特許第6939453号(P6939453)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6939453
(24)【登録日】2021年9月6日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】複合装置、要求応答方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20210909BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
   H04N1/00 C
   B41J29/38
【請求項の数】22
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-220207(P2017-220207)
(22)【出願日】2017年11月15日
(65)【公開番号】特開2019-92080(P2019-92080A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2020年10月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121599
【弁理士】
【氏名又は名称】長石 富夫
(72)【発明者】
【氏名】中山 佳実
【審査官】 西谷 憲人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−245791(JP,A)
【文献】 特開2004−363777(JP,A)
【文献】 特開2009−146541(JP,A)
【文献】 特開2014−116905(JP,A)
【文献】 特開平09−238210(JP,A)
【文献】 特開2016−213704(JP,A)
【文献】 特開2015−148916(JP,A)
【文献】 特開2015−119513(JP,A)
【文献】 特開2017−013367(JP,A)
【文献】 特開2013−102423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1記憶装置を備えたサーバと、
自装置および前記サーバからアクセス可能な第2記憶装置を備えた画像形成装置と、
前記サーバに給電する第1電源部と、
前記画像形成装置に給電する第2電源部と、
前記第1電源部から前記第2記憶装置に給電するか否かを切り替える切替部と、
前記切替部を制御する電源制御部と、
を有し、
前記電源制御部は、外部のクライアント装置から受けた要求で要求されたデータが前記第2記憶装置に記憶されており、かつ前記第2電源部が前記画像形成装置への給電をオフしている場合に、前記第1電源部が前記第2記憶装置に給電する状態に前記切替部を切り替える
ことを特徴とする複合装置。
【請求項2】
前記サーバは、外部のクライアント装置から受けた要求で要求されたデータが前記第2記憶装置に記憶されており、かつ前記第2電源部が前記画像形成装置へ給電している場合は、前記画像形成装置に、前記要求されたデータの転送を依頼して、前記要求されたデータを取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の複合装置。
【請求項3】
前記電源制御部は、外部のクライアント装置から受けた要求で要求されたデータが前記第2記憶装置に記憶されており、かつ前記画像形成装置がスリープ状態の場合は、前記画像形成装置の電源状態をスリープ状態から少なくとも前記依頼に対応可能な状態に復帰させ、
前記サーバは、前記復帰した前記画像形成装置に前記依頼を行って前記要求されたデータを取得する
ことを特徴とする請求項2に記載の複合装置。
【請求項4】
前記電源制御部は、外部のクライアント装置から受けた要求が、スリープ状態より給電箇所が多い通常状態の前記画像形成装置が行う動作を含むものであって前記画像形成装置がスリープ状態の場合は、前記画像形成装置をスリープ状態から前記通常状態に復帰させて、前記要求を前記画像形成装置に通知する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の複合装置。
【請求項5】
ユーザの操作を受けて前記第2電源部から前記画像形成装置への給電をオン・オフする電源スイッチを有し、
前記電源スイッチのオン・オフは前記第1電源部による給電に影響を与えない
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の複合装置。
【請求項6】
前記サーバが前記第2記憶装置へアクセス中に前記電源スイッチがオフからオンに切り替えられた場合に、
前記サーバは、前記第2記憶装置へのアクセスを中止し、
前記電源制御部は、前記第1電源部から前記第2記憶装置への給電を停止させた後に前記第2電源部による前記画像形成装置への給電を有効にし、
前記サーバは、前記第2電源部による前記画像形成装置への給電が有効になった後、前記画像形成装置に、前記要求されたデータの転送を依頼して、前記要求されたデータを取得する
ことを特徴とする請求項5に記載の複合装置。
【請求項7】
前記第1電源部から前記第2記憶装置に給電しているときは、前記サーバから前記第2記憶装置へのアクセスを読み取りのみに制限する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の複合装置。
【請求項8】
前記第2記憶装置におけるアドレスマップを前記画像形成装置と前記サーバで共有し、前記サーバから前記第2記憶装置へのアクセスは特定のパーティションのみに制限する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の複合装置。
【請求項9】
前記画像形成装置は、自装置の状態を示す状態情報、使用履歴、動作ログのうちの少なくとも1つを前記第2記憶装置に保存し更新する、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の複合装置。
【請求項10】
前記第1電源部は、商用電源を電圧変換して前記第2記憶装置へ給電する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載の複合装置。
【請求項11】
前記第1電源部が前記切替部および前記電源制御部に給電する
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載の複合装置。
【請求項12】
前記サーバが、前記電源制御部の機能を果たす
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1つに記載の複合装置。
【請求項13】
第1記憶装置を備えたサーバと、自装置および前記サーバからアクセス可能な第2記憶装置を備えた画像形成装置と、前記サーバに給電する第1電源部と、前記画像形成装置に給電する第2電源部と、前記第1電源部から前記第2記憶装置に給電するか否かを切り替える切替部とを有する複合装置が外部のクライアント装置からの要求に応答する要求応答方法であって、
前記外部のクライアント装置から要求があった場合に該要求で要求されたデータの格納場所を判断する判断ステップと、
前記要求されたデータが前記画像形成装置の前記第2記憶装置に記憶されている場合に前記画像形成装置の電源状態を確認する確認ステップと、
前記要求されたデータが前記画像形成装置の前記第2記憶装置に記憶されており、かつ前記第2電源部から前記画像形成装置への給電がオフされている場合に、前記第1電源部が前記第2記憶装置へ給電する状態に前記切替部を切り替える給電切替ステップと、
前記切り替え後に前記サーバが前記第2記憶装置にアクセスして前記要求されたデータを取得するデータ取得ステップと、
前記サーバが、前記取得したデータを前記クライアント装置へ送信する応答ステップと、
を有する
ことを特徴とする要求応答方法。
【請求項14】
前記要求されたデータが前記画像形成装置の前記第2記憶装置に記憶されており、かつ前記第2電源部が前記画像形成装置へ給電している場合に、前記サーバが、前記画像形成装置に、前記要求されたデータを当該サーバに転送するように依頼する依頼ステップと、
前記依頼を受けた前記画像形成装置が前記要求されたデータを前記第2記憶装置から読み出して前記サーバに転送する転送ステップと、
前記サーバが、前記転送で取得したデータを前記クライアント装置へ送信する第2応答ステップと、
を有する
ことを特徴とする請求項13に記載の要求応答方法。
【請求項15】
前記要求されたデータが前記画像形成装置の前記第2記憶装置に記憶されており、かつ前記画像形成装置がスリープ状態の場合に、前記画像形成装置の電源状態をスリープ状態から少なくとも前記依頼に対応可能な状態に復帰させる復帰指示ステップと、
前記復帰指示ステップで前記画像形成装置が前記復帰した後に、前記依頼を行う第2依頼ステップと、
をさらに有する
ことを特徴とする請求項14に記載の要求応答方法。
【請求項16】
前記判断ステップでは、前記クライアント装置から受けた要求が、スリープ状態より給電箇所が多い通常状態の前記画像形成装置が行う動作を含むものであるか否かをさらに判断し、
前記確認ステップでは、前記クライアント装置から受けた要求が、前記通常状態の前記画像形成装置が行う動作を含むものである場合は前記画像形成装置がスリープ状態か否かをさらに確認し、
前記要求が前記通常状態の前記画像形成装置が行う動作を含むものであって前記画像形成装置がスリープ状態の場合に、前記画像形成装置を前記通常状態に復帰させた後、前記要求を前記画像形成装置に通知する通知ステップと、
前記通知を受けた前記画像形成装置が前記要求に対応する動作を行う動作ステップと、
をさらに有する
ことを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1つに記載の要求応答方法。
【請求項17】
前記複合装置は、ユーザの操作を受けて前記第2電源部から前記画像形成装置への給電をオン・オフする電源スイッチを有し、
前記電源スイッチのオン・オフは前記第1電源部による給電に影響を与えない
ことを特徴とする請求項13乃至16のいずれか1つに記載の要求応答方法。
【請求項18】
前記サーバが前記第2記憶装置へアクセス中に前記電源スイッチがオフからオンに切り替えられた場合に、前記サーバから前記第2記憶装置へのアクセスおよび前記第1電源部から前記第2記憶装置への給電を終了させる終了ステップと、
前記終了ステップが完了した後、前記第2電源部から前記画像形成装置への給電を有効にする給電有効化ステップと、
前記サーバが、前記第2電源部による前記画像形成装置への給電が有効になった後、前記画像形成装置に、前記要求されたデータの転送を依頼する第2依頼ステップと、
前記第2依頼ステップで依頼を受けた前記画像形成装置が前記要求されたデータを前記第2記憶装置から読み出して前記サーバに転送する第2転送ステップと、
前記サーバが、前記第2転送ステップによる転送で取得したデータを前記クライアント装置へ送信する第3応答ステップと、
をさらに有する
ことを特徴とする請求項17に記載の要求応答方法。
【請求項19】
前記第1電源部から前記第2記憶装置に給電しているときは、前記サーバから前記第2記憶装置へのアクセスを読み取りのみに制限する
ことを特徴とする請求項13乃至18のいずれか1つに記載の要求応答方法。
【請求項20】
前記第2記憶装置におけるアドレスマップを前記画像形成装置と前記サーバで共有し、前記サーバから前記第2記憶装置へのアクセスを特定のパーティションのみに制限する
ことを特徴とする請求項13乃至19のいずれか1つに記載の要求応答方法。
【請求項21】
前記画像形成装置が、自装置の状態を示す状態情報、使用履歴、動作ログのうちの少なくとも1つを前記第2記憶装置に保存し更新する情報更新ステップをさらに有する
ことを特徴とする請求項13乃至20のいずれか1つに記載の要求応答方法。
【請求項22】
前記第1電源部は、商用電源を電圧変換して前記第2記憶装置へ給電する
ことを特徴とする請求項13乃至21のいずれか1つに記載の要求応答方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバの機能と画像形成装置の機能を備えた複合装置、および該複合装置における応答要求方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー、スキャン、プリントなどの機能を備えた画像形成装置ではサーバ機能を追加し、スキャンした画像データ等をサーバに保存し、外部から取り出せるようする、といったことが行われる。
【0003】
従来、上記のような画像形成装置のサーバ機能は付随的なものであり、画像形成装置のCPU(Central Processing Unit)や記憶部を利用したものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−45169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像形成装置に、本格的なサーバ機能を持たせる場合には、サーバ部は常時電源オンであることが望ましい。一方、画像形成装置においては、消耗品(トナーや紙)が切れたときや故障が発生した場合には画像形成装置本来の機能(印刷機能やFAX機能など)が使用できなくなるので、画像形成装置の電源をオフにすることをユーザは希望する。また、省エネルギーのため、使用時のみ電源を入れるといった運用が成されることもある。
【0006】
従来の画像形成装置は、画像形成装置のCPUや記憶部を利用してサーバ機能を提供していたので、故障や不使用時に画像形成装置の電源がオフにされると、サーバ機能もオフになってしまう。このため、故障や不使用時には画像形成装置の電源をオフにする要請と、サーバ機能を常時稼動させる要請とを両立させることができなかった。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、画像処理装置の電源がオフの場合でも、画像形成装置の電源がオンの場合と同等にサーバ機能を稼動させることのできる複合装置および要求応答方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0009】
[1]第1記憶装置を備えたサーバと、
自装置および前記サーバからアクセス可能な第2記憶装置を備えた画像形成装置と、
前記サーバに給電する第1電源部と、
前記画像形成装置に給電する第2電源部と、
前記第1電源部から前記第2記憶装置に給電するか否かを切り替える切替部と、
前記切替部を制御する電源制御部と、
を有し、
前記電源制御部は、外部のクライアント装置から受けた要求で要求されたデータが前記第2記憶装置に記憶されており、かつ前記第2電源部が前記画像形成装置への給電をオフしている場合に、前記第1電源部が前記第2記憶装置に給電する状態に前記切替部を切り替える
ことを特徴とする複合装置。
【0010】
上記発明および下記[13]に記載の発明では、外部のクライアント装置から要求されたデータが給電されていない画像形成装置の第2記憶装置に記憶されている場合は、第1電源部から第2記憶装置に給電し、サーバが第2記憶装置にアクセスして必要なデータを取得する。なお、電源制御部をサーバとは別に設けてもよいし、サーバが電源制御部の機能を兼ねるようにしてもよい。
【0011】
[2]前記サーバは、外部のクライアント装置から受けた要求で要求されたデータが前記第2記憶装置に記憶されており、かつ前記第2電源部が前記画像形成装置へ給電している場合は、前記画像形成装置に、前記要求されたデータの転送を依頼して、前記要求されたデータを取得する
ことを特徴とする[1]に記載の複合装置。
【0012】
上記発明および下記[14]に記載の発明では、クライアント装置から要求されたデータが第2記憶装置に記憶されいて画像形成装置が給電されている場合、サーバは、要求されたデータの転送を画像形成装置に依頼して、該要求されたデータを取得する。
【0013】
[3]前記電源制御部は、外部のクライアント装置から受けた要求で要求されたデータが前記第2記憶装置に記憶されており、かつ前記画像形成装置がスリープ状態の場合は、前記画像形成装置の電源状態をスリープ状態から少なくとも前記依頼に対応可能な状態に復帰させ、
前記サーバは、前記復帰した前記画像形成装置に前記依頼を行って前記要求されたデータを取得する
ことを特徴とする[2]に記載の複合装置。
【0014】
上記発明および下記[15]に記載の発明では、要求されたデータがスリープ状態の画像形成装置の第2記憶装置にある場合は、少なくともそのデータを読み出してサーバへ転送することができる電源状態に画像形成装置部30を復帰させる。
【0015】
[4]前記電源制御部は、外部のクライアント装置から受けた要求が、スリープ状態より給電箇所が多い通常状態の前記画像形成装置が行う動作を含むものであって前記画像形成装置がスリープ状態の場合は、前記画像形成装置をスリープ状態から前記通常状態に復帰させて、前記要求を前記画像形成装置に通知する
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の複合装置。
【0016】
上記発明および下記[16]に記載の発明では、電源制御部は、画像形成装置をスリープ状態から通常状態に復帰させて、必要な動作を実行させる。
【0017】
[5]ユーザの操作を受けて前記第2電源部から前記画像形成装置への給電をオン・オフする電源スイッチを有し、
前記電源スイッチのオン・オフは前記第1電源部による給電に影響を与えない
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の複合装置。
【0018】
上記発明および下記[17]に記載の発明では、ユーザ操作による電源スイッチのオフで画像形成装置は給電されなくなる。
【0019】
[6]前記サーバが前記第2記憶装置へアクセス中に前記電源スイッチがオフからオンに切り替えられた場合に、
前記サーバは、前記第2記憶装置へのアクセスを中止し、
前記電源制御部は、前記第1電源部から前記第2記憶装置への給電を停止させた後に前記第2電源部による前記画像形成装置への給電を有効にし、
前記サーバは、前記第2電源部による前記画像形成装置への給電が有効になった後、前記画像形成装置に、前記要求されたデータの転送を依頼して、前記要求されたデータを取得する
ことを特徴とする[5]に記載の複合装置。
【0020】
上記発明および下記[18]に記載の発明では、第2記憶装置への給電は、第1電源部より第2電源部が優先される。
【0021】
[7]前記第1電源部から前記第2記憶装置に給電しているときは、前記サーバから前記第2記憶装置へのアクセスを読み取りのみに制限する
ことを特徴とする[1]乃至[6]のいずれか1つに記載の複合装置。
【0022】
[8]前記第2記憶装置におけるアドレスマップを前記画像形成装置と前記サーバで共有し、前記サーバから前記第2記憶装置へのアクセスは特定のパーティションのみに制限する
ことを特徴とする[1]乃至[7]のいずれか1つに記載の複合装置。
【0023】
[9]前記画像形成装置は、自装置の状態を示す状態情報、使用履歴、動作ログのうちの少なくとも1つを前記第2記憶装置に保存し更新する、
ことを特徴とする[1]乃至[8]のいずれか1つに記載の複合装置。
【0024】
[10]前記第1電源部は、商用電源を電圧変換して前記第2記憶装置へ給電する
ことを特徴とする[1]乃至[9]のいずれか1つに記載の複合装置。
【0025】
[11]前記第1電源部が前記切替部および前記電源制御部に給電する
ことを特徴とする[1]乃至[10]のいずれか1つに記載の複合装置。
【0026】
上記発明では、サーバに給電中は、切替部および電源制御部にも給電される。
【0027】
[12]前記サーバが、前記電源制御部の機能を果たす
ことを特徴とする[1]乃至[11]のいずれか1つに記載の複合装置。
【0028】
[13]第1記憶装置を備えたサーバと、自装置および前記サーバからアクセス可能な第2記憶装置を備えた画像形成装置と、前記サーバに給電する第1電源部と、前記画像形成装置に給電する第2電源部と、前記第1電源部から前記第2記憶装置に給電するか否かを切り替える切替部とを有する複合装置が外部のクライアント装置からの要求に応答する要求応答方法であって、
前記外部のクライアント装置から要求があった場合に該要求で要求されたデータの格納場所を判断する判断ステップと、
前記要求されたデータが前記画像形成装置の前記第2記憶装置に記憶されている場合に前記画像形成装置の電源状態を確認する確認ステップと、
前記要求されたデータが前記画像形成装置の前記第2記憶装置に記憶されており、かつ前記第2電源部から前記画像形成装置への給電がオフされている場合に、前記第1電源部が前記第2記憶装置へ給電する状態に前記切替部を切り替える給電切替ステップと、
前記切り替え後に前記サーバが前記第2記憶装置にアクセスして前記要求されたデータを取得するデータ取得ステップと、
前記サーバが、前記取得したデータを前記クライアント装置へ送信する応答ステップと、
を有する
ことを特徴とする要求応答方法。
【0029】
[14]前記要求されたデータが前記画像形成装置の前記第2記憶装置に記憶されており、かつ前記第2電源部が前記画像形成装置へ給電している場合に、前記サーバが、前記画像形成装置に、前記要求されたデータを当該サーバに転送するように依頼する依頼ステップと、
前記依頼を受けた前記画像形成装置が前記要求されたデータを前記第2記憶装置から読み出して前記サーバに転送する転送ステップと、
前記サーバが、前記転送で取得したデータを前記クライアント装置へ送信する第2応答ステップと、
を有する
ことを特徴とする[13]に記載の要求応答方法。
【0030】
[15]前記要求されたデータが前記画像形成装置の前記第2記憶装置に記憶されており、かつ前記画像形成装置がスリープ状態の場合に、前記画像形成装置の電源状態をスリープ状態から少なくとも前記依頼に対応可能な状態に復帰させる復帰指示ステップと、
前記復帰指示ステップで前記画像形成装置が前記復帰した後に、前記依頼を行う第2依頼ステップと、
をさらに有する
ことを特徴とする[14]に記載の要求応答方法。
【0031】
[16]前記判断ステップでは、前記クライアント装置から受けた要求が、スリープ状態より給電箇所が多い通常状態の前記画像形成装置が行う動作を含むものであるか否かをさらに判断し、
前記確認ステップでは、前記クライアント装置から受けた要求が、前記通常状態の前記画像形成装置が行う動作を含むものである場合は前記画像形成装置がスリープ状態か否かをさらに確認し、
前記要求が前記通常状態の前記画像形成装置が行う動作を含むものであって前記画像形成装置がスリープ状態の場合に、前記画像形成装置を前記通常状態に復帰させた後、前記要求を前記画像形成装置に通知する通知ステップと、
前記通知を受けた前記画像形成装置が前記要求に対応する動作を行う動作ステップと、
をさらに有する
ことを特徴とする[13]乃至[15]のいずれか1つに記載の要求応答方法。
【0032】
[17]前記複合装置は、ユーザの操作を受けて前記第2電源部から前記画像形成装置への給電をオン・オフする電源スイッチを有し、
前記電源スイッチのオン・オフは前記第1電源部による給電に影響を与えない
ことを特徴とする[13]乃至[16]のいずれか1つに記載の要求応答方法。
【0033】
[18]前記サーバが前記第2記憶装置へアクセス中に前記電源スイッチがオフからオンに切り替えられた場合に、前記サーバから前記第2記憶装置へのアクセスおよび前記第1電源部から前記第2記憶装置への給電を終了させる終了ステップと、
前記終了ステップが完了した後、前記第2電源部から前記画像形成装置への給電を有効にする給電有効化ステップと、
前記サーバが、前記第2電源部による前記画像形成装置への給電が有効になった後、前記画像形成装置に、前記要求されたデータの転送を依頼する第2依頼ステップと、
前記第2依頼ステップで依頼を受けた前記画像形成装置が前記要求されたデータを前記第2記憶装置から読み出して前記サーバに転送する第2転送ステップと、
前記サーバが、前記第2転送ステップによる転送で取得したデータを前記クライアント装置へ送信する第3応答ステップと、
をさらに有する
ことを特徴とする[17]に記載の要求応答方法。
【0034】
[19]前記第1電源部から前記第2記憶装置に給電しているときは、前記サーバから前記第2記憶装置へのアクセスを読み取りのみに制限する
ことを特徴とする[13]乃至[18]のいずれか1つに記載の要求応答方法。
【0035】
[20]前記第2記憶装置におけるアドレスマップを前記画像形成装置と前記サーバで共有し、前記サーバから前記第2記憶装置へのアクセスを特定のパーティションのみに制限する
ことを特徴とする[13]乃至[19]のいずれか1つに記載の要求応答方法。
【0036】
[21]前記画像形成装置が、自装置の状態を示す状態情報、使用履歴、動作ログのうちの少なくとも1つを前記第2記憶装置に保存し更新する情報更新ステップをさらに有する
ことを特徴とする[13]乃至[20]のいずれか1つに記載の要求応答方法。
【0037】
[22]前記第1電源部は、商用電源を電圧変換して前記第2記憶装置へ給電する
ことを特徴とする[13]乃至[21]のいずれか1つに記載の要求応答方法。
【発明の効果】
【0038】
本発明に係る複合装置および要求応答方法によれば、画像処理装置の電源がオフの場合でもサーバ機能を画像形成装置の電源がオンの場合と同等に稼動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の実施の形態に係る複合装置の外観を示す斜視図である。
図2】第1の実施の形態に係る複合装置の概略構成を示すブロック図である。
図3】クライアント装置からデータ要求を受けた第1の実施の形態に係る複合装置が行う処理を示す流れ図である。
図4】第2の実施の形態に係る複合装置の概略構成を示すブロック図である。
図5】クライアント装置からデータ要求を受けた第1の実施の形態に係る複合装置が行う処理を示す流れ図である。
図6図5の続きを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0041】
図1は、本発明の実施の形態に係る複合装置10の外観を示しおり、図2は、複合装置10の概略構成を示すブロック図である。複合装置10は、原稿を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙に印刷するコピー機能、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したり外部端末へネットワークを通じて送信したりするスキャン機能、ユーザの情報処理端末から受信した印刷データに基づいて印刷する印刷機能などを備えた画像形成装置部30と、ファイルサーバ、ウェブサーバ、アプリケーションサーバなどの機能を持ち、クライアント装置からの要求に対してサービスを提供するサーバ部20を複合させた装置である。複合装置10は、LAN(Local Area Network)、広域ネットワークなどのネットワークに接続されて使用される。
【0042】
図2に示すように、複合装置10は、サーバ部20と、画像形成装置部30と、サーバ部20に給電する第1電源部41と、画像形成装置部30に給電する第2電源部42と、切替部43とを備えている。
【0043】
サーバ部20は、バス21に、CPU(Central Processing Unit)22、RAM(Random Access Memory)23、ROM(Read Only Memory)24、第1記憶装置25、通信部26等を接続して構成される。CPU22とRAM23とROM24はサーバ部20の制御部を構成する。CPU22はROM24や第1記憶装置25に格納されているプログラムを実行する。RAM23は、CPU22がプログラムに基づいて処理を実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリとして使用される。
【0044】
第1記憶装置25は、ハードディスク装置等の大容量・不揮発の記憶装置である。第1記憶装置25には、クライアント装置に提供する各種のデータ、画像形成装置部30から転送された画像ファイルなどが保存される。
【0045】
通信部26は、ネットワークを通じて外部のクライアント装置やサーバとの間で通信する機能を果たす。また通信部26は、画像形成装置部30のバス31とサーバ部20のバス21との間を中継するように接続されており、画像形成装置部30とサーバ部20との間でデータやコマンドの転送を行う。
【0046】
画像形成装置部30は、画像形成装置部30の動作を統括的に制御するCPU32を有している。CPU32にはバス31を通じてRAM33、第2記憶装置34、操作パネル35、スキャナ36、プリンタエンジン37などが接続されている。
【0047】
CPU32は、OS(Operating System)プログラムをベースとし、その上で、ミドルウェアやアプリケーションプログラムなどを実行する。また、第2記憶装置34には、各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従ってCPU32が各種処理を実行することで画像形成装置部30としての各機能が実現される。
【0048】
RAM33は、CPU32がプログラムに基づいて処理を実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像データを格納する画像メモリなどとして使用される。
【0049】
第2記憶装置34は、不揮発・大容量のメモリである。ここでは、第2記憶装置34としてSSD(Solid State Drive)を使用する。なお、第2記憶装置34はハードディスク装置であってもよい。第2記憶装置34には、画像形成装置部30の状態を示すパラメータ、画像形成装置部30の各機能の使用履歴、累積の使用状況、動作ログなどの情報が記憶される。画像形成装置部30のCPU32は、装置の状態を示すパラメータについては定期的に更新し、使用履歴やログについては使用される毎に更新して追加する。
【0050】
スキャナ36は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得する機能を果たす。スキャナ36は、例えば、原稿トレイに載置された原稿を搬送する原稿搬送装置、搬送される原稿に所定の読み取り位置で光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサ、該ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備えて構成される。
【0051】
プリンタエンジン37は、画像データに応じた画像を記録紙上に画像形成(印刷)する機能を果たす。ここでは、プリンタエンジン37は、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、レーザーユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有して構成されており、電子写真プロセスによって画像形成を行う。画像形成の方式は他の方式でもかまわない。
【0052】
操作パネル35は、液晶ディスプレイ(LCD…Liquid Crystal Display)などで構成され、各種の操作画面、設定画面などを表示する表示部と、ユーザ操作を受け付ける操作部を有する。操作部は、テンキーやスタートボタンなどのハードキーと、表示部の物理的画面上に設けられてタッチペンや指などによる接触位置を検出するタッチパネルを備える。
【0053】
第1電源部41および第2電源部42は、商用電源に接続され、商用電源(AC100VやAC240V)を、給電先で必要とされる電圧(DC5VやDC12Vなど)に変換して各部へ供給する。たとえば、第2記憶装置34がSSDの場合、一般に第2記憶装置34にはDC5Vを給電する。第2記憶装置34がハードディスク装置の場合には、DC12VあるいはDC24Vを給電することになる。
【0054】
第1電源スイッチ51は、ユーザ操作に応じて第1電源部41からサーバ部20への給電のオン・オフを切り替えるスイッチである。第2電源スイッチ52は、ユーザ操作に応じて第2電源部42から画像形成装置部30への給電のオン・オフを切り替えるスイッチである。
【0055】
切替部43は、第3電源スイッチ44と、信号接続スイッチ45を備えている。第3電源スイッチ44は、第1電源部41から第2記憶装置34へ給電するか否かを切り替えるスイッチである。第2電源部42から第2記憶装置34への給電と、第1電源部41から第3電源スイッチ44を介した第2記憶装置34への給電は排他的に行われる。また、第2記憶装置34への給電は第2電源部42からの給電が優先される。すなわち、第3電源スイッチ44は、第2電源部42から画像形成装置部30への給電がオンのときは必ずオフにされ、第2電源部42から画像形成装置部30への給電がオフのときにのみオンになり得るように制御される。
【0056】
信号接続スイッチ45は、第2記憶装置34の各信号線をサーバ部20のバス21に接続するか否かを切り替えるスイッチである。信号接続スイッチ45をオンにすると第2記憶装置34の各信号線がバス21に接続され、サーバ部20のCPU22は、直接、第2記憶装置34にアクセスすることが可能になる。
【0057】
なお、第2記憶装置34におけるアドレスマップは、画像形成装置部30とサーバ部20で共有されている。サーバ部20から第2記憶装置34への直接のアクセスは、状態情報、使用履歴、ログなどが保存されている特定のパーティションのみに制限され、かつ読み出し動作のみに制限される。
【0058】
切替部43の第3電源スイッチ44および信号接続スイッチ45は、サーバ部20のCPU22(電源制御部としての機能を果たすCPU22)により切り替えが制御され、ユーザからのオン・オフ操作は受けない。
【0059】
通常の使用時は、第1スイッチ51、第2電源スイッチ52がユーザ操作により共にオンにされ、第3電源スイッチ44、信号接続スイッチ45はオフに制御する。この状態では、画像形成装置部30とサーバ部20とのデータのやり取りは通信部26を介して行う。
【0060】
複合装置10のサーバ部20は、クライアント装置のアプリケーションプログラム(アプリ)を通して外部からのネットワークアクセスが可能になっており、ユーザは、一般的なサーバとして外部からデータアクセスできるだけでなく、サーバ部20を課金管理やユーザ管理などに利用することができる。また、昨今増えているIoT(Internet of Things)を使って様々な装置状態を集中取得し、予測保全、故障予測などに使用する目的でサーバ部20を利用することで、故障時に情報を取得し予め解析を行ってから修理に赴く、といったことも可能になる。
【0061】
複合装置10では、画像形成装置部30のスキャナ36で原稿を光学的に読み取って得た画像データなどは画像形成装置部30から通信部26を介してサーバ部20に転送し、サーバ部20のCPU22が第1記憶装置25に書き込んで保存する。クライアント装置から画像データの提供要求を受けた場合は、サーバ部20が該要求に応じて第1記憶装置25から該当のデータを読み出して送信するといった動作を行う。
【0062】
しかし、課金などの目的で使用する情報、たとえば、装置の使用状況、装置状態、動作ログなどについては、更新にリアルタイム性が必要なため、画像形成装置部30の動作中にデータの読み書きを瞬時に行わなければいけない。このため、このようなデータについては画像形成装置部30の第2記憶装置34に保管する。
【0063】
ところで、画像形成装置部30は、本来、定期的にメンテナンスが必要な装置であるので、消耗部品や故障部品の交換には必要に応じて電源を切断して作業を行う必要がある。また、省エネルギーのため、画像形成装置部30については使用時のみ電源を入れる運用を希望するユーザも居る。一方、サーバ機能は常時電源が入った状態での運用が必要になる。そこで、複合装置10では、サーバ部20用の第1電源部41と画像形成装置部30用の第2電源部42を別電源にすることで、上記の要請の両立を図っている。
【0064】
しかし、前述したように、装置の使用状況、装置状態、動作ログなどの情報は第2記憶装置34に記憶されるので、画像形成装置部30の電源がオフされている際に、常時稼動のサーバ部20がクライアント装置から動作ログなどのデータの提供要求を受けた場合には、対応できなくなる。この問題に対応するために、第2記憶装置34に保存されている情報を、定期的にサーバ部20側の第1記憶装置25にバックアップする方法もあるが、最新データである保証がないため、リアルタイムに更新される課金など繊細なデータの扱いには向いていない。
【0065】
そこで、本発明に係る複合装置10では、第2電源部42から画像形成装置部30への給電がオフしているときにサーバ部20がクライアント装置から第2記憶装置34に記憶されている課金情報などのデータの提供要求を受けた場合には、電源制御部として機能するサーバ部20のCPU22が、切替部43の第3電源スイッチ44および信号接続スイッチ45をオンに切り替え、第2記憶装置34をサーバ部20側の装置として起動し、サーバ部20のCPU22が、直接、第2記憶装置34にアクセスして必要なデータを読み出して取得するようにした。
【0066】
図3は、複合装置10のサーバ部20がクライアント装置からデータ要求を受けた場合に行う動作を示す流れ図である。サーバ部20は、クライアント装置からデータ要求があったとき、該データ要求を通信部26で受け取り、CPU22がその内容を解析する(ステップS101)。CPU22は、この要求の返答に必要なデータ(データ要求で要求されたデータ)の保管場所を特定する(ステップS102)。
【0067】
特定した保管場所がサーバ部20の第1記憶装置25内であれば(ステップS103;No)、サーバ部20のCPU22は第1記憶装置25に直接アクセスして第1記憶装置25から該当のデータを読み出し(ステップS104)、該データに基づいて応答を作成し、これをクライアント装置へ送信して(ステップS111)、本処理を終了する。
【0068】
特定した保管場所が画像形成装置部30側の第2記憶装置34内の場合は(ステップS103;Yes)、画像形成装置部30の電源状態を確認する(ステップS105)。画像形成装置部30が第2電源部42から給電されている場合は(ステップS106;Yes)、サーバ部20のCPU22は、画像形成装置部30のCPU32に対して、必要なデータの転送要求を通信部26から画像形成装置部30に送信し、該データの転送を画像形成装置部30に依頼する(ステップS107)。
【0069】
これを受けた画像形成装置部30は第2記憶装置34から該当のデータを読み出し、これを、通信部26を通じてサーバ部20へ送信する。
【0070】
サーバ部20のCPU22は、画像形成装置部30からの転送により、必要なデータを取得すると(ステップS108)、該データに基づいて応答を作成し、これをクライアント装置へ送信して(ステップS111)、本処理を終了する。
【0071】
画像形成装置部30が第2電源部42から給電されていない場合は(ステップS106;No)、切替部43の第3電源スイッチ44および信号接続スイッチ45をオンにする(ステップS109)。これにより、第1電源部41から第2記憶装置34へ給電が行われ、第2記憶装置34の信号線はサーバ部20側のバス21に接続される。
【0072】
このとき、サーバ部20のCPU22は第2記憶装置34を、必要な情報が保存されているパーティションのみを読み取り可かつ書込み不可(Read Only)で起動する。第2記憶装置34は、本来、画像形成装置部30の一部のデバイスであり、動作プログラムが第2記憶装置34内に保存されている可能性もあるため、情報の取得のみに特化したアクセス方法(Read Only)に制限した。
【0073】
サーバ部20のCPU22は、画像形成装置部30の第2記憶装置34に直接、アクセスして必要なデータを取得し(ステップS110)、該データに基づいて応答を作成し、これをクライアント装置へ送信して(ステップS111)、本処理を終了する。
【0074】
なお、サーバ部20のCPU22は画像形成装置部30の第2記憶装置34に直接アクセスしている間、画像形成装置部30の電源状態(ユーザによって第2電源スイッチ52がオンにされるか)を監視する。第2電源スイッチ52は、ユーザ操作を受けるスイッチと、実際に画像形成装置部30への給電をオン・オフするスイッチが別になっており、ユーザ操作でオンにされてもすぐには給電が開始されないようになっている。
【0075】
サーバ部20のCPU22は第2電源スイッチ52をオンにするユーザ操作を検知したとき、すぐに画像形成装置部30への給電を有効にはせず、まず第2記憶装置34へのアクセス中止命令を出して、アクセスを終了させた後、第3電源スイッチ44、信号接続スイッチ45をオフにし、その後、第2電源部42から画像形成装置部30への給電を有効にする。
【0076】
その後は、ステップS107以降の処理を行う、すなわち、サーバ部20のCPU22は、画像形成装置部30のCPU32に対して、必要なデータの転送を依頼(転送要求を通信部26から画像形成装置部30に送信)して(ステップS107)、必要なデータを取得し(ステップS108)、該取得したデータに基づいて応答を作成し、これをクライアント装置へ送信する(ステップS111)。
【0077】
このように、複合装置10では、画像形成装置部30の電源がオフされている状況でも外部のクライアント装置から第2記憶装置34に保管されている情報の提供を受けることができるので、以下のような利便性をもたらす。
【0078】
例えば、装置の故障時、コールセンタに電話して修理を依頼したユーザは、故障が直るまで画像形成装置部30を使用することはなく、また故障を示すランプの点滅が継続して煩わしいといった事情から、画像形成装置部30の電源(第2電源スイッチ52)を一旦切ることがある。このような状況でも、本実施の形態に係る複合装置10では、サービスセンタのクライアント装置から画像形成装置部30の第2記憶装置34に保存されている該装置の状態情報や故障が発生するまでのログを取得できるので、該取得した情報に基づいて故障状況の解析を行って、現場に持っていくべき交換部品を特定するといったことが可能になる。
【0079】
また、近年、一括でデータを収集し、ビッグデータを解析し、予測保全を行うことも増えてきているが、本実施の形態に係る複合装置10では、夜間や休みの時に画像形成装置部30側の電源が落とされた場合でも最新情報を収集することができるので、顧客に負担をかけずに正確な情報を取得してその解析を行うことができる。
【0080】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0081】
第1の実施の形態は、第2電源部42から画像形成装置部30への給電がオフの場合に対応するものであったが、第2の実施の形態では画像形成装置部30の電源状態がスリープ状態の場合にも対応する。
【0082】
図4は、第2の実施の形態に係る複合装置10Bの概略構成を示すブロック図である。図1と同様の部分は図1と同じ符号を付してそれらの説明を省略する。複合装置10Bは、図1の構成に加えて、電源制御部60を備えている。図4では、電源制御部60をサーバ部20の一部とし第1電源部41から給電する例を示すが、電源制御部60はサーバ部20と独立に設けられてもよい。また、電源制御部60への給電は第1電源部41および第2電源部42とは別の電源部から行われてもよい。
【0083】
電源制御部60は、画像形成装置部30の電源状態(スリープ状態と通常状態(待機時や動作時))、サーバ部20の電源状態、サーバ部20から画像形成装置部30の第2記憶装置34に直接アクセスする際の電源状態(つまり、切替部43)を制御することができる。電源制御部60は通信部26と連携して、外部のクライアント装置から受けた要求を解析しその内容に応じて、画像形成装置部30、サーバ部20の電源状態を遷移させる役割をはたす。なお、スリープ状態とは、電源制御部60からの起動要求の受け付け以外は何も行わない状態まで電力消費を落とした状態とする。
【0084】
図5図6は、第2の実施の形態に係る複合装置10Bが外部のクライアント装置から要求を受けた場合に行う動作を示す流れ図である。クライアント装置から要求があった時、通信部26経由で、電源制御部60が該要求を受け取って内容を解析する(ステップS201)。
【0085】
電源制御部60は、要求内容が、サーバ部20や第2記憶装置34に記憶されているデータの提供であるか、画像形成装置部30の動作(たとえば印刷ジョブやファックスジョブの実行など)であるかを判別する(ステップS202)。要求内容がデータの提供であれば(ステップS202;データ)、この要求の返答に必要なデータ(要求されたデータ)の保管場所を特定する(ステップS203)。
【0086】
電源制御部60は、特定した保管場所がサーバ部20の第1記憶装置25内であれば(ステップS204;No)、クライアント装置から受けた要求内容とその要求されたデータの保管場所をサーバ部20に通知する。これを受けたサーバ部20のCPU22は第1記憶装置25に直接アクセスして第1記憶装置25から該当のデータを読み出し(ステップS205)、該データに基づいて応答を作成し、これをクライアント装置へ送信して(ステップS217)、本処理を終了する。
【0087】
電源制御部60は、特定した保管場所が画像形成装置部30側の第2記憶装置34内の場合は(ステップS204;Yes)、画像形成装置部30の電源状態が、通常状態、スリープ状態、給電オフのいずれであるかを確認する(ステップS207)。通常状態とは、スリープ状態より給電箇所が多く、依頼されたジョブを実行できる電源状態である。
【0088】
電源制御部60は、画像形成装置部30の電源状態が通常状態ならば(ステップS208;通常)、要求内容と特定した保管場所とデータの取得方法(画像形成装置部30に転送依頼)をサーバ部20のCPU22に通知する(ステップS210)。これを受けたサーバ部20のCPU22は、データの転送要求を、通信部26から画像形成装置部30に送信して、該データの転送を画像形成装置部30に依頼する(ステップS211)。
【0089】
この依頼を受けた画像形成装置部30は第2記憶装置34から該当のデータを読み出し、通信部26を通じてサーバ部20へ送信する。
【0090】
サーバ部20のCPU22は、画像形成装置部30からの転送により、必要なデータを取得すると(ステップS212)、該データに基づいて応答を作成し、これをクライアント装置へ送信して(ステップS217)、本処理を終了する。
【0091】
電源制御部60は、画像形成装置部30の電源状態がスリープ状態の場合は(ステップS208;Sleep)、画像形成装置部30のうち、クライアント装置からの要求に応答するために必要な範囲(この場合は制御部)を起動する命令を画像形成装置部30に送る(ステップS209)。この命令によって画像形成装置部30の制御部が起動した後は、ステップS210に移行して前述と同様の処理(ステップS210、S211、S212、S217)を行う。
【0092】
電源制御部60は、画像形成装置部30が第2電源部42から給電されていない場合は(ステップS208;オフ)、切替部43の第3電源スイッチ44および信号接続スイッチ45をオンにする(ステップS213)。これにより、第1電源部41から第2記憶装置34へ給電が行われ、第2記憶装置34の信号線はサーバ部20側のバス21に接続される。
【0093】
なお、このとき、第2記憶装置34を、必要な情報が保存されているパーティションのみを、読み取り可かつ書込み不可(Read Only)で起動する点は第1の実施の形態と同様である。
【0094】
電源制御部60は、要求内容と特定した保管場所とデータの取得方法(サーバ部20が直接、第2記憶装置34にアクセス)をサーバ部20のCPU22に通知する(ステップS214)。これを受けたサーバ部20のCPU22は、画像形成装置部30の第2記憶装置34に直接、アクセスして必要なデータを取得する(ステップS215)。
【0095】
その後、電源制御部60は、切替部43の第3電源スイッチ44をオフ、信号接続スイッチ45をオフにして、第2記憶装置34への給電を停止させる(ステップS216)。サーバ部20のCPU22は、ステップS215で取得したデータに基づいて応答を作成し、これをクライアント装置へ送信して(ステップS217)、本処理は終了する。
【0096】
電源制御部60は、クライアント装置から受けた要求内容が画像形成装置部30の動作である場合は(ステップS202;MFP動作)、画像形成装置部30の電源状態を確認する(ステップS218)。
【0097】
画像形成装置部30の電源状態が通常状態の場合は(ステップS219;通常)、動作要求を画像形成装置部30に通知し(ステップS220)、これに基づいて画像形成装置部30が要求された動作を実行して(ステップS221)、本処理を終了する。
【0098】
電源制御部60は、画像形成装置部30の電源状態がスリープ状態の場合は(ステップS219;Sleep)、要求された動作を実行するのに必要な範囲を起動するように画像形成装置部30に命令を送る(ステップS222)。ここでは、画像形成装置部30全体を起動させる。
【0099】
画像形成装置部30が起動したら、電源制御部60は、動作要求を画像形成装置部30に通知し(ステップS223)、これに基づいて画像形成装置部30が要求された動作を実行する(ステップS224)。要求された動作の実行が完了したら、電源制御部60は画像形成装置部30をスリープ状態に遷移させて(ステップS225)本処理を終了する。
【0100】
画像形成装置部30が給電されていない場合は(ステップS219;オフ)、要求された動作は実行不可である旨をクライアント装置に通知して、あるいは、タイムアウトになって(ステップS226)、本処理を終了する。
【0101】
なお、サーバ部20側についても電源状態としてスリープ状態を持たせる場合には、電源制御部60が、画像形成装置部30に対する電源状態の制御と同様の制御をサーバ部20に対して行えばよい。すなわち、サーバ部20に処理を依頼する場合にサーバ部20がスリープ状態ならば、電源制御部60から命令を送ってサーバ部20を通常状態に遷移させれた後、処理を依頼するようにすればよい。
【0102】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0103】
複合装置10の画像形成装置部30は、単機能のスキャナ装置、コピー機、プリンタなどでもかまわない。
【0104】
実施の形態では信号接続スイッチ45を設けて、第2記憶装置34の信号線をサーバ部20側に接続するか否かを切り替えたが、第2記憶装置34はサーバ部20側から常にアクセス可能なように接続されてもよい。ただし、この場合は画像形成装置部30側からのアクセスとサーバ部20側からのアクセスが競合しないように排他制御する。該排他制御は画像形成装置部30側優先とすることが望ましい。
【符号の説明】
【0105】
10、10B…複合装置
20…サーバ部
21…バス
22…CPU
23…RAM
24…ROM
25…第1記憶装置
26…通信部
30…画像形成装置部
31…バス
32…CPU
33…RAM
34…第2記憶装置
35…操作パネル
36…スキャナ
37…プリンタエンジン
41…第1電源部
42…第2電源部
43…切替部
44…第3電源スイッチ
45…信号接続スイッチ
51…第1電源スイッチ
52…第2電源スイッチ
60…電源制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6