(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱源により加熱される加熱ローラーと、用紙を加圧する上加圧ローラーおよび下加圧ローラーからなるローラー対と、前記加熱ローラーおよび前記上加圧ローラーに巻回される定着ベルトとを備えた定着装置であって、
前記定着ベルトによって囲われた空間に、前記上加圧ローラーからの熱を遮蔽する遮蔽部材が、前記上加圧ローラーに対向するように配置されており、
前記熱源が、前記加熱ローラーの内部または前記定着ベルトの外部に配置され、
前記定着ベルトによって囲われた空間内の前記加熱ローラーと前記上加圧ローラーとの間の領域は、前記定着ベルトを加熱する加熱手段が非配置となっており、
前記加熱ローラーに対向するように配置された第2の遮蔽部材を有する、
定着装置。
熱源により加熱される加熱ローラーと、用紙を加圧する上加圧ローラーおよび下加圧ローラーからなるローラー対と、前記加熱ローラーおよび前記上加圧ローラーに巻回される定着ベルトとを備えた定着装置であって、
前記定着ベルトによって囲われた空間に、前記上加圧ローラーからの熱を遮蔽する遮蔽部材が、前記上加圧ローラーに対向するように配置されており、
前記熱源が、前記加熱ローラーの内部または前記定着ベルトの外部に配置され、
前記定着ベルトによって囲われた空間内の前記加熱ローラーと前記上加圧ローラーとの間の領域は、前記定着ベルトを加熱する加熱手段が非配置となっており、
前記遮蔽部材は、断面略直線状の中央部と、前記中央部に連続し、前記上加圧ローラーに対向する向きに傾斜する端部と、を有する、
定着装置。
熱源により加熱される加熱ローラーと、用紙を加圧する上加圧ローラーおよび下加圧ローラーからなるローラー対と、前記加熱ローラーおよび前記上加圧ローラーに巻回される定着ベルトとを備えた定着装置であって、
前記定着ベルトによって囲われた空間に、前記上加圧ローラーからの熱を遮蔽する遮蔽部材が、前記上加圧ローラーに対向するように配置されており、
前記熱源が、前記加熱ローラーの内部または前記定着ベルトの外部に配置され、
前記定着ベルトによって囲われた空間内の前記加熱ローラーと前記上加圧ローラーとの間の領域は、前記定着ベルトを加熱する加熱手段が非配置となっており、
前記遮蔽部材の断面形状は、前記上加圧ローラーの断面形状に対応した円弧状である、
定着装置。
熱源により加熱される加熱ローラーと、用紙を加圧する上加圧ローラーおよび下加圧ローラーからなるローラー対と、前記加熱ローラーおよび前記上加圧ローラーに巻回される定着ベルトとを備えた定着装置であって、
前記定着ベルトによって囲われた空間に、前記上加圧ローラーからの熱を遮蔽する遮蔽部材が、前記上加圧ローラーに対向するように配置されており、
前記熱源が、前記加熱ローラーの内部または前記定着ベルトの外部に配置され、
前記定着ベルトによって囲われた空間内の前記加熱ローラーと前記上加圧ローラーとの間の領域は、前記定着ベルトを加熱する加熱手段が非配置となっており、
前記遮蔽部材に取り付けられた弾性部材を有し、
前記弾性部材は、前記加熱ローラーまたは前記上加圧ローラーまたは定着ベルトの内面と接触しており、
前記弾性部材は、前記加熱ローラーまたは前記上加圧ローラーまたは定着ベルトの内面に対して離接可能に構成されている、
定着装置。
熱源により加熱される加熱ローラーと、用紙を加圧する上加圧ローラーおよび下加圧ローラーからなるローラー対と、前記加熱ローラーおよび前記上加圧ローラーに巻回される定着ベルトとを備えた定着装置であって、
前記定着ベルトによって囲われた空間に、前記上加圧ローラーからの熱を遮蔽する遮蔽部材が、前記上加圧ローラーに対向するように配置されており、
前記遮蔽部材の断面形状は、前記上加圧ローラーの断面形状に対応した円弧状であり、
前記遮蔽部材と前記上加圧ローラーとの距離は、前記上加圧ローラーの軸方向中央部における距離よりも前記上加圧ローラーの軸方向端部における距離の方が短い、
定着装置。
熱源により加熱される加熱ローラーと、用紙を加圧する上加圧ローラーおよび下加圧ローラーからなるローラー対と、前記加熱ローラーおよび前記上加圧ローラーに巻回される定着ベルトとを備えた定着装置であって、
前記定着ベルトによって囲われた空間に、前記上加圧ローラーからの熱を遮蔽する遮蔽部材が、前記上加圧ローラーに対向するように配置されており、
前記遮蔽部材の断面形状は、前記上加圧ローラーの断面形状に対応した円弧状であり、
前記上加圧ローラーの軸方向に沿った前記遮蔽部材の端部側は、前記上加圧ローラーの軸方向に沿った前記遮蔽部材の中央側よりも幅が大きい、
定着装置。
熱源により加熱される加熱ローラーと、用紙を加圧する上加圧ローラーおよび下加圧ローラーからなるローラー対と、前記加熱ローラーおよび前記上加圧ローラーに巻回される定着ベルトとを備えた定着装置であって、
前記定着ベルトによって囲われた空間に、前記上加圧ローラーからの熱を遮蔽する遮蔽部材が、前記上加圧ローラーに対向するように配置されており、
前記遮蔽部材に取り付けられた弾性部材を有し、
前記弾性部材は、前記加熱ローラーまたは前記上加圧ローラーまたは定着ベルトの内面と接触しており、
前記弾性部材は、前記加熱ローラーまたは前記上加圧ローラーまたは定着ベルトの内面に対して離接可能に構成されている、
定着装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態における画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。
図2は、本実施の形態における画像形成装置1の制御系の主要部を示す。
図1、2に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙Sに二次転写することにより、トナー像を形成する。
【0011】
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0012】
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60および制御部100等を備える。
【0013】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0014】
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙Sにトナー像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0015】
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
【0016】
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
【0017】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿またはコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0018】
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21および操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
【0019】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0020】
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
【0021】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示す。
図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
【0022】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、およびドラムクリーニング装置415等を備える。
【0023】
感光体ドラム413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置411による露光により一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
【0024】
制御部100は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度で回転させる。
【0025】
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0026】
現像装置412は、例えば二成分現像方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。現像装置412の具体的な構成については後述する。
【0027】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。
【0028】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
【0029】
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0030】
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0031】
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
【0032】
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側(一次転写ローラー422と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
【0033】
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側(二次転写ローラー424と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
【0034】
ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接するベルトクリーニングブレード等を有し、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。なお、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成(いわゆるベルト式の二次転写ユニット)を採用してもよい。
【0035】
定着部60は、用紙Sの定着面(トナー像が形成されている面)側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面(定着面の反対の面)側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、及び加熱源60C等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを狭持して搬送する定着ニップが形成される。
【0036】
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。また、定着器Fには、エアを吹き付けることにより、定着面側部材から用紙Sを分離させるエア分離ユニット60Dが配置されている。
【0037】
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52および搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類ごとに収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53a等の複数の搬送ローラー対を有する。
【0038】
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
【0039】
次に、
図1および
図3を参照し、定着装置としての定着部60の構成について説明する。
【0040】
図1および
図3に示すように、上側定着部60Aは、定着面側部材である無端状の定着ベルト61、加熱ローラー62、上加圧ローラー63、および後述する遮蔽部材を有する(ベルト加熱方式)。定着ベルト61は、加熱ローラー62と上加圧ローラー63とに所定のベルト張力(例えば、400N)で張架されている。
【0041】
定着ベルト61は、例えばPI(ポリイミド)からなる基体の外周面を弾性層として耐熱性のシリコンゴムで被覆し、さらに、表層に耐熱性樹脂であるPFA(パーフルオロアルコキシ)のチューブを被覆またはコーティングをしてなる。
【0042】
定着ベルト61は、トナー像が形成された用紙Sに接触して、当該トナー像を用紙Sに定着許容温度範囲で加熱定着する。ここで、定着許容温度範囲とは、用紙S上のトナーを溶融するのに必要な熱量を供給しうる温度であり、画像形成される用紙Sの紙種等によって異なる。
【0043】
加熱ローラー62は、定着ベルト61を加熱する。加熱ローラー62は、定着ベルト61を加熱する加熱源60Cを内蔵している。加熱ローラー62は、例えば、ハロゲンヒーターであり、アルミニウム等から形成された円筒状の芯金における外周面をPTFEでコーティングした樹脂層で被覆された構成である。
【0044】
加熱源60Cの温度は、制御部100によって制御される。加熱源60Cによって加熱ローラー62が加熱され、その結果、定着ベルト61が加熱される。
【0045】
本実施の形態では、加熱源60Cは、上述のように、加熱ローラー62の内部に配置されている。他の配置例として、加熱源60Cは、
図4に示すように、加熱ローラー62および定着ベルト61の外部に配置されていてもよい。
【0046】
上加圧ローラー63は、例えば鉄等の金属から形成された中実の芯金を、弾性層として耐熱性のシリコンゴムで被覆し、さらに、低摩擦で耐熱性樹脂であるPTFEでコーティングした樹脂層で被覆したものである。上加圧ローラー63は、定着部60における主駆動源(図示せず)により駆動回転する下加圧ローラー65に定着ベルト61を介して圧接される。
【0047】
下側定着部60Bは、例えば裏面側支持部材である下加圧ローラー65を有する(ローラー加圧方式)。下加圧ローラー65は、PI(ポリイミド)からなる基材層の外周面を弾性層として耐熱性のシリコンゴムで被覆し、さらに、弾性層の外周面を表面離型層としてPFAチューブの樹脂層で被覆したものである。
【0048】
制御部100は、主駆動源(駆動モーター)を制御して、下加圧ローラー65を図中反時計回り方向に回転させる。駆動モーターの駆動制御(例えば、回転のオン/オフ、周速度等)は、制御部100によって行われる。
【0049】
下加圧ローラー65には、ハロゲンヒーター等の加熱源65Aが内蔵されている。この加熱源65Aが発熱することにより、下加圧ローラー65は加熱される。制御部100は、加熱源65Aに供給する電力を制御し、下加圧ローラー65を所定温度に制御する。
【0050】
下加圧ローラー65は、定着ベルト61を介して上加圧ローラー63に所定の定着荷重で圧接される。このようにして、定着ベルト61と下加圧ローラー65との間には、用紙Sを狭持して搬送する定着ニップNPが形成される。
【0051】
下加圧ローラー65が図中反時計回り方向に駆動回転すると、定着ベルト61が図中時計回り方向に従動回転する。これに伴い、上加圧ローラー63は、図中時計回り方向に従動回転する。また、加熱ローラー62は、図中時計回り方向に従動回転する。用紙Sの定着時、定着ベルト61の周速度は、下加圧ローラー65の周速度と同等となる。
【0052】
エア分離ユニット60Dは、ファン送風部66および送風ダクト67を備える。エア分離ユニット60Dは、定着ニップNPの用紙排出側から定着ベルト61に向けてエアを送風する。
【0053】
定着部60において、上側定着部60A、下側定着部60Bおよび加熱源60Cは、定着ニップNPで用紙Sを加熱、加圧しながら搬送することにより、未定着のトナー像を用紙S上に定着させる。エア分離ユニット60D(
図1参照)は、定着ニップNPを通過した用紙Sの先端にエアを吹き付けることにより、定着ベルト61から用紙Sを分離させる。これにより、定着ニップNPを通過した用紙Sが定着ベルト61の表面に巻き付いて分離せず、巻き付きジャム等を発生させることを防止することができる。
【0054】
ところで、定着装置では、省エネルギー化すなわち消費電力の削減が大きな技術的課題となっている。ここで、上記のような熱定着ベルトを備えた加熱ベルト定着方式のものは、定着ニップNPを形成するローラー対63,65、特に熱源を持たない上加圧ローラー63の保温性を高めることが重要と考えられる。特に、上加圧ローラー63が回転せず、定着ベルトの熱が伝達されないアイドリング中における上加圧ローラー63の保温性を高めることは、消費電力の削減に大きく寄与するものと考えられる。
【0055】
そこで、本実施の形態では、
図3に示すように、上加圧ローラー63からの熱を遮蔽する遮蔽部材64を上加圧ローラー63の上方に配置することにより、直接の熱源を有していない上加圧ローラー63の保温性を高めるようにしている。以下、かかる構成について詳述する。
【0056】
本実施の形態では、遮蔽部材64は、板状の部材であり、定着ベルト61によって囲われた空間に配置されている。遮蔽部材64は、上加圧ローラー63に対向するように配置されている。
【0057】
より詳しくは、遮蔽部材64は、
図3に示すように、断面略直線状(平板状)の中央部64aと、中央部64aの両端からフランジ状に連続し、上加圧ローラー63に対向する向きに傾斜する端部64b,64cと、を有する。遮蔽部材64の中央部64aは、略水平に配置されている。遮蔽部材64の上加圧ローラー63の軸方向に沿った幅(長手方向幅)は、上加圧ローラー63軸方向幅とほぼ等しい。
【0058】
遮蔽部材64の材質は、熱を遮蔽ないし遮断する性質、言い換えると遮蔽部材64の一面側(例えば下面側)に滞留している熱を他面側(上面側)に逃がさない性質を有するものであればよい。したがって、遮蔽部材64は、一般に使用される各種の蓄熱材、断熱材、あるいは反射材を単独であるいは組み合わせて使用することができる。断熱材等を組み合わせて構成した遮蔽部材の例は後述する。
【0059】
かかる構成の遮蔽部材64によれば、加熱ローラー62から上加圧ローラー63に直接放射される熱が遮蔽されつつ、上加圧ローラー63の上方に、定着ベルト61および下加圧ローラー65により加温された上加圧ローラー63の熱が、遮蔽部材64の下面側の空間に滞留する。本実施の形態では、このように、上加圧ローラー63の上側および対向する遮蔽部材64の下面側の空間に熱が滞留されることにより、上加圧ローラー63の保温性が高められる。
【0060】
したがって、本実施の形態によれば、加熱ローラー62および定着ベルト61が回転しないアイドリング中において上加圧ローラー63の保温性を高めることが可能になる。
【0061】
図5は、遮蔽部材の長さlと上加圧ローラー63の開放面の弧の長さLとの関係を説明する図である。遮蔽部材の長さlは、対向する上加圧ローラー63の面の弧に沿った長さであり、
図3の例では、遮蔽部材64の中央部64aの長さおよびその両端の端部64b,64cの長さを合計した長さである。上加圧ローラー63の開放面の弧の長さLは、
図5に示すように、定着ベルト61が巻きかかっていない部分の弧の長さである。
【0062】
ここで、上加圧ローラー63の保温性を十分に確保する観点からは、上述した遮蔽部材の長さlと上加圧ローラー63の開放面の弧の長さLとの関係は、下記の数式1を満たすことが好ましい。
l≧L/2 ・・・(数式1)
【0063】
上記数式1を満たさない場合、すなわち遮蔽部材の長さlの値がL/2よりも小さい場合、上加圧ローラー63の開放面を覆う面積が狭くなり、上加圧ローラー63の保温性が十分に得られなくなる。
【0064】
以下、上述した実施の形態の変形例について説明する。以下は、主に上述した実施の形態と異なる部分について説明し、同様の部分については適宜説明を省略する。
【0065】
図6は、定着装置の変形例を示す図であり、遮蔽部材を2つ設けた例を示す。
図3と比較して分かるように、
図6の例では、
図3で上述した遮蔽部材64の上方かつ加熱ローラー62の下方に、第2の遮蔽部材としての遮蔽部材64Aが配置されている。この遮蔽部材64Aは、上述した遮蔽部材64と同様の形状を有し、端部の向きが逆になっている。すなわち、遮蔽部材64Aは、遮蔽部材64と同様に中央部の両端から端部がフランジ状に連続し、かかる端部が加熱ローラー62に対向するように配置されている。遮蔽部材64Aの他の構成は、上述した遮蔽部材64と同様である。
【0066】
図6に示す構成では、遮蔽部材64Aが加熱ローラー62に対向するように設けられていることから、上述した効果に加えて、加熱ローラー62の保温性が高められる効果も得られる。また、
図6に示す構成では、遮蔽部材64Aがその下方の遮蔽部材64を保温する役割を有するので、遮蔽部材64およびその下方の空間の保温性が高まり、その結果、上加圧ローラー63の保温性がより高められる。
【0067】
図7は、定着装置における遮蔽部材の他の変形例を示す図である。
図7に示す遮蔽部材64Bは、上加圧ローラー63と対向する側の面と上加圧ローラー63の表面との距離が均一(略一定)となっている。より具体的には、
図7に示す例では、遮蔽部材64Bは、断面円弧状である。かかる
図7に示す構成でも、
図3で上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0068】
なお、上加圧ローラー63がクラウン形状の場合、遮蔽部材もかかる形状に対応した形状、すなわち軸方向の中央部から傾斜する形状として、上加圧ローラー63の表面との距離を均一(略一定)にすることができる。
【0069】
図8は、定着装置における遮蔽部材のさらに他の変形例を示す図であり、加熱ローラー62等を正面側から示している。
図8中、定着ベルト61の端部を点線で示している。
図8のような例では、上加圧ローラー63の軸方向端部に定着ベルト61が当接していないこともあり、上加圧ローラー63の軸方向の端部側が中央側よりも放熱され易い(熱が逃げやすい)構造といえる。
【0070】
かかる構造を考慮して、
図8に示す遮蔽部材64Cは、上加圧ローラー63の軸方向の中央に対応して位置する中央部から下方に傾斜する形状となっている。このため、遮蔽部材64Cと上加圧ローラー63との距離は、軸方向における両端側の方が中央側よりも近い。すなわち、遮蔽部材64Cと上加圧ローラー63との距離は、上加圧ローラー63の軸方向中央部における距離よりも上加圧ローラー63の軸方向端部における距離の方が短い。このような構成とすることで、上加圧ローラー63の軸方向における各部位の断熱ないし保温の効果を可及的に一定にすることができる。
【0071】
図9は、定着装置における遮蔽部材のさらに他の変形例を示す斜視図であり、
図8と同様、上加圧ローラー63の軸方向の端部の方が中央部よりも放熱性が高いことを考慮した構成例を示す。
図9に示す遮蔽部材64Dは、
図7の遮蔽部材64Bの形状をベースとして、軸方向の両端部の面積を中央部よりも広くしたものである。かかる構成も、上加圧ローラー63の軸方向における各部位の断熱ないし保温の効果を可及的に一定にすることができる。
【0072】
図10は、定着装置における遮蔽部材のさらに他の変形例を示す図であり、
図10Aは上加圧ローラー63の周方向に沿って異なる性質の部材を配置してなる遮蔽部材64Eを、
図10Bは上加圧ローラー63の軸方向に沿って異なる性質の部材を配置してなる遮蔽部材64Fを、それぞれ示す。
【0073】
図10Aに示す遮蔽部材64Eは、上加圧ローラー63の周方向に沿った中央部に断熱材641が設けられ、かかる断熱材641の両端から連続して反射材642,643が設けられている。かかる構成によれば、反射材642,643が上加圧ローラー63の輻射熱を反射させ、反射させた輻射熱を対応する上加圧ローラー63の部位に吸収させることから、遮蔽部材64Eに対向する上加圧ローラー63の周方向における各部位の断熱ないし保温の効果を可及的に一定にすることができる。
【0074】
図10Bに示す遮蔽部材64Fは、上加圧ローラー63の軸方向に沿った中央部に断熱材641が設けられ、かかる断熱材641の端部から連続して反射材642,643が設けられている。かかる構成によれば、反射材642,643が上加圧ローラー63の輻射熱を反射させ、反射させた輻射熱を対応する上加圧ローラー63の部位に吸収させることから、遮蔽部材64Fに対向する上加圧ローラー63の軸方向における各部位の断熱ないし保温の効果を可及的に一定にすることができる。
【0075】
図11は、定着装置における遮蔽部材のさらに他の変形例を示す図であり、遮蔽部材に弾性部材が取り付けられ、かかる弾性部材が上側定着部60Aの構成部材に当接する構成例を示している。
図11Aの例では、遮蔽部材64の中央部の下面に断面矩形すなわち角柱状の弾性部材645が取り付けられており、かかる弾性部材645の表面(下面)が上加圧ローラー63に当接している。
図11Bの例では、遮蔽部材64の中央部の上面に板状の弾性部材646が取り付けられており、かかる弾性部材646の先端が加熱ローラー62に当接している。図示しないが、他にも、例えば、遮蔽部材64に板状の弾性部材を取り付けて、かかる弾性部材の先端が定着ベルト61の内面に当接する構成とすることもできる。
【0076】
このような構成とすることにより、遮蔽部材64によって上加圧ローラー63の保温性が高められる効果に加えて、遮蔽部材64に設けられた弾性部材によって、上側定着部60Aの構成部材に付着した異物を除去し、上側定着部60Aの清掃を行うことができる。或いは、上側定着部60Aの構成部材に対する弾性部材の当接状態を調整する、または、後述する
図12Aの構成と組み合わせることにより、ローラの回転を安定させる等、必要に応じて上側定着部60Aの構成部材にブレーキを掛けることもできるようになる。
【0077】
図12は、遮蔽部材が移動可能に設けられた例であり、
図12Aは遮蔽部材64が上下方向すなわち上加圧ローラー63に対して近接および離間方向に移動する構成、
図12Bは軸部647,648を中心として開閉可能とされた遮蔽部材64Gをそれぞれ示す。
【0078】
図12Aの例では、遮蔽部材が図示しないアクチュエーターに接続され、かかるアクチュエーターが制御部100により駆動されることで、遮熱効果が保たれる下方の位置と遮熱効果が低下する上方位置との間で遮蔽部材が移動される。
図12Aでは、
図3に示す遮蔽部材64を用いた場合を例示したが、上述した変形例による遮蔽部材64B〜F等も同様に移動可能とすることができる。
【0079】
図12Bの例では、遮蔽部材64Gは、図示しないアクチュエーターに接続され、かかるアクチュエーターが制御部100により駆動されることで、遮蔽部材の両端に設けられた軸部647,648を中心として、図中の矢印方向すなわち上加圧ローラー63に対する近接および離間方向に開閉動作する。かかる開閉動作により、遮蔽部材64Gは、上加圧ローラー63の遮熱効果が保たれる位置(図中に点線で示す位置)から図中に実線で示す位置まで移動する。
【0080】
かかる
図12Aおよび
図12Bの構成によれば、例えば上加圧ローラー63の冷却が必要とされる場合に、遮熱効果を下げる位置まで遮蔽部材を移動することで、上加圧ローラー63の熱を解放することも可能になる。
【0081】
このように、実施の形態によれば、定着ベルトによって囲まれた空間に、加熱ローラーからの熱を遮蔽する遮蔽部材が、上加圧ローラーに対向するように配置されることで、上加圧ローラーの保温性が高まり、定着装置ひいては画像形成装置全体の消費電力を抑えることができる。
【0082】
上記実施の形態では、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。