【実施例1】
【0016】
図1から
図4に従って、本発明を説明する。
図1は、本発明に係る骨壺の実施例の全体斜視図である。
図2は、骨壺の正面図である。
図3は、骨壺の形態のバリエーションを示す模式図である。
図4は、骨壺の組み立て手順を示す図である。
骨壺1は、複数の筒型の形状の集合体であり、複数の筒型が軸方向に連なり、全体として、1つの筒型を形成する構造である。この構造により、複数の遺骨を混在することなく、一体に安置するものである。骨壺1は、所定の底面積を持つ筒状であることから、納骨堂内で自立可能であり、設置時の作業が容易である。
骨壺1は、筒部10と蓋部40とから構成されている。
【0017】
筒部10は、遺骨70を収納する容器である。筒型であり、端部は解放されている。両端部の内側には、蓋部40と螺合するための雌螺子部11が切られている。
筒の形状は、形状をシンプルにできる円筒である。筒部10の大きさは、収納する遺骨70の容積によって、複数の種類を持つ。人の遺骨70の場合は、例えば、円筒の直径を120mm、軸方向の長さは250mm、筒の厚さを5mmとすることで、約2リットルの容積を確保することができる。人用の筒部10は、最も容積が大きい筒部大型20となる。
遺骨70は、直接、筒部10内に収納しても良いし、遺骨70を袋に入れ、袋を筒部10内に収納しても良い。また、遺骨70の収納に際し、粉骨化した上で収納することも可能であり、それにより隙間なく収納可能で容量が増すと共に、収納し易くなる。
【0018】
ペットも共に安置することも可能である。ペットの種類によって、必要な容量が異なる。例えば、以下のような容量が考えられる。
・ハムスター、小鳥、爬虫類(小さめ)等は0.042リットル
・フュレット、モルモット、デグー等は0.072リットル
・子猫、子犬、ウサギ、超小型犬等は0.148リットル
・猫、小型犬、チワワ等は0.229リットル
・小〜中型犬、シーズー、ヨークシャーテリア等は0.348リットル
・中型犬、柴犬、ビーグル、シェルティー等は0.693リットル
・大型犬、ラブラドール、ゴールデンリバー、ハスキー等は1.12 リットル
【0019】
筒部10の容量をきめ細かく分けてもいいし、例えば、限定して2乃至4種類程度にまとめても良い。例として、大型犬、中型犬用として、軸方向の長さ180mmのものを用意する。容量は、約1.5リットルである。ここでは、筒部中型21と称する。それ以下の大きさのペット用として、軸方向の長さ90mmのものを用意する。容量は、約0.6リットルである。ここでは、筒部小型22と称する。
このように、筒部10の種類として筒部大型20、筒部中型21、筒部小型22の3種類を持つことで、人や様々なペットの遺骨70に対応することができる。
【0020】
筒部10の材質は、アルミニューム、アルミ合金、ステンレスが好適である。軽く腐食しにくいからである。軽いことで、安置作業が容易になる。腐食しにくいことで、安置後の長期間の遺骨70の保存に耐えることができる。
【0021】
蓋部40は、筒部10の端部を閉じるためのものである。丸棒材を加工して作られる。材質は、筒部10と同じアルミニューム、アルミ合金、ステンレスが好適である。複数の筒部10を一体化することから、蓋部40には、端部用蓋部50と中間用蓋部51の2つの種類がある。
【0022】
端部用蓋部50は、骨壺1の端部に設けられるものである。筒部10の底面積とほぼ同じ広さの板面を2面持ち、筒部10の端部側には、突出した部分を持ち、その部分に筒部10の雌螺子部11に対応する雄螺子部41が形成されている。筒部10の端部の雌螺子部11と端部用蓋部50の雄螺子部41を螺合することによって、筒部10の端部が閉じられ、容器となる。
【0023】
中間用蓋部51は、2つの筒部10を接続しつつ、2つの筒部10の端部を閉じる部材である。中間用蓋部51の両板面には、突出した部分を持ち、その部分に筒部10の雌螺子部11に対応する雄螺子部41が形成されている。2つの筒部10の端部と中間用蓋部51の両面の雄螺子部41を螺合することによって、2つの筒部10は一体化し、2つの筒部10の端部は閉じられ、筒部10は密閉される。
このように、蓋部40の螺子部は、一面が雄螺子部41のものと、両面が雄螺子部41のものとがある。
【0024】
骨壺1の形状のバリエーションについて、
図3に沿って説明する。
配偶者等と隣り合って安置されたい場合は、
図3(a)のように、2つの人用の筒部10である筒部大型20を2つ用い、上下に接続する。骨壺1の上端と下端は、雌螺子部31で閉じられ、2つの筒部10間は、雄螺子部32で接続され、2つの筒部10は閉じられている。
【0025】
人と大型犬の場合を
図3(b)に示す。筒部10は、筒部大型20と筒部中型21を用いる。筒部大型20には、人の遺骨70を入れ、筒部中型21には、大型犬の遺骨70を入れる。筒部10の端部は、端部用蓋部50、中間用蓋部51によって閉じる。
【0026】
図3(c)、
図3(d)は、中型犬以下のペットを複数収納する場合の例である。人の遺骨70を筒部大型20に入れ、ペットの遺骨70を複数の筒部小型22に分けて入れる。
このように、複数の遺骨70を、制限無く、一体として収納し、安置することができる。
【0027】
次に、一人目を収納後、2人目を収納する場合の手順を
図4に沿って、説明する。一緒に安置されたい場合であっても、亡くなる時期は異なることが多い。一方が亡くなった後、他方が亡くなった際の収納の手順を示す。
一方を収納する際は、1つの筒部10の両端を端部用蓋部50によって閉じる。その後、他方が亡くなった際、筒部10の上部の端部用蓋部50を外し、中間用蓋部51に付け替え、新たに、もう一つの筒部10を中間用蓋部51に接続する。新たな筒部10の中に遺骨70を入れ、上部を端部用蓋部50で閉じる。
筒部10の上部の端部用蓋部50を外す際、遺骨70が袋に入っていれば、遺骨70が露出することなく、作業を行うことができる。
【0028】
このように、本実施例の骨壺によれば、複数の故人の遺骨を異なる領域に封止可能であり、混在することなく、一体として、個体数に制限なく収納することができるので、配偶者や近親者、ペット等を確実に、隣接して安置することができる。
【0029】
また、複数の遺骨70を上下の階層として安置できるので、買主を上、ペットを下の階層とすることで、買主とペットに関係に則した安置を行うことができる。
【0030】
また、納骨堂を管理する側についても、納骨堂の移転等で骨壺を移動するような場合、隣り合って安置すべき遺骨を、必ず、隣り合って安置できるので作業上の負担が軽減される。
【実施例2】
【0031】
他の実施例について
図5、
図6を用いて説明する。実施例1と同様の部分は省略する。
図5は、他の実施例の斜視図である。
図6は、他の実施例の正面図である。
実施例1によって、複数の遺骨を混在することなく、数の制限もなく、一体として安置することができる。しかしながら、遺骨を追加する際に、先の遺骨の入った容器の蓋を開放しなければならず、永眠を妨げるイメージを持つ場合もある。また、再安置する場合、筒部の表面への氏名等の記載が薄くなると、上下の判断がつきにくい場合もあり、不用意に、逆さに安置してしまう可能性もある。
そこで、先の遺骨を開放することなく、上下の区別がつきやすい構造が求められていた。
【0032】
本実施例に係る骨壷1は、第2の筒部30と第2の蓋部60から構成されている。材質は、実施例1と同じである。
第2の筒部30は、実施例1と同様に筒状である。上端部の内側には、雌螺子部31があり、第2の蓋部60の雄螺子部61と螺合する。下端部の外側には、雄螺子部32があり、第2の蓋部60の雌螺子部62と螺合する。上端部と下端部で、形状が異なるので、上下を誤ることはない。
【0033】
第2の蓋部60は、2つの板部を持ち、一方の板部は突出し、第2の筒部30の雌螺子部31に対応する雄螺子部61を持つ。他方の板部は、凹部を持ち、第2の筒部30の雄螺子部32に対応する雌螺子部62を持つ。
【0034】
組み立ては、第2の蓋部60の1つを雌螺子部62が上になるように置き、第2の蓋部60の雌螺子部62と第2の筒部30の雄螺子部32を螺合する。第2の筒部30の中に遺骨70を収納する。収納後、2つ目の第2の蓋部60の雄螺子部61と、第2の筒部30の上端の雌螺子部31を螺合することで、遺骨70を密閉する。
次に、2人目の遺骨70を収納する際は、新たな第2の筒部30の雄螺子部32を第2の蓋部60の雌螺子部62に螺合することにより、2段目の収納部分ができる。2人目の遺骨70を収納し、骨壺1の最上部の端部に三番目の第2の蓋部60を固定することで、一体化した骨壺1が完成する。
尚、上下の向きについては、上記実施例と逆転させる態様であっても構わない。
【0035】
このように、本実施例によって、1人目の遺骨70を露出することなく、2人目の遺骨70を収納できる。また、第2の筒部30の表面の記載が薄くなっても、骨壺1の上下関係は、形状から明確であるので、上下の取違は発生しないため、安置作業が容易になる。