(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜
図3に例示される一態様において、本発明は、抗体結合タンパク質リガンドが共有結合的に固定化された、多孔性の、好適には球状の粒子を含む分離マトリックスを開示する。これらのリガンドの密度は、10mg/ml超、例えば10.5〜15mg/mlの範囲、例えば10.5〜12mg/mlであり、粒子の体積加重メジアン径は30〜55μmの範囲、例えば45〜55μmまたは50〜55μmである。リガンドの密度は、マトリックス堆積物の体積1ml当たりにカップリングされたリガンドの含量を示し、例えば、アミノ酸分析により同定することができる。d50、vとも表される体積加重メジアン径は、エレクトロゾーンセンシング(electrozone sensing)(Coulter Counter)、レーザー光回折または画像解析による顕微鏡検査によって測定することができる。好ましい方法は、当該マトリックスの細かいふるい分級物を用いて較正された計器によるエレクトロゾーンセンシングを使用することであり、d50、vは顕微鏡および画像解析で決定される。
【0014】
多孔性粒子は架橋多糖類を含むことができ、これは、mAbまたは汚染物質と粒子との間の非特異的相互作用のリスクを最小限に抑えながら、リガンドのカップリングのための大きな親水性表面を提供する。多糖類は適切には、ゼロまたは非常に低い(例えば、5マイクロモル/ml未満)荷電基含有量を有し、非特異的相互作用を防止する。架橋は、剛性および化学的安定性を増加させ、当技術分野で公知の方法、特に、例えば架橋剤としてエピクロロヒドリンまたはジエポキシドを使用する、エポキシド架橋によって達成することができる。多糖類の例は、デキストラン、セルロースおよびアガロースであり得る。アガロースは、水性アガロース溶液の熱ゲル化によって高度に多孔性の剛性ゲルを達成できるという特別な利点を有する。アガロースは、米国特許第6602990号、米国特許第7396467号または米国特許第8309709号の明細書に記載されている方法によって適切に架橋することができ、当該特許はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。これらの方法によって架橋されたアガロース、いわゆる高流動アガロースは、高剛性および高多孔率/細孔容積の特に有利な組み合わせを有し、高い流量および迅速な物質輸送を可能にする。高剛性は、マトリックスの崩壊なしに高い流量を可能にするために、粒径が小さいマトリックスにとって特に重要である。アガロースは、例えば、米国特許第6602990号明細書に記載されているように、ゲル化の前にアリルグリシジルエーテルまたはアリルハライドのような試薬でアリル化することができる。高い結合容量および迅速な物質輸送を可能にするために、粒子は、IgG抗体のような巨大分子種にアクセス可能な大容積の細孔を有し得ることが有利である。これは、「Handbook of Process Chromatography,A Guide to Optimization,Scale−Up and Validation」(1997)Academic Press,SanDiego,Gail Sofer & Lars Hagel eds.ISBN 0−12−654266−X,p.368に記載の逆サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって決定することができる。アクセス可能な細孔容積の適切なパラメータは、規定されたサイズのプローブ分子について決定されたゲル相分配係数、K
Dである。これは、K
D=(V
R−V
0)/(V
t−V
0)に従って、プローブ分子の保持体積V
R、カラムの格子間空隙体積V
0およびカラムの全液体体積Vtから計算される、カラム非依存性変数である。多孔性粒子は、適切には、プローブ分子としての分子量110kDaのデキストランに対して、0.6〜0.8、例えば0.65〜0.75または0.65〜0.70の範囲のK
D値を有することができる。
【0015】
リガンドは、例えば、SpA(プロテインA)、ペプトストレプトコッカス(Peptostreptococcus)プロテインLまたはストレプトコッカス(Streptococcus)プロテインGなどの抗体結合細菌タンパク質に由来してもよい。これらは、相互作用のK
D値が最大で1×10
−6M、例えば最大1×10
−7M、例えば最大で5×10
−8Mであるように抗体に結合することができる。これらは、IgG分子のFc部分に結合するFc結合タンパク質、例えばSpAまたはSpA変異体を挙げることができる。これらは、天然または変異したプロテインA Fc結合ドメインの単量体、二量体または多量体を含むことができる。天然のプロテインA Fc結合ドメインE、D、A、BおよびCは、突然変異体ZおよびZvarと共に
図1に示されている。いくつかの実施形態において、リガンド中のドメインの1または複数は、プロテインZまたはプロテインAのBもしくはCドメインに由来し、23位のアミノ酸残基はスレオニンである。このようなドメインは、バイオプロセス使用に望ましい、改善されたアルカリ安定性を有し(例えば、米国特許第8329860号、米国特許第7834158号、ベイコック特許出願第14/961164号の明細書および国際公開第2016079033号を参照されたく、当該特許は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、このことは、分離マトリックスを22±2℃で5時間、0.5M NaOH中でインキュベートすることによって評価することができる。適切には、マトリックスは、その後、インキュベーション前の元のIgG結合容量の少なくとも90%または少なくとも95%を保持する。特定の実施形態において、ドメインの1または複数は、配列番号8または9によって定義されるアミノ酸配列を含む。配列番号8はZvarドメインからリンカー配列VDAKFDを差し引いたものであり、配列番号9はCドメインからリンカー配列ADNKFNを差し引いたものである。1また複数のドメイン、例えばすべてのドメインはまた、1または複数のアミノ酸の置換、挿入または欠失によって変異していてもよい。したがって、10、9、8、7、6、5、4、3または2までの変異、例えば、配列番号8または9内の置換が存在し得る。
【0016】
配列番号8
KEQQ NAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSQ SANLLAEAKK LNDAQAPK
配列番号9
KEQQ NAFYEILHLP NLTEEQRNGF IQSLKDDPSV SKEILAEAKK LNDAQAPK
リガンドは、個々のドメイン間に適切に1〜10アミノ酸残基の1または複数のリンカー配列、例えば、VDNKFN、ADNKFN、VDAKFD、ADまたはFNをさらに含み得る。さらに、リガンドは、カップリング部分、例えば、システインまたは複数のリジンをリガンドのC末端またはN末端に、適切にはC末端に含んでいてもよい。リガンドはまた、N末端にリーダー配列、例えばシグナルペプチド切断後の瘢痕または残基および場合によりリンカー配列のコピーを含んでいてもよい。このようなリーダー配列は、例えば、1〜15アミノ酸(例えば、1〜10アミノ酸)のペプチド、例えばAQ、AQGT、AQVDAKFD、AQGTVDAKFDまたはAQVDNKFNであり得る。したがって、リガンドの典型的な構造は、例えば、リーダー−(ドメイン−リンカー)
n−1−ドメイン−カップリング部分である。nは1〜7、例えば、1、2、3、4、5、6または7などであってよい。
【0017】
図4により例示される第2の態様において、本発明は、上記の分離マトリックスを含むクロマトグラフィーカラム1を開示する。クロマトグラフィーカラムは、例えば、マトリックス粒子の円筒状充填床2が2つのネット/フリット3、4および2つの分配構造5、6の間に閉じ込められ、供給材料が、入口7、入口分配器5および入口ネット/フリット3を介して充填床2を通って流動し、次いで出口フリット/ネット4、出口分配器6および出口8を通って流動する、軸方向充填床カラム1であってよい。充填床の高さhは、例えば、5cmまで、または10cmまで、例えば2〜5cmまたは2〜4cmであってよい。充填床の直径dは、例えば、少なくとも1cm、例えば少なくとも1.5cmまたは1.5〜200cm、1.5〜100cm、1.5〜50cmまたは1.5〜30cmであってよい。
【0018】
図5に例示される第3の態様において、本発明は、上に開示した複数のクロマトグラフィーカラム11、12、13を含むクロマトグラフィーシステム10を開示する。このシステムは、連続クロマトグラフィーを行うために適切に配置することができる。例えばこのシステムは、同一の分離マトリックスが充填された少なくとも2つ、例えば少なくとも3つの上記で定義されたクロマトグラフィーカラム11、12、13を含み、1または複数の接続ライン14、15、16により、液体が1つのカラム11、12から後続のカラム12、13に流れ、最後のカラム13から第1カラム11に流れ得るように接続され、2つのカラムの間の各接続ラインが少なくとも1つの、三方弁または四方弁であり得るオン/オフバルブ17、18、19を備えることができる。このシステムは、例えば第1検出器21を介して第1バルブブロック22に接続されている、供給ポンプ20をさらに備えてもよい。この第1バルブブロック22には、緩衝液ポンプ23が接続されていてもよい。第1バルブブロック22は、第1バルブ23を介して第1カラム11の入口にさらに接続することができる。第1カラム11の出口端は、第2検出器24を通って第2バルブ17に接続することができる。第1バルブブロック22は、さらに、第2バルブまたはバルブブロック25を介して第2カラム12の入口に接続することができる。第2カラム12の出口端は、第3検出器26を介してバルブ18に接続することができる。さらに、バルブ27は、バルブ17とバルブ18との間に接続することができる。バルブ27はさらにバルブ28に接続することができ、バルブ28はさらにバルブ23および第2バルブブロック25に接続される。これによって、第1カラム11からの流出液を、接続ライン14、バルブ17、27、28および25を通って第2カラム12の入口に向かわせることができる。さらに、第1バルブブロック22は、バルブ29を介して第3カラム13の入口に接続することができる。第3カラム13の出口端は、第4検出器30を介してバルブ19に接続することができる。さらに、バルブ31は、バルブ18とバルブ19との間に接続することができる。バルブ31はまたバルブ32に接続することができ、バルブ32は第2バルブブロック25およびバルブ29に接続することができる。これによって、第2カラム12からの流出液を、接続ライン15を通って第3カラム13の入口に向かわせることができる。第3カラム13からの流出液は、バルブ19および23を介して接続ライン16を通って第1カラム11の入口に向かわせることができる。さらに、第1、第2、第3および第4の検出器21、24、26、30はすべて判定ユニット32に接続することができる。判定ユニットは、検出器からの検出シグナルを使用して、3つの異なるカラムの貫流点および飽和点を判定するように構成されている。判定ユニット32およびすべてのバルブブロック、バルブおよびポンプは、さらに、制御ユニット33に接続され(すべての接続は図示しない)、これは負荷ゾーンからカラムを除去するか、または負荷ゾーンにカラムを加える時、流量を変える時、新しい洗浄ステップを開始する時に関してクロマトグラフィーシステムを制御するように適合させられる。検出器21、24、26、30は、例えば、UV検出器であってよい。制御ユニット33は、判定ユニット32から得られる貫流データに基づいてシステムを制御するように構成することができる。あるいは、制御ユニット33は、スイッチング動作に一定の所定の工程時間を使用することができる。
【0019】
第4の態様において、本発明は、アフィニティークロマトグラフィーによる抗体の分離方法を開示する。この方法は、
a)プロセス供給材料を、上記で開示した少なくとも第1クロマトグラフィーカラムを通して輸送し、抗体を供給材料から吸着させる工程(前記プロセス供給材料は、例えば、少なくとも4mg/mlの抗体、例えば4〜15、4〜10または4〜5mg/mlの抗体を含むか、および/またはこの工程の滞留時間は、例えば2分未満、例えば0.3〜1分または0.3〜0.8分である)、
b)場合により、第1クロマトグラフィーカラムを洗浄する工程、
c)溶出液を、第1クロマトグラフィーカラムを通して輸送して、抗体を溶出させる工程、ならびに
d)抗体を含む溶出液を回収する工程、
を含む。
【0020】
この方法は、上記に開示したクロマトグラフィーシステム10において適切に実施することができる。
【0021】
この方法の特定の実施形態において、工程a)において、第1クロマトグラフィーカラム11からの流出液は、第1カラムと同じ分離マトリックスを充填した第2クロマトグラフィーカラム12を通過し、
工程a)の後、工程a’)において、プロセス供給材料は第2クロマトグラフィーカラム12に向け直され、第2クロマトグラフィーカラムからの流出液は、第1および第2カラムと同じ分離マトリックスが充填された第3クロマトグラフィーカラム13を通過し、
工程a’)後、工程a’’)において、プロセス供給材料は第3クロマトグラフィーカラム13に向け直され、第3クロマトグラフィーカラムからの流出液は第1クロマトグラフィーカラム11を通過し、
ステップc)がステップa’)の前に実行され、
ステップa’)の後、ステップc’)において、溶出液は第2クロマトグラフィーカラム12を通って輸送されて抗体を溶出し、
ステップa”)の後、ステップc”)において、溶出液は第3クロマトグラフィーカラム13を通って輸送され、抗体を溶出し、ならびに
工程a)、a’)、a’’)、c)、c’)およびc”)の順序は、場合により1または複数回繰り返される。
【0022】
工程a)、a’)およびa’’)における滞留時間は、例えば、2分未満、例えば0.3〜1分または0.3〜0.8分である。
【0023】
この方法は、工程c)、c’)およびc”)それぞれの後に、工程e)、e’)およびe”)を含むことができ、それぞれは、洗浄液を前記第1、第2および第3のクロマトグラフィーカラムをそれぞれ通して輸送する工程を含む。洗浄液は、少なくとも0.1M(例えば0.1〜1Mまたは0.1〜0.5M)のアルカリを含むアルカリ水溶液であってよい。アルカリは、例えば、NaOHでもよいが、例えばKOHであってもよい。洗浄(定置洗浄−CIPとも呼ばれる)工程は、結合および溶出工程を繰り返す前に、確実にすべての残留供給材料成分をカラムから除去する。適切なリガンドは、繰り返されるアルカリ処理に耐えることができ、例えば上述のように、マトリックスは、0.5M NaOHとの5時間のインキュベーション後に元のIgG結合容量の少なくとも95%を保持している。
【0024】
工程e)、e’)およびe”)それぞれの後に、本方法は、工程a)、a’)およびa’’)のためにカラムを再較正する平衡化工程f)、f’)およびf”)をそれぞれ含んでもよい。
【実施例1】
【0026】
カラム:3つのHiTrap 5mLプラスチックカラム(内径7.0mm)に、高度に架橋した球状アガロースビーズを3.0cmの床高さに充填した。このビーズは、C末端システインを介して、Mw110kDaのデキストランに対して0.66のK
D値に相当する多孔性を有する、52マイクロメーターの体積加重メジアン径(d50,v)の、高剛性(米国特許第6602990号明細書に記載された手順に従って架橋されている)アガロースビーズに共有結合された11mg/mlのSpA変異体リガンド(Zvarの四量体)を含有した。
【0027】
供給材料:4.0g/LのモノクローナルIgG抗体を含有する清澄化したCHO細胞上清を、0.22μmのフィルターで濾過した。752gの供給材料を1253gのPBS緩衝液(pH7.4)と混合して、カラムに負荷する前の1.5g/LのmAb濃度を得た。この混合物のUV吸光度(300nm)は695mAuであった。
【0028】
クロマトグラフィー:カラムは、
図5と同様の流路を有するAKTA(商標)PCC(GE Healthcare Bio−Sciences AB、スウェーデン)システムに取り付けられ、希釈供給材料は、表1に記載の条件下で3カラムPCC法を使用して連続的にカラムに捕捉された。緩衝液:平衡化 10mM リン酸塩 27mM KCl 140mM NaCl pH7.4、洗浄1 10mMリン酸塩 27mM KCl 140mM NaCl pH7.4、洗浄2 50mM 酢酸緩衝液 pH6、溶出 50mM 酢酸緩衝液 pH3.5、CIP 100mM NaOH。所定の固定工程時間でシステムを運転した。
【0029】
【表1】
ポンプ洗浄を含むカラムターンアラウンド時間は、14.5分であった。溶出液中のmAb濃度は、キュベットにおいて280nmのUV吸光度を測定し、所定の較正曲線から計算することによって決定した。
【0030】
実験によるクロマトグラムを
図4に示す。定量化した結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
定常状態では、動的容量は平均43g/Lであり、45%で貫流および滞留時間0.5分であった。mAb濃度/(滞留時間*カラム数)として計算した生産性は、滞留時間をhとして60g/Lhであった。
【実施例2】
【0032】
この3カラムPCC実験は、実施例1の4.0mg/Lの上清を未希釈で供給材料として用いて行った。負荷中の滞留時間は2.5分であり、条件は表3に記載された通りであった。この実験では、各カラム後のUV吸収を測定し、貫流5%でカラムを自動的に切り替えるために使用した。
【0033】
【表3】
各カラム溶出液中のmAbの平均量は270mgであり、動的結合容量は平均54g/Lであった。
【実施例3】
【0034】
実施例1と同じ型のカラム上の実施例1の細胞上清からのmAbの動的結合容量(10%貫流、Qb10)を、標準的な方法を使用して滞留時間の関数として決定した。測定は、a)実施例1と同じマトリックス(プロトタイプ)およびb)より大きいビーズサイズを有するマトリックス(参照)で行った。後者の場合、マトリックスは、C末端システインを介して、Mw110kDaのデキストランに対して0.69のK
D値に相当する多孔性を有する、85マイクロメーターの体積加重メジアン径(d50,v)の、高剛性(米国特許第6602990号明細書に記載された手順に従って架橋されている)アガロースビーズに共有結合された10.5mg/mlのSpA変異体リガンド(Zvarの四量体)を含有した。結果を動的結合容量対滞留時間として
図3にプロットした。
【0035】
本明細書は、最良の様式を含む本発明を開示するため、およびどのような当業者も、任意のデバイスまたはシステムの作製および使用ならびに任意の組み込まれた方法の実行を含む本発明の実践を可能にするために、実施例を使用している。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言から相違しない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言から実質的には相違しない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲の技術的範囲に包含される。本文において言及した特許または特許出願はいずれも、それらの全体が、それらがあたかも個別に援用されているかのように、ここでの言及によって本明細書に援用される。
[実施態様1]
抗体結合タンパク質リガンドが共有結合的に固定化された多孔性球状粒子を含む分離マトリックスであって、前記リガンドの密度が10mg/ml超であり、前記粒子の体積加重メジアン径が30〜55μmの範囲にある分離マトリックス。
[実施態様2]
前記リガンドの密度が、10.5〜15mg/mlの範囲、例えば11〜15mg/mlである、実施態様1に記載の分離マトリックス。
[実施態様3]
前記多孔性球状粒子が架橋多糖類を含む、実施態様1または2に記載の分離マトリックス。
[実施態様4]
前記多孔性球状粒子が架橋アガロースを含む、実施態様1乃至3のいずれか1項に記載の分離マトリックス。
[実施態様5]
前記アガロースがゲル化前にアリル化されている、実施態様4に記載の分離マトリックス。
[実施態様6]
前記多孔性球状粒子が、分子量110kDaのデキストランに対してK
Dとして表されるゲル相分配係数が0.6〜0.8、例えば0.6〜0.7である、実施態様1乃至5のいずれか1項に記載の分離マトリックス。
[実施態様7]
前記リガンドがFc結合タンパク質を含む、実施態様1乃至6のいずれか1項に記載の分離マトリックス。
[実施態様8]
前記Fc結合タンパク質がプロテインAである、実施態様7に記載の分離マトリックス。
[実施態様9]
前記リガンドが、プロテインAドメインの単量体、二量体または多量体を含む、実施態様1乃至8のいずれか1項に記載の分離マトリックス。
[実施態様10]
前記ドメインの1または複数が変異している、実施態様9に記載の分離マトリックス。
[実施態様11]
前記ドメインの1または複数が、プロテインZまたはプロテインAのBもしくはCドメインに由来し、23位のアミノ酸残基がスレオニンである、実施態様10に記載の分離マトリックス。
[実施態様12]
前記ドメインの1または複数が、配列番号8または9によって定義されるアミノ酸配列を含む、実施態様9乃至11のいずれか1項に記載の分離マトリックス。
[実施態様13]
20±2℃で0.5M NaOH中で5時間インキュベートした後に、元の結合容量の少なくとも95%を保持する、実施態様1乃至12のいずれか1項に記載の分離マトリックス。
[実施態様14]
実施態様1乃至13のいずれか1項に記載の分離マトリックスを含むクロマトグラフィーカラム(1)。
[実施態様15]
5または10cmまで、例えば2〜5cmまたは2〜4cmの床高さ(h)を有する、前記分離マトリックスの充填床(2)を含む、実施態様14に記載のクロマトグラフィーカラム(1)。
[実施態様16]
実施態様14または15に記載の複数のクロマトグラフィーカラム(11、12、13)を含むクロマトグラフィーシステム(10)。
[実施態様17]
連続クロマトグラフィーを行うように構成された、実施態様16に記載のクロマトグラフィーシステム(10)。
[実施態様18]
同一の分離マトリックスが充填された少なくとも2つ、例えば少なくとも3つの、実施態様12または13に記載のクロマトグラフィーカラム(11、12、13)を含み、1または複数の接続ライン(14、15、16)により、液体が1つのカラムから後続のカラムに流れ、最後のカラム(13)から第1カラム(11)に流れ得るように接続され、2つのカラム(11,13)の間の各接続ライン(14,15,16)が少なくとも1つのオン/オフバルブ(17、18、19)を備える、実施態様16または17に記載のクロマトグラフィーシステム(10)。
[実施態様19]
アフィニティークロマトグラフィーによる抗体の分離方法であって、
a)プロセス供給材料を、実施態様14乃至15のいずれか1項に記載の少なくとも第1クロマトグラフィーカラム(11)を通して輸送し、抗体を前記供給材料から吸着させる工程、
b)場合により、前記第1クロマトグラフィーカラム(11)を洗浄する工程、
c)溶出液を、前記第1クロマトグラフィーカラム(11)を通して輸送して、抗体を溶出させる工程、ならびに
d)抗体を含む前記溶出液を回収する工程、
を含む方法。
[実施態様20]
実施態様16乃至18のいずれか1項に記載のクロマトグラフィーシステム(10)において実施される、実施態様19に記載の方法。
[実施態様21]
工程a)において、前記第1クロマトグラフィーカラム(11)からの流出液は、前記第1カラム(11)と同じ分離マトリックスを充填した第2クロマトグラフィーカラム(12)を通過し、
工程a)の後、工程a’)において、プロセス供給材料は前記第2クロマトグラフィーカラム(12)に向け直され、前記第2クロマトグラフィーカラム(12)からの流出液は、前記第1および第2カラム(11,12)と同じ分離マトリックスが充填された第3クロマトグラフィーカラム(13)を通過し、
工程a’)後、工程a’’)において、前記プロセス供給材料は前記第3クロマトグラフィーカラム(13)に向け直され、前記第3クロマトグラフィーカラム(13)からの流出液は前記第1クロマトグラフィーカラム(11)を通過し、
ステップc)がステップa’)の前に実行され、
ステップa’)の後、ステップc’)において、前記溶出液は前記第2クロマトグラフィーカラム(12)を通って輸送されて抗体を溶出し、
ステップa”)の後、ステップc”)において、前記溶出液は前記第3クロマトグラフィーカラム(13)を通って輸送され、抗体を溶出し、ならびに
工程a)、a’)、a’’)、c)、c’)およびc”)の順序は、場合により1または複数回繰り返される、実施態様19または20に記載の方法。
[実施態様22]
工程a)において、滞留時間が2分未満、例えば0.3〜1分または0.3〜0.8分である、実施態様19乃至21のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様23]
工程a)、a’)およびa’’)において、滞留時間が2分未満、例えば0.3〜1分または0.3〜0.8分である、実施態様21に記載の方法。
[実施態様24]
前記プロセス供給材料が、少なくとも4mg/mlの抗体、例えば4〜15または4〜10mg/mlの抗体を含む、実施態様19乃至23のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様25]
工程c)、c’)およびc”)の後に、それぞれ、工程e)、e’)およびe”)をさらに含み、前記第1、第2および第3のクロマトグラフィーカラム(11,12,13)を通して洗浄液を輸送する工程を含む、実施態様21乃至24のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様26]
前記洗浄液が、NaOHなどの少なくとも0.1Mのアルカリを含む、実施態様25に記載の方法。