(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記維持部材は、更に、前記貫通孔の周縁に嵌合する対向する一対の嵌合部と、該一対の嵌合部間に設けられた、該両嵌合部を近接可能な近接空間と、該近接空間に挿入されて、前記両嵌合部の間隔を保持する近接防止部と、を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の基材と取付体との組付け維持構造。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〈第一実施形態〉
まず、本発明の第一実施形態の基材と取付体との組付け維持構造を
図1乃至
図7に基づいて説明する。本実施形態の基材と取付体との組付け維持構造は、給水、給湯の配管装置に設けられる管状体としての円筒状のヘッダーを建物の壁面に沿って固定するものを例示する。基材は、壁面等に固定されるベース体であり、取付体は、基材に組み付けられて基材とでヘッダーを挟持、抱持し固定するものである。
【0018】
図1乃至
図4において、基材と取付体との組付け維持構造1Aは、壁面60に固定される基材10と、基材10に組み付けられる取付体30と、基材10と取付体30との組付け状態を維持する維持部材40と、で構成されている。本実施形態では、壁面60は垂直面であり、基材10は垂直状態に固定される。なお、実施形態では、
図1の上下方向に基づいて各部材の上下位置を表している。
【0019】
前記基材10は、合成樹脂材、金属材等で形成され、
図2に示すように、一定幅の短冊板状に形成されており、上下両端すなわち長手方向両端には壁面60に固定するための固定孔11が設けられている。両端部から所定距離中央側に離間した位置にはそれぞれ壁面60から離間する方向の所定高さの段部12が設けられており、両段部12の間の中間板部13は平板で形成され、その表面は、取付体30とともに管状体であるヘッダー70を取り付ける取付面13aとなっている。
【0020】
基材10の中間板部13の上部側の幅方向中央には、表裏に貫通して後述する取付体30の係止部33が通過可能な矩形状の貫通孔14が設けられている。更に、貫通孔14の下方にはこれより幅の小さい矩形状の移動空間15が貫通孔14に連通して設けられている。移動空間15は、貫通孔14内に通過した係止部33が下方の後述する被取付部16側に移動可能となっている。連通形成された貫通孔14と移動空間15とは全体として凸形状に形成されている。
【0021】
また、基材10の下部側の幅方向中央には、表裏に貫通し、貫通孔14に向けて延び、取付体30が取り付けられる長孔状の被取付部16が設けられている。貫通孔14と被取付部16との間隔は、取付体30の後述する係止部33と取付部32との間隔と同一である。
【0022】
ここで、基材10の長孔状の被取付部16の長手方向すなわち
図2における上下方向の長さL1は、取付体30の取付部32及び係止部33がそれぞれ基材10の被取付部16及び貫通孔14に挿入された状態で、取付体30の係止部33の軸部33aが貫通孔14の位置から移動空間15に移動するに伴って、取付体30の取付部32の軸部32aが被取付部16内を移動するのを許容する長さに形成されている。
【0023】
これにより、取付体30は、取付部32が基材10の被取付部16に挿入された状態で、被取付部16の空間内、及び貫通孔14と移動空間15との範囲内で、基材10の貫通孔14と被取付部16との並び方向すなわち上下方向に移動可能となっており、係止部33は貫通孔14に対して移動空間15側から近接したり離間するのが可能となっている。
【0024】
次に、取付体30は、弾性を有しない合成樹脂材、金属材等の剛性体で形成され、
図3に示すように、全体が略U字板状に形成され、略U字板状の本体31と、本体31の一端部である下端部に設けられ、基材10の被取付部16に取り付けられる取付部32と、本体31の他端部である上端部に設けられ、基材10の貫通孔14に挿通されて移動空間15に係止する係止部33と、を有している。取付体30は、弾性を有しないから、本体31の両端の係止部33と取付部32との間の距離は常に一定であり、弾性変形して弾発力により基材10の被取付部16及び移動空間15に係止するものではない。
【0025】
取付部32は、L字板状に屈曲形成され、本体31の下端部から下方に延出する軸部32aと、軸部32aの先端側に軸部32aと直交して軸部32aから本体31の両幅方向に突出して設けられ、基材10の裏面における被取付部16の周縁に掛合する掛合部32bと、から構成されている。軸部32aは、本体31より小さい一定幅の板状に形成され、本体31の幅方向中央部から下方に延出している。掛合部32bの幅寸法すなわち水平方向の長さは、本体31と略同一の大きさに形成されている。また、掛合部32bは、基材10の矩形長孔状の被取付部16の長手方向より短く、短手方向より長く形成された幅広部で構成されている。
【0026】
一方、取付体30の上端部に設けられた係止部33は、本体31の上端から本体31の平面と同方向に延設されており、本体31の上端から延出する軸部33aと、軸部33aの先端側に軸部33aと直交して軸部33aから本体31の両幅方向に突出して設けられ、基材10の裏面における移動空間15の周縁に掛合する掛合部33bと、から構成されている。軸部33aは、本体31より小さい一定幅の板状に形成され、本体31の幅方向中央部から長手方向に延出している。掛合部33bの幅寸法すなわち水平方向の長さは、本体31と略同一の大きさに形成されている。係止部33は、このように形成されており、基材10の貫通孔14に挿入された後は、基材10の移動空間15に移動した際に基材10の裏面における移動空間15の周縁に係止するようになっている。
【0027】
次に、維持部材40は、基材10の貫通孔14に固定されて、取付体30の係止部33が基材10の移動空間15から貫通孔14へと移動するのを防止するものであり、合成樹脂で形成され、
図4に示すように、基材10の貫通孔14に正面側から挿入される貫通孔挿入部41と、取付体30の係止部33と当接する当接部42とを有している。また、維持部材40は、貫通孔挿入部41に対して直交する側面に突出形成され、基材10の移動空間15内に挿入される移動空間挿入部43が設けられており、その先端に前記当接部42が形成されている。当接部42は、平面や凸状の膨出面等に形成されているが、その他の面で形成してもよい。貫通孔挿入部41の左右両端部は、基材10の貫通孔14に挿入される前面側に向けて傾斜するテーパ面に形成され、貫通孔14に対して正面側から貫通孔挿入部41を挿入し易くなっている。
【0028】
維持部材40は、更に、貫通孔挿入部41の左右一対のテーパ面の奥側に、コ字状に切欠されて貫通孔14の周縁に嵌合する対向する一対の嵌合部44,44が形成されている。また、両嵌合部44,44間に、貫通孔挿入部41を基材10の貫通孔14内に強制的に押し込んだとき、空間が縮小して両嵌合部44を近接可能すなわち両嵌合部44の間隔を縮小可能な凹部空間で形成された近接空間45が設けられている。更に、近接空間45に挿入されて、両嵌合部44,44が近接するのを防止して両嵌合部44,44の間隔を一定に保持し、もって、嵌合部44の嵌合が外れて維持部材40が貫通孔14から抜脱するのを防止する近接防止部47を備えている。近接空間45の側面には複数の係合溝45aが水平方向に形成されている。近接防止部47は、維持部材40の一方の端部のヒンジを軸に回動する近接防止片46における近接空間45側の面に近接空間45に向けて突設された突片で形成されており、突片の両側面には、近接空間45内の係合溝45aに弾性的に係合する小突条47aが水平方向に形成されている。
【0029】
なお、移動空間挿入部43は、基材10の移動空間15内に挿入されて先端の当接部42が、基材10の移動空間15内に挿入された取付体30の係止部33の軸部33aの上面と当接することにより、係止部33は、基材10の貫通孔14及び移動空間15の内部にがたつくことなく安定して保持されるが、この取付体30の係止部33は、基材10の貫通孔14及び移動空間15に係止した後、最低限貫通孔14から抜脱しなければよいので、移動空間挿入部43は必ずしも設けることを要しない。また、維持部材40は、矩形状の貫通孔14の上下方向の辺長すなわち短辺長さと略同一の幅に形成されていると、緊密に貫通孔14内に収容され安定して保持されるが、必ずしも略同一寸法でなくてもよい。
【0030】
次に、本発明の基材と取付体との組付け維持構造1Aにより、取付体30を基材10に組み付ける方法を説明する。
最初に、基材10の上下一対の固定孔11にビスを取り付け、基材10を縦長状態として構造物である建物の壁面60に直接固定する。この状態においては、基材10の被取付部16と貫通孔14とは垂直方向に並ぶ。次に、
図5(a)に示すように、取付体30を横に倒して水平姿勢とし、下部側の取付部32の掛合部32bの軸部32aからの突出方向を貫通孔14と被取付部16との並び方向すなわち長孔状の被取付部16の長手方向に沿う姿勢とする。この状態においては、取付部32は被取付部16に正面側から挿入することができる。そこで、取付部32を被取付部16内に挿入したら、
図5(b)に示すように、本体31を右廻りに90度回動させて、取付体30の取付部32と係止部33との並び方向が基材10の被取付部16と貫通孔14との並び方向に対して交差する向きに、取付体30の姿勢を変位させる。取付体30の姿勢が変位すると、取付部32は、その両側部において基材10の裏面における被取付部16の周縁に係止する状態となる。
【0031】
次に、
図5(c)及び(d)に示すように、取付体30の上部側の係止部33を基材10の上部側の貫通孔14に挿入し通過させる。このとき、取付体30の係止部33と取付部32との間隔は基材10の貫通孔14と被取付部16との間隔と一致しているので、取付体30を弾性変形させることなくそのまま係止部33を貫通孔14に挿入し通過させることができる。係止部33を貫通孔14に挿入したら、
図5(e)及び(f)に示すように、取付体30全体をそのまま垂直下方に移動させる。すると、貫通孔14の下方には移動空間15が連通形成されているので、取付体30の係止部33の軸部33aは移動空間15側に移動する。
【0032】
ここで、前述のように、基材10の長孔状の被取付部16の長手方向すなわち
図2における上下方向の長さは、取付体30の取付部32及び係止部33がそれぞれ基材10の裏面側に配置された状態で、取付体30の係止部33の軸部33aが貫通孔14の位置から移動空間15に移動する際に、取付部32の軸部32aも被取付部16内を移動するのを許容する長さに形成されている。このため、取付体30の係止部33の軸部33aが移動空間15に移動している途中に、取付部32が被取付部16の下端に当接して取付体30がそれより下方にまで移動するのが妨げられてしまう、ということは生じない。こうして、取付体30の係止部33の軸部33aが移動空間15内に移動すると、係止部33の幅広の掛合部33bが掛合して係止部33は基材10の裏面における移動空間15の周縁に係止する。
【0033】
取付体30の係止部33が移動空間15に移動したら、貫通孔14内は空きスペースとなるので、その空間内に正面側から維持部材40を貫通孔挿入部41側から挿入する。このとき、貫通孔挿入部41は左右に一対のテーパ面が形成されているので、維持部材40を円滑に挿入することができる。これにより、維持部材40が貫通孔14に入り込むと、対向する左右一対の嵌合部44,44が基材10の貫通孔14の周縁に弾性的に嵌合する。その後、維持部材40の一端部のヒンジを軸に近接防止片46を回動して突片からなる近接防止部47を近接空間45内に押し込む。これにより、近接防止部47は、側面の小突条47aが近接空間45内の係合溝45aと係合して抜け止め状態になり、近接空間45が狭まることによって貫通孔挿入部41の左右一対の嵌合部44,44の嵌合が不用意に解除されてしまうのが防止される。このため、維持部材40は安定して確実に基材10の貫通孔14内に固定されるので、取付体30の係止部33が移動空間15から貫通孔14内に戻って係止部33の係止が解除されてしまうのを防止でき、一旦組み付けられた後は取付体30が基材10から外れてしまうのが確実に防止される。基材10への取付体30の組み付けが完了した状態を
図6に示す。
【0034】
次に、本実施形態の基材と取付体との組付け維持構造1Aにより管状体であるヘッダー70を建物の壁面60に沿って水平状態に設置固定する方法を説明する。
ヘッダー70を設置するには、2つの基材10を間隔をおいて壁面60に水平方向に並置固定した後、各基材10の被取付部16にそれぞれ取付体30の取付部32を
図5(a)に示した姿勢、取付部32と係止部33との並び方向が基材10の被取付部16と貫通孔14との並び方向に沿う姿勢で挿入した後、本体31の姿勢を90度変える。この状態で手を離せば、取付体30は、取付部32が基材10の被取付部16に係止した状態で取付部32を支点に、湾曲している内面を上向きとして
図7(a)に示すようにぶら下がった状態となる。そこで、
図7(b)に示すように、ヘッダー70を両取付体30の内部である湾曲している内面上に水平に載置する。これにより、ヘッダー70は、取付体30の本体31内に支持される。したがって、ヘッダー70を両取付体30に載置する際には、両取付体30ともに手で保持している必要はなく、単にヘッダー70のみを把持して取付体30の内部に載置し仮保持させることができる。
【0035】
次に、両取付体30にヘッダー70を水平状態に載置したら、取付部32を支点に取付体30を上方に回動し、他端側の係止部33を基材10の上部側の貫通孔14内に挿入する。そして、挿入した状態で係止部33の軸部33aを下部の移動空間15側に移動させつつ取付体30全体を押し下げる。その後、貫通孔14内に維持部材40を正面側から挿入固定することにより基材10への取付体30の組み付けが完了し、これによって、
図7(c)に示すように、ヘッダー70は基材10と取付体30とで取り囲まれるようにして保持固定される。
【0036】
次に、本実施形態の基材と取付体との組付け維持構造1Aの作用を説明する。
本実施形態の維持構造において、取付体30を基材10に組み付けるときは、取付体30の取付部32を基材10の被取付部16に挿入してから、取付体30の係止部33を基材10の貫通孔14に挿入し更に移動空間15側に移動させて基材10の裏面における移動空間15の周縁に係止させた後、空いた貫通孔14内に維持部材40を挿入して固定するワンタッチ操作で、係止部33が貫通孔14に移動して戻るのを防止して取付体30を基材10に簡単かつ確実に組み付けることができる。したがって、従来のようにドライバ等の工具を回してビスを取り付け固定する面倒な手間は不要であり、取付体30を基材10に作業性良く組み付けることができる。
【0037】
また、取付体30は、弾性を有しない合成樹脂材、金属材等で形成されているから、本体31の両端の係止部33と取付部32との間隔は常に一定であり、弾性変形して弾発力により基材10の移動空間15及び被取付部16に係止するものではない。したがって、何らかの拍子に取付体30の係止部33と取付部32との間隔が弾性的に拡大または縮小して取付体30の係止部33が基材10の貫通孔14から抜脱したり、取付体30の取付部32が基材10の被取付部16から抜脱して取付体30が基材10から外れて落下してしまうのを確実に防止することができる。
【0038】
そして、取付体30の取付部32は、基材10の被取付部16に取り付ける際に、取付部32と係止部33との並び方向を基材10の被取付部16と貫通孔14との並び方向に対して沿わせた向き及び交差した向きに、本体31の姿勢を変位可能に形成されているので、取付体30の取付部32を挿入し本体31の姿勢を変位させるだけで、基材10の正面側から簡単に取付体30の取付部32を基材10の被取付部16に取り付け、係止させることができる。
【0039】
加えて、基材10の被取付部16は長孔状に形成され、取付体30の取付部32は、本体31から延出する軸部32aと、基材10の裏面における被取付部16の周縁に掛合する掛合部32bと、から構成されているので、簡易な構成で、取付体30の取付部32を基材10の被取付部16に取り付け、係止させることができる。
【0040】
更に、取付体30の取付部32の掛合部32bの幅は、基材10の被取付部16の長手方向より短く、短手方向より長く形成された幅広部からなるので、取付体30の取付部32を挿入し本体31の姿勢を変位させるだけで、基材10の正面側から取付体30の取付部32を被取付部16に挿入し取り付けることができる。
【0041】
また、維持部材40が、貫通孔14の周縁に嵌合する一対の嵌合部44,44を近接可能な近接空間45と、近接空間45に挿入されて両嵌合部44,44の間隔を保持する近接防止部47と、を備えているので、維持部材40が貫通孔14から脱落するのを確実に防止し、維持部材40を安定して貫通孔14に保持固定させることができる。よって、取付体30を安定して確実に基材10に組み付けることができる。
【0042】
なお、ヘッダー70等を建物の壁面60から更に離間した位置で取り付けたい場合は、基材10の段部12の高さを大きくした架台状の基材10を用いればよい。
【0043】
〈第二実施形態〉
次に、本発明の第二実施形態の基材と取付体との組付け維持構造を
図8乃至
図11に基づいて説明する。
第二実施形態の基材と取付体との組付け維持構造1Bは、
図8に示すように、第一実施形態の短冊板状の基材10にコ字板状の架台からなる第2基材20が組み付けられ、この第2基材20に第一実施形態と同様の略U字板状の取付体30が第一実施形態と同様の維持部材40を用いて組み付けられるものである。第二実施形態の維持構造は、壁面60等に固定される第一実施形態の短冊板状の基材10を用いて、壁面60等から更に前方に離間した位置でヘッダー70等を設置したい場合に、嵩上げ用の架台として第2基材20を第一実施形態の基材10と取付体30との間に介在させるものである。
【0044】
第二実施形態では、第一実施形態の短冊板状の基材10(以下、「第1基材10A」という。)及び第2基材20を使用し、第一実施形態と同様に、各基材は壁面60等に上下方向に固定されるものを例示する。なお、第2基材20は、取付体30が組み付けられるものであるから、基材として機能するが、一方で、第一実施形態の基材10に組み付けられるものでもあるから、別の観点からすれば一種の取付体とみることもできる。第二実施形態では、第2基材20を中心に説明し、第1基材10A、取付体30及び維持部材40についての説明は省略する。
【0045】
第2基材20は、弾性を有しない合成樹脂材、金属材等の剛性体で形成され、
図9に示すように、全体がコ字板状をなし、天板21aと両側の側板とからなる本体21と、組付後に下面側に位置する側板21bの先端部に設けられて第1基材10Aの被取付部16に取り付けられる取付部22と、組付後に上面側に位置する側板21cの先端部に設けられて第1基材10Aの貫通孔14に挿通されて移動空間15に係止する係止部23と、を有している。天板21aの表面は、取付体30とともにヘッダー70を取り付ける取付面となっている。第2基材20は、弾性を有しないから、本体21の両端の係止部23と取付部22との間の距離は常に一定である。
【0046】
第2基材20の取付部22は、L字板状に屈曲形成され、本体21の下端部から下方に延出する軸部22aと、軸部22aの先端側に軸部22aと直交し軸部22aから本体21の両幅方向に突出して設けられ、第1基材10Aの裏面における被取付部16の周縁に掛合する掛合部22bと、から構成されている。軸部22aは、本体21より小さい一定幅の板状に形成され、本体21の幅方向中央部から下方に延出している。また、掛合部22bは、第1基材10Aの被取付部16の長手方向より短く、短手方向より長く形成された幅広部で構成されている。
【0047】
一方、第2基材20の上端部に設けられた係止部23は、組付後に上面側に位置する側板21cの先端部にこの側板と同一平面上に延設されており、この側板の先端から延出する軸部23aと、軸部23aの先端側に軸部23aと直交して軸部23aの両側方に突設され、第1基材10Aの裏面における移動空間15の周縁に掛合する掛合部23bと、から構成されている。軸部23aは、本体21より小さい一定幅の板状に形成されている。係止部23は、このように形成されており、第1基材10Aの貫通孔14に挿入されてから移動空間15に移動した際に、第1基材10Aの裏面における移動空間15の周縁に係止するようになっている。
【0048】
更に、第2基材20は、本体21の天板21aの下部側の幅方向中央には、表裏に貫通し、上部側に向けて延びる長孔状の被取付部26が設けられている。
【0049】
また、第2基材20の組付後に上面側に位置する側板21cの幅方向中央には、表裏に貫通して取付体30の係止部33が通過可能な矩形状の貫通孔24が設けられている。更に、組付後に上面側に位置する側板21c、及び天板21aと上面側に位置する側板21cとが直交する角部には、貫通孔24より幅の小さい矩形状の移動空間25が貫通孔24に連通して設けられている。移動空間25は、貫通孔24内に通過した取付体30の係止部33が被取付部26側に移動可能となっている。連通形成された貫通孔24と移動空間25とは展開形状が全体として凸形状になっている。
【0050】
ここで、長孔状の被取付部26の長手方向すなわち
図8における上下方向の長さL2は、取付体30の取付部32及び係止部33がそれぞれ第2基材20の被取付部26及び貫通孔24、移動空間25に挿入された状態で、取付体30の係止部33の軸部33aが貫通孔24の位置から移動空間25に移動するに伴って、取付体30の取付部32の軸部32aが第2基材20の被取付部26内を移動するのを許容する長さに形成されている。
【0051】
これにより、取付体30は、取付部32が第2基材20の被取付部26に挿入された状態で、被取付部26の空間内、及び貫通孔24と移動空間25との範囲内で、第2基材20の貫通孔24と被取付部26との並び方向すなわち上下方向に移動可能となっており、係止部33は第2基材20の貫通孔24に対して移動空間25側から近接したり離間するのが可能となっている。
【0052】
このように構成された第二実施形態の基材と取付体との組付け維持構造1Bは、第一実施形態の基材10と取付体30との組み付けと同様の手順により、第1基材10Aの取付面13aに第2基材20を組み付けることができ、更に、第2基材20の天板21aの取付面に取付体30を重ねて組み付けることができる。
【0053】
すなわち、第1基材10Aに第2基材20を組み付けるときは、第2基材20を水平姿勢として第1基材10Aの下部側に設けられた被取付部16内に第2基材20の取付部22を正面側から挿入した後、第2基材20の本体21を90度回動させてその姿勢を変位させ、取付部22を係止させる。次いで、第2基材20の係止部23を第1基材10Aの貫通孔14に挿入し通過させた後、第2基材20全体をそのまま垂直下方に移動させて係止部23の軸部23aを第1基材10Aの移動空間15側に移動させる。そして、貫通孔14の空いたスペース内に正面側から維持部材40を挿入し固定する。
【0054】
次に、取付体30を第2基材20に取り付ける場合において、取付体30の係止部33を第2基材20の移動空間25に係止させるときは、取付体30の取付部32を第2基材20の被取付部26に係止させた状態で、
図10(a)に示すように、取付体30の係止部33を水平姿勢で第2基材20の貫通孔24の上方に配置し、そのまま取付体30全体を下方に移動させれば、取付体30の係止部33の軸部33aは、第2基材20の天板21aと上面側に位置する側板21bとが直交する角部に形成された移動空間25内に移動し、係止部33の掛合部33bは第2基材20の上面側に位置する側板21cの裏面における移動空間25の周縁に係止する。その後は、
図10(b)に示すように、貫通孔24の空いたスペース内に上方から維持部材40を挿入し固定すればよい。
【0055】
第二実施形態の維持構造1Bを用いて、ヘッダー70を壁面60から所定距離離間させて壁面60に沿って水平に設置するには、まず、2つの第1基材10Aを間隔をおいて壁面60に水平方向に並置固定した後、2つの第1基材10Aのそれぞれに第2基材20を組付ける。続いて、更に、2つの第2基材20の被取付部26のそれぞれに取付体30を組み付ける。このとき、取付体30の取付部32を第2基材の被取付部26内に挿入し、係止させた後、手を離せば、両取付体30は本体31の内面を上向きにしてぶら下がった状態になる。そこで、取付体30の本体31の内面に上方からヘッダー70を水平に載置する。次いで、取付体30の取付部32を支点に取付体30を上方に回動し、他端側の係止部33を第2基材20の貫通孔24内に挿入し係止させる。そして、取付体30の係止部33の軸部33aを第2基材20の移動空間25側に移動させつつ取付体30全体を押し下げた後、空いた貫通孔24内に維持部材40を上方から挿入し固定する。これにより、
図11に示すように、第1基材10Aへの第2基材20の組み付け、及び、第2基材20への取付体30の組み付けは完了し、ヘッダー70の設置は完了する。
【0056】
〈第三実施形態〉
上記第一実施形態では、壁面60に一定幅の短冊板状に形成された基材10を間隔をあけて2個並設し、各基材10にそれぞれ取付体30を組み付けるものを示しているが、
図12に示す、基材と取付体との組付け維持構造1Cのように、壁面60に沿って1枚の鋼板あるいは合成樹脂板からなるパネル50Aに、上部側の貫通孔14と下部側の被取付部16とを上下一組としたものを水平方向に間隔をおいて二組形成したものを基材とし、この1枚のパネル50Aからなる基材に形成された二組の貫通孔14及び被取付部16にそれぞれ取付体30を直接組み付けるようにすることもできる。
【0057】
また、第二実施形態では、取付体30が組み付けられるベースとして、2つの短冊板状の第1基材10Aを間隔をおいて壁面60に並置固定し、このそれぞれに架台である第2基材20を組み付けたものを示しているが、基材として、例えば、
図13に示す、基材と取付体との組付け維持構造1Dのように、1枚の鋼板あるいは合成樹脂板に貫通孔14と被取付部16とからなる上下一組のものを水平方向に間隔をおいて複数組、
図13では四組形成するとともに、この複数組を水平方向に並設したものを更に上下複数段、
図13では2段に設けたスタンドパネル50Bを用いてもよい。スタンドパネル50Bは床面に立設される。
【0058】
このスタンドパネル50Bの場合は、例えば、上段の任意の二組の貫通孔14と被取付部16とに取付体30を直接組み付け、下段の任意の二組の貫通孔14と被取付部16とには第2基材20を組み付け、更にこの第2基材20に取付体30を組み付ければ、
図14に示すように、上段にはスタンドパネル50Bに近接する位置に例えば給水管用ヘッダー70Aを設置し、下段にはスタンドパネル50Bから離間した位置に例えば給湯管用ヘッダー70Bを設置することができ、2つのヘッダー70を水平方向に位置をずらして上下2段に設置することができる。
【0059】
これにより、仮に上段の給水管用ヘッダー70Aの直下に下段の給湯管用ヘッダー70Bが設置されている場合であると、上段の給水管用ヘッダー70Aの主管部の底部に設けられた複数の分岐接続口71に接続されて下垂する給水管72が直下の給湯管用ヘッダー70Bの主管部と干渉することになるが、本実施形態の組付け維持構造1Dによれば、下段の給湯管用ヘッダー70Bは上段の給水管用ヘッダー70Aの直下でなく水平方向にも離間した箇所に設置されるので、上段の給水管用ヘッダー70Aから分岐し下垂した給水管72が下段の給湯管用ヘッダー70Bと干渉するのが回避される。
【0060】
〈その他〉
ところで、上記各実施形態において、短冊板状の基材10や第1基材10Aの移動空間15は、
図2等に示すように、貫通孔14における被取付部16側の端縁に連通形成され、基材10や第1基材10Aの貫通孔14を通過した取付体30の係止部33あるいは第2基材20の係止部23は、基材10や第1基材10Aの被取付部16側に移動し、軸部33aあるいは軸部23aは移動空間15内に挿入されるのであるが、本発明を実施する場合は、これに限られるものではなく、基材10や第1基材10Aの移動空間15は、
図15(a)に示すように、逆に、貫通孔14における反被取付部16側の端縁に連通形成され、基材10や第1基材10Aの貫通孔14を通過した取付体30の係止部33あるいは第2基材20の係止部23は反被取付部16側すなわち被取付部16から離間する方向に移動し、軸部33aあるいは軸部23aは移動空間15内に挿入されるものであるとともに、第2基材20の取付部22あるいは取付体30の取付部32は、
図15(b)に示すように、それぞれ係止部23側、係止部33側に屈曲形成されたものとしてもよい。
【0061】
この場合、取付体30の取付部32の掛合部32bあるいは第2基材20の取付部22の掛合部22bは、基材10や第1基材10Aの被取付部16内に挿入された後、取付体30あるいは第2基材20の移動に伴って、基材10や第1基材10Aの被取付部16内を貫通孔14側に向けて移動し、
図15(c)等に示すように、被取付部16における貫通孔14側の周縁に掛合することになる。
【0062】
また、短冊板状の第1基材10Aは、貫通孔14及びこれに連通して幅狭の移動空間15が設けられているが、これに代えて、
図16(b)に示すように、第2基材20の係止部23より僅かに大きい幅を有する矩形状の貫通孔17を設けるとともに、第2基材20は、
図16(a)に示すように、係止部23が取付部22と同方向にL字状に屈曲形成されて第1基材10Aの裏面における貫通孔17の周縁に係止するものとすることもできる。ここで、第1基材10Aの矩形状の貫通孔17は、第二実施形態の第1基材10Aの貫通孔14と移動空間15とを兼ねるものであり、第2基材20のL字状に屈曲形成された係止部23を正面側から貫通させることができ、かつ、貫通後は、係止部23をスライド移動させることによりこの貫通孔17の周縁に係止させてから、貫通孔17の空きスペースに維持部材40を挿入できる大きさに形成されている。
【0063】
この場合は、
図16(b)の実線で示すように、第1基材10Aの被取付部16及び矩形状の貫通孔17に第2基材20の取付部22及び係止部23をそれぞれ挿入し、次いで、
図16(b)の二点鎖線で示すように、第2基材20を第1基材10Aの被取付部16側に移動させて取付部22及び係止部23を第1基材10Aの裏面における被取付部16及び貫通孔17の周縁に係止させ、その後、維持部材40を貫通孔17内の空いたスペースに挿入し固定すればよい。ここで、
図16(b)は、第1基材10Aと第2基材20との位置関係を模式的に示したものであり、
図16(b)において、第1基材10Aと第2基材20とは見る方向が異なっている。なお、基材10と取付体30との組み付けにおいても、上記と同様の構成とすることができる。
【0064】
次に、上記各実施形態において、維持部材40は、基材10や第1基材10Aの貫通孔14に挿入固定しているが、これに限られるものではなく、基材10や第1基材10Aの被取付部16に挿入固定するものとすることも可能である。取付体30及び第2基材20は弾性変形しないので、上記各実施形態と同様に、取付体30の取付部32あるいは第2基材20の取付部22を基材10や第1基材10Aの被取付部16に挿入し、そこに空いたスペースに維持部材40を挿入し固定した後は、取付体30あるいは第2基材20は上下方向には移動せず、取付体30の係止部33及び第2基材20の係止部23は、移動空間15から貫通孔14には移動せず、貫通孔14から抜脱することはない。
【0065】
加えて、上記実施形態の基材10や第1基材10Aの被取付部16は、取付体30の取付部32あるいは第2基材20の取付部22が内部を上下移動できるよう貫通する長孔で形成されているが、これに限定されるものではなく、取付体30の係止部33あるいは第2基材20の取付部22を基材10や第1基材10Aの貫通孔14及び移動空間15内に係止させるために取付体30あるいは第2基材20をスライド移動できるものであればよく、例えば、貫通しない溝で形成したり、レールで形成してもよい。
【0066】
また、上記実施形態の取付体30は、取付部32は本体31と一体に形成され、取付部32が基材10の被取付部16に取り付けられた後、本体31と取付部32とは一体となって90度回動して姿勢を変え、係止部33が基材10の貫通孔14に挿入されるものであるが、これに限られるものではなく、本体31と取付部32とを別体で形成し、両者を回転リベットで連結して相対的に回動するものとしてもよい。このことは、第2基材20の取付部22についても同様である。
【0067】
更に、取付体30の取付部32は、本体31から延出する軸部32aと、軸部32aの先端側に設けられた掛合部32bと、が一体に形成されているが、これに限られるものではなく、両者を別体で形成し、これらを別々に基材10の被取付部16の表裏から挿通した後、これらを接合するものとしてもよい。これは、第2基材20の取付部22についても同様である。
【0068】
ところで、上記実施形態では、基材は、壁面60に沿って上下方向に固定しているが、床面に沿って水平方向に固定することもできる。
【0069】
なお、本実施形態の基材と取付体との組付け維持構造は、給水、給湯の配管装置に設けられる円筒状のヘッダー70を建物の壁面60、床面等に設置するものを例示しているが、本発明は、ヘッダー70以外の部材を設置する場合にも同様に適用することができる。