(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0018】
<第1の実施の形態>
[画像形成装置100]
図1を参照して、第1の実施の形態に従う画像形成装置100について説明する。
図1は、画像形成装置100の装置構成の一例を示す図である。
【0019】
図1には、カラープリンタとしての画像形成装置100が示されている。以下では、カラープリンタとしての画像形成装置100について説明するが、画像形成装置100は、カラープリンタに限定されない。たとえば、画像形成装置100は、モノクロプリンタであってもよいし、モノクロプリンタ、カラープリンタおよびFAXの複合機(所謂MFP)であってもよい。
【0020】
画像形成装置100は、スキャナー20と、プリンター50とで構成されている。スキャナー20は、カバー21と、用紙台22と、トレー23と、ADF(Auto Document Feeder)24とで構成されている。カバー21の一端は、用紙台22に固定されており、カバー21は、当該一端を支点として開閉可能に構成されている。画像形成装置100のユーザーは、カバー21を開くことで、用紙Sを用紙台22にセットすることができる。画像形成装置100は、用紙Sが用紙台22にセットされた状態でスキャン指示を受け付けると、用紙台22にセットされた用紙Sのスキャンを開始する。また、画像形成装置100は、用紙Sがトレー23にセットされた状態でスキャン指示を受け付けると、用紙Sは、ADF24によって1枚ずつ自動的に読み取られる。
【0021】
プリンター50は、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kと、中間転写ベルト30と、一次転写ローラー31と、二次転写ローラー33と、カセット37A〜37Cと、従動ローラー38と、駆動ローラー39と、タイミングローラー40と、定着装置47と、制御装置101とを備える。
【0022】
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト30に沿って順に並べられている。画像形成ユニット1Yは、トナーボトル15Yからトナーの供給を受けてイエロー(Y)のトナー像を形成する。画像形成ユニット1Mは、トナーボトル15Mからトナーの供給を受けてマゼンタ(M)のトナー像を形成する。画像形成ユニット1Cは、トナーボトル15Cからトナーの供給を受けてシアン(C)のトナー像を形成する。画像形成ユニット1Kは、トナーボトル15Kからトナーの供給を受けてブラック(BK)のトナー像を形成する。
【0023】
画像形成ユニット1Yは、感光体10Yと、帯電装置11Yと、光源322Yと、現像装置13Yと、クリーニング装置17Yとを含む。画像形成ユニット1Mは、感光体10Mと、帯電装置11Mと、光源322Mと、現像装置13Mと、クリーニング装置17Mとを含む。画像形成ユニット1Cは、感光体10Cと、帯電装置11Cと、光源322Cと、現像装置13Cと、クリーニング装置17Cとを含む。画像形成ユニット1Kは、感光体10Kと、帯電装置11Kと、光源322Kと、現像装置13Kと、クリーニング装置17Kとを含む。
【0024】
以下では、感光体10Y,10M,10C,10Kを総称して感光体10ともいう。帯電装置11Y,11M,11C,11Kを総称して帯電装置11ともいう。光源322Y,322M,322C,322Kを総称して光源322ともいう。現像装置13Y,13M,13C,13Kを総称して現像装置13ともいう。クリーニング装置17Y,17M,17C,17Kを総称してクリーニング装置17ともいう。
【0025】
帯電装置11は、感光体10の表面を一様に帯電する。光源322は、制御装置101からの制御信号に応じて感光体10にレーザー光を照射し、入力された画像パターンに従って感光体10の表面を露光する。これにより、入力画像に応じた静電潜像が感光体10上に形成される。光源322は、プリントヘッド300に設けられている。プリントヘッド300の詳細については後述する。
【0026】
現像装置13は、現像ローラー14を回転させながら、現像ローラー14に現像バイアスを印加し、現像ローラー14の表面にトナーを付着させる。これにより、トナーが現像ローラー14から感光体10に転写され、静電潜像に応じたトナー像が感光体10の表面に現像される。
【0027】
感光体10と中間転写ベルト30とは、一次転写ローラー31を設けている部分で互いに接触している。トナー像と反対極性の転写電圧が一次転写ローラー31に印加されることによって、トナー像が感光体10から中間転写ベルト30に転写される。イエロー(Y)のトナー像、マゼンタ(M)のトナー像、シアン(C)のトナー像、およびブラック(BK)のトナー像が順に重ねられて感光体10から中間転写ベルト30に転写される。これにより、カラーのトナー像が中間転写ベルト30上に形成される。
【0028】
中間転写ベルト30は、従動ローラー38および駆動ローラー39に張架されている。駆動ローラー39は、モーター(図示しない)によって回転駆動される。中間転写ベルト30および従動ローラー38は、駆動ローラー39に連動して回転する。これにより、中間転写ベルト30上のトナー像が二次転写ローラー33に搬送される。
【0029】
クリーニング装置17は、感光体10に圧接されている。クリーニング装置17は、トナー像の転写後に感光体10の表面に残留するトナーを回収する。
【0030】
カセット37A〜37Cには、それぞれ、異なるサイズの用紙Sがセットされる。以下では、カセット37A〜37Cを総称してカセット37ともいう。用紙Sは、タイミングローラー40によってカセット37Cから1枚ずつ搬送経路41に沿って二次転写ローラー33に送られる。二次転写ローラー33は、トナー像と反対極性の転写電圧を搬送中の用紙Sに印加する。これにより、トナー像は、中間転写ベルト30から二次転写ローラー33に引き付けられ、中間転写ベルト30上のトナー像が転写される。二次転写ローラー33への用紙Sの搬送タイミングは、中間転写ベルト30上のトナー像の位置に合わせてタイミングローラー40によって調整される。タイミングローラー40により、中間転写ベルト30上のトナー像は、用紙Sの適切な位置に転写される。
【0031】
定着装置47は、自身を通過する用紙Sを加圧および加熱する。これにより、トナー像は用紙Sに定着する。その後、用紙Sは、トレー48に排紙される。
【0032】
[プリントヘッド300]
図2および
図3を参照して、
図1に示されるプリントヘッド300の内部構造について説明する。
図2は、プリントヘッド300の内部構造を表わす正面図である。
図3は、プリントヘッド300の内部構造を表わす平面図である。
【0033】
図2および
図3に示されるように、プリントヘッド300は、光源322Y,322M,322C,322Kと、コリメータレンズ310Y,310M,310C,310Kと、ミラー311Y,311M,311C,311Kと、ミラー312と、ポリゴンミラー313と、モーター314と、fθレンズ316と、ミラー318Y,318M,318C,318Kと、ミラー319Y,319M,319Cと、ミラー315と、光センサ321とを含む。
【0034】
理解を容易にするために、
図3においては、
図2に示されるミラー318Y,318M,318Cと、ミラー319Y,319M,319Cとの図示は繰り返さない。以下では、光源322Kから照射されるレーザー光に注目して、レーザー光の経路について説明する。
【0035】
光源322Kから照射されたレーザー光は、コリメータレンズ310Kによって集光され、ミラー311Kに照射される。ミラー311Kは、コリメータレンズ310Kを通過したレーザー光をミラー312に反射する。ミラー312は、当該レーザー光をポリゴンミラー313に反射する。
【0036】
回転多面鏡としてのポリゴンミラー313は、角柱形状(たとえば、六角柱)を有する。ポリゴンミラー313の側面は、ミラーで構成されている。ポリゴンミラー313は、モーター314によって回転駆動される。ポリゴンミラー313は、回転しながらレーザー光を反射することで、レーザー光の反射方向を規則的に変える。ポリゴンミラー313は、回転しながら、レーザー光をfθレンズ316に反射する。fθレンズ316を通過したレーザー光は、ミラー318によって感光体10K(
図1参照)に反射される。
【0037】
画像形成装置100は、ポリゴンミラー313を回転しつつ、感光体10Kを回転させすることで、ポリゴンミラー313によって反射されたレーザー光を感光体10K上で走査させる。このとき、ポリゴンミラー313の1面分のミラーで感光体10Kの主走査方向の1ラインが走査される。主走査方向とは、感光体10の回転軸の方向を示す。ポリゴンミラー313が6面のミラーで構成される場合には、ポリゴンミラー313が1回転することで、感光体10Kの主走査方向の6ラインが走査される。画像形成装置100は、入力された画像パターンに従って、光源322Kのオン/オフを切り替えることで、感光体10K上の任意の位置を露光する。これにより、入力画像を表わす静電潜像が感光体10K上に形成される。
【0038】
同様に、光源322Yから照射されるレーザー光は、ポリゴンミラー313によって感光体10Y上に反射される。光源322Mから照射されるレーザー光は、ポリゴンミラー313によって感光体10M上に反射される。光源322Cから照射されるレーザー光は、ポリゴンミラー313によって感光体10C上に反射される。ミラー311Y,311M,311C,311Kが段差を設けて設置されることにより、光源322Y,322M,322C,322Kから照射されるレーザー光は、それぞれ、感光体10Y,10M,10C,10Kに反射される。
【0039】
感光体10Y,10M,10C,10Kは、円柱形状をしており、円周方向に回転可能に構成されている。ここで、
図2に示すように、円柱形状の長さ方向を主走査方向、円周方向を副走査方向とする。副走査方向は、用紙Sの搬送方向に対応する。画像形成装置100は、用紙Sに形成する画像の倍率を拡大または縮小する場合に、副走査方向の倍率を設定する。この副走査方向の倍率を副走査倍率という。
【0040】
図4は、ポリゴンミラー313の回転数と副走査倍率の変化率について示す図である。
図4に示すように、本実施形態に係る画像形成装置100は、ポリゴンミラー313の回転速度として15段階の設定が可能となっている。ポリゴンモーターの回転速度は、副走査方向の倍率に対応している。すなわち、形成対象の画像を、副走査方向(用紙の通紙方向)に拡大または縮小する場合に、ポリゴンミラー313の回転速度が変更される。副走査方向の倍率としては、本実施の形態では、1.4%から−1.4%まで変化させることができる。
【0041】
光源322から照射されるレーザー光の一部は、ミラー315によって光センサ321に導かれる。光センサ321は、ミラー315からの反射光を受けることで、主走査方向(感光体10の回転軸方向)の露光タイミングを制御する際の基準信号となる同期信号(すなわち、SOS(Start Of Scan)信号)を出力する。プリントヘッド300は、当該同期信号を用いて、主走査方向における光源322の各々の発光を同期させる。
【0042】
[ハードウェア構成]
図5を参照して、画像形成装置100のハードウェア構成の一例について説明する。
図5は、画像形成装置100の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
【0043】
図5に示すように、画像形成装置100は、制御装置101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、通信インターフェイス104と、操作パネル105と、スキャナー20と、画像形成部90と、記憶装置120と、プリントヘッド300とを備える。
【0044】
制御装置101は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
【0045】
制御装置101は、画像形成装置100の制御パラメータを調整するためのプログラム122などの各種プログラムを実行することで画像形成装置100の動作を制御する。制御装置101は、プログラム122の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置120からRAM103にプログラム122を読み出す。RAM103は、ワーキングメモリとして機能し、プログラム122の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0046】
通信インターフェイス104には、アンテナ(図示しない)などが接続される。画像形成装置100は、アンテナを介して、外部の通信機器との間でデータをやり取りする。外部の通信機器は、たとえば、スマートフォンなどの携帯通信端末、サーバーなどを含む。画像形成装置100は、プログラム122をアンテナを介してサーバーからダウンロードできるように構成されてもよい。
【0047】
操作パネル105は、ディスプレイとタッチパネルとで構成されている。ディスプレイおよびタッチパネルは互いに重ねられており、画像形成装置100に対する操作をタッチ操作で受け付ける。一例として、操作パネル105は、制御パラメータの調整処理を実行するための操作などを受け付ける。
【0048】
記憶装置120は、たとえば、ハードディスクや外付けの記憶装置などの記憶媒体である。記憶装置120は、本実施の形態に従うプログラム122などを格納する。ただし、プログラム122の格納場所は記憶装置120に限定されず、制御装置101の記憶領域(たとえば、キャッシュなど)、ROM102、RAM103、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0049】
プログラム122は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従うプログラム122の趣旨を逸脱するものではない。
【0050】
プリントヘッド300は、制御装置301と、記憶装置320と、光源322とを含む。制御装置301は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。制御装置301は、所定周期でカウント値Cをカウントアップするカウンター(基準クロック)99を有する。記憶装置320は、カウンター99によるカウント値Cと光源322の出力光量の補正量との関係を規定している制御情報Dを格納する
[露光におけるレーザー光の照射光量]
図6および
図7を参照して、露光におけるレーザー光の照射光量について説明する。
図6は、感光体上の各位置における露光光量を示す図である。
図7は、制御情報Dの一例を示す図である。
【0051】
図6において、横軸は、感光体10上の主走査方向(回転軸方向)の位置を示している。ここで、感光体10の主走査方向の中央を主走査位置0とし、主走査方向の端部に向かって、プラス方向およびマイナス方向を規定している。すなわち、プラス160mmの位置が、感光体10端部の露光が開始される位置であり、マイナス160mmの位置が、感光体10端部の露光が終了する位置を示す。
【0052】
光源から基準となる一定の光量のレーザー光を出力すると、ポリゴンミラー313で反射された後に透過するfθレンズ316やミラー318、219などの光学特性によって、感光体10上の露光光量に光量ムラが発生する。
図6の縦軸は、この光量ムラを基準光量に対する割合を示している。
【0053】
上記光量ムラを低減するため、制御装置301は、光源322からの出力光量を補正する。そのために、感光体10上の任意の位置が、補正位置として決定される。まず、制御装置301の備えるカウンターの周期単位で91箇所の候補点が設定される。ここで、隣接する各候補点同士の間隔(以下、候補点間隔という)は、ポリゴンミラー313の回転速度に比例する量である。すなわち、上述したとおり、副走査倍率の設定によりポリゴンミラーの回転速度は変化するため、候補点間隔も変化する。例えば、本実施形態では、副走査倍率0の時に、候補点間隔は3.5mmとなっている。このようにして、91箇所の補正候補点が設定されると、その内から任意の箇所、補正点として決定される。
【0054】
補正点の決定の一例として、
図7に示すように、露光の開始であるSOS信号が検出してから、5カウントされたタイミングに露光されている位置が、1つ目の補正位置となる。そして、1つめの補正位置から、基準クロックのカウント値Cが2カウントされたタイミングに露光されている位置が、2つ目の補正位置となる。このようにして、30か所の補正光照射位置がカウンターのカウント値Cによって規定される。
【0055】
補正点の位置が決定されると、各補正点に対して初期光量が対応付けられる(
図6参照)。そして、各補正点における初期光量の逆数を算出され、各補正点について、補正光量と初期主走査位置とを掛け合わせて、光源における出力光量が決定される。このようにして副走査倍率が0の場合において算出された各補正点の補正位置、補正光量、出力光量との関係が制御情報D(
図7)として記憶装置320に格納される。制御装置301は、記憶装置320に格納されている制御情報Dを参照して、光源322からの出力光量を制御する。
【0056】
[副走査倍率変更の補正位置への影響]
図8および
図9を参照して、副走査倍率を変更した場合の補正位置への影響について説明する。
図8は、副走査倍率を変更した場合における、補正位置の変化を示す図である。
図9は、副走査倍率の変更前後における補正点と露光光量との関係を示す図である。
【0057】
図8に示すように、副走査倍率7の場合では、ポリゴンミラー313の回転速度が副走査倍率0の場合に比べて遅くなるため、上述の候補点間隔が短くなる。具体的には、本実施形態では、副走査倍率7の場合、基準速度である副走査倍率0の場合に比べて候補点間隔が1.4%短くなり、3.45mmとなる。そのため、
図9に示すように、各補正点についての補正位置が、露光開始位置側(
図9における左方向)へ移動することとなる。ここで、露光開始位置から遠い補正点ほど、設定速度の前後におけるズレ量が大きくなる。このように補正点がずれると、補正光量と初期光量との関係がずれるため、感光体10を正しく露光することができなくなる。よって、補正位置と補正光量との関係を規定した制御情報Dを修正する必要がある。
【0058】
[制御情報の修正処理]
図10を参照して、制御情報の修正処理における機能を説明する。
図10は、制御情報の修正処理における機能ブロック図である。
【0059】
図10に示すように、露光開始の指示を受けると、制御装置301は、記憶装置320から制御情報Dを取得する。そして、制御装置301は、ポリゴンミラー313の設定速度が、副走査倍率0であるときの基準速度と同じかどうかを判定する。制御装置301は、設定速度が基準速度と異なる場合、ポリゴンミラー313の回転速度の変更前後において、感光体10の各位置における受光量が変動しないように、制御情報Dに規定されているカウント値Cと補正量との関係を修正する。
【0060】
図11および
図12を参照して、制御情報の修正について具体的に説明する。
図11は、制御情報の修正に伴う補正位置の変更を示す図である。
図12は、制御情報を修正した場合における補正位置と露光光量との関係を示す図である。
【0061】
まず、制御装置301は、制御情報Dに規定されているカウント値Cに基づいて、ポリゴンミラー313を副走査倍率0であるときの基準速度で回転させた場合における補正する位置を基準位置としてカウント値Cごとに算出する。この算出された基準位置が、
図11におけるA列である。次に、制御装置301は、制御情報Dに規定されているカウント値Cに基づいて、ポリゴンミラー313を副走査倍率7であるときの変更後の回転速度で回転させた場合における補正する位置を補正位置としてカウント値Cごとに算出する。この算出された補正位置が
図11におけるB列である。そして、制御装置301は、各補正点ごとに補正位置と基準位置との差(ズレ量)を算出する。この差が、
図11におけるC列である。
【0062】
次に、制御装置301は、同一のカウント値Cから算出された基準位置と補正位置との差が所定値以上である場合に、当該補正位置についての制御情報を修正する。本実施形態では、ズレ量の絶対値が回転速度変更後の候補点間隔(3.45mm)の1/2以上のときに、修正対象とする。
図11に示す例では、補正点11におけるズレ量の絶対値が1.8mmのため、制御装置301は、補正点11に対応するカウント値Cを4から5へ修正する。これにより、
図11に示すように、補正点12以降もすべて1カウント分ずつずらされることとなる。制御装置は、当該修正後の制御情報を用いて、光源322の出力制御を行う。
【0063】
[カウント値の修正]
ここで、修正対象となった補正位置についてのカウント値の修正について説明する。修正後のカウント値は、例えば、以下の式で算出される。
【0064】
修正対象補正点の修正後のカウント数=(修正対象補正点の主走査位置(mm)÷ 副走査倍率変更後の候補点間隔(mm))−(修正対象の1つ前の補正点の主走査位置(mm)÷ 副走査倍率変更後の候補点間隔(mm))(小数点以下は小数点第1位を四捨五入)
このようにすることで、制御装置301は、副走査倍率変更後の補正点間の間隔が、当該副走査倍率における候補点で何カウントされるかを算出することができ、より適切なタイミングで補正を行うようにカウント値を修正することができる。
【0065】
図12に示すように、上記修正により、補正点11以降の補正点はすべて候補点1つ分右側へ修正される。その結果、副走査倍率0の場合の補正点に近くなるように修正される。これにより、感光体10を適切な光量で露光することが可能となる。
【0066】
[処理手順]
図13を参照して、制御情報の修正処理の手順を説明する。
図13は、制御情報の修正処理のフローチャート図である。
【0067】
ステップS401において、制御装置301は、記憶装置320から、制御情報Dを取得する。制御装置301は、制御を、ステップS402に切り替える。
【0068】
ステップS402において、制御装置301は、ポリゴンミラーの設定速度が、基準速度と等しいかどうかを判定する。ポリゴンミラーの設定速度が基準速度と等しい場合(ステップS402においてYES)、制御装置301は、制御をステップS403へ切り替える。そうでない場合(ステップS402においてNO)、制御装置301は、制御をステップS404に切り替える。
【0069】
ステップS403において、制御装置301は、制御情報Dを露光時の光量制御情報として設定する。制御装置301は、制御情報の修正処理を終了し、露光を開始する。
【0070】
一方、ステップS404において、制御装置301は、所定の条件を満たす修正対象の補正点を決定する。制御装置301は、制御をステップS405に切り替える。
【0071】
ステップS405において、制御装置301は、制御情報Dを修正する。制御装置301は、制御をステップS406へ切り替える。
【0072】
ステップS406において、制御装置301は、修正後の制御情報D′を露光時の光量制御情報として設定する。制御装置301は、制御情報の修正処理を終了し、露光を開始する。
【0073】
以上のようにして、本実施の形態では、ポリゴンミラー313の回転速度の変更前後において、感光体10の表面の各位置における受光量が変動しないように、制御情報Dに規定されているカウント値と補正量との関係を修正する。これにより、ポリゴンミラーの回転速度が変更した場合でも、カウンターの周期を変更することなく、感光体10の露光光量の補正を適切に行うことができる。
【0074】
<第2の実施の形態>
[概要]
第2の実施の形態では、制御情報Dを修正するための所定条件における閾値が、第1の実施の形態と異なる。なお、本実施形態にかかる画像形成装置は、前述の実施の形態に係る画像形成装置100が備える構成と同様の構成によって実現される。したがって、それらの構成は繰り返さない。
【0075】
[詳細]
図14および
図15を参照して、第2の実施の形態に係る制御情報Dの修正について説明する。
図14は、第2の実施の形態における制御情報の修正に伴う補正位置の変更を示す図である。
図15は、第2の実施の形態における制御情報を修正した場合における補正位置と露光光量との関係を示す図である。
【0076】
第2の実施の形態では、副走査倍率0のときの基準位置と副走査倍率7のときの補正位置とのズレ量が、副走査倍率7のときの候補点間隔(=3.45mm)以下の補正位置について、制御装置301は制御情報を修正する。
図14に示す例では、補正点21において、ズレ量が3.45mmであるため、補正点21が修正対象となり、カウント値Cが4から5に修正される。そして
図15に示すように、補正点22以降がすべて右側に1つずつずれることとなり、感光体における光量補正が改善される。このようにすることで、制御装置301は、実施形態1と比べて、よりズレ量の大きな補正点だけを修正することとなり、修正処理が簡易化される。
【0077】
<第3の実施の形態>
[概要]
第3の実施の形態では、修正対象の補正位置を選出する所定の条件が補正光量の変化率である点で、第1の実施の形態と異なる。なお、本実施形態にかかる画像形成装置は、前述の実施の形態に係る画像形成装置100が備える構成と同様の構成によって実現される。したがって、それらの構成は繰り返さない。
【0078】
[詳細]
図16〜
図18を参照して、第3の実施の形態における制御情報Dの修正について説明する。
図16は、第3の実施の形態に係る各補正位置間での補正光量の変化率を示す図である。
図17は、第3の実施の形態に係る制御情報の修正に伴う補正位置の変更を示す図である。
図18は、実施形態3における制御情報を修正した場合における補正位置と露光光量との関係を示す図である。
【0079】
図16に示すように、第3の実施の形態では、制御装置301は、副走査倍率変更後における変更された補正位置について、補正光量の変化率が算出される(
図16(b)参照)。ここで、補正光量の変化率は、変化率(%)=補正点間の補正光量の差分(%)/補正点間の距離(mm)で算出される。
【0080】
そして、制御装置301は、算出された補正光量の変化率の絶対値が所定の閾値以上の場合に、当該変化率が算出された補正位置を修正対象と判断する。本実施形態では、所定の閾値として0.20%以上としている。そのため、
図16に示す例では、補正点1−4、14−16、22−30が修正対象の補正点として選出される。ただし、補正点1−4は、ズレ量が軽微であるため、修正対象から除外される。
【0081】
図18に示すように、上述した補正点14−16、22−30について、補正位置が修正されるように制御情報Dが修正される。制御装置301は、修正された制御情報D′を露光時の光量制御情報として設定する。このようにすることで、補正光量の変化率が大きい補正点について、補正位置を修正することが可能となり、副走査倍率変更による影響の大きい補正点について修正することが可能となる。
【0082】
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態では、修正対象の補正位置を選出する所定条件が、カウント値Cから算出された基準位置と補正位置との差が所定の閾値以上であり、かつ、補正光量の変化率の大きさが所定の閾値以上である点で、第1の実施の形態と異なる。なお、本実施形態にかかる画像形成装置は、前述の実施の形態に係る画像形成装置100が備える構成と同様の構成によって実現される。したがって、それらの構成は繰り返さない。
【0083】
[詳細]
図19および
図20を参照して、第4の実施の形態に係る制御情報Dの修正について説明する。
図19は、第4の実施の形態における制御情報の修正に伴う補正位置の変更を示す図である。
図20は、第4の実施の形態における制御情報を修正した場合における補正位置と露光光量との関係を示す図である。
【0084】
第4の実施の形態では、第3の実施の形態で修正対象となった補正点に対して、さらに基準位置と補正位置との差(ズレ量)が所定の閾値(3.45mm)以上であるかどうかを判定する。このようにすることにより、
図19に示す例では、補正点22以降のみが修正対象の補正点として選出される。そして、
図20に示すように、補正点22以降の補正位置が候補間隔1つ分露光終了側(
図20における右側)へ移動される。このようにすることで、ポリゴンミラー313の回転速度の変更に伴うズレ量が大きく、かつ、補正光量の変化率が大きいもののみを修正対象とすることとなり、処理を簡易化した上で、より効果的に制御情報の修正処理を行うことができる。
【0085】
<第5の実施の形態>
第5の実施の形態では、修正対象となった補正位置についてさらに条件を加える点で、第1の実施の形態と異なる。なお、本実施形態にかかる画像形成装置は、前述の実施の形態に係る画像形成装置100が備える構成と同様の構成によって実現される。したがって、それらの構成は繰り返さない。
【0086】
図11を参照して、第5の実施の形態に係る制御情報Dの修正について説明する。
図11に示す例では、副走査倍率7の場合について示している。第5の実施の形態では、制御装置301は、露光開始直後の最初補正点、および露光終了直前における最後の補正点について、所定の条件を満たした場合に、制御情報をさらに修正する。このようにすることにより、露光開始直後および露光終了直前の初期光量が急激に変化する領域において、より最適な補正点に修正することにより、光量ムラを抑制することが可能となる。
【0087】
具体的には、制御装置301は、回転速度が基準速度と異なる場合において、感光体上における最初の補正点の位置を初回補正位置として算出する。そして、感光体における露光を開始する位置から、前記初回補正位置までの距離を、露光開始距離として算出する。その上で、露光開始距離が所定の閾値をこえる場合、すなわち、初回補正位置が、露光開始直後のSOI(Start of Image:画像開始)位置よりも露光開始距離から離れている場合、初回補正位置が、SOI位置よりも露光開始距離に近くになるように制御情報Dの修正を行う。
【0088】
制御装置301は、さらに、回転速度が基準速度と異なる場合において、感光体上における最後の補正点の位置を最終補正位置として算出する。そして、最終補正位置から露光を終了する位置までの距離を、露光終了距離として算出する。その上で、露光終了位置が所定の閾値をこえる場合、すなわち、最終補正位置が、露光終了直前のEOI(End of Image:画像終了)位置よりも露光終了距離から離れている場合、最終補正位置が、EOI位置よりも露光終了距離に近くになるように制御情報Dの修正を行う。
【0089】
図11に示す例では、SOIの位置が153.7mm、EOIの位置が−153.7mmとなっている。回転速度変更後の補正点1の位置は、154.0mmとなり、SOI位置よりも露光開始距離に近い。よって、補正点1については、制御情報の修正は行わない。一方、回転速度変更後の補正点30の位置は、153.2mmであるため、EOI位置よりも露光終了距離から離れている。よって、制御装置301は、補正点30について、制御情報Dを修正する。
【0090】
図21を参照して、第5の実施の形態における制御情報Dの修正処理の手順を説明する。
図21は、第5の実施の形態における制御情報Dの修正処理のフロー図である。
【0091】
ステップS401〜ステップS405の説明は、上述したため繰り返さない。ステップS405の後のステップS408において、制御装置301は、補正点1の位置が所定の基準値(157.2mm)以上かどうかを判定する。補正点1の位置が所定の基準値以上の場合、(ステップS408においてYES)、制御装置301は、制御をステップS409へ切り替える。そうでない場合(ステップS408おいてNO)、制御装置301は、制御をステップS410に切り替える。
【0092】
ステップS410において、制御装置301は、補正点1について、制御情報Dを修正する。制御装置301は、制御をステップS409に切り替える。
【0093】
ステップS409において、制御装置301は、補正点30の位置が所定の基準値(−157.2mm)未満かどうかを判定する。補正点30の位置が所定の基準値未満の場合、(ステップS409においてYES)、制御装置301は、制御をステップS412へ切り替える。そうでない場合(ステップS409おいてNO)、制御装置301は、制御をステップS411に切り替える。
【0094】
ステップS411において、制御装置301は、補正点30について、制御情報Dを修正する。制御装置301は、制御をステップS412に切り替える。
【0095】
ステップS412において、制御装置301は、修正後の制御情報D′を露光時の光量制御情報として設定する。制御装置301は、制御情報の修正処理を終了し、露光を開始する。
【0096】
<他の実施の形態>
なお、本開示に係る技術的思想の適用範囲は、上記実施形態に限定されない。例えば、記憶装置320は、各副走査倍率に応じて修正された制御情報D′を、ポリゴンミラー313の回転速度が設定される前から記憶しておいてもよい。こうすることで、制御情報Dを修正するための処理を行う必要がなくなり、処理負担を軽減できる。このようにしても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0097】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。