【文献】
ONO et al.、Foaming and Beer Flavor、JOURANL of the AMERICAN SOCIETY of BREWING CHEMISTS、米国、1983発行、Vol.41、No.1、19−23
【文献】
KOSIN et al.、How the Method of Beer Dispense Influences the Served CO2 Content and the Sensory Profile of Beer、Journal of the ASBC、米国、2012発行、Vol.70、No.2、103−108
【文献】
WHITEAR et al.、A NEW INSTRUMENTAL METHOD FOR MEASURING THE CARBON DIOXIDE CONTENT OF CARBONATED BEVERAGES、J.Inst.Brew、米国、1980発行、Vol.86、224−225
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
概して、本明細書に記載の方法は、具体的には、開口容器の飲料中の炭酸化(二酸化炭素)レベルを測定するために適合されたものである。本明細書で使用するとき、「開口容器」とは、ボトリング作業後に開口された飲料のことを指し、例えば、再封止可能な蓋(例えば、ネジ蓋)で再封鎖されている場合のある、開口缶又は開口プラスチック若しくはガラスボトルのことを指す。いくつかの場合において、これは、規定された時間間隔後に炭酸化ロスを確認するために、開口缶中の炭酸化レベルを測定するのに有用であり得る。これは、炭酸化ロスを測定するために、規定された時間間隔後に、開口後に再封止された炭酸清涼飲料(carbonated soft drink、CSD)又は炭酸水のボトル中の炭酸化レベルを測定するのにも有用であり得る。「開口容器」という用語及び同様の表現はまた、ファウンテン設備などから分注される飲料などの、容器に入っていない飲料のことも指す。本明細書に記載の方法は、例えばソフトドリンク、果汁飲料、炭酸水など、アルコール飲料及びノンアルコール飲料を含むあらゆる種類の炭酸飲料の炭酸化レベルの測定に有用であり得る。
【0017】
本明細書に記載の方法は、市販の炭酸化測定器具と、用いられる特定の器具と共に使用されるように適合され得る好適な炭酸化槽とを採用することができる。用いられ得る好適な炭酸化測定器具及び炭酸化槽については、以下で詳細を述べる。ただし、本発明は、本明細書に記載の特定の装置の詳細に特定されないことに留意されたい。むしろ、本明細書に記載の原理は、本開示を読めば当業者に明らかな好適な適合が必要に応じて為された、様々な他のタイプの測定器具及び炭酸化槽に適用することができる。
【0018】
炭酸化測定器具
種々の炭酸化測定器具(本明細書では、「測定器具」又は「器具」と呼ばれることがある)を、本明細書に記載の方法に用いることができる。器具の3つの一般的なカテゴリーを以下で説明するが、本発明はこれら特定のタイプの器具に限定されないことが理解される。第1のタイプの測定器具は、測定チャンバの体積が膨張されて、膨張した体積の平衡圧及び平衡温度が測定される、ヘンリーの法則に基づいて二酸化炭素レベルを決定することを含む。測定した平衡圧、平衡温度、及び既知の体積に基づいて、サンプルの二酸化炭素レベルを確認することができる。
【0019】
この特定のタイプの器具において、測定チャンバは膨張可能であり、それによって、サンプルの平衡圧を1つ以上の膨張体積で測定することができる。このような器具の一例が、参照によってその全体が本明細書に援用される、Bloderらによる米国特許第6,874,351号に記載されている。このような器具は、Anton PaarからCarboQC(登録商標)という商品名で市販されている。この器具により、二酸化炭素含有量に対する、サンプル液中の他の溶解ガス(特に、窒素及び酸素)の影響を最小化することができる。サンプル液中に溶解している個々のガスの実際の溶解度及び/又は飽和圧力を確認することができ、それによって、これらのガスの含有量を決定することもできる。
【0020】
測定チャンバ内で液体のサンプルが膨張されると、液相及びガス相が、原物(original)から、全てのガスが溶解した単一の液相を形成する。サンプル液中の二酸化炭素、酸素、及び窒素は全く異なる溶解度を有しているため、ガス相における各ガスの分圧の割合は、元の(膨張前の)サンプル液中の溶解ガスの飽和圧力の割合とは実質的に異なる。一般的な法則によると、液中のガスの溶解度が低いと、体積が増加した場合、液中に溶解しているガスの分圧はより小さくなる。
【0021】
サンプル液中に溶解している2種類以上のガスの量を決定するために、2つ以上の増加工程が実施される。各体積増加工程が終わる度に、確立された平衡圧及び支配的温度がそれぞれ測定される。確認した値から、含有量と、所望により、各ガス成分の溶解度及び/又は飽和圧力とが計算される。体積増加の結果、ヘンリーの法則及びボイルの法則に基づいて、ガス相中で以下の分圧が生じる。
p’=p/(l+k/(L
*p
s))
p’は、測定チャンバの体積が増加した後のガスの分圧であり、
pは、液体中のガスの元の飽和圧力であり、
kは、体積増加因子であり、
Lは、サンプル液中のガスの溶解度であり、
p
sは、標準圧力(1bar)である。
【0022】
Bloderらによる米国特許第6,874,351号に記載の多段階体積膨張法を用いて、サンプル液中に溶解している二酸化炭素及び/又は他のガスの溶解度を決定することもできる。このことは、サンプル液中に溶解しているいくつかのガスの含有量を求める必要があり、かつ、求める対象の各溶解ガスの実際の液体中の溶解度が正確に分かっていない場合、特に重要となる。このことは、サンプル液中の成分の残余が、溶解ガスの溶解度に対して強い影響力を有している場合、しばしば当てはまる。例えば、酸性飲料中の前述のガスの溶解度は、純水中の同一ガスの溶解度と大幅に異なる場合がある。
【0023】
サンプル液中に溶解しているガスが、他の溶解ガスの全てよりも著しく多い量で存在しており、かつ、それら他のガスの溶解度が当該溶解ガスより実質的に低い場合、また、同様である場合でも、これらの他のガスは、単一のガス成分として扱われ得る。このことは、例えば、サンプルの二酸化炭素含有量と同様に、例えば空気含有量のみを求める場合、あるいは、確認済みの二酸化炭素含有量に対する他の全溶解ガスの影響のみを取り除く必要がある場合に有益である。この場合、「他の」溶解ガスの「仮の」溶解度についての方程式において、それらの実際の溶解度の加重平均値を用いることができる。
【0024】
例えば、CO
2の含有量及び溶解度のみが必要であり、かつ、2つの次第に大きくなる体積増加(例えば10%及び20%)により酸素及び窒素がわずかに溶解しているのみである場合、酸素及び窒素の影響を無視できる程度に抑えることができ、その影響を考慮するための特定の体積増加工程が不要となる。酸素及び窒素の溶解度が非常に低いので、体積増加の結果、ガス相中のこれらの分圧が著しく低下し、有意なものでなくなる。
【0025】
液体中のガスの溶解度は温度に大いに依存するため、温度条件が実質的に一定なままで行われるルーチン的な測定を除いては、サンプル液の温度を測定してその結果を計算に含めることが望ましい場合がある。この手順において、測定チャンバを1つだけ用いてその中で体積増加工程を逐次行う場合、測定条件の一定性がシンプルな方法で確保される。
【0026】
図2は、測定結果に対する溶解空気及び/又は窒素の影響を取り除くための多段階体積膨張の原則を、図によって説明する。CO
2含有量が、測定チャンバの2つの異なる体積膨張(例えば、10%及び30%)にて測定される。2つの結果が同じ場合、溶解空気も窒素も存在しないと結論付けることができ、そのため、補正は不要である。溶解空気又は窒素が存在する場合、2回目の結果は1回目の結果より低い。2つの結果の間の差異は、補正の計算に使用することができる。それによって、測定結果に対する溶解空気又は窒素の影響を取り除く。
【0027】
いくつかの例では、測定チャンバの体積増加に、ピストン式インジェクタを使用することができる。他の例では、測定チャンバの体積増加に、再現性良く変形可能な膜(例えば、エラストマーなどでできた膜)を使用することができる。体積膨張中の流体密封性が保持されてさえいれば、測定チャンバの体積増加に、更に他の技術を使用することもできる。前述したように平衡圧を測定することに加えて、液体中に溶解している各ガスの含有量を、選択的ガスセンサを使用して決定することもできる。
【0028】
所望により、電力制御式超音波トランスデューサを使用して、測定チャンバ内で平衡圧を適切に確立させながら、キャビテーション効果を促進することができる。使用される超音波エネルギーの量は、分析対象の特定の液体に適合され得る。
【0029】
使用中、流体密封的な測定チャンバは、サンプル液で完全に満たされ、流体密封的に閉じられ得る。その内部空間の境界又は壁部のある部分的な領域を用いて、内部空間の体積を変化させることができる。流体密封性を完全に維持しながら、この部分的な領域の位置及び/又は表面ジオメトリーが変化する。この部分的な領域として膜を使用する場合、膜はまず標準位置及び標準ジオメトリーに配置され得る。膜は、少なくとも1つの定義済みの配置位置及び/又は表面ジオメトリーへと移動可能及び/又は変形可能であり得る。これには、それぞれの場合における調整可能な体積増加因子に対応して、測定チャンバの内部空間の体積を増加させる効果がある。液体中に溶解している2種類以上のガスを選択的に決定する場合、測定チャンバの内部空間の境界又は壁部の部分的な領域は、少なくとも2つの互いに異なる定義済みの配置位置及び/又は表面ジオメトリーへと移動可能及び/又は変形可能なように、その位置及び/又は表面ジオメトリーを変化させることができる。
【0030】
サンプルの体積膨張を生じさせるためにピストンを採用している炭酸化測定装置の別の非限定的な例が、参照によってその全体が本明細書に援用される、Wielandらによる米国特許第4,
276,769号に記載されている。
【0031】
図3に、サンプルを測定チャンバ65内に送るための入口バルブ64aを有する炭酸化測定装置60を概略的に示す。測定チャンバ65の体積は、ピストン63が作動することによって膨張され得る。フローバルブ62により、測定チャンバ65へのサンプルの流れを制御することができる。測定が完了すると、サンプルは、出口バルブ64bを通って測定チャンバ65から放出される。
【0032】
用いられ得る第2のタイプの測定器具は、選択膜、具体的には、二酸化炭素に対して透過性であるがその他のガスに対しては不透過性であるものを用いている。サンプル中の残りの液体及びガス成分から二酸化炭素を分離した後で、好適な装置を使用して二酸化炭素レベルを決定することができる。例えば、Hach Orbisphereから入手可能なあるタイプの装置は、選択膜を透過するCO
2の量を、熱伝導率を用いて測定する。選択膜は、
図4に概略的に示すように、サンプルから二酸化炭素を分離してCO
2リッチな透過液を生成するためのフィルタとして作用する。膜の性能は、2つの重要な特徴により決定される。それは、透過性(膜を通過する特定のガスの流れ)及び選択性(ある種のガスは通過させて別のガスは透過させないという膜による選択)である。膜分離の可能なメカニズムはいくつか存在する。例えば、クヌーセン(Knudson)拡散、分子ふるい、溶液分散による分離、表面拡散、及び毛管凝縮である。分子ふるい及び溶液分散が、多くのガス分離膜における主なメカニズムである。クヌーセン分離は、ガス分子がバルク拡散を妨げる程小さな膜細孔を通過することに基づいている。分子量に関連する、細孔壁への衝突によるガス分子の平均パス(path)の差異に基づいて、分離が行われる。具体的には、任意のガス対の選択性は、それらの分子量の平方根に逆比によって決定される。CO
2/N
2分離の場合、例えば、クヌーセン拡散では、選択性は単位元(unity)未満となることが予測される。
【0033】
分子ふるいは、サイズ排除を利用してガス混合物を分離する。膜内の細孔は、ガス分子の動的分子(ふるい)径に対して制御されたサイズを有している。これにより、より小さなガスが、より大きなガス分子と比較してはるかに速く拡散することができる。この場合、CO
2/N
2、選択性は単位元より大きくなる。というのも、CO
2はN
2よりも小さい動的分子径を有しているためである。表面拡散とは、吸着されたガスが多孔質膜の細孔壁に沿って移動することである。表面拡散率は、吸着されたガスと細孔表面との間の相互作用のレベルによって決定される。したがって、分子は、相互作用の力と相対的に細孔壁に沿って拡散する。また、分離は、主に、各ガスの相互作用の程度の差異によって達成される。表面拡散は、蒸気圧が低くなったときに拡張され、吸着されたガスは細孔内で分縮される。この凝縮された成分は、ガスよりも速やかに細孔を通って拡散する。その結果、凝縮性ガスが分離される。これは、毛管凝縮として知られている。
【0034】
高分子膜は、概して無孔質である。そのため、高分子膜に対するガスの透過は、溶液分散メカニズムによって特徴付けられる。これは、特定のガスの膜内における溶解度と、これらのガスが高密度膜マトリックスを通って拡散することとに基づいている。したがって、分離は、拡散にのみ依存しているわけではなく、膜のポリマーマトリックスに蓄積し得るガスの量を決定する、各種のガスとポリマーとの間の物理的−化学的相互作用にも依存している。
【0035】
用いられ得る第3のタイプの測定器具は、液体サンプル中に赤外(IR)光ビームを通過させることと、屈折角を測定してサンプルの炭酸化レベルを決定することとを含む。赤外放射が、原子レベル及び分子レベルでガスに吸収される。CO
2の場合、多原子分子構造により、光子励起モード及びエネルギー交換率が決定される。つまり、光エネルギー吸収が起こる波長が決定される。この吸収効果は分子レベルで起こるため、所与の伝送路に沿った赤外放射の吸収は、存在する分子数によって決まる。4.26マイクロメートルにおける吸収量は、存在するCO
2の分子分画に正比例する。更に、圧力及び温度がガスの濃度に影響するため、吸収は、赤外吸収測定が行われる圧力及び温度にも依存する。
【0036】
この選択的な光吸収現象は、液体中に溶解したガス成分の存在及び量を確認するための方法として応用される。例えば、一般に使用されている基本的なCO
2感知技術は、赤外放射源(典型的には、白熱灯)及び赤外検出器(典型的には、半導体フォトダイオード)を採用しており、これらは、試験のためにガスサンプルが導入され閉鎖されたチャンバ内にある。狭帯域干渉フィルタが、フォトダイオード検出器の光窓として使用され、4.26マイクロメートルの吸収波長に対してのみ選択的となっている。試験チャンバ内の所与の光路長に対して、既知のCO
2ガス濃度を有するガス混合物を使用して、光検出器の出力を較正することができ、それによって、液体サンプル中に溶解したCO
2を感知するための有用な器具が提供される。この構成の基本的な感度は、検出器に到達するCO
2吸収に関係しない赤外放射の量を最小化するための干渉フィルタの鋭さ、CO
2分子を含む光路長、赤外放射源の輝度安定性、及びフォトダイオード検出器の検出応答の安定性によって決まる。この方法の感度及び較正精度に影響を与え得る他の因子としては、試験チャンバを通過するガスサンプル中で起こり得る乱流、赤外放射源及び検出器の経年変化、及び放射源及び検出器の光窓上の汚れの蓄積が挙げられる。
【0037】
IRに基づく測定器具の一例が、
図5に概略的に示されている。補正済みのIR CO
2センサ100は、2つの光路を有しているが、IR放射源102及びIR放射検出器103はそれぞれ1つずつ有している。一対の固定型光学干渉フィルタ106a及び106bと光チョッパ108との組み合わせにより、4.26マイクロメートル(ガス減衰波長)及び3.9マイクロメートル(参照波長)における別個の独立した測定が行われる。4.26マイクロメートルの吸収測定を3.9マイクロメートルの測定で正規化することにより、IR源102及び検出器103における経年変化の影響と、ある程度の光窓の汚れの影響とが補正される。
【0038】
サンプルは、入口
101aを通ってチャンバ101内に導入され得、測定後は出口101bを通過し得る。チャンバ101は、概して筒型の形状を有し、円形の断面積を有していることがある。内部要素、すなわち、コリメータレンズ105、フィルタ106a及び106b、チョッパ107、及び集束レンズ108は、チャンバ101の内径に概ね適合するように形状を円形とすることができる。コリメータレンズ105は、源102からの赤外放射をコリメートする。集束レンズ108は、放射物を検出器103に集中させる。レンズ105及び108は、典型的には、サファイア又はゲルマニウムのレンズである。
【0039】
チャンバ101が円筒形である場合、フィルタ106a及び106bはそれぞれ半円形のジオメトリーを有し得る。一方のフィルタは、コリメートされた放射の断面の第1の半分を、チャンバ101の長さに沿ってフィルタリングする。他方のフィルタは、コリメートされた放射の断面の残りの半分をフィルタリングする。一方のフィルタは3.9マイクロメートルの波長に対して選択的であり、他方のフィルタは4.26マイクロメートルの波長に対して選択的である。フィルタ106a及び106bの効果により放射路が2つに分割され、一方の半分が4.26マイクロメートルの波長の放射を含み、他方の半分が3.9マイクロメートルの波長の放射を含む。
【0040】
チョッパ107a及び107bは、それぞれ、フィルタ106a及び106bを通過する放射物をチョッピングする。チョッパ107a及び107bのジオメトリーはフィルタ106a及び106bのジオメトリーに適合されており、各チョッパが半円形のジオメトリーを有するようになっている。チョッパ107a及び107bは、フィルタ106a及び106bを通って送られてくる放射物を遮断したり透過させたりする交互的なシャッターとして作用する。これらは、検出器103が、フィルタ107aからの参照信号及びフィルタ107bからのCO
2減衰信号(又はその逆)を順次周期的に受け取るように、連続的に作動する。
【0041】
チョッパ107a及び107bは、例えば二区分液晶チョッパのように、液晶装置(liquid crystal device、LCD)と共に提供されることもある。LCDアレイは、その上部がフィルタ106aからの放射物をチョッピングするのに用いられ、その底部がフィルタ106bからの放射物をチョッピングするのに用いられるように使用され得る。このように、これら2つの部分は独立して動作可能である。
【0042】
従来の電子回路及び処理装置(図示せず)を、チョッパ107a及び107bを制御して4.26マイクロメートルの信号を3.9マイクロメートルの信号で正規化するために用いることができる。チョッパ107bを通る信号の減衰は、チャンバ101内の光路に存在するCO
2の量によって決まる。IR CO
2センサのその他の詳細は、参照によってその全体が本明細書に援用される、Owenの米国特許第6,969,857号に開示されている。
炭酸化測定槽
【0043】
開口容器の飲料を収集して、分析に適した状態で炭酸化測定器具に提示するために、好適な炭酸化槽を用いることができる。概して、炭酸化槽は、ガスが溶解した液体の状態を保ち、ガスがサンプルから漏れることと液体サンプルに雰囲気ガスが溶解することとを回避するための好適な蓋(例えば、ネジ蓋など)を有するように構成されているべきである。
【0044】
図6及び
図7に、用いられ得る炭酸化槽50の例を示す。槽50は、TapRiteから市販されている炭酸化槽(部品番号2701−16A及び2701−15)の変形バージョンである。炭酸化槽50は、ある体積の飲料を保持するための概して円筒形の容器56と、流体密封的な封入体積を形成するために固定され得る蓋54とを有している。この(市販の)槽は、ネジ蓋54に3つの開口を有しており、これらの開口を通って計器(図示せず)が受けられる。
図6に示す変形バージョンでは、3つの開口は、カバー52a〜52cによって密封的に閉鎖されている。別の変形では、蓋54のほぼ中央に開口が形成されており、この開口を通ってバルブ53が配置される。バルブ53により、流体密封状態を維持しつつ、プローブ(図示せず)を封入体積内へ挿入して容器56からサンプルを抽出することができる。
図7に示すように、ネジ55を上でねじることにより、蓋54を容器本体56に固定することができる。流体密封環境を更に促進するために、ワッシャー51を設けることができる。
【0045】
市販の槽に対する更なる変形では、槽50の底部58の形状が、用いられるサンプル移送装置のレセプタクルにこの底部58が嵌まるように変形され得る。例えば、サンプル移送装置が標準サイズの12オンス缶を受けるように構成されている場合、槽50がサンプル移送装置のレセプタクル内で受けられるように、炭酸化槽50の底部58は標準サイズの12オンス缶の底部に対応する形状を有し得る。
【0046】
ネジ付き筐体54が図示されているが、ラッチ又は他のロック機構などの任意の他の好適な手段が、蓋の固定に用いられ得る。多くの場合、飲料のサンプルは、その既存の容器から(又はファウンテン分注装置から直接)槽50内へ移送される。しかし、所望により、飲料は、その既存の容器(例えば、蓋付き又は蓋無しの使い捨てカップ)と共に槽50内に配置され得る。この場合、プローブを、バルブ53と使い捨てカップの蓋(もしあれば)とに挿貫して、飲料に接触させる。
【0047】
更に、バルブ53を受けるための開口は、筐体54の上面の中央にあるように描かれているが、その他の様々な構成が可能であることが理解されるべきである。例えば、この開口は、上面の中央以外の筐体54における位置に配置されることもある。この開口は、液体サンプルの移送を適切に行うことさえできれば、どの場所に配置されてもよい。
【0048】
炭酸化槽を冷却するために、氷/水の混合物を保持する小型の浴槽(図示せず)又は他の好適なタイプの熱交換器を使用することができる。飲料サンプルを冷却することは、可能な限り多くの溶解CO
2をサンプル体積内に保つのに有利であり得る。
サンプル移送装置
【0049】
特に開口容器の飲料において炭酸化レベルを測定する場合の課題の1つに、サンプルの移送における、二酸化炭素のロス及び/又は液体サンプル中への外部ガスの溶解のリスクがある。これらのリスクを最小限にするために、液体サンプルへのガス移動及び液体サンプルからのガス移動を防止するように設計された充填システムを使用して、サンプルの移送を行うことが有益である。容器の上部空間に加圧ガスを与えることにより、例えば、サンプルからのCO
2ロスのリスクが低減される。用いられ得る市販の装置の例としては、Anton Paarから入手可能なピアシング・充填システム(Piercing and Filling Device、PFD)が挙げられる。PFDは、炭酸化槽のバルブ53に挿貫されるプローブ(図示せず)を有している。飲料のサンプルは、移送中に二酸化炭素及び酸素などの溶解ガスの量への影響がないように、圧縮不活性ガスを用いて移送される。
【実施例】
【0050】
(実施例1)
以下の実施例は説明を目的として提供されており、本発明の範囲を限定するものとして見なされるべきではない。
図1に示すフロー図を参照して、本実施例では、前述のピアシング・充填装置(PFD)を備えたAnton PaarのCarboQC器具を用いて、開口清涼飲料水の缶中の炭酸化レベルを測定するための方法について説明する。
【0051】
最初に、サンプルの流れを確認する必要がある。
図3を参照して、測定チャンバ65を通過する流れは、充填時間が約30秒に設定されたときに約150mLのサンプルが消費されるようであるべきである。流量の調製は、サンプルの流れを減少させるときはフローバルブ62を時計周りに回し、増加させるときは反時計周りに回すことによって行うことができる。流量が著しく低い又は高い場合、測定チャンバ65内のサンプル残余又は気泡によって誤測定となることがある。流量の調整は、必要に応じて、試験を開始する前に行うべきである。しかし、操作の前の確認を毎回行う必要はない。最小流れ(flush)体積は少なくとも150mLが必要であり、同一サンプルに対しては100mLが必要である。最小流れ時間は20秒以上又は35秒を超えている必要がある。
【0052】
ビーカー又はメスシリンダーを用いて、以下のように流量を確認してもよい。サンプル出口ホース64bのTホースコネクタを、少なくとも150mLのDI水で満たされたビーカーに挿入する。「器具>洗浄(instrument > rinse)」メニューを選択して、洗浄時間を30秒に設定する。フローバルブ62を約10%の流れの位置にする、すなわち、最小流れの位置へと閉じる。以下に記載の要領で測定を行う。消費された液体の体積を確認する(150mLであること)。体積が所要の範囲内でない場合、フローバルブ62を少し開いて若しくは閉じて又は洗浄時間を調整して、体積が所要の範囲内となるまで上記工程を繰り返す。
【0053】
マークボトルを用いて、以下のように流量を確認してもよい。透明の0.5L(16オンス)又は同様のサイズのペットボトルに、「0」及び「150mL」の体積の印をマークする。これらの印を、水及びメスシリンダー又は秤を用いて、ボトルに正確にマークする。ボトルの「0」印まで脱イオン水を満たし、ボトルを閉じる。ボトルをPFDに挿入する。「器具>洗浄(instrument > rinse)」メニューを選択して、洗浄時間を30秒に設定する。フローバルブ62を約10%の流れの位置にする、すなわち、最小流れの位置へと閉じる。以下に記載の要領で測定を行う。消費された液体の体積を確認する(150mLであること)。体積が所要の範囲内でない場合、フローバルブ62を少し開いて若しくは閉じて又は洗浄時間を調整して、体積が所要の範囲内となるまで上記工程を繰り返す。
【0054】
計量により、以下のように流量を確認してもよい。飲料のボトル又は缶全体の重さを測定し、重さを記録する。パッケージをPFDに挿入する。「器具>洗浄(instrument > rinse)」メニューを選択して、洗浄時間を30秒に設定する。フローバルブ62を約10%の流れの位置にする、すなわち、最小流れの位置へと閉じる。以下に記載の要領で測定を行う。パッケージをPFDから取り出し、再度重さを測定する。重さが150g減少していること。
測定手順
【0055】
炭酸化サンプルをシステムから炭酸化槽内に収集するとき、移送手順が炭酸化の読取値に影響を与える可能性があることが理解されるべきである。読取値を確実に一定とするために、サンプルをシステムから収集するための方法は、そのシステム用に標準化されているべきである。容器の上部までサンプルを満たすことが好ましい。サンプルを炭酸化槽内に収集した後、PFDへと移動させるときには炭酸化槽をとても丁寧に取り扱い、炭酸化への影響を少なくする。
【0056】
小型の氷/水浴を準備することから開始する。炭酸化槽の底を、氷/水浴中に少なくとも10分間置く。
【0057】
PFDのサンプルチューブを、最も高い位置へと移動させる。安全シールドを完全に押し上げる。ペットボトルアダプタを取り外す。必要に応じて、ピアシングヘッドの位置を調整する。炭酸化槽の底を氷浴から取り出す。炭酸化槽の底に残っている水を振り落とす。測定が行われているシステムから炭酸化サンプルを取得する。炭酸化槽の底を水平面に載置し、キャップをねじって固く締める。炭酸化槽をPFDに挿入する(底が切り欠き部にぴったり嵌まっていること)。安全ピンが噛み合うまで安全シールドを押し下げる。安全シールドを下方で保持して、作動レバーを引く。PFDのサンプルチューブを、炭酸化槽の底から約1/4インチのところまで下ろして(底への接触は避ける)、炭酸化槽に入れる。そして、サンプルチューブを固定する。
【0058】
次に、炭酸化測定器具において、試験を行うサンプル(例えば、砂糖入り清涼飲料水、ダイエット清涼飲料水など)に対して適切な方法を選択する。異なる方法が、異なる飲料中の二酸化炭素の異なる溶解度に対応する。ボトル又は缶内に存在する上部空間のガスと液体との間の二酸化炭素の配分に対応する、カスタムな方法を作成することができる。
【0059】
<開始(Start)>を押して測定を開始する。まず測定チャンバを洗浄し、新しいサンプル150mLで満たす。測定チャンバを目視点検して、サンプルの流れに泡がないことを確認する。約15秒後に泡が消えない場合は、フィルタの掃除が必要な場合がある。圧縮ガス供給の圧力を確認する。この圧力は、6±0.5bar相対(87±7psi)であるべきである。
【0060】
洗浄が終了すると、分析が開始する。ピストンが第1の停止まで下方に移動し、その後第2の停止まで移動する。この間、撹拌器は連続的に作動している。サンプルにおける微粒子(例えば、パルプ)の含有量が多い場合、フィルタの目が詰まりやすくなる。これにより、測定チャンバ内の圧力が低下する傾向にあることがある。サンプル充填中の圧力を確認すること。PFDを使用する場合、圧力は5bar(70
psi)を下回るべきではない。完全に目詰まりした場合、フィルタと測定チャンバとの間のホース及び測定チャンバ自体の中で泡及び気泡が形成される。
【0061】
測定結果が得られるまで約90秒待つ。測定結果が表示され、メモリに記憶され、所望によりプリントアウトされる。その後、ピストンが上に移動する。ただし、測定チャンバは閉じたままである。
【0062】
PFDにおいて、サンプルチューブを最も高い位置まで上に移動させて固定する。作動レバーを押して、システムの通電をオフにする。安全シールドを最も高い位置まで上に移動させて、炭酸化槽を取り出す。任意で、正確な量のサンプルがボトル又は缶から取り出された否かを、秤を用いて確認する。
【0063】
更なる測定を行わない場合は、システムを掃除する。最後のサンプル測定から30分より長くこの器具を使用しない場合は、器具を脱イオン水で洗浄する。脱イオン水を用いた通常のゼロ点チェックは、器具の適正な機能を確保する助けとなる。脱イオン水を用いて行われるゼロ点チェックは、0±0.02vol(0±0.03g/L)であるべきである。ゼロ点チェック及び調整がCO
2を含有する水を用いて行われると、不当なオフセットが生じる。
【0064】
平衡化されたサンプルのみを測定チャンバに移送するべきである。分析を行う前にサンプルが平衡化(シェイク)されていないと、誤った結果又は不十分な再現性が得られることになる。
【0065】
CarboQCのディスプレイに表示される充填圧は5.5〜6bar相対(79psi〜87psi)であるべきであり、測定チャンバは泡のない状態で充填されるべきである。サンプル充填中のサンプル圧力が低すぎると、サンプルチャンバ内に泡が生じることがある。その結果、開始時の体積に気泡が含まれ、得られる結果が不正確になる。
【0066】
以下の表1に、缶入りのPepsi(登録商標)ブランドの清涼飲料水に基づく、単一及び多重実験室検証(single-and multi-laboratory validation)データを示す。缶を使用した多重実験室において、平均ガス体積が3.6及び2% RSDが1%(標準的なCarboQC手順、TM200.082で測定)のとき、この手順(AMS−001)により測定される炭酸化は、缶が冷蔵されている状態で、2% RSDが2.71%で平均ガス体積が3.4となることが予期される。単一実験室の結果も同様である。TM200.082によれば2% RSDが
1.07%で平均ガス体積が3.62、AMS−001によれば2% RSDが2.26%で平均ガス体積が3.43である。
【0067】
以下の表2に、Mountain Dew(登録商標)ブランドの清涼飲料水に関するデータを示す。多重実験室の結果により、これら2つの結果の間の差異が最小であることが示唆される。TM200.082では、2% RSDが1.68%で平均ガス体積が2.41となり、AMS−001では、2% RSDが1.69%で平均が2.35であった。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
上述の説明は説明のためのものであり、限定を意図したものではないことが理解されるべきである。本明細書において記載及び特許請求される発明の精神又は範囲から逸脱しない限りにおいて、様々な変形が可能であることが理解されるべきである。