特許第6938891号(P6938891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6938891
(24)【登録日】2021年9月6日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】現像装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20210909BHJP
【FI】
   G03G15/08 310
   G03G15/08 220
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-204586(P2016-204586)
(22)【出願日】2016年10月18日
(65)【公開番号】特開2018-66822(P2018-66822A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2019年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 康友
(72)【発明者】
【氏名】宍倉 俊一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 利昭
(72)【発明者】
【氏名】大隈 博輝
(72)【発明者】
【氏名】内満 大輔
(72)【発明者】
【氏名】福野 良
【審査官】 飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−063710(JP,A)
【文献】 特開平06−242683(JP,A)
【文献】 特開2009−063871(JP,A)
【文献】 特開2016−167021(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0334735(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアとトナーを含んで構成される現像剤を収容する収容部と、
前記収容部内に回転可能に設けられ、前記現像剤を撹拌すると共に回転軸方向に搬送する搬送部材と、
前記収容部の前記回転軸方向と直交する方向の側壁部に開口し、前記現像剤の剤面の高さが下面の高さを超えると、前記現像剤を外部へ排出する排出口と、
前記排出口の前記下面よりも上方で且つ前記下面と上下方向で重なる位置に配置され、前記搬送部材によって跳ね上げられた前記現像剤を吸着する磁性部材と、
を有し、
前記磁性部材は、前記排出口よりも前記回転軸方向の長さが長く、前記排出口を平面で見て、前記回転軸方向の両端部が前記排出口の縁部に重なる、現像装置。
【請求項2】
前記排出口の前記下面は、前記回転軸方向と直交する方向の断面で見て、斜め上方に延びて前記側壁部の外面を横切っており、
前記排出口の両側面は、前記下面の前記回転軸方向の両端にそれぞれ連結されている、請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
静電潜像が形成される像保持体と、
前記像保持体に形成される静電潜像を現像する請求項1又は請求項2に記載の現像装置と、
前記現像装置で現像された画像を記録媒体に定着させる定着部と、
を備える画像形成装置。
【請求項4】
複数の前記現像装置を備え、
複数の前記現像装置のうち、一の前記現像装置が他の前記現像装置と粒径の異なる現像剤を用いる請求項3に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トナーとキャリアからなる現像剤を収容する収容部に、所定量の現像剤が収容(貯溜)されると排出口から現像剤が排出される現像装置が開示されている。この現像装置では、排出口よりも現像剤排出経路の下流に磁石が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平02−074973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、現像装置では、収容部に収容された現像剤の剤面が収容部の側壁に形成された排出口の高さを超えると、現像剤が排出口を通して外部へ排出される排出構造が知られている。排出構造を備えた現像装置では、収容部内に設けられるオーガの回転によって、収容部内の現像剤が跳ね上げられて飛散し、排出口を通って排出されることがある。このように、現像剤の剤面が排出口の高さを超える前に現像剤が排出口を通して排出される場合、収容部内の現像剤量が不足してしまう。
【0005】
本発明の課題は、収容部に収容された現像剤の剤面が収容部の側壁に形成された排出口の高さを超えると、現像剤が排出口を通して外部へ排出される構成において、排出口よりも現像剤の排出経路下流に磁石を配置する構成と比べて、収容部内で跳ね上げられた現像剤が排出口を通して排出経路下流に移動するのを抑制できる現像装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様の現像装置は、キャリアとトナーを含んで構成される現像剤を収容する収容部と、前記収容部内に回転可能に設けられ、前記現像剤を撹拌すると共に回転軸方向に搬送する搬送部材と、前記収容部の前記回転軸方向と直交する方向の側壁部に開口し、前記現像剤の剤面の高さが下面の高さを超えると、前記現像剤を外部へ排出する排出口と、前記排出口の前記下面よりも上方で且つ前記下面と上下方向で重なる位置に配置され、前記搬送部材によって跳ね上げられた前記現像剤を吸着する磁性部材と、を備える。
【0007】
第2態様の現像装置は、第1態様の現像装置において、前記排出口の前記下面は、前記回転軸方向と直交する方向の断面で見て、斜め上方に延びて前記側壁部の外面を横切っており、前記排出口の両側面は、前記下面の前記回転軸方向の両端にそれぞれ連結されている。
【0008】
第3態様の現像装置は、第1態様又は第2態様の現像装置において、前記磁性部材は、前記排出口よりも前記回転軸方向の長さが長く、前記排出口を平面で見て、前記回転軸方向の両端部が前記排出口の縁部に重なる。
【0009】
第4態様の画像形成装置は、静電潜像が形成される像保持体と、前記像保持体に形成される静電潜像を現像する第1態様第3態様のいずれか一態様の現像装置と、前記現像装置で現像された画像を記録媒体に定着させる定着部と、を備える。
【0010】
第5態様の画像形成装置は、第4態様の画像形成装置において、複数の前記現像装置を備え、複数の前記現像装置のうち、一の前記現像装置が他の前記現像装置と粒径の異なる現像剤を用いる。
【発明の効果】
【0011】
第1態様の現像装置によれば、収容部に収容された現像剤の剤面が収容部の側壁に形成された排出口の高さを超えると、現像剤が排出口を通して外部へ排出される構成において、排出口よりも現像剤の排出経路下流に磁石を配置する構成と比べて、収容部内で跳ね上げられた現像剤が排出口を通して排出経路下流に移動するのを抑制できる。
【0012】
第2態様の現像装置によれば、搬送部材の回転軸方向と直交する方向の断面で見て、排出口の下面が側壁部の厚み方向に延びる構成と比べて、磁性部材で吸着した現像剤を収容部に戻しやすい。
【0013】
第3態様の現像装置によれば、排出口を平面で見て、磁性部材の回転軸方向の両端部が排出口の縁部よりも内側に位置する構成と比べて、磁性部材の端部下をすり抜ける現像剤を低減できる。
【0014】
第4態様の画像形成装置によれば、第1態様第3態様のいずれか一態様の現像装置を備えない構成と比べて、収容部内の現像剤量を確保できる。
【0015】
第5態様の画像形成装置によれば、現像剤の粒径に応じて現像装置の仕様を変える構成と比べて、異なる粒径の現像剤を用いる場合でも現像装置を共通化できるため、コスト削減ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置を示した構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の画像形成部を示した構成図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置のトナー画像形成部を示した構成図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る現像装置の斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る現像装置の要部を示す拡大断面図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る現像装置の要部を示す拡大断面斜視図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る現像装置の排出口を外方から見た斜視図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る現像装置の排出口と磁性部材の平面図である。
図9図5の矢印9で指し示す部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を図1図10にしたがって説明する。なお、各図に示す矢印Hは装置高さ方向(装置上下方向)を示し、矢印Wは、装置幅方向を示す。
【0018】
<画像形成装置の全体構成>
画像形成装置10は、図1に示されるように、電子写真方式により画像を形成する画像形成部12と、画像が形成されるシート部材P(記録媒体の一例)をシート部材Pの搬送経路16に沿って搬送する複数の搬送部材(符号省略)と、を備えている。
【0019】
また、画像形成装置10は、画像が形成されたシート部材Pを冷却する冷却部20と、シート部材Pの湾曲を矯正する矯正部22と、シート部材Pに形成された画像を検査する画像検査部24と、を備えている。
【0020】
さらに、画像形成装置10は、シート部材Pの両面に画像を形成させるために、表面に画像が形成されたシート部材Pを反転させて再度画像形成部12へ向けて搬送するための反転経路26を備えている。
【0021】
上記構成による画像形成装置10では、画像形成部12によって形成された画像(トナー画像)が、搬送経路16に沿って搬送されるシート部材Pの表面に形成される。さらに、画像が形成されたシート部材Pは、冷却部20、矯正部22、画像検査部24をこの順番で通って装置の外部へ排出される。
【0022】
一方、シート部材Pの裏面に画像を形成する場合は、表面に画像が形成されたシート部材Pが反転経路26に沿って搬送され、再度画像形成部12でシート部材Pの裏面に画像が形成される。
【0023】
画像形成部12は、図2に示されるように、各色のトナー画像を夫々形成する複数のトナー画像形成部30と、トナー画像形成部30で形成されたトナー画像をシート部材Pに転写する転写部32とを備えている。さらに、画像形成部12は、転写部32によってシート部材Pに転写されたトナー画像をシート部材Pに定着する定着装置34を備えている。
【0024】
トナー画像形成部30は、色ごとにトナー画像を形成するように複数備えられている。本実施形態では、ホワイト(W)、シルバー(S)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計6色のトナー画像形成部30が備えられている。図2に示す(W)、(S)、(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色を示している。
【0025】
イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色は、カラー画像を出力するための基準色であり、ホワイト(W)、及びシルバー(S)は、基準色とは異なる色であって、出力画像の色域を広げるための色(以下「特殊色」)である。
また、本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各現像剤Gの粒径は概ね同じ粒径であり、ホワイト(W)及びシルバー(S)の各現像剤Gの粒径は上記基準色の現像剤Gの粒径と異なる。
【0026】
なお、以後の説明では、ホワイト(W)、シルバー(S)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)を区別する必要が無い場合は、符号に付するW、S、Y、M、C、及びKを省略する。
【0027】
各色のトナー画像形成部30は、用いるトナーを除き基本的に同様に構成されており、図3に示されるように、回転する円筒状の像保持体40と、像保持体40を帯電する帯電器42とを備えている。さらに、トナー画像形成部30は、帯電した像保持体40に露光光を照射して静電潜像を形成する露光装置44と、キャリアとトナーを含んで構成された現像剤Gで静電潜像をトナー画像として現像する現像装置46とを備えている。なお、現像装置46については詳細を後述する。
【0028】
また、トナー画像形成部30は、図2に示されるように、各色の現像装置46と図示せぬ供給管を介して接続され、各色の現像装置46へ現像剤Gを供給するための各色のトナーカートリッジ28を備えている。
【0029】
また、各色の像保持体40は、周回移動する転写ベルト50(詳細は後述)に接触している。そして、転写ベルト50の周回方向(図中矢印参照)において、上流側からホワイト(W)、シルバー(S)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)のトナー画像形成部30が、この順番で水平方向に並んで配置されている。各色のトナー画像形成部では、各色の画像を、各色のトナーを用いて形成するようになっている。
【0030】
転写部32は、図2に示されるように、複数のロール(符号省略)に巻き掛けられて図中矢印方向に周回し、各色の像保持体40と接触する転写ベルト50と、転写ベルト50を挟んで各色の像保持体40の反対側にそれぞれ配置される一次転写ロール52とを備えている。この一次転写ロール52が、像保持体40に形成されたトナー画像を転写ベルト50に転写するようになっている。
また、転写部32は、転写ベルト50が巻き掛けられたロール56と、転写ベルト50に対してロール56の反対側に配置され、転写ベルト50に転写されたトナー画像をシート部材Pに転写する二次転写ロール54とを備えている。この構成により、二次転写ロール54と転写ベルト50との間には、シート部材Pにトナー画像を転写する転写ニップNTが形成されている。
上記構成において、各色のトナー画像形成部30によって形成されたトナー画像が、周回する転写ベルト50に一次転写ロール52によって一次転写される。さらに、この転写ベルト50に一次転写されたトナー画像が、二次転写ロール54によってシート部材Pに二次転写される。
【0031】
定着装置34は、複数のロール(符号省略)に巻き掛けられ、加熱される定着ベルト60と、定着ベルト60に向けてシート部材Pを加圧する加圧ロール62とを備えている。
【0032】
この構成において、周回する定着ベルト60と加圧ロール62とによって、トナー画像が転写されたシート部材Pが挟み込まれることで、トナー画像がシート部材Pに定着されるようになっている。
【0033】
次に、画像形成装置10における画像形成工程について説明する。
【0034】
図1に示すように、画像形成装置10が作動すると、ホワイト(W)、シルバー(S)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像データが露光装置44に出力される。そして、露光装置44から画像データに応じて出射された光が、帯電器42により帯電された像保持体40の外周面(表面)を露光することで、各色の画像データに対応した静電潜像が各像保持体40の表面に形成される。
【0035】
続いて、各像保持体40の表面に形成された静電潜像は、各現像装置46によってトナー像として現像される。そして、各像保持体40の表面のトナー像は、転写部32において転写ベルト50に順次多重転写される。
【0036】
一方、搬送経路16を搬送されてきたシート部材Pは、転写ベルト50への各トナー像の多重転写とタイミングを合わせて、転写部32に搬送される。そして、転写ベルト50上に多重転写されたトナー像は、転写部32に搬送されてきたシート部材P上に転写される。
【0037】
続いて、トナー像が転写されたシート部材Pは、定着装置34へ搬送される。そして、定着装置34では、トナー像が加熱、加圧されることでシート部材Pに定着される。トナー像が定着されたシート部材Pは、排出部(図示省略)から排出される。
【0038】
(要部構成)
次に、現像装置46について詳細に説明する。なお、各色の現像装置46は、同一の構造のため、以下では、一つの現像装置46を例に説明する。
【0039】
図4及び図5に示されるように、現像装置46は、画像形成装置10の装置奥行き方向(図1において紙面手前側から奥側への方向)が長手方向とされた装置である。この現像装置46は、現像剤Gを収容する収容部70と、収容部70内に設けられたオーガ72と、収容部70の側壁部71に開口する排出口74と、排出口74の下面75よりも上方に配置された磁石76と、を備えている。
【0040】
収容部70は、装置奥行き方向が長方向とされている。この収容部70は、長手方向の一端部(装置奥行き方向手前側の端部)が筒状部70Aとされている。また、筒状部70Aには、装置上方に向けて突出した筒状の供給口78が設けられている。この供給口78の内部は、筒状部70Aの内部とつながっており、トナーカートリッジ28から供給される現像剤Gを収容部70及び後述する収容部80に供給するようになっている。
【0041】
オーガ72は、収容部70の長手方向(装置奥行き方向と同じ方向)を回転軸方向(図中矢印Xで示す。)として収容部70に設けられている。このオーガ72は、図示しない駆動源からの駆動力によって回転し、収容部70内の現像剤Gを撹拌しながら回転軸方向Xに搬送する。本実施形態では、オーガ72の回転により、装置奥行き方向の奥側から手前側へ向けて現像剤Gが搬送される。なお、オーガ72は、本発明における搬送部材の一例である。
【0042】
排出口74は、収容部70の装置幅方向(回転軸方向Xと直交する方向)の側壁部71に開口している。具体的には、排出口74は、筒状部70Aの側壁部71に開口している。この排出口74は、図5及び図6に示されるように、回転軸方向Xと直交する方向の断面で見て、下面75が側壁部71の内面71Aから斜め上方に延びて側壁部71の外面71Bを横切っている。言い換えると、下面75は、側壁部71の内面71Aから斜め上方に延びて外面71Bを横切り筒状部70Aの外側(側壁部71の外側)へ突出している。この下面75は、側壁部71の内面71Aとの境界にある下端75Aがオーガ72の軸心Cよりも装置上下方向で低い位置にあり、上端75Bがオーガ72の軸心Cよりも装置上下方向で高い位置にある。
【0043】
また、排出口74の両側面84は、図7に示されるように、下面75の回転軸方向Xの両端75Cにそれぞれ連結されている。なお、本実施形態では、側壁部71に形成された開口の下部を覆うように断面コ字状の傾斜壁86が設けられている。この傾斜壁86は、前記開口の下縁部から斜め上方へ延びる傾斜部86Aと、前記開口の側縁部から突出して傾斜部86Aと外面71Bをつなぐ側部86Bとを含んで構成されている。なお、傾斜部86Aの収容部70の内側に位置する面が下面75であり、側部86Bの内側の面が側面84である。
【0044】
また、収容部70(筒状部70A)内の現像剤Gの剤面Fの高さが排出口74の下面75、詳細には、上端75Bの高さを超えると、超えた部分の現像剤Gが排出口74を通して外部へ排出されるように構成されている。
【0045】
磁石76は、図9に示されるように、排出口74の下面75よりも上方で且つ下面75と上下方向で重なる位置に配置されている。また、磁石76は、オーガ72の回転によって跳ね上げられて(撒き上げられて)飛散した現像剤Gを吸着するように構成されている。このため、磁石76の周囲には、吸着した現像剤Gによって現像剤堆積部88が形成されるようになっている。
【0046】
また、図7及び図8に示されるように、磁石76の回転軸方向Xに沿った長さL1が、排出口74の回転軸方向Xに沿った長さL2よりも長くなっている。このため、排出口74を図8に示されるように平面で見ると、磁石76の長手方向(回転軸方向Xと同じ方向)の両端部76Aが排出口74の側縁部74Aに重なっている。言い換えると、上記平面で見ると、磁石76の両端部76Aは、排出口74の両側縁部にはみ出している。なお、磁石76は、本発明における磁性部材の一例である。
【0047】
図5に示されるように、収容部70の装置下方には、装置奥行き方向が長手方向となる収容部80が設けられている。収容部70と収容部80は、装置奥行き方向において、供給口78と排出口74との間に設けられた図示しない通路部を通して連結されている。
【0048】
この収容部80は、長手方向の一端部(装置奥行き方向手前側の端部)が筒状部80Aとされている。また、収容部80には、収容部80の長手方向(装置奥行き方向と同じ方向)を回転軸方向としてオーガ82が回転可能に設けられている。このオーガ82は、図示しない駆動源からの駆動力によって回転し、収容部80内の現像剤Gを撹拌しながら回転軸方向に搬送する。本実施形態では、収容部70から通路部を通して流れ込んだ現像剤Gがオーガ82の回転により、装置奥行き方向の手前側から奥側へ向けて搬送される。
【0049】
また、収容部70と収容部80は、装置奥行き方向の奥側の端部においても図示しない他の通路部を通してつながっている。収容部80内をオーガ82によって搬送された現像剤Gは、他の通路部を通して収容部70へ移動する。収容部70へ移動した現像剤Gは、オーガ72によって装置奥行方向の手前側へ向けて搬送される。すなわち、収容部70の内部と収容部80の内部は、上記通路部と他の通路部を通して現像剤Gの循環経路を構成している。なお、収容部70内の現像剤Gは、現像ロール47へ送られ、像保持体40の静電潜像を現像するようになっている。
【0050】
なお、オーガ72の装置奥行き方向の手前側の端部では図示しない羽根の螺旋の向きが逆向きとなっており、供給口78から供給された新しい現像剤Gは、収容部70を搬送方向奥側から手前側へ搬送されてきた古い現像剤G(トナーが消費された現像剤)と掻き混ぜられて上記通路部を通して収容部80(筒状部80A)へ移動する。
【0051】
また、図5に示されるように、現像装置46は、排出口74を覆うように筒状部70Aの側壁部71に取り付けられるカバー90を備えている。このカバー90は、内部が排出口74を通して筒状部70Aの内部とつながっており、排出口74から排出された現像剤Gを一時的に貯溜可能とされている。なお、本実施形態では、カバー90の上面90Aの排出口74を上方から覆う部分に磁石76が接着テープを用いて取り付けられている。
【0052】
カバー90の下部には、カバー90内に貯留する現像剤Gを図示しない回収部へ送るための回収管92(図4参照)がつながっている。この回収管92内には、回収管92の軸方向を回転軸方向としてオーガ94が設けられている。このオーガ94が回転することで、カバー90内に貯留した現像剤Gが装置奥行き方向手前側から奥側へ搬送され、図示しない回収部で回収される。
【0053】
次に本実施形態の作用について説明する。
現像装置46では、供給口78を通して新たな現像剤Gが収容部70(筒状部70A)に供給されている。新たな現像剤Gの供給により収容部70及び収容部80内の現像剤Gの量(以下適宜「現像剤量」と記載する。)が増えると、収容部70に収容された現像剤Gの剤面Fが収容部70の側壁部71に形成された排出口74の高さを超えて、収容部70内から排出口74を通して余剰分の現像剤Gがカバー90内へ排出される。具体的には、現像剤Gが排出口74の下面75をガイドにして盛り上がり、上端75Bを超えてカバー90内へ排出される。カバー90内へ排出された現像剤Gは、カバー90内に一時的に貯留され、その後、オーガ94の回転によって回収管92を通って図示しない回収部へと搬送される。
【0054】
一方、現像装置46では、オーガ72の回転により跳ね上げられて飛散した現像剤Gが排出口74の下面75の上方に位置する磁石76の磁力によって捕捉され、吸着される。このように磁石76に現像剤Gが吸着されるため、収容部70(筒状部70A)内で撒き上げられて(跳ね上げられて)飛散した現像剤Gが排出口74を通して現像剤Gの排出経路下流にあるカバー90内へ移動するのが抑制される。
【0055】
また、磁石76に吸着された現像剤Gによって磁石76の周囲に現像剤堆積部88が形成される。このように磁石76の周囲に現像剤堆積部88が形成されることで、より広い範囲で飛散された現像剤Gを捕捉することができる。ここで、磁石76は、排出口74の下面75よりも上方で且つ下面75と上下方向で重なる位置に配置されていることから、現像剤堆積部88の一部が剥がれ落ちても現像剤Gがカバー90内へ落下するのを抑制できる。
【0056】
すなわち、現像装置46では、排出口74の下面75よりも上方で且つ下面75と上下方向で重なる位置に磁石76を配置していることから、例えば、排出口74よりも現像剤Gの排出経路下流に磁石76を配置する構成と比べて、収容部70内で跳ね上げられて飛散した現像剤Gが排出口74を通して排出経路下流にあるカバー90内に移動するのが抑制される。
【0057】
特に、基準色の現像剤Gと粒径が異なるホワイト(W)、シルバー(S)の現像剤Gを用いた場合、オーガ72による現像剤Gの跳ね上げ量(高さ)が変化する。しかし、本実施形態の現像装置46を用いることで、粒径が異なっていても、跳ね上げられて飛散した現像剤Gが排出口74を通して排出経路下流にあるカバー90内に移動するのが抑制される。
同様に、オーガ72の回転速度を変化させる、特に高速回転させる場合には、オーガ72による現像剤Gの跳ね上げ量(高さ)が変化する。しかし、本実施形態の現像装置46を用いることで、オーガ72が高速回転する構成であっても、跳ね上げられて飛散した現像剤Gが排出口74を通して排出経路下流にあるカバー90内に移動するのが抑制される。
【0058】
また、現像装置46では、オーガ72の回転軸方向Xと直交する方向の断面で見て、排出口74の下面75が斜め上方に延びて側壁部71の外面71Bを横切って延びる構成としている。このため、例えば、排出口74の下面75が側壁部71の厚み方向に延びる構成と比べて、磁石76で吸着した現像剤Gを収容部70により多く戻すことができる。具体的には、現像剤堆積部88を構成する現像剤Gの一部が剥がれ落ちても、下面75を伝って収容部70(筒状部70A)内に現像剤Gが戻される。
【0059】
さらに、現像装置46では、平面で見て、排出口74を磁石76の回転軸方向の両端部76Aが排出口74の縁部に重なる構成としている。このため、例えば、磁石76の回転軸方向Xの両端部76Aが排出口74の縁部よりも内側に位置する構成と比べて、現像剤堆積部88が磁石76の長手方向でムラなく形成されるため、磁石76の端部76A下をすり抜ける現像剤Gを低減できる。
【0060】
また、画像形成装置10では、現像装置46を備えない構成と比べて、収容部70内の現像剤量が確保される。
またさらに、画像形成装置10では、現像剤の粒径に応じて現像装置46の仕様を変える構成と比べて、異なる粒径の現像剤Gを用いる場合でも現像装置46を共通化できるため、画像形成装置10のコストが削減される。
【0061】
前述の実施形態では、本発明における磁性部材の一例として磁石76を用いる構成としているが本発明はこの構成に限定されない。例えば、磁性部材として金属部材を用い、この金属部材を磁化させる構成(一例として、電磁力を用いて磁化させる構成)としてもよい。
【0062】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施でき、製造工程の順序を適宜変更することが可能である。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0063】
10 画像形成装置
46 現像装置
70 収容部
71 側壁部
71B 外面
72 オーガ(搬送部材の一例)
74 排出口
75 下面
75C 両端
76 磁石
76A 両端部
84 側面
G 現像剤
F 剤面
P シート部材(記録媒体の一例)
X 回転軸方向(搬送部材の回転軸方向の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9