特許第6940435号(P6940435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6940435
(24)【登録日】2021年9月6日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】電磁流量計
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/58 20060101AFI20210916BHJP
【FI】
   G01F1/58 J
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-45404(P2018-45404)
(22)【出願日】2018年3月13日
(65)【公開番号】特開2019-158584(P2019-158584A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2020年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 修
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 広行
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4303039(JP,B2)
【文献】 特許第3009314(JP,B2)
【文献】 特許第5887683(JP,B2)
【文献】 特許第6250580(JP,B2)
【文献】 特開2002−90193(JP,A)
【文献】 米国特許第5280726(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象となる流体が流れる測定管と、
上方に開口部を有し、内部に前記測定管を収納する有底箱状のケースと、
前記測定管が圧入される管孔を有するプリント基板と、
前記ケースの内壁部に形成されて、前記開口部から挿入された前記プリント基板の側端部と嵌合するガイド部と
を備えることを特徴とする電磁流量計。
【請求項2】
請求項1に記載の電磁流量計において、
前記ガイド部は、前記内壁部に形成された突条または溝からなることを特徴とする電磁流量計。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電磁流量計において、
前記プリント基板と前記ガイド部との組を複数備えることを特徴とする電磁流量計。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電磁流量計において、
前記プリント基板は、前記測定管に設けられた電極と接続するための基板側配線パターンを備えることを特徴とする電磁流量計。
【請求項5】
請求項4に記載の電磁流量計において、
前記測定管は、外周面に形成されて、一端が前記電極に接続され他端が前記プリント基板付近まで伸延する管側配線パターンを備えることを特徴とする電磁流量計。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電磁流量計において、
前記プリント基板は、前記管孔の孔壁面に前記測定管の外周面と当接する複数の凸部を備えることを特徴とする電磁流量計。
【請求項7】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電磁流量計において、
前記プリント基板は、前記管孔を形成する切欠きを有することを特徴とする電磁流量計。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載の電磁流量計において、
前記測定管は、円筒形状に形成されていることを特徴とする電磁流量計。
【請求項9】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載の電磁流量計において、
前記測定管は、角筒形状に形成された角筒部を有する
ことを特徴とする電磁流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定管内を流れる流体の流量を計測する電磁流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁流量計には、測定管の内側壁面に設けられた電極を計測対象の流体に直接接触させて、流体の起電力を検出する接液式のほか、測定管の外側面に一対の面電極を配置し、計測対象の流体に接触させることなく、流体の起電力を流体と面電極間の静電容量を介して検出する容量式(非接液式)がある。
【0003】
図18は、容量式電磁流量計の構成例を示す断面図である。図19は、電磁流量計の計測原理を示す説明図である。一般に、容量式電磁流量計は、流体が流れる測定管90の長手方向Xに対して直交する磁束方向Yに磁束Φを発生させる励磁コイル91A,91Bと、励磁コイル91A,91Bによって発生した磁束Φと直交する電極方向Zに配置された一対の面電極92A,92Bを備え、励磁コイル91A,91Bに流す励磁電流の極性を交互に切り替えながら面電極92A,92B間に発生する起電力を検出することにより、測定管90内を流れる流体の流量を計測する(特許文献1など参照)。
【0004】
このような容量式電磁流量計では、面電極間に発生した起電力を信号増幅回路(例えば差動増幅回路)によって増幅してから、A/D変換回路によってデジタル信号に変換し、そのデジタル信号をマイクロコントローラ等のプログラム処理装置に入力して所定の演算処理を実行することにより、流量の計測値を算出している。このような容量式電磁流量計は、検出電極が劣化し難くメンテナンスが容易であることから、近年、特に注目されている。
【0005】
しかしながら、容量式電磁流量計は、流体と面電極92A,92Bとが非接触となるように構成されていることから、流体と面電極92A,92Bとの間の静電容量は数pF程度と非常に小さい。このため、流体と面電極92A,92Bとの間のインピーダンスが非常に高くなり、ノイズ影響を受けやすい。また、面電極92A,92Bの位置および大きさによって流体から検出される流量信号(起電力)の大きさも変化する。
【0006】
図20は、電極位置に対する配管内流体の流量信号への寄与率を示す説明図である。図20によれば、面電極92A,92Bの幅は、面電極92A,92Bの両端から中心を見込む角θとすると、θ=1.4rad以内であることが望ましいことが分かる(特許文献2など参照)。このため、流量信号が最大となる軸線Pからずれた位置に、面電極92A,92Bの中心が配置された場合、得られる流量信号が小さくなり、結果としてS/N比が悪化してしまうことになる。
【0007】
従来、FA市場向けの小型の容量式電磁流量計が提案されている(特許文献3など参照)。この従来技術では、図21および図22に示すように、測定管90の外周面に面電極92A,92Bを配置し、これら面電極92A,92Bとプリアンプ基板93A,93Bの外側を覆うようにして、2つの基板ホルダ94A,94Bを上下から測定管90に装着することにより、管体ユニットを組み立てている。
【0008】
この後、下部の基板ホルダ94Bに形成された取り付け孔94Cを、ケース96の底部に取り付けられているヨーク97の突起部97Aに挿入することにより、測定管90を含む管体ユニット全体をケース96に取り付けている。これにより、容量式電磁流量計の組立作業中に、面電極92A,92Bの中心が軸線Pと一致するよう取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−226394号公報
【特許文献2】特開平7−120282号公報
【特許文献3】特開2014−202662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来技術では、図21に示すように、測定管90が基板ホルダ94Bおよびヨーク97を介してケース96に取り付けられることになるため、専用の基板ホルダ94Bが必要になるとともに、ヨーク97にも基板ホルダ94Bを保持する構造が必要となり、測定管90をケース96に取り付けるための構造および組立作業が複雑になるという問題点があった。
【0011】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、複雑な構造を必要とすることなく測定管をケースに対して容易に取り付けることができる電磁流量計を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するために、本発明にかかる電磁流量計は、計測対象となる流体が流れる測定管と、上方に開口部を有し、内部に前記測定管を収納する有底箱状のケースと、前記測定管が圧入される管孔を有するプリント基板と、前記ケースの内壁部に形成されて、前記開口部から挿入された前記プリント基板の側端部と嵌合するガイド部とを備えている。
【0013】
また、本発明にかかる上記電磁流量計の一構成例は、前記ガイド部が、前記内壁部に形成された突条または溝からなるものである。
【0014】
また、本発明にかかる上記電磁流量計の一構成例は、前記プリント基板と前記ガイド部との組を複数備えている。
【0015】
また、本発明にかかる上記電磁流量計の一構成例は、前記プリント基板が、前記測定管に設けられた電極と接続するための基板側配線パターンを備えている。
【0016】
また、本発明にかかる上記電磁流量計の一構成例は、前記測定管が、外周面に形成されて、一端が前記電極に接続され他端が前記プリント基板付近まで伸延する管側配線パターンを備えている。
【0017】
また、本発明にかかる上記電磁流量計の一構成例は、前記プリント基板が、前記管孔の孔壁面に前記測定管の外周面と当接する複数の凸部を備えている。
【0018】
また、本発明にかかる上記電磁流量計の一構成例は、前記プリント基板が、前記管孔を形成する切欠きを有している。
【0019】
また、本発明にかかる上記電磁流量計において、前記測定管は、円筒形状に形成されていてもよいし、角筒形状に形成された角筒部を有していてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、従来のような基板ホルダやヨークの突起部などの複雑な構造を必要とすることなく、さらには、測定管をケース内で保持するためのスペーサーなどの専用の取付部品を必要とすることなく、測定管をケースに対して容易に取り付けることができる。これにより、測定管の両端にケースの外側から継手を組み付ける場合、ケース内に測定管が位置決めされており、測定管が回転したり面電極の位置がずれたりすることがないため、極めて容易かつ正確に組み付け作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施の形態にかかる電磁流量計を示す上面図である。
図2】第1の実施の形態にかかる電磁流量計の回路構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施の形態にかかる電磁流量計の側面図である。
図4】第1の実施の形態にかかる電磁流量計の断面斜視図である。
図5】第1の実施の形態にかかる電磁流量計の組立図である。
図6】測定管とプリント基板との関係を説明する図である。
図7】第1の実施の形態にかかる測定管挿入時を示す説明図である。
図8】第1の実施の形態にかかる継手接続時を示す説明図である。
図9】第1の実施の形態にかかる検出器を示す上面図である。
図10】第1の実施の形態にかかる検出器を示す側面図である。
図11】第1の実施の形態にかかる検出器を示す正面図である。
図12】プリアンプを用いた差動増幅回路の構成例を説明する図である。
図13】第1の実施の形態にかかる検出部の他の正面図である。
図14】第2の実施の形態にかかる電磁流量計を示す上面図である。
図15】第2の実施の形態にかかる電磁流量計の側面図である。
図16】導電率(電気伝導率)測定回路の構成例を説明する図である。
図17】測定管の他の構成例を説明する図である。
図18】容量式電磁流量計の構成例を示す断面図である。
図19】電磁流量計の計測原理を示す説明図である。
図20】電極位置に対する配管内流体の流量信号への寄与率を示す説明図である。
図21】従来の容量式電磁流量計の構造を示す断面図である。
図22】従来の容量式電磁流量計の構造を示す他の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電磁流量計100について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる電磁流量計を示す上面図である。図2は、第1の実施の形態にかかる電磁流量計の回路構成を示すブロック図である。以下では、一対の検出電極が測定管内を流れる流体と直接接液しない容量式電磁流量計を例として説明するが、これに限定されるものではなく、流体と直接接液する接液式の電磁流量計であっても、本発明を同様に適用できる。
【0023】
図2に示すように、容量式電磁流量計100は、主な回路部として、検出部20、信号増幅回路21、信号検出回路22、励磁回路23、導電率(電気伝導率)測定回路24、伝送回路25、設定・表示回路26、および演算処理回路(CPU)27を備えている。
【0024】
検出部20は、主な構成として、測定管2、励磁コイル3A,3B、面電極10A,10B、およびプリアンプ5Uを備え、測定管2内の流路1を流れる流体の流速に応じた起電力Va,Vbを面電極10A,10Bで検出し、これら起電力Va,Vbに応じた交流の検出信号Vinを出力する機能を有している。
【0025】
演算処理回路27の励磁制御部27Aは、予め設定されている励磁周期に基づいて、励磁電流Iexの極性を切り替えるための励磁制御信号Vexを出力する。励磁回路23は、演算処理回路27の励磁制御部27Aからの励磁制御信号Vexに基づいて、交流の励磁電流Iexを励磁コイル3A,3Bへ供給する。
信号増幅回路21は、検出部20から出力された検出信号Vinに含まれるノイズ成分をフィルタリングした後、増幅して得られた交流の流量信号VFを出力する。信号検出回路22は、信号増幅回路21からの流量信号VFをサンプルホールドし、得られた直流電圧を流量振幅値DFにA/D変換して、演算処理回路27へ出力する。
【0026】
演算処理回路27の流量算出部27Bは、信号検出回路22からの流量振幅値DFに基づいて流体の流量を算出し、流量計測結果を伝送回路25へ出力する。伝送回路25は、伝送路Lを介して上位装置との間でデータ伝送を行うことにより、演算処理回路27で得られた流量計測結果や空状態判定結果を上位装置へ送信する。
【0027】
導電率測定回路24は、例えば継手85を介して測定管2内を流れる流体をコモン電位Vcomとした状態で、導電率測定用電極10Cに抵抗素子を介して交流信号を印加し、そのときの導電率測定用電極10Cに発生する交流検出信号の振幅をサンプリングし、A/D変換して得られた交流振幅値データDPを演算処理回路27へ出力する回路である。
【0028】
演算処理回路27の導電率算出部27Cは、導電率測定回路24からの交流振幅値データDPに基づいて、流体の電気伝導率を算出する機能を有している。
演算処理回路27の空状態判定部27Dは、導電率算出部27Cで算出された流体の電気伝導率に基づいて、測定管2内における流体の存在有無を判定する機能を有している。
通常、流体の電気伝導率は、空気の電気伝導率より大きい。このため、空状態判定部27Dは、導電率算出部27Cで算出された流体の電気伝導率を、閾値処理することにより、流体の存在有無を判定している。
【0029】
設定・表示回路26は、例えば作業者の操作入力を検出して、流量計測、伝導率測定、空状態判定などの各種動作を演算処理回路27へ出力し、演算処理回路27から出力された、流量計測結果や空状態判定結果をLEDやLCDなどの表示回路で表示する。
【0030】
演算処理回路27は、CPUとその周辺回路を備え、予め設定されているプログラムをCPUで実行することにより、ハードウェアとソフトウェアを協働させることにより、励磁制御部27A、流量算出部27B、導電率算出部27C、空状態判定部27Dなどの各種処理部を実現する。
【0031】
[測定管の取付構造]
次に、図1図3および図4参照して、測定管2の取付構造の構成について詳細に説明する。図3は、第1の実施の形態にかかる電磁流量計の側面図である。図4は、第1の実施の形態にかかる電磁流量計の断面斜視図である。
【0032】
本実施の形態は、プリント基板5に設けた管孔5Hに測定管2を圧入し、このプリント基板5の側端部5I,5Jを、ケース8の内壁部8Aに形成したガイド部81A,81Bに嵌合するよう、ケース8の開口部8Bから挿入することにより、測定管2をケース8に取り付けるようにしたものである。
【0033】
図1に示すように、測定管2は、円筒形状をなすセラミックや樹脂などの絶縁性および誘電性に優れた材料からなり、測定管2の外側には、測定管2の長手方向(第1の方向)Xに対して磁束方向(第2の方向)Yが直交するよう、略C字形状のヨーク(例えば、図5のヨーク4と同形状)と、一対の励磁コイル3A,3Bが測定管2を挟んで対向配置されている。なお、以下では、図を見易くするため、対向するヨーク端面だけ、すなわちヨーク面4A、4Bだけを図示する。
【0034】
一方、測定管2の外周面2Aには、長手方向Xおよび磁束方向(第2の方向)Yと直交する電極方向(第3の方向)Zに、薄膜導体からなる一対の面電極(第1の面電極)10Aと面電極(第2の面電極)10Bが対向配置されている。
これにより、交流の励磁電流Iexを励磁コイル3A,3Bに供給すると、励磁コイル3A,3Bの中央に位置するヨーク面4A,4B間に磁束Φが発生して、流路1を流れる流体に、電極方向Zに沿って流体の流速に応じた振幅を持つ交流の起電力が発生し、この起電力が、流体と面電極10A,10Bとの間の静電容量を介して面電極10A,10Bで検出される。
【0035】
ケース8は、上方に開口部8Bを有し、内部に測定管2を収納する有底箱状の樹脂、または金属筐体から構成されている。ケース8の内壁部のうち長手方向Xと平行する一対の内壁部8Aには、互いに対抗する位置にガイド部81A,81Bが形成されている。ガイド部81A,81Bは、電極方向Zと平行して形成された2つの突条からなり、これら突条の間の嵌合部82A,82Bが、開口部8Bから挿入されたプリント基板5の側端部5I,5Jと嵌合する。
【0036】
なお、ガイド部81A,81Bの突条は、電極方向Zに連続して形成されている必要はなく、側端部5I,5Jがスムーズに挿入される間隔で、複数に分離して形成してもよい。また、ガイド部81A,81Bは、突条ではなく、内壁部8Aに形成されて、プリント基板5の側端部5I,5Jが挿入される溝であってもよい。
【0037】
ケース8の側面のうち磁束方向Yと平行する一対の側面8Cには、電磁流量計100の外部に設けられる配管(図示せず)と測定管2とを連結可能な、金属材料(例えば、SUS)から構成された管状の継手85,86が配設されている。この際、測定管2は、長手方向Xに沿ってケース8の内部に収納され、測定管2の両端部には、Oリング87を挟んで継手85と継手86がそれぞれ連結される。
【0038】
ここで、継手85,86のうちの少なくとも一方は、コモン電極10Dとして機能する。例えば、継手85は、コモン電位Vcomに接続されることにより、外部の配管と測定管2とを連結するだけでなく、コモン電極10Dとしても機能する。
このように、コモン電極10Dを金属からなる継手85によって実現することにより、コモン電極10Dの流体と接触する面積が広くなる。これにより、コモン電極10Dに異物の付着や腐食が生じた場合であっても、異物の付着や腐食が生じた部分の面積がコモン電極10Dの全面積に対して相対的に小さくなるため、分極容量の変化による測定誤差を抑えることが可能となる。
【0039】
図5は、第1の実施の形態にかかる電磁流量計の組立図である。図7は、第1の実施の形態にかかる測定管挿入時を示す説明図である。図8は、第1の実施の形態にかかる継手接続時を示す説明図である。
プリント基板5は、電子部品を実装するための一般的なプリント基板(例えば、板厚1.6mmのガラス布基材エポキシ樹脂銅張積層板)であり、図5に示すように、プリント基板5のほぼ中央位置に、測定管2を貫通させるための管孔5Hが形成されている。したがって、プリント基板5は測定管2と交差する方向に沿って取り付けられることになる。この管孔5Hの大きさは、測定管2の外周部の大きさと同じもしくは少し小さめに設定されている。測定管2が管孔5Hに圧入されてプリント基板5に係止される。
【0040】
なお、測定管2の外周面2Aと管孔5Hの端部とを接着剤で固定してもよい。図5の例では、管孔5Hは、プリント基板5の側端部に向けて開口していないが、図6に示すように、管孔の周部の一部が切り欠かれ、プリント基板5の側端部に向けて直接開口して、切欠き5Kを形成していてもよく、あるいはスリットを介して間接的に開口していてもよい。この場合、プリント基板5に設けられた切欠き5Kが、測定管2が圧入される管孔を形成することとなる。
【0041】
したがって、測定管2をケース8内に組み付ける場合、まず、励磁コイル3A,3Bが装着されたヨーク4をケース8の底部8Dにネジ止めした状態で、管孔5Hに測定管2が圧入されたプリント基板5を、側端部5I,5Jがケース8のガイド部81A,81Bの嵌合部82A,82Bと嵌合するよう、ケース8の開口部8Bからケース8の内部に挿入する。この後、測定管2の両端にケース8の外側からOリング87を挟んで継手85,86を連結し、継手85,86をケース8にネジ止めする。
【0042】
これにより、管孔5Hに測定管2が圧入された状態で、プリント基板5がケース8の内部に取り付けられ、結果として、このプリント基板5を介して測定管2がケース8の内部に取り付けられることになる。この際、ガイド部81A,81Bでプリント基板5を固定する必要はなく、逆に少し遊びがあったほうが継手85,86によるネジ止めの際に、測定管2あるいはプリント基板5に機械的ストレスがかからない。
【0043】
図9は、第1の実施の形態にかかる検出器を示す上面図である。図10は、第1の実施の形態にかかる検出器を示す側面図である。図11は、第1の実施の形態にかかる検出器を示す正面図である。
流体と面電極10A,10Bとの間の静電容量は数pF程度と非常に小さく、流体と面電極10A,10Bとの間のインピーダンスが高くなるため、ノイズの影響を受けやすくなる。このため、オペアンプICなどを用いたプリアンプ5Uにより、面電極10A,10Bで得られた起電力Va,Vbを低インピーダンス化している。
【0044】
本実施の形態では、測定管2と交差する方向であって、励磁コイル3A,3Bのヨーク面4A,4B間で磁束Φが発生する領域すなわち磁束領域Fの外側位置に、プリント基板5を測定管2に取り付けてプリアンプ5Uを実装し、面電極10A,10Bとプリアンプ5Uとを、接続配線11A,11Bを介して電気的に接続している。
【0045】
図10および図11の例において、プリント基板5の取付位置は、長手方向X(矢印方向)に流れる流体の下流方向に、磁束領域Fから離間した位置である。また、プリント基板5の取付方向は、前述したように、基板面が測定管2と交差する方向、ここでは、磁束方向Yおよび電極方向Zからなる2次元平面に沿った方向である。なお、プリント基板5の取付位置は、磁束領域Fの外側位置であればよく、磁束領域Fから下流方向とは反対の上流方向に離間した位置であってもよい。また、プリント基板5の取付方向は、上記2次元平面に沿った方向に厳密に限定されるものではなく、上記2次元平面と傾きを持っていてもよい。
【0046】
また、面電極10A,10B、接続配線11A,11B、および、プリアンプ5Uは、接地電位に接続された金属板からなるシールドケース7で電気的にシールドされている。シールドケース7は、長手方向Xに沿って伸延する略矩形状をなし、測定管2が内側を貫通するための開口部が、磁束領域Fから上流方向と下流方向に設けられている。
【0047】
これにより、インピーダンスの高い回路部分全体がシールドケース7でシールドされることにより、外部ノイズの影響を抑制される。この際、プリント基板5のうちプリアンプ5Uの実装面とは反対側の半田面に、接地電位に接続された接地パターン(べたパターン)からなるシールドパターン5Gを形成してもよい。これにより、シールドケース7を構成する平面のうち、プリント基板5と当接する平面はすべて開口していてもよく、シールドケース7の構造を簡素化できる。
【0048】
接続配線11A,11Bは、面電極10A,10Bとプリアンプ5Uとを接続する配線であり、前述したように全体がシールドケース7でシールドされているため、一般的な一対の配線ケーブルを用いてもよい。この際、配線ケーブルの両端を、面電極10Aとプリント基板5に形成したパッドにそれぞれ半田付けすればよい。
本実施の形態では、図10および図11に示すように、接続配線11A,11Bとして、測定管2の外周面2Aに形成した管側配線パターン12A,12Bを用いるようにしたものである。
【0049】
すなわち、接続配線11Aは、外周面2Aに形成されて一端が面電極10Aに接続された管側配線パターン12Aと、プリント基板5に形成されて一端がプリアンプ5Uに接続された基板側配線パターン5Aと、管側配線パターン12Aと基板側配線パターン5Aとを接続するジャンパー線15Aとから構成されている。ジャンパー線15Aは、管側配線パターン12Aの他端に形成されたパッド16Aと、基板側配線パターン5Aの他端に形成されたパッド5Cとに半田付けされる。
【0050】
また、接続配線11Bは、外周面2Aに形成されて一端が面電極10Bに接続され、他端がプリント基板5近傍に配置したジャンパー線15B接続用のパッド16Bに接続された管側配線パターン12Bと、プリント基板5に形成されて一端がプリアンプ5Uに接続された基板側配線パターン5Bと、管側配線パターン12Bと基板側配線パターン5Bとを接続するジャンパー線15Bとから構成されている。ジャンパー線15Bは、管側配線パターン12Bの他端に形成されたパッド16Bと、基板側配線パターン5Bの他端に形成されたパッド5Dとに半田付けされる。
【0051】
これにより、接続配線11A,11Bのうち、面電極10A,10Bからプリント基板5の近傍位置までの区間で、外周面2Aに形成された管側配線パターン12A,12Bが用いられることになる。このため、前述した一対の配線ケーブルを用いる場合のように、配線ケーブルの取り回しや固定などの取付作業を簡素化でき、接続配線のコストおよび配線作業負担が軽減される。
【0052】
さらに、面電極10A,10Bと管側配線パターン12A,12Bとは、銅などの非磁性金属薄膜からなり、測定管2の外周面2Aにメタライズ処理により一体で形成されるため、製造工程を簡素化することができ、製品コストの低減にもつながる。なお、前述のメタライズ処理は、メッキ処理や、蒸着処理などであってもよく、さらには、予め成型しておいた非磁性金属薄膜体を貼り付けてもよい。
【0053】
また、図10および図11に示すように、管側配線パターン12Aは、測定管2の外周面2Aに長手方向Xに沿って直線状に形成された長手方向配線パターン13Aを含み、管側配線パターン12Bは、測定管2の外周面2Aに長手方向Xに沿って直線状に形成された長手方向配線パターン13Bを含んでいる。
【0054】
接続配線11A,11Bの一部は、磁束領域Fの内側あるいはその近傍に配置されるため、接続配線11A,11Bとして一対の配線ケーブルを用いた場合には、磁束方向Yから見た両配線間の位置ズレにより信号ループが形成されてしまい、磁束微分ノイズが発生する要因となる。本実施の形態のように、測定管2の外周面2Aに形成した配線パターンを用いれば、接続配線11A,11Bの位置を正確に固定化することができる。このため、磁束方向Yから見た両配線間の位置ズレを回避でき、磁束微分ノイズ発生を容易に抑制することができる。
【0055】
さらに、図10および図11に示すように、管側配線パターン12Aは、面電極10Aのうち、長手方向Xに沿った第1の端部17Aから長手方向配線パターン13Aの一端まで、測定管2の外周面2Aに測定管2の周方向Wに沿って形成された周方向配線パターン14Aを含んでいる。
また、管側配線パターン12Bは、面電極10Bのうち、長手方向Xに沿った第2の端部17Bから長手方向配線パターン13Bの一端まで、測定管2の外周面2Aに測定管2の周方向Wに沿って形成された周方向配線パターン14Bを含んでいる。
【0056】
この際、長手方向配線パターン13Bは、測定管2を挟んで長手方向配線パターン13Aとは反対側の外周面2Aのうち、磁束方向Yから見て長手方向配線パターン13Aと重なる位置に形成されている。すなわち、外周面2Aのうち、管軸Jを通過する電極方向Zに沿った平面を挟んで対称となる位置に、長手方向配線パターン13A,13Bが形成されている。
【0057】
図10および図11の例では、磁束方向Yに沿って測定管2の管軸Jを通過する平面が外周面2Aと交差する交差線JA,JB上に、長手方向配線パターン13A,13Bがそれぞれ形成されている。また、周方向配線パターン14Aの一端は、面電極10Aの第1の端部17Aのうち、長手方向Xにおける面電極10Aの中央位置に接続されている。同じく、周方向配線パターン14Bの一端は、面電極10Bの第2の端部17Bのうち、長手方向Xにおける面電極10Bの中央位置に接続されている。
【0058】
これにより、長手方向配線パターン13A,13Bが、磁束方向Yから見て重なる位置に形成されているため信号ループの形成を正確に回避することができ、磁束微分ノイズ発生を容易に抑制することができる。
なお、周方向配線パターン14A,14Bと面電極10A,10Bとの接続点は、管軸Jを挟んで対称となる位置、すなわち面電極10A,10Bの長手方向Xにおいて互いに同じ位置で接続しておけば、面電極10A,10Bの中央位置でなくてもよい。
【0059】
また、交差線JA,JB上に長手方向配線パターン13A,13Bを形成することにより、周方向配線パターン14A,14Bの長さが等しくなって、管側配線パターン12A,12B全体の長さが等しくなるため、管側配線パターン12A,12Bの長さの違いに起因して発生する、面電極10A,10Bからの起電力Va,Vbの位相差や振幅などのアンバランスを抑制できる。なお、計測精度上、これらアンバランスが無視できる程度であれば、長手方向配線パターン13A,13Bは、交差線JA,JB上でなくてもよく、磁束方向Yから見て重なる位置に形成されていればよい。
【0060】
図12は、プリアンプを用いた差動増幅回路の構成例である。図12に示すように、プリアンプ5Uは、面電極10A,10Bからの起電力Va,Vbをそれぞれ個別に低インピーダンス化して出力する2つのオペアンプUA,UBを備えている。これらオペアンプUA,UBは、同じICパッケージ内に封止されている(デュアルオペアンプ)。また、これらは、入力されたVa,Vbを差動増幅し、得られた差動出力を検出信号Vinとして、図2の信号増幅回路21へ出力する。
【0061】
具体的には、UAの非反転入力端子(+)にVaが入力され、UBの非反転入力端子(+)にVbが入力されている。また、UAの反転入力端子(−)は、抵抗素子R1を介してUAの出力端子に接続されており、UBの反転入力端子(−)は、抵抗素子R2を介してUBの出力端子に接続されている。そして、UAの反転入力端子(−)は、抵抗素子R3を介してUBの反転入力端子(−)に接続されている。この際、R1,R2の値を等しくすることによりUA,UBの増幅率は一致する。これらR1,R2の値とR3の値によって増幅率が決定される。
【0062】
面電極10A,10Bからの起電力Va,Vbは、互いに逆相を示す信号であるため、UA,UBを用いてこのような差動増幅回路をプリント基板5上で構成することにより、励磁コイル3A,3Bや測定管2から熱の影響を受けてVa,Vbに温度ドリフトが発生したとしても、Va,Vbが差動増幅される。これにより、検出信号Vinにおいて、これら同相の温度ドリフトはキャンセルされるとともに、Va,Vbが加算されることになり、良好なS/N比を得ることができる。
【0063】
図13は、第1の実施の形態にかかる検出部の他の正面図である。図13に示すように、プリアンプ5Uを搭載するプリント基板5は、管孔5Hの孔壁面に凸部5Tを備え、この凸部5Tが外周面2Aと当接するようにしてもよい。これにより、管孔5Hの端部が外周面2Aと部分的に接触することになり、管孔5Hの端部の全周にわたって外周面2Aと接する構成と比較して、測定管2からプリアンプ5Uに伝わる熱の影響を抑制することができる。
【0064】
また、測定管2を管孔5Hに圧入する際、凸部5Tの変形や凸部5Tにより形成された、管孔5Hの端部と外周面2Aとの隙間により、測定管2を圧入しやすくなるため、圧入専用の治具を用意する必要がなく、作業負担を軽減できる。
また、測定管2を管孔5Hに圧入することによりプリント基板5を容易に固定することができ、ジャンパー線15A,15Bを管側配線パターン12A,12Bと基板側配線パターン5A,5Bに半田付けする際の作業負担も軽減できる。
【0065】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、プリント基板5に測定管2が圧入される管孔5Hを設けるとともに、ケース8の内壁部8Aに、開口部8Bから挿入されたプリント基板5の側端部5I,5Jと嵌合するガイド部81A,81Bを形成したものである。
これにより、プリント基板5がケース8の内部に取り付けられ、結果として、このプリント基板5を介して測定管2がケース8の内部に取り付けられることになる。
【0066】
したがって、従来のような基板ホルダやヨークの突起部などの複雑な構造を必要とすることなく、さらには、測定管2をケース8内で保持するためのスペーサーなどの専用の取付部品を必要とすることなく、測定管2をケース8に対して容易に取り付けることができる。これにより、測定管2の両端にケース8の外側から継手85,86を組み付ける場合、ケース8内に測定管2が位置決めされており、測定管2が回転したり面電極10A,10Bの位置がずれたりすることがないため、極めて容易かつ正確に組み付け作業を行うことができる。
【0067】
また、本実施の形態において、ガイド部81A,81Bを、ケース8の内壁部8Aに形成された凸状または凹状のレールで構成してもよい。これにより、極めて簡素な構造でプリント基板5さらには測定管2をケース8の内部に取り付けることができる。なお、ガイド部81A,81Bについては、凸状部分または凹状部分が伸延して形成されている必要はなく、側端部5I,5Jがスムーズに挿入される間隔で、凸状部分または凹状部分を複数に分離して形成してもよい。
【0068】
また、測定管2の両端には、ケース8の外側から継手85,86を組み付けるため、最終的には、この継手85,86により測定管2がケース8に固定されることになる。このため、ガイド部81A,81Bでプリント基板5を固定する必要はなく、逆に遊びがあったほうが継手85,86によるネジ止めの際に、測定管2あるいはプリント基板5に機械的ストレスがかからない。
【0069】
また、本実施の形態において、プリント基板5に、測定管2に設けられた面電極10A,10Bと接続するための基板側配線パターン5A,5Bを形成し、さらには、測定管2の外周面2Aに、一端が面電極10A,10Bに接続され他端がプリント基板5側まで伸延する管側配線パターン12A,12Bを形成するようにしたので、プリント基板5を、測定管2の取り付けだけでなく面電極10A,10Bの接続配線にも兼用することができる。このため、全体の構成を大幅簡素化することができ、FA市場の要求に合致した容量式電磁流量計の小型化を実現することができる。
【0070】
[第2の実施の形態]
次に、図14を参照して、本実施の形態にかかる電磁流量計100について説明する。図14は、第2の実施の形態にかかる電磁流量計を示す上面図である。図15は、第2の実施の形態にかかる電磁流量計の側面図である。
本実施の形態では、プリント基板とガイド部との組を2組設けた場合について説明する。
【0071】
プリント基板6は、プリント基板5と同様、電子部品を実装するための一般的なプリント基板(例えば、板厚1.6mmのガラス布基材エポキシ樹脂銅張積層板)であり、プリント基板6のほぼ中央位置に、測定管2を貫通させるための管孔6Hが形成されている。したがって、プリント基板6は測定管2と交差する方向に沿って取り付けられていることになる。この管孔6Hの大きさは、測定管2の外周部の大きさと同じもしくは少し小さめに設定されている。
【0072】
また、プリント基板5と同様、管孔6Hは、プリント基板6の側端部に向けて開口していないが、図6に示すように、管孔の周部の一部が切り欠かれ、プリント基板5の側端部に向けて直接開口して、切欠き5Kを形成していてもよく、あるいはスリットを介して間接的に開口していてもよい。この場合、プリント基板5に設けられた切欠き5Kが、測定管2が圧入される管孔を形成することとなる。
また、図13に示したように、プリント基板5と同様、管孔6Hの孔壁面に凸部を備え、この凸部が外周面2Aと当接するようにしてもよい。
【0073】
図14および図15に示すように、ケース8の内壁部のうち長手方向Xと平行する一対の内壁部8Aには、ガイド部81A,81Bに加えて、互いに対抗する位置にガイド部83A,83Bが形成されている。ガイド部83A,83Bは、電極方向Zと平行して形成された2つの突条からなり、これら突条の間の嵌合部84A,84Bが、開口部8Bから挿入されたプリント基板6の側端部6I,6Jと嵌合する。
【0074】
なお、ガイド部83A,83Bの突条は、電極方向Zに連続して形成されている必要はなく、側端部6I,6Jがスムーズに挿入される間隔で、複数に分離して形成してもよい。また、ガイド部83A,83Bは、突条ではなく、内壁部8Aに形成されて、プリント基板6の側端部6I,6Jが挿入される溝であってもよい。
【0075】
これにより、管孔5H,6Hに測定管2が圧入された状態で、プリント基板5,6がケース8の内部に取り付けられ、結果として、このプリント基板5,6を介して測定管2がケース8の内部に取り付けられることになる。この際、ガイド部81A,81B,83A,83Bでプリント基板5,6を固定する必要はなく、逆に少し遊びがあったほうが継手85,86によるネジ止めの際に、測定管2あるいはプリント基板5,6に機械的ストレスがかからない。
【0076】
また、前述したように、流体の導電率(電気伝導率)を測定するには、電極10A,10Bとは別個に導電率測定用電極10Cを設ける必要があり、導電率測定用電極10Cは、測定管2の外周面2Aのうち、磁束領域Fから離れた位置に配置されている。したがって、図14および図15に示すように、プリント基板6を導電率測定用電極10Cの付近に配置すれば、プリント基板6に、導電率測定用電極10Cを接続するための接続配線や回路の一部を設けることができる。
【0077】
図16は、導電率測定回路の構成例である。導電率測定回路24は、主な回路部として、クロック信号生成回路24A、A/D変換器24B、および測定I/F回路24Cを備えている。
【0078】
演算処理回路27の導電率算出部27Cから出力されたクロック信号CLK0に基づいて、クロック信号生成回路24Aにより、3つのクロック信号CLK1,CLKp,CLKnが生成される。
測定I/F回路24Cは、CLK1に基づいてスイッチSWvを切り替えることにより、電圧VPの振幅を持つ交流信号を生成し、抵抗素子RPを介して導電率測定用電極10Cに印加する。
【0079】
そのときの導電率測定用電極10Cに発生する検出信号Vpを、測定I/F回路24Cの増幅器AMPで増幅した後、CLKp,CLKnに基づいてスイッチSWp,SWnを制御することにより、Vpのハイレベルとローレベルをサンプリングして、A/D変換器24BでそれぞれA/D変換し、得られた検出データDpを演算処理回路27へ出力する。導電率算出部27は、導電率測定回路24からの検出データDpが示すVpの振幅電圧に基づいて、流体の電気伝導率を算出する。
【0080】
この際、導電率測定用電極10Cのインピーダンスは非常に高く、ノイズの影響を受けやすいため、測定I/F回路24Cをなるべく導電率測定用電極10Cの近くに配置するのが望ましい。本実施の形態は、このような観点から、プリント基板6に測定I/F回路24Cを搭載するようにしたものである。
【0081】
プリント基板6と導電率測定用電極10Cとは、ジャンパー線15Cで接続すればよい。これにより、導電率測定用電極10Cと測定I/F回路24Cとの接続配線の長さを大幅に短くできるとともに、検出信号Vpを増幅器AMPで低インピーダンス化できるため、ノイズの影響を低減することができる。
【0082】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、プリント基板6に測定管2が圧入される管孔6Hを設けるとともに、ケース8の内壁部8Aに、開口部8Bから挿入されたプリント基板6の側端部6I,6Jと嵌合するガイド部83A,83Bを形成したものである。
これにより、プリント基板5,6の両方がケース8の内部に取り付けられ、結果として、これらプリント基板5,6の両方を介して測定管2がケース8の内部に取り付けられることになる。したがって、プリント基板5だけを用いる場合と比較して、測定管2を安定して取り付けることができ、効率よく組み立て作業を行うことができる。
【0083】
また、本実施の形態において、プリント基板6に測定I/F回路24Cを搭載して、導電率測定用電極10C付近に取り付け、導電率測定用電極10Cと電気的に接続するようにしてもよい。これにより、プリント基板6を、測定管2の取り付けだけでなく測定I/F回路24Cさらには導電率測定用電極10Cとの接続配線にも兼用することができる。このため、全体の構成を大幅簡素化することができ、FA市場の要求に合致した容量式電磁流量計の小型化を実現することができる。
【0084】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【0085】
例えば、上述した実施の形態において、測定管2は円筒形状であるものとして説明したが、一部に角筒形状に形成された角筒部を有していてもよい。図17に測定管の他の構成例を示す。図17において、(a)は、測定管2’の上面図、(b)は側面図、(c)は正面図、(d)は、(b)に示すAAにおける断面図である。
【0086】
測定管2’は、アルミナ等の高誘電率セラミックまたは高誘電率セラミック粉体を配合した合成樹脂から構成され、図17に示すように、両端に設けられた、円筒形状に形成されて図示しない配管と接続される円筒部2L、2Rと、円筒部2L、2Rの間に設けられ角筒形状に形成された角筒部2Cとを有している。図17(d)に示すように、測定管2’の角筒部2Cにおいては、管壁および管路の断面は共に略方形となる。測定管2’は、プリント基板5’に形成された略方形の管孔5H’に挿通され、凸部5T’によって固定されている。測定管2’の角筒部2Cの互いに平行な壁面(図17においては、方形部2Cの上面および下面)にはそれぞれ面電極10B’、10A’が形成され、これらの面電極10B’、10A’は、それぞれ管側配線パターン13B’,14B’、13A’,14A’、およびジャンパー線15B’,15A’を介してプリント基板5’に形成された図示しない回路に接続されている。
【0087】
測定管2’は、角筒部2Cを有することによって、2つの面電極10A’,10B’を互いに平行に配設することができるので、S/N比の向上が期待できる。また、コイルその他の部品とともに筐体内に収容しやすくなるので、装置の一層の小型化を可能とする。
【符号の説明】
【0088】
100…容量式電磁流量計、1…流路、2,2’…測定管、2C…角筒部、2L,2R…円筒部、3A,3B…励磁コイル、4…ヨーク、4A,4B…ヨーク面、5,5’,6…プリント基板、5A,5B,6A,6B…基板側配線パターン、5C,5D…パッド、5T,5T’…凸部、5G…シールドパターン、5H,5H’,6H…管孔、5K…切欠き、5I,5J,6I,6J…側端部、5U…プリアンプ、7…シールドケース、8…ケース、8A…内壁部、8B…開口部、81A,81B,83A,83B…ガイド部、82A,82B,84A,84B…嵌合部、85,86…継手、10A,10B、10A’,10B’…面電極、10C…導電率測定用電極、10D…コモン電極、11A,11B…接続配線、12A,12B…管側配線パターン、13A,13B…長手方向配線パターン、14A,14B…周方向配線パターン、15A,15A’,15B,15B’,15C…ジャンパー線、16A,16B…パッド、17A,17B…端部、20…検出部、21…信号増幅回路、22…信号検出回路、23…励磁回路、24…導電率測定回路、24A…クロック信号生成回路、24B…A/D変換器、24C…測定I/F回路、25…伝送回路、26…設定・表示回路、27…演算処理回路、27A…励磁制御部、27B…流量算出部、27C…導電率算出部、27D…空状態判定部、UA,UB…オペアンプ、R1,R2,R3…抵抗素子、L…伝送路、Va,Vb…起電力、Vin,Vp…検出信号、Φ…磁束、F…磁束領域、X…長手方向、Y…磁束方向、Z…電極方向、W…周方向、J…管軸、JA,JB…交差線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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