特許第6940875号(P6940875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6940875
(24)【登録日】2021年9月7日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】透明シートの製造方法及び透明シート
(51)【国際特許分類】
   B32B 17/04 20060101AFI20210916BHJP
   B32B 37/02 20060101ALI20210916BHJP
   A62C 2/06 20060101ALI20210916BHJP
【FI】
   B32B17/04 Z
   B32B37/02
   A62C2/06 505
【請求項の数】5
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-114683(P2018-114683)
(22)【出願日】2018年6月15日
(62)【分割の表示】特願2017-232435(P2017-232435)の分割
【原出願日】2017年12月4日
(65)【公開番号】特開2019-98738(P2019-98738A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(72)【発明者】
【氏名】武内 信貴
(72)【発明者】
【氏名】堀越 裕樹
【審査官】 増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5634591(JP,B1)
【文献】 特開2013−006328(JP,A)
【文献】 特開2014−201007(JP,A)
【文献】 特開2001−269954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
A62C 2/06
B29C 43/00−43/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、第1樹脂フィルムと、ガラス繊維布帛が硬化樹脂組成物中に配置されている硬化樹脂組成物層と、第2樹脂フィルムとがこの順に積層されている透明シートであって、
前記硬化樹脂組成物は光硬化性であり、
前記硬化樹脂組成物層の厚みを100%とした場合に、前記硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心Pの位置(50%)と、前記ガラス繊維布帛の厚み方向の中心Qの位置(%)の差が、20%以下である、防煙垂壁用透明シート。
【請求項2】
少なくとも、第1樹脂フィルムと、ガラス繊維布帛が硬化樹脂組成物中に配置されている硬化樹脂組成物層と、第2樹脂フィルムとがこの順に積層されている透明シートの製造方法であって、
プロセスフィルムの一方面に、前記ガラス繊維布帛に未硬化の硬化性樹脂組成物が含浸された未硬化樹脂組成物層を形成する工程Aと、
前記未硬化樹脂組成物層の上に前記第1樹脂フィルムを積層する工程Bと、
前記未硬化樹脂組成物層を硬化させて、第1の硬化樹脂組成物層を得る工程Cと、
前記プロセスフィルムを、前記第1の硬化樹脂組成物層の表面から除去する工程Dと、
前記第1の硬化樹脂組成物層の表面に、前記未硬化の硬化性樹脂組成物を供給する工程Eと、
前記未硬化の硬化性樹脂組成物の上に第2樹脂フィルムを積層する工程Fと、
前記第2樹脂フィルムと前記第1の硬化樹脂組成物層との間に位置している前記未硬化の硬化性樹脂組成物を硬化させて、第2の硬化樹脂組成物層を形成し、前記第1の硬化樹脂組成物層と前記第2の硬化樹脂組成物とが一体化した前記硬化樹脂組成物層を形成する工程Gと、
を備え、
前記工程Eにおいて、前記硬化樹脂組成物層の厚みを100%とした場合に、前記硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心の位置(50%)と、前記ガラス繊維布帛の厚み方向の中心の位置(%)の差が、20%以下となるように、前記未硬化の硬化性樹脂組成物の供給量を調整する、及び/又は、前記工程Fにおいて、前記硬化樹脂組成物層の厚みを100%とした場合に、前記硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心の位置(50%)と、前記ガラス繊維布帛の厚み方向の中心の位置(%)の差が、20%以下となるように、前記第2樹脂フィルムを積層する際又は積層後に前記未硬化の硬化性樹脂組成物に加える圧力を調整する、請求項1に記載の防煙垂壁用透明シートの製造方法。
【請求項3】
前記未硬化樹脂組成物層において、前記ガラス繊維布帛の厚み方向の中心が、前記未硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心よりも前記プロセスフィルム側に位置している、請求項2に記載の防煙垂壁用透明シートの製造方法。
【請求項4】
前記未硬化樹脂組成物層において、前記ガラス繊維布帛が、前記プロセスフィルムに接するように配置されている、請求項2又は3に記載の防煙垂壁用透明シートの製造方法。
【請求項5】
少なくとも、第1樹脂フィルムと、ガラス繊維布帛が硬化樹脂組成物中に配置されている硬化樹脂組成物層と、第2樹脂フィルムとがこの順に積層されている透明シートの製造方法であって、
前記第2樹脂フィルムの一方面に、未硬化の硬化性樹脂組成物が硬化した第2の硬化樹脂組成物層を設ける工程Hと、
前記第2の硬化樹脂組成物層の表面に、ガラス繊維布帛に未硬化の硬化性樹脂組成物が含浸された未硬化樹脂組成物層を形成する工程Iと、
前記未硬化樹脂組成物層の上に前記第1樹脂フィルムを積層する工程Jと、
前記第1樹脂フィルムと前記第2の硬化樹脂組成物層との間に位置している前記未硬化の硬化性樹脂組成物を硬化させて、第1の硬化樹脂組成物層を形成し、前記第1の硬化樹脂組成物層と前記第2の硬化樹脂組成物とが一体化した前記硬化樹脂組成物層を形成する工程Kと、
を備え、
前記工程Iにおいて、前記硬化樹脂組成物層の厚みを100%とした場合に、前記硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心の位置(50%)と、前記ガラス繊維布帛の厚み方向の中心の位置(%)の差が、20%以下となるように、前記未硬化の硬化性樹脂組成物の供給量を調整する、及び/又は、前記工程Jにおいて、前記硬化樹脂組成物層の厚みを100%とした場合に、前記硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心の位置(50%)と、前記ガラス繊維布帛の厚み方向の中心の位置(%)の差が、20%以下となるように、前記第1樹脂フィルムを積層する際又は積層後に前記未硬化の硬化性樹脂組成物に加える圧力を調整する、請求項1に記載の防煙垂壁用透明シートの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明シートの製造方法及び透明シートに関し、特に、防煙垂壁等に好適な透明シートの製造方法及び透明シートに関する。
【背景技術】
【0002】
建築基準法及び建築基準法施行令は、建築物の火災時に発生する煙、有毒ガスなどの流動を妨げて、避難及び消火活動が円滑に行えるように、排煙設備を設けることを規定している。従って、オフィスビル、商業施設などの建築物には、排煙設備及び遮煙設備として、防煙垂壁などが設置されることが多い。
【0003】
防煙垂壁は、火災発生時の煙、有毒ガスなどが廊下や上層階へ流動することを一時的に遮断し、避難に必要な時間を確保することなどを目的として、通常、建築物の天井に取り付けられている。このため、防煙垂壁によって視野が妨げられたり、美観が損なわれたりしないよう、防煙垂壁としては、透明板ガラス、ガラス繊維と樹脂との透明樹脂複合体などが用いられている。ガラス繊維と樹脂との透明樹脂複合体は、透明板ガラスに比して割れにくいという利点を有する。
【0004】
例えば、特許文献1には、透明熱可塑性樹脂シート層、内部にガラス繊維により構成された繊維組織体が配された紫外線硬化樹脂層、及び、透明熱可塑性樹脂シート層がこの順で積層されて形成されたことを特徴とする透明不燃シートが開示されている。
【0005】
また、例えば、特許文献2には、少なくとも1枚のガラス繊維織物と、当該ガラス繊維織物に含浸される光硬化樹脂とを有する不燃性シートであって、前記ガラス繊維織物中のガラス繊維を構成するガラス組成物と、前記光硬化樹脂との屈折率との差が0.02以下であり、前記不燃性シートに対する前記ガラス繊維織物の割合が20〜70重量%、前記不燃性シートに対する前記光硬化樹脂の割合が80〜30重量%であり、前記光硬化樹脂は、少なくとも臭素化ビニルエステルを含有する組成物を硬化させたものであることを特徴とする不燃性シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−30253号公報
【特許文献2】特開2014−213489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ガラス繊維布帛に透明な硬化樹脂層を含浸させた層を備える従来の透明シートは、一般に、樹脂フィルム上に、未硬化の硬化性樹脂を塗布し、その上からガラス繊維布帛を積層することで、未硬化の硬化性樹脂をガラス繊維布帛に含浸させ、その上から樹脂フィルムを積層した状態で、未硬化の硬化性樹脂を硬化させることにより、製造されている。
【0008】
例えば、特許文献1には、第一の透明熱可塑性樹脂シートの一方の面の上に、未硬化の紫外線硬化樹脂が含浸された、ガラス繊維から構成された繊維組織体からなる樹脂含浸ガラス組織体層を形成する樹脂含浸ガラス組織体層形成工程、前記樹脂含浸ガラス組織体層の上に第二の透明熱可塑性樹脂シートを積層する第二シート積層工程、及び、前記未硬化の紫外線硬化樹脂を硬化させる樹脂硬化工程をこの順で有することを特徴とする透明不燃シートの製造方法が開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、少なくとも1枚のガラス繊維織物と、当該ガラス繊維織物に含浸される光硬化樹脂とを有する不燃性シートの製造方法であって、第1のフィルム上に、未硬化の光硬化樹脂を塗布し、当該光硬化樹脂が塗布された第1のフィルム上に、前記ガラス繊維織物を載置し、当該ガラス繊維織物上に前記未硬化の光硬化樹脂を塗布し、当該光硬化樹脂が塗布されたガラス繊維織物上に、第2のフィルムを載置し、前記ガラス繊維織物を前記第1のフィルム及び前記第2のフィルムで挟んだ状態で、前記第1のフィルムまたは前記第2のフィルムを介して前記未硬化の光硬化樹脂に、300nm〜400nmの波長を有する光を照射して、前記未硬化の光硬化樹脂を硬化させることを特徴とする不燃性シートの製造方法が開示されている。
【0010】
本発明者らは、従来の透明シートについて研究を重ねたところ、これら従来の製造方法によって製造される透明シートは、透明シートが置かれる環境の温度変化が大きい場合に、反りが発生するという新たな課題が見出された。
【0011】
このような状況下、本発明は、透明シートが置かれる環境の温度変化が大きい場合にも、反りが効果的に抑制される透明シートの製造方法を提供することを主な目的とする。さらに、本発明は、透明シートが置かれる環境の温度変化が大きい場合にも、反りが効果的に抑制される透明シートを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも、第1樹脂フィルムと、ガラス繊維布帛が硬化樹脂組成物中に配置されている硬化樹脂組成物層と、第2樹脂フィルムとがこの順に積層されている透明シートの製造方法において、所定の手順で透明シートを製造することにより、透明シートが置かれる環境の温度変化が大きい場合にも、透明シートの反りが効果的に抑制されることを見出した。より具体的には、従来の透明シートの製造方法とは異なり、本発明の透明シートの製造方法においては、以下の工程A〜Gを順に備えることにより、透明シートの硬化樹脂組成物層におけるガラス繊維布帛の厚み方向の中心を、硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心に近づけることができ、これによって、透明シートが置かれる環境の温度変化が大きい場合にも、透明シートの反りが効果的に抑制されることを見出した。
【0013】
工程A:プロセスフィルムの一方面に、前記ガラス繊維布帛に未硬化の硬化性樹脂組成物が含浸された未硬化樹脂組成物層を形成する。
工程B:前記未硬化樹脂組成物層の上に前記第1樹脂フィルムを積層する。
工程C:前記未硬化樹脂組成物層を硬化させて、第1の硬化樹脂組成物層を得る。
工程D:前記プロセスフィルムを、前記第1の硬化樹脂組成物層の表面から除去する。
工程E:前記第1の硬化樹脂組成物層の表面に、前記未硬化の硬化性樹脂組成物を供給する。
工程F:前記未硬化の硬化性樹脂組成物の上に第2樹脂フィルムを積層する。
工程G:前記第2樹脂フィルムと前記第1の硬化樹脂組成物層との間に位置している前記未硬化の硬化性樹脂組成物を硬化させて、第2の硬化樹脂組成物層を形成し、前記第1の硬化樹脂組成物層と前記第2の硬化樹脂組成物とが一体化した前記硬化樹脂組成物層を形成する。
前記工程Eにおいて、前記硬化樹脂組成物層の厚みを100%とした場合に、前記硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心の位置(50%)と、前記ガラス繊維布帛の厚み方向の中心の位置(%)の差が、20%以下となるように、前記未硬化の硬化性樹脂組成物の供給量を調整する、及び/又は、前記工程Fにおいて、前記硬化樹脂組成物層の厚みを100%とした場合に、前記硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心の位置(50%)と、前記ガラス繊維布帛の厚み方向の中心の位置(%)の差が、20%以下となるように、前記第2樹脂フィルムを積層する際又は積層後に前記未硬化の硬化性樹脂組成物に加える圧力を調整する。
【0014】
本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
【0015】
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 少なくとも、第1樹脂フィルムと、ガラス繊維布帛が硬化樹脂組成物中に配置されている硬化樹脂組成物層と、第2樹脂フィルムとがこの順に積層されている透明シートの製造方法であって、
プロセスフィルムの一方面に、前記ガラス繊維布帛に未硬化の硬化性樹脂組成物が含浸された未硬化樹脂組成物層を形成する工程Aと、
前記未硬化樹脂組成物層の上に前記第1樹脂フィルムを積層する工程Bと、
前記未硬化樹脂組成物層を硬化させて、第1の硬化樹脂組成物層を得る工程Cと、
前記プロセスフィルムを、前記第1の硬化樹脂組成物層の表面から除去する工程Dと、
前記第1の硬化樹脂組成物層の表面に、前記未硬化の硬化性樹脂組成物を供給する工程Eと、
前記未硬化の硬化性樹脂組成物の上に第2樹脂フィルムを積層する工程Fと、
前記第2樹脂フィルムと前記第1の硬化樹脂組成物層との間に位置している前記未硬化の硬化性樹脂組成物を硬化させて、第2の硬化樹脂組成物層を形成し、前記第1の硬化樹脂組成物層と前記第2の硬化樹脂組成物とが一体化した前記硬化樹脂組成物層を形成する工程Gと、
を備え、
前記工程Eにおいて、前記硬化樹脂組成物層の厚みを100%とした場合に、前記硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心の位置(50%)と、前記ガラス繊維布帛の厚み方向の中心の位置(%)の差が、20%以下となるように、前記未硬化の硬化性樹脂組成物の供給量を調整する、及び/又は、前記工程Fにおいて、前記硬化樹脂組成物層の厚みを100%とした場合に、前記硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心の位置(50%)と、前記ガラス繊維布帛の厚み方向の中心の位置(%)の差が、20%以下となるように、前記第2樹脂フィルムを積層する際又は積層後に前記未硬化の硬化性樹脂組成物に加える圧力を調整する、透明シートの製造方法。
項2. 前記未硬化樹脂組成物層において、前記ガラス繊維布帛の厚み方向の中心が、前記未硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心よりも前記プロセスフィルム側に位置している、項1に記載の透明シートの製造方法。
項3. 前記未硬化樹脂組成物層において、前記ガラス繊維布帛が、前記プロセスフィルムに接するように配置されている、項1又は2に記載の透明シートの製造方法。
項4. 前記工程Eにおいて、前記硬化樹脂組成物層の厚みを100%とした場合に、前記硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心の位置(50%)と、前記ガラス繊維布帛の厚み方向の中心の位置(%)の差が、20%以下となるように、前記未硬化の硬化性樹脂組成物の供給量を調整する、項1〜3のいずれかに記載の透明シートの製造方法。
項5. 前記工程Fにおいて、前記硬化樹脂組成物層の厚みを100%とした場合に、前記硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心の位置(50%)と、前記ガラス繊維布帛の厚み方向の中心の位置(%)の差が、20%以下となるように、前記第2樹脂フィルムを積層する際又は積層後に前記未硬化の硬化性樹脂組成物に加える圧力を調整する、項1〜4のいずれかに記載の透明シートの製造方法。
項6. 少なくとも、第1樹脂フィルムと、ガラス繊維布帛が硬化樹脂組成物中に配置されている硬化樹脂組成物層と、第2樹脂フィルムとがこの順に積層されている透明シートの製造方法であって、
前記第2樹脂フィルムの一方面に、未硬化の硬化性樹脂組成物が硬化した第2の硬化樹脂組成物層を設ける工程Hと、
前記第2の硬化樹脂組成物層の表面に、ガラス繊維布帛に未硬化の硬化性樹脂組成物が含浸された未硬化樹脂組成物層を形成する工程Iと、
前記未硬化樹脂組成物層の上に前記第1樹脂フィルムを積層する工程Jと、
前記第1樹脂フィルムと前記第2の硬化樹脂組成物層との間に位置している前記未硬化の硬化性樹脂組成物を硬化させて、第1の硬化樹脂組成物層を形成し、前記第1の硬化樹脂組成物層と前記第2の硬化樹脂組成物とが一体化した前記硬化樹脂組成物層を形成する工程Kと、
を備え、
前記工程Iにおいて、前記硬化樹脂組成物層の厚みを100%とした場合に、前記硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心の位置(50%)と、前記ガラス繊維布帛の厚み方向の中心の位置(%)の差が、20%以下となるように、前記未硬化の硬化性樹脂組成物の供給量を調整する、及び/又は、前記工程Jにおいて、前記硬化樹脂組成物層の厚みを100%とした場合に、前記硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心の位置(50%)と、前記ガラス繊維布帛の厚み方向の中心の位置(%)の差が、20%以下となるように、前記第1樹脂フィルムを積層する際又は積層後に前記未硬化の硬化性樹脂組成物に加える圧力を調整する、透明シートの製造方法。
項7. 少なくとも、第1樹脂フィルムと、ガラス繊維布帛が硬化樹脂組成物中に配置されている硬化樹脂組成物層と、第2樹脂フィルムとがこの順に積層されている透明シートであって、
前記硬化樹脂組成物層の厚みを100%とした場合に、前記硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心Pの位置(50%)と、前記ガラス繊維布帛の厚み方向の中心Qの位置(%)の差が、20%以下である、透明シート。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、透明シートが置かれる環境の温度変化が大きい場合にも、反りが効果的に抑制される透明シートの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、透明シートが置かれる環境の温度変化が大きい場合にも、反りが効果的に抑制される透明シートを提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の透明シートの構成を説明するための模式図である。
図2】本発明の透明シートの構成を説明するための模式図である。
図3】透明シートの反り量を測定する方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の透明シートの製造方法は、少なくとも、第1樹脂フィルムと、ガラス繊維布帛が硬化樹脂組成物中に配置されている硬化樹脂組成物層と、第2樹脂フィルムとがこの順に積層されている透明シートの製造方法である。以下、本発明の第1の態様の透明シートの製造方法について説明し、その後、本発明の第2の態様の透明シートの製造方法について説明する。
【0019】
<第1の態様>
本発明の第1の態様の透明シートの製造方法は、以下の工程A〜Gを順に備えていることを特徴としており、当該方法により得られる透明シートは、透明シートが置かれる環境の温度変化が大きい場合にも、反りが効果的に抑制される透明シートとなる。
【0020】
すなわち、第1の態様の製造方法においては、工程Eの「前記第1の硬化樹脂組成物層の表面に、前記未硬化の硬化性樹脂組成物を供給する」工程、及び、工程Fの「前記未硬化の硬化性樹脂組成物の上に第2樹脂フィルムを積層する」工程の少なくとも一方の工程において、本発明の透明シートの硬化樹脂組成物層に含まれる硬化樹脂組成物の含有量を調整することができ、これにより、硬化樹脂組成物層3の厚み方向におけるガラス繊維布帛3aの位置も調整することが可能となる。そして、例えば、工程Eや工程Fによって、硬化樹脂組成物層3の厚みを100%とした場合に、硬化樹脂組成物層3の厚み方向の中心の位置(50%)と、ガラス繊維布帛3aの厚み方向の中心の位置(%)の差を20%以下となるように調整することよって、得られる透明シートは、環境の温度変化が大きい場合にも、反りが効果的に抑制されたものとなる。
【0021】
工程A:プロセスフィルムの一方面に、前記ガラス繊維布帛に未硬化の硬化性樹脂組成物が含浸された未硬化樹脂組成物層を形成する。
工程B:前記未硬化樹脂組成物層の上に前記第1樹脂フィルムを積層する。
工程C:前記未硬化樹脂組成物層を硬化させて、第1の硬化樹脂組成物層を得る。
工程D:前記プロセスフィルムを、前記第1の硬化樹脂組成物層の表面から除去する。
工程E:前記第1の硬化樹脂組成物層の表面に、前記未硬化の硬化性樹脂組成物を供給する。
工程F:前記未硬化の硬化性樹脂組成物の上に第2樹脂フィルムを積層する。
工程G:前記第2樹脂フィルムと前記第1の硬化樹脂組成物層との間に位置している前記未硬化の硬化性樹脂組成物を硬化させて、第2の硬化樹脂組成物層を形成し、前記第1の硬化樹脂組成物層と前記第2の硬化樹脂組成物とが一体化した前記硬化樹脂組成物層を形成する。
【0022】
以下、第1の態様の透明シートの製造方法と、これによって好適に製造される本発明の透明シートについて、図1及び図2を参照しながら詳述する。
【0023】
図1及び図2に示されるように、本発明の第1の態様の製造方法によって製造される透明シート10は、少なくとも、第1樹脂フィルム1と、ガラス繊維布帛3aが硬化樹脂組成物3b中に配置されている硬化樹脂組成物層3と、第2樹脂フィルム2とがこの順に積層されている積層フィルムである。
【0024】
硬化樹脂組成物層3において、硬化樹脂組成物3bは、ガラス繊維布帛3aを構成している複数のガラス繊維の隙間を埋めており、硬化樹脂組成物層3の一方の表面31(第1樹脂フィルム1側の表面)と、他方の表面32(第2樹脂フィルム2側の表面)とは、当該隙間部分を埋めた硬化樹脂組成物3bを介して通じている。
【0025】
また、本発明の透明シート10は、第1樹脂フィルム1の硬化樹脂組成物層3側とは反対側と、第2樹脂フィルム2の硬化樹脂組成物層3側とは反対側の少なくとも一方に、必要に応じて、それぞれ、他の層を積層してもよい。他の層として、例えば、図2に例示するように、透明シートの使用時に剥離される、剥離可能なカバー材4を積層することができる。剥離可能なカバー材4は、本発明の透明シート10の両面に存在していることが好ましい。
【0026】
以下、本発明の製造方法(第1の態様及び第2の態様)によって製造される透明シート10に含まれる、ガラス繊維布帛3a、硬化樹脂組成物3bについて説明した後、第1の態様の製造方法の工程A〜Gについて説明する。
【0027】
<ガラス繊維布帛3a>
透明シート10において、ガラス繊維布帛3aは、複数のガラス繊維により構成されている。ガラス繊維布帛3aにおいて、複数のガラス繊維は、互いに絡み合って1枚の布帛を形成している。ガラス繊維布帛3aとしては、例えば、複数の経糸と複数の緯糸とで構成されるガラス繊維織物(ガラスクロス)が挙げられる。ガラス繊維織物の織組織としては、特に制限されず、例えば、平織、朱子織、綾織、斜子織、畦織などが挙げられる。
【0028】
ガラス繊維布帛3aを構成するガラス繊維のガラス材料としては、特に制限されず、例えば公知のガラス材料を用いることができる。ガラス材料としては、例えば、無アルカリガラス(Eガラス)、耐酸性の含アルカリガラス(Cガラス)、高強度・高弾性率ガラス(Sガラス、Tガラス等)、耐アルカリ性ガラス(ARガラス)等が挙げられ、好ましくは汎用性の高い無アルカリガラス(Eガラス)が挙げられる。ガラス繊維布帛3aを構成するガラス繊維は、1種類のガラス材料からなるものであってもよいし、異なるガラス材料からなるガラス繊維を2種類以上組み合わせたものであってもよい。また、透明性をより向上させる観点から、後述する、硬化樹脂組成物3bの屈折率と近似するガラス材料を選択することが好ましい。
【0029】
ガラス繊維布帛3aの厚さとしては、特に制限されないが、透明シートを薄型化しつつ、高い透明性、機械強度を付与し、さらに、透明シートが置かれる環境の温度変化が大きい場合にも、反りを効果的に抑制する観点から、8〜30μmが好ましく、9〜20μmがより好ましく、9〜15μmが特に好ましい。
【0030】
また、透明シートを例えば防煙垂壁等の用途に用いる場合に、透明シートに含有される樹脂が燃焼したときにガラス繊維布帛の目荒れの発生をより一層防ぎやすくするという観点から、ガラス繊維布帛が織物であり、前記織物を構成するガラス糸が、平均フィラメント径が3.5〜4.5μm、フィラメント本数が20〜110本であり、前記織物が、織密度が経緯ともに80〜120本/25mm、厚さが9〜30μm、質量が9〜35g/m2であることが好ましい。
【0031】
また、ガラス繊維織物において、透明シートに含有される樹脂が燃焼したときにガラス繊維布帛の目荒れの発生をより一層防ぎやすくするという観点から、ガラス繊維織物の厚さを経糸のガラスフィラメントの直径と緯糸のガラスフィラメントの直径との平均値で除した値(ガラスクロスの厚さ/{(経糸のガラスフィラメントの直径+緯糸のガラスフィラメントの直径)/2})として示される平均段数が2.5以上3.5未満の範囲にあることが好ましい。
【0032】
例えば本発明の透明シート10を防煙垂壁に用いる場合、ガラス繊維布帛が火災発生時の煙の拡散を防ぐ役割を果たす。そして、火災発生時には熱風が天井を伝って流れる場合があり、これを防煙垂壁で防ぐことが求められる。
【0033】
一方、上記したような構成であるガラス繊維織物は、厚さが、平均フィラメント径に対して数倍程度、フィラメント数本分程度である。すなわち、上記ガラス繊維織物の構成は、複数本あるフィラメントがガラス織物平面方向に拡幅されていることも表している。特定のフィラメント径のフィラメントを特定本数含むガラス糸を、ガラス繊維織物が特定の厚さとなるように扁平化することで、扁平化されない丸いガラス糸に比して火災発生時の樹脂成分の燃焼によっても織目がより一層ずれにくくなり大きな貫通孔が生じることをより一層防ぎやすくなる。また、上記のようなガラス繊維織物の構成とすることで、透明シートに入射する光の屈折、反射を低減でき、透明性が一層向上することもできる。上記したようなガラス繊維織物を製造する方法としては、例えば、平均フィラメント径が3.5〜4.5μm、フィラメント本数が20〜110本であるガラス糸を、織密度が経緯ともに80〜120本/25mmとなるようにエアージェット織機等で製織し、ガラス繊維織物の張力を経方向が50〜100N/m、より好ましくは80〜100N/mとしながら1〜3MPa程度の圧力の水流処理をおこなうことが挙げられ、当該処理を複数回おこなうことが好ましく挙げられる。
【0034】
同様の観点から、ガラス繊維布帛が織物であり、前記織物を構成するガラス糸が、平均フィラメント径が3.5〜4.2μm、フィラメント本数が45〜110本であり、前記織物が、織密度が経緯ともに85〜105本/25mm、厚さが9〜30μm、質量が9〜35g/m2であるものとすることがより好ましく、前記織物を構成するガラス糸が、平均フィラメント径が3.5〜4.5μm、フィラメント本数が20〜55本であり、前記織物が、織密度が経緯ともに80〜120本/25mm、厚さが9〜13μm、質量が9〜15g/m2であるものとすることがさらに好ましく、前記織物を構成するガラス糸が、平均フィラメント径が3.5〜4.2μm、フィラメント本数が45〜55本であり、前記織物が、織密度が経緯ともに85〜105本/25mm、厚さが9〜13μm、質量が9〜13g/m2であるものとすることが特に好ましい。
【0035】
ガラス繊維布帛3aと硬化樹脂組成物3bとの屈折率の差としては、0.02以下が好ましく、0.01以下がより好ましく、0.005以下がさらに好ましい。ガラス繊維布帛3aの屈折率としては、好ましくは1.45〜1.65程度、より好ましくは1.50〜1.60程度が挙げられる。
【0036】
なお、上記ガラス繊維布帛3aの屈折率の測定は、JIS K 7142:2008のB法に準じて行う。具体的には、ガラス繊維布帛3aを構成するガラス繊維について、浸液としてヨウ化メチレン(nD231.747)、フタル酸ブチル(nD231.491)及び炭酸ジメチル(nD231.366)を用い、アッベ屈折計として(株)アタゴ製のNAR−2Tを用い、光源として波長589nmのナトリウムD線を用いて温度23℃で測定を行い、試験数5回の平均値を屈折率の値とする。また、硬化樹脂組成物3bの屈折率の測定は、JIS K 7142:2008のB法に準じて行う。具体的には、硬化させた硬化樹脂組成物を粉体化し、浸液としてヨウ化メチレン(nD231.747)、フタル酸ブチル(nD231.491)及び炭酸ジメチル(nD231.366)を用い、顕微鏡として小型測定顕微鏡STM5−311(オリンパス社製、観察倍率400倍)を用い、光源として波長589nmのナトリウムD線を用いて温度23℃で測定を行い、試験数5回の平均値を屈折率の値とする。
【0037】
ガラス繊維布帛3aと硬化樹脂組成物3bとのアッベ数の差としては、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。ガラス繊維布帛3aのアッベ数としては、30〜80が好ましく、40〜70がより好ましく、50〜65がさらに好ましい。なお、硬化樹脂組成物及びガラス繊維のアッベ数は、次のように測定する。
【0038】
(硬化樹脂組成物のアッベ数)
ガラス繊維布帛が含まれていない硬化樹脂組成物のシートを、ガラス繊維布帛を含む場合と同じ条件で同じ厚みとして作製し、試験片を幅8mm、長さ20mmとして表面をよく研磨し、JIS K 7142A法に準じ、アッベ屈折計として(株)アタゴ製のNAR−2T、接触液としてジヨードメタン、光源として波長589nmのナトリウムD線を用い、測定温度を23℃として、波長589nmの屈折率を測定する。続いて、光源を自然光として分散値を測定、算出し、下記式(I)に従い、アッベ数を算出する。
アッベ数=(波長589nmの屈折率−1)/分散値 (I)
【0039】
(ガラス繊維のアッベ数)
ガラス繊維を構成するガラス材料を用いて、幅8mm、長さ20mm、厚み5mmのガラスシートを作製し、表面をよく研磨し、JIS K 7142A法に準じ、アッベ屈折計として(株)アタゴ製のNAR−2T、接触液としてジヨードメタン、光源として波長589nmのナトリウムD線を用い、測定温度を23℃として、波長589nmの屈折率を測定する。続いて、光源を自然光として分散値を測定、算出し、上記式(III)に従い、アッベ数を算出する。
【0040】
<硬化樹脂組成物3b>
透明シート10において、硬化樹脂組成物3bは、硬化性樹脂を含む樹脂組成物(すなわち、未硬化の硬化性樹脂組成物)の硬化物により形成されている。透明シート10の硬化樹脂組成物層3は、ガラス繊維布帛3aと、これに含浸した未硬化の硬化性樹脂組成物に対して、光、熱などのエネルギーを与えることによって、未硬化の硬化性樹脂組成物が硬化した硬化樹脂組成物3bとにより形成されている。
【0041】
なお、硬化樹脂組成物層3において、硬化樹脂組成物3bは、ガラス繊維布帛3aに含浸されている部分と、含浸されていない部分とを含んでいる。すなわち、硬化樹脂組成物層3において、硬化樹脂組成物3bの厚さは、ガラス繊維布帛3aの厚さよりも大きい。
【0042】
未硬化の硬化性樹脂組成物に含まれる、硬化性樹脂としては、硬化樹脂組成物3bとガラス繊維布帛3aの屈折率を近似させることができるものが好ましい。好ましい硬化性樹脂としては、未硬化の硬化性樹脂組成物が光硬化性となるものが好ましく、例えば、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フルオレンアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、硬化性アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、第1樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2との接着性をより向上させるという観点から、アクリルシラップを含む構成性樹脂組成物が特に好ましい。本発明において、アクリルシラップとは、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などの(メタ)アクリル酸エステルポリマーをメタクリル酸メチルなどのアクリル単量体に溶解した重合性液状混合物をいう。上記アクリルシラップの中でも、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル共重合体、及びメタクリル酸メチル/アクリル酸ノルマルブチル共重合体からなる群より選ばれる1種以上のアクリル酸エステルポリマーをメタクリル酸メチル単量体に溶解したアクリルシラップが特に好ましい。このように、硬化樹脂組成物3bを、アクリルシラップを含む樹脂組成物を硬化したものとする場合、第1樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2との密着性がより向上する。
【0043】
未硬化の硬化性樹脂組成物は、前記の硬化性樹脂に加えて、硬化促進剤、難燃剤、紫外線吸収剤、充填剤、帯電防止剤などの添加物をさらに含んでいてもよい。難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、トリクロロエチルホスフェート、トリアリルホスフェート、ポリリン酸アンモニウム、リン酸エステルなどが挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、タルクなどが挙げられる。帯電防止剤としては、例えば、界面活性剤などが挙げられる。これらの添加剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0044】
ガラス繊維布帛3aと硬化樹脂組成物3bの屈折率が近似するように設定する観点から、硬化樹脂組成物3bの屈折率としては、好ましくは1.45〜1.65程度、より好ましくは1.50〜1.60程度が挙げられる。また、透明シート10の透明性を高めるために、ガラス繊維布帛3aと硬化樹脂組成物3bのアッベ数とは、近似するように設定することが好ましい。このような観点から、硬化樹脂組成物3bのアッベ数としては、30〜70が好ましく、40〜60がより好ましい。
【0045】
透明シート10において、硬化樹脂組成物3bの質量としては、例えば、20〜100g/m2が挙げられ、透明シート10の透明性と不燃性とをより両立するという観点から
、20〜50g/m2が好ましく挙げられる。
【0046】
透明シート10において、ガラス繊維布帛3aと硬化樹脂組成物3bとの質量比は、透明シートの透明性と不燃性とをより一層両立するという観点から、ガラス繊維布帛3a及び硬化樹脂組成物3bの合計質量に対する、ガラス繊維布帛3aの質量の割合が5〜50質量%が好ましく、10〜35質量%がより好ましく、10〜25質量%が特に好ましい。また、透明シート10の全質量(透明シート10がカバー材4を有する場合には、カバー材の質量を除く)に対する、ガラス繊維布帛3aの質量の割合としては、例えば、3〜20質量%が挙げられ、3〜15質量%が好ましく挙げられ、3〜10質量%がより好ましく挙げられる。
【0047】
次に、本発明の第1の態様の透明シート10の製造方法における工程A〜Gを具体的に説明する。
【0048】
(工程A)
第1の態様の製造方法において、工程Aは、プロセスフィルムの一方面に、ガラス繊維布帛3aに未硬化の硬化性樹脂組成物が含浸された未硬化樹脂組成物層を形成する工程である。
【0049】
プロセスフィルム(工程フィルム)としては、特に制限されず、工程A及び工程Bにおいて、第1の硬化樹脂組成物層を形成できるものであれば特に制限されず、樹脂フィルムの形成などに利用される公知のプロセスフィルムを用いることができる。プロセスフィルムの具体例としては、熱可塑性樹脂フィルムが挙げられる。また、熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルムなどが挙げられ、これらの中でも、比較的安価なことから、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。なお、プロセスフィルムは、後述する工程Dにおいて剥離されることから、透明性及び平滑性は特に制限されない。例えば、コストの観点から、全光線透過率は80〜95%程度(JIS K 7105:1981)、ヘーズは2〜10%程度(JIS K 7105:1981)が挙げられる。
【0050】
プロセスフィルムの厚みとしては、工程Cにおいて、第1の硬化樹脂組成物層の表面から除去することができれば、特に制限されず、例えば25〜100μm程度、好ましくは38〜75μm程度が挙げられる。
【0051】
ガラス繊維布帛3aに未硬化の硬化性樹脂組成物が含浸された未硬化樹脂組成物層を形成する際には、例えば、プロセスフィルムの上に未硬化の硬化性樹脂組成物を供給し、この上から、ガラス繊維布帛3aを積層することができる。これにより、ガラス繊維布帛3aの自重によって、ガラス繊維布帛3aが未硬化の硬化性樹脂組成物中に浸漬され、未硬化の硬化性樹脂組成物がガラス繊維布帛に含浸されて、未硬化樹脂組成物層となる。
【0052】
このとき、ガラス繊維布帛3aは、通常、自重によって、未硬化樹脂組成物層のプロセスフィルム側に位置することとなる。すなわち、工程Aでは、未硬化樹脂組成物層において、ガラス繊維布帛3aの厚み方向の中心が、未硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心よりもプロセスフィルム側に位置していてもよい。また、ガラス繊維布帛3aは、プロセスフィルムの表面に接触していてもよい。すなわち、工程Aでは、未硬化樹脂組成物層において、ガラス繊維布帛3aが、プロセスフィルムに接するように配置されていてもよい。
【0053】
工程Aにおいて、未硬化樹脂組成物層に含まれる未硬化の硬化性樹脂組成物の含有量を調整することが好ましい。後述の通り、本発明においては、工程A及び工程Bのうちの少なくとも一方の工程と、工程E及び工程Fのうち少なくとも一方の工程とによって、透明シート10に形成される硬化樹脂組成物層3の厚みを100%とした場合に、硬化樹脂組成物層3の厚み方向の中心Pの位置(50%)と、ガラス繊維布帛3の厚み方向の中心Qの位置(%)の差が、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下となるように、前記未硬化の硬化性樹脂組成物3aの供給量を調整することが好ましい。
【0054】
本発明の透明シート10において、硬化樹脂組成物層3中のガラス繊維布帛3の位置の測定(硬化樹脂組成物層3の厚み方向の中心Pの位置(50%)と、ガラス繊維布帛3の厚み方向の中心Qの位置(%)の差の測定)については、樹脂包埋法により、透明シート10の厚さ方向切断面について、走査型電子顕微鏡画像を取得して、実施例に記載の方法により行う。
【0055】
プロセスフィルム上に形成された未硬化樹脂組成物層における未硬化の硬化性樹脂組成物の含有量(すなわち、硬化後の第1の硬化樹脂組成物層中の硬化樹脂組成物の含有量)については、工程A及び工程Bの少なくとも一方で調整することができる。さらに、工程E及び工程Fでは、第1の硬化樹脂組成物層の表面に存在する未硬化の硬化樹脂組成物の量を調整することができ、これによって、透明シート10に形成される硬化樹脂組成物層3の厚みと、硬化樹脂組成物層3の厚み方向の中心P及びガラス繊維布帛3の厚み方向の中心Qの位置関係を調整することが可能となる。従って、本発明によれば、透明シート10に形成される硬化樹脂組成物層3の厚みを100%とした場合に、硬化樹脂組成物層3の厚み方向の中心Pの位置(50%)と、ガラス繊維布帛3の厚み方向の中心Qの位置(%)の差が、20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)となるよう好適に調整することができる。硬化樹脂組成物層3には、ガラス繊維布帛3が、1層のみ含まれていてもよいし、複数層含まれていてもよい。
【0056】
前述の従来の透明シートの製造方法では、工程E,Fを備えていないため、ガラス繊維布帛に未硬化の硬化性樹脂組成物が含浸された未硬化樹脂組成物層を形成する際に、ガラス繊維布帛は、その自重によって、未硬化樹脂組成物層の一方側に偏ることになる。このような製造方法によって製造された透明シートにおいては、硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心と、ガラス繊維布帛の厚み方向の中心とは、大きくずれる。そして、本発明者らは、硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心と、ガラス繊維布帛の厚み方向の中心のずれが大きな透明シートは、温度変化が大きい環境に置かれると、反りが発生しやすいという新たな課題を見出した。本発明は、このような新たに見出された課題を解決する手段を提供するものである。
【0057】
工程Aで使用するガラス繊維布帛3b、及び未硬化の硬化性樹脂組成物の詳細については、前述の通りである。
【0058】
工程Aにおいて、未硬化の硬化性樹脂組成物の使用量としては、硬化樹脂組成物層3の厚みや、硬化樹脂組成物層3の厚み方向の中心Pと、ガラス繊維布帛3aの厚み方向の中心Qとの位置関係に応じて、適宜調整され、例えば10〜150g/m2の範囲、好ましくは30〜120g/m2の範囲、さらに好ましくは50〜100g/m2の範囲で調整することができる。
【0059】
(工程B)
工程Bにおいては、工程Aで得られた未硬化樹脂組成物層の上に前記第1樹脂フィルム1を積層する。具体的には、工程Aで得られたプロセスフィルム/未硬化樹脂組成物層が積層された積層体の未硬化樹脂組成物層の上に、第1樹脂フィルム1を積層して、プロセスフィルム/未硬化樹脂組成物層/第1樹脂フィルムが順に積層された積層体を得る。
【0060】
前述の通り、本発明においては、工程A及び工程Bの少なくとも一方において、透明シート10に形成される硬化樹脂組成物層3の厚みを100%とした場合に、硬化樹脂組成物層3の厚み方向の中心Pの位置(50%)と、ガラス繊維布帛3の厚み方向の中心Qの位置(%)の差が、20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)となるように、前記未硬化の硬化性樹脂組成物の供給量を調整することが好ましい。
【0061】
工程Bにおいては、第1樹脂フィルム1を未硬化樹脂組成物層の上に積層する際又は積層後に、プロセスフィルムと第1樹脂フィルムとの両側から未硬化樹脂組成物層に加わる圧力を高めることにより、未硬化樹脂組成物層に含まれる未硬化の硬化性樹脂組成物を端部から流出させることができ、未硬化樹脂組成物層に含まれる未硬化の硬化性樹脂組成物の含有量を調整することができる。プロセスフィルムと第1樹脂フィルムとの両側から未硬化樹脂組成物層に加わる圧力を高める方法としては、例えば、ローラを用いて加圧する方法が挙げられる。
【0062】
第1樹脂フィルム1は、透明シート10において、ガラス繊維布帛2に含浸された硬化樹脂組成物層3に積層されている。なお、後述の工程Fで使用する第2樹脂フィルム2についても、透明シート10において第1樹脂フィルム1と同じ役割を果たし、工程Bで使用する第1の樹脂フィルム1とは、好ましい組成や厚み等が共通している。このため、以下に、第1樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2の好ましい態様をまとめて説明する。
【0063】
第1樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2は、それぞれ、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、非晶性の熱可塑性樹脂を含む2軸延伸フィルムが好ましく挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、及びポリアミド樹脂が挙げられ、これらを少なくとも1種以上含むものとすることもできる。また、第1樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2は、ポリ塩化ビニル樹脂を含まないものとすることもできる。透明シート10の初期引裂強度を優れたものとする観点から、第1樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2は、エレメンドルフ引裂伝播抵抗が、たて方向及びよこ方向ともに1N/mm以上のものが挙げられ、3〜20N/mmのものが好ましく挙げられ、5〜15N/mmのものがより好ましく挙げられる。中でも、耐薬品性(防煙垂壁として使用するときはアルカリ洗剤耐性を含む。)、初期引裂強の向上及び透明性をより一層両立させるという観点からは、第1樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2は、ポリエステル樹脂を含むものとすることが好ましい。なお、エレメンドルフ引裂伝播抵抗は、株式会社東洋精機製作所製エレメンドルフ引裂機を用い、JIS K7128−2・1998に基づいて引裂強さ(N)を測定し、この測定値をフィルム厚みで除した引裂伝播抵抗(N/mm)を意味する。また、引裂強度は、たて方向及びよこ方向それぞれ20サンプルの試験結果の平均値とする。
【0064】
第1樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2においては、それぞれ、ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はポリエチレンナフタレート(PEN)が挙げられる。
【0065】
第1樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2における可塑剤の含有量としては、それぞれ、例えば、10質量%以下が挙げられ、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%以下が特に好ましく挙げられる。上記可塑剤としては、塩化ビニル樹脂の可塑剤として公知のものが挙げられ、例えば、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジオチルデシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、イソフタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどのフタル酸系可塑剤、アジピン酸−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−2−デシル、セバチン酸ジブチル、セバチン酸−2−エチルヘキシルなどの脂肪酸エステル可塑剤、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸−2−エチルヘキシルジフェニル、リン酸トリクレジルなどのリン酸エステル系可塑剤、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリオクチルなどのトリメリット酸エステル系可塑剤、アジピン酸系ポリエステル可塑剤、フタル酸系ポリエステル可塑剤などのポリエステル系可塑剤、テレフタル酸系可塑剤が挙げられる。
【0066】
第1樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2には、それぞれ、必要に応じて、コロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施すことができ、また、易滑性、易接着性、帯電防止性などの各種機能を付与するコーティング層、耐摩耗性を向上させるハードコート層等を設けたものであってもよい。
【0067】
第1樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2のそれぞれの表面11,22側に、さらに後述のカバー材4が積層される場合、第1樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2は、それぞれ、少なくとも表面11,22側部分に帯電防止剤を含むことが好ましい。例えば、透明シート10を防煙垂壁とする場合、施工時の取り扱い性を向上させる観点から、剥離可能なカバー材4が積層されることが好ましい。そして、当該カバー材4は、例えば、防煙垂壁がショッピングモール等大型施設に設置される場合に、該大型施設開業に合わせて(すなわち、防煙垂壁として使用する際に)剥離される。一方、当該カバー材4の剥離の際、第1樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2と当該カバー材4との摩擦が生じ、第1樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2に静電気を帯びてしまう場合があり、空気中に存在する粉塵等が防煙垂壁表面に付着してしまうことが考えられる。第1樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2が、少なくとも表面11,22側に帯電防止剤を含むことにより、カバー材4の剥離に伴う静電気発生がより一層抑制でき、透明シート10の製造直後の優れた透明性を維持しやすくなる。
【0068】
上記帯電防止剤としては、公知のものが使用でき、例えば、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜3級アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性帯電防止剤;スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン系帯電防止剤;アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性帯電防止剤;アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性の帯電防止剤等の各種界面活性剤型帯電防止剤;更には上記のような帯電防止剤を高分子量化した高分子型帯電防止剤、銀、酸化錫、酸化亜鉛等の無機系帯電防止剤等が挙げられる。また、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有し、電離放射線により重合可能なモノマーやオリゴマー、例えば、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートモノマー、それらの第4級化合物等の重合性帯電防止剤も使用できる。また、銀系、酸化錫系、酸化亜鉛系等の無機系帯電防止剤とする場合、無機微粒子の粒径としては、例えば、BET法を用いて求めた粒子径(BET粒子径)が可視光線の波長以下の100nm以下、好ましくは1〜100nmとすることで、透明シート10の透明性をより維持しやすくなる。
【0069】
透明シート10において、第1樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2の1層あたりの質量としては、それぞれ、例えば、30〜150g/m2が挙げられ、透明性と不燃性とをより両立するという観点から、50〜90g/m2が好ましく挙げられ、60〜80g/m2がより好ましく挙げられる。また、第1樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2の厚さとしては、それぞれ、例えば、20〜100μmが挙げられ、透明性と不燃性とをより両立するという観点から、30〜70μmが好ましく挙げられ、40〜60μmがより好ましく挙げられる。また、例えば、第1樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2に、易滑性、易接着性、帯電防止性などの各種機能を付与するコーティング層及び/又は耐摩耗性を向上させるハードコート層等、別の層を積層する場合は、当該別の層の厚さとしては、それぞれ、例えば、0.1〜3μmが挙げられ、0.1〜1μmが好ましく挙げられる。
【0070】
透明シート10において、第1樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2は、透明性及び平滑性に優れたものであることが好ましい。第1樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2の透明性として、例えば、全光線透過率は90%以上が好ましく、90〜98%がより好ましい。また、例えば、ヘーズは1.5%以下が好ましく、0.3〜1.0%がより好ましい。
【0071】
また、工程Bにおいて、第1樹脂フィルム1の一方側の表面11には、後述のカバー材4が予め積層されていてもよい。
【0072】
(工程C)
工程Cにおいては、工程Bの後、未硬化樹脂組成物層を硬化させて、第1の硬化樹脂組成物層を得る。具体的には、工程Cでは、工程A及び工程Bによって得られた、プロセスフィルム/未硬化樹脂組成物層/第1樹脂フィルム1が順に積層された積層体において、未硬化樹脂組成物層を加熱や光照射(すなわち、熱エネルギー及び光エネルギーのうち少なくとも一方の付与)により硬化させて、未硬化樹脂組成物層が硬化した第1の硬化樹脂組成物層を得る。
【0073】
熱エネルギーの付与によって未硬化樹脂組成物層を硬化させる場合、加熱温度は、特に制限されず、例えば50〜200℃程度とすることができる。また、光エネルギーの付与によって未硬化樹脂組成物層を硬化させる場合には、未硬化樹脂組成物層に光を照射して硬化させる。光照射の条件としては、例えば積算光量100〜500mJ/cm2とすることができる。なお、光照射は、前記の積層体のプロセスフィルム側又は第1樹脂フィルム1側(第1樹脂フィルム1に予めカバー材4が積層されている場合には、カバー材4側)から光を照射し、これらの層を透過させて未硬化樹脂組成物層に光エネルギーを付与することができる。また、工程Cにおいて、未硬化樹脂組成物層を硬化させた結果、得られる第1の硬化樹脂組成物層を完全に硬化することができる。ここで、完全に硬化とは、工程Cの段階で未硬化樹脂組成物層を硬化して得られる第1の硬化樹脂組成物層の屈折率が、最終的な透明シートに含まれる第1の硬化樹脂組成物層の屈折率と小数第3位の精度で一致することをいう。
【0074】
(工程D)
工程Dにおいては、プロセスフィルムを、第1の硬化樹脂組成物層の表面から除去する。具体的には、工程A〜Cによって得られた、プロセスフィルム/第1の硬化樹脂組成物層/第1樹脂フィルム1が順に積層された積層体から、プロセスフィルムを除去して、第1の硬化樹脂組成物層/第1樹脂フィルム1が積層された積層体を得る。
【0075】
プロセスフィルムを第1の硬化樹脂組成物層の表面から除去する方法としては、特に制限されず、例えば、プロセスフィルムを第1の硬化樹脂組成物層の表面から剥離すればよい。
【0076】
(工程E)
工程Eにおいては、第1の硬化樹脂組成物層の表面に、未硬化の硬化性樹脂組成物を供給する。具体的には、工程A〜Dによって得られた、第1の硬化樹脂組成物層/第1樹脂フィルム1が積層された積層体の第1の硬化樹脂組成物層の表面に、未硬化の硬化性樹脂組成物を供給する。
【0077】
前述の通り、本発明においては、工程E及び工程Fの少なくとも一方において、透明シート10に形成される硬化樹脂組成物層3の厚みを100%とした場合に、硬化樹脂組成物層3の厚み方向の中心Pの位置(50%)と、ガラス繊維布帛3の厚み方向の中心Qの位置(%)の差が、20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)となるように、第1の硬化樹脂組成物層の表面への前記未硬化の硬化性樹脂組成物の供給量を調整する。
【0078】
未硬化の硬化性樹脂組成物としては、工程Aで使用したものと同じものを用いる。すなわち、第1の硬化樹脂組成物層の表面に供給される未硬化の硬化性樹脂組成物は、工程Gで硬化されて第2の硬化樹脂組成物層となると共に、第1の硬化樹脂組成物層と第2の硬化樹脂組成物層とが一体化して硬化樹脂組成物層3となる。このため、第1の硬化樹脂組成物層と第2の硬化樹脂組成物層を形成する未硬化の硬化性樹脂組成物としては、同じ組成のものを用いる。
【0079】
工程Eにおいて、未硬化の硬化性樹脂組成物の供給量としては、硬化樹脂組成物層3の厚みや、硬化樹脂組成物層3の厚み方向の中心Pと、ガラス繊維布帛3aの厚み方向の中心Qとの位置関係に応じて、適宜調整され、例えば10〜100g/m2の範囲、好ましくは15〜80g/m2の範囲、さらに好ましくは20〜50g/m2の範囲で調整することができる。
【0080】
(工程F)
工程Fにおいては、前記未硬化の硬化性樹脂組成物の上に第2樹脂フィルム2を積層する。具体的には、工程A〜Eによって得られた、未硬化の硬化性樹脂組成物/第1の硬化樹脂組成物層/第1樹脂フィルム1が順に積層された積層体の未硬化の硬化性樹脂組成物の上に、第2樹脂フィルム2を積層して、第2樹脂フィルム2/未硬化の硬化性樹脂組成物/第1の硬化樹脂組成物層/第1樹脂フィルム1が順に積層された積層体を得る。
【0081】
前述の通り、本発明においては、工程E及び工程Fの少なくとも一方において、透明シート10に形成される硬化樹脂組成物層3の厚みを100%とした場合に、硬化樹脂組成物層3の厚み方向の中心Pの位置(50%)と、ガラス繊維布帛3の厚み方向の中心Qの位置(%)の差が、20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)となるように、前記未硬化の硬化性樹脂組成物の供給量を調整する。
【0082】
工程Fにおいては、第2樹脂フィルム2を未硬化の硬化性樹脂組成物の上に積層する際又は積層後に、第2樹脂フィルム2と第1の硬化樹脂組成物層との両側から未硬化の硬化性樹脂組成物に加わる圧力を高めることにより、未硬化の硬化性樹脂組成物を端部から流出させることができ、第1の硬化樹脂組成物層の上に位置する未硬化の硬化性樹脂組成物の量を調整することができる。第2樹脂フィルム2と第1の硬化樹脂組成物層との両側から未硬化の硬化性樹脂組成物に加わる圧力を高める方法としては、例えば、ローラを用いて加圧する方法が挙げられる。
【0083】
前述の通り、透明シート10において、第2樹脂フィルム2は、ガラス繊維布帛2に含浸された硬化樹脂組成物層3に積層されている。工程Fで使用する第2樹脂フィルム2についても、透明シート10において前述の第1樹脂フィルム1と同じ役割を果たし、工程Bで使用する第1の樹脂フィルム1とは、好ましい組成や厚み等が共通している。第2樹脂フィルム2の好ましい態様については、前述の通りである。
【0084】
工程Fにおいて、工程Bの第1樹脂フィルム1と同様、第2樹脂フィルム2の一方側の表面22には、後述のカバー材4が予め積層されていてもよい。
【0085】
(工程G)
工程Gは、第2樹脂フィルム2と第1の硬化樹脂組成物層との間に位置している未硬化の硬化性樹脂組成物を硬化させて、第2の硬化樹脂組成物層を形成し、第1の硬化樹脂組成物層と第2の硬化樹脂組成物とが一体化した硬化樹脂組成物層3を形成する工程である。具体的には、工程A〜Fによって得られた、第2樹脂フィルム2/未硬化の硬化性樹脂組成物/第1の硬化樹脂組成物層/第1樹脂フィルム1が順に積層された積層体において、未硬化の硬化性樹脂組成物を加熱や光照射(すなわち、熱エネルギー及び光エネルギーのうち少なくとも一方の付与)により硬化させて、第2の硬化樹脂組成物層を形成すると共に、第2の硬化樹脂組成物層と第1の硬化樹脂組成物層とが一体化された硬化樹脂組成物層3を形成することによって、第2樹脂フィルム2/硬化樹脂組成物層3/第1樹脂フィルム1が順に積層された本発明の透明シート10を得る工程である。
【0086】
熱エネルギーの付与によって未硬化の硬化性樹脂組成物を硬化させる場合、加熱温度は、特に制限されず、例えば50〜200℃程度とすることができる。また、光エネルギーの付与によって未硬化の硬化性樹脂組成物を硬化させる場合には、未硬化の硬化性樹脂組成物に光を照射して硬化させる。光照射の条件としては、例えば積算光量100〜500mJ/cm2とすることができる。なお、光照射は、前記の積層体の第2樹脂フィルム2側(第2樹脂フィルム2に予めカバー材4が積層されている場合には、カバー材4側)又は第1樹脂フィルム1側(第1樹脂フィルム1に予めカバー材4が積層されている場合には、カバー材4側)から光を照射し、これらの層を透過させて未硬化の硬化性樹脂組成物に光エネルギーを付与することができる。
【0087】
工程Gにおいては、第1の硬化樹脂組成物層と接するように設けられている未硬化の硬化性樹脂組成物を硬化させると、第2の硬化樹脂組成物層となるが、第2の硬化樹脂組成物層と第1の硬化樹脂組成物層とは当該硬化に際して自然に一体化して、硬化樹脂組成物層3となる。
【0088】
透明シート10において、硬化樹脂組成物層3の厚さは、工程A,Bと、工程E,Fとによって調整することができ、例えば、20〜130μmが挙げられ、透明シートの透明性と不燃性とをより両立するという観点から、30〜80μmが好ましく挙げられる。
【0089】
また、本発明の透明シート10には、図2に示されるように、両面に剥離可能なカバー材4を積層してもよい。カバー材4は、第2樹脂フィルム2/硬化樹脂組成物層3/第1樹脂フィルム1が順に積層された本発明の透明シート10を得た後、第1の樹脂フィルム1の表面11,第2樹脂フィルム2の表面22に積層してもよいし、前述のように、工程B及び工程Fにおいて、それぞれ、第1樹脂フィルム1の一方側の表面11及び第2樹脂フィルム2の一方側の表面22にカバー材4が予め積層されたものを用いてもよい。
【0090】
(剥離可能なカバー材4)
本発明の透明シート10は、必要に応じて、第1の樹脂フィルム1の表面11及び第2樹脂フィルム2の表面22の少なくとも一方に、使用時に剥離される剥離可能なカバー材4をさらに備えていてもよい。これにより、例えば、透明シート10を防煙垂壁とする場合、施工時に透明シート10に傷等が発生し透明性や美感が低下するのを防ぎやすくなる。
【0091】
カバー材4は、例えば、建築基準法により防煙垂壁設置が義務付けられる施設に設置される場合に、例えば、防煙垂壁設置工事終了後に(すなわち、防煙垂壁として使用する際に)、透明シート10から剥離される。一方、当該カバー材4の剥離の際、第1の樹脂フィルム1の表面11及び第2樹脂フィルム2の表面22と当該カバー材4との摩擦が生じ、第1の樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2に静電気を帯びてしまう場合があり、空気中に存在する粉塵等が防煙垂壁表面に付着してしまうことが考えられる。従って、第1の樹脂フィルム1の表面11及び第2樹脂フィルム2の表面22にカバー材4を積層する場合は、第1の樹脂フィルム1の表面11側及び第2樹脂フィルム2の表面22側は、帯電防止剤を含むことが好ましい。これにより、カバー材4の剥離に伴う静電気発生がより一層抑制でき、透明シート10の優れた透明性を維持しやすくなる。
【0092】
剥離可能なカバー材4としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができ、カバー材4を剥離する際に、カバー材4と第1の樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2との接着力が、第1の樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2と硬化樹脂組成物層3との接着力よりも小さいものであればよい。中でも、カバー材4として、光透過性のカバー材とすれば、例えば、前述した硬化樹脂組成物層3を形成する硬化性樹脂組成物を、光硬化性の硬化樹脂組成物とする場合に、当該硬化樹脂組成物を硬化させる工程においても第1の樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2に傷等が発生し透明性や美感が低下することを防ぎやすくなる点で好ましい。上記光透過性としては、光硬化性樹脂を硬化させる光を透過させれば特に制限されないが、例えば、100〜400nmの波長の光を透過させるもの、250〜400nmの波長の光を透過させるものが挙げられる。カバー材の光線透過率としては、例えば、UV透過率測定器(株式会社島津製作所製商品名UV3150)にて測定する、測定波長250〜400nm間の平均透過率として40%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上が特に好ましい。
【0093】
<第2の態様>
本発明の第2の態様の透明シートの製造方法は、以下の工程H〜Kを順に備えていることを特徴としており、第1の態様の透明シートの製造方法と同じく、第2の態様の透明シートの製造方法により得られる透明シートは、透明シートが置かれる環境の温度変化が大きい場合にも、反りが効果的に抑制される透明シートとなる。すなわち、第2の態様の透明シートの製造方法においては、工程Hの「第2樹脂フィルムの一方面に、未硬化の硬化性樹脂組成物が硬化した第2の硬化樹脂組成物層を設ける」工程と、工程Iの「第2の硬化樹脂組成物層の表面に、ガラス繊維布帛に未硬化の硬化性樹脂組成物が含浸された未硬化樹脂組成物層を形成する」工程の少なくとも一方の工程において、本発明の透明シートの硬化樹脂組成物層に含まれる硬化樹脂組成物の含有量を調整することができ、これにより、硬化樹脂組成物層3の厚み方向におけるガラス繊維布帛3aの位置関係も調整することが可能となる。そして、工程H及び工程Iの少なくとも一方の工程によって、硬化樹脂組成物層3の厚みを100%とした場合に、硬化樹脂組成物層3の厚み方向の中心の位置(50%)と、ガラス繊維布帛3aの厚み方向の中心の位置(%)の差を20%以下となるように調整することよって、得られる透明シートは、環境の温度変化が大きい場合にも、反りが効果的に抑制されたものとなる。
【0094】
工程H:第2樹脂フィルムの一方面に、未硬化の硬化性樹脂組成物が硬化した第2の硬化樹脂組成物層を設ける工程
工程I:第2の硬化樹脂組成物層の表面に、ガラス繊維布帛に未硬化の硬化性樹脂組成物が含浸された未硬化樹脂組成物層を形成する工程
工程J:未硬化樹脂組成物層の上に第1樹脂フィルムを積層する工程
工程K:第1樹脂フィルムと前記第2の硬化樹脂組成物層との間に位置している未硬化の硬化性樹脂組成物を硬化させて、第1の硬化樹脂組成物層を形成し、前記第1の硬化樹脂組成物層と前記第2の硬化樹脂組成物とが一体化した前記硬化樹脂組成物層を形成する工程
【0095】
本発明の第2の態様の透明シートの製造方法は、第1の樹脂フィルム1、硬化樹脂組成物層3、及び第2の樹脂フィルム層2を形成する手順が第1の態様の方法と異なること以外は、第1の態様と同様にして、本発明の透明シートを製造することができる。すなわち、第2の態様において、第1の樹脂フィルム、第2の樹脂フィルム、及び未硬化の硬化樹脂組成物、さらには必要に応じて設けられる剥離可能なカバー材4の詳細については、第1の態様で説明したとおりである。
【0096】
なお、第2の態様の工程H(すなわち、第2樹脂フィルムの一方面に、未硬化の硬化性樹脂組成物が硬化した第2の硬化樹脂組成物層を設ける工程)において、第2樹脂フィルムの一方面に、未硬化の硬化性樹脂組成物を供給し、未硬化の硬化樹脂組成物の上から前記プロセスフィルムを積層して、この状態で未硬化の硬化樹脂組成物を硬化させることにより、第2の硬化樹脂組成物層を形成し、次いでプロセスフィルムを除去して、次の工程Iを行っても良い。この際の未硬化の硬化樹脂組成物の硬化条件や、プロセスフィルムの積層、除去方法についても、第1の態様と同様に行うことができる。また、第1の態様の工程Cと同様、第2の態様の工程Hにおいて、第2の硬化樹脂組成物とする未硬化の硬化樹脂組成物を硬化させた結果、得られる第2の硬化樹脂組成物層を完全に硬化することができるし、完全に硬化させないようにすることもできる。
【0097】
(本発明の透明シート10の物性、性能等)
本発明の透明シート10は、少なくとも、第1樹脂フィルムと、ガラス繊維布帛が硬化樹脂組成物中に配置されている硬化樹脂組成物層と、第2樹脂フィルムとがこの順に積層されている透明シートである。本発明の透明シート10において、硬化樹脂組成物層3の厚みを100%とした場合に、硬化樹脂組成物層3の厚み方向の中心Pの位置(50%)と、ガラス繊維布帛3aの厚み方向の中心Qの位置(%)の差は、20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。前述の通り、硬化樹脂組成物層3には、ガラス繊維布帛3が、1層のみ含まれていてもよいし、複数層含まれていてもよい。ガラス繊維布帛3が複数層積層されている場合には、少なくとも1層のガラス繊維布帛3が、当該関係を有していることが好ましい。ガラス繊維布帛3の中心Qの位置の調整のしやすさなどの観点からは、硬化樹脂組成物層3には、ガラス繊維布帛3が、1層のみ含まれていることが好ましい。
【0098】
本発明の透明シート10において、第1樹脂フィルム1、ガラス繊維布帛3a、硬化樹脂組成物、硬化樹脂組成物層3、及び第2樹脂フィルム2の詳細については、前述の通りである。また、前述の通り、本発明の透明シート10の両面には、カバー材4を設けることができる。カバー材4の詳細についても、前述の通りである。
【0099】
本発明の透明シート10の厚さ(カバー材4を有する場合には、カバー材4の厚さを除く)としては、例えば100〜300μm、好ましくは150〜200μmが挙げられる。また、本発明の透明シート10の質量(カバー材4を有する場合には、カバー材4の質量を除く)として、例えば100〜400g/m2が挙げられ、150〜300g/m2が好ましく挙げられる。また、本発明の透明シート10において、前記硬化樹脂組成物層及び前記熱可塑性樹脂層の合計質量が150〜300g/m2、より好ましくは150〜200g/m2であると、透明性と不燃性とを一層両立しやすくなるので好ましい。
【0100】
本発明の透明シート10の全光線透過率は、85%以上が挙げられ、好ましくは90%以上である。また、本発明の透明シート10のヘーズは、5%以下が挙げられ、3%以下が好ましく、1%以下がより好ましい。透明シート10の全光線透過率及びヘーズは、それぞれ、JIS K7375 2008「プラスチック−全光線透過率及び全光線反射率の求め方」に従って測定して得られた値である。
【0101】
本発明の透明シート10は、ガラス繊維布帛3aを含むため、燃えにくい性質(不燃性)を備えることができる。すなわち、本発明の透明シート10は、透明不燃性シートであってもよい。本発明の透明シート10の不燃性としては、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法に従って測定される、輻射電気ヒータからシートの表面に50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験において、加熱開始後の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えず、総発熱量が8MJ/m2以下であることが好ましい。不燃性をより一層向上させるためには、例えば、硬化樹脂組成物層3、第1の樹脂フィルム1、及び第2樹脂フィルム2において、難燃剤の添加や有機物量の減量等を行なえばよい。
【0102】
(本発明の透明シートの用途)
本発明の透明シート10の用途としては、防煙垂壁とすることが挙げられる。中でも、本発明の透明シートは、防煙垂壁使用時において最外層となる層が、第1の樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム2である場合は、高周波溶着加工が可能となることから、テンション式防煙垂壁用として、好適に用いることができる。本発明において、テンション式防煙垂壁とは、2対の方立の間に透明不燃性シートが張設されてなる垂壁であり、例えば、天井に垂下されて設置される場合の透明不燃性シートの下部側に無目を有さない防煙垂壁が挙げられる。また、ガラスの代替と成り得ることから、ガラスが用いられている他の用途、例えば、パーティション、間仕切り、防煙シート、防煙カーテン(例えば工場などで使用されるもの)、タッチパネル等に適用することもできる。また、本発明の透明シート10は、硬化性樹脂組成物層3の質量を、例えば、20〜100g/m2、より好ましくは20〜50g/m2とした場合は、より一層柔軟性に優れるものとなることから、ロール製品としやすくなる。当該ロール製品の長手方向長さとしては、例えば、5〜300m等が挙げられる。
【実施例】
【0103】
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
【0104】
実施例及び比較例において、ガラス繊維布帛及び硬化性樹脂組成物としては、それぞれ以下のものを使用した。
【0105】
(ガラス繊維布帛)
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製商品名「ECC1200
1/0 1.0Z」(平均フィラメント径4.5μm、平均フィラメント本数100本、撚り数1.0Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が90本/25mm、緯糸密度が90本/25mmの平織のガラス繊維織物を得た。ついで、得られたガラス繊維織物に付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱して除去した。その後、表面処理剤のシランカップリング剤(S−350:N−ビニルベンジル−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)チッソ株式会社)を15g/Lの濃度に調整しパダーロールで絞った後、120℃で1分乾燥・キュアリングした。そして、圧力1.5MPaの水流加工でガラス繊維織物の張力を経方向が100N/mとしながら拡幅処理を2回施し、ガラス繊維織物を得た。得られたガラス繊維織物は、経糸密度90本/25mm、緯糸密度90本/25mm、厚さ27μm、質量30g/m2、屈折率1.561であった。
【0106】
(硬化性樹脂組成物)
アクリルシラップ(株式会社菱晃製商品名「アクリシラップXD−8005」(屈折率1.550)及び「アクリシラップXD−8006」(屈折率1.570)を質量比1:1で混合したもの)100質量部と、光重合開始剤(IGM社製のOmnirad 184)3質量部の混合物を使用した。
【0107】
(透明シートの製造)
以下の手順より、実施例1,2及び比較例1の各透明シートを製造した。
【0108】
<実施例1>
プロセスフィルムとしてのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、ユニチカ株式会社社製のエンブレット(登録商標)品番S75、プレーングレード、全光線
透過率93%、ヘーズ4%、厚み75μm)の一方面に、硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、塗布した硬化性樹脂組成物の上に、ガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に硬化性樹脂組成物を含浸させた。このとき、ガラス繊維布帛の両面は、硬化性樹脂組成物中に浸漬されていた。また、ガラス繊維布帛は、プロセスフィルムの表面に接触していた。次に、第1樹脂フィルムとしてのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東洋紡株式会社社製のコスモシャイン(登録商標)A4300、全光線透過率93%、ヘーズ0.9%、厚み50μm)をさらに上から載せて、第1樹脂フィルムの上から硬化性樹脂組成物の塗布量(g/m2)及び厚み(μm)が表1の値(1回目の塗布量及び厚み)となるようにローラで加圧して、プロセスフィルム/未硬化の硬化性樹脂組成物/第1樹脂フィルムが順に積層された積層体を得た。次に、ブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて、この積層体に光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)することで、プロセスフィルムと第1樹脂フィルムとの間の硬化性樹脂組成物を硬化させて、第1の硬化樹脂組成物層を形成して、プロセスフィルム/第1の硬化樹脂組成物層/第1樹脂フィルムが順に積層された積層体を得た。
【0109】
次に、得られた積層体からプロセスフィルムを剥離除去し、露出した第1の硬化性樹脂組成物の表面に、前記の硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、第2樹脂フィルムとしてのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東洋紡株式会社社製のコスモシャイン(登録商標)A4300、全光線透過率93%、ヘーズ0.9%、厚み50μm)を上から載せて、第2樹脂フィルムの上から硬化性樹脂組成物の塗布量(g/m2)及び厚み(μm)が表1の値(2回目の塗布量及び厚み)となるようにローラで加圧して、第2樹脂フィルム/硬化性樹脂組成物/第1の硬化性樹脂組成物/第1樹脂フィルムが順に積層された積層体を得た。次に、ブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて、この積層体に光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)することで、第2樹脂フィルムと第1の硬化樹脂組成物層との間の硬化性樹脂組成物を硬化させて、第2の硬化樹脂組成物層を形成することで、第1の硬化樹脂組成物層と第2の硬化樹脂組成物とが一体化した硬化樹脂組成物層を形成した。以上のようにして、第1樹脂フィルム/ガラス繊維布帛が硬化樹脂組成物中に配置されている硬化樹脂組成物層/第2樹脂フィルムがこの順に積層された透明シートを製造した。
【0110】
<実施例2>
実施例1において、硬化性樹脂組成物の1回目及び2回目の塗布量(g/m2)及び厚み(μm)が、それぞれ、表1の値となるようにして、硬化性樹脂組成物の塗布と、プロセスフィルム及び第2樹脂フィルムの上からの加圧を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、第1樹脂フィルム/ガラス繊維布帛が硬化樹脂組成物中に配置されている硬化樹脂組成物層/第2樹脂フィルムがこの順に積層された透明シートを製造した。
【0111】
<比較例1>
実施例1において、硬化性樹脂組成物の1回目及び2回目の塗布量(g/m2)及び厚
み(μm)が、それぞれ、表1の値となるようにして、硬化性樹脂組成物の塗布と、プロセスフィルム及び第2樹脂フィルムの上からの加圧を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、第1樹脂フィルム/ガラス繊維布帛が硬化樹脂組成物中に配置されている硬化樹脂組成物層/第2樹脂フィルムがこの順に積層された透明シートを製造した。
【0112】
【表1】
【0113】
(硬化樹脂組成物層中のガラス繊維布帛の位置)
上記で得られた各透明シートについて、樹脂包埋法により、透明シートの厚さ方向切断面について、走査型電子顕微鏡画像を取得し、以下の手順により、硬化樹脂組成物層中のガラス繊維布帛の位置を測定した。
【0114】
1.サンプル作成及び測定画像取得
透明シートを、任意の3箇所において、それぞれ下記走査型電子顕微鏡で測定可能な大きさにカットした。そして、カットした透明シートを、それぞれ図1の模式図に示すようにして、ガラス繊維布帛横断面が下記の方法で観察可能となるよう、エポキシ樹脂に埋設し、該エポキシ樹脂を硬化させて測定面を研磨し、測定サンプルとした。得られた前記任意の3箇所のサンプルの測定面を、走査型電子顕微鏡を用いて、倍率200倍で撮影し、任意の3箇所の測定画像を得た。
【0115】
2.硬化樹脂組成物層3の厚みX、及び、硬化樹脂組成物層3の表面31,32のうち、ガラス繊維布帛3aの中心Qに近い側の表面から、ガラス繊維布帛の中心Qまでの厚み方向の距離Yの測定
図1の模式図に示されるように、前記任意の3箇所の測定画像において、任意の箇所の硬化樹脂組成物層3の厚みXを測定し、硬化樹脂組成物層3の表面31,32からの硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心Pまでの距離をそれぞれ算出した(表面31,32から中心Pまでの距離は同じである)。また、図1の模式図に示されるように、任意の3箇所の測定画像について、それぞれ、隣り合うガラス糸F1、F2を任意に選択し、F1、F2において、硬化樹脂組成物層3の表面31、32から最短距離となるフィラメントf1、f2を選択し、フィラメントf1、f2について透明シートの平面方向と平行となる接線L1、L2(硬化樹脂組成物層3の表面31、32側の接線)を引き、L1及びL2の法線におけるL1、L2からの中心点Qを定めた。そして、硬化樹脂組成物層3の表面31,32のうち、ガラス繊維布帛3aの中心Qに近い側の表面から、ガラス繊維布帛の中心Qまでの厚み方向の距離Y(図1では、硬化樹脂組成物層3の表面32から、ガラス繊維布帛3aの中心Qまでの距離Y)を測定した。
【0116】
3.硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心の位置(50%)と、ガラス繊維布帛の厚み方向の中心の位置(%)の差
任意の3箇所の測定画像それぞれについて、硬化樹脂組成物層3の厚みXを100%とし、得られたガラス繊維布帛の中心Qまでの厚み方向の距離Yの割合(%)を算出した。ガラス繊維布帛の中心Qまでの厚み方向の距離Yの割合(%)は、前述の3箇所の測定画像での平均値である。ガラス繊維布帛の中心Qまでの厚み方向の距離Yの割合(%)から、硬化樹脂組成物層3の厚みXを100%とした場合について、硬化樹脂組成物層3の厚み方向の中心Pの位置(50%)と、ガラス繊維布帛3aの厚み方向の中心Q(%)との差(%)を算出した。結果を表2に示す。
【0117】
例えば、当該距離Yの割合が50%であれば、硬化樹脂組成物層3の中心Pの位置と、ガラス繊維布帛3aの中心Qの位置とが一致しており、硬化樹脂組成物層3の厚み方向の中心Pの位置と、ガラス繊維布帛3aの厚み方向の中心Qの位置との差は、0%となる(すなわち、厚み方向の中心Pと中心Qのズレが0%)。また、例えば、実施例1のように、硬化樹脂組成物層3の厚みX(100%)に対する、ガラス繊維布帛の中心Qまでの厚み方向の距離Yの割合が43%であれば、硬化樹脂組成物層3の厚み方向の中心Pの位置と、ガラス繊維布帛3aの厚み方向の中心Qの位置との差は、7%となる。硬化樹脂組成物層3の表面からガラス繊維布帛の中心Qまでの厚み方向の距離Yの割合(%)が50%に近いほど、硬化樹脂組成物層3の中心Pの位置と、ガラス繊維布帛3aの中心Qの位置との差は小さくなる。
【0118】
各透明シート10について測定した、硬化樹脂組成物層3の表面からガラス繊維布帛3aの中心Qまでの厚み方向の距離Yの割合(%)、及び、硬化樹脂組成物層3の厚み方向の中心Pとガラス繊維布帛3aの厚み方向の中心Qとの差(%)を表2に示す。
【0119】
【表2】
【0120】
(低温環境での透明シートの反りの評価)
上記で得られた各透明シートを20cm角の正方形に切り出して試験片とした。次に試験片を、ステンレス製の鏡面板上に静置した(試験前の環境:相対湿度50%、室温(25℃))。次に、試験片を鏡面板上に静置した状態のまま、恒温槽(試験環境:相対湿度50%、温度−15℃)に移し、そのまま10分間放置した。次に、恒温層から、試験片を鏡面板ごと取り出し、直ちに試験片の反りが最も大きな箇所について、鏡面板からの高さを測定して、反り量(mm)とした。結果を表3に示す。なお、図3のように、試験片(透明シート10)の反り量Dの測定においては、反りが発生した試験片の中心側が高くなるようにして、試験片(透明シート10)を鏡面板20上に静置した状態で測定を行った。結果を表3に示す。
【0121】
(高温環境での透明シートの反りの評価)
前記の(低温環境での透明シートの反りの評価)において、恒温槽での試験環境を、「相対湿度50%、温度−15℃」から「相対湿度50%、温度80℃」に変更したこと以外は、(低温環境での透明シートの反りの評価)と同様にして、各透明シートの反り量Dを測定した。結果を表3に示す。
【0122】
(透明シートの全光線透過率及びヘーズ)
各透明シートの全光線透過率及びヘーズは、JIS K7375 2008「プラスチック−全光線透過率及び全光線反射率の求め方」に従って測定した。結果を表3に示す。
【0123】
(透明シートの不燃性の評価)
上記で得られた各透明シートの表面に、輻射電気ヒータで50kw/m2の輻射熱を照射し、加熱開始後20分間の総発熱量と、加熱開始後20分間に発熱量が200kw/m2を超えた時間を測定した。加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m2以下であり、加熱開始後20分間に最高発熱速度が10秒以上継続して200kw/m2を超えない場合に、不燃性に優れる(A)と評価とした。結果を表3に示す。
【0124】
【表3】
【0125】
表2,3に示される結果から明らかなとおり、実施例1,2の透明シートは、本発明の透明シートの製造方法を採用して、硬化樹脂組成物層の厚みを100%とした場合に、前記硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心の位置(50%)と、前記ガラス繊維布帛の厚み方向の中心の位置(%)の差が、20%以下となるようにして製造されたものであり、透明シートが置かれる環境の温度変化が大きい場合(すなわち、室温(25℃)から、−15℃という低温環境または80℃という高温環境に置かれた場合)にも、反りが効果的に抑制されることが分かる。また、実施例1,2の透明シートは、全光線透過率が高く、ヘーズが小さいため、優れた透明性を備えている。さらに、実施例1,2の透明シートは、優れた不燃性を備えていた。
【0126】
これに対して、比較例1の透明シートは、特許文献1,2のような従来の透明シートの製造方法が採用され、前記硬化樹脂組成物層の厚み方向の中心の位置(50%)と、前記ガラス繊維布帛の厚み方向の中心の位置(%)の差が、20%を超える透明シートであり、透明シートが置かれる環境の温度変化が大きい場合に、反りの発生が大きいことが分かる。
【符号の説明】
【0127】
1…第1樹脂フィルム
2…第2樹脂フィルム
3…硬化樹脂組成物層
3a…ガラス繊維布帛
3b…硬化樹脂組成物
4…剥離可能なカバー材
10…透明シート
11…第1樹脂フィルムの表面
22…第2樹脂フィルムの表面
31…硬化樹脂組成物層の表面
32…硬化樹脂組成物層の表面
40…鏡面板
図1
図2
図3