(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類コンジュゲートを調製する方法であって、(a) サイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類の担体タンパク質へのコンジュゲーション及び(b) 150mM未満のNaCl濃度を有する溶液に対する透析濾過を含み、前記サイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類の平均サイズ(Mw)が180〜400kDaである、前記方法。
1つ以上又は全ての担体タンパク質が、ジフテリアトキソイド(DT)、CRM197、破傷風トキソイド(TT)、TTの断片C、dPly、PhtA、PhtB、PhtD、PhtE、PhtDE OmpC、PorB及びインフルエンザ菌タンパク質Dからなる群から選択される、請求項13〜22のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
タンパク質Dにコンジュゲートしている血清型1糖類、タンパク質Dにコンジュゲートしている血清型4糖類、タンパク質Dにコンジュゲートしている血清型5糖類、タンパク質Dにコンジュゲートしている血清型6B糖類、タンパク質Dにコンジュゲートしている血清型7F糖類、タンパク質Dにコンジュゲートしている血清型9V糖類、タンパク質Dにコンジュゲートしている血清型14糖類及びタンパク質Dにコンジュゲートしている血清型23F糖類を含む、請求項13〜24のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
組成物が、破傷風トキソイド(TT)にコンジュゲートしている莢膜糖類18Cを含み、場合により18Cは、任意選択でADHリンカーを介して破傷風トキソイド(TT)にコンジュゲートしている組成物中の唯一の糖類である、請求項13〜26のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
担体タンパク質にコンジュゲートしている血清型33F、血清型15及び血清型12Fの1種以上の肺炎球菌莢膜糖類をさらに含む、請求項13〜27のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
ポリヒスチジン三連構造ファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質、無毒化ニューモリシン(Ply)、PspA、PsaA、Sp128、Sp101、Sp130、Sp125及びSp133から選択される1種以上の非コンジュゲート化又はコンジュゲート化肺炎球菌タンパク質をさらに含む、請求項13〜29のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
肺炎球菌感染により引き起こされる疾患の治療又は予防において使用するための、請求項13〜32のいずれか1項に記載の免疫原性組成物又は請求項33に記載のワクチン。
肺炎球菌感染により引き起こされる疾患の治療又は予防のための医薬の製造における、請求項12〜32のいずれか1項に記載の免疫原性組成物又は請求項33に記載のワクチンの使用。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の説明
本発明は、サイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類を提供する。一態様において、本発明は、肺炎球菌血清型6A多糖類の平均サイズ(Mw)が100〜1000kDa、110〜750kDa、150〜500kDa、180〜600kDa、210〜490kDa、210〜450kDa、180〜400kDa、210〜400kDa、210〜370kDa、220〜360kDa、230〜350kDa、240〜340kDa、240〜320kDa、240〜310kDa又は250〜310kDaである、肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類を提供する。
【0010】
本明細書全体を通して、用語「多糖類」は、グリコシド結合により結合した糖類の鎖で構成される複合体炭水化物を指す。この多糖類は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40若しくは50個又はそれ以上の糖類を含有し得る。
【0011】
本発明の目的のため、「天然多糖類」は、多糖類のサイズを低下させることを目的とする(例えば精製後の)プロセスに供されていない多糖類を指す。多糖類は、通常の精製工程中に、又はコンジュゲーション中の分解によってサイズがわずかに低下され得る。このような糖類は依然として天然である。多糖類がサイジング技術に供された場合にのみ、この多糖類は天然とはみなされない。
【0012】
本発明の目的のため、「サイズ調整された多糖類」は、多糖類のサイズを低下させることを目的とする(例えば精製後の)プロセスに供された多糖類を指す。多糖類は、機械的又は化学的サイジング技術によってサイズ調整することができる。使用し得る機械的サイジング技術としては、高圧技術(例えばマイクロフルイダイゼーション、Emulsiflex(商標)、高圧ホモジナイゼーション、又はガウリンホモジナイゼーション)及び超音波処理が挙げられる。使用し得る化学的サイジング技術としては、酸加水分解(例えば酢酸による処理)又は過ヨウ素酸塩による処理が挙げられる。「過ヨウ素酸塩」という用語は、過ヨウ素酸塩と過ヨウ素酸の両方を包含し;この用語はまた、メタ過ヨウ素酸塩(IO
4-)及びオルト過ヨウ素酸塩(IO
65-)の両方、並びに過ヨウ素酸塩の様々な塩(例えば、過ヨウ素酸ナトリウムおよび過ヨウ素酸カリウム)も包含する。本明細書中に記載される分子量範囲は、コンジュゲーション前の(例えば活性化が行われる場合は活性化前の)精製多糖類を指す。
【0013】
本発明の目的のため、「x2以下の倍率でサイズ調整される」は、糖類が、糖類のサイズを低下させるが、天然多糖類のサイズの半分超のサイズを保持することが意図されるプロセスに供されることを意味する。x3、x4等「以下の倍率でサイズ調整される」のような用語は、同様に(すなわち糖類が、多糖類のサイズを低下させるが、天然多糖類のサイズの3分の1超、4分の1超等のサイズをそれぞれ保持することが意図されるプロセスに供されると)解される。
【0014】
本明細書において使用される用語、多糖類の「分子量」又は「平均分子量」又は「平均サイズ」は、コンジュゲーション前にMALLS(多角度レーザー光散乱)によって測定される、多糖類の重量平均分子量(Mw)を指す。
【0015】
MALLS技術は当技術分野において公知であり、典型的には以下に記載されるとおりに実施される。肺炎球菌多糖類のMALLS分析について、2つのカラム(TSKG6000及び5000PWxl)を組み合わせて使用し、多糖類を0.2M NaCl中に溶出させることができる。多糖類は、光散乱検出器(例えば、488nmの10mWアルゴンレーザーを備えたWyatt Dawn DSP(Digital Signal Processing))及び干渉屈折計(例えば、P100セル及び498nmの赤色フィルターを備えたWyatt Otilab DSP(Digital Signal Processing))を用いて検出される。
【0016】
レーザー光散乱検出器は、高分子溶液により16度で散乱する光強度を測定し、他方、オンラインで配置される干渉屈折計は、溶出されるサンプルの量の決定を可能とする。これらの強度から、溶液中の高分子のサイズ及び形を決定することができる。
【0017】
重量平均分子量(M
w)は、全種の重量の合計にそれらの各分子量を乗じて、全種の重量の合計で割ったものとして定義される。
【0022】
c) 二乗平均平方根半径:-Rw-およびr
2wは、以下:
【0023】
【数3】
(-m
i-は散乱中心iの質量であり、-r
i-は、散乱中心iと高分子の重心との間の距離である)
によって定義される二乗半径である。
【0024】
d) 多分散性は、比-M
w/M
n-として定義される。
【0025】
本明細書中で使用される用語「治療(treatment)」(その変形、例えば「治療する(treat)」又は「治療される(treated)」を包含する)は、以下:(i) 従来のワクチンにおけるような感染又は再感染の予防、(ii) 症状の重症度の低減又は症状の除去、(iii) 症状の再発の遅延、及び(iii) 被験体における当該病原体又は障害の実質的な又は完全な除去、のいずれか1つ以上を意味する。従って、治療は予防的に(感染前に)行ってもよいし、治療的に(感染後に)行ってもよい。
【0026】
本発明の目的のため、「COPDの増悪の治療又は予防」又は「COPD増悪の重症度の低減」は、例えば本発明の免疫原性組成物又はワクチンで免疫化した患者群内の、COPD増悪の発生率又は速度の低下(例えば、0.1、0.5、1、2、5、10、20%又はそれ以上の速度の低下)、又はCOPD増悪(例えば、気流閉塞、慢性気管支炎、細気管支炎又は小気道疾患及び肺気腫)の重症度の低減を指す。
【0027】
サイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類
肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類は、機械的又は化学的サイジング技術によってサイズ調整することができる。ある実施形態において、本発明の肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類は、化学的サイジング技術によりサイズ調整される。使用し得る化学的サイジング技術としては、酢酸による処理又は過ヨウ素酸塩による処理が挙げられる。一態様において、本発明の肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類は、過ヨウ素酸塩を用いた処理によりサイズ調整される。「過ヨウ素酸塩」という用語は、過ヨウ素酸塩と過ヨウ素酸の両方を包含する;この用語はまた、メタ過ヨウ素酸塩(IO
4-)とオルト過ヨウ素酸塩(IO6
5-)の両方、及び過ヨウ素酸塩の様々な塩(例えば、過ヨウ素酸ナトリウムおよび過ヨウ素酸カリウム)も包含する。別の態様において、本発明の肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類は、酢酸を用いた処理によりサイズ調整される。ある実施形態において、本発明の肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類は、機械的サイジング技術により、例えば高圧技術を用いてサイズ調整される。高圧技術としては、例えばマイクロフルイダイゼーション、高圧ホモジナイゼーション、又はガウリンホモジナイゼーションが挙げられる。一態様において、本発明の肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類は、高圧ホモジナイゼーションによりサイズ調整される。高圧ホモジナイゼーションは、十分に小さな寸法の流路を通してプロセスストリームをポンピングすることにより高剪断速度を達成する。剪断速度は、より大きな印加ホモジナイゼーション圧力を用いることによって増加し、曝露時間は、ホモジナイザーを通してフィードストリームを再循環させることによって増加させることができる。高圧ホモジナイゼーションの技術は、Cho ら. (Int. J. Mol. Sci. 2014、15)に記載されている。本発明の別の態様において、本発明の肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類は、ガウリンホモジナイゼーションによりサイズ調整される。ガウリンホモジナイゼーションは、Landerら(Biotechnol. Prog. 2000、16, 80-85)に記載される技術を用いて実施することができる。別の態様において、本発明の肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類は、マイクロフルイダイゼーションによりサイズ調整される(例えば以下の実施例に記載されるとおり)。
【0028】
本発明のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類は、100〜1000kDa、110〜750kDa、150〜500kDa、180〜600kDa、210〜490kDa、210〜450kDa、180〜400kDa、210〜400kDa、210〜370kDa、220〜360kDa、230〜350kDa、240〜340kDa、240〜320kDa、240〜310kDa又は250〜310kDaの平均サイズ(Mw)を有する。サイジングは、x20、x10、x8、x6、x5、x4、x3又はx2以下の倍率である。例えば、サイジングは、x2〜x6、x2〜x5、x2〜x4、又はx3〜x6、x3〜x5若しくはx3〜x4の倍率であり得る。一態様において、本発明の肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類は、x5以下の倍率でサイズ調整される。本明細書中に記載される「分子量範囲」は、コンジュゲーション前(例えば、活性化が行われる場合は活性化前)の精製肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類の分子量を指す。
【0029】
ある実施形態において、本発明のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類は抗原性であり(ELISAにより決定される)、例えば、70〜200%、好ましくは90%〜150%(例えば120〜144%)の抗原性指数を有する。以下の実施例において説明されるとおり、抗原性指数は、100%(以下の表において1.0とも表される)の抗原性指数が割り当てられる天然肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類に対して測定される。
【0030】
コンジュゲート化肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類
好適には、本発明のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類は、担体タンパク質にコンジュゲートしている。担体タンパク質は、TT(破傷風トキソイド)、DT(ジフテリアトキソイド)、CRM197、TTの断片C、PhtD(肺炎球菌ヒスチジン三連構造タンパク質D)、PhtDE融合体(PhtDとPhtE(肺炎球菌ヒスチジンタンパク質E)の融合体、特にWO 01/98334及びWO 03/54007に記載されている融合体)、無毒化ニューモリシン及びタンパク質Dからなる群から選択することができる。本発明の一態様において、サイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類は、TT(破傷風トキソイド)、DT(ジフテリアトキソイド)、CRM197、TTの断片C、及びPhtD(肺炎球菌ヒスチジン三連構造タンパク質D)からなる群から選択される担体タンパク質にコンジュゲートしている。本発明の別の態様において、本発明のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類は、DT又はCRM197にコンジュゲートしている。本発明の別の態様において、本発明のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類は、CRM197にコンジュゲートしている。
【0031】
CRM197は非毒性形態のジフテリア毒素であるが、ジフテリア毒素(DT)とは免疫学的に区別不可能である。ジフテリア毒素の遺伝子的に無毒化された類似体としては、例えばCRM197並びにUS 4,709,017、US 5,843,711、US 5,601,827、及びUS 5,917,017に記載されている他の変異体が挙げられる。CRM197は、毒素産生性コリネファージbのニトロソグアニジン突然変異誘発により創出される毒素非産生相のβ197毒素に感染したジフテリア菌(C. diphtheriae)によって産生される(Uchida ら Nature New Biology (1971) 233;8-11)。CRM197タンパク質は、ジフテリア毒素と同じ分子量を有するが、ジフテリア毒素とは構造遺伝子における一塩基変化によって異なる。この変化は52位のアミノ酸のグリシンからグルタミンへの変化をもたらし、この変化は断片AがNADに結合することを不可能にし、これにより非毒性とする(Pappenheimer 1977, Ann Rev, Biochem. 46;69-94, Rappuoli Applied and Environmental Microbiology Sept 1983 p560-564)。
【0032】
TTの断片Cは、破傷風毒素重鎖の非毒性のカルボキシ末端断片である。破傷風毒素は、1315個のアミノ酸残基からなる約150kDaの単一ペプチドである。パパインによる破傷風毒素の切断は2つの断片を生じる;これらの1つである断片Cは約50kDaである。TTの断片Cは、Neubauerら Biochim. Biophys.Acta 1981, 27, 141-148にさらに記載されている。
【0033】
ある実施形態において、本発明のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類は、リンカー(例えば二官能性リンカー(2つの反応性末端を有する))を介して担体タンパク質にコンジュゲートしている。リンカーは、場合によりヘテロ二官能性(両端に異なる反応性基を有する)であるか、又はホモ二官能性(スペーサ腕の両端に同一の反応性基を有する)であり、例えば反応性アミノ基と反応性カルボン酸基、2つの反応性アミノ基又は2つの反応性カルボン酸基である。リンカーは、例えば4〜20個、4〜12個、5〜10個の炭素原子を有する。可能なリンカーは、ADH(アジピン酸ジヒドラジド)である。他のリンカーとして、例えばB-プロピオンアミド(WO 00/10599)、ニトロフェニル-エチルアミン(Gever ら(1979) Med. Microbiol. Immunol. 165;171-288)、ハロゲン化ハロアルキル(US4057685)、グリコシド結合(US4673574、US4808700)、ヘキサンジアミン及び6-アミノカプロン酸(US4459286)が挙げられる。別の実施形態において、本発明のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類は、担体タンパク質に直接コンジュゲートしている。一態様において、本発明のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類は、イソ尿素結合を介して担体タンパク質に結合している。イソ尿素結合は、多糖類上のシアン酸エステルと担体上のアミノ基間の反応により形成される。本明細書において「イソ尿素結合」との言及は、安定結合を指す。
【0034】
免疫原性組成物
ある実施形態において、本発明は、本発明のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類(又はコンジュゲート)を含む免疫原性組成物を提供する。
【0035】
典型的には、本発明の免疫原性組成物は、(好適にはコンジュゲート化された)莢膜多糖類抗原を含み、ここで多糖類は、少なくとも10種の肺炎球菌の血清型に由来するであろう。肺炎球菌莢膜多糖類の数は、10種の異なる血清型(すなわち価「v」)〜23種の異なる血清型(23v、23価組成物)にわたり得る。一実施形態において、免疫原性組成物は、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上、15種以上、又は15種以上の異なる肺炎球菌血清型由来の莢膜多糖類を含む。一実施形態において、10種、11種、12種、13種、14種又は15種の異なる肺炎球菌血清型が存在する。別の実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、コンジュゲート化肺炎球菌多糖類と非コンジュゲート化肺炎球菌多糖類とを含み得る。ある実施形態において、糖類血清型の総数は、23種以下である。
【0036】
一実施形態において、本発明の多価肺炎球菌ワクチンは、(好適にはコンジュゲート化された)以下の血清型1、2、3、4、5、6A、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、15C、17F、18C、19A、19F、20、22F、23F及び33Fから選択される多糖類を含むであろうが、ワクチンを受ける受容者の年齢及びワクチンが投与される地理的な位置に応じて、1種又は2種の他の血清型に置換され得ることが理解される。ある実施形態において、ワクチンは11価ワクチンであり得る。例えば、11価ワクチンは、血清型1、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19F及び23F由来の多糖類を含み得る。ある実施形態において、ワクチンは12価又は13価ワクチンであり得る。12又は13価の小児(幼児)用ワクチンは、血清型19A、又は22F、又は15、又は19A及び22F、又は19A及び15、又は22F及び15を添加した11価製剤も含み得るが、13価の高齢者用ワクチンは、血清型19A及び22F、8及び12F、又は8及び15、又は8及び19A、又は8及び22F、又は12F及び15、又は12F及び19A、又は12F及び22F、又は15及び19A、又は15及び22Fを添加した11価製剤を含み得る。ある実施形態において、ワクチンは14価又は15価ワクチンであり得る。14価又は15価の小児用ワクチンは、血清型3、19A及び22F;血清型8、19A及び22F;血清型12F、19A及び22F;血清型15、19A及び22F;血清型3、8、19A及び22F;血清型3、12F、19A及び22F;血清型3、15、19A及び22Fを添加した上記の11価製剤を含み得る。ある実施形態において、ワクチンは16価ワクチンであり得る。16価ワクチンは、血清型3、15B、19A、22F及び23Fを添加した上記の11価製剤を含み得る。16価ワクチンは、血清型3、15B、19A、22F及び33Fを添加した上記の11価製剤を含み得る。ある実施形態において、ワクチンは19価ワクチンであり得る。19価ワクチンは、血清型8、10A、11A、12F、15B、19A、22F及び23Fを添加した上記の11価製剤を含み得る。19価ワクチンは、血清型8、10A、11A、12F、15B、19A、22F及び33Fを添加した上記の11価製剤を含み得る。ある実施形態において、ワクチンは20価ワクチンであり得る。20価ワクチンは、血清型3、8、10A、11A、12F、15B、19A、22F及び23Fを添加した上記の11価製剤を含み得る。20価ワクチンは、血清型3、8、10A、11A、12F、15B、19A、22F及び33Fを添加した上記の11価製剤を含み得る。ある実施形態において、ワクチンは21価ワクチンであり得る。
【0037】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、(好適にはコンジュゲート化された)血清型1、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19F及び23F由来の莢膜多糖類を含む。本発明のさらなる実施形態において、(好適にはコンジュゲート化された)少なくとも12種の糖類抗原、例えば、血清型1、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F及び23F由来の莢膜多糖類が含まれる。本発明のさらなる実施形態において、(好適にはコンジュゲート化された)少なくとも12種の糖類抗原、例えば、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19F及び23F由来の莢膜多糖類が含まれる。本発明のさらなる実施形態において、(好適にはコンジュゲート化された)少なくとも13種の多糖類抗原が含まれ、例えば、ワクチンは血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F及び23F由来の莢膜多糖類を含み得るが、さらなる糖類抗原、例えば23価(例えば血清型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15、17F、18C、19A、19F、20、22F、23F及び33F)もまた、本発明により想定される。本発明のさらなる実施形態において、(好適にはコンジュゲート化された)少なくとも15種の糖類抗原、例えば、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F及び33F由来の莢膜多糖類が含まれる。本発明のさらなる実施形態において、(好適にはコンジュゲート化された)少なくとも15種の糖類抗原、例えば、血清型1、4、5、6A、6B、7F、9V、14、15B、18C、19A、19F、22F、23F及び33F由来の莢膜多糖類が含まれる。本発明のさらなる実施形態において、(好適にはコンジュゲート化された)少なくとも16種の糖類抗原、例えば、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、15B、18C、19A、19F、22F、23F及び33F由来の莢膜多糖類が含まれる。別の実施形態において、免疫原性組成物は、(コンジュゲート化された)肺炎球菌の血清型33Fの莢膜(多)糖類を含む。別の実施形態において、免疫原性組成物は、(コンジュゲート化された)肺炎球菌の血清型15Cの莢膜(多)糖類を含む。別の実施形態において、免疫原性組成物は、(コンジュゲート化された)肺炎球菌の血清型12Fの莢膜(多)糖類を含む。ある実施形態において、(好適にはコンジュゲート化された)10〜23種の異なる肺炎球菌莢膜多糖類血清型が存在する。
【0038】
担体タンパク質
本発明において使用し得る担体タンパク質の例は、DT(ジフテリアトキソイド)、TT(破傷風トキソイド)又はTTの断片C、DT、CRM197、他のDT点変異体、例えばCRM176、CRM228、CRM45(Uchidaら J. Biol. Chem. 218;3838-3844、1973);CRM9、CRM45、CRM102、CRM103及びCRM107、並びにNicholls及びYouleによりGenetically Engineered Toxins, Frankel(編), Maecel Dekker Inc, 1992に記載されている他の変異;Glu-148の欠失又はAsp、Gln若しくはSerへの変異、及び/あるいはAla-158の欠失又はGlyへの変異、並びにUS 4709017又はUS 4950740に開示されている他の変異;Lys516、Lys526、Phe530及び/又はLys534の少なくとも1つ以上の残基の変異、並びにUS 5917017又はUS 6455673に開示されている他の変異;又はUS 5843711に開示されているDTの断片、肺炎球菌ニューモリシン(Kuoら (1995) Infect Immun 63;2706-13)、例えば幾つかの様式で無毒化されたニューモリシン(Ply)(例えばGMBS無毒化ニューモリシン(dPly-GMBS)(WO 04081515、PCT/EP2005/010258)又はホルムアルデヒド無毒化ニューモリシン(dPly-ホルモール))、Pht(肺炎球菌ヒスチジン三連構造)ファミリータンパク質(PhtX)、例えばPhtA、PhtB、PhtD、PhtE、及びPhtタンパク質の融合体(例えばPhtDE融合体、PhtBE融合体(WO 01/98334及びWO 03/54007)、(PhtA-Eは以下により詳細に記載されている))、OMPC(髄膜炎菌外膜タンパク質-通常は髄膜炎菌血清群Bから抽出される-EP 0372501)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis))ポーリンPorB、PD(インフルエンザ菌タンパク質D-例えばEP 0 594 610Bを参照)又はその免疫学的に機能的な等価物、合成ペプチド(EP 0378881、EP 0427347)、ヒートショックタンパク質(WO 93/17712、WO 94/03208)、百日咳タンパク質(WO 98/58668、EP 0471177)、サイトカイン、リンホカイン、成長因子又はホルモン(WO 91/01146)、抗原から誘導された、様々な病原体由来の複数のヒトCD4+T細胞エピトープを含む人工タンパク質(Falugiら (2001) Eur J Immunol 31;3816-3824)(例えばN19タンパク質(Baraldoiら (2004) Infect Immun 72;4884-7))、肺炎球菌表面タンパク質PspA(WO 02/091998)、鉄取り込みタンパク質(WO 01/72337)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)の毒素A又はB(WO 00/61761)である。
【0039】
ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物中、各肺炎球菌莢膜糖類は、DT、CRM197、TT、TTの断片C、dPly(無毒化ニューモリシン)、PhtA、PhtB、PhtD、PhtE、PhtDE OmpC、PorB及びインフルエンザ菌タンパク質Dからなる群から独立して選択される担体タンパク質にコンジュゲートしている。さらなる実施形態において、各肺炎球菌莢膜糖類は、TT、DT、CRM197、TTの断片C、PhtD、PhtDE融合体(特にWO 01/98334及びWO 03/54007に記載されているPhtDE融合体)、無毒化ニューモリシン及びタンパク質Dからなる群から独立して選択される担体タンパク質にコンジュゲートしている。さらなる実施形態において、各肺炎球菌莢膜糖類は、TT、DT、CRM197、PhtD、無毒化ニューモリシン及びタンパク質Dからなる群から独立して選択される担体タンパク質にコンジュゲートしている。さらなる実施形態において、各肺炎球菌莢膜糖類は、TT、DT、CRM197、PhtD及びタンパク質Dからなる群から独立して選択される担体タンパク質にコンジュゲートしている。さらなる実施形態において、各肺炎球菌莢膜糖類は、TT、DT、CRM197及びタンパク質からなる群から独立して選択される担体タンパク質にコンジュゲートしている。
【0040】
ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、2種以上の異なる担体タンパク質を含む。ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、2、3、4、5又は6種の異なる担体タンパク質を含む。各種類の担体タンパク質は2種以上の多糖類の担体として作用し得るが、この多糖類は、同一の又は異なる血清型に由来していてよい。一実施形態において、2種以上の異なる多糖類血清型が同一の担体タンパク質にコンジュゲートしていてよく、担体タンパク質の同一分子(担体分子は、それにコンジュゲートした2種以上の異なる多糖類血清型を有する)[例えばWO 04/083251を参照]、又は同一担体タンパク質の異なる分子(タンパク質担体の各分子は、それにコンジュゲートした1種類の糖類の血清型のみを有している)のいずれかにコンジュゲートし得る。
【0041】
ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、インフルエンザ菌由来のタンパク質D(PD)、例えば、EP 0594610の
図9のタンパク質D配列(
図9a及び9b合わせて364アミノ酸)(配列番号1)を含む。このタンパク質を免疫原性組成物に含めると、インフルエンザ菌関連中耳炎に対するあるレベルの防御を提供し得る(Pyrmulaら Lancet 367;740-748 (2006))。タンパク質Dは、完全長タンパク質又は断片として使用することができる(例えば、タンパク質Dは、WO 0056360に記載されるとおりである)。例えば、タンパク質D配列は、EP 0594610に記載されるタンパク質D断片(配列SSHSSNMANT(SerSerHisSerSerAsnMetAlaAsnThr)(配列番号3)において開始し、EP 0594610の
図9から19個のN末端アミノ酸が欠失しており、場合により前記タンパク質D断片のN末端に融合されたNS1由来のトリペプチドMDPを有する)を含み得る(又はこのタンパク質D断片からなり得る)(348アミノ酸)(配列番号2)。一態様において、タンパク質D又はタンパク質Dの断片は脂質付加されていない。タンパク質Dは、遊離タンパク質として又は担体タンパク質として免疫原性組成物中に存在し得る。一態様において、タンパク質Dは、遊離タンパク質として免疫原性組成物中に存在する。別の態様において、タンパク質Dは、担体タンパク質及び遊離タンパク質の両方として存在する。さらなる態様において、タンパク質Dは、1種以上の多糖類の担体タンパク質として存在する。さらなる態様において、異なる血清型から選択される2〜9種の莢膜多糖類がタンパク質Dにコンジュゲートしている。さらなる態様において、タンパク質Dは大多数の多糖類の担体タンパク質として存在し、例えば、6、7、8、9種又はそれ以上の多糖類がタンパク質Dにコンジュゲートしていてもよい。
【0042】
ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、タンパク質Dが担体タンパク質である、2〜8、2〜7、2〜6、2〜5、3〜5、4〜5、2〜4、2〜3、3〜4種、又は2、3、4、5、6、7若しくは8種の莢膜多糖類血清型コンジュゲートを含有する。例えば、血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F及び23Fから選択される2〜8、2〜7、2〜6、2〜5、3〜5、4〜5、2〜4、2〜3、3〜4種、又は2、3、4、5、6、7又は8種の多糖類がタンパク質Dにコンジュゲートしている。例えば、血清型1、4、5、6B、7F、9V、14及び23F由来の多糖類がタンパク質Dにコンジュゲートしている。
【0043】
ある実施形態において、少なくとも血清型1及び3、1及び4、1及び5、1及び6A、1及び6B、1及び7、1及び9V、1及び14、1及び22F、1及び23F、3及び4、3及び5、3及び6A、3及び6B、3及び7F、3及び9V、3及び14、3及び22F、3及び23F、4及び5、4及び6A、4及び6B、4及び7F、4及び9V、4及び14、4及び22F、4及び23F、5及び6A、5及び6B、5及び7F、5及び9V、5及び14、5及び22F、5及び23F、6A及び6B、6A及び7F、6A及び9V、6A及び14、6A及び22F、6A及び23F、6B及び7F、6B及び9V、6B及び14、6B及び22F、6B及び23F、7F及び9V、7F及び14、7F及び22F、7F及び23F、9V及び14、9V及び22F、9V及び23F、14及び22F、14及び23F又は22F及び23F由来の多糖類がタンパク質Dにコンジュゲートしている。
【0044】
ある実施形態において、少なくとも血清型1、3及び4;1、3及び5;1、3及び6A;1、3及び6B;1、3及び7F;1、3及び9V;1、3及び14;3、4及び7F;3、4及び5;3、4及び7F;3、4及び9V;3、4及び14;4、5及び7F;4、5及び9V;4、5、及び14;5、7F及び9V;5、7F及び14;7F、9V及び14;1、3、4及び5;3、4、5及び7F;4、5、7F及び9V;4、5、7F及び14;4、5、9V及び14;4、7F、9V及び14;5、7F、9V及び14;又は4、5、7F、9V及び14由来の多糖類がタンパク質Dにコンジュゲートしている。
【0045】
例えば、10価肺炎球菌免疫原性組成物において、2、3、4、5、6、7又は8種の異なる血清型由来の莢膜多糖類がタンパク質Dにコンジュゲートしている。例えば、11価肺炎球菌免疫原性組成物において、2、3、4、5、6、7又は8種の異なる血清型由来の莢膜多糖類がタンパク質Dにコンジュゲートしている。例えば、12価肺炎球菌免疫原性組成物において、2、3、4、5、6、7又は8種の異なる血清型由来の莢膜多糖類がタンパク質Dにコンジュゲートしている。例えば、13価肺炎球菌免疫原性組成物において、2、3、4、5、6、7又は8種の異なる血清型由来の莢膜多糖類がタンパク質Dにコンジュゲートしている。例えば、14価肺炎球菌免疫原性組成物において、2、3、4、5、6、7又は8種の異なる血清型由来の莢膜多糖類がタンパク質Dにコンジュゲートしている。例えば、15価肺炎球菌免疫原性組成物において、2、3、4、5、6、7又は8種の異なる血清型由来の莢膜多糖類がタンパク質Dにコンジュゲートしている。例えば、16価肺炎球菌免疫原性組成物において、2、3、4、5、6、7又は8種の異なる血清型由来の莢膜多糖類がタンパク質Dにコンジュゲートしている。例えば、17価肺炎球菌免疫原性組成物において、2、3、4、5、6、7又は8種の異なる血清型由来の莢膜多糖類がタンパク質Dにコンジュゲートしている。例えば、18価肺炎球菌免疫原性組成物において、2、3、4、5、6、7、8又は9種の異なる血清型由来の莢膜多糖類がタンパク質Dにコンジュゲートしている。例えば、19価肺炎球菌免疫原性組成物において、2、3、4、5、6、7、8又は9種の異なる血清型由来の莢膜多糖類がタンパク質Dにコンジュゲートしている。場合により、タンパク質Dにコンジュゲートしている血清型は、上記の群から選択される。
【0046】
ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、破傷風トキソイド(TT)にコンジュゲートしている少なくとも1種の莢膜糖類を含む。別の実施形態において、莢膜糖類18CはTTにコンジュゲートしており、場合によりここで18Cは、破傷風トキソイド(TT)にコンジュゲートしている組成物中の唯一の糖類である。
【0047】
本発明のある態様において、血清型19FはDT又はCRM197にコンジュゲートしている。別の態様において、血清型19FはDTにコンジュゲートしている。一態様において、免疫原性組成物の残りの糖類血清型は全て、DTではない1つ以上の担体タンパク質にコンジュゲートしていてよい(すなわち19FのみがDTにコンジュゲートしている)。一実施形態において、19FはDT又はCRM197にコンジュゲートしており、残りの血清型は、PhtD、PD(タンパク質D)、TT(破傷風トキソイド)、DT(ジフテリアトキソイド)及びCRM197から独立して選択される担体タンパク質にコンジュゲートしている。別の実施形態において、19FはDT又はCRM197にコンジュゲートしており、残りの血清型は、PD、TT、DT及びCRM197から独立して選択される担体タンパク質にコンジュゲートしている。さらなる実施形態において、19FはDT又はCRM197にコンジュゲートしており、残りの血清型は、PD、TT及びCRM197から独立して選択される担体タンパク質にコンジュゲートしている(例えば、WO 2007/071710A2及びWO 2007/071707A2に記載されるとおり)。
【0048】
ある実施形態において、本発明のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類と肺炎球菌血清型6B莢膜多糖類は、異なる担体タンパク質にコンジュゲートしている。さらなる実施形態において、本発明のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類はCRM197にコンジュゲートしている。さらなる実施形態において、肺炎球菌血清型6B莢膜多糖類コンジュゲートが存在するが、DT又はCRM197にはコンジュゲートしていない。さらなる実施形態において、サイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類はCRM197にコンジュゲートしており、肺炎球菌血清型6B莢膜多糖類肺炎球菌血清型はCRM197以外の担体タンパク質にコンジュゲートしている。さらなる実施形態において、サイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類はCRM197にコンジュゲートしており、肺炎球菌血清型6B莢膜多糖類肺炎球菌血清型は、PhtD、PD(タンパク質D)、TT(破傷風トキソイド)又はDT(ジフテリアトキソイド)から選択される担体タンパク質にコンジュゲートしている。さらなる実施形態において、サイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類はCRM197にコンジュゲートしており、肺炎球菌血清型6B莢膜多糖類はタンパク質Dにコンジュゲートしている。
【0049】
本発明のある実施形態において、1種以上の肺炎球菌莢膜多糖類にコンジュゲートしている担体タンパク質は、ポリヒスチジン三連構造ファミリー(Pht)タンパク質のメンバー、その断片又は融合タンパク質である。PhtA、PhtB、PhtD又はPhtEタンパク質は、WO 00/37105又はWO 00/39299に開示されている配列と(例えば、PhtDについてはWO 00/37105の配列番号4のアミノ酸配列1〜838又は21〜838と)、80%、85%、90%、95%、98%、99%又は100%の同一性を共有するアミノ酸配列を有し得る。例えば、融合タンパク質は、PhtA、PhtB、PhtD、PhtEの2つ、3つ又は4つの完全長又は断片で構成される。融合タンパク質の例は、PhtA/B、PhtA/D、PhtA/E、PhtB/A、PhtB/D、PhtB/E、PhtD/A、PhtD/B、PhtD/E、PhtE/A、PhtE/B及びPhtE/Dであり、ここでタンパク質は、最初に挙げられる方とN末端で結合している(例えばWO 01/98334を参照)。
【0050】
Phtタンパク質の断片が(別々に又は融合タンパク質の一部として)用いられる場合、各断片は、場合によりかかるポリペプチドの1つ以上のヒスチジン三連構造モチーフ(1つ又は複数)及び/又はコイルドコイル領域を含有する。ヒスチジン三連構造モチーフは、配列HxxHxH(ここでHはヒスチジンであり、xはヒスチジン以外のアミノ酸である)を有するポリペプチドの一部分である。コイルドコイル領域は、「Coils」アルゴリズム(Lupusha Aら (1991) Science 252;1162-1164)により予測される領域である。ある実施形態において、上記断片は、1つ以上のヒスチジン三連構造モチーフ並びに少なくとも1つのコイルドコイル領域を含む。ある実施形態において、上記断片は、ちょうど又は少なくとも2、3、4又は5つのヒスチジン三連構造モチーフ(場合により、2つ以上の三連構造間の天然Pht配列、又は天然肺炎球菌の三連構造内(intra-triad)Pht配列と50、60、70、80、90又は100%超同一の三連構造内配列- 例えば、PhtDについては、WO 00/37105の配列番号4に示される三連構造内配列)を含有する。ある実施形態において、上記断片は、ちょうど又は少なくとも2、3又は4つのコイルドコイル領域を含有する。ある実施形態において、本明細書中に開示されるPhtタンパク質は、シグナル配列が付着した完全長タンパク質、シグナルペプチド(例えばN末端の20アミノ酸)が除去された成熟完全長タンパク質、Phtタンパク質の天然変異体、及びPhtタンパク質の免疫原性断片(例えば、上記の断片又は、WO00/37105中のアミノ酸配列(配列番号4、6、8又は10)又はWO00/39299中のアミノ酸配列(配列番号2、4、6、8、10又は14)由来の少なくとも15又は20個の連続アミノ酸を含むポリペプチド、ここで前記ポリペプチドは、WO00/37105又はWO00/39299中の前記アミノ酸配列に特異的な免疫応答を誘発することができる)を包含する。
【0051】
特に、本明細書中で使用される用語「PhtD」は、シグナル配列が付着した完全長タンパク質、シグナルペプチド(例えばN末端の20アミノ酸)が除去された成熟完全長タンパク質、PhtDの天然変異体及びPhtDの免疫原性断片(例えば、上記の断片又はWO00/37105若しくはWO00/39299中のPhtDアミノ酸配列由来の少なくとも15又は20個の連続アミノ酸を含むポリペプチド)、ここで前記ポリペプチドは、WO00/37105又はWO00/39299中の前記PhtDアミノ酸配列(例えば、PhtDについてはWO 00/37105の配列番号4又はWO 00/39299の配列番号14)に特異的な免疫応答を誘発することができる)を包含する。上記の全ての形態のPhtDは、本発明において使用することができる。
【0052】
コンジュゲーションプロセス
本発明の免疫原性組成物中に存在する糖類コンジュゲートは、本発明のコンジュゲーション法又は任意の公知のカップリング技術によって調製することができる。本コンジュゲーション法は、1-シアノ-4-ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート(CDAP)を用いた糖類の活性化に依存して、シアン酸エステルを形成することができる。活性化された糖類は、このようにして、直接又はスペーサー(リンカー)基を介して担体タンパク質上のアミノ基に結合され得る。例えば、スペーサーは、チオール化多糖類を与えるシスタミン又はシステアミンであってよく、このチオール化多糖類が、(例えばGMBS(4-マレイミド酪酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)を用いた)マレイミド活性化担体タンパク質との反応、あるいは(例えばSIAB(スクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノベンゾエート)若しくはSIA(スクシンイミジルヨードアセテート)、又はSBAP(スクシンイミジル-3-(ブロモアセトアミド)プロピオネート)を用いた)ハロアセチル化担体タンパク質との反応後に得られるチオエーテル結合を介して、担体に結合され得る。ある実施形態において、(場合によりCDAP化学により作製される)シアン酸エステルは、ヘキサンジアミン又はADH(アジピン酸ジヒドラジド)と結合し、アミノ誘導体化糖類は、カルボジイミド(例えば1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC又はEDC))化学を用いて、タンパク質担体上のカルボキシル基を介して担体タンパク質にコンジュゲートする。このようなコンジュゲートは、PCT公開出願WO 93/15760(Uniformed Services University)、並びにWO 95/08348及びWO 96/29094に記載されている。
【0053】
ある実施形態において、少なくとも1種の肺炎球菌莢膜多糖類が、(例えば上記の化学の1つを用いて)担体タンパク質に直接コンジュゲートしている。ある実施形態において、少なくとも1種の肺炎球菌莢膜多糖類が、1-シアノ-4-ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート(CDAP)により直接コンジュゲートしている。ある実施形態において、大多数の莢膜多糖類、例えば5、6、7、8、9種又はそれ以上の莢膜多糖類が、CDAPにより担体タンパク質に直接結合している(WO 95/08348及びWO 96/29094を参照)。
【0054】
ある実施形態において、肺炎球菌多糖類は、リンカー(例えば二官能性リンカー)を介して担体タンパク質にコンジュゲートしている。リンカーは、場合によりヘテロ二官能性又はホモ二官能性であり、例えば反応性アミノ基と反応性カルボン酸基、2つの反応性アミノ基、又は2つの反応性カルボン酸基を有する。リンカーは、例えば、4〜20個、4〜12個、5〜10個の炭素原子を有する。可能なリンカーはADH(アジピン酸ジヒドラジド)である。他のリンカーとしては、B-プロピオンアミド(WO 00/10599)、ニトロフェニル-エチルアミン(Gever ら(1979) Med. Microbiol. Immunol. 165;171-288)、ハロゲン化ハロアルキル(US4057685)、グリコシド結合(US4673574、US4808700)、ヘキサンジアミン及び6-アミノカプロン酸(US4459286)が挙げられる。ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、リンカー(場合によりリンカーはADHである)を介して担体タンパク質にコンジュゲートした18C莢膜多糖類を含み得る。ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、リンカー(場合によりリンカーはADHである)を介して担体タンパク質にコンジュゲートした22F莢膜多糖類を含み得る(例えばWO2007/071711A2に記載されるとおり)。
【0055】
他の好適な技術は、カルボジイミド、ヒドラジド、活性エステル、ノルボラン、p-ニトロ安息香酸、N-ヒドロキシスクシンイミド、N-ヒドロキシスルホスクシンイミド(S-NHS)、EDC、O-(N-スクシンイミジル)-1,1,3,3-テトラメチル-ウロニウムテトラフルオロボレート(TSTU)を用いる。これらの多くはWO 98/42721に記載されている。コンジュゲーションは、多糖類の遊離ヒドロキシル基をカルボニルジイミダゾール(CDI)と反応させ(Bethell らJ. Biol. Chem. 1979, 254; 2572-4、Hearn ら J. Chromatogr. 1981. 218; 509-18)、その後タンパク質と反応させてカルバメート結合を形成することによって形成され得るカルボニルリンカーを包含し得る。このコンジュゲーションは、アノマー末端の第一級ヒドロキシル基への還元、第一級ヒドロキシル基の選択的保護/脱保護、CDIカルバメート中間体を形成するための第一級ヒドロキシル基のCDIとの反応、及びCDIカルバメート中間体のタンパク質上のアミノ基とのカップリングを包含し得る。
【0056】
コンジュゲートは、US 4365170(Jennings)及びUS 4673574(Anderson)に記載される直接還元的アミノ化法によって調製することもできる。他の方法は、EP-0-161-188、EP-208375及びEP-0-477508に記載されている。
【0057】
さらなる方法は、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)で誘導体化された臭化シアン(又はCDAP)活性化多糖類の、例えばEDACを用いたカルボジイミド縮合によるタンパク質担体へのカップリング(Chu C. ら Infect. Immunity, 1983 245 256)を包含する。
【0058】
ある実施形態において、少なくとも1種の肺炎球菌多糖類は、CDAP及びEDACを用いて、リンカーを介して担体タンパク質にコンジュゲートする。例えば、18C又は22Fは、上記のCDAP及びEDACを用いて、リンカー(例えば、末端に2つのヒドラジノ基を有するリンカー、例えばADH)を介してタンパク質にコンジュゲートし得る。リンカーが用いられる場合、CDAPを用いて多糖類をリンカーにコンジュゲートさせ、その後EDACを用いてリンカーをタンパク質にコンジュゲートさせてもよいし、あるいは、最初にEDACを用いてリンカーをタンパク質にコンジュゲートさせ、その後CDAPを用いてリンカーを糖類にコンジュゲートさせてもよい。
【0059】
ある実施形態において、多糖類上のヒドロキシル基(好適には活性化ヒドロキシル基、例えば、シアン酸エステルを作製するために[例えばCDAPを用いて]活性化されたヒドロキシル基)は、タンパク質上のアミノ基又はカルボキシル基に直接的に又は間接的に(リンカーを通して)結合している。リンカーが存在する場合、多糖類上のヒドロキシル基は、好適には、例えばCDAPコンジュゲーションを用いることにより、リンカー上のアミノ基に結合している。リンカー(例えばADH)中のさらなるアミノ基は、例えばカルボジイミド化学を用いることによって(例えばEDACを用いることにより)、タンパク質上のカルボン酸基にコンジュゲートさせ得る。ある実施形態において、肺炎球菌莢膜糖類(1つ又は複数)は、リンカーが担体タンパク質にコンジュゲートする前に、最初にリンカーにコンジュゲートする。あるいは、リンカーを、糖類へのコンジュゲーションの前に担体にコンジュゲートさせてもよい。
【0060】
技術の組み合わせを用いて、一部の糖類-タンパク質コンジュゲートをCDAPにより調製し、一部の糖類-タンパク質コンジュゲートを還元的アミノ化によって調製することもできる。
【0061】
一般的には、タンパク質担体上の以下のタイプの化学基をカップリング/コンジュゲーションに使用することができる:
【0062】
A) (例えばアスパラギン酸又はグルタミン酸を介した)カルボキシル。一実施形態において、この基は、多糖類上のアミノ基に直接結合するか、又はカルボジイミド化学を用いて(例えばEDACを用いて)リンカー上のアミノ基に結合する。
【0063】
B) (例えばリシンを介した)アミノ基。一実施形態において、この基は、多糖類上のカルボキシル基に直接結合するか、又はカルボジイミド化学を用いて(例えばEDACを用いて)リンカー上のカルボキシル基に結合する。別の実施形態において、この基は、CDAP又はCNBrで活性化された多糖類上のヒドロキシル基に直接結合するか、又はリンカー上のかかる基に;多糖類又はアルデヒド基を有するリンカーに;多糖類又はスクシンイミドエステル基を有するリンカーに結合する。
【0064】
C) (例えばシステインを介した)スルフィドリル。一実施形態において、この基は、ブロモアセチル化又はクロロアセチル化された多糖類に、又はマレイミド化学を用いてリンカーに結合する。一実施形態において、この基は、ビスジアゾベンジジンを用いて活性化/修飾される。
【0065】
D) (例えばチロシンを介した)ヒドロキシル基。一実施形態において、この基は、ビスジアゾベンジジンを用いて活性化/修飾される。
【0066】
E) (例えばヒスチジンを介した)イミダゾリル基。一実施形態において、この基は、ビスジアゾベンジジンを用いて活性化/修飾される。
【0067】
F) (例えばアルギニンを介した)グアニジル基。
【0068】
G) (例えばトリプトファンを介した)インドリル基。
【0069】
糖類上で、一般的には以下の基:OH、COOH又はNH
2がカップリングに使用され得る。アルデヒド基は、当技術分野で公知の様々な処理、例えば:過ヨウ素酸塩、酸加水分解、過酸化水素等の処理後に生成され得る。
【0070】
直接カップリングアプローチ:
糖類-OH+CNBr又はCDAP---->シアン酸エステル+NH
2-タンパク質---->コンジュゲート
糖類-アルデヒド+NH
2-タンパク質---->シッフ塩基+NaCNBH3---->コンジュゲート
糖類-COOH+NH
2-タンパク質+EDAC---->コンジュゲート
糖類-NH
2+COOH-タンパク質+EDAC---->コンジュゲート
【0071】
スペーサー(リンカー)アプローチを介した間接カップリング:
糖類-OH+CNBr又はCDAP--->シアン酸エステル+NH
2----NH
2---->糖類----NH
2+COOH-タンパク質+EDAC---->コンジュゲート
糖類-OH+CNBr又はCDAP---->シアン酸エステル+NH
2-----SH---->糖類----SH+SH-タンパク質(曝露システインを有する天然タンパク質、又は例えばSPDPによるタンパク質のアミノ基の修飾後に得られるタンパク質)---->糖類-S-S-タンパク質
糖類-OH+CNBr又はCDAP--->シアン酸エステル+NH
2----SH--->糖類----SH+マレイミド-タンパク質(アミノ基の修飾)---->コンジュゲート
糖類-OH+CNBr又はCDAP--->シアン酸エステル+NH
2-----SH--->糖類-SH+ハロアセチル化-タンパク質---->コンジュゲート
糖類-COOH+EDAC+NH
2-----NH
2--->糖類------NH
2+EDAC+COOH-タンパク質---->コンジュゲート
糖類-COOH+EDAC+NH
2----SH---->糖類----SH+SH-タンパク質(曝露システインを有する天然タンパク質、又は例えばSPDPによる上記タンパク質のアミノ基の修飾後に得られるタンパク質)---->糖類-S-S-タンパク質
糖類-COOH+EDAC+NH
2----SH---->糖類----SH+マレイミド-タンパク質(アミノ基の修飾)---->コンジュゲート
糖類-COOH+EDAC+NH
2----SH--->糖類-SH+ハロアセチル化-タンパク質---->コンジュゲート
糖類-アルデヒド+NH
2-----NH
2---->糖類---NH2+EDAC+COOH-タンパク質---->コンジュゲート
注記:上記のEDACの代わりに、任意の好適なカルボジイミドを使用してもよい。
【0072】
要約すると、多糖類とのカップリングに一般的に使用し得るタンパク質担体化学基のタイプは、(例えばリシン残基上の)アミノ基、(例えばアスパラギン酸残基及びグルタミン酸残基上の)COOH基、及び(近接可能な場合)(例えばシステイン残基上の)SH基である。
【0073】
ある実施形態において、本発明の肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類は、CDAP化学を用いて担体タンパク質(例えばCRM-197)にコンジュゲートする。一態様において、CDAP化学は、1:2〜3:1、1:1.5〜2:1(例えば1:1)のCDAP:PS6A比を用いる。別の態様において、CDAPコンジュゲーションは、50〜130分間、60〜130分間、又は110〜130分間のカップリング時間を用いて実施される。従って、本発明は、肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類コンジュゲート(例えば本発明のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類)を調製する方法であって、サイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類を、1:2〜3:1、1:1.5〜2:1(例えば1:1)のCDAP:PS(多糖類)比を用いるCDAP化学を用いて担体タンパク質(例えばCRM-197)又はリンカー(例えばADH)にコンジュゲートさせるステップを含む、上記方法も提供する。
【0074】
別の態様において、本発明は、肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類コンジュゲート(例えば本発明のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類)を調製する方法であって、サイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類を、1:2〜3:1、1:1.5〜2:1(例えば1:1)のCDAP:PS(多糖類)比を用いるCDAP化学を用いて担体タンパク質(例えばCRM-197)にコンジュゲートさせるステップを含む、上記方法を提供する。一態様において、本発明は、肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類コンジュゲート(例えば本発明のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類、例えば100〜1000kDa、110〜750kDa、150〜500kDa、180〜600kDa、210〜490kDa、210〜450kDa、180〜400kDa、210〜400kDa、210〜370kDa、220〜360kDa、230〜350kDa、240〜340kDa、240〜320kDa、240〜310kDa又は250〜310kDaの平均サイズ(例えばMw)を有する肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類)を調製する方法であって、サイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類を、50〜130分間、60〜130分間、又は110〜130分間のカップリング時間を用いるCDAP化学を用いて担体タンパク質(例えばCRM-197)又はリンカー(例えばADH)にコンジュゲートさせるステップを含む、上記方法も提供する。
【0075】
別の態様において、本発明は、肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類コンジュゲート(例えば本発明のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類、例えば100〜1000kDa、110〜750kDa、150〜500kDa、180〜600kDa、210〜490kDa、210〜450kDa、180〜400kDa、210〜400kDa、210〜370kDa、220〜360kDa、230〜350kDa、240〜340kDa、240〜320kDa、240〜310kDa又は250〜310kDaの平均サイズ(例えばMw)を有する肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類)を調製する方法であって、サイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類を、50〜130分間、60〜130分間、又は110〜130分間のカップリング時間を用いるCDAP化学を用いて担体タンパク質(例えばCRM-197)にコンジュゲートさせるステップを含む、上記方法を提供する。一態様において、活性化及びカップリングのためのpHは、pH8〜pH9、好適にはpH9.5である。別の態様において、コンジュゲーションは、NaClの存在下で、例えば0.1〜3M NaCl、0.1〜2.5M NaCl、1.5〜2.5M NaCl又は2M NaCl中で行われる。
【0076】
本発明はまた、肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類コンジュゲートを調製する方法であって、(a) 肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類(例えば本発明のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類)の担体タンパク質(例えばCRM-197)へのコンジュゲーション、及び(b) 150mM未満のNaCl濃度(例えば100mM未満のNaCl、50mM未満のNaCl、10mM未満のNaCl)を有する溶液に対する、又は水(例えばWFI(注射用水))を用いる透析濾過を含む、上記方法も提供する。
【0077】
別の態様において、本発明は、150mM未満のNaCl中、例えば、100mM未満のNaCl中、50mM未満のNaCl中、10nM未満のNaCl中に、又は塩化ナトリウムの不存在下で6A-CRM197を含む溶液を提供する。別の態様において、本発明は、150mM未満のNaCl(例えば、100mM未満のNaCl、50mM未満のNaCl、10mM未満のNaCl)を含むか又は塩化ナトリウムが不存在の、本発明の免疫原性組成物(例えば6A-CRM197)を提供する。
【0078】
担体タンパク質と多糖類の比
ある実施形態において、担体タンパク質と肺炎球菌多糖類の比は、1:5〜5:1、例えば1:0.5〜4:1、1:1〜3.5:1、1.2:1〜3:1、1.5:1〜2.5:1、例えば1:2〜2.5:1、1:1〜2:1(w/w;重量/重量)である。ある実施形態において、大多数のコンジュゲート、例えば6、7、8、9つ又はそれ以上のコンジュゲートが、1:1超(例えば1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1又は1.6:1)の担体タンパク質と多糖類の比の比を有する。
【0079】
ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物中の担体タンパク質と肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類の比は、5:1〜1:5、4:1〜1:1又は2:1〜1:1、1.5:1〜1:1、1.4:1〜1.3:1(例えば1.2:1、1.5:1)(w/w)である。
【0080】
コンジュゲート中の多糖類と担体タンパク質の比(w/w)は、コンジュゲートを用いて決定することができる。タンパク質の量は、Lowryアッセイ(例えばLowryら (1951) J. Biol. Chem. 193、265-275又はPetersonら Analytical Biochemistry 100、201-220(1979))を用いて決定され、多糖類の量は、レゾルシノールアッセイ(Monsignyら (1988) Anal. Biochem. 175、525-530)を用いて決定される。滅菌コンジュゲート上の最終タンパク質/多糖類比(w/w)は、Lowry/レゾルシノール濃度の比によって決定される。
【0081】
免疫原性組成物中の莢膜多糖類のサイズ
肺炎球菌の莢膜多糖類は、8個以下の糖残基を含有し得る反復オリゴ糖単位を含む。主要な肺炎球菌血清型のオリゴ糖単位の概説については、JONES, Christopher 「Vaccines based on the cell surface carbohydrates of pathogenic bacteria」 An. Acad. Bras. Ciaenc., June 2005, vol.77, no.2, p.293-324. Table II ISSN 0001-3765を参照されたい。一実施形態において、莢膜多糖類は完全長多糖類であり得るが、他の実施形態においては、莢膜多糖類は天然長の多糖鎖の反復単位より短くてもよい。一実施形態において、コンジュゲーション後の肺炎球菌血清型莢膜多糖類コンジュゲートは、濾過後に、濾過前のサンプルと比較して95%超の収率が得られるように、0.2ミクロンフィルターを通して容易に濾過可能であるべきである。
【0082】
本発明の免疫原性組成物は、本発明のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類のコンジュゲートに加えて、1種以上の、6A以外の肺炎球菌血清型(例えば6B及び/又は23F)由来の(多)糖類コンジュゲートを含んでいてもよく、ここでコンジュゲーション前の上記(多)糖類の平均サイズ(例えば重量平均分子量;Mw)は、80kDa超、100kDa超、200kDa超、300kDa超、400kDa超、500kDa超、700kDa超又は1000kDa超である。例えば、本発明の免疫原性組成物は、1種以上の、6A以外の肺炎球菌血清型由来の(多)糖類コンジュゲートを含んでいてもよく、ここでコンジュゲーション前の(多)糖類の平均サイズ(例えば重量平均分子量;Mw)は、80〜100kDa、100〜200kDa、200〜300kDa、300〜400kDa、400〜500kDa、500〜1000kDa又は1000〜1400kDaである。一実施形態において、免疫原性組成物は、(i) サイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類コンジュゲート、及び(ii) コンジュゲーション前に50〜1600kDa、80〜1400kDa、100〜1000kDa、150〜500kDa、又は200〜400kDaの糖類の平均サイズを有する1種以上の(多)糖類コンジュゲートを含む(平均サイズがM
wである場合、本明細書中で「kDa」単位は「x10
3」と置換されるべきであることに留意されたい)。
【0083】
ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、100〜1000kDa、200〜800kDa、250〜600kDa、又は300〜400kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型1肺炎球菌多糖類を含む。ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、50〜500kDa、60〜300kDa、70〜150kDa、又は75〜125kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型4肺炎球菌多糖類を含む。ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、100〜1000kDa、100〜700kDa、100〜350kDa、又は150〜300kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型5肺炎球菌多糖類を含む。ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、200〜1800kDa、500〜1800kDa、600〜1800kDa、900〜1660kDa、又は1000〜1400kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型6B肺炎球菌多糖類を含む。ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、50〜1000kDa、100〜750kDa、150〜500kDa、又は200〜300kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型7F肺炎球菌多糖類を含む。ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、50〜1000kDa、100〜750kDa、150〜500kDa、200〜400kDa、又は250〜300kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型9V肺炎球菌多糖類を含む。ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、50〜1000kDa、100〜750kDa、150〜500kDa、又は200〜250kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型14肺炎球菌多糖類を含む。ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、50〜1000kDa、50〜750kDa、50〜500kDa、50〜190kDa、50〜150kDa又は80〜110kDaの平均サイズ(Mw)を有する18C肺炎球菌多糖類を含む。ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、50〜800kDa、110〜700kDa、110〜300kDa、120〜200kDa、130〜180kDa、140〜160kDa又は80〜130kDaの平均サイズ(Mw)を有する19A肺炎球菌多糖類を含む。ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、50〜1000kDa、100〜750kDa、100〜500kDa、100〜190kDa又は120〜180kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型19F肺炎球菌多糖類を含む。ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、500〜1500kDa、600〜1500kDa、700〜1300kDa、900〜1250kDa、800〜1100kDa、又は900〜1000kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型23F肺炎球菌多糖類を含む。ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、50〜800kDa、110〜700kDa、110〜300kDa、120〜200kDa、130〜180kDa、150〜170kDa、100〜190kDa、100〜150kDa、95〜125kDa又は100〜115kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型22F肺炎球菌多糖類を含む。
【0084】
ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、1種以上の、異なる肺炎球菌血清型由来の天然莢膜多糖類を含む。別の実施形態において、免疫原性組成物は、担体タンパク質にコンジュゲートしている少なくとも10種の血清型由来の肺炎球菌多糖類を含み、ここで少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8又は9種の肺炎球菌多糖類血清型は、天然多糖類である。別の実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、天然肺炎球菌莢膜血清型6B多糖類を含む。別の実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、天然肺炎球菌莢膜血清型23F多糖類を含む。
【0085】
本発明のある態様において、免疫原性組成物は、担体タンパク質にコンジュゲートしている少なくとも10種の血清型由来の肺炎球菌多糖類を含み、ここで少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8又は9種の肺炎球菌多糖類血清型は、x2、x3、x4、x5、x6、x7、x8、x9又はx10以下の倍率でサイズ調整される。この態様の一実施形態において、大多数の多糖類、例えば6、7、8種又はそれ以上の多糖類血清型は、x2、x3、x4、x5、x6、x7、x8、x9又はx10以下の倍率でサイズ調整される。例えば、サイジングは、x2〜x6、x2〜x5、x2〜x4、又はx3〜x6、x3〜x5若しくはx3〜x4の倍率であり得る。
【0086】
ある実施形態において、免疫原性組成物中の大多数の肺炎球菌多糖類はサイズ調整されている。ある実施形態において、免疫原性組成物中の大多数の肺炎球菌多糖類血清型はサイズ調整されている。一態様において、免疫原性組成物中の肺炎球菌多糖類は、機械的切断(例えばマイクロフルイダイゼーション又は超音波処理)によりサイズ調整されている。別の態様において、免疫原性組成物中の肺炎球菌多糖類は、化学的切断(例えば酢酸又は過ヨウ素酸塩を用いた処理)によりサイズ調整されている。サイジングは、x20、x10、x8、x6、x5、x4、x3又はx2以下の倍率である。
【0087】
ある実施形態において、免疫原性組成物は、天然多糖類と、x20、x10、x8、x6、x5、x4、x3又はx2以下の倍率でサイズ調整された多糖類との混合物である肺炎球菌コンジュゲートを含む。この実施形態の一態様において、大多数の多糖類、例えば 6、7、8、9、10種又はそれ以上の多糖類は、x2、x3、x4、x5又はx6以下の倍率でサイズ調整されている。
【0088】
投与量
一般的に、本発明の免疫原性組成物は、糖類0.1〜20μg、1〜10μg又は1〜3μgの各糖類コンジュゲートの用量を含み得る。
【0089】
ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物中、肺炎球菌6A多糖類コンジュゲートの用量は、糖類1〜10μg、1〜5μg、又は1〜3μg(例えば2μg)である。
【0090】
ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、各肺炎球菌莢膜多糖類を、糖類0.1〜20μg;0.5〜10μg;0.5〜5μg又は1〜3μgの用量で含有する。ある実施形態において、莢膜多糖類は異なる用量で存在していてもよく、例えば、幾つかの莢膜多糖類が約又はちょうど1μgの用量で存在し、幾つかの莢膜多糖類が約又はちょうど3μgの用量で存在していてもよい。ある実施形態において、血清型3、18C及び19F由来の多糖類は、他の多糖類より高い用量で存在する。ある実施形態において、血清型4、18C及び19F由来の多糖類は、他の多糖類より高い用量で存在する。この実施形態の一態様において、血清型3、18C及び19Fは、約又はちょうど3μgの用量で存在するが、免疫原性組成物中の他の多糖類は、約又はちょうど1μgの用量で存在する。この実施形態の一態様において、血清型4、18C及び19Fは、約又はちょうど3μgの用量で存在するが、免疫原性組成物中の他の多糖類は、約又はちょうど1μgの用量で存在する。
【0091】
「約(around)」又は「約(approximately)」は、本発明の目的のための所与の数値を10%上回るか又は10%下回る範囲内として定義される。
【0092】
肺炎球菌タンパク質
本発明の免疫原性組成物はまた、肺炎球菌タンパク質(本明細書中「本発明の肺炎球菌タンパク質」と呼ばれる)も含み得る。このようなタンパク質は、担体タンパク質として使用し得るか、又は遊離タンパク質として存在し得るか、あるいは担体タンパク質及び遊離タンパク質の両方として存在し得る。ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、1種以上の非コンジュゲート化又はコンジュゲート化肺炎球菌タンパク質をさらに含む。ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、1種以上の非コンジュゲート化肺炎球菌タンパク質をさらに含む。例えば、本発明の免疫原性組成物は、非コンジュゲート化ニューモリシン(例えばdPly)、及び非コンジュゲート化肺炎球菌PhtDを含み得る。
【0093】
本発明の肺炎球菌タンパク質は、少なくとも肺炎球菌の生活環の一部の間に表面曝露されるか、又はこれらのタンパク質は肺炎球菌により分泌若しくは放出される。ある実施形態において、本発明のタンパク質は、以下のカテゴリー、例えば、LXXCのII型シグナル配列モチーフを有するタンパク質(ここでXは任意のアミノ酸である、例えばポリヒスチジン三連構造ファミリー(PhtX))、コリン結合タンパク質(例えばCbpX、PcpA)、I型シグナル配列モチーフを有するタンパク質(例えばSp101)、LPXTGモチーフを有するタンパク質(ここでXは任意のアミノ酸である、例えばSp128、Sp130である)、及び毒素(例えばPly)から選択される。これらのカテゴリー(又はモチーフ)の範囲内の好ましい例は、以下のタンパク質、又はその免疫学的に機能的な等価物である。従って、本発明の免疫原性組成物は、ポリヒスチジン三連構造ファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、肺炎球菌オートリシンLytXファミリー(LytA(N-アセチルムラモイル-l-アラニンアミダーゼ)、LytB、LytC)、LytXトランケート、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質、無毒化ニューモリシン(Ply)、PspA、PsaA、Sp128、Sp101、Sp130、Sp125及びSp133から選択される1種以上の肺炎球菌タンパク質を含み得る。さらなる実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、ポリヒスチジン三連構造ファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質(又は融合体)、ニューモリシン(Ply)、PspA、PsaA、及びSp128からなる群から選択される2種以上のタンパク質を含む。さらなる実施形態において、免疫原性組成物は、ポリヒスチジン三連構造ファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質(又は融合体)、ニューモリシン(Ply)、及びSp128からなる群から選択される2種以上のタンパク質を含む。
【0094】
Pht(ポリヒスチジン三連構造)ファミリーは、タンパク質PhtA、PhtB、PhtD、及びPhtEを含む。このファミリーは、脂質付加配列、プロリンリッチ領域により隔てられる2つのドメイン及び幾つかのヒスチジン三連構造(恐らくは金属若しくはヌクレオシド結合又は酵素活性に関与する)、(3-5)コイルドコイル領域、保存N末端及び異種C末端によって特徴付けられる。Phtファミリーは、試験した肺炎球菌の全ての株に存在する。相同なタンパク質も、他の肺炎球菌及び髄膜炎菌において見出されている。本発明の一実施形態において、免疫原性組成物はPhtDを含む。しかし、用語PhtA、PhtB、PhtD、及びPhtEは、以下の引用文献に開示されている配列を有するタンパク質、並びに以下に記載されるタンパク質(例えばWO00/37105の配列番号4のアミノ酸21〜838)と少なくとも90%同一の配列相同性を有するそれらの変異体を指すことが理解される。ある実施形態においては、変異体タンパク質は少なくとも95%同一であり、別の実施形態においては、変異体タンパク質は97%同一である。
【0095】
PhtXタンパク質に関して、PhtAはWO 98/18930に開示されており、Sp36とも呼ばれる。上記のとおり、PhtAは、ポリヒスチジン三連構造ファミリーに属するタンパク質であり、LXXCのII型シグナルモチーフを有する。PhtDはWO 00/37105に開示されており、Sp036Dとも呼ばれる。上記のとおり、PhtDもポリヒスチジン三連構造ファミリーに属するタンパク質であり、II型LXXCシグナルモチーフを有する。PhtBはWO 00/37105に開示されており、Sp036Bとも呼ばれる。PhtBファミリーの別のメンバーは、WO 00/17370に開示されているC3分解ポリペプチドである。このタンパク質もまたポリヒスチジン三連構造ファミリーに属し、II型LXXCシグナルモチーフを有する。好ましい免疫学的に機能的な等価物は、WO 98/18930に開示されているタンパク質Sp42である。PhtBトランケート(約79kD)はWO99/15675に開示されており、これもPhtXファミリーのメンバーであると考えられている。PhtEはWO00/30299に開示されており、BVH-3と呼ばれている。本明細書中で任意のPhtタンパク質について言及される場合、それらのPhtタンパク質の免疫原性断片又は融合体を使用し得ることが意味される。例えば、「PhtX」との言及は、任意のPhtタンパク質に由来するそれらの免疫原性断片又は融合体を包含する。
【0096】
一実施形態において、ポリヒスチジン三連構造ファミリーのメンバー(1つ又は複数)から選択される肺炎球菌タンパク質は、PhtDである。本明細書中で使用される用語「PhtD」は、シグナル配列が付着した完全長タンパク質、又はシグナルペプチド(例えばN末端の20アミノ酸)が除去された成熟完全長タンパク質、並びに免疫原性断片、変異体及び/又はそれらの融合タンパク質(例えば、WO00/37105の配列番号4)を包含する。一態様において、PhtDは、シグナル配列が付着した完全長タンパク質、例えばWO00/37105の配列番号4である。別の態様において、PhtDは、シグナルペプチド(例えばN末端の20アミノ酸)が除去された成熟完全長タンパク質を含む配列(例えばWO00/37105の配列番号4のアミノ酸21〜838)である。好適には、PhtD配列はN末端メチオニンを含む。本発明は、例えばWO00/37105、WO00/39299、US6699703及びWO09/12588に記載されるような、PhtDの免疫原性断片、PhtDの変異体及び/又はPhtDの融合タンパク質であるPhtDポリペプチドも包含する。
【0097】
PhtDタンパク質の免疫原性断片(別々に又は融合タンパク質の一部として)が使用される場合、これらの免疫原性断片は、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約40、又は少なくとも約60連続アミノ酸残基長さ、例えば、WO00/37105又はWO00/39299中のPhtDアミノ酸配列(例えばWO00/37105の配列番号4)由来のアミノ酸残基であろう。本発明のある実施形態において、PhtDタンパク質の免疫原性断片は、WO00/37105の配列番号4に示される配列の少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約40、又は少なくとも約60連続アミノ酸残基を含み、ここで前記ポリペプチドは、前記アミノ酸配列に特異的な免疫応答を誘発することができる。ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、例えばWO09/12601、WO01/98334及びWO09/12588に記載されているPhtDの免疫原性断片を含む。PhtDタンパク質の免疫原性断片が(別々に又は融合タンパク質の一部として)使用される場合、各免疫原性断片は、場合によりかかるポリペプチドの1つ以上のヒスチジン三連構造モチーフ(1つ又は複数)を含有する。ヒスチジン三連構造モチーフは、配列HxxHxH(ここでHはヒスチジンであり、xはヒスチジン以外のアミノ酸である)を有するポリペプチドの一部分である。本発明のある実施形態において、上記の又は各免疫原性断片は、ちょうど又は少なくとも2、3、4又は5つのヒスチジン三連構造モチーフ(場合により、2つ以上の三連構造間の天然PhtD配列、又は三連構造内配列を有する)を含有し、ここで免疫原性断片は、天然肺炎球菌三連構造内PhtD配列(例えばWO00/37105の配列番号4に示される三連構造内の配列)と50%超、60%超、70%超、80%超、90%超又は100%同一である。PhtDタンパク質の免疫原性断片は、場合によりかかるポリペプチドの1つ以上のコイルドコイル領域を含有する。コイルドコイル領域は、「Coils」アルゴリズム(Lupus, Aら (1991) Science 252;1162-1164)により予測される領域である。本発明のある実施形態において、各免疫原性原性断片は、ちょうど又は少なくとも2、3又は4つのコイルドコイル領域を含有する。本発明のある実施形態において、上記の又は各免疫原性原性断片は、ちょうど又は少なくとも2、3又は4つのコイルドコイル領域を含有し、ここで免疫原性断片は、天然肺炎球菌PhtD配列(例えば、WO00/37105の配列番号4に示される配列)と50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、95%超、96%超又は100%同一である。本発明の別の実施形態において、免疫原性断片は、1つ以上のヒスチジン三連構造モチーフ並びに少なくとも1、2、3又は4つのコイルドコイル領域を含む。
【0098】
PhtDポリペプチドが変異体である場合、変異は、通常はそのヒスチジン三連構造残基及びコイルドコイル領域以外の部分に存在するが、これらの領域の1つ以上に変異を生じさせることも可能である。本発明によれば、ポリペプチド変異体は、野生型配列と比較して1個以上のアミノ酸が置換され及び/又は欠失され及び/又は挿入されている配列を含む。アミノ酸置換は、保存的であってもよいし、非保存的であってもよい。一態様において、アミノ酸置換は保存的である。変異体が免疫原性ポリペプチドである限り、置換、欠失、挿入又はそれらの任意の組み合わせを、単一変異体において組み合わせることができる。PhtDの変異体は、典型的には、野生型PhtD配列(例えばWO00/37105の配列番号4)と少なくとも80、90、95、96、98、又は99%のアミノ酸配列同一性を共有する、PhtDの任意の免疫原性断片又は変異を含む。ある実施形態において、本発明は、幾つかの、5〜10個、1〜5個、1〜3個、1〜2個又は1個のアミノ酸(1つ又は複数)が任意の組み合わせで置換、欠失、又は付加されている免疫原性断片及び/又は変異体を包含する。別の実施形態において、本発明は、B細胞エピトープ又はT細胞エピトープを含む免疫原性断片及び/又は変異体を包含する。このようなエピトープは、2D構造予測(例えばPSIPREDプログラム(David Jones, Brunel Bioinformatics Group, Dept. Biological Sciences, Brunel University, Uxbridge UB8 3PH, UK製)を用いる)と、Jameson及びWolfにより記載される方法(CABIOS 4:181-186[1988])に基づいて計算される抗原性指数との組み合わせを用いて予測することができる。
【0099】
本発明のある実施形態において、PhtD及びその免疫原性断片、変異体及び/又はそれらの融合タンパク質は、WO00/37105の配列番号4のアミノ酸配列21〜838と少なくとも80、85、90、95、96、97、98、99又は100%同一性を共有するアミノ酸配列を含む。本発明の別の実施形態において、PhtD及びその免疫原性断片、変異体及び/又はそれらの融合タンパク質は、WO00/37105の配列番号4のアミノ酸配列21〜838と少なくとも80、85、90、95、96、97、98、99又は100%同一性を共有するアミノ酸配列を有する。好適には、PhtD及びその免疫原性断片、変異体及び/又はそれらの融合タンパク質は、N末端メチオニンを有するアミノ酸配列を含む。本発明の別の実施形態において、PhtD及びその免疫原性断片、変異体及び/又はそれらの融合タンパク質は、WO00/37105の配列番号4に示される配列の少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約40、又は少なくとも約60又は少なくとも約100、又は少なくとも約200、又は少なくとも約400又は少なくとも約800連続アミノ酸残基を含む。
【0100】
ニューモリシン(Ply)は、特徴的な細胞溶解活性(溶血活性)及び補体活性化活性を有する多機能毒素である(Rubinsら, Am. Respi. Cit Care Med, 153:1339-1346 (1996))。この毒素は肺炎球菌により分泌されないが、オートリシンの影響下での肺炎球菌の溶解の際に放出される。その作用としては、例えばヒト単球による炎症性サイトカインの産生の刺激、ヒト呼吸上皮上の繊毛の拍動の阻害、殺細菌活性及び好中球の遊走の低下が挙げられ、赤血球の溶解においては、ニューモリシンの作用はコレステロールへの結合を包含する。ニューモリシンは毒素であるため、in vivoで投与し得るようになる前に無毒化される(すなわち、防御に適した用量で提供される場合はヒトに対して非毒性である)必要性がある。野生型又は天然ニューモリシンの発現及びクローニングは当技術分野において公知である。例えば、Walkerら(Infect Immun, 55:1184-1189 (1987))、Mitchellら(Biochim Biophys Acta, 1007:67-72 (1989)及びMitchellら(NAR, 18:4010 (1990))を参照されたい。Plyの無毒化は、化学的手段により、例えば、ホルマリン処理又はグルタルアルデヒド処理に供することにより、あるいはその両方の組み合わせによって実施することができる(WO 04081515、PCT/EP2005/010258)。このような方法は、様々な毒素についての技術分野において公知である。あるいは、Plyを遺伝子的に無毒化することもできる。従って、本発明は肺炎球菌タンパク質の誘導体を包含し、この誘導体は、例えば変異したタンパク質であり得る。本明細書において、用語「変異した」は、部位特異的突然変異誘発又は任意の他の従来方法についての公知技術を用いて1個以上のアミノ酸の欠失、付加又は置換を受けた分子を意味するために用いられる。例えば、上記のとおり、変異体Plyタンパク質は、その免疫原性エピトープを依然として維持しながら生物学的には不活性であるように変化させることができる。例えば、WO90/06951、Berryら(Infect Immun, 67:981-985(1999))及びWO99/03884を参照されたい。
【0101】
本明細書中で使用される用語「Ply」は、変異ニューモリシン及び医学的用途に適した(すなわち非毒性の)無毒化ニューモリシン(dPly)を包含することが理解される。
【0102】
コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)に関して、このファミリーのメンバーは、元々は、コリンアフィニティークロマトグラフィーにより精製され得る肺炎球菌タンパク質として同定された。コリン結合タンパク質は全て、細胞壁テイコ酸及び膜関連リポテイコ酸のホスホリルコリン部分に非共有結合する。構造的には、これらは全ファミリーにわたって共通の幾つかの領域を有するが、タンパク質の正確な性質(アミノ酸配列、長さ等)は異なり得る。一般的には、コリン結合タンパク質は、N末端領域(N)、保存反復領域、プロリンリッチ領域(P)及び、該タンパク質の約2分の1を占める、複数の反復からなる保存コリン結合領域(C)を含む。この出願において使用される用語「コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)」は、WO97/41151において同定されるコリン結合タンパク質、コリン結合タンパク質A、CbpA(PbcA(C3-結合タンパク質A)、SpsA(肺炎球菌分泌性IgA結合タンパク質)、PspC(肺炎球菌表面タンパク質C))、コリン結合タンパク質D(CbpD)、及びコリン結合タンパク質G(CbpG)からなる群から選択される。CbpAは、WO97/41151に開示されている。CbpD及びCbpGは、WO00/29434に開示されている。PspCは、WO97/09994に開示されている。PbcAは、WO98/21337に開示されている。SpsAは、WO 98/39450に開示されているコリン結合タンパク質である。ある実施形態において、コリン結合タンパク質は、CbpAである。別のコリン結合タンパク質は、肺炎球菌コリン結合タンパク質A(PcpA)である(Sanchez-Beato ら FEMS Microbiology Letters 164 (1998) 207-214)。
【0103】
別の好ましい実施形態はCbpXトランケートであり、ここで「CbpX」はCbpA、CbpD又はCbpGであり、「トランケート」は50%以上のコリン結合領域(C)が欠失しているCbpXタンパク質を指す。別の好ましい実施形態はPcpAトランケートであり、ここで「トランケート」は50%以上のコリン結合領域(C)が欠失しているPcpAタンパク質を指す。ある実施形態において、CbpXトランケート又はPcpAトランケートは全コリン結合領域を欠失している。別の実施形態において、CbpXトランケート又はPcpAトランケートは、(i) コリン結合領域、さらに(ii) タンパク質のN末端半分の部分も欠失しているが、少なくとも1つの反復領域は保持している。別の実施形態において、トランケートは少なくとも2つの反復領域を有する。このような好ましい実施形態の例は、WO99/51266又はWO99/51188に示されているが、同様のコリン結合領域が欠失している他のコリン結合タンパク質もまた、本発明の範囲内で想定される。
【0104】
LytXファミリーは、細胞溶解に関連する膜関連タンパク質である。そのN末端ドメインはコリン結合ドメイン(1つ又は複数)を含むが、LytXファミリーは、上記のCbpAファミリーにおいて見出される全ての特徴を有するわけではないため、本発明について、LytXファミリーはCbpXファミリーとは異なると考えられる。CbpXファミリーとは対照的に、C末端ドメインはLytXタンパク質ファミリーの触媒ドメインを含有する。このファミリーは、LytA、LytB及びLytCを含む。LytXファミリーに関して、LytAは、Rondaら, Eur J Biochem, 164:621-624(1987)に開示されている。LytBはWO 98/18930に開示されており、Sp46とも呼ばれる。LytCはWO 98/18930にも開示されており、Sp91とも呼ばれる。LytXファミリーの好ましいメンバーは、LytCである。
【0105】
別の好ましい実施形態はLytXトランケートであり、ここで「LytX」はLytA、LytB又はLytCであり、「トランケート」は50%以上のコリン結合領域を欠失しているLytXタンパク質を指す。好適には、このようなタンパク質は全コリン結合領域を欠失している。本発明のさらに別の好ましい実施形態は、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質(又は融合体)である。ある実施形態において、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質は、CbpXの反復領域とLytXのC末端部分(Cterm、すなわちコリン結合ドメインを欠失)(例えばLytCCterm又はSp91Cterm)を含む。別の実施形態において、CbpXは、CbpA、PbcA、SpsA及びPspCからなる群から選択される。別の実施形態において、CbpXはCbpAである。ある実施形態において、LytXはLytC(Sp91とも呼ばれる)である。本発明の別の実施形態は、PspAであるか、又はコリン結合ドメイン(C)を欠失しており、LytXとの融合タンパク質として発現されるPsaAトランケートである。ある実施形態において、LytXはLytCである。
【0106】
PsaA及びその膜貫通欠失変異体は、Berry & Patonにより、Infect Immun 1996 Dec;64(12):5255-62に記載されている。PspA及びその膜貫通欠失変異体は、例えば、US 5804193、WO 92/14488、及びWO 99/53940に開示されている。
【0107】
Sp128及びSp130は、WO00/76540に開示されている。Sp125は、LPXTG(すなわち、ロイシン-プロリン-X-トレオニン-グリシン、ここでXは任意のアミノ酸である)の細胞壁アンカーモチーフを有する肺炎球菌表面タンパク質の一例である。このモチーフを有する肺炎球菌表面タンパク質のこのクラスの範囲内のあらゆるタンパク質が、この発明の文脈の範囲内で有用であることが見出されており、従って本発明のさらなるタンパク質と考えられる。Sp125自体はWO 98/18930に開示されており、ZmpB(亜鉛メタロプロテイナーゼ)としても知られている。Sp101はWO 98/06734に開示されている(ここでSp101は、参照No. y85993を有する)。Sp101は、I型シグナル配列によって特徴付けられる。Sp133はWO 98/06734に開示されている(ここでSp133は、参照No. y85992を有する)。Sp133は、I型シグナル配列によっても特徴付けられる。
【0108】
本発明のタンパク質を有益に組み合わせることもできる。「組み合わせる」とは、免疫原性組成物が、以下の組み合わせの範囲内から選択される全てのタンパク質を、担体タンパク質として若しくは遊離タンパク質として、又はこれら2つの混合物として含むことを意味する。例えば、本明細書中以降に示される2つのタンパク質の組み合わせにおいて、両タンパク質が担体タンパク質として使用されてもよく、若しくは両タンパク質が遊離タンパク質として存在していてもよく、又は両方が担体タンパク質及び遊離タンパク質として存在していてもよく、あるいは、一方は担体タンパク質及び遊離タンパク質として存在し得るが、他方は担体タンパク質としてのみ若しくは遊離タンパク質としてのみ存在し、又は、一方は担体タンパク質として存在し他方は遊離タンパク質として存在していてもよい。3つのタンパク質の組み合わせを考える場合、同様の可能性が存在する。好ましい組み合わせとしては、限定するものではないが、例えばPhtD+CbpX反復領域、PhtD+Ply、PhtD+Sp128、PhtD+PsaA、PhtD+PspA、PhtA+CbpX反復領域、PhtA+CbpX反復領域-Sp91Ctermキメラ又は融合タンパク質、PhtA+Ply、PhtA+Sp128、PhtA+PsaA、PhtA+PspA、CbpX反復領域+LytC、CbpX反復領域+PspA、CbpX反復領域+PsaA、CbpX反復領域+Sp128、CbpX反復領域+LytC、CbpX反復領域+PspA、CbpX反復領域+PsaA、CbpX反復領域+Sp128、CbpX反復領域+PhtD、CbpX反復領域+PhtAが挙げられる。ある実施形態において、CbpX反復領域はCbpAに由来する。別の実施形態において、それはCbpAに由来する。他の組み合わせとしては、3つのタンパク質の組み合わせ、例えばPhtD+CbpX反復領域+Ply、及びPhtA+CbpX反復領域+PhtDが挙げられる。ある実施形態において、免疫原性組成物は、無毒化ニューモリシンと担体タンパク質としてのPhtD又はPhtDEとを含む。さらなる実施形態において、免疫原性組成物は、無毒化ニューモリシンと遊離タンパク質としてのPhtD又はPhtDEとを含む。
【0109】
ワクチン中のタンパク質抗原の総含有量は、典型的には、1〜100μg、又は5-80μgの範囲内(例えば50〜70μgの範囲内)であろう。例えば、一態様において、本発明の免疫原性組成物は、1ヒト用量当たり26μg〜45μg(例えば26μg〜40μg、28μg〜35μg又は約30μg)の各肺炎球菌タンパク質を含む。別の態様において、免疫原性組成物は、1ヒト用量当たり26μg〜45μg(例えば26μg〜40μg、28μg〜35μg又は約30μg)のPhtDを含む。別の態様において、本発明の免疫原性組成物は、1ヒト用量当たり26μg〜45μg(例えば26μg〜40μg、28μg〜35μg又は約30μg)のニューモリシン(例えばdPly)を含む。
【0110】
用語「ヒト用量」は、ヒト用途に適した容量である用量を意味する。一般的に、ヒト用量は0.25〜1.5mlである。一実施形態において、ヒト用量は0.5mlである。さらなる実施形態において、ヒト用量は0.5mlより高く、例えば0.6、0.7、0.8、0.9又は1mlである。さらなる実施形態において、ヒト用量は1ml〜1.5mlである。別の実施形態において、特に免疫原性組成物が小児集団用である場合、ヒト用量は0.5ml未満、例えば0.25〜0.5mlであり得る。
【0111】
アジュバント
本発明の免疫原性組成物は、特に高齢者集団における使用が意図される場合のみならず、幼児集団における使用が意図される場合にもアジュバント化することができる。従って、さらなる態様は、アジュバントをさらに含む本発明の免疫原性組成物である。好適なアジュバントとしては、アルミニウム塩、例えば水酸化アルミニウムゲル若しくはリン酸アルミニウム又はミョウバンが挙げられるが、好適なアジュバントは、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄の塩若しくは亜鉛の塩であってもよく、アシル化チロシン、又はアシル化糖、カチオン的に若しくはアニオン的に誘導体化された多糖類、あるいはポリホスファゼンの不溶性懸濁液であってもよい。本発明の一態様において、アジュバントはアルミニウム塩、例えばリン酸アルミニウムである。さらなる態様において、アジュバントは、(0.5mL用量当たり)100〜750、200〜500、又は300〜400μgのAl(アルミニウム)をリン酸アルミニウムとして含む。
【0112】
一実施形態において、アジュバントは、Th1型応答の優先的インデューサーである。このような高レベルのTh1型サイトカインは所与の抗原に対する細胞媒介性免疫応答の誘導に有利に働く傾向にあるが、他方、高レベルのTh2型サイトカインは抗原に対する体液性免疫応答の誘導に有利に働く傾向にある。優勢なTh1応答を促進する好適なアジュバント系としては、例えば:モノホスホリルリピドA又はその誘導体、特に3脱-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)(その調製についてはGB 2220211Aを参照);及びモノホスホリルリピドA(好適には3-脱-O-アシル化モノホスホリルリピドA)と、アルミニウム塩(例えば、リン酸アルミニウム若しくは水酸化アルミニウム)又は水中油エマルションのいずれかとの組み合わせが挙げられる。このような組み合わせにおいては、抗原と3D-MPLは同じ粒子構造中に含まれ、抗原性シグナル及び免疫賦活性シグナルのより効率的な送達を可能とする。研究は、3D-MPLがミョウバン吸着抗原の免疫原性をさらに増強することができることを示した[Thoelenら ワクチン(1998)16:708-14;EP 689454-B1]。
【0113】
免疫原性組成物は、金属塩(例えばリン酸アルミニウム又は水酸化アルミニウムなどのアルミニウム塩)上に吸着させたサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類(及び場合により免疫賦活剤)を含み得る。本明細書中で使用される用語「免疫賦活剤」は、免疫応答を刺激する物質、特に、それが投与される宿主動物(例えばヒト)の免疫系を刺激し、これにより、その動物に投与される抗原によって生じる防御効果を、抗原単独の投与によって生じるであろう効果と比較して増加させるアジュバントを意味する。アルミニウムベースのワクチン製剤については、抗原は、典型的には、撹拌下室温にて1時間アルミニウム塩上に吸着される。
【0114】
さらなる免疫賦活剤を含むアジュバント
本発明のアジュバントは、免疫賦活剤、例えばサポニン(例えばQS21)及び/又は3D-MPLを含み得る。免疫賦活剤の例は、本明細書中及び「Vaccine Design - The Subunit and Adjuvant Approach」1995, Pharmaceutical Biotechnology, Volume 6, Powell, M.F., and Newman, M.J.編, Plenum Press, New York and London, ISBN 0-306-44867-Xに記載されている。本発明の一態様において、アジュバントは、リポソームの形態で提供されるQS21、モノホスホリルリピドA(MPL)、リン脂質及びステロールを含む。
【0115】
QS-21は、南米の樹木であるキラヤ・サポナリア(Quillaja saponaria)の樹皮抽出物由来の精製サポニン画分である。QS21は、典型的には、トリテルペン、分岐三糖類、及びグリコシル化された偽二量体アシル鎖を共有する2種の主要な異性体を含む。この2種の異性体形態は、直鎖四糖類セグメント内の末端糖の構成が異なり、メジャーな異性体であるQS-21-Apiはβ-D-アピオース残基を組み込み、マイナーな異性体であるQS-21-Xylは、β-D-キシロース置換基で終端している(Cleland, J. L.ら. J. Pharm. Sci. 1996, 85、22-28)。QS21は、Quil A(商標)から、HPLC精製により調製することができる。Quil A(商標)は、Dalsgaardらにより1974年にアジュバント活性を有すると記載されている(「Saponin adjuvants」, Archiv. fuer die gesamte Virusforschung, Vol. 44, Springer Verlag, Berlin, p243-254)。QS21の製造方法は、US5057540(ここでQS21は、QA21として記載されている)及びEP 0362278に記載されている。ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、QS21を実質的に純粋な形態で含有し、すなわちQS21は、少なくとも90%、例えば少なくとも95%、又は少なくとも98%の免疫原性組成物を含む(すなわちQS21組成物は、少なくとも90%、例えば少なくとも95%、又は少なくとも98%のQS21を含む)。QS21の用量は、好適には、ヒトにおける抗原に対する免疫応答を増強し得る。特に、好適なQS21量は、組成物の免疫学的可能性を、アジュバント化されていない組成物と比較して、又は別のQS21量でアジュバント化された組成物と比較して改善するが、反応原性プロファイルから許容可能な量である。QS21は、例えば、組成物用量当たり1〜100μgの量(例えば組成物用量当たり10〜50μgの量)で使用することができる。
【0116】
モノホスホリルリピドA(MPL)は、グラム陰性細菌(例えばサルモネラ・ミネソタ(Salmonella minnesota)R595)のリポ多糖類(LPS)の非毒性誘導体である。MPLはLPSのアジュバント特性を保持しているが、低減された毒性を示す(Johnsonら 1987 Rev. Infect. Dis. 9 Suppl:S512-S516)。MPLは、脂肪酸置換の程度及び位置が異なる一連の4'-モノホスホリルリピドA種から成る。MPLは、LPSを弱酸及び塩基加水分解で処理した後、修飾されたLPSを精製することによって調製することができる。例えば、LPSを中程度の強度(例えば0.1M HCI)の鉱酸溶液中で約30分間還流させてもよい。この工程は、1位の脱リン酸化及び6'位の脱炭水化物化をもたらす。本明細書中で使用される用語「モノホスホリルリピドA(MPL)」は、モノホスホリルリピドAの誘導体を包含する。モノホスホリルリピドAの誘導体としては、3D-MPL及び合成誘導体が挙げられる。
【0117】
3D-MPLは、3-O-脱アシル化モノホスホリルリピドA(又は3脱-O-アシル化モノホスホリルリピドA)である。化学的には、3D-MPLは3-脱アシル化モノホスホリルリピドAと、4、5又は6つのアシル化鎖との混合物である。3D-MPLは、GlaxoSmithKline Biologicals North Americaにより商標MPL(登録商標)の下で入手可能である。3-O-脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)。3D-MPLはさらに低減された毒性を有するが、MPLと同様にアジュバント性を維持しており、典型的には弱アルカリ性加水分解によって調製することができる(例えば、US4912094を参照)。アルカリ性加水分解は、典型的には、有機溶媒(例えばクロロホルム/メタノールの混合物)中で弱塩基の水溶液(例えばpH10.5の0.5M炭酸ナトリウム)を用いて飽和させることによって実施される。3D-MPLの調製に関するさらなる情報については、GB2220211A及びWO02078637(Corixa Corporation)を参照されたい。本発明の一態様において、小粒子3D-MPLを使用してもよい。小粒子3D-MPLは、0.22mmフィルターを通して滅菌濾過され得るような粒径を有する。このような調製物は、国際特許出願第WO94/21292号に記載されている。ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、3-O-脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)を含む。
【0118】
モノホスホリルリピドA(MPL)(例えば3D-MPL)の用量は、好適には、ヒトにおける抗原に対する免疫応答を増強し得る。特に、好適なモノホスホリルリピドA(MPL)(例えば3D-MPL)量は、アジュバント化されていない組成物と比較して、又は別のMPL量でアジュバント化された組成物と比較して組成物の免疫学的可能性を改善するが、反応原性プロファイルから許容される量である。モノホスホリルリピドA(MPL)(例えば3D-MPL)は、例えば、組成物用量当たり1〜100μgの量で、例えば組成物用量当たり10〜50μgの量で使用することができる。
【0119】
リポソームは、リン脂質(例えばジオレオイルホスファチジルコリン、DOPC)及びステロール(例えばコレステロール)から、当技術分野で公知の技術を用いて作製することができる。このようなリポソーム担体は、QS21及び/又はモノホスホリルリピドA(MPL)(例えば3D-MPL)を有し得る。本発明の好適な組成物は、最初にリポソームがMPLなしで調製され(WO96/33739に記載されるとおり)、次いでMPLが、好適には100nm粒子未満の小粒子として、又は0.22μm膜を通して滅菌濾過されやすい粒子として添加される組成物である。従ってMPLは小胞膜内に含有されない(MPLアウトとして知られている)。MPLが小胞膜内に含有される(MPLインとして知られている)組成物もまた、本発明のある態様を形成する。非コンジュゲート化肺炎球菌タンパク質は、小胞膜内に含有されていてもよいし、小胞膜の外側に含まれていても良い。好適には、可溶性抗原は膜の外側にあり、疎水性抗原又は脂質付加抗原は膜の内側若しくは外側のいずれかに含まれている。リポソーム中へのカプセル化は、US 4235877に記載されている。
【0120】
本発明のリポソームは、リン脂質、例えばホスファチジルコリン(室温にて非晶質であり得る)、例えば、卵黄ホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン又はジラウリルホスファチジルコリンを含み得る。好適には、リン脂質はジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)である。さらなる態様は、0.1〜10mg、0.2〜7mg、0.3〜5mg、0.4〜2mg、又は0.5〜1mg(例えば0.4〜0.6mg、0.9〜1.1mg、0.5mg又は1mg)のリン脂質を含む本発明の免疫原性組成物である。
【0121】
本発明のリポソームは、ステロールを含み得る。ステロールは、リポソーム構造の安定性を増加させる。好適なステロールとして、β-シトステロール、スティグマステロール、エルゴステロール、エルゴカルシフェロール及びコレステロールが挙げられる。これらのステロールは当技術分野において記載されており、例えば、コレステロールは、動物脂肪中に見られる天然ステロールとしてMerck Index, 第11版, 341頁に開示されている。本発明の一つの特定の実施形態において、ステロールはコレステロールである。典型的には、ステロールは、WO96/33739に記載されるとおり、ステロールでクエンチされたQS21を用いて、抗原調製物の製剤化中に添加することができる。ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、0.025〜2.5mg、0.05〜1.5mg、0.075〜0.75mg、0.1〜0.3mg、又は0.125〜0.25mg(例えば0.2〜0.3mg、0.1〜0.15mg、0.25mg又は0.125mg)のステロールを含む。
【0122】
一実施形態において、アジュバントは、(0.5mL用量当たり)0.1〜10mg、0.2〜7mg、0.3〜5mg、0.4〜2 mg、又は0.5〜1mg(例えば0.4〜0.6mg、0.9〜1.1mg、0.5mg又は1mg)のリン脂質(例えばDOPC)、0.025〜2.5mg、0.05〜1.5mg、0.075〜0.75mg、0.1〜0.3mg、又は0.125〜0.25mg(例えば0.2〜0.3mg、0.1〜0.15mg、0.25mg又は0.125mg)のステロール(例えばコレステロール)、5〜60μg、10〜50μg、又は20〜30μg(例えば5〜15μg、40〜50μg、10μg、20μg、30μg、40μg又は50μg)のリピドA誘導体(例えば3D-MPL)、及び5〜60μg、10〜50μg、又は20〜30μg(例えば5〜15μg、40〜50μg、10μg、20μg、30μg、40μg又は50μg)のサポニン(例えばQS21)を含む。
【0123】
本発明のリポソームは、好適には液体媒体中に含まれている。液体媒体は、生理学的に許容可能な液体、例えば水、水性の塩溶液及び緩衝溶液(例えばリン酸緩衝生理食塩水(PBS))等を含む。例えば、本発明の免疫原性組成物は、水及びPBSを含み得る。
【0124】
本発明の一態様において、アジュバントはAS01Bである(例えばWO96/33739を参照)。本発明の別の態様において、アジュバントはAS01Eである(例えばWO2007/068907を参照)。
【0125】
本発明の免疫原性組成物及びワクチンが、例えばカプリル酸(Merck Index 第10版, 項目no. 1739)などの安定剤(例えば他の乳化剤/界面活性剤)をさらに含むことが有利であり得る場合があり、このうちトリカプリリンが特に好ましい。
【0126】
水中油エマルションアジュバント
水中油エマルションアジュバントは、それ自体アジュバント組成物として有用であると示唆されており(EP 0 399 843B)、水中油エマルションと他の活性剤の組み合わせもまた、ワクチン用アジュバントとして記載されている(WO 95/17210;WO 98/56414;WO 99/12565;WO 99/11241)。他の油エマルションアジュバント、例えば、油中水エマルション(US 5,422,109;EP 0 480 982 B2)及び水中油中水エマルション(US 5,424,067;EP 0 480 981 B)が記載されている。これらは全て(特にトコールを組み込む場合)、本発明の組成物において使用するためのアジュバントとして好適な好ましい油エマルション系を形成する。
【0127】
好適な油エマルション(例えば水中油エマルション)は、代謝可能な非毒性の油、例えばスクアラン、トコフェロール(例えばアルファトコフェロール)、及び場合により乳化剤(又は界面活性剤)、例えばポリソルベート80(Tween(商標)80)を含む。ステロール(例えばコレステロール)も含まれ得る。本発明の一態様において、サイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類と水中油エマルションを含むアジュバント組成物とを含むワクチン又は免疫原性組成物が提供され、ここで水中油エマルションは、ヒト用量当たり0.5〜11mgの代謝可能な油(例えばスクアラン)、0.5〜12mgのトコール(例えばアルファ-トコフェロール)及び0.4〜5mgの乳化剤(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)を含む。
【0128】
任意の水中油組成物をヒト投与に適したものにするために、エマルション系の油相は代謝可能な油を含んでいなければならない。用語「代謝可能な油」の意味は、当技術分野において公知である。「代謝可能な」は、「代謝により変換され得る」と定義することができる(Dorland’s Illustrated Medical Dictionary, W.B. Sanders Company, 第25版 (1974))。上記の油は、受容者に毒性ではなく、代謝によって変換され得る任意の植物油、魚油、動物油又は合成油であってよい。堅果、種子及び穀物は、植物油の一般的な供給源である。合成油もまた本発明の一部であり、例えば、商業的に入手可能な油、例えばNEOBEE(登録商標)及びその他の油を挙げることができる。特に好適な代謝可能な油はスクアランである。スクアラン(2,6,10,15,19,23-ヘキサメチル-2,6,10,14,18,22-テトラコサヘキサエン)は、鮫肝油中で大量に見られ、オリーブ油、小麦胚芽油、米ぬか油及び酵母中では比較的低量で見られる不飽和油であり、本発明において使用するために特に好ましい油である。スクアランは代謝可能な油であり、コレステロールの生合成の中間体である(Merck Index、第10版、項目no. 8619)。好適には、代謝可能な油は、アジュバント組成物中に0.5〜10mg、例えば1〜10mg、2〜10mg、3〜9mg、4〜8mg、5〜7mg又は5〜6mg(例えば2〜3mg、5〜6mg、又は9〜10mg)の量で存在する。
【0129】
水中油エマルションは、好適にはトコールを含む。トコールは当技術分野において公知であり、EP 0382271に記載されている。好適には、トコールは、アルファ-トコフェロール又はその誘導体、例えばアルファ-トコフェロールスクシネート(ビタミンEスクシネートとしても知られている)である。前記トコールは、好適にはアジュバント組成物中に0.5〜11mg、例えば1〜11mg、2〜10mg、3〜9mg、4〜8mg、5〜7mg、5〜6mg(例えば10〜11mg、5〜6mg、2.5〜3.5mg又は1〜3mg)の量で存在する。具体的実施形態において、トコールは、5.94mg又は2.38mgの量で存在する。さらなる実施形態において、前記トコールは、好適には、ワクチン(又は免疫原性)組成物中に0.5〜11mg、例えば1〜11mg、2〜10mg、3〜9mg、4〜8mg、5〜7mg、5〜6mg(例えば10〜11mg、5〜6mg、2.5〜3.5mg又は1〜3mg)の量で存在する。
【0130】
水中油エマルションは、乳化剤をさらに含み得る。乳化剤は、好適にはポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。特定の実施形態において、乳化剤は、以下:ポリソルベート80(Tween(商標)80)を含む群から選択され得る。前記乳化剤は、好適には、アジュバント組成物中に、乳化剤0.1〜5mg、0.2〜5mg、0.3〜4mg、0.4〜3mg又は2〜3mg(例えば0.4〜1.2mg、2〜3mg又は4〜5mg)の量で存在する。
【0131】
水中油エマルションの製造方法は当業者に公知である。一般的に、この方法は、トコール含有油相を界面活性剤(例えばPBS/Tween(商標)80溶液)と混合し、その後ホモジナイザーを用いて均質化するステップを含む。上記混合物を注射針に2回通過させるステップを含む方法は、少量の液体を均質化するために好適であろう。同様に、マイクロフルイダイザー(M110S Microfluidics装置、最大50回通過、最大圧力入力6bar(約850barの出力圧力)で2分間)の乳化プロセスを当業者により適合させ、少量又は大量のエマルションを製造することができるだろう。
【0132】
水中油エマルションにおいて、油及び乳化剤は水性担体であるべきである。水性担体は、例えばリン酸緩衝生理食塩水であり得る。
【0133】
ある実施形態において、本発明の水中油エマルション系は、サブミクロン範囲の小さな油滴径を有する。好適には、液滴径は、直径120〜750nm、又は120〜600nmの範囲内であろう。ある実施形態において、水中油エマルションは油滴を含有し、このうち少なくとも70強度%は直径500nm未満であり、又は少なくとも80強度%は直径300nm未満であり、又は少なくとも90強度%は直径120〜200nmの範囲内である。
【0134】
本発明による油滴径(すなわち直径)は強度によって示される。油滴径の直径を強度によって決定する幾つかの方法がある。強度は、サイジング装置を使用することにより、好適にはMalvern Zetasizer 4000などの動的光散乱法により、又は好適にはMalvern Zetasizer 3000HSによって測定される。第1の可能性は、動的光散乱法(PCS、光子相関分光法)によりz平均直径(ZAD)を決定することである;この方法はさらに多分散性指数(PDI)を与え、ZAD及びPDIは、いずれもキュムラントアルゴリズムを用いて計算される。これらの値は、粒子屈折率の知識を必要としない。第2の手段は、Continアルゴリズム若しくは非負最小二乗アルゴリズム(NNLS)、又は自動「Malvern」アルゴリズム(サイジング装置用に提供されるデフォルトアルゴリズム)のいずれかの別のアルゴリズムによって全粒径分布を決定することにより、油滴の直径を計算することである。大抵の場合、複合体組成物の粒子屈折率は未知であるため強度分布のみが考慮され、必要であれば、「強度」はこの分布に由来することを意味する。
【0135】
本明細書中に記載されるリポ多糖類(LPS)又はリポオリゴ糖類(LOS)の誘導体若しくは変異体、又はリピドA誘導体は、天然リポ多糖類より毒性が低くなるように設計される(例えば3D-MPL)。
【0136】
一実施形態において、本発明の組成物のために使用されるアジュバントは、代謝可能な油(例えばスクアラン)、乳化剤(例えばTween(商標)80)、及び場合によりトコール(例えばアルファトコフェロール)から作製される水中油エマルションを含む。一実施形態において、アジュバントは、(0.5mL用量当たり)、0.5〜15mg、1〜13mg、2〜11mg、4〜8mg、又は5〜6mg(例えば2〜3mg、5〜6mg、又は10〜11mg)の代謝可能な油(例えばスクアラン)、0.1〜10mg、0.3〜8mg、0.6〜6mg、0.9〜5mg、1〜4mg、又は2〜3mg(例えば0.9〜1.1mg、2〜3mg又は4〜5mg)の乳化剤(例えばTween(商標)80)、及び場合により0.5〜20mg、1〜15mg、2〜12mg、4〜10mg、5〜7mg(例えば11〜13mg、5〜6mg、又は2〜3mg)のトコール(例えばアルファトコフェロール)を含む。
【0137】
アジュバントは、場合により5〜60μg、10〜50μg、又は20〜30μg(例えば5〜15μg、40〜50μg、10μg、20μg、30μg、40μg又は50μg)のリピドA誘導体(例えば3D-MPL)をさらに含み得る。
【0138】
アジュバントは、場合により0.025〜2.5mg、0.05〜1.5mg、0.075〜0.75mg、0.1〜0.3mg、又は0.125〜0.25mg(例えば0.2〜0.3mg、0.1〜0.15mg、0.25mg又は0.125mg)のステロール(例えばコレステロール)、5〜60μg、10〜50μg、又は20〜30μg(例えば5〜15μg、40〜50μg、10μg、20μg、30μg、40μg又は50μg)のリピドA誘導体(例えば3D-MPL)、及び5〜60μg、10〜50μg、又は20〜30μg(例えば5〜15μg、40〜50μg、10μg、20μg、30μg、40μg又は50μg)のサポニン(例えばQS21)を含有し得る。
【0139】
一実施形態において、本発明の組成物のために使用されるアジュバントは、リン酸アルミニウム及びリピドA誘導体(例えば3D-MPL)を含む。このアジュバントは、(0.5mL用量当たり)、100〜750、200〜500、又は300〜400μgのAlをリン酸アルミニウムとして、及び5〜60、10〜50、又は20〜30μg(例えば5〜15、40〜50、10、20、30、40又は50μg)のリピドA誘導体(例えば3D-MPL)を含み得る。
【0140】
投与方法
本発明の免疫原性組成物を含有するワクチン調製物は、前記ワクチンを全身性経路又は粘膜経路を介して投与することにより、感染しやすい哺乳動物を防御又は治療するために使用することができる。これらの投与として、筋肉内(IM)、腹腔内(IP)、皮内(ID)若しくは皮下(SC)経路を介した注入;又は経口/消化器、呼吸器、尿生殖器への粘膜投与を介した注入を挙げることができる。本発明のワクチンは、単回投与として投与し得るが、それらの成分は、同時に一緒に又は異なる時間に共投与することもできる(例えば、肺炎球菌糖類コンジュゲートは、互いに関する免疫応答の最適な協調のため、ワクチンの任意の細菌タンパク質成分の投与と別々に、同時に、又はその1〜2週間後に、投与することができる)。共投与のため、任意選択のTh1アジュバントが、任意の又は全ての様々な投与において存在し得る。単一の投与経路に加えて、2つの異なる投与経路を使用することができる。例えば、多糖類コンジュゲートをIM(又はID)に投与し、細菌タンパク質をIN(又はID)に投与してもよい。さらに、本発明のワクチンを、プライミング投与のためにIMに投与し、ブースター投与のためにINに投与してもよい。
【0141】
初期ワクチン接種後、被験体は、十分に間隔をあけて1回又は数回のブースター免疫接種を受けることができる。
【0142】
ワクチン
本発明はさらに、本発明の免疫原性組成物及び製薬上許容可能な賦形剤又は担体を含有するワクチンを提供する。
【0143】
製薬上許容可能な賦形剤及び担体は周知であり、当業者により選択され得る。例えば、製薬上許容可能な賦形剤又は担体としては、緩衝剤、例えばトリス(トリメタミン)、リン酸塩(例えばリン酸ナトリウム)、酢酸塩、ホウ酸塩(例えばホウ酸ナトリウム)、クエン酸塩、グリシン、ヒスチジン及びコハク酸塩(例えばコハク酸ナトリウム)、好適には塩化ナトリウム、ヒスチジン、リン酸ナトリウム又はコハク酸ナトリウムを挙げることができる。製薬上許容可能な賦形剤としては、塩、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム又は塩化マグネシウムが挙げられる。場合により、製薬上許容可能な賦形剤は、溶解性及び/又は安定性を安定化させる少なくとも1つの成分を含有する。可溶化剤/安定化剤の例としては、洗剤、例えば、ラウレルサルコシン及び/又はトゥイーン(例えばTween80)が挙げられる。安定化剤の例として、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー124、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー338及びポロキサマー407)も挙げられる。製薬上許容可能な賦形剤としては、非イオン性界面活性剤、例えばポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート-80(Tween80)、ポリソルベート-60(Tween60)、ポリソルベート-40(Tween40)及びポリソルベート-20(Tween20)、又はポリオキシエチレンアルキルエーテル(好適にはポリソルベート-80)が挙げられる。代替的な可溶化剤/安定化剤としては、アルギニン、及びガラス形成ポリオール(例えばスクロース、トレハロースなど)が挙げられる。製薬上賦形剤は、保存剤、例えばフェノール、2-フェノキシエタノール、又はチオメルサールであってもよい。他の製薬上許容可能な賦形剤としては、例えば、糖類(例えばラクトース、スクロース)、及びタンパク質(例えばゼラチン及びアルブミン)が挙げられる。製薬上許容可能な担体としては、水、生理食塩水、デキストロース水溶液及びグリセロール水溶液が挙げられる。多数の製薬上許容可能な賦形剤及び担体が当技術分野において公知であり、例えばE. W. MartinによりRemington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA、第5版(975)に記載されている。
【0144】
本発明のさらなる態様によれば、本発明の肺炎球菌莢膜多糖類(コンジュゲート)を、場合により製薬上許容可能な賦形剤又は担体と混合するステップを含む、本発明の免疫原性組成物又はワクチンを作製する方法が提供される。
【0145】
ワクチン調製物は、Vaccine Design (“The subunit and adjuvant approach” (Powell M.F. & Newman M.J.編)(1995) Plenum Press New York)に一般的に記載されている。リポソーム中へのカプセル化は、Fullertonにより米国特許第4,235,877号に記載されている。
【0146】
本発明のワクチンは、溶液中で又は凍結乾燥させて保存することができる。ある実施形態において、溶液は、糖(例えばスクロース又はラクトース)の存在下で凍結乾燥される。これらを凍結乾燥させ、使用前に即席で再構成させることがなおさらに好ましい。凍結乾燥はより安定な組成物(ワクチン)を生じさせることが可能であり、3D-MPLの存在下且つアルミニウムベースアジュバントの不存在下でより高い抗体力価をもたらす可能性があり得る。
【0147】
本発明の一態様において、本発明の免疫原性組成物を場合により凍結乾燥形態で含有するバイアルを含み、本明細書に記載されるアジュバントを含有するバイアルをさらに含むワクチンキットが提供される。本発明のこの態様において、アジュバントは、凍結乾燥された免疫原性組成物を再構成するために用いられることが想定される。
【0148】
本発明のワクチンは、任意の経路により投与され得るが、記載されるワクチンの皮膚への投与(ID)は、本発明の一実施形態を形成する。ヒトの皮膚は、角質層と呼ばれる外側の「角質の」キューティクルを含み、これが表皮を覆っている。この表皮の下は真皮と呼ばれる層であり、次にこの真皮が皮下組織を覆っている。研究者らは、皮膚、特に真皮へのワクチンの注射が免疫応答を刺激し、これが多くのさらなる利益も伴い得ることを示した。本明細書中に記載されるワクチンを用いる皮内ワクチン接種は、本発明の好ましい特徴を形成する。
【0149】
皮内注射の従来技術である「mantoux法」は、皮膚を清浄し、その後片手で伸展させ、狭ゲージ針(26〜31ゲージ)の斜角を上に向けて針を10〜15°の角度で挿入するステップを含む。上記の針の斜角を挿入した後、針のバレルを低くしてさらに前進させ、わずかな圧力を与えながら皮膚下でバレルを上昇させる。次いで液体を極めてゆっくりと注入し、これにより皮膚表面上にブレブ又はバンプを形成して、その後注射針をゆっくりと引き抜く。
【0150】
さらに最近では、液剤を皮膚中に又は皮膚を超えて投与するために特別に設計されたデバイスが記載されており(例えばWO 99/34850及びEP 1092444に記載されているデバイス)、さらにジェット注射デバイスも、例えばWO 01/13977;US 5,480,381、US 5,599,302、US 5,334,144、US 5,993,412、US 5,649,912、US 5,569,189、US 5,704,911、US 5,383,851、US 5,893,397、US 5,466,220、US 5,339,163、US 5,312,335、US 5,503,627、US 5,064,413、US 5,520,639、US 4,596,556、US 4,790,824、US 4,941,880、US 4,940,460、WO 97/37705及びWO 97/13537に記載されている。ワクチン調製物の皮内投与の代替的方法として、従来のシリンジ及び針、又は固体ワクチンの弾道的送達のために設計されたデバイス(WO 99/27961)、又は経皮パッチ(WO 97/48440;WO 98/28037)が挙げられ;あるいは皮膚の表面に施用される(経皮送達、WO 98/20734;WO 98/28037)。
【0151】
本発明のワクチンが皮膚、又はより具体的には真皮に投与される場合、そのワクチンは低液量、特に約0.05ml〜0.2mlの容量である。
【0152】
本発明の皮膚ワクチン又は皮内ワクチン中の免疫原性組成物の含有量は、筋肉内ワクチン中で見られる従来の用量と同様であり得る(上記参照)。しかしながら、製剤が「低用量」であり得ることは、皮膚ワクチン又は皮内ワクチンの特徴である。従って、「低用量」ワクチン中のタンパク質抗原は、好適には、用量当たり最小で0.1〜10μg、又は0.1〜5μg存在し;多糖類(好適にはコンジュゲート化された)抗原は、用量当たり糖類0.01〜1μgの範囲内、好適には0.01〜0.5μgで存在し得る。
【0153】
本明細書中で使用される用語「皮内送達」は、ワクチン又は免疫原性組成物の、皮膚中の真皮領域への送達を意味する。しかしながら、ワクチン又は免疫原性組成物は、必ずしも真皮中にのみ配置される必要はない。真皮は、ヒト皮膚の表面から約1.0〜約2.0mmに位置する皮膚中の層であるが、個体間で、また身体の異なる部分において一定量の変動が存在する。一般的には、皮膚の表面の1.5mm下に進むことによって真皮に達すると予想され得る。真皮は、表面の角質層及び表皮と、下方の皮下層の間に位置している。送達様式に応じて、ワクチン又は免疫原性組成物は、最終的に専ら又は主に真皮内に位置していてもよいし、又は最終的に表皮中と真皮中に分配されてもよい。
【0154】
本発明はさらに、インフルエンザ菌タンパク質(例えばコンジュゲート化形態のタンパク質D)の添加による、インフルエンザ菌により引き起こされる中耳炎の予防又は軽減のための改善されたワクチンを提供する。1つ以上のモラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)タンパク質抗原も、本発明のワクチン又は免疫原性組成物中に遊離形態又はコンジュゲート化形態で含めることができる。従って、本発明は、幼児における中耳炎に対する免疫応答を誘発するための改善された方法である。
【0155】
本発明の組み合わせワクチン又は免疫原性組成物に(特に中耳炎の予防のために)含めることができる好ましいモラクセラ・カタラーリスタンパク質抗原の例は、以下:外膜タンパク質106(OMP106)[WO 97/41731(Antex)&WO 96/34960(PMC)];外膜タンパク質21(OMP21)又はその断片(WO 0018910);ラクトフェリン結合タンパク質A(LbpA)及び/又はラクトフェリン結合タンパク質B(LbpB)[WO 98/55606(PMC)];トランスフェリン結合タンパク質A(TbpA)及び/又は移行結合タンパク質B(TbpB)[WO 97/13785 & WO 97/32980(PMC)];モラクセラ・カタラーリスCopBタンパク質[Helminen MEら(1993) Infect. Immun. 61:2003-2010];ユビキタス表面タンパク質A1(UspA1)及び/又はユビキタス表面タンパク質A2 (UspA2) [WO 93/03761(テキサス大学)];外膜タンパク質CD(OmpCD);HasR(PCT/EP99/03824);PilQ(PCT/EP99/03823);外膜タンパク質85(OMP85)(PCT/EP00/01468);lipo06(GB 9917977.2);lipo10(GB 9918208.1);lipo11(GB 9918302.2);lipo18(GB 9918038.2);外膜タンパク質P6(P6)(PCT/EP99/03038);D15表面抗原(D15)(PCT/EP99/03822);外膜タンパク質A1(OmpA1)(PCT/EP99/06781);Hly3(PCT/EP99/03257);及び外膜タンパク質E(OmpE)である。組み合わせワクチンに(特に中耳炎の予防のために)含めることができる分類不可能なインフルエンザ菌タンパク質又はその断片の例として:フィンブリンタンパク質[(US 5766608-オハイオ州研究財団)]及びそれに由来するペプチドを含む融合体[例えば、LB1(f)ペプチド融合体;US 5843464(OSU)又はWO 99/64067];外膜タンパク質26(OMP26)[WO 97/01638 (Cortecs)];P6[EP 281673(ニューヨーク州立大学)];TbpA及び/又はTbpB;インフルエンザ菌アドヘシン(Hia);ヘモフィルス表面フィブリル(Hsf);インフルエンザ菌Hin47タンパク質;インフルエンザ菌Hifタンパク質;インフルエンザ菌Hmw1タンパク質;インフルエンザ菌Hmw2タンパク質;インフルエンザ菌Hmw3タンパク質;インフルエンザ菌Hmw4タンパク質;インフルエンザ菌オートトランスポーターアドヘシン(Hap);D15(WO 94/12641);P2;及びP5(WO 94/26304)が挙げられる。
【0156】
治療法及び使用法
本発明は、それを必要とする被験体における肺炎球菌感染の治療又は予防のための方法であって、前記被験体に治療上有効量の本発明の免疫原性組成物又はワクチンを投与するステップを含む、前記方法を提供する。本発明はまた、肺炎球菌感染に対してヒト宿主を免疫化する方法であって、宿主に免疫防御用量の本発明の免疫原性組成物又はワクチンを投与するステップを含む、上記方法も提供する。本発明はまた、被験体における肺炎球菌(例えば肺炎球菌血清型6A)に対する免疫応答を誘導する方法であって、治療上有効量の本発明の免疫原性組成物又はワクチンを投与するステップを含む、上記方法も提供する。
【0157】
ある実施形態において、本発明は、治療上有効量の本発明の免疫原性組成物又はワクチンを投与することによる、幼児(本発明の文脈において、0〜2歳と定義される)における免疫応答を誘発するための改善された方法である。一実施形態において、免疫応答は防御的である(すなわち、免疫応答は、肺炎球菌により引き起こされる感染を予防又は低減することができる)。一実施形態において、ワクチンは小児用ワクチンである。
【0158】
ある実施形態において、本発明は、治療上有効量の本発明の免疫原性組成物又はワクチンを投与することによる、高齢者集団(本発明の文脈において、患者は、年齢が50歳以上、典型的には55歳超、またより一般的には60歳超である場合、高齢者であるとみなされる)における(防御的)免疫応答を誘発するための改善された方法である。
【0159】
一実施形態において、本発明は、肺炎球菌による感染により引き起こされる疾患から被験体を防御する方法、又は肺炎球菌による感染を予防する方法、あるいは、肺炎球菌により引き起こされる感染に関連する少なくとも1つの症状の重症度を低下させるか若しくは発症を遅延させる方法であって、免疫原性量の本発明の免疫原性組成物又はワクチンを被験体に投与するステップを含む、上記方法を提供する。
【0160】
ある実施形態において、本発明は、肺炎球菌感染により引き起こされる疾患の予防又は治療において使用するための本発明の免疫原性組成物及びワクチンを提供する。ある実施形態において、本発明は、肺炎球菌感染により引き起こされる疾患の予防(又は治療)のための医薬の製造における本発明の免疫原性組成物又はワクチンの使用を提供する。
【0161】
肺炎球菌感染により引き起こされる疾患は、肺炎、侵襲性肺炎球菌疾患(IPD)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪、中耳炎、髄膜炎、菌血症、肺炎及び/又は結膜炎から選択され得る。ヒト宿主が幼児である場合、疾患は、中耳炎、髄膜炎、菌血症、肺炎及び/又は結膜炎から選択され得る。ヒト宿主が高齢者である場合、疾患は、肺炎、侵襲性肺炎球菌疾患(IPD)、及び/又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪から選択され得る。
【0162】
本発明の「ワクチン組成物」に関する本明細書中の実施形態は、本発明の「免疫原性組成物」に関する実施形態に適用することも可能であり、逆もまた同様である。
【0163】
本発明の実施形態は、後続の番号付された段落にさらに記載される:
段落1:肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類の平均サイズ(Mw)が、180〜400kDa、210〜400kDa、210〜370kDa、220〜360kDa、230〜350kDa、240〜340kDa、240〜320kDa、240〜310kDa又は250〜310kDaである、サイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類。
【0164】
段落2:機械的サイジング技術によりサイズ調整されている、段落1に記載のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類。
【0165】
段落3:担体タンパク質(例えばCRM-197)にコンジュゲートしている、段落1又は段落2に記載のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類。
【0166】
段落4:肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類が担体タンパク質に直接コンジュゲートしている、段落3に記載のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類。
【0167】
段落5:6A多糖類が、CDAP化学を用いて担体タンパク質又はリンカーにコンジュゲートしている、段落3〜4のいずれか1つに記載のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類。
【0168】
段落6:血清型6A莢膜多糖類(PS6A)が、1:2〜3:1、1:1.5〜2:1、又は1:1のCDAP:PS6A比を用いるCDAP化学を用いて担体タンパク質又はリンカーにコンジュゲートしている、段落3〜5のいずれか1つに記載のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類。
【0169】
段落7:血清型6A莢膜多糖類が、反応が50〜130分間、60〜130分間、又は110〜130分間のカップリング時間を用いて実施されたCDAP化学を用いて担体タンパク質又はリンカーにコンジュゲートしている、段落3〜6のいずれか1つに記載のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類。
【0170】
段落8:担体タンパク質と血清型6A莢膜多糖類の比が、5:1〜1:5、4:1〜1:1又は2:1〜1:1、1.5:1〜1:1、1.4:1〜1.3:1(例えば1.2:1、1.5:1)(w/w)である、段落3〜7のいずれか1つに記載のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類。
【0171】
段落9:6A莢膜多糖類が、x5以下の倍率でサイズ調整されている、段落1〜8のいずれか1つに記載のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類。
【0172】
段落10:肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類コンジュゲートを調製する方法であって、サイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類を、1:2〜3:1、1:1.5〜2:1、又は1:1のCDAP:PS比を用いるCDAP化学を用いて担体タンパク質又はリンカーにコンジュゲートさせるステップを含む、前記方法。
【0173】
段落11:反応が、50〜130分間、60〜130分間、又は110〜130分間のカップリング時間を用いて実施された、段落10に記載の方法。
【0174】
段落12:肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類コンジュゲートを調製する方法であって、(a) サイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類の担体タンパク質へのコンジュゲーション、及び(b) 150mM未満のNaCl濃度を有する溶液に対する透析濾過を含む、前記方法。
【0175】
段落13:担体タンパク質にコンジュゲートしている、段落1〜9のいずれか1つに記載のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類、又は段落10〜12のいずれか1つに記載の方法により得られた肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類を含む、免疫原性組成物。
【0176】
段落14:10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上、15種以上、又は16種以上の異なる肺炎球菌血清型由来の莢膜多糖類コンジュゲートを含む、段落13に記載の免疫原性組成物。
【0177】
段落15:1種以上の、肺炎球菌由来の天然莢膜多糖類コンジュゲートを含む、段落13又は段落14に記載の免疫原性組成物。
【0178】
段落16:天然肺炎球菌莢膜血清型6B多糖類を含む、段落15に記載の免疫原性組成物。
【0179】
段落17:天然肺炎球菌莢膜血清型23F多糖類を含む、段落15又は16に記載の免疫原性組成物。
【0180】
段落18:500〜1800kDa、900〜1660kDa、又は1000〜1400kDaの平均サイズ(Mw)を有する肺炎球菌莢膜血清型6B多糖類を含む、段落13〜17のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0181】
段落19:500〜1500kDa、600〜1500kDa、700〜1300kDa、900〜1250kDa、800〜1100kDa、又は900〜1000kDaの平均サイズ(Mw)を有する肺炎球菌莢膜血清型23F多糖類を含む、段落13〜18のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0182】
段落20:(a) 100〜1000kDa、200〜800kDa、250〜600kDa、又は300〜400kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型1;(b) 50〜500kDa、60〜300kDa、70〜150kDa、又は75〜125kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型4;(c) 100〜1000kDa、100〜700kDa、100〜350kDa、又は150〜300kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型5;(d) 50〜1000kDa、100〜750kDa、150〜500kDa、又は200〜300kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型7F;(e) 50〜1000kDa、100〜750kDa、150〜500kDa、200〜400kDa、又は250〜300kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型9V;(f) 50〜1000kDa、100〜750kDa、150〜500kDa、又は200〜250kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型14;(g) 50〜1000kDa、50〜750kDa、50〜500kDa、50〜190kDa、50〜150kDa又は80〜110kDaの平均サイズ(Mw)を有する18C;(h) 50〜1000kDa、100〜750kDa、100〜500kDa、100〜190kDa又は120〜180kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型19F;及び/あるいは(i) 50〜800kDa、110〜700kDa、110〜300kDa、120〜200kDa、130〜180kDa、140〜160kDa又は80〜130kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型19A由来の肺炎球菌莢膜多糖類を含む、段落13〜19のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0183】
段落21:50〜800kDa、110〜700kDa、110〜300kDa、120〜200kDa、130〜180kDa、150〜170kDa、100〜190kDa、100〜150kDa、95〜125kDa又は100〜115kDaの平均サイズ(Mw)を有する肺炎球菌莢膜血清型22Fをさらに含む、段落13〜20のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0184】
段落22:2、3、4、5又は6種の異なる担体タンパク質を含む、段落13〜21のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0185】
段落23:1つ以上又は全ての担体タンパク質が、ジフテリアトキソイド(DT)、CRM197、破傷風トキソイド(TT)、TTの断片C、dPly、PhtA、PhtB、PhtD、PhtE、PhtDE OmpC、PorB及びインフルエンザ菌タンパク質Dからなる群から選択される、段落13〜22のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0186】
段落24:肺炎球菌莢膜血清型6B多糖類が、肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類がコンジュゲートしている担体タンパク質とは異なる担体タンパク質(例えばタンパク質D)にコンジュゲートしている、段落13〜23のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0187】
段落25:タンパク質Dにコンジュゲートしている血清型1糖類、タンパク質Dにコンジュゲートしている血清型4糖類、タンパク質Dにコンジュゲートしている血清型5糖類、タンパク質Dにコンジュゲートしている血清型6B糖類、タンパク質Dにコンジュゲートしている血清型7F糖類、タンパク質Dにコンジュゲートしている血清型9V糖類、タンパク質Dにコンジュゲートしている血清型14糖類、及びタンパク質Dにコンジュゲートしている血清型23F糖類を含む、段落13〜24のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0188】
段落26:ジフテリアトキソイドにコンジュゲートしている血清型19Fを含む、段落13〜25のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0189】
段落27:組成物が、破傷風トキソイド(TT)にコンジュゲートしている莢膜糖類18Cを含み、場合により18Cは、任意選択でADHリンカーを介して破傷風トキソイド(TT)にコンジュゲートしている組成物中の唯一の糖類である、段落13〜26のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0190】
段落28:担体タンパク質にコンジュゲートしている血清型33F、血清型15及び血清型12Fの1種以上の肺炎球菌莢膜糖類をさらに含む、段落13〜27のいずれかに記載の免疫原性組成物。
【0191】
段落29:6A糖類コンジュゲートの用量が、糖類1〜10μg、1〜5μg、又は1〜3μg(例えば2μg)である、段落13〜28のいずれかに記載の免疫原性組成物。
【0192】
段落30:ポリヒスチジン三連構造ファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質、無毒化ニューモリシン(Ply)、PspA、PsaA、Sp128、Sp101、Sp130、Sp125及びSp133から選択される1種以上の非コンジュゲート化又はコンジュゲート化肺炎球菌タンパク質をさらに含む、段落13〜29のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0193】
段落31:アジュバントをさらに含む、段落13〜30のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0194】
段落32:アジュバントが、(0.5mL用量当たり)100〜750μg、200〜500μg、又は300〜400μgのAl(アルミニウム)をリン酸アルミニウムとして含む、段落31に記載の免疫原性組成物。
【0195】
段落33:段落13〜32のいずれか1つに記載の免疫原性組成物、及び製薬上許容可能な賦形剤又は担体を含むワクチン。
【0196】
段落34:段落13〜32のいずれか1つに記載の免疫原性組成物を、製薬上許容可能な賦形剤又は担体と混合するステップを含む、段落33に記載のワクチンの作製方法。
【0197】
段落35:それを必要とする被験体における肺炎球菌感染の治療又は予防のための方法であって、前記被験体に治療上有効量の段落13〜32のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は段落33に記載のワクチンを投与するステップを含む、前記方法。
【0198】
段落36:肺炎球菌感染に対してヒト宿主を免疫化する方法であって、宿主に免疫防御用量の段落13〜32のいずれかに記載の免疫原性組成物又は段落34に記載のワクチンを投与するステップを含む、前記方法。
【0199】
段落37:被験体における肺炎球菌血清型6Aに対する免疫応答を誘導する方法であって、上記方法が、治療上又は予防上有効量の段落13〜32のいずれかに記載の免疫原性組成物又は段落33に記載のワクチンを投与するステップを含む、前記方法。
【0200】
段落38:肺炎球菌感染により引き起こされる疾患の治療又は予防において使用するための、段落13〜32のいずれかに記載の免疫原性組成物又は段落33に記載のワクチン。
【0201】
段落39:肺炎球菌感染により引き起こされる疾患の治療又は予防のための医薬の製造における、段落12〜32のいずれかに記載の免疫原性組成物又は段落33に記載のワクチンの使用。
【0202】
この特許明細書中で引用される全ての参考文献又は特許出願は、参照により本明細書中に組み込まれる。
本発明の様々な実施形態を以下に示す。
1.肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類の平均サイズ(Mw)が、180〜400kDa、210〜400kDa、210〜370kDa、220〜360kDa、230〜350kDa、240〜340kDa、240〜320kDa、240〜310kDa又は250〜310kDaである、サイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類。
2.機械的サイジング技術によりサイズ調整されている、上記1に記載のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類。
3.担体タンパク質(例えばCRM-197)にコンジュゲートしている、上記1又は2に記載のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類。
4.肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類が担体タンパク質に直接コンジュゲートしている、上記3に記載のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類。
5.6A多糖類が、CDAP化学を用いて担体タンパク質又はリンカーにコンジュゲートしている、上記3〜4のいずれかに記載のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類。
6.血清型6A莢膜多糖類(PS6A)が、1:2〜3:1、1:1.5〜2:1、又は1:1のCDAP:PS6A比を用いるCDAP化学を用いて担体タンパク質又はリンカーにコンジュゲートしている、上記3〜5のいずれかに記載のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類。
7.血清型6A莢膜多糖類が、反応が50〜130分間、60〜130分間、又は110〜130分間のカップリング時間を用いて実施されたCDAP化学を用いて担体タンパク質又はリンカーにコンジュゲートしている、上記3〜6のいずれかに記載のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類。
8.担体タンパク質と血清型6A莢膜多糖類の比が、5:1〜1:5、4:1〜1:1又は2:1〜1:1、1.5:1〜1:1、1.4:1〜1.3:1(例えば1.2:1、1.5:1)(w/w)である、上記3〜7のいずれかに記載のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類。
9.6A莢膜多糖類が、x5以下の倍率でサイズ調整されている、上記1〜8のいずれかに記載のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類。
10.肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類コンジュゲートを調製する方法であって、サイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類を、1:2〜3:1、1:1.5〜2:1、又は1:1のCDAP:PS比を用いるCDAP化学を用いて担体タンパク質又はリンカーにコンジュゲートさせるステップを含む、前記方法。
11.反応が、50〜130分間、60〜130分間、又は110〜130分間のカップリング時間を用いて実施された、上記10に記載の方法。
12.肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類コンジュゲートを調製する方法であって、(a) サイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類の担体タンパク質へのコンジュゲーション及び(b) 150mM未満のNaCl濃度を有する溶液に対する透析濾過を含む、前記方法。
13.上記1〜9のいずれかに記載のサイズ調整された肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類、又は上記10〜12のいずれかに記載の方法により得られた、担体タンパク質にコンジュゲートしている肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類を含む、免疫原性組成物。
14.10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上、15種以上、又は16種以上の異なる肺炎球菌血清型由来の莢膜多糖類コンジュゲートを含む、上記13に記載の免疫原性組成物。
15.1種以上の、肺炎球菌由来の天然莢膜多糖類コンジュゲートを含む、上記13又は上記14に記載の免疫原性組成物。
16.天然肺炎球菌莢膜血清型6B多糖類を含む、上記15に記載の免疫原性組成物。
17.天然肺炎球菌莢膜血清型23F多糖類を含む、上記15又は16に記載の免疫原性組成物。
18.500〜1800kDa、900〜1660kDa、又は1000〜1400kDaの平均サイズ(Mw)を有する肺炎球菌莢膜血清型6B多糖類を含む、上記13〜17のいずれかに記載の免疫原性組成物。
19.500〜1500kDa、600〜1500kDa、700〜1300kDa、900〜1250kDa、800〜1100kDa、又は900〜1000kDaの平均サイズ(Mw)を有する肺炎球菌莢膜血清型23F多糖類を含む、上記13〜18のいずれかに記載の免疫原性組成物。
20.以下:(a) 100〜1000kDa、200〜800kDa、250〜600kDa、又は300〜400kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型1;(b) 50〜500kDa、60〜300kDa、70〜150kDa、又は75〜125kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型4;(c) 100〜1000kDa、100〜700kDa、100〜350kDa、又は150〜300kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型5;(d) 50〜1000kDa、100〜750kDa、150〜500kDa、又は200〜300kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型7F;(e) 50〜1000kDa、100〜750kDa、150〜500kDa、200〜400kDa、又は250〜300kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型9V;(f) 50〜1000kDa、100〜750kDa、150〜500kDa、又は200〜250kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型14;(g) 50〜1000kDa、50〜750kDa、50〜500kDa、50〜190kDa、50〜150kDa又は80〜110kDaの平均サイズ(Mw)を有する18C;(h) 50〜1000kDa、100〜750kDa、100〜500kDa、100〜190kDa又は120〜180kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型19F;及び/あるいは(i) 50〜800kDa、110〜700kDa、110〜300kDa、120〜200kDa、130〜180kDa、140〜160kDa又は80〜130kDaの平均サイズ(Mw)を有する血清型19A由来の肺炎球菌莢膜多糖類を含む、上記13〜19のいずれかに記載の免疫原性組成物。
21.50〜800kDa、110〜700kDa、110〜300kDa、120〜200kDa、130〜180kDa、150〜170kDa、100〜190kDa、100〜150kDa、95〜125kDa又は100〜115kDaの平均サイズ(Mw)を有する肺炎球菌莢膜血清型22Fをさらに含む、上記13〜20のいずれかに記載の免疫原性組成物。
22.2、3、4、5又は6種の異なる担体タンパク質を含む、上記13〜21のいずれかに記載の免疫原性組成物。
23.1つ以上又は全ての担体タンパク質が、ジフテリアトキソイド(DT)、CRM197、破傷風トキソイド(TT)、TTの断片C、dPly、PhtA、PhtB、PhtD、PhtE、PhtDE OmpC、PorB及びインフルエンザ菌タンパク質Dからなる群から選択される、上記13〜22のいずれかに記載の免疫原性組成物。
24.肺炎球菌莢膜血清型6B多糖類が、肺炎球菌血清型6A莢膜多糖類がコンジュゲートしている担体タンパク質とは異なる担体タンパク質(例えばタンパク質D)にコンジュゲートしている、上記13〜23のいずれかに記載の免疫原性組成物。
25.タンパク質Dにコンジュゲートしている血清型1糖類、タンパク質Dにコンジュゲートしている血清型4糖類、タンパク質Dにコンジュゲートしている血清型5糖類、タンパク質Dにコンジュゲートしている血清型6B糖類、タンパク質Dにコンジュゲートしている血清型7F糖類、タンパク質Dにコンジュゲートしている血清型9V糖類、タンパク質Dにコンジュゲートしている血清型14糖類及びタンパク質Dにコンジュゲートしている血清型23F糖類を含む、上記13〜24のいずれかに記載の免疫原性組成物。
26.ジフテリアトキソイドにコンジュゲートしている血清型19Fを含む、上記13〜25のいずれかに記載の免疫原性組成物。
27.組成物が、破傷風トキソイド(TT)にコンジュゲートしている莢膜糖類18Cを含み、場合により18Cは、任意選択でADHリンカーを介して破傷風トキソイド(TT)にコンジュゲートしている組成物中の唯一の糖類である、上記13〜26のいずれかに記載の免疫原性組成物。
28.担体タンパク質にコンジュゲートしている血清型33F、血清型15及び血清型12Fの1種以上の肺炎球菌莢膜糖類をさらに含む、上記13〜27のいずれかに記載の免疫原性組成物。
29.6A糖類コンジュゲートの用量が、糖類1〜10μg、1〜5μg、又は1〜3μg(例えば2μg)である、上記13〜28のいずれかに記載の免疫原性組成物。
30.ポリヒスチジン三連構造ファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質、無毒化ニューモリシン(Ply)、PspA、PsaA、Sp128、Sp101、Sp130、Sp125及びSp133から選択される1種以上の非コンジュゲート化又はコンジュゲート化肺炎球菌タンパク質をさらに含む、上記13〜29のいずれかに記載の免疫原性組成物。
31.アジュバントをさらに含む、上記13〜30のいずれかに記載の免疫原性組成物。
32.アジュバントが、(0.5mL用量当たり)100〜750μg、200〜500μg、又は300〜400μgのAl(アルミニウム)をリン酸アルミニウムとして含む、上記31に記載の免疫原性組成物。
33.上記13〜32のいずれかに記載の免疫原性組成物及び製薬上許容可能な賦形剤又は担体を含むワクチン。
34.上記13〜32のいずれかに記載の免疫原性組成物を、製薬上許容可能な賦形剤又は担体と混合するステップを含む、上記33に記載のワクチンの作製方法。
35.それを必要とする被験体における肺炎球菌感染の治療又は予防のための方法であって、前記被験体に治療上有効量の上記13〜32のいずれかに記載の免疫原性組成物又は上記33に記載のワクチンを投与するステップを含む、前記方法。
36.肺炎球菌感染に対してヒト宿主を免疫化する方法であって、前記宿主に免疫防御用量の上記13〜32のいずれかに記載の免疫原性組成物又は上記34に記載のワクチンを投与するステップを含む、前記方法。
37.被験体における肺炎球菌血清型6Aに対する免疫応答を誘導する方法であって、前記方法が、治療上又は予防上有効量の上記13〜32のいずれかに記載の免疫原性組成物又は上記33に記載のワクチンを投与するステップを含む、前記方法。
38.肺炎球菌感染により引き起こされる疾患の治療又は予防において使用するための、上記13〜32のいずれかに記載の免疫原性組成物又は上記33に記載のワクチン。
39.肺炎球菌感染により引き起こされる疾患の治療又は予防のための医薬の製造における、上記12〜32のいずれかに記載の免疫原性組成物又は上記33に記載のワクチンの使用。
【0203】
この発明がより良好に理解され得るために、以下の実施例が示される。これらの実施例は例示の目的のためのみであり、いかなる方法においても本発明の範囲を限定するものとして解されない。
【実施例】
【0204】
実施例1 - サイズ調整された多糖類の調製
サイジング
ホモジナイザーEMULSIFLEX C-50装置を使用して、活性化ステップ(マイクロフルイダイゼーション)前に多糖類の分子量及び粘度を低下させた。サイジングの効率は、回路圧力及び総サイクル数によって決まる。EMULSIFLEX C-50のホモジナイジングセルを、固定形状のセルで置き換えた(E01〜E07についてはマイクロフルイディクスF20Y-75μm相互作用チャンバー;E08についてはマイクロフルイディクスF30Y-125μm相互作用チャンバー)。サイジングの目的は、その抗原性の重大な減少を伴わずに多糖類の分子量及び粘度を低下させることである。
【0205】
上記のサイズ低下の後、インプロセスで粘度測定(ブルックフィールドプログラマブルDV III+レオメータ)を行った。粘度の目標値が達成された場合に、サイズ調整された多糖類を、HP-SEC-RI(高速サイズ排除クロマトグラフィー、屈折率)により特性評価した。
【0206】
M
wのインプロセス特性評価を、HP-SEC-RI(TSK5000PW
XLカラム+ガードカラム)により実施した。溶出は、50mM Na/K
2PO
4、500mM NaCl(pH7.6)を、0.6ml/分の流速で用いて実現した。検出は、示差屈折率検出器により実現した。この特性評価は、相対保持時間(RRT)の決定に基づく。RRTは、TSK5000PW
XLカラムの分離のリニア範囲の分子量を有する較正デキストランに関して計算される。RRTは、以下の式:
【0207】
【数4】
RT(
サイズ調整されたPS) = サイズ調整されたPS(多糖類)の保持時間
RT(
HMW dext) = 高分子量デキストラン(デキストラン1730kDa)の保持時間
RT(
LMW dext) = 低分子量デキストラン(デキストラン150kDa)の保持時間
により定義される。
【0208】
天然血清型6A多糖類を、室温にてWFI(注射用水)に15mg/mlで4時間の間溶解した。溶解の4時間後、溶液のpHを6.5+/-0.5に調整し、その後溶液を寒冷室に移動させ、溶解を一晩続けた。サイジングの前に、天然血清型6A多糖類の溶液を5μmフィルター上で清澄化した。
【0209】
次いで、血清型6A多糖類を、マイクロフルイディクスF30Y-125μmホモジナイジングセルを備えたEmulsiflexにより、2900〜3800の圧力でサイズ調整した。多糖類の粘度が粘度についての目標値(8.35又は12.4)に達したときに、サイジングを停止した。必要とされるサイクル数は、目標値によって決まる。例えば、2900psiの圧力を用いて12.4cpsの粘度に達するために32.5サイクルが必要とされた。このサンプルについて、HP-SEC-RIによる相対保持時間のインプロセス測定は、0.28の値を与えた。
【0210】
サイズ調整された6A多糖類を、Millipak20(5gスケール)膜(カットオフ0.22μm)上で10ml/分の流速で濾過した。
【0211】
サイズ調整された血清型6A多糖類溶液の多糖類含有量を、コンジュゲーションにおいて使用する前に、比色法(レゾルシノール)により正確に決定した。サイズ調整された多糖類は、HP-SEC-MALLSにより、又はデキストラン較正曲線による推定及び抗原性活性の決定により、特性評価された(表1)。
【0212】
抗原性
試験サンプル及び参照サンプルを、肺炎球菌多糖類血清型6A(PS6A)に対して惹起したモノクローナル抗体で予めコーティングしたマイクロタイタープレート中でインキュベートした。次いで、ウサギポリクローナル抗PS6A抗体を添加した。抗原抗体複合体は、連結されたヤギ抗ウサギIgペルオキシダーゼを用いて現された。その後、ペルオキシダーゼと反応するオルト-フェニレンジアミン/H
2O
2系により発色を実施した。呈色は、分光光度法(吸光度490〜620nm)により測定した。多糖類濃度を決定するため、多糖類曲線を参照曲線と比較した(1つの天然多糖類ロットを参照として使用し、もう1つの天然多糖類ロットは内部対照として使用した)。
【0213】
MALLSによる分子量及び多分散性の測定
分子量(M
w)をレーザー光散乱(SEC-MALLS)により決定した。最初に、TSK5000PW
XL(+ガードカラム)上でNaCl 0.2M+0.02%アジド溶液を溶出バッファーとして用いて分析を実施した。最後の分析は、100μlの多糖類(1mg/ml)をローディングしたTSKGMPW
XLカラム(+ガードカラム)上で、50mM Na/K
2PO
4、200mM NaCl(pH7.0)を溶出バッファーとして用いて、0.75ml/分の流速で実施した。
【0214】
検出は、レーザー分光光度計及び干渉屈折計(P100セル及び498nmの赤色フィルターを備えたWyatt Otilab DSP)を用いて実現した。数平均分子量(M
n)もまた、MALLSによって得られた。サイズ調整された多糖類の多分散性は、M
w/M
n比として得られた。最初に0.14の理論dn/dc値を使用した。決定された場合、0.151の実験値を使用した。
【0215】
【表1】
【0216】
実施例2:様々な担体を用いた6Aコンジュゲートの製造
a) 天然肺炎球菌血清型6A多糖類vs. サイズ調整された肺炎球菌血清型6A多糖類
【0217】
様々な6Aコンジュゲートを製造するために使用した活性化条件及びカップリング条件は、表2に示される。
【0218】
【表2】
【0219】
結果として得られたコンジュゲートについての最終タンパク質/PS6A比(w/w)は以下のとおりであった:
PS6A-PD003:0.6/1 (天然PS6A、MALLSによるM
W 1106kDa)
PS6A-PhtD004:1.4/1 (天然PS6A、MALLSによるM
W1106kDa)
PS6A-PhtD008:2.7/1 (サイズ調整されたPS6A、ロットE01)
PS6A-dPly010:1.65/1 (サイズ調整されたPS6A、ロットE01)。
【0220】
b) 様々な担体にコンジュゲートしているサイズ調整された多糖類
【0221】
様々なPS6Aコンジュゲートを製造するために使用した活性化条件及びカップリング条件は、表3に示される。
【0222】
【表3】
【0223】
結果として得られたコンジュゲートについての最終タンパク質/PS6A比(w/w)は以下のとおりであった:
PS6A-PD/LS001及びPS6A-PD/LS002:1.6/1(サイズ調整されたPS6A、ロットE06)
PS6A-CRM197/025:1.3/1(サイズ調整されたPS6A、ロットE03)。
【0224】
PS6A
AH-PhtDコンジュゲート(ロット6A-PhtD106)
第2のコンジュゲーション法において、PS6Aを、リンカー(アジピン酸ジヒドラジド(ADH))を介して担体タンパク質PhtDに結合させた;このコンジュゲートは、PS6A
AH-PhtDと呼ばれる。
【0225】
PS6A誘導体化
温度制御ウォーターバス中で、25℃にて連続撹拌下で活性化及びカップリングを実施した。マイクロ流体化したPS6Aを希釈し、注射用水(WFI)中10mg/mlの最終多糖類濃度を得、この溶液を、0.1N HClでpH6.0±0.2に調整した。CDAP溶液(100mg/ml、アセトニトリル/WFI(50/50)中で新たに調製された)を、適切なCDAP/PS比(1/1、w/w)に達するまで添加した。
【0226】
0.2M NaOHの添加により、pHを活性化pH9.00±0.05まで上昇させた。
【0227】
3分後、適切なADH/PS比(8.9/1w/w)に達するまでADHを添加し;pHをカップリングpH9.0に調節した。溶液をpH調節下で1時間置いた。次いで、PS
AH誘導体を0.2M NaClに対して透析した。
【0228】
カップリング
0.2M NaCl中7.5mg/mlのPhtDを、3/1(w/w)のPhtD/PS6A
AH比に到達させるために、PS6A
AH誘導体(ADHリンカーを有するPS6A)に添加した。pHを、HClで5.0±0.05に調整した。EDAC溶液(0.1Mトリス-HCl中50mg/ml、pH7.5)を、10分以内(20μl/分)で、0.5mg EDAC/mg PS6A
AHに達するまで手動で添加した。結果として得られた溶液を、室温にて撹拌及びpH調節下、45分間インキュベートした。この溶液を、1mlの1Mトリス-HCl(pH7.5)の添加により中和し、室温で30分間置いた。
【0229】
Sephacryl S400HR上の溶出の前に、5μm Minisartフィルターを用いてコンジュゲートを清澄化した。結果として得られたコンジュゲートPS6A
AH-PhtD106は、2.84(w/w)の最終PhtD/PS6A比を有していた。
【0230】
相対保持時間の目標を選択した(RRT
150-1730 約0.50)。幾つかのコンジュゲート(6A-PhtD004(天然多糖類)及び6A-PhtD008(サイズ調整された多糖類)(上記))をサイズ調整された多糖類を用いて製造し、天然PS6Aを用いて製造したコンジュゲートと比較した。
【0231】
実施例3:抗PS6A応答の前臨床評価
40匹のマウスの群を、(ヒト用量の1/10で)PS6Aコンジュゲートを含有し、AlPO
4をアジュバントとして用いる14価(14V)製剤で、0、14及び28日目に筋肉内(IM)免疫した。42日目に回収した個々の血清中で、抗PS6A ELISA IgG力価及びオプソニン化貪食作用(OP)力価を測定した。
【0232】
14V-製剤は、以下のコンジュゲート:1-PD、3-PD、4-PD、5-PD、6B-PD、7F-PD、9V-PD、14-PD、18C-TT
AH、19A-dPly、19F-DT、22F-PhtD、23F-PDを含有していた。血清型6Aを、担体としてのPD、PhtD又はdPlyと共にコンジュゲート化した。
【0233】
結果は、
図1のELISA抗PS6A応答にまとめられる。
【0234】
結論:
最も高い抗PS6A ELISA IgG力価は、天然多糖類(1106kDa)を用いて製造したPS6A-PDコンジュゲートにより得られた。この評価は、サイズ調整された多糖類を用いたコンジュゲートについて、より低い免疫原性への傾向を示した。PhtDを担体として用いた場合、サイズ調整された多糖類を用いて製造されたコンジュゲート(14V (ロットE01を用いた6A-PhtD/008)により、より低い抗PS ELISA IgG力価が観察された。続いて、以下の実施例に記載されるとおり、プロセスのロバスト性を有し且つ結果として得られるコンジュゲートの免疫原性を有するPS6Aを製造するためのサイジング目標の変化について研究した。ロットE01由来のPS6Aより高い分子量を有するサイズ調整された多糖類を評価するために、以下の実験を実施した。
【0235】
実施例4:サイズ調整されたPS6A-CRM197コンジュゲートの評価
各コンジュゲートについて、コンジュゲーションパラメーターは表4に示される(PS6A及び担体濃度、初期担体/PS6A比(w/w)、カップリング時間及びCDAP/PS6A比(w/w))。
【0236】
溶液の調製
CDAP溶液
活性化の直前に、シアノジアミノピリジニウムテトラフルオロボレート(CDAP)溶液を、アセトニトリル/注射用水(50/50(v/v))中100mg/mlで調製した。
【0237】
活性化
天然の又はサイズ調整されたPS6Aを所定の濃度で希釈し、溶液のpHを6.0±0.2に設定した。0時点で、所定のCDAP/PS6A比(w/w)を得るためにCDAP溶液を手動で添加した。
【0238】
1.5分後、NaOHの添加によりpHを活性化pH値まで上昇させた。時間4.5分において、固定されたタンパク質/PS6A比(w/w)を得るために、(所定の濃度及びバッファーの)タンパク質溶液を添加した。溶液のpHを、所定のタイミング中にカップリングpH値に調節した(カップリング時間-表4参照)。
【0239】
時間T=カップリング時間+4分30秒において、グリシン2M溶液(pH9.0)を添加して反応をクエンチした。30分間のクエンチング後、コンジュゲートを精製カラム上に直接注入するか、又は精製前に+2〜+8℃において連続撹拌下で一晩置いた。
【0240】
精製
精製前に、凝集体及び粒子を除去するために、コンジュゲート溶液を5μm膜又は10μm膜を通して濾過した。次いで、コンジュゲートを、Sephacryl S400HRカラム(ベッド高:100cm +/- 10cm)上でNaCl 150mMを溶出剤として用いて精製した。その後、コンジュゲートを、0.22μmのPVDF(ポリビニリデンジフルオリド)膜上で滅菌濾過した。滅菌バルク(コンジュゲートバルク)を、製剤化まで+2〜8℃で保存した。
【0241】
特性評価
滅菌コンジュゲート上の最終タンパク質/多糖類比(w/w)を、Lowry/レゾルシノール濃度の比によって決定した。抗原性及び遊離PS(多糖類)含有量を、本明細書中以下に記載される方法を用いて決定した。データは表5に示される。
【0242】
抗原性試験
天然多糖類に100%の抗原性指数値を割り当てた。抗原性指数と免疫原性との間に相関関係が確立されない限り、サイズ調整された多糖類の抗原性の決定は、指標値として実施した。その目的は、この値を可能な限り高く保持することであった。この値は、ELISAにより決定された。
【0243】
多糖類の抗原性は、サンドウィッチ型ELISAにおいて決定された(抗原性の測定については実施例1を参照)。
【0244】
ELISAによる遊離PS含有量
コンジュゲートと抗担体血清との反応後、飽和硫酸アンモニウム(SAS)を用いて複合体を沈殿させた。遠心分離後、遊離PS06A含有量を、上清上でELISAにより実施した(抗PS/抗PS、パート2.8.1.2参照)。遊離PSのパーセントを、レゾルシノール法により測定された総PS含有量と比例させて計算した。
【0245】
上清中のコンジュゲートの不存在もまた、α-担体/α-PS06A ELISAにより制御された。
【0246】
【表4】
【0247】
【表5】
【0248】
第1セットのコンジュゲート(PS6A-CRM197/015、PS6A-CRM197/016)は、天然多糖類(MALLSによるM
W 990kDa)を用いて製造され、到達可能な最終CRM/PS比及び結果として得られるコンジュゲートの濾過性に関する限界を示した(表5)。
【0249】
第2セットのコンジュゲート(PS6A-CRM197/017、PS6A-CRM197/018、PS6A-CRM197/019、PS6A-CRM197/020、PS6A-CRM197/021)は、サイズ調整された多糖類(ロットE01)を用いて製造された。CDAP/PS比及び/又は初期CRM/PS比を増加させることにより、所望の最終CRM/PS比及び多糖類収率に達し得る。最良条件(PS6A-CRM197/021)は、新たなサイズ調整された多糖類のロットであるが先のものより高い分子量を有するロット(ロットE03)を用いて再現された。しかしながら、濾過問題が観察された。カップリング時間又はCDAP/PS6A比を低下させることによって、濾過問題が解決されたことが見出された。
【0250】
第3セットのコンジュゲート(PS6A-CRM197/022、PS6A-CRM197/023、PS6A-CRM197/024)は、サイズ調整された血清型6A多糖類(ロットE03)を用いて製造された。最良条件(PS6A-CRM197/024)は以下のとおりであった:2M NaCl中10mg/mlの多糖類濃度、1/1(w/w)のCDAP/PS比、10mM K/K
2PO
4(pH7.2)、0.2M NaCl中10mg/mlのCRM濃度、1.5/1(w/w)の初期CRM/PS比、活性化pH及びカップリングpH9.5、及び120分間のカップリング時間。結果として得られたコンジュゲートは、包括的収率約65%について、最終CRM/PS比約1.2/1(w/w)を有していた。
【0251】
実施例5:200mgスケールにおけるサイズ調整された6A-CRM197コンジュゲートの製造
200mg-PSスケールにおけるスケールアップを実施した(表6及び表7)。
【0252】
【表6】
【0253】
【表7】
【0254】
200mg-PSスケールロットに由来するデータは、小スケールで得られたデータと一致していた。結果として得られたコンジュゲートは、56%の包括的多糖類収率について、1.25〜1.32/1の最終CRM/PS比を有していた。安定性に関しては、HP-SEC分析又はELISAによる遊離多糖類含有量において問題は見られなかった(化学的方法ではデータは入手できなかった)。
【0255】
これらの結果に基づき、以下の条件でさらなるロット(以下の表5参照)を製造した:2M NaCl中10mg/mlの多糖類濃度、1/1(w/w)のCDAP/PS比、10mM K/K
2PO
4(pH7.2)、2M NaCl中10mg/mlのCRM濃度、1.5/1(w/w)の初期CRM/PS比、活性化pH及びカップリングpH9.5及び120分間のカップリング時間。
【0256】
実施例6:マウスにおけるPS6Aコンジュゲートの免疫原性
様々なサイズ調整されたPS6Aコンジュゲートを、Balb/cマウスにおいて(一価製剤として)評価した:サイズ調整されたPSを用いて製造した、6A-CRM197(PS6A-CRM025)コンジュゲート、6A-PD(PS6A-PDLS001(E06))コンジュゲート、6A-PD(PS6A-PDLS002(E06))コンジュゲート、6A-PhtD(PS6A-PhtD008)コンジュゲート、及び6A
AH-PhtD(PS6A-PhtD106(E04))コンジュゲート、PS6A-PhtD(PS6A-PhtD100(E06))コンジュゲート。
【0257】
34Balb/cマウスを、AlPO
4上に吸着させた0.3μgの様々なPS6Aコンジュゲートで3回(0日目、14日目及び28日目)免疫した。抗PS6A ELISA IgG力価レベル及びオプソニン貪食作用(OP)力価を、42日目に回収した個々の血清中で測定した。結果は
図2A及び2Bに示される。ELISA及びOPAにおいて、PS6A-AH-PhtD(CDAP/EDAC)及びPS6A-CRM025(CDAP)により、有意に高い抗体応答が誘導された。
【0258】
実施例7:サイズ調整されたPS6Aの特性評価
CRM197濃度
CRM197の解凍
精製バルクを、-20℃において、10mM K/K
2PO
4(pH7.2)中1.917mg/mlの濃度で保存する。7.5gの精製バルクを、+2/+8℃で一晩解凍した。
【0259】
UFによる濃度
室温にて、セントラメイトデバイス上で限外濾過を実現した。
限外濾過膜は、10kDaのカットオフを有する0.09m
2のオメガ媒体スクリーン膜(2枚膜)であった。循環流速は1200ml/分であり、実行中に印加された膜貫通圧は7〜10psiであった。
【0260】
約15mg/mlの濃度に達するために、CRM197バルクを7.5倍濃縮した(コンジュゲーションの目標>10mg/ml)。
【0261】
0.22μm上の濾過
限外濾過後、濃縮バルクを、0.22μm Millipack 20フィルター(PVDF)上で、20ml/分で滅菌濾過した。次いで、滅菌濾過されたバルクを、カップリングにおける使用まで-20℃で保存した。
【0262】
サイズ調整されたPS6Aを以下の試験:MALLS及びELISAによる抗原含有量により特性評価した。2ヶ月後、-70℃において安定性を評価した(T=0をT=2ヶ月と比較した)。サイズ調整されたPS6Aが-70℃で保存される場合、安定性問題は観察されない。サイズ調整されたPS6Aの特性評価の結果は(表8)にまとめられる。
【0263】
【表8】
【0264】
2つのコンジュゲート(D06ADJA001、D06ADJA002)を、サイズ調整されたPS6Aのロット及び担体としてのロットを用いて、2g-PSスケールで製造した。コンジュゲーションの条件は、本明細書中以降に記載されている。
【0265】
反応は、25+/-1℃において、1L-バイオリアクター中で実施した。
【0266】
2gのサイズ調整されたPS6Aを、2M NaCl中10mg/mlに希釈し、この溶液のpHを0.05N HCl溶液で6.0+/-0.2に調整した。
【0267】
T=0で、溶液中2gのCDAP(CH
3CN/H
2O(50/50)中100mg/mlの溶液)を、上記溶液に手動で添加した(CDAP/PS比=1.0/1(w/w))。
【0268】
T=1分30秒で、0.5N NaOHの添加により、pHを9.5+/-0.05まで増加させた。目標pHに達するまで約90秒かかった。
【0269】
T=4分30秒で、3gのCRM197(10mM KH
2PO
4/K
2HPO
4(pH7.2)、2M NaCl中10mg/mlの溶液)を、1.5/1(w/w)のCRM197/PS6A比に達するため、活性化PS6Aの溶液に1分以内に添加した。120分間の間、pHを9.5+/-0.05に調節した。
【0270】
T=124分30秒で、100mLの2Mグリシン(pH9.0)の溶液を添加して、コンジュゲートをクエンチした(Gly/PS比 = 7.5/1(w/w))。30分間のクエンチング後、混合物のpHを、5N HClを用いて6.5+/-0.2に調整した。pHが安定した場合、コンジュゲートを、清澄化及び精製の前に、+2/+8℃において連続撹拌下で一晩置いた。
【0271】
精製
Sephacryl S400HR上の溶出の前に、10μm Kleenpack HDCIIフィルターを50ml/分で用いてコンジュゲートを清澄化した。
【0272】
次いで、コンジュゲートをSephacryl S400HR上に注入した。溶出は0.15M NaCl溶液により行われ、回収プールはKd値に基づいた。Kdは、分配係数である(Kd=(V
e-V
0)/(V
t-V)、V
e=溶出容量、V
0=ボイド容量、V
t=カラムの総容量)。
【0273】
プール回収について、以下の判定基準:OD
280nm=0.05AUから0.28のKd値までを使用した。
【0274】
滅菌濾過
濾過前に、バルクを室温に戻した。
【0275】
ロットを、Opticap 4”滅菌膜(1900cm
2、PVDF)上で、流速40ml/分で濾過した。フィルターは、濾過前に0.15M NaClバッファーですすいだ。濾過後、200μlの0.15M NaClをフィルターに通過させ、材料の損失を制限した。濾過中に問題は見られなかった。
【0276】
前臨床評価
48匹の雌Balb/cマウス(4週齢)の群を、0.1μgの、D06ADJA001、D06ADJA002、PS6A-CRMLS001(サイズ調整されたPS6A、ロットE07を用いて製造)、PS6A-CRMLS002(サイズ調整されたPS6A、ロットE07を用いて製造)又はPS6A-PDLS001(ベンチマークとして)のいずれかを含有する吸着コンジュゲート製剤(AlPO
4)を用いて、0日目、14日目及び28日目にIM免疫した。
【0277】
抗PS6A IgGレベル(
図3A)及びオプソニン化貪食作用力価(
図3B)を、42日目に回収した個々の血清中で測定した。ELISA及びOPAにおいて、実施例7に従って製造されたPS6A-CRMにより誘導された抗体応答では、実施例5に従って製造されたPS6A-CRMと比較して有意な差異は観察されなかった。
【0278】
実施例8:6Aコンジュゲートの調製
サイズ調整された6Aコンジュゲート(ロットE06AADJA059)を、200mg PSスケールで製造したサイズ調整された6Aのコンジュゲーションパラメータ(実施例5を参照)を用いて、15Lリアクター中で15g PSスケールで製造した。次いで、コンジュゲートを、Sephacryl S400HRカラム(BPG450カラム(GE Healthccare))上でNaCl 150mMを溶出剤として用いて精製した。その後、コンジュゲートを0.22μm PDVF膜上で滅菌濾過し、2〜8℃で保存した。このコンジュゲートを濃縮し(5x)、10kDa MWCO OMEGA PES膜(T-シリーズ、PALL)を用いてWFI(注射用水)に対して透析濾過した(10透析濾過容量)。次いで、残余分を0.22μm膜上で濾過した。