特許第6939096号(P6939096)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6939096
(24)【登録日】2021年9月6日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】液体口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20210909BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20210909BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20210909BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20210909BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
   A61K8/49
   A61K8/86
   A61K8/60
   A61K8/34
   A61Q11/00
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-107627(P2017-107627)
(22)【出願日】2017年5月31日
(65)【公開番号】特開2018-203642(P2018-203642A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西山 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】増田 侑季
(72)【発明者】
【氏名】天川 純一
【審査官】 松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−182983(JP,A)
【文献】 特開2014−125440(JP,A)
【文献】 特開2016−121089(JP,A)
【文献】 特表2012−508741(JP,A)
【文献】 特表2011−530608(JP,A)
【文献】 特開2016−102076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/49
A61K 8/92
A61K 8/86
A61K 8/60
A61K 8/34
A61Q 11/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)N−(2−(2−ピリジニル)エチル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミドを含有する液体口腔用組成物であって、更に、
(B)エチレンオキサイドの平均付加モル数が60〜100モルであるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸の炭素数が10〜18であるポリグリセリン脂肪酸エステル及び脂肪酸の炭素数が10〜22であるショ糖脂肪酸エステルから選ばれる1種以上のノニオン性界面活性剤 0.1〜1質量%、
(C)グリセリン及び/又はプロピレングリコール 3〜20質量%、
及び
(D)糖アルコール 0.3〜4質量%
を含有し、(C)/(D)が質量比として4.5以上であることを特徴とする液体口腔用組成物。
【請求項2】
(D)糖アルコールが、キシリトール及び/又はエリスリトールである請求項記載の液体口腔用組成物。
【請求項3】
(A)成分の含有量が0.00000001〜0.01質量%である請求項1又は2記載の液体口腔用組成物。
【請求項4】
洗口剤、液体歯磨又は口中清涼剤である請求項1〜のいずれか1項記載の液体口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、p−メンタン−3−カルボキサミド類を含有し、口腔内に高いすっきり感を与え、かつ外観安定性が優れる液体口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液体口腔用組成物、特に口臭予防などの目的で使用される洗口剤において、使用後に口腔内がすっきりとしたと実感し得る使用感を与えることは、使用実感や効果感を向上する上で有意義である。また、その一方で、特に洗口剤は澄明に調製されることもあるため、保存後もニゴリ等の発生が認められることなく安定に製剤外観を維持することが、品質的にも大切である。しかし、洗口剤等の液体口腔用組成物で、すっきりとした使用実感を満足に与え、同時に製剤外観を経時で安定に維持することは難しい。
【0003】
液体口腔用組成物では、使用感を向上するため、一般的に清涼感を与える香料としてl−メントールが配合され、更に、清涼感を強化する様々な検討が行われ、非メントール系の冷涼化剤であるp−メンタン−3−カルボキサミド類を用いることによって、清涼感やサッパリ感などを強化したり、その持続性を高めた技術などが提案されている(特許文献1〜6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−125440号公報
【特許文献2】特開2015−182983号公報
【特許文献3】特開2016−102076号公報
【特許文献4】特表2014−507440号公報
【特許文献5】特表2012−508741号公報
【特許文献6】特表2011−520925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、口腔内に高いすっきり感を与え、かつ経時でもニゴリが抑制され外観安定性が優れる、p−メンタン−3−カルボキサミド類含有の液体口腔用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、特定のp−メンタン−3−カルボキサミド類を配合した液体口腔用組成物に、ノニオン性界面活性剤と、グリセリン及び/又はプロピレングリコールと、糖アルコールとを適切に組み合わせて配合すると、使用後に口腔内がすっきりとしたと満足に実感し得る高いすっきり感を与え、かつ経時においてもニゴリの発生が抑えられ安定な製剤外観を維持できることを知見した。即ち、本発明では、(A)N−(2−(2−ピリジニル)エチル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミドを配合した液体口腔用組成物に、(B)ノニオン性界面活性剤、(C)グリセリン及び/又はプロピレングリコール、及び(D)糖アルコールをそれぞれ特定量で配合し、(C)/(D)の質量比が特定範囲内であることによって、口腔内に高いすっきり感を与え、かつ経時でもニゴリが抑制され外観安定性が優れる液体口腔用組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0007】
更に詳述すると、冷涼化剤のp−メンタン−3−カルボキサミド類は、増量するにつれて刺激感が強くなることもあるため、十分なすっきり感を付与する場合、刺激を抑制する必要がある。また、物質によってその溶解性に差があり、特にN−(2−(2−ピリジニル)エチル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミドの水への溶解性は、比較的低い。しかし、本発明においては、p−メンタン−3−カルボキサミド類として(A)成分を用い、これに(B)、(C)及び(D)成分を組み合わせると、(C)/(D)が質量比として4.5以上で、(B)成分と(C)及び(D)成分とが(A)成分と相互作用することにより、すっきり感の付与効果が向上すると共に(A)成分によるニゴリの発生が抑制されて製剤外観が安定化し、両者が両立する。従って、後述の実施例にも示すように、本発明では、口腔内に高いすっきり感を与え、優れた使用感を付与できる。しかも、本発明では、上述したように(A)成分の水への溶解性が比較的低いにもかかわらず、(A)成分によるニゴリの発生が、凍結復元試験のように低温かつ過酷な条件下で保存後も抑えられ、澄明外観の洗口剤であっても優れた外観安定性を付与できる。
本発明では、(A)成分に、(B)、(C)及び(D)成分を適切に組み合わせることによってのみ格別な作用効果を奏するものであり、不適切に界面活性剤、多価アルコール及び糖アルコールを使用したのでは、本発明の作用効果が劣る。後述の比較例に示すように、(C)/(D)比が小さすぎる場合は口腔内のすっきり感が劣り、(B)、(C)又は(D)成分量が不適切な場合はすっきり感又は凍結復元性(−20℃及び室温で交互に2日間ずつ3回繰り替えし保存する凍結復元試験を行った後の外観安定性)が劣る。
【0008】
従って、本発明は、下記の液体口腔用組成物を提供する。
〔1〕
(A)N−(2−(2−ピリジニル)エチル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミドを含有する液体口腔用組成物であって、更に、
(B)ノニオン性界面活性剤 0.1〜1質量%、
(C)グリセリン及び/又はプロピレングリコール 3〜20質量%、
及び
(D)糖アルコール 0.3〜4質量%
を含有し、(C)/(D)が質量比として4.5以上であることを特徴とする液体口腔用組成物。
〔2〕
(B)ノニオン性界面活性剤が、エチレンオキサイドの平均付加モル数が60〜100モルであるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸の炭素数が10〜18であるポリグリセリン脂肪酸エステル及び脂肪酸の炭素数が10〜22であるショ糖脂肪酸エステルから選ばれる1種以上である〔1〕に記載の液体口腔用組成物。
〔3〕
(D)糖アルコールが、キシリトール及び/又はエリスリトールである〔1〕又は〔2〕に記載の液体口腔用組成物。
〔4〕
(A)成分の含有量が0.00000001〜0.01質量%である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の液体口腔用組成物。
〔5〕
洗口剤、液体歯磨又は口中清涼剤である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の液体口腔用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、口腔内に高いすっきり感を与え、かつ経時でもニゴリが抑制され外観安定性が優れる、p−メンタン−3−カルボキサミド類含有の液体口腔用組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明につき更に詳述する。本発明の液体口腔用組成物は、p−メンタン−3−カルボキサミド類として(A)N−(2−(2−ピリジニル)エチル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミドを含有し、かつ(B)ノニオン性界面活性剤、(C)グリセリン及び/又はプロピレングリコール、及び(D)糖アルコールを含有する。
【0011】
(A)N−(2−(2−ピリジニル)エチル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミドは、すっきり感の付与剤である。具体的には、ジボダンジャパン社製等の市販品を使用し得る。
(A)成分の配合量は、組成物全体の0.00000001〜0.01%(質量%、以下同様)が好ましく、より好ましくは0.00000005〜0.005%である。この範囲内であれば、十分なすっきり感を付与でき、それ自身の刺激を十分に抑制することもできる。また、十分な凍結復元性が得られる。
【0012】
(B)ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、特に刺激感の抑制の点から、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油がより好ましい。
【0013】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、使用感及び可溶化の観点から、エチレンオキサイドの平均付加モル数(E.O.)が好ましくは60〜100モルである。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、使用感及び可溶化の観点から、ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数が好ましくは10以上、特に12以上であり、また、より好ましくは18以下、特に14以下である。
ショ糖脂肪酸エステルは、使用感及び可溶化の観点から、ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数が好ましくは10以上、特に12以上であり、また、より好ましくは22以下、特に18以下である。
このようなノニオン性界面活性剤は、市販品を使用できる。具体的には、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(日本エマルジョン(株)製)、ショ糖ステアリン酸エステル(DKエステルSS、第一工業製薬(株)製)、ミリスチン酸ポリグリセリル(サンソフトQ−14Y−C、太陽化学(株)製)等が挙げられる。
【0014】
(B)ノニオン性界面活性剤の配合量は、組成物全体の0.1〜1%であり、好ましくは0.3〜0.8%である。この範囲内であると、すっきり感付与効果及び凍結復元性が優れ、刺激感も抑えられる。0.1%未満であると、凍結復元性が劣る。1%を超えると、すっきり感が低下する。
【0015】
(C)グリセリン及び/又はプロピレングリコールは、1種単独でも2種を併用してもよい。
【0016】
(C)成分の配合量は、組成物全体の3〜20%であり、好ましくは5〜15%である。この範囲内であると、すっきり感が低下することがなく、刺激感も抑えられ、また、凍結復元性において高い効果が得られる。3%未満では、(B)、(D)成分が適切に配合されていても凍結復元性が劣り、また、刺激感が抑制されない。20%を超えると、(C)成分によるべたつきが強くなり、すっきり感が低下する。
【0017】
(D)糖アルコールは、キシリトール及び/又はエリスリトールが好ましく、1種単独で又は2種を併用して使用し得る。
(D)糖アルコールの配合量は、組成物全体の0.3〜4%であり、好ましくは1〜3%である。この範囲内であると、すっきり感が高く、刺激感も抑制される。(B)、(C)成分が適切に配合されていても、0.3%未満ではすっきり感が劣り、また、(A)成分による刺激感が抑制されず、4%を超えると、すっきり感が低下する。
【0018】
本発明において、(C)成分と(D)成分との配合割合を示す(C)/(D)は、質量比として4.5以上である。(C)/(D)比が4.5に満たないと、すっきり感の付与効果が低下する。なお、(C)/(D)比は、刺激抑制の点から、好ましくは5.0以上であり、また、上限値は特に制限されないが、40以下がより好ましく、更に好ましくは15以下である。
【0019】
本発明の液体口腔用組成物は、更に有効成分として殺菌剤を配合することができる。
殺菌剤としては、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム等のカチオン性殺菌剤、イソプロピルメチルフェノール等の非イオン性殺菌剤などが挙げられ、中でもカチオン性殺菌剤、特に塩化セチルピリジニウムが好ましい。殺菌剤の配合量は、好ましくは組成物全体の0.001〜0.1%、特に0.01〜0.05%である。
また更に、有効成分として、必要に応じてその他の公知成分、例えばフッ素含有化合物、トラネキサム酸等の抗炎症剤、デキストラナーゼ等の酵素、ビタミン類などを配合してもよい。これらの有効成分は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量を添加できる。
【0020】
本発明の液体口腔用組成物は、洗口剤、液体歯磨、口中清涼剤等として調製、適用できるが、特に洗口剤が好適である。また、その剤型や使用目的などに応じて、上記成分以外に、適宜な公知成分を必要に応じて配合できる。具体的には、(B)成分以外の界面活性剤、(C)及び(D)成分以外の湿潤剤、増粘剤、防腐剤、甘味剤、着色剤、香料、pH調整剤、溶剤等が配合される。なお、液体口腔用組成物、とりわけ洗口剤には、研磨剤などの可溶化しない固形成分は通常、配合されず、研磨剤は含まないことが好ましい。
【0021】
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤として、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、N−ラウロイルザルコシネート、ラウロイルメチルタウリン、アシルアミノ酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル・ナトリウム、アルキルリン酸エステル塩などが挙げられる。両性界面活性剤として、例えばアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型、N−脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩等のイミダゾリン型などが挙げられる。
(B)成分以外の界面活性剤の配合量は、0〜0.2%、特に0.01〜0.1%が好ましい。
なお、本発明の液体口腔用組成物、特に洗口剤では、(B)成分以外に界面活性剤は配合しなくてもよく、中でもアニオン性界面活性剤、とりわけラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩は、泡残りが生じるなどして使用感に影響することから配合しないほうが好ましいが、配合する場合は0.1%以下、特に0.05%以下が好ましい。
【0022】
湿潤剤としては、(C)及び(D)成分が湿潤剤としても作用することから、これら以外に配合しなくてもよいが、必要に応じてエチレングリコール、ポリエチレングリコール等を配合してもよい。これら湿潤剤を配合する場合、その配合量は5%以下、特に3%以下がよく、0%でもよい。
【0023】
増粘剤としては、キサンタンガム、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる(配合量は通常、0〜1%)。
【0024】
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸又はそのナトリウム塩等が挙げられる。
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイド等が挙げられる。
着色剤としては、青色1号、緑色3号、黄色4号、赤色105号など、安全性の高い水溶性色素が挙げられる。
【0025】
香料としては、ペパーミント油、スペアミント油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、クローブ油、タイム油、セージ油、カルダモン油、ローズマリー油、マジョラム油、レモン油、ナツメグ油、ラベンダー油、パラクレス油等の天然精油、及びl−メントール、l−カルボン、シンナミックアルデヒド、オレンジオイル、アネトール、1,8−シネオール、メチルサリシレート、オイゲノール、チモール、リナロール、リモネン、メントン、メンチルアセテート、シトラール、カンファー、ボルネオール、ピネン、スピラントール等の上記天然精油中に含まれる香料成分、また、エチルアセテート、エチルブチレート、イソアミルアセテート、ヘキサナール、ヘキセナール、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、ベンツアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、フラネオール、マルトール、エチルマルトール、ガンマ/デルタデカラクトン、ガンマ/デルタウンデカラクトン、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、メンチルラクテート、エチレングリコール−l−メンチルカーボネート等の香料成分、更には、いくつかの香料成分や天然精油を組み合わせてなる、アップル、バナナ、ストロベリー、ブルーベリー、メロン、ピーチ、パイナップル、グレープ、マスカット、ワイン、チェリー、スカッシュ、コーヒー、ブランデー、ヨーグルト等の調合フレーバーの1種又は2種以上を、本発明の組成物中0.00001〜3%で、本発明の効果を妨げない範囲で使用することができる。
なお、(A)成分を含む香料は、(A)成分の上記配合量の範囲内で使用し得る。
【0026】
また、香料としてメントールの配合量は、好ましくは0.001〜0.15%、特に0.005〜0.10%であるが、配合せず0%であってもよい。本発明によれば、メントールの配合量が少なくても、高いすっきり感を付与でき、作用効果が優れる。
【0027】
なお、本発明の液体口腔用組成物は、25℃におけるpHを5.5〜8.0に調整することが好ましく、この付近のpH調整剤としてリン酸二水素ナトリウムとリン酸一水素ナトリウム、あるいはクエン酸とクエン酸ナトリウムを組み合わせたものを添加することもできる。
【0028】
溶剤としては、精製水が一般的に用いられる。また、エタノール等の低級一価アルコールを配合してもよく、特にエタノールを添加する場合、その添加量は組成物全体の30%以下、特に4〜20%であることが好ましい。低級一価アルコールの添加は、すっきり感を付与するのに好適であるが、含有量が30%を超えると刺激が強くなり、使用感が低下する場合がある。また、低級一価アルコール、特にエタノールを実質的に含有しない(エタノールの含有量が組成物全体の0.2%以下である)製剤は、低刺激タイプの製剤として好適である。本発明では、このようなエタノールを実質的に含有しない液体口腔用組成物であっても、本発明の作用効果が優れる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は特に断らない限りいずれも質量%を示す。
【0030】
[実施例、比較例]
下記に示す原料及び表1に示す組成の香料組成物を使用し、表2〜4に示す組成の液体口腔用組成物(洗口剤)を常法によって調製し、これらをサンプルとして使用して下記に示す方法で評価した。結果を表に併記した。
【0031】
なお、使用原料の詳細を下記に示す。
(A)N−(2−(2−ピリジニル)エチル)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド;エバクール、ジボダンジャパン社製
(B)ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油;
E.O.100、日本エマルジョン(株)製
(B)ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油;
E.O.60、日本エマルジョン(株)製
(B)ポリグリセリン脂肪酸エステル;
サンソフトQ−14Y−C(ミリスチン酸ポリグリセリル)、太陽化学(株)製
(B)ショ糖脂肪酸エステル;
DKエステルSS(ショ糖ステアリン酸エステル)、第一工業製薬(株)製
(C)グリセリン;阪本薬品工業(株)製
(C)プロピレングリコール;旭硝子(株)製
(D)キシリトール;ロケットジャパン(株)製
(D)エリスリトール;三菱ケミカルフーズ(株)製
【0032】
【表1】
【0033】
(1)すっきり感の評価方法
サンプル20mLを口に含み、20秒間すすいだ後、使用直後のすっきり感を下記評点基準により4段階で判定し、10名の平均点を算出して下記評価基準により評価した。
評点基準
4点:高いすっきり感がある
3点:すっきり感がある
2点:あまりすっきり感がない
1点:全くすっきり感がない
評価基準
◎:3.5点以上
○:3.0点以上3.5点未満
×:3.0点未満
【0034】
(2)刺激感(刺激のなさ)の評価方法
サンプル20mLを口に含み、20秒間すすぎ、洗口剤使用中の刺激のなさを下記評点基準により4段階で判定し、10名の平均点を算出して下記評価基準により評価した。
評点基準
4点:刺激を感じない
3点:刺激をほとんど感じない
2点:刺激を感じる
1点:刺激を非常に感じる
評価基準
◎:3.5点以上4.0点以下
○:3.0点以上3.5点未満
×:3.0点未満
【0035】
(3)凍結復元性の評価方法
サンプルをそれぞれ満注量500mLのPET(ポリエチレンテレフタレート)容器に450mL充填した。次に、これらを−20℃恒温槽に2日間保存後、室温に1日間保管するというサイクルを3回繰り返した。その後、室温にてサンプルの製剤外観を、初期品(保存前の調製直後品、外観は澄明)と比較して下記の評価基準により評価した。
評価基準
◎:初期品と差がなく、ニゴリが認められない。
○:ごくわずかにニゴリが認められる。
×:ニゴリが認められる。
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】