特許第6938105号(P6938105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6938105毛髪処理用組成物及び毛髪処理用ミスト化粧料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6938105
(24)【登録日】2021年9月3日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】毛髪処理用組成物及び毛髪処理用ミスト化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20210909BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20210909BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20210909BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20210909BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20210909BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20210909BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61K8/86
   A61K8/34
   A61Q5/00
   A61Q5/06
   A61K8/02
   A61K8/60
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-544330(P2019-544330)
(86)(22)【出願日】2018年7月20日
(86)【国際出願番号】JP2018027366
(87)【国際公開番号】WO2019064851
(87)【国際公開日】20190404
【審査請求日】2019年10月2日
(31)【優先権主張番号】特願2017-184717(P2017-184717)
(32)【優先日】2017年9月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 佳和
【審査官】 駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−025728(JP,A)
【文献】 特開2013−063918(JP,A)
【文献】 特開2012−126680(JP,A)
【文献】 特開2012−025744(JP,A)
【文献】 特開2010−275310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に充填されて、ポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーにより、ミスト状に吐出される毛髪処理用組成物であって、
下記成分Aと、下記成分Bと、下記成分Cと、下記成分D(但し、糖アルコールの酸化アルキレン付加重合物を除く)とを含有し、
前記成分Aが、下記成分A11を含み、
前記成分Dが、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、及びモノイソステアリン酸ポリオキシエチレンブチレングリコールからなる群より選ばれる非イオン性界面活性剤を含み、
前記成分Cの含有量が、40質量%以上、80質量%以下である、毛髪処理用組成物。
成分A:皮膜形成ポリマー
成分A11:(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマー、及び(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーからなる群より選ばれるアニオン性皮膜形成ポリマー
成分B:糖アルコールの酸化アルキレン付加重合物
成分C:エタノール
成分D:非イオン性界面活性剤
【請求項2】
前記成分Bが、下記成分B1を含む、請求項に記載の毛髪処理用組成物。
成分B1:ポリオキシプロピレンソルビット
【請求項3】
整髪剤組成物である、請求項1又は2に記載の毛髪処理用組成物。
【請求項4】
容器本体とポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーとを有する容器と、
請求項1〜のいずれか1項に記載の毛髪処理用組成物とを備え、
前記容器内に、前記毛髪処理用組成物が充填されている、毛髪処理用ミスト化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に充填されて、ポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーにより、ミスト状に吐出される毛髪処理用組成物に関する。また、本発明は、上記毛髪処理用組成物を用いた毛髪処理用ミスト化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
容器内に充填されて、ポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーにより、ミスト状に吐出される毛髪処理用組成物が知られている。該組成物をミスト状に吐出する場合には、該組成物を毛髪に対して広範囲に均一に塗布することができるとともに、塗布後の毛髪からの垂落ちが抑えられるので、使用感に優れる。
【0003】
従来、ミスト状に吐出される毛髪処理用組成物では、組成設計によって、整髪性能が付与されていたり、コンディショニング性能が付与されていたりする。
【0004】
ミスト状に吐出可能な毛髪処理用組成物が、下記の特許文献1〜3に開示されている。
【0005】
下記の特許文献1には、重量平均分子量1000以上、16万未満のビニルピロリドン系重合体0.01〜10.0重量%と、重量平均分子量16万以上、3000万以下のビニルピロリドン系重合体0.01〜5.0重量%と、水とを含む組成物が開示されている。この組成物は、ミスト状に吐出されてもよい。
【0006】
下記の特許文献2には、ヒドロキシアルキル尿素と、アルキレンオキシド誘導体と、親水性のポリエーテル変性シリコーンとを含む組成物が開示されている。この組成物は、ミスト状に吐出されてもよい。
【0007】
下記の特許文献3には、特定の構造単位を有する2種類の共重合体と、エタノールと、水とを含む組成物が開示されている。この組成物は、ミスト状に吐出される組成物である。
【0008】
また、市販されている一般的な毛髪処理用組成物では、優れた整髪特性を発揮させるために、毛髪上に強固な皮膜を形成させることができる皮膜形成成分(皮膜形成ポリマー)が多量に配合されていることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−081786号公報
【特許文献2】特開2009−234985号公報
【特許文献3】特開2017−036229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ミスト状に吐出される毛髪処理用組成物に皮膜形成成分(皮膜形成ポリマー)が配合されていると、優れた整髪性能を付与することができる。しかし、毛髪処理用組成物に皮膜形成成分(皮膜形成ポリマー)が配合されていると、毛髪間に形成された皮膜が硬くなりすぎ、手櫛や風といった外的な衝撃によって、整髪された髪型が崩れやすい。さらに、毛髪間に形成された皮膜が一旦崩壊してしまうと、整髪された髪型を長時間保持できなくなる。
【0011】
上記特許文献1のような組成物では、整髪力をある程度良好にすることができるものの、外的な衝撃によって整髪された髪型が崩れやすく、整髪された髪型を長時間保持できないことがある。
【0012】
上記特許文献2及び特許文献3のような組成物では、外的な衝撃によって整髪された髪型が崩れやすく、整髪された髪型を長時間保持できないことがある。
【0013】
本発明の目的は、容器内に充填されて、ポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーにより、ミスト状に吐出されたときに、外的な衝撃を受けても整髪された髪型が崩れにくく、整髪された髪型を長時間保持できる毛髪処理用組成物を提供することである。また、本発明は、上記毛髪処理用組成物を用いた毛髪処理用ミスト化粧料を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、容器内に充填されて、ポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーにより、ミスト状に吐出される毛髪処理用組成物であって、下記成分(A)と、下記成分(B)と、下記成分(C)とを含有する、毛髪処理用組成物を提供する。
【0015】
成分(A):皮膜形成ポリマー
成分(B):糖アルコールの酸化アルキレン付加重合物
成分(C):エタノール
【0016】
本発明の毛髪処理用組成物は、前記成分(A)が、下記成分(A1)を含むことが好ましい。
【0017】
成分(A1):必須のモノマー成分として(メタ)アクリル酸アルキルを用いて得られるアニオン性皮膜形成ポリマー
【0018】
本発明の毛髪処理用組成物は、前記成分(A)が、下記成分(A11)を含むことが好ましい。
【0019】
成分(A11):(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマー、及び(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーからなる群より選ばれるアニオン性皮膜形成ポリマー
【0020】
本発明の毛髪処理用組成物は、前記成分(B)が、下記成分(B1)を含むことが好ましい。
【0021】
成分(B1):ポリオキシプロピレンソルビット
【0022】
本発明の毛髪処理用組成物は、下記成分(D)を含有することが好ましい。
【0023】
成分(D):非イオン性界面活性剤
【0024】
本発明の毛髪処理用組成物は、前記成分(D)が、下記成分(D1)を含むことが好ましい。
【0025】
成分(D1):モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレンブチレングリコール、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油からなる群より選ばれる非イオン性界面活性剤
【0026】
本発明の毛髪処理用組成物は、整髪剤組成物であることが好ましい。
【0027】
本発明は、容器本体とポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーとを有する容器と、上述した毛髪処理用組成物とを備え、前記容器内に、前記毛髪処理用組成物が充填されている、毛髪処理用ミスト化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0028】
本発明の毛髪処理用組成物は、容器内に充填されて、ポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーにより、ミスト状に吐出される毛髪処理用組成物である。本発明の毛髪処理用組成物は、特定の成分(A)、成分(B)、成分(C)を含有するので、容器内に充填されて、ポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーにより、ミスト状に吐出されたときに、外的な衝撃を受けても整髪された髪型が崩れにくく、整髪された髪型を長時間保持できる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0030】
本発明の毛髪処理用組成物は、容器内に充填されて、ポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーにより、ミスト状に吐出されて用いられる。本発明の毛髪処理用組成物は、ミスト状に吐出されるので、一般的に、25℃で液状の液状組成物である。上記ミスト状には、霧状が含まれる。
【0031】
本発明の毛髪処理用組成物は、皮膜形成ポリマーと、糖アルコールの酸化アルキレン付加重合物と、エタノールとを含有する。
【0032】
本明細書において、上記「皮膜形成ポリマー」を「成分(A)」と称する場合がある。
【0033】
本明細書において、上記「糖アルコールの酸化アルキレン付加重合物」を「成分(B)」と称する場合がある。
【0034】
本明細書において、上記「エタノール」を「成分(C)」と称する場合がある。
【0035】
本発明の毛髪処理用組成物は、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含有する。本発明者らは、毛髪処理用組成物において、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含む組成を採用することで、長時間毛髪間の粘着力が保持される皮膜を形成できることを見出した。上記の組成によって、本発明では、外的な衝撃を受けても整髪された髪型が崩れにくく、整髪された髪型を長時間保持できる。
【0036】
本発明の毛髪処理用組成物は、非イオン性界面活性剤を含有することが好ましい。
【0037】
本明細書において、上記「非イオン性界面活性剤」を「成分(D)」と称する場合がある。
【0038】
本発明の毛髪処理用組成物は、成分(A)〜(D)以外の他の成分を含有していてもよい。
【0039】
上記の成分、例えば、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)や他の成分は、それぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
【0040】
以下、本発明の毛髪処理用組成物に用いられる各成分の詳細を説明する。
【0041】
(成分(A))
成分(A)は、皮膜形成ポリマーである。成分(A)は、主たる整髪成分として機能する。また、成分(A)を、成分(B)及び成分(C)とともに用いることにより、外的な衝撃を受けても整髪された髪型が崩れにくく、整髪された髪型を長時間保持できる。成分(A)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0042】
上記成分(A)としては、アニオン性皮膜形成ポリマー、カチオン性皮膜形成ポリマー、両性皮膜形成ポリマー、及びノニオン性皮膜形成ポリマー等が挙げられる。
【0043】
上記アニオン性皮膜形成ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマー、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー、メチルビニルエーテル/マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/マレイン酸モノブチルエステル/イソボロリルアクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、(スチレン/アクリル酸アルキル)共重合体、(スチレン/アクリル酸アミド)共重合体、ウレタン−アクリル系共重合体、及びポリスチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」と「メタクリル」との双方を意味する。
【0044】
上記カチオン性皮膜形成ポリマーとしては、例えば、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、塩化メチルビニルイミダゾリウム・ビニルピロリドン共重合体、及び(ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ラウリルジメチルアミノプロピルメタクリルアミド)共重合体等が挙げられる。
【0045】
上記両性皮膜形成ポリマーとしては、例えば、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、N,Nジメチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)アミン=N−オキシド・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミド共重合体、ジアルキルアミノエチルメタクリレート/メタクリル酸アルキルエステル共重合体のモノクロル酢酸両性化物、及び(イソブチレン/ジエチルアミノプロピルマレイミド/マレイン酸)共重合体等が挙げられる。
【0046】
上記ノニオン性皮膜形成ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸エチル共重合体、及びポリビニルカプロラクタム等が挙げられる。
【0047】
長時間毛髪間の粘着力が保持される皮膜を形成させて外的な衝撃を受けても整髪された髪型をより一層崩れにくくし、整髪された髪型をより長時間保持する観点から、成分(A)は、必須のモノマー成分として(メタ)アクリル酸アルキルを用いて得られるアニオン性皮膜形成ポリマーを含むことが好ましい。
【0048】
本明細書において、上記「必須のモノマー成分として(メタ)アクリル酸アルキルを用いて得られるアニオン性皮膜形成ポリマー」を「成分(A1)」と称する場合がある。
【0049】
したがって、本発明の毛髪処理用組成物では、成分(A)が、成分(A1)を含むことが好ましい。
【0050】
長時間毛髪間の粘着力が保持される皮膜を形成させて外的な衝撃を受けても整髪された髪型を更により一層崩れにくくし、整髪された髪型を更により長時間保持する観点から、成分(A)は、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマー、及び(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーからなる群より選ばれるアニオン性皮膜形成ポリマー(少なくとも1のアニオン性皮膜形成ポリマー)を含むことがより好ましい。
【0051】
本明細書において、上記「(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマー、及び(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーからなる群より選ばれるアニオン性皮膜形成ポリマー」を「成分(A11)」と称する場合がある。
【0052】
したがって、本発明の毛髪処理用組成物では、成分(A)が、成分(A11)を含むことがより好ましい。
【0053】
本発明の毛髪処理用組成物は、上記成分(A11)として、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーと(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーとの双方を含むことが最も好ましい。
【0054】
上記成分(A11)は、ナトリウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール塩(AMP)、及び2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール塩(AMPD)等を用いて中和されていてもよい。
【0055】
本発明の毛髪処理用組成物100質量%中、成分(A)の含有量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下である。成分(A)の含有量が上記下限以上であると、整髪された髪型がより一層崩れにくくなり、整髪された髪型をより長時間保持できる。成分(A)の含有量が上記上限以下であると、毛髪処理用組成物がディスペンサーの吐出口に残存することによる目詰まりの発生を抑制することができる。成分(A)の含有量は、本発明の毛髪処理用組成物中の全ての成分(A)の含有量の合計である。
【0056】
本発明の毛髪処理用組成物100質量%中、成分(A1)の含有量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下である。成分(A1)の含有量が上記下限以上であると、整髪された髪型がより一層崩れにくくなり、整髪された髪型をより長時間保持できる。成分(A1)の含有量が上記上限以下であると、毛髪処理用組成物がディスペンサーの吐出口に残存することによる目詰まりの発生を抑制することができる。成分(A1)の含有量は、本発明の毛髪処理用組成物中の全ての成分(A1)の含有量の合計である。
【0057】
本発明の毛髪処理用組成物100質量%中、成分(A11)の含有量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下である。成分(A11)の含有量が上記下限以上であると、整髪された髪型がより一層崩れにくくなり、整髪された髪型をより長時間保持できる。成分(A11)の含有量が上記上限以下であると、毛髪処理用組成物がディスペンサーの吐出口に残存することによる目詰まりの発生を抑制することができる。成分(A11)の含有量は、本発明の毛髪処理用組成物中の全ての成分(A11)の合計である。
【0058】
(成分(B))
成分(B)は、糖アルコールの酸化アルキレン付加重合物である。成分(B)を用いることにより、毛髪間に粘着力を付与することができる。また、成分(B)を、成分(A)及び成分(C)とともに用いることにより、外的な衝撃を受けても整髪された髪型が崩れにくく、整髪された髪型を長時間保持できる。成分(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0059】
成分(B)は、例えば、糖アルコールに酸化アルキレンを付加させることで得ることができる。上記糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール、及びマルチトール等が挙げられる。上記酸化アルキレン(オキシアルキレン基)としては、例えば、酸化エチレン(オキシエチレン基)、酸化プロピレン(オキシプロピレン基)等が挙げられる。
【0060】
毛髪間の粘着力を高めることで外的な衝撃を受けても整髪された髪型をより一層崩れにくくし、整髪された髪型をより長時間保持する観点から、成分(B)は、ポリオキシプロピレンソルビットを含むことが好ましい。ポリオキシプロピレンソルビットは、ソルビトールの酸化プロピレン付加重合物である。
【0061】
本明細書において、上記「ポリオキシプロピレンソルビット」を「成分(B1)」と称する場合がある。
【0062】
したがって、本発明の毛髪処理用組成物では、成分(B)が、成分(B1)を含むことが好ましい。
【0063】
なお、成分(B1)は、成分(D)とは異なる成分である。
【0064】
成分(B)が、成分(B1)を含む場合、成分(B1)の数平均分子量は、特に限定されない。整髪した毛髪間に良好な粘着力を付与する観点から、成分(B1)の数平均分子量は、好ましくは200以上、より好ましくは300以上、好ましくは1000以下、より好ましくは900以下である。
【0065】
本発明の毛髪処理用組成物100質量%中、成分(B)の含有量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下である。成分(B)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、整髪された髪型がより一層崩れにくくなり、整髪された髪型をより長時間保持できる。成分(B)の含有量は、本発明の毛髪処理用組成物中の全ての成分(B)の含有量の合計である。
【0066】
本発明の毛髪処理用組成物100質量%中、成分(B1)の含有量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下である。成分(B1)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、整髪された髪型がより一層崩れにくくなり、整髪された髪型をより長時間保持できる。成分(B1)の含有量は、本発明の毛髪処理用組成物中の全ての成分(B1)の含有量の合計である。
【0067】
(成分(C))
成分(C)は、エタノールである。成分(C)を用いることにより、毛髪処理用組成物をミスト状に良好に吐出でき、毛髪処理用組成物の吐出安定性を高めることができる。さらに、成分(C)を用いることにより、塗布時の速乾性を高めるとともに、べたつきを低減することができる。
【0068】
本発明の毛髪処理用組成物100質量%中、成分(C)の含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。成分(C)の含有量が上記下限以上であると、吐出安定性をより一層高めることができる。
【0069】
(成分(D))
成分(D)は、非イオン性界面活性剤である。成分(D)を用いることにより、髪を纏め、太い毛束を作りやすくなる。また、成分(D)を用いることにより、成分(A)による整髪性能を効果的に高めることができる。また、成分(D)を用いることにより、毛髪処理用組成物を良好に吐出することができる。成分(D)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0070】
成分(D)としては、例えば、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル等の直鎖型ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンブチレングリコールエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリンエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレントリメチロールプロパンエーテル脂肪酸エステル等の多鎖型ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキレングリコール脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0071】
上記ポリオキシエチレンブチレングリコールエーテル脂肪酸エステルとしては、例えば、イソステアリン酸ポリオキシエチレンブチレングリコール、及びジイソステアリン酸ポリオキシエチレンブチレングリコール等が挙げられる。なお、上記ポリオキシエチレンブチレングリコールエーテル脂肪酸エステルの酸化エチレン(ポリオキシエチレン基)の平均付加モル数は、特に限定されないが、5以上であることが好ましく、70以下であることが好ましい。
【0072】
上記ポリオキシエチレングリセリンエーテル脂肪酸エステルとしては、例えば、モノラウリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ジステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ジイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、及びトリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル等が挙げられる。なお、上記ポリオキシエチレングリセリンエーテル脂肪酸エステルの酸化エチレン(ポリオキシエチレン基)の平均付加モル数は、特に限定されないが、3以上であることが好ましく、70以下であることが好ましい。
【0073】
上記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、及びトリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられる。なお、上記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの酸化エチレン(ポリオキシエチレン基)の平均付加モル数は、特に限定されないが、10以上であることが好ましく、200以下であることが好ましい。
【0074】
上記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。なお、上記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテルの酸化エチレン(ポリオキシエチレン基)の平均付加モル数は、特に限定されないが、10以上であることが好ましく、120以下であることが好ましい。
【0075】
上記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル脂肪酸エステルとしては、例えば、モノラウリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、及びトリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。なお、上記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル脂肪酸エステルの酸化エチレン(ポリオキシエチレン基)の平均付加モル数は、特に限定されないが、3以上であることが好ましく、70以下であることが好ましい。
【0076】
上記ポリオキシエチレントリメチロールプロパンエーテル脂肪酸エステルとしては、例えば、トリミリスチン酸ポリオキシエチレントリメチロールプロパン、ジステアリン酸ポリオキシエチレントリメチロールプロパン、トリステアリン酸ポリオキシエチレントリメチロールプロパン、及びトリイソステアリン酸ポリオキシエチレントリメチロールプロパン等が挙げられる。なお、上記ポリオキシエチレントリメチロールプロパンエーテル脂肪酸エステルの酸化エチレン(ポリオキシエチレン基)の平均付加モル数は、特に限定されないが、3以上であることが好ましく、50以下であることが好ましい。
【0077】
成分(A)による整髪性能をより一層効果的に高め、また、外的な衝撃を受けても整髪された髪型をより一層崩れにくくし、整髪された髪型をより長時間保持する観点から、成分(D)は、多鎖型ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルを含むことが好ましい。
【0078】
したがって、本発明の毛髪処理用組成物では、成分(D)が、多鎖型ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルを含むことが好ましい。
【0079】
成分(A)による整髪性能をより一層効果的に高め、また、外的な衝撃を受けても整髪された髪型を更により一層崩れにくくし、整髪された髪型を更により長時間保持する観点から、成分(D)は、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレンブチレングリコール、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油からなる群より選ばれる非イオン性界面活性剤(少なくとも1の非イオン性界面活性剤)を含むことがより好ましい。
【0080】
本明細書において、上記「モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレンブチレングリコール、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油からなる群より選ばれる非イオン性界面活性剤」を「成分(D1)」と称する場合がある。
【0081】
したがって、本発明の毛髪処理用組成物では、成分(D)が、成分(D1)を含むことがより好ましい。
【0082】
本発明の毛髪処理用組成物100質量%中、成分(D)の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下である。成分(D)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、成分(A)による整髪性能をより一層効果的に高め、また、整髪された髪型がより一層崩れにくくなり、整髪された髪型をより長時間保持できる。成分(D)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、毛髪処理用組成物をより一層良好に吐出することができる。成分(D)の含有量は、本発明の毛髪処理用組成物中の全ての成分(D)の含有量の合計である。
【0083】
本発明の毛髪処理用組成物100質量%中、成分(D1)の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下である。成分(D1)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、成分(A)による整髪性能をより一層効果的に高め、また、整髪された髪型がより一層崩れにくくなり、整髪された髪型をより長時間保持できる。成分(D1)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、毛髪処理用組成物をより一層良好に吐出することができる。成分(D1)の含有量は、本発明の毛髪処理用組成物中の全ての成分(D1)の含有量の合計である。
【0084】
(他の成分)
本発明の毛髪処理用組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、水を含有していてもよい。
【0085】
本発明の毛髪処理用組成物が水を含有する場合に、本発明の毛髪処理用組成物100質量%中、水の含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。水の含有量が上記上限以下であると、毛髪処理用組成物を良好にミスト状に吐出でき、また、塗布時の速乾性を良好に高めるとともに、べたつきを良好に低減することができる。
【0086】
本発明の毛髪処理用組成物は、上述した成分(A)〜(D)とは異なる成分として、多価アルコール、炭素数12〜18の高級アルコール、エステル油、炭化水素油、油脂、シリコーン油、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、植物抽出エキス、顔料、pH調整剤、香料、及び防腐剤等を含有していてもよい。
【0087】
上記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、及びポリオキシプロピレンメチルグルコシド等が挙げられる。
【0088】
上記炭素数12〜18の高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、及びオレイルアルコール等が挙げられる。
【0089】
上記エステル油としては、例えば、パルミチン酸イソプロピル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、及びイソステアリン酸ポリグリセリル等が挙げられる。
【0090】
上記炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、ワセリン、スクワレン、及びスクワラン等が挙げられる。
【0091】
上記油脂としては、例えば、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、及びアボカド油等が挙げられる。
【0092】
上記シリコーン油としては、例えば、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、及びメチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。
【0093】
なお、本発明の毛髪処理用組成物は、25℃で固形のロウを含有しないことが好ましい。また、本発明の毛髪処理用組成物は、25℃で固形の炭化水素油を含有しないことが好ましい。
【0094】
本発明の毛髪処理用組成物は、公知慣用の毛髪処理用組成物の製造方法により、製造することができる。本発明の毛髪処理用組成物は、特に限定されないが、例えば、成分(A)と成分(B)と成分(C)と他の成分とを混合することにより製造することができる。混合には、パドルミキサー等を用いることができる。
【0095】
(毛髪処理用組成物の他の詳細、及び毛髪処理用ミスト化粧料)
本発明の毛髪処理用組成物は、容器内に充填されて、ポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーにより、ミスト状に吐出されることを特徴とする。本発明の毛髪処理用組成物は、毛髪処理用ミスト化粧料に用いられる。本発明の毛髪処理用組成物を、毛髪用ミスト化粧料に用いることにより、毛髪に対して垂れ落ちずに広範囲に均一に塗布でき、べたつき感なく整髪できる。また、本発明の毛髪処理用組成物を、毛髪用ミスト化粧料に用いることにより、毛髪間の粘着力が長時間保持される皮膜が良好に形成され、外的な衝撃を受けても整髪された髪型がより一層崩れにくく、整髪された髪型をより長時間保持することができる。
【0096】
本発明の毛髪処理用ミスト化粧料は、容器と、上述した毛髪処理用組成物とを備える。上記容器は、容器本体と、ポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーとを有する。本発明の毛髪処理用ミスト化粧料では、上記容器内に、上記毛髪処理用組成物が充填されている。上記容器本体は、開口を有することが好ましい。上記容器本体の開口に、上記ポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーが取り付けられていることが好ましい。
【0097】
ポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーの1回の吐出操作により、本発明の毛髪処理用組成物が吐出される量は、本発明の効果が発揮される量であれば特に限定されない。本発明の毛髪処理用組成物が吐出される量は、毛髪に対して垂れ落ちずに広範囲に均一に塗布でき、かつ、べたつき感なく整髪できる観点から、好ましくは0.05mL/1回以上、より好ましくは0.15mL/1回以上、好ましくは1.0mL/1回以下、より好ましくは0.5mL/1回以下である。
【0098】
容器本体と、ポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーとを有する容器は、本発明の毛髪処理用組成物をミスト状で吐出できる容器であれば特に限定されない。ポンプ式ディスペンサーを有する容器の市販品としては、例えば、吉野工業所社製のY−150(吐出量:約0.15mL/1回)、及び三谷バルブ社製Z−155(吐出量:約0.15mL/1回)等が挙げられる。トリガー式ディスペンサーを有する容器の市販品としては、例えば、吉野工業所社製のM3−M(吐出量:約0.5mL/1回)、及び三谷バルブ社製のZ−305、T−305(吐出量:約0.3mL/1回)等が挙げられる。
【0099】
本発明の毛髪処理用ミスト化粧料の製造方法としては、特に限定されないが、公知の毛髪処理用ミスト化粧料の製造方法を採用することができる。本発明の毛髪処理用ミスト化粧料の製造方法としては、例えば、毛髪処理用組成物を容器本体に充填し、ポンプ式ディスペンサー又はトリガー式ディスペンサーと、毛髪処理用組成物が充填された容器本体とを閉め合わせる方法等が挙げられる。
【0100】
本発明の毛髪処理用組成物は、外的な衝撃を受けても整髪された髪型が崩れにくく、整髪された髪型を長時間保持できるので、整髪剤組成物として好適に用いられる。
【0101】
本発明の毛髪処理用組成物は、ヘアワックス等の25℃で固形のロウ又は25℃で固形の炭化水素油を含む整髪剤組成物を用いて整髪された髪型を保持するためにも用いることができる。本発明の毛髪処理用組成物は、ヘアワックス等の25℃で固形のロウ又は25℃で固形の炭化水素油を含む整髪剤組成物を用いて整髪された毛髪に塗布して用いることができる。この場合、本発明の毛髪処理用組成物は、後処理剤組成物であり、本発明の毛髪処理用ミスト化粧料は、後処理剤である。上記25℃で固形のロウ又は25℃で固形の炭化水素油を含む整髪剤組成物は、25℃で固形のロウを含んでいてもよく、25℃で固形の炭化水素油を含んでいてもよく、25℃で固形のロウと25℃で固形の炭化水素油とを含んでいてもよい。
【0102】
本発明の毛髪処理用組成物は、整髪剤組成物により整髪された毛髪に対して用いられる後処理剤組成物であることが好ましい。本発明の毛髪処理用ミスト化粧料は、整髪剤組成物により整髪された毛髪に対して用いられる後処理剤であることが好ましい。
【0103】
ヘアワックス等の25℃で固形のロウ又は25℃で固形の炭化水素油を含む整髪剤組成物を用いて整髪した髪は、自由に再整髪できるという利点があるものの、整髪保持力に劣ることから、整髪した髪型を長時間保持できないという短所がある。しかしながら、ヘアワックス等の25℃で固形のロウ又は25℃で固形の炭化水素油を含む整髪剤組成物を用いて整髪された毛髪に、本発明の毛髪処理用組成物を塗布すると、外的な衝撃を受けても整髪された髪型が崩れにくく、整髪された髪型を長時間保持できるようになる。本発明の毛髪処理用組成物(特に成分(A)と成分(B)、成分(B)の中でも特にポリオキシプロピレンソルビット)が、ヘアワックス等の25℃で固形のロウ又は25℃で固形の炭化水素油を含む整髪剤組成物を用いて整髪された毛髪の表面上に局在することで、整髪された毛髪間に粘着力がより一層効果的に付与され、外的な衝撃を受けても整髪された髪型が崩れにくい皮膜が形成され、整髪された髪型を長時間保持できると考えられる。
【0104】
(実施例)
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。なお、以下の実施例6〜9は参考例である。
【0105】
実施例及び比較例では、下記の成分を用いた。
【0106】
(成分(A))
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマー:商品名「プラサイズ L−9909U」、互応化学工業社製
(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー:商品名「プラサイズ L−9540U」、互応化学工業社製
【0107】
(成分(B))
ポリオキシプロピレンソルビット(数平均分子量700):商品名「サンニックス SP−750」、三洋化成工業社製
【0108】
(成分(C))
エタノール
【0109】
(成分(D))
モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル1(オキシエチレン基の平均付加モル数20):商品名「ブラウノン RGL−20MISE」、青木油脂工業社製
モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル2(オキシエチレン基の平均付加モル数25):商品名「EMALEX GWIS−125」、日本エマルジョン社製
モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル3(オキシエチレン基の平均付加モル数30):商品名「EMALEX GWIS−130」、日本エマルジョン社製
モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル4(オキシエチレン基の平均付加モル数60):商品名「EMALEX GWIS−160EX」、日本エマルジョン社製 モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(オキシエチレン基の平均付加モル数50):商品名「EMALEX RWIS−150」、日本エマルジョン社製
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油1(オキシエチレン基の平均付加モル数20):商品名「EMALEX HC−20」、日本エマルジョン社製
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油2(オキシエチレン基の平均付加モル数40):商品名「ブラウノン RCW−40」、青木油脂工業社製
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油3(オキシエチレン基の平均付加モル数50):商品名「ブラウノン RCW−50」、青木油脂工業社製
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油4(オキシエチレン基の平均付加モル数100):商品名「ブラウノン RCW−100」、青木油脂工業社製
モノイソステアリン酸ポリオキシエチレンブチレングリコール(オキシエチレン基の平均付加モル数10):商品名「EMALEX BGIS−110」、日本エマルジョン社製
【0110】
(その他)
精製水
【0111】
(実施例1〜10及び比較例1〜6)
下記の表1〜2に示す配合成分を配合(配合単位は質量%)し、毛髪処理用組成物を調製した。表中の配合量(毛髪処理用組成物100質量%中の配合量)は、純分の配合量(単位:質量%)で示した。
【0112】
得られた毛髪処理用組成物を容器本体に充填し、該容器本体とポンプ式ディスペンサー(吉野工業所社製「Y−150」)とを閉め合わせ、毛髪処理用ミスト化粧料を得た。
【0113】
(評価)
得られた毛髪処理用ミスト化粧料を用いて、以下の評価を行った。なお、評価は専門パネル5名で行い、協議して評価結果を決定した。
【0114】
(試験例1:吐出状態)
得られた毛髪処理用ミスト化粧料において、毛髪処理用組成物を繰り返し5回吐出し、吐出された液滴の状態を目視で観察し、下記の基準で評価した。
【0115】
<吐出状態の評価基準>
○(良好):ミスト状に吐出される
×(不良):ミスト状に吐出されない
【0116】
(試験例2:毛束の形成)
得られた毛髪処理用ミスト化粧料を用いて、毛髪処理用組成物を、ヘアウィッグ(レッスンマネキン:ユーカリジャパン社製)の毛髪に均一に塗布し、髪に馴染ませた後、指先と手の平とを使って髪全体が後方に流れるように撫でつけて整髪を施した。整髪5分後の毛束を観察し、毛髪のまとまり度合いを下記の基準で目視評価した。なお、比較例5〜6の毛髪処理用組成物については、ポンプ式ディスペンサーからミスト状に吐出することができなかったため、試験を行わなかった。
【0117】
<毛束の形成の評価基準>
○○(かなり良好):毛髪同士の強いまとまりがある毛束が形成されている
○(良好):毛髪同士のまとまりがある毛束が形成されている
△(やや良好):細い毛束が形成される程度であり、毛髪にまとまりがほとんどない
×(不良):毛束ができず、毛髪同士のまとまりが全くない
【0118】
(試験例3:毛髪の硬さ)
試験例2の評価後、整髪した毛髪に触れ、毛髪の硬さを下記の基準で官能評価した。なお、比較例5〜6の毛髪処理用組成物については、ポンプ式ディスペンサーからミスト状に吐出することができなかったため、試験を行わなかった。
【0119】
<毛髪の硬さの評価基準>
○○(かなり良好):毛髪同士の粘着力が強く、毛髪がまとまることによる強固な皮膜感がある
○(良好):毛髪同士の粘着力があり、毛髪がまとまることによる皮膜感がある
△(やや良好):毛髪同士の粘着力が弱く、毛髪がまとまることによる皮膜感がほとんどない
×(不良):毛髪同士の粘着力がなく、毛髪がまとまることによる皮膜感が全くない
【0120】
(試験例4:整髪後の整髪保持力)
得られた毛髪処理用ミスト化粧料を用いて、毛髪処理用組成物を、ヘアウィッグ(レッスンマネキン:ユーカリジャパン社製)の毛髪に均一に塗布し、髪に馴染ませた後、指先と手の平とを使って髪全体が後方に流れるように撫でつけて整髪を施した。次いで、整髪後のヘアウィッグを恒温恒湿機(25℃、60%RH)に1時間静置した。
【0121】
静置後、ヘアウィッグから50cm離れた距離から、ヘアドライヤーを用いて冷風を30秒間ヘアウィッグへあてた時の整髪の乱れ度合いを観察し、整髪後の整髪保持力を下記基準で目視評価した。なお、整髪後の整髪保持力の評価は、整髪した髪の形状が保持され続けている場合を、整髪後の整髪保持力があると判定した。なお、比較例5〜6の毛髪処理用組成物については、ポンプ式ディスペンサーからミスト状に吐出することができなかったため、試験を行わなかった。
【0122】
<整髪後の整髪保持力の評価基準>
○○(かなり良好):整髪した髪の形状が保持され続けている
○(良好):若干の乱れがあるものの、整髪した髪の形状が保持され続けている
△(やや良好):明らかな乱れがあり、整髪した髪の形状が崩壊し始めている
×(不良):整髪した髪の形状が全く保持されておらず乱れている
【0123】
組成及び結果を下記の表1及び表2に示す。
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】