特許第6938842号(P6938842)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

特許6938842加速度センサーの設置方法、加速度センサー、制御装置、および計測システム
<>
  • 特許6938842-加速度センサーの設置方法、加速度センサー、制御装置、および計測システム 図000002
  • 特許6938842-加速度センサーの設置方法、加速度センサー、制御装置、および計測システム 図000003
  • 特許6938842-加速度センサーの設置方法、加速度センサー、制御装置、および計測システム 図000004
  • 特許6938842-加速度センサーの設置方法、加速度センサー、制御装置、および計測システム 図000005
  • 特許6938842-加速度センサーの設置方法、加速度センサー、制御装置、および計測システム 図000006
  • 特許6938842-加速度センサーの設置方法、加速度センサー、制御装置、および計測システム 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6938842
(24)【登録日】2021年9月6日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】加速度センサーの設置方法、加速度センサー、制御装置、および計測システム
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/00 20060101AFI20210909BHJP
【FI】
   G01P15/00 Z
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-256334(P2015-256334)
(22)【出願日】2015年12月28日
(65)【公開番号】特開2017-120207(P2017-120207A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2018年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】小林 祥宏
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−141049(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103868492(CN,A)
【文献】 特開2004−125776(JP,A)
【文献】 特開2003−315317(JP,A)
【文献】 特開2002−156479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P15/00−15/18
G01H 1/00−17/00
G01M99/00
G01L 5/00− 5/28
E01D 1/00−24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度センサーを、構造物上を移動する移動体の移動方向を規制する移動方向規制手段
の規制方向に沿って延在する前記構造物の側端部に、前記移動体の運動解析におけるノイ
ズとなりうる、前記構造物上の付属物が前記構造物を振動させることによって生じる加速
度を抑制できるように前記付属物から所定距離離して設置する、
ことを特徴とする加速度センサーの設置方法。
【請求項2】
請求項1に記載の加速度センサーの設置方法であって、
前記構造物は橋梁の床版であり、
前記付属物を境界として前記規制方向に沿った方向に前記側端部を第1の領域と第2の
領域とに区分した場合、前記加速度センサーを、前記側端部の第1の領域と第2の領域の
うちの前記規制方向に沿う方向の前記床版の中央部を含む領域に設置する、
ことを特徴とする加速度センサーの設置方法。
【請求項3】
請求項1に記載の加速度センサーの設置方法であって、
前記構造物は橋梁の床版であり、
前記付属物と前記側端部の前記規制方向に沿う方向の前記床版の中央部とが前記所定距
離離れている場合、前記加速度センサーを前記床版の中央部に設置する、
ことを特徴とする加速度センサーの設置方法。
【請求項4】
請求項1に記載の加速度センサーの設置方法であって、
前記構造物上の付属物は、前記構造物の本体部から鉛直方向に延在する柱状部を含む形
状である、
ことを特徴とする加速度センサーの設置方法。
【請求項5】
請求項4に記載の加速度センサーの設置方法であって、
前記所定距離は、前記構造物上の付属物の前記柱状部の鉛直方向の長さの1/5である

ことを特徴とする加速度センサーの設置方法。
【請求項6】
請求項1に記載の加速度センサーの設置方法であって、
前記所定距離は、前記付属物の水平方向からの投影面積に比例する、
ことを特徴とする加速度センサーの設置方法。
【請求項7】
請求項1に記載の加速度センサーの設置方法であって、
前記加速度センサーから加速度データを受信する制御装置を制御装置からによるノイズ
を抑制する所定距離離して設置する、
ことを特徴とする加速度センサーの設置方法。
【請求項8】
構造物上を移動する移動体の移動方向を規制する移動方向規制手段の規制方向に沿って
延在する前記構造物の側端部に、前記移動体の運動解析におけるノイズとなりうる、前記
構造物上の付属物が前記構造物を振動させることによって生じる加速度を抑制できるよう
に前記付属物から所定距離離れて設置される、
ことを特徴とする加速度センサー。
【請求項9】
構造物上を移動する移動体の移動方向を規制する移動方向規制手段の規制方向に沿って
延在する前記構造物の側端部に、前記移動体の運動解析におけるノイズとなりうる、前記
構造物上の付属物が前記構造物を振動させることによって生じる加速度を抑制できるよう
に前記付属物から所定距離離れて設置される加速度センサーから加速度データを受信し、
前記加速度データに基づいて前記構造物上を移動する移動体の運動を解析する、または前
記加速度データを情報処理装置に送信する制御部と、一端が前記構造物に固定され、他端
が前記制御部を固定する固定手段と、を備える、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載の制御装置であって、
移動体の移動方向を規制する移動方向規制手段の規制方向に沿って延在する前記構造物
の側端部に、前記加速度センサーを制御する制御装置からによるノイズを抑制できる所定
距離離れて設置される、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項11】
請求項9に記載の制御装置であって、
前記構造物は橋梁の床版であり、
前記付属物を境界として前記規制方向に沿った方向に前記側端部を第1の領域と第2の
領域とに区分した場合、前記加速度センサーは、前記側端部の第1の領域と第2の領域の
うちの前記規制方向に沿う方向の前記床版の中央部を含む領域に設置される、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項12】
請求項9に記載の制御装置であって、
前記構造物は橋梁の床版であり、
前記付属物と前記側端部の前記規制方向に沿う方向の前記床版の中央部とが前記所定距
離離れている場合、前記加速度センサーは前記床版の中央部に設置される、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項13】
請求項9に記載の制御装置であって、
前記構造物上の付属物は、前記構造物の本体部から鉛直方向に延在する柱状部を含む形
である、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項14】
請求項13に記載の制御装置であって、
前記所定距離は、前記構造物上の付属物の前記柱状部の鉛直方向の長さの1/5である
、 ことを特徴とする制御装置。
【請求項15】
請求項9に記載の制御装置であって、
前記所定距離は、前記付属物の水平方向からの投影面積に比例する、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項16】
構造物上を移動する移動体の移動方向を規制する移動方向規制手段の規制方向に沿って
延在する前記構造物の側端部に、前記移動体の運動解析におけるノイズとなりうる、前記
構造物上の付属物が前記構造物を振動させることによって生じる加速度を抑制できるよう
に前記付属物から所定距離離れて設置される加速度センサーと、
前記加速度センサーから受信する加速度データに基づいて前記構造物上を移動する移動
体の運動を解析する、または前記加速度データを情報処理装置に送信する制御部と、一端
が前記構造物に固定され、他端が前記制御部を固定する固定手段と、を備える制御装置と

を有することを特徴とする計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加速度センサーの設置方法、加速度センサー、制御装置、および計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、橋梁通過車両の重量計測手段において、走行路に沿って複数の速度検知用センサーを設置して通過車両の走行速度を検出するとともに、走行路に車軸検知用センサーを設置して通過車両の車軸位置および車軸数を検出し、走行速度と車軸位置により通過車両の車両認識を行い、橋梁に変形量計測手段を設置して橋梁の変形量を設定された計測時間内に複数回、かつ少なくとも車両認識された通過車両の車軸に対応して計測し、車両認識データと車軸に対応した変形量の計測データに基づき前記通過車両の重量を算出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−30786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両が橋梁上を移動すると、橋梁の床版は下方に撓む。橋梁の床版の撓みによる加速度を、床版に取り付けた加速度センサーによって検出することにより、橋梁上を移動する車両の運動を解析することができる。
【0005】
しかし、床版には、例えば、照明柱等の付属物が取り付けられている場合がある。その付属物が風等によって揺れると、その揺れによる床版の振動を加速度センサーが検出し、床版上を移動する車両の運動を適切に解析できなくなるという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、構造物上を移動する移動体の運動を適切に解析することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明の第一の態様は、加速度センサーを、移動体の移動方向を規制する移動方向規制手段の規制方向に沿って延在する構造物の側端部に、前記構造物上の付属物と少なくとも所定距離離して設置する、ことを特徴とする加速度センサーの設置方法である。第一の態様によれば、加速度センサーの付属物によるノイズを抑制し、構造物上を移動する移動体の運動を適切に解析することができる。
【0008】
前記付属物を境界として前記規制方向に沿った方向に前記側端部を第1の領域と第2の領域とに区分した場合、前記加速度センサーを、前記側端部の第1の領域と第2の領域のうちの前記規制方向に沿う方向の中央部を含む領域に設置する、ことを特徴としてもよい。これにより、加速度センサーは、移動体の移動によって生じる構造物の加速度を明瞭に検出でき、構造物上を移動する移動体の運動を適切に解析できる。
【0009】
前記付属物と前記側端部の前記規制方向に沿う方向の中央部とが前記所定距離離れている場合、前記加速度センサーを前記中央部に設置する、ことを特徴としてもよい。これにより、加速度センサーは、移動体の移動によって生じる構造物の加速度を明瞭に検出でき、構造物上を移動する移動体の運動を適切に解析できる。
【0010】
前記構造物上の付属物は、前記構造物の本体部から鉛直方向に延在する柱状部を含む形状である、ことを特徴としてもよい。これにより、柱状部を含む形状の付属物によるノイズを適切に抑制することができる。
【0011】
前記所定距離は、前記構造物上の付属物の前記柱状部の鉛直方向の長さの1/5である、ことを特徴としてもよい。これにより、加速度センサーは、移動体の移動によって生じる構造物の加速度を明瞭に検出でき、構造物上を移動する移動体の運動を適切に解析できる。
【0012】
前記所定距離は、前記付属物の水平方向からの投影面積に比例する、ことを特徴としてもよい。これにより、加速度センサーの付属物によるノイズを適切に抑制することができる。
【0013】
前記構造物は、橋梁の床版である、ことを特徴としてもよい。これにより、床版上を移動する移動体の運動を適切に解析することができる。
【0014】
前記加速度センサーから加速度データを受信する制御装置を前記加速度センサーから所定距離離して設置する、ことを特徴としてもよい。これにより、加速度センサーの制御装置によるノイズを抑制することができる。
【0015】
上記の課題を解決するための本発明の第二の態様は、移動体の移動方向を規制する移動方向規制手段の規制方向に沿って延在する構造物の側端部に、前記構造物上の付属物から所定距離離れて設置される、ことを特徴とする加速度センサーである。第二の態様によれば、加速度センサーの付属物によるノイズが抑制され、構造物上を移動する移動体の運動を適切に解析することができる。
【0016】
上記の課題を解決するための本発明の第三の態様は、移動体の移動方向を規制する移動方向規制手段の規制方向に沿って延在する構造物の側端部に、前記構造物上の付属物から所定距離離れて設置される加速度センサーから加速度データを受信する、ことを特徴とする制御装置である。第三の態様によれば、制御装置は、構造物上を移動する移動体の運動を適切に解析することができる。
【0017】
移動体の移動方向を規制する移動方向規制手段の規制方向に沿って延在する構造物の側端部に、前記加速度センサーから所定距離離れて設置される、ことを特徴としてもよい。これにより、制御装置によるノイズを適切に抑制することができる。
【0018】
前記付属物を境界として前記規制方向に沿った方向に前記側端部を第1の領域と第2の領域とに区分した場合、前記加速度センサーは、前記側端部の第1の領域と第2の領域のうちの前記規制方向に沿う方向の中央部を含む領域に設置される、ことを特徴としてもよい。これにより、加速度センサーは、移動体の移動によって生じる構造物の加速度を明瞭に検出でき、制御装置は、構造物上を移動する移動体の運動を適切に解析できる。
【0019】
前記付属物と前記側端部の前記規制方向に沿う方向の中央部とが前記所定距離離れている場合、前記加速度センサーは前記中央部に設置される、ことを特徴としてもよい。これにより、加速度センサーは、移動体の移動によって生じる構造物の加速度を明瞭に検出でき、制御装置は、構造物上を移動する移動体の運動を適切に解析できる。
【0020】
前記構造物上の付属物は、前記構造物の本体部から鉛直方向に延在する柱状部を含む形状である、ことを特徴としてもよい。これにより、柱状部を含む形状の付属物によるノイズは適切に抑制される。
【0021】
前記所定距離は、前記構造物上の付属物の前記柱状部の鉛直方向の長さの1/5である、ことを特徴としてもよい。これにより、加速度センサーは、移動体の移動によって生じる構造物の加速度を明瞭に検出でき、制御装置は、構造物上を移動する移動体の運動を適切に解析できる。
【0022】
前記所定距離は、前記付属物の水平方向からの投影面積に比例する、ことを特徴としてもよい。これにより、加速度センサーの付属物によるノイズが適切に抑制される。
【0023】
前記構造物は、橋梁の床版である、ことを特徴としてもよい。これにより、床版上を移動する移動体の運動を適切に解析することができる。
【0024】
上記の課題を解決するための本発明の第四の態様は、移動体の移動方向を規制する移動方向規制手段の規制方向に沿って延在する構造物の側端部に、前記構造物上の付属物から所定距離離れて設置される加速度センサーと、前記加速度センサーから加速度データを受信する制御装置と、を有することを特徴とする計測システムである。第四の態様によれば、計測システムは、構造物上を移動する移動体の運動を適切に解析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る橋梁の例を示した図である。
図2図1のAA矢視図である。
図3】床版3aの変形の仕方の一例を説明する図である。
図4】付属物の投影面積の例を説明する図である。
図5】加速度センサーの設置例を説明する図である。
図6】加速度センサーの設置の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る橋梁の例を示した図である。図1には、橋梁の側面図が示してある。
【0027】
図1に示すように橋梁1は、陸地L1aと陸地L1bとの間に設置されている。橋梁1は、橋台1a,1bと、橋脚1cと、主桁2a,2bと、床版3a,3bと、地覆4a,4bと、高欄5a,5bと、照明柱(本発明の付属物に相当する)6a,6bとを有している。加速度センサー11と制御装置12は、床版3aに設置される。
【0028】
橋台1aは、例えば、陸地L1aに隣接して設置されている。橋台1bは、例えば、陸地L1bに隣接して設置されている。橋脚1cは、橋台1a,1bの間に設置されている。
【0029】
主桁2aは、橋台1aと橋脚1cとの上部に設置されている。主桁2bは、橋台1bと橋脚1cとの上部に設置されている。
【0030】
床版3aは、主桁2aの上部に設置されている。床版3bは、主桁2bの上部に設置されている。
【0031】
地覆4aは、床版3aの上部に設置されている。地覆4bは、床版3bの上部に設置されている。
【0032】
高欄5aは、地覆4aの上部に設置されている。高欄5bは、地覆4bの上部に設置されている。
【0033】
照明柱6aは、床版3aに設置されている。照明柱6bは、床版3bに設置されている。
【0034】
加速度センサー11は、車両(本発明の移動体に相当する)の移動方向を規制する移動方向規制手段の規制方向に沿って延在する橋梁1(本発明の構造物に相当する)の側端部に設置される。例えば、加速度センサー11は、移動方向規制手段の規制方向に沿う方向に垂直な幅方向の、床版3aの端部3aaに設置される。その際、加速度センサー11は、以下において詳述するが、床版3a上の付属物である照明柱6aから、少なくとも所定距離離れるように、床版3aの端部3aaに設置される。なお、車両の移動方向を規制する移動方向規制手段は、例えば、床版3a上に示されている車線や高欄5a,5bである。加速度センサー11には、加速度および角速度を出力する慣性センサーも含まれる。
【0035】
制御装置12は、制御部12aと、固定手段12bとを有している。制御部12aは、床版3aの端部3aaに設置された加速度センサー11から加速度データを受信する。制御部12aは、電子機器を搭載しており、加速度センサー11から受信した加速度データに基づいて、床版3a,3b上を移動する車両の運動を解析する。例えば、制御部12aの電子機器は、床版3a上を移動する車両の速度や走行車線、重量などを解析する。以下では、加速度センサー11から出力される加速度データを単に加速度と表現する場合がある。
【0036】
制御部12aは、バッテリーや太陽電池などの電源部を備え、制御部12aの電子機器は、その電源部の電力によって駆動する。制御部12aの電子機器は、解析した車両の運動情報を、例えば、携帯電話網などの無線通信を利用して、ネットワーク上の情報処理装置に送信する。
【0037】
固定手段12bは、例えば、ポールである。固定手段12bは、一端が床版3aの端部3aaに固定される。また、固定手段12bの他端には、制御部12aが固定される。これにより、制御装置12は、床版3aに固定される。
【0038】
なお、制御装置12は、車両の運動を解析せず、加速度センサー11が検出した加速度を、ネットワーク上の情報処理装置に送信してもよい。そして、ネットワーク上の情報処理装置が、床版3a,3b上の車両の運動を解析してもよい。
【0039】
また、加速度センサー11は、1つの橋梁1に対し、少なくとも1つ設置される。従って、加速度センサー11は、床版3bの端部3baに設置されてもよい。この場合、加速度センサー11は、照明柱6bから所定距離離れて設置される。
【0040】
また、加速度センサー11は、床版3aの端部3aaと、床版3bの端部3baとに設置してもよい。この場合、端部3aaに設置される加速度センサー11は、照明柱6aから所定距離離れて設置され、端部3baに設置される加速度センサー11は、照明柱6bから所定距離離れて設置される。
【0041】
図2は、図1のAA矢視図である。図2において、図1と同じものには同じ符号が付してある。
【0042】
図2に示すように、橋脚1cの上部には、3つの主桁2a,2aa,2abが設置されている。床版3aは、3つの主桁2a,2aa,2abの上部に設置されている。
【0043】
地覆4a,4aaは、床版3aの上面であって、端部3aaの近傍に設置されている。高欄5a,5aaは、地覆4a,4aaの上部に設置されている。照明柱6a,6aaは、床版3aの上面であって、端部3aaの近傍に設置されている。
【0044】
加速度センサー11は、床版3aの端部3aaに設置されている。端部3aaは、例えば、床版3aの移動方向規制手段の規制方向に沿った方向の側面である。加速度センサー11は、床版3aの下面の、床版3aの移動方向規制手段の規制方向に沿った方向の端に設置されてもよい。制御装置12の固定手段12bは、一端が床版3aの端部3aaに固定されている。
【0045】
図3は、床版3aの撓みの一例を説明する図である。図3には、図1および図2に示した床版3aの、中央部分で切断した斜視図が示してある。図3に示す位置P1は、床版3aの端部3aaの中央を示している。
【0046】
床版3aは、その上を車両が通過した場合、車両の荷重ldにより下方向に撓む。位置P1は、橋台1aと橋脚1cとから最も離れた位置であるため、床版3aの垂直方向の位置(x軸上の位置)の変化が他の位置と比べて大きく現れやすい。また、位置P1は、床版3aの端部3aaであるため、床版3aの水平方向に対する傾き(z軸の傾き)が、他の位置と比べて大きく現れやすい。従って、加速度センサー11は、床版3aの位置P1に取り付けられた場合、車両の通過によって生じる、床版3aの垂直方向の加速度や幅員方向の加速度を明瞭に検出できる。つまり、加速度センサー11は、床版3aの端部3aaの中央部(略中央部を含む)に設置されるのが望ましい。なお、y軸およびz軸の加速度は、床版3aの傾きによる重力成分である。
【0047】
一方、床版3aには、一般的に照明柱6a等の付属物が取り付けられる。付属物は、例えば、橋梁1の床版3aから鉛直方向に延在する柱状部を含む形状を有している。付属物としては、照明柱、標識柱、信号柱、手摺支柱、高欄等がある。付属物が風等によって揺れると、付属物の床版3aへの固定点を中心に床版3aも振動し、加速度センサー11は、その振動による加速度も検出する。風等によって生じた床版3aの加速度は、車両の運動解析においてはノイズであり、加速度センサー11によって検出されないのが望ましい。つまり、加速度センサー11は、風等の影響によって揺れる付属物から離れて設置されるほどよい。
【0048】
そこで、加速度センサー11は、床版3aの端部3aaの中央部(位置P1)に近く、かつ床版3a上の付属物から、少なくとも所定距離離れて設置されるようにする。
【0049】
付属物と加速度センサー11との所定距離は、付属物の水平方向からの投影面積に比例する。投影面積が大きいほど、付属物が揺れたとき、床版3aも大きく振動するからである。つまり、付属物の投影面積が大きいほど、加速度センサー11は、付属物から離れるように設置される。
【0050】
図4は、付属物の投影面積の例を説明する図である。図4には、床版3aの付属物である照明柱6aが示してある。照明柱6aの投影面積とは、例えば、移動方向規制手段の規制方向に垂直な方向から、照明柱6aに光を当てたときの、照明柱6aの背後にあるスクリーンS1に投影される影の面積である。
【0051】
照明柱6aは、その投影面積が大きいほど、床版3aに与えるモーメントが大きい。つまり、照明柱6aは、その投影面積が大きいほど、風によって揺れた際、床版3aに与える振動の影響が大きい。
【0052】
そこで、付属物と加速度センサー11との所定距離は、上記したように、付属物の水平方向からの投影面積に比例するようにする。つまり、所定距離は、付属物の水平方向からの投影面積を用いて算出される。
【0053】
なお、所定距離は、付属物の水平方向からの投影面積、床版3aの大きさ、および床版3aの材質(硬さ)等を用いて算出されてもよい。
【0054】
また、付属物の投影面積は、移動方向規制手段の規制方向と平行な方向から光を当てたときの、付属物の背後にあるスクリーンに投影される影の面積としてもよい。例えば、付属物の投影面積は、図4の紙面表側から裏面に向かって照明柱6aに光を当て、照明柱6aの背後にあるスクリーンに投影される影の面積としてもよい。
【0055】
また、付属物の投影面積は、移動方向規制手段の規制方向に垂直な方向から、照明柱6aに光を当てたときの投影面積と、移動方向規制手段の規制方向と平行な方向から、照明柱6aに光を当てたときの投影面積との合計面積であってもよい。
【0056】
また、水平方向のうちでも橋梁1の延在方向に垂直な方向からの投影面積に比例して所定距離を大きく設定してもよい。延在方向に垂直な方向からの風により橋梁が変形する時の影響を抑制するためである。
【0057】
図5は、加速度センサーの設置例を説明する図である。図5には、図1に示した橋梁1の一部が示してある。図5において、図1と同じものには同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、図5に示す矢印C1は、床版3aの端部3aaの中央部を示している。
【0058】
加速度センサー11は、床版3a上の付属物である照明柱6aから、少なくとも所定距離離れて設置されるようにする。その際、加速度センサー11は、床版3a上の付属物である照明柱6aを境界とした床版3aの端部3aaの第1の領域と第2の領域とのうち、端部3aaの中央部を含む領域において設置されるようにする。
【0059】
例えば、図5の矢印A1,A2は、照明柱6aを境界とした床版3aの端部3aaの第1の領域と第2の領域とを示している。この2つの領域のうち、矢印A2に示す第2の領域に、端部3aaの中央部(矢印C1)が含まれている。従って、加速度センサー11は、端部3aaの矢印A2に示す第2の領域において、少なくとも照明柱6aから所定距離離れて設置されるようにする。
【0060】
具体的には、加速度センサー11を照明柱6aから離すべき所定距離は、「x1」であるとする。この場合、加速度センサー11は、矢印A2に示す端部3aaの第2の領域において、照明柱6a(例えば、照明柱6aの床版3aへの固定点)と少なくとも「x1」離れて設置されるようにする。すなわち、加速度センサー11は、端部3aaの中央部から遠くならないように設置されるようにする(矢印A1に示す第1の領域に設置されないようにする)。
【0061】
このように、加速度センサー11は、付属物の揺れの影響が小さくなるよう、付属物から離れて設置されるので、付属物によるノイズの影響を低減できる。また、加速度センサー11は、床版3aの端部3aaの中央部に近い方に設置されるので、車両の通過によって生じる、床版3aの加速度を明瞭に検出できる。これにより、制御装置12は、床版上を移動する車両の運動を適切に解析できる。
【0062】
なお、加速度センサー11は、床版3aの付属物である照明柱6aと、床版3aの端部3aaの中央部(矢印C1)とが、所定距離以上離れている場合、端部3aaの中央部に設置されるようにする。例えば、図5に示す矢印A3は、照明柱6aと端部3aaの中央部との距離を示している。矢印A3に示す距離が、所定距離以上離れている場合、加速度センサー11は、矢印C1に示す端部3aaの中央部に設置されるようにする。
【0063】
また、制御装置12も、床版3aの付属物といえる。従って、加速度センサー11を、床版3aの端部3aaに設置した後、制御装置12の固定手段12bを(例えば、固定手段12bの端部3aaへの固定点を)、加速度センサー11から少なくとも所定距離離して設置する。
【0064】
加速度センサー11と制御装置12との所定距離は、照明柱6a等の付属物と同様に、制御装置12の投影面積に比例する。つまり、制御装置12は、その投影面積が大きいほど、加速度センサー11から離れるように設置される。加速度センサー11と制御装置12との所定距離は、制御装置12の水平方向からの投影面積を用いて算出される。
【0065】
例えば、加速度センサー11と制御装置12との距離は、「x2」であるとする。この場合、制御装置12は、図5に示すように、加速度センサー11と少なくとも「x2」離れて設置されるようにする。
【0066】
なお、加速度センサー11と制御装置12との所定距離は、制御装置12の水平方向からの投影面積、床版3aの大きさ、および床版3aの材質(硬さ)等を用いて算出されてもよい。
【0067】
図6は、加速度センサー11の設置の一例を示したフローチャートである。まず、床版3aに設置されている照明柱6aの投影面積を算出する(ステップS1)。
【0068】
次に、ステップS1にて算出した投影面積を用いて、加速度センサー11を照明柱6aから離すべき距離(所定距離)を算出する(ステップS2)。
【0069】
次に、加速度センサー11を床版3aの端部3aaの中央部に設置したと仮定したとき、照明柱6aと加速度センサー11とが、ステップS2にて算出した所定距離離れているか否か判定する(ステップS3)。照明柱6aと加速度センサー11とが、ステップS2にて算出した所定距離離れている場合(S3の「Yes」)、ステップS4へ進む。照明柱6aと加速度センサー11とが、ステップS2にて算出した所定距離離れていない場合(S3の「No」)、ステップS5へ進む。
【0070】
ステップS3にて、照明柱6aと加速度センサー11とが、ステップS2にて算出した所定距離離れていると判定した場合(S3の「Yes」)、加速度センサー11を床版3aの端部3aaの中央部に設置する(ステップS4)。
【0071】
ステップS3にて、照明柱6aと加速度センサー11とが、ステップS2にて算出した所定距離離れていないと判定した場合(S3の「No」)、加速度センサー11を床版3aの端部3aaの中央部からずらし、照明柱6aと加速度センサー11とが、少なくともステップS2にて算出した所定距離離れるように設置する(ステップS5)。すなわち、加速度センサー11は、照明柱6aを境界とした床版3aの端部3aaの第1の領域と第2の領域とのうち、端部3aaの中央部を含む領域において設置されるようにする。
【0072】
次に、制御装置12の投影面積を算出する(ステップS6)。
【0073】
次に、ステップS6にて算出した制御装置12の投影面積を用いて、制御装置12を加速度センサー11から離すべき距離(所定距離)を算出する(ステップS7)。
【0074】
次に、制御装置12を、少なくともステップS7にて算出した所定距離離して床版3aの端部3aaに設置する(ステップS8)。
【0075】
なお、制御装置12は、床版3aに振動を与えないよう陸地L1a,L1bに設置されてもよい。または、制御装置12は、固定手段12bなしで端部3aaに設置されてもよい。例えば、制御装置12は、車両の移動方向を規制する移動方向規制手段の規制方向に沿って延在する橋梁1の端部3aaに設置されてもよい。
【0076】
このように、加速度センサー11を、車両の移動方向を規制する移動方向規制手段の規制方向に沿った方向の床版3aの端部3aaであって、床版3a上の照明柱6aと少なくとも所定距離離して設置する。これにより、加速度センサー11の照明柱6aによる揺れの影響が抑制されるので、床版3a上を移動する車両の運動を適切に解析できる。
【0077】
また、加速度センサー11を、付属物である照明柱6aを境界とした端部3aaの第1の領域と第2の領域とのうち、端部3aaの中央部を含む領域において設置する。これにより、加速度センサー11は、車両の移動によって生じる床版3aの加速度を明瞭に検出できるので、床版3a上を移動する車両の運動を適切に解析できる。
【0078】
また、付属物である照明柱6aと、床版3aの端部3aaの中央部とが所定距離離れている場合、加速度センサー11を端部3aaの中央部に設置する。これにより、加速度センサー11は、車両の移動によって生じる床版3aの加速度を明瞭に検出できるので、床版3a上を移動する車両の運動を適切に解析できる。
【0079】
また、加速度センサー11と照明柱6aとの距離は、照明柱6aの水平方向からの投影面積に比例する。これにより、加速度センサー11の照明柱6aの揺れによるノイズを適切に抑制することができる。
【0080】
また、加速度センサー11を制御する制御装置12を、加速度センサー11から所定距離離して設置する。これにより、加速度センサー11の制御装置の揺れによるノイズを抑制することができる。
【0081】
なお、所定距離は、例えば、橋梁1上の照明柱6aの柱状部の鉛直方向の長さの1/5としてもよい。
【0082】
また、上記では、付属物と加速度センサー11とを少なくとも離す所定距離は、付属物の水平方向からの投影面積に比例するとしたが、付属物の鉛直方向における長さ(高さ)に比例してもよい。また、付属物の水平方向における長さ(幅)に比例してもよい。
【0083】
本発明の技術的範囲は、上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者には明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。また、本発明は、移動体の移動方向を規制する移動方向規制手段の規制方向に沿った方向の構造物の端部であって、構造物上の付属物から所定距離離れて設置される加速度センサー、加速度センサーから出力される加速度データを受信する制御装置、加速度センサーと制御装置とを有する計測システムとして提供することもできる。
【符号の説明】
【0084】
1…橋梁、1a,1b…橋台、1c…橋脚、2a,2b,2aa,2ab…主桁、3a,3b…床版、3aa…端部、4a,4b,4aa…地覆、5a,5b,5aa…高欄、6a,6b,6aa…照明柱、11…加速度センサー、12…制御装置、12a…制御部、12b…固定手段、L1a,L1b…陸地。
図1
図2
図3
図4
図5
図6