された第2固定ブロック120に挟まれることによって塗布液を通過させる流路を形成する。
【0020】
シム160は、長手方向であるy軸方向に延在する基部161と、基部161から開口ユニット側へ延在する5つの櫛部162を有する。すなわち、基部161と互いに隣接する2つの櫛部162によって囲まれたU字状の空間が塗布液を通過させる流路となる。それぞれの櫛部162は、第1ブロック131と第1ブロック141の組、第2ブロック132と第2ブロック142の組、第3ブロック133と第3ブロック143の組、第4ブロック134と第4ブロック144の組のそれぞれにおいてy軸方向の両端部に挟まれるように配置されている。
【0021】
したがって、第1開口部151は、第1ブロック131、第1ブロック141および隣接する2つの櫛部162の先端部によって形成される。同様に、第2開口部152は、第2ブロック132、第2ブロック142および隣接する2つの櫛部162の先端部によって、第3開口部153は、第3ブロック133、第3ブロック143および隣接する2つの櫛部162の先端部によって、第4開口部154は、第4ブロック134、第4ブロック144および隣接する2つの櫛部162の先端部によってそれぞれ形成される。図示するように、隣り合う櫛部162どうしの間隔は、それぞれLD
1、LD
2、LD
3、LD
4であり、これらは、それぞれ第1開口部151、第2開口部152、第3開口部153、第4開口部154の開口幅となる。
【0022】
第2固定ブロック120は、供給口121と、供給口121に連通する長手方向に沿って半円筒状にくり抜かれたマニホールド122を有する。供給口121は、上述のチューブ420に接続されており、供給口121からマニホールド122へ塗布液が供給される。塗布液は一時的にマニホールド122に貯留された後に、シム160のいずれかのU字に囲まれた流路を通過して、第1開口部151、第2開口部152、第3開口部153、第4開口部154のいずれかから吐出される。
【0023】
図4は、開口モジュールと固定ブロックの関係を示す斜視図である。特に、第2開口モジュール140と第2固定ブロック120の関係を示す斜視図である。上述のように、第2開口モジュール140は、y軸方向に沿って配列された第1ブロック141、第2ブロック142、第3ブロック143、第4ブロック134の集合体である。第2固定ブロック120は、長手方向に沿って装着座123を有し、第2開口モジュール140は、装着座123に装着され、固定される。第1固定ブロック110も同様の装着座を有し、第1開口モジュール130は、当該装着座に装着され、固定される。
【0024】
第1開口モジュール130を構成する第1ブロック131、第2ブロック132、第3ブロック133、第4ブロック134、第2開口モジュール140を構成する第1ブロック141、第2ブロック142、第3ブロック143、第4ブロック134のそれぞれは、第1固定ブロック110および第2固定ブロックよりも硬質の素材が用いられる。例えば、開口モジュールのそれぞれのブロックの素材として超硬合金を採用し、固定ブロックの素材としてステンレス鋼を採用するとよい。このように、開口部を開口モジュールで形成し、本体部である固定ブロックと分離したうえで開口モジュールを硬質素材とすることにより、塗布液を均一に塗布するための開口部におけるエッジ精度の確保と、高い耐摩耗性を実現している。一方で、体積比でダイヘッド100の多くを占める固定ブロックをステンレス鋼等で成形することにより、コストの低減を図ることができる。
【0025】
また、本実施例においては、第1開口モジュール130および第2開口モジュール140をそれぞれ分割された4つのブロックで構成する。このように構成することにより、高温の塗布液を流通させる場合に、固定ブロックの素材と開口モジュールの素材の熱膨張係数に差があっても、開口部の位置精度の低下を抑えることができる。例えば、開口モジュールが一本の長いブロックで形成されて固定ブロックに固定されていると、開口モジュールに反りが生じたり局所的に応力が集中したりする。しかし、複数のブロックに分割し、境界部に熱膨張を考慮した間隙を設けておけば、反りを抑え、応力を逃がすことができるので、温度変化があっても開口部の位置は安定する。
【0026】
また、後述するように、開口モジュールには溝部を形成するが、開口モジュールが複数のブロックに分割されていると、溝部を形成する加工が容易である。なお、開口モジュールを複数のブロックで構成するか否かは、熱膨張を考慮すべき態様でダイヘッドを利用するか否か、加工が困難な程度に長手方向の長さが長いか否か等により決定すればよい。また、分割する場合の分割数は、形成されるストライプ状の電極層510の条数に応じて決定されることが望ましい。すなわち、一つのブロックが整数個の開口部を形成するように分割されることが望ましい。換言すれば、一つの開口部が長手方向に連なる複数のブロックに跨いで形成されることは望ましくない。本実施例の場合、それぞれのブロックは1つの開口部を形成している。すなわち、第1開口モジュール130および第2開口モジュール140のそれぞれは、互いに隣接する2つの開口部の間(第1開口部151と第2開口部152の間、第2開口部152と第3開口部153の間、第3開口部153と第4開口部154の間)で分割されたそれぞれ4つのブロックによって構成されている。
【0027】
図5は、開口モジュールを構成するブロックの斜視図である。特に、第2開口モジュール140の第2ブロック142を代表として説明する。第2ブロック142は、全体的には直方体に近い形状であるが、開口部を形成する稜線部分には被塗布材の塗布面側に向かって(z軸正方向)凸状に突き出したリブ142aが設けられている。そして、リブ142aには、第1ブロック141と隣接する側の端に切欠き142bが、第3ブロック143と隣接する側の端に切欠き142cが設けられている。組となる第2ブロック132と対向する内壁面142dの一部は、第2開口部152の内壁面を構成する。
【0028】
開口モジュールを構成する他のブロックも同様の構成を有する。ただし、第1ブロック131、第1ブロック141、第4ブロック134、第4ブロック144は、他のブロックと隣接しない端に切欠きは設けられていない。
【0029】
図6は、溝部の拡大図である。ここでは、第1ブロック131と第1ブロック141の組と、第2ブロック132と第2ブロック142の組が互いに隣接する境界部分に設けれた溝部について説明する。シム160は、第1ブロック131と第1ブロック141の間、第2ブロック132と第2ブロック142の間に挟み込まれており、特に図示する境界部分においては、一つの櫛部162を、第1ブロック131と第1ブロック141、第2ブロック132と第2ブロック142が共に挟み込んでいる。
【0030】
第1ブロック131のリブ131aの当該境界部分における端部には切欠き131cが、第1ブロック141のリブ141aの当該境界部分における端部には切欠き141cが設けられている。同様に、第2ブロック132のリブ132aの当該境界部分における端部には切欠き132bが、第2ブロック142のリブ142aの当該境界部分における端部には切欠き142bが設けられている。また、これらのリブの切欠きに合わせて、シム160の櫛部162には、凹状の切欠き162aが設けられている。
【0031】
このように、切欠き131c、141c、132b、142b、162aによって、第1ブロック131と第1ブロック141の組と、第2ブロック132と第2ブロック142の組が互いに隣接する境界部分に、x軸方向から観察した場合に凹形状となる溝部が形成される。第2ブロック132と第2ブロック142の組と、第3ブロック133と第3ブロック143の組が互いに隣接する境界部分、第3ブロック133と第3ブロック143の組と、第4ブロック134と第4ブロック144の組が互いに隣接する境界部分にも、同様に凹形状となる溝部が形成される。
【0032】
なお、本実施例において溝部の形状はx軸方向から観察した場合に凹形状であるが、もちろん角部にRをもたせたり面取りを施してもよいし、U字形状や他の形状を採用してもよい。また、本実施例においては、隣接するリブの端部にそれぞれ切欠きを設けたが、一方のリブの端部にのみ切欠きを設けてもよい。例えば、第1ブロック131、141側のリブ131a、141aにそれぞれ切欠き131c、141cを設け、第2ブロック132、142側のリブ132a、142aには切欠き132b、142bを設けないようにしてもよい。この場合、櫛部162に設けられる切欠き162aも、切欠き131c、141cの形状に合致するように形成すればよい。
【0033】
図7は、開口部断面図および溝部断面図である。具体的には、
図7(A)は、第2開口部152付近の一断面を拡大して示す図であり、
図7(B)は、第1開口部151と第2開口部152の間の溝部の一断面図を拡大して示す図である。いずれも、電極シート500に対して塗布液である電極材料を吐出して電極層510を形成する様子を示す。
【0034】
図7(A)に示すように、ダイヘッド100が使用状態にあると、ダイヘッド100の周辺空間は、電極シート500へ向かって突出して設けられているリブ132a、142aを境としてy軸方向に沿って上流側空間と下流側空間に区分される。電極シート500は、太線矢印で示す下流方向(x軸プラス方向)へ向かって搬送されている。第2開口部152から連続的に吐出される電極材料は、リブ142aの先端と電極シート500の表面のギャップを埋めつつ、下流方向において電極層510を形成する。したがって、電極材料が吐出されている範囲においては、上流側空間から下流側空間への空気の移動が妨げられる。
【0035】
このように空気の移動が妨げられると、進行する被塗布材(シート)に対してダイヘッドの先端部によって区分される上流側空間と下流側空間の間には圧力差が生じる。従来技術においては、被塗布材上にストライプ塗工を施す場合に、非塗布部においてダイヘッドの先端部と被塗布材のギャップが塗布層分の高さしかなく、非塗布部に大きな負圧がかかっていた。非塗布部に大きな負圧がかかると、ダイヘッドの先端部がシートを引き寄せてしまい、搬送されるシートの平面性を悪化させ、ひいては塗布厚のばらつきを引き起こすこともあった。
【0036】
本実施例におけるダイヘッド100は、これまで説明してきたように、非塗布部に溝部が設けられている。すなわち
図7(B)に示すように、切欠き132b、142b、162a等によって上流側空間と下流側空間を連通する流路を拡大している。これにより、上流側空間の空気が下流側空間へより多く流通し、上流側空間と下流側空間の気圧差を軽減する。これにより生じる負圧を抑制することができるので、シートの平面性を維持し、ひいては塗布厚のばらつきを抑えることができる。
【0037】
本実施例においては、
図1にも示すように、4つの溝部を設けている。4つの溝部の流路断面の断面積は、互いに同一でもよいし異ならせてもよい。例えば、ダイヘッド100の幅方向であるy軸方向に対して端側に設けられた溝部の断面積と中央側に設けられた溝部の断面積を異ならせる。具体的には、ダイヘッド100の幅が比較的広く、上流側空間と下流側空間の圧力差が中央側で顕著に現れる場合には、略中央に位置する第2開口部152と第3開口部153の間の溝部の断面積を隣接する溝部の断面積よりも大きくするとよい。また、中央側の溝部より端部側の溝部の空気の流通量を増やしたい場合には、第1開口部151と第2開口部152の間の溝部の断面積、および第3開口部153と第4開口部154の間の溝部の断面積を大きくすればよい。
【0038】
次に、本実施形態における他の実施例について説明する。
図8は、他の実施例におけるダイヘッド200の斜視図および部分拡大図である。ダイヘッド200は、開口ユニットと固定ユニットが一体化されている点でダイヘッド100と異なる。具体的には、第1固定ブロック210は、ダイヘッド100における第1固定ブロック110に第1ブロック131〜第4ブロック134を取り込んで一体化した形状を成し、第2固定ブロック220は、ダイヘッド100における第2固定ブロック120に第1ブロック141〜第4ブロック144を取り込んで一体化した形状を成す。シム160は、ダイヘッド100に採用されたシム160と同一であり、第1固定ブロック210と第2固定ブロック220に挟まれて塗布液が流通する流路を形成する。例えば、開口部251は、第1固定ブロック210の稜線部に形成されたリブ211a、第2固定ブロック220の稜線部に形成されたリブ221a、およびシム160の櫛部162に囲まれて形成される。
【0039】
また、溝部は、リブ211aに設けられた切欠き211b、リブ221aに設けられた切欠き221b、シム160の櫛部162に設けられた切欠き162aによって形成される。ダイヘッド200においても、溝部は隣接する2つの開口部の間にそれぞれ設けられている。ダイヘッド200の構成によれば、ダイヘッド100よりも部品点数を減らすことができる。なお、第1固定ブロック210および第2固定ブロック220の素材は、使用目的に応じて決定すればよく、例えばステンレス鋼が用いられる。
【0040】
図9は、更に他の実施形例におけるダイヘッド300の斜視図および部分拡大図である。ダイヘッド300は、二層塗工用である点で、一層塗工用のダイヘッド100と異なる。すなわち、ダイヘッド300は、被塗布材(シート)の塗布面に第1塗布材を塗布すると共に、第1塗布材に重ねて第2塗布剤を塗布するための吐出工具である。
【0041】
ダイヘッド300は、主に、第1固定ブロック310、第2固定ブロック320、第3固定ブロック390、第1開口モジュール330、第2開口モジュール340、第3開口モジュール380、第1シム360、第2シム370によって構成されている。
【0042】
第1固定ブロック310、第2固定ブロック320および第3固定ブロック390は、電極シート500の塗布領域よりも幅広な長手方向を有する。第1固定ブロック310および第2固定ブロック320は、全体的には直方体に近い金属ブロックであり、第3固定ブロック390は、全体的に三角柱に近い金属ブロックである。第1開口モジュール330は、第1開口モジュール130と同様に、長手方向に沿って配列された4つのブロック(例えば第1ブロック331)の集合体である。同様に、第2開口モジュール340は、長手方向に沿って配列された4つのブロック(例えば第1ブロック341)の集合体であり、第3開口モジュール380は、長手方向に沿って配列された4つのブロック(例えば第1ブロック381)の集合体である。
【0043】
第1開口モジュール330および第3開口モジュール380は、長手方向に沿って互いに対向するように組み合わされることにより、一層用開口部350aの少なくとも一部の内壁面を形成する開口ユニットとして機能する。第1固定ブロック310および第3固定ブロック390は、開口ユニットおよび第1シム360を支持し、挟み込んでこれらを固定する固定ユニットとして機能する。第2開口モジュール340および第3開口モジュール380は、長手方向に沿って互いに対向するように組み合わされることにより、二層用開口部350bの少なくとも一部の内壁面を形成する開口ユニットとして機能する。第2固定ブロック320および第3固定ブロック390は、開口ユニットおよび第2シム370を支持し、挟み込んでこれらを固定する固定ユニットとして機能する。
【0044】
このようにして、第1固定ブロック310、第2固定ブロック320、第3固定ブロック390、第1開口モジュール330、第2開口モジュール340、第3開口モジュール380、第1シム360、第2シム370が一体化されると、第1塗布液を吐出する一層用開口部350aが4つ、第2塗布液を吐出する二層用開口部350bが4つ、それぞれy軸方向に沿って一列に形成される。
【0045】
溝部は、隣接する2つの一層用開口部350a、隣接する2つの二層用開口部350bのそれぞれの間に設けられている。ここでは、一層用第2開口部352aと一層用第3開口部353aの間、および二層用第2開口部352bと二層用第3開口部353bの間に設けられている溝部について説明する。
【0046】
第1開口モジュール330のcはx軸方向に沿って配列されたひとつの組を構成する。同様に、第1開口モジュール330の第3ブロック333、第2開口モジュール340の第3ブロック343、第3開口モジュール380の第3ブロック383はx軸方向に沿って配列されたひとつの組を構成する。これらの組はy軸方向にそって互いに隣接している。それぞれの組を構成する各ブロックには、被塗布材の塗布面側に向かって(z軸正方向)凸状に突き出したリブが設けられている。これらのリブと第1シム360の櫛部362、第2シム370の櫛部372によって、一層用第2開口部352a、一層用第3開口部353a、二層用第2開口部352b、二層用第3開口部353bが形成されている。
【0047】
y軸方向に沿って隣接する2つのリブは、境界部分にそれぞれ切欠きが設けられている。また、これらのリブの切欠きに合わせて、第1シム360の櫛部362、第2シム370の櫛部372には、凹状の切欠き162aが設けられている。これらの切欠きによって、第2ブロック332、第2ブロック342、第2ブロック382の組と、第3ブロック333、第3ブロック343、第3ブロック383の組が互いに隣接する境界部分に、x軸方向から観察した場合に凹形状となる溝部が形成される。ダイヘッド300は、このような溝部をy軸方向に沿って3つ有する。ダイヘッド300の構成によれば、被塗布材に2層のストライプ塗工を施す場合であっても、上流側空間と下流側空間の気圧差を軽減することができる。
【0048】
以上、いくつかの実施例を通じて本実施形態を説明したが、y軸方向に沿って設けられる開口部の数は4つに限らない。ストライプ塗工の条数に応じた開口部を設ければよい。このとき、長手方向に沿って設けられた開口部と開口部の間のすべてに溝部を設けなくてもよく、塗布条件や想定される発生負圧などの条件に応じて溝部の数や断面積の大きさを適宜決定すればよい。
【解決手段】ダイヘッドは、一方向へ沿って複数設けられた、塗布液を吐出する開口部と、互いに隣接する2つの開口部の間に設けられた、一方向に沿って区分される一方側の空間と他方側の空間を連通する溝部とを備える。このように構成されたダイヘッドによれば、非塗布部において一方側の空間と他方側の空間の間でより多くの通気を確保できるので、負圧の発生を抑制することができ、シートの平面性を維持することができる。