特許第6940904号(P6940904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6940904マーケティング支援システム及びマーケティング支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6940904
(24)【登録日】2021年9月7日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】マーケティング支援システム及びマーケティング支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20210916BHJP
【FI】
   G06Q30/02 300
【請求項の数】8
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2021-31475(P2021-31475)
(22)【出願日】2021年3月1日
【審査請求日】2021年3月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520026892
【氏名又は名称】ノウンズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓志朗
【審査官】 岡 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−282982(JP,A)
【文献】 特開2004−151834(JP,A)
【文献】 特開2011−081534(JP,A)
【文献】 特開2002−259656(JP,A)
【文献】 特開2002−073688(JP,A)
【文献】 特開2002−133257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マーケティングを実施するユーザに対し、前記ユーザが前記マーケティングを実施する対象者の決定を支援するための情報を提示するコンピュータシステムによるマーケティング支援システムにおいて、
個人識別子認識部と、アンケート実施部と、回答認識部と、嗜好情報認識部と、マーケティング情報認識部と、二次候補者認識部と、利用可否認識部とを備え、
前記個人識別子認識部は、前記マーケティングの実施対象の候補である複数の一次候補者の各々について、該一次候補者自身を特定するための情報である個人識別子を、該一次候補者の使用する候補者端末から取得して認識
前記アンケート実施部は、前記複数の一次候補者の各々に対し、該一次候補者が使用する候補者端末を介して、該一次候補者の嗜好に関する情報である嗜好情報を把握するための質問を含むアンケートを提示するとともに、該アンケートに対する回答を入力可能な形式で提示し、該回答を取得し、
前記回答認識部は、前記複数の一次候補者の各々の候補者端末に入力された回答を、該一次候補者による回答として認識
前記嗜好情報認識部は、前記複数の一次候補者の各々について、該一次候補者による回答に基づいて、該一次候補者に関する前記嗜好情報を認識
前記マーケティング情報認識部は、前記ユーザに対し、前記ユーザが使用するユーザ端末を介して、前記マーケティングの内容に関する情報であるマーケティング情報に関する質問を提示するとともに、該質問に対する回答を入力可能な形式で提示し、該回答を取得し、該回答から前記マーケティング情報を認識
前記二次候補者認識部は、前記複数の一次候補者のうちから、前記嗜好情報及び前記マーケティング情報により二次候補者を認識
前記利用可否認識部は、前記二次候補者に対し、該二次候補者の使用する候補者端末を介して、前記マーケティングについて該二次候補者に対応する前記個人識別子の利用の可否に関する問い合わせを実施し、該問い合わせの結果を認識し、
前記二次候補者認識部は、前記ユーザに対し、前記ユーザ端末を介して、前記二次候補者のうち前記個人識別子の利用を許可した二次候補者の前記個人識別子を提示することを特徴とするマーケティング支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載のマーケティング支援システムにおいて、
前記嗜好情報と前記マーケティングの内容との相関の度合いを示すデータである相関データを格納する相関データ格納部を備え、
前記二次候補者認識部は、前記相関データ格納部から前記相関データを取得し、前記複数の一次候補者の各々について、前記嗜好情報、前記マーケティング情報、及び、前記相関データに基づいてスコアを算出するとともに、該スコアと所定の閾値との対比又は該スコアによる順位により、前記複数の一次候補者のうちから、前記二次候補者を認識することを特徴とするマーケティング支援システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のマーケティング支援システムにおいて、
母集団候補生成部と、母集団候補提示部と、母集団認識部とを備え、
前記母集団候補生成部は、前記アンケートに対する回答に基づいて、前記複数の一次候補者を分類して、複数の母集団候補を生成
前記母集団候補提示部は、前記ユーザに対し、前記ユーザ端末を介して、前記一次候補者の前記個人識別子を提示せずに、前記母集団候補を選択可能に提示するとともに、該母集団候補に含まれる前記一次候補者の前記アンケートに対する回答を提示
前記母集団認識部は、前記ユーザ端末を介して前記複数の母集団候補から選択された母集団候補を、母集団として認識し、
前記嗜好情報認識部は、前記複数の一次候補者のうち前記母集団に含まれる一次候補者について、該一次候補者による回答に基づいて、該一次候補者に関する前記嗜好情報を認識し、
前記二次候補者認識部は、前記複数の一次候補者のうち前記母集団に含まれる一次候補者のうちから、前記嗜好情報及び前記マーケティング情報により前記二次候補者を認識することを特徴とするマーケティング支援システム。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のマーケティング支援システムにおいて、
前記嗜好情報は、該嗜好情報に対応する前記一次候補者の嗜好が維持されていると推定される期間、及び、該嗜好が強くなると推定される時期の少なくとも一方を含み、
前記利用可否認識部は、前記二次候補者に対し、前記期間及び前記時期の少なくとも一方に属するタイミングで、該二次候補者に関する前記個人識別子の利用の可否に関する質問を実施することを特徴とするマーケティング支援システム。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のマーケティング支援システムにおいて、
マーケティング実施部を備え、
前記マーケティング実施部は、前記個人識別子の利用を許可した前記二次候補者に対し、該二次候補者の使用する候補者端末を介して、前記マーケティングを実施することを特徴とするマーケティング支援システム。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のマーケティング支援システムにおいて、
提供方法提示部を備え、
前記提供方法提示部は、前記個人識別子の利用を許可した前記二次候補者に対し、該二次候補者の使用する候補者端末を介して、該個人識別子を前記ユーザに提供するための方法を提示することを特徴とするマーケティング支援システム。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のマーケティング支援システムにおいて、
突合処理部を備え、
前記突合処理部は、前記ユーザの有している顧客データベースに含まれる該ユーザの商品又はサービスに関する顧客の個人識別子を取得し、該顧客の個人識別子と前記二次候補者の個人識別子とを突合して、該顧客の個人識別子に対応する個人識別子に対応する前記二次候補者を抽出するとともに、前記ユーザに対し、前記ユーザ端末を介して、該二次候補者を提示することを特徴とするマーケティング支援システム。
【請求項8】
個人識別子認識部と、アンケート実施部と、回答認識部と、嗜好情報認識部と、マーケティング情報認識部と、二次候補者認識部と、利用可否認識部とを備えているコンピュータシステムによるマーケティング支援システムが、マーケティングを実施するユーザに対し、前記ユーザが前記マーケティングを実施する対象者の決定を支援するための情報を提示するために実行するマーケティング支援方法において、
前記個人識別子認識部が、前記マーケティングの実施対象の候補である複数の一次候補者の各々について、該一次候補者自身を特定するための情報である個人識別子を、該一次候補者の使用する候補者端末から取得して認識する工程と、
前記アンケート実施部が、前記複数の一次候補者の各々に対し、該一次候補者が使用する候補者端末を介して、該一次候補者の嗜好に関する情報である嗜好情報を把握するための質問を含むアンケートを提示するとともに、該アンケートに対する回答を入力可能な形式で提示し、該回答を取得する工程と、
前記回答認識部が、前記複数の一次候補者の各々の候補者端末に入力された回答を、該一次候補者による回答として認識する工程と、
前記嗜好情報認識部が、前記複数の一次候補者の各々について、該一次候補者による回答に基づいて、該一次候補者に関する前記嗜好情報を認識する工程と、
前記マーケティング情報認識部が、前記ユーザに対し、前記ユーザが使用するユーザ端末を介して、前記マーケティングの内容に関する情報であるマーケティング情報に関する質問を提示するとともに、該質問に対する回答を入力可能な形式で提示し、該回答を取得し、該回答から前記マーケティング情報を認識する工程と、
前記二次候補者認識部が、前記複数の一次候補者のうちから、前記嗜好情報及び前記マーケティング情報により二次候補者を認識する工程と、
前記利用可否認識部が、前記二次候補者に対し、該二次候補者の使用する候補者端末を介して、前記マーケティングについて該二次候補者に対応する前記個人識別子の利用の可否に関する問い合わせを実施し、該問い合わせの結果を認識する工程と
前記二次候補者認識部が、前記ユーザに対し、前記ユーザ端末を介して、前記二次候補者のうち前記個人識別子の利用を許可した二次候補者の前記個人識別子を提示する工程とを備えていることを特徴とするマーケティング支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーケティングを実施するユーザに対し、ユーザがマーケティングを実施する母集団の決定、及び、母集団に対するマーケティングの実施を支援するマーケティング支援システム及びマーケティング支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多くの企業が、市場調査、広告等といったマーケティングを効果的に実施するために、マーケティングの実施対象の候補である候補者(例えば、顧客又は顧客になり得る者)の情報を収集するとともに、その収集された情報の解析を行っている。例えば、候補者ごとに、ウェブサイトの閲覧時間を参照して、その候補者が何に興味を持っているか等を把握している。
【0003】
ただし、そのような情報は、表面上は同じ情報であっても、その情報に対応する個人によって意味合いが異なってくる場合がある。例えば、自動車に関するウェブサイトを閲覧している者が、20代以上の大人であり、所得が一定範囲にある場合等には、その自動車の購入を検討している可能性が高いと推定できる。これに対し、閲覧している者が、10代半ばであった場合等には、直近でその自動車が購入される可能性は低いと推定できる。
【0004】
そのため、マーケティングにおいては、収集及び解析を行う情報を事前にある程度精査しなければ、有用な解析結果を得られない場合が多い。そして、その精査のためには、その情報に対応する個人の個人情報が重要な要因となる。
【0005】
すなわち、マーケティングにおいては、収集する情報そのものだけでなく、その情報に対応する個人がどのようなものであるかも把握しておかなければ、有用な解析結果を得ることはできない。そこで、その情報そのものだけでなく、その情報に対応する個人の個人情報(ひいては、その個人特定するための個人識別子等の情報)も併せて収集するようなマーケティング支援システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1に記載のシステムでは、マーケティングの実施対象である候補者が使用している情報端末の識別子(例えば、電話番号等)を参照することによって、その情報端末で閲覧されたウェブサイトに関する情報(例えば、閲覧時間等)に、予め取得していたその候補者の個人情報(例えば、年齢、性別等)を紐づけて、それらの情報を用いてマーケティングのための解析を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017−045337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近年、世界的に、個人情報を含むデータの取り扱いについて厳格な管理を求める動きが加速している。そのため、従来は、本人から利用の許可を得なくても、マーケティングに使用することができていた個人情報についても、今後は、許可を得なければ使用することができなくなる可能性が高い。ひいては、特許文献1に記載のようなシステムについても、その許可を得るための問い合わせを実施する構成が必要となる。
【0009】
しかし、そのような問い合わせが実施されたとしても、例えば、問い合わせの際に表示される情報(例えば、使用目的等)が不十分であったり、問い合わせを受ける者の知識が不十分であったりすると、許可を得にくくなるという問題があった。
【0010】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、効率よく個人情報についての利用の許可を得ることができるマーケティング支援システム及びマーケティング支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のマーケティング支援システムは、
マーケティングを実施するユーザに対し、前記ユーザが前記マーケティングを実施する対象者の決定を支援するための情報を提示するコンピュータシステムによるマーケティング支援システムにおいて、
個人識別子認識部と、アンケート実施部と、回答認識部と、嗜好情報認識部と、マーケティング情報認識部と、二次候補者認識部と、利用可否認識部とを備え、
前記個人識別子認識部は、前記マーケティングの実施対象の候補である複数の一次候補者の各々について、該一次候補者自身を特定するための情報である個人識別子を、該一次候補者の使用する候補者端末から取得して認識
前記アンケート実施部は、前記複数の一次候補者の各々に対し、該一次候補者が使用する候補者端末を介して、該一次候補者の嗜好に関する情報である嗜好情報を把握するための質問を含むアンケートを提示するとともに、該アンケートに対する回答を入力可能な形式で提示し、該回答を取得し、
前記回答認識部は、前記複数の一次候補者の各々の候補者端末に入力された回答を、該一次候補者による回答として認識
前記嗜好情報認識部は、前記複数の一次候補者の各々について、該一次候補者による回答に基づいて、該一次候補者に関する前記嗜好情報を認識
前記マーケティング情報認識部は、前記ユーザに対し、前記ユーザが使用するユーザ端末を介して、前記マーケティングの内容に関する情報であるマーケティング情報に関する質問を提示するとともに、該質問に対する回答を入力可能な形式で提示し、該回答を取得し、該回答から前記マーケティング情報を認識
前記二次候補者認識部は、前記複数の一次候補者のうちから、前記嗜好情報及び前記マーケティング情報により二次候補者を認識
前記利用可否認識部は、前記二次候補者に対し、該二次候補者の使用する候補者端末を介して、前記マーケティングについて該二次候補者に対応する前記個人識別子の利用の可否に関する問い合わせを実施し、該問い合わせの結果を認識し、
前記二次候補者認識部は、前記ユーザに対し、前記ユーザ端末を介して、前記二次候補者のうち前記個人識別子の利用を許可した二次候補者の前記個人識別子を提示することを特徴とする。
【0012】
このように、本発明のマーケティング支援システムは、マーケティングを実施するユーザに代わり、母集団に含まれる一次候補者に対して、個人識別子(ひいては、個人情報)の利用の可否を問い合わせる。その問い合わせは、マーケティングの実施対象の候補である一次候補者全てに対してではなく、一次候補者の中から認識された二次候補者に対して実施される。
【0013】
ここで、二次候補者は、アンケートに対する回答から導き出された嗜好情報と実施予定のマーケティングに関するマーケティング情報とに基づいて認識される。そのようにして認識された二次候補者は、他の候補者に比べ、そのマーケティングに対して興味を持っている可能性が高い。ひいては、そのマーケティングに関して、自らの個人情報について利用を許可する可能性も高い。
【0014】
したがって、本発明のマーケティング支援システムによれば、効率よく個人情報についての利用の許可を得ることができる。換言すれば、利用の許可を得にくい候補者に対して個人情報の利用の可否を問い合わせるという工程が省略されるので、ユーザは、効率よくマーケティングの対象者を認識することができる。
【0015】
また、本発明のマーケティング支援システムにおいては、
前記嗜好情報と前記マーケティングの内容との相関の度合いを示すデータである相関データを格納する相関データ格納部を備え、
前記二次候補者認識部は、前記相関データ格納部から前記相関データを取得し、前記複数の一次候補者の各々について、前記嗜好情報、前記マーケティング情報、及び、前記相関データに基づいてスコアを算出するとともに、該スコアと所定の閾値との対比又は該スコアによる順位により、前記複数の一次候補者のうちから、前記二次候補者を認識することが好ましい。
また、本発明のマーケティング支援システムにおいては、
母集団候補生成部と、母集団候補提示部と、母集団認識部とを備え、
前記母集団候補生成部は、前記アンケートに対する回答に基づいて、前記複数の一次候補者を分類して、複数の母集団候補を生成
前記母集団候補提示部は、前記ユーザに対し、前記ユーザ端末を介して、前記一次候補者の前記個人識別子を提示せずに、前記母集団候補を選択可能に提示するとともに、該母集団候補に含まれる前記一次候補者の前記アンケートに対する回答を提示
前記母集団認識部は、前記ユーザ端末を介して前記複数の母集団候補から選択された母集団候補を、母集団として認識し、
前記嗜好情報認識部は、前記複数の一次候補者のうち前記母集団に含まれる一次候補者について、該一次候補者による回答に基づいて、該一次候補者に関する前記嗜好情報を認識し、
前記二次候補者認識部は、前記複数の一次候補者のうち前記母集団に含まれる一次候補者のうちから、前記嗜好情報及び前記マーケティング情報により前記二次候補者を認識することが好ましい。
【0016】
候補者から個人情報の利用の許可を得られたとしても、そもそもその候補者に関する情報が、実施するマーケティングに有用な情報ではないおそれがある。これを抑制するためには、何らかの形で、予め、実施するマーケティングに適した候補者を選別する必要がある。しかし、そのような選別には、個人情報が重要となるが、事前の検討だけのために、別途その個人情報の利用の可否を問い合わせることは、煩雑である。
【0017】
そこで、このように、アンケートに対する回答に基づいて、母集団候補を生成するとともに、その母集団候補を提示する際に、その母集団候補とともに、そのアンケートに対する回答を提示するように構成するとよい。これは、アンケートに対する回答は、その回答を行った者の個人情報そのものではないものの、その者の性質を推測するための情報ということができるためである。
【0018】
そのため、このように構成すると、ユーザは、そのアンケートに対する回答を参照することにより、個人情報を事前に得なくても、マーケティングに有用な情報を取得できる可能性の高い一次候補者の含まれている母集団候補を、実際にマーケティングを実施する母集団として選択することができる。ひいては、有用な情報を取得できる候補者から、効率よく個人情報の利用の許可を得ることができる。
【0019】
また、本発明のマーケティング支援システムにおいては、
前記嗜好情報は、該嗜好情報に対応する前記一次候補者の嗜好が維持されていると推定される期間、及び、該嗜好が強くなると推定される時期の少なくとも一方を含み、
前記利用可否認識部は、前記二次候補者に対し、前記期間及び前記時期の少なくとも一方に属するタイミングで、該二次候補者に関する前記個人識別子の利用の可否に関する質問を実施することが好ましい。
【0020】
個人の嗜好は、時間の経過によって変動する場合がある。そこで、このように、嗜好が維持されていると推定される期間、及び、嗜好が強くなると推定される時期の少なくとも一方を、嗜好情報の一部として認識し、その期間及び時期の少なくとも一方に属するタイミングで、個人識別子(ひいては、個人情報)の利用の許可を問い合わせるようにすると、その利用の許可をさらに得やすくすることができる。
【0021】
また、本発明のマーケティング支援システムにおいては、
マーケティング実施部を備え、
前記マーケティング実施部は、前記個人識別子の利用を許可した前記二次候補者に対し、該二次候補者の使用する候補者端末を介して、前記マーケティングを実施することが好ましい。
また、本発明のマーケティング支援システムにおいては、
提供方法提示部を備え、
前記提供方法提示部は、前記個人識別子の利用を許可した前記二次候補者に対し、該二次候補者の使用する候補者端末を介して、該個人識別子を前記ユーザに提供するための方法を提示することが好ましい。
また、本発明のマーケティング支援システムにおいては、
突合処理部を備え、
前記突合処理部は、前記ユーザの有している顧客データベースに含まれる該ユーザの商品又はサービスに関する顧客の個人識別子を取得し、該顧客の個人識別子と前記二次候補者の個人識別子とを突合して、該顧客の個人識別子に対応する個人識別子に対応する前記二次候補者を抽出するとともに、前記ユーザに対し、前記ユーザ端末を介して、該二次候補者を提示することが好ましい。
【0022】
通常、個人識別子(ひいては、個人情報)の利用の許可を得た場合、ユーザは、通常、そのままマーケティングを行うか、又は、個人識別子を用いてさらなる個人情報の取得を図る。
【0023】
そこで、このように、マーケティングの実施、個人情報の取得するための誘導、及び、既に持っている情報からの個人情報の突合までを、ユーザに代わりシステムが実行するように構成すると、ユーザは、スムーズにマーケティングを実行することができる。
【0024】
また、本発明のマーケティング支援方法は、
個人識別子認識部と、アンケート実施部と、回答認識部と、嗜好情報認識部と、マーケティング情報認識部と、二次候補者認識部と、利用可否認識部とを備えているコンピュータシステムによるマーケティング支援システムが、マーケティングを実施するユーザに対し、前記ユーザが前記マーケティングを実施する対象者の決定を支援するための情報を提示するために実行するマーケティング支援方法において、
前記個人識別子認識部が、前記マーケティングの実施対象の候補である複数の一次候補者の各々について、該一次候補者自身を特定するための情報である個人識別子を、該一次候補者の使用する候補者端末から取得して認識する工程と、
前記アンケート実施部が、前記複数の一次候補者の各々に対し、該一次候補者が使用する候補者端末を介して、該一次候補者の嗜好に関する情報である嗜好情報を把握するための質問を含むアンケートを提示するとともに、該アンケートに対する回答を入力可能な形式で提示し、該回答を取得する工程と、
前記回答認識部が、前記複数の一次候補者の各々の候補者端末に入力された回答を、該一次候補者による回答として認識する工程と、
前記嗜好情報認識部が、前記複数の一次候補者の各々について、該一次候補者による回答に基づいて、該一次候補者に関する前記嗜好情報を認識する工程と、
前記マーケティング情報認識部が、前記ユーザに対し、前記ユーザが使用するユーザ端末を介して、前記マーケティングの内容に関する情報であるマーケティング情報に関する質問を提示するとともに、該質問に対する回答を入力可能な形式で提示し、該回答を取得し、該回答から前記マーケティング情報を認識する工程と、
前記二次候補者認識部が、前記複数の一次候補者のうちから、前記嗜好情報及び前記マーケティング情報により二次候補者を認識する工程と、
前記利用可否認識部が、前記二次候補者に対し、該二次候補者の使用する候補者端末を介して、前記マーケティングについて該二次候補者に対応する前記個人識別子の利用の可否に関する問い合わせを実施し、該問い合わせの結果を認識する工程と
前記二次候補者認識部が、前記ユーザに対し、前記ユーザ端末を介して、前記二次候補者のうち前記個人識別子の利用を許可した二次候補者の前記個人識別子を提示する工程とを備えていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態に係る支援システムの概略構成を示す説明図。
図2図1の支援システムの処理部の構成を示すブロック図。
図3図1の支援システムが個人識別子及びアンケートに対する回答を収集する際に実行する処理を示すフローチャート。
図4図1の支援システムが母集団を認識するまでに実行する処理を示すフローチャート。
図5図1の支援システムが個人識別子の利用の許可を得る際に実行する処理を示すフローチャート。
図6図1の支援システムがマーケティング支援の際に実行する処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図1図6を参照して、実施形態に係る支援システムS(マーケティング支援システム)、及び、それを用いて実施されるマーケティング支援方法について説明する。
【0027】
なお、以下の説明においては、マーケティングを実施するために支援システムSを用いて提供されるサービスを受けるメーカ等を「ユーザ」という。また、そのマーケティングの実施対象の候補者であり、且つ、支援システムSから送信されたアンケートに回答する者を「一次候補者」という。また、一次候補者のうち、個人情報の利用の許可の問い合わせの対象となる者を「二次候補者」という。
【0028】
以下に詳細に説明するように、支援システムSは、まず、商品の購入に使用できるポイント等のインセンティブを与えることを対価として、一次候補者に所定のアンケートを実施する。次に、支援システムSは、そのアンケートに対する回答に基づいて、複数の母集団候補を生成し、ユーザの選択に応じて、その母集団候補の中から母集団を認識する。
【0029】
その後、支援システムSは、一次候補者から二次候補者を認識し、その母集団に含まれる二次候補者に対し、その個人識別子(ひいては、個人情報)の利用の可否を問い合わせる。そして、支援システムSは、最後に、個人識別子の利用を許可した二次候補者に対し、マーケティングの支援に関する処理を実行する。
【0030】
[システムの概略構成]
まず、図1を参照して、支援システムSの概略構成について説明する。
【0031】
図1に示すように、解析システムSは、解析システムSによるサービスの提供者が保有するサーバ1によって構成されている。サーバ1は、インターネット網、公衆回線等を通じて、ユーザの保有するパソコン、タブレット等のユーザ端末2、及び、一次候補者の保有するスマートフォン、タブレット等の候補者端末3と、相互に情報通信可能に構成されている。
【0032】
なお、本発明は、このような構成に限定されるものではなく、マーケティング支援システムが、ユーザがユーザ端末を介して入力した情報、及び、一次次候補者が候補者端末を介して入力した情報を、認識することができるように構成されていればよい。
【0033】
そのため、例えば、ユーザ端末又は候補者端末を介して入力された情報をサーバに直接送信するのではなく、その情報を別途データ化して、そのデータをサーバに読み込ませるように構成してもよい。また、例えば、複数のサーバによってシステム全体を構成してもよい。また、ユーザ端末及び候補者端末に後述する処理部の機能の少なくとも1つを実装して、その処理部を用いてシステムを構成してもよい。
【0034】
[各処理部の構成]
図2に示すように、サーバ1は、実装されたハードウェア構成及びプログラムの少なくとも一方により実現される機能(処理部)として、個人識別子認識部1aと、アンケート実施部1bと、候補者情報認識部1cと、母集団候補生成部1dと、母集団候補提示部1eと、母集団認識部1fと、嗜好情報認識部1gと、マーケティング情報認識部1hと、相関データ格納部1iと、二次候補者認識部1jと、利用可否認識部1kと、マーケティング支援処理部1lとを備えている。
【0035】
個人識別子認識部1aは、一次候補者が使用する候補者端末3から個人識別子を取得して認識する。ここで、個人識別子とは、一次候補者自身を特定するための情報をいう。
【0036】
個人識別子としては、例えば、候補者端末3を使用している個人を特定する情報が挙げられる。具体的には、一次候補者の名前、候補者端末3の製造番号、候補者端末3に紐付けられた電話番号等である。
【0037】
この他、個人識別子としては、例えば、候補者端末3にインストールされたアプリを使用している個人を特定する情報が挙げられる。具体的には、候補者端末3で使用されたアプリに関するCookie(ID、パスワード、メールアドレス、訪問回数等)、候補者端末3の広告識別子(広告ID)等である。
【0038】
本実施形態では、支援システムSは、候補者端末3の電話番号を、個人識別子として認識する。
【0039】
アンケート実施部1bは、複数の質問からなるアンケートを決定する。また、アンケート実施部1bは、決定されたアンケートを候補者端末3に回答を入力可能な形式で送信することによって、一次候補者に対し、そのアンケートを実施する。
【0040】
アンケートを構成する質問は、後述する一次候補者の後述する嗜好情報及び後述する属性情報を把握できるものとなっている。
【0041】
一次候補者の嗜好情報を把握できる質問としては、例えば、何らかの商品・サービスに対する一次候補者の印象を確認するための状態質問(例えば、マインドフローに基づく質問)を、二択回答、複数選択肢回答、5段階評価回答、NPS評価回答といった回答方式で問うもの等である。
【0042】
一時候補者の属性情報を把握できる質問としては、例えば、一次候補者の年齢、性別、家族構成、収入、買い物の頻度、使用しているメディアの種類と使用頻度等を問う質問である。
【0043】
なお、アンケートを実施する前の時点で、ユーザの実施するマーケティングの内容(例えば、ユーザがそのマーケティングのために収集したいと考えている情報等)が定まっている場合には、アンケート実施部1bは、その内容も参照して、アンケートを構成する質問を決定するとよい。
【0044】
例えば、その収集したいと考えている情報に関連性の高い質問を、アンケートに含ませるようにするとよい。例えば、マーケティングに関する商品・サービスに対する感想を問う質問をアンケートに含ませるようにするとよい。
【0045】
候補者情報認識部1cは、回答認識部1c1と、属性情報認識部1c2と、候補者情報格納部1c3とを有している。
【0046】
回答認識部1c1は、複数の一次候補者の各々に対して実施されたアンケートについて、その一次候補者の回答を認識する。
【0047】
属性情報認識部1c2は、アンケートに対する回答に基づいて、複数の一次候補者の各々について、属性情報を認識する。
【0048】
ここで「属性情報」とは、一次候補者とその一次候補者以外の少なくとも一人の一次候補者との共通の属性を示す情報である。属性情報としては、例えば、年齢、性別、家族構成、収入、浪費しがちといった心理傾向、メディアとの接触傾向等が挙げられる。
【0049】
なお、属性情報認識部1c2は、アンケートの回答に基づかずに、属性情報を認識するように構成されていてもよい。例えば、アンケートを実施する一次候補者に関し、アンケートの実施前に直接的に属性情報を問い合わせていた場合には、その属性情報を、直接認識するように構成してもよい。
【0050】
候補者情報格納部1c3は、一次候補者の各々について、その一次候補者の個人識別子に、対応するアンケートの回答及び属性情報を紐づけて格納する。
【0051】
母集団候補生成部1dは、アンケートに対する回答及び属性情報に基づいて、アンケートに回答した複数の一次候補者を分類して、複数の母集団候補を生成する。
【0052】
本実施形態では、母集団候補生成部1dは、一次候補者を、アンケートに含まれる所定の質問に対して選択した回答でグループに分け、そのグループを、さらに性別及び年代で分けることによって、母集団候補を生成する。
【0053】
具体的には、「どのような車を所有しているか」という質問に対して、「軽自動車を所有している」、「普通自動車を所有している」、「キャンピングカーなどの特殊な自動車を所有している」という回答を用意しておき、同じ回答を選んだ一次候補者を、さらに性別及び年代で分けて、母集団候補を生成する。
【0054】
なお、母集団候補を生成する前の時点で、ユーザの実施するマーケティングの内容(例えば、ユーザが想定しているマーケティングの単位等)が定まっている場合には、母集団候補生成部1dは、その内容も参照して、母集団候補を生成してもよい。例えば、居住地域ごとにマーケティングを実施する場合には、居住地域を1つの基準として母集団候補を生成してもよい。
【0055】
また、本発明のマーケティング支援システムは、必ずしもアンケートに対する回答及び属性情報に基づいて母集団候補を生成する必要はない。そのため、例えば、アンケートに対する回答及び属性情報のいずれか一方のみに基づいて、母集団候補を生成してもよいし、アンケートに対する回答及び属性情報とは関係の無い情報に基づいて、母集団候補を生成してもよい。
【0056】
母集団候補提示部1eは、生成された複数の母集団候補を、ユーザ端末2に選択可能な形式で送信することによって、ユーザに対して提示する。
【0057】
提示される複数の母集団候補の各々には、その母集団に含まれる一次候補者のアンケートに対する回答及び属性情報が、関連付けて表示される。例えば、母集団候補の名称として、「母集団候補A:30代・男性・普通自動車を所有している」といった形で表示される。
【0058】
ただし、母集団候補とともに提示する情報には、その母集団候補に含まれる一次候補者に関する個人識別子は含まれない。そのため、母集団候補が提示された時点では、ユーザは、個人識別子を認識すること(すなわち、一次候補者を特定すること)はできないようになっている。
【0059】
また、母集団候補提示部1eは、後述するマーケティング情報認識部1hが認識したマーケティング情報に応じて、提示する母集団候補及びその提示順序を決定する。
【0060】
本実施形態では、母集団候補提示部1eは、母集団候補に含まれる一次候補者のアンケートに対する回答と、マーケティング情報に含まれる情報の1つであるマーケティングに関する商品・サービスとの関連度を認識し、その関連度が所定の閾値以上の母集団候補を、関連度の高い順に表示するように決定する。
【0061】
なお、母集団候補は、一部だけではなく全て提示するように構成してもよい。また、マーケティング情報以外のルールに従って、提示する母集団候補の種類及び数、並びに、その提示順序を決定してもよい。例えば、ユーザの入力した条件(年代、性別等)に応じて、提示する母集団候補の種類及び数、並びに、その提示順序を変更するように構成してもよい。
【0062】
また、本発明のマーケティング支援システムでは、必ずしも母集団候補とともにアンケートに対する回答及び属性情報を提示する必要はない。そのため、母集団候補とともにアンケートに対する回答及び属性情報のいずれか一方のみを提示するように構成してもよいし、その両方を提示しないように構成してもよい。
【0063】
母集団認識部1fは、ユーザがユーザ端末2を介して選択した母集団候補を、母集団として認識する。なお、母集団として認識する母集団候補は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0064】
嗜好情報認識部1gは、アンケートに対する回答に基づいて、複数の一次候補者の各々について、嗜好情報を認識する。
【0065】
ここで、「嗜好情報」とは、一次候補者の嗜好に関する情報である。嗜好情報としては、例えば、何らかの商品・サービスそのもの、企業又は商品・サービスのブランド等について、行動傾向を把握できる情報、一次候補者の所定の商品・サービスに関する傾向を示す情報等が挙げられる。
【0066】
具体的には、行動傾向を把握できるような嗜好情報としては、何らかの商品・サービスに対する一次候補者の利用・購買に関する行動傾向(例えば、利用頻度、利用場所、利用時間帯、購買場所、購買する際の優先する指標等)に関する情報、何らかの具体的なブランド名称に対する一次候補者の行動傾向(例えば、認知、購買経験、再購買意向、他者への推奨意向等)に関する情報、何らかの具体的な企業に対する一次候補者の行動傾向(例えば、認知、購買経験、再購買意向、他者への推奨意向、企業イメージ等)に関する情報等が挙げられる。
【0067】
また、所定の商品・サービスに関する傾向を示す情報としては、いわゆる健康志向であるか否か、セール販売等の際に購買に関する行動が変化するか否か、クーポン等の割引制度の利用頻度、広告を提示するメディアごとの感応度等が挙げられる。
【0068】
また、嗜好情報としては、その嗜好情報に対応する一次候補者の嗜好が、維持されていると推定される期間、及び、その嗜好が強くなると推定される期間の少なくとも一方を含んでいる。
【0069】
例えば、一次候補者が、「ドライブが趣味である」という嗜好を持っている場合には、行楽シーズン(例えば、秋)はその嗜好がより強くなると推定されるので、その一次候補者の嗜好情報に、「秋は嗜好(ドライブに関する物品の購買意欲等)が強くなると推定される」という情報が加えられる。
【0070】
マーケティング情報認識部1hは、ユーザがユーザ端末2に入力した情報に基づいて、マーケティング情報を認識する。
【0071】
ここで、「マーケティング情報」とは、ユーザが実施するマーケティングの内容に関する情報である。例えば、そのマーケティングにおける製品、価格、流通、プロモーションに関する情報(いわゆる4Pに関する情報)、そのユーザ自身、ターゲットとする顧客層、競合に関する情報(いわゆる3Cに関する情報)等である。
【0072】
本実施形態では、ユーザが、この支援システムSを用いて提供されるサービスを利用しようとする際に、まず、質問形式で、マーケティングの目的(例えば、市場調査・分析、広告等のいずれであるのか、どのような商品・サービスに関するものであるのか等)、想定しているターゲット(例えば、年齢、性別、居住地等)を問われる。そして、支援システムSは、それらの質問に対する回答そのものを、マーケティング情報として認識する。
【0073】
また、本実施形態では、マーケティング情報に、ユーザがマーケティングに関する支援を希望しているか否かに関する情報も含まれる。具体的には、マーケティング情報に、ユーザがマーケティングにおける一部の処理の代行を希望するか否か、ユーザがどのような形式で利用可能な個人識別子の提供を受けたいか、ユーザが自らの商品・サービスに関する独自の顧客データベースを有しているか及びそれを支援システムSが利用可能か、といった情報も含まれる。
【0074】
相関データ格納部1iは、嗜好情報とマーケティングの内容との相関データを格納している。この相関データは、マーケティングの内容に応じて、どのような嗜好情報を重要視するかを示すデータである。
【0075】
その相関データとしては、例えば、ある商品・サービス(例えば、普通自動車)について購入頻度が高いという嗜好情報には、その商品・サービスと同じジャンル(例えば、軽自動車)又は関連するジャンルの商品・サービス(例えば、自動車のタイヤ)に関する嗜好情報においても、同程度の重み付けをすると規定したデータ(すなわち、嗜好情報に基づいて効率的にマーケティングを実施することのできる顕在層を特定するためのデータ)等が挙げられる。
【0076】
この他、その相関データとしては、例えば、嗜好情報の種類ごとに、認知した後に愛着まで到達する可能性の高い商品・サービスほど重み付けを大きくすると規定したデータ(すなわち、嗜好情報に基づいて効率的にマーケティングを実施することのできる潜在層を特定するためのデータ)等が挙げられる。
【0077】
二次候補者認識部1jは、相関データを参照して、複数の一次候補者のうちから、嗜好情報及びマーケティング情報に基づいて、二次候補者を認識する。
【0078】
二次候補者を認識する方法としては、例えば、特定の商品・サービスの購入を促す広告を実施することをマーケティングの目的とするような場合には、二次候補者認識部1jは、まず、マーケティング情報からそのマーケティングに関連する商品・サービスを認識し、相関データ格納部1iから、嗜好情報に基づいて効率的にマーケティングを実施することのできる顕在層を特定するためのデータを取得する。
【0079】
また、例えば、特定の商品・サービスを知らない一次候補者に、その商品・サービスを認知させるための広告を実施することをマーケティングの目的とするような場合には、二次候補者認識部1jは、まず、マーケティング情報からそのマーケティングに関連する商品・サービスを認識し、相関データ格納部1iから、嗜好情報に基づいて効率的にマーケティングを実施することのできる潜在層を特定するためのデータを取得する。
【0080】
次に、二次候補者認識部1jは、取得した相関データと、複数の一次候補者の各々の嗜好情報とに基づいて、一次候補者ごとにスコアを算出する。そして、二次候補者認識部1jは、母集団に含まれる複数の一次候補者のうち、そのスコアが所定の閾値以上、若しくは、閾値以下の一次候補者、又は、スコア順に並べた場合に所定の順位以内、若しくは、順位以下の一次候補者を、二次候補者として認識する。
【0081】
利用可否認識部1kは、認識された二次候補者に対し、ユーザの実施するマーケティングについて、その二次候補者に対応する個人識別子の利用の可否に関する問い合わせを実施するとともに、その問い合わせの結果を認識する。
【0082】
具体的には、利用可否認識部1kは、二次候補者の使用している候補者端末3に、自らの個人識別子の利用を許可するか否かという質問を、YES/NOを選択可能な形式で送信することによって、利用の可否を問い合わせるとともに、その回答を認識する。このとき、利用可否認識部1kは、個人識別子を利用するマーケティングの内容も、候補者端末3を介して、二次候補者に提示する。
【0083】
より具体的には、利用可否認識部1kは、二次候補者の使用している候補者端末3に「あなたに対し自動車のタイヤに関するマーケティングを行ってもよいですか?」という文章とともに、「YES」、「NO」というボタンを択一的に選択可能に表示する。そして、「YES」、「NO」のいずれかが選択された際には、選択された回答に基づいて、個人識別子の利用の可否を認識する。
【0084】
マーケティング支援処理部1lは、マーケティング実施部1l1、提供方法提示部1l2、及び、突合処理部1l3を有している。マーケティング支援処理部1lは、ユーザがマーケティングそのものに関する支援を希望していた場合、これらのいずれかの処理部によって、その支援に関する処理を実行する。
【0085】
マーケティング実施部1l1は、個人識別子の利用を許可した二次候補者に対し、ユーザの希望するマーケティングを実施する。具体的には、候補者端末3を介して、二次候補者に対し、ユーザに代わって広告を提示するといった処理を実行する。
【0086】
提供方法提示部1l2は、個人識別子の利用を許可した二次候補者に対し、その個人識別子をユーザに提供するための方法を提示する。具体的には、候補者端末3を介して、二次候補者に対し、ユーザとなる企業が提供しているサービスの会員登録を行うためのホームページのURLを提示するといった処理を実行する。
【0087】
突合処理部1l3は、ユーザのもともとの顧客から、二次候補者に対応する顧客を特定して提示する。具体的には、個人識別子の利用を許可した二次候補者の個人識別子と、ユーザの有している商品・サービスに関する独自の顧客データベースに格納されている顧客の個人識別子とを突合して、その顧客のうちの二次候補者に対応する顧客を特定し、その顧客をユーザに提示するといった処理を実行する。
【0088】
なお、解析システムSでは、候補者端末3を区別することによって、一次候補者ごとの個人識別子を認識している。しかし、本発明は、このような構成に限定されるものではなく、個人識別子と一次候補者との対応を認識できるように構成されていればよい。
【0089】
例えば、一次候補者がアンケートに対する回答を行う際に予め一次候補者ごとに付与されているID(個人識別子)を入力するように構成するのであれば、解析システムSが候補者端末を区別しなくてもよく、一次候補者はアンケートごとに異なる端末を用いてもよい。
【0090】
また、解析システムSでは、サーバ1に前述の各処理部を設けている。しかし、本発明は、そのような構成に限定されるものではなく、前述の処理部の一部を、ユーザ端末又は候補者端末に設けてもよい。
【0091】
[各処理部で実行される処理]
次に、図2図6を参照して、解析システムSがユーザからの要望に応じてマーケティングを支援する際に実行する処理について説明する。本実施形態では、その一例として、自動車のタイヤの製造メーカであるユーザが、マーケティングとして自らの商品であるスタッドレスタイヤの広告を行う場合について説明する。
【0092】
[個人識別子及びアンケートに対する回答を収集する際に実行する処理]
次に、図2及び図3を参照して、支援システムSが、一次候補者の個人識別子及びアンケートに対する回答を収集する際に実行する処理について説明する。なお、この処理は、ユーザが支援システムSを利用する前の段階において実行されるものである。
【0093】
この処理においては、まず、個人識別子認識部1aが、一次候補者の個人識別子を認識する(図3/STEP100)。
【0094】
具体的には、個人識別子認識部1aは、候補者端末3にインストールされたアンケートアプリが実行された際に、その候補者端末3の電話番号を、個人識別子として認識する。
【0095】
次に、アンケート実施部1bが、実施するアンケートの内容(すなわち、アンケートを構成する質問)を決定する(図3/STEP101)。
【0096】
具体的には、アンケート実施部1bは、そのアンケートに回答する一次候補者の嗜好情報を推定するための情報を得られる質問(例えば、特定の商品・サービスに対する購入履歴の有無等)、及び、その一次候補者の属性情報を確認する質問(例えば、性別、年代等)を、アンケートを構成する質問として決定する。
【0097】
なお、本実施形態では、マーケティングの内容を認識する前に、アンケートを実施しているので、そのアンケートの内容は汎用的なものとなっている。しかし、事前にマーケティングの内容が認識されているのであれば(すなわち、アンケートを、ユーザの依頼を受けてから実施するのであれば)、そのマーケティングの内容に応じて、アンケートを構成する質問を決定するようにしてもよい。
【0098】
次に、アンケート実施部1bが、一次候補者に対してアンケートを実施する(図3/STEP102)。
【0099】
具体的には、アンケート実施部1bは、候補者端末3に対して、決定されたアンケートを構成する質問について回答を入力可能な形式で送信することによって、そのアンケートを実施する。
【0100】
次に、候補者情報認識部1cの回答認識部1c1が、アンケートに対する回答を認識する(図3/STEP103)。
【0101】
次に、候補者情報認識部1cの属性情報認識部1c2が、アンケートに対する回答に基づいて、属性情報を認識する(図3/STEP104)。
【0102】
具体的には、属性情報認識部1c2は、アンケートを構成する質問のうちの一次候補者の属性情報を確認する質問に対する回答に基づいて、その一次候補者の属性情報を認識する。
【0103】
次に、候補者情報認識部1cが、一次候補者の各々について、その一次候補者の個人識別子に、その一次候補者に対応するアンケートの回答及び属性情報を紐づけて、候補者情報格納部1c3に格納し(図3/STEP105)、今回の処理を終了する。
【0104】
[母集団を決定する際に実行する処理]
次に、図2及び図4を参照して、支援システムSが、ユーザがマーケティングを実施する母集団を認識する際に、各処理部が実行する処理について説明する。
【0105】
この処理においては、まず、母集団候補生成部1dが、アンケートに対する回答及び属性情報に基づいて、アンケートに回答した複数の一次候補者を分類して、複数の母集団候補を生成する(図4/STEP200)。
【0106】
本実施形態では、アンケートに含まれる質問のうち「どのような車を所有しているか」という質問に対して、「軽自動車を所有している」、「普通自動車を所有している」、「キャンピングカーなどの特殊な自動車を所有している」という回答の中から、同じ回答を選んだ一次候補者を、さらに性別及び年代で分けて、母集団候補を生成する。
【0107】
次に、マーケティング情報認識部1hは、ユーザがユーザ端末2に入力した情報に基づいて、ユーザが実施するマーケティングの内容に関する情報であるマーケティング情報を認識する(図4/STEP201)。
【0108】
具体的には、まず、マーケティング情報認識部1hは、ユーザ端末2に対して、マーケティング情報に関連する質問について回答を入力可能な形式で送信する。その質問は、マーケティングの目的(例えば、市場調査・分析、広告等のいずれであるのか、どのような商品・サービスに関するものであるのか等)、想定しているターゲット(例えば、年齢、性別、居住地等)等を問う質問となっている。その後、マーケティング情報認識部1hは、その入力された回答を、マーケティング情報として認識する。
【0109】
次に、母集団候補提示部1eが、アンケートに対する回答及びマーケティング情報に基づいて、提示する母集団候補を決定する(図4/STEP202)。
【0110】
また、母集団候補提示部1eが、アンケートに対する回答及びマーケティング情報に基づいて、母集団候補の提示順序を決定する(図4/STEP203)。
【0111】
具体的には、母集団候補提示部1eは、母集団候補に含まれる一次候補者のアンケートに対する回答と、マーケティング情報に含まれる情報の1つであるマーケティングに関する商品・サービスとの関連度を認識し、その関連度が所定の閾値以上の母集団候補を、関連度の高い順に表示するように決定する。
【0112】
次に、母集団候補提示部1eが、提示する母集団候補に含まれる一次候補者の、アンケートに対する回答及び属性情報を取得する(図4/STEP204)。
【0113】
次に、母集団候補提示部1eが、母集団候補を提示するとともに、母集団候補に含まれる一次候補者のアンケートに対する回答及び属性情報を提示する(図4/STEP205)。
【0114】
具体的には、母集団候補提示部1eは、ユーザ端末2に対し、アンケートに対する回答及び属性情報を含む名称の母集団候補(例えば、「母集団候補A:30代・男性・普通自動車を所有している」等)を、選択可能な形式で送信する。
【0115】
このとき、母集団候補とともに提示されるアンケートに対する回答は、提示する母集団候補を決定する際に認識された関連度が高い回答が優先的に表示される。また、母集団候補とともに提示される属性情報は、ユーザの要望に応じたものが表示される。
【0116】
ただし、母集団候補とともに提示する情報には、その母集団候補に含まれる一次候補者に関する個人識別子は含まれない。そのため、母集団候補が提示された時点では、ユーザは、個人識別子を認識すること(すなわち、一次候補者を特定すること)はできないようになっている。
【0117】
次に、母集団認識部1fが、ユーザがユーザ端末2を介して選択した母集団候補を母集団として認識し(図4/STEP206)、今回の処理を終了する。
【0118】
以上の処理の後には、後述するように、一次候補者から抽出された二次候補者に対し、個人情報の利用の可否を問い合わせる処理が実行され、さらにその後、ユーザ自身がマーケティングを実行したり、解析システムSがマーケティング支援に関する処理を実行したりすることになる。
【0119】
しかし、個人情報の利用の許可を得られたとしても、そもそもその二次候補者に関する情報が、実施するマーケティングに有用な情報ではないおそれがある。これを抑制するためには、何らかの形で、予め、実施するマーケティングに適した二次候補者を選別する必要がある。しかし、そのような選別には、個人情報が重要となるが、事前の検討だけのために、別途その個人情報の利用の可否を問い合わせることは、煩雑である。
【0120】
そこで、解析システムSは、このように、アンケートに対する回答に基づいて、母集団候補を生成するとともに、その母集団候補を提示する際に、その母集団候補とともに、そのアンケートに対する回答を提示するように構成されている。これは、アンケートに対する回答は、その回答を行った者の個人情報そのものではないものの、その者の性質を推測するための情報ということができるためである。
【0121】
そのため、このように構成されている解析システムSによれば、ユーザは、そのアンケートに対する回答を参照することにより、個人情報を事前に得なくても、マーケティングに有用な情報を取得できる可能性の高い一次候補者の含まれている母集団候補を、実際にマーケティングを実施する母集団として選択することができる。ひいては、有用な情報を取得できる候補者から、効率よく個人情報の利用の許可を得ることができる。
【0122】
[個人識別子の利用の許可を得る際に実行する処理]
次に、図2及び図5を参照して、支援システムSが、二次候補者から個人識別子の利用の許可を得る際に、各処理部が実行する処理について説明する。
【0123】
まず、前提として、前述の処理においては、母集団を決定するために提示された母集団候補に付加されている情報に、一次候補者の個人識別子が含まれていない。そのため、そのため、この時点においては、ユーザは、利用のために許可を得ることが必要な個人情報を、取り扱っていない状態となっている。
【0124】
しかし、この後、マーケティングを実施しようとする場合には、そのマーケティングの対象の候補である二次候補者に対して、その者の個人情報(すなわち、個人識別子)の利用の許可を得なくてはならない。
【0125】
以下の処理は、解析システムSが、この利用の可否の問い合わせを、ユーザに代わり実行する処理である。
【0126】
この処理においては、まず、嗜好情報認識部1gが、アンケートに対する回答に基づいて、母集団に含まれる一次候補者について、嗜好情報を認識する(図5/STEP300)。
【0127】
本実施形態では、嗜好情報認識部1gは、アンケートの回答に基づいて、「自動車及びその関連商品・関連サービス・関連イベント」について、行動傾向を把握できる情報を認識する。また、その行動傾向には、自動車に関連する商品の購買意欲が高まる期間及び時期の少なくとも一方が含まれる。
【0128】
なお、本実施形態では、母集団が決定された後に、その母集団に含まれる一次候補者についてのみ、嗜好情報を認識している。しかし、本発明は、そのような構成に限定されるものではなく、母集団に含まれる一次候補者だけでなく、母集団に含まれない一次候補者のも含めて、全ての一次候補者について、嗜好情報を認識するようにしてもよい。
【0129】
次に、二次候補者認識部1jが、マーケティング情報に基づいて、相関データ格納部1iから相関データを取得する(図5/STEP301)。
【0130】
本実施形態では、ユーザの実施するマーケティングが「スタッドレスタイヤの広告」であるので、二次候補者認識部1jは、相関データとして、「自動車のスタッドレスタイヤ」において、どのような嗜好情報を重要視すべきか(重み付けを大きくすべきか)という相関データを取得する。
【0131】
次に、二次候補者認識部1jが、嗜好情報及びマーケティング情報に基づいて、二次候補者を認識する(図5/STEP302)。
【0132】
具体的には、二次候補者認識部1jは、取得した相関データと、母集団に含まれる複数の一次候補者の各々の嗜好情報とに基づいて、一次候補者ごとにスコアを算出する。そして、二次候補者認識部1jは、ユーザが指定した人数の一次候補者を、スコアが上位となる者から順番に選択し、その選択された一次候補者を、二次候補者として認識する。
【0133】
次に、二次候補者認識部1jが、候補者情報認識部1cから、二次候補者の個人識別子を取得する(図5/STEP303)。
【0134】
次に、利用可否認識部1kが、二次候補者の個人識別子の利用の可否の問い合わせを実施して、利用の可否を認識する(図5/STEP304)。
【0135】
具体的には、利用可否認識部1kは、二次候補者の使用している候補者端末3に「あなたに対し自動車のタイヤに関するマーケティングを行ってもよいですか?」という文章とともに、「YES」、「NO」というボタンを択一的に選択可能に表示する。そして、「YES」、「NO」のいずれかが選択された際には、選択された回答に基づいて、個人識別子の利用の可否を認識する。
【0136】
本実施形態では、この問い合わせは、ユーザから依頼直後に実施されるのではなく、ユーザが指定した期間のうち、嗜好情報に基づいて定められたタイミングで実施される。具体的には、二次候補者がスタッドレスタイヤの購入をしやすい期間(例えば、冬の行楽シーズンの1〜2週間前)等に実施される。
【0137】
次に、二次候補者認識部1jが、利用を許可した二次候補者の個人識別子をユーザに提示して(図5/STEP305)、今回の処理を終了する。
【0138】
具体的には、二次候補者認識部1jは、まず、母集団を参照して、二次候補者のリストを作成し、そのリストに記載の二次候補者のうち利用を許可した二次候補者に、その二次候補者に対応する個人識別子を紐づける。その後、二次候補者認識部1jは、そのリストを、ユーザ端末2へ送信することによって、利用を許可した二次候補者の個人識別子をユーザに提示する。
【0139】
このように、解析システムSでは、個人識別子(ひいては、個人情報)の利用の可否の問い合わせは、母集団に含まれる一次候補者全てに対してではなく、一次候補者の中から認識された二次候補者に対して実施される。
【0140】
ここで、二次候補者は、アンケートに対する回答から導き出された嗜好情報と実施予定のマーケティングに関するマーケティング情報とに基づいて認識される。そのようにして認識された二次候補者は、他の候補者に比べ、そのマーケティングに対して興味を持っている可能性が高い。ひいては、そのマーケティングに関して、自らの個人情報について利用を許可する可能性も高い。
【0141】
したがって、支援システムSによれば、効率よく個人情報についての利用の許可を得ることができる。換言すれば、利用の許可を得にくい候補者に対して個人情報の利用の可否を問い合わせるという工程が省略されるので、ユーザは、効率よくマーケティングの対象者を認識することができる。
【0142】
また、支援システムSでは、嗜好が維持されていると推定される期間、及び、嗜好が強くなると推定される時期の少なくとも一方を、嗜好情報の一部として認識し、その期間及び時期の少なくとも一方に属するタイミングで、個人識別子(ひいては、個人情報)の利用の許可を問い合わせるように構成されている。これにより、タイミングを問わず問い合わせを行った場合に比べ、個人識別子の利用の許可をさらに得やすくなっている。
【0143】
なお、本発明のマーケティング支援システムは、このような構成に限定されるものではなく、個人情報の利用の可否の問い合わせのタイミングは、ユーザの要望等に応じて、適宜設定してよい。
【0144】
[マーケティング支援の際に実行する処理]
次に、図2及び図6を参照して、支援システムSが、個人識別子の利用を許可した二次候補者に対し、マーケティング支援に関する処理を実行する際に、各処理部が実行する処理について説明する。
【0145】
まず、前提として、前述までの処理によって、ユーザに対し、個人識別子(ひいては、個人情報)の利用を許可した二次候補者が提示されている。そのような場合、ユーザは、通常、そのままマーケティングを行うか、又は、個人識別子を用いてさらなる個人情報の取得を図る。以下に説明する処理は、そのユーザの行う行動を、支援システムSが代理して行う場合の処理である。
【0146】
なお、この処理は、ユーザの要望に応じて実行される。そのため、ユーザの要望が無い場合には、以下の処理は省略される。また、この処理を、そもそも実行しないように解析システムSを構成してもよい。その場合には、この処理を実行するマーケティング支援処理部1lに含まれる処理部又はマーケティング支援処理部1lそのものを、省略してもよい。
【0147】
また、その希望を問うための問い合わせは、ユーザが解析システムSを用いて提供されるサービスを申し込む時点で行ってもよいし、二次候補者を提示した際に行ってもよい。
【0148】
この処理においては、まず、マーケティング支援処理部1lのマーケティング実施部1l1が、ユーザに対し、ユーザに代理して、マーケティングを実施することを希望するか否かを問い合わせる(図6/STEP400)。
【0149】
マーケティングを代理して実施することをユーザが希望した場合(STEP400でYESの場合)、マーケティング実施部1l1が、ユーザに代わって、個人識別子の利用を許可した二次候補者に対し、マーケティングを実施する(図6/STEP401)。
【0150】
本実施形態では、マーケティング実施部1l1が、個人識別子の利用を許可した二次候補者の候補者端末3に対して、ユーザの製造しているスタッドレスタイヤの広告を表示させる。
【0151】
マーケティングを代理して実施した場合(STEP401を実行した場合)、又は、マーケティングを代理して実施することをユーザが希望していなかった場合(STEP400でNOの場合)、マーケティング支援処理部1lの提供方法提示部1l2が、ユーザに対し、ユーザに代理して、二次候補者に個人情報識別子の提供方法を提示することを希望するか否かを問い合わせる(図6/STEP402)。
【0152】
提供方法を代理して提示することをユーザが希望した場合(STEP402でYESの場合)、提供方法提示部1l2が、個人識別子の利用を許可した二次候補者に、個人識別子の提供方法を提示する(図6/STEP403)。
【0153】
本実施形態では、提供方法提示部1l2が、個人識別子の利用を許可した二次候補者の候補者端末3に対して、ユーザがスタッドレスタイヤを販売しているホームページのURL、及び、その会員登録のページのURLを送信する。
【0154】
提供方法を代理して提示した場合(STEP403を実行した場合)、又は、供方法を代理して提示することをユーザが希望しなかった場合(STEP402でNOの場合)、マーケティング支援処理部1lの突合処理部1l3が、ユーザに対し、ユーザに代理して、ユーザの保有している顧客データにおける個人識別子と、個人識別子の利用を許可した二次候補者の個人識別子とを突合することを希望するか否かを問い合わせる(図6/STEP404)。
【0155】
個人識別子を代理して突合することをユーザが希望しなかった場合(STEP404でNOの場合)、解析システムSは、今回の処理を終了する。
【0156】
個人識別子を代理して突合することをユーザが希望した場合(STEP404でYESの場合)、突合処理部1l3が、ユーザの顧客データを取得する(図6/STEP405)。
【0157】
次に、突合処理部1l3が、個人識別子の利用を許可した二次候補者の個人識別子と、ユーザの顧客データに含まれる個人識別子を突合させる(図6/STEP406)。
【0158】
本実施形態では、突合処理部1l3が、個人識別子の利用を許可した二次候補者の電話番号と、ユーザの顧客データに含まれる電話番号とを突合させて、その二次候補者に対応するユーザの顧客を抽出し、リストを生成する。
【0159】
次に、突合処理部1l3が、ユーザに、突合の結果を提示して(図6/STEP407)、今回の処理を終了する。
【0160】
具体的には、突合処理部1l3が、生成したリストを、ユーザ端末2に送信する。
【0161】
[その他の実施形態]
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
【0162】
例えば、上記実施形態では、解析システムSは、ユーザが複数の母集団候補から一つ又は複数の母集団候補を、母集団として認識している。しかし、本発明のマーケティング支援システムは、そのような構成に限定されるものではなく、母集団の決定の仕方は適宜設定してよい。
【0163】
そのため、例えば、システム側が母集団候補を提示するのではなく、ユーザから提供された母集団について、システムが、アンケートを実施し、マーケティング情報とそのアンケートの回答から認識した嗜好情報とに基づいて、その提供された母集団の中から二次候補者を認識し、その二次候補者に対して個人識別子の利用の可否を問い合わせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0164】
1…サーバ、2…ユーザ端末、3…候補者端末、1a…個人識別子認識部、1b…アンケート実施部、1c…候補者情報認識部、1c1…回答認識部、1c2…属性情報認識部、1c3…候補者情報格納部、1d…母集団候補生成部、1e…母集団候補提示部、1f…母集団認識部、1g…嗜好情報認識部、1h…マーケティング情報認識部、1i…相関データ格納部、1j…二次候補者認識部、1k…利用可否認識部、1l…マーケティング支援処理部、1l1…マーケティング実施部、1l2…提供方法提示部、1l3…突合処理部、S…支援システム(マーケティング支援システム)。
【要約】
【課題】効率よく個人情報についての利用の許可を得ることができるマーケティング支援システムを提供する。
【解決手段】
一次候補者の個人識別子以外の情報を付加して、母集団候補をユーザに対して選択可能に提示する母集団候補提示部1eと、アンケートに対する回答に基づいて、一次候補者の嗜好情報を認識する嗜好情報認識部1gと、マーケティング情報を認識するマーケティング情報認識部1hと、嗜好情報及びマーケティング情報に基づいて、母集団候補から選択された母集団に含まれる一次候補者から二次候補者を認識する二次候補者認識部1jと、二次候補者に対し、個人識別子の利用の可否を問い合わせる利用可否認識部1kとを備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
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図5
図6