【実施例】
【0021】
以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳細に説明する。なお、例中、%及び部は重量基準を意味する。
【0022】
[油脂組成物Aの作製]
イノシトール(築野食品工業株式会社製、商品名:イノシトール(米糠由来)、純度:97%以上)を水に加え、1%イノシトール含有水溶液を作製する。次いで50℃に加温したパームオレイン(不二製油株式会社製、商品名:ユニバー100N)100重量部に対し1%イノシトール含有水溶液を0.5重量部加えて混合し、60℃、1.6kPa(12torr)の減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行った。脱水処理を行った後、TOYO No.5C濾紙(1μm相当)にて濾過し、イノシトールを16.1重量ppm含有するパームオレインを得た。かかるイノシトール含有パームオレイン31.1部とイノシトール無添加のパームオレイン43.9部、米油(不二製油株式会社製、商品名:食用こめ油)25部を混合し、イノシトール含量が5.0重量ppmの油脂組成物Aを得た。
【0023】
[油脂組成物Bの作製]
イノシトール(築野食品工業株式会社製、商品名:イノシトール(米糠由来)、純度:97%以上)を水に加え、1%イノシトール含有水溶液を作製する。次いで50℃に加温したパームオレイン75部、米油25部の混合油100重量部に対し、乳化剤(理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100)0.003部を加えて溶解し、1%イノシトール含有水溶液0.15部加えた後、ホモミキサー(TK ROBO MIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmで10分の撹拌を行った。その後、50℃、1.6kPa(12torr)の減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行って得られた、イノシトール含量が15重量ppmの油脂をそのまま、他の食用油脂を配合せずに油脂組成物Bとして使用した。
【0024】
[油脂組成物Cの作製]
イノシトール(築野食品工業株式会社製、商品名:イノシトール(米糠由来)、純度:97%以上)を水に加え、1%イノシトール含有水溶液を作製する。次いで50℃に加温したパームオレイン75部、米油25部の混合油100重量部に対し、乳化剤(理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100)0.02部を加えて溶解し、1%イノシトール含有水溶液1.0部加えた後、ホモミキサー(TK ROBO MIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmで10分の撹拌を行った。その後、50℃、1.6kPa(12torr)の減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行って得られた、イノシトール含量が100重量ppmの油脂をそのまま、他の食用油脂を配合せずに油脂組成物Cとして使用した。
【0025】
[油脂組成物Dの作製]
イノシトール(築野食品工業株式会社製、商品名:イノシトール(米糠由来)、純度:97%以上)を水に加え、1%イノシトール含有水溶液を作製する。次いで50℃に加温したパームオレイン75部、米油25部の混合油100重量部に対し、乳化剤(理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100)0.06部を加えて溶解し、1%イノシトール含有水溶液3.0部加えた後、ホモミキサー(TK ROBO MIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmで10分の撹拌を行った。その後、50℃、1.6kPa(12torr)の減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行って得られた、イノシトール含量が300重量ppmの油脂をそのまま、他の食用油脂を配合せずに油脂組成物Dとして使用した。
【0026】
[油脂組成物Eの作製]
グルコース(キシダ化学製)を水に加え溶解し、1%グルコース含有水溶液を作製する。次いで50℃に加温したパームオレイン75部、米油25部の混合油100重量部に対し、乳化剤(理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100)0.003部を加えて溶解し、1%グルコース含有水溶液0.15部加えた後、ホモミキサー(TK ROBO MIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmで10分の撹拌を行った。その後、50℃、1.6kPa(12torr)の減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行って得られた、グルコース含量が15重量ppmの油脂をそのまま、他の食用油脂を配合せずに油脂組成物Eとして使用した。
【0027】
[油脂組成物Fの作製]
マルチトール(キシダ化学製)を水に加え溶解し、1%マルチトール含有水溶液を作製する。次いで50℃に加温したパームオレイン75部、米油25部の混合油100重量部に対し、乳化剤(理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100)0.003部を加えて溶解し、1%グルコース含有水溶液0.15部加えた後、ホモミキサー(TK ROBO MIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmで10分の撹拌を行った。その後、50℃、1.6kPa(12torr)の減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行って得られた、マルチトール含量が15重量ppmの油脂をそのまま、他の食用油脂を配合せずに油脂組成物Fとして使用した。
【0028】
[油脂組成物Gの作製]
50℃に加温したパームオレイン75部、米油25部の混合油100重量部に対し、0.5部の米糠由来不けん化物(築野食品工業株式会社製、商品名:ライステロールエステル)を添加し、油脂組成物Gとして使用した。
【0029】
<油脂の加熱処理方法>
各油脂組成物を、180℃、1時間加熱した。
<油脂の風味評価方法>
パネラー10名により、油脂の風味を以下の基準に従い評価した。「△」以上を合格とした。
「×」コク味付与効果なし
「△」コク味付与効果がある
「○」コク味付与効果が優れている
「◎」コク味付与効果が非常に優れている
【0030】
<ポテトチップの作製方法>
じゃがいもを厚さ0.5mmにスライスした後、水に30分間さらした。十分に水気を取り、各フライ油で180℃、2分間フライして、ポテトチップを得た。
【0031】
<ポテトチップの評価方法>
パネラー10名により、以下の基準に従い評価した。「△」以上を合格とした。
「×」コク味付与効果なし
「△」コク味付与効果がある
「○」コク味付与効果が優れている
「◎」コク味付与効果が非常に優れている
【0032】
[比較例1]
上記の油脂の加熱処理方法に従い、パームオレイン75部、米油25部の混合油100重量部を使用して油脂を加熱し、上記の油脂の評価方法に従い評価した。結果を表1にまとめた。
【0033】
[比較例2]
上記の油脂の加熱処理方法に従い、パームオレイン50部、米油50部の混合油100重量部を使用して油脂を加熱し、上記の油脂の評価方法に従い評価した。結果を表1にまとめた。
【0034】
[実施例1]
上記の油脂の加熱処理方法に従い、油脂組成物Aを使用して油脂を加熱し、上記の油脂の評価方法に従い評価した。結果を表1にまとめた。
【0035】
[実施例2]
上記の油脂の加熱処理方法に従い、油脂組成物Bを使用して油脂を加熱し、上記の油脂の評価方法に従い評価した。結果を表1にまとめた。
【0036】
[実施例3]
上記の油脂の加熱処理方法に従い、油脂組成物Cを使用して油脂を加熱し、上記の油脂の評価方法に従い評価した。結果を表1にまとめた。
【0037】
[実施例4]
上記の油脂の加熱処理方法に従い、油脂組成物Dを使用して油脂を加熱し、上記の油脂の評価方法に従い評価した。結果を表1にまとめた。
【0038】
[実施例5]
上記の油脂の加熱処理方法に従い、油脂組成物Eを使用して油脂を加熱し、上記の油脂の評価方法に従い評価した。結果を表1にまとめた。
【0039】
[実施例6]
上記の油脂の加熱処理方法に従い、油脂組成物Fを使用して油脂を加熱し、上記の油脂の評価方法に従い評価した。結果を表1にまとめた。
【0040】
[比較例3]
上記の油脂の加熱処理方法に従い、油脂組成物Gを使用して油脂を加熱し、上記の油脂の評価方法に従い評価した。結果を表1にまとめた。
【0041】
[比較例4]
油脂組成物Bを使用して油脂を加熱せずに、上記の油脂の評価方法に従い評価した。結果を表1にまとめた。
【0042】
【表1】
【0043】
(表1の考察)
比較例1は、コク味が弱く不合格であった。
実施例1〜実施例6は、コク味が付与されており合格であった。そのうち実施例2〜実施例5はより好ましいコク味であった。実施例2と実施例3は、比較例2と同等なコク味が得られていた。
比較例3、4は不合格であった。
【0044】
[比較例5]
上記のポテトチップの作製方法に従い、フライ油にパームオレイン75部、米油25部の混合油100重量部を使用してポテトチップを作製し、上記の評価方法に従い評価した。結果を表2にまとめた。
【0045】
[比較例6]
上記のポテトチップの作製方法に従い、フライ油にパームオレイン50部、米油50部の混合油100重量部を使用してポテトチップを作製し、上記の評価方法に従い評価した。結果を表2にまとめた。
【0046】
[実施例7]
上記のポテトチップの作製方法に従い、フライ油に油脂組成物Aを使用してポテトチップを作製し、上記の評価方法に従い評価した。結果を表2にまとめた。
【0047】
[実施例8]
上記のポテトチップの作製方法に従い、フライ油に油脂組成物Bを使用してポテトチップを作製し、上記の評価方法に従い評価した。結果を表2にまとめた。
【0048】
[実施例9]
上記のポテトチップの作製方法に従い、フライ油に油脂組成物Cを使用してポテトチップを作製し、上記の評価方法に従い評価した。結果を表2にまとめた。
【0049】
[実施例10]
上記のポテトチップの作製方法に従い、フライ油に油脂組成物Dを使用してポテトチップを作製し、上記の評価方法に従い評価した。結果を表2にまとめた。
【0050】
[実施例11]
上記のポテトチップの作製方法に従い、フライ油に油脂組成物Eを使用してポテトチップを作製し、上記の評価方法に従い評価した。結果を表2にまとめた。
【0051】
[実施例12]
上記のポテトチップの作製方法に従い、フライ油に油脂組成物Fを使用してポテトチップを作製し、上記の評価方法に従い評価した。結果を表2にまとめた。
【0052】
[比較例7]
上記のポテトチップの作製方法に従い、フライ油に油脂組成物Gを使用してポテトチップを作製し、上記の評価方法に従い評価した。結果を表2にまとめた。
【0053】
【表2】
【0054】
(表2の考察)
比較例5は、コク味が弱く不合格であった。
実施例7〜実施例12は、コク味が付与されており合格であった。そのうち実施例8〜実施例10はより好ましいコク味であった。実施例8と実施例9は、比較例6と同等なコク味が得られていた。
比較例7は不合格であった。
【0055】
[油脂組成物Hの作製]
コーン由来イノシトール(敷島スターチ株式会社製 純度:97%以上)を水に加え、1%イノシトール含有水溶液を作製する。次いで50℃に加温したパームオレイン75部、米油25部の混合油100重量部に対し、乳化剤(理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100)0.003部を加えて溶解し、1%イノシトール含有水溶液0.15部加えた後、ホモミキサー(TK ROBO MIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmで10分の撹拌を行った。その後、50℃、1.6kPa(12torr)の減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行って得られた、イノシトール含量が15重量ppmの油脂をそのまま、他の食用油脂を配合せずに油脂組成物Hとして使用した。
【0056】
[油脂組成物Iの作製]
合成イノシトール(Fluka社製、純度:99%以上)を水に加え、1%イノシトール含有水溶液を作製する。次いで50℃に加温したパームオレイン75部、米油25部の混合油100重量部に対し、乳化剤(理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100)0.003部を加えて溶解し、1%イノシトール含有水溶液0.15部加えた後、ホモミキサー(TK ROBO MIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmで10分の撹拌を行った。その後、50℃、1.6kPa(12torr)の減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行って得られた、イノシトール含量が15重量ppmの油脂をそのまま、他の食用油脂を配合せずに油脂組成物Iとして使用した。
【0057】
[油脂組成物Jの作製]
コーン由来イノシトール(敷島スターチ株式会社製 純度:97%以上)を水に加え、1%イノシトール含有水溶液を作製する。次いで50℃に加温したパームオレイン75部、米油25部の混合油100重量部に対し、乳化剤(理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100)0.02部を加えて溶解し、1%イノシトール含有水溶液1.0部加えた後、ホモミキサー(TK ROBO MIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmで10分の撹拌を行った。その後、50℃、1.6kPa(12torr)の減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行って得られた、イノシトール含量が100重量ppmの油脂をそのまま、他の食用油脂を配合せずに油脂組成物Jとして使用した。
【0058】
[油脂組成物Kの作製]
合成イノシトール(Fluka社製、純度:99%以上)を水に加え、1%イノシトール含有水溶液を作製する。次いで50℃に加温したパームオレイン75部、米油25部の混合油100重量部に対し、乳化剤(理研ビタミン株式会社製 ポエムPR-100)0.02部を加えて溶解し、1%イノシトール含有水溶液1.0部加えた後、ホモミキサー(TK ROBO MIX:特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmで10分の撹拌を行った。その後、50℃、1.6kPa(12torr)の減圧条件下で、攪拌しながら30分間脱水処理を行って得られた、イノシトール含量が100重量ppmの油脂をそのまま、他の食用油脂を配合せずに油脂組成物Kとして使用した。
【0059】
[実施例13]
上記の油脂の加熱処理方法に従い、油脂組成物Hを使用して油脂を加熱し、上記の油脂の評価方法に従い評価した。結果を表3にまとめた。
【0060】
[実施例14]
上記の油脂の加熱処理方法に従い、油脂組成物Iを使用して油脂を加熱し、上記の油脂の評価方法に従い評価した。結果を表3にまとめた。
【0061】
[実施例15]
上記の油脂の加熱処理方法に従い、油脂組成物Jを使用して油脂を加熱し、上記の油脂の評価方法に従い評価した。結果を表3にまとめた。
【0062】
[実施例16]
上記の油脂の加熱処理方法に従い、油脂組成物Kを使用して油脂を加熱し、上記の油脂の評価方法に従い評価した。結果を表3にまとめた。
【0063】
[実施例17]
上記のポテトチップの作製方法に従い、フライ油に油脂組成物Hを使用してポテトチップを作製し、上記の評価方法に従い評価した。結果を表3にまとめた。
【0064】
[実施例18]
上記のポテトチップの作製方法に従い、フライ油に油脂組成物Iを使用してポテトチップを作製し、上記の評価方法に従い評価した。結果を表3にまとめた。
【0065】
[実施例19]
上記のポテトチップの作製方法に従い、フライ油に油脂組成物Jを使用してポテトチップを作製し、上記の評価方法に従い評価した。結果を表3にまとめた。
【0066】
[実施例20]
上記のポテトチップの作製方法に従い、フライ油に油脂組成物Kを使用してポテトチップを作製し、上記の評価方法に従い評価した。結果を表3にまとめた。
【0067】
【表3】
【0068】
(表3の考察)
実施例13〜実施例16は、コク味が付与されており、好ましいコク味であった。
実施例17〜実施例20は、得られたポテトチップスにも、コク味が付与されており、好ましいコク味であった。