(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本開示を実施するための形態を説明する。
[1.構成]
図1に示す報知システム100は、電子装置20,30と、携帯情報端末40,50と、サーバ60と、を備える。電子装置20は車両200に搭載され、電子装置30は車両300に搭載されている。報知システム100は、車両のドライバに対して、移動式の自動速度違反取締装置(以下「移動式オービス」という。)10の位置を事前に報知するためのシステムである。電子装置20,30は、例えばアフターパーツとして車両200,300に取り付けられ、例えば、ドライブレコーダ、レーダ探知機、カーナビ等である。
【0020】
移動式オービス10は、道路を走行する車両の取締り及び監視を行う装置である。移動式オービス10は、レーザ送受信部11と、速度計測部12と、を備える。
レーザ送受信部11は、レーザ光を照射するとともに、照射されたレーザ光が走行中の車両に当たって反射した反射波を受信する。
【0021】
速度計測部12は、レーザ送受信部11によりレーザ光が照射されてから車両にて反射された反射波を受信するまでの時間差に基づき、その車両の速度を計測し、計測した速度を記憶する。
【0022】
電子装置20,30は、同一製品である。以下では、電子装置20を主に説明する。電子装置20は、位置検出部21、レーザ受光部22と、無線通信部23と、表示部24と、制御部25と、記憶部26と、を備える。
【0023】
位置検出部21は、電子装置20の現在位置を検出する。本実施形態では、位置検出部21は、GPS受信機である。位置検出部21は、複数のGPS衛星から信号を受信し、受信した信号を解析することによって、電子装置20の位置を検出する。位置検出部21は、緯度及び経度の絶対位置を検出する。
【0024】
レーザ受光部22は、移動式オービス10から照射されたレーザ光を受光する。レーザ光はマイクロ波に比べて指向性が強く、遠距離でレーザ光を受光することは困難である。レーザ受光部22は、移動式オービス10の数十メートル手前で移動式オービス10からのレーザ光を受光することが想定される。
【0025】
無線通信部23は、外部の装置と無線通信を行う。本実施形態では、無線通信部23は、公衆回線70を介して電子装置20の外部のサーバ60と通信を行う。ここでいう公衆回線70とは、不特定多数の利用者によって共有して利用される回線を意味し、例えば、携帯電話網やインターネット回線等である。
【0026】
本実施形態では、無線通信部23は、携帯情報端末40のテザリング機能を利用して公衆回線70に接続する。携帯情報端末40は、ユーザが携帯して使用可能な情報機器であり、例えば、携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末等である。携帯情報端末40は、例えば、車両200のドライバにより所持されることが想定される。テザリング機能とは、公衆回線70への接続機能を備える携帯情報端末40を介して他の通信機器を公衆回線70に接続させる機能である。無線通信部23は、Wi−Fi及びBluetoothの少なくとも一方の規格を用いて携帯情報端末40と無線通信を行い、携帯情報端末40を介して公衆回線70に接続する。
【0027】
また、無線通信部23は、特定小電力無線により他の車両300に搭載された電子装置30と通信を行う。つまり、無線通信部23は、P2P通信を行う。ここでいう特定小電力無線とは、電波法に基づく無線局の免許を受けることなく運用する通信手段である。本実施形態では、特定小電力無線として、最大伝送距離が10キロメートル程度のLoRA(Low Power,Wide Area)が利用される。これにより、無線通信部23は、電子装置20を基準とした最大10キロメートル程度の通信圏内の他の電子装置30等と通信を行う。なお、LoRAを使用する理由は、最大伝搬距離が広すぎず狭すぎず適度な距離であり、P2P通信が可能なためである。
【0028】
表示部24は、画像を表示可能なディスプレイである。
制御部25は、CPUと、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ(以下「メモリ」という。)と、を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。制御部25の各種機能は、CPUが非遷移的実体的記憶媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、メモリが、プログラムを格納した非遷移的実体的記憶媒体に該当する。また、このプログラムの実行により、プログラムに対応する方法が実行される。なお、制御部25を構成するマイクロコンピュータの数は1つでも複数でもよい。
【0029】
制御部25は、位置検出部21、レーザ受光部22、無線通信部23及び表示部24と接続される。制御部25は、CPUがプログラムを実行することで、
図2〜
図6に示す各種処理を実行する。
【0030】
具体的には、制御部25は、
図2に示す公衆回線送信処理を実行することにより受光位置情報及び受光時刻情報を公衆回線70を介してサーバ60に送信する。
ここでいう受光位置情報は、レーザ受光部22により移動式オービス10からのレーザ光が受光された際の電子装置20の現在位置である受光位置を示す情報である。
【0031】
なお、受光位置は、レーザ受光部22により移動式オービス10のレーザ光が受光された時点での電子装置20の現在位置に限られず、レーザ光が受光された時点から多少前後した時点での電子装置20の現在位置であってもよい。
【0032】
前述のとおり、移動式オービス10から照射されたレーザ光は、比較的近距離でレーザ受光部22により受信される。このため、受光位置と移動式オービス10の位置とは近接しており、本実施形態では、受光位置情報が移動式オービス10の位置情報であるものとして扱われる。
【0033】
一方、受光時刻情報は、レーザ受光部22により移動式オービス10からのレーザ光が受光された時の時刻を示す情報である。なお、ここでいう受光された時の時刻とは、厳密な意味での受光された時の時刻に限られず、受光された時の時刻から多少前後した時刻であってもよい。
【0034】
また、制御部25は、
図4に示す公衆回線受信処理を実行することにより、電子装置30などの他の電子装置が受光したレーザ光の受光位置情報及び受光時刻情報を公衆回線70を介してサーバ60から受信する。
【0035】
また、制御部25は、
図3に示す特定小電力送信処理及び
図5に示す特定小電力受信処理を実行することにより、特定小電力無線を利用して、受光位置情報及び受光時刻情報を他の車両300に搭載された他の電子装置30等との間で送受信する。
【0036】
なお、
図1には、電子装置20に搭載された電子装置20が移動式オービス10からのレーザ光を受光し、その受光位置情報及び受光時刻情報を公衆回線70又は特定小電力無線を介して車両300に搭載された他の電子装置30に送信する状況が示されている。
【0037】
記憶部26には、公衆回線70又は特定小電力無線を介して他の車両に搭載された他の電子装置から送信された受光位置情報及び受光時刻情報等が記憶される。本実施形態では、受光位置が電子装置20を基準とする所定範囲内で、かつ、受光時刻が現在から過去所定期間内である受光位置情報及び受光時刻情報が記憶部26に記憶されている。
【0038】
一方、車両300に搭載される電子装置30は、位置検出部31、レーザ受光部32と、無線通信部33と、表示部34と、制御部35と、記憶部36と、を備える。これらの各構成31〜36、は前述した電子装置20の各構成21〜26と同様であるため、説明を省略する。
【0039】
サーバ60は、公衆回線70を介して電子装置20,30を含む複数の電子装置と通信を行う。サーバ60には、複数の電子装置から送信されてきた受光位置情報及び受光時刻情報が記憶される。そして、サーバ60は、複数の電子装置からの要求に応じて、記憶された情報を複数の電子装置に送信する。
【0040】
[2.処理]
次に、電子装置20,30の制御部25,35が実行する各種処理について説明する。制御部25,35はいずれも同様の処理を実行する。以下では、
図1に示す状況に即して、
図2に示す公衆回線送信処理と
図3に示す特定小電力送信処理とは電子装置20の制御部25が実行する処理として説明する。また、
図3に示す公衆回線受信処理と
図4に示す特定小電力受信処理と
図6に示す警報処理とは電子装置30の制御部35が実行する処理として説明する。
【0041】
[2−1.公衆回線送信処理]
まず、電子装置20の制御部25が実行する公衆回線送信処理について、
図2のフローチャートを用いて説明する。公衆回線送信処理は、電子装置20の電源がオンである間において周期的に実行される。
【0042】
SA01で、制御部25は、レーザ受光部22によりレーザ光が受光されたか否かを判定する。ここで受光されるレーザ光としては、移動式オービス10から照射されたレーザ光が想定される。
【0043】
制御部25は、SA01でレーザ受光部22によりレーザ光が受光されたと判定した場合には、SA02へ移行し、無線通信部23に、公衆回線70を介してデータをサーバ60に送信させる。ここでいうデータには、SA01でレーザ受光部22によりレーザ光が受光された際の電子装置20の現在位置を示す受光位置情報と、レーザ光が受光された時の時刻を示す受光時刻情報と、が含まれる。
【0044】
また制御部25は、前述のとおり、携帯情報端末40のテザリング機能を利用して公衆回線70に接続する。なお、携帯情報端末40のテザリング機能が利用できないとき(テザリング機能が有効でないとき等)には、制御部25はデータを送信することなく公衆回線送信処理を終了する。このように、本実施形態では、レーザ受光部22によりレーザ光が受光されると公衆回線70を介して自動的に受光位置情報等を含むデータがサーバ60に送信される。
【0045】
なお、マイクロ波式のオービスの場合、マイクロ波には様々な種類があり、ユーザが何のマイクロ波を受信したかを選択して手動でサーバ60に送信する必要がある。これに対して、レーザ光が受光された場合そのレーザ光は移動式オービス10のレーザ光である可能性が高く、サーバ60への自動送信が可能となる。
【0046】
制御部25は、SA02を実行すると、
図2の公衆回線送信処理を終了する。
一方、制御部25は、前述したSA01でレーザ受光部22によりレーザ光が受光されていないと判定した場合には、SA02を飛ばして公衆回線送信処理を終了する。つまり、レーザ光が受光されていないと判定された場合、データはサーバ60に送信されない。
【0047】
[2−2.特定小電力送信処理]
次に、制御部25が実行する特定小電力送信処理について、
図3のフローチャートを用いて説明する。特定小電力送信処理は、電子装置20の電源がオンである間において周期的に実行される。
【0048】
まず、SB01で、制御部25は、レーザ受光部22によりレーザ光が受光されたか否かを判定する。ここで受光されるレーザ光としては、移動式オービス10から照射されたレーザ光が想定される。
【0049】
制御部25は、SB01でレーザ受光部22によりレーザ光が受光されたと判定した場合には、SB02へ移行し、無線通信部23に、特定小電力無線によりデータを電子装置20(すなわち、車両200)周辺に送信させる。ここでいうデータには、SB01でレーザ受光部22によりレーザ光が受光された際の電子装置20の現在位置を示す受光位置情報と、レーザ光が受光された時の時刻を示す受光時刻情報と、が含まれる。本実施形態では特定小電力無線としてLoRAが使用されるため、車両200を中心とする半径10キロメートル程度の通信圏内の他の電子装置30等にデータが直接送信される。このように、本実施形態では、レーザ受光部22によりレーザ光が受光されると特定小電力無線により自動的に受光位置情報等を含むデータが他の電子装置30等に送信される。
【0050】
制御部25は、SB02を実行すると、
図3の特定小電力送信処理を終了する。
一方、制御部25は、前述したSB01でレーザ受光部22によりレーザ光が受光されていないと判定した場合には、SB02を飛ばして特定小電力送信処理を終了する。つまり、レーザ光が受光されていないと判定された場合、データは他の電子装置30等に送信されない。
【0051】
[2−3.公衆回線受信処理]
次に、電子装置30の制御部35nが実行する公衆回線受信処理について、
図4のフローチャートを用いて説明する。公衆回線受信処理は、電子装置30の電源がオンである間において周期的に実行される。
【0052】
まず、SC01で、制御部35は、規定時間経過したか否かを判定する。ここで、制御部35は、電子装置30の電源がオンにされてから1回以上サーバ60にアクセスし、受光位置情報等を含むデータを受信している場合には、前回受信した時刻から規定時間経過したか否かを判定する。つまり、本実施形態では、データの受信は一定時間(規定時間)おきに行われる。この規定時間は、ユーザが設定可能であり、例えば10分、30分、1時間等の中から選択可能である。なお、SC01の実行時においてサーバ60からデータを1回も受信していない場合には、SC01で規定時間経過したと判定される。
【0053】
制御部35は、SC01で規定時間経過していないと判定した場合には、公衆回線受信処理を終了する。
一方、制御部35は、SC01で規定時間経過したと判定した場合には、SC02へ移行し、範囲指定を行い、無線通信部23により公衆回線70を介してサーバ60からデータを受信する。
【0054】
ここでいうデータには、他の車両200に搭載された電子装置20等から公衆回線70へ送信された受光位置情報及び受光時刻情報が含まれる。
図1に示す状況では、SC02において、他の車両200に搭載された電子装置20等によりレーザ光が受光された移動式オービス10の位置情報が公衆回線70を介して受信される。
【0055】
本実施形態では、SC01で取得されるデータの取得範囲をユーザが設定できる。すなわち、受光位置が電子装置30の現在位置を基準とする所望の地理的範囲内であり、かつ、受光時刻が現時点から所望の時間的範囲内であるデータのみを受信できる。本実施形態では、ユーザは、電子装置30の現在位置を中心とする半径100キロメートルの範囲、150キロメートルの範囲又は200キロメートルの範囲の中から地理的範囲を選択可能である。また、ユーザは、現時点から24時間以内、1週間以内、1ヶ月以内、全期間の中から時間的範囲を選択可能である。
【0056】
なお、制御部35は、携帯情報端末50のテザリング機能を利用して公衆回線70に接続し、サーバ60からデータを受信する。
続いて、SC03で、制御部35は、SC02で受信されたデータに基づき、記憶部26に記憶された内部データを更新する。具体的には、記憶部36に記憶された現在位置を基準とする所定範囲内の受光位置情報(すなわち、移動式オービスの位置情報)及びその受光時刻情報を、SC02で受信された受光位置情報及び受光時刻情報に更新する。制御部35は、SC03を実行すると、
図3の公衆回線受信処理を終了する。
【0057】
[2−4.特定小電力受信処理]
次に、電子装置30の制御部35が実行する特定小電力受信処理について、
図5のフローチャートを用いて説明する。なお、特定小電力受信処理は、電子装置30の電源がオンである間において繰り返し実行される。
【0058】
まず、SD01で、制御部35は、記憶部36に記憶された内部データに期限切れのデータがあるか否かを判定する。
すなわち、移動式オービスは移動するため、本実施形態では記憶部36に記憶された受光位置情報及び受光時刻情報(すなわち、移動式オービス10の位置情報及びレーザ光が受光された時の時刻情報)には有効時間が設定されている。具体的には、所定の設定時間から受光時刻情報が示す時刻からの経過時間を引いた残りの時間が有効時間として設定される。そして、有効時間がゼロになったデータは期限切れのデータであると判定される。なお、前述の設定時間(ひいては、有効時間)はユーザ設定可能であり、例えば24時間、1週間、1ヶ月、全期間の中からユーザが選択する。
【0059】
制御部35は、SD01で内部データに期限切れのデータがあると判定した場合には、SD02へ移行し、期限切れのデータを記憶部26から削除する。制御部35は、SD02を実行するとSD03に移行する。
【0060】
一方、制御部35は、SD01で内部データに期限切れのデータがないと判定した場合には、前述したSD02を飛ばしてSD03に移行する。
続いて、SD03で制御部35は、特定小電力無線によるデータの受信を開始する。
【0061】
続いて、SD04で制御部35は、特定小電力無線により他の車両200に搭載された電子装置20等からデータを受信したか否かを判定する。ここでいうデータには、他の車両200に搭載された電子装置20等から送信された受光位置情報及び受光時刻情報が含まれる。
【0062】
制御部35は、SD04でデータを受信していないと判定した場合には、前述したSD01に戻る。一方、制御部35は、SD04でデータを受信したと判定した場合には、SD05へ移行する。
【0063】
SD05で、制御部35は、内部データに、SD04で受信された受光位置情報が示す位置(以下「該当ポイント」という。)付近のデータがあるか否かを判定する。つまり、SD05では、SD04で受信された受光位置情報が示す位置(ポイント)を示す受光位置情報がすでに記憶部26に記憶されているか否かが判定される。
【0064】
制御部35は、SD05で内部データに該当ポイント付近のデータがあると判定した場合には、SD06へ移行し、該当ポイントの有効時間を更新する。すなわち、制御部35は、該当ポイントの有効時間を、設定時間からSD04で受信された受光時刻情報が示す時刻からの経過時間を引いた有効時間に置き換える。制御部35は、SD06を実行すると、
図5の特定小電力受信処理を終了する。
【0065】
一方、制御部35は、SD05で内部データに該当ポイント付近のデータがないと判定した場合には、SD07へ移行し、SD04で受信された受光位置情報が示す位置及び受光時刻情報が示す時刻を新規ポイントとして記憶部26に記憶する。
【0066】
制御部35は、SD07を実行すると、
図5の特定小電力受信処理を終了する。
[2−5.警報処理]
次に、制御部35が実行する警報処理について、
図6のフローチャートを用いて説明する。なお、警報処理は、電子装置30の電源がオンである間において繰り返し実行される。
【0067】
まず、SE01で、制御部35は、位置検出部21から電子装置30の現在位置を取得し、電子装置30の現在位置を更新する。
続いて、SE02で、制御部35は、更新した電子装置30の現在位置と記憶部26に記憶された内部データとに基づき、規定範囲内に警報ポイントがあるか否かを判定する。
【0068】
ここでいう規定範囲とは、電子装置30の現在位置を基準とする規定範囲であり、本実施形態では、電子装置30の現在位置を中心とする半径数百メートルの範囲に設定される。この規定範囲は、特定小電力無線によりデータの送受信が可能な通信圏内、及び、公衆回線70を介してデータを取得する際のデータの地理的な取得範囲(
図3のSB02の取得範囲)、のいずれよりも狭く設定される。なお、ここでいう規定範囲はユーザ設定可能である。
【0069】
また、警報ポイントとは、記憶部26に記憶されている受光位置情報が示す位置である。すなわち、SE02では、電子装置30の現在位置を基準とする規定範囲内に受光位置情報が示す位置(換言すれば、移動式オービスの位置)が含まれている場合に、規定範囲内に警報ポイントがあると判定される。
【0070】
制御部35は、SE02で規定範囲内に警報ポイントがあると判定した場合には、SE03へ移行し、ユーザに対して規定範囲内に警報ポイントがあることを報知する。
具体的には、制御部35は、電子装置30の現在位置と警報ポイントとの相対的な位置関係や距離等を含む警報画面を表示部24に表示することにより、ユーザに対して報知(警報)する。なお、規定範囲内に警報ポイントが複数ある場合には、複数の警報ポイントとの相対的な位置関係等が表示される。
【0071】
制御部35は、SE03を実行すると
図6の警報処理を終了する。
一方、制御部35は、前述したSE02で規定範囲内に警報ポイントがないと判定した場合には、前述したSE03を実行することなく、
図6の警報処理を終了する。
【0072】
[3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)本実施形態では、電子装置20は、受光位置情報を公衆回線70へ送信する。そして、電子装置30は、他の電子装置20から公衆回線70へ送信された受光位置情報を、公衆回線70から受信する。そして、電子装置30は、位置検出部31により検出された現在位置と、公衆回線70を介して受信された受光位置情報が示す受光位置と、に基づき、移動式オービス10の存在を表示部34に報知させる。
【0073】
したがって、移動式オービス10から照射されたレーザ光を受光した、他の車両200に搭載された電子装置20から、受光位置情報、ひいては移動式オービス10の位置情報を受信できる。
よって、移動式オービス10からのレーザ光を移動式オービス10の数十メートル手前でしか受光できなくても、電子装置20がレーザ光を受光し、その受光位置情報を公衆回線70を介して電子装置30に送信することで、十分に速度を落とすことができる程度に電子装置30(ひいては車両300)が離れた地点で、移動式オービス10の位置情報を受信できる。したがって、レーザ光を用いる移動式オービス10の存在を車両300のドライバに事前に報知し、車両300の速度超過を抑制できる。
【0074】
また、公衆回線70を介して受光位置情報を受信するため、全国どこでも受光位置情報を取得できる。つまり、特定小電力無線で受光位置情報を受信する場合よりも広範囲で受光位置情報を受信できる。
【0075】
さらに、公衆回線70を介してサーバ60に受光位置情報が送信されるため、例えば、携帯情報端末40,50に専用のアプリケーションソフトウェアをインストールし、携帯情報端末40,50を介して受光位置情報(ひいては移動式オービス10の位置情報)を確認することができる。よって、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0076】
(2)本実施形態では、電子装置20,30は、公衆回線70に接続可能な携帯情報端末40とBluetooth規格又はWi−Fi規格の無線通信を行い、携帯情報端末40,50を経由して公衆回線70に接続する。したがって、公衆回線70に接続するため、ユーザは通信会社とは携帯情報端末40,50についてのみ契約すればよく、電子装置20,30について別途契約する必要がない。よって、電子装置20,30が公衆回線70に直接接続する構成と比較して通信費を軽減できる。
【0077】
また、Bluetooth又はWi−Fi規格の無線通信を行うための設備は既存の携帯情報端末の多くに標準搭載されており、既存の携帯情報端末に標準搭載された設備を用いて公衆回線70に接続できる。
【0078】
(3)本実施形態では、電子装置30は、当該電子装置30の現在位置を基準とする規定範囲内に警報ポイントがある場合に報知を開始する。換言すれば、電子装置30は、当該電子装置30の現在位置と、受信された受光位置情報が示す位置と、の距離が一定距離以内になることを条件として報知を行う。
【0079】
したがって、移動式オービス10が存在することを、受信された受光位置から一定距離離れた地点からドライバに対して報知できる。
(4)本実施形態では、電子装置30は、特定小電力無線により外部の装置と通信を行うように構成された無線通信部33を備え、特定小電力無線の通信圏内に存在する他の電子装置20と無線通信部33を介して受光位置を直接送受信する。そして、電子装置30は、位置検出部31により検出された現在位置と、無線通信部33により受信された受光位置情報が示す受光位置と、に基づき、報知を行う。
【0080】
したがって、他の電子装置20が公衆回線70を利用できない状況であっても、特定小電力無線により他の電子装置20との間で受光位置情報を送受信できる。ひいては、公衆回線70を介してのみ受光位置情報を送受信する構成と比較して、より一層、移動式オービス10の存在を事前にドライバに報知し、車両の速度超過を抑制できる。また、公衆回線70を利用するための契約を通信会社と必ずしも結ばなくても受光位置情報を他の電子装置20との間で送受信できる。換言すれば、通信費を軽減し得る。
【0081】
なお、本実施形態では、受光位置情報が取締位置情報に相当し、無線通信部23,33が公衆通信部及び特定通信部に相当し、表示部24,34が報知部に相当し、携帯情報端末40,50が通信機器に相当する。また、SA02が公衆送信処理部としての処理に相当し、SB02が特定送信処理部としての処理に相当し、SC02が公衆受信処理部としての処理に相当し、SD03及びSD04が特定受信処理部としての処理に相当し、SE03が報知処理部としての処理に相当する。
【0082】
[4.他の実施形態]
以上、本開示を実施するための形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0083】
(1)上記実施形態では、警報画面を表示部24,34に表示することによりドライバに対して報知を行うが、報知を行う方法はこれに限られない。例えば、音を出力する音出力部を電子装置20,30に搭載し、音出力部に音を出力させることで報知を行ってもよい。また例えば、LEDなどの発光体を電子装置20,30に搭載し、発光体を発光させることで報知を行ってもよい。特に、表示、音及び光のうちの少なくとも1つを用いて報知を行ってもよい。なお、音出力部で報知する場合、音出力部が報知部に相当し、発光体で報知する場合、発光体が報知部に相当する。
【0084】
(2)上記実施形態では、通信機器として携帯情報端末を例示したが、通信機器はこれに限られない。通信機器は、携帯情報端末以外の無線LANアクセスポイント等であってもよい。
【0085】
(3)上記実施形態では、特定小電力無線の規格としてLoRAを例示したが、LoRA以外の特定小電力無線の規格が使用されてもよい。そのような規格として、例えば、SIGFOX、Wi−Fi HaLow、Wi−SUN、RPMA、Flexnet、IM920等が使用されてもよい。
【0086】
(4)上記実施形態において、電子装置20,30は、公衆回線70に接続可能な通信機器(携帯情報端末40,50など)を経由することなく公衆回線70に直接接続してもよい。換言すれば、電子装置20,30は、携帯情報端末40,50等のテザリング機能を利用せずに公衆回線70に接続してもよい。このような構成によれば、通信機器がなくても電子装置20,30が公衆回線70に接続でき、受光位置情報、ひいては取締位置情報をサーバ60との間で送受信できる。
(5)上記実施形態では、レーザ受光部22によりレーザ光が受光されると自動的に電子装置20,30から受光位置情報等が送信されるが、送信のタイミングはこれに限られない。例えば、ユーザが操作したタイミングで受光位置情報等が送信される構成であってもよい。つまり、受光位置情報等は手動で送信されてもよい。
(6)サーバ60において、当該サーバ60の記憶部に記憶された内部データに期限切れデータがあるか否かの判定処理、及び、当該記憶部に記憶された期限切れのデータを削除する処理、を実行してもよい。ここでいうデータは、受光位置情報及び受光時刻情報を含むデータである。つまり、
図5のSD01及びSD02に相当する処理がサーバ60において実行されてもよい。これにより、サーバ60には、有効時間がゼロでないデータのみが記憶される。そして、電子装置20,30がサーバ60からデータを受信するときは、有効時間がゼロでないデータが受信されるようにしてもよい。
【0087】
(7)上記実施形態において、公衆回線70及び特定小電力無線のいずれか一方のみにより受光位置情報等が送受信可能であってもよい。
(8)上記実施形態では、取締位置情報として受光位置情報を例示したが、取締位置情報はこれに限られない。例えば、取締位置情報は、受光位置に基づき推定された移動式オービスの位置を示す情報であってもよい。この場合において、例えば、受光位置と、レーザ光が照射されてきた方向及びレーザ光の強度と、に基づいて、レーザ光を照射した移動式オービスの位置が推定されてもよい。そして、推定された位置を示す取締位置情報を公衆回線70又は特定小電力無線を介して送受信してもよい。
【0088】
(9)上記実施形態において、公衆回線70へ送信された受光位置情報、ひいては取位置情報に対して信頼度が設定されてもよい。例えば、複数の電子装置から同一地点を示す取締位置情報がサーバ60に送信された場合、その地点に移動式オービス10が存在する可能性が高いと考えられる。したがって、例えば、同一の位置を示す取締位置情報が複数の電子装置20,30等から公衆回線70へ送信された場合に、送信された回数に応じて信頼度が設定されてもよい。この場合において、送信された回数が多い位置を示す取締位置情報ほど信頼度が高く設定されてもよい。そして、電子装置20,30等は、信頼度が所定度合い以上の取締位置情報のみを公衆回線70を介して受信してもよい。
【0089】
このような構成によれば、信頼度を設定せず公衆回線70から取締位置情報等を受信する構成と比較して、移動式オービス10が存在する可能性が高い位置を示す取締位置情報等のみを受信することができ、ひいては、表示部24,34により報知される報知内容の信頼性を向上できる。
【0090】
(10)上記実施形態において、複数の電子装置が特定小電力無線により受光位置情報、ひいては取締位置情報等を順次送信していくことで、特定小電力無線によるネットワークが形成されてもよい。すなわち、例えば、電子装置20が移動式オービス10からレーザ光を受光し、取締位置情報を特定小電力無線により他の電子装置30に送信する。そして、電子装置30が、電子装置20から受信した取締位置情報を特定小電力無線により更に別の電子装置(電子装置20から遠ざかる方向に位置にする電子装置等)に送信する。これを繰り返すことで、特定小電力無線によるネットワークが形成されてもよい。換言すれば、電子装置は、他の電子装置から特定小電力無線により受信した取締位置情報を、特定小電力無線の通信圏内に位置する前記他の電子装置とは別の電子装置に直接送信してもよい。
【0091】
このような構成によれば、特定小電力無線の最大伝搬距離よりも広範囲内の電子装置に取締位置情報を送信できる。
(11)上記実施形態では、警報ポイントと電子装置20,30の現在位置との距離が一定距離以内になった場合に警報が開始されるが、警報が開始される条件はこれに限られない。例えば、前記距離が一定距離以内になり、かつ、電子装置20,30の現在位置が、取締位置情報が示す位置に接近している場合に警報が開始されてもよい。
【0092】
具体的には例えば、緯度及び経度からなる2次元空間において、警報ポイントからの距離が規定距離程度であり、車両200等が走行する道路上又は当該道路から多少ずれた位置にポイント(以下「進入ポイント」という。)を設定する。そして、進入ポイントに付随して走行方向情報を設定する。走行方向情報とは、電子装置を搭載した車両が進入ポイントを通過して規定範囲に進入するときの車両の走行方向を示す情報である。進入ポイントの位置情報及び走行方向情報はあらかじめ手動又は自動で設定されている。設定されたデータは、記憶部26にあらかじめ記憶されていてもよく、外部のサーバ60等から受信してもよい。そして、車両200等が進入ポイントを走行方向情報により特定される走行方向で通過した場合に、報知が開始されてもよい。
【0093】
換言すれば、電子装置20,30は、受信された取締位置情報が示す位置を基準とする規定範囲の内側と外側との境界付近に設定された複数の進入ポイントの位置情報と、前記複数の進入ポイントのそれぞれに設定され、車両200,300が前記受信された取締位置情報が示す位置に接近するときに当該進入ポイントを走行する際の走行方向を示す走行方向情報と、を取得する。そして、電子装置20,30は、取得された進入ポイントの位置情報と走行方向情報とに基づき、車両200,300が前記複数の進入ポイントのいずれかを、当該進入ポイントに設定された走行方向情報により特定される走行方向で通過した場合に報知を開始する。
【0094】
電子装置20,30の現在位置と取締位置情報が示す位置との距離が一定距離以内になっても、電子装置20,30を搭載した車両200,300が取締位置情報が示す位置、ひいては、移動式オービス10に接近しない場合、報知を行う必要性は少ない。上記構成によれば、前記距離が一定距離以内になり、かつ、電子装置20,30の現在位置が、取締位置情報が示す位置に接近している場合、換言すれば、報知を行う必要性が高い場合に報知を行うことができる。
【0095】
(12)上記実施形態で、電子装置20,30が実行する機能の一部又は全部を、1つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。
(13)前述した電子装置20,30の他、当該電子装置20,30を構成要素とするシステム、当該電子装置20,30としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記憶した半導体メモリ等の非遷移的実体的記憶媒体、取締位置情報を共有し、ドライバに報知する方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【0096】
(14)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言によって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。