特許第6939158号(P6939158)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧
<>
  • 特許6939158-ワイパ制御装置およびワイパ制御方法 図000002
  • 特許6939158-ワイパ制御装置およびワイパ制御方法 図000003
  • 特許6939158-ワイパ制御装置およびワイパ制御方法 図000004
  • 特許6939158-ワイパ制御装置およびワイパ制御方法 図000005
  • 特許6939158-ワイパ制御装置およびワイパ制御方法 図000006
  • 特許6939158-ワイパ制御装置およびワイパ制御方法 図000007
  • 特許6939158-ワイパ制御装置およびワイパ制御方法 図000008
  • 特許6939158-ワイパ制御装置およびワイパ制御方法 図000009
  • 特許6939158-ワイパ制御装置およびワイパ制御方法 図000010
  • 特許6939158-ワイパ制御装置およびワイパ制御方法 図000011
  • 特許6939158-ワイパ制御装置およびワイパ制御方法 図000012
  • 特許6939158-ワイパ制御装置およびワイパ制御方法 図000013
  • 特許6939158-ワイパ制御装置およびワイパ制御方法 図000014
  • 特許6939158-ワイパ制御装置およびワイパ制御方法 図000015
  • 特許6939158-ワイパ制御装置およびワイパ制御方法 図000016
  • 特許6939158-ワイパ制御装置およびワイパ制御方法 図000017
  • 特許6939158-ワイパ制御装置およびワイパ制御方法 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6939158
(24)【登録日】2021年9月6日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】ワイパ制御装置およびワイパ制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/08 20060101AFI20210909BHJP
【FI】
   B60S1/08 D
【請求項の数】14
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-134265(P2017-134265)
(22)【出願日】2017年7月10日
(65)【公開番号】特開2019-14408(P2019-14408A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2020年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷 智実
(72)【発明者】
【氏名】池本 宣昭
(72)【発明者】
【氏名】東谷 光晴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
【審査官】 田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−210019(JP,A)
【文献】 特開2003−002173(JP,A)
【文献】 特開2016−068753(JP,A)
【文献】 特開平09−286279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置(210)により得られた撮像画像を利用して自動運転を実行する車両に装備されたワイパ装置(100、100a)を制御するためのワイパ制御装置(300、300a)であって、
拭き取り範囲と、拭き取り速度と、拭き取り動作の完了から次の前記拭き取り動作を開始するまでの待機時間である間欠時間と、のうちの少なくとも一つを調整して前記ワイパ装置の前記拭き取り動作を制御するワイパ動作制御部(321)を備え、
前記ワイパ動作制御部は、
前記車両が手動運転を実行中である場合、前記拭き取り動作として、第1拭き取り動作を実行し、
前記車両が前記自動運転を実行中である場合、前記拭き取り動作として、前記第1拭き取り動作とは異なる第2拭き取り動作を実行し、
前記ワイパ装置は、前記車両に搭載されたバッテリから給電され、前記第2拭き取り動作において拭き取りを実行するワイパブレードを有し、
前記ワイパ動作制御部は、前記第2拭き取り動作を実行中に、前記バッテリに電力異常が生じた場合に、前記撮像装置の撮像方向の前方領域とは異なる位置に、前記ワイパブレードを停止させる、
ワイパ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のワイパ制御装置であって、
前記第2拭き取り動作に要する消費電力は、前記第1拭き取り動作に要する消費電力に比べて小さい、
ワイパ制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のワイパ制御装置であって、
前記第2拭き取り動作による前記拭き取り範囲である第2拭き取り範囲(W2)は、前記第1拭き取り動作による前記拭き取り範囲である第1拭き取り範囲(W1a、W1b)に比べて、狭い、
ワイパ制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載のワイパ制御装置であって、
前記第2拭き取り範囲は、前記撮像装置の撮像方向の前方領域を含む、
ワイパ制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載のワイパ制御装置であって、
前記ワイパ装置は、予め定められた軸を中心として予め定められた角度範囲で回動することにより前記拭き取り動作を行い、
前記撮像装置における前記撮像方向と交差する交差方向の中心位置と前記軸とを結ぶ第1仮想線(VL1)と、前記第2拭き取り範囲における拭き取り方向に沿った一方の端(LP)の位置と前記軸とを結ぶ第2仮想線(VL2)と、がなす角度と、
前記第1仮想線と、前記第2拭き取り範囲における前記拭き取り方向に沿った他方の端(RP)の位置とを結ぶ第3仮想線(VL3)と、がなす角度とは、互いに等しい、
ワイパ制御装置。
【請求項6】
請求項3から請求項5までのいずれか一項に記載のワイパ制御装置であって、
前記ワイパ装置は、拭き取りを実行するワイパブレード(21)を有し、
前記第2拭き取り動作において、前記第2拭き取り範囲における拭き取り方向に沿った一方の端(LP)と他方の端(RP)とにそれぞれ前記ワイパブレードが位置する際に、前記間欠時間を設ける、
ワイパ制御装置。
【請求項7】
請求項3から請求項6までのいずれか一項に記載のワイパ制御装置であって、
前記第2拭き取り動作における前記間欠時間は、前記第1拭き取り動作における前記間欠時間に比べて、長い、
ワイパ制御装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のワイパ制御装置であって、
前記ワイパ装置は、拭き取りを実行する複数のワイパブレード(11、21)を有し、
前記ワイパ動作制御部は、前記第2拭き取り動作として、前記複数のワイパブレードのうちの第1ワイパブレード(11)による前記拭き取り動作を停止させ、前記複数のワイパブレードのうちの前記第1ワイパブレードとは異なる第2ワイパブレード(21)に前記第2拭き取り範囲の拭き取りを実行させる、
ワイパ制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載のワイパ制御装置であって、
前記ワイパ動作制御部は、前記車両が前記自動運転から前記手動運転に切り替わる際、前記第1ワイパブレードに前記第1拭き取り動作を実行させるよりも前に、前記第2ワイパブレードに前記第1拭き取り動作を実行させ、その後、前記第1ワイパブレードおよび前記第2ワイパブレードに前記第1拭き取り動作を実行させる、
ワイパ制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載のワイパ制御装置であって、
前記第1ワイパブレードおよび前記第2ワイパブレードは、前記車両のフロントガラス(220)の拭き取りを実行し、
前記ワイパ動作制御部は、前記車両が前記自動運転から前記手動運転に切り替わる際、前記第1ワイパブレードに前記第1拭き取り動作を実行させるよりも前に、前記第2ワイパブレードに前記フロントガラスにおける前記車両の運転席の前方領域を含む予め定められた拭き取り範囲であって前記第1拭き取り範囲の一部の拭き取りを実行させる、
ワイパ制御装置。
【請求項11】
請求項8から請求項10までのいずれか一項に記載のワイパ制御装置であって、
前記ワイパ動作制御部は、前記車両が前記自動運転から前記手動運転に切り替わる際、前記第2ワイパブレードが予め定められた位置に移動するまで前記第1ワイパブレードを待機させ、前記第2ワイパブレードが前記予め定められた位置に達したら、前記第1ワイパブレードの前記第1拭き取り動作を開始し、
前記予め定められた位置は、前記手動運転に切り替わる前記第1ワイパブレードの位置に対応する前記第2ワイパブレードの位置である、
ワイパ制御装置。
【請求項12】
請求項8から請求項11までのいずれか一項に記載のワイパ制御装置であって、
前記ワイパ装置は、前記第1拭き取り範囲における前記拭き取り方向に沿った一方の端に前記第1ワイパブレードを保持するための保持装置(48)を有し、
前記ワイパ動作制御部は、さらに、前記第1ワイパブレードが前記保持装置により保持されている状態と、前記第1ワイパブレードが前記保持装置により保持されていない状態との切り替えを制御し、
前記ワイパ動作制御部は、前記第1ワイパブレードが保持されていない状態から前記保持装置によって保持されている状態に切り替えられる際に、前記第2拭き取り動作を実行する、
ワイパ制御装置。
【請求項13】
請求項4から請求項12までのいずれか一項に記載のワイパ制御装置であって、
前記ワイパ動作制御部は、前記第2拭き取り動作の実行中における予め定められた時間の間、前記第2拭き取り範囲に比べて広い拭き取り範囲の拭き取りを実行させる、
ワイパ制御装置。
【請求項14】
撮像装置により得られた撮像画像を利用して自動運転を実行する車両に装備されたワイパ装置を制御するためのワイパ制御方法であって、
拭き取り範囲と、拭き取り速度と、拭き取り動作の完了から次の前記拭き取り動作を開始するまでの待機時間である間欠時間と、のうちの少なくとも一つを調整して前記ワイパ装置の前記拭き取り動作を制御する工程を備え、
前記工程は、
前記車両が手動運転を実行中である場合、前記拭き取り動作として、第1拭き取り動作を実行する工程と、
前記車両が前記自動運転を実行中である場合、前記拭き取り動作として、前記第1拭き取り動作とは異なる第2拭き取り動作を実行する工程と、
を含み、
前記ワイパ装置は、前記車両に搭載されたバッテリから給電され、前記第2拭き取り動作において拭き取りを実行するワイパブレードを有し、
前記工程は、前記第2拭き取り動作を実行中に、前記バッテリに電力異常が生じた場合に、前記撮像装置の撮像方向の前方領域とは異なる位置に、前記ワイパブレードを停止させる工程を含む、
ワイパ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転可能な車両におけるワイパ装置の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に装備されるワイパ装置は、例えば、降雨・降雪時に車両のフロントガラス等に付着した水や雪を拭き取ることにより、車両の乗員の視界を確保する。特許文献1には、ワイパ装置が途中停止した場合に、急速度で再始動することを防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016―164072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動運転車両における車両の制御は、自車両に搭載される撮像装置により得られた撮像画像等を利用して、自車両の周囲の状況を把握して行われる場合がある。この場合、自動運転車両に装備されるワイパ装置は、撮像装置の撮像範囲内の視界を確保するように拭き取り動作を実行する必要がある。しかしながら、従来、自動運転車両におけるワイパ装置の制御に関して、十分な工夫がなされていなかった。したがって、自動運転車両においてワイパ装置を適切に制御できる技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、ワイパ制御装置が提供される。このワイパ制御装置(300、300a)は、撮像装置(210)により得られた撮像画像を利用して自動運転を実行する車両に装備されたワイパ装置(100、100a)を制御するためのワイパ制御装置であって、拭き取り範囲と、拭き取り速度と、拭き取り動作の完了から次の前記拭き取り動作を開始するまでの待機時間である間欠時間と、のうちの少なくとも一つを調整して前記ワイパ装置の前記拭き取り動作を制御するワイパ動作制御部(321)を備え;前記ワイパ動作制御部は、前記車両が手動運転を実行中である場合、前記拭き取り動作として、第1拭き取り動作を実行し、前記車両が前記自動運転を実行中である場合、前記拭き取り動作として、前記第1拭き取り動作とは異なる第2拭き取り動作を実行する。前記ワイパ装置は、前記車両に搭載されたバッテリから給電され、前記第2拭き取り動作において拭き取りを実行するワイパブレードを有する。前記ワイパ動作制御部は、前記第2拭き取り動作を実行中に、前記バッテリに電力異常が生じた場合に、前記撮像装置の撮像方向の前方領域とは異なる位置に、前記ワイパブレードを停止させる。
【0007】
この形態のワイパ制御装置によれば、車両が手動運転を実行中である場合、拭き取り動作として、第1拭き取り動作を実行し、車両が自動運転を実行中である場合、拭き取り動作として、第1拭き取り動作とは異なる第2拭き取り動作を実行するので、自動運転車両においてワイパ装置を適切に制御できる。
【0008】
本発明は、種々の形態で実現することも可能である。例えば、ワイパ装置の制御方法、ワイパ制御装置を搭載した車両、また、これらの装置や方法を実現するためのコンピュータプログラム等の形態で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態におけるワイパ制御装置の概略構成を示す説明図。
図2】連結部の概略構成を模式的に示す断面図。
図3】連結部の概略構成を模式的に示す断面図。
図4】ワイパ制御処理の処理手順を示すフローチャート。
図5】第2拭き取り動作の処理手順を示すフローチャート。
図6】第1ワイパブレードを第1上端位置に停止させた様子を模式的に示す説明図。
図7図6に示す状態における保持部48を拡大して示す断面図。
図8】第2拭き取り範囲を模式的に示す説明図。
図9】付着物除去処理の処理手順を示すフローチャート。
図10】切り替え処理の処理手順を示すフローチャート。
図11】自動運転から手動運転への切り替え処理の様子を模式的に示す説明図。
図12】第2実施形態におけるワイパ制御装置の概略構成を示す説明図。
図13】第2モータ駆動回路の備える反転回路を模式的に示す説明図である。
図14】電源異常時ワイパ制御処理の処理手順を示すフローチャート。
図15】他の実施形態10における自動運転から手動運転への切り替え処理の様子を模式的に示す説明図。
図16】他の実施形態11における自動運転から手動運転への切り替え処理の様子を模式的に示す説明図。
図17】他の実施形態12における自動運転から手動運転への切り替え処理の様子を模式的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
A.第1実施形態:
A1.装置構成:
図1に示す第1実施形態におけるワイパ制御装置300は、図示しない車両に搭載され、後述のワイパ制御処理を実行することにより、ワイパ装置(後述のワイパ装置100)の拭き取り動作を制御する。図1は、ワイパ制御装置300に加えて、車両に装備されるワイパ装置100を示している。本実施形態において、ワイパ装置100は、車両においてフロントガラス220を拭くことが可能な位置に取り付けられている。車両は、手動運転と自動運転とを切り替えて運転可能な車両である。ワイパ装置100は、ワイパ制御装置300と電気的に接続されており、ワイパ制御装置300の指示に基づいて、フロントガラス220上の第1領域W1aおよび第2領域W1bを拭き取る。図1は、車両の室内から室外に向かってフロントガラス220を見た状態を示しており、図1左側が助手席側、図1右側が運転席側に対応する。
【0011】
ワイパ装置100は、第1ワイパ10と、第2ワイパ20と、ワイパモータ50と、リンク機構30とを備える。第1ワイパ10は、第1ワイパブレード11と、第1ワイパアーム12とを有する。第1ワイパブレード11は、第1領域W1aの拭き取りを実行する。第1ワイパブレード11は、ワイパモータ50の伝達力を受けて、第1領域W1aの下方の端の位置BP1(以下、「第1下端位置BP1」と呼ぶ)から、第1領域W1aの上方の端の位置TP1(以下、「第1上端位置TP1」と呼ぶ)までを拭き取り方向D1に沿って往復移動して第1領域W1aの拭き取り動作を実行する。拭き取り方向D1は、第1領域W1aに沿って略円弧状の軌跡を描く方向である。第1ワイパアーム12は、第1ワイパブレード11を支持する。第1ワイパアーム12の一方の端は、第1ワイパブレード11に固定されており、第1ワイパアーム12の他方の端は、後述の第1ピボット軸44に固定されている。すなわち、第1ワイパアーム12が第1ピボット軸44を中心として予め定められた角度範囲で回動することにより、第1ワイパブレード11による第1領域W1aの拭き取り動作が実行される。
【0012】
第2ワイパ20は、第1ワイパ10と同様な構成を有する。具体的には、第2ワイパ20は、第2ワイパブレード21と、第2ワイパアーム22とを有する。第2ワイパブレード21は、第2領域W1bの拭き取りを実行する。第2ワイパブレード21は、第1ワイパブレード11と同様に、ワイパモータ50の伝達力を受けて、第2領域W1bの下方の端の位置BP2(以下、「第2下端位置BP2」と呼ぶ)から、第2領域W1bの上方の端の位置TP2(以下、「第2上端位置TP2」と呼ぶ)までを拭き取り方向D2に沿って往復移動して第2領域W1bの拭き取り動作を実行する。拭き取り方向D2は、第2領域W1bに沿って略円弧状の軌跡を描く方向である。第2ワイパアーム22は、第2ワイパブレード21を支持する。第2ワイパアーム22の一方の端は、第2ワイパブレード21に固定されており、第2ワイパアーム22の他方の端は、後述の第2ピボット軸42に固定されている。すなわち、第2ワイパアーム22が第2ピボット軸42を中心として予め定められた角度範囲で回動することにより、第2ワイパブレード21による第2領域W1bの拭き取り動作が実行される。
【0013】
ワイパモータ50は、第1ワイパ10および第2ワイパ20による拭き取り動作の駆動源である。ワイパモータ50は、ワイパ制御装置300と電気的に接続されており、ワイパ制御装置300からの制御信号に応じた速度で回転する。ワイパモータ50による回転運動力は、後述のリンク機構30を介して第1ワイパアーム12および第2ワイパアーム22に伝達されて、第1ワイパアーム12および第2ワイパアーム22を往復移動させる。第1ワイパアーム12の往復移動に伴って、第1ワイパブレード11が第1下端位置BP1と第1上端位置TP1との間で往復移動することにより、第1領域W1aが拭き取られる。また、第2ワイパアーム22の往復移動に伴って、第2ワイパブレード21が第2下端位置BP2と第2上端位置TP2との間で往復移動することにより、第2領域W1bが拭き取られる。
【0014】
第1ワイパ10と第2ワイパ20とは、互いに連動して拭き取り動作を実行する。具体的には、第1ワイパブレード11が第1下端位置BP1から第1上端位置TP1に向かって拭き取りを実行する際に、第2ワイパブレード21も第1ワイパブレード11の移動に合わせるようにして、第2下端位置BP2から第2上端位置TP2に向かって拭き取りを実行する。第1ワイパブレード11が第1上端位置TP1に達する際に、第2ワイパブレード21も第2上端位置TP2に達する。そして、各上端位置TP1およびTP2において、第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21は、拭き取り方向を反転させる。その後、第1ワイパブレード11は第1下端位置BP1に向かって拭き取りを実行し、第2ワイパブレード21は第2下端位置BP2に向かって拭き取りを実行する。そして、第1ワイパブレード11が第1下端位置BP1に達する際に、第2ワイパブレード21も第2下端位置BP2に達する。
【0015】
なお、詳細な説明は後述するが、本実施形態において、ワイパ装置100は、後述の連結部60を備えることにより、上述の第1ワイパ10および第2ワイパ20が連動して拭き取り動作を実行することと、第1ワイパ10および第2ワイパ20がそれぞれ独立して拭き取り動作を実行することとが切り替えて実行可能に構成されている。
【0016】
ワイパモータ50は、減速機構52と、出力軸32とを有する。減速機構52は、ワイパモータ50による回転運動の回転速度を減速させる。減速機構52は、ウォームギアで構成されている。出力軸32は、ワイパモータ50による回転運動に伴って正転と逆転のいずれの方向へも回転可能に構成されている。出力軸32の回転角θは、本実施形態では、鉛直方向と後述のクランクアーム34の長手方向との間の角度により定義され、第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21の拭き取り位置に対応する。
【0017】
リンク機構30は、ワイパモータ50と、第1ワイパ10および第2ワイパ20と、を連結させるための機構である。リンク機構30は、クランクアーム34と、一対のリンクロッド36および46と、一対のピボットレバー38および40と、一対のピボット軸42および44と、連結部60と、保持部48とを備える。
【0018】
クランクアーム34は、出力軸32と第2リンクロッド36とを連結する。クランクアーム34の一方の端は、出力軸32に固定されている。クランクアーム34の他方の端は、第2リンクロッド36に回動可能に連結されている。クランクアーム34は、ワイパモータ50の回転に従って正転方向と逆転方向とに交互に回転する。
【0019】
第2リンクロッド36は、クランクアーム34と第2ピボットレバー38とを連結する。上述のように、第2リンクロッド36の一方の端は、クランクアーム34に回動可能に連結されている。第2リンクロッド36の他方の端は、第2ピボットレバー38に回動可能に連結されている。第1リンクロッド46は、第2ピボットレバー38と第1ピボットレバー40とを連結する。第1リンクロッド46の一方の端は、第2ピボットレバー38に回動可能に連結されている。第1リンクロッド46の他方の端は、第1ピボットレバー40に回動可能に連結されている。
【0020】
一対のピボットレバー38および40は、ワイパモータ50の回転運動力を第1ワイパアーム12および第2ワイパアーム22に伝達する。第1ワイパアーム12および第2ワイパアーム22は、ピボットレバー38および40がワイパモータ50の回転運動力を受け揺動することにより、往復運動を行う。
【0021】
一対のピボット軸42および44は、車両に搭載された図示しないピボットホルダによって回動可能に支持されている。第1ピボット軸44は、第1ピボットレバー40のうちの第1リンクロッド46と連結していない側の端に設けられており、第1ワイパアーム12の一方の端が固定されている。また、第2ピボット軸42は、第2ピボットレバー38のうちの第1リンクロッド46と連結していない側の端に設けられており、第2ワイパアーム22の一方の端が固定されている。
【0022】
連結部60は、第1ワイパ10および第2ワイパ20の連結と切り離しとを実行するための機構を有する。連結部60は、第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21に互いに連動して拭き取り動作を実行させたい場合には、第1ワイパ10と第2ワイパ20とを連結する。他方、第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21を互いに連動させずに独立して拭き取り動作を実行させたい場合には、連結部60は、第1ワイパ10と第2ワイパ20とを切り離す。なお、後述するように、第1ワイパブレード11と第2ワイパブレード21とが独立して拭き取り動作を実行するとは、第1ワイパブレード11と第2ワイパブレード21とが互いに連動して拭き取り動作を実行しないことを意味し、第1ワイパブレード11は拭き取り動作を実行せず、第2ワイパブレード21のみが拭き取り動作を実行することを意味する。
【0023】
図2に示す連結部60の状態は、第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21が互いに連動して拭き取り動作を実行中の状態である。図3に示す連結部60の状態は、第1ワイパブレード11が拭き取り動作を停止中であり第2ワイパブレード21が拭き取り動作を実行中の状態である。図2および図3に示すように、連結部60は、突出部61と、磁性体62と、ソレノイド63と、スプリング64とを備える。
【0024】
突出部61は、第1リンクロッド46の開口部46aと対応する位置に配置されている。突出部61は、スプリング64が延伸した際、開口部46aから先端側の一部が飛び出るように位置することにより、図1に示す第1リンクロッド46における第1ピボットレバー40と連結されている側にワイパモータ50の回転運動力が伝達することを抑制し、第1ワイパアーム12の動きを停止させる。
【0025】
図2および図3に示すように、磁性体62は、スプリング64を伸縮させる際に通電されるコイルである。ソレノイド63は、磁性体62に流れる電磁力を利用してスプリング64を伸縮させるための運動力を生成する。スプリング64は、伸縮性を有するバネであり、ソレノイド63の運動力を利用して、上方側(開口部46a側)に延伸する。
【0026】
図2に示すように、第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21がともに拭き取り動作の実行中である場合は、ソレノイド63が通電されることにより、磁性体62がソレノイド63に引きつけられて、スプリング64が車体201a側に圧縮させられる。このとき、突出部61は、開口部46aから突出することがなく車体201b内部に格納されている。このため、第1ワイパブレード11と第2ワイパブレード21とが連動して拭き取り動作を実行させることができる。
【0027】
図3に示すように、第1ワイパブレード11による拭き取り動作の停止中かつ第2ワイパブレード21による拭き取り動作の実行中では、ソレノイド63への通電が停止されることにより、磁性体62がソレノイド63に引きつけられず、スプリング64の弾力により、突出部61は、開口部46aに向かって突出する。このとき、突出部61の存在により、第1リンクロッド46における第1ピボットレバー40と連結されている側へワイパモータ50の回転駆動力は伝達されないため、第1ワイパブレード11の拭き取り動作を停止させるとともに、第2ワイパブレード21の拭き取り動作を実行させることができる。
【0028】
図1に示すように、連結部60は、ワイパ制御装置300と電気的に接続されている。ワイパ制御装置300は、ソレノイド63の通電の実行および停止を制御することにより、第1ワイパ10および第2ワイパ20の連結と切り離しとを制御する。
【0029】
図1に示す保持部48は、第1ピボット軸44に連結されており、第1ピボット軸44とフロントガラス220との間に設けられている。保持部48は、第1ワイパブレード11の拭き取り動作を停止させる際、第1上端位置TP1に第1ワイパブレード11が配置された状態で第1ワイパアーム12を保持する。保持部48が第1ワイパアーム12を保持する様子についての詳細な説明は、後述する。なお、保持部48は、請求項における保持装置の下位概念に相当する。
【0030】
ワイパ制御装置300は、ECU(Electronic Control Unit)により構成されている。ワイパ制御装置300は、センサ310と、第1モータ駆動回路311と、連結部駆動回路312と、マイクロコンピュータ320とを備える。
【0031】
センサ310は、位置検出センサであり、出力軸32の回転角θを検出する。上述のように、出力軸32の回転角θは、第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21の拭き取り位置に対応する角度であるため、回転角θを制御することにより、第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21の拭き取り範囲と拭き取り位置とが調整される。
【0032】
第1モータ駆動回路311は、ワイパモータ50を制御するための制御回路である。第1モータ駆動回路311は、ワイパモータ50への供給電力の制御や、ワイパモータ50の回転運動力の制御を行う。
【0033】
連結部駆動回路312は、連結部60を制御するための制御回路である。連結部駆動回路312は、後述のワイパ動作制御部321からの指示に基づいて、連結部60への電力の供給と停止とを制御する。
【0034】
マイクロコンピュータ320は、図示しないCPUおよびメモリを備えており、CPUはメモリに予め記憶されている制御プログラムを実行することにより、ワイパ動作制御部321として機能する。ワイパ動作制御部321は、拭き取り範囲と、拭き取り速度と、間欠時間とをそれぞれ調整して、第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21による拭き取り動作を制御する。
【0035】
本実施形態において、「拭き取り範囲」とは、第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21によるフロントガラス220上の拭き取り範囲を意味する。図1に示す例では、第1領域W1aおよび第2領域W1bが拭き取り範囲に該当する。また、「拭き取り速度」とは、1回の拭き取り動作によって拭き取り範囲の拭き取りを実行する際に要する時間を意味する。「1回の拭き取り動作」とは、拭き取り範囲を1回往復する分の拭き取り動作を意味する。すなわち、各下端位置BP1、BP2から各上端位置TP1、TP2までの1回分の拭き取り動作と、各上端位置TP1、TP2から下端位置BP1、BP2までの1回分の拭き取り動作と、の両方の拭き取り動作を意味する。また、「間欠時間」とは、拭き取り動作を完了してから次の拭き取り動作を開始するまでの待機時間を意味する。
【0036】
ここで、本実施形態において、ワイパ動作制御部321は、車両の運転状態に応じて拭き取り動作を変更する。具体的には、車両が手動運転を実行中である場合、ワイパ動作制御部321は、拭き取り動作として、第1拭き取り動作を実行する。また、車両が自動運転を実行中である場合、ワイパ動作制御部321は、拭き取り動作として、第1拭き取り動作とは異なる第2拭き取り動作を実行する。第2拭き取り動作では、拭き取り範囲、拭き取り速度および間欠時間を第1拭き取り動作とは異ならせた態様で実行する。第1拭き取り動作および第2拭き取り動作については、後述のワイパ制御処理において詳細に説明する。
【0037】
図1に示すワイパスイッチ230は、車両の室内に搭載されており、車両の乗員がワイパ装置100の作動の開始・終了を指示するために用いられる。ワイパスイッチ230は、車両の乗員による操作を検出して、検出内容に応じた信号をワイパ制御装置300に出力する。
【0038】
撮像装置210は、車両の室内におけるフロントガラス220の上方側であって水平方向に沿った略中央に搭載されており、車両の室外の状況を撮影する。撮像装置210により得られた撮像画像は、車両の自動運転に用いられる。
【0039】
A2.ワイパ制御処理:
図4に示すワイパ制御処理は、車両の運転者が車両のエンジンを始動させると開始される。ワイパ動作制御部321は、ワイパ作動要求があるか否かを判定する(ステップS100)。具体的には、ワイパ動作制御部321は、車両が手動運転を実行中である場合には、ワイパスイッチ230が押下されたか否かを判定する。また、車両が自動運転を実行中である場合には、ワイパ動作制御部321は、車両に搭載された図示しない雨量検出センサにより所定の量の降雨量が検出されたか否かを判定する。ワイパ作動要求があると判定された場合(ステップS100:YES)、ワイパ動作制御部321は、車両が自動運転を実行中であるか否かを検出する(ステップS110)。
【0040】
自動運転実行中でないと判定された場合(ステップS110:NO)、ワイパ動作制御部321は、第1拭き取り動作を実行する(ステップS120)。第1拭き取り動作において、ワイパ動作制御部321は、第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21の両方に拭き取り動作を実行させる。その際、ワイパ動作制御部321は、拭き取り範囲、拭き取り速度および間欠時間を以下のように制御する。
【0041】
ワイパ動作制御部321は、第1拭き取り動作における拭き取り範囲(以下、「第1拭き取り範囲」と呼ぶ)を第1領域W1aおよび第2領域W1bとする。すなわち、第1拭き取り動作では、フロントガラス220上の略全体の拭き取りが実行される。また、ワイパ動作制御部321は、第1拭き取り動作における拭き取り速度を予め定められたデフォルト値とする。また、ワイパ動作制御部321は、第1拭き取り動作における間欠時間を第1ワイパブレード11が第1下端位置BP1に位置する際と、第2ワイパブレード21が第2下端位置BP2に位置する際と、のそれぞれに設ける。すなわち、第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21がそれぞれ1往復分の拭き取り動作を完了して各ワイパブレード11、21が各下端位置BP1、BP2に位置する際に間欠時間が設けられる。
【0042】
図4に示すように、上述のステップS110において、自動運転実行中であると判定された場合(ステップS110:YES)、ワイパ動作制御部321は、第2拭き取り動作を実行する(ステップS130)。
【0043】
図5に示すように、第2拭き取り動作において、ワイパ動作制御部321は、第1ワイパブレード11を第1上端位置TP1に停止させる(ステップS200)。
【0044】
図6において、ステップS200を実行前の第1ワイパブレード11を破線で、ステップS200を実行後の第1ワイパブレード11を実線で、それぞれ示している。なお、図6では、説明の便宜上、ワイパ装置100の一部の構成要素の符号の図示を省略している。ステップS200において、ワイパ動作制御部321は、まず、第1下端位置BP1に停止している破線で示す第1ワイパブレード11を、実線で示すように、第1上端位置TP1まで移動させる。第1ワイパブレード11が第1上端位置TP1の位置まで移動すると、ワイパ動作制御部321は、連結部60に第1ワイパ10と第2ワイパ20との切り離しを実行する。その後、ワイパ動作制御部321は、保持部48に第1ワイパアーム12を保持させて、第1ワイパブレード11を第1上端位置TP1に停止させる。
【0045】
図7に示す保持部48は、図6に示す状態(ステップS200実行後)における保持部48を拡大して示しており、保持部48の近傍も合わせて示している。図7では、フロントガラス220に沿って第1ワイパアーム12の第1ピボット軸44との接続側から第1ワイパブレード11との接続側へと見た模式的な断面を示している。図7に示すように、保持部48は、バネ部48aと、突出部48bとからなる。バネ部48aは、伸縮性を有しており、通電されることにより上方(第1ワイパアーム12の第1ピボット軸44との接続側)に延伸する。突出部48bは、バネ部48aが延伸した際に第1ワイパアーム12の移動を抑制する。上述のステップS200が実行されると、バネ部48aへの通電によりバネ部48aが図7に示す上方側に延伸し、突出部48bが第1ワイパアーム12の下端方向へ突出する。そして、第1ワイパアーム12は、突出部48bと車体201cとによって、横方向(拭き取り方向)への移動が抑制される。その結果、第1ワイパブレード11は、第1上端位置TP1に停止することになる。
【0046】
図5に示すように、ステップS200の実行後、ワイパ動作制御部321は、拭き取り範囲を第2拭き取り動作における拭き取り範囲(以下、「第2拭き取り範囲」と呼ぶ)に設定する(ステップS210)。
【0047】
図8においてハッチングを付して示すように、第2拭き取り範囲W2は、撮像装置210の撮像方向の前方領域であって、第2領域W1bのうちの第1端LPと第2端RPとに囲まれた領域である。第1端LPは、第2拭き取り範囲W2における拭き取り方向D2に沿った一方の端の位置である。第2端RPは、第2拭き取り範囲W2における拭き取り方向D2に沿った他方の端の位置である。図8に示すように、第1仮想線VL1は、撮像装置210における撮像方向と交差する交差方向の中心位置と第2ピボット軸42とを結ぶ仮想的な直線である。なお、「撮像装置210における撮像方向と交差する交差方向の中心位置」は、撮像装置210がステレオカメラにより構成される場合には、2つのカメラの水平方向に沿った中心位置を撮像方向の中心位置を呼ぶ。第2仮想線VL2は、第1端LPと第2ピボット軸42とを結ぶ仮想的な直線である。第3仮想線VL3は、第2端RPと第2ピボット軸42とを結ぶ仮想的な直線である。第1仮想線VL1と第2仮想線VL2とがなす角度θ1と、第1仮想線VL1と第3仮想線VL3とがなす角度θ1とは、互いに等しい。図1および図8から明らかなように、第2拭き取り範囲W2は、第1拭き取り範囲である第1領域W1aおよび第2領域W1bをあわせた領域よりも小さい(狭い)。
【0048】
第2拭き取り範囲W2を第1拭き取り範囲W1aおよびW1bに比べて狭くして、撮像装置210の撮像方向の前方領域に設定するのは、以下の理由からである。すなわち、撮像装置210による撮像の際に視界(撮像装置210の集光範囲)がある程度はっきりと認識できるようにするために、撮像方向の前方領域は拭き取りを行う必要がある一方、その他の領域は拭き取りの必要性は低く、かかる領域の拭き取りを行わないことで消費電力を低減できるからである。また、第2拭き取り範囲W2を撮像装置210の長手方向の略中点を中心として左右対称となる範囲とするのは、撮像方向の前方領域を拭き取る際の周期を一定にすることができるからである。
【0049】
図5に示すように、ステップS210の実行後、ワイパ動作制御部321は、第2ワイパブレード21の間欠時間を第2拭き取り範囲W2における第1端LPと第2端RPとにそれぞれ第2ワイパブレード21が位置する際に設ける(ステップS220)。上述のように、第1拭き取り動作においては、第1拭き取り範囲における一方の端に第2ワイパブレード21が位置する際にのみ間欠時間が設けられていたが、第2拭き取り動作では、これに加えて、第2ワイパブレード21が他方の端に位置する際にも間欠時間が設けられる。このとき、ワイパ動作制御部321は、第1拭き取り動作における間欠時間に比べて長い時間を間欠時間として設定する。このようにするのは、車両が自動運転を実行中の場合には、撮像装置210が撮像方向の様子を認識できればよいため、頻繁に拭き取り動作を実行する必要がないからである。
【0050】
ステップS220の実行後、ワイパ動作制御部321は、高速作動要求があるか否かを判定する(ステップS230)。具体的には、ワイパ動作制御部321は、車両に搭載された図示しない雨量検出センサの検出結果が所定の雨量よりも多い場合、高速作動要求があると判定する。他方、かかる検出結果が所定の雨量以下である場合、高速作動要求がないと判定する。
【0051】
高速作動要求があると判定された場合(ステップS230:YES)、ワイパ動作制御部321は、第2ワイパブレード21の拭き取り速度の上限値を変更する(ステップS240)。ワイパ動作制御部321は、第2ワイパブレード21の拭き取り速度の上限値を第1拭き取り動作における拭き取り速度の上限値よりも速い速度に設定する。例えば、豪雨時には、第2拭き取り範囲W2を高速に拭き取らせることにより、撮像装置210で得られる撮像画像の画質低下を抑制して、画像に基づく車両や歩行者等の認識能力の低下を抑制でき、車両の走行安全性の低下を抑制できる。
【0052】
ステップS240の実行後、ワイパ動作制御部321は、第2ワイパブレード21により拭き取り動作を開始する(ステップS250)。ステップS250の実行後、第2拭き取り動作が完了し、図4に示すステップS140が実行される。上述のステップS230において、高速作動要求がないと判定された場合(ステップS230:NO)、上述のステップS240の実行後と同様に、ステップS250が実行される。
【0053】
図4では、ステップS130の完了後にステップS140が実行されるように描かれているが、ステップS130と並行してステップS140が実行される。ワイパ動作制御部321は、付着物除去処理を実行する(ステップS140)。第2拭き取り動作では、第1拭き取り動作に比べて、拭き取り範囲が狭い。このため、フロントガラス220において第2拭き取り範囲W2以外の場所に付着物が付いても、そのままでは付着物は除去されず付着したままとなる。そこで、ステップS130と並行して付着物除去処理(ステップS140)が実行され、一時的に拭き取り範囲を広げて付着物を除去する。以下、詳細に説明する。
【0054】
図9に示すように、ワイパ動作制御部321は、付着物を検出したか否かを判定する(ステップS300)。ワイパ動作制御部321は、撮像装置210により得られた撮像画像から鳥の糞や、泥、雪等の付着物が検出されたか否かを判定する。
【0055】
付着物を検出したと判定された場合(ステップS300:YES)、ワイパ動作制御部321は、付着物が降雪であるか否かを判定する(ステップS310)。ワイパ動作制御部321は、上述のステップS300において取得した撮像画像から雪が検出された場合には、付着物は降雪であると判定する。付着物は降雪であると判定された場合(ステップS310:YES)、ワイパ動作制御部321は、第2拭き取り範囲W2を広げる(ステップS330)。例えば、ワイパ動作制御部321は、拭き取り範囲を第2拭き取り範囲W2から第2領域W1bに広げる。付着物として降雪を検出した場合に拭き取り範囲を広げるのは、降雪が続いた後に車両が自動運転から手動運転に切り替えられた際に、フロントガラス220上に降り積もった雪によって第1ワイパ10および第2ワイパ20が動かなくなることを防止するためである。ステップS330の実行後、付着物除去処理は完了し、図4に示すステップS150が実行される。
【0056】
上述のステップS310において、付着物は降雪でないと判定された場合(ステップS310:NO)、ワイパ動作制御部321は、予め定められた時間の間、第2拭き取り範囲を広げる(ステップS320)。付着物が降雪ではない場合には、ステップS330とは異なり、予め定められた時間の間だけ、拭き取り範囲を広げて拭き取り動作を実行するのは、フロントガラス220上に付着した鳥の糞や泥等の付着物は短時間の拭き取りで除去され得るからである。ステップS320の実行後、上述のステップS330の実行後と同様に、付着物除去処理が完了する。
【0057】
上述のステップS300において、付着物を検出していないと判定された場合(ステップS300:NO)、上述のステップS330の実行後と同様に、付着物除去処理が完了する。
【0058】
図4に示すように、ステップS140の実行後、ワイパ動作制御部321は、切り替え要求があるか否かを判定する(ステップS150)。具体的には、車両の運転者により、自動運転から手動運転への切り替えが行われたか否か、または、手動運転から自動運転への切り替えが行われたか否かを判定する。ワイパ動作制御部321は、例えば、車両に搭載された自動運転を開始・終了を指示するボタンが押下されたか否かを検出することにより判定する。かかるボタンが押下された場合、ワイパ動作制御部321は、切り替え要求があると判定する。他方、かかるボタンが押下されていない場合、ワイパ動作制御部321は、切り替え要求がないと判定する。切り替え要求があると判定された場合(ステップS150:YES)、ワイパ動作制御部321は、切り替え処理を実行する(ステップS160)。
【0059】
図10に示すように、切り替え処理において、ワイパ動作制御部321は、切り替え要求が手動運転から自動運転への切り替えであるか否かを判定する(ステップS400)。手動運転から自動運転への切り替えであると判定された場合(ステップS400:YES)、ワイパ動作制御部321は、上述の第2拭き取り動作を実行する(ステップS410)。
【0060】
他方、手動運転から自動運転への切り替えではないと判定された場合(ステップS400:NO)、換言すると、自動運転から手動運転への切り替えである場合、ワイパ動作制御部321は、第2ワイパブレード21の第1拭き取り動作を開始する(ステップS420)。具体的には、ワイパ動作制御部321は、第2ワイパブレード21の拭き取り範囲を第2拭き取り範囲W2から第1拭き取り範囲(第2領域W1b)に変更する。したがって、第2ワイパブレード21は、自動運転から手動運転へ切り替わった際、まず、フロントガラス220における第1拭き取り範囲W1aおよびW1bの一部の範囲であって、車両の運転席の前方領域を含む拭き取り範囲W1bを拭き取ることとなる。また、ワイパ動作制御部321は、拭き取り速度を第1拭き取り動作の拭き取り速度に変更する。また、ワイパ動作制御部321は、間欠時間を第1拭き取り動作の間欠時間に変更する。ここで、自動運転から手動運転へ切り替えられた場合、第2拭き取り動作から第1拭き取り動作へと切り替えることとなるが、ワイパ動作制御部321は、第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21に同時に第1拭き取り動作を実行させるのではなく、第1ワイパブレード11よりも先に第2ワイパブレード21に第1拭き取り動作を実行させる。
【0061】
ステップS420の実行後、ワイパ動作制御部321は、第2ワイパブレード21が予め定められた位置に移動したか否かを判定する(ステップS430)。本実施形態において、「予め定められた位置」とは、第2上端位置TP2である。ワイパ動作制御部321は、センサ310の検出結果を利用して、第2ワイパブレード21が第2上端位置TP2に移動したか否かを判定する。第2ワイパブレード21が予め定められた位置に移動していないと判定された場合(ステップS430:NO)、ワイパ動作制御部321は、第2ワイパブレード21が予め定められた位置に移動したと判定されるまで、ステップS430を繰り返し実行する。このとき、第1ワイパブレード11は、第1上端位置TP1において停止した状態で待機している。
【0062】
他方、第2ワイパブレード21が予め定められた位置に移動したと判定された場合(ステップS430:YES)、ワイパ動作制御部321は、第1ワイパブレード11の停止を解除して、第1ワイパブレード11の拭き取り動作を開始する(ステップS440)。このとき、第1ワイパブレード11は第1上端位置TP1から、第2ワイパブレード21は第2上端位置TP2から、それぞれ拭き取り動作を開始するので、各ワイパブレード11、21を同期させることができる。
【0063】
ステップS440の実行後、ワイパ動作制御部321は、第1拭き取り動作を実行する(ステップS450)。ステップS450または上述のステップS410の実行後、切り替え処理は完了し、図4に示す上述のステップS100に戻る。
【0064】
図11では、自動運転から手動運転への切り替え時における第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21の位置の変化を示している。なお、図11では、ワイパ装置100のうち、第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21以外の構成要素の図示を省略している。車両が自動運転を実行中である場合、第2拭き取り動作が実行されているので、第1ワイパブレード11は位置P1(第1上端位置TP1)に停止しており、第2ワイパブレード21は第2拭き取り範囲W2の拭き取りを実行している。例えば、第2ワイパブレード21は、位置P2から位置P3に向かって拭き取りを実行している。
【0065】
上述のステップS420が実行されて、第2ワイパブレード21の拭き取り範囲が第2領域W1bに変更されると、第2ワイパブレード21は、第1端LPを超えて第2上端位置TP2までの範囲を拭き取る。第2ワイパブレード21が位置P4(すなわち第2上端位置TP2)に移動すると、上述のステップS430において、第2ワイパブレード21が予め定められた位置である第2上端位置TP2に移動したと判定される。その後、上述のステップS440が実行されると、第1ワイパブレード11の停止が解除されて、第1ワイパブレード11が拭き取り動作を開始する。その結果、第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21は、同期して第1拭き取り動作を実行することになり、第1ワイパブレード11は位置P5に、第2ワイパブレード21は位置P6に、それぞれほぼ同時に移動する。
【0066】
図4に示すように、ステップS160の実行後、上述のステップS100に戻る。また、上述のステップS150において、切り替え要求がないと判定された場合(ステップS150:NO)、上述のステップS160の実行後と同様に、上述のステップS100に戻る。
【0067】
以上の構成を有する第1実施形態におけるワイパ制御装置300によれば、車両が手動運転を実行中である場合、拭き取り動作として、第1拭き取り動作を実行し、車両が自動運転を実行中である場合、拭き取り動作として、第1拭き取り動作とは異なる第2拭き取り動作を実行するので、自動運転車両においてワイパ装置100を適切に制御できる。
【0068】
また、第2拭き取り範囲W2は、第1拭き取り範囲W1aおよびW1bに比べて狭いので、第2拭き取り動作に要する消費電力を第1拭き取り動作に要する消費電力に比べて小さくできる。加えて、第2拭き取り範囲W2は、撮像装置210の撮像方向の前方領域を含むので、自動運転を実行中である場合に撮像装置210の撮像方向の視界を確保することができるので、撮像装置210の画質低下を抑制できる。
【0069】
また、第2拭き取り動作において、第2拭き取り範囲W2における拭き取り方向に沿った第1端LPと第2端RPとにそれぞれ第2ワイパブレード21が位置する際に間欠時間を設けるので、第2端RPに第2ワイパブレード21が位置する際にのみ間欠時間を設ける構成に比べて、第2拭き取り動作に要する消費電力を低減できる。加えて、第2拭き取り動作における間欠時間は、第1拭き取り動作における間欠時間に比べて長いので、拭き取り動作に要する消費電力を低減できる。
【0070】
また、第2拭き取り動作として、複数のワイパブレードのうちの第1ワイパブレード11による拭き取り動作を停止させ、第2ワイパブレード21に第2拭き取り範囲の拭き取りを実行させるので、第1ワイパブレード11と第2ワイパブレード21とを同時に拭き取り動作を実行させる構成に比べて、拭き取り動作に要する消費電力を低減できる。
【0071】
加えて、車両が自動運転から手動運転に切り替わる際、第1ワイパブレード11に第1拭き取り動作を実行させるよりも前に、第2ワイパブレード21に第1拭き取り動作を実行させ、その後、第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21に第1拭き取り動作を実行させるので、第1拭き取り動作への移行を容易に実現できる。また、車両が自動運転から手動運転に切り替わる際、第1ワイパブレード11に第1拭き取り動作を実行させるよりも前に、第2ワイパブレード21にフロントガラス220における車両の運転席の前方領域を含む予め定められた拭き取り範囲W1bであって第1拭き取り範囲W1aおよびW1bの一部の拭き取りを実行させるので、車両の運転者の視界を先に確保することができ、車両の走行安全性の低下を抑制できる。
【0072】
加えて、車両が自動運転から手動運転に切り替わる際、第2ワイパブレード21が第2上端位置TP2に移動するまで第1ワイパブレード11を待機させ、第2ワイパブレード21が第2上端位置TP2に達したら、第1ワイパブレード11の第1拭き取り動作を開始するので、第1ワイパブレード11による拭き取り動作と第2ワイパブレード21による拭き取り動作とを同期させて実行でき、運転者に与える不快感を低減できる。
【0073】
ワイパ装置100は、第1上端位置TP1に第1ワイパブレード11を保持するための保持部48を有し、ワイパ動作制御部321は、第1ワイパブレード11が保持されていない状態から保持部48によって保持されている状態に切り替えられた後に、第2拭き取り動作を実行するので、第1ワイパブレード11を容易に停止させることができる。また、第1上端位置TP1に第1ワイパブレード11を停止させることにより、運転者の目前に停止中の第1ワイパブレード11が位置することを抑制でき、運転者に与える不快感を低減できる。
【0074】
また、第2拭き取り動作の実行中にフロントガラス220に付着物が付着した場合に、予め定められた時間の間、第2拭き取り範囲に比べて広い拭き取り範囲の拭き取りを実行させるので、付着物を容易に除去できる。
【0075】
B.第2実施形態:
図12に示す第2実施形態におけるワイパ制御装置300aは、連結部駆動回路312を省略する点と、第1モータ駆動回路311に代えて2つの第2モータ駆動回路311aおよび313を備える点において、図1に示す第1実施形態におけるワイパ制御装置300と異なる。また、第2実施形態におけるワイパ装置100aは、連結部60を省略する点と、2つのワイパモータ50を備える点とにおいて、図1に示すワイパ装置100と異なる。第2実施形態におけるワイパ制御装置300aおよびワイパ装置100aにおけるその他の構成は、第1実施形態のワイパ制御装置300およびワイパ装置100と同じであるので、同一の構成要素に同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0076】
第2実施形態におけるワイパ装置100aは、第1実施形態と同様に、第1ワイパブレード11と第2ワイパブレード21とがそれぞれ独立して拭き取り動作を実行可能に構成されている。ワイパ装置100aは、各ワイパ10、20をそれぞれ独立して動作させるために2つのワイパモータ50を備えている。第2モータ駆動回路311aには、第1ワイパブレード11を独立して動作させるための制御回路が搭載されている。第2モータ駆動回路313には、第2ワイパブレード21を独立して動作させるための制御回路が搭載されている。
【0077】
図13に示す第2モータ駆動回路311aおよび313は、ワイパモータ50と、マイクロコンピュータ320とに接続されている。第2モータ駆動回路311aおよび313は、第1リレーr1と、第2リレーr2と、第3リレーr3と、第4リレーr4とを有する。各リレーr1〜r4は、マイクロコンピュータ320(ワイパ動作制御部321)からの指示に応じて、各リレーr1〜r4のオンとオフとを切り替えることにより、ワイパモータ50の回転方向を切り替える。例えば、ワイパモータ50の端子taにプラス(+)の電圧が印加され、端子tbにマイナス(−)の電圧が印加されると、ワイパモータ50は正回転する。これとは逆に、端子taにマイナス(−)の電圧が印加され、端子tbにプラス(+)の電圧が印加されると、ワイパモータ50は逆回転する。したがって、第2リレーr2と第4リレーr4とがオンし、第1リレーr1と第3リレーr3とがオフの場合、ワイパモータ50は正回転し、第2リレーr2と第4リレーr4とがオフし、第1リレーr1と第3リレーr3とがオンの場合、ワイパモータ50は逆回転する。
【0078】
以上の構成を有する第2実施形態におけるワイパ制御装置300aによれば、リンク機構30に連結部60を備える必要がないため、従来のリンク機構30を利用することができ、ワイパ装置100aのコストの削減を図れる。
【0079】
C.第3実施形態:
第3実施形態におけるワイパ制御装置300は、図1に示す第1実施形態におけるワイパ制御装置300と同様であるため、その詳細な説明は省略する。第3実施形態におけるワイパ制御処理では、電源異常時におけるワイパ制御処理(以下、「電源異常時ワイパ制御処理」と呼ぶ)が実行される点において、第1実施形態におけるワイパ制御処理と異なる。電源異常時ワイパ制御処理は、ワイパ装置100に電力を供給するバッテリに電力異常が生じた際、ワイパ装置100による拭き取り動作を停止する制御を実行する処理である。なお、バッテリは車両に搭載されている。
【0080】
図14に示す電源異常時ワイパ制御処理は、第2拭き取り動作の開始と共に開始される。ワイパ動作制御部321は、異常情報を取得する(ステップS500)。具体的には、ワイパ動作制御部321は、車両に搭載されたバッテリの電圧を制御する図示しないECUからバッテリの異常情報を取得する。ステップS500の実行後、ワイパ動作制御部321は、電力情報を取得する(ステップS510)。具体的には、ワイパ動作制御部321は、ステップS500と同様に、図示しないECUからバッテリの残電力量(SOC:State Of Chage)およびバッテリの開放端電圧(OCV:Open Circuit Voltage)を取得する。
【0081】
ステップS510の実行後、ワイパ動作制御部321は、電源異常があるか否かを判定する(ステップS520)。具体的には、ワイパ動作制御部321は、ステップS500において取得した異常情報においてバッテリの異常状態を示すフラグを検出したか否かにより、電源異常があるか否かを判定する。電源異常があると判定された場合(ステップS520:YES)、ワイパ動作制御部321は、残電力量(SOC)が予め定められた閾値より小さいか否かを判定する(ステップS530)。本実施形態において、ステップS530の「予め定められた閾値」は、残電力量(SOC)が極めて少ない状態であることを示す値、例えば、第2ワイパブレード21による拭き取り動作がすぐにでも停止してしまう程度の残電力量(SOC)に相当する値に設定されている。
【0082】
残電力量(SOC)が予め定められた閾値より小さいと判定された場合(ステップS530:YES)、ワイパ動作制御部321は、第2ワイパブレード21の現在位置が撮像装置210の撮像方向の前方領域内であるか否かを判定する(ステップS540)。ワイパ動作制御部321は、センサ310の検出結果を利用して、出力軸32の回転角θから第2ワイパブレード21の位置を検出することにより、第2ワイパブレード21の現在位置が撮像装置210の撮像方向の前方領域内であるか否かを判定する。ステップS540を実行するのは、第2ワイパブレード21を撮像装置210の撮像方向の前方領域内で停止させてしまうと、撮像装置210の撮像画像に常に第2ワイパブレード21が映ることとなってしまうため、そのような状況を避ける意図である。
【0083】
第2ワイパブレード21の現在位置が撮像装置210の撮像方向の前方領域内でないと判定された場合(ステップS540:NO)、ワイパ動作制御部321は、第2ワイパブレード21を停止させる(ステップS560)。具体的には、ワイパ動作制御部321は、ワイパモータ50の駆動を停止させることにより、第2ワイパブレード21の拭き取り動作を停止させる。ステップS560の実行後、上述のステップS500に戻る。
【0084】
上述のステップS540において、第2ワイパブレード21が撮像装置210の撮像方向の前方領域内であると判定された場合(ステップS540:YES)、ワイパ動作制御部321は、車両に搭載された異常時用バッテリからの給電を受けて第2ワイパブレード21による拭き取り動作を継続する(ステップS550)。ステップS550の実行後、上述のステップS540に戻る。そして、第2ワイパブレード21が撮像装置210の撮像方向の前方領域内でないと判定されるまで、上述のステップS540およびステップS550が実行される。
【0085】
上述のステップS520において、電源異常がないと判定された場合(ステップS520:NO)、上述のステップS500に戻る。また、上述のステップS530において、残電力量が予め定められた閾値よりも小さくないと判定された場合(ステップS530:NO)、上述のステップS500に戻る。
【0086】
以上の構成を有する第3実施形態におけるワイパ制御装置300によれば、第2拭き取り動作を実行中である場合に、車両に搭載されたバッテリの電力異常が生じた際、撮像装置210の撮像方向の前方領域内とは異なる位置に第2ワイパブレード21を停止させるので、撮像装置210の視界を確保することができ、撮像装置210で得られる撮像画像の画質低下を抑制できる。また、バッテリの電力異常が生じた際に拭き取り動作を停止させるので、拭き取り動作に要する消費電力を低減させて、バッテリの残電力量の低下を抑制できる。
【0087】
D.他の実施形態:
D1.他の実施形態1:
上記各実施形態において、ステップS210で設定する第2拭き取り範囲W2は、第2領域W1bのうち第1端LPと第2端RPとに囲まれる領域であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2拭き取り範囲は、第2領域W1bに設定してもよい。この構成においても、第2拭き取り範囲は、第1拭き取り範囲である第1領域W1aおよび第2領域W1bをあわせた領域よりも小さい。このような構成においても、上記各実施形態と同様な効果を奏する。加えて、車両が自動運転を実行中においても、フロントガラス220における車両の運転席の前方領域を含む領域を拭き取るので、自動運転から手動運転に切り替えた直後であっても、運転者は、容易に車両の前方の状況を知ることができる。
【0088】
D2.他の実施形態2:
上記各実施形態において、第2拭き取り動作における間欠時間は、第2ワイパブレード21が第1端LPと第2端RPとのそれぞれの位置に位置する際に設けられていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2ワイパブレード21が第2端RPに位置する際にのみ設けられてもよい。この構成では、第2ワイパブレード21が第1端LPと第2端RPとのそれぞれの位置に位置する際に間欠時間を設ける構成に比べて、間欠時間を長く設定してもよい。このような構成においても、上記各実施形態と同様な効果を奏する。
【0089】
D3.他の実施形態3:
上記各実施形態において、ワイパ制御装置300および300aは、フロントガラス220を拭き取るためのワイパ装置100の拭き取り動作を制御していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ワイパ制御装置300および300aは、リアウィンドウを拭き取るためのワイパ装置の拭き取り動作を制御してもよい。また、例えば、ワイパ制御装置300および300aは、サイドミラーを拭き取るためのワイパ装置の拭き取り動作を制御してもよい。このような構成においても、上記各実施形態と同様な効果を奏する。
【0090】
D4.他の実施形態4:
上記各実施形態において、ワイパ装置100および100aは、2つのワイパブレードを備えていたが、2つに限らず任意の数のワイパブレードを備えていてもよい。このような構成においても、上記各実施形態と同様な効果を奏する。
【0091】
D5.他の実施形態5:
上記各実施形態において、ワイパ装置100および100aは、パラレル方式のワイパ装置であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、オーバーラップ方式のワイパ装置であってもよい。このような構成においても、上記各実施形態と同様な効果を奏する。
【0092】
D6.他の実施形態6:
上記各実施形態において、撮像装置210は、フロントガラス220の上方側であって水平方向に沿った略中央に搭載されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、フロントガラス220の運転席側の上方部分に設けられていてもよい。また、例えば、ワイパ装置100がリアウィンドウを拭き取るためのワイパ装置である構成においては、撮像装置は、リアウィンドウの上方側であって水平方向に沿った略中央に設けられていてもよい。このような構成においても、上記各実施形態と同様な効果を奏する。
【0093】
D7.他の実施形態7:
上記各実施形態において、第2拭き取り動作を実行中に第1ワイパブレード11を第1上端位置TP1に停止させていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2ワイパブレード21の拭き取り動作の妨げにならない任意の位置に停止させてもよい。具体的には、第1領域W1a内のうち第2拭き取り範囲W2と重複しない任意の位置に停止させてもよい。例えば、第1下端位置BP1の位置に停止させてもよい。また、例えば、第1上端位置TP1よりもさらに外側(拭き取り方向と反対側)の位置に停止させてもよい。このような構成においても、上記各実施形態と同様な効果を奏する。
【0094】
D8.他の実施形態8:
上記第1実施形態において、連結部60は、第1リンクロッド46において第2ピボットレバー38と連結して設けられていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、連結部60は、第1リンクロッド46の略中央部近傍に設けられてもよい。この構成では、第1ワイパブレード11を停止させる前に第1リンクロッド46と第2リンクロッド36との連結を切り離すことにより、第1ワイパ10と第2ワイパ20とを独立して動作させることができる。
【0095】
D9.他の実施形態9:
上記各実施形態において、保持部48による第1ワイパブレード11の停止は、第1ワイパアーム12に凹部を設け、かかる凹部に保持部48の突出部48bを嵌めこむことにより、第1ワイパブレード11を保持してもよい。このような構成においても、上記各実施形態と同様な効果を奏する。
【0096】
D10.他の実施形態10:
上記第1実施形態において、自動運転から手動運転に切り替えられる際、第1ワイパブレード11が第1拭き取り動作を開始するタイミングは、第2ワイパブレード21が第2上端位置TP2に位置したタイミングであったが、本発明はこれに限定されない。第1ワイパブレード11が第1拭き取り動作を開始するタイミングは、手動運転の際に第1ワイパブレード11の現在位置に対応する第2ワイパブレード21の位置に第2ワイパブレード21が達したタイミングであればよく、例えば、上述の他の実施形態7のように、第1ワイパブレード11を任意の位置に停止させた場合、第1ワイパブレード11と第2ワイパブレード21とを連動して動作させるために適した位置に第2ワイパブレード21が移動した際に、第1ワイパブレード11の第1拭き取り動作を開始してもよい。上述の「適した位置」について図15を用いて具体的に説明する。
【0097】
図15では、図11と同様に、自動運転から手動運転への切り替え処理の実行中における第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21の位置の変化を示している。また、図15では、図11と同様に、ワイパ装置100のうち、第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21以外の構成要素の図示を省略している。車両が自動運転を実行中である場合、第2拭き取り動作が実行されているので、第1ワイパブレード11は位置P7(第1上端位置TP1)に停止しており、第2ワイパブレード21は第2拭き取り範囲W2の拭き取りを実行している。例えば、第2ワイパブレード21は、位置P8から位置P9に向かって拭き取りを実行している。
【0098】
自動運転から手動運転に切り替えられると、ワイパ動作制御部321は、第1ワイパブレード11の停止を解除して、位置P10に第1ワイパブレード11を移動させる。その後、第2ワイパブレード21が位置P9から位置P11に移動した際に、第1ワイパブレード11の第1拭き取り動作を開始させる。その結果、第1ワイパブレード11と第2ワイパブレード21とは連動して拭き取り動作を実行し、第1ワイパブレード11は位置P12に向かって拭き取り動作を実行し、第2ワイパブレード21は位置P13に向かって拭き取り動作を実行する。このような構成においても、上記第1実施形態と同様な効果を奏する。
【0099】
D11.他の実施形態11:
上記他の実施形態10において、第1ワイパブレード11と第2ワイパブレード21とを連動して動作させるために適した位置は、図15に示す位置P11に限られない。
【0100】
図16では、図15と同様に、自動運転から手動運転への切り替え処理の実行中における第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21の位置の変化を示している。また、図16では、図15と同様に、ワイパ装置100のうち、第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21以外の構成要素の図示を省略している。図16に示す例では、第2拭き取り動作を実行中において、第1ワイパブレード11は、第1下端位置BP1(図16に示す位置P14)に停止している。このとき、第2ワイパブレード21は、第2拭き取り範囲W2の拭き取り動作を実行中であり、位置P15から第2端RPに向かって拭き取り動作を実行している。
【0101】
自動運転から手動運転に切り替えられると、ワイパ動作制御部321は、第1ワイパブレード11の停止を解除して、位置P16に第1ワイパブレード11を移動させる。このとき、ワイパ動作制御部321は、第2ワイパブレード21を位置P15から位置P17へ移動させ、第1ワイパブレード11と第2ワイパブレード21とは互いに交差しない。第2ワイパブレード21が位置P17に移動した際に、ワイパ動作制御部321は、第1ワイパブレード11の第1拭き取り動作を開始させる。その結果、第1ワイパブレード11と第2ワイパブレード21とは連動して拭き取り動作を実行し、第1ワイパブレード11は位置P18に向かって拭き取り動作を実行し、第2ワイパブレード21は位置P19に向かって拭き取り動作を実行する。このような構成においても、上記他の実施形態10と同様な効果を奏する。
【0102】
D12.他の実施形態12:
上記他の実施形態11において、第1ワイパブレード11と第2ワイパブレード21とを連動して動作させるために適した位置は、図16に示す位置P17に限られない。
【0103】
図17では、図16と同様に、自動運転から手動運転への切り替え処理の実行中における第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21の位置の変化を示している。また、図17では、図16と同様に、ワイパ装置100のうち、第1ワイパブレード11および第2ワイパブレード21以外の構成要素の図示を省略している。図17に示す例では、第2拭き取り動作を実行中において、第1ワイパブレード11は、第1下端位置BP1(図17に示す位置P20)に停止している。このとき、第2ワイパブレード21は、第2拭き取り範囲W2の拭き取り動作を実行中であり、位置P21から位置P22に向かって拭き取り動作を実行している。
【0104】
自動運転から手動運転に切り替えられると、ワイパ動作制御部321は、第1ワイパブレード11の停止を解除する。このとき、第1ワイパブレード11を位置P20から移動させない。その後、第2ワイパブレード21は、位置P22から第1端LPまでの拭き取り動作を実行し、第1端LPにおいて拭き取り方向を反転させて、第1端LPから第2下端位置BP2に向かって拭き取り動作を実行する。そして、第2ワイパブレード21が位置P23に移動した際に、ワイパ動作制御部321は、第1ワイパブレード11と第2ワイパブレード21とを連動して動作させる。その結果、第1ワイパブレード11は位置P24に向かって拭き取り動作を実行し、第2ワイパブレード21は位置P25に向かって拭き取り動作を実行する。このような構成においても、上記他の実施形態11と同様な効果を奏する。
【0105】
D13.他の実施形態13:
上記各実施形態および各他の実施形態において、ワイパ動作制御部321は、拭き取り範囲と拭き取り速度と間欠時間とのいずれも調整して拭き取り動作を制御していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ワイパ動作制御部321は、拭き取り範囲と拭き取り速度とを調整して拭き取り動作を制御してもよい。また、例えば、拭き取り範囲のみを調整して拭き取り動作を制御してもよい。すなわち、一般には、拭き取り範囲と、拭き取り速度と、間欠時間と、のうちの少なくとも一つを調整してワイパ装置の拭き取り動作を制御する構成であれば、上記各実施形態および各他の実施形態と同様な効果を奏する。
【0106】
D14.他の実施形態14:
上記各実施形態において、第2拭き取り動作の実行中に車両を洗車させる場合において、第1ワイパブレード11を第1上端位置TP1に停止させなくてもよい。この場合、第1ワイパブレード11を第1下端位置BP1に停止させてもよい。また、かかる場合において、第2ワイパブレード21を第2拭き取り範囲W2内に停止させなくてもよい。この場合、第2ワイパブレード21を第2下端位置BP2に停止させてもよい。このような車両を洗車させる状況に限らず、第1ワイパブレード11を第1上端位置TP1に停止させることにより第1ワイパブレード11に故障が生じると考えられる任意の状況においては、第1ワイパブレード11を第1領域W1a内のうち第2拭き取り範囲W2と重複しない任意の位置に停止させてもよい。また、第2ワイパブレード21を第1端LP、第2端RP等の第2拭き取り範囲W2内に停止させることにより第2ワイパブレード21に故障が生じると考えられる任意の状況においては、第2ワイパブレード21を第2下端位置BP2に停止させてもよい。このような構成においても、各実施形態と同様な効果を奏する。
【0107】
D15.他の実施形態15:
各実施形態および各他の実施形態において、ソフトウェアによって実現された機能及び処理の一部又は全部は、ハードウェアによって実現されてもよい。また、ハードウェアによって実現された機能及び処理の一部又は全部は、ソフトウェアによって実現されてもよい。ハードウェアとしては、例えば、集積回路、ディスクリート回路、または、それらの回路を組み合わせた回路モジュールなど、各種回路を用いてもよい。また、本発明の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。すなわち、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、データパケットを一時的ではなく固定可能な任意の記録媒体を含む広い意味を有している。
【0108】
D16.他の実施形態16:
上記第1実施形態における付着物除去処理において、付着物を検出した場合に第2拭き取り範囲W2を広げていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、付着物を検出しない場合であっても、第2拭き取り範囲W2を広げてもよい。この構成では、例えば、第2拭き取り動作を実行中の所定の時間ごとに第2拭き取り範囲W2を広げてもよい。また、例えば、検出された降雪量に応じて第2拭き取り範囲W2を広げる時間間隔を変更してもよい。具体的には、降雪量が予め定められた量よりも少ない場合、第2拭き取り範囲W2を広げる間隔を、第2ワイパブレード21の10回の拭き取り動作のうちの1回とし、降雪量が予め定められた量よりも多い場合、第2拭き取り範囲W2を広げる間隔を、第2ワイパブレード21の2回の拭き取り動作のうちの1回としてもよい。なお、第2拭き取り範囲W2を広げる時間間隔の例は、上述の例に限らず任意の時間間隔としてもよい。このような構成においても、上記第1実施形態と同様な効果を奏する。
【0109】
D17.他の実施形態17:
上記第1実施形態において、第2拭き取り動作は、第1ワイパブレード11が保持されていない状態から保持部48によって保持されている状態に切り替えられた後に開始していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2実施形態において、第1ワイパブレード11が第1下端位置BP1から第1上端位置TP1に向かって移動するとともに、第2ワイパブレード21が第2下端位置BP2から第2上端位置TP2に向かって移動している際に、手動運転から自動運転への切り替えが行われた場合、第1ワイパブレード11が第1上端位置TP1に達する前に第2ワイパブレード21の第2拭き取り動作を開始してもよい。このとき、第2ワイパブレード21は、手動運転から自動運転への切り替えが行われた際の位置から第1端LPまでの拭き取り動作を行い、第1端LPにおいて拭き取り方向を反転させて、第1端LPから第2端RPへの拭き取り動作を行ってもよい。このような構成においても、上記第1実施形態と同様な効果を奏する。
【0110】
本発明は、上述の実施形態および他の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、他の実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0111】
100…ワイパ装置、100a…ワイパ装置、210…撮像装置、300…ワイパ制御装置、300a…ワイパ制御装置、321…ワイパ動作制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17