特許第6939798号(P6939798)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6939798光学補償素子、液晶表示装置および投射型表示装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6939798
(24)【登録日】2021年9月6日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】光学補償素子、液晶表示装置および投射型表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13363 20060101AFI20210909BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20210909BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20210909BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
   G02F1/13363
   G02B5/30
   G03B21/00 E
   G03B21/14 Z
【請求項の数】20
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2018-537008(P2018-537008)
(86)(22)【出願日】2017年7月18日
(86)【国際出願番号】JP2017025899
(87)【国際公開番号】WO2018042912
(87)【国際公開日】20180308
【審査請求日】2020年7月13日
(31)【優先権主張番号】特願2016-167881(P2016-167881)
(32)【優先日】2016年8月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 剛史
【審査官】 鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−174649(JP,A)
【文献】 特開2010−156896(JP,A)
【文献】 特開2007−011206(JP,A)
【文献】 米国特許第6396630(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13363
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の偏光板と、
前記一対の偏光板の間に設けられた液晶表示素子と、
前記一対の偏光板のうちの少なくとも一方の偏光板と前記液晶表示素子との間に設けられた光学補償素子と
を備え、
前記光学補償素子は、
それぞれが、互いに傾斜角の異なる第1面および第2面を含む複数の構造体を有する下地層と、
前記下地層の上に形成されると共に、交互に繰り返し積層された複数の第1および第2の屈折率膜を含む積層膜と
を有し、
前記下地層における前記複数の構造体の配列周期は可視光の波長よりも小さい
液晶表示装置。
【請求項2】
前記積層膜の膜厚は、前記第1面に対向する領域と、前記第2面に対向する領域とにおいて互いに異なっている
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記複数の構造体の配列周期は、380nm以下である
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記複数の構造体の配列周期は、300nm以下である
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記複数の構造体の配列周期は、250nm以下である
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記液晶表示素子は、一対の基板間に封止されると共に、一対の電極間に液晶層を含んで構成され、
前記光学補償素子は、前記一対の基板のうちの一方の基板と前記一対の偏光板のうちの一方の偏光板との間に設けられている
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記液晶表示素子は、一対の基板間に封止されると共に、一対の電極間に液晶層を含んで構成され、
前記光学補償素子は、前記一対の基板のうちの一方の基板と前記一対の電極のうちの一方の電極との間に設けられている
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記光学補償素子は、前記積層膜と前記一対の電極の一方の電極との間に平坦化層を有する
請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記液晶表示素子は、垂直配向型の液晶分子を含む液晶層を有し、
前記光学補償素子の光軸方向は、前記液晶分子のプレチルト方向に沿って設定される
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記光学補償素子は、互いに光軸方向の異なる複数の領域を含む
請求項9に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記下地層の断面形状は、鋸歯状を有する
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記複数の構造体はそれぞれ、前記第1面および前記第2面を含む多面体または曲面を有する
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記下地層が形成される基板を更に備え、
前記下地層は、前記第1および第2の屈折率膜の各構成材料のうち前記基板と密着性が高い材料を含んで構成されている
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記第1および第2の屈折率膜の膜厚比は1:1である
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項15】
前記第1および第2の屈折率膜はそれぞれ、無機絶縁材料を含んで構成されている
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項16】
前記第1および第2の屈折率膜はそれぞれ、シリコン酸化物、シリコン窒化物およびシリコン酸窒化物のうちのいずれかを含んで構成されている
請求項15に記載の液晶表示装置。
【請求項17】
透過型液晶表示装置である
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項18】
反射型液晶表示装置である
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項19】
一対の偏光板と、
前記一対の偏光板の間に設けられた液晶表示素子と、
前記一対の偏光板のうちの少なくとも一方の偏光板と前記液晶表示素子との間に設けられた光学補償素子と
を備え、
前記光学補償素子は、
それぞれが、互いに傾斜角の異なる第1面および第2面を含む複数の構造体を有する下地層と、
前記下地層の上に形成されると共に、交互に繰り返し積層された複数の第1および第2の屈折率膜を含む積層膜と
を有し、
前記下地層における前記複数の構造体の配列周期は可視光の波長よりも小さい
液晶表示装置を備えた投射型表示装置。
【請求項20】
それぞれが、互いに傾斜角の異なる第1面および第2面を含む複数の構造体を有する下地層と、
前記下地層の上に形成されると共に、交互に繰り返し積層された複数の第1および第2の屈折率膜を含む積層膜と
を備え、
前記下地層における前記複数の構造体の配列周期は可視光の波長よりも小さい
光学補償素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学補償素子およびそれを備えた液晶表示装置、ならびにそのような液晶表示装置を用いた投射型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶プロジェクタ等の投射型表示装置の液晶パネルに用いられる液晶は、垂直配向型(VAモード)のものが主流となっている。この液晶表示装置では、例えば黒表示時における残留リタデーションを補償する光学補償板が使用されている。
【0003】
このような光学補償板としては、例えば液晶ポリマーからなるO−Plate(特許文献1)、またはネガティブC−plate(特許文献2〜4)が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/081919号パンフレット
【特許文献2】特開2006−11298号公報
【特許文献3】特開2008−145816号公報
【特許文献4】特開2007−52218号公報
【発明の概要】
【0005】
上記のような光学補償板(光学補償素子)を用いた液晶表示装置において、高輝度および高コントラスト比を実現することが望まれている。
【0006】
本開示の一実施の形態の液晶表示装置は、一対の偏光板と、一対の偏光板の間に設けられた液晶表示素子と、一対の偏光板のうちの少なくとも一方の偏光板と液晶表示素子との間に設けられた光学補償素子とを備えたものである。光学補償素子は、それぞれが、互いに傾斜角の異なる第1面および第2面を含む複数の構造体を有する下地層と、下地層の上に形成されると共に、交互に繰り返し積層された複数の第1および第2の屈折率膜を含む積層膜とを有し、下地層における複数の構造体の配列周期は可視光の波長よりも小さい。
【0007】
本開示の一実施の形態の投射型表示装置は、上記本開示の一実施の形態の液晶表示装置を備えたものである。
【0008】
本開示の一実施の形態の液晶表示装置および投射型表示装置では、一対の偏光板のうちの少なくとも一方の偏光板と液晶表示素子との間に設けられた光学補償素子が、互いに傾斜角の異なる第1面および第2面を含む複数の構造体を有する下地層を有する。この下地層の上に、交互に繰り返し積層された複数の第1および第2の屈折率膜を含む積層膜が形成されることで、光学補償素子が光軸の傾いたネガティブC−plateとして機能し、液晶表示素子における残留リタデーションを補償することができる。この積層膜の下地層における複数の構造体の配列周期が可視光の波長よりも小さいことにより、光学補償素子での回折の影響が抑制され、光損失が低減される。
【0009】
本開示の一実施の形態の光学補償素子は、それぞれが、互いに傾斜角の異なる第1面および第2面を含む複数の構造体を有する下地層と、下地層の上に形成されると共に、交互に繰り返し積層された複数の第1および第2の屈折率膜を含む積層膜とを有し、下地層における前記複数の構造体の配列周期は可視光の波長よりも小さい。
【0010】
本開示の一実施の形態の光学補償素子では、互いに傾斜角の異なる第1面および第2面を含む複数の構造体を有する下地層を有し、この下地層の上に、交互に繰り返し積層された複数の第1および第2の屈折率膜を含む積層膜が形成される。これにより、光軸の傾いたネガティブC−plateとして機能し、液晶表示素子における残留リタデーションを補償することができる。この積層膜の下地層における複数の構造体の配列周期が可視光の波長よりも小さいことにより、回折の影響が抑制され、光損失が低減される。
【0011】
本開示の一実施の形態の液晶表示装置および投射型表示装置によれば、一対の偏光板のうちの少なくとも一方の偏光板と液晶表示素子との間に設けられた光学補償素子が、互いに傾斜角の異なる第1面および第2面を含む複数の構造体を有する下地層を有する。この下地層の上に、交互に繰り返し積層された複数の第1および第2の屈折率膜を含む積層膜が形成されることで、液晶表示素子における残留リタデーションを補償することができる。この積層膜の下地層における複数の構造体の配列周期を可視光の波長よりも小さくすることにより、光損失を低減して輝度を高めることができる。よって、高輝度および高コントラスト比を実現することが可能となる。
【0012】
本開示の一実施の形態の光学補償素子によれば、互いに傾斜角の異なる第1面および第2面を含む複数の構造体を有する下地層を有し、この下地層の上に、交互に繰り返し積層された複数の第1および第2の屈折率膜を含む積層膜が形成される。これにより、液晶表示素子における残留リタデーションを補償することができる。この積層膜の下地層における複数の構造体の配列周期を可視光の波長よりも小さくすることにより、光損失を低減することができる。この光学補償素子を備えた液晶表示装置では、高輝度および高コントラスト比を実現することが可能となる。
【0013】
尚、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の第1の実施形態に係る液晶表示装置を用いた投射型表示装置の全体構成例を示す図である。
図2図1に示した液晶表示装置の構成例を表す模式図である。
図3図2に示した光学補償板の構成例を表す模式図である。
図4A】屈折率楕円体を表す模式図である。
図4B】ネガティブC−plateの光軸を説明するための模式図である。
図5図3に示した積層構造体の一例を表す断面模式図である。
図6図3に示した光学補償板の形成方法を説明するための流れ図である。
図7A図3に示した光学補償板の形成方法の一工程を表す断面模式図である。
図7B図7Aに続く工程を表す断面模式図である。
図7C図7Bに続く工程を表す断面模式図である。
図7D図7Cに続く工程を表す断面模式図である。
図7E図7Dに続く工程を表す断面模式図である。
図7F図7Eに続く工程を表す断面模式図である。
図8A】比較例1に係る光学補償板の構成を表す断面模式図である。
図8B図8Aに示した光学補償板の作用を説明するための模式図である。
図9A図3に示した光学補償板の構成を表す断面模式図である。
図9B図9Aに示した光学補償板の作用を説明するための模式図である。
図10】本開示の第2の実施形態に係る液晶表示装置の構成例を表す模式図である。
図11図10に示した光学補償層を説明するための要部の断面模式図である。
図12図11に示した光学補償層の形成方法を説明するための流れ図である。
図13A図11に示した光学補償層を形成する際の一工程を表す断面模式図である。
図13B図13Aに続く工程を表す断面模式図である。
図13C図13Bに続く工程を表す断面模式図である。
図13D図13Cに続く工程を表す断面模式図である。
図13E図13Dに続く工程を表す断面模式図である。
図13F図13Eに続く工程を表す断面模式図である。
図13G図13Fに続く工程を表す断面模式図である。
図13H図13Gに続く工程を表す断面模式図である。
図13I図13Hに続く工程を表す断面模式図である。
図14】比較例2に係る液晶パネルの構成を表す断面模式図である。
図15】実施例1に係る光学補償板の要部構成例を表す図である。
図16図15に示した光学補償板の各設計値を示した表である。
図17A】配列周期に対する回折光の割合を表す特性図である。
図17B】配列周期に対する光利用効率の損失分を表す特性図である。
図18】実施例2に係る光学補償層の要部構成例を表す図である。
図19図18に示した光学補償層の各設計値を示した表である。
図20A】変形例1−1に係る光学補償板の構成を説明するための模式図である。
図20B】変形例1−2に係る光学補償板の構成を説明するための模式図である。
図20C】変形例1−3に係る光学補償板の構成を説明するための模式図である。
図20D】変形例1−4に係る光学補償板の構成を説明するための模式図である。
図21A】下地層における構造体の配置例を説明するための模式図である。
図21B】下地層における構造体の配置例を説明するための模式図である。
図22】その他の変形例に係る光学補償板の構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。尚、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(液晶パネルと偏光板との間に光学補償板を設けた液晶表示装置および投射型表示装置の例)
2.第2の実施の形態(液晶パネル内に光学補償層を設けた液晶表示装置の例)
3.変形例1−1〜1−4(下地層の構造体形状の他の例)
【0016】
<第1の実施形態>
[構成]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る投射型表示装置(投射型表示装置1)の全体構成例を表したものである。この投射型表示装置1は、例えば透過型3板方式の液晶プロジェクタ装置であり、光源11と、照明光学系20と、液晶表示装置30R,30G,30Bと、色合成プリズム40と、投射レンズユニット41とを備える。
【0017】
光源11は、フルカラー画像を投射するために必要とされる、光の3原色である赤色、緑色及び青色の光を含む白色光を出射するように構成されている。光源11は、例えば、白色光を発する発光体11aと、発光体11aから発せられた光を反射するリフレクタ11bとを有している。光源11の発光体11aとしては、水銀成分を含むガスが封入された放電ランプ、例えば、超高圧水銀ランプ等が用いられる。光源11のリフレクタ11bは、凹面鏡となっており、その鏡面が周効率のよい形状とされている。また、リフレクタ11bは、例えば、回転方物面や回転楕円面のような回転対称面の形状とされている。
【0018】
照明光学系20は、光源11から出射された光の光路順に、例えば、可視領域外の光をカットするカットフィルタ12と、第1のマルチレンズアレイ14および第2のマルチレンズアレイ15と、第2のマルチレンズアレイ15からの光を所定の偏光方向に偏光させるためのPS合成樹脂16と、PS合成樹脂16を通過した光を集光するコンデンサレンズ17と、光を波長帯域に応じて分離する第1のダイクロイックミラー20とを備える。
【0019】
カットフィルタ12は、光源11から出射された白色光に含まれる紫外領域の光を反射することで除去する平面ミラーである。カットフィルタ12は、例えば、ガラス基材上に紫外領域の光を反射するコートを施したものであり、紫外領域以外の光を透過する。
【0020】
第1のマルチレンズアレイ14および第2のマルチレンズアレイ15は、例えば、液晶表示素子25の有効画素領域のアスペクト比にほぼ等しい相似形をした外形を有する複数のレンズセルがアレイ状に配置されたものである。これらの第1のマルチレンズアレイ14と第2のマルチレンズアレイ15との間には、光を反射する第1の折り返しミラー13が配置されている。第1のマルチレンズアレイ14および第2のマルチレンズアレイ15は、後述する液晶表示素子32の有効画素領域を均一に照明するために、光を液晶表示素子32の有効面積の形状の光束とし、照度分布を均一化するものである。第1のフライアイレンズ14が、第1の折り返しミラー13により反射された光を各レンズセルにより集光して小さな点光源を作り出し、第2のマルチレンズアレイ15が、各点光源からの照明光を合成する。
【0021】
コンデンサレンズ17は、凸レンズであり、PS合成樹脂16により所定の偏光方向に制御された光を液晶表示素子32の有効画素領域に効率よく照射されるようにスポット径を調整する。
【0022】
第1のダイクロイックミラー20は、ガラス基板等の主面上に、誘電体膜を多層形成した、いわゆるダイクロイックコートが施された波長選択性のミラーである。第1のダイクロイックミラー20は、反射させる赤色光と、透過させるその他の色光、すなわち緑色光及び青色光とに分離する。具体的には、第1のダイクロイックミラー20は、コンデンサレンズ17から入射する光のうち青色光および緑色光を透過させ、赤色光を反射して90°向きを変化させるように、コンデンサレンズ17から入射する光の光路に対して垂直方向に45°傾けて配設されている。
【0023】
照明光学系20は、また、第1のダイクロイックミラー20によって分離された赤色光の光路順に、例えば、光を全反射する第2の折り返しミラー22と、第1のフィールドレンズ23Rと、液晶表示装置30Rとを備える。
【0024】
第2の折り返しミラー22は、第1のダイクロイックミラー20を反射した光を反射して90°向きを変えさせる全反射ミラーであり、かかる反射された赤色光の光路に対して垂直方向に45°傾けて配設されている。これにより、第2の折り返しミラー22は、この赤色光を、第1のフィールドレンズ23Rに向けて反射する。第1のフィールドレンズ23Rは、集光レンズであり、第2の折り返しミラー22により反射された赤色光を液晶表示装置30Rに向けて出力すると共に、液晶表示装置30R内の液晶表示素子32に集光する。液晶表示装置30Rの構成については後述する。
【0025】
照明光学系20は、更に、第1のダイクロイックミラー20によって分離された青色光および緑色光の光路に沿って、例えば、入射光を波長帯域に応じて分離する第2のダイクロイックミラー21を備える。
【0026】
第2のダイクロイックミラー21は、入射した光を青色光と、その他の色光、すなわち緑色光とに分離する。第2のダイクロイックミラー21は、第1のダイクロイックミラー20から入射する光のうちの青色光を透過させる一方で、緑色光を反射して90°向きを変化させるように、第1のダイクロイックミラー20から入射する光の光路に対して垂直方向に45°傾けて配設されている。
【0027】
照明光学系20は、また、第2のダイクロイックミラー21によって分離された緑色光の光路順に、例えば、第2のフィールドレンズ23Gと、液晶表示装置30Gとを備える。
【0028】
第2のフィールドレンズ23Gは、集光レンズであり、第2のダイクロイックミラー21により反射された緑色光を液晶表示装置30Gに向けて出力すると共に、液晶表示装置30G内の液晶表示素子32に集光する。液晶表示装置30Gの構成については後述する。
【0029】
照明光学系20は、更に、第2のダイクロイックミラー21によって分離された青色光の光路順に、例えば、第1のリレーレンズ23と、入射光を全反射する第3の折り返しミラー24と、第2のリレーレンズ25と、入射光を全反射する第4の折り返しミラー26と、第3のフィールドレンズ23Bと、液晶表示装置30Bとを備える。
【0030】
第1のリレーレンズ23は、第2のリレーレンズ25と共に光路長を調整するためのレンズであり、第2のダイクロイックミラー21によって分離された青色光を、第3の折り返しミラー34へ導く。第3の折り返しミラー24は、第1のリレーレンズ23からの光を反射して90°向きを変えさせる全反射ミラーであり、第1のリレーレンズ23からの青色光の光路に対して垂直方向に45°傾けて配設されている。これにより、第3の折り返しミラー34は、第1のリレーレンズ23からの青色光を、第2のリレーレンズ25に向けて反射する。第2のリレーレンズ25は、第1のリレーレンズ23と共に光路長を調整するためのレンズであり、第3の折り返しミラー24によって反射された青色光を、第4の折り返しミラー36へ導く。
【0031】
尚、第1のリレーレンズ23および第2のリレーレンズ25は、青色光の液晶表示装置30Bまでの光路が、赤色光の液晶表示装置30Rまでの光路や緑色光の液晶表示装置30Gまで光路と比して長いため、液晶表示装置30B内の液晶表示素子32に青色光の焦点が合うように補正するようになっている。
【0032】
第4の折り返しミラー26は、第2のリレーレンズ25からの光を反射して90°向きを変えさせる全反射ミラーであり、第2のリレーレンズ25からの青色光の光路に対して垂直方向に45°傾けて配設されている。これにより、第4の折り返しミラー26は、第2のリレーレンズ25からの青色光を、第3のフィールドレンズ23Bに向けて反射する。第3のフィールドレンズ23Bは、集光レンズであり、第4の折り返しミラー26により反射された青色光を液晶表示装置30Bに向けて出力すると共に、液晶表示装置30B内の液晶表示素子32に集光する。液晶表示装置30Bの構成については後述する。
【0033】
色合成プリズム40は、液晶表示装置30R,30G,30Bのそれぞれを出射した赤色光、緑色光および青色光の光路が交わる位置に配置されている。色合成プリズム40は、入射した赤色光、緑色光および青色光を合成して出射面40Tから出射する。
【0034】
投射レンズユニット41は、色合成プリズム40の出射面40Tから出射された合成光をスクリーン等の投射面上に拡大して投射する。
【0035】
(液晶表示装置30R,30G,30Bの構成)
液晶表示装置30R,30G,30Bは、照明光学系20からの照明光を変調して出射する光変調装置(空間変調装置)である。これらの液晶表示装置30R,30G,30Bを出射した各色光(赤色光,緑色光,青色光)は、色合成プリズム40へ向けて出射される。液晶表示装置30R,30G,30Bはそれぞれ、例えばHTPS(High Temperature Poly-Silicon)等の透過型液晶表示装置である。但し、特に図示はしないが、液晶表示装置30R,30G,30Bはそれぞれ、例えばLCOS(Liquid Crystal On Silicon)等の反射型液晶表示装置であってもよい。
【0036】
図2は、液晶表示装置30R,30G,30Bの構成例を模式的に表したものである。液晶表示装置30R,30G,30Bは、一対の偏光板(第1偏光板31,第2偏光板34)間に、液晶表示素子32を備えたものである。液晶表示装置30Rは、例えば入射する赤色光(波長600nm以上700nm以下)を変調して赤色の映像光を生成するものである。液晶表示装置30Gは、例えば入射する緑色光(波長500nm以上600nm以下)を変調して緑色の映像光を生成するものである。液晶表示装置30Bは、例えば入射する青色光(波長430nm以上500nm以下)を変調して青色の映像光を生成するものである。
【0037】
本実施の形態では、これらの液晶表示装置30R,30G,30Bのそれぞれにおいて、第1偏光板31および第2偏光板34のうちの少なくとも一方の偏光板と、液晶表示素子32との間に、光学補償板33が設けられている。液晶表示素子32は、一対の基板32A,32Bにより封止されている。ここでは、一例として、光学補償板33は、第2偏光板34と、液晶表示素子32を封止する一対の基板のうちの一方の基板(光出射側の基板32B)との間に設けられている。液晶表示装置30R,30G,30Bでは、第1偏光板31および第2偏光板34は、基板32A,32Bに貼り合わせられていてもよいが、基板32A,32Bとは別々の部材として配置されていることが望ましい。これは、一般に、液晶プロジェクタでは、偏光板が光を吸収することにより発熱して高温になり易いことから、この熱が液晶表示素子32へ伝わることを抑制するためである。一方、光学補償板33は、光をほとんど吸収しないことから、基板32Bに貼り合わせられていてもよいし、互いに別々の部材として配置されていてもよい。尚、本実施の形態の「光学補償板33」が本開示における「光学補償素子」の一具体例に相当する。
【0038】
第1偏光板31および第2偏光板34は、例えば一方の偏光板が第1の偏光成分(s偏光成分またはp偏光成分)を選択的に透過し、他方の偏光板が第2の偏光成分(p偏光成分またはs偏光成分)を選択的に透過するものである。
【0039】
液晶表示素子32は、一対の電極間に液晶層を含んで構成されると共に、それらの一対の電極を通じて液晶層に駆動電圧が印加されることにより光透過率を変調するものである。この液晶表示素子32の液晶層には、例えば垂直配向型(VA(Vertical Alignment)モード)の液晶が用いられる。VAモードの液晶層では、印加電圧に対する応答特性を高めるために、液晶分子にいわゆるプレチルトが付与されている。尚、液晶層には、用途に応じて、他の駆動モード、例えばTN(Twisted Nematic)モード、ECB(Electrically controlled birefringence)モード、FFS(Fringe Field Switching)モードあるいはIPS(In Plane Switching)モード等の液晶が用いられても構わない。
【0040】
光学補償板33は、上記のような液晶表示素子32の残留リタデーションを補償する光学素子である。例えば、液晶表示素子32の液晶層では、液晶分子のプレチルトあるいは界面配向状態等に依存して、位相差(残留リタデーション)を生じて透過率が変化してしまう。特に、VAモードの液晶では、黒表示時の残留リタデーションにより光が僅かに透過してしまい、コントラストの低下を招く。光学補償板33のリタデーションは、そのような残留リタデーションを打ち消すような値に設定される。
【0041】
図3は、光学補償板33の構成例を表したものである。光学補償板33は、例えば基板331上に、積層構造体332を備えたものである。基板331は、例えばホウ珪酸ガラス等のガラスにより構成されている。この光学補償板33の光軸Zcは、後述する積層構造体332の構成に基づいて、基板331の垂線方向(基板面に垂直な方向)から傾いて設定されている。一例としては、液晶表示素子32がVAモードの液晶を用いている場合には、光学補償板33の光軸Zcの方向(傾斜方向)は、液晶表示素子32の液晶分子のプレチルト方向(長軸方向)に沿って設定される。尚、光学補償板33の光軸Zcは、図4Aおよび図4Bに示したように、屈折率楕円体のNz軸と定義される。この光学補償板33は、いわゆるネガティブC−plateとして機能するものであり、即ち屈折率楕円体において、Nx=Ny>Nzの関係が成り立つ。
【0042】
図5は、積層構造体332の詳細構成例を表したものである。このように積層構造体332は、例えば下地層332Aと、積層膜332Bとを有する。積層膜332Bは、下地層332Aの上に形成されている。
【0043】
下地層332Aは、2次元配置された複数の構造体332A1を有している。複数の構造体332A1のそれぞれは、互いに傾斜角(傾斜角e11,e12)の異なる第1面S1および第2面S2を含む。この例では、第1面S1の傾斜角e11が第2面S2の傾斜角e12よりも小さくなっている(e11<e12)。これらの複数の構造体332A1はそれぞれ、第1面S1および第2面S2を含む多面体または曲面を有する。図5の例では、各構造体332A1が多面体を有しており、下地層332Aの断面形状は、例えば鋸歯状を有する。この下地層332Aの構成材料は、無機絶縁材料、例えば、後述の屈折率膜332b1,332b2の各構成材料のうち基板331と密着性が高い材料を含んで構成されている。
【0044】
複数の構造体332A1の配列周期(ピッチ)Aは、可視光の波長よりも小さく設定されている。具体的には、液晶表示装置30R,30G,30Bへの入射波長のいずれの波長よりも小さく設定されている。配列周期Aの一例としては、最も短波長となる液晶表示装置30Bの入射波長(例えば430nm)未満である。但し、配列周期Aは、望ましくは380nm以下であり、より望ましくは300nm以下であり、更に望ましくは250nm以下である。詳細は後述するが、配列周期Aが小さくなるほど、光学補償板33における回折の影響を抑制して光損失を低減できるためである。
【0045】
積層膜332Bは、例えばネガティブC−plateとして機能するものであり、交互に繰り返し積層された複数の屈折率膜332b1,332b2(第1の屈折率膜,第2の屈折率膜)を含んで構成されている。これらの屈折率膜332b1,332b2の各膜厚は、例えば10nm以上50nm以下であり、屈折率膜332b1,332b2のそれぞれの層数は例えば10以上200以下である。これらの屈折率膜332b1,332b2は、例えば無機絶縁材料を含んで構成されている。無機絶縁材料としては、例えばシリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiN)、シリコン酸窒化物(SiON)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル(Ta25)および酸化ニオブ(Nb25)等が挙げられる。
【0046】
この積層膜332Bでは、構造体332A1の第1面S1に対向する領域D1における膜厚t1と、第2面S2に対向する領域D2における膜厚t2とが互いに異なっている。具体的には、領域D1における膜厚t1が、領域D2における膜厚t2よりも大きくなっている。膜厚t1、t2は、各領域D1,D2において、積層された複数の屈折率膜332b1,332b2のトータルの膜厚に相当する。積層膜332Bにおける屈折率膜332b1,332b2の個々の膜厚は、上記のように互いに同一であってもよいが、異なっていてもよい。但し、屈折率膜332b1,332b2の各膜厚の比率が1:1であることが望ましい。屈折率楕円体における屈折率Nzを小さくすることができ、以下に示すように、リタデーション値を効率的に出すことができるためである。
【0047】
即ち、屈折率膜332b1の屈折率をn1、1層あたりの膜厚をt11とし、屈折率膜332b2の屈折率をn2、1層あたりの膜厚をt12とすると、屈折率楕円体のNx,Ny,Nzは、以下の式(1),(2)のように表される。これにより、厚み方向におけるリタデーション値Rthは、式(3)のように表すことができる。これらの式(1)〜(3)では、屈折率膜332b1の膜厚と、屈折率膜332b2の膜厚とが1:1のとき、NxとNzの差が最大となり、Rthの値も最大となる。
【0048】
【数1】
【0049】
[光学補償板33の製造方法]
図6は、上記のような光学補償板33の製造方法の流れを表したものである。図7A図7Fは、光学補償板33の製造方法を工程順に表した断面模式図である。
【0050】
まず、例えばホウ珪酸ガラスよりなる基板331を用意する(ステップS11,図7A)。続いて、この基板331の上に、例えばSiOよりなる下地層332Aを、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法等により成膜する(ステップS12,図7B)。続いて、下地層332Aの上に、フォトレジスト膜150を成膜する(ステップS13,図7C)。この後、フォトレジスト膜150を、例えばハーフトーンマスクを用いて露光する(ステップS14,図7D)。続いて、異方性エッチングを行い(ステップS15)、フォトレジスト膜150を除去する。これにより、図7Eに示したように、下地層332Aに、それぞれが第1面S1および第2面S2を含む複数の構造体332A1を形成することができる。
【0051】
この後、下地層332Aの上に、積層膜332Bを形成する(ステップS16,図7F)。具体的には、例えばSiOからなる屈折率膜332b1と、例えばSiNからなる屈折率膜332b2とを、交互に複数層にわたって、それぞれ例えばCVD法およびスパッタ法等により順次成膜する。これにより、ネガティブC−plateとしての積層膜332Bを形成することができる。また、下地層332Aの上に、屈折率膜332b1,332b2を順次成膜することで、各屈折率膜332b1,332b2は、下地層332Aの構造体332A1の形状に沿って堆積される。換言すると、各屈折率膜332b1,332b2は、構造体332A1の第1面S1および第2面S2のそれぞれの傾斜角に対応する傾斜面を保ちつつ、堆積される。また、積層膜332Bの厚みは、第1面S1および第2面S2の各傾斜角に応じて、第1面S1に対向する領域と、第2面S2に対向する領域とにおいて異なるものとなる。以上のようにして、光学補償板33を製造することができる。
【0052】
[作用、効果]
この投射型表示装置1では、光源11から出射された光(例えば白色光)が、照明光学系20に入射すると、照明光に成形されつつ、R,G,Bの各色光の光路が分離され、液晶表示装置30R,30G,30Bのそれぞれに導かれる。例えば、第1のダイクロイックミラー20では、赤色光が反射されると共に、緑色光および青色光が透過され、第2のダイクロイックミラー21では、緑色光が反射されると共に、青色光が透過されることにより、各色光が分離される。これにより、赤色光は、第1のダイクロイックミラー20、第2の折り返しミラー22および第1のフィールドレンズ23Rを介して液晶表示装置30Rへ入射する。緑色光は、第1のダイクロイックミラー20を透過して、第2のダイクロイックミラー21によって反射された後、第2のフィールドレンズ23Gを通過して液晶表示装置30Gへ入射する。青色光は、第1のダイクロイックミラー20および第2のダイクロイックミラー21を透過した後、第1のリレーレンズ23、第3の折り返しミラー24、第2のリレーレンズ25、第4の折り返しミラー26、第3のフィールドレンズ23Bを介して、液晶表示装置30Bへ入射する。
【0053】
液晶表示装置30R,30G,30Bではそれぞれ、各色の映像信号に基づいて入射光が変調され(画像が生成され)、この色毎の変調光が色合成プリズム40へ向けて出射される。色合成プリズム40において、各色の変調光が合成され、この合成後の光が投射レンズユニット41へ入射する。投射レンズユニット41に入射した光(映像)が、例えばスクリーン等の投射面上に、例えば拡大表示される。
【0054】
このような液晶表示装置30R,30G,30Bを用いた投射型表示装置1では、液晶表示素子32の液晶層において、液晶分子のプレチルトあるいは界面配向状態等に依存して、位相差(残留リタデーション)を生じて透過率が変化してしまう。特に、VAモードの液晶では、液晶分子のプレチルトに起因して、黒表示時の残留リタデーションにより光が僅かに透過する。これは、コントラストの低下を招く。
【0055】
そこで、この液晶層の残留リタデーションを補償する様々な光学補償板が提案されている。図8Aに、本実施の形態の比較例(比較例1)に係る光学補償板100の構成を示す。光学補償板100は、本実施の形態と同様、誘電体多層膜を有すると共に、ネガティブC−plateとして機能するものである。この光学補償板100は、基板101の上に、積層膜102を有している。積層膜102は、複数の屈折率膜102a,102bが交互に繰り返し積層されたものである。このように、比較例1の光学補償板100では、平坦な基板101の上に、積層膜102が形成されたものであり、その光軸Zcは、基板101の垂線方向(基板101の面内方向に垂直な方向)に沿っている。図8Bに示したように、この光学補償板100の光軸Zcを、液晶層103に対して傾けて配置することで、液晶層103の残留リタデーションを補償することができる。具体的には、光学補償板100の光軸Zcが、液晶分子103aの長軸方向Zpと略平行な方向(液晶分子103aのプレチルト角に応じた方向)に沿って配置されるように、光学補償板100が物理的に傾けられて設置される。ところが、この比較例1の光学補償板100では、光学補償板100を傾けるための機構あるいはスペースを要する。
【0056】
また、この他にも、プリズム形状を用いた光学補償板(例えば上記特許文献4)もある。プリズム形状を用いることで、比較例1のように光学補償板自体を傾けることなく、光軸Zcだけを傾けることが可能である。
【0057】
しかしながら、光学補償板にプリズム形状を用いた場合、プリズム形状に起因する光損失(回折または散乱)が生じ、透過率の低下およびコントラストの低下につながる。
【0058】
これに対し、本実施の形態では、図9Aに示したように、光学補償板33が、複数の構造体332A1を含む下地層332Aを有する。各構造体332A1は、互いに傾斜角の異なる第1面S1および第2面S2を含んでいる。光学補償板33では、この下地層332Aの上に、交互に繰り返し積層された複数の屈折率膜332b1,332b2を含む積層膜332Bが形成されている。
【0059】
これにより、図9Bに示したように、光学的には、光学補償板33が、光軸Zcが傾いたネガティブC−plateとして機能する。光学補償板33の光軸Zcは、液晶分子32aの長軸方向Zpと略平行な方向(液晶分子103aのプレチルト角に応じた方向)に沿って配置される。このような光学補償板33が用いられることで、液晶表示素子32の残留リタデーションを補償することができる。また、積層膜332Bの下地層332Aにおける複数の構造体332A1の配列周期Aが可視光の波長よりも小さいことにより、光学補償板33での回折の影響が抑制され、光損失が低減される。
【0060】
また、本実施の形態では、積層膜332Bを構成する屈折率膜332b1,332b2が無機絶縁材料を含むことにより、例えば液晶ポリマー等の有機材料から構成される場合(上記特許文献1)に比べ、熱および光による材料劣化が生じにくい。このため、長時間使用後も、部品替え等が不要な(メンテナンスフリーの)液晶表示装置30R,30G,30Bおよび投射型表示装置1を実現できる。
【0061】
更に、本実施の形態では、図9Bに示したように、光学補償板33自体を物理的に傾けることなく、光軸Zcを傾けて配置することができるので、比較例1に比べ、省スペース化および構成の簡易化を実現できる。また、これにより低コスト化を実現可能となる。
【0062】
以上のように本実施の形態では、液晶表示装置30R,30G,30Bのそれぞれにおいて、光学補償板33が、複数の構造体332A1を含む下地層332Aを有し、各構造体332A1は、互いに傾斜角(e11,e12)の異なる第1面S1および第2面S2を含む。光学補償板33において、下地層332Aの上に、複数の屈折率膜332b1,332b2を含む積層膜332Bが形成されることで、光軸Zcの傾いたネガティブC−plateの機能を実現して、液晶表示素子32における残留リタデーションを補償することができる。また、下地層332Aの複数の構造体332A1の配列周期Aが可視光の波長よりも小さいことにより、光学補償板33での回折の影響による光損失を低減することができる。よって、高輝度および高コントラスト比を実現することが可能となる。
【0063】
以下、本開示の他の実施の形態および変形例について説明する。尚、上記第1の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0064】
<第2の実施形態>
[構成]
図10は、本開示の第2の実施の形態に係る液晶表示装置の構成例を表したものである。この液晶表示装置は、上記第1の実施の形態の液晶表示装置30R,30G,30Bのいずれかに相当するものであり、上記第1の実施の形態と同様の構成要素(光源11、照明光学系20、色合成プリズム40および投射レンズユニット41)を備えた投射型表示装置に適用可能である。
【0065】
本実施の形態の液晶表示装置は、上記第1の実施の形態の液晶表示装置30R,30G,30Bと同様、照明光学系20から出射される光を変調して出射する光変調装置(空間変調装置)である。また、一対の偏光板(第1偏光板31,第2偏光板34)間に、液晶表示素子(液晶表示素子35)を備えている。
【0066】
但し、本実施の形態では、上記第1の実施の形態と異なり、液晶表示素子35の残留リタデーションを補償する光学補償素子(光学補償層36)が、液晶表示素子35と、液晶表示素子35を封止する一対の基板(駆動基板351,対向基板356)とのうちの少なくとも一方の基板との間に設けられている。
【0067】
図11は、光学補償層36を説明するための要部構成例を表したものである。尚、図11では、液晶表示素子35における3つの画素Pに相当する領域のみを示している。液晶表示素子35は、TFT352等を含む駆動基板351と対向基板356との間に封止されると共に、一対の電極(画素電極354a,対向電極354b)間に、液晶層355を含んで構成されている。本実施の形態では、光学補償層36が、駆動基板351および対向基板356のうちの一方の基板と、画素電極354aおよび対向電極354bのうちの一方の電極との間に設けられている。この例では、光学補償層36が、対向基板356と対向電極354bとの間に設けられている。対向基板356上には、レンズ357が画素P毎に設けられている。尚、本実施の形態の「光学補償層36」が本開示における「光学補償素子」の一具体例に相当する。
【0068】
駆動基板351は、TFT352と共に、例えば、図示しない信号線および走査線等の配線および保持容量等を含む画素回路を含んで構成されている。
【0069】
液晶表示素子353は、画素電極354aおよび対向電極354bを通じて液晶層355へ駆動電圧が印加されることにより、光透過率が変調されるものである。液晶層355には、上記第1の実施の形態の液晶表示素子32の液晶層と同様、例えばVAモードの液晶が用いられる。また、この他にも、例えばTNモード、ECBモード、FFSモードあるいはIPSモード等の液晶が用いられても構わない。尚、画素電極354aおよび対向電極354bのそれぞれと液晶層355との間には、図示しない配向膜が形成されている。
【0070】
光学補償層36は、上記第1の実施の形態の光学補償板33と同様、液晶層355における残留リタデーションを補償する光学素子である。上述したように、液晶層355では、液晶分子のプレチルト等に依存して、位相差(残留リタデーション)を生じて透過率が変化する。特に、VAモードの液晶では、黒表示時の残留リタデーションにより、コントラストの低下が生じる。光学補償層36のリタデーションは、この液晶層355の残留リタデーションを打ち消すような値に設定される。
【0071】
この光学補償層36は、上記第1の実施の形態の光学補償板33と同様、ネガティブC−plateとしての機能を有するものであり、例えば対向基板356の側から順に、下地層332Aと、積層膜332Bとを有する。積層膜332Bは、下地層332Aの上に形成されるものである。その光軸Zcは、基板面に垂直な方向から傾いて設定されている。一例としては、液晶層355がVAモードの液晶を含む場合には、光学補償層36の光軸Zcは、液晶層355の液晶分子のプレチルト方向(長軸方向)に沿って設定される。
【0072】
下地層332Aは、上記第1の実施の形態と同様、複数の構造体332A1を有している。複数の構造体332A1のそれぞれは、互いに傾斜角(傾斜角e11,e12)の異なる第1面S1および第2面S2を含む。また、各構造体332A1の配列周期Aは、可視光の波長よりも小さく設定されている。配列周期Aの一例としては、最も短波長となる液晶表示装置30Bの入射波長(例えば430nm)未満である。また望ましくは380nm以下であり、より望ましくは300nm以下であり、更に望ましくは250nm以下である。尚、図11には、1つの画素Pに計10個の構造体332A1を示しているが、構造体332A1の個数は、これに限定されるものではない。画素Pの幅(ピッチ)が、例えば3μm以上30μm以下である場合には、配列周期Aに応じて、例えば10個以上100個以下の構造体332A1を配置することができる。換言すると、配列周期Aは、画素ピッチに比べ、十分に小さく設定することができる。これは、上記第1の実施の形態においても同様である。
【0073】
積層膜332Bは、例えばネガティブC−plateとして機能するものであり、交互に繰り返し積層された複数の屈折率膜332b1,332b2を含んで構成されている。これらの屈折率膜332b1,332b2は、上述したシリコン酸化物等の無機絶縁材料を含んで構成されている。また、積層膜332Bの膜厚は、構造体332A1の第1面S1に対向する領域と、第2面S2に対向する領域とにおいて互いに異なっている。
【0074】
但し、本実施の形態の光学補償層36は、積層膜332Bの対向電極354b側の面に平坦化層332Cを有する。平坦化層332Cは、例えば、屈折率膜332b1,332b2と同等の無機絶縁材料を含んで構成され、例えば屈折率膜332b1,332b2の各膜厚よりも大きな膜厚を有している。この平坦化層332Cの積層膜332B側の面は、構造体332A1の形状に応じた凹凸形状を有し、対向電極354bの側の面は平坦となっている。
【0075】
対向基板356は、例えばガラス等の光透過性を有する無機絶縁材料から構成されている。レンズ357は、例えば、画素開口部に集光することにより、駆動基板351に配置された配線および画素回路における光損失を抑制して光利用効率を向上させるために設けられている。
【0076】
図12は、上記のような光学補償層36の形成方法の流れを表したものである。図13A図13Iは、光学補償層36の形成工程を工程順に表した断面模式図である。
【0077】
まず、光学補償層36を形成するための基材として、対向基板356を用意する(ステップS21,図13A)。続いて、この対向基板356の上に、例えばSiOよりなる下地層332Aを、例えばCVD法等により成膜する(ステップS22,図13B)。続いて、下地層332Aの上に、フォトレジスト膜150を成膜する(ステップS23,図13C)。この後、フォトレジスト膜150を、例えばハーフトーンマスクを用いて露光する(ステップS24,図13D)。続いて、異方性エッチングを行い(ステップS25)、フォトレジスト膜150を除去する。これにより、図13Eに示したように、下地層332Aに、それぞれが第1面S1および第2面S2を含む複数の構造体332A1を形成することができる。
【0078】
この後、下地層332Aの上に、積層膜332Bを形成する(ステップS26,図13F)。具体的には、上記第1の実施の形態と同様にして、例えばSiOからなる屈折率膜332b1と、例えばSiNからなる屈折率膜332b2とを、交互に複数層にわたって、それぞれ例えばCVD法およびスパッタ法等により順次成膜する。これにより、ネガティブC−plateとしての積層膜332Bを形成することができる。
【0079】
続いて、積層膜332Bの上に、平坦化層332Cを成膜する(ステップS27,図13G)。具体的には、例えばSiOからなる平坦化層332Cを、例えばCVD法により、例えば積層膜332Bよりも大きな厚みで成膜する。この後、成膜した平坦化層332Cの表面を、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により研磨し、平坦化する(ステップS28,図13H)。このようにして、対向基板356の上に、光学補償層36を形成することができる。
【0080】
この光学補償層36の平坦化層332Cの上に、例えばITO(酸化インジウム錫)等からなる対向電極354bを、例えばスパッタ法等により成膜する(ステップS29,図13I)。以上のように、対向基板356上に、光学補償層36および対向電極354bをこの順に形成することができる。
【0081】
[作用、効果]
本実施の形態の液晶表示装置においても、上記第1の実施の形態で述べたように、液晶表示素子35の液晶層355では、液晶分子のプレチルト等に依存して、位相差(残留リタデーション)を生じる。特に、VAモードの液晶では、黒表示時の残留リタデーションにより光が僅かに透過し、コントラストの低下を招く。
【0082】
この残留リタデーションは、上述したように、ネガティブC−plateの光軸を傾けて配置することで、補償することができる。ここで、図14に、本実施の形態の比較例(比較例2)に係る光学補償層1046を備えた液晶パネル104について示す。この液晶パネル104は、例えば、TFT1042等を含む駆動基板1041上に、液晶表示素子1043、光学補償層1046、対向基板1047およびレンズ1048をこの順に有している。液晶表示素子1043は、駆動基板1041および対向基板1047の間に封止されると共に、画素電極1044aおよび対向電極1044bの間に、液晶層1045を含んで構成されている。
【0083】
この比較例2の液晶パネル104では、光学補償層1046において、複数のプリズム形状1046Aが設けられている。プリズム形状1046Aは、例えば1つの画素Pに対して1つ配置されており、例えば傾斜する面S100を含んで構成されている。このプリズム形状1046Aを用いることで、光学補償層1046の光軸Zcを傾けて配置することが可能である。しかしながら、光学補償層1046にプリズム形状1046Aを用いた場合、このプリズム形状1046Aに起因する光損失(回折または散乱)が生じ、この結果、透過率の低下およびコントラストの低下が生じる。
【0084】
これに対し、本実施の形態では、図11に示したように、液晶表示素子35の対向電極354bと対向基板356との間に設けられた光学補償層36が、複数の構造体332A1を含む下地層332Aを有する。各構造体332A1は、互いに傾斜角の異なる第1面S1および第2面S2を含んでいる。光学補償層36では、この下地層332Aの上に、交互に繰り返し積層された複数の屈折率膜332b1,332b2を含む積層膜332Bが形成されている。これにより、上記第1の実施の形態と同様、光学的には、光学補償層36が、光軸Zcが傾いたネガティブC−plateとして機能する。これにより、液晶層355の残留リタデーションを補償することができる。また、下地層332Aにおける複数の構造体332A1の配列周期Aが可視光の波長よりも小さいことにより、光学補償層36での回折の影響が抑制され、上記の比較例2に比べ光損失が低減される。
【0085】
以上のように本実施の形態の液晶表示装置では、光学補償層36が、複数の構造体332A1を含む下地層332Aを有し、各構造体332A1は、互いに傾斜角の異なる第1面S1および第2面S2を含む。光学補償層36において、下地層332Aの上に、複数の屈折率膜332b1,332b2を含む積層膜332Bが形成されることで、光軸Zcの傾いたネガティブC−plateの機能を実現して、液晶表示素子35における残留リタデーションを補償することができる。また、下地層332Aの複数の構造体332A1の配列周期Aが可視光の波長よりも小さいことにより、光学補償層36での回折の影響による光損失を低減することができる。よって、上記第1の実施の形態と同様、高輝度および高コントラスト比を実現することが可能となる。
【0086】
<実施例>
次に、上記第1の実施の形態の光学補償板33、および上記第2の実施の形態の光学補償層36のそれぞれの実施例(実施例1,2)について示す。
【0087】
(実施例1)
図15は、上記第1の実施の形態の光学補償板33の要部構成例を表したものである。図16には、図15に示した光学補償板33の各設計値の一例について示す。図15に示したように、構造体332A1の配列周期をA、高さをB、第1面S1の傾斜角をe11、第2面S2の傾斜角をe12、第1面S1に対向する底辺の長さをC1、第2面S2に対向する底辺の長さをC2とする。また、積層膜332Bの領域D1における膜厚をt1、領域D2における膜厚をt2、基板面に垂直な方向における膜厚をtとする。これらの各値は、例えば図16に示したように、設定することができる。即ち、配列周期Aが300nm、構造体332A1の高さBが150nm、底辺の長さC1が250nm,C2が50nm、傾斜角e11が36.9°,傾斜角e12が56.3°、膜厚tが4800nm、膜厚t1が3840nm、膜厚t2が2663nmである。
【0088】
尚、液晶表示素子32としては透過型の液晶表示装置(HTPS)を用いた。液晶層にはVAモードの液晶を用い、その液晶層のプレチルト角は85°(基板面に沿った水平方向を0°とする)、複屈折率(屈折率異方性)は0.13、厚みは2.7μmとした。また、光学補償板33の基板331の構成材料としては、ホウ珪酸ガラスを使用し、積層膜332Bにおける屈折率膜332b1にはSiO、屈折率膜332b2にはSiNを用いた。屈折率膜332b1,332b2の各膜厚(基板面に垂直な方向における膜厚)は30nmとし、屈折率膜332b1,332b2のそれぞれの層数は80層(トータルで160層)とした。この設計による厚み方向におけるリタデーションRthの値は280nmとなった。
【0089】
図17Aには、光学補償板33における構造体332A1の配列周期A(nm)と、入射光に対して回折および散乱した光の割合との関係について示す。このように可視光の波長未満の配列周期Aでは、回折および散乱による光の損失分が減少する傾向にあり、特に300nm以下では回折および散乱による影響が急激に減少し、250nm以下では略0%にまで低減することができる。図17Bには、配列周期A(nm)と、光利用効率の損失分との関係について示す。
【0090】
(実施例2)
図18は、上記第2の実施の形態の光学補償層36の要部構成例を表したものである。図19には、図18に示した光学補償層36の各設計値の一例について示す。図18に示したように、構造体332A1の配列周期をA、高さをB、第1面S1の傾斜角をe11、第2面S2の傾斜角をe12、第1面S1に対向する底辺の長さをC1、第2面S2に対向する底辺の長さをC2とする。また、積層膜332Bの領域D1における膜厚をt1、領域D2における膜厚をt2、基板面に垂直な方向における膜厚をtとする。これらの各値は、例えば図19に示したように、設定することができる。即ち、配列周期Aが300nm、構造体332A1の高さBが150nm、底辺の長さC1が250nm,C2が50nm、傾斜角e11が31.0°,傾斜角e12が71.6°、膜厚tが3600nm、膜厚t1が3087nm、膜厚t2が1138nmである。
【0091】
尚、液晶表示素子35としては透過型の液晶表示装置(HTPS)を用いた。液晶層355にはVAモードの液晶を用い、その液晶層のプレチルト角は85°(基板面に沿った水平方向を0°とする)、複屈折率(屈折率異方性)は0.13、厚みは2.7μmとした。また、対向基板上に積層膜332Bを形成し、屈折率膜332b1にはSiO、屈折率膜332b2にはSiNを用いた。屈折率膜332b1,332b2の各膜厚(基板面に垂直な方向における膜厚)は30nmとし、屈折率膜332b1,332b2のそれぞれの層数は60層(トータルで120層)とした。この設計による厚み方向におけるリタデーションRthの値は212nmとなった。
【0092】
<変形例1−1〜1−4>
図20Aは、変形例1−1に係る光学補償板を説明するための模式図である。図20Bは、変形例1−2に係る光学補償板を説明するための模式図である。図20Cは、変形例1−3に係る光学補償板を説明するための模式図である。図20Dは、変形例1−4に係る光学補償板を説明するための模式図である。尚、ここでは、上記第1の実施の形態と同様、基板331上に下地層332Aを有する光学補償板の構成を例に挙げて説明するが、本変形の下地層332Aの構成は、上記第2の実施の形態と同様の光学補償層にも適用可能である。
【0093】
変形例1−1〜1−4の各下地層332Aでは、上記第1の実施の形態と同様、構造体332A1が、互いに傾斜角(e11,e12)の異なる第1面S1および第2面S2を有する。また、断面形状が概ね鋸歯形状を有している。但し、変形例1−1〜1−4の下地層332Aの構成は、以下の点で、上記第1の実施の形態の下地層332Aと異なっている。
【0094】
変形例1−1の下地層332Aでは、図20Aに示したように、第2面S2が基板面に対して垂直な面となっている(傾斜角e12が90°である)。このように、傾斜角e11,e12のうちのどちらかが90°であってもよい。
【0095】
変形例1−2の下地層332Aでは、図20Bに示したように、第1面S1および第2面S2以外の面(第3面S3)を有している。この例では、下地層332Aの断面形状が台形状となっている。このように、構造体332A1は少なくとも第1面S1および第2面S2を含む多面体であればよく、第1面S1および第2面S2以外の面を有していても構わない。
【0096】
変形例1−3の下地層332Aでは、図20Cに示したように、構造体332A1が曲面を有している。構造体332A1の断面形状は、例えば、上記第1の実施の形態の構造体332A1の断面形状(三角形状)が丸みを帯びたような形状である。この構造体332A1の曲面は、傾斜角e11を有する第1面S1と、傾斜角e12を有する第2面S2とを含む多面体と見做す(多面体に近似する)ことができる。例えば、構造体332A1の頂点hを境にして2つの平面(第1面S1および第2面S2)を有する構造と見做すことができる。このように、構造体332A1は、第1面S1および第2面S2に近似される曲面を有していても構わない。
【0097】
変形例1−4の下地層332Aでは、図20Dに示したように、複数の構造体332A1が、離散して配置されている。即ち、構造体332A1同士の間に、間隙D3を有している。このように、下地層332Aにおいて、複数の構造体332A1は、上記第1の実施の形態のように、敷き詰められて配置されていてもよいし、本変形例のように、離散して配置されていてもよい。
【0098】
尚、下地層332Aにおいて、各構造体332A1は、例えば図21Aに模式的に示したように、基板面内の一方向(Y方向)に沿って延在して配置されていてもよい。あるいは、図21Bに模式的に示したように、複数の構造体332A1が、X方向およびY方向に沿ってマトリクス状に配置されていても構わない。
【0099】
<他の変形例>
また、光学補償板33(光学補償層36)では、例えば図22に模式的に示したように、互いに光軸(ネガティブC−plateの光軸Zc)方向の異なる複数の領域(ここでは2つの領域F1,F2を示す)を有していてもよい。これらの領域F1,F2では、互いに異なる方向に傾いた光軸Zc1,Zc2を有している。例えば、液晶表示素子32(液晶表示素子35)の液晶層が、配向分割(マルチドメイン)技術により配向方向の異なる複数の領域を含む場合等には、この液晶層の領域毎の配向方向に応じて、光軸Zcの方向(傾斜方向)を変化させることが望ましい。
【0100】
以上、実施の形態およびその変形例を挙げて説明したが、本開示は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態等で述べた、各構成要素の材料、形状およびサイズ等はあくまで一例であり、記載したものに限定される訳ではない。
【0101】
また、上記実施の形態等では、光学補償素子が1箇所(一対の偏光板のうちの一方の偏光板と液晶表示素子との間)に配置された構成を例示したが、光学補償素子は複数箇所に配置されていてもよい。例えば、光学補償素子は、液晶表示素子と、一対の偏光板のそれぞれの偏光板との間の計2箇所に配置されていてもよい。また、複数箇所に配置される場合、偏光板と基板との間に配置される光学補償素子(例えば、上記第1の実施の形態の光学補償板33)と、基板と電極との間に配置される光学補償素子(例えば、上記第2の実施の形態の光学補償層36)とが混在していてもよい。
【0102】
尚、本明細書中に記載された効果は一例であり、他の効果であってもよいし、更に他の効果を含んでいてもよい。
【0103】
例えば、本開示は以下のような構成を取ることができる。
(1)
一対の偏光板と、
前記一対の偏光板の間に設けられた液晶表示素子と、
前記一対の偏光板のうちの少なくとも一方の偏光板と前記液晶表示素子との間に設けられた光学補償素子と
を備え、
前記光学補償素子は、
それぞれが、互いに傾斜角の異なる第1面および第2面を含む複数の構造体を有する下地層と、
前記下地層の上に形成されると共に、交互に繰り返し積層された複数の第1および第2の屈折率膜を含む積層膜と
を有し、
前記下地層における前記複数の構造体の配列周期は可視光の波長よりも小さい
液晶表示装置。
(2)
前記積層膜の膜厚は、前記第1面に対向する領域と、前記第2面に対向する領域とにおいて互いに異なっている
上記(1)に記載の液晶表示装置。
(3)
前記複数の構造体の配列周期は、380nm以下である
上記(1)または(2)に記載の液晶表示装置。
(4)
前記複数の構造体の配列周期は、300nm以下である
上記(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
(5)
前記複数の構造体の配列周期は、250nm以下である
上記(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
(6)
前記液晶表示素子は、一対の基板間に封止されると共に、一対の電極間に液晶層を含んで構成され、
前記光学補償素子は、前記一対の基板のうちの一方の基板と前記一対の偏光板のうちの一方の偏光板との間に設けられている
上記(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
(7)
前記液晶表示素子は、一対の基板間に封止されると共に、一対の電極間に液晶層を含んで構成され、
前記光学補償素子は、前記一対の基板のうちの一方の基板と前記一対の電極のうちの一方の電極との間に設けられている
上記(1)ないし(6)のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
(8)
前記光学補償素子は、前記積層膜と前記一対の電極の一方の電極との間に平坦化層を有する
上記(7)に記載の液晶表示装置。
(9)
前記液晶表示素子は、垂直配向型の液晶分子を含む液晶層を有し、
前記光学補償素子の光軸方向は、前記液晶分子のプレチルト方向に沿って設定される
上記(1)ないし(8)のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
(10)
前記光学補償素子は、互いに光軸方向の異なる複数の領域を含む
上記(9)に記載の液晶表示装置。
(11)
前記下地層の断面形状は、鋸歯状を有する
上記(1)ないし(10)のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
(12)
前記複数の構造体はそれぞれ、前記第1面および前記第2面を含む多面体または曲面を有する
上記(1)ないし(11)のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
(13)
前記下地層が形成される基板を更に備え、
前記下地層は、前記第1および第2の屈折率膜の各構成材料のうち前記基板と密着性が高い材料を含んで構成されている
上記(1)ないし(12)のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
(14)
前記第1および第2の屈折率膜の膜厚比は1:1である
上記(1)ないし(13)のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
(15)
前記第1および第2の屈折率膜はそれぞれ、無機絶縁材料を含んで構成されている
上記(1)ないし(14)のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
(16)
前記第1および第2の屈折率膜はそれぞれ、シリコン酸化物、シリコン窒化物およびシリコン酸窒化物のうちのいずれかを含んで構成されている
上記(15)に記載の液晶表示装置。
(17)
透過型液晶表示装置である
上記(1)ないし(16)のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
(18)
反射型液晶表示装置である
上記(1)ないし(16)のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
(19)
一対の偏光板と、
前記一対の偏光板の間に設けられた液晶表示素子と、
前記一対の偏光板のうちの少なくとも一方の偏光板と前記液晶表示素子との間に設けられた光学補償素子と
を備え、
前記光学補償素子は、
それぞれが、互いに傾斜角の異なる第1面および第2面を含む複数の構造体を有する下地層と、
前記下地層の上に形成されると共に、交互に繰り返し積層された複数の第1および第2の屈折率膜を含む積層膜と
を有し、
前記下地層における前記複数の構造体の配列周期は可視光の波長よりも小さい
液晶表示装置を備えた投射型表示装置。
(20)
それぞれが、互いに傾斜角の異なる第1面および第2面を含む複数の構造体を有する下地層と、
前記下地層の上に形成されると共に、交互に繰り返し積層された複数の第1および第2の屈折率膜を含む積層膜と
を備え、
前記下地層における前記複数の構造体の配列周期は可視光の波長よりも小さい
光学補償素子。
【0104】
本出願は、日本国特許庁において2016年8月30日に出願された日本特許出願番号第2016−167881号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願の全ての内容を参照によって本出願に援用する。
【0105】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図13G
図13H
図13I
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図20D
図21A
図21B
図22