(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記同期発電機の回転子を励磁した状態で前記回転軸が2/3回転した後に、前記サイリスタ起動装置の作動準備が完了したものと判断して前記回転軸から前記ターニング装置を離脱させることを特徴とする請求項1に記載のコンバインドサイクルプラント。
前記制御装置は、前記同期発電機の回転子を励磁した状態で予め設定された所定の待機時間が経過した後に、前記サイリスタ起動装置の作動準備が完了したものと判断して前記回転軸から前記ターニング装置を離脱させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンバインドサイクルプラント。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
サイリスタ起動装置を用いてコンバインドサイクルプラントを起動するとき、サイリスタ起動装置は回転軸の位相に対応した位相で発電機の固定子の巻線に交流電圧を印加する必要がある。そのため、サイリスタ起動装置により回転軸を昇速する前に、制御装置は回転軸の回転角度(位相)を検出する必要がある。その方法として、ターニング中に発電機の回転子を励磁し、回転子の低速回転により固定子の巻線に現れる電圧を発電端の電圧計で検出するものがあり、これを電子式位相検出と称する。
【0007】
ところで、電子式位相検出において、回転軸の位相を検出するとき、回転軸を位相検出可能速度以上で回転させる必要がある。そのため、コンバインドサイクルプラントの起動時に、ターニング装置と回転軸との連結解除が早すぎると、回転軸の回転数が位相検出可能速度より低速となり、電子式位相検出による回転軸の位相の検出が困難となってしまう。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、コンバインドサイクルプラントの起動を確実に行うことで信頼性の向上を図るコンバインドサイクルプラント及びコンバインドサイクルプラントの起動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本発明のコンバインドサイクルプラントは、圧縮機と燃焼器とタービンとを有するガスタービンと、前記ガスタービンからの排ガスの排熱により蒸気を生成する排熱回収ボイラと、前記ガスタービンの回転軸と同軸上に設けられて前記排熱回収ボイラにより生成された蒸気により駆動する蒸気タービンと、前記回転軸と同軸上に設けられる同期発電機と、前記回転軸に嵌脱自在に設けられて前記回転軸を予め設定された所定の低速回転数で回転させるターニング装置と、前記同期発電機の固定子に電圧を印加するサイリスタ起動装置と、少なくとも前記ターニング装置と前記サイリスタ起動装置とを制御する制御装置と、を備えるコンバインドサイクルプラントにおいて、前記制御装置は、前記ターニング装置の作動時にプラント起動指令信号が入力されると、前記サイリスタ起動装置の作動準備が完了した後、前記回転軸から前記ターニング装置を離脱させる、ことを特徴とするものである。
【0010】
従って、制御装置は、ターニング装置により回転軸が低速回転数で回転しているとき、プラント起動指令信号が入力されると、サイリスタ起動装置の作動準備が完了した後に回転軸からターニング装置を離脱させる。そのため、回転軸からターニング装置が離脱する前に、サイリスタ起動装置が電動発電機を作動させる準備を完了させることができ、コンバインドサイクルプラントの起動を確実に行うことで信頼性の向上を図ることができる。
【0011】
本発明のコンバインドサイクルプラントでは、前記同期発電機は、前記固定子の電圧を計測する電圧計を備え、前記制御装置は、前記コンバインドサイクルプラントの起動時に、前記ターニング装置により前記同期発電機の回転子を回転させつつ励磁して、前記固定子の電圧を前記電圧計により計測することで、前記回転軸の位相を検出することを特徴としている。
【0012】
従って、制御装置は、前記コンバインドサイクルプラントの起動時に、同期発電機の回転子を回転させることで発生する固定子の電圧を電圧計により計測し、この固定子の電圧に基づいて回転軸の位相を検出するため、回転軸の位相を高精度に検出することができる。
【0013】
本発明のコンバインドサイクルプラントでは、前記制御装置は、前記回転軸の位相を検出した後に、前記サイリスタ起動装置の作動準備が完了したものと判断して前記回転軸から前記ターニング装置を離脱させることを特徴としている。
【0014】
従って、回転軸の位相を検出した後に、サイリスタ起動装置の作動準備が完了したものと判断し、ターニング装置を回転軸から離脱させることとなり、サイリスタ起動装置により電動発電機を確実に作動させることができる。
【0015】
本発明のコンバインドサイクルプラントでは、前記制御装置は、前記同期発電機の回転子を励磁した状態で前記回転軸が2/3回転した後に、前記サイリスタ起動装置の作動準備が完了したものと判断して前記回転軸から前記ターニング装置を離脱させることを特徴としている。
【0016】
従って、電動発電機の回転子が2/3回転すると、サイリスタ起動装置は、回転子と一体の回転軸の位相を検出することができることから、電動発電機の回転子を励磁した状態で回転軸が2/3回転してから、回転軸からターニング装置を離脱させることで、ガスタービンを確実に起動することができる。
【0017】
本発明のコンバインドサイクルプラントでは、前記制御装置は、前記同期発電機の回転子を励磁した状態で予め設定された所定の待機時間が経過した後に、前記サイリスタ起動装置の作動準備が完了したものと判断して前記回転軸から前記ターニング装置を離脱させることを特徴としている。
【0018】
従って、回転軸からターニング装置を離脱させるタイミングを待機時間の経過により実施することで、制御の簡素化を図ることができる。
【0019】
また、本発明のコンバインドサイクルプラントの起動方法は、圧縮機と燃焼器とタービンとを有するガスタービンと、前記ガスタービンからの排ガスの排熱により蒸気を生成する排熱回収ボイラと、前記ガスタービンの回転軸と同軸上に設けられて前記排熱回収ボイラにより生成された蒸気により駆動する蒸気タービンと、前記回転軸と同軸上に設けられる同期発電機と、前記回転軸に嵌脱自在に設けられて前記回転軸を予め設定された所定の低速回転数で回転させるターニング装置と、前記同期発電機の回転子に電圧を印加するサイリスタ起動装置と、を備えるコンバインドサイクルプラントの起動方法において、前記ターニング装置により前記回転軸を予め設定された所定の低速回転数で回転させる工程と、プラント起動指令信号が入力されたときに前記回転軸の位相を検出する工程と、前記回転軸の位相を検出した後に前記回転軸から前記ターニング装置を離脱させる工程と、を有することを特徴とするものである。
【0020】
従って、回転軸からターニング装置が離脱する前に、サイリスタ起動装置が電動発電機を作動させる準備を完了させることができ、コンバインドサイクルプラントの起動を確実に行うことで信頼性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のコンバインドサイクルプラント及びコンバインドサイクルプラントの起動方法によれば、コンバインドサイクルプラントの起動を確実に行うことで信頼性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るコンバインドサイクルプラント及びコンバインドサイクルプラントの起動方法の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0024】
図1は、本実施形態のコンバインドサイクルプラントを表す概略構成図である。
【0025】
本実施形態において、
図1に示すように、コンバインドサイクルプラント10は、ガスタービン11と、排熱回収ボイラ(HRSG)12と、蒸気タービン13と、発電機(同期発電機)14とを備えている。このコンバインドサイクルプラント10は、ガスタービン11の回転軸と蒸気タービン13の回転軸が一直線に配置され、この回転軸に発電機14が連結された一軸型形式となっている。
【0026】
ガスタービン11は、圧縮機21と、燃焼器22と、タービン23とを有しており、圧縮機21とタービン23は、回転軸(ロータ)24により一体回転可能に連結されている。圧縮機21は、空気取り込みラインL1から取り込んだ空気を圧縮する。燃焼器22は、圧縮機21から圧縮空気供給ラインL2を通して供給された圧縮空気と、燃料ガス供給ラインL3から供給された燃料ガスとを混合して燃焼する。タービン23は、燃焼器22から燃焼ガス供給ラインL4を通して供給された燃焼ガスにより回転駆動する。
【0027】
排熱回収ボイラ12は、ガスタービン11(タービン23)から排ガス排出ラインL5を介して排出された排ガスの排熱によって蒸気を発生させるものである。排熱回収ボイラ12は、図示しないが、熱交換器として、過熱器と蒸発器と節炭器とを有している。排熱回収ボイラ12は、ガスタービン11からの排ガスが内部を通過することで、過熱器、蒸発器、節炭器の順に熱回収を行うことで蒸気を生成する。そして、排熱回収ボイラ12は、蒸気を生成した使用済の排ガスを排出する排ガス排出ラインL6を介して煙突(図示略)が連結されている。
【0028】
蒸気タービン13は、排熱回収ボイラ12により生成された過熱蒸気により駆動するものである。蒸気タービン13は、タービン25を有しており、回転軸26がガスタービン11の回転軸24と一直線状をなして連結されている。そして、排熱回収ボイラ12の過熱器の過熱蒸気をタービン25に供給する蒸気供給ラインL7が設けられると共に、タービン25を駆動した使用済の蒸気を排熱回収ボイラ12の再熱器に戻す蒸気回収ラインL8が設けられており、蒸気回収ラインL8に復水器29が設けられている。復水器29は、タービン25から排出された蒸気を冷却水(例えば、海水)により冷却して復水とするものである。
【0029】
発電機14は、回転界磁形の同期発電機であって、回転軸26の端部に設けられている。ガスタービン11の回転軸24と蒸気タービン13の回転軸26は、一体に設けられていてもよい。この発電機14は、ガスタービン11及び蒸気タービン13が駆動し、回転軸24,26が回転することで、伝達される回転力により発電する。そして、発電機14は、コンバインドサイクルプラント10を起動するときの起動用電動機としても使用するものであり、サイリスタ起動装置27が設けられている。また、コンバインドサイクルプラント10は、ガスタービン11と蒸気タービン13との間の回転軸24,26にターニング装置28が設けられている。
【0030】
そのため、コンバインドサイクルプラント10の稼働時、ガスタービン11にて、圧縮機21は空気を圧縮し、燃焼器22は供給された圧縮空気と燃料ガスとを混合して燃焼する。タービン23は燃焼器22から供給された燃焼ガスにより回転駆動する。また、ガスタービン11(タービン23)から排出された排ガスは、排熱回収ボイラ12に送られ、排熱回収ボイラ12は蒸気を生成し、過熱蒸気が蒸気タービン13に送られる。タービン25は、この過熱蒸気により回転駆動する。発電機14は、ガスタービン11及び蒸気タービン13により回転軸24,26が駆動回転することで発電を行う。
【0031】
上述したターニング装置28は、コンバインドサイクルプラント10の停止時に、回転軸24,26を低速回転させることで、高温状態にあるガスタービン11や蒸気タービン13を均一に冷却するものである。
図2は、ターニング装置を表す概略構成図である。
【0032】
ターニング装置28において、
図2に示すように、ターニングモータ31は、出力軸32に駆動歯車33が固定されている。回転軸24,26は、従動歯車34が固定されている。揺動リンク35は、一端部に第1連結歯車36が回転自在に支持され、他端部に第2連結歯車37が回転自在に支持されている。
図2は、各歯車を模式的に記載したものであり、第1連結歯車36と第2連結歯車37とは、常時噛み合っている。また、第1連結歯車36は、駆動歯車33に常時噛み合い、第2連結歯車37は、従動歯車34に噛み合い及び離脱可能となっている。即ち、揺動リンク35が揺動することで、第2連結歯車37を従動歯車34から離間させることができる。
【0033】
エアシリンダ38は、軸方向に移動自在な駆動ロッド39を有している。揺動レバー40は、支持軸41により揺動自在に支持され、一端部に駆動ロッド39の先端部が連結され、他端部に連結リンク42を介して揺動リンク35の中間部が連結されている。また、エアシリンダ38は、内部にピストン43が移動自在に支持され、このピストン43に駆動ロッド39の基端部が連結されている。そして、エアシリンダ38は、ピストン43に区画された各部屋44a,44bにエア給排ポート45a,45bが設けられ、各エア給排ポート45a,45bにそれぞれエア給排ラインL11,L12が連結されている。
【0034】
そのため、エアをエア給排ラインL11から部屋44aに供給すると、ピストン43が一方方向(
図2にて、左方)に移動する。すると、ピストン43と共に駆動ロッド39が同方向に移動し、揺動レバー40が支持軸41を中心に一方方向(
図2にて、反時計回り方向)に回動し、揺動リンク35により第2連結歯車37と従動歯車34が噛み合う。この状態で、ターニングモータ31を駆動すると、出力軸32に固定された駆動歯車33が駆動回転し、回転力が第1連結歯車36及び第2連結歯車37を介して従動歯車34に伝達され、回転軸24,26をターニングすることができる。一方、エアをエア給排ラインL12から部屋44bに供給すると、ピストン43が他方方向(
図2にて、右方)に移動する。すると、ピストン43と共に駆動ロッド39が同方向に移動し、揺動レバー40が支持軸41を中心に他方方向(
図2にて、時計回り方向)に回動し、揺動リンク35により第2連結歯車37が従動歯車34から離脱する。すると、ターニングモータ31の駆動力(回転力)が回転軸24,26に伝達されず、ターニングが終了する。
【0035】
サイリスタ起動装置27は、発電機14を起動用電動機として利用することで、コンバインドサイクルプラント10を起動するものである。サイリスタ起動装置27は、発電機14の固定子側巻線に交流電圧を印加する。これにより発生した磁場により、前もって励磁されている発電機14の回転子が回転させられ、ここに連結されているガスタービン11及び蒸気タービン13の回転軸が加速される。
図3は、本実施形態のコンバインドサイクルプラントの電気系統及び制御系統を表す概略図である。
【0036】
図3に示すように、発電機14は、主電力供給ラインL21を介して電力供給系統に接続されている。主電力供給ラインL21は、主遮断器51と主変圧器52が設けられている。主電力供給ラインL21は、発電機14と主変圧器52との間に分岐電力供給ラインL22が設けられ、発電機14の回転子側巻線14aに接続されている。分岐電力供給ラインL22は、励磁変圧器53と励磁遮断器54が設けられている。また、起動用電力供給ラインL23は、電力供給系統に接続されると共に、分岐電力供給ラインL22における回転子側巻線14aと励磁遮断器54との間に接続されている。起動用電力供給ラインL23は、副遮断器55と副変圧器56と起動用励磁変圧器57と界磁遮断器58が設けられている。
【0037】
サイリスタ起動装置27は、主電力供給ラインL21における主変圧器52と分岐電力供給ラインL22の接続部の間に接続されると共に、起動用電力供給ラインL23における副変圧器56と起動用励磁変圧器57の間に接続されている。また、主電力供給ラインL21は、固定子側巻線の電圧(固定子側巻線電圧)を計測する電圧計59が設けられている。制御装置60は、サイリスタ起動装置27,ターニング装置28と各遮断器51,54,55,58に接続され、これらを制御可能である。制御装置60は、操作装置61と電圧計59が接続されており、操作装置61からの指令信号と電圧計59からの固定子側巻線電圧によりサイリスタ起動装置27及びターニング装置28を制御する。
【0038】
そのため、ターニング装置28により発電機14が低速回転している状態で、制御装置60は、操作装置61から起動指令信号が入力されると、副遮断器55と界磁遮断器58を閉止する。すると、発電機14は、回転子側巻線14aに界磁電流が印加され、発電機14の回転子から発生する磁束が固定子側巻線と鎖交し、三相の電圧波形が固定子側巻線に誘起される。制御装置60は、電圧計59から固定子側巻線の電圧出力波形の位相が入力され、この電圧出力波形により回転軸24,26の回転位相を検出する。制御装置60は、回転軸24,26の回転位相を検出すると、サイリスタ起動装置27を起動する。サイリスタ起動装置27は、得られた回転子の位相情報に基づいて、適切な位相で発電機14の固定子側巻線に電圧を印加する。すると、発電機14の固定子側巻線により発生した磁場で、既に励磁されている回転子が回転させられる。発電機14は、固定子側巻線に印加する電圧の周波数を上げることにより、回転軸24,26の回転数を上昇させる。
【0039】
ところで、上述したコンバインドサイクルプラント10にて、回転軸24,26がターニング装置28により低速で回転しているとき、操作装置61から制御装置60にプラント起動指令信号が入力されると、制御装置60は、サイリスタ起動装置27を用いてガスタービン11を起動する。即ち、サイリスタ起動装置27により発電機14を起動し、低速で回転している回転軸24,26の回転速度を上昇させる。このとき、ターニング装置28が回転軸24,26に対して嵌合状態にあることから、回転軸24,26の回転数を上昇させるにあたり、回転軸24,26からターニング装置28を離脱させる必要がある。一方で、発電機14は、固定子側巻線の電圧を用いた電子式位相検出を行うことから、回転軸24,26の位相を検出するとき、回転軸24,26を位相検出可能速度以上で回転させる必要がある。そのため、回転軸24,26からターニング装置28を離脱させるタイミングが早すぎると、回転軸24,26の回転数が位相検出可能速度より低速となり、制御装置60が回転軸24,26の位相を検出することができず、ガスタービン11の起動が困難となる。
【0040】
そこで、本実施形態では、ターニング装置28の作動時にプラント起動指令信号が入力すると、サイリスタ起動装置27の作動準備が完了した後、回転軸24,26からターニング装置28を離脱させるようにしている。ここで、サイリスタ起動装置27の作動準備が完了するとは、サイリスタ起動装置27により発電機14の固定子側巻線に電圧を印加するために必要な界磁遮断器58の投入が完了し、且つ、下記のいずれかの条件が満たされた状態をいう。
(a)回転軸24,26の位相の検出が完了した。
(b)発電機14を励磁した状態で回転軸24,26が所定の角度以上回転した。
(c)発電機14を励磁した状態で所定の待機時間が経過した。
【0041】
より具体的には、電子式位相検出により回転軸24,26、つまり、発電機14の回転子の回転位相を検出するには、回転軸24,26が所定の回転数(例えば、3rpm)以上で回転し、且つ、発電機14の回転子側巻線14aに界磁電流を印加してから、例えば、240度(2/3回転)以上回転する必要がある。そのため、発電機14の回転子側巻線14aに界磁電流を印加して回転軸24,26が少なくとも2/3回転、望ましくは、1回転した後、回転軸24,26からターニング装置28を離脱させる。
【0042】
また、制御の簡素化を図ることを考慮し、プラント起動指令信号が入力してから予め設定された所定の待機時間の経過後、回転軸24,26からターニング装置28を離脱させることが望ましい。この場合、事前に実験などを行い、プラント起動指令信号が入力してからサイリスタ起動装置27の作動準備が完了するまでの時間を求めておき、この時間を待ち時間とすればよい。具体的に、制御装置60が回転軸24,26の位相を検出するまでの時間、制御遅れなどを考慮し、サイリスタ起動装置27が発電機14の回転子側巻線14aに界磁電流を印加して回転軸24,26が少なくとも2/3回転、望ましくは、1回転するまでの時間を待ち時間とすることが望ましい。
【0043】
変形例として、プラント起動指令信号が制御装置60に入力された時刻に代えて、回転子側巻線14aへの電圧の印加を開始した時刻や、回転子側巻線14aの電流が所定値まで上昇した時刻を待機時間の起点としてもよい。これらの変形例においても、制御装置60は、回転子を励磁した状態で予め設定された所定の待機時間が経過した後に、回転軸24,26からターニング装置28を離脱させる。
【0044】
ここで、コンバインドサイクルプラント10の起動方法について詳細に説明する。
図4は、コンバインドサイクルプラントの起動時におけるフローチャートである。
【0045】
本実施形態のコンバインドサイクルプラント10の起動方法は、ターニング装置28により回転軸24,26を予め設定された所定の低速回転数で回転させる工程と、プラント起動指令信号が入力されたときに回転軸24,26の位相を検出する工程と、回転軸24,26の位相を検出した後に回転軸24,26からターニング装置28を離脱させる工程とを有する。
【0046】
具体的に説明すると、
図1及び
図4に示すように、ステップS11にて、制御装置60は、ガスタービン11と蒸気タービン13がターニング作動中であるかどうかを判定する。ここで、ターニング作動中でないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、ターニング作動中であると判定(Yes)されると、ステップS12にて、制御装置60は、操作装置61からプラント(ガスタービン)起動指令信号が入力したかどうかを判定する。ここで、プラント(ガスタービン)起動指令信号が入力していないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。
【0047】
一方、プラント(ガスタービン)起動指令信号が入力したと判定(Yes)されると、ステップS13にて、界磁遮断器58を閉止(ON)する。即ち、
図3及び
図4に示すように、制御装置60は、起動指令信号が入力されて界磁遮断器58を閉止する。すると、ステップS14にて、発電機14は、回転子側巻線14aに界磁電流が印加され、回転子側巻線14aを流れる電流が増加する。回転子はターニング装置28により低速回転しているため、回転子から発生する磁束が固定子側巻線と鎖交して固定子側巻線の電圧が変動する。電圧計59は、固定子側巻線の電圧を計測し、制御装置60は、入力した固定子側巻線の電圧の変動により回転軸24,26の位相を検出することができる。
【0048】
ステップS15にて、制御装置60は、回転軸24,26の位相を検出したかどうかを判定する。この場合、例えば、制御装置60は、プラント起動指令信号が入力し、発電機14の回転子側巻線14aに界磁電流が印加されてから所定の待機時間taが経過したかどうかを判定する。ここで、発電機14の回転側巻線に界磁電流が印加されてから所定の待機時間taが経過するまで(No)処理を継続する。そして、発電機14の回転子側巻線14aに界磁電流が印加されてから所定の待機時間taが経過したと判定(Yes)されると、ステップS16にて、制御装置60は、サイリスタ起動装置27を起動し、ステップS16で検出された位相に基づく適切な位相で発電機14の固定子側巻線に電圧を印加する。そして、ステップS17にて、ターニング装置28のエア給排ラインL11から部屋44aへのエア供給を停止(OFF)する。すると、回転軸24,26が加速するのと相まって、第2連結歯車37と従動歯車34の嵌合が外れ、ターニング装置28が離脱する。その後、ガスタービン11が自らの燃焼エネルギーで自立して回転できるようになると、サイリスタ起動装置27を停止する。
【0049】
上述した本実施形態のコンバインドサイクルプラント10の起動時における各状態量の変動について説明する。
図5は、コンバインドサイクルプラントの起動時におけるタイムチャートである。
【0050】
図3及び
図5に示すように、ガスタービン11と蒸気タービン13がターニング作動中であるとき、時間t1にて、操作装置61から制御装置60にプラント(ガスタービン)起動指令信号が入力(ON)すると、所定の制御遅れをもって、時間t2にて、制御装置60は、界磁遮断器58を閉止(ON)する。すると、発電機14は、回転子側巻線14aに界磁電流が印加される。すると、制御装置60は、回転軸24,26の位相を検出することができる。時間t3にて、制御装置60は、回転軸24,26の位相を検出すると、サイリスタ起動装置27を起動(ON)して発電機14の固定子側巻線に電圧を印加すると共に、ターニング装置28のエア給排ラインL11から部屋44aへのエア供給を停止(OFF)する。この場合、制御装置60は、回転軸24,26の位相を検出した位相検出信号が入力してから、または、プラント起動指令信号が入力してから、または、発電機14の回転子側巻線14aに界磁電流が印加されてから、それぞれ所定の待機時間taが経過したかどうかを判定することで、ターニング装置28の離脱のタイミングを決定してもよい。すると、ガスタービン11が自らの燃焼エネルギーで自立して回転できるようになり、回転軸24,26のロータ回転数が上昇していき、サイリスタ起動装置27を停止する。
【0051】
このように本実施形態のコンバインドサイクルプラントの制御装置にあっては、圧縮機21と燃焼器22とタービン23とを有するガスタービン11と、ガスタービン11からの排ガスの排熱により蒸気を生成する排熱回収ボイラ12と、ガスタービン11の回転軸24(26)と同軸上に設けられて排熱回収ボイラ12により生成された蒸気により駆動する蒸気タービン13と、回転軸24,26と同軸上に設けられる発電機(同期発電機)14と、回転軸24,26に嵌脱自在に設けられて回転軸24,26を予め設定された所定の低速回転数で回転させるターニング装置28と、発電機14を起動するサイリスタ起動装置27と、ターニング装置28とサイリスタ起動装置27とを制御する制御装置60とを備え、ターニング装置28の作動時にプラント起動指令信号が入力されると、サイリスタ起動装置27の作動準備が完了した後、回転軸24,26からターニング装置28を離脱させている。
【0052】
従って、制御装置60は、ターニング装置28により回転軸24,26が低速回転数で回転しているとき、プラント起動指令信号が入力すると、サイリスタ起動装置27の作動準備が完了した後に回転軸24,26からターニング装置28を離脱させる。そのため、回転軸24,26からターニング装置28が離脱する前に、サイリスタ起動装置27が発電機14を作動させる準備を完了させることができ、コンバインドサイクルプラント10の起動を確実に行うことで信頼性の向上を図ることができる。
【0053】
本実施形態のコンバインドサイクルプラントでは、発電機14は、固定子の電圧を計測する電圧計59を備え、制御装置60は、コンバインドサイクルプラントの起動時に、ターニング装置28により発電機14の回転子を回転させつつ励磁して、固定子の電圧を電圧計59により計測することで、回転軸24,26の位相を検出する。従って、回転軸の位相を高精度に検出することができる。
【0054】
本実施形態のコンバインドサイクルプラントでは、制御装置60は、回転軸24,26の位相を検出した後に、サイリスタ起動装置27の作動準備が完了したものと判断して回転軸24,26からターニング装置28を離脱させている。従って、回転軸24,26の位相を検出した後に、ターニング装置28を回転軸24,26から離脱させることとなり、サイリスタ起動装置27により発電機14を確実に作動させることができる。
【0055】
本実施形態のコンバインドサイクルプラントでは、制御装置60は、回転子を励磁した状態で、回転軸24,26が2/3回転した後に、サイリスタ起動装置27の作動準備が完了したものと判断して回転軸24,26からターニング装置28を離脱させている。従って、発電機14の回転子が2/3回転すると、サイリスタ起動装置27は、回転子と一体の回転軸24,26の位相を検出することができることから、発電機14の回転子側巻線14aに界磁電流を印加して回転軸24,26が1回転してから、回転軸24,26からターニング装置28を離脱させることで、ガスタービン11を確実に起動することができる。
【0056】
本実施形態のコンバインドサイクルプラントでは、制御装置60は、発電機14の回転子を励磁した状態で、予め設定された所定の待機時間taが経過した後に、サイリスタ起動装置27の作動準備が完了したものと判断して回転軸24,26からターニング装置28を離脱させている。従って、回転軸24,26からターニング装置28を離脱させるタイミングを待機時間taの経過により実施することで、制御の簡素化を図ることができる。
【0057】
また、本実施形態のコンバインドサイクルプラントの起動方法にあっては、ターニング装置28により回転軸24,26を予め設定された所定の低速回転数で回転させる工程と、プラント起動指令信号が入力されたときに回転軸24,26の位相を検出する工程と、回転軸24,26の位相を検出した後に回転軸24,26からターニング装置28を離脱させる工程とを有する。従って、回転軸24,26からターニング装置28が離脱する前に、サイリスタ起動装置27が発電機14を作動させる準備を完了させることができ、コンバインドサイクルプラント10の起動を確実に行うことで信頼性の向上を図ることができる。
【0058】
なお、上述した実施形態では、ターニング装置28の作動をエアシリンダ38の各部屋44a,44bへのエアの供給により実施したが、この構成に限定されるものではない。例えば、ターニング装置28の作動をエアシリンダ38の部屋44aへのエアの供給により行い、ターニング装置28の作動停止(回転軸24,26からの離脱)をエアシリンダ38の部屋44aからのエアの排出により行ってもよい。また、エアシリンダ38に代えて、油圧シリンダや駆動モータなどを適用してもよい。