(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明をより詳細に例示説明する。
【0015】
図1に示す計量容器1は、例えば洗濯用の液体洗剤や柔軟剤等の比較的粘度の高い内容液を収容する用途に用いられるものであり、容器本体10、ノズルキャップ20、及び本発明の第1実施形態である計量キャップ30を有している。なお、本明細書、特許請求の範囲、および図面では、
図1に示すように計量キャップ30がノズルキャップ20を介して容器本体10に取り付けられた状態を基準とし、計量キャップ30が位置する側を上方(
図1における上側)とし、容器本体10が位置する側を下方(
図1における下側)とする。また、径方向外側とは、
図1において上下方向に延びる計量容器1の中心軸線を通り中心軸線に垂直な直線に沿って外側に向かう方向であり、径方向内側とは、当該直線に沿って中心軸線に向かう方向を指すものとする。なお、
図1における中心軸線は、径方向外側、及び径方向内側の定義に用いており、本実施形態の計量容器1の各部材が、常にこの中心軸線周りに軸対称に形成されていることを意味するものではない。また、請求項1における「容器本体に装着可能な(筒状のキャップ本体部)」とは、容器本体10に直接取り付ける場合と、ノズルキャップ20のような中間部材を介して容器本体10に取り付けられる場合の両方を含むものとする。
【0016】
容器本体10は、内側に収容空間Sを備える胴部11と、該胴部11の下端を閉塞する図示しない底部と、収容空間Sに連なる円筒状の口部13とを備えたボトル形状に形成されており、その収容空間Sに内容液(図示せず)を収容することができる。この容器本体10としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等の合成樹脂製のものを用いることができる。なお、口部13は円筒状に限らず、例えば楕円筒状や角筒状など筒状であれば他の形状に形成することもできる。
【0017】
ノズルキャップ20は、
図1に示すように、容器本体10の口部13に装着される外周壁23と外周壁23の略中央高さから径方向内側に延びる天壁26とを有する装着キャップ部21と、装着キャップ部21に連結されると共に径方向内側に配置され有底筒状形状を有する隔壁27と、隔壁27の底壁27bに形成されたノズル孔27cの縁部から上方に向けて樋状に突出するノズル28とを備えている。本実施形態において、装着キャップ部21、隔壁27、及びノズル28は、一体に形成されており、例えば合成樹脂製とすることができる。
【0018】
より具体的に説明すると、装着キャップ部21は口部13よりも大径の円筒状の外周壁23を備え、この外周壁23の内周面に一体に設けられた雌ねじ23aが口部13の外周面に一体に設けられた雄ねじ13aにねじ結合することで、装着キャップ部21は口部13に装着されている。外周壁23の下端には複数の凹溝23bが設けられ、口部13の根元部分に設けられた係止リブ13bが凹溝23bに係合している。これにより、装着キャップ部21は口部13に対して装着状態に保持され、口部13から容易に取り外されないようになっている。
【0019】
図示する場合では、装着キャップ部21は口部13にねじ結合によって装着される構成となっているが、これに限らず、例えばアンダーカット等の他の手段により口部13に装着される構成とすることもできる。この場合、口部13の形状に合わせて、外周壁23を例えば楕円筒状や角筒状などの他の形状に形成することもできる。
【0020】
装着キャップ部21は、上述のように外周壁23の略中央高さにおいて連結する天壁26を備えている。天壁26の内周端からシール壁26aが上方に延びており、このシール壁26aが後述する計量キャップ30の装着筒31aの内周面に嵌合することで、計量キャップ30は、ノズルキャップ20のノズル孔27cを液密にシールしている。また、シール壁26aの下方には、隔壁27が形成されている。隔壁27は、
図1に示すように有底筒状形状を有しており、側壁27aと側壁27aの下端部を閉塞する底壁27bとを有している。底壁27bの径方向中央には、収容空間Sを外部と連通させ、収容空間S内の内容液を外部に注出するノズル孔27cが設けられている。また、側壁27aの上端部が口部13の内周面に嵌合することで、装着キャップ部21は口部13の上端開口を液密にシールしている。
【0021】
装着キャップ部21はさらに被装着筒25を備えている。被装着筒25は外周壁23より小径であるとともに外周壁23と同軸の円筒状に形成されており、天壁26の上面から上方に向けて突出している。被装着筒25の外周面には計量キャップ30を装着するための雌ねじ25aが一体に設けられている。被装着筒25の雌ねじ25aが、後述するキャップ本体部31の装着筒31aの雄ねじ31cにねじ係合することで、キャップ本体部31を装着キャップ21部に装着することができる。
【0022】
ノズル28は側面に軸方向に沿って一端から他端にまで延びるスリット28aを備えた断面C字形状つまり樋状に形成されている。ノズル28は、計量キャップ30装着時において、注出筒35の内周面に対して径方向に間隔を空けて配置されている。ノズル28の先端部は、スリット28aが設けられる側が容器本体10の収容空間Sに向けて下がるように口部13の上端開口に対して斜めに傾斜する形状とされており、当該先端部は被装着筒25の上端よりも上方に向けて突出している。また、この傾斜部は、利用者が取り扱い易いようにR面処理されている。このような構成により、容器本体10の収容空間Sに収容された内容液を、ノズル28を通して所望の位置に容易に注出させることができる。
【0023】
なお、ノズル28の先端は、斜めに傾斜する形状に限らず、口部13の上部開口に平行な形状や、側方から見て丸みを帯びるようにカットした形状とするなど、種々の形状とすることができる。
【0024】
隔壁27は、ノズル28のスリット28a側に向けて下方に傾斜する底壁27bを有しており、その外周縁において天壁26から垂下する側壁27aに連なっている。なお、内容液の注出後にノズル28の外周面に沿って垂れ落ちる内容液は、傾斜する底壁27bの最下部に集めてスリット28aを通して収容空間Sに戻すことができる。
【0025】
本実施形態に係る計量キャップ30は、少なくとも計量容器部32の内部が視認可能となるように、例えば透明ないし半透明の樹脂製となっており、キャップ本体部31と計量容器部32と注出筒35とを備えている。
【0026】
キャップ本体部31は、合成樹脂材料により、被装着筒25よりも小径の円筒状に形成された装着筒31aと、装着筒31aの上端部に連なる上壁31eとを備えている。上壁31eの内周端には、後述する計量容器部32及び注出筒35が一体に設けられている。
【0027】
計量容器部32は、上壁31eの内周端から上方に向けて径方向外側へと延びる肩部32cと、肩部32cの外周端から更に上方へと延びる筒状の周壁32aと、周壁32aの上端部を閉塞する底壁32bとを有している。計量容器部32は、
図1に示すように上方に向けて僅かに縮径する有頂筒状形状を有しており、周壁32aには、
図1、
図2(a),(b)等に示すように、上下方向に複数配置され周方向に延びる凹リブ33が形成されている。本実施形態において、凹リブ33は目盛として機能し、利用者が収容空間S内の内容液をいずれかの凹リブ33の高さ位置に合致する高さまで計量容器部32に注ぎ入れることによって、内容液を正確に計量することができる。
図1に示すように、凹リブ33は、周壁32aの外周面が凹むと共に内周面が突出する構造を有しているために視認性が高く、利用者が容易に目盛の位置を認識することができる。本実施形態では、後述するように周壁32aをインジェクションブロー成形により形成しているので、
図1に示すように周壁32aの肉厚よりも大きな深さを有する凹リブ33でも容易に形成することができる。なお、
図2(b)に示すように、各凹リブ33の近傍に、計量体積に対応する文字34を印刷等の加飾によって設けてもよい。また、ブロー成形時に金型の内面に設けた微細な凹凸によって文字34を形成してもよい。
【0028】
注出筒35は、上壁31eの内周端から下方に向けて垂下する筒状形状を有している。注出筒35には、
図1に示すように、周方向の1箇所が更に下方へと延びることで注ぎ部35aが形成されている。すなわち、注ぎ部35aは注出筒35の下端部を構成している。利用者が内容液の計量を終了した後、この注ぎ部35aが下側に位置するように計量キャップ30を傾倒させると、計量容器部32内の内容液をこの注ぎ部35aを通じて注出することができるので、より正確に目的の場所に注出することができる。
【0029】
本実施形態では、
図2(a),(b)に示すように、注ぎ部35aが形成されている周方向位置において、凹リブ33が形成されていない間欠部33aを設けている。これによって、上述のように注ぎ部35aが下側に位置するように計量キャップ30を傾倒させて内容液を注出する際に、内容液が周壁32aの凹リブ33部分をなるべく通過しないようにすることができるので、凹リブ33の内周面側に内容液が残ったり、内容液の流れが凹リブ33部分の凹凸で乱されることがない。また、前記文字34は、間欠部33aに設けることが好ましい。
【0030】
図1に示すように、計量キャップ30のキャップ本体部31が装着キャップ部21(被装着筒25)に装着されると、ノズル28が計量容器部32により覆われ、ノズルキャップ20が閉塞される。一方、キャップ本体部31が装着キャップ部21から取り外されると、ノズル28が露出し、内容液を注出可能な状態となる。
【0031】
図1に示すノズルキャップ20に計量キャップ30が装着された状態から、計量容器部32を把持しながら周方向に回して装着筒31aと被装着筒25とのねじ係合を解除すると、ノズルキャップ20に対して計量キャップ30が上方に移動する。そして、ねじ係合が完全に解除された状態で計量キャップ30を上方に引き抜くことで、隔壁27の側壁27aとノズル28との間に配置されていた注出筒35を上方に移動させてノズルキャップ20から取り外すことができる。
【0032】
計量キャップ30をノズルキャップ20から取り外し、ノズル28を露出させた状態で、容器本体10をノズル28の先端部が上方を向く正立姿勢からスリット28aが上方となる傾斜姿勢とすることにより、収容空間S内の内容液を、ノズル孔27cを通じてノズル28の先端部から外部に注出することができる。このとき、口部13の内側に隔壁27が設けられるとともにノズル28が隔壁27の内周縁から起立する構成とされているので、容器本体10の収容空間Sの内容液は、樋状に形成されたノズル28に沿って案内されて当該ノズル28の先端から注出されることになる。利用者は、
図2(a),(b)に示す姿勢で置かれた計量キャップ30に一旦注いで所定量だけ計量した後、上述のように注ぎ部35aから目的の場所に注出してもよいし、ノズル28からの内容液を直接目的の場所に注出してもよい。
【0033】
内容液を注出した後、容器本体10を正立姿勢に戻したときに、ノズル28の先端に付着した内容液がノズル28の外周面に沿って垂れ落ちても、当該内容液は口部13の外側に垂れ落ちることなく、ノズル28に沿って下方に垂れ落ちて隔壁27の上面で受けられ、ノズル28のスリット28aの部分から容器本体10の収容空間Sに戻されることになる。したがって、計量容器1によれば、ノズル28から内容液を注出させつつ当該内容液の外部への液垂れを防止することができる。
【0034】
ノズルキャップ20から取り外された計量キャップ30は、注出筒35を下側とし、計量容器部32を上側とした姿勢とし、注出筒35を側壁27aとノズル28との間の空間に挿入し、計量キャップ30をノズルキャップ20に再び装着することで、ノズル28を再び閉塞させることができる。
【0035】
次に、本実施形態による計量キャップ30の製造方法について、
図3(a)、(b)、及び
図4等を用いて詳細に説明する。
【0036】
図3(a)は、
図2(a)に示す計量キャップ30の平面図であり、
図3(b)は、
図3(a)の計量キャップ30のAA断面による断面図である。また、
図3(b)には、計量キャップ30の計量容器部32をプリフォーム40のブロー成形によって成形する前の状態である計量部41の形状を二点鎖線で示している。
【0037】
プリフォーム40は、計量キャップ30が有するものと同形状のキャップ本体部31及び注出筒35と、計量容器部32の成形前の状態である計量部41とを備えている。計量部41は、
図3(b)に示すように、筒状の側壁41aと、側壁41aの上端部を閉塞する半球殻形状の底壁41bから構成されている。本実施形態のプリフォーム40は、例えば射出成形によって形成することができる。
【0038】
図4は、本実施形態に係る計量キャップ30の製造方法を示すフローチャートである。本実施形態の計量キャップ30を製造するに際しては、まず、射出成形用金型内のキャビティーに樹脂を射出して、
図3(b)に二点鎖線で示す計量部41を有するプリフォーム40を形成する(ステップS101)。このプリフォーム40の材質としては、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂を単層又は積層構造として用いることができる。
【0039】
次に、ステップS101で形成されたプリフォーム40に対してブロー成形を行う(ステップS102)。このブロー成形は、プリフォーム40のキャップ本体部31をブロー成形機の金型の上部にセットし、計量部41を金型内に配置して実施する。金型の内周面には、凹リブ33に対応して周方向に延びる突部が上下方向に複数設けられている。プリフォーム40の計量部41をブロー成形すると、金型のキャビティ形状に対応した有頂筒状の計量容器部32が形成され、金型の突部形状に対応した凹リブ33が形成される。このように、周方向に延びる突部を有する金型を用いて計量容器部32をブロー成形することで、
図1、
図3(b)に示すような、計量容器部32の肉厚よりも深さが大きく視認性に優れた凹リブ33、すなわち目盛を形成することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、ノズルキャップ20に設けた被装着筒25に計量キャップ30のキャップ本体部31を装着させる構成としているが、これに限らず、ノズルキャップ20に被装着筒25を設けることなく、外周壁23の内側または外側に計量キャップ30を装着する構成としてもよい。
【0041】
以上述べたように、本実施形態では、計量容器部32の周壁32aに、目盛として設けられ周方向に延びる凹リブ33を形成し、凹リブ33は、周壁32aの外周面に対して凹み、内周面に対して突出するように構成した。これによって、計量容器部32に視認性に優れた目盛を設けることができる。
【0042】
また、本実施形態では、注出筒35は、注出筒35の下端部を構成する注ぎ部35aが形成されている周方向位置において凹リブ33が形成されない間欠部33aが設けられるように構成した。これによって、注ぎ部35aが下側に位置するように計量キャップ30を傾倒させて内容液を注出する際に、内容液が周壁32aの凹リブ33部分をなるべく通過しないようにすることができるので、凹リブ33の内周面側に内容液が残ったり、内容液の流れが凹リブ33部分の凹凸で乱されたりしないようにすることができる。
【0043】
また、本実施形態の計量キャップ30の製造方法では、射出成形によって計量部41を有するプリフォーム40を成形するステップと、プリフォーム40の計量部41をブロー成形して、有頂筒状の計量容器部32を有する計量キャップ30を成形するステップとを有するように構成した。このように、インジェクションブロー成形によって計量容器部32を成形することによって、凹リブ33を、金型の内周面に形成した突部に沿った形状で形成することができるので、周壁32aの外周面に対して凹み、内周面に対して突出するような凹リブ33を容易に構成することができる。特に、計量容器部32の肉厚よりも深さが大きい凹リブ33でも容易に形成することができる。これによって、計量容器部32に視認性に優れた目盛を設けることができる。
【0044】
次に、本発明の第2実施形態である計量キャップ70について、図面を参照して例示説明する。なお、本実施形態に係る計量キャップ70は、
図5(a),(b)、及び
図7(a),(b)に示すように、注出筒75の周方向の1箇所に切り欠き75bを設け、注出筒75を下方(
図7(b)の上方)に向かって縮径するように構成した他は第1実施形態と近似している。従って、ここでは第1実施形態との差異点に絞って説明する。
【0045】
図5(a)は、本実施形態に係る計量キャップ70の平面図であり、
図5(b)は、
図5(a)の計量キャップ70のBB断面による断面図である。また、
図5(b)には、計量キャップ70の計量容器部72をプリフォーム80のブロー成形によって成形する前の状態である計量部81の形状を二点鎖線で示している。
図5(a),(b)は共に注出筒75を下方に向かって縮径するように変形させる前の状態を示している。
【0046】
計量キャップ70は、
図5(a),(b)に示すように、注出筒75において注ぎ部75aに対向する周方向1箇所に、上下方向に延びる切り欠き75bを有している。切り欠き75bは、注出筒75の下端部から上壁71eの直下まで延びている。この
図5(a),(b)に示す注出筒75を縮径させる前の計量キャップ70は、
図6に示すフローチャートにおいて、
図4のステップS101、S102に対応するステップS201、S202に示す工程によって形成することができる。すなわち、射出成形によってプリフォーム80を成形し(ステップS201)、プリフォーム80をブロー成形金型にセットして計量部81をブロー成形することで計量容器部72を形成する(ステップS202)。次に、計量キャップ70の注出筒75を加熱し、注出筒75に対して径方向内側に荷重を加えると、切り欠き75bの周方向幅が下方に向かって徐々に狭くなるように径方向内側へと変形するため、注出筒75は、
図7(a),(b)に示すように下方に向かって縮径する形状へと変形する(ステップS203)。
【0047】
このように、本実施形態では、注出筒75を注ぎ部75aに向かって徐々に縮径するように構成することにより、例えば洗濯機の洗剤投入口のように狭い入口に対して、計量後の内容液を容易に注ぎ入れることができる。
【0048】
また、本実施形態では、注出筒75の周方向の1箇所に、少なくとも注出筒75の下端部を切り欠く切り欠き部75bが形成され、注出筒75を加熱して径方向内側に変形させることで注出筒75を下端部に向けて徐々に縮径させるように構成した。これによって、金型やブロー成形ノズルからの離脱を容易化し、切り欠き75bの幅によって注出筒75の縮径をコントロールすることができる。
【0049】
また、本実施形態では、切り欠き部75bは、注出筒75の下端部を構成する注ぎ部75aと周方向に対向する位置に形成されるように構成した。これによって、切り欠き部75bによって内容液の流れを乱されることなく、注出筒75を縮径させることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、切り欠き部75bを周方向の1箇所に設けたが、この態様には限定されず、周方向の複数箇所に設けてもよい。また、切り欠き部75bは、少なくとも注出筒75の下端部を切り欠いていればよく、切り欠き部75bが注出筒75の上端部まで延びている必要はない。
【0051】
次に、本発明の第3実施形態である計量キャップ130について、図面を参照して例示説明する。なお、本実施形態に係る計量キャップ130、及びこれを有する計量容器101は、第1実施形態と比較して、装着キャップ部121が被装着筒を有しないこと、計量キャップ130において計量容器部132が別体として構成されていることを除いて、第1実施形態と近似している。従って、ここでは第1実施形態との差異点に絞って詳説する。
【0052】
ノズルキャップ120は、
図8に示すように、容器本体10の口部13に装着される外周壁123と外周壁123の略中央高さから径方向内側に延びる天壁126とを有する装着キャップ部121と、装着キャップ部121に連結されると共に径方向内側に配置され有底筒状形状を有する隔壁127と、隔壁127の底壁127bに形成されたノズル孔127cの縁部から上方に向けて樋状に突出するノズル128とを備えている。本実施形態において、装着キャップ部121、隔壁127、及びノズル128は、一体に形成されており、例えば合成樹脂製とすることができる。
【0053】
より具体的に説明すると、装着キャップ部121は口部13よりも大径の円筒状の外周壁123を備え、この外周壁123の内周面に一体に設けられた雌ねじ123aが口部13の外周面に一体に設けられた雄ねじ13aにねじ結合することで、装着キャップ部121は口部13に装着されている。外周壁123の下端には複数の凹溝123bが設けられ、口部13の根元部分に設けられた係止リブ13bが凹溝123bに係合している。これにより、装着キャップ部121は口部13に対して装着状態に保持され、口部13から容易に取り外されないようになっている。
【0054】
図示する場合では、装着キャップ部121は口部13にねじ結合によって装着される構成となっているが、これに限らず、例えばアンダーカット等の他の手段により口部13に装着される構成とすることもできる。この場合、口部13の形状に合わせて、外周壁123を例えば楕円筒状や角筒状などの他の形状に形成することもできる。
【0055】
装着キャップ部121は、上述のように外周壁123の略中央高さにおいて連結する天壁126を備えている。天壁26の内周端からシール壁126aが上方に延びており、このシール壁126aが後述するキャップ本体部131の装着筒131aの内周面に嵌合することで、キャップ本体部131は、ノズルキャップ120のノズル孔127cを液密にシールしている。また、シール壁126aの下方には、隔壁127が形成されている。隔壁127は、
図8に示すように有底筒状形状を有しており、側壁127aと側壁127aの下端部を閉塞する底壁127bとを有している。底壁127bの径方向中央には、収容空間Sを外部と連通させ、収容空間S内の内容液を外部に注出するノズル孔127cが設けられている。また、側壁127aの上端部が口部13の内周面に嵌合することで、装着キャップ部121は口部13の上端開口を液密にシールしている。
【0056】
本実施形態では、装着キャップ部121の外周壁123上端部における内周面には、雌ねじ部125aが設けられている。キャップ本体部131の装着筒131aの雄ねじ部131cが雌ねじ部125aとねじ係合することで、キャップ本体部131は、ノズルキャップ120に装着されている。
【0057】
ノズル128は側面に軸方向に沿って一端から他端にまで延びるスリット128aを備えた断面C字形状つまり樋状に形成されている。ノズル128は、計量キャップ130装着時において、注出筒135の内周面に対して径方向に間隔を空けて配置されている。ノズル128の先端部は、スリット128aが設けられる側が容器本体10の収容空間Sに向けて下がるように口部13の上端開口に対して斜めに傾斜する形状とされており、当該先端部は外周壁123の上端よりも上方に向けて突出している。また、この傾斜部は、利用者が取り扱い易いようにR面処理されている。このような構成により、容器本体10の収容空間Sに収容された内容液を、ノズル128を通して所望の位置に容易に注出させることができる。
【0058】
なお、ノズル128の先端は、斜めに傾斜する形状に限らず、口部13の上部開口に平行な形状や、側方から見て丸みを帯びるようにカットした形状とするなど、種々の形状とすることができる。
【0059】
隔壁127は、ノズル128のスリット128a側に向けて下方に傾斜する底壁127bを有しており、その外周縁において天壁126から垂下する側壁127aに連なっている。なお、内容液の注出後にノズル128の外周面に沿って垂れ落ちる内容液は、傾斜する底壁127bの最下部に集めてスリット128aを通して収容空間Sに戻すことができる。
【0060】
本実施形態に係る計量キャップ130は、キャップ本体部131と計量容器部132と注出筒135とを備えている。図示する例では、キャップ本体部131と注出筒135は一体に形成されており、計量容器部132は、別部品として構成されキャップ本体部131に装着されている。計量容器部132は、内容液の視認性の観点から、例えば透明ないし半透明の樹脂製とするのが好ましい。
【0061】
キャップ本体部131は、合成樹脂材料により、外周壁123よりも小径の円筒状に形成された装着筒131aと、装着筒131aの径方向内側に連なる上壁131eとを備えている。上壁131eの内周端には、注出筒135が一体に設けられ、上壁131eから下方に垂下している。また、上壁131eにおける注出筒135の上方には、シール壁131gが上方に延びており、シール壁131gと装着筒131aとの間からは嵌合筒131fが上方に延びている。後述する計量容器部132の嵌合部132dの内周面にシール壁131gが当接し嵌合部132dと嵌合筒131fがアンダーカット係合することで、計量容器部132は、キャップ本体部131に対して容易に外れないように装着されている。
【0062】
なお、装着筒131aの上端部には、係止リブ131hが設けられており、後述する計量容器部132の肩部132cに形成された凹溝132eに係合することで、計量容器部132はキャップ本体部131に対して回り止め状態で固定されている。
【0063】
計量容器部132は、嵌合部132dの上端部から径方向外側へと延びる肩部132cと、肩部132cの外周端から更に上方へと延びる筒状の周壁132aと、周壁132aの上端部を閉塞する底壁132bとを有している。計量容器部132は、
図8に示すように上方に向けて僅かに縮径する有頂筒状形状を有しており、周壁132aには、
図8に示すように、上下方向に複数配置され周方向に延びる凹リブ133が形成されている。本実施形態において、凹リブ133は目盛として機能し、利用者が収容空間S内の内容液をいずれかの凹リブ133の高さ位置に合致する高さまで計量容器部132に注ぎ入れることによって、内容液を正確に計量することができる。
図8に示すように、凹リブ133は、周壁132aの外周面が凹むと共に内周面が突出する構造を有しているために視認性が高く、利用者が容易に目盛の位置を認識することができる。本実施形態では、後述するように周壁132aを押出ブロー成形により形成しているので、
図8に示すように周壁132aの肉厚よりも大きな深さを有する凹リブ133でも容易に形成することができる。なお、各凹リブ133の近傍に、計量体積に対応する文字を印刷等の加飾によって設けてもよい。また、押出ブロー成形時に金型の内面に設けた微細な凹凸によって文字を形成してもよい。
【0064】
次に、本実施形態による計量キャップ130の製造方法について詳細に説明する。
【0065】
図9は、本実施形態に係る計量キャップ130の製造方法を示すフローチャートである。本実施形態の計量キャップ130を製造するに際しては、まず、射出成形によって、キャップ本体部131及び注出筒135を成形する(ステップS301)。次に、パリソンをブロー成形用金型に供給し、計量容器部132を押出ブロー成形する(ステップS302)。金型の内周面には、凹リブ133に対応して周方向に延びる突部が上下方向に複数設けられている。パリソンを押出ブロー成形すると、金型のキャビティ形状に対応した有頂筒状の計量容器部132が形成され、金型の突部形状に対応した凹リブ133が形成される。このように、周方向に延びる突部を有する金型を用いて計量容器部32を押出ブロー成形することで、
図8に示すような、計量容器部132の肉厚よりも深さが大きく視認性に優れた凹リブ133、すなわち目盛を形成することができる。
【0066】
次に、ステップS302で成形した計量容器部132を、射出成形によって形成したキャップ本体部131及び注出筒135に装着する(ステップS303)。なお、本実施形態では、別体として押出ブロー成形により形成した計量容器部132を、キャップ本体部131及び注出筒135に装着するように構成したが、この態様には限定されない。
図8とは形状が異なるものの、キャップ本体部131、注出筒135、及び計量容器部132を押出ブロー成形によって一体で形成するように構成してもよい。
【0067】
以上のように、本実施形態では、押出ブロー成形によって計量容器部132を形成するように構成した。これによって、インジェクションブロー成形よりも金型を簡素化し、より安価に計量キャップ130を製造することができる。
【0068】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。