特許第6940719号(P6940719)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6940719-航空機のための接続測定デバイス 図000003
  • 特許6940719-航空機のための接続測定デバイス 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6940719
(24)【登録日】2021年9月6日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】航空機のための接続測定デバイス
(51)【国際特許分類】
   B64D 45/04 20060101AFI20210916BHJP
   B64D 11/00 20060101ALI20210916BHJP
   B64D 45/00 20060101ALI20210916BHJP
   B64D 47/00 20060101ALI20210916BHJP
【FI】
   B64D45/04 Z
   B64D11/00
   B64D45/00
   B64D47/00
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2021-510784(P2021-510784)
(86)(22)【出願日】2019年8月22日
(65)【公表番号】特表2021-525682(P2021-525682A)
(43)【公表日】2021年9月27日
(86)【国際出願番号】EP2019072513
(87)【国際公開番号】WO2020048788
(87)【国際公開日】20200312
【審査請求日】2021年3月18日
(31)【優先権主張番号】18/57893
(32)【優先日】2018年9月3日
(33)【優先権主張国】FR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521078458
【氏名又は名称】サフラン エレクトロニクス アンド ディフェンス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ファントン,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ティリオン,ルイ−テオフィル
(72)【発明者】
【氏名】ホフ,レミー
(72)【発明者】
【氏名】クチュリエ,エマニュエル
【審査官】 長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/108848(WO,A1)
【文献】 米国特許第6348911(US,B1)
【文献】 国際公開第2017/216119(WO,A1)
【文献】 特開2017−204178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 45/04
B64D 11/00
B64D 45/00
B64D 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機内に設置されることを意図される、モニタリングシステムのための測定デバイス(100)であって、「地上待機中」と呼ばれる第1の動作モード又は「飛行中」と呼ばれる第2の動作モードに従って機能するように適応され、
− 前記航空機の環境の少なくとも1つの物理的パラメータを測定するように適応されたセンサ、
− 低電力広域ネットワーク規格に準拠する無線モジュールであって、前記センサから無線アクセスポイントに発行する測定データを含むメッセージを送信するように適応され、事前に定義された複数の送信電力から選択される送信電力で各メッセージを送信するように適応される無線モジュール、
− 電源、
− 前記無線モジュールと前記電力供給モジュールとの間の遮断を提供するために接続されている、電力供給を管理するためのモジュールであって、前記無線モジュールに供給するためのエネルギー蓄積要素である前記供給を管理するモジュール、
− 前記第1の「地上待機中」動作モードと前記第2の「飛行中」動作モードとの間で前記測定デバイスの前記動作モードを切り替えるように適応される制御モジュール
を含み、
− 前記第1の「地上待機中」動作モードにおいて、
各メッセージの前記送信前に、前記電源によって供給された事前に定義されたエネルギーを前記エネルギー蓄積要素に充填すること、
− 前記第2の「飛行中」動作モードにおいて、
送信される各メッセージについて、前記無線モジュールの送信電力を選択すること、
前記送信電力に従い、前記無線モジュールによる前記メッセージの前記送信に必要なエネルギーを決定すること、
前記メッセージの前記送信前に、決定され、及び前記電源によって供給された前記必要なエネルギーを前記エネルギー蓄積要素に充填すること
を行うように適応される、測定デバイス。
【請求項2】
前記無線モジュールは、拡散率に従ってメッセージを送信するための手段をさらに含み、前記拡散率は、事前に定義された複数の拡散率から選択され、前記測定デバイスは、前記第2の「飛行中」動作モードにおいて、
− 送信される各メッセージについて、前記無線モジュールの送信電力及び拡散率を選択すること、
− 前記選択された送信電力及び前記選択された拡散率に従い、前記無線モジュールによる前記メッセージの前記送信に必要な前記エネルギーを決定すること
を行うように適応されることを特徴とする、請求項1に記載の測定デバイス。
【請求項3】
前記第2の「飛行中」動作モードにおいて、第1の電力での及び第1の拡散率に従った前記無線モジュールによるメッセージの前記送信に続いて、及び前記無線アクセスポイントからの確認応答がない場合、
− 前記メッセージを再送信するために、前記無線モジュールの第2の送信電力及び第2の拡散率を選択するための手段
をさらに含み、前記第2の送信電力及び前記第2の拡散率は、所定のリストのエントリに対応し、前記リストは、前記複数の送信電力及び前記複数の拡散率によって形成された複数の対を含み、各対は、前記対の前記送信電力で、及び前記対の前記拡散率に従ってメッセージを送信するために必要なエネルギーと関連付けられ、前記リストは、各対と関連付けられている、前記メッセージを送信するために必要な前記エネルギーに従って順序付けられ、前記第2の送信電力及び前記第2の拡散率は、前記第1の送信電力及び前記第1の拡散率によって形成された前記対に続く対に対応することを特徴とする、請求項2に記載の測定デバイス。
【請求項4】
前記リストは、所定のエネルギー閾値より高い、メッセージを送信するためのエネルギーを必要とする送信電力及び拡散率によって形成された対を含まないことを特徴とする、請求項3に記載の測定デバイス。
【請求項5】
送信されるメッセージの各サイズと関連付けられたリストを含むことを特徴とする、請求項3又は4に記載の測定デバイス。
【請求項6】
前記電力供給を管理するための前記モジュールは、クーロンメータを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の測定デバイス。
【請求項7】
航空機のモニタリングシステムであって、
− 請求項1〜6のいずれか一項に記載の複数の測定デバイス、
− 前記航空機の機器のアイテムに接続される無線アクセスポイント
を含むモニタリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、航空機のためのモニタリングシステムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術
2017年9月6日に出願された仏国特許出願公開第17 58213号は、航空機のためのモニタリングシステムを開示しており、このモニタリングシステムは、航空機内に設置されている、低電力広域ネットワーク(又はLPWAN)規格に準拠する測定デバイス及び受信端末を含む。このネットワークは、例えば、LoRa Alliance(https://lora-alliance.org/を参照されたい)によって定義されるようないわゆるLoRaWANネットワークである。開示される各測定デバイスは、
− 航空機の少なくとも1つのパラメータを測定するように構成されたセンサ、
− 低電力広域ネットワーク規格に準拠するアンテナ及び同規格に準拠する送信機、
− 測定デバイスに供給する自己完結型電源、
− 電源と送信機との間に接続された主要な遮断モジュール、
− 送信機の動作パラメータをモニタし、且つ動作パラメータに従って遮断モジュールを選択的に開閉するように構成された管理モジュール
を含む。
【0003】
従って、各測定デバイスは、問題が生じた場合、その送信機の電力供給を物理的に遮断することができ、それにより、送信機が、RTCA DO−160の第21章などの航空規格に従わない電波エネルギーを放出するような状況下にならないことが保証される。
【0004】
この特許出願は、測定デバイスが、航空機が移動している段階(タキシング段階、離陸、上昇、巡航、降下、着陸及び最終的なタキシング)に全般的に対応する第1の動作モードと、航空機が不動状態である段階(又は駐機段階)に対応する第2の動作モードとの2つの動作モードを含むことを開示する。測定デバイスは、測定デバイスが設置された航空機が位置する飛行段階を検出するための手段(例えば、加速度計及び/又はジャイロスコープ)を含む。本明細書によれば、測定デバイスによる無線信号の送信は、測定デバイスが第1の動作モードにある際、すなわち航空機が飛行中又は移動中である際に解除される。従って、明らかに、この第1の動作モードでは、各測定デバイスは、無線信号を送信する立場にないため、無線障害規格を順守している。
【0005】
しかし、引用されている文献によって開示されるシステムは、測定デバイスのセンサによって測定されたデータを収集することができるように、航空機が不動状態である段階(すなわち測定デバイスの第2の動作モード)になるまで待つ必要がある。これは、例えば、測定デバイスが冷蔵コンテナの温度などの物理的パラメータをモニタし、この温度がある一定の閾値を超えたときに警報することが可能であるべきである場合、特に問題となる:デバイスは、航空機が滑走路上で不動状態になるとき以外、警報を送信する立場にない。これにより、飛行中のコンテナにおける温度問題が起こった後に知ることができるが、問題に対処して解決するには遅すぎる。従って、飛行段階中に測定されたデータを収集できることが望ましいが、同時に測定デバイスの電気消費量ができる限り低いことを保証する必要もあり、飛行段階において測定デバイスの電源の充電又は再充電を実行する可能性は、存在しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の開示
本発明は、航空機内に設置されることを意図される、モニタリングシステムのための測定デバイスであって、「地上待機中」と呼ばれる第1の動作モード又は「飛行中」と呼ばれる第2の動作モードに従って機能するように適応される測定デバイスに関する。測定デバイスは、
− 航空機の環境の少なくとも1つの物理的パラメータを測定するように適応されたセンサ、
− 低電力広域ネットワーク規格に準拠する無線モジュールであって、センサから無線アクセスポイントに発行する測定データを含むメッセージを送信するように適応され、事前に定義された複数の送信電力から選択される送信電力で各メッセージを送信するように適応される無線モジュール、
− 電源、
− 無線モジュールと電力供給モジュールとの間の遮断を提供するために接続されている、電力供給を管理するためのモジュールであって、無線モジュールに供給するためのエネルギー蓄積要素である供給を管理するモジュール、
− 第1のいわゆる「地上待機中」動作モードと第2のいわゆる「飛行中」動作モードとの間で測定デバイスの動作モードを切り替えるように適応される制御モジュール
を含む。
【0007】
前記測定デバイスは、
− 第1のいわゆる「地上待機中」動作モードにおいて、
各メッセージの送信前に、電源によって供給された事前に定義されたエネルギーをエネルギー蓄積要素に充填すること、
− 第2のいわゆる「飛行中」動作モードにおいて、
送信される各メッセージについて、無線モジュールの送信電力を選択すること、
この送信電力に従い、無線モジュールによるメッセージの送信に必要なエネルギーを決定すること、
メッセージの送信前に、決定され且つ電源によって供給された必要なエネルギーをエネルギー蓄積要素に充填すること
を行うように適応される。
【0008】
本発明の相補的な実施形態によれば、無線モジュールは、拡散率に従ってメッセージを送信するようにさらに適応され、拡散率は、事前に定義された複数の拡散率から選択され、測定デバイスは、第2のいわゆる「飛行中」動作モードにおいて、
− 送信される各メッセージについて、無線モジュールの送信電力及び拡散率を選択すること、
− 選択された送信電力及び選択された拡散率に従い、無線モジュールによるメッセージの送信に必要なエネルギーを決定すること
を行うように適応される。
【0009】
本発明の相補的な実施形態によれば、測定デバイスは、第2のいわゆる「飛行中」動作モードにおいて、第1の電力での及び第1の拡散率に従った無線モジュールによるメッセージの送信に続いて、且つ無線アクセスポイントからの確認応答がない場合、
− メッセージを再送信するために、無線モジュールの第2の送信電力及び第2の拡散率を選択すること
を行うように適応され、第2の送信電力及び第2の拡散率は、所定のリストのエントリに対応し、リストは、複数の送信電力及び複数の拡散率によって形成された複数の対を含み、各対は、対の送信電力で且つ対の拡散率に従ってメッセージを送信するために必要なエネルギーと関連付けられ、リストは、各対と関連付けられている、メッセージを送信するために必要なエネルギーに従って順序付けられ、第2の送信電力及び第2の拡散率は、第1の送信電力及び第1の拡散率によって形成された対に続く対に対応する。
【0010】
本発明の相補的な実施形態によれば、リストは、所定のエネルギー閾値より高い、メッセージを送信するためのエネルギーを必要とする送信電力及び拡散率によって形成された対を含まない。
【0011】
本発明の相補的な実施形態によれば、リストは、送信されるメッセージの各サイズと関連付けられる。
【0012】
本発明の相補的な実施形態によれば、電力供給を管理するためのモジュールは、クーロンメータを含む。
【0013】
また、本発明は、航空機のモニタリングシステムであって、
− 先行する請求項のいずれか一項に記載の複数の測定デバイス、
− 航空機の機器のアイテムに接続される無線アクセスポイント
を含むシステムにも関する。
【0014】
図面の簡単な説明
上記で述べられる本発明の特徴及び他の特徴は、例示的な実施形態の以下の説明を読み進めることでより明確に明らかになるであろう。前記説明は、添付の図面に関連して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態による、測定デバイスのハードウェアアーキテクチャを概略的に示す。
図2】本発明の一実施形態による、測定デバイスによってメッセージを送信するための方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施形態の詳細な開示
図1は、本発明の一実施形態による、測定デバイス100のハードウェアアーキテクチャを概略的に示す。
【0017】
測定デバイス100は、航空機内に設置されたモニタリングシステムにおいて統合されることが意図される。測定デバイス100は、「地上待機中」と呼ばれる第1の動作モード又は「飛行中」と呼ばれる第2の動作モードに従って機能するように適応される。第1の動作モードは、航空機が移動している段階(タキシング、離陸、上昇、巡航、降下、着陸及び最終的なタキシング段階)に対応する。第2の動作モードは、航空機が不動状態である段階(又は駐機段階)に対応する。
【0018】
測定デバイス100は、
− 航空機の環境の物理的パラメータを測定するように適応される1つ又は複数のセンサ110、111、
− 低電力広域ネットワーク規格に準拠する無線モジュール104であって、センサ110、111の1つから無線アクセスポイントに発行する測定データを含むメッセージを送信するように適応され、事前に定義された複数の送信電力から選択される送信電力で各メッセージを送信するように適応される無線モジュール104、
− 電源102、
− 無線モジュール104と電力供給モジュール102との間の遮断として接続されている、電力供給を管理するためのモジュール103であって、無線モジュールに供給するためのエネルギー蓄積要素を含む電力供給管理モジュール103、
− 「地上待機中」として知られている第1の動作モードと、「飛行中」として知られている第2の動作モードとの間で測定デバイスの動作モードを切り替えるように適応される制御モジュール101
を含む。
【0019】
制御モジュール101は、検出手段120を含むか又は検出手段120に接続され得、これらの検出手段は、航空機が飛行中であるか又は地上で不動状態であるかを検出するように適応される。これらの検出手段120は、典型的には、ジャイロスコープ及び/又は加速度計を含む。
【0020】
電力供給管理モジュール103は、制御された量の電気エネルギーのみが無線モジュール104に供給されることを保証できるようにする。本発明の一実施形態によれば、電力供給を管理するためのモジュール103は、電気コンデンサを含む。このコンデンサには、可変量の電気エネルギーを充填することができ、この可変量の電気エネルギーは、例えば、制御モジュール101によって決定され、且つ電源によって供給される。コンデンサに蓄積できるエネルギーの最大量、すなわちコンデンサの最大静電容量は、無線障害規格に準拠させるために、無線モジュール104がある一定の電波エネルギーより多くのエネルギーを放出しないように選択することができる。
【0021】
本発明の相補的な実施形態によれば、電力供給管理モジュール103は、無線モジュール104に送信された電気エネルギーを測定するために、いわゆるクーロンメータを含み得る。従って、電力供給管理モジュールは、事前に定義されたエネルギー量又は制御モジュール101によって定義されたエネルギー量が、メッセージを送信するための無線モジュール104に送信されると直ちに無線モジュールの電力供給を遮断することができる。
【0022】
従って、測定デバイス100は、「地上待機中」として知られている第1の動作モードにおいて、
各メッセージの送信前に、事前に定義されたエネルギーをエネルギー蓄積要素に充填すること
を行うように適応される。
【0023】
従って、測定デバイス100は、無線モジュール104を介してメッセージを送信することができ、電力供給を管理するためのモジュール103は、無線モジュール104の機能に固有のエネルギー損失を法として、蓄積要素に蓄積されたエネルギーに対応する最大承認エネルギーより多くのエネルギーを無線モジュールが送信できないことを保証する。
【0024】
同様に、測定デバイス100は、「飛行中」として知られている第2の動作モードにおいて、
送信される各メッセージについて、無線モジュールの送信電力を選択すること、
この送信電力に従い、無線モジュールによるメッセージの送信に必要なエネルギーを決定すること、
メッセージの送信前に、決定された必要なエネルギーをエネルギー蓄積要素に充填すること
を行うように適応される。
【0025】
測定デバイス100が第2のいわゆる「飛行中」動作モードである際、可能な限り低い送信電力でメッセージを送信することから開始することが望ましい。送信されたメッセージがアクセスポイントによって受信されなかった場合(メッセージの送信に続いて、測定デバイス100がアクセスポイントからいかなる確認メッセージも受信しなかった場合と推測することができる)、確認が最終的に受信される瞬間まで無線モジュール104の送信電力が徐々に増加される。次いで、将来的なメッセージのために送信電力を保持することができる。無線モジュール104が最小電力で送信していることを保証するため、増加した送信電力でメッセージを送信するこのシーケンスを周期的に繰り返すことができる。
【0026】
一実施形態によれば、測定デバイス100は、無線モジュールが電波スペクトル拡散率に従ってメッセージを送信するようにも適応されることを特徴とする。この「拡散」技術は、コードの使用による広周波数スペクトルにわたる無線信号の拡散を可能にする。これは、例えば、LoRa Allianceによって開発されたいわゆる「LoRa」無線技術を用いる事例である。拡散率は、事前に定義された複数の拡散率から選択することができる。
【0027】
次いで、測定デバイス100は、第2のいわゆる「飛行中」動作モードで機能している際、
− 送信される各メッセージについて、無線モジュールの送信電力及び拡散率を選択すること、
− 選択された送信電力及び選択された拡散率に従い、無線モジュールによるメッセージの送信に必要なエネルギーを決定すること
を行うように適応される。
【0028】
無線モジュール104によって送信される無線信号の送信電力と、この送信に使用される拡散率と、この送信に必要な電気エネルギー(ここではnA.h単位)との間の関係は、以下の表によって示されるように些細ではない。
【0029】
【表1】
【0030】
この表は、送信電力及び拡散率からなる所定の対について、所定のサイズのメッセージの送信に必要なエネルギーを提供し、メッセージのサイズは、メッセージのペイロードに特に依存する。この表は、所定のメッセージサイズに関する例であり、異なるメッセージサイズについて別の表を決定しなければならないことに留意すべきである。
【0031】
この表は、無線モジュール104の事前の構成段階において、無線モジュール104によって潜在的に送信されるメッセージの各サイズについて決定しなければならない。
【0032】
この表は、少数の測定値から生成することができ、次いで他のデータを計算することができる。
【0033】
この表は、送信電力と拡散率との対を含む、異なるが、均等なリストの形態で提示することができ、各対は、事前に定義されたサイズのメッセージの送信に必要なエネルギーと関連付けられる。
【0034】
このリストは、有利には、必要最低限のエネルギーから最高エネルギーに順序付けされる。
【0035】
例えば、リストは、ここで、0.061nA.hのエネルギーと関連付けられた対(P=−3dBm;SF=7)から開始することができる。リストの最後の要素は、57.471nA.hの必要なエネルギーと関連付けられた対(P=14dBm;SF=12)である(Pは、送信電力を表し、SFは、拡散率を表す)。
【0036】
等しい送信電力の場合、高い拡散率(例えば、SF=12)でのメッセージの送信は、利用可能な帯域幅を低減し(SF=7の5470ビット/sと比べて、ここでは290ビット/s)、従ってより長い時間にわたる送信が必要になり、それにより、より高いエネルギーが必要であることが説明されることに留意すべきである。他方では、メッセージの送信範囲は、より広くなる。
【0037】
表 − 又は順序付きリスト − が生成された時点において、測定デバイス100は、必要なエネルギーの低い方から順に対(送信電力;拡散率)を選択し、確認の受信を可能にする対が見つかるまで各対をテストすることができる。従って、この対は、送信中に消費された最小エネルギーで送信されたメッセージの良好な受信を可能にするものである。従って、測定デバイス100の電気消費量は、最小限である。次いで、電源102は、長寿命のために確保される。
【0038】
従って、第2のいわゆる「飛行中」動作モードにおける際、測定デバイス100は、第1の電力での及び第1の拡散率に従った無線モジュールによるメッセージの送信に続いて、無線アクセスポイントからの確認応答がない場合、
− メッセージを再送信するために、無線モジュールの第2の送信電力及び第2の拡散率を選択すること
を行うように適応される。
【0039】
第2の送信電力及び第2の拡散率は、所定のリスト(又は表)のエントリに対応し、リストは、複数の送信電力及び複数の拡散率によって形成された複数の対を含み、各対は、対の送信電力で且つ対の拡散率に従ってメッセージを送信するために必要なエネルギーと関連付けられ、リストは、各対と関連付けられている、メッセージを送信するために必要なエネルギーに従って順序付けられ、第2の送信電力及び第2の拡散率は、第1の送信電力及び第1の拡散率によって形成された対に続く対に対応する。
【0040】
リストは、送信されるメッセージの各サイズと関連付けられる。各リストは、測定デバイス100の構成段階中に生成又は事前決定される。
【0041】
本発明の相補的な実施形態によれば、リストは、所定のエネルギー閾値より高い、メッセージを送信するためのエネルギーを必要とする送信電力及び拡散率によって形成された対を含まない。換言すれば、過度の電気エネルギーの消費及び/又は所定の電波エネルギーを超える無線信号の送信をもたらすことになる送信電力と拡散率との対の使用を控えることが可能である。
【0042】
図2は、本発明の一実施形態による、測定デバイス100によってメッセージを送信するための方法を概略的に示す。
【0043】
第1のステップ201では、測定デバイス100は、メッセージが送信されることを決定する。メッセージは、センサ101、111の1つによって行われた測定から発行するデータを含み得る。メッセージを送信する必要性は、センサ110、111の1つの測定値の1つが閾値を超えることによってトリガされ得るか、又は周期的にトリガされ得る。
【0044】
後続のステップ202では、測定デバイス100は、その動作モードを決定する。この動作モードは、場合により、ジャイロスコープ及び/又は加速度計を含み得る検出手段120から発行するデータに従い、制御モジュール101によって決定される。動作モードは、いわゆる「フラグ」メモリの状態に対応し得、このメモリは、周期的に又は検出手段120からのデータに従って要求に応じて更新される。
【0045】
測定デバイス100が、航空機が地上待機中である(地上で不動状態であるか又は駐機中である)ことに対応する第1の動作モードであると決定した場合、測定デバイス100は、ステップ210に移る。
【0046】
測定デバイス100が、航空機が飛行中であることに対応する第2の動作モードであると決定した場合、測定デバイス100は、ステップ220に移る。本発明の一実施形態によれば、動作モードを決定することができない場合、測定デバイスは、第2の動作モードであると見なすことに留意すべきである。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、第1の動作モードでは、ステップ210に続いて、測定デバイス100は、ステップ211において、所定のエネルギーを電力供給管理モジュール103の電気エネルギー蓄積要素に充填する。この所定のエネルギーは、無線モジュール104がそのメッセージ送信において超えてはならない最大送信エネルギーに対応する。
【0048】
後続のステップ212では、無線モジュール104は、メッセージを送信することができ、電力供給管理モジュール103によって提供されたエネルギーは、無線モジュール104が、この送信において、例えば規格によって定義された最大エネルギーを超えられないことを保証する。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、第2の動作モードでは、ステップ220に続いて、測定デバイス100は、ステップ221において、メッセージのための送信パラメータを決定する。これらの送信パラメータは、例えば、送信電力及び拡散率を含む。これらのパラメータは、表又は順序付きリストで見つけることができ、表又は順序付きリストは、例えば、各対について定義されたパラメータに従って送信に必要なエネルギーに従って順序付けされた対(送信電力;拡散率)を含む。典型的には、測定デバイスは、第1のステップ221において、順序付きリストの必要な最小エネルギーに対応する第1の要素を選択する。
【0050】
後続のステップ222では、測定デバイス100は、以前に決定されたパラメータでのメッセージの送信に必要なエネルギーを決定する。この必要なエネルギーは、リスト内の各対と関連付けて定義することができ、従ってこの場合にも容易に見つけることができる。代わりに、測定デバイス100は、メッセージの送信中のエネルギー損失を考慮するために補正係数を適用することができる。
【0051】
後続のステップ223では、測定デバイス100は、以前に決定されたエネルギーより多くの電気エネルギーを無線モジュール104に供給できないように電力供給管理モジュール103を構成する。本発明の一実施形態によれば、測定デバイス100は、以前に決定された必要なエネルギーを電気エネルギー蓄積要素に充填する。この蓄積要素は、例えば、コンデンサである。相補的な実施形態によれば、測定デバイス100は、無線モジュール104に送信された閾値エネルギー値を超えると直ちに無線モジュール104への電力供給が遮断されるように、− 電力供給を管理するためのモジュール103に含まれる − クーロンタイプのメータを構成する。
【0052】
後続のステップ224では、無線モジュール104は、メッセージを送信する。無線モジュール104は、送信された最大エネルギー値を超えることができず、この制御は、ステップ223中に電力供給管理モジュール103によって構成された必要なエネルギーに従って行われる。
【0053】
後続のステップ225では、場合により所定の待ち時間後、測定デバイス100は、送信されたメッセージの良好な受信を示す確認が受信されたかどうかをチェックする。
【0054】
メッセージが実際に確認された場合(ステップ201又は測定デバイスが第2の動作モードにとどまる限りステップ220に戻る)、メッセージは、次のメッセージが送信されるまで停止した状態である。次いで、場合により、送信と拡散率との対がメモリに保持される。同じサイズの送信される新しいメッセージについて実行される新しいステップ221中、測定デバイスは、有利には、メモリに保持されたこれらのパラメータを使用することができる。これにより、最終的にメッセージの良好な受信を可能にしない複数のパラメータのテスト段階の再開を回避することができる。逆に、選択されたパラメータが、実際に必要なエネルギーの観点から最も経済的であるという有効性を周期的に実証することは、有益であり得る。従って、有効時間は、ステップ225中の確認の受信に続いて、ステップ221中に決定され、且つメッセージの送信に使用されたパラメータと関連付けることができる。
【0055】
メッセージが確認されなかった場合、測定デバイス100は、表又は順序付きリストにおいて以下のパラメータ又は(送信電力;拡散率)対、すなわちより大きいエネルギーを必要とするものを選択することにより、ステップ221を再開することができる。従って、確認が受信される瞬間まで、必要なエネルギーを毎回増加させながら方法が繰り返される。従って、無線モジュール104、従って測定デバイス100の最小電力消費量を保証する送信電力及び拡散率パラメータを決定することができる。
図1
図2