特許第6940228号(P6940228)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6940228
(24)【登録日】2021年9月6日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】エレベータの群管理システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/18 20060101AFI20210909BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
   B66B1/18 L
   B66B3/00 K
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-221390(P2019-221390)
(22)【出願日】2019年12月6日
(65)【公開番号】特開2021-91494(P2021-91494A)
(43)【公開日】2021年6月17日
【審査請求日】2019年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 圭一
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−287876(JP,A)
【文献】 特開2012−246100(JP,A)
【文献】 特開2017−095284(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02338820(EP,A1)
【文献】 特開2018−162119(JP,A)
【文献】 特開2018−162112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/18
B66B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の乗りかごを群管理し、任意の階に設置された乗場行先階登録装置によって登録された利用者の行先階に基づいて上記各乗りかごの中から最適な乗りかごを選出し、割当かごとして登録階に応答させるエレベータの群管理システムにおいて、
登録操作を行った利用者毎にそれぞれの行先階と割当かごを示す割当情報を履歴情報として保持し、上記乗場行先階登録装置に備えられた表示部の一部に表示する表示制御手段を具備し
上記表示部は、第1の表示エリアと第2の表示エリアを有し、
上記表示制御手段は、
上記登録操作を行った利用者の行先階と割当かごを示す割当情報を上記第1の表示エリアに表示し、
上記登録操作を行った利用者より前に登録操作を行った少なくとも1人以上の利用者の行先階と割当かごを示す割当情報を上記第2の表示エリアに表示することを特徴とするエレベータの群管理システム。
【請求項2】
上記表示制御手段は、
上記登録操作を行った利用者の行先階と割当かごを示す割当情報が上記第1の表示エリアに表示された状態で、一定時間経過後あるいは新たな利用者が登録操作を行ったときに、上記第1の表示エリアに表示されていた割当情報を上記第2の表示エリアに表示することを特徴とする請求項記載のエレベータの群管理システム。
【請求項3】
上記表示制御手段は、
上記割当かごが上記登録階に到着してから戸閉したときのタイミングで、上記履歴情報から該当する割当情報を消去すると共に上記第2の表示エリアから当該割当情報の表示を消すことを特徴とする請求項記載のエレベータの群管理システム。
【請求項4】
上記表示制御手段は、
各利用者の割当情報を時系列順に並べて上記第2の表示エリアに表示することを特徴とする請求項記載のエレベータの群管理システム。
【請求項5】
上記表示制御手段は、
各利用者の割当情報に登録時刻を付加して上記第2の表示エリアに表示することを特徴とする請求項記載のエレベータの群管理システム。
【請求項6】
上記表示制御手段は、
各利用者の割当情報に現在時刻からの何秒前に登録したかを示す時間情報を付加して上記第2の表示エリアに表示することを特徴とする請求項記載のエレベータの群管理システム。
【請求項7】
上記表示制御手段は、
同じ行先階を有する割当情報が存在した場合に当該割当情報に注意情報を付加して上記第2の表示エリアに表示することを特徴とする請求項記載のエレベータの群管理システム。
【請求項8】
上記表示制御手段は、
交通状況に応じて履歴表示モードと通常表示モードとを切り替え、上記履歴表示モードでは各利用者の割当情報を上記第2の表示エリアに表示し、上記通常表示モードでは上記第2の表示エリアに対する表示を禁止することを特徴とする請求項記載のエレベータの群管理システム。
【請求項9】
上記表示制御手段は、
予め設定された階が行先階として登録された場合に、当該行先階を有する割当情報については上記第2の表示エリアに非表示とすることを特徴とする請求項記載のエレベータの群管理システム。
【請求項10】
上記第2の表示エリアの中で任意の行先階が所定の操作により指定された際に、当該行先階を追加登録する登録制御手段をさらに具備したことを特徴とする請求項記載のエレベータの群管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータの群管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物の各階の乗場には、乗場呼びを登録するための乗場呼びボタンが設置されている。エレベータの利用者がこの乗場呼びボタンを操作すると、乗りかごが乗場呼びの登録階に応答する。利用者が乗りかごに乗り込み、かご操作盤の行先階ボタンを操作すると、行先階が登録され、乗りかごがその行先階に移動する。
【0003】
近年、上述した乗場呼びボタンとは別に、乗場にて直接行先階を指定可能な乗場行先階登録装置(HDC:Hall Destination Controller)を備えたエレベータシステムが実用化されている。このようなエレベータシステムを「行先階制御システム(DCS:Destination Control System)」と呼ぶ。DCSは、利用者が乗場にて登録した行先階に基づいて、複数台の乗りかごの中から最適な乗りかごを選出して、当該乗場に応答させる。この場合、同じ行先階の利用者を同じ乗りかごに乗車させることで、輸送効率の向上を図っている。
【0004】
ここで、利用者の行先階に応答する乗りかご(割当かご)が決定されると、その割当かごの情報が乗場行先階登録装置に表示される。これにより、利用者は自分が乗車すべき乗りかごを確認でき、当該乗りかごが到着する乗場前で待つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5885978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、通常、乗場行先階登録装置に表示された割当かごの情報は、一定時間後(数秒後)に消される。また、上記一定時間の間に後続の利用者が登録操作を行った時点で、その前に表示されていた割当かごの情報が消える。このため、自分が乗るべき乗りかごを忘れた場合に確認できず、再度、行先階を登録し直すことがある。この場合、前に登録した行先階をキャンセルできないので、所謂「無駄呼び」が発生してしまい、運行効率を低下させる原因となる。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、乗場にて自分が乗るべき乗りかごを後に確認可能として、行先階の再登録による運行効率の低下を防ぐエレベータの群管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係るエレベータの群管理システムは、複数台の乗りかごを群管理し、任意の階に設置された乗場行先階登録装置によって登録された利用者の行先階に基づいて上記各乗りかごの中から最適な乗りかごを選出し、割当かごとして登録階に応答させるシステムにおいて、登録操作を行った利用者毎にそれぞれの行先階と割当かごを示す割当情報を履歴情報として保持し、上記乗場行先階登録装置に備えられた表示部の一部に表示する表示制御手段を具備する。
上記表示部は、第1の表示エリアと第2の表示エリアを有し、上記表示制御手段は、上記登録操作を行った利用者の行先階と割当かごを示す割当情報を上記第1の表示エリアに表示し、上記登録操作を行った利用者より前に登録操作を行った少なくとも1人以上の利用者の行先階と割当かごを示す割当情報を上記第2の表示エリアに表示することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は第1の実施形態に係るエレベータの乗場の構成を示す図である。
図2図2は同実施形態における乗場行先階登録装置に備えられた操作部の構成を示す図である。
図3図3は同実施形態における乗場行先階登録装置に備えられた操作部の他の構成を示す図である。
図4図4は同実施形態における乗場行先階登録装置に備えられた表示部の構成を示す図である。
図5図5は上記表示部に表示される割当情報の表示例を示す図である。
図6図6は上記表示部に表示される割当情報の表示例を示す図である。
図7図7は上記表示部に表示される割当情報の表示例を示す図である。
図8図8は上記表示部に表示される割当情報の表示例を示す図である。
図9図9は上記表示部の他の構成を示す図である。
図10図10は同実施形態におけるエレベータの群管理システムの構成を示す図である。
図11図11は同実施形態における乗場行先階登録装置の機能構成を示すブロック図である。
図12図12は同実施形態における乗場行先階登録装置に備えられた記憶部の内容を示す図である。
図13図13は同実施形態の動作を示すフローチャートである。
図14図14は第2の実施形態の動作を示すフローチャートである。
図15図15は同実施形態における閑散時の表示部に表示される割当情報の表示例を示す図である。
図16図16は同実施形態における通常の表示処理を示すフローチャートである。
図17図17は第3の実施形態の動作を示すフローチャートである。
図18図18は同実施形態における特定階を非表示とする場合の一例を示す図である。
図19図19は第4の実施形態の動作を示すフローチャートである。
図20図20は同実施形態における表示部に表示される割当情報の表示例を示す図である。
図21図21は同実施形態における表示部に表示される割当情報の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係るエレベータの乗場の構成を示す図である。なお、ここで言うエレベータとは、基本的には「乗りかご」のことである。
【0011】
図中の10は任意の階の乗場、11a,11bは乗場ドアである。乗場ドア11aは、A号機の乗りかごの到着時にかごドアと連動して開閉動作する。乗場ドア11bは、B号機の乗りかごの到着時にかごドアと連動して開閉動作する。
【0012】
乗場10から離れた場所に、例えばセキュリティゲートなどを介して乗場行先階登録装置(HDC)12が設置されている。乗場行先階登録装置12は、例えば基準階だけに設置されていても良いし、各階に設置されていても良い。
【0013】
乗場行先階登録装置12は、利用者が行先階を登録するための操作部13と、利用者が乗車する乗りかご(割当かご)を表示するための表示部14とを備える。操作部13は、図2に示すようなボタンキー15あるいは図3に示すようなカード読取り部16からなる。ボタンキー15の場合、ボタンキー15の押下操作により行先階を登録する。カード読取り部16の場合、利用者が持つIDカード17をカード読取り部16に近づけて、予めIDカード17に記録された利用者のID(識別情報)と行先階の情報を読み取られる。なお、操作部13をタッチパネルで構成し、タッチ操作によって行先階を登録することでも良い。
【0014】
表示部14は、例えばLCD等の表示器からなり、利用者が行先階を登録したときに、その行先階が割り当てられた乗りかご(割当かご)の情報を当該行先階と関連付けて表示する。以下では、行先階と割当かごとを関連付けた情報のことを「割当情報」と称して説明する。
【0015】
ここで、乗場行先階登録装置12には、行先階の登録操作を行った利用者毎にそれぞれの行先階と割当かごを示す割当情報を表示部14の一部に表示するための履歴表示機能が備えられている。
【0016】
図4に表示部14の構成を示す。
表示部14は、第1の表示エリア14aと第2の表示エリア14bを有する。第1の表示エリア14aには、登録操作を行った利用者の行先階と割当かごを示す割当情報が表示される。第2の表示エリア14bには、上記登録操作を行った利用者より前に登録操作を行った少なくとも1人以上の利用者の行先階と割当かごを示す割当情報が表示される。
【0017】
具体的に説明すると、各利用者を行先階の登録順にP1,P2,P3,P4とする。この場合、第1の表示エリア14aに利用者P4の行先階と割当かごを示す割当情報が最新の情報として表示される。第2の表示エリア14bに利用者P4よりも前に登録操作を行った利用者P1〜P3のそれぞれの行先階と割当かごを示す割当情報が履歴情報として表示される。
【0018】
第2の表示エリア14bの中では、利用者P3の割当情報が最上位に表示され、続いて、利用者P2の割当情報,利用者P1の割当情報が時系列順に表示される。なお、図4の例では、表示部14の左右に分割し、左側を第1の表示エリア14a、右側を第2の表示エリア14bとしているが、左側を第2の表示エリア14b、右側を第1の表示エリア14aとしても良い。
【0019】
ここで、例えば新たな利用者P5が来て行先階の登録操作を行ったとすると、図5に示すように、利用者P5の割当情報が最新の情報として第1の表示エリア14aに表示される。これに伴い、第1の表示エリア14aに表示されていた利用者P4の割当情報は、第2の表示エリア14bに移され、その表示エリア14bの中の最上位に表示される。
【0020】
また、第1の表示エリア14aの表示保持時間は予め決められており、一定時間(例えば3秒間)経過すると、第1の表示エリア14aに表示されていた割当情報は消され、第2の表示エリア14bの最上位に表示される。この状態を図6に示す。例えば、第1の表示エリア14aに利用者P4の割当情報が表示された状態で一定時間経過すると、利用者P4の割当情報は第1の表示エリア14aから消され、過去の情報として第2の表示エリア14bの最上位に表示される。
【0021】
第2の表示エリア14bの表示数は、画面サイズに応じて任意に設定可能である。また割当かごが登録階に到着し、一定時間後に戸閉したときのタイミングで第2の表示エリア14bから該当する割当情報が消去される。例えば、C号機の乗りかごが戸閉すると、第2の表示エリア14bからC号機に対応した割当情報が消去される。これは、戸閉後は乗車できないので、C号機を割当かごとして持つ利用者P1の割当情報を第2の表示エリア14bに残していても意味がないからである。
【0022】
ここで、DCSでは、基本的に同じ行先階は同じ乗りかごに割り当てられるが、行先階が同じであっても、各号機の運転状況などで別の乗りかごに割り当てられることがある。このような場合、第2の表示エリア14bの中に同じ行先階を有する複数の乗りかごが表示され、行先階だけの情報では自分の乗るべき乗りかごを判断できないことがある。
【0023】
このような問題を解消するため、例えば図7に示すように、利用者毎の割当情報に登録時刻14cを付加し、さらに、同じ行先階を有する乗りかごが存在する場合には何らかのマークからなる注意情報14dを付加しておくことが好ましい。
【0024】
図7の例では、利用者P3と利用者P6の行先階が3Fで共通であり、利用者P3にはA号機の乗りかご、利用者P6にはC号機の乗りかごが割り当てられている。ここで、利用者P3の登録時刻は8:00、利用者P6の登録時刻は7:59とすると、この登録時刻の差から自分の乗るべき乗りかごを判断できる。また、各利用者の登録時刻が近いと自分の乗るべき乗りかごを判断できないこともあるので、例えば図8のように、利用者毎の割当情報に現在時刻からの何秒前に登録したかを示す時間情報14eを付加することでも良い。
【0025】
なお、図4乃至図8では、表示部14を左右に分割した例を示したが、例えば図9に示すように表示部14を上下に分割し、上側を第1の表示エリア14a、下側を第2の表示エリア14bとしても良い。
【0026】
図10はエレベータの群管理システムの構成を示す図である。ここではA〜D号機の4台の乗りかごが群管理された構成が示されているが、特にこの構成に限定されるものではなく、乗りかごの台数は何台でも良い。なお、図1と同じ部分には同一符号を付して説明する。
【0027】
本実施形態におけるはエレベータの群管理システムは、かご制御装置31a,31b,31c,31dと、これらのかご制御装置31a,31b,31c,31dに接続された群管理制御装置32とで構成される。
【0028】
かご制御装置31a,31b,31c,31dは、乗りかご21a,21b,21c,21dに対応して設けられている。かご制御装置31a,31b,31c,31dは、図示せぬ巻上機の駆動制御やドアの開閉制御などを含むかご単体での制御を行う。
【0029】
かご制御装置31aには表示器20aが接続されている。かご制御装置31bには表示器20bが接続されている。図1に示したように、表示器20aは、A号機の乗りかご21aの乗場ドア11a付近に設置され、乗りかご21aの行先階や運転方向などを表示する。表示器20bは、B号機の乗りかご21bの乗場ドア11b付近に設置され、乗りかご21bの行先階や運転方向などを表示する。
【0030】
同様に、かご制御装置31cには表示器20c、かご制御装置31dには表示器20dが接続されている。表示器20cは、C号機の乗りかご21cの乗場ドア付近に設置され、乗りかご21cの行先階や運転方向などを表示する。表示器20dは、D号機の乗りかご21dの乗場ドア付近に設置され、乗りかご21dの行先階や運転方向などを表示する
なお、図1の例では、便宜的に表示器20a,20b,20c,20dを1つずつしか図示していないが、実際には各階の乗場に表示器20a,20b,20c,20dが設置されている。
【0031】
ここで、任意の階の乗場に乗場行先階登録装置12が少なくとも1台設置されている。この乗場行先階登録装置12によって利用者の行先階が登録されると、行先階と登録階(行先階の登録操作が行われた階)の2つの情報を1つの組とした行先呼びが群管理制御装置32に送られる。
【0032】
群管理制御装置32は、乗場行先階登録装置12から行先呼びを受信すると、当該行先呼びに含まれる利用者の行先階に基づいて乗りかご21a,21b,21c,21dの中の最適な乗りかごを割当かごとして選出し、登録階に応答させる。このとき、利用者が操作した乗場行先階登録装置12の表示部14に、利用者の行先階と割当かごの情報を示す割当情報が表示される。
【0033】
図11は乗場行先階登録装置12の機能構成を示すブロック図である。
乗場行先階登録装置12には、図1に示した操作部13と表示部14の他に、制御部41、記憶部42が備えられている。制御部41は、呼び登録制御部41aと表示制御部41bを有する。
【0034】
呼び登録制御部41aは、操作部13を通じて利用者の行先階が登録された際に、その行先階に登録階の情報を付加した行先呼びを発行して群管理制御装置32に転送する。表示制御部41bは、表示部14に対する表示制御を行う。
【0035】
図12に示すように、記憶部42には、行先階の登録操作を行った利用者毎に行先階と割当かごを示す割当情報が登録時刻順に記憶される。表示制御部41bは、この記憶部42に記憶された割当情報に基づいて表示部14に対する表示制御を行う。なお、本実施形態では、乗場行先階登録装置12に表示制御機能(表示制御部41bおよび記憶部42)を設けたが、群管理制御装置32が乗場行先階登録装置12の表示制御を行う構成としても良い。
【0036】
次に、第1の実施形態の動作について説明する。
図13は第1の実施形態の動作を示すフローチャートであり、乗場行先階登録装置12による行先階の登録から割当かごの表示までの流れが示されている。
【0037】
任意の階において、利用者が乗場行先階登録装置12の操作部13を通じて行先階の登録操作を行うと(ステップS101のYes)、その行先階に登録階の情報を付加した行先呼びが制御部41の呼び登録制御部41aによって発行され、群管理制御装置32に転送される(ステップS102)。
【0038】
群管理制御装置32では、行先呼びを受信すると、当該行先呼びに含まれる利用者の行先階に基づいて乗りかご21a,21b,21c,21dの中の最適な乗りかごを割当かごとして選出し、登録階に応答させる。割当かごが決定されると、群管理制御装置32から利用者が操作した乗場行先階登録装置12に当該割当かごの情報(号機名)が割当結果として送られて来る。乗場行先階登録装置12は、この割当結果を受信すると(ステップS103のYes)、図12に示した記憶部42に記憶すると共に、表示部14の表示制御部41bを通じて以下のような履歴付き表示処理を実行する。
【0039】
すなわち、まず、表示制御部41bは、登録操作を行った利用者の行先階と割当かごと示す割当情報を表示部14の第1の表示エリア14aに表示する(ステップS104)。ここで、一定時間(例えば3秒間)経過すると(ステップS105のYes)、表示制御部41bは、第1の表示エリア14aから現在表示中の割当情報を消去し(ステップS106)、当該割当情報を第2の表示エリア14bの最上位に表示する(ステップS107)。
【0040】
上記一定時間の間に新たな利用者が行先階を登録した場合も同様であり(ステップS105のNo、ステップS108のYes)、表示制御部41bは、第1の表示エリア14aから現在表示中の割当情報を消去し(ステップS109)、当該割当情報を第2の表示エリア14bの最上位に表示する(ステップS110)。この場合、新たな利用者の行先階に基づいて割当かごが選出され、その割当かごの情報が行先階と共に割当情報として第1の表示エリア14aに表示される(ステップS102〜S104)。
【0041】
このようにして、登録操作を行った利用者の行先階と割当かごを示す割当情報が表示部14の第1の表示エリア14aに表示され、第2の表示エリア14bには、上記登録操作を行った利用者より前に登録操作を行った少なくとも1人以上の利用者の行先階と割当かごを示す割当情報が表示される(図4乃至図9参照)。
【0042】
したがって、行先階を登録した後で、自分が乗るべき乗りかごを忘れた場合に、表示部14の第2の表示エリア14bで確認することができる。例えば図4に示すように、3Fを行先階とした登録した利用者P3が自分の乗るべき乗りかごを忘れた場合に、第2の表示エリア14bの中で3F行きの乗りかごを探せば、A号機であることがわかる。
【0043】
ここで、割当かごが登録階に到着し、一定時間後に戸閉すると(ステップS111のYes)、表示制御部41bは、記憶部42から該当する割当情報を消去すると共に、第2の表示エリア14bから当該割当情報の表示を消す(ステップS112)。
【0044】
このように第1の実施形態によれば、利用者が行先階を登録すると、そのときの行先階と割当かごを示す割当情報が表示部14の第1の表示エリア14aに表示された後、第2の表示エリア14bに履歴として表示される。したがって、自分が乗るべき乗りかごを忘れた場合に第2の表示エリア14bで確認でき、行先階の再登録による運転効率の低下を防ぐことができる。
【0045】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
例えばオフィスビルなどでは、朝の出勤時間帯に多数の利用者が同じ階に集中することがある。このような場合、後続の利用者が次々に行先階を登録するので、自分が乗るべき乗りかごを表示部14の第1の表示エリア14aで確認できないことがあり、第2の表示エリア14bで確認する必要がでてくる。一方、利用者が少ない閑散時は第1の表示エリア14aの表示は一定時間保持されているので、第2の表示エリア14bを必要としないことが多い。また、閑散時では、第2の表示エリア14bに自分の乗るべき乗りかごが履歴として表示されることに不安を感じることがある。
【0046】
そこで、第2の実施形態では、交通状況に応じて履歴表示モードと通常表示モードとを切り替える構成とする。「履歴表示モード」は、利用者の割当情報(行先階と割当かご)を表示部14の第2の表示エリア14bに履歴として表示するモードである。「通常表示モード」は、利用者の割当情報(行先階と割当かご)を表示部14の第1の表示エリア14aだけに表示するモードであり、第2の表示エリア14bに対する履歴表示は禁止されている。
【0047】
図14は第2の実施形態の動作を示すフローチャートである。
利用者の行先階が乗場行先階登録装置12に登録されたときに(ステップS201のYes)、表示制御部41bは、多数の利用者が集中する混雑時か否かを判断する(ステップS202)。
【0048】
詳しくは、表示制御部41bは、予め混雑時間帯と閑散時間帯が設定された図示せぬ混雑状況テーブルを用意しておき、この混雑状況テーブルを参照して現在の時間が混雑時であるか否かを判断する。なお、例えば乗場にカメラを設置しておき、そのカメラの画像から混雑状況を判断することでも良い。あるいは、乗場行先階登録装置12の単位時間当たりの登録数を算出し、その登録数から混雑状況を判断することでも良い。
【0049】
混雑時であれば(ステップS202のYes)、表示制御部41bは、履歴表示モードに切り替え、上記第1の実施形態で説明した履歴付き表示処理を実施する(ステップS203)。すなわち、表示制御部41bは、登録操作を行った利用者の行先階と割当かごを示す割当情報を表示部14の第1の表示エリア14aに表示し、上記登録操作を行った利用者より前に登録操作を行った少なくとも1人以上の利用者の行先階と割当かごを示す割当情報を第2の表示エリア14bに表示する(図4乃至図9参照)。
【0050】
一方、閑散時であれば(ステップS202のNo)、表示制御部41bは、通常表示モードに切り替え、履歴無しの表示処理を実施する(ステップS204)。この場合、図15に示すように、第2の表示エリア14bに対する割当情報の表示が禁止され、第1の表示エリア14aに対してだけ割当情報が表示される。
【0051】
なお、図15の例では、2分割した画面の一方を第1の表示エリア14aとして使用し、そこに登録操作を行った利用者P4の割当情報を表示しているが、通常表示モードでは全画面を第1の表示エリア14aに切り替える構成としても良い。
【0052】
図16は上記ステップS204で実行される通常の表示処理を示すフローチャートである。ステップS301〜S304の処理は、図13に示したフローチャートのステップS101〜S104の処理と同様である。
【0053】
すなわち、任意の階において、利用者が乗場行先階登録装置12の操作部13を通じて行先階の登録操作を行うと(ステップS301のYes)、その行先階に登録階の情報を付加した行先呼びが制御部41の呼び登録制御部41aによって発行され、群管理制御装置32に転送される(ステップS302)。
【0054】
群管理制御装置32では、行先呼びを受信すると、当該行先呼びに含まれる利用者の行先階に基づいて乗りかご21a,21b,21c,21dの中の最適な乗りかごを割当かごとして選出し、登録階に応答させる。
【0055】
割当かごが決定されると、群管理制御装置32から利用者が操作した乗場行先階登録装置12に当該割当かごの情報(号機名)が割当結果として送られて来る。乗場行先階登録装置12は、この割当結果を受信すると(ステップS303のYes)、表示制御部41bを通じて利用者の行先階と割当かごと示す割当情報を表示部14の第1の表示エリア14aに表示する(ステップS304)。
【0056】
ここで、一定時間経過したときに(ステップS305のYes)、表示制御部41bは、第1の表示エリア14aから現在表示中の割当情報を消去した後、当該割当情報を第2の表示エリア14bに表示することを禁止する(ステップS306)。上記一定時間の間に新たな利用者が乗場行先階登録装置12に行先階を登録した場合も同様であり(ステップS305のNo、ステップS307のYes)、表示制御部41bは、第1の表示エリア14aから現在表示中の割当情報を消去した後、当該割当情報を第2の表示エリア14bに表示することを禁止する(ステップS308)。この場合、新たな利用者の行先階に基づいて割当かごが選出され、その割当かごの情報が行先階と共に割当情報として第1の表示エリア14aに表示される(ステップS302〜S304)。
【0057】
このように第2の実施形態によれば、利用者が多い混雑時には利用者の割当情報を第2の表示エリア14bに履歴表示することで、行先階の再登録を防ぐことができる。一方、利用者が少ない閑散時には履歴表示を禁止することで、自分が乗る乗りかごを他者に知られることを防げる。
【0058】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
例えば重要人物が使っている階など、特定の階に行く場合には他の利用者に知られたくないことがある。そこで、第3の実施形態では、特定の階が行先階として登録された場合に、その行先階を有する割当情報については第2の表示エリア14bに非表示とする。
【0059】
図17は第3の実施形態の動作を示すフローチャートである。このフローチャートで示される処理は、図13のステップS107あるいはS110で実行される。
【0060】
すなわち、上記ステップS107あるいはS110において、表示制御部41bは、利用者の行先階が予め設定された特定階であるか否かを判断する(ステップS401)。なお、特定階に関する情報は、図11に示した記憶部42に記憶されているものとする。
【0061】
利用者の行先階が特定階であった場合(ステップS401のYes)、表示制御部41bは、当該行先階を有する割当情報については第2の表示エリア14bに非表示とする(ステップS402)。一方、利用者の行先階が特定階でなかった場合には(ステップS401のNo)、表示制御部41bは、上記第1の実施形態と同様に、当該行先階を有する割当情報を第2の表示エリア14bに表示する(ステップS403)。
【0062】
図18に特定階を非表示とする場合の一例を示す。
例えば利用者P1の行先階が12Fであり、割当かごとしてC号機の乗りかご21cが割り当てられたとする。12Fが特定階として設定されている場合、図18のように利用者P1の割当情報(行先階と割当かご)は、第2の表示エリア14bの中で例えばマスク処理されて非表示の状態になる。一方、12Fが特定階として設定されていない場合には、図4に示したように、利用者P1の割当情報(行先階と割当かご)は他の利用者P2,P3と同様に第2の表示エリア14bに表示される。
【0063】
このように第3の実施形態によれば、特定の階が行先階として登録された場合に、その行先階を有する割当情報については表示部14の第2の表示エリア14bに非表示とすることで、行先階を他者に知られることを防ぐことができる。
【0064】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
第4の実施形態では、表示部14の第2の表示エリア14bの中で任意の行先階を指定することで、同じ行先階を登録できるようにしたものである。
【0065】
図19は第4の実施形態の動作を示すフローチャートである。このフローチャートで示される処理は、表示部14の第2の表示エリア14bに利用者の割当情報(行先階と割当かご)が表示された状態で実行される。なお、表示部14の第2の表示エリア14bの画面上にはタッチパネル18(図20および図21参照)が配設されており、画面上で利用者のタッチ操作が可能であるとする。
【0066】
いま、表示部14の第2の表示エリア14bに少なくとも1人以上の利用者の割当情報(行先階と割当かご)が表示された状態で、後続の利用者が第2の表示エリア14bの中の任意の行先階をタッチしたとする。第2の表示エリア14b上で任意の行先階がタッチ操作により指定されると(ステップS501のYes)、制御部41の呼び登録制御部41aは、その指定された行先階を追加登録し(ステップS502)、その行先階に登録階の情報を付加して行先呼びを発行して群管理制御装置32に転送する(ステップS503)。
【0067】
群管理制御装置32では、上記行先呼びに基づいて割当制御を行う。この場合、基本的には同じ行先階に対しては同じ乗りかごが割当かごとして選出され、その割当かごが割当結果として乗場行先階登録装置12にフィードバックされ、表示部14の第1の表示エリア14aに表示される。
【0068】
この様子を図20および図21に示す。
いま、図20に示すように、利用者P1,P2,P3の割当情報(行先階と割当かご)が表示部14の第2の表示エリア14bに表示されているとする。ここで、例えば後続の利用者P7が利用者P3と同じ行先階「3F」に行く場合に、第2の表示エリア14bの中の「3F」を指でタッチすれば、「3F」が行先階として登録され、図21に示すように、その行先階が割り当てられた乗りかごの情報が第1の表示エリア14aに表示される。
【0069】
このように第4の実施形態によれば、表示部14の第2の表示エリア14bの中で任意の行先階を指定することで、同じ行先階を簡単に登録することができる。したがって、例えば家族など、同じグループに属する複数の利用者が同じ階に行く場合に、利用者毎に操作部13を操作して行先階を登録する手間を省くことができる。
【0070】
以上述べた少なくとも1つの実施形態によれば、乗場にて自分が乗るべき乗りかごを後に確認可能として、行先階の再登録による運行効率の低下を防ぐエレベータの群管理システムを提供することができる。
【0071】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
10…乗場、11a,11b…乗場ドア、12…乗場行先階登録装置、13…操作部、14…表示部、14a…第1の表示エリア、14b…第2の表示エリア、15…ボタンキー、16…カード読取り部、17…IDカード、18…タッチパネル、20a〜20d…表示器、21a〜21d…乗りかご、31a〜31d…かご制御装置、32…群管理制御装置、41…制御部、41a…呼び登録制御部、41b…表示制御部、42…記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図17
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図21