特許第6938982号(P6938982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6938982
(24)【登録日】2021年9月6日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】現像装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20210909BHJP
【FI】
   G03G15/08 231
   G03G15/08 390
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-49640(P2017-49640)
(22)【出願日】2017年3月15日
(65)【公開番号】特開2018-151596(P2018-151596A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2020年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉本 新一
(72)【発明者】
【氏名】中島 由高
(72)【発明者】
【氏名】野口 あゆみ
【審査官】 小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−102495(JP,A)
【文献】 特開2012−018272(JP,A)
【文献】 特開2015−072331(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0093139(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収納する収納容器と、
前記現像剤を保持して回転し、像保持体に形成されている潜像へ保持している前記現像剤を供給する回転体と、
前記収納容器内の空気を前記収納容器外へ排出する流路と、
前記流路を形成する流路形成部材の表面から下方に突出し、前記回転体から前記現像剤が離れる位置より前記回転体の回転方向下流側に位置し、前記回転体から離れた現像剤が衝突する第1部材と、
前記流路を形成する流路形成部材の表面から下方に突出し、前記第1部材より前記回転体の回転方向下流側に位置し、前記回転体から離れた現像剤が衝突する第2部材と
を備える現像装置。
【請求項2】
現像剤を収納する収納容器と、
前記現像剤を保持して回転し、像保持体に形成されている潜像へ保持している前記現像剤を供給する回転体と、
前記収納容器内の空気を前記収納容器外へ排出する流路と、
前記流路を形成する流路形成部材の表面から下方に突出し、前記回転体から離れた現像剤の移動方向を変える第1部材と、
前記流路を形成する流路形成部材の表面から下方に突出し、前記第1部材より前回転体の回転方向下流側に位置し、前記回転体から離れた現像剤の移動方向を変える第2部材と
を備える現像装置。
【請求項3】
鉛直線と前記第1部材がなす第1角度と、鉛直線と前記第2部材とがなす第2角度が異なる
請求項1または請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記第1角度が前記第2角度より大きい
請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記第2部材は、前記回転体側へ傾いている
請求項3に記載の現像装置。
【請求項6】
前記流路の流入口は、前記像保持体側から見て前記回転体より奥に位置する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項7】
前記第2部材は、前記現像剤が前記回転体から離れる位置と前記流入口との間に位置する
請求項6に記載の現像装置。
【請求項8】
前記第1部材は、前記現像剤が前記回転体から離れる位置と前記第2部材との間に位置する
請求項7に記載の現像装置。
【請求項9】
前記回転体が前記像保持体へ前記現像剤を供給する位置より前記回転体の回転方向下流側の前記収納容器と前記回転体との間に、前記流路と、前記収納容器外の空気を前記収納容器内へ通す流路を形成する流路形成部
を有する請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項10】
前記収納容器内の空気を前記収納容器外へ排出する流路に前記現像剤を捕集するフィルター
を有する請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項11】
前記第1部材と前記第2部材の材質が異なる
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項12】
前記第1部材は、前記現像剤が衝突すると変形し、前記第2部材は、前記現像剤が衝突しても変形しない
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項13】
現像剤を収納する収納容器と、
前記現像剤を保持して回転し、像保持体に形成されている潜像へ保持している前記現像剤を供給する回転体と、
前記収納容器内の空気を前記収納容器外へ排出する流路と、
前記流路を形成する流路形成部材の表面から下方に突出し、前記回転体から前記現像剤が離れる位置より前記回転体の回転方向下流側に位置し、前記回転体から離れた現像剤が衝突する第1部材と、
前記流路を形成する流路形成部材の表面から下方に突出し、前記第1部材より前記回転体の回転方向下流側に位置し、前記回転体から離れた現像剤が衝突する第2部材と
を有する現像装置と、
像を保持する前記像保持体と
を備える画像形成装置。
【請求項14】
現像剤を収納する収納容器と、
前記現像剤を保持して回転し、像保持体に形成されている潜像へ保持している前記現像剤を供給する回転体と、
前記収納容器内の空気を前記収納容器外へ排出する流路と、
前記流路を形成する流路形成部材の表面から下方に突出し、前記回転体から離れた現像剤の移動方向を変える第1部材と、
前記流路を形成する流路形成部材の表面から下方に突出し、前記第1部材より前回転体の回転方向下流側に位置し、前記回転体から離れた現像剤の移動方向を変える第2部材と
を有する現像装置と、
像を保持する前記像保持体と
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現像装置内の現像剤が現像装置外に飛散するのを防ぐ発明として、例えば、特許文献1に開示された発明がある。特許文献1に開示された現像装置は、現像装置の容器の内部から外部へ通じる開口部と、開口部に設置されたフィルターを有する。この現像装置においては、現像剤担持体と容器の間から容器内に流入した気体は、開口部を通って容器の外部に排出され、開口部から排出される気体に含まれる現像剤は、開口部に設置されたフィルターにより捕集される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−346035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現像装置外に飛散する現像剤の量は、現像剤が現像装置内で内壁などに衝突することによって現像装置内における現像剤が空気中に舞いあがり、その空気が外部に排出されることによって現像剤が現像装置内から外部に排出される。そして現像剤を保持して回転する回転体の回転数が増加するほど現像剤が現像装置内で衝突したときに舞い上がる現像剤の量は増加する。
【0005】
本発明は、上述した背景の下になされたものであり、現像剤が衝突又は現像剤の移動方向を変更する第1の部材及び第2の部材を有する構成を有しない場合と比較して、現像装置内の空気を排出する流路に現像剤が入る量を減少させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る現像装置は、現像剤を収納する収納容器と、前記現像剤を保持して回転し、像保持体に形成されている潜像へ保持している前記現像剤を供給する回転体と、前記収納容器内の空気を前記収納容器外へ排出する流路と、前記回転体から前記現像剤が離れる位置より前記回転体の回転方向下流側に位置し、前記回転体から離れた現像剤が衝突する第1部材と、前記第1部材より前記回転体の回転方向下流側に位置し、前記回転体から離れた現像剤が衝突する第2部材とを備える。
【0007】
本発明の請求項2に係る現像装置は、現像剤を収納する収納容器と、前記現像剤を保持して回転し、像保持体に形成されている潜像へ保持している前記現像剤を供給する回転体と、前記収納容器内の空気を前記収納容器外へ排出する流路と、前記回転体から離れた現像剤の移動方向を変える第1部材と、前記第1部材より前回転体の回転方向下流側に位置し、前記回転体から離れた現像剤の移動方向を変える第2部材とを備える。
【0008】
本発明の請求項3に係る現像装置は、鉛直線と前記第1部材がなす第1角度と、鉛直線と前記第2部材とがなす第2角度が異なる。
【0009】
本発明の請求項4に係る現像装置は、前記第1角度が前記第2角度より大きい。
【0010】
本発明の請求項5に係る現像装置においては、前記第2部材は、前記回転体側へ傾いている。
【0011】
本発明の請求項6に係る現像装置においては、前記流路の流入口は、前記像保持体側から見て前記回転体より奥に位置する。
【0012】
本発明の請求項7に係る現像装置においては、前記第2部材は、前記現像剤が前記回転体から離れる位置と前記流入口との間に位置する。
【0013】
本発明の請求項8に係る現像装置においては、前記第1部材は前記現像剤が前記回転体から離れる位置と前記第2部材との間に位置する。
【0014】
本発明の請求項9に係る現像装置は、前記回転体が前記像保持体へ前記現像剤を供給する位置より前記回転体の回転方向下流側の前記収納容器と前記回転体との間に、前記流路と、前記収納容器外の空気を前記収納容器内へ通す流路を形成する流路形成部を有する。
【0015】
本発明の請求項10に係る現像装置は、前記収納容器内の空気を前記収納容器外へ排出する流路に前記現像剤を捕集するフィルターを有する。
【0016】
本発明の請求項11に係る現像装置は、前記第1部材と前記第2部材の材質が異なる。
【0017】
本発明の請求項12に係る現像装置においては、前記第1部材は、前記現像剤が衝突すると変形し、前記第2部材は、前記現像剤が衝突しても変形しない。
【0018】
本発明の請求項13に係る画像形成装置は、現像剤を収納する収納容器と、前記現像剤を保持して回転し、像保持体に形成されている潜像へ保持している前記現像剤を供給する回転体と、前記収納容器内の空気を前記収納容器外へ排出する流路と、前記回転体から前記現像剤が離れる位置より前記回転体の回転方向下流側に位置し、前記回転体から離れた現像剤が衝突する第1部材と、前記第1部材より前記回転体の回転方向下流側に位置し、前記回転体から離れた現像剤が衝突する第2部材とを有する現像装置と、像を保持する前記像保持体とを備える。
【0019】
本発明の請求項14に係る画像形成装置は、現像剤を収納する収納容器と、前記現像剤を保持して回転し、像保持体に形成されている潜像へ保持している前記現像剤を供給する回転体と、前記収納容器内の空気を前記収納容器外へ排出する流路と、前記回転体から離れた現像剤の移動方向を変える第1部材と、前記第1部材より前回転体の回転方向下流側に位置し、前記回転体から離れた現像剤の移動方向を変える第2部材とを有する現像装置と、像を保持する前記像保持体とを備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明の請求項1に係る現像装置によれば、現像剤が衝突する第1の部材及び第2の部材を有する構成を有しない場合と比較して、現像装置内の空気を排出する流路に現像剤が入る量を減少させることができる。
【0021】
本発明の請求項2に係る現像装置によれば、現像剤の移動方向を変更する第1の部材及び第2の部材を有する構成を有しない場合と比較して、現像装置内の空気を排出する流路に現像剤が入る量を減少させることができる。
【0022】
本発明の請求項3に係る現像装置によれば、第1部材がなす第1角度と第2部材がなす第2角度とが同じ場合と比較して、現像装置内の空気を排出する流路に現像剤が入る量を減少させることができる。
【0023】
本発明の請求項4に係る現像装置によれば、第1部材がなす第1角度が第2部材がなす第2角度よりも大きくない場合と比較して、現像装置内の空気を排出する流路に現像剤が入る量を減少させることができる。
【0024】
本発明の請求項5に係る現像装置によれば、第2部材が回転体側へ傾いていない構成と比べ、流路から離れた位置へ現像剤を落下させることができる。
【0025】
本発明の請求項6に係る現像装置によれば、回転体より手前に流路の流入口を設ける構成に比べ、現像装置内の空気を排出する流路に現像剤が入る量を減少させることができる。
【0026】
本発明の請求項7に係る現像装置によれば、第2部材が流路の流入口と現像剤が離れる位置の間に位置しない構成に比べ、現像装置内の空気を排出する流路に現像剤が入る量を減少させることができる。
【0027】
本発明の請求項8に係る現像装置によれば、回転体から離れた現像剤の少なくとも一部を第1部材に衝突させた後に第2部材に衝突させることができる。
【0028】
本発明の請求項9に係る現像装置によれば、回転体が像保持体へ現像剤を供給する位置より回転体の回転方向下流側の収納容器と回転体との間に、流路と、収納容器外の空気を収納容器内へ通す流路を形成する流路形成部を形成しない場合と比較して、現像装置外に現像剤が出る量を減少させることができる。
【0029】
本発明の請求項10に係る現像装置によれば、フィルターを設けない場合に比較して、現像装置外に現像剤が出る量を減少させることができる。
【0030】
本発明の請求項11に係る現像装置によれば、第1部材と第2部材が同じ材質である場合と比べ、現像装置内の空気を排出する流路に現像剤が入る量を減少させることができる。
【0031】
本発明の請求項12に係る現像装置によれば、第1部材が、現像剤に衝突することによって変形しない場合と比較して、現像装置内の空気を排出する流路に現像剤が入る量を減少させることができる。
【0032】
本発明の請求項13に係る画像形成装置によれば、現像剤が衝突する第1の部材及び第2の部材を有する構成を有しない場合と比較して、現像装置内の空気を排出する流路に現像剤が入る量を減少させることができる。
【0033】
本発明の請求項14に係る画像形成装置によれば、現像剤の移動方向を変更する第1の部材及び第2の部材を有する構成を有しない場合と比較して、現像装置内の空気を排出する流路に現像剤が入る量を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部の模式図。
図2】現像装置200の内部の模式図。
図3】流路形成部材270と容器上部206との位置関係を示した図である。
図4】流路形成部材270の近傍を拡大した図。
図5】第2部材270bの角度の変形例を示した図。
図6】第2部材270bの長さの変形例を示した図。
図7】第1部材270aと第2部材270bの位置の変形例を示した図。
図8】収納容器202の内と外をつなげる流路の変形例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[実施形態]
図1は、本発明に係る画像形成装置1の内部の模式図である。図1に示されているように、画像形成装置1は、筐体12の内部に像形成部100を有する。また、画像形成装置1は、画像の記録媒体として用いられる用紙が搬送される搬送路400と、搬送路400へ用紙を供給する供給装置300を有する。
【0036】
筐体12には、用紙を筐体12の外へ排出するための排出口14が形成されている。また、排出口14の近くには、排出口14から排出された用紙が積み載せられる積載部16と、支持板18が設けられている。支持板18は、排出口14から排出された用紙が積み載せられる部材であり、ヒンジ20を中心として回転し、積載部16に重ねることが可能となっている。
【0037】
像形成部100は、搬送路400で搬送されている用紙に電子写真方式で画像を形成するものである。像形成部100は、円柱形状であって用紙に形成する画像を保持する像保持体の一例である感光体102、感光体102を帯電させる帯電装置110、帯電された感光体102の表面に光を照射して感光体102の表面に静電潜像を形成する露光装置120、トナーを含む現像剤で静電潜像を現像して感光体102の表面にトナーで画像(トナー画像)を形成する現像装置200、感光体102の表面に形成されたトナー画像を用紙に転写する転写装置130、用紙にトナー画像を転写した後の感光体102を清掃する清掃装置140および用紙に転写されたトナー画像を用紙に定着させる定着装置150を有する。
【0038】
帯電装置110は、感光体102を帯電させる帯電部材112を有する。帯電部材112は、円柱形状の部材であり、感光体102に接触または感光体102に近づいて配置されている。直流または直流に交流が重畳された電圧が帯電部材112に印加され、印加された電圧の作用で感光体102が帯電する。
【0039】
現像装置200は、トナーとキャリアが混合された現像剤を収納し、収納している現像剤を用いて静電潜像を現像する装置である。現像装置200に収納される現像剤としては、例えば、負極性に帯電する非磁性のトナーと、正極性に帯電する磁性キャリアが混合された現像剤が用いられる。現像装置200は、筐体となり現像剤を収納する収納容器202と、収納容器202内に収納されている現像剤中のトナーを感光体102へ供給する供給機構250を有する。
【0040】
転写装置130は、円柱形状の転写部材132を有する。転写部材132は、感光体102に対向し、転写部材132と感光体102で搬送路400を挟むように配置されている。転写部材132には、感光体102に形成された画像を用紙に転写するための電圧が印加される。
【0041】
清掃装置140は、板状の清掃部材142を有する。清掃部材142は、端部が感光体102に接しており、画像の用紙への転写後に感光体102の表面に残ったトナーを感光体102に接している端部で除去する。
【0042】
定着装置150は、円筒状で内部に熱源を有する加熱ロール152と、搬送路400を挟むように加熱ロール152に対向して配置された円柱形状の加圧ロール154を有する。定着装置150は、搬送路400に搬送された用紙に対し、加熱ロール152で熱を加え、加圧ロール154で圧力を加えることにより、用紙に形成されているトナー画像を用紙に定着させる。
【0043】
供給装置300は、収納部302と搬送ロール304を有する。収納部302は、搬送路400へ供給する用紙を収納する。搬送ロール304は、収納部302に収納されている用紙を搬送路400へ送り出す。
【0044】
搬送路400は、供給装置300から転写装置130と感光体102の間、および定着装置150を介して排出口14に至る経路である。搬送路400の近傍には、円柱形状の搬送ロール304、円柱形状のレジストロール410および円柱形状の排出ロール420が配置されている。レジストロール410は、回転して感光体102と転写部材132との間に用紙を搬送する部材である。レジストロール410は、感光体102上の画像が用紙に転写されるように回転のタイミングが制御される。排出ロール420は、定着装置150によって画像が定着した用紙を回転して筐体12の外へ排出する。
【0045】
図2は、現像装置200の内部の模式図である。現像装置200は、現像剤、第1搬送部材210、第2搬送部材220、規制部材240、供給機構250、流路形成部材270、第1部材270aおよび第2部材270bを収納し、現像装置200の筐体となる収納容器202を有する。
【0046】
本発明に係る収納容器の一例である収納容器202は、収納容器202の下側となる容器下部204と、容器下部204に装着されて収納容器202の上側となる容器上部206で形成されており、収納容器202の内部には空間が存在する。容器上部206には、現像装置200の外側から内側に通じる開口部(図示省略)が形成されている。この開口部には、トナーを収容したトナー収容部(図示省略)からトナーが供給され、トナーが収納容器202内に補給される。
【0047】
第2搬送部材220は、トナー収容部から供給された現像剤を収納容器202内で撹拌するとともに、現像剤を搬送する部材である。第2搬送部材220は、軸部222と、軸部222の外周面に螺旋状に形成された羽根部224とを有し、軸部222と羽根部224とが一体で図2に示す矢印b方向に回転する。第2搬送部材220が回転すると、羽根部224が現像剤を撹拌するとともに、現像剤を第2搬送部材220の長手方向(図2における紙面と垂直な方向)に搬送する。第2搬送部材220の長手方向の一端側に搬送された現像剤は、第1搬送部材210へ搬送される。
【0048】
第1搬送部材210は、第2搬送部材220から搬送された現像剤や収納容器202内において現像スリーブ260から離れた現像剤を撹拌し、供給機構250へ現像剤を搬送する部材である。第1搬送部材210は、軸部212と、軸部212の外周面に螺旋状に形成された羽根部214とを有し、軸部212と羽根部214とが一体となって図2に示す矢印a方向に回転する。第1搬送部材210が回転すると、羽根部214が現像剤を撹拌する。また、第1搬送部材210が回転すると、現像剤を第1搬送部材210の長手方向(図2における紙面と垂直な方向)に搬送するとともに、供給機構250の方向へと現像剤を移動させるように(図2において右側から左側に移動させるように)現像剤を搬送する。
【0049】
このように、第2搬送部材220と第1搬送部材210とによって、収納容器202内で現像剤が撹拌されつつ搬送されることにより、現像剤中のトナーがキャリア等と擦れ合い、キャリア等との摩擦によりトナーが帯電する。
【0050】
供給機構250は、複数の磁極を備えた円柱形状の磁石部材252と、磁石部材252を内部に収めた円筒状の現像スリーブ260とを有する。
【0051】
本発明に係る回転体の一例である現像スリーブ260は、非磁性体で形成されている。現像スリーブ260には、例えば、現像スリーブ260を回転させるためのモータおよびギアを備えた駆動機構(図示略)が連結されており、モータの回転に応じて図2に示した矢印c方向へ回転する。現像スリーブ260は、表面に現像剤を保持した状態で回転し、現像スリーブ260に対向する感光体102へ現像剤に含まれているトナーを供給する。
【0052】
磁石部材252は、円柱形状の軸方向に延びる複数の磁極を備えている。例えば、磁石部材252は、磁極N1、磁極N2、磁極N3、磁極S1および磁極S2を備えている。磁極N1、磁極N2および磁極N3は同じ極性の磁極である。また、磁極S1および磁極S2は同じ磁極であり、磁極N1〜磁極N3とは異なる極性の磁極となっている。
【0053】
磁極N3は、現像スリーブ260の近傍に搬送されてきた現像剤を現像スリーブ260の表面に保持させるための磁極である。現像スリーブ260を挟んで磁極N3に対向する位置には、後述する規制部材240の端部が磁極N3の磁力の及ぶ範囲内となるように配置されている。このため、磁極N3の磁力により現像スリーブ260に保持された現像剤のうち、現像スリーブ260と規制部材240との間の隙間を通過できなかった現像剤が、規制部材240によって現像スリーブ260の表面から剥離され、現像スリーブ260に吸着された現像剤の厚みが規制される。
【0054】
磁極S1は、現像スリーブ260の回転方向において、磁極N3よりも下流側であって、感光体102に対向する位置に配置されている。磁極S1は、感光体102の表面に形成されている静電潜像を、現像スリーブ260により搬送されたトナーを用いて現像するための磁極である。
【0055】
磁極N1は、現像スリーブ260の回転方向において、磁極S1よりも下流側に配置されている。磁極N1は、感光体102に供給されずに現像スリーブ260に残った現像剤を現像スリーブ260の表面に保持させる。
【0056】
磁極S2は、現像スリーブ260の回転方向において、磁極N1よりも下流側に配置されている。磁極S2は、現像剤の搬送に用いられる磁極であり、現像スリーブ260の回転によって磁極N1の位置から現像スリーブ260の回転方向下流側に搬送された現像剤を、現像スリーブ260に保持させる。
【0057】
磁極N2は、現像スリーブ260の回転方向において、磁極S2よりも下流側に配置されている。磁極N2は、現像スリーブ260により搬送された現像剤を現像スリーブ260から離すための磁極である。磁極N2と磁極N3は同極性であるため、磁極N2と磁極N3により反発磁界が生成され、現像スリーブ260に保持されていた現像剤は、磁極N2より回転方向下流側で現像スリーブ260から離れる。
【0058】
規制部材240は、現像スリーブ260の表面に保持されている現像剤の層厚を規制する部材である。規制部材240は、現像スリーブ260側の端部と現像スリーブ260との間に予め定められた隙間が形成されるように収納容器202に装着されている。
【0059】
流路形成部材270は、現像スリーブ260と容器上部206との間に位置し、流路形成部材270と現像スリーブ260との間に第1流路280を形成するとともに、流路形成部材270と容器上部206との間に第2流路290を形成する。
【0060】
図3は、流路形成部材270と容器上部206との位置関係を示した図である。流路形成部材270は、容器上部206に対向し、容器上部206側に突出した支持部272a、支持部272b、支持部272c、支持部272dおよび支持部272eを有する。支持部272a〜272eが容器上部206の内側に固定されることにより、容器上部206と流路形成部材270との間に第2流路290が形成され、流路形成部材270と現像スリーブ260との間に第1流路280が形成される。
【0061】
図4は、流路形成部材270の近傍を拡大した図である。現像装置200においては、現像スリーブ260において感光体102へとトナーを供給する領域よりも現像スリーブ260の回転方向下流側に第1流路280がある。現像スリーブ260において感光体102へとトナーを供給する領域よりも現像スリーブ260の回転方向下流側に第1流路280の第1流入口282があり、感光体102側から見て現像スリーブ260より奥に第1流出口284がある。現像スリーブ260が矢印c方向に回転するのに伴い、図4において矢印eで示したように、第1流入口282周辺の空気が第1流路280内に流入し、第1流路280内に流入した空気は、第1流出口284から収納容器202内に流入する。第1流路280は、本発明に係る収納容器202外の空気を収納容器202内へ通す流路の一例である。
【0062】
このように収納容器202内に空気が流入すると、収納容器202内の気圧が上昇する。この気圧は、画像形成装置1において画像の形成速度を速くし、現像スリーブ260の回転速度を速くするほど上昇する。収納容器202内の気圧の上昇を抑えるため、本実施形態に係る現像装置200は、第2流路290を有する。第2流路290は、本発明に係る収納容器202内の空気を収納容器202外へ通す流路の一例である。
【0063】
第2流路290は、収納容器202内の空間と収納容器202の外の空間とをつなげる空間である。感光体102側から見て第1流出口284より奥側に第2流路290の第2流入口292があり、第1流入口282の上に第2流出口294がある。換言すると、第2流入口292は、流路形成部材270の端部を挟んで第1流出口284と隣り合い、第2流出口294は、流路形成部材270の端部を挟んで第1流入口282と隣り合っている。第2流出口294の近傍における流路形成部材270から容器上部206までの距離d2は、第2流入口292の近傍における流路形成部材270から容器上部206までの距離d1より長い距離となっている。
【0064】
この第2流路290により、収納容器202の内と外とが繋がった状態となり、気圧が高い収納容器202内の空気は、第2流入口292から第2流路290に流入し、第2流路290内に流入した空気は、矢印fの方向へ進んで収納容器202の内部より気圧が低い第2流出口294から排出される。収納容器202内の空気が収納容器202の外へ排出されるため、収納容器202内の気圧の上昇を抑えられる。また、第2流路290においては、流路形成部材270から容器上部206までの距離は、第2流入口292から第2流出口294に向かうにつれて長くなっている。このため、第2流路290内においては、第2流入口292から第2流出口294に向かうにつれて気圧が低くなる。
【0065】
本発明に係る第1部材の一例である第1部材270aは、本実施形態においては合成樹脂の板状の部材である。第1部材270aは、感光体102側から見て磁極N2より奥に設けられ、流路形成部材270の現像スリーブ260側の面から突出している。第1部材270aは、少なくとも一部が磁極N2の上端より下方に位置する。本発明に係る第2部材の一例である第2部材270bは、本実施形態においては合成樹脂の板状の部材である。第2部材270bは、感光体102側から見て磁極N2より奥であり、且つ、第1部材270aより奥に設けられ、流路形成部材270の現像スリーブ260側の面から突出している。言いかえると、第2部材270bは、現像スリーブ260から現像剤が離れる位置と第2流入口292との間に位置し、第1部材270aは、現像スリーブ260から現像剤が離れる位置と第2部材270bとの間に位置する。
【0066】
第1部材270aの流路形成部材270側の端から引いた鉛直線L1と第1部材270aとのなす角度を角度θ1とし、図4に示したように鉛直線L1より右側に第1部材270aがあるときの角度の値をプラス、鉛直線L1より左側に第1部材270aがあるときの角度の値をマイナスとした場合、本実施形態においては、角度θ1はプラスの角度となっている。換言すると、第1部材270aは、現像スリーブ260側から見て鉛直線L1より奥側に傾斜している。
【0067】
また、第2部材270bの流路形成部材270側の端から引いた鉛直線L2と第2部材270bとのなす角度θ2とし、図4に示したように鉛直線L2より右側に第2部材270bがあるときの角度の値をプラス、鉛直線L2より左側に第2部材270bがあるときの角度の値をマイナスとした場合、本実施形態においては、角度θ2はプラスの値の角度となっている。換言すると、第2部材270bは、現像スリーブ260側から見て鉛直線L2より奥側に傾斜している。そして、角度θ1と角度θ2の関係は、角度θ1>角度θ2となっている。
【0068】
矢印c方向へ回転する現像スリーブ260に保持されていた現像剤の位置が、磁極N2の位置より現像スリーブ260の回転方向下流側になると、現像スリーブ260に保持されていた現像スリーブ260から離れる。現像スリーブ260から離れた現像剤は、感光体102側から見て現像スリーブ260より奥側に飛び、第1部材270aに衝突するものと第2部材270bに衝突するものがある。
【0069】
第1部材270aに衝突した現像剤の中には、衝突により移動速度が遅くなり、下方に落下するものがある。また、第1部材270aに衝突した現像剤の中には、第1部材270aに衝突した後、感光体102側から見て第1部材270aより奥にある第2部材270bに衝突するものがある。第2部材270bに衝突した現像剤は、衝突によってさらに移動速度が遅くなり、下方に落下する。また、第2部材270bに衝突した現像剤の中には、第1部材270aに衝突して下方に落下した現像剤と衝突するものもある。第2部材270bに衝突した現像剤のうち、第1部材270aに衝突して下方に落下した現像剤と衝突した現像剤は、衝突により移動速度が遅くなり、下方に落下する。
【0070】
現像スリーブ260から離れた現像剤が飛散して第2流入口292に到達すると、収納容器202内から排出される空気とともに現像剤が第2流路290に入り、現像剤が第2流路290内で詰まってしまう。第2流路290が詰まると、収納容器202内の空気が収納容器202の外へ排出されず、第2流路290以外の場所から現像剤が収納容器202の外へ噴出するおそれがある。
【0071】
本実施形態によれば、現像スリーブ260から離れた現像剤が感光体102側から見て現像スリーブ260より奥に飛ばされても、現像剤は、移動速度が減少して下方に落下し、第2流入口292に到達しないため、第2流入口292に入ることがない。第2流入口292に現像剤が入らず、第2流路290詰まることがないため、収納容器202内の気圧が上昇することがなく、第2流路290以外の場所から現像剤が収納容器202の外へ噴出することがない。
【0072】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態および以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。
【0073】
(変形例1)
上述した実施形態においては、第2部材270bは、鉛直線L2と第2部材270bとがなす角度θ2がプラスの値の角度となっていたが、図5に示したように、角度θ2がマイナスの値となり、鉛直線L2より現像スリーブ260側に傾斜した構成であってもよい。また、第1部材270aと第2部材270bについて、角度θ1と角度θ2がいずれもプラスの値であり、角度θ1<角度θ2の関係であってもよい。また、第1部材270aと第2部材270bについて、角度θ1と角度θ2がいずれもマイナスの値であり、角度θ1<角度θ2であってもよい。また、第1部材270aと第2部材270bについて、角度θ1と角度θ2が同じであってもよい。また、第1部材270aと第2部材270bについて、角度θ1と角度θ2が0度であってもよい。
【0074】
(変形例2)
本発明においては、図6に示したように、第2部材270bの下端が流路形成部材270の下端より下になる構成としてもよい。この構成によれば、現像スリーブ260から離れた現像剤が第2流入口292に入りにくくなる。
【0075】
(変形例3)
本発明においては、図7に示したように、感光体102側から見て、現像スリーブ260の中心から水平方向に引いた線と現像スリーブ260の外周面が交わる点に引いた接線L3より奥に第1部材270aと第2部材270bが位置する構成であってもよい。この構成によれば、第1部材270aや第2部材270bに衝突した現像剤が、下方に落下するまでの間に現像スリーブ260へ戻りにくくなる。
【0076】
(変形例4)
本発明においては、上下方向において、第1部材270aの下端が第2部材270bの上端より下方に位置する構成であってもよい。
【0077】
(変形例5)
収納容器202内の空気を収納容器202の外へ排出するための流路は、実施形態の第2流路290に限定されるものではない。図8は、収納容器202内の空気を収納容器202の外へ排出するための流路の変形例の一例を示した図である。本変形例に係る現像装置200Aは、容器上部206に替えて容器上部206Aを有し、流路形成部材270を有していない。容器上部206Aと現像スリーブ260との間には第1流路280Aが形成される。第1流路280Aにおいては、現像スリーブ260において感光体102へとトナーを供給する領域よりも現像スリーブ260の回転方向下流側に第1流入口282Aがあり、感光体102側から見て現像スリーブ260より奥に第1流出口284Aがある。
【0078】
第1部材270aは、感光体102側から見て磁極N2より奥に設けられ、容器上部206Aの現像スリーブ260側の面から突出している。第2部材270bは、感光体102側から見て磁極N2より奥であり、且つ、第1部材270aより奥に設けられ、容器上部206Aの現像スリーブ260側の面から突出している。
【0079】
第2流路290Aは、収納容器202の内と外とをつなげる流路である。第2流路290Aは、感光体102側から見て、第2部材270bより奥に設けられており、上下方向で見ると、第2流路290Aの下端は、第2部材270bの下端より上に位置している。この第2流路290Aにより、収納容器202の内と外とが繋がった状態となるため、気圧が高い収納容器202内の空気は、第2流路290Aに入り、収納容器202の内部より気圧が低い外へ排出されるため、収納容器202内の気圧の上昇を抑えられる。
【0080】
本変形例においては、現像スリーブ260から離れた現像剤は、感光体102側から見て現像スリーブ260より奥側に飛び、第1部材270aに衝突するものと第2部材270bに衝突するものがある。実施形態と同様に、現像剤は、第1部材270aおよび第2部材270bに衝突して下方に落下するため、第2部材270bの下端より上にある第2流路290Aに入るのを抑えることができる。なお、本変形例においては、現像剤を捕集するフィルターを第2流路290Aに設ける構成としてもよい。
【0081】
(変形例6)
本発明においては、流路形成部材270、第1部材270aおよび第2部材270bは、一体に形成された構成であってもよい。
【0082】
(変形例7)
本発明においては、第1部材270aおよび第2部材270bは、流路形成部材270と同じ材料で形成されていてもよく、また、異なる材料で形成されていてもよい。
また、本発明においては、第1部材270aと第2部材270bは、同じ材料で形成されていてもよく、また、異なる材料で形成されていてもよい。
第1部材270aと第2部材270bを異なる材料で形成する場合、第1部材270aは、第2部材270bより柔らかい材料としてもよい。
【0083】
(変形例8)
本発明においては、第1部材270aと第2部材270bは板状の部材となっているが、第1部材270aをフィルム状またはシート状で現像剤が衝突すると変形する部材とし、第2部材270bを板状で現像剤が衝突しても変形しない部材としてもよい。
【0084】
(変形例9)
カラーの画像形成装置で複数色のトナーの色毎に現像器を備える構成において、上述した実施形態および変形例で記載した構成は、各色に対応した現像器に適用する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…画像形成装置、12…筐体、100…像形成部、102…感光体、200…現像装置、202…収納容器、250…供給機構、252…磁石部材、260…現像スリーブ、270…流路形成部材、270a…第1部材、270b…第2部材、280…第1流路、282…第1流入口、284…第1流出口、290…第2流路、292…第2流入口、294…第2流出口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8