(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0014】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0015】
<印刷装置の構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷装置の概略構成図、
図2は、
図1に示す印刷装置の機能構成図である。以下の説明において、ユーザが位置する
図1の紙面表方向を前方とする。また、
図1に示すように、ユーザから見て、上下左右を上下左右方向とする。
【0016】
図1において太線で示す経路が、印刷媒体である用紙が搬送される搬送経路である。搬送経路のうち、実線で示す経路が通常経路RC、一点鎖線で示す経路が反転経路RR、破線で示す経路が上部排紙経路RD1、直進排紙経路RD2、二点鎖線で示す経路が給紙経路RSである。通常経路RCと反転経路RRとによって循環経路を構成する。以下の説明における上流、下流は、搬送経路における上流、下流を意味する。
【0017】
本実施の形態に係る印刷装置は、パーソナルコンピュータ(図示せず)、通信ネットワークを介して、パーソナルコンピュータから入力された画像データに基づいた印刷を行う。
【0018】
パーソナルコンピュータは、印刷装置1に対応して開発されたプリンタドライバプログラムがインストールされた、一般的な情報処理端末である。
【0019】
印刷装置1は、
図1,2に示すように、用紙Pを搬送経路に沿って搬送させる各搬送部(給紙部2と、縦搬送部3と、搬送印刷部4と、上面搬送部6と、上部排紙搬送部7と、反転部9と、直進排紙搬送部13)と、インクジェットヘッド部5と、操作パネル部10と、制御部11と、搬送経路上の複数の箇所に設けられ、搬送部により搬送された用紙Pの搬送情報を取得する用紙センサ27a〜27e,33a〜33d,36a〜36f,38,43、各部を収納又は保持するする筐体12とを備える。
【0020】
給紙部2は、用紙Pを保持するとともに、給紙を行う。給紙部2は、搬送経路の最も上流側に設けられ、サイド給紙台21と、サイド給紙ローラ22と、サイド給紙モータ51と、複数の内部給紙台23と、複数の内部給紙ローラ24と、内部給紙モータ52とを備える。
【0021】
サイド給紙台21は、用紙Pが積載されるものであり、一部が印刷装置1の筐体12の外部に露出して設置されている。
【0022】
サイド給紙ローラ22は、サイド給紙台21の上側に設けられており、サイド給紙台21から用紙Pを1枚ずつ取り出して給紙経路RSに沿って後述のレジストローラ31に向けて搬送する。サイド給紙ローラ22は、サイド給紙モータ51によって回転駆動される。
【0023】
内部給紙台23は、筐体12の内部に設けられ、用紙Pが積載されるものである。内部給紙ローラ24は、複数の内部給紙台23の下流側端部と縦給紙ローラとの間において、複数の給紙経路RSの何れかに沿って配置されており、何れかの内部給紙台23に積層されている用紙Pを縦搬送部3へ搬送する。内部給紙ローラ24は、内部給紙モータ52によって回転駆動される。
【0024】
縦搬送部3は、複数対の縦搬送ローラ25a〜25dと、合流給紙ローラ28と、合流給紙モータ53と、用紙センサ27a〜27eとを備え、内部給紙台23から送り出された用紙Pを給紙経路RSに沿って搬送する。
【0025】
縦搬送ローラ25a〜25dは、給紙経路RSに沿って配置されており、用紙Pを後述の合流給紙ローラ28に向けて搬送する。最も下流側の縦搬送ローラ25dは、サイド給紙ローラ22を回転駆動させるサイド給紙モータ51により回転駆動可能に構成されている。他の縦搬送ローラ25a〜25cは、内部給紙ローラ24を回転駆動させる内部給紙モータ52により回転駆動可能に構成されている。
【0026】
合流給紙ローラ28は、縦搬送ローラ25a〜25dと搬送印刷部4のレジストローラ31との間の給紙経路RS上に配置されており、縦搬送ローラ25から搬送された用紙Pを搬送印刷部4へと給紙する。この合流給紙ローラ28は、合流給紙モータ53によって回転駆動される。
【0027】
用紙センサ27a〜27eは、縦搬送ローラ25a〜25dの下流側近傍に配置されている。また、用紙センサ27a〜27eは、発光素子及び受光素子を有する光学式センサが適用されており、給紙経路RSに沿って搬送される用紙Pを検出する。
【0028】
搬送印刷部4は、給紙部2の下流側に配置されており、用紙Pを搬送しつつ、画像を印刷する。搬送印刷部4は、レジストローラ31と、レジストモータ54と、ベルト搬送部32と、ベルトモータ55と、用紙センサ33a〜33dとを備えており、サイド給紙台21、内部給紙台23、反転部9から搬送されてきた用紙Pを上面搬送部6へと搬送する。
【0029】
レジストローラ31は、給紙部2から給紙された用紙Pをベルト搬送部32へと供給するとともに、反転部9から搬送される用紙Pをベルト搬送部32へと再給紙する。レジストローラ31は、搬送印刷部4の上流部の通常経路RC上に配置されている。
【0030】
レジストローラ31は、レジストモータ54によって回転駆動される。この際、レジストローラ31は、レジストモータ54の制御によって、サイド給紙台21、内部給紙台23、反転部9から搬送されてきた用紙Pを一旦止めて、斜行補正を行った後、ベルト搬送部32へと送り出す。
【0031】
ベルト搬送部32は、レジストローラ31よりも通常経路RCの下流側に配置されており、レジストローラ31から搬送された用紙Pの下面を無端ベルトによって吸引しつつ、用紙Pを下流側へと搬送する。ベルト搬送部32は、ベルトモータ55の回転駆動によりベルトを駆動して用紙Pを搬送する。
【0032】
ベルト搬送部32の内側には吸引ファン39が設けられている。ベルト搬送部32を形成する無端ベルトの表面には多数の通気孔が形成されており、吸引ファン39の回転によって生じる吸引力で、用紙Pは無端ベルトに吸着されて搬送される。吸引ファン39は、吸引モータ50によって回転駆動される。
【0033】
用紙センサ33a〜33dは、通常経路RCに沿って搬送される用紙Pを検出するとともに、搬送される用紙Pの浮き上がりを検知して、搬送情報を取得する。用紙センサ33aは、レジストローラ31の上流側近傍に配置されている。用紙センサ33bは、レジストローラ31の下流側近傍に配置されている。用紙センサ33cは、用紙センサ33bの下流側で、ベルト搬送部32の上流部分に配置されている。用紙センサ33dは、インクジェットヘッド部5の下流側に配置されている。
【0034】
また、搬送印刷部4は、ベルト搬送部32を回転させるローラ44の回転角測度などの搬送情報を取得するエンコーダ44aを備える。
【0035】
インクジェットヘッド部5は、各搬送部により搬送される用紙Pに印刷する印刷部であり、ベルト搬送部32の上方に配置されており、用紙Pの搬送方向と略直交する方向に複数のノズルが配列されたラインタイプの複数のインクジェットヘッド(図示せず)を有する。インクジェットヘッド部5は、ベルト搬送部32により通常経路RCに沿って搬送される用紙Pにインクジェットヘッドからインク(記録材)を吐出して画像を印刷する。
【0036】
上面搬送部6は、ベルト搬送部32によって搬送されてきた用紙Pを上方に搬送するとともに、右方向から左方向にUターンするように搬送する。上面搬送部6は、複数対の上面搬送ローラ35a〜35fと、用紙センサ36a〜36fと、上面搬送ローラ35a〜35fをそれぞれ回転駆動させる上面モータ58a〜58fとを備える。
【0037】
上面搬送ローラ35a〜35fは、搬送印刷部4と上部排紙搬送部7との間の通常経路RCに沿って配置されており、用紙Pを押圧して搬送する。
【0038】
用紙センサ36a〜36fは、通常経路RCに沿って搬送される用紙Pを検出する。
用紙センサ36aは、最も上流側の上面搬送ローラ35aの上流側近傍に配置されている。用紙センサ36bは、上面搬送ローラ35aの下流側近傍に配置されている。用紙センサ36cは、通常経路RCの下流域の水平部分の入口において、上面搬送ローラ35bおよび上面搬送ローラ35cの間に配置されている。用紙センサ36dは、通常経路RCの下流域の水平部分において、隣接する上面搬送ローラ35cおよび上面搬送ローラ35dの間に配置されている。用紙センサ36eは、通常経路RCの下流域の水平部分において、上面搬送ローラ35eの下流側に配置されている。用紙センサ36fは、最も下流側の上面搬送ローラ35fの上流側近傍に配置されている。
【0039】
直進排紙搬送部13は、ベルト搬送部32によって搬送されてきた用紙Pを上面搬送部6へ搬送せず、ベルト搬送部32から水平方向に直進させ、直進排紙台14へと搬送して排紙する。直進排紙搬送部13は、切替部34と、排紙ローラ37と、用紙センサ38と、切替部34を駆動させるソレノイド61と、排紙ローラ37を回転駆動させる直進排紙モータ56とを備える。
【0040】
切替部34は、直進排紙経路RD2と通常経路RCとの分岐点に配置されており、用紙Pの搬送経路を直進排紙経路RD2と通常経路RCとの間で切り替える。
【0041】
排紙ローラ37は、切替部34と直進排紙台14との間に配置されており、搬送印刷部4により搬送されてきた用紙Pを直進排紙経路RD2に沿って搬送して直進排紙台14へと排紙する。排紙ローラ37は、直進排紙モータ56によって回転駆動される。
【0042】
用紙センサ38は、直進排紙経路RD2に沿って搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ38は、排紙ローラ37と直進排紙台14との間に配置されている。
【0043】
直進排紙台14は、筐体12から突出したトレイ形状を有しており、傾斜して設置されている。そして、直進排紙搬送部13により搬送されてきた印刷済みの用紙Pが積載される。
【0044】
上部排紙搬送部7は、印刷済みの用紙Pを上部排紙台8へと搬送して排紙する。上部排紙搬送部7は、切替部41と、排紙ローラ42と、用紙センサ43と、切替部41を駆動させるソレノイド62と、排紙ローラ42を回転駆動させる上部排紙モータ57とを備える。
【0045】
切替部41は、上部排紙経路RD1と反転経路RRとの分岐点に配置されており、用紙Pの搬送経路を上部排紙経路RD1と反転経路RRとの間で切り替える。
【0046】
排紙ローラ42は、切替部41と上部排紙台8との間に配置されており、上面搬送部6により搬送されてきた用紙Pを上部排紙経路RD1に沿って搬送して上部排紙台8へと排紙する。
【0047】
用紙センサ43は、上部排紙経路RD1に沿って搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ43は、排紙ローラ42と上部排紙台8との間に配置されている。
【0048】
上部排紙台8は、上部排紙経路RD1の下流端に配置されており、上部排紙搬送部7により搬送されてきた印刷済みの用紙Pが積載される。上部排紙台8は、筐体12から突出したトレイ形状を有し、傾斜して設置されている。
【0049】
反転部9は、両面印刷の際に、片面印刷済みの用紙Pを反転させて搬送印刷部4へと再給紙する。反転部9は、反転ローラ45と、反転モータ59と、スイッチバック部46と、再給紙ローラ47と、再給紙モータ60と、切替ゲート48と、用紙センサ49a,49bとを備える。
【0050】
反転ローラ45は、最も下流側の上面搬送ローラ35とスイッチバック部46の搬入口との間の反転経路RR上に配置されている。そして、反転ローラ45は、上面搬送部6により搬送されてきた用紙Pをスイッチバック部46に一時的に搬入した後に搬出し、再給紙ローラ47へと搬送する。反転ローラ45は、反転モータ59によって正転方向(搬入時)及び反転方向(搬出時)に回転駆動される。
【0051】
スイッチバック部46は、反転ローラ45が用紙Pを一時的に搬入するための空間である。スイッチバック部46は、上部排紙台8の下部に形成されており、反転ローラ45の近傍が用紙Pを搬入するために開口されている。
【0052】
再給紙ローラ47は、反転ローラ45とレジストローラ31との間の反転経路RR上に配置されており、反転ローラ45により搬送されてきた用紙Pをレジストローラ31へと搬送する。再給紙ローラ47は、再給紙モータ60によって回転駆動される。
【0053】
切替ゲート48は、最も下流側の上面搬送ローラ35、反転ローラ45、及び再給紙ローラ47の3個所の重心近傍に配置されている。そして、切替ゲート48は、上面搬送ローラ35によって搬送されてきた用紙Pを反転ローラ45へとガイドする。また、切替ゲート48は、反転ローラ45によってスイッチバック部46から搬出される用紙Pを再給紙ローラ47へとガイドする。
【0054】
用紙センサ49a,49bは、反転経路RRに沿って搬送される用紙Pを検出する。用紙センサ49aは、反転ローラ45とスイッチバック部46との間に配置されており、用紙センサ49bは、再給紙ローラ47の下流側近傍に配置されている。
【0055】
以下、上述したサイド給紙ローラ22、内部給紙ローラ24、縦搬送ローラ25a〜25d、合流給紙ローラ28、レジストローラ31、上面搬送ローラ35a〜35f、排紙ローラ37、排紙ローラ42、反転ローラ45、および再給紙ローラ47について、区別する必要のない場合には、総称して搬送ローラという。
【0056】
操作パネル部10は、操作ボタン、タッチパネル等を有しており、ユーザによる入力操作を受け付け、各種の画面等を表示する。
【0057】
印刷装置1の中枢的制御を行う制御部11は、
図2に示すように、給紙部2と、縦搬送部3と、搬送印刷部4と、インクジェットヘッド部5と、上面搬送部6と、直進排紙搬送部13と、上部排紙搬送部7と、反転部9と、操作パネル部10とを制御する。制御部11は、種々のプログラムを実行するCPU100と、各情報が一時的に記憶されるRAM111と、用紙への印刷制御や搬送制御などを含む制御プログラム等が記憶されているROM112と、印刷制御や搬送制御などを実行する上で必要な各種設定値などが記憶されているHDD113と、入出力を行うための接続部114とを備えている。
【0058】
HDD113には、用紙センサ間ごとの規定検知時間や、搬送ローラごとの規定加速時間が記憶されている。規定検知時間とは、ある用紙センサにより用紙Pが検出されてから、さらに搬送経路下流側の用紙センサにより検出されるまでに要する規定の時間のことをいう。また、規定加速時間とは、搬送ローラの回転が開始されてから所定の搬送速度(回転速度)に到達するまでの時間のことをいう。
【0059】
また、HDD113には、搬送ローラごとに、制御的要因カウンタK1と機械的要因カウンタK2とを記憶する。ここで、制御的要因カウンタK1は、搬送不良が制御的要因と判定するための用いられるカウンタであり、機械的要因カウンタK2は、搬送不良が機械的要因と判定するための用いられるカウンタである。
【0060】
接続部114は、制御部11と、各部のモータや用紙センサとを電気的に接続するものである。この接続部114は、各部の用紙センサで検知された検知信号を受信して、CPU100に入力する。また、接続部114は、各部のモータに備えられたエンコーダからモータ回転数を受信して、CPU100に入力する。さらに、CPU100で生成された制御信号を受信して、各部のモータに入力する。これにより、各部のモータは回転駆動されたり、インクジェットヘッド部5からインクが吐出されたりする。
【0061】
CPU100は、加速時間算出部101と、搬送不良検出部102と、要因判定部103と、搬送制御設定部104と、報知部105とを備える。
【0062】
図3は、本発明の実施の形態に係る印刷装置1のCPU100による作用を模式的に説明した説明図である。なお、
図3では、一例として、上面搬送部6における通常経路RCに配置された用紙センサ36d,36eと、この用紙センサ36d,36eの間に設けられた上面搬送ローラ35d,35eと、上面搬送ローラ35dを回転駆動させる上面モータ58dと、上面搬送ローラ35eを回転駆動させる上面モータ58eとを例に挙げて説明する。
【0063】
加速時間算出部101は、上面搬送ローラ35d,35eをそれぞれ回転駆動開始してから、所定の搬送速度(回転速度)に達するまでの加速時間を算出する。具体的には、加速時間算出部101は、上面モータ58d,58eに備えられたエンコーダからモータ回転数を受信し、受信したモータ回転数に基づいて、上面搬送ローラ35d,35eが回転開始した時点から、所定の搬送速度(回転速度)に達するまでの加速時間を算出し、RAM111に記憶させる。
【0064】
搬送不良検出部102は、通常経路RC上における上面搬送ローラ35d,35eの上流側に設けられた用紙センサ36dと、下流側に設けられた用紙センサ36eによる検出結果に基づいて、搬送経路における搬送不良の発生を検出して、搬送を停止させる。具体的には、搬送不良検出部102は、通常経路RC上を搬送される用紙Pの先端が用紙センサ36dに検出されてから用紙Pの先端が用紙センサ36eに検出されるまでの時間を検知時間として検出する。そして、この検知時間が、HDD113に記憶された用紙センサ36dと用紙センサ36eとの区間に対応する規定検知時間を超えたときに、この用紙センサ36dと用紙センサ36eとの間に設けられた上面搬送ローラ35d,35eのいずれかに搬送不良が発生したと判定し、搬送を停止させる。
【0065】
要因判定部103は、搬送不良検出部102により搬送不良が検出され搬送停止された場合に、搬送を再開させ、加速時間算出部101により算出された加速時間に基づいて、上面搬送ローラ35d,35eの搬送不良が機械的要因または制御的要因のいずれによるものかを判定する。具体的には、要因判定部103は、加速時間算出部101により算出された上面搬送ローラ35dの搬送再開される直前の加速時間が、HDD113に記憶された上面搬送ローラ35dの規定加速時間より短い場合、用紙Pを押圧できずに空回りしている可能性が高いと推測できる。そこで、要因判定部103は、上面搬送ローラ35dの搬送不良が、ローラ自体の摩耗や上面モータ58dの故障などの機械的要因であると判定する。
【0066】
その一方、要因判定部103は、加速時間算出部101により算出された上面搬送ローラ35dの搬送再開される直前の加速時間が、HDD113に記憶された規定加速時間以上の場合、上面搬送ローラ35dの搬送不良が、機械的要因ではなく、制御信号のノイズや誤検知などによるタイミング不良などの制御的要因であると判定する。要因判定部103は、同様に、上面搬送ローラ35eについても、搬送不良が機械的要因または制御的要因のいずれによるものかを判定する。
【0067】
搬送制御設定部104は、要因判定部103により上面搬送ローラ35dの搬送不良が制御的要因であると判定された場合に、上面搬送ローラ35dによる搬送制御の設定値を変更する。例えば、通常経路RC上を搬送される用紙Pの先端が用紙センサ36dに検出されてから用紙Pの先端が用紙センサ36eに検出されるまでの規定検知時間が、100(msec)以下に設定されていたとする。このとき、上面搬送ローラ35dの搬送不良が制御的要因であると判定されると、搬送制御設定部104は、印刷処理を継続できるように、例えば、規定知時間を105(msec)以下に設定するなど搬送不良とならないように緩和する方向に再設定する。また、搬送制御設定部104は、上面搬送ローラ35dの搬送速度(回転速度)を上げるため上面モータ58dの回転数を上げるよう再設定してもよい。
【0068】
報知部105は、要因判定部103により上面搬送ローラ35dの搬送不良が機械的要因であると判定された場合に、上面搬送ローラ35dまたは上面モータ58dに機械的な不具合があることを伝えるメッセージを操作パネル部10に表示させる。例えば、報知部105は、「上面搬送ローラに不具合が発生した可能性があります。サービスマンに連絡してください。」などのメッセージを操作パネル部10に表示させる。
【0069】
なお、
図3に示した例では、用紙センサ36d,36eの間に2つの上面搬送ローラ35d,35eが設けられた例を示したが、これに限らず、用紙センサ間に1つの搬送ローラが設けられている場合にも適用可能である。
【0070】
また、
図3に示した例では、上面搬送ローラ35dを回転駆動させる上面モータ58dと、上面搬送ローラ35eを回転駆動させる上面モータ58eとを例に挙げて説明したが、これに限らず、上面搬送ローラ35dおよび上面搬送ローラ35eなどの複数の搬送ローラを1つのモータで共有して回転駆動させる構成としてもよい。
【0071】
さらに、
図3に示した例では、上面搬送部6における通常経路RCに配置された用紙センサ36d,36eと、この用紙センサ36d,36eの間に設けられた上面搬送ローラ35d,35eと、上面搬送ローラ35dを回転駆動させる上面モータ58dと、上面搬送ローラ35eを回転駆動させる上面モータ58eとを例に挙げて説明したがこれに限らず、搬送経路上の用紙センサ間に設けられた全ての搬送ローラについて、搬送不良が機械的要因または制御的要因のいずれによるものかを判定する。
【0072】
次に、本発明の実施の形態に係る印刷装置1の作用を、
図4,5に示すCPU100による処理内容を示したフローチャートを用いて説明する。
【0073】
図4に示すように、通信ネットワークを介して接続されたパーソナルコンピュータから画像データに基づいた印刷が指示されると(ステップS101;YES)、CPU100は、HDD113に記憶された規定検知時間と規定加速時間とを読み込む(ステップS103)。
【0074】
次に、CPU100は、用紙Pの搬送を開始して印刷を実行する(ステップS105)。
【0075】
各搬送部において用紙搬送が開始されると、搬送不良検出部102は、検知時間を算出する(ステップS107)。具体的には、搬送不良検出部102は、各用紙センサが搬送される用紙Pを検出する度に、検出された用紙センサの搬送経路上流側に配置された用紙センサにより用紙Pの先端が検出されてから経過した時間を検知時間として算出する。
【0076】
次に、加速時間算出部101は、加速時間を算出する(ステップS109)。具体的には、加速時間算出部101は、搬送ローラ毎に回転駆動が開始されてから所定の搬送速度(回転速度)に到達するまでの時間を加速時間として算出する。
【0077】
次に、搬送不良検出部102は、搬送エラーが発生したか否かを判定する(ステップS111)。具体的には、搬送不良検出部102は、ステップS107により算出した検知時間が、ステップS103で読み込んだ規定検知時間を超えている場合、この規定検知時間を超えたと判定された用紙センサ間に設けられている搬送ローラで搬送エラーが発生したと判定する。
【0078】
搬送エラーが発生していないと判定された場合(ステップS111;NO)、印刷が終了するまで(ステップS113;NO)、ステップS107〜S113の処理を繰り返し実行される。
【0079】
一方、いずれかの用紙センサにおいて搬送エラーが発生したと判定された場合(ステップS111;YES)、CPU100は、一旦全ての搬送を停止する(ステップS115)。これにより印刷が停止し用紙Pは搬送経路上の搬送停止された位置で待機することになる。
【0080】
次に、CPU100は、所定時間経過後、用紙Pの搬送を再開する(ステップS117)。
【0081】
そして、ステップS111において搬送エラーが発生した箇所に対応する用紙センサにおいて用紙Pが検出されたか否かを判定する(ステップS119)。
【0082】
搬送エラーが発生した箇所に対応する用紙センサにおいて用紙Pが検出された場合(ステップS119;YES)、制御的要因カウンタK1の値を「1」だけ加算する(ステップS121)。
【0083】
そして、ステップS125に進み、搬送不良検出部102により算出された搬送エラーとなった搬送ローラの加速時間が、HDD113に記憶された規定加速時間より短い場合(ステップS125;YES)、搬送は再開されるものの、搬送不良はローラ自体の摩耗やモータの故障などの機械的要因である可能性が高いと判定できる。
【0084】
そこで、要因判定部103は、機械的要因カウンタK2の値を「1」だけ加算し(ステップS123)、機械的要因カウンタK2が所定の機械的要因閾値以上であるか否か判定する(ステップS135)。
【0085】
機械的要因カウンタK2が所定の機械的要因閾値以上と判定された場合(ステップS135;YES)、再現性があるので、要因判定部103は、搬送不良が、ローラ自体の摩耗やモータの故障などの機械的要因であると判定し(ステップS127)、報知部105が、搬送不良があった搬送ローラやモータなどに機械的な不具合があることを伝えるメッセージを操作パネル部10に表示させる(ステップS129)。
【0086】
一方、搬送不良検出部102により算出された搬送エラーとなった搬送ローラの加速時間が、HDD113に記憶された規定加速時間以上の場合(ステップS125;NO)、機械的要因ではないと推測できる。
【0087】
そこで、要因判定部103は、制御的要因カウンタK1が所定の制御的要因閾値以上か否かを判定する(ステップS131)。
【0088】
制御的要因カウンタK1が所定の制御的要因閾値以上と判定された場合(ステップS131;YES)、搬送再開できるものの搬送不良が多発していると推測できるので、搬送制御設定部104は、搬送ローラによる搬送の制御設定値を変更する(ステップS133)。搬送制御設定部104は、規定検知時間を長く設定したり、モータの回転数を上げるよう設定する。
【0089】
また、ステップS119の判断において、搬送エラーが発生した箇所に対応する用紙センサにおいて用紙Pが検出されない場合(ステップS119;NO)、搬送を再開しても実際には用紙Pは搬送されていないことになるので、処理をステップS127へ移行し、要因判定部103が機械的要因であると判定する。
【0090】
以上のように、本発明の実施の形態に係る印刷装置1によれば、用紙センサによる搬送経路上において上流側から下流側へと搬送される用紙の検出結果に基づいて、搬送経路における搬送不良の発生を検出して、搬送を停止させる搬送不良検出部102と、搬送不良検出部102により停止された搬送を再開し、加速時間算出部101により算出された当該搬送不良が検出された位置の搬送ローラの搬送再開される直前の加速時間に基づいて、当該搬送不良が機械的要因または制御的要因のいずれによるものかを判定する要因判定部103とを備える。
【0091】
そのため、搬送不良が発生したときに、搬送不良の要因を判定することができる。これにより、ユーザは要因に応じて搬送不良を解消するための適切な対策を講じることができる。
【0092】
また、要因判定部103は、加速時間算出部101により算出された搬送不良が検出された位置の搬送ローラの搬送再開される直前の加速時間が、所定の加速時間より短い場合には搬送不良が機械的要因であると判定し、所定の加速時間以上の場合には搬送不良が制御的要因であると判定する。
【0093】
そのため、加速時間が規定加速時間より短い場合は、搬送ローラの押圧力不足による搬送ローラの空回りし、この空回りがローラ摩耗などの機械的要因であると推定する一方、加速時間が規定加速時間以上の場合は、搬送ローラやモータなどの機械的要因ではなく制御的要因であると判定するので、適切に搬送不良が機械的要因または制御的要因のいずれによるものかを判定することができる。
【0094】
さらに、要因判定部103により搬送ローラの搬送不良が制御的要因であると判定された場合に、ローラ駆動手段による用紙搬送の制御設定値を変更する。
【0095】
搬送不良が制御的要因の場合には、直ぐに搬送ローラやモータなどの部材を修理・交換することない。この場合には、印刷を継続する上で致命的な不具合ではないと推定し、制御設定値を変更することにより印刷を継続させることができる。
【0096】
また、要因判定部103により搬送不良が機械的要因であると判定された場合に、報知部105がその旨を報知する。
【0097】
そのため、ユーザは、直ぐにサービスマンに連絡し、不具合のあった搬送ローラやこの搬送ローラを回転駆動するモータなどの機械装置の修理や交換を依頼することができるので、搬送不良の要因を根本的に解消することができる。
【0098】
なお、本発明の実施の形態に係る印刷装置1では、制御的要因カウンタK1や機械的要因カウンタK2を用いて、搬送ローラの搬送不良が機械的要因または制御的要因のいずれによるものかを判定したが、これに限らず、制御的要因カウンタK1や機械的要因カウンタK2を用いることなく判定するようにしてもよい。
図5に示したフローチャートにおいて、ステップS131やS135の処理を省略するようにしてもよい。
【0099】
また、本発明の実施の形態に係る印刷装置1では、制御的要因閾値や機械的要因閾値は、予め設定された固定値としたが、用紙Pの用紙種類(普通紙、マット紙、厚紙など)や用紙Pの搬送設定(片面/両面設定)などに応じてこれらの閾値の値を変更するようにしてもよい。例えば、用紙種類の表面状態が滑りやすい用紙ほどこれらの閾値の値を大きくするように設定していてもよい。
【0100】
(付記)
本出願は、以下の発明を開示する。
【0101】
(付記1)
搬送経路に対して複数設けられた搬送ローラを回転駆動することにより用紙を搬送経路に沿って搬送させるローラ駆動手段と、
前記搬送経路に対して複数設けられ、前記搬送ローラにより搬送される用紙を検出する用紙検出手段と、
前記搬送ローラの回転駆動開始から所定の回転速度に達するまでの加速時間を算出する加速時間算出手段と、
前記用紙検出手段による前記搬送経路上において上流側から下流側へと搬送される用紙の検出結果に基づいて、前記搬送経路における搬送不良の発生を検出して、搬送を停止させる搬送不良検出手段と、
前記搬送不良検出手段により停止された搬送を再開し、前記加速時間算出手段により算出された当該搬送不良が検出された位置の搬送ローラの前記搬送再開される直前の加速時間に基づいて、当該搬送不良の要因を判定する要因判定手段と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【0102】
(付記2)
前記要因判定手段は、
前記加速時間算出手段により算出された前記搬送不良が検出された位置の搬送ローラの前記搬送再開される直前の加速時間が、所定の加速時間より短い場合には搬送不良が機械的要因であると判定し、所定の加速時間以上の場合には搬送不良が制御的要因であると判定する
ことを特徴とする(付記1)記載の印刷装置。
【0103】
(付記3)
前記要因判定手段により搬送不良が制御的要因であると判定された場合に、前記ローラ駆動手段による用紙搬送の制御設定値を変更する搬送制御手段を、
さらに備えたことを特徴とする(付記2)記載の印刷装置。
【0104】
(付記4)
前記要因判定手段により搬送不良が機械的要因であると判定された場合に、その旨を報知する報知手段を、
さらに備えたことを特徴とする(付記2)または(付記3)記載の印刷装置。