(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る電子部品内蔵ユニット22は、
図1及び
図2に示すように、予め電線21の長手方向における中間23に取り付けられたカバー組付電線24と、このカバー組付電線24の嵌合により電気的な接続がなされるユニット本体25とを備えて構成されている。
【0017】
カバー組付電線24は、電線21の他に電線側端子26とカバー部材27とを有している。また、このカバー組付電線24が嵌合するユニット本体25は、ケース28と、電子部品29と、中継端子30と、アース端子31と、クランプ32、スライドカバー(カバー)90とを備えて構成されている。以下、
図1〜
図5を参照しながら上記の各構成について説明する。
【0018】
本実施形態の説明において、特に限定するものではないが、電線21は自動車等の車両に配索されるように構成されている(車両以外にも適用可能であることは云うまでもない)。また、電子部品内蔵ユニット22は、車両ボディの所定の座面に対して係止・固定されるように構成されている。
【0019】
図1及び
図2において、電線21は、ワイヤハーネスを構成する複数の電線のうちの一本、又は単独の電線であって、導体と、この導体を被覆する絶縁性の被覆部とを備えて構成されている。このような電線21の中間23には、電線側端子26が電気的に接続されている。
【0020】
図2において、電線側端子26は、導電性を有する金属からなり、上記導体に直接接続される電線接続部33と、この電線接続部33の前側に連続する電気接触部34とを有している。電線接続部33は、電線21の中間23を皮剥ぎして露出させた上記導体を加締める一対の導体加締め片36と、上記被覆部を加締める一対の被覆加締め部37とを有している。
【0021】
電気接触部34は、基部38と、この基部38の一方の側部に連成される接続タブ39(端子接触部)と、基部38の他方の側部に連成される係止部40とを有している。電気接触部34は、折り曲げ加工によって形成されている。基部38と接続タブ39と係止部40は、折り曲げ加工によりU字状の形状に形成されている。接続タブ39と係止部40との間には、電線21が貫通するように構成されている。基部38には、カバー部材27に対する位置決め用の貫通孔41が形成されている。貫通孔41は、基部38の中央に形成されている。
【0022】
係止部40の前側には、位置決め壁43が形成されている。接続タブ39は、タブ状であって、ユニット本体25の中継端子30に差し込まれて電気的な接続を行う部分として形成されている。
【0023】
電線側端子26は、電線21の中間23と接続された状態で、底部分側からカバー部材27の内部に挿入される。そして、カバー部材27に対して係止されると脱落が生じないように構成されている。
【0024】
図2、カバー部材27は、絶縁性を有する合成樹脂製の部材であって、電線側端子26を係止するとともに、ユニット本体25のケース28に対して嵌合するような形状に形成されている。カバー部材27は、天井壁44と、この天井壁44に連続する側壁とを有している。側壁に関しては、この側壁の内側が電線収納部となるように形成されている。また、側壁に関しこの外側は(側壁自体は)、ケース28に差し込まれる際にガイドとして機能するケース挿入ガイド部46となるように形成されている。
【0025】
この他、カバー部材27の側壁には、略突起状のカバー側嵌合部48が複数形成されている。このカバー側嵌合部48は、ケース28の突起係止部60に嵌合するように形成されている。電線側端子26の係止状態は、カバー部材27がケース28に嵌合した後も良好に維持されるように構成されている。
【0026】
さらに、カバー部材27の側壁には、電線21を圧入状態で支持する一対のU字状の電線支持部49が形成されている(電線21の支持は圧入状態が好ましいが、カバー部材27を取り付けた時に、電線21の水平状態を保つことができるのであれば、これ以外の構造であっても良いものとする。電線21の曲がりや斜め挿入等の防止に寄与することが好ましい)。
【0027】
図2において、ユニット本体25のケース28は、絶縁性を有する合成樹脂製の部材であって、電子部品収納凹部54と、この電子部品収納凹部54の隣となる嵌合接続凹部55とを有している。電子部品収納凹部54及び嵌合接続凹部55は、底壁56と、この底壁56の縁部に形成される側壁57と、隔壁58とにより囲まれて形成されている。電子部品収納凹部54は、電子部品29を収納するための凹状の部分として形成されている。嵌合接続凹部55は、カバー組付電線24が嵌合し、電気的な接続が行われる凹状の部分として形成されている。電子部品収納凹部54及び嵌合接続凹部55は、隔壁58によって隔てられている。
【0028】
底壁56には、嵌合接続凹部55に配置された中継端子30及びアース端子31における第1溶接部72及び第2溶接部82にそれぞれ対応する一対の貫通穴101が形成されている(
図4参照)。
【0029】
側壁57には、係止突起59や突起係止部60が形成されている。また、側壁57には、一対の電線支持部61が形成されている。突起係止部60は、カバー組付電線24を嵌合させるための部分として形成されている。一対の電線支持部61は、嵌合接続凹部55の部分にU字状に切り欠かれて形成されている。一対の電線支持部61は、カバー組付電線24の嵌合の際に電線21が差し込まれてこれを支持することができるように形成されている。更に、側壁57には、後述するスライドカバー90を仮係止位置に保持するための仮係止突起96と、本係止位置に保持するための本係止突起98とが、外側面に突設されている。
【0030】
隔壁58には、リード支持部63,64と、膨出部65とが形成されている。リード支持部63,64は、電子部品収納凹部54に収納される電子部品29における嵌合接続凹部55にまでのびるリード66,67を支持するために形成されている。リード支持部63,64は、スリット状に形成されている。
【0031】
膨出部65は、この内側に中継端子30の後述するタブ接続部68を収納することができるような形状に形成されている。また、膨出部65は、カバー組付電線24が嵌合接続凹部55に嵌合する際に、カバー部材27の膨出部53によって外側が覆われるような形状に形成されている。膨出部65は、後述するタブ接続部68に対する保護壁としての機能を有している。
【0032】
このような膨出部65は、カバー組付電線24が嵌合接続凹部55に嵌合する過程において、電線21の位置を矯正することができる。膨出部65は、一対の電線位置矯正リブ69を含んで平面視U字状となる形状に形成されている。一対の電線位置矯正リブ69は、膨出部65の端部位置に形成されている(言い換えれば、上記保護壁の端部として形成されている)。一対の電線位置矯正リブ69は、電線21を中継端子30のタブ接続部68に接触させないようにするための機能を有している。一対の電線位置矯正リブ69は、嵌合接続凹部55の底(底壁56)から開口まで真っ直ぐにのびるように形成されている。
【0033】
嵌合接続凹部55の底(底壁56)には、中継端子30の位置決めと固定とをするためのピン状の固定部分が形成されている(図示省略)。
【0034】
図2及び
図3において、中継端子30は、導電性を有する金属からなり、バスバー状の固定基板部70と、この固定基板部70の一側部に連成されて電線側端子26の接続タブ39が差し込まれるタブ接続部68とを有している。固定基板部70は、嵌合接続凹部55の底(底壁56)に載置固定されるように形成されている。
【0035】
固定基板部70には、嵌合接続凹部55の底に引っ掛かって中継端子30の脱落を防止する固定爪71が複数形成されている。また、固定基板部70には、電子部品29のリード67に接触して組み付け時に溶接される端子底面側(嵌合接続凹部55の底壁56に対向する側)に凸形状の第1溶接部72と、第1溶接部72に隣接してリード67に接続される第1圧接接続部73とが形成されている。更に、固定基板部70には、嵌合接続凹部55の上記固定部分に差し込んで位置決めをするための貫通孔70aが形成されている。
【0036】
タブ接続部68は、箱状に形成されている。タブ接続部68の内部には、電線側端子26の接続タブ39に弾性的に接触する弾性接触片(図示省略)が形成されている。
【0037】
図2及び
図3において、アース端子31は、導電性を有する金属からなり、ネジ止め用の貫通孔を有するアース部75と、このアース部75に連続するとともに、電子部品収納凹部54の開口部を覆うようなカバーとしての形状に形成される基部76と、基部76に連続する接続脚部77とを有している。
【0038】
基部76は、上記の如くカバーの機能を有しており、ケース28の係止突起59に引っ掛かるような嵌合部78,79が折り曲げによって形成されている。また、基部76には、車両ボディの上記座面に差し込まれて係止されるクランプ32を取り付けるためのクランプ着脱部80が形成されている。基部76は、電子部品収納凹部54に収納された後の電子部品29を押さえつけることができるような形状に形成されている。
【0039】
嵌合部78,79は、略枠状であって、それぞれ基部76の側部から垂れ下がるように形成されている。嵌合部78,79は、ケース28の係止突起59を乗り越えるために必要十分な可撓性を有している。クランプ着脱部80は、基部76を切り欠くようなスリット状に形成されている。クランプ着脱部80は、クランプ32を差し込んだ後、このクランプ32をスライドさせて固定することができるように形成されている。クランプ着脱部80は、クランプ32を差し込む部分が嵌合部79に連成されている。
【0040】
接続脚部77は、嵌合接続凹部55に差し込まれる部分であって、帯片をL字状に折り曲げるようにして形成されている。接続脚部77のL字状に折り曲がる部分には、電子部品29のリード66を逃がすようなスリット81が形成されている。また、嵌合接続凹部55の底に対応する部分には、リード66に接触して溶接される端子底面側(嵌合接続凹部55の底壁56に対向する側)に凸形状の第2溶接部82と、第2溶接部82に隣接してリード66に接続される第2圧接接続部74とが形成されている。
【0041】
図2において、クランプ32は、合成樹脂製の部材であって、アース端子31に対して着脱自在となる構造であるとともに、車両ボディの上記座面に差し込まれてこの部分に係止される構造である。クランプ32は、係止部としての機能を有している。クランプ32は、アース端子31の基部76に平行な基板83と、この基板83の表面に設けられる支柱84と、可撓性を有し支柱84に連成される一対の係止羽根85とを有している。クランプ32は、車両ボディの上記座面に形成されたクランプ穴に一対の係止羽根85を差し込んでこの係止羽根85の各端部を上記クランプ穴の開口縁に引っ掛けることができるように構成されている。
【0042】
図2及び
図3において、電子部品29は、本体86と、一対のリード66,67とを有している。電子部品29は、本実施形態においてはノイズフィルタのために既知のコンデンサが用いられているが、この他の用途に応じてダイオードや抵抗を用いてもよいものとする。
【0043】
図2及び
図4において、スライドカバー90は、絶縁性を有する合成樹脂製のカバーであって、ケース28の底壁56の一部を覆う平板状のカバー部95と、このカバー部95の両側板に形成されたガイド溝91とを有している。スライドカバー90は、ガイド溝91がケース28の側壁57に突設された仮係止突起96及び本係止突起98に係合することによって、カバー部95が底壁56に形成された貫通穴101を開放する位置である仮係止位置と貫通穴101を閉塞する位置である本係止位置との間をスライド可能とされている。
【0044】
図4の(a)に示すように、スライドカバー90は、ガイド溝91が仮係止突起96にのみ係合した仮係止状態では、カバー部95が貫通穴101を開放している。そして、スライドカバー90は、ケース28の底面に沿ってスライドされ、ガイド溝91が本係止突起98に係合した本係止状態では、
図4の(b)に示すように、カバー部95が貫通穴101を閉塞する。
【0045】
次に、上記構成に基づいて、カバー組付電線24の組み付け、ユニット本体25の組み付け、及び電子部品内蔵ユニット22の組み付けについて説明する。
【0046】
カバー組付電線24に関しては、先ず、所望の位置となる電線21の中間23において、電線21の被覆部を所定の範囲で除去し導体を露出させ、この露出させた導体に電線側端子26を接続する作業を行う。
次に、底部分側から電線側端子26をカバー部材27の内部に挿入して電線側端子26を係止させる作業を行う。この時、電線21は、位置ズレないようにカバー部材27の内部に収納される。電線側端子26をカバー部材27に対して係止させると、カバー組付電線24に関しての組み付けが完了する。カバー組付電線24は、電線21の水平状態を保った形状でこの組み付けが完了する。
【0047】
ユニット本体25に関しては、先ず、スライドカバー90が仮係止状態とされたケース28の電子部品収納凹部54に電子部品29の本体86を収納するとともに、電子部品29のリード66,67の中間をリード支持部63、64に差し込みつつ、リード66,67の各先端側を嵌合接続凹部55の底に載置する。
次に、嵌合接続凹部55の所定位置に中継端子30とアース端子31の接続脚部77とをそれぞれ取り付ける。この時、アース端子31の基部76は電子部品29の本体86を収納した電子部品収納凹部54を覆いつつケース28に嵌合する。
【0048】
続いて、
図3の(a),(b)に示すように、アース端子31の接続脚部77における第2圧接接続部74にリード66の先端を圧接すると共に、中継端子30の固定基板部70における第1圧接接続部73にリード67の先端を圧接して位置決めする作業を行う。これら第1圧接接続部73及び第2圧接接続部74は、一対の圧接刃の間にリード66,67をそれぞれ挟持して圧接する圧接スロットを有している。
【0049】
そして、アース端子31の接続脚部77及び中継端子30の固定基板部70にそれぞれ溶接を施し、凸形状の第2溶接部82及び第1溶接部72とリード66,67とを固定する作業を行う。この際、ケース28の貫通穴101より一方の電極を挿入し、他方の電極との間で第2溶接部82及び第1溶接部72とリード66,67とをそれぞれ挟持して電流を流すことで、これら溶接部とリードを溶着することができる。
これにより、ユニット本体25に関しての組み付け作業が完了する。
【0050】
カバー組付電線24の組み付け及びユニット本体25の組み付けの完了後、
図5に示すように、カバー組付電線24をユニット本体25の嵌合接続凹部55に嵌合させるとともに、これと同時に電気的な接続状態を形成する作業を行う。そして、スライドカバー90をケース28の底面に沿ってスライドさせて本係止状態とし、貫通穴101をカバー部95で閉塞する。これにより、電子部品内蔵ユニット22の組み付け作業が完了する。
【0051】
以上、
図1〜
図5を参照しながら説明してきたように、本第1実施形態の電子部品内蔵ユニット22によれば、中継端子30の第1溶接部72に電子部品29の一方のリード67を溶接する際には、該リード67を中継端子30の第1圧接接続部73に予め接続(圧接接続)することで、リード67が位置決め保持される。同様に、アース端子31の第2溶接部82に電子部品29の他方のリード66を溶接する際には、該リード66をアース端子31の第2圧接接続部74に予め接続(圧接接続)することで、リード66が位置決め保持される。そこで、電子部品29のリード67,66は、中継端子30及びアース端子31に圧接により仮接続(固定)されることで、溶接時のリード67,66の位置決めを行う必要がなく、本接続(金属結合)するための溶接作業が容易となる。
【0052】
また、電子部品29のリード67,66は、中継端子30及びアース端子31に溶着されると共に圧接されている。そこで、車両搭載時の振動等により溶接部分が外れた場合においても、電子部品内蔵ユニット22は、圧接されている接続部分で電気的接続を維持することができ、接続信頼性が向上する。
【0053】
更に、本第1実施形態の電子部品内蔵ユニット22によれば、中継端子30及びアース端子31における第1及び第2溶接部72,82に対応するケース28の底壁56に貫通穴101が形成されている。そこで、中継端子30及びアース端子31に電子部品29が仮接続された組立体をケース28に予め装着してから、貫通穴101に電極を挿入してリード67,66と中継端子30及びアース端子31との溶接を行うことができ、組立作業性を向上させることができる。
【0054】
また、ケース28の底壁56に形成された貫通穴101により、リード67,66と中継端子30及びアース端子31との接続状態を目視確認することができる。更に、貫通穴101に導通検査治具を挿入してリード67,66と中継端子30及びアース端子31との接続部に導通させることで、回路としての導通検査を行うこともできる。
【0055】
また、本第1実施形態の電子部品内蔵ユニット22によれば、ケース28には、貫通穴101を開放する位置と閉塞する位置との間をスライド可能なスライドカバー90が取り付けられているので、異物などがケース28の底壁56に形成された貫通穴101から入り込むことを防止でき、ショートの発生を防ぐことができる。
【0056】
従って、本第1実施形態の電子部品内蔵ユニット22によれば、電子部品29の接続信頼性が向上すると共に、溶接作業が容易な電子部品内蔵ユニット22を提供することができるという効果を奏する。
【0057】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る電子部品内蔵ユニット22Aは、
図6に示すように、予め電線21の長手方向における中間23に取り付けられたカバー組付電線24と、このカバー組付電線24の嵌合により電気的な接続がなされるユニット本体25Aとを備えて構成されている。
なお、本第2実施形態に係る電子部品内蔵ユニット22Aは、上記第1実施形態の電子部品内蔵ユニット22における中継端子30及びアース端子31の第1圧接接続部73及び第2圧接接続部74に代えて、中継端子30A及びアース端子31Aに第1圧着接続部93及び第2圧着接続部94を設けた以外は同様の構成であるので、同様の構成部材については同符号を付して詳細な説明を省略する。
【0058】
図6及び
図7に示すように、中継端子30Aの固定基板部70には、電子部品29のリード67に接触して組み付け時に溶接される端子底面側に凸形状の第1溶接部72と、第1溶接部72に隣接してリード67に接続される第1圧着接続部93とが形成されている。
アース端子31における接続脚部77の嵌合接続凹部55の底に対応する部分には、リード66に接触して溶接される端子底面側に凸形状の第2溶接部82と、第2溶接部82に隣接してリード66に接続される第2圧着接続部94とが形成されている。
【0059】
次に、上記構成に基づくユニット本体25Aの組み付け、及び電子部品内蔵ユニット22Aの組み付けについて説明する。
先ず、ユニット本体25Aは、スライドカバー90が仮係止状態とされたケース28の電子部品収納凹部54に電子部品29の本体86を収納するとともに、電子部品29のリード66,67の中間をリード支持部63、64に差し込みつつ、リード66,67の各先端側を嵌合接続凹部55の底に載置する。
【0060】
次に、嵌合接続凹部55の所定位置に中継端子30Aとアース端子31Aの接続脚部77とをそれぞれ取り付ける。この時、アース端子31Aの基部76は電子部品29の本体86を収納した電子部品収納凹部54を覆いつつケース28に嵌合する。
【0061】
続いて、
図7の(a),(b)に示すように、アース端子31Aの接続脚部77における第2圧着接続部94にリード66の先端を圧着すると共に、中継端子30Aの固定基板部70における第1圧着接続部93にリード67の先端を圧着して位置決めする作業を行う。これら第1圧着接続部93及び第2圧着接続部94は、一対の加締め片がリード66,67をそれぞれ包み込むように内側に曲げられることで、リード66,67を接続脚部77及び固定基板部70に密着した状態で加締めることができる。
そして、アース端子31Aの接続脚部77及び中継端子30Aの固定基板部70にそれぞれ溶接を施し、凸形状の第2溶接部82及び第1溶接部72とリード66,67とを固定する作業を行う。これにより、ユニット本体25Aに関しての組み付け作業が完了する。
【0062】
カバー組付電線24の組み付け及びユニット本体25Aの組み付けの完了後、
図8に示すように、カバー組付電線24をユニット本体25Aの嵌合接続凹部55に嵌合させるとともに、これと同時に電気的な接続状態を形成する作業を行う。そして、スライドカバー90をケース28の底面に沿ってスライドさせて本係止状態とし、貫通穴101をカバー部95で閉塞する。これにより、電子部品内蔵ユニット22Aの組み付け作業が完了する。
【0063】
以上、
図6〜
図8を参照しながら説明してきたように、本第2実施形態の電子部品内蔵ユニット22Aによれば、中継端子30Aの第1溶接部72に電子部品29の一方のリード67を溶接する際には、該リード67を中継端子30Aの第1圧着接続部93に予め接続(圧着接続)することで、リード67が位置決め保持される。同様に、アース端子31Aの第2溶接部82に電子部品29の他方のリード66を溶接する際には、該リード66をアース端子31Aの第2圧着接続部94に予め接続(圧着接続)することで、リード66が位置決め保持される。そこで、電子部品29のリード67,66は、中継端子30A及びアース端子31Aに圧着により仮接続(固定)されることで、溶接時のリード67,66の位置決めを行う必要がなく、本接続(金属結合)するための溶接作業が容易となる。
【0064】
また、電子部品29のリード67,66は、中継端子30A及びアース端子31Aに溶着されると共に圧着されている。そこで、車両搭載時の振動等により溶接部分が外れた場合においても、電子部品内蔵ユニット22Aは、圧着されている接続部分で電気的接続を維持することができ、接続信頼性が向上する。
【0065】
従って、本第2実施形態に係る電子部品内蔵ユニット22Aによれば、電子部品29の接続信頼性が向上すると共に、溶接作業が容易な電子部品内蔵ユニット22Aを提供することができるという効果を奏する。
【0066】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0067】
ここで、上述した本発明に係る電子部品内蔵ユニットの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 電子部品収納凹部(54)及び嵌合接続凹部(55)を有するケース(28)と、
前記電子部品収納凹部(54)に収納されるとともに一対のリード(66,67)が前記嵌合接続凹部(55)にのびる電子部品(29)と、
前記嵌合接続凹部(55)に収納されて一方の前記リード(67)に接触する中継端子(30,30A)と、
前記嵌合接続凹部(55)に収納されて他方の前記リード(66)に接触するとともにアース部(75)を有する金属製のアース端子(31,31A)と、
電線側端子(26)及びカバー部材(27)を有してこれらが電線(21)の中間(23)に取り付けられるとともに前記電線側端子(26)が前記中継端子(30,30A)に接触し且つ前記カバー部材(27)が前記嵌合接続凹部(55)に嵌合するカバー組付電線(24)と、
前記中継端子(30,30A)に設けられて一方の前記リード(67)に溶接される第1溶接部(72)と、
前記第1溶接部(72)に隣接して設けられて一方の前記リード(67)に接続される第1圧接接続部(73)又は第1圧着接続部(93)と、
前記アース端子(31,31A)に設けられて他方の前記リード(66)に溶接される第2溶接部(82)と、
前記第2溶接部(82)に隣接して設けられて他方の前記リード(66)に接続される第2圧接接続部(74)又は第2圧着接続部(94)と、
を備えることを特徴とする電子部品内蔵ユニット(22,22A)。
[2] 上記[1]に記載の電子部品内蔵ユニットであって、
前記中継端子(30,30A)及び前記アース端子(31,31A)における前記第1及び第2溶接部(72,82)が、前記ケース(28)の底壁(56)に対向する端子底面側に設けられ、
前記第1及び第2溶接部(72,82)に対応する前記底壁(56)には、貫通穴(101)が形成されている
ことを特徴とする電子部品内蔵ユニット(22,22A)。
[3] 上記[2]に記載の電子部品内蔵ユニットであって、
前記ケース(28)には、前記貫通穴(101)を開放する位置と閉塞する位置との間をスライド可能なカバー(スライドカバー90)が取り付けられている
ことを特徴とする電子部品内蔵ユニット(22,22A)。