【文献】
長谷川純一ほか1名,“ディジタル濃淡画像への直接記録が可能な画像診断記録システム”,医療情報学,日本,日本医療情報学会,1989年07月20日,第9巻, 第2号,pp.151〜162
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
患者を撮影して得られた医用画像を記憶する画像記憶手段と、前記医用画像に対して計測又は描画を行う複数の描画計測手段と、所定の文字列と前記描画計測手段とを対応付けて記憶する対応情報記憶手段と、を備える画像管理装置における画像表示方法であって、
前記画像記憶手段に記憶されている医用画像のうち、表示対象の医用画像に関連する関連データから前記所定の文字列を抽出し、当該抽出された前記所定の文字列に対応する描画計測手段を前記対応情報記憶手段から取得する第1工程と、
前記表示対象の医用画像とともに、前記取得された描画計測手段を示す識別情報を選択可能に表示手段に表示させる第2工程と、
を含み、
前記第1工程では、前記関連データとして、前記表示対象の医用画像に対する検査オーダー、及び、前記表示対象の医用画像と同一又は関連性が高い症例の過去の医用画像に対して作成された読影レポートを用い、前記関連データから抽出された前記所定の文字列により、使用される可能性が高い描画計測手段を絞り込み、
前記第2工程では、前記検査オーダーに基づいて取得された描画計測手段を示す識別情報と、前記読影レポートに基づいて取得された描画計測手段を示す識別情報と、を組み合わせて、前記表示対象の医用画像とともに前記表示手段に表示させる画像表示方法。
患者を撮影して得られた医用画像を記憶する画像記憶手段と、前記医用画像に対して計測又は描画を行う複数の描画計測手段と、所定の文字列と前記描画計測手段とを対応付けて記憶する対応情報記憶手段と、を備える画像管理装置を制御するコンピューターに、
前記画像記憶手段に記憶されている医用画像のうち、表示対象の医用画像に関連する関連データから前記所定の文字列を抽出し、当該抽出された前記所定の文字列に対応する描画計測手段を前記対応情報記憶手段から取得する第1機能と、
前記表示対象の医用画像とともに、前記取得された描画計測手段を示す識別情報を選択可能に表示手段に表示させる第2機能と、
を実現させるためのプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体であって、
前記第1機能は、前記関連データとして、前記表示対象の医用画像に対する検査オーダー、及び、前記表示対象の医用画像と同一又は関連性が高い症例の過去の医用画像に対して作成された読影レポートを用い、前記関連データから抽出された前記所定の文字列により、使用される可能性が高い描画計測手段を絞り込み、
前記第2機能は、前記検査オーダーに基づいて取得された描画計測手段を示す識別情報と、前記読影レポートに基づいて取得された描画計測手段を示す識別情報と、を組み合わせて、前記表示対象の医用画像とともに前記表示手段に表示させる記録媒体。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る画像管理装置の実施の形態について説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0018】
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1に、医用画像システム100のシステム構成を示す。
図1に示すように、医用画像システム100は、電子カルテ装置10、RIS(Radiology Information System:放射線科情報システム)20、モダリティー30、画像管理装置40、院内サーバー50等から構成され、各装置は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信回線からなる通信ネットワークNを介してデータ送受信可能に接続されている。医用画像システム100を構成する各装置は、DICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格に準じており、各装置間の通信は、DICOMに則って行われる。なお、各装置の台数は、特に限定されない。
【0019】
電子カルテ装置10は、電子カルテ作成機能、検査オーダーの発行機能、画像ビューアー機能を有するコンピューター装置である。電子カルテ装置10は、患者に対する診療行為や診断結果を記録した電子カルテ情報を生成する。電子カルテ装置10は、主に患者の診療に携わる臨床医が使用する。臨床医は、読影医が書いた読影レポート(画像診断報告書)を参考にして、薬の処方や、患者に対する何らかの処置を行う。
【0020】
検査オーダーには、患者情報、検査情報等が含まれている。
患者情報には、患者ID(HISやRISが発番)、患者氏名、生年月日、年齢、性別、身長、体重、血圧(上/下)、血液型、体温、現病歴、既往歴、入外区分、アレルギー歴、感染症等が含まれる。
検査情報には、検査ID(HISやRISが発番)、検査日時、モダリティー(CT、MR、US等)、検査部位(胸部、腹部等)、技師氏名、診療科、検査目的、読影依頼、造影剤有無、受付番号、依頼医師、読影医師、検査記述等が含まれる。検査目的は、臨床医から撮影技師や読影医へ検査目的を伝えるための情報である。読影依頼は、臨床医から撮影技師や読影医へ読影すべきポイントを伝えるための情報である。
【0021】
RIS20は、放射線機器による検査や治療の予約、検査結果等の放射線科内の情報を管理するシステムである。RIS20は、電子カルテ装置10において発行された検査オーダーを管理し、検査オーダーに基づいて、モダリティー30に対して検査依頼を送信し、画像管理装置40に読影依頼を送信する。
【0022】
モダリティー30は、患者の診断対象部位を撮影し、医用画像を生成する画像生成装置である。モダリティー30は、例えば、CR(Computed Radiography)、DR(Digital Radiography)等によって構成される。モダリティー30は、DICOM規格に則って、付帯情報を医用画像の画像ファイルのヘッダーに書き込むことにより、医用画像に付帯情報を付帯させる。
【0023】
画像管理装置40は、モダリティー30において生成された医用画像の画像データを記憶し、患者毎に管理する。画像管理装置40としては、例えば、PACS(Picture Archiving and Communication System)等が挙げられる。画像管理装置40において、読影医は、臨床医からの検査オーダーに従って撮影技師が撮影した医用画像を診断し、所見や診断を記入した読影レポートを作成する。
【0024】
院内サーバー50は、読影レポートを管理するレポートDB(DataBase)51を備え、外部機器からの読影レポートの取得要求に応じて、要求された読影レポートを当該外部機器に提供する。
レポートDB51には、各読影レポートが、患者情報(患者ID、患者氏名等)、検査情報(検査部位等)等と対応付けられて格納されている。
【0025】
図2に、画像管理装置40の機能的構成を示す。
図2に示すように、画像管理装置40は、CPU(Central Processing Unit)41、操作部42、表示部43、通信部44、ROM(Read Only Memory)45、RAM(Random Access Memory)46、記憶部47等を備えて構成されており、各部はバス48により接続されている。
【0026】
CPU41は、画像管理装置40の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPU41は、操作部42から入力される操作信号又は通信部44により受信される指示信号に応じて、ROM45に記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAM46に展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0027】
操作部42は、カーソルキー、文字・数字入力キー及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号をCPU41に出力する。また、操作部42は、表示部43に積層されたタッチパネルにより構成され、ユーザーの指等によるタッチ操作の位置に応じた操作信号をCPU41に出力することとしてもよい。
【0028】
表示部43は、LCD(Liquid Crystal Display)等のモニターを備えて構成されており、CPU41から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。例えば、表示部43は、医用画像の読影画面を表示する。
【0029】
通信部44は、ネットワークインターフェース等により構成され、通信ネットワークNを介して接続された外部機器との間でデータの送受信を行う。例えば、通信部44は、モダリティー30により患者を撮影して得られた医用画像を受信する。また、通信部44は、外部機器からの医用画像の取得要求に応じて、要求された医用画像を当該外部機器に送信する。
【0030】
ROM45は、不揮発性の半導体メモリー等により構成され、制御プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等を記憶している。
【0031】
RAM46は、CPU41により実行制御される各種処理において、ROM45から読み出された各種プログラム、入力若しくは出力データ及びパラメーター等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0032】
記憶部47は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリー等により構成され、各種データを記憶している。記憶部47は、患者を撮影して得られた医用画像を記憶する画像記憶手段である。また、記憶部47には、画像DB471、対応テーブル472が記憶されている。
【0033】
画像DB471は、検査オーダーに基づいて撮影された医用画像に関する情報を管理するものである。画像DB471には、患者情報(患者ID、患者氏名等)、検査情報(検査部位等)、医用画像のファイルの格納場所等が対応付けられて格納されている。
【0034】
図3に、対応テーブル472のデータ構成例を示す。対応テーブル472には、項目番号毎に、所定の文字列と描画計測ツールとが対応付けられて格納されている。すなわち、記憶部47は、対応情報記憶手段として機能する。所定の文字列は、表示対象の医用画像に関連する関連データから抽出される対象となる文字列であり、循環器/消化器/呼吸器/泌尿生殖器等の臓器、骨格、関節、筋肉等の部位、病名、施術名、解剖学的正位に基づいた体の面や方向を表す用語、パラメーター名等を含む。描画計測ツールは、医用画像に対して計測又は描画を行う描画計測手段である。各描画計測ツールは、CPU41とROM45に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0035】
描画計測ツールとして、医用画像に対して計測を行う計測ツールと、医用画像に対して描画を行う描画ツールと、が挙げられる。
【0036】
計測ツールは、表示部43に表示された医用画像上の特定の臓器や骨等、所定箇所の長さ、角度、面積等を計測するものである。計測時に、計測のポイントとなる位置を指定するために補助線を描画する場合もある。補助線については、操作部42からの操作による位置指定に基づいて描画する場合と、医用画像から臓器等を認識して自動で描画する場合と、がある。
【0037】
例えば、心胸郭比計測ツールは、胸部画像上で心臓幅と胸郭幅の比を算出するものであり、心胸郭比は、心拡大を判定するためのパラメーターとなる。心胸郭比が50%未満の場合には「正常」と判定され、50%以上の場合には「心拡大」と判定される。
コブ角度計測ツールは、脊柱側弯症の進行度を測定するものである。
マイヤーディング分類計測ツールは、すべり症の程度を、マイヤーディング分類を用いて表現するものである。
CA/CP/AP計測ツールは、椎体変形を定量的に評価するものであり、椎体の前縁高(A)、中央高(C)、後縁高(P)の比で判定する。
シャープ角計測ツール、CE角計測ツール、AHI計測ツールは、変形性股関節症を判定するための計測ツールである。
FTA計測ツールは、大腿骨軸と脛骨軸のなす角(大腿脛骨角)を計測するための計測ツールである。
外反母趾角計測ツールは、外反母趾を判定するための計測ツールである。
キャリング角計測ツール、バウマン角計測ツールは、肘の内反、外反を判定するための計測ツールである。
骨頭下降率計測ツールは、肩関節の動揺性の程度を判定するための計測ツールである。
【0038】
描画ツールは、表示部43に表示された医用画像上の所定箇所を指し示すための図形(矢印、丸、四角形等)を描画するものである。読影時に画像のどこに着目したかを明示するために、例えば、操作部42からの操作に応じて、医用画像上に矢印を描画したり、腫瘍等を丸や四角形等で囲んだりする。
【0039】
CPU41は、記憶部47に記憶されている医用画像のうち、表示対象の医用画像に関連する関連データから所定の文字列を抽出し、当該抽出された所定の文字列に対応する描画計測ツールを記憶部47の対応テーブル472から取得し、表示対象の医用画像とともに、対応テーブル472から取得された描画計測ツールを示す識別情報を選択可能に表示部43に表示させる。ここで、描画計測ツールを示す識別情報は、複数存在する描画計測ツールの中から描画計測ツールを特定可能な情報であればよく、描画計測ツールを示すアイコン、文字情報(描画計測ツール名等)等であってもよい。例えば、CPU41は、関連データに含まれる文字列を利用して、使用される可能性が高い(使用頻度が高いと予想される)描画計測ツールのアイコンを表示部43に表示させる。ユーザーが操作部42からの操作により、表示されている描画計測ツールのアイコンのいずれかを選択すると、CPU41は、選択されたアイコンに対応する描画計測ツールを実行する。
【0040】
第1の実施の形態では、関連データとして、表示対象の医用画像と同一患者の過去の医用画像に対して作成された読影レポート、表示対象の医用画像に対する検査オーダーを用いる。
CPU41は、同一患者の過去の読影レポートに記載された「所見」、「診断」、「要約」、「コメント」等のテキストデータを解析することで、使用される可能性が高い描画計測ツールを自動的に絞り込み、その候補を表示させる。例えば、同一患者の過去の読影レポートの「所見」に、「右肺の末梢に強い浸潤影があって、左肺に粒状影〜斑状影がみられます。」という記述がある場合には、明らかに「肺」に着目していることが分かる。このように、同一患者の過去の読影レポートには、具体的な臓器や病名が記載されるため、それらの文字列を抽出し、抽出された文字列と最も関連性が高い描画計測ツールを提示する。
また、CPU41は、検査オーダーに記載された「検査部位」、「検査目的」、「読影依頼」等のテキストデータを解析することで、使用される可能性が高い描画計測ツールを自動的に絞り込み、その候補を表示させる。検査オーダー内の「検査目的」、「読影依頼」には、描画計測ツールを選択するためのキーワードが含まれる可能性が高い。
【0041】
次に、第1の実施の形態における動作について説明する。
図4は、医用画像システム100において実行される画像検査診断処理を示すラダーチャートである。
【0042】
まず、臨床医が電子カルテ装置10において、患者や検査内容を指定して検査オーダーを発行すると(ステップS1)、電子カルテ装置10は、RIS20に検査オーダーを送信する。
【0043】
RIS20は、電子カルテ装置10から受信した検査オーダーに基づいて、モダリティー30に検査依頼を送信し(ステップS2)、画像管理装置40に読影依頼を送信する(ステップS3)。検査依頼や読影依頼に、検査オーダーに含まれる情報のうち、どの内容を入れるかは任意に設定可能である。RIS20からモダリティー30や画像管理装置40に、検査オーダーそのものを送信することとしてもよい。
【0044】
モダリティー30は、RIS20から検査依頼を受信すると、撮影技師の操作により、検査依頼に応じて対象患者の対象部位のX線撮影を行い(ステップS4)、生成された医用画像を保存する(ステップS5)。モダリティー30は、医用画像を画像管理装置40に送信する(ステップS6)。
【0045】
画像管理装置40では、通信部44によりモダリティー30から医用画像を受信すると、CPU41は、当該医用画像の付帯情報に基づいて、RIS20から受信した読影依頼の中から当該医用画像に対応する読影依頼を特定し、当該医用画像と特定された読影依頼(患者情報、検査情報等)とを対応付けて保存する。
【0046】
画像管理装置40において、読影医が操作部42から表示対象の医用画像を選択すると、CPU41は、選択された医用画像を表示部43に表示させるとともに、医用画像に対して使用される可能性が高い描画計測ツールの候補を表示部43に表示させる。
読影医は、操作部42から描画計測ツールを選択して、表示部43に表示された医用画像に対する計測又は描画を指示する。
【0047】
読影医は、表示部43に表示された医用画像を読影し、操作部42から読影結果を入力し、読影レポートを作成する(ステップS7)。通常は、同一患者の過去の読影レポートも参照しながら、今回撮影された医用画像に対する読影レポートを作成する。画像管理装置40は、作成された読影レポートを、患者情報及び検査情報とともに院内サーバー50に送信する。院内サーバー50では、画像管理装置40から受信した読影レポートを患者情報、検査情報と対応付けてレポートDB51に格納して管理する。
【0048】
次に、画像管理装置40がRIS20に読影が完了した旨の通知を送信すると、RIS20は、電子カルテ装置10に読影が完了した旨の通知を送信する(ステップS8)。
【0049】
電子カルテ装置10では、臨床医が患者を診察するとともに(ステップS9)、院内サーバー50に保存された読影レポートを参照しながら、電子カルテを作成する(ステップS10)。臨床医は、診療中の不確定な所見を画像検査によって確定診断する。モダリティー30の性能向上による高解像度化、撮影枚数の増加、画像診断技術の高度化、専門化により、読影医による読影レポートが、臨床医の確定診断に有用な役割を果たしている。臨床医は、患者に対して処方・処置を行う(ステップS11)。
以上で、画像検査診断処理が終了する。
【0050】
次に、
図5を参照して、画像管理装置40における第1の描画計測ツール絞り込み処理について説明する。この処理は、CPU41とROM45に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0051】
まず、通信部44によりRIS20から検査オーダー(読影依頼)を受信すると(ステップS21)、CPU41は、検査オーダーをRAM46に記憶させる。
【0052】
次に、CPU41は、検査オーダーの内容から指定文字列を検索する(ステップS22)。具体的には、CPU41は、記憶部47の対応テーブル472の「文字列」フィールドに格納されているいずれかの文字列が、検査オーダーの「検査部位」、「検査目的」、「読影依頼」等に含まれている場合には、この文字列を抽出する。
【0053】
次に、CPU41は、抽出された指定文字列に対応する描画計測ツールの候補(第1候補)を対応テーブル472から取得し、この描画計測ツールの候補を、検査オーダーと対応付けてRAM46に記憶させる(ステップS23)。
【0054】
次に、CPU41は、検査オーダーに含まれる「患者ID」、「患者氏名」等を条件にして、通信部44を介して、院内サーバー50から検査対象患者の過去の読影レポートを取得する(ステップS24)。具体的には、CPU41は、患者ID、患者氏名等を条件にして、院内サーバー50に読影レポートの問い合わせを行う。
院内サーバー50は、レポートDB51を検索して、条件を満たす読影レポートを画像管理装置40に送信する。
このようにして、CPU41は、検査オーダーに基づいて撮影される医用画像と同一患者の過去の医用画像に対して作成された読影レポートを取得する。CPU41は、同一患者の過去の読影レポートをRAM46に記憶させる。
【0055】
次に、CPU41は、過去の読影レポートの内容から指定文字列を検索する(ステップS25)。具体的には、CPU41は、記憶部47の対応テーブル472の「文字列」フィールドに格納されているいずれかの文字列が、過去の読影レポートの「所見」、「診断」、「要約」、「コメント」等に含まれている場合には、この文字列を抽出する。
【0056】
次に、CPU41は、抽出された指定文字列に対応する描画計測ツールの候補(第2候補)を対応テーブル472から取得し、この描画計測ツールの候補を、検査オーダーと対応付けてRAM46に記憶させる(ステップS26)。
【0057】
次に、CPU41は、通信部44によりモダリティー30から医用画像を受信すると(ステップS27)、CPU41は、医用画像を記憶部47に記憶させる。また、CPU41は、受信した医用画像の付帯情報に基づいて、RAM46に記憶されている検査オーダーの中から当該医用画像に対応する検査オーダーを特定し、当該医用画像のファイルの格納場所と特定された検査オーダー(患者情報、検査情報等)とを対応付けて記憶部47の画像DB471に格納する。
【0058】
次に、CPU41は、操作部42から画像編集モードが指示されたか否かを判断する(ステップS28)。画像編集モードとは、読影依頼を受けた医用画像の読影を行う際のモードである。画像編集モードでは、表示部43に読影対象の医用画像が表示され、医用画像に対して計測やアノテーションの付加(描画)が可能となる。例えば、表示部43に表示されているキー画像のうち、いずれかの画像を選択することで、選択された画像の画像編集モードに移行する。
画像編集モードが指示されない場合には(ステップS28;NO)、ステップS28に戻る。
【0059】
画像編集モードが指示された場合には(ステップS28;YES)、CPU41は、読影対象の医用画像を表示部43に表示させるとともに、ステップS23とステップS26において記憶された描画計測ツールの候補(第1候補、第2候補)を表示部43に表示させる(ステップS29)。なお、第1候補と第2候補とで重複している描画計測ツールについては、同じ描画計測ツールを二つ表示させる必要はなく、一つ表示させればよい。
以上で、画像管理装置40における第1の描画計測ツール絞り込み処理が終了する。
【0060】
図6に、表示部43に表示される読影画面431の例を示す。
読影画面431には、患者・検査情報表示欄61、所見入力欄62、診断入力欄63、コメント入力欄64、キー画像表示欄65、医用画像表示欄66、描画計測ツール選択欄67等が含まれる。
【0061】
患者・検査情報表示欄61には、読影対象となる医用画像の患者情報及び検査情報が表示される。
所見入力欄62、診断入力欄63、コメント入力欄64は、読影医が医用画像を読影して、所見、診断、コメントを入力するための領域である。
キー画像表示欄65には、検査オーダーに基づいて、モダリティー30により撮影された医用画像のキー画像が表示される。
【0062】
医用画像表示欄66には、キー画像表示欄65に表示されているキー画像の中から選択された画像が表示される。例えば、キー画像表示欄65において、キー画像65Aが選択されると、キー画像65Aに対応する医用画像が医用画像表示欄66に表示される。
【0063】
描画計測ツール選択欄67には、医用画像表示欄66に表示される医用画像に対して使用される可能性が高い描画計測ツールの候補と、一般的に使用される描画計測ツールのグループと、が表示される。
図6では、検査オーダー及び過去の読影レポートに基づいて取得された描画計測ツールの候補として、心胸郭比計測ツールアイコン71、自動心胸郭比計測ツールアイコン72が表示されている。
【0064】
操作部42からの操作により、心胸郭比計測ツールアイコン71が選択されると、手動心胸郭比計測ツールが実行される。読影医が操作部42から操作して、医用画像表示欄66に表示されている医用画像(胸部画像)上で、心臓の両脇位置と胸郭の両脇位置を指定すると、指定位置に補助線が描画され、心臓幅と胸郭幅の比が算出され、算出された心胸郭比が表示部43に表示される。
一方、操作部42からの操作により、自動心胸郭比計測ツールアイコン72が選択されると、自動心胸郭比計測ツールが実行される。医用画像表示欄66に表示されている医用画像(胸部画像)から自動的に心臓及び胸郭が認識され、心臓の両脇位置と胸郭の両脇位置に補助線が描画される。そして、心胸郭比が算出され、計測結果が表示部43に表示される。
【0065】
また、一般的に使用される描画計測ツールのグループとして、第1グループアイコン73、第2グループアイコン74、第3グループアイコン75、第4グループアイコン76、第5グループアイコン77、第6グループアイコン78が表示されている。例えば、第1グループアイコン73が選択されると、
図7に示す読影画面432のように、各種描画を行うための複数の描画ツールのアイコン群79が表示される。
【0066】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、予め対応テーブル472に所定の文字列と描画計測ツールとを対応付けておき、表示対象の医用画像に関連する関連データに含まれる所定の文字列に対応する描画計測ツールを示す識別情報を表示部43に表示させるので、多数存在する描画計測ツールの中から、目的とする描画計測ツールを容易に選択することができる。
【0067】
例えば、同一患者の過去の読影レポートに記載された「所見」、「診断」、「要約」、「コメント」等に含まれる文字列や、検査オーダーに記載された「検査部位」、「検査目的」、「読影依頼」等に含まれる文字列をキーワードとすることで、多数の描画計測ツールの中から選択する手間を省くことができる。
【0068】
また、関連データから抽出される所定の文字列として、循環器/消化器/呼吸器/泌尿生殖器等の臓器、骨格、関節、筋肉等の部位、病名、施術名、解剖学的正位に基づいた体の面や方向を表す用語、パラメーター名等を用いることで、表示対象の医用画像の読影において、使用される可能性が高い描画計測ツールの候補を精度よく提示することができる。
【0069】
なお、第1の実施の形態では、描画計測ツールと対応付けられている文字列を抽出するための関連データとして、同一患者の過去の読影レポート及び検査オーダーを用いる場合について説明したが、同一患者の過去の読影レポート又は検査オーダーのいずれか一方を用いることとしてもよい。
また、同一患者の過去の読影レポートを利用する際に、さらに、同一部位を検査対象とした読影レポートに限定することで、より精度が向上する。
【0070】
[第2の実施の形態]
次に、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態における医用画像システムは、第1の実施の形態に示した医用画像システム100と同様の構成であるため、
図1及び
図2を援用して、その構成については図示及び説明を省略する。また、記憶部47に記憶されている画像DB471、対応テーブル472についても、第1の実施の形態と同様である。以下、第2の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0071】
院内サーバー50のレポートDB51は、各読影レポートに含まれる病名、症状等から、該当する読影レポートを検索可能となっている。例えば、病名については、病名情報データ交換規約に基づく病名識別コード(糖尿病は20071549、高血圧症は20061593等)が利用されている。
【0072】
CPU41は、記憶部47に記憶されている医用画像のうち、表示対象の医用画像に関連する関連データから所定の文字列を抽出し、当該抽出された所定の文字列に対応する描画計測ツールを記憶部47の対応テーブル472から取得し、表示対象の医用画像とともに、対応テーブル472から取得された描画計測ツールを示す識別情報を選択可能に表示部43に表示させる。
【0073】
第2の実施の形態では、関連データとして、表示対象の医用画像と同一又は関連性が高い症例の医用画像(同一患者、他患者の両方を含む。)に対して作成された読影レポート、表示対象の医用画像に対する検査オーダーを用いる。
CPU41は、検査オーダーに記載された「検査目的」、「読影依頼」等のテキストデータを解析することで、病名、症状等を抽出する。例えば、「検査目的」、「読影依頼」には、「糖尿病」、「高血圧」等の病名や、「胸部の痛み」等の症状が含まれる。CPU41は、抽出された病名、症状等の症例に基づいて、表示対象の医用画像と同一又は関連性が高い症例の医用画像に対して作成された読影レポートを取得する。なお、「関連性が高い症例」については、相互に関連性が高い症例同士がグループ化されて、記憶部47に記憶されている。
【0074】
CPU41は、表示対象の医用画像と同一又は関連性が高い症例の過去の読影レポートに記載された「所見」、「診断」、「要約」、「コメント」等のテキストデータを解析することで、使用される可能性が高い描画計測ツールを自動的に絞り込み、その候補を表示させる。
また、CPU41は、検査オーダーに記載された「検査部位」、「検査目的」、「読影依頼」等のテキストデータを解析することで、使用される可能性が高い描画計測ツールを自動的に絞り込み、その候補を表示させる。
【0075】
次に、第2の実施の形態における動作について説明する。
図8は、画像管理装置40により実行される第2の描画計測ツール絞り込み処理を示すフローチャートである。この処理は、CPU41とROM45に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0076】
ステップS31〜ステップS33の処理は、第1の描画計測ツール絞り込み処理(
図5参照)のステップS21〜ステップS23の処理と同様である。
【0077】
次に、CPU41は、検査オーダーに含まれる「検査目的」、「読影依頼」内の病名、症状等を条件にして、通信部44を介して、院内サーバー50から過去の読影レポートを取得する(ステップS34)。ここで取得される読影レポートには、検査対象患者のものも、検査対象患者以外の他患者のものも含まれ得る。具体的には、CPU41は、「検査目的」、「読影依頼」から抽出された症例と関連性が高い症例を記憶部47から読み出し、表示対象の医用画像と同一又は関連性が高い症例を条件として、院内サーバー50に読影レポートの問い合わせを行う。
院内サーバー50は、レポートDB51を検索して、条件を満たす読影レポートを画像管理装置40に送信する。
このようにして、CPU41は、表示対象の医用画像と同一又は関連性が高い症例の医用画像に対して作成された過去の読影レポートを取得し、RAM46に記憶させる。
【0078】
ステップS35〜ステップS39の処理は、「過去の読影レポート」として、表示対象の医用画像と同一又は関連性が高い症例の医用画像に対して作成された過去の読影レポートを用いることが異なるのみで、第1の描画計測ツール絞り込み処理(
図5参照)のステップS25〜ステップS29の処理と同様である。
ステップS39では、CPU41は、読影対象の医用画像を表示部43に表示させるとともに、ステップS33において記憶された描画計測ツールの候補(検査オーダーに基づいて取得された候補)と、ステップS36において記憶された描画計測ツールの候補(表示対象の医用画像と同一又は関連性が高い症例の過去の読影レポートに基づいて取得された候補)と、を表示部43に表示させる。
【0079】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様、予め対応テーブル472に所定の文字列と描画計測ツールとを対応付けておき、表示対象の医用画像に関連する関連データに含まれる所定の文字列に対応する描画計測ツールを示す識別情報を表示部43に表示させるので、多数存在する描画計測ツールの中から、目的とする描画計測ツールを容易に選択することができる。
【0080】
例えば、表示対象の医用画像と同一又は関連性が高い症例の医用画像に対して作成された過去の読影レポートに記載された「所見」、「診断」、「要約」、「コメント」等に含まれる文字列や、検査オーダーに記載された「検査部位」、「検査目的」、「読影依頼」等に含まれる文字列をキーワードとすることで、多数の描画計測ツールの中から選択する手間を省くことができる。
【0081】
なお、第2の実施の形態では、描画計測ツールと対応付けられている文字列を抽出するための関連データとして、表示対象の医用画像と同一又は関連性が高い症例の過去の読影レポート及び検査オーダーを用いる場合について説明したが、表示対象の医用画像と同一又は関連性が高い症例の過去の読影レポート又は検査オーダーのいずれか一方を用いることとしてもよい。
【0082】
また、上記各実施の形態における記述は、本発明に係る画像管理装置の例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0083】
例えば、各実施の形態に特徴的な内容を組み合わせることとしてもよい。
また、関連データは、テキストデータに限らず、医用画像に対する読影内容が録音された音声データであってもよい。この場合、音声データを音声認識してテキストデータに変換し、変換後のテキストデータから所定の文字列を抽出すればよい。
【0084】
また、上記各実施の形態では、読影レポートは院内サーバー50で管理され、検査オーダーはRIS20で管理されることとしたが、読影レポートや検査オーダー等の関連データは、画像管理装置40からデータの取得が可能ないずれかの装置に保存されていればよい。
【0085】
また、上記各実施の形態では、抽出された所定の文字列に対応する描画計測ツールを対応テーブル472から取得し、取得された描画計測ツールを示す識別情報を選択可能に表示部43に表示させることとしたが、対応テーブル472から取得された描画計測ツールを自動的に起動させることとしてもよい。
【0086】
以上の説明では、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピューター読み取り可能な媒体としてROM45を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリー等の不揮発性メモリー、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。