(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記細長シャフトの前記長手方向軸線に対する前記エンドエフェクタの前記角度が大きくなるほど、前記細長シャフト及び前記エンドエフェクタの前記回転を生じさせるために前記第1のアクチュエータに加えられる必要のある力の量が大きくなるように前記摩擦部材が構成されている、請求項15に記載の外科用装置。
前記摩擦部材は、前記細長シャフトの前記長手方向軸線に対する前記エンドエフェクタの前記角度に基づいて、ロック形態とロック解除形態との間で動くように構成されたクラッチ機構を含み、前記力の量は、前記クラッチ機構が前記ロック形態にあるか又は前記ロック解除形態にあるかに対応する、請求項15に記載の外科用装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本明細書で開示する装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が得られるように、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態の1つ以上の例が、添付の図面に示されている。当業者であれば、本明細書で具体的に説明され、かつ添付の図面に例示される装置及び方法が、非限定的な例示的実施形態であること、並びに本発明の範囲が、特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。1つの例示的な実施形態に関連して例示又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0016】
更に、本開示においては、実施形態の同様の参照符合を付した構成要素は概して同様の特徴を有するものであり、したがって、特定の実施形態において、同様の参照符合を付した各構成要素の各特徴について必ずしも完全に詳しく述べることはしない。加えて、開示されるシステム、装置及び方法の説明で直線寸法又は円寸法が使用される範囲において、かかる寸法は、かかるシステム、装置及び方法と組み合わせて使用することができる形状の種類を限定しようとするものではない。当業者には、任意の幾何学的形状についてかかる直線寸法及び円寸法に相当する寸法を容易に決定することができる点が認識されるであろう。システム及び装置並びにその構成要素のサイズ及び形状は、少なくともシステム及び装置が用いられる被験者の解剖学的構造、システム及び装置がそれらと共に用いられる構成要素のサイズ及び形状、並びにシステム及び装置が用いられる方法及び処置によって決まりうる。
【0017】
エンドエフェクタの関節動作中に回転トルクを増大させるための装置及び方法が提供される。一般に、外科用装置は、関節動作するように構成されたエンドエフェクタを有することができる。エンドエフェクタは、遠位端部にエンドエフェクタを有する装置の細長シャフトに対して異なる角度方向の間で動くように構成することができる。細長シャフト及びエンドエフェクタは、装置のハンドル部分に対して回転されるように構成することができる。装置は、エンドエフェクタが関節動作されていない場合と比較して、エンドエフェクタが関節動作されている場合に細長シャフト及びエンドエフェクタの回転に対する抵抗を増大させるように構成された少なくとも1つの摩擦部材を有することができる。少なくとも1つの摩擦部材はこのように、エンドエフェクタが関節動作されていない場合と比較して、エンドエフェクタが関節動作されている場合に回転トルクを増大させるように構成することができる。換言すれば、少なくとも1つの摩擦部材は、エンドエフェクタが関節動作されていない場合と比較して、エンドエフェクタが関節動作されている場合に細長シャフト及びエンドエフェクタを回転させるために必要な力の量、例えば、ユーザが装置に加える必要がある力の量を増加させるように構成することができる。したがって、エンドエフェクタが関節動作されていない場合と比較して、エンドエフェクタが関節動作されている場合には細長シャフト及びエンドエフェクタの回転を引き起こすためにより大きな回転トルク力が装置に加えられなければならないので、エンドエフェクタが関節動作される際に意図せずに回転する可能性をより低くすることができ、これにより、外科手技の実施中におけるエンドエフェクタの位置の正確な制御が可能となり、したがって、組織に対する把持力を失うことなく、かつ/又は隣接組織若しくは任意の他の隣接構造に損傷を与えることなく、エンドエフェクタが組織を意図したとおりに操作する助けとなりうる。
【0018】
図1は、遠位方向に延在するシャフトアセンブリ6を有する近位ハンドル部分4を有しうる外科用装置2の一実施形態を示す。
図2及び
図3にも示すように、装置2は、シャフトアセンブリ6の遠位端に連結された、本明細書において「エンドエフェクタ」とも称される作動要素8を有することができる。エンドエフェクタ8は、枢動継手10においてシャフトアセンブリ6に連結することができる。エンドエフェクタ8の近位端は、シャフトアセンブリ6の遠位端において、継手10に枢動可能に連結することができる。
【0019】
エンドエフェクタ8は、様々な寸法、形状、及び構成を有することができる。
図1〜
図3に示すように、第1及び第2のジョー12a、12bを含むエンドエフェクタ8は、外科用装置2の遠位端に配設することができる。この例示的な実施形態におけるエンドエフェクタ8は、開放位置と閉鎖位置との間で動くように構成された一対の対向したジョー12a、12bを有する組織把持器具を有している。エンドエフェクタ8は、例えば、ハサミ、バブコック、リトラクタなどの他の構成を有しうる。例示的な実施形態において、エンドエフェクタ8は、剛性でありうる。エンドエフェクタ8は、枢動継手10において枢動可能に連結される、第1の上部又は上側ジョー12aと、第2の下部又は下側ジョー12bとを有することができる。
【0020】
ジョー12a、12bの一方又は両方は、その組織係合表面上に電極24を有することができる。電極24は、ジョー12aとジョー12bとの間に配置された組織と接触して組織にエネルギーを印加するように構成することができる。この図示の実施形態における電極24は、下側ジョー12b上のU字形状の電極と、上側ジョー12a上の対応するU字形状の電極(図では隠れている)とを含んでいるが、電極24は、上側ジョー12a及び/又は下側ジョー12b上に種々の方式のいずれによって配置してもよい。装置2の電極24は概して、参照によってその全容が本明細書に組み込まれる、2015年3月16日出願の米国特許出願第14/658,944号、名称「Methods and Devices for Actuating Surgical Instruments」に記載されている電極と同様に構成及び使用することができる。
【0021】
ハンドル部分4は、多様なサイズ、形状、及び構成を有することができる。ハンドル部分4はメインハウジング32を有することができ、このメインハウジングは、内部に様々な要素を収容することができ、また第1のアクチュエータ13、第2のアクチュエータ14、第3のアクチュエータ16、及び第4のアクチュエータ18など、外側からアクセス可能ないくつかの要素を有することができる。
【0022】
第1のアクチュエータ13は、対向するジョー12a、12bの開閉(例えば、ジョー12a、12bの互いに向かう動き及び互いから離れる動き)を行うように構成することができる。
図1〜3のジョー12a、12bは、開放位置にて示されている。この例示的な実施形態にあるように、上側ジョー12aは、シャフトアセンブリ6に対して静止した状態に維持されうる下部ジョー12bに対して動いて、エンドエフェクタ8の開閉を行うように構成することができる。他の実施形態においては、エンドエフェクタの開閉を行うために、下部ジョーを上側ジョーに対して動くように構成してもよく、又は上側及び下側ジョーの両方がシャフトアセンブリに対して動くように構成してもよい。
【0023】
第1のアクチュエータ13は、切断要素(図では隠れている)(例えば、ナイフ、ブレードなど)をエンドエフェクタ8に沿って直動させるように構成することができる。切断要素は、当業者には理解されるように、ジョー12aとジョー12bとの間に配置された組織を切断するように構成することができる。
図3に示すように、ジョー12a、12bは、その組織係合表面(上側ジョー12aのスロットは
図3では隠れている)に細長スロット28を有してよく、切断要素はこの細長スロットを通じてスライドするように構成することができる。
【0024】
例示的な実施形態において、第1のアクチュエータ13は、本明細書において「閉鎖トリガー」及び「可動ハンドル」とも称されるグリップアームを有することができる。閉鎖トリガー13は、他の実施形態では、例えば、サムレストなし、複数の指ループ、種々の弓状形状など、種々の寸法、形状及び構成を有することができる。この図の実施形態におけるように、閉鎖トリガー13は、メインハウジング32に枢動可能に取り付けることができる。閉鎖トリガー13は、以下で更に論じるように、メインハウジング32に近づく方向に、またメインハウジングから離れる方向に動くことによってエンドエフェクタ8を開閉させるように構成することができる。
【0025】
第2のアクチュエータ14は、エンドエフェクタ8の関節動作(例えば、シャフトアセンブリ6の長手方向軸線Aに対するジョー12a、12bの同じ方向への運動)を行うように構成することができる。関節動作は、ジョー12a、12bの開閉とは独立したものとすることができる。
図1〜3のエンドエフェクタ8は、非関節動作位置にある状態(例えば、長手方向軸線Aに沿ってほぼ直線的な方向となるように長手方向軸線Aに対する角度がほぼ0°)で示されている。エンドエフェクタ8のシャフトアセンブリ6の長手方向軸線Aに対する角度が厳密に0°でない場合もあるが、製造公差及び角度測定装置の感度など、任意の1つ以上の要因により、シャフトアセンブリ6の長手方向軸線Aに対する角度がほぼ0°であると見なされうることは、当業者には理解されよう。第2のアクチュエータ14は、メインハウジング32内に配設することができる、以下で更に説明する作動機構に作動的に連結することができ、これにより第2のアクチュエータ14の作動(例えばユーザの手動による運動)がエンドエフェクタ8の関節動作を引き起こすことができる。例示的な実施形態において、第2のアクチュエータ14は、作動されることでジョー12a、12bを長手方向軸線Aに対して反対の方向D1、D2(
図3に図示)に関節動作させるように構成することができる。
【0026】
第2のアクチュエータ14は、様々な寸法、形状及び構成を有することができる。この例示的な実施形態にあるように、第2のアクチュエータ14は、回転可能ノブを有することができる。第2のアクチュエータ14の一方向(例えば、時計回り)への回転は、エンドエフェクタ8の第1の方向D1(例えば、右)への関節動作を引き起こすように構成することができ、第2のアクチュエータ14の反対方向(例えば、反時計回り)への回転は、エンドエフェクタ8の第2の方向D2(例えば、左)への関節動作を引き起こすように構成することができる。ノブ14は剛性であってよく、例えば、剛性材料で形成することができる。ノブ14は、
図5に示すように可動リングを含むことができる。ノブ14は、この例示的な実施形態にあるようにその外部表面に1つ以上の指くぼみを有することができる。指くぼみは、指くぼみに置かれた1本以上の指を使用したノブ14の手動運動を助けることができる。この例示的な実施形態にあるように、指くぼみは、ノブの外部表面の全周にわたって延在してよい。
【0027】
第3のアクチュエータ16は、シャフトアセンブリ6及びエンドエフェクタ8を、シャフトアセンブリ6の長手方向軸線Aを中心として回転させるように構成することができる。第3のアクチュエータ16は、この例示的な実施形態においては、長手方向軸線Aを中心として回転することができる回転可能ノブを有しているが、第3のアクチュエータ16は、例えば、レバー、ボタン、可動ハンドルなどの、様々な他の構成を有してもよい。この例示的な実施形態にあるように、第3のアクチュエータ16は、シャフトアセンブリ6及びエンドエフェクタ8を、時計回り方向及び反時計回り方向の両方に360°連続して繰り返し回転させるように構成することができる。言い換えると、シャフトアセンブリ6は、無限の双方向回転を行うように構成することができる。当業者には理解されるように、シャフトアセンブリ6及びエンドエフェクタ8は、外科処置の実施中に必要に応じて360°よりも小さい角度で回転させることができ(例えば、20°の回転、90°の回転、150°の回転など)、また、外科処置の実施中に必要に応じて360°よりも大きな角度で回転させることができる(例えば、450°の回転、480°の回転、720°の回転など)。
【0028】
この例示的な実施形態にあるように、外科用装置2は、電力供給され、かつ無線周波数(RF)エネルギーなどのエネルギーを組織に付与するように構成された電気外科用器具として構成することができる。ハンドル部分4は、ハンドル部分から近位方向に延びる電源コード(図示せず)を有することができ、この電源コードは、発電機に接続すること、電気コンセントに差し込むことなどによって、装置2に電力を供給するように構成することができる。他の実施形態では、外科用装置は、電極供給されなくてもよく、例えば、組織にエネルギーを印加するように構成されなくてもよい。
【0029】
第4のアクチュエータ18は、電極24を介して組織に供給することができるエネルギーの印加をオン及びオフにするように構成することができる。第4のアクチュエータ18は、この例示的な実施形態においてはボタンを含むが、第4のアクチュエータ18は、他の構成、例えば、ノブ、レバー、可動ハンドル、スイッチなどを有してもよい。他の実施形態では、第4のアクチュエータ18は、第1のアクチュエータ13の代わりに切断要素を直動させるように構成することもできる。
【0030】
シャフトアセンブリ6は、様々な寸法、形状及び構成を有することができる。シャフトアセンブリ6は、任意の長手方向長さを有しうるが、例示的な実施形態では、エンドエフェクタ8が体腔内に配設された状態でシャフトアセンブリ6が体内の開口部を通って延びている間に、患者の体外でハンドル部分4を操作することが可能となるように十分に長いものであってよく、例えば、約33cmの長手方向長さなど、約25cm〜50cmの範囲の長手方向長さを有することができる。このようにして、エンドエフェクタ8は、装置2が外科手技の間に使用される際に容易に操作することができる。シャフトアセンブリ6は、任意の直径を有することができる。例えば、シャフトアセンブリの直径は、約15mm以下(例えば、約10mm以下、約7mm以下、約5mm以下など)とすることができ、これにより、腹腔鏡下の外科処置中などに低侵襲性のアクセス装置を介してシャフトアセンブリ6を挿入することができる。シャフトアセンブリの遠位端部に嵌合されたエンドエフェクタ8は、少なくともジョー12a、12bが閉位置にある場合にシャフトアセンブリの直径以下の直径を有することができ、これにより、装置の遠位部分の患者の体内への挿入を容易に行うことができる。
【0031】
この例示的な実施形態にあるように、シャフトアセンブリ6は、細長い外側シャフト34(本明細書において「シェル」とも称される)と、ハンドル部分4とエンドエフェクタ8との間に延在する少なくとも1つの作動シャフトとを含むことができる。1つ以上の作動シャフトは、エンドエフェクタ8の関節動作を容易とし、エンドエフェクタ8の開放/閉鎖を容易とし、かつ/又はエンドエフェクタ8に沿った切断要素の運動を容易とするように構成することができる。この例示的な実施形態では、
図3に示すように、装置2は、エンドエフェクタ8の関節動作を容易にするように構成された第1及び第2の作動シャフト26a、26bと、エンドエフェクタ8に沿った切断要素26の運動を容易にするように構成された第3の作動シャフト26cとを有することができる。他の実施形態では、外科用装置は、エンドエフェクタの関節動作を容易にするように構成された作動シャフトと、エンドエフェクタに沿った切断要素の運動を容易にするように構成された作動シャフトとの任意の組合せを含んでもよく、例えば、第1及び第2の作動シャフトのみを含んでもよく、第3の作動シャフトのみを含んでもよく、第1、第2及び第3の作動シャフトを含んでもよい、といった具合である。作動シャフトはそれぞれ比較的小さな直径を有してよく、これにより低侵襲性の外科処置において使用されるように構成された装置内に作動シャフトを組み込むことが容易になる。
【0032】
第1、第2、及び第3の作動シャフト26a、26b、26cはそれぞれ、様々な構成を有することができる。この例示的な実施形態では、各作動シャフト26a、26b、26cは、細長い平面状の部材を含むことができる。作動シャフトの例が更に、2015年3月16日に出願された、前述した米国特許出願第14/658,944号、名称「Methods and Devices for Actuating Surgical Instruments」に記載されている。
【0033】
第1及び第2の作動シャフト26a、26bは、エンドエフェクタ8の関節動作を容易にするように装置の第2のアクチュエータ14に作動的に連結することができる。第1及び第2の作動シャフト26a、26bは、様々な方式で装置の第2のアクチュエータ14に作動的に連結することができる。この例示的な実施形態と同様に、
図4〜7に示し、更に以下で説明するように、装置2は、第1及び第2のナット44a、44bと、第1及び第2の連結ロッド22a、22bとを有することができる。第2の作動シャフト22bはまた、
図8にも独立した要素として示されている。第1のナット44a及び第1の連結ロッド22aは、第1の作動シャフト26aを第2のアクチュエータ14に作動的に連結するように構成することができ、第2のナット44b及び第2の連結ロッド22bは、第2の作動シャフト22bを第2のアクチュエータ14に作動的に連結するように構成することができる。
【0034】
第3の作動シャフト26cは、エンドエフェクタ8を通じた切断要素の運動を容易にするように、装置の第4のアクチュエータ18に作動的に連結することができる。第3の作動シャフト26cは第1のアクチュエータ13に作動的に連結することができ、これにより第1のアクチュエータ13の作動が第3の作動シャフト26cの運動を引き起すことによってエンドエフェクタ8に沿って切断要素を動かし、かつジョー12a、12bを閉鎖させる(例えば、エンドエフェクタ8を閉鎖位置へと動かす)ように構成することができる。第3の作動シャフト26cは、その遠位端部に連結された圧縮部材30(
図3を参照)を有することができる。圧縮部材30は、この例示的な実施形態では、その遠位端部に切断要素を有することができる。圧縮部材30は、第1及び第2のジョー12a、12bに形成された対向する溝(図では隠れている)内でエンドエフェクタ8に沿って直動することによって、圧縮部材30上の切断要素がエンドエフェクタ8に沿って直動する際にジョー12a、12bを閉鎖するように構成することができる。圧縮部材の例は更に、参照によってその全ての内容が本明細書に組み込まれる、2014年1月28日出願の米国特許出願公開第2015/0209059号、名称「Methods And Devices For Controlling Motorized Surgical Devices」に、また、2011年9月19日出願の前述の米国特許出願公開第2012/0078247号、名称「Articulation Joint Features For Articulating Surgical Device」に更に記載されている。
【0035】
第3の作動シャフト26cは、様々な方式で第1のアクチュエータ13に作動的に連結することができる。この例示的な実施形態では、
図4〜6に示すように、第1のアクチュエータ13は、レバー38を介して閉鎖機構36に作動的に連結することができる。ハウジング32に向かう、例えば固定ハンドル15(
図1及び2を参照)に向かう第1のアクチュエータ13の運動はレバー38の旋回運動を引き起こすように構成することができ、この旋回運動は、閉鎖機構36を遠位方向に動かすように構成することができる。
図4及び5に示すように、第3の作動シャフト26cは閉鎖機構36に固定的に連結されてよく、これにより閉鎖機構36の遠位方向への運動が第3の作動シャフト26c及びそれに結合された圧縮部材30の遠位方向への運動を引き起こすことによって、エンドエフェクタ8の閉鎖及びエンドエフェクタ8に沿った切断要素の遠位方向への運動を引き起こす。同様に、閉鎖トリガー13がハウジング32から離れる方向に、例えば固定ハンドル15から離れる方向に動くと、閉鎖機構36の近位方向への運動を引き起こすことによりエンドエフェクタ8を開かせ、切断要素をエンドエフェクタ8に沿って近位方向に動かすことができる。
【0036】
他の実施形態では、第1のアクチュエータ13を切断要素の直動及びエンドエフェクタ8の閉鎖を引き起こすように構成する代わりに、装置2が、エンドエフェクタ8を閉鎖させるように構成された1つのアクチュエータ(例えば第1のアクチュエータ13)と、切断要素の運動を引き起こすように構成された別のアクチュエータ(例えば、不図示の第5のアクチュエータ)とを含んでもよい。
【0037】
第4のアクチュエータ18は、導電リード20(
図4及び5に示す)に作動的に接続することができるが、導電リードは、この実施形態では、電源コード及び電極24と電気的に通信するように構成されたRFケーブルを含んでいる。第4のアクチュエータ18の作動、例えば、ボタンの押下は、回路を閉鎖することにより、電力がRFケーブル20に供給され、それによって電力が電極24に供給されるように構成することができる。
【0038】
装置2は、エンドエフェクタ8の関節動作を容易にするように構成された屈曲領域41を有することができる。屈曲領域は、
図2に示す可撓性シェル43を有することができる。可撓性シェル43は、可撓性部材として、ひび割れ、破損又は損傷することなく撓曲又は屈曲するように構成することができ、これにより、エンドエフェクタ8の関節動作を容易とすることができる。可撓性シェル43は、可撓性シェルを通って延在する内腔と、可撓性シェルに沿って長手方向に延在する上側スパインと、可撓性シェルに沿って長手方向に延在する下側スパインと、可撓性シェル43の両側(例えば、左側及び右側)で上側スパインと下側スパインとの間に延在する複数の離間したリブと、を有することができる。第1、第2、及び第3の作動シャフト26a、26b、26c並びにRFケーブル20はそれぞれ、可撓性シェル43の内腔を通して延在することができる。可撓性シェルの例示的な実施形態は、2011年9月19日出願の米国特許出願公開第2012/0078247号、名称「Articulation Joint Features For Articulating Surgical Device」、及び2015年3月16日出願の米国特許出願第14/659,037号、名称「Flexible Neck For Surgical Instruments」で更に説明されており、これらは参照によってその全ての内容が本明細書に組み込まれる。
【0039】
上記のとおり、第2のアクチュエータ14は、エンドエフェクタ8の関節動作を容易にするように構成することができ、関節動作は、やはり上記のとおり、可撓性シェル43の屈曲又は撓曲を含むことができる。第2のアクチュエータ14に作動的に連結された作動機構は、様々な寸法、形状及び構成を有することができる。この例示的な実施形態にあるように、作動機構は、装置2の近位ハンドル部分4に連結することができ、かつ本明細書に記載のとおりユーザが手動で作動させることでエンドエフェクタ8の関節動作を行うように構成することができる第2のアクチュエータ14を含むことができる。
図9は、第2のアクチュエータ14を独立した要素として断面図で示している。この例示的な実施形態では、第2のアクチュエータ14は、メインハウジング32の外側からユーザにとってアクセス可能となるように構成されたリング形状部分を含んでよく、また、そのリング形状部分から近位方向に延在し、かつメインハウジング32内に収容されるように構成された細長管状部分を含むことができる。したがって、第2のアクチュエータ14は、カニューレ状であってよい。
【0040】
第2のアクチュエータ14は、その内部表面14iに形成された第1及び第2のねじ山42a、42bを有することができる。以下で更に論じるように、第1のねじ山42aは、第1の作動シャフト26aと関連付けられ、第2のねじ山42bは、第2の作動シャフト26bと関連付けることができる。第1及び第2のねじ山42a、42bは、この例示的な実施形態にあるように、互いから独立させることができ、第1及び第2のねじ山42a、42bはそれぞれ、別個の経路を画定している。第1及び第2のねじ山42a、42bは、第2のアクチュエータ14の周りに反対の方向、例えば、一方は左回り、他方は右回りに巻くことができる。第1及び第2のねじ山42a、42bは、第2のアクチュエータの内部表面14iの周囲に任意の長さを有することができる。例示的な実施形態において、第1及び第2のねじ山42a、42bは、第2のアクチュエータの内部表面14iの周囲に同じ長さを有することができ、これにより、エンドエフェクタ8の対称的な関節動作を容易にすることができる。この例示的な実施形態における第1及び第2のねじ山42a、42bは溝を含み、溝は、溝内を摺動するように構成された対応する突出部と嵌合するように構成されている。他の実施形態において、第2のアクチュエータ14の第1及び第2のねじ山42a、42bは、対応する溝と摺動可能に嵌合するように構成された突出部を有することができる。
【0041】
作動機構は、第2のアクチュエータ14と運動可能に嵌合するように構成された、本明細書において「ドラム」とも称される第1及び第2のナット44a、44bを有することができる。第1及び第2のドラム44a、44bは、様々な寸法、形状及び構成を有することができる。以下で更に論じるように、第1のナット44aは、第1の作動シャフト26aと関連付けられ、第2のナット44bは、第2の作動シャフト26bと関連付けることができる。この例示的な実施形態にあるように、第1及び第2のドラム44a、44bはそれぞれ、概ね円筒形状であり、カニューレ状であってよい。第1及び第2のドラム44a、44bはそれぞれ、
図4〜7(説明を明確にするために第1のドラム44aは
図7から省略されている)に示すように、第2のアクチュエータ14のカニューレ状の内部に配設されるように構成されうる。
図10〜12は、第1のドラム44aを独立した要素として示している。
【0042】
第1のドラム44aは、その外部表面上に、第2のアクチュエータ14の第1のねじ山42aと螺合するように構成することができる第3のねじ山46aを有してよく、第2のドラム44bは、その外部表面上に、第2のアクチュエータ14の第2のねじ山42bと螺合するように構成することができる第4のねじ山46bを有することができる。第3及び第4のねじ山46a、46bは、この例示的な実施形態にあるように、互いから独立させることができ、第3及び第4のねじ山46a、46bはそれぞれ、別個の経路を画定している。第3及び第4のねじ山46a、46bは、その対応するドラム44a、44bの周りを反対の方向、例えば、一方は左回り、他方は右回りに巻くことができ、それによって、第1及び第2のねじ山42a、42bの反対の右回り及び左回りとの嵌合を容易にする。第3及び第4のねじ山46a、46bは、その対応するドラムの外部表面44c、44dの周囲に任意の長さを有することができる。例示的な実施形態において、第3及び第4のねじ山46a、46bは、その対応するドラムの外部表面の周囲に同じ長さを有することができ、これにより、エンドエフェクタ8の対称的な関節動作を容易としうる。この例示的な実施形態における第3及び第4のねじ山46a、46bは、対応する溝(例えば、溝42a、42b)と摺動可能に嵌合するように構成された突出部を含むが、他の実施形態においては、第3及び第4のねじ山46a、46bは、対応する突出部と摺動可能に嵌合するように構成された溝を有することができる。
【0043】
第2のアクチュエータ14の作動に応じて、例えば、ユーザによる第2のアクチュエータ12の回転に応じて、第2のアクチュエータ14は、その長手方向軸線A2(
図9に図示)を中心として回転するように構成することができる。この例示的な実施形態にあるように、第2のアクチュエータの長手方向軸線A2は、シャフトアセンブリの長手方向軸線Aと同軸であってよい。第2のアクチュエータ14は、回転中、自身の長手方向軸線A2に沿って静止した状態であるように構成することができる。言い換えると、第2のアクチュエータ14は、その回転中、遠位方向又は近位方向に動かないように構成することができる。第2のアクチュエータ14の回転により、第2のアクチュエータ14内に配設されかつ第2のアクチュエータ14と螺合した第1及び第2のドラム44a、44b(例えば、第3のねじ山46aと螺合した第1のねじ山42a及び第4のねじ山46bと螺合した第2のねじ山42b)が同時に動きうる。第1及び第2のねじ山42a、42bと、その対応する第1及び第2のドラム44a、44bの第3及び第4のねじ山46a、46bとの反対方向のねじ切りにより、第1及び第2のドラム44a、44bを反対の方向へと動かすことができる。第1及び第2のドラム44a、44bのうち一方は近位方向に動くことができ、第1及び第2のドラム44a、44bのうち他方は遠位方向に動くことができる。第1及び第2のドラム44a、44bの運動は、第2のアクチュエータの長手方向軸線A2に沿った長手方向の運動を含むことができ、その運動は、この例示的な実施形態にあるように、シャフトアセンブリの長手方向軸線Aに沿ったものであってもよい。第1及び第2のドラム44a、44bは、第2のアクチュエータ14の作動中に、遠位方向と近位方向とに交互に動くように構成することができる。言い換えると、第2のアクチュエータ14の同方向への回転は、時計回りであろうと反時計回りであろうと、第1のドラム44aをまず遠位方向に動かし、第2のドラム44bを近位方向に動かして、次いで、第1のドラム44aが近位側に動き、第2のドラム44bが遠位側に動くように、第1及び第2のドラム44a、44bを方向転換させることができる。第1のアクチュエータシャフト26aは、本明細書に記載のとおり、第1のドラム44aに作動的に連結することができ、これにより第1のドラム44aの運動が第1のアクチュエータシャフト26aに力を加えることによって第1のアクチュエータシャフト26aの対応する運動を生じさせることができる(例えば、第1のドラム44aの近位方向への長手方向の直動は、第1のアクチュエータシャフト26aの近位方向への長手方向の直動を生じさせる)。第2のアクチュエータシャフト26bは、本明細書に記載のとおり、第2のドラム44bに作動的に連結することができ、これにより第2のドラム44bの運動が第2のアクチュエータシャフト26bに力を加えることによって第2のアクチュエータシャフト26bの対応する運動を生じさせることができる(例えば、第2のドラム44bの遠位方向への長手方向の直動は、第2のアクチュエータシャフト26bの遠位方向への長手方向の直動を生じさせる)。第1及び第2のアクチュエータシャフト26a、26bの運動は、エンドエフェクタ8を関節動作させるように構成することができる。可動ドラムを使用したエンドエフェクタ関節動作の例は、2015年3月16日出願の前述の米国特許出願第14/658,944号、名称「Methods and Devices for Actuating Surgical Instruments」に更に記載されている。
【0044】
様々な方法で、第1のアクチュエータシャフト26aを第1のドラム44aに作動的に連結し、第2のアクチュエータシャフト26bを第2のドラム44bに作動的に連結することができる。この例示的な実施形態では、装置2は、第1の作動シャフト26aを第1のドラム44aに連結するように構成された第1の連結ロッド22aを有することができ、また、第2の作動シャフト26bを第2のドラム44bに連結するように構成された第2の連結ロッド22bを有することができる。
図6〜8に示すように、第2の連結ロッド22bは、第2の作動シャフト26bの対応する嵌合機構21bと嵌合するように構成された第1の嵌合要素21を有することができる。この例示的な実施形態では、第1の嵌合要素21は突出部を含み、嵌合機構21bは穴を含んでいるが、第1の嵌合要素21及びそれに対応する嵌合機構21bは、他の構成、例えば、穴を含んだ第1の嵌合要素と突出部を含んだ嵌合機構、第1の嵌合要素の一方と雌コネクタを含んだ嵌合機構の一方、及び、第1の嵌合要素のもう一方と雄コネクタを含んだ嵌合機構など、を有することができる。第2の連結ロッド22bは、第2のドラム44bと嵌合するように構成された第2の嵌合要素23を有することができる。この例示的な実施形態における第2の嵌合要素23は、長手方向の切欠き部を有している。
図6及び7に示すように、切欠き部23は、第2のドラム44bの内径の幅よりも長い長さ23Lを有することができ、それによって、第2の連結ロッド22bは、第2のドラム44bが第2の連結ロッドの第2の嵌合要素23に着座された状態で、第2のドラム44bの内側通路を通って延在することが可能となっている。第1の連結ロッド22aは同様に、第1の作動シャフト26aが第1のドラム44aの内側通路44iを通って延びる状態で、第1の作動シャフト26aを第1のドラム44aに連結することができ、例えば、第1の連結ロッド22aの第3の嵌合要素(図では隠れている)が第1の作動シャフト26aの対応する嵌合要素(図では隠れている)と嵌合し、第1の連結ロッド22aの第4の嵌合要素(図では隠れている)が第1のドラム44aと嵌合することができる。
【0045】
装置2は、
図4〜6及び
図13(第1の摩擦部材40aは説明を明確にするため
図6から省略されている)に示すように、第1及び第2の摩擦部材40a、40bを有することができる。
図14及び15は、第2の摩擦部材40bを独立した要素として示している。第1及び第2の摩擦部材40a、40bは、エンドエフェクタ8が関節動作されていない場合と比較して、エンドエフェクタ8が関節動作されている場合にシャフトアセンブリ6及びそれに取り付けられたエンドエフェクタ8の回転に対する抵抗を増大させるように構成することができる。第1及び第2の摩擦部材40a、40bはこのように、エンドエフェクタ8が関節動作されていない場合、例えば非関節動作位置にある場合と比較して、エンドエフェクタ8が関節動作されている場合、例えば関節動作位置にある場合に回転トルクを増大させるように構成することができる。換言すれば、第1及び第2の摩擦部材40a、40bは、エンドエフェクタ8が関節動作されていない場合と比較して、エンドエフェクタ8が関節動作されている場合にシャフトアセンブリ6及びそれに取り付けられたエンドエフェクタ8を回転させるのに必要な力の量を増加させるように構成することができる。したがって、上述のように、エンドエフェクタ8が関節動作されていない場合と比較して、エンドエフェクタ8が関節動作されている場合には、シャフトアセンブリ6及びエンドエフェクタ8の回転を引き起こすためにより大きな回転トルクが第3のアクチュエータ18に加えられなければならないため、エンドエフェクタ8が意図せずに回転する可能性をより低くすることができ、これにより、外科手技の実施中におけるエンドエフェクタ8の位置のより正確な制御が可能となり、したがって、組織に対する把持力を失うことなく、かつ/又は隣接組織若しくは任意の他の隣接構造に損傷を与えることなく、エンドエフェクタ8が組織を意図したとおりに操作する助けとなりうる。
【0046】
第1及び第2の摩擦部材40a、40bは、多様な構成を有することができる。
図4〜6及び
図13〜15に示すように、第2の摩擦部材40bは、それを通って延在する内側通路40iを有する概ね円筒状の部材を有することができる。第2の摩擦部材40bの外部表面の周囲には溝40cが形成されてよい。溝40cはその中に第2のドラム44bが着座されるように構成することができる。第2の摩擦部材40bの遠位面40d、例えば遠位側リムには複数の溝40gが形成されてよい。第2の摩擦部材40bは、この例示的な実施形態では5つの溝40gを有しているが、別の数の溝を含んでもよい。例示的な実施形態では、溝40gは、第2の摩擦部材の周囲に等間隔で配置することができるが、この例示的な実施形態では溝40gは遠位面40dに沿って径方向に0°、72°、144°、216°、及び288°で配置されている。溝40bはそれぞれ、この実施形態では矩形の形状を有しているが、溝40bは別の形状を有してもよい。この例示的な実施形態における溝40gは、摩擦部材の遠位面40dの全幅に沿って延在し、それによって第2の連結ロッド22bをその中に確実に着座させることが容易となりうる。
【0047】
第2の摩擦部材40bは、第2のドラム44bの内側通路に着座されるように構成することができ、これにより、第2の作動シャフト26bは第2のドラム44bの内側通路及び第2の摩擦部材40bの内側通路40iを通って延びることができる。溝40gの各々は、第2の連結バー22bも通ることができる第2のドラム44bに連結された第2の連結バー22b(例えば、その棚部23s)がその中に着座するように構成することができる。溝40gの各々の幅40wは、溝40g内に交互に着座され、また着座されないように構成された第2の連結バー22bの棚部23s(
図8及び14を参照)の深さ23dよりも広くすることができる。このように、第2の連結バー22bは溝40gのうちの1つに完全に着座するように構成することができる。
【0048】
溝40gのうちの1つがその中に第2の連結バー22bを少なくとも部分的に着座させるか否か、又はどの溝40gも第2の連結バー22bを少なくとも部分的に着座させないか否かは、エンドエフェクタの関節動作の量によって決まりうる。エンドエフェクタ8が関節動作されていない場合、どの溝40gも第2の連結バー22bを着座させないようにすることができる。これにより、シャフトアセンブリ6及びエンドエフェクタ8を回転させるのに必要な回転トルクの量、例えば、第3のアクチュエータ16に加えることが必要な回転トルクの量(例えば、ユーザによって加えられる手の力の量)が最小となりうる。したがって、シャフトアセンブリ6及びエンドエフェクタ8を第3のアクチュエータ16の作動によって容易に回転させることができる。エンドエフェクタ8が関節動作位置にある場合、溝40gのうちの1つは、第2の連結バー22bを少なくとも部分的に着座させることができる。したがって、第2の連結ロッド22bが少なくとも部分的に着座されている溝40gは回転力に対する抵抗を与えることができることから、シャフトアセンブリ6及びエンドエフェクタ8を回転させるのに必要な回転トルクの量はエンドエフェクタ8が関節動作されていない場合よりも大きくなりうる。エンドエフェクタ8が、エンドエフェクタ8の最大関節動作角度よりも小さい0°以外の角度で関節動作されている場合、溝40gのうちの1つが第2の連結バー22bを部分的に着座させることができる。エンドエフェクタ8がより大きく関節動作されるほど、例えば0°以外の角度がより大きくなるほど、溝40g内に着座される第2の連結ロッド22bの部分がより大きくなり、したがって、第2の摩擦部材40bが回転に対してより大きな抵抗を与えることになる。エンドエフェクタ8が、エンドエフェクタ8の最大関節動作角度である0°以外の角度で関節動作されている場合、溝40gのうちの1つが第2の連結バー22bを完全に着座させることができる。したがって、第2の摩擦部材40bは、エンドエフェクタ8が完全に関節動作されている場合に回転に対して最大の抵抗を与えるように構成することができる。このように、シャフトアセンブリ6及びエンドエフェクタ8を回転させるのに必要な回転トルクは、エンドエフェクタの関節動作の量に比例して増加しうる。
【0049】
図4、6、及び15に示すように、第2の摩擦部材40bの近位面40p、例えば近位側リムは溝を有さなくてもよい。他の実施形態では、第2の摩擦部材の近位面に複数の溝が形成されてもよく、第2の摩擦部材の遠位面が溝を有さなくてもよく、又は第2の摩擦部材の近位面及び遠位面の各々が複数の溝を有してもよい。近位面と遠位面の両方が複数の溝を有する実施形態では、近位面と遠位面の溝の数を等しくすることができ、かつ各溝を第2の摩擦部材の周囲で径方向に整列させる(例えば、近位及び遠位面の各々の周に沿って0°、60°、120°、180°、240°、及び300°に配置する)ことによって各面の1つの溝に第2の連結バー22bを同時に着座することを促すことで摩擦力が各面で平衡化される。
【0050】
第1の摩擦部材40aは第2の摩擦部材40bと同様に構成されてもよく、例えば、その中を通って延びる内側通路を有してもよく、第1のドラム44aの内側通路44iに着座されるように構成されてもよく、第1のドラム44aを着座させるように構成された周方向溝40h(
図4を参照)を有してもよく、また、エンドエフェクタの関節動作の量に基づいて第1の連結バー22aを着座させるように構成された複数の溝40r(溝40rのうちの2つは
図13では隠れている)が(この例示的な実施形態では、第1の摩擦部材の遠位面にのみ)形成されてもよい。第1及び第2の摩擦部材40a、40b上の溝40r、40gの数は等しくてもよく、また、溝40r、40gは第1及び第2の摩擦部材の周囲で径方向に整列させてもよく、これにより、第1及び第2の連結バー22a、22bをそれぞれの関連する溝40r、40gに同時に(部分的に又は完全に)着座させることが促されることで摩擦力が平衡化される。
【0051】
図16は、複数の、この例示的な実施形態では8つの溝48gを有する摩擦部材48の別の実施形態を示している。摩擦部材48は、この例示的な実施形態では第1のドラム44a内に配置されている様子が示されているが、摩擦部材48はドラムの他の実施形態に連結することもできる。この例示的な実施形態における溝48gは、それぞれ矩形の形状を有しており、またそれぞれ摩擦部材の近位面48pの全幅に沿って延在している。上述のように、摩擦部材48はまた、その遠位面に溝を有してもよく、又は近位面48pにのみ溝48gを有してもよい。
【0052】
図17は、複数の、この例示的な実施形態では8つの溝50gを有する摩擦部材50の更に別の実施形態を示している。摩擦部材50は、この例示的な実施形態では第1のドラム44a内に配置されている様子が示されているが、摩擦部材50はドラムの他の実施形態に連結することもできる。この例示的な実施形態における溝50gは、それぞれ矩形の形状を有しており、またそれぞれ摩擦部材の近位面50pの部分幅に沿って延在している。摩擦部材の面の全幅ではなく部分幅に沿って延在する溝は、例えば、面への溝のスタンピングを容易にすることによって、摩擦部材の製造を容易にしうる。上述のように、摩擦部材50はまた、遠位面に溝を有してもよく、又は近位面50pにのみ溝50gを有してもよい。
【0053】
再び
図1の実施形態を参照すると、第1及び第2の連結ロッド22a、22bは、第2のアクチュエータ14の作動を容易とし、それによって、シャフトアセンブリの長手方向軸線Aを中心としたシャフトアセンブリ6の回転位置にかかわらず、エンドエフェクタ8の関節動作を容易にするように構成することができる。言い換えると、第3のアクチュエータ16は、第2のアクチュエータ14がエンドエフェクタ8を関節動作させるように作動される際、長手方向軸線Aを中心とした任意の回転位置に位置するように構成することができる。本明細書に記載のとおり、シャフトアセンブリ6の回転によってシャフトアセンブリ6の第1及び第2の作動シャフト26a、26bを回転させることができ、それにより、第1及び第2の作動シャフト26a、26bの第2のアクチュエータ14に対する位置及び作動機構に対する位置が調節される。第1及び第2の連結ロッド22a、22bは、シャフトアセンブリ6及びエンドエフェクタ8が第3のアクチュエータ16の作動に応じて回転する間、対応するドラム44a、44b及び対応する摩擦部材40a、40b内でそれらに対して回転するように構成することができる。したがって、第1及び第2の連結ロッド22a、22bの対応するドラム44a、44b及び対応する摩擦部材40a、40bに対する回転位置にかかわらず、第1及び第2の連結ロッド22a、22bに連結された第1及び第2の作動シャフト26a、26bは、第2のアクチュエータ14の作動中、ドラム44a、44b及び対応する摩擦部材40a、40bの近位方向/遠位方向への運動に応じて近位方向/遠位方向に動くことができる。第1及び第2の連結ロッド22a、22bと同様、閉鎖機構36は第1のアクチュエータ13の作動を容易とし、それによって、シャフトアセンブリの長手方向軸線Aを中心としたシャフトアセンブリ6の回転位置にかかわらず、切断要素の運動を容易にするように構成することができる。
【0054】
図18は外科用装置100の別の実施形態を示している。装置100は概ね
図1の実施形態の外科用装置2と同様に、また本明細書に記載の外科用装置の他の実施形態と同様に構成及び使用することができる。装置100は、メインハウジング118を有する近位ハンドル部分102と、ハンドル部分102から近位方向に延在するシャフトアセンブリ104と、1対の対向するジョー(又は他の実施形態では別のタイプの作用要素)を含み、枢動継手(図示せず)においてシャフトアセンブリ104の遠位端部に連結されたエンドエフェクタと、電極(図示せず)と、対向するジョーの開閉を行うように、またエンドエフェクタに沿った切断要素(図示せず)の運動を行うように構成された第1のアクチュエータ106と、エンドエフェクタの関節動作を行うように構成された第2のアクチュエータ108と、シャフトアセンブリ104の長手方向軸線を中心としてシャフトアセンブリ104及びエンドエフェクタを回転させるように構成された第3のアクチュエータ(図示せず)と、エネルギーの印加をオン及びオフにするように構成された第4のアクチュエータ112と、第2のアクチュエータ108に作動的に連結された作動機構と、固定ハンドル116と、屈曲領域(図示せず)と、を含むことができる。
【0055】
この例示的な実施形態における装置100は、この例示的な実施形態ではRFケーブルの形態である導電リード114を含み、これにより電力供給することができる。他の実施形態では、外科用装置は、電力供給されなくてもよく、例えば、組織にエネルギーを印加するように構成されなくてもよい。
【0056】
装置100の第2のアクチュエータ108は、上記で説明した装置2の第2のアクチュエータ14と同様、エンドエフェクタの関節動作を行うように構成することができる。
図18〜20に示すように、第2のアクチュエータ108は、第1のドラム110、第1の連結ロッド120a、第1の作動シャフト122a、第2のドラム(説明を明確にするために図では省略されている)、第2の連結ロッド120b、及び第2の作動シャフト122bに作動的に連結することができる。第2のアクチュエータ108の回転は、上記で説明した装置2の第2のアクチュエータ14に関連して上記で説明したものと同様に、ドラム110、第1及び第2の連結ロッド120a、120b、並びにそれらに連結された第1及び第2の作動シャフト122a、122bの運動に応じてエンドエフェクタを関節動作させることができる。
【0057】
装置100は、第1のドラム110に付属する第1の摩擦部材124と、第1の連結ロッド120aと、第1の作動シャフト122aとを含むことができる。装置100はまた、第2のドラムに付属する第2の摩擦部材(説明を明確にするために図では省略されている)と、第2の連結ロッド120bと、第2の作動シャフト122bとを含むことができる。第1及び第2の摩擦部材124は、上記で説明した第1及び第2の摩擦部材40a、40bと同様に、エンドエフェクタ8が関節動作されていない場合と比較して、エンドエフェクタが関節動作されている場合にシャフトアセンブリ104及びそれに取り付けられたエンドエフェクタの回転に対する抵抗を増大させるように構成することができる。この例示的な実施形態では、第1及び第2の摩擦部材124はそれぞれ、エンドエフェクタが関節動作されていない場合と比較して、エンドエフェクタが関節動作されている場合にシャフトアセンブリ104の内側細長シャフト126に大きな摩擦力を加えるように構成されたブレーキ機構を含んでいる。したがって、上記で説明した第1及び第2の摩擦部材40a、40bと同様に、第1及び第2の摩擦部材124は、エンドエフェクタが関節動作されていない場合、例えば非関節動作位置にある場合と比較して、エンドエフェクタが関節動作されている場合、例えば関節動作位置にある場合に回転トルクを増大させるように構成することができる。換言すれば、第1及び第2の摩擦部材124は、エンドエフェクタが関節動作されていない場合と比較して、エンドエフェクタが関節動作されている場合にシャフトアセンブリ104及びそれに取り付けられたエンドエフェクタを回転させるのに必要な力の量を増加させるように構成することができる。
【0058】
第1及び第2の摩擦部材124は、多様な構成を有することができる。一般に、第1及び第2の摩擦部材124はそれぞれ、形状が変形するように構成することができる。第1及び第2の摩擦部材124はそれぞれ、エラストマーとしてもよく、例えば1種類以上のエラストマー材料(例えば、イソプレン、シリコーンなど)で形成することで形状の変形を促すことができる。第1及び第2の摩擦部材124はそれぞれ、以下で更に論じるように、第2のアクチュエータ108によって加えられる圧力に応じて形状が変形するように構成することができる。一般に、第1及び第2の摩擦部材124の各々の変形の度合いは、エンドエフェクタの関節動作の角度に、またシャフトアセンブリ104及びエンドエフェクタを回転させるのに必要な回転トルクの量に対応しうる。エンドエフェクタの関節動作の角度がより大きくなるほど(例えば、その角度がシャフトアセンブリ104の長手方向軸線に対するエンドエフェクタの最大関節動作角度により近くなるほど)、シャフトアセンブリ104及びエンドエフェクタを回転させるためにより大きな度合いの変形及びより高い回転トルク(例えば、ユーザによって加えられる手動力の量)が第3のアクチュエータに加えられることが必要となる。
【0059】
図18〜21に示すように、第1の摩擦部材124はリング形状をなしてよく、それを通って延在する内側通路124iを有してよい。内側通路124iは、第1の摩擦部材124が第1の初期の非圧縮非変形状態にある場合に第1の直径を有しうる。第1の摩擦部材124は、
図18〜21では第1の状態で示されている。内側通路124iの直径は、第1の摩擦リング124に加えられる圧力に応じてより小さくなることで第1の摩擦部材124が第2の圧縮変形状態となるように構成することができる。第1の摩擦部材124は、
図22では第2の状態で示されている。
【0060】
装置100は、第1の摩擦部材124をシャフトアセンブリ104の長手方向軸線に対して固定された回転位置に維持するように構成された第1の非回転部材128を有することができる。したがって、第1の非回転部材128は第2のアクチュエータ104の回転に応じて回転せず、それにより、第2のアクチュエータ104が回転してエンドエフェクタを関節動作させる場合にも第1の摩擦部材124を回転させないように構成することができる。
図18〜22に示すように、第1の非回転部材128は、第2のアクチュエータ108内に配設されるように構成することができる。第1の非回転部材128は、第2のアクチュエータ108内で固定された回転位置に位置するように、また第2のアクチュエータ108内でシャフトアセンブリの長手方向軸線に沿って固定された軸方向位置に位置するように構成することができる。装置100は、第1のカム部材128を固定された回転位置に保持するために第1の非回転部材128に連結するように構成された1つ以上の案内ピン130a、130bを有することができる。第2のアクチュエータ108はその内部表面上に周方向リブ132を有してよく、その周方向リブは、第1の非回転部材128の外部表面に形成された対応する周方向溝134内に着座されるように構成することができる。リブ132が周方向であることは、シャフトアセンブリ104の長手方向軸線を中心とした第2のアクチュエータ108の回転位置にかかわらず、第1の非回転部材128を固定された軸方向位置に保持するのに役立ちうる。
【0061】
第1の非回転部材128は、第1の摩擦部材124に固定的に取り付けることができ、それによって、第1の摩擦部材124を第2のアクチュエータ108内で固定された回転位置に維持するように構成することができる。第1の非回転部材128と第1の摩擦部材124とは、当業者には理解されるように、接着剤、第1の非回転部材128への第1の摩擦部材124のオーバーモールド、摩擦嵌めなど、多様な方式のいずれかで互いに固定的に固着することができる。
【0062】
第2のアクチュエータ108は、第1の摩擦部材124と選択的に係合するように構成された第1のカム130を内側表面上に有することができる。第1のカム130と第1の摩擦部材124との係合は、第1の摩擦部材124の形状を変形させるように構成することができる。換言すれば、第1のカム130は、第1の摩擦部材124に圧力を加えて第1の摩擦部材124の形状を変形させるように、例えば、第1の状態から第2の状態へと移行するように、又は第2の状態における1つの変形度から第2の状態における別のより大きな変形度へと移行するように構成することができる。同様に、第1のカム130によって第1の摩擦部材124に加えられた圧力を解放することにより、第1の摩擦部材124の形状を変形させることで、例えば、第1の状態から第2の状態へと移行するように、又は第2の状態における1つの変形度から第2の状態における別のより小さな変形度へと移行させることができる。第1のカム130は、第1の摩擦部材124と係合するように構成された斜行係合面130sを有してもよく、それにより、第1のカム130によって第1の摩擦部材124に加えられる圧力をエンドエフェクタの関節動作の増大に比例して増大させることが可能となる。
【0063】
第2の摩擦部材は、第1の摩擦部材124と同様に構成されてもよく、例えばリング形状であってもよく、それを通って延在する内側通路を有してもよく、第1の状態と第2の状態との間で移行するように構成されてもよく、第1の非回転部材128と同様に構成することができる第2の非回転部材(図示せず)に連結されてもよく、第2のアクチュエータ108の内部表面に形成された第2のカム(図示せず)と選択的に係合するように構成されてもよい。
【0064】
少なくともいくつかの実施形態では、第1及び第2の摩擦部材124の両方を有する代わりに、外科用装置は第1の摩擦部材124のみ又は第2の摩擦部材のみを代わりに有してもよい。摩擦部材の一方のみを有することにより、装置のコストを低減することができ、かつ/又は装置の組み立てが容易となりうる。
【0065】
図21及び22は、第1の摩擦部材124の運動を引き起こし、第1及び第2の作動シャフトの運動を引き起こし、ひいてはエンドエフェクタ8の角度的運動を引き起こす、第2のアクチュエータ108の作動の実施形態を示している。
図21は、第2のアクチュエータ108の第1の位置及び第1の状態にある第1の摩擦部材124を示しており、これは、エンドエフェクタが非関節動作位置にある状態、例えば、シャフトアセンブリ104の長手方向軸線に対して実質的に0°の角度にある状態に対応している。第1の摩擦部材124が第1の状態にある場合、その内側通路124iは、内側細長シャフト126と第1の摩擦部材124との間に間隙136が存在するような第1の最小直径を有することができる。第1のカム130は第1の摩擦部材124から係脱しており、例えば、係合面130sは第1の摩擦部材124と接触していないためにエンドエフェクタが非関節動作位置にある状態で、例えば第2のアクチュエータ108が第1の位置にある状態で圧力を加えないようになっている。
【0066】
図22は、第2のアクチュエータ108が
図21の第1の位置から回転された、例えば矢印R1で示すように反時計回りに回転された、第2のアクチュエータ108の第2の位置を示している。第2のアクチュエータ108の回転によって、第1のドラム110は遠位方向に動き、第2のドラムは近位方向に動いている。第1のドラム110は、第2のアクチュエータの第1のねじ山と螺合しているために第2のアクチュエータ108内で動いており、第2のドラムは、第2のアクチュエータの第2のねじ山と螺合しているために第2のアクチュエータ108内で動いている。第1のドラム110の遠位方向への運動によって第1のドラムと作動的に連結された第1の作動シャフトはそれに応じて遠位方向に動いている。同様に、第2のドラムの近位方向への運動によって第2のドラムと作動的に連結された第2の作動シャフトはそれに応じて近位方向に動いている。エンドエフェクタはそれに応じて、
図21の位置から左に関節動作されている。第1の非回転部材128は、
図21と
図22との間の第2のアクチュエータ108の作動に応じて動いていない。
【0067】
図21から
図22への第2のアクチュエータ108の回転運動によって、第1のカム130、例えばその係合面130sが第1の摩擦部材124と係合して第1の摩擦部材124に圧力を加えている。第1の摩擦部材124はそれに応じて
図22に示すように形状が変形している。第1の摩擦部材124は、間隙136の中へと動いて内側細長シャフト126の外部表面に押し付けられており、第1の摩擦部材124の最小直径は、第1の最小直径よりも小さい第2の最小直径へと減少している。このため、内側細長シャフト126、したがってシャフトアセンブリ104及びエンドエフェクタを回転させるのに必要な回転トルクは、第1の摩擦部材124によって内側細長シャフト126に加えられる摩擦力のために
図21よりも大きくなっている。上述のように、第1のカム130の斜行係合面130sにより、第2のアクチュエータ108が第1の位置からより大きく回転されるほど、例えば、エンドエフェクタが非関節動作位置からより大きな角度に動くほど、より大きな圧力が第1のカム130によって第1の摩擦部材124に加えられ、そのため、シャフトアセンブリ104及びエンドエフェクタを回転させるのにより大きな力を第3のアクチュエータに加えることが必要となる。
【0068】
第2の摩擦部材は
図21及び22には示されていないが、第2のアクチュエータ108の作動に応じて、第1の摩擦部材124と同様に動くことができる。
【0069】
図23及び24は、ブレーキ機構の形態をなす摩擦部材202を有する外科用装置200の別の実施形態を示している。装置200は概ね
図18の実施形態の外科用装置100と同様に、また本明細書に記載の外科用装置の他の実施形態と同様に構成及び使用することができる。この例示的な実施形態では、摩擦部材202は、装置の第2のアクチュエータ、例えば、装置のハンドル部分204によってエンドエフェクタの関節動作を引き起こすように構成されたアクチュエータ内には配設されていない。代わりに、摩擦部材202は、装置のハンドル部分204内の他の場所に配設されている。
【0070】
装置200は、ハンドル部分204内に少なくとも部分的に配設されたシャフトコネクタ206を有してもよく、このシャフトコネクタは、装置200のシャフトアセンブリ208とハンドル部分204との連結を容易にするように構成することができる。シャフトコネクタ206は、シャフトアセンブリ208の遠位端部におけるエンドエフェクタ(図示せず)の非関節動作位置から関節動作位置への関節動作に応じて近位方向に動くように構成することができる。同様に、シャフトコネクタ206は、エンドエフェクタの関節動作位置から非関節動作位置への関節動作に応じて遠位方向に動くように構成することができる。
【0071】
摩擦部材202は、この例示的な実施形態では、ハンドル部分204内でシャフトアセンブリ208に隣接して配置することができる。比較のため、同様に配置及び構成された装置100のシャフトコネクタ138が
図18に示されている。
【0072】
エンドエフェクタが更に関節動作される(例えば、非関節動作位置から関節動作位置に動かされるか又は1つの関節動作位置からそれより大きく関節動作した位置に動かされる)ことに応じて、シャフトアセンブリ208の近位方向への運動が摩擦部材202に圧力を加え、それによって摩擦部材202の形状を変形させることで摩擦部材202がシャフトアセンブリ208に力を加える。したがって、装置100の摩擦部材に関連する上記の説明と同様に、摩擦部材202は、エンドエフェクタが関節動作されていない場合と比較して、エンドエフェクタが関節動作されている場合にシャフトアセンブリ208及びそれに取り付けられたエンドエフェクタの回転に対する抵抗を増大させるように構成することができる。同様に、エンドエフェクタの関節動作が小さくなる(例えば、関節動作した位置から非関節動作位置に動かされるか又は1つの関節動作位置からそれより小さく関節動作した位置に関節動作される)ことに応じて、シャフトアセンブリ208の遠位方向への運動が摩擦部材202により小さな圧力を加え、それによって摩擦部材202の形状を変化させることで摩擦部材202がシャフトアセンブリ208に加える力を小さくすることができる。例示的な実施形態では、エンドエフェクタが非関節動作位置にある場合にシャフトアセンブリ208に力を加えないように摩擦部材202を構成することができるが、これにより、エンドエフェクタが関節動作されていない場合にシャフトアセンブリ208及びエンドエフェクタの回転を容易とすることができる。
【0073】
摩擦部材202は、この例示的な実施形態ではハーフリング形状を有しているが、摩擦部材202は例えば、フルリング形状、球体などの他の形状を有してもよい。
【0074】
図25は、ブレーキ機構の形態をなす摩擦部材302を有する外科用装置300の更に別の実施形態を示している。装置300は概ね
図23及び24の実施形態の外科用装置200と同様に構成及び使用することができる。この例示的な実施形態では、シャフトコネクタ204に隣接して配設された摩擦部材302は、
図23及び24の摩擦部材202のハーフリング形状とは対照的に、リング形状を有している。
【0075】
図26は、一例として
図23及び24の摩擦部材202についての試験結果を示したものであり、摩擦部材202は、Morris Technology DM_9510_Grey80_Shore 65材料で形成されたものであり、0.1mm(0.005インチ)圧縮されるように構成されている。
図25に示すように、エンドエフェクタが関節動作されていない場合(
図25で「直線」と示される)にシャフトアセンブリ208及びエンドエフェクタを時計回り又は半時計回りに回転させるのに必要な力(7ニュートンミリメートル(オンス力インチ))は、エンドエフェクタが左又は右に関節動作されている場合にシャフトアセンブリ208及びエンドエフェクタを時計回り又は半時計回りに回転させるのに必要な力よりも小さくなっている。
【0076】
当業者には、上述の実施形態に基づいた本発明の更なる特徴及び利点が認識されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に示され説明される内容により限定されるものではない。本明細書に引用される全ての刊行物及び参照文献はそれらの全容を参照によって本明細書に明示的に援用するものである。
【0077】
〔実施の態様〕
(1) ハンドルと、
前記ハンドルから遠位方向に延び、前記ハンドルに対して回転するように構成された細長シャフトと、
前記細長シャフトの遠位端部にあり、組織を間に係合させるように構成された第1及び第2のジョーを有するエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタが前記細長シャフトに対して角度をなして方向付けられるよう、前記細長シャフトに対して関節動作するように構成されたエンドエフェクタと、を備え、
前記エンドエフェクタが前記細長シャフトに対して関節動作されている場合に前記細長シャフトを前記ハンドルに対して回転させるのに必要な力は、前記エンドエフェクタが前記細長シャフトに対して関節動作されていない実質的に直線的な方向にある場合に前記細長シャフトを前記ハンドルに対して回転させるのに必要な力よりも大きい、外科用装置。
(2) 前記ハンドル内に配設され、前記エンドエフェクタが前記関節動作されていない実質的に直線的な方向にある場合と比較して、前記エンドエフェクタが関節動作されている場合に増大した摩擦力を前記細長シャフトに加えるように構成された摩擦部材を更に備える、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記摩擦力は、前記エンドエフェクタの関節動作の増大に比例して増大するように構成されている、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記摩擦部材は、前記エンドエフェクタの関節動作の増大に比例して形状の変形が増大するように構成されている、実施態様2に記載の装置。
(5) 前記摩擦部材はエラストマーである、実施態様2に記載の装置。
【0078】
(6) 作動されることで前記エンドエフェクタの前記関節動作を生じさせるように構成されたアクチュエータを更に備え、前記アクチュエータの作動が前記摩擦部材の圧縮も生じさせる、実施態様2に記載の装置。
(7) 作動されることで前記細長シャフトの前記回転を生じさせるように構成されたアクチュエータを更に備え、
前記エンドエフェクタが前記細長シャフトに対して関節動作されている場合に前記細長シャフトを前記ハンドルに対して回転させるのに必要な前記力が前記アクチュエータに加えられ、前記エンドエフェクタが前記細長シャフトに対して前記関節動作されていない実質的に直線的な方向にある場合に前記細長シャフトを前記ハンドルに対して回転させるのに必要な前記力が前記アクチュエータに加えられ、前記エンドエフェクタが前記細長シャフトに対して関節動作されている場合に前記細長シャフトを回転させるにはより大きな力を前記アクチュエータに加えることが必要である、実施態様2に記載の装置。
(8) 前記ハンドル内に配設され、前記エンドエフェクタが前記細長シャフトに対して関節動作されている場合に前記細長シャフトの回転に抵抗するように構成された摩擦部材を更に備える、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記摩擦部材は、前記エンドエフェクタが前記関節動作されていない実質的に直線的な方向にある場合には前記細長シャフトの回転に抵抗しないように構成されている、実施態様8に記載の装置。
(10) 前記エンドエフェクタの前記関節動作を生じさせるために前記細長シャフトに対して運動するように構成された作動機構を更に備え、
前記摩擦部材に、前記エンドエフェクタが前記細長シャフトに対して関節動作されている場合には前記作動機構によってロックされ、前記エンドエフェクタが前記関節動作されていない実質的に直線的な方向にある場合には前記作動機構からロック解除されるように構成された1つ以上の溝が形成されている、実施態様8に記載の装置。
【0079】
(11) 作動されることで前記アクチュエータの回転運動を生じさせ、それによって前記エンドエフェクタの前記関節動作を生じさせるように構成されたアクチュエータを更に備え、
前記摩擦部材は、前記アクチュエータの前記回転運動がクラッチ機構の回転運動を生じさせるように、前記アクチュエータに作動的に連結されている、実施態様8に記載の装置。
(12) 前記エンドエフェクタは、前記ハンドルに対して前記細長シャフトと共に回転するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(13) 長手方向軸線を有する細長シャフトと、
前記細長シャフトの遠位端部にあるエンドエフェクタであって、外科手技の実施中に組織を操作するように構成されたエンドエフェクタと、
作動されることで前記細長シャフトの前記長手方向軸線を中心とした前記細長シャフト及び前記エンドエフェクタの回転を生じさせるように構成された第1のアクチュエータと、
作動されることで前記細長シャフトの前記長手方向軸線に対する前記エンドエフェクタの角度を調節するように構成された第2のアクチュエータと、
前記細長シャフトの前記長手方向軸線に対する前記エンドエフェクタの角度に基づいて、前記細長シャフト及び前記エンドエフェクタの前記回転を生じさせるために前記第1のアクチュエータに加えられる必要のある力の量を調節するように構成された摩擦部材と、を備える、外科用装置。
(14) 前記細長シャフトの前記長手方向軸線に対する前記エンドエフェクタの前記角度が大きくなるほど、前記細長シャフト及び前記エンドエフェクタの前記回転を生じさせるために前記第1のアクチュエータに加えられる必要のある力の量が大きくなるように前記摩擦部材が構成されている、実施態様13に記載の装置。
(15) 前記摩擦部材は、前記細長シャフトの前記長手方向軸線に対する前記エンドエフェクタの前記角度が大きくなるほど形状の変形が増大するように構成されたブレーキ機構を含み、前記力の量は、前記ブレーキ機構の形状の変形の度合いに対応する、実施態様13に記載の装置。
【0080】
(16) 前記摩擦部材は、前記細長シャフトの前記長手方向軸線に対する前記エンドエフェクタの前記角度に基づいて、ロック形態とロック解除形態との間で動くように構成されたクラッチ機構を含み、前記力の量は、前記クラッチ機構が前記ロック形態にあるか又は前記ロック解除形態にあるかに対応する、実施態様13に記載の装置。
(17) ハンドルを更に備え、前記細長シャフトは前記ハンドルから遠位方向に延び、前記摩擦部材は前記ハンドル内に配設されている、実施態様13に記載の装置。
(18) 組織を治療するための方法であって、
装置のハンドル上の第1のアクチュエータに第1の力を加えることによって前記装置の細長シャフトを前記ハンドルに対して回転させることと、
前記ハンドル上の第2のアクチュエータを作動させることによって前記細長シャフトの遠位端部にあるエンドエフェクタを前記細長シャフトに対して関節動作させることと、
前記装置を操作することによって前記エンドエフェクタを組織に作用させることと、を含み、
前記エンドエフェクタが前記細長シャフトに対して関節動作された状態で、前記第1の力よりも大きい第2の力が前記第1のアクチュエータに加えられるまで前記細長シャフトが前記ハンドルに対して回転することが防止される、方法。
(19) 前記エンドエフェクタが前記細長シャフトに対して関節動作されていない状態で前記第1の力が前記第1のアクチュエータに加えられる、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記第1のアクチュエータは回転ノブを含み、前記第1の力は、前記回転ノブを回転させる第1の回転力を含み、
前記第2のアクチュエータは関節動作ノブを含み、前記第2のアクチュエータを作動させることは、前記関節動作ノブを回転させることを含む、実施態様18に記載の方法。