特許第6941199号(P6941199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 文化シヤッター株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6941199-止水装置の梱包構造および止水装置 図000002
  • 特許6941199-止水装置の梱包構造および止水装置 図000003
  • 特許6941199-止水装置の梱包構造および止水装置 図000004
  • 特許6941199-止水装置の梱包構造および止水装置 図000005
  • 特許6941199-止水装置の梱包構造および止水装置 図000006
  • 特許6941199-止水装置の梱包構造および止水装置 図000007
  • 特許6941199-止水装置の梱包構造および止水装置 図000008
  • 特許6941199-止水装置の梱包構造および止水装置 図000009
  • 特許6941199-止水装置の梱包構造および止水装置 図000010
  • 特許6941199-止水装置の梱包構造および止水装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6941199
(24)【登録日】2021年9月7日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】止水装置の梱包構造および止水装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20210916BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20210916BHJP
【FI】
   E06B5/00 Z
   E04H9/14 Z
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-48106(P2020-48106)
(22)【出願日】2020年3月18日
(62)【分割の表示】特願2015-247216(P2015-247216)の分割
【原出願日】2015年12月18日
(65)【公開番号】特開2020-112024(P2020-112024A)
(43)【公開日】2020年7月27日
【審査請求日】2020年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長峰 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中島 厚二
(72)【発明者】
【氏名】大井 勝
【審査官】 芝沼 隆太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−190129(JP,A)
【文献】 特開2009−286476(JP,A)
【文献】 実開昭61−164326(JP,U)
【文献】 実開昭53−111638(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3170910(JP,U)
【文献】 特開2002−154581(JP,A)
【文献】 米国特許第4682443(US,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0055453(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00− 5/20
E04H 9/00− 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の屋内側と屋外側とを連通する開口部の屋外側に配置され、板材と、前記板材の幅方向における両端部を閉塞する一対の側面部材と、を有し、前記一対の側面部材のそれぞれに、前記幅方向における内側に開口が形成されるとともに当該開口を介して前記幅方向における前記板材の端部が挿入された第1空間部と、前記第1空間部の屋内側に配置されて屋内側に開口が形成された第2空間部と、前記幅方向において前記板材と対向する側に設けられた側面止水部材と、が形成された、止水板と、
前記第2空間部の開口を介して当該第2空間部に挿入されて前記第2空間部に保持され、前記開口部の側面と前記止水板との間を止水する一対の第1止水部材と、
前記止水板の底面に設けられ、前記開口部の床部と前記止水板との間を止水する第2止水部材と、
を少なくとも備える止水装置を梱包する梱包構造であって、
第1緩衝材を備え、
前記止水板の底面には、前記第2止水部材が固定される固定部が設けられており、
前記第1緩衝材は、前記固定部よりも下方に配置された底面部と、前記底面部から上方に突出し前記止水板の外面に支持される側壁部と、前記止水板の下端面に当接する当接部と、を有しており、前記当接部が前記下端面に当接固定された状態で、前記第1緩衝材が前記第2止水部材よりも下方に突出した部分を有する、
止水装置の梱包構造。
【請求項2】
前記側壁部は、屋外側における前記止水板の外面に支持される第1側壁部を有する、請求項1に記載の止水装置の梱包構造。
【請求項3】
前記側壁部は、屋内側における前記止水板の外面に支持される第2側壁部を有する、請求項1または2に記載の止水装置の梱包構造。
【請求項4】
前記固定部は、下方側が開口して形成されている、請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の止水装置の梱包構造。
【請求項5】
前記第2止水部材は、前記固定部を形成する部分の下方側端部に形成されて前記止水板の厚み方向において対向する爪により保持されている、請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の止水装置の梱包構造。
【請求項6】
前記第2止水部材は、屋内側における前記止水板の内側面に接触している、請求項1〜5のうちいずれか一つに記載の止水装置の梱包構造。
【請求項7】
前記第1止水部材よりも前記止水板の幅方向に突出して前記止水板に固定されている第2緩衝材をさらに備える、請求項1〜6のうちいずれか一つに記載の止水装置の梱包構造。
【請求項8】
前記板材は、前記止水板の上下方向に配置された複数の板材を有する、請求項1〜7のうちいずれか一つに記載の止水装置の梱包構造。
【請求項9】
前記第2止水部材の前記幅方向における両端部は、前記第1止水部材に連結されている、請求項1〜8のうちいずれか一つに記載の止水装置の梱包構造。
【請求項10】
前記板材は、前記止水板の底面を有する下段板材を含み、
前記下段板材は、下方側が開口して形成された溝部と、当該溝部の屋内側に配置されるとともに下方側が開口して形成された前記固定部と、を有し、
前記第2止水部材は、前記固定部の開口を介して当該固定部に挿入された、
請求項1〜9のうちいずれか一つに記載の止水装置の梱包構造。
【請求項11】
板材と、前記板材の幅方向における両端部を閉塞する一対の側面部材と、を有し、前記一対の側面部材のそれぞれに、前記幅方向における内側に開口が形成されるとともに当該開口を介して前記幅方向における前記板材の端部が挿入された第1空間部と、前記第1空間部の厚み方向における一方側に配置されて前記厚み方向における一方側に開口が形成された第2空間部と、前記幅方向において前記板材と対向する側に設けられた側面止水部材と、が形成された、止水板と、
前記第2空間部の開口を介して当該第2空間部に挿入されて前記第2空間部に保持された一対の第1止水部材と、
前記止水板の底面に設けられた固定部に固定された第2止水部材と、
を備える止水装置。
【請求項12】
前記第2止水部材の前記幅方向における両端部は、前記第1止水部材に連結されている、請求項11に記載の止水装置。
【請求項13】
前記板材は、前記止水板の底面を有する下段板材を含み、
前記下段板材は、下方側が開口して形成された溝部と、当該溝部の前記厚み方向における一方側に配置されるとともに下方側が開口して形成された前記固定部と、を有し、
前記第2止水部材は、前記固定部の開口を介して当該固定部に挿入された、
請求項11または12に記載の止水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の屋内側と屋外側とを連通する開口部を止水する止水装置および当該止水装置を梱包する梱包構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、豪雨、津波、河川の氾濫などの水害時に、外部である屋外からの氾濫水などの水は、構造物の開口部から内部である構造物内(屋内)に浸入するため、構造物の開口部に止水板が設けられている場合がある。止水板は、例えば、開口部を形成する幅方向において離間して設置される一対の枠部材の間に設置され、止水板と一対の枠部材との間、および止水板と設置面との間にゴムなどが介在され、開口部の止水を行うものである(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4264300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、止水板を出荷する際には、止水板を梱包する。止水板を梱包する場合、例えば、止水板を保護シートで包んで段ボールに収容していた。このため、止水板の止水用のゴムが設置面等に当接して変形したり、破損したりすることがあった。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、止水装置を梱包する際に、止水用のゴムが変形したり、破損したりすることを防止できる止水装置の梱包構造および止水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る止水装置の梱包構造は、構造物の屋内側と屋外側とを連通する開口部の屋外側に配置され、板材と、前記板材の幅方向における両端部を閉塞する一対の側面部材と、を有し、前記一対の側面部材のそれぞれに、前記幅方向における内側に開口が形成されるとともに当該開口を介して前記幅方向における前記板材の端部が挿入された第1空間部と、前記第1空間部の屋内側に配置されて屋内側に開口が形成された第2空間部と、前記幅方向において前記板材と対向する側に設けられた側面止水部材と、が形成された、止水板と、前記第2空間部の開口を介して当該第2空間部に挿入されて前記第2空間部に保持され、前記開口部の側面と前記止水板との間を止水する一対の第1止水部材と、前記止水板の底面に設けられ、前記開口部の床部と前記止水板との間を止水する第2止水部材と、を少なくとも備える止水装置を梱包する梱包構造であって、第1緩衝材を備え、前記止水板の底面には、前記第2止水部材が固定される固定部が設けられており、前記第1緩衝材は、前記固定部よりも下方に配置された底面部と、前記底面部から上方に突出し前記止水板の外面に支持される側壁部と、前記止水板の下端面に当接する当接部と、を有しており、前記当接部が前記下端面に当接固定された状態で、前記第1緩衝材が前記第2止水部材よりも下方に突出した部分を有する。
【0007】
この発明によれば、第1緩衝材が固定された止水板を載置面に載置した状態で、第2止水部材と載置面との間に空間を有する。これにより、止水板を梱包して配送する際に、第2止水部材が載置面に当接しないので、第2止水部材が潰れて変形したり、破損したりすることを防止できる。
【0008】
また、上記止水装置の梱包構造において、前記側壁部は、屋外側における前記止水板の外面に支持される第1側壁部を有する。
【0009】
また、上記止水装置の梱包構造において、前記側壁部は、屋内側における前記止水板の外面に支持される第2側壁部を有する。
また、上記止水装置の梱包構造において、前記固定部は、下方側が開口して形成されている。
また、上記止水装置の梱包構造において、前記第2止水部材は、前記固定部を形成する部分の下方側端部に形成されて前記止水板の厚み方向において対向する爪により保持されている。
また、上記止水装置の梱包構造において、前記第2止水部材は、屋内側における止水板の内側面に接触している。
また、上記止水装置の梱包構造は、前記第1止水部材よりも前記止水板の幅方向に突出して前記止水板に固定されている第2緩衝材をさらに備える。
また、上記止水装置の梱包構造において、前記板材は、前記止水板の上下方向に配置された複数の板材を有する。
また、上記止水装置の梱包構造において、前記第2止水部材の前記幅方向における両端部は、前記第1止水部材に連結されている。
また、上記止水装置の梱包構造において、前記板材は、前記止水板の底面を有する下段板材を含み、前記下段板材は、下方側が開口して形成された溝部と、当該溝部の屋内側に配置されるとともに下方側が開口して形成された前記固定部と、を有し、前記第2止水部材は、前記固定部の開口を介して当該固定部に挿入される。
また、本発明に係る止水装置は、板材と、前記板材の幅方向における両端部を閉塞する一対の側面部材と、を有し、前記一対の側面部材のそれぞれに、前記幅方向における内側に開口が形成されるとともに当該開口を介して前記幅方向における前記板材の端部が挿入された第1空間部と、前記第1空間部の厚み方向における一方側に配置されて前記厚み方向における一方側に開口が形成された第2空間部と、前記幅方向において前記板材と対向する側に設けられた側面止水部材と、が形成された、止水板と、前記第2空間部の開口を介して当該第2空間部に挿入されて前記第2空間部に保持された一対の第1止水部材と、前記止水板の底面に設けられた固定部に固定された第2止水部材と、を備える。
また、上記止水装置において、前記第2止水部材の前記幅方向における両端部は、前記第1止水部材に連結されている。
また、上記止水装置において、前記板材は、前記止水板の底面を有する下段板材を含み、前記下段板材は、下方側が開口して形成された溝部と、当該溝部の前記厚み方向における一方側に配置されるとともに下方側が開口して形成された前記固定部と、を有し、前記第2止水部材は、前記固定部の開口を介して当該固定部に挿入される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る止水装置の梱包構造および止水装置では、各止水部材よりも突出して緩衝材をそれぞれ固定できるので、止水装置を梱包する際に、各止水部材が変形したり、破損したりすることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る止水装置の構成例を示す正面図である。
図2図2は、実施形態に係る止水板の構成例を示す斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る第1止水部材の構成例を示す上面図である。
図4図4は、実施形態に係る第2止水部材の構成例を示す断面図である。
図5図5は、実施形態に係る止水板の梱包方法を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係る止水板の梱包例を示す斜視図である。
図7図7は、実施形態に係る止水板(第2止水部材)の梱包例を示す断面図である。
図8図8は、実施形態に係る止水板(第1止水部材)の梱包例を示す上面図である。
図9図9は、変形例に係る止水板の梱包例(その1)を示す断面図である。
図10図10は、変形例に係る止水板の梱包例(その2)を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0013】
〔実施形態〕
実施形態に係る止水装置の構成例について説明する。図1は、実施形態に係る止水装置の構成例を示す正面図である。図2は、実施形態に係る止水板の構成例を示す斜視図である。図3は、実施形態に係る第1止水部材の構成例を示す上面図である。図4は、実施形態に係る第2止水部材の構成例を示す断面図である。ここで、各図における「屋内外方向」とは開口部を挟んで屋外側と屋内側とを結ぶ方向であり、「幅方向」とは屋内外方向と直交し、一対の枠部材が離間して設置される方向であり、「上下方向」とは屋内外方向および幅方向と直交する方向である。
【0014】
止水装置1は、図1および図2に示すように、開口部100を止水するものであり、止水板2と、第1止水部材3R,3Lと、第2止水部材4とを備える。ここで、開口部100は、構造物の屋内側と屋外側とを連通するものであり、例えば、高い意匠性が要求される店舗の入り口などを構成する。開口部100は、少なくとも一対の枠部材200R,200Lと、床部である設置面300とにより形成されている。一対の枠部材200R,200Lは、幅方向において離間して設置されるものであり、床や、地面などの設置面300から立設されている。
【0015】
止水板2は、開口部100の屋外側に配置されることで、屋外側から屋内側に浸入する水を屋外側の側面2aで受け止め、堰き止めるものである。止水板2は、矩形状に形成されており、幅方向における長さが開口部100の幅方向における長さよりも長く設定されている。つまり、止水板2は、幅方向における両端部が一対の枠部材200R,200Lと、屋内外方向においてそれぞれ対向する。止水板2は、上段板材21と、中段板材22(22a〜22d)と、下段板材23と、一対の側面部材24R,24Lとを備える。本実施形態における止水板2は、上段板材21と下段板材23との間に4枚の中段板材22(22a〜22d)が配置されている場合について説明するが、これに限定されるものではなく、中段板材22は上段板材21と下段板材23との間に4枚を超える枚数であっても、また4枚未満の枚数であってもよい。これにより、止水板2は、立位状態における上下方向での高さを調整することができる。止水板2の高さは、ユーザーが十分に跨ぐことができる高さに設定されていることが好ましく、例えば、30CMから60CM程度が好ましい。従って、止水装置1が設置状態であっても、開口部100を使用して、外部と構造物の内部との間において止水板2を跨ぐことで、行き来することができる。止水板2は、屋外側の側面2aにおいて受け止めた水の水圧に耐えうる強度を有し、かつ、ユーザーが単独で持ち運びできる程度の重量であることが好ましいため、アルミニウム、アルミニウム合金あるいはステンレスなど、軽量で強度の高い材料で構成されている。上段板材21には、止水板2を持ち運ぶための把持部21aが設けられている。
【0016】
一対の側面部材24R,24Lは、板材21〜23の幅方向における両端部をそれぞれ閉塞するものであり、連結された板材21〜23の幅方向における両端部の上方側端部から下方側端部まで閉塞するものである。側面部材24L(24R)は、図3に示すように、第1空間部24aと、第2空間部24bとが形成されている。第1空間部24aは、幅方向における内側に開口が形成され、開口を介して、板材21〜23の幅方向における端部が挿入されるものである。第2空間部24bは、第1空間部24aの厚み方向における一方側(止水板2が立位状態において屋内側)に配置され、厚み方向における一方側に開口が形成されている。第2空間部24bは、開口を介して、第1止水部材3R,3Lがそれぞれ挿入され、第2空間部24bを形成する部分の厚み方向における一方側に形成された幅方向に対向する爪により、第1止水部材3R,3Lをそれぞれ保持する。側面部材24R,24Lは、幅方向において板材21〜23と対向する位置にビス穴24cが形成されている。本実施形態におけるビス穴24cは、板材21〜23に形成される図示しない各ビス止め部とそれぞれ幅方向において対向する位置に複数個形成されている。側面部材24R,24Lは、幅方向において板材21〜23と対向する側に、側面止水部材24dがそれぞれ形成されている。側面止水部材24dは、弾性部材であり、弾性変形が大きい軟質ゴム、あるいは発泡ゴムなどである。側面止水部材24dは、各ビス止め部と幅方向において対向する位置にそれぞれ貫通穴24eが形成されている。側面止水部材24dは、側面部材24R,24Lにより板材21〜23の幅方向における両端部をそれぞれ閉塞した状態で、板材21〜23の幅方向における両端面と圧縮状態で接触している。
【0017】
一対の第1止水部材3R,3Lは、枠部材200R,200Lと止水板2との間をそれぞれ止水するものである。第1止水部材3R,3Lは、止水板2の屋内側の側面2bの幅方向における両端部にそれぞれ設けられている。本実施形態における第1止水部材3R,3Lは、一対の側面部材24R,24Lにそれぞれ保持されている。第1止水部材3R,3Lは、同一形状であり、止水板2の上下方向における両端部までの長さを有する帯状に形成されている。第1止水部材3R,3Lは、弾性部材であり、弾性変形が大きい軟質ゴム、あるいは発泡ゴムなどである。ここで、第1止水部材3R,3Lは、第1止水部材3Rを枠部材200Rと屋内外方向において対向させた際に、第1止水部材3Lが枠部材200Lと屋内外方向において対向するように、止水板2に対する幅方向の間隔が設定されている。なお、第1止水部材3R,3Lは、止水板2の上下方向における下方側端部から上方に向かって形成されていればよく、この場合は止水装置1が想定する止水すべき設置面300からの高さよりも高い位置まで形成されていればよい。
【0018】
第2止水部材4は、設置面300と止水板2との間を止水するものである。第2止水部材4は、図4に示すように、止水板2の底面2d、すなわち上下方向における下方側の面に設けられている。本実施形態における第2止水部材4は、下段板材23に保持されている。下段板材23は、本体23aと、溝部23bと、固定部23cとを備えている。溝部23bは、本体23aの下方側に位置し、下段板材23の幅方向における両端部まで延在して形成されている。溝部23bは、上下方向における下方側が開口して形成されている。固定部23cは、本体23aの下方側に位置し、下段板材23の幅方向における両端部まで形成されている。固定部23cは、上下方向における下方側が開口して形成されている。溝部23bおよび固定部23cは、厚み方向において隣り合って形成され、止水板2の幅方向において並列して形成されている。本実施形態における下段板材23では、固定部23cの開口を介して、第2止水部材4が固定部23cに挿入され、固定部23cを形成する部分の下方側端部に形成された厚み方向において対向する爪により、第2止水部材4を保持する。第2止水部材4は、止水板2の幅方向における両端部までの長さを有する帯状に形成されている。第2止水部材4は、幅方向における両端部が第1止水部材3R,3Lとそれぞれ連結されている。例えば、第2止水部材4の幅方向における両端部が止水板2の屋内側の側面2b側に延在しており、側面2b側において第1止水部材3R,3Lと第2止水部材4とが屋内外方向において重なっている。第2止水部材4は、弾性部材であり、弾性変形が大きい軟質ゴム、あるいは発泡ゴムなどである。第2止水部材4は、第1止水部材3R,3Lと共通の断面形状としてもよいが、止水板2の自重により変形することを考慮して、外力が作用していない状態で、第1止水部材3R,3Lよりも厚く形成するようにしてもよい。
【0019】
なお、止水板2には、止水板2を設置面300に押圧して枠部材200R,200Lに固定するための押圧固定機構40が設けられている。また、止水板2には、止水板2の幅方向における位置を決めるための位置決め機構41が設けられている。
【0020】
次に、実施形態に係る止水板の梱包方法について説明する。図5は、実施形態に係る止水板の梱包方法を示すフローチャートである。図6は、実施形態に係る止水板の梱包例を示す斜視図である。図7は、実施形態に係る止水板(第2止水部材)の梱包例を示す断面図である。図8は、実施形態に係る止水板(第1止水部材)の梱包例を示す上面図である。
【0021】
先ず、図6および図7に示すように、止水板2の溝部23bに第1発泡材5を固定する(ステップS1;第1固定工程)。ここで、第1発泡材5は、例えば発泡スチロールであり、通常時は止水板2の重量を受けても形状を保ちつつ外部からの衝撃があった際には外部からの衝撃をやわらげる第1緩衝材として機能する。第1発泡材5は、柱状に形成され、溝部23bの長手方向(幅方向)における両端部までおよぶ長さに形成されている。第1発泡材5は、溝部23bに嵌合する厚みに形成されている。溝部23bに嵌合された第1発泡材5は、上下方向における下方側に第2止水部材4よりも長さH1だけ突出する。これにより、第1発泡材5が固定された止水板2を載置面に載置したとき、第2止水部材4と載置面との間に空間を有するようになる。
【0022】
さらに、止水板2に第2発泡材6を固定する。第2発泡材6は、例えば発泡スチロールであり、柱状に形成されている。第2発泡材6は、止水板2の上下方向における長さよりも長く形成されている。第2発泡材6は、上下方向における下方側に第2止水部材4よりも長さH1だけ突出するように、止水板2の屋内側の側面2bにテープ7により貼着されて固定される。これにより、第2止水部材4は、上下方向における下方側に長さH1だけ突出した第1発泡材5と第2発泡材6とにより、厚み方向において挟まれた状態となる。第2発泡材6は、止水板2の幅方向において等間隔に複数個固定される。
【0023】
次に、止水板2の底面2dに段ボール8を被せる。ここで、段ボール8は、止水板2の幅方向における両端部までおよぶ長さに形成され、長手方向(幅方向)における直交断面がコの字状に形成されている。段ボール8は、第1発泡材5と第2発泡材6とが固定された止水板2を底面2d側から覆う。このとき、段ボール8の底面8aは、上下方向における下方側に突出した第1発泡材5および第2発泡材6により、上下方向において第2止水部材4との間に空間を有している。
【0024】
次に、止水板2の幅方向における両端部、すなわち側面部材24R,24Lに第3発泡材9R,9Lをそれぞれ固定する(ステップS2;第2固定工程)。ここで、第3発泡材9R,9Lは、例えば発泡スチロールであり、通常時は止水板2の重量を受けても形状を保ちつつ外部からの衝撃があった際には外部からの衝撃をやわらげる第2緩衝材として機能する。第3発泡材9R,9Lは、柱状に形成され、上下方向において第2発泡材6と略同じ長さに形成されている。また、第3発泡材9R,9Lは、厚み方向において、第1止水部材3R,3Lを含む止水板2の厚みよりも厚く形成されている。
【0025】
第3発泡材9R,9Lをそれぞれ側面部材24R,24Lに当接させると共に、段ボール10R,10Lにより第3発泡材9R,9Lのそれぞれを止水板2の幅方向から覆い、第3発泡材9R,9Lをそれぞれ側面部材24R,24Lに固定する。ここで、段ボール10R,10Lは、止水板2の上下方向における両端部までおよぶ長さに形成され、長手方向(上下方向)における直交断面がコの字状に形成されている。図8に示すように、側面部材24L(24R)に固定された第3発泡材9L(9R)は、厚み方向において、第1止水部材3L(3R)よりも長さH2だけ第1止水部材3L(3R)側に突出する。また、止水板2の屋内側の側面2bに固定された第2発泡材6も、厚み方向において、第3発泡材9L(9R)と同様に、第1止水部材3L(3R)よりも長さH2だけ突出する。段ボール10L(10R)は、厚み方向に突出した第3発泡材9L(9R)および第2発泡材6により、厚み方向において第1止水部材3L(3R)との間に空間を有している。
【0026】
次に、止水板2の押圧固定機構40および位置決め機構41を緩衝材11で覆う(ステップS3)。次に、止水板2の全体を保護シート12で覆い(ステップS4)、図示しない段ボール箱に収容する。
【0027】
以上のように、実施形態に係る止水板の梱包方法によれば、止水板2の上下方向における下方側において第2止水部材4よりも突出して第1発泡材5を溝部23bに固定する第1固定工程を有する。これにより、第1発泡材5が固定された止水板2を載置面に載置した状態で、第2止水部材4と載置面との間に空間を有する。従って、止水板2を梱包して配送する際に、第2止水部材4が載置面に当接しないので、第2止水部材4が潰れて変形したり、破損したりすることを防止できる。これにより、第2止水部材4は、本来の機能を十分に発揮することができるので、開口部100の設置面300から浸入する水を良好に堰き止めることができる。
【0028】
また、第1止水部材3R,3Lよりも厚み方向に突出するように、止水板2の幅方向における両端部に第3発泡材9R,9Lを固定する第2固定工程を有する。これにより、第1止水部材3R,3Lは、段ボール10R,10Lとの間に空間を有する。従って、止水板2を梱包して配送する際に、第1止水部材3R,3Lが段ボール10R,10Lに当接しないので、第1止水部材3R,3Lが潰れて変形したり、破損したりすることを防止できる。これにより、第1止水部材3R,3Lは、本来の機能を十分に発揮することができるので、開口部100の枠部材200R,200Lから浸入する水を良好に堰き止めることができる。
【0029】
〔変形例〕
次に、実施形態の変形例について説明する。図9は、変形例に係る止水板の梱包例(その1)を示す断面図である。図10は、変形例に係る止水板の梱包例(その2)を示す断面図である。
【0030】
図9に示すように、止水板2の上下方向における下方側および厚み方向における両側から第2止水部材4を囲繞するような第4発泡材13を備えるようにしてもよい。第4発泡材13は、止水板2の幅方向における両端部までおよぶ長さに形成され、長手方向(幅方向)における直交断面は、略コの字状に形成されている。第4発泡材13は、底面部13aと、底面部13aの短手方向(厚み方向)における両端側から立設された側壁部13bと、止水板2の溝部23bに固定される突起部13cとを備えている。側壁部13bの内側の間隔は、厚み方向における止水板2の厚みと略等しい。第4発泡材13は、上下方向における下方側から止水板2に固定され、止水板2の溝部23bに突起部13cが固定される。溝部23bに突起部13cが固定された第4発泡材13は、第2止水部材4と底面部13aとが長さH3だけ離間し、空間を有している。これにより、止水板2を梱包して配送する際に、第2止水部材4が載置面に当接しないので、第2止水部材4が潰れて変形したり、破損したりすることを防止できる。
【0031】
また、図10に示すように、溝部23bに固定する突起部13cを備えていない第5発泡材14でもよい。第5発泡材14は、底面部14aと、底面部14aの短手方向(厚み方向)における両端側から立設された側壁部14bと、溝部23bの外枠に当接する当接面14cとを備えている。側壁部14bの内側の間隔は、厚み方向における止水板2の厚みと略等しい。第5発泡材14は、上下方向における下方側から止水板2に固定され、溝部23bの外枠に当接面14cが当接される。溝部23bの外枠に当接面14cが当接された第5発泡材14は、第2止水部材4と底面部14bとが長さH3だけ離間し、空間を有している。これにより、止水板2を梱包して配送する際に、第2止水部材4が載置面に当接しないので、第2止水部材4が潰れて変形したり、破損したりすることを防止できる。
【0032】
また、第1緩衝材、第2緩衝材をはじめとした第1〜第5発泡材は、止水板2の重量を受けても形状を保てたり、外部からの衝撃があった際には外部からの衝撃をやわらげたりすることができれば、硬質プラスチックや、金属、段ボール、パルプによる緩衝材などであってもよい。なお、金属の場合は、止水板2との接触部に押出成形材などのクッションが設けてあることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように、本発明に係る止水装置の梱包構造および止水装置は、止水装置を梱包する際に、止水装置の止水部材が変形したり、破損したりすることを防止することに適している。
【符号の説明】
【0034】
1 止水装置
2 止水板
21〜23 板材
23a 本体
23b 溝部
23c 固定部
3R,3L 第1止水部材
4 第2止水部材
5 第1発泡材
6 第2発泡材
8,10R,10L 段ボール
9R,9L 第3発泡材
13 第4発泡材
14 第5発泡材
100 開口部
200R,200L 枠部材
300 設置面
H1〜H3 長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10