(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6940518
(24)【登録日】2021年9月6日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】インサート半部及び前記インサート半部の2つを含むインサートブロック
(51)【国際特許分類】
H02G 3/22 20060101AFI20210916BHJP
F16J 15/52 20060101ALI20210916BHJP
F16L 3/10 20060101ALI20210916BHJP
【FI】
H02G3/22
F16J15/52 Z
F16L3/10
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-551472(P2018-551472)
(86)(22)【出願日】2017年4月5日
(65)【公表番号】特表2019-514321(P2019-514321A)
(43)【公表日】2019年5月30日
(86)【国際出願番号】SE2017050339
(87)【国際公開番号】WO2017176203
(87)【国際公開日】20171012
【審査請求日】2020年1月16日
(31)【優先権主張番号】1650465-6
(32)【優先日】2016年4月5日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】506333060
【氏名又は名称】エムセーテー ブラットベルイ アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】ヨーアン ファーゲルバリ
(72)【発明者】
【氏名】アンデシュ カールソン
【審査官】
久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第02/037634(WO,A1)
【文献】
英国特許出願公開第02204922(GB,A)
【文献】
米国特許第06590160(US,B1)
【文献】
実開昭54−053695(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3177341(JP,U)
【文献】
実開昭57−125136(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/22
F16J 15/52
F16L 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル(2)、管、又はワイヤの周りをシーリングするためのインサート半部(10;70)であって、前記インサート半部が、
第1端部(12)及び第2端部(13)と、実質的に同一のインサート半部(10)の対応する第1側面に向かって配置されるように意図された第1側面(14)と、前記第1端部と第2端部との間で軸線Aに沿って延びる、前記第1側面に配置された溝(15)と、を含む本体(11;71)であって、前記軸線Aに対して実質的に横断方向に延びる複数の凹部(17,77)が、前記軸線Aに沿って前記溝内に形成されている、本体(11;71)と、
前記溝内部に取り外し可能に配置されている少なくとも1つのインサート(20;30;40;80)であって、前記インサートは、互いに結合されかつ軸線Aに沿って並んで配置されている少なくとも2つのエレメント(21;31;44;81)によって形成されており、前記インサートは、前記インサートを前記溝に沿ったいずれの場所にも配置し得るように、前記溝及び前記凹部の形状に対応している外側形状を有しており、各エレメントが、軸線Aに対して同軸的な異なる半径を有する半円形通路を含む、少なくとも1つのインサート(20;30;40;80)と、
を含む、
インサート半部(10;70)。
【請求項2】
1つのエレメントが1つの凹部内に嵌入するように、軸線Aに沿った前記凹部の幅が前記エレメントの幅に対応している、請求項1に記載のインサート半部(10;70)。
【請求項3】
前記インサートの軸線Aに沿った長さが、前記インサート半部の軸線Aに沿った長さの半分よりも小さい、請求項1に記載のインサート半部(10;70)。
【請求項4】
前記インサートが、少なくとも3つのエレメントによって形成されており、それぞれのエレメントは半径が異なる半円形通路を含み、前記少なくとも3つのエレメントは互いに取り外し可能に結合されており、かつ軸線Aに沿って並んで配置されている、請求項1に記載のインサート半部(10;70)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのインサートが、互いに取り外し可能に結合されて軸線Aに沿って並んで配置された少なくとも4つのエレメントを含み、それぞれのエレメントが、前記軸線Aに対して同軸的な異なる半径を有する半円形通路を含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載のインサート半部(10;70)。
【請求項6】
前記第1及び第2端部に隣接して前記溝内部に配置された2つのインサートを含み、それぞれのインサートが、互いに取り外し可能に結合されて軸線Aに沿って並んで配置された少なくとも2つのエレメントによって形成されている、請求項1又は2に記載のインサート半部(10;70)。
【請求項7】
前記溝が、軸線Aに沿って実質的に半円筒形又は長方形の断面形状を有し、そして前記インサートが、対応する半円筒形又は長方形の外側形状を有している、請求項1から6までのいずれか1項に記載のインサート半部(10;70)。
【請求項8】
さらに通路閉鎖エレメント(40)を含み、前記通路閉鎖エレメント(40)は、前記通路がシーリングされるように、前記インサートの異なるエレメントの半径に対応する半径を有する実質的に半円形の断面形状を有し、前記通路閉鎖エレメントの軸線Aに沿った長さが、前記インサート半部の軸線Aに沿った長さを超えない、請求項1から7までのいずれか1項に記載のインサート半部(10;70)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのインサートの前記少なくとも2つのエレメントが、前記本体の第1側面の平面内に配置された端面(22;32;45;82)を有している、請求項1から8までのいずれか1項に記載のインサート半部(10;70)。
【請求項10】
前記本体が長方形の外側形状を有している、請求項1から9までのいずれか1項に記載のインサート半部(10;70)。
【請求項11】
前記溝内の並んで配置された凹部の数と同じ数のエレメントを含むインサートを含み、前記エレメントは、異なる半径を有する半円形通路を有し、前記エレメントの配置は、前記半円形通路の最も小さな半径を有する2つのエレメントが前記インサートの互いに対向する端部に配置され、三番目に小さな半径を有するエレメントが、最も小さな半径を有するエレメントに隣接して、前記エレメントの二番目に小さな半径を有するエレメントに面する側に配置され、四番目に小さな半径を有するエレメントが、二番目に小さな半径を有するエレメントに隣接して、最も小さな半径を有するエレメントに面する側に配置され、そしてこれに応じて残りのエレメントが前記インサートの中央に向かって配置されるように、配置されている、請求項1に記載のインサート半部(10;70)。
【請求項12】
2つの請求項1に記載のインサート半部(10;70)を含む、ケーブル(2)、管、又はワイヤの周りをシーリングするためのインサートブロック(60)であって、前記インサート半部(10;70)が、前記インサートブロックを通って通路が形成されるように、前記溝及びインサートが互いに面する状態で配置されている、インサートブロック(60)。
【請求項13】
隔壁を通って延びる少なくとも1つのケーブル(2)、管、又はワイヤをシーリングするための、前記隔壁内に嵌め込まれた金属フレーム(3,103)内における、少なくとも1つの請求項12に記載のインサートブロック(60)の使用。
【請求項14】
隔壁を通って延びるケーブル(2)、ワイヤ、又は管の周りをシーリングするためのシーリングシステム(1;100)であって、前記システムが、
前記隔壁内に配置されたフレーム(3;103)と、
前記ケーブル、ワイヤ、又は管の周りに嵌め合わされて前記フレーム内に配置された、少なくとも1つの請求項12に記載のインサートブロック(60)と、
前記フレーム内の空間をシーリングするために、前記少なくとも1つのインサートブロック(60)に圧力を加えるように前記フレーム内に配置された加圧装置(6;106)と、
を含む、シーリングシステム(1;100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル、管、又はワイヤの周りをシーリングするためのインサート半部、及び前記インサート半部の2つを含むインサートブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
数多くの種々異なる技術分野、例えば極めて重要な内容物を有する商船、海上プラットフォーム、及び建築物の分野においては、例えばプラットフォーム、船舶、又は建築物の外部又は内部で火災、又は水やガスの漏れのような事故が発生した場合、構造物内部の内容物、並びにその区域内又は区域の近くで働く人々に深刻な損傷を与えるのを避けるように考えなければならないいくつかの安全面がある。
【0003】
爆発、火災、又は漏水が発生した場合、火炎及び/又は漏れた水及びガスはしばしばワイヤ、ケーブル、又は管に沿って広がる。火炎、水、又はガスが構造物内部で広がるのを止める、又は少なくとも遅らせるために、それぞれのケーブル、ワイヤ、又は管を、これらがプラットフォーム、船舶、又は建造物内部の隔壁を通って案内される場所でシーリングしなければならない。
【0004】
隔壁を通って延びるケーブル、ワイヤ、又は管を信頼性高くシーリングする、しばしば用いられる1つのシーリングシステムは、所望の隔壁領域内で所定のサイズのケーブル、ワイヤ、又は管の通路を提供するように隔壁内に永久的に組み付けられた金属フレームを伴う。ケーブル、ワイヤ、又は管は、組み付け中にフレームを通して案内される。フレーム内の空間は、シーリングシステムの組み付け中にインサートブロックで埋められる。これらのインサートブロックは、フレーム内で層状にパッキングされ、これによりフレーム内の空間を完全に埋める。それぞれのインサートブロックは2つのインサートブロック半部から成っており、それぞれのインサートブロック半部は、ブロック半部の1つの側面に半円形の溝を備えているので、2つのブロック半部が合体されるとインサートブロックを通して円形通路が形成される。フレームを通って延びるそれぞれのケーブル、ワイヤ、又は管は、インサートブロック内に嵌め込まれ、フレーム内でパッキングされる。インサートブロックの外側寸法は、所定の数のインサートブロックがフレーム内の空間に対応するサイズを有するように選択される。ブロックが所期の位置に層状に並んでパッキングされた後、フレームの頂部に加圧装置が配置される。加圧装置は作動されるとブロックに圧力を加えることによりこれらのブロックを押し合わせ、フレーム内のケーブル、ワイヤ、又は管の周囲を所望の通りにシーリングする。
【0005】
しかしながら、所望のシーリングを達成するためには、インサートブロック内の通路の直径はケーブル、ワイヤ、又は管の直径に相当しなければならない。所望のぴたりとしたフィッティングは、種々異なる直径の通路を有する数多くのインサートブロックを使用することによって達成することができ、或いは、より大きい通路と、溝内に配置された複数の剥離可能な層とをインサートブロックに備えることにより、選択された数の層を取り外し可能にし、フレームを通って延びる種々異なるケーブル、ワイヤ、又は管のそれぞれに通路の直径を適合させることによって、達成することができる。残念ながらこのタイプのインサートブロックはかなりの量の廃棄物をもたらす。
【0006】
従って、ケーブル、ワイヤ、又は管の周りの所望のシーリングを保証し、上記問題点を減らす、改善されたインサート半部、インサートブロック、及びシーリングシステムが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付の請求項において定義される本発明は、インサート半部、インサートブロック、及び隔壁を通って延びるケーブル、管、又はワイヤをシーリングするためのインサートブロックの使用に関する。
【0008】
本発明によるインサート半部は、
当該本体が、第1端部及び第2端部と、実質的に同一のインサート半部の対応する第1側面に向かって配置されるように意図された第1側面と、第1端部と第2端部との間で軸線Aに沿って延びる、前記第1側面に配置された溝とを含み、軸線Aに対して実質的に横断方向に延びる複数の凹部が軸線Aに沿って溝内に形成されている、本体と、
少なくとも1つのインサートが前記溝内部に取り外し可能に配置されており、前記インサートが、互いに結合された少なくとも2つのエレメントによって形成され、軸線Aに沿って並んで配置されており、インサートを溝に沿ったいずれの場所にも配置し得るように前記インサートの外側形状が、溝及び凹部の形状に対応しており、各エレメントが、軸線Aに対して同軸的な異なる半径を有する半円形通路を含む、少なくとも1つのインサートと
を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の概念は、1つのインサート半部本体を少なくとも1つのインサートと組み合わせて使用することにより、異なる半径を有するケーブル、ワイヤ、又は管にインサート半部を適合させ、ひいては、ケーブル、ワイヤ、又は管の周囲を信頼性高くシーリングすることである。
【0010】
本発明によるインサート半部は、異なる半径を有するケーブル、ワイヤ、又は管をシーリングするために使用することができるフレキシブルなインサートブロック半部を提供する。組み付け中、ケーブル、ワイヤ、又は管の直径に対応しないエレメントを取り除くことにより、インサートはケーブル、ワイヤ、又は管の特定の直径に適合される。すなわち、半円形通路の半径がケーブル、ワイヤ、又は管よりも小さいエレメントを取り除くことにより、インサートをケーブル、ワイヤ、又は管に適合させ、ケーブル、ワイヤ、又は管の周囲を所望の通りにシーリングする。
【0011】
本発明によるインサート半部は、ケーブル、ワイヤ、又は管の主に用いられる寸法に相当する種々異なる半径を有する半円形通路を備えた複数のエレメントを有するインサートを提供することにより、有利である。
【0012】
インサート半部の1実施態様では、1つのエレメントが1つの凹部内に嵌入するように、軸線Aに沿った凹部の幅がエレメントの幅に相当する。この実施態様は、インサート半部の溝内部の軸線Aに沿った所期位置にインサートが維持されるのを保証する。
【0013】
インサート半部の1実施態様では、インサートの軸線Aに沿った長さが、インサート半部の軸線Aに沿った長さの半分よりも小さい。インサートブロック半部が2つのインサートを有しており、これら2つのインサートを両方ともケーブル、ワイヤ、又は管に適合させ得ることが好ましい。2つのインサートは溝に沿って互いに分離され、好ましくはインサートブロック本体の第1端部及び第2端部に近接して配置されることにより、隔壁内に嵌め込まれたフレーム内の空間をシールするように圧力が加えられるとケーブル、ワイヤ、又は管の周囲に安定的なフィッティングが提供される。
【0014】
インサート半部の1実施態様では、インサートが、半径が異なる半円形通路をそれぞれが含む少なくとも3つのエレメントによって形成されており、前記少なくとも3つのエレメントが互いに取り外し可能に結合されており、軸線Aに沿って並んで配置されている。インサートが有するエレメント数が増えると、インサートを適合させ得る異なる直径の数も増える。
【0015】
インサート半部の1実施態様では、少なくとも1つのインサートが、互いに取り外し可能に結合されて軸線Aに沿って並んで配置された少なくとも4つのエレメントを含み、そしてそれぞれのエレメントが、軸線Aに対して同軸的な異なる半径を有する半円形通路を含む。インサートが有するエレメント数が増えると、インサートを適合させ得る異なる直径の数も増える。各インサートのエレメントの数は、インサートブロックの最大限のフレキシビリティを提供するように、溝内の凹部の数の半分であることが好ましい。
【0016】
インサート半部の1実施態様は、第1及び第2端部に隣接して前記溝内部に配置された2つのインサートを含み、それぞれのインサートが、互いに取り外し可能に結合されて軸線Aに沿って並んで配置された少なくとも2つのエレメントによって形成されている。インサート半部は、ケーブル、ワイヤ、又は管に両方とも適合された2つのインサートを有することにより、ケーブル、ワイヤ、又は管の周囲を2つの場所でシーリングし、これによりシーリング作用をさらに改善する。インサートブロック本体の第1端部及び第2端部に隣接して配置された2つのインサートはケーブル、ワイヤ、又は管の周囲の安定したフィッティングをもたらす。このことは、隔壁内に嵌め込まれたフレーム内の空間をシーリングするために圧力が加えられるときに有利である。インサート半部の1実施態様では、溝が、軸線Aに沿って実質的に半円筒形又は長方形の断面形状を有し、そしてインサートが、対応する半円筒形又は長方形の外側形状を有している。
【0017】
インサート半部の1実施態様は、通路がシーリングされるように、インサートの種々異なるエレメントの半径に対応する形状を有する通路閉鎖エレメントをさらに含み、前記通路閉鎖エレメントが、インサートブロック半部の軸線Aに沿った長さを超えない、軸線Aに沿った長さを有している。
【0018】
インサート半部の1実施態様では、少なくとも1つのインサートの少なくとも2つのエレメントが、インサートブロック本体の第1表面の平面内に配置された端面を有している。一方のインサート半部のインサートの端面が、所望のシーリング作用を提供するために、ケーブル、ワイヤ、又は管の周囲に嵌め合わされた対応インサート半部の端面と接触していなければならないので、この実施態様は有利である。
【0019】
インサート半部の1実施態様では、本体が半円筒形又は長方形の外側形状を有している。
【0020】
インサート半部の1実施態様では、インサート半部は、並んで配置された溝内の凹部の数と同じ数のエレメントを含むインサートを含み、前記エレメントが、異なる半径を有する半円形通路を有し、半円形通路の最も大きい半径を有する2つのエレメントがインサートの互いに対向する端部に配置され、三番目に大きい半径を有するエレメントが最も大きい半径を有するエレメントに隣接して、二番目に大きい半径を有するエレメントに面するエレメントの側に配置され、四番目に大きい半径を有するエレメントが二番目に大きい半径を有するエレメントに隣接して、最も大きい半径を有するエレメントに面する側に配置され、そして残りのエレメントがインサートの中央に向かって相応して配置されるように、配置されている。この実施態様は、インサートを一体のものとして製造することができ、この一体のものは、ケーブル、ワイヤ、又は管の複数の種々異なる直径に適合されたインサートを形成するように引き裂かれるので極めて有利である。
【0021】
本発明はさらに、上記定義に基づく2つのインサート半部を含む、ケーブル、管、又はワイヤの周りをシーリングするためのインサートブロックに関する。インサート半部が、インサートブロックを通って通路が形成されるように、溝及びインサートが互いに面する状態で配置されている。
【0022】
本発明はさらに、隔壁を通って延びる少なくとも1つのケーブル、管、又はワイヤをシーリングするために、隔壁内に嵌め込まれた金属フレーム内に、上記定義に基づく少なくとも1つのインサート半部を使用する、少なくとも1つのインサート半部の使用に関する。
【0023】
本発明はさらに、隔壁を通って延びるケーブル、ワイヤ、又は管の周りをシーリングするためのシーリングシステムであって、前記システムが、
隔壁内に配置されたフレームと、
ケーブル、ワイヤ、又は管の周りに嵌め合わされてフレーム内に配置された請求項9に記載の少なくとも1つのインサートブロックと、
フレーム内の空間をシーリングするために、少なくとも1つのインサートブロックに圧力を加えるようにフレーム内に配置された加圧装置と
を含む、シーリングシステムに関する。
【0024】
上記の種々異なる実施態様は、詳細な説明において詳述することになる発明の範囲を逸脱することなしに組み合わせ、そして異なる形で改変し得ることは明らかである。
【0025】
本発明によるインサートブロック半部の種々異なる実施態様を添付の図面に示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明に基づく長方形フレーム及びインサート半部及びインサートブロックを含むシーリングシステムを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、円形フレームを含むシーリングシステムを示す斜視図である。
【
図3a】
図3a及び3bは、インサート半部本体の第1実施態様を示す斜視図及び頂面図である。
【
図3b】
図3a及び3bは、インサート半部本体の第1実施態様を示す斜視図及び頂面図である。
【
図4】
図4は、本発明によるインサート半部の第1実施態様を示す分解図である。
【
図5a】
図5a及び5bは、本発明によるインサートを示す斜視図及び頂面図である。
【
図5b】
図5a及び5bは、本発明によるインサートを示す斜視図及び頂面図である。
【
図6a】
図6aは、本発明による2つのインサート半部と通路閉鎖エレメントとを含むインサートブロックを示す分解図である。
【
図6b】
図6bは、4つのインサートを含むインサート半部を示す分解斜視図である。
【
図6c】
図6cは、4つのインサートとケーブルとを含むインサート半部を示す部分的に分解された斜視図である。
【
図6d】
図6dは、ケーブルの周りに嵌め合わされた2つのインサート半部を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、インサート半部本体及び対応インサートの第2実施態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1には、図示していない隔壁を通って延びるケーブル2、ワイヤ、又は管をシーリングするためのシーリングシステム1が示されている。システムは、隔壁内に永久的に組み付けられるように意図された金属フレーム3を含むことにより、隔壁内に所定のサイズの通路を提供する。隔壁を貫通する必要のあるケーブル、ワイヤ、又は管は、組み付け中に、フレームを通して案内される。
【0028】
フレーム内の空間をシールするために、2つの実質的に同一のインサートブロック半部10を含むインサートブロック4が、フレームを通って延びるケーブル、ワイヤ、又は管のそれぞれの周りに嵌め合わされている。インサートブロック、及びインサートブロックを通って延びるケーブル、ワイヤ、又は管をフレーム内で層状にパッキングすることにより、フレーム内の空間を完全に埋める。インサートブロックは実質的に正方形の断面形状を有しており、そして、インサートブロックの外側寸法は、フレーム内の空間を埋め、仕切り壁内の通路を所望の通りにシーリングするために、所定の数のインサートブロックがフレーム内の空間に相当するサイズを有するように選択される。種々異なるインサートブロック層は、シーリングシステムに圧力が加えられたときにこれらの層がフレーム3内部の所期位置に残るのを保証するために、ガイド用金属プレート5によって分離されている。ケーブル、ワイヤ、又は管の数が、フレーム内の空間を埋めるのに必要とされるインサートブロックの数よりも少ない場合、インサートブロックの代わりに中実の弾性長方形ブロックを使用することによって、フレーム内の残された空間を埋めることもできる。
【0029】
ブロックがフレーム内の所期位置に層状に並んでパッキングされた後、フレームの頂部に加圧装置6が配置される。加圧装置は弾性部材、及び弾性部材を通って延びるねじ山付きシャフト8のそれぞれの側に配置されたプレート7を含む。弾性部材がシャフトとシャフトに配置されたナットとによってプレート間で圧縮されると、弾性部材は膨張するので、フレーム3内部にパッキングされた層に圧力が加えられ、これによりインサートブロック間のギャップを排除し、フレーム内の空間をシーリングする。種々異なるタイプの加圧装置を利用することができ、記載された装置の代わりに、利用可能な装置のいずれかを設けることもできる。
【0030】
シーリングシステム100の第2実施態様が
図2に示されている。この実施態様では、長方形のフレームの代わりに、隔壁内に永久的に組み付けられるように意図された円形金属フレーム103が設けられている。この実施態様では、加圧装置103は、フレームの内周に沿って配置されている。加圧装置には、インサートブロックのために長方形の開口104が形成されているので、加圧装置はインサートブロック及びケーブルを包囲する。上記インサートブロックはケーブル、ワイヤ、又は管の周りに嵌め合わされ、加圧装置の開口内部に配置されるので、圧力が加えられてフレーム内の空間がシーリングされる前に、開口は完全に埋められる。
【0031】
それぞれのインサートブロックは2つの同一のインサート半部10から成っている。それぞれのインサート半部10は、
図3a及び3bに示された長方形の本体11を含む。本体11は長方形本体の対向側に配置された第1端部12と第2端部13とを有している。第1端部から第2端部へ延びる実質的に平らな側面14のうちの1つには、半円筒形の溝15が本体内に形成されているので、それぞれのインサートブロック半部の溝15及び平らな側面14が互いに面する状態で2つの同一のブロック半部が一緒に配置されると、インサートブロックを通して円形通路が生成される。
【0032】
半円筒形の溝の長手方向中心軸線Aは、本体の平らな側面14に対して平行に配置されており、また2つの同一のインサート半部10から形成されたインサートブロックの長手方向中心軸線と同軸的に配置されている。半円筒形溝の直径は、インサート本体の幅よりも小さいので、溝15のそれぞれの側面に沿って接触面16が形成されている。2つの隣接するインサートブロック半部の接触面16は互いに接触する状態になり、これにより、溝内に配置されたケーブル、ワイヤ、又は管を包囲することになる。
【0033】
本体11は、このタイプのシーリングシステムに対する具体的な要求に適合した耐圧性、耐水性、及び耐熱性の弾性ゴム組成物から形成されている。インサートブロック半部の寸法は、インサートブロックが正方形の断面形状を有するように選択されることが好ましいが、しかし、インサートブロックのサイズが隔壁内のフレームの寸法に対応している限り、他の形状を用いることもできる。
【0034】
溝15に沿って、軸線Lに対して実質的に横断方向に延びる複数の凹部17が溝内に形成されている。図示の実施態様では、凹部の数は10個であるが、しかし実際の数はそれよりも多くても少なくてもよい。全ての凹部は溝に沿って同じ幅と実質的に均一な形状とを有している。凹部は溝全体に沿って並んで配置されているので、溝は起伏のある形状を有することになる。
【0035】
インサート半部はさらに、溝内部に配置されるように意図された少なくとも1つのインサートを含む。インサートはいくつかの異なる方法で具体化することができ、種々異なる実施態様が
図4,5a及び5,6a、並びに6b及び7に示されている。
【0036】
本発明の概念は、少なくとも1つのインサートと組み合わせたインサート半部本体のタイプを使用することにより、異なる半径を有するケーブル、ワイヤ、又は管に、2つのインサート半部から形成されたインサートブロックを通る通路のサイズを適合させ、ひいては、ケーブル、ワイヤ、又は管の周囲を信頼性高くシーリングすることである。
【0037】
インサート20の第1実施態様が
図4に示されている。インサート20は少なくとも2つのエレメント21によって形成されている。すなわち図示されたインサートは3つのエレメント21を含む。これらのエレメントは互いに結合されており、溝内部の軸線Aに沿って並んで配列されるように意図されている。それぞれのエレメント11は半円弧形状を有し、外周形状及び寸法は凹部17の形状及び寸法に対応するので、インサートは溝に沿ったどの場所でも溝内に配置し維持することができる。インサートのそれぞれのエレメントにおいて、軸線Aに対して同軸的な半円形通路が形成されるので、インサート半部の溝が互いに面する状態で2つの同一のインサート半部が合体されると円形の通路が形成される。それぞれのエレメントの端部には端面22が形成される。端面は第2インサート半部の対応エレメントの端面と接触状態になる。
【0038】
種々異なるエレメント21の半円形通路は異なる半径を有しているので、異なるエレメントは、異なる半径を有するケーブル、ワイヤ、又は管にフィットすることなる。シーリングシステムの組み付け中に、ケーブル、ワイヤ、又は管に対応しない半円形通路を有するエレメントはインサートから引き裂くことにより、インサートを特定のケーブル、ワイヤ、又は管に適合させる。インサートは常に2つのエレメント21を含むことが好ましい。それというのもこれらのインサートは、シーリングシステムの組み付けを容易にする効果的な形式で溝内部に維持されるからである。エレメントのうちの一方が、現存のケーブル、ワイヤ、又は管に正確に対応するエレメントであり、第2のエレメントは、現存のケーブル、ワイヤ、又は管よりも僅かに大きい通路を有するエレメントである。
【0039】
それぞれのインサート半部は、インサート半部本体のそれぞれの端面に隣接して配置された少なくとも2つのインサート20を含むことにより、ケーブル、ワイヤ、又は管に沿った2つの異なる場所でケーブル、ワイヤ、又は管をシーリングすることが好ましい。
【0040】
インサートのエレメントの数はインサート本体の凹部の数に等しいか又はこれよりも少ない。すなわち図示の実施態様では、インサートは10個のエレメントを含むことができる。それぞれのエレメントは、半径が異なる半円形通路を有している。インサートの種々異なるエレメントは並んで互いに境を接している。境界は、ケーブル、ワイヤ、又は管にインサートを適合させるように隣接するエレメントを除去するのを容易にするために薄いことが好ましい。
【0041】
インサートの第2の好ましい実施態様30は
図5a及び5bに示されている。インサートのこの実施態様は、並んで配置された10個のエレメント31を含む。このインサートは溝全体に沿って延びている。10個全てのエレメントは、種々異なる半径を有するケーブル、ワイヤ、又は管に適合させるように意図された半円形通路を有しており、一例として、それぞれのエレメントは番号を付けられている。これらの番号は、エレメントがどのケーブル、ワイヤ、又は管の直径のために使用されるように意図されているかを示している。
【0042】
インサートの異なるエレメント31は、半円形通路の最も小さな半径を有する2つのエレメントがインサートの互いに対向する端部に配置され、三番目に小さな半径を有するエレメントが最も小さな半径を有するエレメントに隣接して、二番目に小さな半径を有するエレメントに面するエレメントの側に配置され、四番目に小さな半径を有するエレメントが二番目に小さな半径を有するエレメントに隣接して、最も小さな半径を有するエレメントに面する側に配置され、そして残りのエレメントが、より小さな半径を有するエレメントに隣接して、インサートの交互の端部に相応して配置されるように、配置されている。
【0043】
組み付け中、溝に沿った2つのシーリング位置を提供するために、溝のそれぞれの端部に配置された2つのインサートを形成するために、インサートは引き裂かれる。
【0044】
半円形通路の隣接する半径を有する2つのエレメントがインサートの交互の端部に配置されるように配置された複数のエレメントを含むインサート30の特徴的な構成は、完全なフィットをもたらすであろうエレメントと、隣接するエレメントとを溝の一方の端部に配置し、そして僅かに大きいエレメントとこれに隣接するエレメントとを溝の反対側の端部に配置することができるように、インサートを引き裂くことを可能にする。このインサート半部によって形成されたシーリングシステムは、加圧装置によって圧力が加えられると、ケーブル、ワイヤ、又は管の周りを信頼性高くシーリングすることができる。それというのも、ケーブル、ワイヤ、又は管に沿った2つの異なる位置でシーリング作用がもたらされるからできる。
【0045】
隔壁を通って延びるケーブル、ワイヤ、又は管の数が、フレーム内の空間を埋めるのに必要とされるインサートブロックの数よりも少ない場合には、インサート半部10はさらに、インサートブロックを通る通路をシーリングするように意図された通路閉鎖エレメント40を含む。
【0046】
通路閉鎖エレメント40の1実施態様が
図6aに示されている。通路閉鎖エレメントは、インサート内部に形成された空間を埋めるように意図されており、軸線Aに沿って異なる半径を備えた実質的に半円形の断面形状を有することにより、インサートの種々異なるエレメントの半径に対応する。
【0047】
図示の通路閉鎖エレメント40は、軸線Aに沿ったインサート半部の長さに相当する軸線Aに沿った長さを有する。しかしながら、この長さはインサート自体の長さよりも短くてもよい。図示の通路閉鎖エレメント40は、
図5a及び5bに示されたインサートとフィットするように構成されているが、しかし、インサートの種々異なるエレメントの半径に相当する軸線Aに沿った異なる半径を備えた円形断面形状を有するように構成された通路閉鎖エレメントに改変することもできる。
【0048】
通路閉鎖エレメント40は、通路閉鎖エレメント40の対向する端部に配置された第1端部プラグ41及び第2端部プラグ42と、中央に配置された中央プラグ43と、中央プラグ43と第1端部プラグ41及び第2端部プラグ42との間で、中央プラグ43のそれぞれの側方に配置された2つのスペーサエレメントとを含む。
【0049】
2つのスペーサエレメント44は、対応する位置におけるインサート内の通路の形状及び寸法に対応する外周形状及び寸法を有する半円弧として構成されている。2つのスペーサエレメントの内径は、第2インサートとして使用し得るように選択される。第2インサートは、ケーブル、ワイヤ、又は管をシーリングするためにインサート半部が使用可能である範囲をさらに広げることにより、インサート半部及びシーリングシステムのフレキシビリティをさらに高めるために、例えば
図4に示されたインサート内部に配置されるように意図される。
【0050】
スペーサエレメントは、インサート内部の所期の位置でぴたりとフィットするために、インサートのエレメントの幅に相当する、軸線Aに沿った幅を有している。通路閉鎖エレメントは一体のものとして形成されることが好ましい。この一体のものは、インサートブロックをシールするようにインサートの通路内に容易に嵌入することができる。スペーサエレメントがインサート半部を現存のケーブル、ワイヤ、又は管に適合させるために必要となる場合には、通路閉鎖エレメントはスペーサエレメントを解放するために引き裂かれる。スペーサエレメントはインサート半部のそれぞれの端面に隣接して配置されることが好ましい。
【0051】
インサート及び通路閉鎖エレメントの全ての実施態様は、このタイプのシーリング装置に対する具体的な要求に適合した耐圧性、耐水性、及び耐熱性の弾性ゴム組成物から形成されている。インサート並びに通路閉鎖エレメントの種々異なる実施態様は、シーリングシステムの組み付け中に引き裂きやすくするために、インサートの種々異なるエレメントと通路閉鎖エレメントとの間に延びる薄い区分と一緒に一体のものとして注型されるのが好ましい。
【0052】
インサート半部のフレキシビリティをさらに高めるために、インサート半部本体11は、現存のケーブル、ワイヤ、又は管の寸法が溝の半径に相当する場合には、インサートを設けずに使用することができる。
【0053】
インサート半部70のさらなる実施態様が
図7に示されている。インサート半部の図示の実施態様は上記の実施態様と同じ寸法及び形状を備えたインサート半部本体71を含む。しかしながら半円形溝の代わりに、インサート半部本体に形成された実質的に長方形の溝72が設けられている。溝は半正方形の寸法を有するので、本実施態様に基づく2つの同一のインサート半部が、溝が互いに面する状態で配置されると、インサートブロックを通して正方形の通路が形成される。溝の幅が本体の幅よりも小さいので、溝の各側面に沿って細長い接触面が形成される。溝に沿って、軸線Aに対して実質的に横断方向に延びる複数の凹部77が、凹部が溝に沿って同じ幅と一様の形状とを有する前述の実施態様と同様に溝内に形成されている。
【0054】
この実施態様では、インサート半部70は、並んで配置された少なくとも2つのエレメント81によって形成された少なくとも1つのインサート80を含む。それぞれのエレメントは、インサート半部本体における溝72及び凹部77の形状に対応する長方形の周辺形状及び寸法を有しているので、インサート80は、溝に沿ったいかなる場所でも溝内に配置し維持することができる。前述の実施態様と同様に、軸線Aに対して同軸的な半円形通路がインサート内に形成されている。
【0055】
全ての記載された実施態様は、フレキシブルなインサートブロック半部であって、同一のインサート半部と一緒に、種々異なる直径を有するケーブル、ワイヤ、又は管の周りに嵌め合わされることにより、発明の背景において記載された問題点を減らす信頼性高いフレキシブルなシーリングシステムを保証する、フレキシブルなインサートブロック半部を提供することを意図する。
【0056】
さらに、添付の請求項によって定義された発明の範囲を逸脱することなしに、上記実施態様を全て異なる形で組み合わせて変更することもできる。例えばインサート及びエレメントの形状は、溝内のインサート及び凹部が互いに対応し、隔壁内のフレームを通って延びるケーブル、ワイヤ、又は管を所望の通りにシーリングする限り変更することもできる。