特許第6939836号(P6939836)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6939836
(24)【登録日】2021年9月6日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】エレベータ装置の表示装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20210909BHJP
【FI】
   B66B3/00 L
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-67897(P2019-67897)
(22)【出願日】2019年3月29日
(65)【公開番号】特開2020-164315(P2020-164315A)
(43)【公開日】2020年10月8日
【審査請求日】2020年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】濱口 萌子
(72)【発明者】
【氏名】北村 美和子
【審査官】 加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−178613(JP,A)
【文献】 特開平07−069553(JP,A)
【文献】 特開昭63−310484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごへの乗車状況を表示する乗車状況表示部と、
全積載物がかごを占有する割合である占有割合に応じて前記乗車状況表示部の表示状態を制御する制御装置と、を備えるエレベータ装置の表示装置であって、
前記乗車状況表示部は、占有割合表示部を備え、
前記占有割合表示部は、最小表示部、最大表示部、第1中間表示部、第3中間表示部、および、第2中間表示部を含み、
前記占有割合の範囲は、最小占有範囲、最大占有範囲、第1占有範囲、第3占有範囲、および、第2占有範囲を含み、
前記最小占有範囲の上限値は、他の占有割合の範囲の下限値よりも小さく、
前記最大占有範囲の下限値は、他の占有割合の範囲の上限値よりも大きく、
前記第1占有範囲の上限値は、前記第3占有範囲の下限値よりも小さく、
前記第3占有範囲の上限値は、前記第2占有範囲の下限値よりも小さく、
前記最小表示部は、前記最小占有範囲に対応し、
前記最大表示部は、前記最大占有範囲に対応し、
前記第1中間表示部は、前記第1占有範囲に対応し、
前記第3中間表示部は、前記第3占有範囲に対応し、
前記第2中間表示部は、前記第2占有範囲に対応し、
前記制御装置は、
前記占有割合が前記最小占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記最小表示部がオンである最小表示状態に設定し、
前記占有割合が前記最大占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記最大表示部がオンである最大表示状態に設定し、
前記占有割合が前記第1占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記第1中間表示部がオンである第1中間表示状態に設定し、
前記占有割合が前記第2占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記第2中間表示部がオンである第2中間表示状態に設定し、
前記占有割合が前記第3占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記第3中間表示部がオンである第3中間表示状態に設定し、
前記第2占有範囲の上限値と下限値との差である前記第2占有範囲の幅は、前記第3占有範囲の上限値と下限値との差である前記第3占有範囲の幅よりも大きく、かつ、前記第1占有範囲の上限値と下限値との差である前記第1占有範囲の幅よりも大きい
エレベータ装置の表示装置。
【請求項2】
前記第2占有範囲の幅は、前記第1占有範囲の幅と前記第3占有範囲の幅との和以上であり、
前記第1占有範囲の幅は、前記第3占有範囲の幅以上である
請求項1に記載のエレベータ装置の表示装置。
【請求項3】
前記第2占有範囲の上限値は、100%であり、
前記第2占有範囲の下限値は、45%であり、
前記第1占有範囲の上限値は、24%であり、
前記第1占有範囲の下限値は、0%である
請求項1または2に記載のエレベータ装置の表示装置。
【請求項4】
かごへの乗車状況を表示する乗車状況表示部と、
全積載物がかごを占有する割合である占有割合に応じて前記乗車状況表示部の表示状態を制御する制御装置と、を備えるエレベータ装置の表示装置であって、
前記乗車状況表示部は、占有割合表示部を備え、
前記占有割合表示部は、最小表示部、最大表示部、第1中間表示部、第3中間表示部、第4中間表示部、および、第2中間表示部を含み、
前記占有割合の範囲は、最小占有範囲、最大占有範囲、第1占有範囲、第3占有範囲、第4占有範囲、および、第2占有範囲を含み、
前記最小占有範囲の上限値は、他の占有割合の範囲の下限値よりも小さく、
前記最大占有範囲の下限値は、他の占有割合の範囲の上限値よりも大きく、
前記第1占有範囲の上限値は、前記第3占有範囲の下限値よりも小さく、
前記第3占有範囲の上限値は、前記第4占有範囲の下限値よりも小さく、
前記第4占有範囲の上限値は、前記第2占有範囲の下限値よりも小さく、
前記最小表示部は、前記最小占有範囲に対応し、
前記最大表示部は、前記最大占有範囲に対応し、
前記第1中間表示部は、前記第1占有範囲に対応し、
前記第3中間表示部は、前記第3占有範囲に対応し、
前記第4中間表示部は、前記第4占有範囲に対応し、
前記第2中間表示部は、前記第2占有範囲に対応し、
前記制御装置は、
前記占有割合が前記最小占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記最小表示部がオンである最小表示状態に設定し、
前記占有割合が前記最大占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記最大表示部がオンである最大表示状態に設定し、
前記占有割合が前記第1占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記第1中間表示部がオンである第1中間表示状態に設定し、
前記占有割合が前記第2占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記第2中間表示部がオンである第2中間表示状態に設定し、
前記占有割合が前記第3占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記第3中間表示部がオンである第3中間表示状態に設定し、
前記占有割合が前記第4占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記第4中間表示部がオンである第4中間表示状態に設定し、
前記第2占有範囲の上限値と下限値との差である前記第2占有範囲の幅は、前記第3占有範囲の上限値と下限値との差である前記第3占有範囲の幅よりも大きく、前記第4占有範囲の上限値と下限値との差である前記第4占有範囲の幅よりも大きく、かつ、前記第1占有範囲の上限値と下限値との差である前記第1占有範囲の幅よりも大きい
エレベータ装置の表示装置。
【請求項5】
前記第2占有範囲の幅は、前記第3占有範囲の幅と前記第4占有範囲の幅と前記第1占有範囲の幅との和以上であり、
前記第1占有範囲の幅は、前記第3占有範囲の幅と前記第4占有範囲の幅との和以上である
請求項4に記載のエレベータ装置の表示装置。
【請求項6】
前記第4占有範囲の幅は、前記第3占有範囲の幅以上である
請求項4または5に記載のエレベータ装置の表示装置。
【請求項7】
前記第2占有範囲の上限値は、100%であり、
前記第2占有範囲の下限値は、50%であり、
前記第4占有範囲の下限値は、35%であり、
前記第1占有範囲の上限値は、25%であり、
前記第1占有範囲の下限値は、0%である
請求項4から6のいずれか一項に記載のエレベータ装置の表示装置。
【請求項8】
かごへの乗車状況を表示する乗車状況表示部と、
全積載物がかごを占有する割合である占有割合に応じて前記乗車状況表示部の表示状態を制御する制御装置と、を備えるエレベータ装置の表示装置であって、
前記乗車状況表示部は、占有割合表示部を備え、
前記占有割合表示部は、最小表示部、最大表示部、第1中間表示部、および、第2中間表示部を含み、
前記占有割合の範囲は、最小占有範囲、最大占有範囲、第1占有範囲、および、第2占有範囲を含み、
前記最小占有範囲の上限値は、他の占有割合の範囲の下限値よりも小さく、
前記最大占有範囲の下限値は、他の占有割合の範囲の上限値よりも大きく、
前記第1占有範囲の上限値は、前記第2占有範囲の下限値よりも小さく、
前記最小表示部は、前記最小占有範囲に対応し、
前記最大表示部は、前記最大占有範囲に対応し、
前記第1中間表示部は、前記第1占有範囲に対応し、
前記第2中間表示部は、前記第2占有範囲に対応し、
前記制御装置は、
前記占有割合が前記最小占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記最小表示部がオンである最小表示状態に設定し、
前記占有割合が前記最大占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記最大表示部がオンである最大表示状態に設定し、
前記占有割合が前記第1占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記第1中間表示部がオンである第1中間表示状態に設定し、
前記占有割合が前記第2占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記第2中間表示部がオンである第2中間表示状態に設定し、
前記第2占有範囲の上限値と下限値との差である前記第2占有範囲の幅は、前記第1占有範囲の上限値と下限値との差である前記第1占有範囲の幅よりも大きい
エレベータ装置の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かごへの乗車状況を表示するエレベータ装置の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータホールの乗り場で乗りかごを待つ待機乗客に対して、乗りかご内の積載量を示す表示装置が知られている。特許文献1に開示される表示装置は、10%ごとの積載率を表示することで、待機乗客が乗りかごの混み具合を乗りかごの到着前に認識できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−151357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エレベータ装置の表示装置において、ユーザがかごの混み具合をより正確に認識できることが好ましい。
本発明の目的は、表示装置の表示からユーザが連想するかごの混み具合と実際のかごの混み具合とのずれが低減されるエレベータ装置の表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に関する第1側面のエレベータ装置の表示装置は、かごへの乗車状況を表示する乗車状況表示部と、全積載物がかごを占有する割合である占有割合に応じて前記乗車状況表示部の表示状態を制御する制御装置と、を備えるエレベータ装置の表示装置であって、前記乗車状況表示部は、占有割合表示部を備え、前記占有割合表示部は、最小表示部、最大表示部、第1中間表示部、第3中間表示部、および、第2中間表示部を含み、前記制御装置は、前記占有割合が最小占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記最小表示部がオンである最小表示状態に設定し、前記占有割合が最大占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記最大表示部がオンである最大表示状態に設定し、前記占有割合が第1占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記第1中間表示部がオンであり前記最小表示状態の1段階上である第1中間表示状態に設定し、前記占有割合が第2占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記第2中間表示部がオンであり前記最大表示状態の1段階下である第2中間表示状態に設定し、前記占有割合が第3占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記第3中間表示部がオンであり前記第1中間表示状態と前記第2中間表示状態との間である第3中間表示状態に設定し、前記第2占有範囲の上限値と下限値との差である前記第2占有範囲の幅は、前記第3占有範囲の上限値と下限値との差である前記第3占有範囲の幅よりも大きく、かつ、前記第1占有範囲の上限値と下限値との差である前記第1占有範囲の幅よりも大きい。
【0006】
本願発明者は、実際のかごの乗車状況を視認した被験者が認識するかごの混み具合と、乗車状況表示部の表示から被験者が連想するかごの混み具合とが適合するように確認試験を実施し、その結果に基づいて占有範囲の幅を規定した。確認試験の結果に基づいて第2占有範囲の幅が上記のように規定されているため、乗車状況表示部の表示からユーザが連想したかごの混み具合と、実際のかごの状況からユーザが認識したかごの混み具合とのずれが低減される。
【0007】
好ましい例では、前記第1側面に従う第2側面のエレベータ装置の表示装置は前記第2占有範囲の幅は、前記第1占有範囲の幅と前記第3占有範囲の幅との和以上であり、前記第1占有範囲の幅は、前記第3占有範囲の幅以上である。
【0008】
上記のエレベータ装置の表示装置によれば、確認試験の結果に基づいて第2占有範囲および第1占有範囲の幅が上記のように規定されているため、乗車状況表示部の表示からユーザが連想したかごの混み具合と、実際のかごの状況からユーザが認識したかごの混み具合とのずれが低減される。
【0009】
好ましい例では、前記第1または第2側面に従う第3側面のエレベータ装置の表示装置は、前記第2占有範囲の上限値は、100%であり、前記第2占有範囲の下限値は、45%であり、前記第1占有範囲の上限値は、24%であり、前記第1占有範囲の下限値は、0%である。
【0010】
上記のエレベータ装置の表示装置によれば、確認試験の結果に基づいて占有範囲の上限値および下限値が設定されているため、乗車状況表示部の表示からユーザが連想したかごの混み具合と、実際のかごの状況からユーザが認識したかごの混み具合とのずれが低減される。
【0011】
本発明に関する第4側面のエレベータ装置の表示装置は、かごへの乗車状況を表示する乗車状況表示部と、全積載物がかごを占有する割合である占有割合に応じて前記乗車状況表示部の表示状態を制御する制御装置と、を備えるエレベータ装置の表示装置であって、前記乗車状況表示部は、占有割合表示部を備え、前記占有割合表示部は、最小表示部、最大表示部、第1中間表示部、第3中間表示部、第4中間表示部、および、第2中間表示部を含み、前記制御装置は、前記占有割合が最小占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記最小表示部がオンである最小表示状態に設定し、前記占有割合が最大占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記最大表示部がオンである最大表示状態に設定し、前記占有割合が第1占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記第1中間表示部がオンであり前記最小表示状態の1段階上である第1中間表示状態に設定し、前記占有割合が第2占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記第2中間表示部がオンであり前記最大表示状態の1段階下である第2中間表示状態に設定し、前記占有割合が第3占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記第3中間表示部がオンであり前記第1中間表示状態と第2中間表示状態との間である第3中間表示状態に設定し、前記占有割合が第4占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記第4中間表示部がオンであり前記第3中間表示状態と第2中間表示状態との間である第4中間表示状態に設定し、前記第2占有範囲の上限値と下限値との差である前記第2占有範囲の幅は、前記第3占有範囲の上限値と下限値との差である前記第3占有範囲の幅よりも大きく、前記第4占有範囲の上限値と下限値との差である前記第4占有範囲の幅よりも大きく、かつ、前記第1占有範囲の上限値と下限値との差である前記第1占有範囲の幅よりも大きい。
【0012】
本願発明者は、実際のかごの乗車状況を視認した被験者が認識するかごの混み具合と、乗車状況表示部の表示から被験者が連想するかごの混み具合とが適合するように確認試験を実施し、その結果に基づいて占有範囲の幅を規定した。確認試験の結果に基づいて第2占有範囲の幅が上記のように規定されているため、乗車状況表示部の表示からユーザが連想したかごの混み具合と、実際のかごの状況からユーザが認識したかごの混み具合とのずれが低減される。
【0013】
好ましい例では、前記第4側面に従う第5側面のエレベータ装置の表示装置は、前記第2占有範囲の幅は、前記第3占有範囲の幅と前記第4占有範囲の幅と前記第1占有範囲の幅との和以上であり、前記第1占有範囲の幅は、前記第3占有範囲の幅と前記第4占有範囲の幅との和以上である。
【0014】
確認試験の結果に基づいて第2占有範囲の幅および第1占有範囲の幅が上記のように規定されているため、乗車状況表示部の表示からユーザが連想したかごの混み具合と、実際のかごの状況からユーザが認識したかごの混み具合とのずれが低減される。
【0015】
好ましい例では、前記第4または第5側面に従う第6側面のエレベータ装置の表示装置は、前記第4占有範囲の幅は、前記第3占有範囲の幅以上である。
確認試験の結果に基づいて第4占有範囲の幅が上記のように規定されているため、乗車状況表示部の表示からユーザが連想したかごの混み具合と、実際のかごの状況からユーザが認識したかごの混み具合とのずれが低減される。
【0016】
好ましい例では、前記第4から第6側面のいずれか一つに従う第7側面のエレベータ装置の表示装置は、前記第2占有範囲の上限値は、100%であり、前記第2占有範囲の下限値は、50%であり、前記第4占有範囲の下限値は、35%であり、前記第1占有範囲の上限値は、25%であり、前記第1占有範囲の下限値は、0%である。
【0017】
確認試験の結果に基づいて各占有範囲の上限値および下限値が上記のように規定されているため、乗車状況表示部の表示からユーザが連想したかごの混み具合と、実際のかごの状況からユーザが認識したかごの混み具合とのずれが低減される。
【0018】
本発明に関する第8側面のエレベータ装置の表示装置は、かごへの乗車状況を表示する乗車状況表示部と、全積載物がかごを占有する割合である占有割合に応じて前記乗車状況表示部の表示状態を制御する制御装置と、を備えるエレベータ装置の表示装置であって、前記乗車状況表示部は、占有割合表示部を備え、前記占有割合表示部は、最小表示部、最大表示部、第1中間表示部、および、第2中間表示部を含み、前記制御装置は、前記占有割合が最小占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記最小表示部がオンである最小表示状態に設定し、前記占有割合が最大占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記最大表示部がオンである最大表示状態に設定し、前記占有割合が第1占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記第1中間表示部がオンであり前記最小表示状態の1段階上である第1中間表示状態に設定し、前記占有割合が第2占有範囲に含まれる場合に、前記占有割合表示部を前記最大表示部前記第2中間表示部がオンであり前記最大表示状態の1段階下である第2中間表示状態に設定し、前記第2占有範囲の上限値と下限値との差である前記第2占有範囲の幅は、前記第1占有範囲の上限値と下限値との差である前記第1占有範囲の幅よりも大きい。
【0019】
本願発明者は、実際のかごの乗車状況を視認した被験者が認識するかごの混み具合と、乗車状況表示部の表示から被験者が連想するかごの混み具合とが適合するように確認試験を実施し、その結果に基づいて占有範囲の幅を規定した。確認試験の結果に基づいて第2占有範囲の幅が上記のように規定されているため、乗車状況表示部の表示からユーザが連想したかごの混み具合と、実際のかごの状況からユーザが認識したかごの混み具合とのずれが低減される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ユーザが乗車状況表示部の表示から連想するかごの混み具合と、実際のかごの状況からユーザが認識するかごの混み具合とのずれが低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態のエレベータ装置の正面図。
図2図1のエレベータ装置の表示装置の電気的構成を示すブロック図。
図3図1の操作盤および情報表示部の正面図。
図4図3の情報表示部の占有割合表示部の拡大図。
図5】第1変換テーブルを示す表。
図6】第1確認試験を実施した結果を示す図。
図7】第2実施形態のエレベータ装置の表示装置の電気的構成を示すブロック図。
図8】第2実施形態の占有割合表示部の拡大図。
図9】第2変換テーブルを示す表。
図10】第2確認試験を実施した結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
図1に示されるように、エレベータ装置100が設置された建築物200の各フロアには、エレベータ装置100のかご110への乗車を予定している人(以下「ユーザ」という)が待機するための乗り場200Aが設けられている。かご110が移動する図示しない昇降路と乗り場200Aとを区画する建築物200の壁240には、昇降路と乗り場200Aとを繋げる開口220が設けられている。開口220には、開口220を開閉する乗降戸230が設けられている。
【0023】
エレベータ装置100は、図1に示されるように、情報表示部20、および、操作盤300を備えており、図2に示されるように、制御装置30、第1検出部400、および、第2検出部500をさらに備えている。情報表示部20は、エレベータ装置100に関する様々な情報(以下「エレベータ情報」という)を表示する。情報表示部20は、制御装置30と電気的に接続されている。制御装置30は、エレベータに関する種々の制御を実行する。情報表示部20および制御装置30は、表示装置10を構成する。制御装置30は、第1検出部400および第2検出部500が送信する検出信号を受信できるように第1検出部400、および、第2検出部500と電気的に接続されている。第1検出部400は、エレベータ装置100のかご110の積載物に関する情報を検出する。一例では、第1検出部400は、積載物の重量、および、積載物が占める占有面積の少なくとも1つを検出する。第1検出部400の一例は、積載物の重さを検出する荷重センサ、または、積載物の占有面積を検出する光電センサ、および、カメラである。第2検出部500は、エレベータ装置100の図示しない綱車の回転量を検出する。操作盤300は、壁240における開口220の側方の部分に設けられ、ユーザによって操作される。
【0024】
制御装置30は、第1検出部400、および、第2検出部500の検出結果に基づいて、第1制御、第2制御、および、第3制御を実行する。第1制御は、第2検出部500の検出結果に基づいて、昇降路におけるかご110の位置であるかご位置を算出する制御である。第2制御は、第1検出部400の検出結果に基づいて、かご110の乗車状況等を算出する制御である。第3制御は、かご位置、および、乗車状況に基づいて、情報表示部20の表示を変更する制御である。制御装置30は、第1〜第3制御を実行する別々の制御装置により構成されていてもよい。
【0025】
かご110の各積載物の種類は、第1種積載物、第2種積載物、および、第3種積載物に分類される。第1種積載物は、かご110に乗車している人である。第2種積載物は、かご110に乗車している人、および、その人がつれている車の組である。第2種積載物に含まれる車は、第1種車および第2種車に分類される。第1種車は、人が乗っていない車である。第1種車の一例は、ショッピングカートである。第2種車は、人が乗っている車である。第2種車の一例は、ベビーカーおよび車椅子である。第3種積載物は、人が乗っている車である。第3種積載物に含まれる車の一例は、車椅子である。
【0026】
制御装置30は、第2制御において、エレベータ情報の一例として乗車状況を算出する。乗車状況の一例は、かご110の定格積載量に対する全積載物の重量の割合(以下「重量割合」という)、または、かご110の床の総面積に対する全積載物の占有面積の割合(以下「占有割合」という)である。重量割合は、各積載物の重量を示す第1検出部400の信号に基づいて算出される。占有割合は、全積載物の占有面積をかご110の床の面積で除すことにより算出される。全積載物の占有面積は、全積載物をかご110の床に投影した面積である。全積載物の占有面積の求め方は、任意に選択できる。第1例では、全積載物の占有面積は例えば特開2012−193007号公報に記載されているように、かご110の出入口またはその近傍に設けられる第1検出部400の検出結果に基づいて、制御装置30がかご110の各積載物の種類を判定し、予め規定される各積載物の種類と占有面積との関係から各積載物の占有面積を算出する。そして、算出した各積載物の占有面積を合算して、全積載物の占有面積を算出する。第2例では、全積載物の占有面積は、第1検出部400の画像情報に基づいて算出される。制御装置30は、画像情報により各積載物の占有面積を算出する。そして、算出した各積載物の占有面積を合算して、全積載物の占有面積を算出する。
【0027】
図3は、情報表示部20および操作盤300の正面図である。情報表示部20および操作盤300は、上下に並べて壁240に設けられている。好ましくは、情報表示部20は、ユーザが視認しやすいように操作盤300よりも上方に設けられる。
【0028】
操作盤300は、壁240に取り付けられている図示しないブラケットに固定されたフェースプレート300C、ならびに、フェースプレート300Cに形成された孔から突き出た上方呼び登録ボタン300A、および、下方呼び登録ボタン300Bを備えている。上方呼び登録ボタン300Aは、上のフロアに移動する場合にかご110を呼ぶボタンである。下方呼び登録ボタン300Bは、下のフロアに移動する場合にかご110を呼ぶボタンである。
【0029】
情報表示部20は、壁240に取り付けられている図示しないブラケットに固定された樹脂板40、かご110の位置に関する情報、および、かご110の進行方向に関する情報を表示するかご情報表示部50、ならびに、かご110の乗車状況に関する情報を表示する乗車状況表示部60を備えている。
【0030】
樹脂板40を構成する材料は、一例では半透明の樹脂材料である。樹脂板40の表面は、着色されている。表面の色の一例は、ブルースモークである。樹脂板40には、第1窓41、および、第2窓42が形成されている。第1窓41の形状は、縦長の長方形である。第2窓42は、第1窓41の下方に形成されている。第2窓42の形状は、横長の長方形である。
【0031】
かご情報表示部50は、第1窓41に配置された図2に示されるLEDドットマトリクス51を含む。LEDドットマトリクス51は、かご110の進行方向を示す矢印、および、かご110が着床している階、または、走行しているかご110の最も近い階を示す数字を表示する。
【0032】
乗車状況表示部60は、第2窓42に配置された光拡散シート61、ならびに、光拡散シート61の背面側に配置された図2に示される複数のランプ70を備えている。光拡散シート61は、乳白色の樹脂シートである。一例では、ランプ70は、LEDにより構成される。光拡散シート61の表面には、複数のランプ70の少なくとも1つから出力された光を吸収する遮光層62が設けられている。遮光層62は、黒色塗料の層である。遮光層62に設けられる孔は、占有割合表示部80および目盛線85を構成している。占有割合表示部80は、かご110の乗車状況である占有割合を表示する。占有割合表示部80は、最小表示部80A、最大表示部80B、および、第1中間表示部81、第3中間表示部83、および、第2中間表示部82を含む。
【0033】
占有割合表示部80および目盛線85は、複数のランプ70のうちの対応するランプ70の光を乗り場200A側に透過させる。制御装置30は、エレベータ装置100の電源が投入されているとき、かご110の乗車状況を算出し、算出した乗車状況に基づいて複数のランプ70の点灯および消灯を制御する。
【0034】
複数のランプ70は、最小レベルランプ70A、最大レベルランプ70B、第1ランプ71、第2ランプ72、第3ランプ73、および、目盛ランプ75を含む。複数のランプ70が出力する光の色は、任意に選択できる。第1例では、複数のランプ70は同じ色を出力する。第2例では、複数のランプ70のうちの少なくとも2つのランプ70は、互いに異なる色を出力する。なお、乗車状況表示部60を光拡散シート61、および、複数のランプ70を用いて構成したが、乗車状況表示部60を液晶ディスプレイにより構成することもできる。
【0035】
占有割合表示部80の表示は、対応するランプ70の点灯状態に応じてオンまたはオフをとる。最小表示部80Aの点灯状態がオンとは、最小表示部80Aに対応する最小レベルランプ70Aが点灯し、最小表示部80Aが最小レベルランプ70Aの光を透過している状態である。最小表示部80Aの点灯状態がオフとは、最小表示部80Aに対応する最小レベルランプ70Aが消灯し、最小表示部80Aが最小レベルランプ70Aの光を透過していない状態である。最大表示部80Bの点灯状態がオンとは、最大表示部80Bに対応する最大レベルランプ70Bが点灯し、最大表示部80Bが最大レベルランプ70Bの光を透過している状態である。最大表示部80Bの点灯状態がオフとは、最大表示部80Bに対応する最大レベルランプ70Bが消灯し、最大表示部80Bが最大レベルランプ70Bの光を透過していない状態である。複数の中間表示部81〜83の点灯状態がオンとは、複数の中間表示部81〜83のそれぞれに対応するランプ71〜73が点灯し、複数の中間表示部81〜83のそれぞれに対応するランプ71〜73の光を透過している状態である。複数の中間表示部81〜83の点灯状態がオフとは、複数の中間表示部81〜83のそれぞれに対応するランプ71〜73が消灯し、複数の中間表示部81〜83のそれぞれに対応するランプ71〜73の光を透過していない状態である。最小レベルランプ70Aは、最小表示部80Aの表示のオンとオフとを切り替える。最大レベルランプ70Bは、最大表示部80Bの表示のオンとオフとを切り替える。第1ランプ71は、第1中間表示部81の表示のオンとオフとを切り替える。第2ランプ72は、第2中間表示部82の表示のオンとオフとを切り替える。第3ランプ73は、第3中間表示部83の表示のオンとオフとを切り替える。目盛ランプ75は、常に点灯している。このため、目盛線85の表示は常にオンである。
【0036】
占有割合表示部80は、第1例では、乗車状況に応じて最小表示部80A、最大表示部80B、および、複数の中間表示部81〜83のいずれか1つの表示部がオンとなり、他の表示部がオフとなることにより乗車状況を表示する。第2例では、乗車状況に応じて最小表示部80A、最大表示部80B、および、複数の中間表示部81〜83の少なくとも1つの表示部がオンとなることにより乗車状況を表示する。
【0037】
図4に示されるように、最小表示部80A、最大表示部80B、および、複数の中間表示部81〜83は、左右方向において最小表示部80A、第1中間表示部81、第3中間表示部83、第2中間表示部82、および、最大表示部80Bの順に整列している。最小表示部80A、最大表示部80B、および、複数の中間表示部81〜83は、対応するランプ70の光を乗り場200A側に透過させることができるようにランプ70に対して乗り場200A側に設けられている。
【0038】
最小表示部80Aは、人が搭乗していないかごを連想させるデザインを有し、目盛線85の複数の刻み85Aのうちの最も左側に設けられる。このため、最小表示部80Aは、かご110に乗車できる余裕があることをユーザに連想させることができるシンボルとして機能する。最大表示部80Bは、複数の人が搭乗しているかごを連想させるデザインを有し、目盛線85の複数の刻み85Aのうちの最も右側に設けられる。このため、最大表示部80Bは、かご110に乗車できる余裕がないことをユーザに連想させることができるシンボルとして機能する。複数の中間表示部81〜83は、好ましくは棒形状である。複数の中間表示部81〜83の長手方向の寸法は、第2中間表示部82、第3中間表示部83、および、第1中間表示部81の順に長い。目盛線85の複数の刻み85Aは、最小表示部80A、最大表示部80B、および、複数の中間表示部81〜83の視認性を向上させる。
【0039】
制御装置30は、乗車状況に応じて占有割合表示部80の表示状態を制御する。制御装置30は、かご110の乗車状況である占有割合の範囲と占有割合表示部80の表示状態とが対応付けられた第1変換テーブルを用いて占有割合表示部80の表示状態を制御する。占有割合の範囲は、最小占有範囲、第1占有範囲、第3占有範囲、第2占有範囲、および、最大占有範囲を含む。
【0040】
図5を参照して、第1変換テーブルについて説明する。
占有割合の範囲がRE%以下の場合、占有割合は最小占有範囲であり、制御装置30は、占有割合表示部80を最小表示部80Aがオンである最小表示状態に設定する。占有割合表示部80が最小表示状態である場合、かご110が無人状態であるとユーザに連想させることができる。最小表示状態では、占有割合表示部80のうちの最小表示部80Aのみがオンに設定される。
【0041】
占有割合の範囲が、RF%超の場合、占有範囲は最大占有範囲であり、制御装置30は、占有割合表示部80を最大表示部80Bがオンである最大表示状態に設定する。占有割合表示部80が最大表示状態の場合、かご110が満員状態であるとユーザに連想させることができる。最大表示状態において、第1例では、最大表示部80Bのみがオンである。第2例では、最小表示部80A、第1中間表示部81、第3中間表示部83、第2中間表示部82、および最大表示部80Bのすべてがオンである。
【0042】
占有割合の範囲がRE%超〜RA%以下の場合、占有割合は第1占有範囲であり、制御装置30は、占有割合表示部80を第1中間表示部81がオンである最小表示状態の1段階上の第1中間表示状態に設定する。占有割合表示部80が第1中間表示状態である場合、かご110に乗り込んだ場合にかご110内の乗客が2人のみとなり、犯罪に遭う可能性が存在するとユーザに連想させることができる。第1中間表示状態において、第1例では、第1中間表示部81のみがオンである。第2例では、最小表示部80A、および、第1中間表示部81がオンである。
【0043】
占有割合の範囲が、RA%超〜RC%以下の場合、占有範囲は第3占有範囲であり、制御装置30は、占有割合表示部80を第3中間表示部83がオンである第1中間表示状態の1段階上の第3中間表示状態に設定する。占有割合表示部80が第3中間表示状態である場合、乗り場200Aから1人でかご110に乗り込んだ場合であっても、かご110内の乗客が2人とはならず、かつ、占有範囲が最大でも半分程度となるため、犯罪に遭う可能性が低く、かつ、かご110に乗り込むことを断念して新たに呼び登録を行わなければならない可能性が低い、とユーザに連想させることができる。第3中間表示状態において、第1例では、第3中間表示部83のみがオンである。第2例では、最小表示部80A、第1中間表示部81、および、第3中間表示部83がオンである。
【0044】
占有割合の範囲が、RC%超〜RF%以下の場合、占有範囲は第2占有範囲であり、制御装置30は、占有割合表示部80を第2中間表示部82がオンである最大表示状態の1段階下の第2中間表示状態に設定する。占有割合表示部80が第2中間表示状態の場合、かご110に乗り込むことを断念し、新たに呼び登録を行わなければならない可能性が存在することをユーザに連想させることができる。第2中間表示状態において、第1例では、第2中間表示部82のみがオンである。第2例では、最小表示部80A、第1中間表示部81、第3中間表示部83、および、第2中間表示部82がオンである。
【0045】
第1変換テーブルにおける各所定値RE、RF、RA、RCは第1確認試験に基づいて規定される値である。確認試験の目的は、実際のかご110の乗車状況に適合する占有割合表示部80の表示状態を規定することである。本願発明者は、確認試験において、実際のかご110の乗車状況からユーザが認識するかご110の混み具合と、占有割合表示部80の表示状態からユーザが連想するかご110の混み具合とのずれが低減するような組み合わせを規定することとした。このような組み合わせは、占有割合が所定範囲に含まれることに基づいて規定される占有範囲と、占有割合表示部80の表示状態との組み合わせとして第1変換テーブルに規定して、制御装置30に組み込まれる。
【0046】
第1変換テーブルを規定する第1確認試験の手順について説明する。
確認試験を行う試験者は、全積載物に含まれる積載物の種類が第1種積載物のみである状態で、各所定占有割合となるようにしたかご110内を撮影した画像(以下「試験画像」という)を複数準備する。試験者は、占有割合が0%〜100%の範囲に含まれる所定占有割合を偏らないように決定する。
【0047】
試験者は、複数の試験画像の中から任意の試験画像を抽出し、抽出した試験画像を任意の被験者に提示する。以下、この作業を提示作業という。試験者は、抽出した試験画像を確認した被験者に対して、最小表示部80A、最大表示部80B、第1中間表示部81、第2中間表示部82、または、第3中間表示部83のうちのいずれの表示部の表示がオンであることが妥当であるかを回答してもらう。以下、この作業を回答要求作業という。試験者は、提示作業および回答要求作業は全ての試験画像について全ての被験者に対して行う。被験者の数は数十人である。
【0048】
試験者は、回答要求作業で得られた被験者の回答結果をグラフにプロットする。以下、この作業をプロット作業という。プロット作業は、被験者の全ての回答結果について行う。図6は、プロット作業の結果をグラフの形式でまとめた結果である。確認試験の結果、最小表示部80Aは、占有割合が0%を示すことが妥当であり、第1中間表示部81は、占有割合が0%から24%の範囲を示すことが妥当であり、第3中間表示部83は、占有割合が24%から45%の範囲を示すことが妥当であり、第2中間表示部82は、占有割合が45%から100%の範囲を示すことが妥当であり、最大表示部80Bは、100%を示すことが妥当であるという結果が得られた。すなわち、所定値REは0、所定値RAは24、所定値RCは45、および、所定値RFは100が好ましい値であることが確認された。なお、確認試験の結果に基づいて規定される最小占有割合は0%であり、最大占有割合は100%であるが、第1変換テーブルに実際に規定される最小占有割合は0%以下の範囲であり、最大占有割合は100%超の範囲としている。この理由は、第1検出部400の検出結果から生じうる誤差を考慮した結果である。
【0049】
(第2実施形態)
第1実施形態の占有割合表示部80が、第1中間表示部81、第3中間表示部83、および、第2中間表示部82を備えるのに対して、第2実施形態の占有割合表示部280は、第1中間表示部281、第3中間表示部283、第4中間表示部284、および、第2中間表示部282を備える点が相違する。以下の説明では、第1実施形態と共通する構成について同一の符号を付し、重複する説明の一部または全部を省略する。
【0050】
図7、および、図8を参照して、第2実施形態の表示装置210、および、乗車状況表示部260について説明する。
複数のランプ270は、最小レベルランプ270A、最大レベルランプ270B、第1ランプ271、第2ランプ272、第3ランプ273、第4ランプ274、および、目盛ランプ275を含む。占有割合表示部280は、最小表示部280A、最大表示部280B、第1中間表示部281、第3中間表示部283、第4中間表示部284、および、第2中間表示部282を含む。
【0051】
図8に示されるように最小表示部280A、最大表示部280B、および、複数の中間表示部281〜284は、左右方向において最小表示部280A、第1中間表示部281、第3中間表示部283、第4中間表示部284、第2中間表示部282、および、最大表示部280Bの順に整列している。最小表示部280A、最大表示部280B、および、複数の中間表示部281〜284は、対応するランプ270の光を乗り場200A側に透過させることができるようにランプ270に対して乗り場200A側に設けられている。
【0052】
最小表示部280Aは、人が搭乗していないかごを連想させるデザインを有し、目盛線285の複数の刻み285Aのうちの最も左側に設けられる。このため、最小表示部280Aは、かご110に乗車できる余裕があることをユーザに連想させることができるシンボルとして機能する。最大表示部280Bは、複数の人が搭乗しているかごを連想させるデザインを有し、目盛線285の複数の刻み285Aのうちの最も右側に設けられる。このため、最大表示部280Bは、かご110に乗車できる余裕がないことをユーザに連想させることができるシンボルとして機能する。複数の中間表示部281〜284は、好ましくは棒形状である。複数の中間表示部281〜284の長手方向の寸法は、第2中間表示部282、第3中間表示部283、第4中間表示部284、および、第1中間表示部281の順に長い。目盛線285の複数の刻み285Aは、最小表示部280A、最大表示部280B、および、複数の中間表示部281〜284の視認性を向上させる。
【0053】
制御装置30は、乗車状況に応じて占有割合表示部280の表示状態を制御する。制御装置30は、かご110の乗車状況である占有割合の範囲と占有割合表示部280の表示状態とが対応付けられた第2変換テーブルを用いて占有割合表示部280の表示状態を制御する。占有割合の範囲は、最小占有範囲、第1占有範囲、第3占有範囲、第4占有範囲、第2占有範囲、および、最大占有範囲を含む。
【0054】
図9を参照して、第2変換テーブルについて説明する。
占有割合の範囲がRE%以下の場合、占有割合は最小占有範囲であり、制御装置30は、占有割合表示部280を最小表示部280Aがオンである最小表示状態に設定する。占有割合表示部280が最小表示状態である場合、かご110が無人状態であるとユーザに連想させることができる。最小表示状態では、占有割合表示部280のうちの最小表示部280Aのみがオンに設定される。
【0055】
占有割合の範囲が、RF%超の場合、占有範囲は最大占有範囲であり、制御装置30は、占有割合表示部280を最大表示部280Bがオンである最大表示状態に設定する。占有割合表示部280が最大表示状態の場合、かご110が満員状態であるとユーザに連想させることができる。最大表示状態において、第1例では、最大表示部280Bのみがオンである。第2例では、最小表示部280A、第1中間表示部281、第3中間表示部283、第4中間表示部284、第2中間表示部282、および、最大表示部280Bのすべてがオンである。
【0056】
占有割合の範囲がRE%超〜RA%以下の場合、占有割合は第1占有範囲であり、制御装置30は、占有割合表示部280を第1中間表示部281がオンである最小表示状態の1段階上の第1中間表示状態に設定する。占有割合表示部80が第1中間表示状態である場合、かご110に乗り込んだ場合にかご110内の乗客が2人のみとなり、犯罪に遭う可能性が存在するとユーザに連想させることができる。第1中間表示状態において、第1例では、第1中間表示部281のみがオンである。第2例では、最小表示部280A、および、第1中間表示部281がオンである。
【0057】
占有割合の範囲が、RA%超〜RB%以下の場合、占有範囲は第3占有範囲であり、制御装置30は、占有割合表示部280を第3中間表示部283がオンである第1中間表示状態の1段階上の第3中間表示状態に設定する。占有割合表示部280が第3中間表示状態である場合、乗り場200Aから1人でかご110に乗り込んだ場合であっても、かご110内の乗客が2人とはならず、かつ、占有範囲が最大でも半分程度となるため、犯罪に遭う可能性が低く、かつ、かご110に乗り込むことを断念して新たに呼び登録を行わなければならない可能性が低い、とユーザに連想させることができる。第3中間表示状態において、第1例では、第3中間表示部283のみがオンである。第2例では、最小表示部280A、第1中間表示部281、および、第3中間表示部283がオンである。
【0058】
占有割合の範囲が、RC%超〜RF%以下の場合、占有範囲は第2占有範囲であり、制御装置30は、占有割合表示部280を第2中間表示部282がオンである最大表示状態の1段階下の第2中間表示状態に設定する。占有割合表示部80が第2中間表示状態の場合、かご110に乗り込むことを断念し、新たに呼び登録を行わなければならない可能性が存在することをユーザに連想させることができる。第2中間表示状態において、第1例では、第2中間表示部282のみがオンである。第2例では、最小表示部280A、第1中間表示部281、第3中間表示部283、第4中間表示部284、および、第2中間表示部282がオンである。
【0059】
占有範囲の割合が、RB%超〜RC%以下の場合、占有範囲は第4占有範囲であり、制御装置30は、占有割合表示部80を第4中間表示部284がオンである第3中間表示状態と第2中間表示状態との間の第4中間表示状態に設定する。占有割合表示部280が第4中間表示状態である場合、乗り場200Aから1人でかご110に乗り込んだ場合であっても、かご110内の乗客が2人とはならず、かつ、占有範囲が最大でも半分程度となるため、犯罪に遭う可能性が低く、かつ、かご110に乗り込むことを断念して新たに呼び登録を行わなければならない可能性が低い、とユーザに連想させることができる。第4中間表示状態において、第1例では、第4中間表示部284のみがオンである。第2例では、最小表示部280A、第1中間表示部281、第3中間表示部283、および、第4中間表示部284がオンである。
【0060】
第2変換テーブルにおける各所定値RE、RF、RA、RB、RCは第2確認試験に基づいて規定される値である。第2確認試験の目的は、実際のかご110の乗車状況に適合する占有割合表示部280の表示状態を規定することである。本願発明者は、確認試験において、実際のかご110の乗車状況からユーザが認識するかご110の混み具合と、占有割合表示部280の表示状態からユーザが連想するかご110の混み具合とのずれが低減するような組み合わせを規定することとした。このような組み合わせは占有割合が所定範囲に含まれることに基づいて規定される占有範囲と占有割合表示部280の表示状態との組み合わせとして第1変換テーブルに規定して制御装置30に組み込まれる。
【0061】
第2変換テーブルを規定する第2確認試験の手順について説明する。
確認試験を行う試験者は、全積載物に含まれる積載物の種類が第1種積載物のみである状態で、各所定占有割合となるようにしたかご110内を撮影した試験画像を複数準備する。試験者は、占有割合が0%〜100%の範囲に含まれる所定占有割合を偏らないように決定する。
【0062】
試験者は、複数の試験画像の中から任意の試験画像を抽出し、抽出した試験画像を任意の被験者に提示する提示作業を行う。試験者は、抽出した試験画像を確認した被験者に対して、最小表示部280A、最大表示部280B、第1中間表示部281、第2中間表示部282、第3中間表示部283、または、第4中間表示部284のうちのいずれの表示部の表示がオンであることが妥当であるかを回答してもらう回答要求作業を行う。試験者は、提示作業および回答要求作業は全ての試験画像について全ての被験者に対して行う。被験者の数は数十人である。
【0063】
試験者は、回答要求作業で得られた被験者の回答結果をグラフにプロットするプロット作業を行う。プロット作業は、被験者の全ての回答結果について行う。プロット作業の結果を表の形式でまとめたものが図10のグラフである。確認試験の結果、最小表示部280Aは、占有割合が0%を示すことが妥当であり、第1中間表示部281は、占有割合が0%から25%の範囲を示すことが妥当であり、第3中間表示部283は、占有割合が25%から35%の範囲を示すことが妥当であり、第4中間表示部284は、占有割合が35%から50%の範囲を示すことが妥当であり、第2中間表示部282は、占有割合が50%から100%の範囲を示すことが妥当であり、最大表示部280Bは、100%を示すことが妥当であるという結果が得られた。すなわち、所定値REは0、所定値RAは25、所定値RBは35、所定値RCは50、および、所定値RFは100が好ましい値であることが確認された。なお、確認試験の結果に基づいて規定される最小占有割合は0%であり、最大占有割合は100%であるが、第1変換テーブルに実際に規定される最小占有割合は0%以下の範囲であり、最大占有割合は100%超の範囲としている。この理由は、第1検出部400の検出結果から生じうる誤差を考慮した結果である。
【0064】
第1実施形態の第1確認試験の結果から、以下のことが確認された。すなわち、所定値REは0、所定値RAは24、所定値RCは45、および、所定値RFは100が好ましい値であることが確認された。第2実施形態の第2確認試験の結果から、以下のことが確認された。すなわち、所定値REは0、所定値RAは25、所定値RBは35、所定値RCは50、および、所定値RFは100が好ましい値であることが確認された。
【0065】
第1確認試験の結果、および、第2確認試験の結果より以下の知見が得られた。
(1)第1実施形態においては、第2占有範囲の上限値RFと下限値RCとの差である第2占有範囲の幅は、第3占有範囲の上限値RCと下限値RAとの差である第3占有範囲の幅よりも大きく、かつ、第1占有範囲の上限値RAと下限値REとの差である第1占有範囲の幅よりも大きい。第2実施形態においては、第2占有範囲の上限値RFと下限値RCとの差である第2占有範囲の幅は、第4占有範囲の上限値RCと下限値RBとの差である第4占有範囲の幅よりも大きく、第3占有範囲の上限値RBと下限値RAとの差である第3占有範囲の幅よりも大きく、かつ、第1占有範囲の上限値RAと下限値REとの差である第1占有範囲の幅よりも大きい。
【0066】
(2)第1実施形態においては、第2占有範囲の幅は、第1占有範囲の幅と第3占有範囲の幅との和以上であり、第1占有範囲の幅は、第3占有範囲の幅以上である。第2実施形態においては、第2占有範囲の幅は、第1占有範囲の幅と第3占有範囲の幅と第4占有範囲の幅との和以上であり、第1占有範囲の幅は、第3占有範囲の幅と第4占有範囲の幅との和以上である。
【0067】
第2確認試験の結果からは、さらに以下の知見が得られた。
(3)第4占有範囲の幅は、第3占有範囲の幅以上である。
表示装置10、および、表示装置210によれば、次のような作用、および、効果が得られる。
【0068】
確認試験の結果に基づいて各占有範囲が上記のように規定されているため、表示装置10の表示からユーザが連想したかご110の混み具合と、実際のかご110の状況からユーザが認識したかご110の混み具合とのずれが低減される。
【0069】
(変形例)
各実施形態に関する説明は本発明に従うエレベータ装置の表示装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従うエレベータ装置の表示装置は各実施形態以外に例えば以下に示される各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0070】
・第1実施形態の占有割合表示部80は、最小表示部80A、最大表示部80B、第1中間表示部81、第3中間表示部83、および、第2中間表示部82を含むのに対して、変形例の占有割合表示部は、最小表示部、最大表示部、第1中間表示部、および、第2中間表示部を含む。第1確認試験、および、第2確認試験で得られた結果に基づき、変形例の占有割合表示部において、第2占有範囲の幅は、第1占有範囲の幅よりも大きくなるように設定されるのが好ましい。一例では、第1中間表示部は、占有割合が0%から45%の範囲を示し、第2中間表示部は、占有割合が45%から100%の範囲を示す。
【符号の説明】
【0071】
10、210 :表示装置
30 :制御装置
60、260 :乗車状況表示部
80、280 :占有割合表示部
80A、280A:最小表示部
80B、280B:最大表示部
81、281 :第1中間表示部
82、282 :第2中間表示部
83、283 :第3中間表示部
284 :第4中間表示部
100 :エレベータ装置
図1
図2
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図10