(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
底壁及び天壁を有する筐体を備え、当該筐体内に、前記底壁に沿って空気を流す流路が形成された第1室と、当該第1室に隣接配置された第2室及び第3室と、が設けられている、電気機器であって、
前記筐体は、
前記底壁から前記天壁まで延び、前記第1室と前記第2室との間を仕切る第1仕切り壁と、
前記底壁から前記天壁へ向けて延びた立板部と、当該立板部の上端から前記第1仕切り壁まで横方向に延びた横板部と、を含み、これらによって前記第1室と前記第3室との間を仕切ると共に、前記横板部により前記第1室を前記天壁から離間させる第2仕切り壁と、
を更に有する、電気機器。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を電源装置に適用した実施形態について、図面に沿って具体的に説明する。
図1(a)及び(b)は、本発明の実施形態である電源装置を正面側及び背面側のそれぞれから見て示した斜視図である。
図1(a)及び(b)に示される様に、電源装置は、吸気口1aと排気口1bとを有する筐体1を備える。筐体1は、箱型を呈した外壁として、前壁10Aと、後壁10Bと、左右の側壁10C及び10Dと、天壁10Eと、底壁10Fとを有する。
【0012】
図2は、電源装置の内部構成を示した横断面図である。
図3は、
図2に示されたIII−III線に沿う縦断面図である。又、
図4は、筐体1の内部構成を部分的に示した破断斜視図である。
図2〜
図4に示される様に、筐体1内には、第1室11と、第2室12と、第3室13と、が設けられている。具体的には、筐体1は、第1室11と第2室12との間を仕切る第1仕切り壁14Aと、第1室11と第3室13との間を仕切る第2仕切り壁14Bと、を更に有し、これらの仕切り壁と外壁とによって第1室11〜第3室13が形成されると共に、第2室12及び第3室13が第1室11に隣接配置されている。より具体的には、以下の通りである。
【0013】
第1仕切り壁14Aは、底壁10Fから天壁10Eまで底壁10Fに対して垂直に延びる(
図3参照)と共に、前壁10Aから後壁10Bまで拡がっている(
図2参照)。そして、第1仕切り壁14Aは、前壁10A及び後壁10Bのそれぞれにネジ留めされている(
図2参照)。
【0014】
第2仕切り壁14Bは、立板部141と、横板部142と、を含む(
図3参照)。立板部141は、底壁10Fから天壁10Eへ向けて延びた部分である。具体的には、立板部141は、第1仕切り壁14Aに対向した状態で、底壁10Fに対して垂直に延びている。又、横板部142は、立板部141の上端から第1仕切り壁14Aまで横方向に延びた部分である。本実施形態では、第2仕切り壁14Bは、平板を屈曲変形させて形成されている。よって、第2仕切り壁14Bは、後述する各種部品(フィンや配線等)の組付けに対して高い強度を有する。
【0015】
更に、立板部141及び横板部142は何れも、前壁10Aから後壁10Bまで拡がっている(
図2参照)。そして、立板部141が、前壁10A及び後壁10Bのそれぞれにネジ留めされ(
図2参照)、且つ、横板部142のうちの立板部141とは反対側の端部141aが、第1仕切り壁14Aにネジ留めされている(
図3及び
図4参照)。
【0016】
第1室11は、前壁10A、後壁10B、底壁10F、第1仕切り壁14A、及び第2仕切り壁14Bによって囲まれることで形成されている。そして、前壁10Aにおいて、第1室11内に外気を直接的に吸入することが可能となる位置に、吸気口1aが形成されている(
図2参照)。又、後壁10Bにおいて、第1室11内の空気を外部へ直接的に排出することが可能となる位置に、排気口1bが形成されている(
図2参照)。本実施形態では、
図1(a)及び(b)に示される様に、複数のスリットを持ったカバー8が吸気口1aに取り付けられている。又、排気口1bは、後壁10Bに形成された複数の貫通孔から構成されている。
【0017】
この様な第1室11によれば、第1室11内には、吸気口1aから吸入される空気を底壁10Fに沿って排気口1bまで流す主流路21が形成される(
図2参照)。又、第2仕切り壁14Bによれば、天壁10Eから離間した横板部142によって第1室11の天井が構成されることにより、第1室11が、天壁10Eから離間して配置される(
図3参照)。これにより、第1室11と天壁10Eとの間に第3室13の一部が介在し、その結果として、第1室11から天壁10Eへ熱が伝わり難くなっている。
【0018】
第2室12は、筐体1を構成している外壁のうちの側壁10Dを除く壁と、第1仕切り壁14Aと、によって囲まれることで形成されており、これらの壁により密閉されている。よって、第2室12は、防塵性能を有している。又、第3室13は、筐体1を構成している外壁のうちの側壁10Cを除く壁と、第1仕切り壁14Aと、第2仕切り壁14Bと、によって囲まれることで形成されている。
【0019】
図2及び
図3に示される様に、電源装置は、ファン3と、第1フィン51と、第2フィン52と、を更に備え、これらが第1室11に設置されている。ファン3は、第1室11内の位置であって且つ吸気口1a近傍の位置に設置されており、吸気口1aから第1室11内へ空気を吸入する(
図2参照)。尚、吸気口1aから第1室11内への空気の吸入が実現されるのであれば、ファン3は、第1室11内の他の位置に設置されてもよいし、筐体1外の位置に設置されてもよい。
【0020】
ファン3の駆動により吸気口1aから吸入された空気は、第1フィン51及び第2フィン52内を通過する。そして、第1フィン51は、主流路21を流れる空気との熱交換により第2室12内を冷却する。又、第2フィン52は、主流路21を流れる空気との熱交換により第3室13内を冷却する。この様に第1室11内を空気が流れることにより、第1室11内に設けられた部品等が空気で直接的に冷却されるだけでなく、第2室12及び第3室13内に設けられた回路や部品等(後述する主回路41や入出力回路42等)が、第1フィン51及び第2フィン52を介して間接的に冷却される。
【0021】
本実施形態では更に、吸気口1aから吸入された空気は、その一部が第3室13へ導かれる。具体的には、第2仕切り壁14Bの立板部141に、第1通気口6a及び第2通気口6bが設けられている(
図2参照)。第1通気口6aは、吸気口1aに近い位置において、吸気口1aから吸入される空気の一部を第3室13へ流入させる。又、第2通気口6bは、排気口1bに近い位置において、第3室13内の空気を第1室11へ流出させる。これにより、第3室13内には、吸気口1aから吸入される空気の一部を、第1通気口6aから第2通気口6bまで流す副流路22が形成される。そして、この様に第3室13内に空気を流すことにより、第3室13内に設けられた回路や部品等を空気で直接的に冷却することができる。尚、第1通気口6a及び第2通気口6bの開口面積、形状、位置等を調整することにより、第3室13内に流す空気の量を調整することができる。
【0022】
図2に示される様に、電源装置は、筐体1内に構築された電源回路を更に備える。電源回路は、第1巻線40Aと、第2巻線40Bと、主回路41と、入出力回路42と、制御回路43と、を含む。本実施形態では、第1巻線40Aが第1室11内に配され、主回路41及び制御回路43が第2室12内に配され、第2巻線40B及び入出力回路42の一部(主に配線422)が第3室13内に配されている。尚、
図2では、各種回路を構成する部品の図示が部分的に省略されている。
【0023】
第1巻線40A及び第2巻線40Bは、塵埃等の異物からの保護が不要で且つ耐腐食性を持った部品であり、動作時に発熱を伴うものである。そして、この様な部品は、吸気口1aから吸入された空気を直接的に吹き付けて冷却することが可能であるので、空気が流れる第1室11や第3室13に配される。
【0024】
主回路41は、平滑回路やコンバータ回路等を含み、これらの回路には、スイッチ素子等、塵埃等の異物からの保護を要する多くの精密部品が含まれている。又、制御回路43にも、IC(Integrated Circuit)チップ等、塵埃等の異物からの保護を要する多くの精密部品が含まれている。よって、主回路41及び制御回路43は、密閉された第2室12内に配されている。又、主回路41及び制御回路43は、発熱部品を多く含むため、動作時において冷却を要する。そこで、電源装置は、第2室12内を冷却するための以下の構成を有している。
【0025】
図2及び
図3に示される様に、第1仕切り壁14Aには第1開口71が形成されており、第1開口71を隙間なく閉塞すべく、第1フィン51が、その平坦面を第1仕切り壁14Aに密着させた状態で第1室11内に設置されている。即ち、第1仕切り壁14Aの第1室11側の面に、第1フィン51が密着固定されている。この様に、第2室12を密閉する構造の一部を第1フィン51が担うことにより、第2室12は、外気から遮断された状態が維持されている。尚、第1フィン51は、第1仕切り壁14Aに直接的に接触した状態で密着固定される場合に限らず、絶縁物等を介して第1仕切り壁14Aに密着固定されてもよい。
【0026】
そして、第1フィン51の平坦面(第1仕切り壁14Aに密着した面)のうちの第1開口71から露出した部分に、主回路41が直接的に固着されている。よって、主回路41は、第1室11内を流れる空気により、第1フィン51を介して間接的に冷却される。尚、第1仕切り壁14Aが熱伝導性を有する場合、第1開口71がなくても、第1仕切り壁14Aを介して第2室12内を冷却することが可能である。この場合、第1仕切り壁14Aの第1室11側の面に第1フィン51を密着させると共に、第1仕切り壁14Aの第2室12側の面に、主回路41を構成する精密部品や基板などを密着させることが好ましい。
【0027】
尚、本実施形態では、上述した様に第1フィン51の平坦面又は第1仕切り壁14Aに主回路41が取り付けられることにより、主回路41を、第1仕切り壁14Aに対して第2室12側(即ち、第1仕切り壁14Aに垂直な一方向)から組み付けることが可能になっている。
【0028】
更に本実施形態では、第2室12内において、第1仕切り壁14Aと略平行に第3仕切り壁14Cが配されている(
図3参照)。そして、第3仕切り壁14Cに対して第1仕切り壁14Aとは反対側に制御回路43が配されている。具体的には、第3仕切り壁14Cは、後壁10Bにネジ留めされており、制御回路43は、第3仕切り壁14Cの第1仕切り壁14Aとは反対側の面に取り付けられている(
図2参照)。一方、第3仕切り壁14Cの存在により、主回路41は、第1仕切り壁14Aと第3仕切り壁14Cとの間に配される。即ち、主回路41と制御回路43との間に第3仕切り壁14Cが介在する。従って、第3仕切り壁14Cにより、主回路41と制御回路43とが互いに熱影響を及ぼし合うことが防止される。
【0029】
又、第2室12内に第3仕切り壁14Cが設けられることにより、主回路41からの熱のうち、第1室11に伝達されずに第2室12内に残った熱を、天壁10Eへ向けて上昇させ、当該天壁10Eを介して外部へ放出することができる。このとき、第2室12から天壁10Eに伝達される熱量は、第2仕切り壁14Bの横板部142がないとすれば第1室11から天壁10Eに直接的に伝達されるであろう熱量に比べて、著しく小さい。
【0030】
入出力回路42には、入出力端子421、及び電源回路内の配線422などが含まれている。そして、入出力端子421は、後壁10Bのうちの第3室13を構成している部分から外部に引き出されている(
図2参照)。配線422は、電源回路の構築に必要な部品や回路間の接続を担うものである。この様な入出力回路42は、塵埃等の異物からの保護を主回路41ほどは必要としないが、適度な冷却を要する。そこで、入出力回路42は、第3室13内に配されることにより、副流路22に沿って流れる空気で直接的に冷却されると共に、第1室11内を流れる空気により、第2フィン52を介して間接的に冷却される。具体的には、電源装置は、第3室13内を冷却するための以下の構成を有している。
【0031】
図2及び
図3に示される様に、第2仕切り壁14Bの立板部141には第2開口72が形成されており、第2開口72を閉塞すべく(部分的に隙間が生じてもよい)、第2フィン52が、その平坦面を立板部141に密着させた状態で第1室11内に設置されている。即ち、立板部141の第1室11側の面に、第2フィン52が密着固定されている。
【0032】
そして、第2フィン52の平坦面(第2仕切り壁14Bに密着した面)のうちの第2開口72から露出した部分に、配線422に含まれる接続端子等が直接的に固着されている。よって、配線422は、第1室11内を流れる空気により、第2フィン52を介して間接的に冷却される。尚、第2仕切り壁14Bが熱伝導性を有する場合、第2開口72がなくても、第2仕切り壁14Bを介して第3室13内を冷却することが可能である。この場合、第2仕切り壁14Bの第1室11側の面に第2フィン52を密着させると共に、第2仕切り壁14Bの第3室13側の面に、配線422に含まれる接続端子等を密着させることが好ましい。
【0033】
尚、本実施形態では、上述した様に第2フィン52の平坦面又は第2仕切り壁14Bに入出力回路42(接続端子等)が取り付けられることにより、入出力回路42を、第2仕切り壁14Bに対して第3室13側(即ち、第2仕切り壁14Bに垂直な一方向)から組み付けることが可能になっている。
【0034】
この様に、第1フィン51及び第2フィン52が、第1室11内において主流路21に沿って流れる空気との熱交換を行うことにより、第2室12及び第3室13がそれぞれ冷却される。即ち、第1室11には、第1フィン51を介して第2室12内の熱が伝達されると共に、第2フィン52を介して第3室13内の熱が伝達される。よって、第1室11には、第1フィン51及び第2フィン52を通じて大量の熱が集められる。このため、第1室11に伝達された熱は、第1室11内を流れる空気によって排気口1bから排出されはするものの、多くの熱が横板部142に直接的に伝達されてしまい、当該横板部142が熱せられる。
【0035】
本実施形態の電源装置では、上述した様に、第1室11が天壁10Eから離間して配置されることで、第1室11から天壁10Eへ熱が伝わり難くなっている。よって、第1室11内の熱により横板部142が熱せられたとしても、横板部142から天壁10Eには熱が伝わり難い。このため、天壁10Eが過剰に熱せられることがなく、従って、筐体1の天壁10Eから熱が過剰に放出されることが防止される。
【0036】
又、本実施形態の電源装置では、上述した様に、主回路41を、第1仕切り壁14Aに対して第2室12側(即ち、第1仕切り壁14Aに垂直な一方向)から組み付けることが可能になっている。又、入出力回路42を、第2仕切り壁14Bに対して第3室13側(即ち、第2仕切り壁14Bに垂直な一方向)から組み付けることが可能になっている。更には、制御回路43を、第3仕切り壁14Cに取り付けることができる。そして、第1仕切り壁14A及び第2仕切り壁14Bは何れも、前壁10A及び後壁10Bのそれぞれにネジ留めされ、第3仕切り壁14Cは、後壁10Bにネジ留めされている。
【0037】
よって、天壁10E及び底壁10Fには、仕切り壁や各種回路を取り付けるためのネジ穴を設ける必要がなく、従って、筐体1内には水や埃等の異物が侵入し難い。又、各種回路は、筐体1内において底壁10Fから浮いた状態で仕切り壁等に取り付けられる。よって、万が一にも筐体1内に水が侵入した場合でも、筐体1内の底に溜まった水に各種回路が浸り難く、従って、浸水に起因した各種回路の故障を回避することができる。
【0038】
更に、本実施形態の電源装置では、第1室11が、横板部142によって天壁10Eから離間して配置されるため、
図4に示される様に、横板部142と天壁10Eとの間には隙間が形成される。従って、第1仕切り壁14Aのうちの当該隙間に露出した部分において、前壁10Aと後壁10Bとの間の様々な位置に、第2室12から第3室13へリード線Wを通すための貫通孔15を設けることができる。よって、第2室12内の各種回路(例えば、主回路41)と、第3室13内の各種回路(例えば、入出力回路42)と、を接続するための配線の自由度が高まり、その結果として、第2室12と第3室13との間において回路どうしを短い配線で接続することが可能になる。
【0039】
図5は、上記電源装置の変形例を示した横断面図である。第2室12内において、主回路41と制御回路43とが互いに熱影響を及ぼし合わない場合や、その様な熱影響を許容できる場合には、
図5に示される様に、上記電源装置は、第2室12内に第3仕切り壁14Cを設けない構成を有していてもよい。
【0040】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0041】
例えば、上記電源装置は、第2フィン52を持たない構成を有していてもよい。この場合、第2仕切り壁14Bに熱伝導性を持たせることにより、第2仕切り壁14Bが、第2フィン52に代わる熱交換部として用いられることが好ましい。第2仕切り壁14Bだけでなく、第1仕切り壁14Aにも熱伝導性を持たせることにより、第1仕切り壁14A及び第2仕切り壁14Bがそれぞれ、第1フィン51及び第2フィン52に代わる熱交換部として用いられてもよい。
【0042】
又、上記電源装置に構築されている冷却構造の各部構成は、電源装置に限らず、種々の電気機器に適用することができる。