特許第6938302号(P6938302)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6938302造形物の製造装置、造形物の製造方法及び造形物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6938302
(24)【登録日】2021年9月3日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】造形物の製造装置、造形物の製造方法及び造形物
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/386 20170101AFI20210909BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20210909BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20210909BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20210909BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20210909BHJP
【FI】
   B29C64/386
   B29C64/106
   B33Y30/00
   B33Y50/00
   B33Y80/00
【請求項の数】21
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2017-179539(P2017-179539)
(22)【出願日】2017年9月19日
(65)【公開番号】特開2018-154108(P2018-154108A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2020年3月25日
(31)【優先権主張番号】特願2017-51970(P2017-51970)
(32)【優先日】2017年3月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 勝
【審査官】 関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−074218(JP,A)
【文献】 特開平09−286052(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/113955(WO,A1)
【文献】 特開2016−203597(JP,A)
【文献】 特開2015−063099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
B33Y 10/00、30/00、50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸の情報の入力を受け付ける糸情報受付部と、
前記糸の編み込み方法の情報の入力を受け付ける編込方法受付部と、
前記糸の情報及び前記糸の編み込み方法の情報に基づいて、造形物の三次元造形情報を生成する三次元造形情報生成部と、
前記三次元造形情報に基づいて、作業面に向かって造形剤を吐出して硬化させることで、前記作業面の上に前記造形物を造形する造形部と、
を含むことを特徴とする造形物の製造装置。
【請求項2】
前記三次元造形情報は、前記糸の造形物の断面形状の情報を含み、
前記糸の造形物の断面形状は、丸みを帯びており、
前記造形部は、前記糸の造形物の断面形状が丸みを帯びるように前記造形物を造形することを特徴とする請求項1に記載の造形物の製造装置。
【請求項3】
前記三次元造形情報は、前記糸の造形物の重なり部分の情報を含み、
前記造形部は、いずれか1つの前記糸の造形物である主の糸の造形物よりも前記作業面のある側にある前記糸の造形物を造形してから、前記主の糸の造形物を前記主の糸の造形物の延びる方向に沿って走査しながら造形し、そして前記主の糸の造形物よりも前記作業面とは反対側にある前記糸の造形物を造形することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の造形物の製造装置。
【請求項4】
前記三次元造形情報生成部は、前記糸の情報及び前記糸の編み込み方法の情報に基づいて生成される最小単位の三次元造形情報を生成し、前記最小単位の三次元造形情報を繰り返し処理することで、前記造形物の三次元造形情報を生成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の造形物の製造装置。
【請求項5】
前記三次元造形情報生成部は、造形物の三次元造形情報に不透明インクを用いる領域を設定し、
前記造形部は、前記不透明インクを用いる領域が設定された前記造形物の三次元造形情報に基づいて前記造形物を造形することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の造形物の製造装置。
【請求項6】
前記三次元造形情報生成部は、造形物の三次元造形情報に不透明インクを用いることを設定し、
前記造形部は、前記不透明インクを用いて前記造形物を造形することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の造形物の製造装置。
【請求項7】
前記不透明インクは、白色顔料を有し、
前記白色顔料は、中空白色顔料、マイクロカプセル酸化チタン、マイクロカプセル酸化亜鉛、及び平均粒径が300nm以下のナノ粒子のいずれかを含むことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の造形物の製造装置。
【請求項8】
前記三次元造形情報生成部は、前記三次元造形情報に模様の情報を含ませ、
前記造形部は、前記造形物を造形した後に前記模様を印刷することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の造形物の製造装置。
【請求項9】
前記模様は、前記糸の装飾情報、前記糸の素材及び撚糸状態の情報、並びに前記糸が編み込まれた織物の装飾情報の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項8に記載の造形物の製造装置。
【請求項10】
前記三次元造形情報生成部は、前記三次元造形情報に画像の情報を含ませ、
前記画像の情報を含む前記三次元造形情報に基づいて、前記造形物の表面に画像を印刷する印刷部と、
をさらに有することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の造形物の製造装置。
【請求項11】
前記糸情報受付部及び前記編込方法受付部は、複数の組み合わせの前記糸の情報及び前記糸の編み込み方法の情報の入力を受け付け、
前記三次元造形情報生成部は、前記複数の組み合わせの前記糸の情報及び前記糸の編み込み方法の情報に基づいて、前記造形物の三次元造形情報を複数生成するとともに、複数の前記造形物の三次元造形情報を組み合わせることにより、複合造形物の三次元造形情報を生成し、
前記造形部は、前記複合造形物の三次元造形情報に基づいて、前記複合造形物を造形することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の造形物の製造装置。
【請求項12】
前記三次元造形情報生成部は、前記三次元造形情報に画像の情報を含ませ、
前記画像の情報を含む前記三次元造形情報に基づいて、前記複合造形物の表面に画像を印刷する印刷部と、
をさらに有することを特徴とする請求項11に記載の造形物の製造装置。
【請求項13】
糸の情報の入力を受け付ける糸情報受付ステップと、
前記糸の編み込み方法の情報の入力を受け付ける編込方法受付ステップと、
前記糸の情報及び前記糸の編み込み方法の情報に基づいて、造形物の三次元造形情報を生成する三次元造形情報生成ステップと、
前記三次元造形情報に基づいて、作業面に向かって造形剤を吐出して硬化させることで、前記作業面の上に前記造形物を造形する造形ステップと、
を含むことを特徴とする造形物の製造方法。
【請求項14】
複数の縦糸と複数の横糸とを編み込んだ布を模した疑似布の構造物を製造する製造装置であって、
作業面に向かって造形剤を吐出して硬化させることで、前記作業面の上に造形物を造形する造形部を有し、
前記造形部は、前記造形物を表面から見た場合、前記縦糸の造形物と前記横糸の造形物とが重なる重なり部分の前記造形物の厚みを、前記縦糸の造形物と前記横糸の造形物とが重ならない部分の前記造形物の厚みよりも厚く形成することを特徴とする造形物の製造装置。
【請求項15】
前記造形部は、前記重なり部分における下側の糸の造形物を造形した後、前記重なり部分における上側の糸の造形物を造形することを特徴とする請求項14に記載の造形物の製造装置。
【請求項16】
前記造形部は、前記重なり部分における上側の糸の造形物の厚みを、前記重なり部分以外の前記上側の糸の造形物の厚みよりも厚く形成することを特徴とする請求項15に記載の造形物の製造装置。
【請求項17】
前記造形部は、前記重なり部分における上側の糸の造形物の厚みを、前記重なり部分の前記下側の糸の造形物の厚みを積層した厚みで形成し、前記重なり部分の前記下側の糸の造形物を形成しないことを特徴とする請求項15に記載の造形物の製造装置。
【請求項18】
前記造形部は、前記重なり部分における上側の糸の造形物に、前記重なり部分から前記縦糸の造形物と前記横糸の造形物とが重ならない部分に向けてテーパを形成することを特徴とする請求項15または請求項16に記載の造形物の製造装置。
【請求項19】
前記造形部は、不透明インクを用いて造形することを特徴とする請求項14から請求項18のいずれか1項に記載の造形物の製造装置。
【請求項20】
前記不透明インクは、白色顔料を有し、
前記白色顔料は、中空白色顔料、マイクロカプセル酸化チタン、マイクロカプセル酸化亜鉛、及び平均粒径が300nm以下のナノ粒子のいずれかを含むことを特徴とする請求項19に記載の造形物の製造装置。
【請求項21】
一方向に延びて配列され、造形剤を吐出して硬化させた複数の第1の糸の造形物と、
前記第1の糸の造形物と交差する他方向に延びて配列され、造形剤を吐出して硬化させた複数の第2の糸の造形物と、を含み、
前記第1の糸の造形物と前記第2の糸の造形物とは、編み込まれ
前記第1の糸の造形物と前記第2の糸の造形物との少なくとも一方は、不透明インクを含み、
前記不透明インクは、白色顔料を有し、
前記白色顔料は、中空白色顔料、マイクロカプセル酸化チタン、マイクロカプセル酸化亜鉛、及び平均粒径が300nm以下のナノ粒子のいずれかを含むことを特徴とする造形物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造形物の製造装置、造形物の製造方法及び造形物に関する。
【背景技術】
【0002】
織物の形状の外観を有する内装材を製造する方法として、フィルム状または板状の材料等の媒体(メディア)に、インクジェットプリンタで内装の模様を直接印刷する方法が知られている。例えば、織物の生地に内装の模様を直接印刷する方法、及び、プラスチック製の基材に織物の形状の外観の模様を直接印刷する方法が知られている。
【0003】
作業面上に、層状の造形材を積層方向に複数積層することにより立体造形物を造形する三次元造形装置が知られている。このような三次元造形装置では、機能性インクとして、例えば紫外線を照射することで硬化する紫外線硬化型インクが用いられ、この紫外線硬化型インクを硬化させることで造形材となる。このような三次元造形装置により造形される立体造形物は、着色が施されるものがある。着色が施される立体造形物としては、例えば特許文献1に記載のように、立体造形物として造形された建築物モデルに塗装処理が施されるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−155007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、織物の生地に内装の模様を直接印刷することで内装材を製造する場合、水性の捺染顔料インクか、または紫外線硬化型インクを用いて印刷をする必要があった。水性の捺染顔料インクを用いる場合、水性の捺染顔料インクは滲みやすいため、使用するインクに合わせた滲み止めの受像層のコーティングを、インクの印刷の前に予め織物の生地に施す必要があった。このため、内装材の製造コストが高くなってしまう可能性があった。また、受像層が汚水などを付着してしまう可能性があるため、内装材が汚染しやすく、汚染が落ちにくくなる可能性があった。また、紫外線硬化型インクを用いて印刷する場合、織物の生地の上に形成されるインクの層が厚くかつ硬くなってしまうため、織物の生地の風合いを損なう可能性があった。
【0006】
また、プラスチック製の基材に織物の形状の外観の模様を直接印刷することで内装材を製造する場合、紫外線硬化型インクを用いて印刷をする必要があった。この方法は、織物の形状の外観の模様がインクの隆起で表されるので、汚染に対しては強いものが製造されるが、織物の形状における微細な網目の再現が困難であるために、本物の織物の形状の外観の風合いを再現することが困難であった。
【0007】
また、網目上の構造物を三次元形状として、構造を設計し、製造する場合、設計に手間がかかるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、汚染に対して強く、かつ、本物の織物の形状の外観の風合いをもつ造形物の製造装置、造形物の製造方法及び造形物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の造形物の製造装置は、糸の情報の入力を受け付ける糸情報受付部と、前記糸の編み込み方法の情報の入力を受け付ける編込方法受付部と、前記糸の情報及び前記糸の編み込み方法の情報に基づいて、造形物の三次元造形情報を生成する三次元造形情報生成部と、前記三次元造形情報に基づいて、作業面に向かって造形剤を吐出して硬化させることで、前記作業面の上に前記造形物を造形する造形部と、を含むことを特徴とする。
【0010】
この構成において、前記三次元造形情報は、前記糸の造形物の断面形状の情報を含み、前記糸の造形物の断面形状は、丸みを帯びており、前記造形部は、前記糸の造形物の断面形状が丸みを帯びるように前記造形物を造形することが好ましい。
【0011】
これらの構成において、前記三次元造形情報は、前記糸の造形物の重なり部分の情報を含み、前記造形部は、いずれか1つの前記糸の造形物である主の糸の造形物よりも前記作業面のある側にある前記糸の造形物を造形してから、前記主の糸の造形物を前記主の糸の造形物の延びる方向に沿って走査しながら造形し、そして前記主の糸の造形物よりも前記作業面とは反対側にある前記糸の造形物を造形することが好ましい。
【0012】
これらの構成において、前記三次元造形情報生成部は、前記糸の情報及び前記糸の編み込み方法の情報に基づいて生成される最小単位の三次元造形情報を生成し、前記最小単位の三次元造形情報を繰り返し処理することで、前記造形物の三次元造形情報を生成することが好ましい。
【0013】
これらの構成において、前記三次元造形情報生成部は、造形物の三次元造形情報に不透明インクを用いる領域を設定し、前記造形部は、不透明インクを用いる領域が設定された前記造形物の三次元造形情報に基づいて前記造形物を造形することが好ましい。あるいは、前記三次元造形情報生成部は、造形物の三次元造形情報に不透明インクを用いることを設定し、前記造形部は、前記不透明インクを用いて前記造形物を造形することが好ましい。これらの構成において、さらに、前記不透明インクは、白色顔料を有し、前記白色顔料は、中空白色顔料、マイクロカプセル酸化チタン、マイクロカプセル酸化亜鉛、及び平均粒径が300nm以下のナノ粒子のいずれかを含むことがより好ましい。
【0014】
これらの構成において、前記三次元造形情報生成部は、前記三次元造形情報に模様の情報を含ませ、前記造形部は、前記造形物を造形した後に前記模様を印刷することが好ましい。
【0015】
造形部が模様を印刷する構成において、前記模様は、前記糸の装飾情報、前記糸の素材及び撚糸状態の情報、並びに前記糸が編み込まれた織物の装飾情報の少なくともいずれかであることが好ましい。
【0016】
これらの構成において、前記糸情報受付部及び前記編込方法受付部は、複数の組み合わせの前記糸の情報及び前記糸の編み込み方法の情報の入力を受け付け、前記三次元造形情報生成部は、前記複数の組み合わせの前記糸の情報及び前記糸の編み込み方法の情報に基づいて、前記造形物の三次元造形情報を複数生成するとともに、複数の前記造形物の三次元造形情報を組み合わせることにより、複合造形物の三次元造形情報を生成し、前記造形部は、前記複合造形物の三次元造形情報に基づいて、前記複合造形物を造形することが好ましい。
【0017】
これらの構成において、前記三次元造形情報生成部は、前記三次元造形情報に前記画像の情報を含ませ、前記画像の情報を含む前記三次元造形情報に基づいて、前記造形物または前記複合造形物の表面に画像を印刷する印刷部と、をさらに有することが好ましい。
【0018】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の造形物の製造方法は、糸の情報の入力を受け付ける糸情報受付ステップと、前記糸の編み込み方法の情報の入力を受け付ける編込方法受付ステップと、前記糸の情報及び前記糸の編み込み方法の情報に基づいて、造形物の三次元造形情報を生成する三次元造形情報生成ステップと、前記三次元造形情報に基づいて、作業面に向かって造形剤を吐出して硬化させることで、前記作業面の上に前記造形物を造形する造形ステップと、を含むことを特徴とする。
【0019】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の造形物の製造装置は、複数の縦糸と複数の横糸とを編み込んだ布を模した疑似布の構造物を製造する製造装置であって、作業面に向かって造形剤を吐出して硬化させることで、前記作業面の上に造形物を造形する造形部を有し、前記造形部は、前記造形物を表面から見た場合、前記縦糸の造形物と前記横糸の造形物とが重なる重なり部分の前記造形物の厚みを、前記縦糸の造形物と前記横糸の造形物とが重ならない部分の前記造形物の厚みよりも厚く形成することを特徴とする。
【0020】
この構成において、前記造形部は、前記重なり部分における下側の糸の造形物を造形した後、前記重なり部分における上側の糸の造形物を造形することが好ましい。
【0021】
造形部が重なり部分における下側の糸の造形物を造形してから上側の糸の造形物を造形する構成において、前記造形部は、前記重なり部分における上側の糸の造形物の厚みを、前記重なり部分以外の前記上側の糸の造形物の厚みよりも厚く形成することが好ましい。あるいは、前記造形部は、前記重なり部分における上側の糸の造形物の厚みを、前記重なり部分の前記下側の糸の造形物の厚みを積層した厚みで形成し、前記重なり部分の前記下側の糸の造形物を形成しないことが好ましい。
【0022】
造形部が重なり部分における下側の糸の造形物を造形してから上側の糸の造形物を造形する構成において、前記造形部は、前記重なり部分における上側の糸の造形物に、前記重なり部分から前記縦糸の造形物と前記横糸の造形物とが重ならない部分に向けてテーパを形成することが好ましい。
【0023】
これらの構成において、前記造形部は、不透明インクを用いて造形することが好ましい。さらに、前記不透明インクは、白色顔料を有し、前記白色顔料は、中空白色顔料、マイクロカプセル酸化チタン、マイクロカプセル酸化亜鉛、及び平均粒径が300nm以下のナノ粒子のいずれかを含むことがより好ましい。
【0024】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の造形物は、一方向に延びて配列され、造形剤を吐出して硬化させた複数の第1の糸の造形物と、前記第1の糸の造形物と交差する他方向に延びて配列され、造形剤を吐出して硬化させた複数の第2の糸の造形物と、を含み、前記第1の糸の造形物と前記第2の糸の造形物とは、編み込まれていることを特徴とする。
【0025】
この構成において、前記第1の糸の造形物と前記第2の糸の造形物との少なくとも一方は、不透明インクを含む、ことが好ましい。さらに、前記不透明インクは、白色顔料を有し、前記白色顔料は、中空白色顔料、マイクロカプセル酸化チタン、マイクロカプセル酸化亜鉛、及び平均粒径が300nm以下のナノ粒子のいずれかを含むことがより好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、汚染に対して強く、かつ、本物の織物の形状の外観の風合いをもつ造形物の製造装置、造形物の製造方法及び造形物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、実施形態1に係る造形物の製造装置の概略構成を表す概略構成図である。
図2図2は、実施形態1に係る造形物の製造装置で処理される造形物の三次元造形情報を示す平面図の一例である。
図3図3は、図2の造形物の三次元造形情報のA−A断面を示す断面図の一例である。
図4図4は、図2の造形物の三次元造形情報の情報処理の一部を説明する説明図である。
図5図5は、図2の造形物の三次元造形情報の情報処理の別の一部を説明する説明図である。
図6図6は、実施形態1に係る造形物の製造方法を示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態2に係る造形物の三次元造形情報の造形剤に含まれる着色インクの分布の一例を示す断面図である。
図8図8は、実施形態2に係る造形物の三次元造形情報の造形剤に含まれる着色インクの分布の別の一例を示す断面図である。
図9図9は、実施形態2に係る造形物の三次元造形情報の造形剤に含まれる着色インクの分布のまた別の一例を示す断面図である。
図10図10は、実施形態2に係る造形物の三次元造形情報の造形剤に含まれる着色インクの分布のまた別の一例を示す断面図である。
図11図11は、実施形態2に係る造形物の三次元造形情報の造形剤に含まれる着色インクの分布のまた別の一例を示す断面図である。
図12図12は、実施形態2に係る造形物の三次元造形情報の造形剤に含まれる着色インクの分布のまた別の一例を示す断面図である。
図13図13は、実施形態2に係る造形物の三次元造形情報の造形剤に含まれる着色インクの分布のまた別の一例を示す断面図である。
図14図14は、実施形態1に係る造形物の一例を示す平面図の一例である。
図15図15は、実施形態2に係る造形物の一例を示す平面図の一例である。
図16図16は、実施形態3に係る造形物の一例を示す断面図の一例である。
図17図17は、実施形態4に係る造形物の製造装置で処理される造形物の三次元造形情報を示す平面図の一例である。
図18図18は、実施形態4に係る造形物の製造装置で処理される糸の造形物の情報を示す模式図の一例である。
図19図19は、実施形態4に係る造形物の製造装置で処理される糸の造形物の情報を示す模式図の別の一例である。
図20図20は、実施形態5に係る造形物の製造装置で処理される造形物の三次元造形情報を示す平面図及び断面図の一例である。
図21図21は、実施形態6に係る造形物の製造装置で処理される造形物の三次元造形情報を示す平面図の一例である。
図22図22は、実施形態7に係る造形物の製造装置で処理される造形物の三次元造形情報を示す平面図の一例である。
図23図23は、実施形態8に係る造形物の製造装置で処理される複合造形物の三次元造形情報を示す平面図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせることも可能である。
【0029】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る造形物の製造装置10の概略構成を表す概略構成図である。造形物の製造装置10は、複数の縦糸と複数の横糸とを編み込んだ布を模した疑似布の構造物に例示される織物の形状の造形物を製造する。造形物の製造装置10は、図1に示すように、入力受付部12と、三次元造形情報生成部14と、造形部16と、を含む。
【0030】
入力受付部12は、外部からの情報の入力を受け付ける部分であり、具体的には、キーボード、マウス、表示部を兼ねたタッチパネル等のユーザーインターフェースが例示される。入力受付部12は、図1に示すように、糸情報受付部18と、編込方法受付部19と、を含む。糸情報受付部18は、造形物における織物の形状に用いられる糸の情報の入力を受け付ける。また、入力受付部12は、造形する造形物の断面深さの情報及び造形条件の設定の入力を受け付ける。入力受付部12は、入力を受け付けた、造形する造形物の断面深さの情報及び造形条件の設定情報を、造形部16の制御部28に送信する。
【0031】
糸情報受付部18は、1本以上の任意の本数の糸の情報の入力を受け付ける。編込方法受付部19は、糸の編み込み方法の情報の入力を受け付ける。入力受付部12は、糸情報受付部18で糸の情報の入力を受け付けてから、編込方法受付部19で、糸情報受付部18で情報の入力を受け付けた糸の編み込み方法の情報の入力を受け付けてもよい。また、入力受付部12は、編込方法受付部19で、糸の編み込み方法の情報の入力を受け付けてから、糸情報受付部18で、編込方法受付部19で入力を受け付けた糸の編み込み方法で編み込む糸の情報の入力を受け付けてもよい。糸の情報は、編込まれる糸の種類の数(本数)、糸の素材、糸の太さ、糸の硬さ、糸の断面形状、糸の撚糸状態及び糸の色彩、等の情報を含む。
【0032】
入力受付部12は、三次元造形情報生成部14と情報通信可能に接続されており、糸情報受付部18で入力を受け付けた糸の情報と、編込方法受付部19で入力を受け付けた糸の編み込み方法とを、三次元造形情報生成部14に送信する。
【0033】
三次元造形情報生成部14は、入力受付部12から、入力受付部12が受け付けた情報、例えば、糸情報受付部18で入力を受け付けた糸の情報と、編込方法受付部19で入力を受け付けた糸の編み込み方法とを、受信する。三次元造形情報生成部14は、糸情報受付部18で入力を受け付けた糸の情報と、編込方法受付部19で入力を受け付けた糸の編み込み方法とに基づいて、造形部16で造形する造形物の三次元造形情報を生成する。三次元造形情報生成部14は、造形物の三次元造形情報に、造形する造形物の断面深さの情報を含ませても良い。三次元造形情報生成部14は、生成した三次元造形情報を、造形部16の制御部28に送信する。
【0034】
三次元造形情報生成部14は、糸の情報及び糸の編み込み方法の情報に基づいて生成される最小単位の三次元造形情報を生成し、この最小単位の三次元造形情報を繰り返し処理することで、予め指定された形状及び大きさの造形物の三次元造形情報を生成することが好ましい。
【0035】
三次元造形情報生成部14は、記憶部と処理部とを含む。記憶部は、例えばRAM、ROM及びフラッシュメモリー等の記憶装置を有し、処理部により処理されるソフトウェア・プログラム及びこのソフトウェア・プログラムにより参照されるデータ等を記憶する。具体的には、記憶部は、処理部に造形物の三次元造形情報の生成を実行させるためのプログラムを記憶する。また、記憶部は、処理部が処理結果等を一時的に記憶する記憶領域としても機能する。処理部は、記憶部からソフトウェア・プログラム等を読み出して処理することで、ソフトウェア・プログラムの内容に応じた機能を発揮する。具体的には、処理部は、記憶部に記憶されたプログラムを読み出して処理することで、三次元造形情報生成部14として機能し、造形物の三次元造形情報の生成を実行する。三次元造形情報生成部14は、生成した造形物の三次元造形情報を記憶部に記憶させたり、三次元造形情報生成部14に設けられた表示部に表示したりすることができる。三次元造形情報生成部14は、コンピュータが例示される。
【0036】
入力受付部12は、三次元造形情報生成部14に設けられた表示部に表示された造形物の三次元造形情報を見ながら、糸情報受付部18で糸の情報の修正を受け付けることができ、編込方法受付部19で糸の編み込み方法の情報の修正を受け付けることができる。三次元造形情報生成部14は、入力受付部12が糸の情報の修正または糸の編み込み方法の情報の修正を受け付けた場合、造形物の三次元造形情報を修正する。
【0037】
造形部16は、三次元造形情報生成部14で生成された三次元造形情報に基づいて、作業面21aに向かって造形剤を吐出して硬化させることで、作業面21aの上に造形物を造形する。造形部16は、いわゆるインクジェット方式の3Dプリンタが例示される。造形部16は、図1に示すように、載置台21と、Yバー22と、キャリッジ23と、インクジェットヘッド24と、紫外線照射器25と、ヘッド駆動部としてのキャリッジ駆動部26と、載置台駆動部27と、制御部28と、を含む。
【0038】
載置台21は、図1のXY面である水平面に沿って延在する板状に形成されている。載置台21は、図1のZ方向である鉛直方向の上面に、作業面21aを有する。作業面21aは、水平面と平行な面となっており、平坦に形成されている。この作業面21aは、媒体(メディア)が載置される平面となっている。載置台21の作業面21aは、矩形状に形成されたものが例示されるが、これに限定されない。
【0039】
作業面21aの上に載置される媒体(メディア)は、プラスチックフィルム、プラスチック板、金属板、ガラス板、合板、木材、合成建材、不敷布及びプラスチックメンブレン等が例示される。作業面21aの上に載置された媒体(メディア)は、上側の面に造形剤が吐出されて硬化され、層状の造形剤の硬化物である単位層が鉛直方向の下方側から上方側に向かって複数積層されることで、造形物が造形される。なお、媒体(メディア)は、本実施形態では、フィルム状のもの及び板状のものである場合について説明するが、本発明ではこれに限定されず、柱状材料及び各種成形立体物等に例示される材料が用いられてもよい。
【0040】
Yバー22は、載置台21に対して図1のZ方向、すなわち載置台21の鉛直方向の上側に所定の間隔をあけて設けられている。Yバー22は、水平方向のうち図1におけるY軸と平行な主走査方向に沿って直線状に設けられている。Yバー22は、主走査方向に沿って往復移動するキャリッジ23をガイドする。
【0041】
キャリッジ23は、Yバー22に保持され、Yバー22に沿って主走査方向であるY方向に往復移動可能に設けられている。キャリッジ23は、主走査方向に移動制御されている。また、キャリッジ23は、鉛直方向において載置台21の作業面21aと対向する面に、インクジェットヘッド24と紫外線照射器25とを保持している。
【0042】
インクジェットヘッド24は、造形剤としての紫外線硬化型インクを作業面21aに向かって吐出するものである。インクジェットヘッド24は、キャリッジ23に搭載され、キャリッジ23の主走査方向に沿う移動に伴って、主走査方向に往復移動可能となっている。インクジェットヘッド24は、例えば、各種インク流路、レギュレータ、ポンプ等を介して、キャリッジ23に搭載される不図示のインクタンクに接続されている。インクジェットヘッド24は、造形物の造形に用いられる紫外線硬化型インクの種類に応じて、複数設けられている。このインクジェットヘッド24は、インクタンク内の紫外線硬化型インクを、載置台21の作業面21aに向けてインクジェット方式で吐出する。インクジェットヘッド24は、制御部28と電気的に接続され、制御部28によってその駆動が制御される。
【0043】
インクジェットヘッド24が吐出する紫外線硬化型インクは、糸情報受付部18が入力を受け付けた糸の情報、例えば糸の種類の情報、糸の硬さの情報及び糸の色彩の情報等に基づいて決められる。インクジェットヘッド24が吐出する紫外線硬化型インクは、例えば、硬化後のJIS6253によるゴム硬度が90以下、好ましくは80度以下であることが好ましい。このような好ましい紫外線硬化型インクは、硬化後、触った時の触感が本物の布地のように柔らかい触感をもたらすため、造形される造形物に対し、より本物のような、質感を与えることができる。
【0044】
このような好ましい紫外線硬化型インクは、具体的には、オリゴマーと、ウレタン樹脂と、紫外線硬化開始剤としての紫外線吸収材と、を含み、必要に応じて着色インク等の色材または透明インク等を配合したインクが例示される。オリゴマーは、ウレタンアクリレート、低ガラス転移点のアクリレート及びアクリルウレタン樹脂系等が例示される。ウレタン樹脂は、低粘度のアクリルモノマー、イソシアネート、ジオール等が例示される。紫外線硬化開始剤としての紫外線吸収材は、アセトフェミノン系紫外線硬化開始剤、α−アミノアセトフェノン系紫外線吸収剤、アシルフォスフィンオキサイドラジカル系紫外線吸収剤、O−アシルオキシム系紫外線吸収剤、チタノセン型紫外線硬化開始剤、2分子反応型紫外線硬化開始剤等のラジカル型紫外線硬化開始剤、さらにはカチオン型紫外線硬化開始剤等が例示される。紫外線吸収剤は、可視光領域の吸収が色材の発色を阻害しない程度に小さく、紫外光領域の吸収が出来るだけ大きなものが好ましい。また、紫外線吸収剤は、瞬間加熱の時の熱で焦げたり発色したりすることのない、熱に対して安定なものが好ましい。
【0045】
紫外線硬化型インクに用いられる着色インクは、白色インク、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)及び黒色(K)等のインクが例示される。透明インクは、クリアインク等の特色の色材が例示される。着色インクは、これに限定されず、赤(R)、緑(G)、青(B)のインク、及びパールまたはメタリック等の特色インク等々が用いられてもよい。着色インクは、少なくとも1色以上の色数をもたらすものであれば、特定の色に限定されない。また、この紫外線硬化型インクは、表面張力または粘度の調整のために、溶剤などの調整剤が更に添加されてもいい。
【0046】
紫外線照射器25は、作業面21aに向けて吐出された紫外線硬化型インクに対して紫外線を照射するものである。紫外線照射器25は、例えば、紫外線を照射可能なLEDモジュール等により構成される。紫外線照射器25を構成する紫外線モジュール等は、半導体LEDが発光可能な波長が250nm以上400nm以下の範囲内の紫外線を発光することが好ましく、波長が360nm以上400nm以下の範囲内の紫外線を発光することがより好ましい。紫外線照射器25は、キャリッジ23に搭載され、キャリッジ23の主走査方向に沿う移動に伴って、主走査方向に往復移動可能となっている。紫外線照射器25は、制御部28と電気的に接続され、制御部28によってその駆動が制御される。
【0047】
キャリッジ駆動部26は、Yバー22に対してキャリッジ23を、すなわちインクジェットヘッド24及び紫外線照射器25を、主走査方向に相対的に往復移動させる(走査する)駆動装置である。キャリッジ駆動部26は、例えば、キャリッジ23に連結された搬送ベルト等の伝達機構、搬送ベルトを駆動する電動機等の駆動源を含んで構成され、駆動源が発生させた動力を、伝達機構を介してキャリッジ23を主走査方向に沿って移動させる動力に変換し、キャリッジ23を主走査方向に沿って往復移動させる。キャリッジ駆動部26は、制御部28と電気的に接続され、制御部28によってその駆動が制御される。
【0048】
載置台駆動部27は、インクジェットヘッド24に対して載置台21を相対移動させるものであり、図1に示すように、鉛直方向移動部27aと、副走査方向移動部27bと、C軸回転駆動部としての軸心回転部27cと、を含む。
【0049】
鉛直方向移動部27aは、載置台21を鉛直方向(Z方向)に沿って上下移動することで、載置台21に形成された作業面21aを、インクジェットヘッド24に対して相対的に鉛直方向に沿って上下移動させるものである。これにより、載置台駆動部27は、インクジェットヘッド24、紫外線照射器25等に対して、作業面21aを鉛直方向に沿って近づけたり離したりすることができる。つまり、載置台駆動部27は、インクジェットヘッド24、紫外線照射器25に対して作業面21aを鉛直方向に沿って相対移動可能とする。
【0050】
副走査方向移動部27bは、載置台21を主走査方向に対して直交するX方向と平行な副走査方向に移動させることで、載置台21に形成された作業面21aをインクジェットヘッド24に対して相対的に副走査方向に沿って往復移動させるものである。これにより、載置台駆動部27は、インクジェットヘッド24、紫外線照射器25等に対して、作業面21aを副走査方向に沿って往復移動させることができる。つまり、副走査方向移動部27bは、インクジェットヘッド24及び紫外線照射器25と、作業面21aとを副走査方向に相対的に往復移動可能とする。本実施形態では、副走査方向移動部27bは、載置台21を副走査方向に移動させるが、本発明では、これに限定されることなく、Yバー22毎、インクジェットヘッド24及び紫外線照射器25を副走査方向に移動させてもよい。
【0051】
軸心回転部27cは、載置台21をC軸回りに回転させることで、載置台21に形成された作業面21aをインクジェットヘッド24に対して相対的に回転させるものであり、いわゆるターンテーブルとして機能している。ここで、C軸は、載置台21の平坦な作業面21aに対して、垂直な方向に延在する軸となっており、鉛直方向と平行な方向となっている。これにより、載置台駆動部27は、インクジェットヘッド24及び紫外線照射器25等に対して、作業面21aをC軸回りに回転させることができる。
【0052】
制御部28は、入力受付部12が入力を受け付けた造形条件の設定の情報と、三次元造形情報生成部14が生成した三次元造形情報と、を受信する。制御部28は、この受信した造形条件の設定の情報と三次元造形情報とに基づいて、インクジェットヘッド24、紫外線照射器25、キャリッジ駆動部26、載置台駆動部27等を含む造形部16の各部を制御する。制御部28は、インクジェットヘッド24を制御し、紫外線硬化型インクの吐出量、吐出タイミング、吐出期間等を制御する。制御部28は、紫外線照射器25を制御し、照射する紫外線の強度、露光タイミング、露光期間等を制御する。制御部28は、キャリッジ駆動部26を制御し、キャリッジ23の主走査方向に沿った相対移動を制御する。制御部28は、載置台駆動部27を制御し、載置台21の鉛直方向及び副走査方向に沿った相対移動を制御したり、載置台21のC軸回りの相対移動を制御したりする。
【0053】
制御部28は、記憶部と処理部とを含む。記憶部は、例えばRAM、ROM及びフラッシュメモリー等の記憶装置を有し、処理部により処理されるソフトウェア・プログラム及びこのソフトウェア・プログラムにより参照されるデータ等を記憶する。具体的には、記憶部は、処理部に造形物の製造を実行させるためのプログラムを記憶する。また、記憶部は、処理部が処理結果等を一時的に記憶する記憶領域としても機能する。処理部は、記憶部からソフトウェア・プログラム等を読み出して処理することで、ソフトウェア・プログラムの内容に応じた機能を発揮する。具体的には、処理部は、記憶部に記憶されたプログラムを読み出して処理することで、造形部16の制御部28として機能し、造形物の三次元造形情報の生成を実行する。制御部28は、入力受付部12が入力を受け付けた造形条件の設定の情報、及び三次元造形情報生成部14が生成した三次元造形情報を記憶部に記憶させたり、制御部28に設けられた表示部に表示したりすることができる。制御部28は、コンピュータが例示される。
【0054】
三次元造形情報生成部14及び制御部28は、それぞれが記憶部と処理部とを含む構成に限定されず、一体で記憶部と処理部とを含む構成であっても良い。すなわち、三次元造形情報生成部14及び制御部28は、一体のコンピュータが用いられても良い。
【0055】
図2は、実施形態1に係る造形物の製造装置10で処理される造形物の三次元造形情報30を示す平面図の一例である。図3は、図2の造形物の三次元造形情報30のA−A断面を示す断面図の一例である。図4は、図2の造形物の三次元造形情報30の情報処理の一部を説明する説明図である。図5は、図2の造形物の三次元造形情報30の情報処理の別の一部を説明する説明図である。
【0056】
造形物の三次元造形情報30は、複数の縦糸と複数の横糸とを編み込んだ布を模した疑似布の構造物の造形に関する情報を含む。すなわち、造形物の三次元造形情報30は、図2に示すように、縦方向に延びて等間隔に配列された複数の縦糸の造形物32と、横方向に延びて等間隔に配列された複数の横糸の造形物34と、の各情報を含む。ここで、図2における縦方向と横方向とで形成される面は、図1におけるX軸とY軸とで形成される平面に沿う方向の面である。本実施形態では、図2における縦方向と図1におけるX軸とが一致し、図2における横方向と図1におけるY軸とが一致する場合が例示されるが、本発明ではこれに限定されない。
【0057】
縦糸の造形物32と横糸の造形物34との情報は、いずれも、糸情報受付部18が入力を受け付けた糸の情報に基づくものである。本実施形態では、縦糸の造形物32と横糸の造形物34という2種類の糸の造形物が用いられているが、本発明ではこれに限定されず、1種類の糸の造形物が用いられても3種類以上の糸の造形物が用いられてもよい。また、縦糸の造形物32と横糸の造形物34は、どのような太さの造形物が用いられてもよい。また、糸の造形物は、縦糸の造形物と横糸の造形物に限定されず、斜め方向に延びる糸の造形物が用いられても良い。
【0058】
縦糸の造形物32と横糸の造形物34との編み込み方法は、編込方法受付部19が入力を受け付けた糸の編み込み方法の情報に基づくものである。本実施形態では、縦糸の造形物32と横糸の造形物34との編み込み方法は、複数の縦糸の造形物32と複数の横糸の造形物34とが互いに直交するように配列され、縦糸の造形物32が各横糸の造形物34の上側と下側とを交互に通過するように波状に延びて配され、横糸の造形物34が各縦糸の造形物32の上側と下側とを交互に通過するように波状に延びて配される編み込み方法が用いられている。しかし、本発明ではこれに限定されず、1種類の糸の造形物が編み込まれた編み込み方法が用いられても、2種類の糸の造形物が他の方法で編み込まれた編み込み方法が用いられても、3種類以上の糸の造形物が編み込まれた編み込み方法が用いられてもよい。
【0059】
縦糸の造形物32と横糸の造形物34とは、図3に示すように、媒体(メディア)31の上側の面に配置されている。媒体(メディア)31は、作業面21aの上に載置される媒体(メディア)と同様のものである。縦糸の造形物32は、図3に示すように、断面形状が丸みを帯びていることが好ましい。具体的には、縦糸の造形物32の断面形状は、円形状または楕円形状等の実際の糸の断面形状と近い形状であることが好ましい。また、縦糸の造形物32の断面形状は、複数の糸が撚糸されたことによる断面形状、すなわち複数の円形状または楕円形状等が組み合わされた形状であってもよい。横糸の造形物34もまた、縦糸の造形物32と同様の断面形状を有することが好ましい。縦糸の造形物32と横糸の造形物34との断面形状の情報は、造形物の三次元造形情報30に含まれている。
【0060】
造形部16は、制御部28が受信した造形物の三次元造形情報30に縦糸の造形物32と横糸の造形物34との断面形状の情報を含む場合、縦糸の造形物32と横糸の造形物34との断面形状が、造形物の三次元造形情報30に含まれた断面形状となるように、造形物を造形する。例えば、造形部16は、造形物の三次元造形情報30に縦糸の造形物32と横糸の造形物34との断面形状が丸みを帯びている旨の情報を含む場合、縦糸の造形物32と横糸の造形物34との断面形状が丸みを帯びるように造形物を造形する。
【0061】
造形物の三次元造形情報30は、図3及び図4に示すように、造形物を表面から見た場合、縦糸の造形物32と横糸の造形物34とが重なる重なり部分を含むことが好ましい。具体的には、造形物の三次元造形情報30は、縦糸の造形物32が横糸の造形物34の上側に重なる重なり部分36aと、横糸の造形物34が縦糸の造形物32の上側に重なる重なり部分36bと、を含むことが好ましい。この場合、造形物の三次元造形情報30では、重なり部分36aと重なり部分36bとは、いずれも、縦方向の長さが横糸の造形物34の幅と同じであり、横方向の長さが縦糸の造形物32の幅と同じである矩形状となっている。造形物の三次元造形情報30では、重なり部分36aと重なり部分36bとは、縦方向にも、横方向にも、重なり部分でない部分を間に介して、交互に配列されている。
【0062】
造形物の三次元造形情報30は、図3及び図5に示すように、縦糸の造形物32が上側から視認できる縦糸造形物視認部分36cと、横糸の造形物34が上側から視認できる横糸造形物視認部分36dと、を含むことが好ましい。この場合、縦糸造形物視認部分36cは、1箇所の重なり部分36aを含み、縦方向の両端に重なり部分36bが隣接して配されている。縦糸造形物視認部分36cは、縦方向の長さが2つの重なり部分36bの間隔と同じであり、横方向の長さが縦糸の造形物32の幅と同じである矩形状となっている。横糸造形物視認部分36dは、1箇所の重なり部分36bを含み、横方向の両端に重なり部分36aが隣接して配されている。横糸造形物視認部分36dは、縦方向の長さが横糸の造形物34の幅と同じであり、横方向の長さが2つの重なり部分36aの間隔と同じである矩形状となっている。縦糸造形物視認部分36cと横糸造形物視認部分36dとは、長手方向が互いに直交するように、縦方向にも、横方向にも、交互に配列されている。
【0063】
造形物の三次元造形情報30は、図3に示すように、空隙部分38aと、空隙部分38bと、を含む。空隙部分38aは、媒体(メディア)31と縦糸の造形物32との間に、縦糸の造形物32の下側にある横糸の造形物34に隣接した箇所に配置されている。空隙部分38bは、縦糸の造形物32より上側の領域に、縦糸の造形物32の上側にある横糸の造形物34に隣接した箇所に配置されている。造形物の三次元造形情報30は、同様に、媒体(メディア)31と横糸の造形物34との間に、横糸の造形物34の下側にある縦糸の造形物32に隣接した箇所にも、空隙部分を含む。また、造形物の三次元造形情報30は、横糸の造形物34より上側の領域に、横糸の造形物34の上側にある縦糸の造形物32に隣接した箇所にも、空隙部分を含む。
【0064】
造形物の三次元造形情報30は、表面から見た場合、重なり部分36a及び重なり部分36bの造形物の厚みが、縦糸の造形物32と横糸の造形物34とが重ならない部分の造形物の厚みよりも厚く形成されている情報を含むことが好ましい。この場合、造形部16が、重なり部分36a及び重なり部分36bが強調された造形物の三次元造形情報30に基づいて、造形物を造形するので、より立体感のある造形物を造形することができる。
【0065】
造形物の三次元造形情報30は、重なり部分における上側の糸の造形物の厚みが、重なり部分以外の上側の糸の造形物の厚みよりも厚く、例えば厚みの比率が2倍以上になるように形成されている情報を含むことが好ましい。具体的には、造形物の三次元造形情報30は、重なり部分36aにおける上側の縦糸の造形物32の厚みが、重なり部分36a以外における縦糸の造形物32の厚みよりも厚く形成されており、重なり部分36bにおける上側の横糸の造形物34の厚みが、重なり部分36b以外の横糸の造形物34の厚みよりも厚く形成されている情報を含むことが好ましい。この場合、造形部16が、重なり部分36a及び重なり部分36bがさらに強調された造形物の三次元造形情報30に基づいて、造形物を造形するので、より立体感のある造形物を造形することができる。
【0066】
造形物の三次元造形情報30は、重なり部分における上側の糸の造形物の厚みが、重なり部分の下側の糸の造形物の厚みを積層した厚みで形成されており、重なり部分における下側の糸の造形物を形成しない情報を含むことが好ましい。具体的には、造形物の三次元造形情報30は、重なり部分36aにおける上側の縦糸の造形物32の厚みが、重なり部分36aにおける下側の横糸の造形物34の厚みを積層した厚みで形成されており、重なり部分36aにおける下側の横糸の造形物34を形成しないとともに、重なり部分36bにおける上側の横糸の造形物34の厚みが、重なり部分36bにおける下側の縦糸の造形物32の厚みを積層した厚みで形成されており、重なり部分36bにおける下側の縦糸の造形物32を形成しない情報を含むことが好ましい。この場合、造形部16が、重なり部分36a及び重なり部分36bがさらに強調された造形物の三次元造形情報30に基づいて、造形物を造形するので、より立体感のある造形物を造形することができる。
【0067】
造形物の三次元造形情報30は、重なり部分における上側の糸の造形物に、重なり部分から縦糸の造形物と横糸の造形物とが重ならない部分に向けてテーパが形成されている情報を含むことが好ましい。具体的には、造形物の三次元造形情報30は、重なり部分36aにおける上側の縦糸の造形物32に、重なり部分36aから縦糸の造形物32と横糸の造形物34とが重ならない部分に向けてテーパが形成されており、重なり部分36bにおける上側の横糸の造形物34に、重なり部分36bから縦糸の造形物32と横糸の造形物34とが重ならない部分に向けてテーパが形成されている情報を含むことが好ましい。この場合、造形部16が、重なり部分36a及び重なり部分36bがさらに強調された造形物の三次元造形情報30に基づいて、造形物を造形するので、より立体感のある造形物を造形することができる。
【0068】
造形物の三次元造形情報30は、造形部16で造形される順番等の情報を含むことが好ましい。例えば、造形物の三次元造形情報30が重なり部分の情報を含む場合、造形部16で造形される順番等は、重なり部分における下側の糸の造形物を造形してから、重なり部分における上側の糸の造形物を造形するというものである。すなわち、いずれか1つの糸の造形物である主の糸の造形物よりも作業面21aのある側にある糸の造形物を造形してから、主の糸の造形物を、その主の糸の造形物の延びる方向に沿って走査しながら造形し、そして主の糸の造形物よりも作業面21aとは反対側にある糸の造形物を造形するというものである。具体的には、造形部16で造形される順番等は、主走査方向に沿って造形され、まず、媒体(メディア)31の上側の面に重なり部分36a付近にある横糸の造形物34とその周囲の空隙部分38aとを部分的に造形し、次に、それらの上側に縦糸の造形物32を連なるように造形し、その後に、重なり部分36b付近にある横糸の造形物34を部分的に造形して、部分的に造形された横糸の造形物34を接続して一体化させるというものが例示される。ただし、この場合、空隙部分38bは造形されない。なお、造形物の三次元造形情報30は、このような造形の順番等の情報を含む場合に限定されず、単純に媒体(メディア)31の上側の面に1層ずつ重ねて造形するという情報が含まれていても良い。
【0069】
造形部16は、造形物の三次元造形情報30に含まれる情報に基づいて、例えば、表面から見た場合、重なり部分36a及び重なり部分36bの造形物の厚みを、縦糸の造形物32と横糸の造形物34とが重ならない部分の造形物の厚みよりも厚く形成することが好ましい。この場合、造形部16は、重なり部分36a及び重なり部分36bが強調された造形物の三次元造形情報30に基づいて、造形物を造形するので、より立体感のある造形物を造形することができる。
【0070】
造形部16は、また、造形物の三次元造形情報30に含まれる情報に基づいて、例えば、重なり部分における上側の糸の造形物の厚みを、重なり部分以外の上側の糸の造形物の厚みよりも厚く、例えば厚みの比率が2倍以上になるように形成することが好ましい。具体的には、造形部16は、重なり部分36aにおける上側の縦糸の造形物32の厚みを、重なり部分36a以外における縦糸の造形物32の厚みよりも厚く形成し、重なり部分36bにおける上側の横糸の造形物34の厚みを、重なり部分36b以外の横糸の造形物34の厚みよりも厚く形成することが好ましい。この場合、造形部16は、重なり部分36a及び重なり部分36bがさらに強調された造形物の三次元造形情報30に基づいて、造形物を造形するので、より立体感のある造形物を造形することができる。
【0071】
造形部16は、また、造形物の三次元造形情報30に含まれる情報に基づいて、例えば、重なり部分における上側の糸の造形物の厚みを、重なり部分の下側の糸の造形物の厚みを積層した厚みで形成し、重なり部分における下側の糸の造形物を形成しないことが好ましい。具体的には、造形部16は、重なり部分36aにおける上側の縦糸の造形物32の厚みを、重なり部分36aにおける下側の横糸の造形物34の厚みを積層した厚みで形成し、重なり部分36aにおける下側の横糸の造形物34を形成しないとともに、重なり部分36bにおける上側の横糸の造形物34の厚みを、重なり部分36bにおける下側の縦糸の造形物32の厚みを積層した厚みで形成し、重なり部分36bにおける下側の縦糸の造形物32を形成しないことが好ましい。この場合、造形部16は、重なり部分36a及び重なり部分36bがさらに強調された造形物の三次元造形情報30に基づいて、造形物を造形するので、より立体感のある造形物を造形することができる。
【0072】
造形部16は、また、造形物の三次元造形情報30に含まれる情報に基づいて、例えば、重なり部分における上側の糸の造形物に、重なり部分から縦糸の造形物と横糸の造形物とが重ならない部分に向けてテーパを形成することが好ましい。具体的には、造形部16は、重なり部分36aにおける上側の縦糸の造形物32に、重なり部分36aから縦糸の造形物32と横糸の造形物34とが重ならない部分に向けてテーパを形成し、重なり部分36bにおける上側の横糸の造形物34に、重なり部分36bから縦糸の造形物32と横糸の造形物34とが重ならない部分に向けてテーパを形成することが好ましい。この場合、造形部16は、重なり部分36a及び重なり部分36bがさらに強調された造形物の三次元造形情報30に基づいて、造形物を造形するので、より立体感のある造形物を造形することができる。
【0073】
造形部16は、造形物の三次元造形情報30が縦糸の造形物32と横糸の造形物34との重なり部分を含み、造形部16で造形される順番等の情報を含む場合、この情報に基づき、例えば、いずれか1つの糸の造形物である主の糸の造形物よりも作業面21aのある側にある糸の造形物を造形してから、主の糸の造形物を、その主の糸の造形物の延びる方向に沿って走査しながら造形し、そして主の糸の造形物よりも作業面21aとは反対側にある糸の造形物を造形する。具体的には、造形部16は、まず、主走査方向に沿って造形され、まず媒体(メディア)31の上側の面に重なり部分36a付近にある横糸の造形物34とその周囲の空隙部分38aとを部分的に造形し、次に、それらの上側に縦糸の造形物32を連なるように造形し、その後に、重なり部分36b付近にある横糸の造形物34を部分的に造形して、部分的に造形された横糸の造形物34を接続して一体化させる。
【0074】
造形部16は、空隙部分38aを造形する場合、着色インクとして白色インクが用いられたインク、着色インクが用いられずにクリアインク等の透明インクが用いられたインク、着色インクとして媒体(メディア)31とほぼ同色の色のインクが用いられたインク、着色インクとして空隙部分38aのすぐ周囲にある縦糸の造形物32または横糸の造形物34とほぼ同色の色のインクが用いられたインク、または、実施形態2において後述する不透明インクで、造形をする。また、造形部16は、空隙部分38bを造形しない。このように、造形部16は、造形物の三次元造形情報30の空隙部分38a及び空隙部分38bを適正に処理する。造形部16は、作業面21aのある側、すなわち下側の空隙部分38aについては、さらに上側に造形される縦糸の造形物32または横糸の造形物34を支持するための造形を行い、最も上側にある空隙部分38bについては、造形を行わず、上側の構造のみを、本物の織物の構造のように再現する。
【0075】
図6は、実施形態1に係る造形物の製造方法を示すフローチャートである。図6を用いて、実施形態1に係る造形物の製造装置10の動作方法の一例である造形物の製造方法を説明する。実施形態1に係る造形物の製造方法は、図6に示すように、糸情報受付ステップ(ステップS12)と、編込情報受付ステップ(ステップS14)と、三次元造形情報生成ステップ(ステップS16)と、造形ステップ(ステップS18)と、を含む。
【0076】
まず、糸情報受付部18は、1本以上の任意の本数の糸の情報の入力を受け付ける(ステップS12)。次に、編込方法受付部19は、糸の編み込み方法の情報の入力を受け付ける(ステップS14)。入力受付部12は、糸情報受付部18で入力を受け付けた糸の情報と、編込方法受付部19で入力を受け付けた糸の編み込み方法とを、三次元造形情報生成部14に送信する。
【0077】
なお、ステップS12とステップS14との順番は、どちらが先でどちらが後であっても構わない。すなわち、ステップS12で糸の情報の入力を受け付けてから、ステップS12で情報の入力を受け付けた糸の編み込み方法の情報の入力をステップS14で受け付けてもよい。また、ステップS14で糸の編み込み方法の情報の入力を受け付けてから、ステップS14で入力を受け付けた糸の編み込み方法で編み込む糸の情報の入力をステップS12で受け付けてもよい。
【0078】
その次に、三次元造形情報生成部14は、入力受付部12から受信した糸の情報及び糸の編み込み方法の情報に基づいて、造形物の三次元造形情報を生成する(ステップS16)。三次元造形情報生成部14は、生成した三次元造形情報を、造形部16の制御部28に送信する。例えば、三次元造形情報生成部14は、造形物の三次元造形情報30を生成して、造形部16の制御部28に送信する。
【0079】
ステップS16では、三次元造形情報生成部14は、糸の情報及び糸の編み込み方法の情報に基づいて生成される最小単位の三次元造形情報を生成し、この最小単位の三次元造形情報を繰り返し処理することで、予め指定された形状及び大きさの造形物の三次元造形情報を生成することが好ましい。
【0080】
ステップS16では、三次元造形情報生成部14は、造形物の三次元造形情報30に縦糸の造形物32と横糸の造形物34との断面形状の情報を含ませることが好ましい。ステップS16では、三次元造形情報生成部14は、造形物の三次元造形情報30に、縦糸の造形物32と横糸の造形物34との重なり部分である重なり部分36a及び重なり部分36bの情報を含ませることが好ましい。また、ステップS16では、三次元造形情報生成部14は、造形物の三次元造形情報30に、縦糸造形物視認部分36cと、横糸造形物視認部分36dとの情報を含ませることが好ましい。また、ステップS16では、三次元造形情報生成部14は、造形物の三次元造形情報30に、造形部16で造形される順番等の情報を含ませることが好ましい。
【0081】
そして、造形部16は、三次元造形情報生成部14から受信した造形物の三次元造形情報30に基づいて、作業面21aに向かって造形剤としての紫外線硬化型インクを吐出して、吐出した紫外線硬化型インクに紫外線を照射して硬化させることで、作業面21aの上に造形物を造形する(ステップS18)。具体的には、作業面21aの上に媒体(メディア)31を載置しておき、媒体(メディア)31の上に、造形物の三次元造形情報30に情報として含まれる縦糸の造形物32及び横糸の造形物34を造形する。
【0082】
ステップS18では、造形部16は、造形物の三次元造形情報30に縦糸の造形物32と横糸の造形物34との断面形状の情報を含む場合、縦糸の造形物32と横糸の造形物34との断面形状がこの情報に基づいたものとなるように、造形物を造形する。ステップS18では、造形部16は、造形物の三次元造形情報30が縦糸の造形物32と横糸の造形物34との重なり部分の情報を含み、造形部16で造形される順番等の情報を含む場合、この情報に基づく順番に造形物を造形する。
【0083】
ステップS18では、造形剤として紫外線硬化型インクを用いている。このため、ステップS18では、汚水などが付着してしまうおそれのある滲み止めの受像層のコーティングを用いる必要がない。これにより、汚染に強い造形物を製造することができる。
【0084】
造形物の製造装置10及びこれによる造形物の製造方法は、以上のような構成を有するため、糸の情報及び糸の編み込み方法の情報に基づいて造形物を製造するので、汚染に対して強く、かつ、視覚的または触覚的にあるいはその双方において、本物の織物の形状の外観の風合いをもつ造形物を製造することができる。このため、造形物の製造装置10及びこれによる造形物の製造方法は、見ても触れても、本物の布地のような質感を、プラスチックフィルム、プラスチック板、金属板、ガラス板、合板、木材、合成建材、不敷布及びプラスチックメンブレン等に与えることができる。これにより、造形物の製造装置10及びこれによる造形物の製造方法は、高級感及び落ち着きのある空間を提供することができる。
【0085】
また、造形物の製造装置10及びこれによる造形物の製造方法は、清掃が容易で、かつ、汚染に対して強い造形物による内装材を製造することができる。このように製造される内装材は、常に清掃されて清潔感を保持することが求められ、油等により汚染の影響が強いレストランや料理店などの空間において好適に用いることができる。また、このように製造される内装材は、実際に人の接触が想定される部屋や車内などの空間において好適に用いることができる。
【0086】
また、造形物の製造装置10及びこれによる造形物の製造方法は、造形物の三次元造形情報30が糸の造形物の断面形状を含み、この糸の造形物の断面形状が丸みを帯びており、糸の造形物の断面形状が丸みを帯びるように造形物を造形するため、糸の造形物が実際の糸のように断面形状が丸みを帯びるので、さらに本物の織物の形状の外観の風合いをもつ造形物を製造することができる。
【0087】
また、造形物の製造装置10及びこれによる造形物の製造方法は、造形物の三次元造形情報30に基づいて、例えば、表面から見た場合、重なり部分36a及び重なり部分36bの造形物の厚みを、縦糸の造形物32と横糸の造形物34とが重ならない部分の造形物の厚みよりも厚く形成することが好ましい。また、造形物の製造装置10及びこれによる造形物の製造方法は、造形物の三次元造形情報30に基づいて、例えば、重なり部分における上側の糸の造形物の厚みを、重なり部分以外の上側の糸の造形物の厚みよりも厚く、例えば厚みの比率が2倍以上になるように形成することが好ましい。また、造形物の製造装置10及びこれによる造形物の製造方法は、造形物の三次元造形情報30に基づいて、例えば、重なり部分における上側の糸の造形物の厚みを、重なり部分の下側の糸の造形物の厚みを積層した厚みで形成し、重なり部分における下側の糸の造形物を形成しないことが好ましい。また、造形物の製造装置10及びこれによる造形物の製造方法は、造形物の三次元造形情報30に基づいて、例えば、重なり部分における上側の糸の造形物に、重なり部分から縦糸の造形物32と横糸の造形物34とが重ならない部分に向けてテーパを形成することが好ましい。これらの場合、造形物の製造装置10及びこれによる造形物の製造方法は、重なり部分36a及び重なり部分36bがさらに強調されたり、バリエーションに富んだ形状とされたりした造形物の三次元造形情報30に基づいて、造形物を造形するので、より立体感のある、重なり部分についてバリエーションに富んだ形状を有する、造形物を造形することができる。
【0088】
また、造形物の製造装置10及びこれによる造形物の製造方法は、造形物の三次元造形情報30が糸の造形物の重なり部分の情報を含み、いずれか1つの糸の造形物である主の糸の造形物よりも作業面21aのある側にある糸の造形物を造形してから、主の糸の造形物を、その主の糸の造形物の延びる方向に沿って走査しながら造形し、そして主の糸の造形物よりも作業面21aとは反対側にある糸の造形物を造形する。このため、造形物の製造装置10及びこれによる造形物の製造方法は、いずれか1つの糸の造形物を連続して造形することができるので、実際の糸のように長手方向に連続した形状となるため、さらに本物の織物の形状の外観の風合いをもつ造形物を製造することができる。
【0089】
また、造形物の製造装置10及びこれによる造形物の製造方法は、三次元造形情報生成部14が、糸の情報及び糸の編み込み方法の情報に基づいて生成される最小単位の三次元造形情報を生成し、この最小単位の三次元造形情報を繰り返し処理することで、予め指定された形状及び大きさの造形物の三次元造形情報を生成する。このため、多様な形状及び大きさの造形物を製造することができる。
【0090】
造形物の製造装置10及びこれによる造形物の製造方法は、具体的には、ブロード・クロス(ポプリン)、更紗、ボイル、モスリン、アムンゼン、サテン、別珍、綿ネル、コールテン、ドビークロス、ジャガード織、ギンガム、デニム、バーバリー(登録商標)、カシミヤ、羽二重(登録商標)、シフォン、シボ織物、及び、ベルベット等々、織物状の模様を有し、質感および触感を伴う種々の織物の造形物を作ることができる。
【0091】
[実施形態2]
図7は、実施形態2に係る造形物の三次元造形情報30の造形剤に含まれる着色インクの分布の一例を示す断面図である。図8は、実施形態2に係る造形物の三次元造形情報30の造形剤に含まれる着色インクの分布の別の一例を示す断面図である。図9は、実施形態2に係る造形物の三次元造形情報30の造形剤に含まれる着色インクの分布のまた別の一例を示す断面図である。実施形態2に係る造形物の製造装置は、実施形態1に係る造形物の製造装置10において、三次元造形情報生成部14が造形物の三次元造形情報に応じて、その造形物の三次元造形情報に着色の情報を含ませることができ、造形部16がその着色の情報に基づいて造形物を造形するように変更されたものである。実施形態2に係る造形物の三次元造形情報30は、実施形態1に係る造形物の三次元造形情報30において、着色の情報が含まれたものである。実施形態2の説明では、実施形態1の説明と同様の構成に実施形態1と同様の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0092】
三次元造形情報生成部14は、造形物に遮光性を持たせるために、造形物の三次元造形情報に不透明インクを用いる領域を設定する遮光化処理を施すことができる。すなわち、三次元造形情報生成部14は、不透明インクを用いる領域の情報を造形物の三次元造形情報30に含ませることができる。具体的には、三次元造形情報生成部14は、縦糸造形物視認部分36cにおいては、縦糸の造形物32の下側にある媒体(メディア)31及び横糸の造形物34が透過しないように、縦糸の造形物32の一部の領域に不透明インクを用いる領域を含ませ、横糸造形物視認部分36dにおいては、横糸の造形物34の下側にある媒体(メディア)31及び縦糸の造形物32が透過しないように、横糸の造形物34の一部の領域に不透明インクを用いる領域を含ませる処理を施す。三次元造形情報生成部14は、例えば、以下に説明する図7図8及び図9に示すような造形物の三次元造形情報30を生成する。
【0093】
実施形態2に係る造形物の三次元造形情報30は、図7図8及び図9に示すように、縦糸の造形物32が領域32a及び領域32bという2つの着色インクの領域を含み、横糸の造形物34が領域34a及び領域34bという2つの着色インクの領域を含む。
【0094】
具体的には、図7に示す造形物の三次元造形情報30では、領域32aは、縦糸の造形物32のうち視認される側、すなわち媒体(メディア)31とは反対側にある領域であり、領域32bは、縦糸の造形物32のうち視認されない側、すなわち媒体(メディア)31のある側にある領域である。また、図7に示す造形物の三次元造形情報30では、領域34aは、横糸の造形物34のうち視認される側、すなわち媒体(メディア)31とは反対側にある領域であり、領域34bは、横糸の造形物34のうち視認されない側、すなわち媒体(メディア)31のある側にある領域である。
【0095】
領域32aは、縦糸の造形物32の本来の色の着色インクが用いられる領域である。領域32bは、縦糸の造形物32より下側にあるものの色、例えば媒体(メディア)31及び横糸の造形物34の色が透過しないように遮光性を持たせるための不透明インクが用いられる領域である。ここで、不透明インクは、光を散乱させて透過させない機能を有するため、遮光性を有する。
【0096】
領域34aは、横糸の造形物34の本来の色の着色インクが用いられる領域である。領域34bは、横糸の造形物34より下側にあるものの色、例えば媒体(メディア)31及び縦糸の造形物32の色が透過しないように遮光性を持たせるための不透明インクが用いられる領域である。
【0097】
図7に示す造形物の三次元造形情報30では、領域32a及び領域32bは、いずれも、縦糸の造形物32の延びる方向に沿って途切れることなく延びている。また、図7に示す造形物の三次元造形情報30では、領域34a及び領域34bは、いずれも、横糸の造形物34の延びる方向に沿って途切れることなく延びている。このため、図7に示す造形物の三次元造形情報30では、領域32aは、縦糸の造形物32における媒体(メディア)31とは反対側を水平面の全体にわたって覆っており、領域32bは、縦糸の造形物32における媒体(メディア)31のある側を水平面の全体にわたって覆っている。また、図7に示す造形物の三次元造形情報30では、領域34aは、横糸の造形物34における媒体(メディア)31とは反対側を水平面の全体にわたって覆っており、領域34bは、横糸の造形物34における媒体(メディア)31のある側を水平面の全体にわたって覆っている。
【0098】
図8に示す造形物の三次元造形情報30は、図7に示す造形物の三次元造形情報30に対し、横糸造形物視認部分36dにおける領域34bが下側に広げられ、領域32aを突き抜けて領域32bと接続されて一体化されるように変更され、さらに、縦糸造形物視認部分36cにおける領域32bが下側に広げられ、領域34aを突き抜けて領域34bと接続されて一体化されるように変更されたものである。
【0099】
図9に示す造形物の三次元造形情報30は、図7に示す造形物の三次元造形情報30に対し、領域32aと領域32bとが混合され、領域34aと領域34bとが混合されるように変更されたものである。すなわち、図9に示す造形物の三次元造形情報30では、縦糸の造形物32は、領域32a中に領域32bが概ね均一に分布しており、横糸の造形物34は、領域34a中に領域34bが概ね均一に分布している状態である。図9に示す造形物の三次元造形情報30においても、領域32aは、縦糸の造形物32における媒体(メディア)31とは反対側を水平面の全体にわたって覆っており、領域34aは、横糸の造形物34における媒体(メディア)31とは反対側を水平面の全体にわたって覆っており、領域32a及び領域34aが視認される状態である。
【0100】
不透明インクは、白色顔料を含む。このため、不透明インクは、遮光性を有する。不透明インクは、白色顔料を除く着色顔料を含んでいない白色インクであっても、白色顔料を除く着色顔料を含んでいる有色の着色インクであってもよい。不透明インクに含まれる白色顔料は、不透明度を表すヘイズ値が30%以上であり、70%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ヘイズ値は、以下の式1で定義される値である。
【0101】
ヘイズ値[%]=(散乱成分のみの透過光/全光線透過光)×100 ・・・ 式1
【0102】
なお、本発明の対象となるインクのヘイズ値は、この対象となるインクを通常の紫外線硬化型インクの印刷方法に従って透明なポリエステルフィルムまたはガラス板上に2回ベタパターンで印刷することで2層が積層されたインク層を形成して試料とし、この試料をJIS K7105に準拠した測定方法によりヘイズメータ(具体的には、日本電色工業株式会社製のMDH−2000)で測定される値である。
【0103】
不透明インクは、白色顔料を有する。白色顔料は、中空白色顔料、マイクロカプセル酸化チタン、マイクロカプセル酸化亜鉛、及び平均粒径が300nm以下のナノ粒子のいずれかが好ましいものとして例示される。ここで、平均粒径とは、粒子の体積と同一の球の直径の相加平均のことを指す。
【0104】
中空白色顔料は、中空または多孔質の微粒子ポリマーが例示される。中空または多孔質の微粒子ポリマーは、その構造中に大きな空隙を有するため、光透過性が低く、可視光に対する遮光性が比較的高く、比重が抑えられる。中空または多孔質の微粒子ポリマーは、カルボン酸塩を含むモノマーに例示されるアルカリ膨潤物質を利用したもの、不飽和カルボン酸を共重合させた粒子に塩基を加えて加熱した後で酸を加えて中和することで膨潤させたもの、ポリスチレンのシード粒子を重合した後でメタクリル酸メチル及び架橋性モノマーを加えて膨潤させて水溶性開始剤を添加したもの、ポリマー粒子中に発泡剤または揮発性物質を内包させて乾燥により揮発発泡させたもの、Water/Oil/Water(W/O/W)型モノマーエマルションの油層のモノマーを重合させたもの、相溶性の異なるモノマーを二段階重合させたもの、親水性モノマー、架橋性モノマー及び油性物質が一定の割合で共存する分散液を懸濁重合または乳化重合させて合成した油性物質を内孔中に含有するポリマーに対して油性物質を除去したもの、等が例示される。
【0105】
マイクロカプセル酸化チタンは、平均粒径が300nm以下の酸化チタンの顔料粒子をマイクロカプセル化したものである。マイクロカプセル酸化亜鉛は、平均粒径が300nm以下の酸化亜鉛の顔料粒子をマイクロカプセル化したものである。マイクロカプセル化とは、粒子を薄い皮膜で周囲をコーティングすることで、粒子を分散安定化させて、粒子の凝集を抑え、比重が抑えられた状態とすることである。
【0106】
上で例示した白色顔料は、いずれも、比重が、一般的に知られている酸化チタン及び酸化亜鉛等に例示される白色顔料と比較して低く、着色インクに含まれる着色顔料並びにその他の成分等と同程度である。このため、このような白色顔料は、着色インクに含まれる着色顔料並びにその他の成分等の中で沈殿することが抑制されるため、造形物の内部でより安定に留まることができる。また、このような白色顔料は、着色インクに含まれる着色顔料並びにその他の成分等の中で比重差による分離が生じることが低減されているため、着色インクに含まれる着色顔料並びにその他の成分等と混合された状態を維持することができ、インクの吐出や色調を安定化させることができる。これにより、本物の織物と同程度の不透明度を有する造形物を製造することができる。
【0107】
なお、三次元造形情報生成部14は、造形物の三次元造形情報30に、縦糸の造形物32と横糸の造形物34との色が混じらないように最低限の遮光化処理を施せば十分であり、具体的には、縦糸の造形物32の縦糸造形物視認部分36cに含まれる部分と、横糸の造形物34の横糸造形物視認部分36dに含まれる部分とについて、最低限の遮光化処理を施せば十分である。そのため、実施形態2に係る造形物の三次元造形情報30は、図7図8及び図9に示すものに限定されず、縦糸の造形物32と横糸の造形物34との色が混じらないように最低限の遮光化処理が施された、いかなる種類の造形物の三次元造形情報30を含む。
【0108】
図10は、実施形態2に係る造形物の三次元造形情報30の造形剤に含まれる着色インクの分布のまた別の一例を示す断面図である。図11は、実施形態2に係る造形物の三次元造形情報30の造形剤に含まれる着色インクの分布のまた別の一例を示す断面図である。図12は、実施形態2に係る造形物の三次元造形情報30の造形剤に含まれる着色インクの分布のまた別の一例を示す断面図である。図13は、実施形態2に係る造形物の三次元造形情報30の造形剤に含まれる着色インクの分布のまた別の一例を示す断面図である。以下において、図10から図13を用いて、実施形態2に係る造形物の三次元造形情報30の変形例について説明する。
【0109】
図10に示す造形物の三次元造形情報30は、図7図8及び図9に示す造形物の三次元造形情報30に対し、縦糸の造形物32に領域32a及び領域32bを設け、横糸の造形物34に領域34a及び領域34bを設けることに代えて、重なり部分36a及び重なり部分36bにおける縦糸の造形物32と横糸の造形物34との間に白色インク層35aを設けたものである。詳細には、図10に示す造形物の三次元造形情報30は、重なり部分36aにおける縦糸の造形物32の媒体(メディア)31のある側と横糸の造形物34の媒体(メディア)31とは反対側との間に設けられた白色インク層35aと、重なり部分36bにおける横糸の造形物34の媒体(メディア)31のある側と縦糸の造形物32の媒体(メディア)31とは反対側との間に設けられた白色インク層35aと、を有する。
【0110】
図10に示す造形物の三次元造形情報30に含まれる白色インク層35aは、先述した白色顔料を有する。なお、白色インク層35aは、縦糸の造形物32及び横糸の造形物34の着色に影響を与えない程度に着色されていてもよい。図10に示す造形物の三次元造形情報30は、白色インク層35aを有するので、図7図8及び図9に示す造形物の三次元造形情報30と同様に、遮光化処理が施された状態となっている。
【0111】
図11に示す造形物の三次元造形情報30は、図10に示す造形物の三次元造形情報30に対し、さらに、重なり部分36aにおける横糸の造形物34と媒体(メディア)31との間に白色インク層35bを設け、かつ、重なり部分36bにおける縦糸の造形物32と媒体(メディア)31との間に白色インク層35bを設けたものである。すなわち、図11に示す造形物の三次元造形情報30は、図10に示す造形物の三次元造形情報30と同様の白色インク層35aと、重なり部分36aにおける横糸の造形物34と媒体(メディア)31との間に設けられた白色インク層35bと、重なり部分36bにおける縦糸の造形物32と媒体(メディア)31との間に設けられた白色インク層35bと、を有する。
【0112】
図11に示す造形物の三次元造形情報30に含まれる白色インク層35bは、白色インク層35aと同様に、先述した白色顔料を有する。なお、白色インク層35bは、白色インク層35aと同様に、縦糸の造形物32及び横糸の造形物34の着色に影響を与えない程度に着色されていてもよい。図11に示す造形物の三次元造形情報30は、さらに白色インク層35bを有するので、重なり部分36a及び重なり部分36bにおいて、媒体(メディア)31に対しても遮光化処理が施された状態となっている。
【0113】
図12に示す造形物の三次元造形情報30は、図7図8及び図9に示す造形物の三次元造形情報30に対し、縦糸の造形物32における領域32aと領域32bとの分け方を変更し、横糸の造形物34における領域34aと領域34bとの分け方を変更したものである。詳細には、図12に示す造形物の三次元造形情報30は、縦糸の造形物32のうち、縦糸造形物視認部分36cに含まれる部分を領域32aとし、横糸造形物視認部分36dに含まれる部分を領域32bとするとともに、横糸の造形物34のうち、横糸造形物視認部分36dに含まれる部分を領域34aとし、縦糸造形物視認部分36cに含まれる部分を領域34bとしたものである。図12に示す造形物の三次元造形情報30は、このような構成を有するので、図7図8図9図10及び図11に示す造形物の三次元造形情報30と同様に、遮光化処理が施された状態となっている。
【0114】
図13に示す造形物の三次元造形情報30は、図12に示す造形物の三次元造形情報30に対し、領域32bを領域34aと同一の着色を有する着色インクを用いる領域とし、領域34bを領域32aと同一の着色を有する着色インクを用いる領域としたものである。図13に示す造形物の三次元造形情報30は、仮に不透明インクを含まなくても、重なり部分36aにおいても、重なり部分36bにおいても、同一の着色を有する着色インクを用いる領域が積層されるので、図7図8図9図10図11及び図12に示す造形物の三次元造形情報30とは異なる形態であるが、実質的に遮光化処理が施された状態となっている。なお、図13に示す造形物の三次元造形情報30は、段落0066、0071、0087で前述した形態と同様のものとなっている。
【0115】
造形部16は、三次元造形情報生成部14によって遮光化処理が施された造形物の三次元造形情報30に基づいて造形物を造形する。造形部16は、例えば図7図8図10図11及び図12に示すような造形物の三次元造形情報30に基づく場合、縦糸の造形物32の造形については、不透明インクを含む造形剤で領域32bを造形してから本来の色の着色インクを含む造形剤で領域32aを造形し、横糸の造形物34の造形については、不透明インクを含む造形剤で領域34bを造形してから本来の色の着色インクを含む造形剤で領域34aを造形する。また、造形部16は、例えば図9に示すような造形物の三次元造形情報30に基づく場合、不透明インクと縦糸の造形物32の本来の色の着色インクとを混ぜて含む造形剤で縦糸の造形物32を造形し、不透明インクと横糸の造形物34の本来の色の着色インクとを混ぜて含む造形剤で横糸の造形物34を造形する。なお、造形部16は、例えば図13に示すような造形物の三次元造形情報30に基づく場合、実施形態1と同様に、不透明インクを用いなくても縦糸の造形物32及び横糸の造形物34を造形することができる。
【0116】
実施形態2に係る造形物の製造装置の動作方法の一例である造形物の製造方法を説明する。実施形態2に係る造形物の製造方法は、実施形態1に係る造形物の造形方法と同様に、糸情報受付ステップ(ステップS12)と、編込情報受付ステップ(ステップS14)と、三次元造形情報生成ステップ(ステップS16)と、造形ステップ(ステップS18)と、を含む。
【0117】
実施形態2に係るステップS12及びステップS14は、実施形態1に係るステップS12及びステップS14と同様である。実施形態2に係るステップS16では、実施形態1に係るステップS16に加えて、三次元造形情報生成部14は、造形物の三次元造形情報30に、縦糸の造形物32と横糸の造形物34との色が混じらないように遮光化処理を施す。三次元造形情報生成部14は、さらに、造形物の三次元造形情報30に、媒体(メディア)31の色が混じらないように遮光化処理を施してもよい。
【0118】
実施形態2に係るステップS18では、実施形態1に係るステップS18において、造形部16は、三次元造形情報生成部14によって遮光化処理が施された造形物の三次元造形情報30に基づいて造形物を造形する。これにより、遮光化処理が施された造形物が製造される。
【0119】
実施形態2に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、以上のような構成を有するため、実施形態1に係る造形物の製造装置10及びこれによる造形物の製造方法と同様の作用効果を有する。これに加え、実施形態2に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、三次元造形情報生成部14が造形物の三次元造形情報30に不透明インクを用いる領域を設定することで遮光性処理を施し、造形部16がこの遮光性処理を施した造形物の三次元造形情報30に基づいて造形物を造形するので、造形物の遮光性を増大させるため、造形物の下側の色彩が造形物の上側に透過することを低減した造形物を製造することができる。
【0120】
図14は、実施形態1に係る造形物の一例である造形物100を示す平面図の一例である。図15は、実施形態2に係る造形物の一例である造形物110を示す平面図の一例である。造形物100は、第1の実施形態に係る造形物の三次元造形情報30に基づいて、すなわち、造形物の三次元造形情報30に不透明インクを用いる領域を設定されずに造形されたものである。造形物110は、第2の実施形態に係る造形物の三次元造形情報30に基づいて、すなわち、造形物の三次元造形情報30に不透明インクを用いる領域を設定されてから造形されたものである。
【0121】
造形物100は、図14に示すように、複数の第1の糸の造形物102と、複数の第2の糸の造形物104と、を含む。複数の第1の糸の造形物102は、造形剤を吐出して硬化させたものである。第1の糸の造形物102は、一方向である図14の上下方向に延びて、図14の左右方向に複数配列されている。複数の第2の糸の造形物104は、造形剤を吐出して硬化させたものである。第2の糸の造形物104は、複数の第1の糸の造形物102と交差する他方向である図14の左右方向に延びて、図14の上下方向に複数配列されている。本実施形態では第1の糸の造形物102と第2の糸の造形物104とが直交している造形物100の場合を説明するが、本発明はこれに限定されることなく、第1の糸の造形物102と第2の糸の造形物104とが平行ではなく交差していればどのような形態でも構わない。第1の糸の造形物102と第2の糸の造形物104とは、互いに編み込まれている。
【0122】
第1の糸の造形物102は、第2の糸の造形物104の上側である図14における手前側と下側である図14における奥側とを交互に通過するように波状に延びて立体的に配されている。第2の糸の造形物104は、第1の糸の造形物102の上側と下側とを交互に通過するように波状に延びて立体的に配されている。第1の糸の造形物102は、重なり部分106aにおいて第2の糸の造形物104よりも上側を通過している。すなわち、第2の糸の造形物104は、重なり部分106aにおいて第1の糸の造形物102よりも下側を通過している。第1の糸の造形物102は、重なり部分106bにおいて第2の糸の造形物104よりも下側を通過している。すなわち、第2の糸の造形物104は、重なり部分106bにおいて第1の糸の造形物102よりも上側を通過している。
【0123】
第1の糸の造形物102は、縦糸の造形物32に基づいて造形されたものである。第2の糸の造形物104は、横糸の造形物34に基づいて造形されたものである。重なり部分106aは、重なり部分36aに対応している。重なり部分106bは、重なり部分36bに対応している。
【0124】
造形物100は、造形物の三次元造形情報30に不透明インクを用いる領域を設定されずに、不透明インクが用いられずに造形されたものである。このため、造形物100は、重なり部分106a及び重なり部分106bにおいて、第1の糸の造形物102の着色と第2の糸の造形物104の着色とが共に透過して見えるので、視覚的に、いずれも、第1の糸の造形物102の着色と第2の糸の造形物104の着色とが混合した色を見せる。したがって、造形物100は、各糸の造形物を異なる2色で着色することで、3色に彩られた色彩を有するものとすることができる。
【0125】
また、造形物100は、媒体(メディア)の上に造形されている場合、さらに媒体(メディア)の色彩及び模様等が透過して見えるので、視覚的に、第1の糸の造形物102の着色と第2の糸の造形物104の着色とにより形成された色彩と媒体(メディア)の色彩及び模様等が重なった色彩及び模様等を有するものとすることができる。
【0126】
造形物110は、図15に示すように、複数の第1の糸の造形物112と、複数の第2の糸の造形物114と、を含む。造形物110は、造形物100と同様の形状を有するので、以下にその対応関係を述べ、形状に関する詳細な説明は省略する。第1の糸の造形物112は、第1の糸の造形物102と対応している。第2の糸の造形物114は、第2の糸の造形物104と対応している。重なり部分116aは、重なり部分106aに対応している。重なり部分116bは、重なり部分106bに対応している。
【0127】
造形物110は、着色については造形物100とは異なる。造形物110は、造形物の三次元造形情報30に不透明インクを用いる領域を設定されて、不透明インクが用いられて造形されたものである。造形物110は、第1の糸の造形物112が、重なり部分116aに不透明インクを含み、第2の糸の造形物114は、重なり部分116bに不透明インクを含む。このため、造形物110は、重なり部分116aにおいて不透明インクにより第2の糸の造形物114の着色が遮られ、視覚的に第1の糸の造形物112の着色による色を見せる。また、造形物110は、重なり部分116bにおいて不透明インクにより第1の糸の造形物112の着色が遮られ、視覚的に第2の糸の造形物114の着色による色を見せる。したがって、造形物110は、所定の領域に不透明インクが用いられることで、2色の糸が交互に重なるように編み込まれた色彩を有するものとすることができる。
【0128】
また、造形物110は、媒体(メディア)の上に造形されている場合、不透明インクによりさらに媒体(メディア)の色彩及び模様等が遮られるので、媒体(メディア)の色彩及び模様等に依らず、第1の糸の造形物112の着色と第2の糸の造形物114の着色とにより形成された、2色の糸が交互に重なるように編み込まれた色彩を有するものとすることができる。
【0129】
[実施形態3]
図16は、実施形態3に係る造形物130の一例を示す断面図の一例である。実施形態3に係る造形物130は、実施形態2で説明した造形物100及び造形物110に対して、造形物に用いる造形剤を変更したものである。実施形態3の説明では、実施形態2の説明と同様の構成に実施形態2と同様の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0130】
造形物130は、図16に示すように、複数の第1の糸の造形物132と、複数の第2の糸の造形物134と、を含む。複数の第1の糸の造形物132は、単一の不透明カラーインクからなる造形剤を媒体(メディア)131の上側の面に吐出して硬化させたものである。第1の糸の造形物132は、一方向である図16の左右方向に延びて、図16の紙面に対して垂直な方向に複数配列されている。複数の第2の糸の造形物134は、単一の不透明カラーインクからなる造形剤を吐出して硬化させたものである。第2の糸の造形物134は、複数の第1の糸の造形物132と交差する他方向である図16の紙面に対して垂直な方向に延びて、図16の左右方向に複数配列されている。本実施形態では第1の糸の造形物132と第2の糸の造形物134とが直交している造形物130の場合を説明するが、本発明はこれに限定されることなく、第1の糸の造形物132と第2の糸の造形物134とが平行ではなく交差していればどのような形態でも構わない。第1の糸の造形物132と第2の糸の造形物134とは、互いに編み込まれている。
【0131】
第1の糸の造形物132は、第2の糸の造形物134の上側(図16における上側)と下側(図14における下側)とを交互に通過するように波状に延びて立体的に配されている。第2の糸の造形物134は、第1の糸の造形物132の上側と下側とを交互に通過するように波状に延びて立体的に配されている。第1の糸の造形物132は、重なり部分136aにおいて第2の糸の造形物134よりも上側を通過している。すなわち、第2の糸の造形物134は、重なり部分136aにおいて第1の糸の造形物132よりも下側を通過している。第1の糸の造形物132は、重なり部分136bにおいて第2の糸の造形物134よりも下側を通過している。すなわち、第2の糸の造形物134は、重なり部分136bにおいて第1の糸の造形物132よりも上側を通過している。
【0132】
第1の糸の造形物132は、縦糸の造形物32に基づいて造形されたものである。第2の糸の造形物134は、横糸の造形物34に基づいて造形されたものである。重なり部分136aは、重なり部分36aに対応している。重なり部分136bは、重なり部分36bに対応している。
【0133】
造形物130は、図16に示すように、第1の糸の造形物132が上側から視認できる縦糸造形物視認部分136cと、第2の糸の造形物134が上側から視認できる横糸造形物視認部分136dと、を含む。縦糸造形物視認部分136cは、縦糸造形物視認部分36cに対応している。横糸造形物視認部分136dは、横糸造形物視認部分36dに対応している。
【0134】
造形物130は、図16に示すように、空隙部分138aと、空隙部分138bと、を含む。空隙部分138aは、空隙部分38aに対応している。空隙部分138bは、空隙部分38bに対応している。
【0135】
複数の第1の糸の造形物132を形成する単一の不透明カラーインクからなる造形剤は、不透明インクの一種であり、実施形態1で記載した着色インクを含む紫外線硬化型インクに、実施形態2で好ましいものとして例示された白色顔料が混合され、均一に分散したものが例示される。複数の第2の糸の造形物134を形成する単一の不透明カラーインクからなる造形剤は、複数の第1の糸の造形物132を形成する単一の不透明カラーインクからなる造形剤と異なる着色を有し、かつ、着色を除く部分において複数の第1の糸の造形物132を形成する単一の不透明カラーインクからなる造形剤と同様の構成が例示される。
【0136】
第3の実施形態に係る造形物130、造形物130の造形装置及び造形物130の造形方法は、2種類の不透明カラーインクのみにより、複数の第1の糸の造形物132と複数の第2の糸の造形物134とが互いに編み込まれた構成を有するので、実施形態2のように造形物の三次元造形情報30に遮光化処理を施さなくても、実質的に遮光化処理をした状態と同様の作用効果が得ることができる。第3の実施形態に係る造形物130、造形物130の造形装置及び造形物130の造形方法は、実施形態2のように造形物の三次元造形情報30に遮光化処理を施す必要がないので、三次元造形情報生成部14による造形物の三次元造形情報30の生成(ステップS16)、造形部16による造形物130の造形(ステップS18)を容易にすることができ、造形物の三次元造形情報30を低用量化でき、造形物130の造形に係る制御及び作業性を容易にすることができる。
【0137】
[実施形態4]
図17は、実施形態4に係る造形物の製造装置で処理される造形物の三次元造形情報40を示す平面図の一例である。図18は、実施形態4に係る造形物の製造装置で処理される糸の造形物の情報を示す模式図の一例である。図19は、実施形態4に係る造形物の製造装置で処理される糸の造形物の情報を示す模式図の別の一例である。実施形態4に係る造形物の製造装置は、実施形態1に係る造形物の製造装置10において、三次元造形情報生成部14が造形物の三次元造形情報に模様の情報を含ませることができ、造形部16が造形物を造形した後に造形物の三次元造形情報に含まれる模様の情報に基づいて模様を印刷するように変更されたものである。実施形態4に係る造形物の三次元造形情報40は、実施形態1に係る造形物の三次元造形情報30において、模様の情報が含まれたものである。実施形態4の説明では、実施形態1の説明と同様の構成に実施形態1と同様の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0138】
造形部16が模様を印刷する際、造形部16に含まれるインクジェットヘッド24は、上記した紫外線硬化型インクを吐出することもできるし、紫外線瞬間乾燥インクまたはラテックスインク等に例示される溶剤乾燥型のインクを吐出することもできる。ラテックスインクは、造形物に対して直接印刷する際に用いることもできるが、造形物に対して紫外線硬化型インクまたは紫外線瞬間乾燥インクで印刷された上にさらに印刷される際に用いられることが好ましい。
【0139】
インクジェットヘッド24が吐出する紫外線瞬間乾燥インクは、主成分が水である溶媒に、紫外線硬化開始剤としての紫外線吸収材をインクの全重量の5質量%以上10質量%以下、バインダー樹脂成分をインクの全重量の10質量%以上50質量%以下、及び色材をインクの全重量の2質量%以上10質量%以下加え、必要に応じて表面張力または粘度を調整するための調整剤を加えたものが例示される。紫外線硬化開始剤としての紫外線吸収材は、紫外線硬化型インクの説明の箇所で例示したものと同様のものが例示される。バインダーは、アクリル系化合物、ウレタン系化合物、エポキシ系化合物及びポリエステル系化合物の少なくともいずれかを含む単独化合物または混合物が例示される。色材は、顔料または分散染料もしくは顔料と分散染料との双方が例示される。
【0140】
インクジェットヘッド24が吐出する紫外線瞬間乾燥インクは、上記のものに限定されず、重合発熱組成物を含有するタイプのものでもよい。インクジェットヘッド24が吐出する重合発熱組成物を含有するタイプの紫外線瞬間乾燥インクは、主成分が水である溶媒に、紫外線重合性組成物をインクの全重量の15質量%以上50質量%以下、紫外線硬化開始剤としての紫外線吸収材をインクの全重量の5質量%以上10質量%以下、及び色材をインクの全重量の2質量%以上10質量%以下加え、必要に応じて表面張力または粘度を調整するための調整剤を加えたものが例示される。重合発熱組成物を含有するタイプの紫外線瞬間乾燥インクは、ラジカル重合反応により瞬間乾燥するラジカル重合タイプと、カチオン重合反応により瞬間乾燥するカチオン重合タイプとの2種類が例示される。ラジカル重合タイプの場合、紫外線重合性組成物は、ジプロピレンジアクリレートやイソボニルアクリレート、メトキシブチルアクリレート等のモノマー、または、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート等のオリゴマーをラジカル重合により生じる化合物等が例示される。ラジカル重合タイプの場合、紫外線硬化開始剤としての紫外線吸収材は、アセトフェノン系化合物及びアシルオキシム系化合物等が例示される。カチオン重合タイプの場合、紫外線重合性組成物は、エポキシ系化合物、ビニルエーテル及びオキセタン等が例示される。カチオン重合タイプの場合、紫外線硬化開始剤としての紫外線吸収材は、紫外線硬化型インクの説明の箇所で例示したものと同様のものが例示される。色材は、重合発熱組成物を含有しない紫外線瞬間乾燥インクの説明の箇所で例示したものと同様のものが例示される。重合発熱組成物を含有するタイプの紫外線瞬間乾燥インクを用いる場合、紫外線の照射による発熱で溶媒を蒸発させ、インクを固体化させる。
【0141】
造形物の三次元造形情報40は、図17に示すように、縦方向に延びて等間隔に配列された複数の縦糸の造形物42と、横方向に延びて等間隔に配列された複数の横糸の造形物44と、の各情報を含む。ここで、図17における縦方向と横方向とで形成される面は、図2と同様に、図1におけるX軸とY軸とで形成される平面に沿う方向の面である。本実施形態では、図17における縦方向と図1におけるX軸とが一致し、図17における横方向と図1におけるY軸とが一致する場合が例示されるが、本発明ではこれに限定されない。
【0142】
造形物の三次元造形情報40は、造形物の三次元造形情報30と同様に、重なり部分、縦糸造形物視認部分及び横糸造形物視認部分を含むが、図17では省略されている。これらの造形物の三次元造形情報40に含まれる重なり部分、縦糸造形物視認部分及び横糸造形物視認部分は、造形物の三次元造形情報30に含まれる重なり部分36a,36b、縦糸造形物視認部分36c及び横糸造形物視認部分36d等と同様に造形部16で処理される。
【0143】
造形物の三次元造形情報40は、造形物の三次元造形情報30と同様に、媒体(メディア)の上側に形成されており、空隙部分を有するが、図17では省略されている。これらの造形物の三次元造形情報40に含まれる空隙部分は、造形物の三次元造形情報30に含まれる空隙部分38a、空隙部分38b等と同様に造形部16で処理される。
【0144】
縦糸の造形物42は、図17に示すように、模様42aを含む。横糸の造形物44は、図17及び図18に示すように、模様44aを含む。縦糸の造形物42及び横糸の造形物44は、それぞれ、模様42a及び模様44aを含むことを除いて、縦糸の造形物32及び横糸の造形物34と同様であるので、その詳細な説明を省略する。模様42a及び模様44aは、図17及び図18に示すように、糸の素材に基づく装飾情報であり、詳細には、糸を構成する繊維ファイバー状の筋の模様である。なお、糸の素材に基づく装飾情報は、他には、天然繊維または化学繊維のフィラメントの模様が例示される。
【0145】
横糸の造形物44は、図19に示すような横糸の造形物54に代えても構わない。横糸の造形物54は、図19に示すように、模様54aを含む。横糸の造形物54は、模様54aを含むことを除いて、横糸の造形物34及び横糸の造形物44と同様であるので、その詳細な説明を省略する。模様54aは、図19に示すように、糸の撚糸状態に基づく装飾情報である。
【0146】
模様42a、模様44a及び模様54aは、上記に限定されることなく、糸に施された装飾情報、糸の素材に基づく装飾情報及び糸の撚糸状態に基づく装飾情報の少なくともいずれかであってもよい。糸に施された装飾情報は、具体的には、糸の色彩、ロープの網目の模様、点描状の模様、グラデーションの色や風味に変化を持たせた模様等が例示される。
【0147】
実施形態4に係る造形物の製造装置の動作方法の一例である造形物の製造方法を説明する。実施形態4に係る造形物の製造方法は、実施形態1に係る造形物の造形方法と同様に、糸情報受付ステップ(ステップS12)と、編込情報受付ステップ(ステップS14)と、三次元造形情報生成ステップ(ステップS16)と、造形ステップ(ステップS18)と、を含む。
【0148】
実施形態4に係るステップS12では、実施形態1に係るステップS12に加えて、入力受付部12の糸情報受付部18は、情報の入力を受け付ける各糸について、糸の模様の情報の入力を受け付ける。実施形態4に係るステップS14は、実施形態1に係るステップS14と同様である。実施形態4に係るステップS16では、実施形態1に係るステップS16に加えて、三次元造形情報生成部14は、ステップS12で入力を受け付けた糸の模様の情報を造形物の三次元造形情報40に含ませる。実施形態4に係るステップS18では、実施形態1に係るステップS18に加えて、造形部16は、造形物を造形した後に造形物の三次元造形情報40に含まれる模様の情報に基づいて模様を印刷する。これにより、模様を含む造形物が製造される。
【0149】
実施形態4に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、以上のような構成を有するため、実施形態1に係る造形物の製造装置10及びこれによる造形物の製造方法と同様の作用効果を有する。これに加え、実施形態4に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、三次元造形情報生成部14が造形物の三次元造形情報40に模様の情報を含ませ、造形部16が造形物を造形した後に模様を印刷するため、模様を含む多様な造形物を製造することができる。
【0150】
また、実施形態4に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、印刷される模様が、糸の装飾情報、糸の素材及び撚糸状態の情報に基づくものであるため、さらに本物の織物の形状の外観の風合いをもつ造形物を製造することができる。また、実施形態4に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、造形物に深い質感を与えることができる。
【0151】
なお、実施形態4に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、実施形態2と同様の変更、すなわち、三次元造形情報生成部14が造形物の三次元造形情報40に不透明インクを用いる領域を設定することで遮光性処理を施し、造形部16がこの遮光性処理を施した造形物の三次元造形情報40に基づいて造形物を造形するような変更を加えてもよい。この場合、実施形態4に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、実施形態2に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法と同様の作用効果を有するものとなる。
【0152】
また、実施形態4に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、実施形態3と同様の変更、すなわち、三次元造形情報生成部14が造形物の三次元造形情報40に不透明カラーインクを用いることを設定し、造形部16がこの不透明カラーインクを用いることを設定した造形物の三次元造形情報40に基づいて造形物を造形するような変更を加えてもよい。この場合、実施形態4に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、実施形態3に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法と同様の作用効果を有するものとなる。
【0153】
[実施形態5]
図20は、実施形態5に係る造形物の製造装置で処理される造形物の三次元造形情報60を示す平面図及び断面図の一例である。図20は、左側が平面図であり、右側が断面図であり、平面図と断面図とが、縦方向が対応するように描かれている。図20の右側の断面図は、左側のB−Bにおける断面図である。図20の右側の断面図には、上側から、一点鎖線B1、一点鎖線B2及び一点鎖線B3が、水平方向に沿って、実施形態5の説明のために補助的に引かれている。一点鎖線B3は、媒体(メディア)61の表面に沿って引かれている。一点鎖線B2は、第1の縦糸の造形物62aと第2の縦糸の造形物62bとが交差する高さに沿って引かれている。一点鎖線B1は、後述する空隙部分66a及び空隙部分66bの最も高い位置に沿って引かれている。実施形態5に係る造形物の製造装置は、実施形態4に係る造形物の製造装置とほぼ同様である。実施形態5に係る造形物の三次元造形情報60は、実施形態1に係る造形物の三次元造形情報30において、縦糸の造形物が2種類に変更され、各糸の造形物に色彩の情報が含まれたものである。実施形態5の説明では、実施形態1から実施形態4の説明と同様の構成に実施形態1から実施形態4と同様の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0154】
造形物の三次元造形情報60は、図20に示すように、媒体(メディア)61の上側に形成される造形物の情報であり、縦方向に延びて等間隔に配列された複数の第1の縦糸の造形物62a及び第2の縦糸の造形物62bと、横方向に延びて等間隔に配列された複数の横糸の造形物64と、の各情報を含む。ここで、図20における縦方向と横方向とで形成される面は、図2及び図17と同様に、図1におけるX軸とY軸とで形成される平面に沿う方向の面である。本実施形態では、図20における縦方向と図1におけるX軸とが一致し、図20における横方向と図1におけるY軸とが一致する場合が例示されるが、本発明ではこれに限定されない。
【0155】
第1の縦糸の造形物62a及び第2の縦糸の造形物62bは、図20に示すように、2本1組となっており、横糸の造形物64を挟むように編み込まれている。具体的には、第1の縦糸の造形物62a及び第2の縦糸の造形物62bは、第1の縦糸の造形物62aが横糸の造形物64の上側に編み込まれている箇所では第2の縦糸の造形物62bが横糸の造形物64の下側に編み込まれており、第1の縦糸の造形物62aが横糸の造形物64の下側に編み込まれている箇所では第2の縦糸の造形物62bが横糸の造形物64の上側に編み込まれており、それらの2種類の箇所の間で交差して上側と下側とを入れ替えるように編み込まれている。
【0156】
造形物の三次元造形情報60は、図20に示すように、空隙部分66aと、空隙部分66bと、空隙部分66cと、を含む。空隙部分66aは、上側にある第1の縦糸の造形物62aと、下側にある第2の縦糸の造形物62bと、横糸の造形物64とに隣接した箇所に配置されている。空隙部分66bは、下側にある第1の縦糸の造形物62aと、上側にある第2の縦糸の造形物62bと、横糸の造形物64とに隣接した箇所に配置されている。空隙部分66cは、媒体(メディア)61と、下側にある第1の縦糸の造形物62aと、下側にある第2の縦糸の造形物62bとに隣接した箇所に配置されている。空隙部分66a、空隙部分66b及び空隙部分66cは、横方向、すなわち横糸の造形物64の延びる方向に延びて配置されている。
【0157】
造形物の三次元造形情報60に含まれる空隙部分66a、空隙部分66b及び空隙部分66cは、造形物の三次元造形情報30に含まれる空隙部分38a、空隙部分38b等、並びに造形物の三次元造形情報40に含まれる空隙部分等と同様に造形部16で処理される。これにより、造形部16は、一点鎖線B1より下側の部分の空隙部分のみ造形し、一点鎖線B1より上側の部分の空隙部分については、造形を行わず、上側の構造のみを、本物の織物の構造のように再現する。
【0158】
第1の縦糸の造形物62a、第2の縦糸の造形物62b及び横糸の造形物64は、それぞれ異なる色彩を有している。第1の縦糸の造形物62a、第2の縦糸の造形物62b及び横糸の造形物64は、これに限定されず、実施形態4と同様に、その他の糸に施された装飾情報、糸の素材に基づく装飾情報及び糸の撚糸状態に基づく装飾情報の少なくともいずれかであってもよい。
【0159】
造形部16は、大きな面積の色彩を印刷する場合、その色彩を印刷する下側の部分を造形の段階で、予めその印刷する色彩とほぼ同様の色を有する紫外線硬化型インクをインクジェットヘッド24から吐出させることが好ましい。これにより、所望の色彩を持つ造形物を製造することができる。また、造形部16は、大きな面積の色彩を印刷する場合、予めその色彩に調合したインクを用いて印刷することが好ましい。これにより、印刷日時や印刷位置に依存して色彩がぶれたりむらを生じたりすることを低減することができる。
【0160】
実施形態5に係る造形物の製造装置の動作方法の一例である造形物の製造方法を説明する。実施形態5に係る造形物の製造方法は、実施形態4に係る造形物の造形方法と同様に、糸情報受付ステップ(ステップS12)と、編込情報受付ステップ(ステップS14)と、三次元造形情報生成ステップ(ステップS16)と、造形ステップ(ステップS18)と、を含む。
【0161】
実施形態5に係るステップS12は、実施形態4に係るステップS12において、入力受付部12の糸情報受付部18が、3種類の糸の情報の入力を受け付けるように変更したものである。実施形態5に係るステップS14、ステップS16及びステップS18は、実施形態4に係るステップS14、ステップS16及びステップS18と同様である。これにより、色彩を含む造形物が製造される。
【0162】
実施形態5に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、以上のような構成を有するため、実施形態1に係る造形物の製造装置10及びこれによる造形物の製造方法と同様の作用効果と、実施形態4に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法と同様の作用効果と、を有する。
【0163】
なお、実施形態5に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、実施形態2と同様の変更、すなわち、三次元造形情報生成部14が造形物の三次元造形情報60に不透明インクを用いる領域を設定することで遮光性処理を施し、造形部16がこの遮光性処理を施した造形物の三次元造形情報60に基づいて造形物を造形するような変更を加えてもよい。この場合、実施形態5に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、実施形態2に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法と同様の作用効果を有するものとなる。
【0164】
また、実施形態5に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、実施形態3と同様の変更、すなわち、三次元造形情報生成部14が造形物の三次元造形情報60に不透明カラーインクを用いることを設定し、造形部16がこの不透明カラーインクを用いることを設定した造形物の三次元造形情報60に基づいて造形物を造形するような変更を加えてもよい。この場合、実施形態5に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、実施形態3に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法と同様の作用効果を有するものとなる。
【0165】
[実施形態6]
図21は、実施形態6に係る造形物の製造装置で処理される造形物の三次元造形情報70を示す平面図の一例である。実施形態6に係る造形物の製造装置は、実施形態4に係る造形物の製造装置及び実施形態5に係る造形物の製造装置とほぼ同様である。実施形態6に係る造形物の三次元造形情報70は、実施形態4に係る造形物の三次元造形情報40において、糸の造形物のそれぞれに色彩の情報及び模様の情報が含まれたものである。実施形態6の説明では、実施形態1から実施形態5の説明と同様の構成に実施形態1から実施形態5と同様の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0166】
造形物の三次元造形情報70は、図21に示すように、縦方向に延びて等間隔に配列された複数の縦糸の造形物72と、横方向に延びて等間隔に配列された複数の横糸の造形物74と、の各情報を含む。ここで、図21における縦方向と横方向とで形成される面は、図2図17及び図20と同様に、図1におけるX軸とY軸とで形成される平面に沿う方向の面である。本実施形態では、図21における縦方向と図1におけるX軸とが一致し、図21における横方向と図1におけるY軸とが一致する場合が例示されるが、本発明ではこれに限定されない。
【0167】
造形物の三次元造形情報70は、造形物の三次元造形情報30と同様に、重なり部分、縦糸造形物視認部分及び横糸造形物視認部分を含むが、図21では省略されている。これらの造形物の三次元造形情報70に含まれる重なり部分、縦糸造形物視認部分及び横糸造形物視認部分は、造形物の三次元造形情報30に含まれる重なり部分36a,36b、縦糸造形物視認部分36c及び横糸造形物視認部分36d等と同様に造形部16で処理される。
【0168】
造形物の三次元造形情報70は、造形物の三次元造形情報30と同様に、媒体(メディア)の上側に形成されており、空隙部分を有するが、図21では省略されている。これらの造形物の三次元造形情報70に含まれる空隙部分は、造形物の三次元造形情報30に含まれる空隙部分38a、空隙部分38b等と同様に造形部16で処理される。
【0169】
縦糸の造形物72及び横糸の造形物74は、それぞれ異なる模様の情報を有している。具体的には、縦糸の造形物72は色彩を有しており、横糸の造形物74は色彩を含む装飾模様を有している。縦糸の造形物72及び横糸の造形物74は、これに限定されず、実施形態4及び実施形態5と同様に、その他の糸に施された装飾情報、糸の素材に基づく装飾情報及び糸の撚糸状態に基づく装飾情報の少なくともいずれかであってもよい。
【0170】
実施形態6に係る造形物の製造装置の動作方法の一例である造形物の製造方法は、実施形態4に係る造形物の造形方法と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0171】
実施形態6に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、以上のような構成を有するため、実施形態5に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法と同様に、実施形態1に係る造形物の製造装置10及びこれによる造形物の製造方法と同様の作用効果と、実施形態4に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法と同様の作用効果と、を有する。
【0172】
なお、実施形態6に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、実施形態2と同様の変更、すなわち、三次元造形情報生成部14が造形物の三次元造形情報70に不透明インクを用いる領域を設定することで遮光性処理を施し、造形部16がこの遮光性処理を施した造形物の三次元造形情報70に基づいて造形物を造形するような変更を加えてもよい。この場合、実施形態6に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、実施形態2に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法と同様の作用効果を有するものとなる。
【0173】
また、実施形態6に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、実施形態3と同様の変更、すなわち、三次元造形情報生成部14が造形物の三次元造形情報70に不透明カラーインクを用いることを設定し、造形部16がこの不透明カラーインクを用いることを設定した造形物の三次元造形情報70に基づいて造形物を造形するような変更を加えてもよい。この場合、実施形態6に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、実施形態3に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法と同様の作用効果を有するものとなる。
【0174】
[実施形態7]
図22は、実施形態7に係る造形物の製造装置で処理される造形物の三次元造形情報80を示す平面図の一例である。実施形態7に係る造形物の製造装置は、実施形態4、実施形態5及び実施形態6に係る各造形物の製造装置に加えて、入力受付部12が模様の情報としての織物の装飾情報の入力を受け付け、三次元造形情報生成部14がその織物の装飾情報を造形物の三次元造形情報80に含ませ、造形部16が造形物を造形した後に造形物の三次元造形情報80に含まれる織物の装飾情報に基づいて織物の装飾を印刷するように変更されたものである。実施形態7に係る造形物の三次元造形情報80は、実施形態4に係る造形物の三次元造形情報40において、糸が編み込まれた織物の装飾情報が含まれたものである。実施形態7の説明では、実施形態1から実施形態6の説明と同様の構成に実施形態1から実施形態6と同様の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0175】
造形物の三次元造形情報80は、図22に示すように、縦方向に延びて等間隔に配列された複数の縦糸の造形物82と、横方向に延びて等間隔に配列された複数の横糸の造形物84と、の各情報を含む。ここで、図22における縦方向と横方向とで形成される面は、図2図17図20及び図21と同様に、図1におけるX軸とY軸とで形成される平面に沿う方向の面である。本実施形態では、図22における縦方向と図1におけるX軸とが一致し、図22における横方向と図1におけるY軸とが一致する場合が例示されるが、本発明ではこれに限定されない。
【0176】
造形物の三次元造形情報80は、模様の情報として、糸が編み込まれた織物全体に対する装飾情報を有している。この織物の装飾情報は、縦糸の造形物82及び横糸の造形物84が個々に有している情報とは異なる処理がされる。織物の装飾情報は、織物などの布地に施される刺繍の情報、絵画などの平面画像の情報、着色地模様等の紋様の情報等が例示される。
【0177】
造形物の三次元造形情報80は、造形物の三次元造形情報30と同様に、重なり部分、縦糸造形物視認部分及び横糸造形物視認部分を含むが、図22では省略されている。これらの造形物の三次元造形情報80に含まれる重なり部分、縦糸造形物視認部分及び横糸造形物視認部分は、造形物の三次元造形情報30に含まれる重なり部分36a,36b、縦糸造形物視認部分36c及び横糸造形物視認部分36d等と同様に造形部16で処理される。
【0178】
造形物の三次元造形情報80は、造形物の三次元造形情報30と同様に、媒体(メディア)の上側に形成されており、空隙部分を有するが、図22では省略されている。これらの造形物の三次元造形情報80に含まれる空隙部分は、造形物の三次元造形情報30に含まれる空隙部分38a、空隙部分38b等と同様に造形部16で処理される。
【0179】
実施形態7に係る造形物の製造装置の動作方法の一例である造形物の製造方法を説明する。実施形態7に係る造形物の製造方法は、実施形態1から実施形態6に係る造形物の造形方法と同様に、糸情報受付ステップ(ステップS12)と、編込情報受付ステップ(ステップS14)と、三次元造形情報生成ステップ(ステップS16)と、造形ステップ(ステップS18)と、を含む。
【0180】
実施形態7に係るステップS12及びステップS14は、実施形態1に係るステップS12及びステップS14と同様である。実施形態7では、これにあわせて、入力受付部12は、糸が編み込まれた織物の装飾情報の入力を受け付ける。
【0181】
実施形態7に係るステップS16では、実施形態1に係るステップS16に加えて、三次元造形情報生成部14は、造形物の三次元造形情報80に、入力を受け付けた織物の装飾情報を含ませる。
【0182】
実施形態7に係るステップS18では、実施形態1に係るステップS18に加えて、造形部16は、造形物を造形した後に造形物の三次元造形情報80に含まれる織物の装飾情報に基づいて装飾模様を印刷する。これにより、装飾模様を含む造形物が製造される。
【0183】
実施形態7に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、以上のような構成を有するため、実施形態1に係る造形物の製造装置10及びこれによる造形物の製造方法と同様の作用効果を有する。これに加え、実施形態7に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、三次元造形情報生成部14が造形物の三次元造形情報80に織物の装飾情報を含ませ、造形部16が造形物を造形した後に装飾模様を印刷するため、模様を含む多様な造形物を製造することができる。
【0184】
また、実施形態7に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、印刷される模様が、織物の装飾情報に基づくものであるため、装飾模様を布地にプリントしたような、さらに本物の織物の形状の外観の風合いをもつ造形物を製造することができる。また、実施形態7に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、造形物に深い質感を与えることができる。
【0185】
なお、実施形態7に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、実施形態2と同様の変更、すなわち、三次元造形情報生成部14が造形物の三次元造形情報80に不透明インクを用いる領域を設定することで遮光性処理を施し、造形部16がこの遮光性処理を施した造形物の三次元造形情報80に基づいて造形物を造形するような変更を加えてもよい。この場合、実施形態7に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、実施形態2に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法と同様の作用効果を有するものとなる。
【0186】
また、実施形態7に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、実施形態3と同様の変更、すなわち、三次元造形情報生成部14が造形物の三次元造形情報80に不透明カラーインクを用いることを設定し、造形部16がこの不透明カラーインクを用いることを設定した造形物の三次元造形情報80に基づいて造形物を造形するような変更を加えてもよい。この場合、実施形態7に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、実施形態3に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法と同様の作用効果を有するものとなる。
【0187】
[実施形態8]
図23は、実施形態8に係る造形物の製造装置で処理される複合造形物の三次元造形情報90を示す平面図の一例である。実施形態8に係る造形物の製造装置は、実施形態4、実施形態5、実施形態6及び実施形態7に係る各造形物の製造装置に加えて、入力受付部12、三次元造形情報生成部14及び造形部16が後述するように変更されたものである。実施形態8に係る複合造形物の三次元造形情報90は、図23に示すように、実施形態5に係る造形物の三次元造形情報60と、実施形態6に係る造形物の三次元造形情報70と、実施形態7に係る造形物の三次元造形情報80と、が組み合わせられたものである。実施形態8の説明では、実施形態1から実施形態7の説明と同様の構成に実施形態1から実施形態7と同様の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0188】
実施形態8に係る入力受付部12は、実施形態4、実施形態5、実施形態6及び実施形態7に係る各造形物の製造装置における入力受付部12において、さらに、入力受付部12に含まれる糸情報受付部18及び編込方法受付部19が、複数の組み合わせの糸の情報及び糸の編み込み方法の情報の入力を受け付けるように変更されたものである。実施形態8に係る入力受付部12は、さらに、その複数の組み合わせによって形成される織物の造形物の組み合わせ方の情報の入力を受け付けるように変更されている。織物の造形物の組み合わせ方の情報は、具体的には、織物の造形物の配置位置及び配置回数の情報と、織物の造形物の間を接続する方法に関する情報と、が例示される。
【0189】
実施形態8に係る三次元造形情報生成部14は、実施形態4、実施形態5、実施形態6及び実施形態7に係る各造形物の製造装置における三次元造形情報生成部14において、さらに、入力受付部12が受け付けた複数の組み合わせの糸の情報及び糸の編み込み方法の情報に基づいて、造形物の三次元造形情報を複数生成するように変更されたものである。実施形態8に係る三次元造形情報生成部14は、加えて、入力受付部12が受け付けた織物の造形物の組み合わせ方の情報に基づいて、複数の造形物の三次元造形情報を組み合わせることにより、複合造形物の三次元造形情報を生成するように変更されている。
【0190】
実施形態8に係る造形部16は、実施形態4、実施形態5、実施形態6及び実施形態7に係る各造形物の製造装置における造形部16において、さらに、三次元造形情報生成部14が生成した複合造形物の三次元造形情報に基づいて、複合造形物を造形するように変更されたものである。
【0191】
実施形態8に係る複合造形物の三次元造形情報90は、図23に示すように、3種類の造形物の三次元造形情報が組み合わせられたものである。実施形態8に係る複合造形物の三次元造形情報90は、実施形態5に係る造形物の三次元造形情報60が、角部分に相当する4箇所に計4個配置されている旨の情報を含む。実施形態8に係る複合造形物の三次元造形情報90は、実施形態6に係る造形物の三次元造形情報70が、辺部分に相当する4箇所に計4個配置されている旨の情報を含む。実施形態8に係る複合造形物の三次元造形情報90は、実施形態7に係る造形物の三次元造形情報80が、中央部分に相当する1箇所に計1個配置されている旨の情報を含む。実施形態8に係る複合造形物の三次元造形情報90は、糸の造形物92の情報を含む。糸の造形物92は、稲妻型、すなわちジグザグ状であり、各造形物の三次元造形情報の間を接続している。
【0192】
複合造形物の三次元造形情報90は、造形物の三次元造形情報30と同様に、重なり部分、縦糸造形物視認部分及び横糸造形物視認部分を含むが、図23では省略されている。これらの複合造形物の三次元造形情報90に含まれる重なり部分、縦糸造形物視認部分及び横糸造形物視認部分は、造形物の三次元造形情報30に含まれる重なり部分36a,36b、縦糸造形物視認部分36c及び横糸造形物視認部分36d等と同様に造形部16で処理される。
【0193】
複合造形物の三次元造形情報90は、造形物の三次元造形情報30と同様に、媒体(メディア)の上側に形成されており、空隙部分を有するが、図23では省略されている。これらの複合造形物の三次元造形情報90に含まれる空隙部分は、造形物の三次元造形情報30に含まれる空隙部分38a、空隙部分38b等と同様に造形部16で処理される。
【0194】
実施形態8に係る造形物の製造装置の動作方法の一例である造形物の製造方法を説明する。実施形態8に係る造形物の製造方法は、実施形態1から実施形態7に係る造形物の造形方法と同様に、糸情報受付ステップ(ステップS12)と、編込情報受付ステップ(ステップS14)と、三次元造形情報生成ステップ(ステップS16)と、造形ステップ(ステップS18)と、を含む。
【0195】
実施形態8に係るステップS12及びステップS14では、実施形態1に係るステップS12及びステップS14に加えて、入力受付部12に含まれる糸情報受付部18及び編込方法受付部19が、複数の組み合わせの糸の情報及び糸の編み込み方法の情報の入力を受け付ける。さらに、入力受付部12が、その複数の組み合わせによって形成される織物の造形物の組み合わせ方の情報の入力を受け付ける。具体的には、入力受付部12は、複合造形物の三次元造形情報90に基づく複合造形物を製造する場合、ステップS12及びステップS14では、造形物の三次元造形情報60を生成するための情報、造形物の三次元造形情報70を生成するための情報、造形物の三次元造形情報80を生成するための情報、各造形物の三次元造形情報の配置位置及び配置回数の情報、及び糸の造形物92の情報の入力を受け付ける。
【0196】
実施形態8に係るステップS16では、実施形態1に係るステップS16に加えて、三次元造形情報生成部14が、入力受付部12によって受け付けられた複数の組み合わせの糸の情報及び糸の編み込み方法の情報に基づいて、造形物の三次元造形情報を複数生成する。さらに、三次元造形情報生成部14が、入力受付部12が受け付けた織物の造形物の組み合わせ方の情報に基づいて、複数の造形物の三次元造形情報を組み合わせることにより、複合造形物の三次元造形情報90を生成する。具体的には、三次元造形情報生成部14は、複合造形物の三次元造形情報90に基づく複合造形物を製造する場合、複合造形物の三次元造形情報90に含まれる造形物の三次元造形情報60、造形物の三次元造形情報70及び造形物の三次元造形情報80を生成した後、複合造形物の三次元造形情報90を生成する。
【0197】
実施形態8に係るステップS18では、実施形態1に係るステップS18と同様に、造形部16は、三次元造形情報生成部14が生成した複合造形物の三次元造形情報90に基づいて、複合造形物を造形する。これにより、複数の造形物を組み合わせた複合造形物が製造される。
【0198】
実施形態8に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、以上のような構成を有するため、実施形態1に係る造形物の製造装置10及びこれによる造形物の製造方法と同様の作用効果を有する。これに加え、実施形態8に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、入力受付部12に含まれる糸情報受付部18及び編込方法受付部19が、複数の組み合わせの糸の情報及び糸の編み込み方法の情報の入力を受け付け、その複数の組み合わせによって形成される織物の造形物の組み合わせ方の情報の入力を受け付ける。また、実施形態8に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、三次元造形情報生成部14が複数の造形物の三次元造形情報を組み合わせることで複合造形物の三次元造形情報90を生成し、造形部16がこの複合造形物の三次元造形情報90に基づいて複合造形物を造形する。このため、実施形態8に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、複数の造形物を組み合わせた複合造形物を製造することができる。
【0199】
実施形態8に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、例えばパッチワークのような複数の織物を組み合わせたような外観の風合いをもつ造形物を製造することができる。実施形態8に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、例えば、糸の造形物92に例示される織物の造形物の組み合わせ方を濃い色等の目立つものにすることにより、複数の織物を組み合わせた部分を目立たせた本物のパッチワークの外観の風合いを持つ造形物を製造できる。一方で、実施形態8に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、糸の造形物92に例示される織物の造形物の組み合わせ方を織物の造形物と同色系等の目立たないものにすることにより、複数の織物を組み合わせた部分が目立たないような本物のパッチワークの外観の風合いを持つ造形物を製造できる。また、実施形態8に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、中央に配置される織物の造形物にお気に入りの絵画の装飾をプリントし、周囲に配置される織物の造形物にその絵画を引き立てる装飾をプリントすることで、お気に入りの絵画を引き立てる本物の織物の装飾品のような外観の風合いをもつ造形物を製造することができる。
【0200】
なお、実施形態8に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、実施形態2と同様の変更、すなわち、三次元造形情報生成部14が複合造形物の三次元造形情報90に不透明インクを用いる領域を設定することで遮光性処理を施し、造形部16がこの遮光性処理を施した複合造形物の三次元造形情報90に基づいて造形物を造形するような変更を加えてもよい。この場合、実施形態8に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、実施形態2に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法と同様の作用効果を有するものとなる。
【0201】
また、実施形態8に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、実施形態3と同様の変更、すなわち、三次元造形情報生成部14が複合造形物の三次元造形情報90に不透明カラーインクを用いることを設定し、造形部16がこの不透明カラーインクを用いることを設定した複合造形物の三次元造形情報90に基づいて造形物を造形するような変更を加えてもよい。この場合、実施形態8に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、実施形態3に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法と同様の作用効果を有するものとなる。
【0202】
[実施形態9]
実施形態9に係る造形物の製造装置は、実施形態1から実施形態8に係る各造形物の製造装置において、三次元造形情報生成部が三次元造形情報に画像の情報を含ませるように変更され、この画像の情報を含む三次元造形情報に基づいて、造形物または複合造形物の作業面21aとは反対側の面である表面、すなわち造形物または複合造形物の表面に画像を印刷する印刷部が新たに設けられたものである。実施形態9の説明では、実施形態1から実施形態8の説明と同様の構成に実施形態1から実施形態8と同様の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0203】
印刷部は、画像の情報を含む三次元造形情報に基づいて、造形物または複合造形物の作業面21aとは反対側の面である表面、すなわち造形物の表面に画像を印刷する。印刷部は、作業面21aの上に形成された造形物に向かってインクを吐出し、このインクを乾燥させることで、造形物または複合造形物の表面に画像を印刷する。印刷部は、造形部16と同様の構成を有しており、作業面21aに対して相対的に主走査方向及び副走査方向に往復可能に設けられている。印刷部は、制御部28と電気的に接続されており、制御部28の制御を受けて作動する。
【0204】
印刷部は、紫外線硬化型インクを吐出し、紫外線を照射させることで硬化させて乾燥させる形態が例示される。この場合、印刷部は、上記したインクジェットヘッド24と同様の紫外線硬化型インクを吐出して、紫外線照射器25と同様の紫外線を照射する形態が例示される。また、印刷部は、造形部16と一体となっていてもよい。
【0205】
実施形態9に係る造形物の製造装置の動作方法の一例である造形物の製造方法を説明する。実施形態9に係る造形物の製造方法は、実施形態1から実施形態8に係る造形物の造形方法と同様に、糸情報受付ステップ(ステップS12)と、編込情報受付ステップ(ステップS14)と、三次元造形情報生成ステップ(ステップS16)と、造形ステップ(ステップS18)と、を含み、さらに印刷ステップを含む。
【0206】
実施形態9に係るステップS12からステップS18は、実施形態1から実施形態8に係るステップS12からステップS18と同様である。ステップS18の後、印刷部は、ステップS18で造形部16により造形された造形物または複合造形物の表面に、画像を印刷するという印刷ステップを施す。これにより、表面に画像が印刷された造形物または複合造形物が製造される。
【0207】
実施形態9に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、以上のような構成を有するため、実施形態1に係る造形物の製造装置10及びこれによる造形物の製造方法と同様の作用効果を有する。これに加え、実施形態9に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、印刷部が、造形部16により造形された造形物または複合造形物の表面に、画像を印刷する。これにより、実施形態9に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、表面に画像が印刷された造形物または複合造形物を製造することができる。このため、実施形態9に係る造形物の製造装置及びこれによる造形物の製造方法は、画像の印刷により、より多くの表現力を有する造形物または複合造形物を製造することができる。
【符号の説明】
【0208】
10 造形物の製造装置
12 入力受付部
14 三次元造形情報生成部
16 造形部
18 糸情報受付部
19 編込方法受付部
21 載置台
21a 作業面
22 Yバー
23 キャリッジ
24 インクジェットヘッド
25 紫外線照射器
26 キャリッジ駆動部
27 載置台駆動部
27a 鉛直方向移動部
27b 副走査方向移動部
27c 軸心回転部
28 制御部
30,40,60,70,80 造形物の三次元造形情報
31,61,131 媒体(メディア)
32,42,72,82 縦糸の造形物
32a,32b,34a,34b 領域
34,44,54,64,74,84 横糸の造形物
35a,35b 白色インク層
36a,36b,106a,106b,116a,116b,136a,136b 重なり部分
36c,136c 縦糸造形物視認部分
36d,136d 横糸造形物視認部分
38a,38b,66a,66b,66c,138a,138b 空隙部分
42a,44a,54a 模様
62a 第1の縦糸の造形物
62b 第2の縦糸の造形物
90 複合造形物の三次元造形情報
92,102,104,112,114,132,134 糸の造形物
100,110,130 造形物
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