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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6940679
(24)【登録日】2021年9月6日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/27 20180101AFI20210916BHJP
   H04W 76/38 20180101ALI20210916BHJP
   H04W 48/16 20090101ALI20210916BHJP
【FI】
   H04W76/27
   H04W76/38
   H04W48/16 110
【請求項の数】3
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2020-500518(P2020-500518)
(86)(22)【出願日】2019年2月13日
(86)【国際出願番号】JP2019005092
(87)【国際公開番号】WO2019159963
(87)【国際公開日】20190822
【審査請求日】2020年8月13日
(31)【優先権主張番号】特願2018-25037(P2018-25037)
(32)【優先日】2018年2月15日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】キュリーズ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】藤代 真人
【審査官】 小林 正明
(56)【参考文献】
【文献】 LG Electronics Inc.,Cell reselection parameters for INACTIVE mode[online],3GPP TSG RAN WG2 adhoc_2018_01_NR R2- 1801429,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_AHs/2018_01_NR/Docs/R2-1801429.zip>,2018年01月26日
【文献】 Huawei, HiSilicon,RRC state transition from INACTIVE to IDLE[online],3GPP TSG RAN WG2 #100 R2-1712574,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_100/Docs/R2-1712574.zip>,2017年12月01日
【文献】 Ericsson,NR RRC States overview and remaining open issues[online],3GPP TSG RAN WG2 #100 R2- 1713301,2017年12月01日,第2.3節
【文献】 3GPP TS 38.300 V15.0.0(2017-12),3GPP,2017年12月,第31頁,第7.2節
【文献】 Huawei, HiSilicon,Remaining issues on State transition between RRC CONNECTED and INACTIVE[online],3GPP TSG RAN WG2 adhoc_2018_01_NR R2-1800493,2018年01月26日,第2.1節
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24−7/26
H04W4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信方法であって、
基地局が、Radio Resource Control(RRC)接続状態からRRCインアクティブ状態へとユーザ装置を遷移させるためのメッセージを送信するステップと、
前記ユーザ装置が、前記メッセージを前記基地局から受信するステップと、
前記RRCインアクティブ状態の前記ユーザ装置が、前記メッセージに含まれるタイマを起動するステップと、
前記ユーザ装置が、前記タイマの満了後に前記RRCインアクティブ状態からRRCアイドル状態へ遷移するステップと、
前記ユーザ装置が、前記RRCアイドル状態に遷移することに応じて、前記メッセージに含まれるセル再選択優先度を破棄し、前記基地局から取得した他のセル再選択優先度を適用するステップと、
前記ユーザ装置が、前記タイマの満了前に前記RRCインアクティブ状態から前記RRCアイドル状態へ遷移することに応じて、前記メッセージに含まれるアイドルパラメータセットを適用するステップと、を備え、
前記RRCインアクティブ状態は、前記ユーザ装置及び前記基地局において前記ユーザ装置のコンテキストが記憶されている状態であり、かつ、前記ユーザ装置がセルリセレクションモビリティを実行する状態である、通信方法。
【請求項2】
ユーザ装置であって、
基地局から、Radio Resource Control(RRC)接続状態からRRCインアクティブ状態へと前記ユーザ装置を遷移させるためのメッセージを受信する受信部と、
前記メッセージに含まれるタイマを起動する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記タイマの満了後に前記RRCインアクティブ状態からRRCアイドル状態へ遷移し、
前記RRCアイドル状態に遷移することに応じて、前記メッセージに含まれるセル再選択優先度を破棄し、前記基地局から取得した他のセル再選択優先度を適用し、
前記RRCインアクティブ状態は、前記ユーザ装置及び前記基地局において前記ユーザ装置のコンテキストが記憶されている状態であり、かつ、前記ユーザ装置がセルリセレクションモビリティを実行する状態であり、
前記制御部は、前記タイマの満了前に前記RRCインアクティブ状態から前記RRCアイドル状態へ遷移することに応じて、前記メッセージに含まれるアイドルパラメータセットを適用する、ユーザ装置。
【請求項3】
ユーザ装置を制御するプロセッサであって、
基地局から、Radio Resource Control(RRC)接続状態からRRCインアクティブ状態へと前記ユーザ装置を遷移させるためのメッセージを受信する処理と、
前記メッセージに含まれるタイマを起動する処理と、
前記タイマの満了後に前記RRCインアクティブ状態からRRCアイドル状態へ遷移する処理と、
前記RRCアイドル状態に遷移することに応じて、前記メッセージに含まれるセル再選択優先度を破棄し、前記基地局から取得した他のセル再選択優先度を適用する処理と、
前記タイマの満了前に前記RRCインアクティブ状態から前記RRCアイドル状態へ遷移することに応じて、前記メッセージに含まれるアイドルパラメータセットを適用する処理と、を実行し、
前記RRCインアクティブ状態は、前記ユーザ装置及び前記基地局において前記ユーザ装置のコンテキストが記憶されている状態であり、かつ、前記ユーザ装置がセルリセレクションモビリティを実行する状態である、プロセッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)により策定された仕様では、RRCインアクティブ状態が規定されている(非特許文献1参照)。
【0003】
RRCインアクティブ状態は、RRC接続状態と同じようにコンテキストが無線端末及び基地局において記憶されている状態、かつ、RRCアイドル状態と同じように無線端末がセルリセレクションモビリティを実行する状態である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP技術仕様書「TS38.300 V15.0.0」 2018年1月4日
【発明の概要】
【0005】
一の実施形態に係る通信方法は、基地局が、Radio Resource Control(RRC)接続状態からRRCアイドル状態と異なる特定状態へと無線端末を遷移させるためのメッセージを送信するステップと、前記無線端末が、前記メッセージを前記基地局から受信するステップと、を備える。前記特定状態は、前記無線端末及び前記基地局において前記無線端末のコンテキストが記憶されている状態であり、かつ、前記無線端末がセルリセレクションモビリティを実行する状態である。前記メッセージは、前記特定状態で適用される特定パラメータセットに加えて、前記RRCアイドル状態で適用されるアイドルパラメータセットを含む。
【0006】
一の実施形態に係る通信方法は、基地局が、Radio Resource Control(RRC)接続状態からRRCアイドル状態と異なる特定状態へと無線端末を遷移させるためのメッセージを送信するステップと、前記無線端末が、前記メッセージを前記基地局から受信するステップと、を備える。前記特定状態は、前記無線端末及び前記基地局において前記無線端末のコンテキストが記憶されている状態であり、かつ、前記無線端末がセルリセレクションモビリティを実行する状態である。前記メッセージは、前記特定状態で適用される特定パラメータセットを含む。前記通信方法は、前記無線端末が、前記メッセージに含まれる前記特定パラメータセットを前記RRCアイドル状態でも適用するか否かを判定するステップと、をさらに備える。
【0007】
一の実施形態に係る通信方法は、基地局が、Radio Resource Control(RRC)接続状態及びRRCアイドル状態と異なる特定状態である複数の無線端末に対して、前記特定状態から前記RRCアイドル状態へと遷移させるための遷移情報を送信するステップと、前記無線端末が、前記基地局から前記遷移情報を受信するステップと、を備える。前記特定状態は、前記複数の無線端末を構成する無線端末及び前記基地局において前記無線端末のコンテキストが記憶されている状態であり、かつ、前記無線端末がセルリセレクションモビリティを実行する状態である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、通信システムの構成を示す図である。
図2図2は、無線インターフェイス(制御プレーン)のプロトコルスタック図である。
図3図3は、無線インターフェイス(ユーザプレーン)のプロトコルスタック図である。
図4図4は、UE100のブロック図である。
図5図5は、BS200のブロック図である。
図6図6は、RRCインアクティブ状態を説明するための図である。
図7図7は、動作例1を説明するためのシーケンス図である。
図8図8は、動作例2を説明するためのシーケンス図である。
図9図9は、動作例3を説明するためのシーケンス図である。
図10図10は、動作例4を説明するためのシーケンス図である。
図11図11は、動作例5を説明するためのシーケンス図である。
図12図12は、動作例6を説明するためのシーケンス図である。
図13図13は、動作例6を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態の概要]
一の実施形態に係る通信方法は、基地局が、Radio Resource Control(RRC)接続状態からRRCアイドル状態と異なる特定状態へと無線端末を遷移させるためのメッセージを送信するステップと、前記無線端末が、前記メッセージを前記基地局から受信するステップと、を備える。前記特定状態は、前記無線端末及び前記基地局において前記無線端末のコンテキストが記憶されている状態であり、かつ、前記無線端末がセルリセレクションモビリティを実行する状態である。前記メッセージは、前記特定状態で適用される特定パラメータセットに加えて、前記RRCアイドル状態で適用されるアイドルパラメータセットを含む。
【0010】
前記通信方法は、前記無線端末が、前記アイドルパラメータセットの適用を判定するためのタイマを起動するステップと、前記無線端末が、前記特定状態から前記RRCアイドル状態へ前記タイマの満了前に前記RRCアイドル状態へ遷移することに応じて、前記アイドルパラメータセットを適用するステップと、を備えてもよい。
【0011】
前記通信方法は、前記無線端末が、前記アイドルパラメータセットの適用を判定するためのタイマを起動するステップと、前記無線端末が、前記タイマの満了後に前記RRCアイドル状態へ遷移することに応じて、前記メッセージに含まれる前記アイドルパラメータセットではなく、前記基地局から取得した他のアイドルパラメータセットを適用するステップと、を備えてもよい。
【0012】
前記メッセージは、前記特定状態で適用される複数の特定パラメータセットを含んでもよい。前記複数の特定パラメータセットは、適用条件が互いに異なってもよい。前記通信方法は、前記無線端末が、前記複数の特定パラメータセットのうち前記適用条件を満たす特定パラメータセットを適用するステップを備えてもよい。
【0013】
前記複数の特定パラメータセットは、前記適用条件として適用するタイミングが異なってもよい。
【0014】
一の実施形態に係る通信方法は、基地局が、Radio Resource Control(RRC)接続状態からRRCアイドル状態と異なる特定状態へと無線端末を遷移させるためのメッセージを送信するステップと、前記無線端末が、前記メッセージを前記基地局から受信するステップと、を備える。前記特定状態は、前記無線端末及び前記基地局において前記無線端末のコンテキストが記憶されている状態であり、かつ、前記無線端末がセルリセレクションモビリティを実行する状態である。前記メッセージは、前記特定状態で適用される特定パラメータセットを含む。前記通信方法は、前記無線端末が、前記メッセージに含まれる前記特定パラメータセットを前記RRCアイドル状態でも適用するか否かを判定するステップと、をさらに備える。
【0015】
前記メッセージは、前記特定パラメータセットを前記RRCアイドル状態でも適用するか否かを前記無線端末が判定するための判定情報を含んでもよい。
【0016】
前記通信方法は、前記無線端末は、前記判定情報の有効期限を計測するためのタイマを起動するステップと、前記無線端末が、前記タイマが起動中であることに応じて、前記判定情報に従って前記特定パラメータセットを前記RRCアイドル状態でも適用するか否かを判定するステップと、を備えてもよい。
【0017】
前記通信方法は、前記無線端末は、前記判定情報の有効期限を計測するためのタイマを起動するステップと、前記無線端末が、前記タイマが満了したことに応じて、前記判定情報に従わずに前記特定パラメータセットを前記RRCアイドル状態でも適用するか否かを判定するステップと、を備えてもよい。
【0018】
一の実施形態に係る通信方法は、基地局が、Radio Resource Control(RRC)接続状態及びRRCアイドル状態と異なる特定状態である複数の無線端末に対して、前記特定状態から前記RRCアイドル状態へと遷移させるための遷移情報を送信するステップと、前記無線端末が、前記基地局から前記遷移情報を受信するステップと、を備える。前記特定状態は、前記複数の無線端末を構成する無線端末及び前記基地局において前記無線端末のコンテキストが記憶されている状態であり、かつ、前記無線端末がセルリセレクションモビリティを実行する状態である。
【0019】
前記遷移情報を送信するステップにおいて、前記基地局は、前記特定状態である全ての無線端末のうちの一部の無線端末が前記遷移情報を受信できるタイミングで、前記遷移情報を送信してもよい。
【0020】
前記遷移情報を送信するステップにおいて、前記基地局は、前記特定状態である全ての無線端末のうち、前記RRCアイドル状態へ遷移させる一部の無線端末の識別情報と共に前記遷移情報を送信してもよい。
【0021】
前記遷移情報は、前記RRCアイドル状態へ遷移させる一部の無線端末を特定するための条件に用いられる情報を含んでもよい。
【0022】
前記通信方法は、前記無線端末は、前記遷移情報に従って前記RRCアイドル状態へ遷移することに応じて、前記RRCアイドル状態へ遷移することを示す情報を前記基地局へ通知するステップを備えてもよい。
【0023】
前記通信方法は、前記基地局は、前記基地局における前記遷移情報の送信を示す所定情報を隣接基地局へ送るステップを備えてもよい。
【0024】
前記所定情報を送るステップにおいて、前記基地局は、前記遷移情報を送信した後に、前記所定情報を前記隣接基地局へ送ってもよい。
【0025】
前記所定情報を送るステップにおいて、前記基地局は、前記遷移情報を送信する前に、前記所定情報を前記隣接基地局へ送ってもよい。前記通信方法は、前記基地局が、前記隣接基地局から拒否応答を受信したことに応じて、前記遷移情報を送信することを止めるステップをさらに備えてもよい。
【0026】
前記所定情報は、前記RRCアイドル状態へ遷移する前記複数の無線端末を識別するための識別情報を含んでもよい。
【0027】
前記通信方法は、前記隣接基地局が、前記基地局から前記所定情報を受信するステップと、前記隣接基地局が、前記隣接基地局が管理するセルにおいて前記遷移情報を送信するステップと、を備えてもよい。
【0028】
[実施形態]
(通信システム)
以下において、通信システムについて説明する。図1は、移動通信システムの構成を示す図である。移動通信システムの一例として、LTEシステムを例に挙げて説明する。
【0029】
図1に示すように、LTEシステムは、UE(User Equipment)100、RAN(Radio Access Network)10、及びコアネットワーク20を備える。
【0030】
UE100は、無線端末に相当する。UE100は、セル(後述するBS200)と無線通信を行う。UE100の構成は後述する。
【0031】
UE100は、例えば、携帯電話(例えば、スマートフォン)、タブレット、モバイルパーソナルコンピュータなどのユーザが持ち運び可能な無線端末であってもよい。UE100は、例えば、時計、メガネ、リストバンド、アクセサリーなどのユーザが着用可能な通信装置(ウェアラブル端末)であってもよい。UE100は、乗り物(例えば、車両、バイク、自転車、船、飛行機など)又は飛行体(例えば、ドローンなど)に備えられた通信装置であってもよい。UE100は、通信装置を備える乗り物又は飛行体そのものであってもよい。UE100は、乗り物に着脱可能な通信モジュールであってもよい。UE100は、固定型の無線端末であってもよい。
【0032】
RAN10は、無線アクセスネットワークに相当する。RAN10は、例えば、E−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)である。RAN10は、NG−RAN(Next Generation Radio Access Network)であってもよい。
【0033】
RAN10は、BS(Base Station)200を含む。BS200は、RAN10を構成するノードである。BS200は、(無線)基地局に相当する。BS200は、例えば、eNB200(evolved Node−B)である。BS200は、ng−eNB(next Generation evolved Node−B)であってもよい。BS200は、gNB(next Generation Node−B)であってもよい。
【0034】
BS200は、UE100と無線通信を実行可能なノードであってもよい。BS200は、所定のインターフェイスを介して相互に接続されてもよい。BS200の構成は後述する。
【0035】
BS200は、1又は複数のセルを管理する。BS200は、BS200が管理するセルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。BS200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、「データ」と称することがある)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。
【0036】
「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として使用される。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能を示す用語としても使用されてもよい。「セル」は、下りリンクリソースであってもよい。「セル」は、下りリンクリソースと上りリンクリソースとの組み合わせであってもよい。下りリンクリソースのキャリア周波数と上りリソースのキャリア周波数との間のリンクは、下りリンクリソース上で送信されるシステム情報に含まれてもよい。「セル」は、キャリア及び/又は周波数を示す用語として使用されてもよい。
【0037】
コアネットワーク20は、例えば、EPC(Evolved Packet Core)である。コアネットワーク20は、ネットワーク装置300を含む。ネットワーク装置300は、例えば、MME(Mobility Management Entity)である。MMEは、例えば、UE100に対する各種モビリティ制御を行う。ネットワーク装置300は、SGW(Serving Gateway)であってもよい。SGWは、例えば、データの転送制御を行う。ネットワーク装置(MME及び/又はSGW)300は、所定のインターフェイスを介してBS200と接続される。
【0038】
コアネットワーク20は、5GC(5G Core Network)であってもよい。ネットワーク装置300は、例えば、AMF(Access and Mobility Management Function)である。AMFは、例えば、モビリティ管理制御を行う。ネットワーク装置300は、UPF(User Plane Function)であってもよい。UPFは、例えば、イントラ及び/又はインターRATモビリティ用のアンカーポイント機能を有する。ネットワーク装置(AMF及び/又はUPF)300は、所定のインターフェイスを介してBS200と接続される。
【0039】
図2は、無線インターフェイス(制御プレーン)のプロトコルスタック図である。図3は、無線インターフェイス(ユーザプレーン)のプロトコルスタック図である。
【0040】
図2に示すように、無線インターフェイスプロトコルは、OSI参照モデルの第1層乃至第3層に区分されている。第1層は、物理(PHY)層(物理エンティティ)である。第2層は、MAC(Medium Access Control)層(MACエンティティ)、RLC(Radio Link Control)層(RLCエンティティ)、及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol)層(PRCPエンティティ)を含む。第3層は、RRC(Radio Resource Control)層(RRCエンティティ)を含む。
【0041】
物理層は、符号化・復号化、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100の物理層とBS200の物理層との間では、物理チャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。
【0042】
MAC層は、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセス手順等を行う。UE100のMAC層とBS200のMAC層との間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。BS200のMAC層は、スケジューラ(MAC スケジューラ)を含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS:Modulation and Coding Scheme))及びUE100への割当リソースブロックを決定する。
【0043】
RLC層は、MAC層及び物理層の機能を利用してデータを受信側のRLC層に伝送する。UE100のRLC層とBS200のRLC層との間では、論理チャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。
【0044】
PDCP層は、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化(サイファリング)・復号化(デサイファリング)を行う。
【0045】
RRC層は、制御信号を取り扱う制御プレーンでのみ定義される。UE100のRRC層とBS200のRRC層との間では、各種設定のためのメッセージ(RRCメッセージ)が伝送される。RRC層は、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとBS200のRRCとの間にRRC接続がある場合、UE100は、RRC接続状態(RRC Connected状態)である。UE100のRRCとBS200のRRCとの間にRRC接続がない場合、UE100は、RRCアイドル状態(RRC idle状態)である。
【0046】
RRC層の上位に位置するNAS(Non−Access Stratum)層は、例えば、セッション管理及びモビリティ管理を行う。
【0047】
図3におけるSDAP(Service Data Adaptation Protocol)は、5GC QoSフローを提供する。SDAPは、例えば、QoSフローとデータ無線ベアラとの間のマッピングを行う。
【0048】
(無線端末)
実施形態に係るUE100(無線端末)について説明する。図4は、UE100のブロック図である。図4に示すように、UE100は、レシーバ(Receiver:受信部)110、トランスミッタ(Transmitter:送信部)120、及びコントローラ(Controller:制御部)130を備える。レシーバ110とトランスミッタ120とは、一体化されたトランシーバ(送受信部)であってもよい。
【0049】
レシーバ110は、コントローラ130の制御下で各種の受信を行う。レシーバ110は、アンテナを含む。レシーバ110は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換する。レシーバ110は、ベースバンド信号をコントローラ130に出力する。
【0050】
トランスミッタ120は、コントローラ130の制御下で各種の送信を行う。トランスミッタ120は、アンテナを含む。トランスミッタ120は、コントローラ130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換する。トランスミッタ130は、無線信号をアンテナから送信する。
【0051】
コントローラ130は、UE100における各種の制御を行う。コントローラ130は、プロセッサ及びメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に使用される情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサとCPU(Central Processing Unit)とを含む。ベースバンドプロセッサは、例えば、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号化を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行することにより、各種の処理を行う。プロセッサは、音声・映像信号の符号化・復号化を行うコーデックを含んでもよい。プロセッサは、後述する各種の処理及び上述した各種の通信プロトコルを実行する。
【0052】
UE100は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機を備えていてもよい。GNSS受信機は、UE100の地理的な位置を示す位置情報を得るために、GNSS信号を受信できる。GNSS受信機は、GNSS信号をコントローラ130に出力する。GNSS受信機は、UE100の位置情報を取得するためのGPS(Global Positioning System)受信機を有していてもよい。
【0053】
本明細書では、UE100が備えるレシーバ110、トランスミッタ120及びコントローラ130の少なくともいずれかが実行する処理を、便宜上、UE100が実行する処理(動作)として説明する。
【0054】
(基地局)
実施形態に係るBS200(基地局)について説明する。図5は、BS200のブロック図である。図5に示すように、BS200は、レシーバ(受信部)210、トランスミッタ(送信部)220、コントローラ(制御部)230、及びネットワークインターフェイス240を備える。トランスミッタ220とレシーバ210は、一体化されたトランシーバ(送受信部)であってもよい。
【0055】
レシーバ210は、コントローラ230の制御下で各種の受信を行う。レシーバ210は、アンテナを含む。レシーバ210は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換する。レシーバ210は、ベースバンド信号をコントローラ230に出力する。
【0056】
トランスミッタ220は、コントローラ230の制御下で各種の送信を行う。トランスミッタ220は、アンテナを含む。トランスミッタ220は、コントローラ230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換する。トランスミッタ220は、無線信号をアンテナから送信する。
【0057】
コントローラ230は、BS200における各種の制御を行う。コントローラ230は、プロセッサ及びメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に使用される情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサとCPUとを含む。ベースバンドプロセッサは、例えば、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号化等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行することにより各種の処理を行う。プロセッサは、後述する各種の処理及び上述した各種の通信プロトコルを実行する。
【0058】
ネットワークインターフェイス240は、所定のインターフェイス(例えば、X2インターフェイス、Xnインターフェイス)を介して隣接するBS200と接続されてもよい。ネットワークインターフェイス240は、所定のインターフェイス(例えば、S1インターフェイス、NGインターフェイスなど)を介してネットワーク装置300と接続されてもよい。ネットワークインターフェイス240は、例えば、所定のインターフェイスを介したBS200及び/又はネットワーク装置300との通信に使用されてもよい。
【0059】
本明細書では、BS200が備えるレシーバ210、トランスミッタ220、コントローラ230、及びネットワークインターフェイス240の少なくともいずれかが実行する処理を、便宜上、BS200が実行する処理(動作)として説明する。
【0060】
(RRCインアクティブ状態)
RRCインアクティブ状態について、図6を用いて説明する。図6は、RRCインアクティブ状態を説明するための図である。
【0061】
RRCインアクティブ状態は、RRCアイドル状態及びRRC接続状態と異なる状態である。RRCインアクティブ状態は、RRC接続状態と同じように、UE100及びBS100(RAN10)においてUE100のコンテキストが記憶されている状態である。
【0062】
コンテキストは、UE ASコンテキストであってもよい。UE ASコンテキストは、再確立用の情報を含んでもよい。UE ASコンテキストは、UE無線アクセス能力を含んでもよい。コンテキストは、セキュリティコンテキストを含んでもよい。セキュリティコンテキストは、KeNB*、トークン、NCC、UE EPSセキュリティケイパビリティ及びセキュリティアルゴリズムを含んでもよい。
【0063】
RRCインアクティブ状態は、RFCアイドル状態と同じように、UE100がセルリセレクションモビリティを実行する状態である。セルリセレクションモビリティでは、UE100が、自律的にセルを再選択できる。
【0064】
UE100がRRCインアクティブ状態である場合、UE100は、CM接続状態(CM−CONNECTED)である。CM接続状態では、BS200とネットワーク装置300との間の接続(例えば、S1接続)が確立されている。UE100は、NG−RANにより構成されたエリア内をNG−RANへの通知なしに移動できる。RRCインアクティブ状態では、最後のBS200(サービングgNBノード)が、コンテキストと、ネットワーク装置(AMF及びUPF)300との接続(例えば、UE−associated NG connection)とを保持することができる。従って、RRCインアクティブ状態では、BS200とネットワーク装置300との接続が保持された状態であってもよい。
【0065】
図6に示すように、UE100は、BS200(ネットワーク)との接続を確立することにより、RRCアイドル状態(RRC IDLE)からRRC接続状態(RRC CONNECTED)へ遷移する。UE100は、接続を解放することにより、RRC接続状態からRRCアイドル状態へ遷移する。
【0066】
UE100は、接続がインアクティブ(不活性)である場合、RRCインアクティブ状態である。UE100は、RRC接続状態からRRCインアクティブ状態へ遷移できる。UE100は、RRCインアクティブ状態からRRC接続状態へ遷移できてもよい。UE100は、RRCインアクティブ状態からRRCアイドル状態へ遷移できる。RRCアイドル状態は、NG−RANの制御下であるNR RRCアイドル状態であってもよい。RRCアイドル状態は、E−UTRANの制御下であるE−UTRAN RRCアイドル状態であってもよい。UE100は、例えば、(セル)リセレクションによりRRCインアクティブ状態からRRCアイドル状態へ遷移してもよい。UE100は、例えば、(セル)リセレクションによりNR RRCアイドル状態とE−UTRAN RRCアイドル状態との間の遷移を行ってもよい。
【0067】
なお、RRCインアクティブ状態は、NR RRCインアクティブ状態と称されてもよい。RRC接続状態は、NR RRC接続状態(NR RRC CONNECTED状態)と称されてもよい。
【0068】
(実施形態に係る動作)
実施形態に係る動作について、動作例1−3を例に挙げて説明する。各動作例において重複する内容の説明を省略することがあるので、留意すべきである。
【0069】
(動作例1)
動作例1について、図7を用いて説明する。図7は、動作例1を説明するためのシーケンス図である。
【0070】
図7のステップS110において、BS200は、RRC接続状態からRRCインアクティブ状態へUE100を遷移させるためのメッセージを送信する。UE100は、メッセージをBS200から受信する。
【0071】
メッセージは、RRCインアクティブ状態で適用されるインアクティブパラメータセットを含む。メッセージは、インアクティブパラメータセットに加えて、RRCアイドル状態で適用されるアイドルパラメータセットを含む。
【0072】
インアクティブパラメータセットは、RRCインアクティブ状態で適用される1以上のインアクティブ用のパラメータを含む。当該パラメータは、例えば、UE100が(セル)リセレクションを行う場合に適用されるパラメータであってもよい。例えば、パラメータは、リセレクション用の絶対優先度であってもよい。パラメータは、リセレクション用のリディストリビューション優先度であってもよい。パラメータは、Reference Signal Received Power(RSRP)に対するオフセット値であってもよい。パラメータは、Reference Signal Received Quality(RSRQ)に対するオフセット値であってもよい。
【0073】
アイドルパラメータセットは、RRCインアクティブ状態で適用される1以上のアイドル用のパラメータを含む。当該パラメータは、共通のパラメータではなく、UE個別に適用されるパラメータであってもよい。アイドル用のパラメータは、インアクティブ用のパラメータと同様のパラメータであってもよい。
【0074】
アイドルパラメータセットは、有効期限を有してもよい。UE100は、アイドルパラメータセットの有効期限が切れていないことに応じて、アイドルパラメータセットを適用してもよい。UE100は、アイドルパラメータセットの有効期限が切れていることに応じて、アイドルパラメータセットを適用しなくてもよい。
【0075】
メッセージは、アイドルパラメータセットの有効期限を示す情報(例えば、時刻)を含んでいてもよい。メッセージは、アイドルパラメータセットの有効期限を計測するためのタイマ値を含んでいてもよい。メッセージは、アイドルパラメータセットの適用を判定するためのタイマ値を含んでいてもよい。
【0076】
ステップS120において、UE100は、インアクティブ状態へ遷移する。
【0077】
UE100は、インアクティブ状態へ遷移したことに応じて、アイドルパラメータセットの適用を判定するためのタイマを起動してもよい。UE100は、ステップS110のメッセージに含まれるタイマ値を用いてもよい。UE100は、ステップS110のメッセージとは別のメッセージによってBS200により送信されるタイマ値を用いてもよい。タイマ値は、例えば、システム情報ブロック(SIB)に含まれてもよい。UE100は、タイマ値を取得するために、(不足している)システム情報の要求をBS200に送信してもよい。UE100は、BS200からのタイマ値が適用されたタイマを起動できる。
【0078】
ステップS130において、UE100は、インアクティブパラメータセットを適用する。UE100は、例えば、適用されるパラメータを用いてリセレクションを実行してもよい。
【0079】
ステップS140において、UE100は、RRCインアクティブ状態において、RRCアイドル状態へ遷移することを決定できる。
【0080】
UE100は、例えば、BS200からの指示に従って、RRCアイドル状態へ遷移することを決定してもよい。UE100は、RRCアイドル状態へ遷移することを自律的に決定してもよい。UE100は、例えば、リセレクションの実行によりRRCアイドル状態へ遷移することを自律的に決定してもよい。
【0081】
UE100は、RRCインアクティブ状態へ遷移してから所定期間が経過することに応じて、RRCインアクティブ状態からRRCアイドル状態へ遷移することを決定してもよい。UE100は、所定期間(すなわち、RRCインアクティブ状態を保持する期間)を判定(計測)するためのタイマを起動してもよい。UE100は、RRCインアクティブ状態へ遷移することに応じて、当該タイマを起動してもよい。UE100は、当該タイマが満了することに応じて、RRCインアクティブ状態からRRCアイドル状態へと遷移することを決定してもよい。当該タイマに対応するタイマ値が、ステップS110のメッセージに含まれていてもよい。
【0082】
UE100は、アイドルパラメータセットの有効期限が切れていることに応じて、アイドルパラメータセットを取得すると判定してもよい。UE100は、例えば、アイドルパラメータセットの適用を判定するためのタイマが満了していることに応じて、アイドルパラメータセットを取得すると判定してもよい。UE100は、アイドルパラメータセットを取得すると判定したことに応じて、ステップS150の処理を実行してもよい。UE100は、アイドルパラメータセットの有効期限が切れていない(アイドルパラメータセットが有効である)ことに応じて、ステップS150の処理を省略してもよい。
【0083】
ステップS150において、BS200は、アイドルパラメータセットを送信する。BS200は、アイドルパラメータセットを含むSIBをブロードキャスト(送信)してもよい。UE100は、アイドルパラメータセットを取得するために、(不足している)システム情報の要求をBS200に送信してもよい。UE100は、アイドルパラメータセットを受信してもよい。これにより、UE100は、アイドルパラメータセットを取得できる。
【0084】
ステップS160において、UE100は、RRCアイドル状態へ遷移する。
【0085】
ステップS170において、UE100は、アイドルパラメータセットを適用する。
【0086】
UE100は、アイドルパラメータセットの有効期限が切れていない(アイドルパラメータセットが有効である)ことに応じて、ステップS110のメッセージに含まれるアイドルパラメータセットを適用してもよい。UE100は、タイマの満了前にRRCアイドル状態へ遷移することに応じて、ステップS110のメッセージに含まれるアイドルパラメータセットを適用してもよい。
【0087】
UE100は、アイドルパラメータセットの有効期限が切れている(アイドルパラメータセットが無効である)ことに応じて、ステップS110のメッセージに含まれるアイドルパラメータセットを適用しなくてもよい。UE100は、タイマの満了後にRRCアイドル状態へ遷移することに応じて、ステップS110のメッセージに含まれるアイドルパラメータセットを適用しなくてもよい。この場合、UE100は、ステップS110のメッセージに含まれるアイドルパラメータセットではなく、BS200から取得した他のアイドルパラメータセットを適用してもよい。
【0088】
UE100は、ステップS110のメッセージに含まれるアイドルパラメータセットを適用しないことに応じて、当該アイドルパラメータセットを破棄(解放)してもよい。
【0089】
UE100は、ステップS110のメッセージに含まれるアイドルパラメータセットを適用した後に、タイマが満了した(有効期限が切れた)場合、BS200から取得したアイドルパラメータセットを適用してもよい。或いは、UE100は、ステップS110のメッセージに含まれるアイドルパラメータセットの適用に応じて、有効期限を計測するためのタイマを停止してもよい。UE100は、アイドルパラメータセットを一度適用した場合、その後有効期限が切れたとしても、他のアイドルパラメータセットを適用するまで当該アイドルパラメータセットを適用し続けてもよい。
【0090】
以上のように、BS200からのメッセージは、インアクティブパラメータセットに加えて、RRCアイドル状態で適用されるアイドルパラメータセットを含む。これにより、UE100がRRCインアクティブ状態からRRCアイドル状態へ遷移する場合に、BS200からUE100へのシグナリングなく、UE100へ(個別に)適用可能なアイドルパラメータセットを通知することができる。従って、BS200は、RRCインアクティブ状態におけるUE100に対して柔軟な制御ができなくても、UE100を適切に制御することができる。
【0091】
アイドルパラメータセットが有効期限を有する場合には、BS200は、個別に通知したアイドルパラメータセットを予想外のタイミングでUE100が適用することを抑制することができる。
【0092】
(動作例2)
動作例2について、図8を用いて説明する。図8は、動作例2を説明するためのシーケンス図である。
【0093】
動作例2では、BS200は、複数のインアクティブパラメータセットを送信してもよい。BS200は、複数のアイドルパラメータセットを送信してもよい。
【0094】
図8のステップS210において、BS200は、RRC接続状態からRRCインアクティブ状態へUE100を遷移させるためのメッセージを送信する。UE100は、メッセージをBS200から受信する。
【0095】
ステップS210のメッセージは、複数のインアクティブパラメータセットを含んでもよい。ステップS210のメッセージは、複数のアイドルパラメータセットを含んでもよい。従って、ステップS210のメッセージは、複数のインアクティブパラメータセットと複数のアイドルパラメータセットとの少なくとも一方の複数のパラメータセットを含むことができる。
【0096】
以下において、ステップS210のメッセージが複数のインアクティブパラメータセットを含む例を挙げて説明するが、複数のアイドルパラメータセットについても同様であってもよい。
【0097】
複数のインアクティブパラメータセットは、適用条件が互いに異なる。例えば、複数のインアクティブパラメータセットは、適用条件として適用するタイミング(時期)が異なってもよい。複数のインアクティブパラメータセットは、適用条件として適用する場所が異なってもよい。場所は、例えば、RAN通知エリア(すなわち、NG−RANにより構成されたエリア)毎、セル毎、ビーム(ビームにより形成されるエリア)毎の少なくともいずれにより規定されてもよい。場所は、経度及び/又は緯度(例えば、地理的なゾーン)により規定されてもよい。RAN通知エリア(すなわち、NG−RANにより構成されたエリア)は、RAN10によるページング(RANページング)に関連付けられたエリアであってもよく、RANページングが提供可能なエリアであってもよい。
【0098】
ステップS210のメッセージは、各インアクティブパラメータセットの適用タイミング(時期及び/又は期間)を決定するための複数のタイマ値を含んでいてもよい。複数のタイマ値は、各インアクティブパラメータセットと対応付けられてもよい。各インアクティブパラメータセットは、タイマ値を含んでいてもよい。タイマ値を含まないインアクティブパラメータセットがあってもよい。
【0099】
複数のインアクティブパラメータセットは、適用の優先順位を示す情報と対応付けられていてもよい。各インアクティブパラメータセットは、適用の優先順位を示す情報を含んでいてもよい。
【0100】
複数のインアクティブパラメータセットが、第1のパラメータセットと、第2のパラメータセットとを含むケースを例に挙げて説明する。
【0101】
ステップS220は、ステップS120に対応する。
【0102】
ステップS230において、UE100は、適用するパラメータセットを決定する。UE100は、ステップS220の前に、適用するパラメータセットを決定してもよい。
【0103】
UE100は、適用条件を満たすパラメータセットを決定する。UE100は、各パラメータセットに含まれる情報に基づいて、適用するパラメータセットを決定してもよい。
【0104】
UE100は、例えば、リディストリビューション優先度を含むパラメータセットを先に適用すると決定してもよい。UE100は、リセレクション用の絶対優先度を含むパラメータセットを後に適用すると決定してもよい。
【0105】
UE100は、適用の優先順位を示す情報に基づいて、適用するパラメータセットを決定してもよい。
【0106】
UE100が、第1のパラメータセットを適用すると決定したと仮定して説明を進める。
【0107】
ステップS240において、UE100は、複数のインアクティブパラメータセットのうち、第1のパラメータセット(First Inactive parameter set)を適用する。
【0108】
ステップS240において、UE100は、第1のパラメータセットを適用する。UE100は、第1のパラメータセットの適用に応じて、第1のパラメータセットに対応付けられたタイマ(対応するタイマ値がセットされたタイマ)を起動してもよい。
【0109】
UE100は、第1のパラメータセットが適用条件を満たさなくなった場合に、第2のパラメータセットを適用すると判定する。
【0110】
UE100は、第1のパラメータセットに対応付けられたタイマが満了したことに応じて、第1のパラメータセットが適用条件を満たさなくなったと判定してもよい。UE100は、第1のパラメータセットに対応付けられた場所から移動したことに応じて、第1のパラメータセットが適用条件を満たさなくなったと判定してもよい。
【0111】
UE100は、第1のパラメータセットが適用条件を満たさなくなったとの判定に応じて、第2のパラメータセットを適用すると決定してもよい。この場合に、UE100は、ステップS250の処理を実行してもよい。
【0112】
ステップS250において、UE100は、第2のパラメータセット(Second Inactive parameter set)を適用する。
【0113】
UE100は、第2のパラメータセットに対応付けられたタイマを起動してもよい。UE100は、第2のパラメータセットに対応付けられたタイマが満了したことに応じて、第2のパラメータセットが適用条件を満たさなくなったと判定してもよい。UE100は、複数のインアクティブパラメータセットのうち適用条件満たすパラメータセットが存在しない場合、インアクティブパラメータセットをBS200から取得してもよい。BS200は、例えば、インアクティブパラメータセットを含むSIBをブロードキャスト(送信)してもよい。UE100は、インアクティブパラメータセットを取得するために、(不足している)システム情報の要求をBS200に送信してもよい。UE100は、取得したインアクティブパラメータを適用してもよい。
【0114】
以上のように、BS200は、複数のインアクティブパラメータセットを含むメッセージを送信できる。これにより、BS200は、RRCインアクティブ状態であるUE100に対してRRCアイドル状態へ遷移させなくても、柔軟な制御を実行可能である。
【0115】
(動作例3)
動作例3について、図9を用いて説明する。図9は、動作例3を説明するためのシーケンス図である。
【0116】
動作例3では、UE100は、インアクティブパラメータセットをRRCアイドル状態でも適用するか否かを判定する。
【0117】
ステップS310において、BS200は、RRC接続状態からRRCインアクティブ状態へUE100を遷移させるためのメッセージを送信する。UE100は、メッセージをBS200から受信する。
【0118】
メッセージは、インアクティブパラメータセットを含む。メッセージは、当該メッセージに含まれるインアクティブパラメータセットをRRCアイドル状態でも適用するか否かをUE100が判定するための判定情報を含んでいてもよい。メッセージは、判定情報を含まなくてもよい。
【0119】
判定情報は、RRCアイドル状態においてインアクティブパラメータセットを適用することを示してもよい。判定情報は、RRCアイドル状態においてインアクティブパラメータセットを適用しないことを示してもよい。
【0120】
判定情報は、識別子であってもよい。UE100は、識別子が第1の値(例えば、「1」)を示す場合に、RRCアイドル状態においてインアクティブパラメータセットを適用することを示してもよい。UE100は、識別子が第2の値(例えば、「0」)を示す場合に、RRCアイドル状態においてインアクティブパラメータセットを適用しないことを示してもよい。第1の値と第2の値とは逆であってもよい(第1の値が「0」であり、第2の値が「1」である)。UE100は、メッセージに識別子が含まれない場合に、暗示的に「0」が設定されていると判定してもよい。
【0121】
メッセージは、判定情報の有効期限を計測するためのタイマ値を含んでいてもよい。タイマ値により判定情報が暗示的に通知されてもよい。すなわち、判定情報がタイマ値であってもよい。例えば、UE100は、判定情報がタイマ値である場合、RRCアイドル状態においてインアクティブパラメータセットを適用すると判定してもよい。
【0122】
ステップS320からS340は、ステップS120からS140に対応する。
【0123】
UE100は、判定情報の有効期限を計測するためのタイマを起動してもよい。UE100は、ステップS310に含まれるタイマ値を当該タイマに適用してもよい。UE100は、BS200から取得したSIBに含まれるタイマ値を当該タイマに適用してもよい。
【0124】
ステップS350において、UE100は、インアクティブパラメータセットをRRCアイドル状態でも適用するか否かを判定する。
【0125】
UE100は、判定情報に従って、インアクティブパラメータセットをRRCアイドル状態でも適用するか否かを判定してもよい。
【0126】
UE100は、判定情報がRRCアイドル状態においてインアクティブパラメータセットを適用することを示すことに応じて、RRCアイドル状態においてインアクティブパラメータセットを適用すると判定してもよい。UE100は、判定情報がRRCアイドル状態においてインアクティブパラメータセットを適用しないことを示すことに応じて、RRCアイドル状態においてインアクティブパラメータセットを適用しないと判定してもよい。
【0127】
UE100は、判定情報の有効期限を計測するためのタイマが起動中であることに応じて判定情報に従って判定してもよい。UE100は、タイマが満了したことに応じて判定情報に従わずに判定してもよい。
【0128】
BS100は、RRCアイドル状態においてインアクティブパラメータセットを適用することを示す判定情報のみをメッセージに含めてもよい。この場合、UE100は、メッセージが判定情報を含まないことに応じて、インアクティブパラメータセットを適用しないと判定してもよい。BS100は、RRCアイドル状態においてインアクティブパラメータセットを適用しないことを示す判定情報のみをメッセージに含めてもよい。この場合、UE100は、メッセージが判定情報を含まないことに応じて、インアクティブパラメータセットを適用すると判定してもよい。
【0129】
ステップS360は、ステップS150に対応する。UE100は、RRCアイドル状態においてインアクティブパラメータセットを適用しないと判定したことに応じて、ステップS360の処理を実行してもよい。UE100は、例えば、動作例1のように、ステップS310のメッセージがアイドルパラメータセットを含む場合には、インアクティブパラメータセットを適用しないと判定したとしても、ステップS360の処理を省略してもよい。
【0130】
ステップS370は、ステップS160に対応する。
【0131】
ステップS380において、UE100は、ステップS350における判定結果に応じて、インアクティブパラメータセット又はアイドルパラメータセットを適用できる。UE100は、インアクティブパラメータセットを適用している場合には、当該適用を継続してもよい。UE100は、インアクティブパラメータセットを適用しない場合には、アイドルパラメータセットを適用できる。
【0132】
以上のように、UE100は、インアクティブパラメータセットをアイドル状態でも適用するか否かを判定できる。これにより、BS200は、アイドルパラメータセットをメッセージに含めなくても、UE100へ(個別に)適用可能なアイドルパラメータセットを通知することができる。
【0133】
(動作例4)
動作例4について、図10を用いて説明する。図10は、動作例4を説明するためのシーケンス図である。
【0134】
動作例4では、BS200が、RRCインアクティブ状態である複数のUE100に対して、RRCインアクティブ状態からRRCアイドル状態へと遷移させるための遷移情報を送信する。
【0135】
図10の動作の初期状態において、複数のUE100は、RRCインアクティブ状態である。以下において、複数のUE100のそれぞれの動作は同様であるため、1のUE100を例に挙げて説明する。
【0136】
ステップS410において、BS200は、遷移情報を送信する。UE100は、遷移情報をBS200から受信する。
【0137】
BS200は、RRCインアクティブ状態である複数のUE100に対して、ブロードキャストにより遷移情報を送信してもよい。BS200は、SIB又はページングメッセージの少なくとも一方により遷移情報を送信してもよい。
【0138】
BS200は、BS200が管理する複数のUE100のうちのRRCインアクティブ状態である全てのUE100をRRCアイドル状態へ(一斉に)遷移させるために、遷移情報を送信してもよい。
【0139】
BS200は、RRCインアクティブ状態である全てのUE100のうち、一部のUE100をRRCアイドル状態へ遷移させるために、少なくとも以下のいずれかの方法を用いてもよい。
【0140】
第1に、BS200は、RRCインアクティブ状態である全てのUE100のうちのUE100が遷移情報を受信できるタイミングで、遷移情報を送信できる。
【0141】
例えば、BS200は、間欠受信(DRX(discontinuous reception)又はeDRX(extended DRX))を実行しているUE100がページングメッセージをモニタする期間を知っている。このため、BS200は、一部のUE100がページングメッセージをモニタする期間において、遷移情報を含むページングメッセージを送信してもよい。これにより、RRCインアクティブ状態であるUE100のうち、当該期間において、ページングメッセージをモニタしないUE100は遷移情報を受信しない。従って、BS200は、一部のUE100のみをRRCインアクティブ状態からRRCアイドル状態へと遷移させることができる。
【0142】
BS200は、遷移情報を含むページングメッセージを送信した期間においてページングメッセージをモニタするUE100を特定できるため、RRCアイドル状態へと遷移したUE100を把握することもできる。
【0143】
遷移情報は、RRCメッセージ上での識別子(例えば、「true」)であってもよい。遷移情報は、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)を用いて送信されるDCI(Downlink Control Information)内のビット(Direct Indication)であってもよい。PDCCHは、EPDCCH(Enhanced Physical Downlink Control Channel)、MPDCCH(MTC Physical Downlink Control Channel)、NPDCCH(Narrowband Physical Downlink Control Channel)の少なくともいずれかであってもよい。
【0144】
第2に、BS200は、前記RRCアイドル状態へ遷移させる一部の無線端末を識別するための識別情報と共に遷移情報を送信できる。BS200は、一部の無線端末の識別子のリストを遷移情報と共に送信してもよい。BS200は、ページングメッセージ内のページングレコードに遷移情報を含めてもよい。ページングレコード内には、UE識別子(PagingUE−Identity)が含まれるため、ページングメッセージを受信したUE100は、RRCアイドル状態へ遷移すべきか否かを判断できる。
【0145】
第3に、BS200は、前記RRCアイドル状態へ遷移させる一部の無線端末を特定するための条件に用いられる情報を含む遷移情報を送信してもよい。BS200は、例えば、以下に示される条件に代入される「X」(及び「Y」)を前記情報として遷移情報に含めてもよい。BS200は、以下の所定値を前記情報として遷移情報に含めてもよい。所定値は、予め規定されていてもよい。所定値は、UE100に予め設定されていてもよい(Pre−configuration)。
【0146】
UE100は、当該情報を用いて、条件に当てはまるか否かを判定できる。例えば、UE100は、条件(例えば、「(UEの識別情報 mod 所定値(例えば、100))≦X」又は「Y≦(UEの識別情報 mod 所定値)<X」)を満たすか否かを判定する。UE100は、条件を満たす場合に、RRCアイドル状態へ遷移すると判定してもよい。例えば、UE100は、UEの識別情報 mod 所定値がX以下である場合に、RRCアイドル状態へ遷移すると判定してもよい。UE100は、UEの識別情報 mod 所定値がY以上かつX以下である場合に、RRCアイドル状態へ遷移すると判定してもよい。
【0147】
UEの識別情報は、BS200がUE100を識別するための識別情報であってもよい。識別情報は、RRCインアクティブ状態のためのコンテキスト(UEコンテキスト)を識別するために用いられる固有の識別子(I−RNTI(Radio Network Temporary Identifier))であってもよい。識別情報は、RRC接続再開手順のために用いられる固有の識別子(Resume ID)であってもよい。UEの識別情報は、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)であってもよい。
【0148】
ステップS420において、UE100は、遷移情報に従ってRRCアイドル状態へ遷移することに応じて、RRCアイドル状態へ遷移することを示す情報をBS200へ通知してもよい。UE100は、RRCアイドル状態へ遷移する前に、当該情報を送信してもよい。
【0149】
UE100は、RRCアイドル状態へ遷移した後に、当該情報を送信してもよい。UE100は、ランダムアクセス手順において、当該情報を送信してもよい。例えば、UE100は、BS200によりスケジュールされた送信であるメッセージ3(Schedule Transmission)に当該情報を含めてもよい。UE100は、固有のランダムアクセスプレアンブルを用いてメッセージ1を送信してもよい。BS200は、固有のランダムアクセスプレアンブルを設定するための情報を遷移情報に含めてもよい。これにより、BS200は、メッセージ1の送信元のUEを把握できる。
【0150】
当該情報は、BS200がUE100を識別するための識別情報であってもよいし、当該識別情報を含んでもよい。
【0151】
ステップS430は、ステップS160に対応する。
【0152】
以上のように、BS200は、RRCインアクティブ状態からRRCアイドル状態へと遷移させるための遷移情報を送信できる。
【0153】
RRCインアクティブ状態である場合、ネットワークは、コンテキスト(UEコンテキスト)及び接続を保持している。ネットワーク(BS200、AMF、UPFなど)側の負荷又はネットワーク側のリセット動作により、RRCインアクティブ状態のUE100をRRCアイドル状態へ遷移させることが想定される。この場合に、RRCインアクティブ状態のUE100をRRC接続へ遷移させてから、RRCアイドル状態へ遷移させると、ネットワークの負荷が大きいことがある。また、UE100がRRCアイドル状態へ遷移するまでに時間がかかるおそれがある。
【0154】
動作例4では、BS200が、RRCインアクティブ状態からRRCアイドル状態へと遷移させるための遷移情報を送信できるため、RRCインアクティブ状態のUE100をRRC接続へ遷移させることなく、RRCアイドル状態へ遷移することができる。このため、UE100とBS200との間のシグナリングを低減することができる。特に、RRCインアクティブ状態である複数のUE100(全てのUE100)をRRCアイドル状態へ遷移させる場合には、BS200の負荷を低減することができる。
【0155】
(動作例5)
動作例5について、図11を用いて説明する。図11は、動作例5を説明するためのシーケンス図である。
【0156】
動作例5では、BS200が、BS200における遷移情報の送信を示す所定情報をBS200に隣接する隣接基地局であるBS201へ送る。BS200は、遷移情報を送信した後に、所定情報をBS201へ送る。
【0157】
隣接基地局は、例えば、NG−RANにより構成されたエリア内に含まれる基地局であってもよい。隣接基地局は、BS200と所定のインターフェイス(例えば、X2インターフェイス)を介して接続されている基地局であってもよい。
【0158】
ステップS510は、ステップS410に対応する。UE100の動作は、動作例4と同様であるため、省略する。
【0159】
ステップS520において、BS200は、所定情報をBS201へ送る。BS201は、所定情報をBS201から受信する。
【0160】
所定情報は、BS200における遷移情報の送信を示す。BS200において遷移情報を(既に)送信したことを示してもよい。所定情報は、BS200においてRRCインアクティブ状態のUE100の解放を示す情報であってもよい。所定情報は、BS200においてRRCインアクティブ状態のUE100を(既に)解放したことを示す情報であってもよい。所定情報は、BS200に対するUE100のコンテキストを要求するメッセージの送信(Context Fetch)を止めさせるための情報であってもよい。
【0161】
所定情報は、RRCアイドル状態へ遷移するUE100を識別するための識別情報を含んでもよい。識別情報は、ネットワーク(例えば、BS200)により割り当てられた識別子(I−RNTI、Resume IDなど)であってもよい。識別情報は、遷移情報が送信されるページング機会を示す情報であってもよい。
【0162】
BS201は、遷移情報の受信に応じて、BS200において遷移情報が送信されたことを把握できる。従って、BS201は、RRCインアクティブ状態のUE100のコンテキストをBS200が保持(記憶)していないことを把握することができる。このため、BS201は、RRCインアクティブ状態からRRC接続を確立するための要求をUE100から受信しても、BS200へUE100のコンテキストを要求せずにすむ。これにより、BS間でのシグナリングを低減することができる。
【0163】
ステップS530において、BS201は、BS201が管理するセルにおいて、遷移情報を送信してもよい。BS201は、識別情報により識別される複数のUE100に対して、遷移情報を送信してもよい。これにより、UE100は、BS200から遷移情報を受信する前にBS201が管理するセルへ移動していたとしても、UE100は、BS201においてコンテキスト及び接続が解放されていることを知ることができる。
【0164】
その結果、UE100は、RRCインアクティブ状態からRRC接続状態へ遷移するための要求を送信せずにすむため、不必要なシグナリングを低減することができる。
【0165】
また、BS200がUE100へ割り当てていた識別情報(例えば、I−RNTI)と同じ識別情報を他のUEへ割り当てていたケースにおいて、UE100は、BS200が管理するセルへ戻った場合に、UE100へ割り当てられていた識別情報をBS200へ送ることがあり得る。この場合、BS200が、UE100を他のUEと認識する。その結果、BS200は、他のUEへの情報を誤ってUE100へ送ったり、UE100からの情報を他のUEの情報として取り扱ったりする可能性がある(情報の取り違え)。これに対し、動作例5では、UE100は、BS201から遷移情報を受信することにより、RRCインアクティブ状態からRRCアイドル状態へと遷移するため、RRCインアクティブ状態において保持(記憶)すべき情報(例えば、BS200から割り当てられた識別情報)を使用しない。その結果、情報の取り違えが発生することを抑制できる。
【0166】
(動作例6)
動作例6について、図12及び図13を用いて説明する。図12及び図13は、動作例6を説明するためのシーケンス図である。
【0167】
動作例6では、BS200は、遷移情報を送信する前に、所定情報をBS201へ送る。
【0168】
ステップS610は、ステップS520に対応する。所定情報は、動作例5と同様の情報であってもよい。所定情報は、BS200における遷移情報の送信の承認を要求するための情報であってもよい。所定情報は、BS201におけるRRCインアクティブ状態の解放を要求するための情報であってもよい。
【0169】
BS201は、BS200からの要求を承認することに応じてステップS620の処理を実行してもよい。BS201は、BS200からの要求を承認しない(拒否する)ことに応じて、図13のステップS650の処理を実行してもよい。BS200は、例えば、遷移情報の送信をサポートしていない場合に、要求を拒否してもよい。
【0170】
ステップS620において、BS201は、所定情報に対する応答をBS200へ送る。応答は、BS200からの要求を承認するための承認応答(ACKNOWLEDGE)である。承認応答は、BS200からの要求を承認するメッセージであってもよい。応答は、BS200からの要求を承認することを示す情報を含んでいてもよい。
【0171】
ステップS630は、ステップS510に対応する。BS200は、BS201が送信した、BS200からの要求を承認する応答を受信したことに応じて、遷移情報を送信してもよい。
【0172】
ステップS640は、ステップS530に対応する。
【0173】
ステップS650において、BS200は、所定情報に対する応答をBS200へ送る。応答は、BS201が送信した、BS200からの要求を拒否するための拒否応答(NEGATIVE ACKNOWLEDGE)である。拒否応答は、BS200からの要求を拒否するメッセージであってもよい。応答は、BS200からの要求を拒否することを示す情報を含んでいてもよい。応答は、拒否する理由を示す情報を含んでいてもよい。
【0174】
BS200は、拒否応答を受信したことに応じて、遷移情報を送信することを止める。すなわち、BS200は、遷移情報を送信しない。BS201は、拒否応答を送ったことに応じて、遷移情報を送信しない。
【0175】
以上のように、BS200は、隣接するBS210から要求が承認された場合にのみ、遷移情報を送信する。その結果、ネットワーク全体での調和を図ることができるため、動作例5で説明した不具合(例えば、情報の取り違え)を抑制することができる。
【0176】
[その他の実施形態]
上述した実施形態によって、本出願の内容を説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本出願の内容を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0177】
上述の動作例2では、複数のインアクティブパラメータセットを例に挙げて説明したが、上述したように、BS200は、複数のアイドルパラメータセットを送信してもよい。従って、「インアクティブパラメータセット」は、「アイドルパラメータセット」に置き換えられてもよい。加えて、BS200は、複数のインアクティブパラメータセットと複数のアイドルパラメータセットとの両方を含むメッセージを送信してもよい。
【0178】
BS200が複数のアイドルパラメータセットを含むメッセージを送信するケースでは、UE100は、RRCインアクティブ状態への遷移に応じて、最初に適用すべきアイドルパラメータセットに対応付けられたタイマを起動してもよい。UE100は、RRCインアクティブ状態からRRCアイドル状態へ遷移した場合、当該タイマが起動中であることに応じて、タイマに対応付けられたアイドルパラメータセットを適用してもよい。UE100は、当該タイマが満了していることに応じて、タイマに対応付けられたアイドルパラメータセットを適用しなくてもよい。
【0179】
UE100は、RRCインアクティブ状態である場合に、タイマの満了に応じて、タイマに対応付けられたアイドルパラメータセットを破棄(解放)してもよい。UE100は、RRCインアクティブ状態において、タイマの満了に応じて、次に適用すべきアイドルパラメータセットに対応付けられたタイマを起動してもよい。この場合、UE100は、最初に適用すべきアイドルパラメータセットと同様の対応を行ってもよい。
【0180】
上述の動作例4において、UE100は、遷移情報に従ってRRCアイドル状態へ遷移することに応じて、RRCアイドル状態へ遷移することを示す情報をBS200へ通知していた。UE100は、他のUEと共通のリソースを用いて、当該情報をBS200へ通知(送信)してもよい。UE100は、例えば、共通のリソースを用いて、メッセージ1を送信してもよい。BS200は、固有のランダムアクセスプレアンブルをUE毎に設定しなくても、共通リソースにおける受信電力により、RRCインアクティブ状態からRRCアイドル状態へ遷移したUE100のおおよその数を把握することができる。
【0181】
上述の動作例4において、BS200は、RRCインアクティブ状態である複数のUE100に対して、遷移情報を送信していた。BS200は、単一のUE100に対して、遷移情報を送信してもよい。BS200は、1のUE100に対して、個別のメッセージにより遷移情報を送信してもよい。
【0182】
上述の動作例5及び6において、BS200は、隣接基地局として、複数のBSに対して、所定情報を送ってもよい。
【0183】
上述において、UE100がRRCインアクティブ状態であるケースを例に挙げて説明したが、これに限られない。UE100が、ライトコネクション状態である場合も同様に上述の動作が実行されてもよい。ライトコネクション状態は、RRC接続状態の下位状態(substate)である。本明細書において、「RRCインアクティブ」が「ライトコネクション」へと置き換えられてもよい。例えば、LTEシステムでは、「ライトコネクション」が用いられてもよい。5Gシステムでは、「RRCインアクティブ」が用いられてもよい。
【0184】
上述した実施形態において、UE100は、センサモジュール(M2Mデバイス)であってもよい。UE100は、(複数の)センサモジュールを管理する無線通信装置(例えば、IoT GW(Internet of Things GateWay))であってもよい。IoT GWは、IoT GWに管理される(複数の)センサモジュールを代表してネットワークとの通信を実行してもよい。センサモジュールは、ネットワークとの通信を実行する機能を有さなくてもよい。IoT GWに管理されるセンサモジュールは、IoT GWとの通信を実行する機能を有してもよい。
【0185】
上述した実施形態(各動作例)に係る内容は、適宜組み合わせて実行されてもよい。また、上述した各シーケンスにおいて、必ずしも全ての動作が必須の構成ではない。例えば、各シーケンスにおいて、一部の動作のみが実行されてもよい。
【0186】
上述した実施形態では特に触れていないが、上述した各ノード(UE100、BS200、ネットワーク装置300など)のいずれかが行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体であってもよい。
【0187】
UE100及びBS200のいずれかが行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ及びメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサによって構成されるチップが提供されてもよい。
【0188】
上述した実施形態では、移動通信システムの一例として3GPPにより規定されるシステムを説明したが、当該システムに限定されるものではなく、他のシステムに本出願に係る内容を適用してもよい。
【0189】
なお、本願は日本国特許出願第2018−025037号(2018年2月15日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。
図1
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