(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6941203
(24)【登録日】2021年9月7日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】画像処理搬送システム、画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20210916BHJP
B65G 47/52 20060101ALI20210916BHJP
【FI】
G06T7/00 610C
B65G47/52 A
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-89118(P2020-89118)
(22)【出願日】2020年5月21日
【審査請求日】2020年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】591213623
【氏名又は名称】不二輸送機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 康
【審査官】
松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】
特開2019−049780(JP,A)
【文献】
特開2020−183876(JP,A)
【文献】
特表2001−523574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 − 7/90
B65G 47/52
G06T 1/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のワークが載置された上流側コンベヤの第1領域を撮像して第1撮像画像を得る第1撮像装置と、
前記第1撮像画像に対する画像認識により作業対象ワークを認識する第1画像処理装置と、
認識された前記作業対象ワークを前記上流側コンベヤから下流側コンベヤに移動させるように移載装置を制御する制御装置と、
前記下流側コンベヤの第2領域を撮像して第2撮像画像を得る第2撮像装置と、
前記第2撮像画像に対する画像認識により前記作業対象ワークを認識する第2画像処理装置と、を備え、
前記第2画像処理装置は、前記作業対象ワークの認識結果を前記第1画像処理装置に送信し、
前記第1画像処理装置は、前記第2画像処理装置から受信した前記認識結果に基づいて、画像認識処理に関する学習を行う
画像処理搬送システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理搬送システムであって、
前記認識結果は、認識された前記作業対象ワークの画像データを含み、
前記第1画像処理装置は、前記画像データを正解データとして学習する
画像処理搬送システム。
【請求項3】
請求項1に記載の画像処理搬送システムであって、
前記第1画像処理装置は、認識した前記作業対象ワークの識別データを前記第2画像処理装置に送信する
画像処理搬送システム。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理搬送システムであって、
前記第2画像処理装置は、前記第1画像処理装置から受信した前記識別データを、前記第2画像処理装置が認識した前記作業対象ワークの識別データと比較し、前記作業対象ワークの識別が不一致の場合に、前記認識結果を送信する
画像処理搬送システム。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理搬送システムであって、
前記認識結果は、認識された前記作業対象ワークの画像データを含み、
前記第1画像処理装置は、前記画像データを正解データとして学習する
画像処理搬送システム。
【請求項6】
請求項4に記載の画像処理搬送システムであって、
前記認識結果は、前記作業対象ワークの識別が不一致であることを示すデータを含み、
前記第1画像処理装置は、前記画像認識で使用した画像データを不正解データとして学習する
画像処理搬送システム。
【請求項7】
請求項5に記載の画像処理搬送システムであって、
前記第1画像処理装置は、受信した前記画像データと、前記画像認識で使用した画像データとを表示し、正解データの選択を受け付ける
画像処理搬送システム。
【請求項8】
請求項1〜7いずれか一項に記載の画像処理搬送システムであって、
前記第1領域では、前記1つ以上のワークがパレットに積み付けられている
画像処理搬送システム。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか一項に記載の画像処理搬送システムであって、
前記第1撮像装置から前記第1領域の被写体までの距離は、前記第2撮像装置から前記第2領域の被写体までの距離よりも遠い
画像処理搬送システム。
【請求項10】
1つ以上のワークが載置された上流側コンベヤの第1領域を撮像した第1撮像画像を、第1撮像装置から受信し、前記第1撮像画像に対する画像認識により作業対象ワークを認識する画像認識部と、
前記作業対象ワークの認識結果を、前記上流側コンベヤから下流側コンベヤに移動させるように移載装置を制御する制御装置に送信する認識結果出力部と、
前記下流側コンベヤの第2領域を撮像した第2撮像画像に対する画像認識により認識された前記作業対象ワークの認識結果を第2画像処理装置から受信し、受信した前記認識結果に基づいて、前記画像認識部の画像認識処理に関する学習を行う学習部と
を備える第1画像処理装置。
【請求項11】
下流側コンベヤの第2領域を撮像した第2撮像画像を、第2撮像装置から受信し、前記第2撮像画像に対する画像認識により作業対象ワークを認識する画像認識部と、
前記作業対象ワークの認識結果を、上流側コンベヤの第1領域を撮像した第1撮像画像に対する画像認識により前記作業対象ワークを認識する第1画像処理装置に、前記画像認識の学習データとして送信する認識結果出力部と
を備える第2画像処理装置。
【請求項12】
画像処理搬送システムにおける画像処理方法であって、
第1撮像装置が、1つ以上のワークが載置された上流側コンベヤの第1領域を撮像して第1撮像画像を得るステップと、
第1画像処理装置が、前記第1撮像画像に対する画像認識により作業対象ワークを認識するステップと、
制御装置が、認識された前記作業対象ワークを前記上流側コンベヤから下流側コンベヤに移動させるように移載装置を制御するステップと、
第2撮像装置が、前記下流側コンベヤの第2領域を撮像して第2撮像画像を得るステップと、
第2画像処理装置が、前記第2撮像画像に対する画像認識により前記作業対象ワークを認識するステップと、
前記第2画像処理装置が、前記作業対象ワークの認識結果を前記第1画像処理装置に送信するステップと、
前記第1画像処理装置が、前記第2画像処理装置から受信した前記認識結果に基づいて、画像認識処理に関する学習を行うステップと
を含む画像処理方法。
【請求項13】
1つ以上のワークが載置された上流側コンベヤの第1領域を撮像した第1撮像画像を、第1撮像装置から受信するステップと、
前記第1撮像画像に対する画像認識により作業対象ワークを認識するステップと、
前記作業対象ワークの認識結果を、前記上流側コンベヤから下流側コンベヤに移動させるように移載装置を制御する制御装置に送信するステップと、
前記下流側コンベヤの第2領域を撮像した第2撮像画像に対する画像認識により認識された前記作業対象ワークの認識結果を第2画像処理装置から受信するステップと、
受信した前記認識結果に基づいて、画像認識処理に関する学習を行うステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項14】
下流側コンベヤの第2領域を撮像した第2撮像画像を、第2撮像装置から受信するステップと、
前記第2撮像画像に対する画像認識により作業対象ワークを認識するステップと、
前記作業対象ワークの認識結果を、上流側コンベヤの第1領域を撮像した第1撮像画像に対する画像認識により前記作業対象ワークを認識する第1画像処理装置に、前記画像認識の学習データとして送信するステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理搬送システム、画像処理方法、画像処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像認識処理により搬送物(以下「ワーク」という)の種類、位置座標などを認識し、認識したワークをロボットにより把持する搬送システムが知られている。例えば、特許文献1には、カメラで撮像した画像からワークを検出する物品搬送システムについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019−025557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像認識処理では、環境の明るさやワークの外観(例えば麻袋のしわ)の変化によって、ワークの誤認識が発生し易くなる。例えば、ロボットが誤認識されたワークを把持して、原材料が混合される次の工程に搬送した場合、正しい製品が製造されないこととなる。
【0005】
本発明は、画像処理搬送システムにおいて画像認識の正確性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための本発明の一態様は、画像処理搬送システムであって、1つ以上のワークが載置された上流側コンベヤの第1領域を撮像して第1撮像画像を得る第1撮像装置と、前記第1撮像画像に対する画像認識により作業対象ワークを認識する第1画像処理装置と、認識された前記作業対象ワークを前記上流側コンベヤから下流側コンベヤに移動させるように移載装置を制御する制御装置と、前記下流側コンベヤの第2領域を撮像して第2撮像画像を得る第2撮像装置と、前記第2撮像画像に対する画像認識により前記作業対象ワークを認識する第2画像処理装置と、を備え、前記第2画像処理装置は、前記作業対象ワークの認識結果を前記第1画像処理装置に送信し、前記第1画像処理装置は、前記第2画像処理装置から受信した前記認識結果に基づいて、画像認識処理に関する学習を行う。
【0007】
前記認識結果は、認識された前記作業対象ワークの画像データを含み、前記第1画像処理装置は、前記画像データを正解データとして学習してもよい。
【0008】
前記第1画像処理装置は、認識した前記作業対象ワークの識別データを前記第2画像処理装置に送信してもよい。
【0009】
前記第2画像処理装置は、前記第1画像処理装置から受信した前記識別データを、前記第2画像処理装置が認識した前記作業対象ワークの識別データと比較し、前記作業対象ワークの識別が不一致の場合に、前記認識結果を送信してもよい。
【0010】
前記認識結果は、認識された前記作業対象ワークの画像データを含み、前記第1画像処理装置は、前記画像データを正解データとして学習してもよい。
【0011】
前記認識結果は、前記作業対象ワークの識別が不一致であることを示すデータを含み、前記第1画像処理装置は、前記画像認識で使用した画像データを不正解データとして学習してもよい。
【0012】
前記第1画像処理装置は、受信した前記画像データと、前記画像認識で使用した画像データとを表示し、正解データの選択を受け付けてもよい。
【0013】
前記第1領域では、前記1つ以上のワークがパレットに積み付けられていてもよい。
【0014】
前記第1撮像装置から前記第1領域の被写体までの距離は、前記第2撮像装置から前記第2領域の被写体までの距離よりも遠くてもよい。
【0015】
上記の課題を解決するための本発明の他の態様は、第1画像処理装置であって、1つ以上のワークが載置された上流側コンベヤの第1領域を撮像した第1撮像画像を、第1撮像装置から受信し、前記第1撮像画像に対する画像認識により作業対象ワークを認識する画像認識部と、前記作業対象ワークの認識結果を、前記上流側コンベヤから下流側コンベヤに移動させるように移載装置を制御する制御装置に送信する認識結果出力部と、前記下流側コンベヤの第2領域を撮像した第2撮像画像に対する画像認識により認識された前記作業対象ワークの認識結果を第2画像処理装置から受信し、受信した前記認識結果に基づいて、前記画像認識部の画像認識処理に関する学習を行う学習部とを備える。
【0016】
上記の課題を解決するための本発明のさらに他の態様は、第2画像処理装置であって、下流側コンベヤの第2領域を撮像した第2撮像画像を、第2撮像装置から受信し、前記第2撮像画像に対する画像認識により作業対象ワークを認識する画像認識部と、前記作業対象ワークの認識結果を、上流側コンベヤの第1領域を撮像した第1撮像画像に対する画像認識により前記作業対象ワークを認識する第1画像処理装置に
、前記画像認識の学習データとして送信する認識結果出力部とを備える。
【0017】
上記の課題を解決するための本発明のさらに他の態様は、画像処理搬送システムにおける画像処理方法であって、第1撮像装置が、1つ以上のワークが載置された上流側コンベヤの第1領域を撮像して第1撮像画像を得るステップと、第1画像処理装置が、前記第1撮像画像に対する画像認識により作業対象ワークを認識するステップと、制御装置が、認識された前記作業対象ワークを前記上流側コンベヤから下流側コンベヤに移動させるように移載装置を制御するステップと、第2撮像装置が、前記下流側コンベヤの第2領域を撮像して第2撮像画像を得るステップと、第2画像処理装置が、前記第2撮像画像に対する画像認識により前記作業対象ワークを認識するステップと、前記第2画像処理装置が、前記作業対象ワークの認識結果を前記第1画像処理装置に送信するステップと、前記第1画像処理装置が、前記第2画像処理装置から受信した前記認識結果に基づいて、画像認識処理に関する学習を行うステップとを含む。
【0018】
上記の課題を解決するための本発明のさらに他の態様は、プログラムであって、1つ以上のワークが載置された上流側コンベヤの第1領域を撮像した第1撮像画像を、第1撮像装置から受信するステップと、前記第1撮像画像に対する画像認識により作業対象ワークを認識するステップと、前記作業対象ワークの認識結果を、前記上流側コンベヤから下流側コンベヤに移動させるように移載装置を制御する制御装置に送信するステップと、前記下流側コンベヤの第2領域を撮像した第2撮像画像に対する画像認識により認識された前記作業対象ワークの認識結果を第2画像処理装置から受信するステップと、受信した前記認識結果に基づいて、画像認識処理に関する学習を行うステップとをコンピュータに実行させる。
【0019】
上記の課題を解決するための本発明のさらに他の態様は、プログラムであって、下流側コンベヤの第2領域を撮像した第2撮像画像を、第2撮像装置から受信するステップと、前記第2撮像画像に対する画像認識により作業対象ワークを認識するステップと、前記作業対象ワークの認識結果を、上流側コンベヤの第1領域を撮像した第1撮像画像に対する画像認識により前記作業対象ワークを認識する第1画像処理装置に
、前記画像認識の学習データとして送信するステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0020】
画像処理搬送システムにおいて画像認識の正確性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る画像処理搬送システムの構成例を示す図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る2台の画像処理装置の構成例を示す図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る2台の画像処理装置及び制御装置の処理の一例を説明するシーケンス図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る2台の画像処理装置の構成例を示す図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る2台の画像処理装置及び制御装置の処理の一例を説明するシーケンス図である。
【
図6】本発明の第3実施形態に係る2台の画像処理装置及び制御装置の処理の一例を説明するシーケンス図である。
【
図7】本発明の第4実施形態に係る2台の画像処理装置及び制御装置の処理の一例を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の複数の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、各実施形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の各実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状、位置関係等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0023】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像処理搬送システムの構成例を示す。
【0024】
画像処理搬送システムは、ロボット1、撮像装置2、撮像装置3、コンベヤ4、コンベヤ5、制御装置10、画像処理装置20、及び画像処理装置30を備える。撮像装置2、撮像装置3、画像処理装置20、及び画像処理装置30は、それぞれ、本発明の第1撮像装置、第2撮像装置、第1画像処理装置、及び第2画像処理装置に相当する。
【0025】
ロボット1と制御装置10、撮像装置2と画像処理装置20、撮像装置3と画像処理装置30は、
それぞれ、互いに通信可能に接続されている。制御装置10、画像処理装置20、及び画像処理装置30は、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して通信可能に接続されている。
【0026】
この画像処理搬送システムでは、例えば、複数のワークWが積み付けられたパレットPは、上流側のコンベヤ4上を搬送され、コンベヤ4の終端の搬出領域まで搬送される。そして、ロボット1が、パレットP上のワークWを1つ把持して持ち上げ、下流側のコンベヤ5の始端の搬入領域まで移動させ、載置して放す。コンベヤ5に載置されたワークWは、コンベヤ5上を次の工程へと搬送される。この画像処理搬送システムでは、このようなワークWの積み降ろし(バラし)作業が繰り返し行われる。
【0027】
ロボット1は、ワークWを把持して移動させて載置する作業機械(移載装置ともいう)であり、例えば、ボディ、アーム、ハンド、及びこれらを動作させるための駆動モータなどを備える。ロボット1は、接続された制御装置10からの制御命令に従って、アームやハンドを動作させる。もちろん、ワークWの積み降ろし(バラし)作業を行えれば、ロボット1の形態は限定されないし、ロボット1の代わりにロボットと呼ばれない種類の移載装置を設置してもよい。
【0028】
撮像装置2は、単眼カメラ、又はステレオカメラに代表される複眼カメラであり、コンベヤ4の搬出領域に配置されたパレットP(及びその上の1つ以上のワークW)を撮像し、撮像した画像データを画像処理装置20に送信する。
【0029】
撮像装置3は、単眼カメラ、又はステレオカメラに代表される複眼カメラであり、コンベヤ5上を搬送されるワークWを撮像し、撮像した画像データを画像処理装置30に送信する。
【0030】
撮像装置2は、その視野A(第1領域)内にパレットPが含まれるように、搬出領域の上方に固定的に設置されている。撮像装置3は、その視野B(第2領域)内にワークWが含まれるように、コンベヤ5の上方に固定的に設置されている。
【0031】
ここで、搬出領域にはロボット1のアーム及びハンドが進入するため、撮像装置2は、これらに衝突しないように、ロボット1のアーム及びハンドの動作範囲よりも高い垂直位置に設置せざるを得ない。一方で、撮像装置3は、ロボット1に衝突しない離れた水平位置に、ワークWを撮像できる高さの垂直位置に設置される。すなわち、撮像装置2は撮像装置3よりも高い位置に設置されており、撮像装置2から被写体までの距離は、撮像装置3から被写体までの距離よりも遠い。
【0032】
従って、同程度の性能の撮像装置を使用した場合、撮像画像データにおける被写体の解像度は、撮像装置2の方が撮像装置3よりも低くなる。そのため、撮像装置2の画像データを用いた画像認識処理では、撮像装置3の画像データを用いた画像認識処理よりも、ワークの誤認識が発生し易くなる。ワークの誤認識では、例えば、ワークの識別子、位置、向きなどが誤って認識される。
【0033】
そこで、本実施形態の画像処理装置20及び画像処理装置30は、上記のような誤認識の発生を少なくするための機能を有する。
【0034】
制御装置10は、ロボット1の作動を制御する。コンベヤ4、5の作動を制御してもよい。制御装置10は、例えば制御盤であり、プロセッサ、メモリ、ストレージ、通信インターフェイス、入力装置、表示装置などを含む。
【0035】
具体的には、制御装置10は、画像処理装置20から送信された認識結果を受信する。認識結果には、例えば、作業対象ワークWに関して、位置座標、向き、及び識別子等のデータを含む。制御装置10は、受信した認識結果に基づいて、制御命令を生成し、ロボット1に出力する。これにより、ロボット1は、搬出領域内のパレットP上の作業対象ワークWを搬入領域まで運ぶ。
【0036】
画像処理装置20は、撮像装置2から受信した画像データに対して画像認識処理を行い、上述した認識結果を制御装置10に送信する。画像処理装置20は、例えば、PC(Personal Computer)やサーバコンピュータなどの一般的なコンピュータにより実現できる。画像処理装置20については、
図2を用いて後に詳述する。
【0037】
画像処理装置30は、撮像装置3から受信した画像データに対して画像認識処理を行い、上述した認識結果を画像処理装置20に送信する。画像処理装置30は、例えば、PC(Personal Computer)やサーバコンピュータなどの一般的なコンピュータにより実現できる。画像処理装置30については、
図2を用いて後に詳述する。
【0038】
図2は、画像処理装置20及び画像処理装置30の構成例を示す図である。
【0039】
画像処理装置20は、処理部21、記憶部22、通信部23、入力部24、及び表示部25を有する。これらは、それぞれ例えば、プロセッサ、メモリ又はストレージ、ネットワークN及び撮像装置2用の通信インターフェイス、キーボード等の入力装置、ディスプレイにより実現できる。
【0040】
処理部21は、画像認識部211、認識結果出力部212、及び学習部213を含む機能を有する。これらの機能は、例えばプロセッサが所定のプログラムを実行することで実現される。
【0041】
画像認識部211は、通信部23を介して撮像装置2から画像データを受信し、受信した画像データに対して画像認識処理を行い、作業対象ワークWを認識する。画像認識処理には既存技術を使用することができるので、詳細な説明を省略する。例えば、画像認識部211は、学習済データ221に格納されている、マッチング用の各種ワークWの画像データ(正解データ)を用いて、受信した画像データに対してマッチング処理を行い、認識結果として、受信画像データ中のワークWの位置座標、向き、及び識別子を得る。もちろん、マッチング処理前に、受信した画像データに対して輪郭抽出処理などの前処理を施してもよい。
【0042】
具体例として、マッチング用の画像データには、各種原材料の麻袋の平面画像データが含まれる。画像認識部211は、受信画像データに対して、各平面画像データのマッチングを試みることで、受信画像データに含まれる原材料の麻袋の位置座標、向き、及び識別子を識別する。複数のワークを認識できてもよい。
【0043】
認識結果出力部212は、画像認識部211で得られた認識結果を、通信部23を介して制御装置10に出力する。
【0044】
学習部213は、画像処理装置30から送信された認識結果に基づいて、画像認識処理に関する学習を行う。例えば、画像認識処理に用いる学習済データ221に対する学習を行う。具体的には、学習部213は、受信した画像データを、マッチング用の画像データ(正解データ)として学習済データ221に格納する。つまり、本実施形態では、撮像装置2よりも撮像距離の近い撮像装置3により撮像された画像データの方が画像認識の信頼性が高いと扱う。これにより、画像処理装置20における画像認識の精度を向上することができる。
【0045】
もちろん、学習部213は、画像処理装置30から画像データを受け付ける他に、マッチング用の画像データを入力部24又は通信部23を介してユーザから受け付けて、学習済データ221に格納してもよい。
【0046】
なお、画像認識部211の画像認識処理は、いわゆるマッチング処理に限られず、例えば機械学習や深層学習により得た学習済モデルを使用してもよい。この場合、学習済データ221には、学習済モデルが含まれる。当該学習済モデルは、例えば、入力層にワークの画像データが入力され、複数段の中間層を経て、出力層から各種ワークに対する一致率が出力されるニューラルネットワークである。学習部213は、画像処理装置30から送信された認識結果(ワークの画像データとワークの識別子)を用いて、学習済モデルにさらに学習させることができる。
【0047】
画像処理装置30は、処理部31、記憶部32、通信部33、入力部34、及び表示部35を有する。これらは、それぞれ例えば、プロセッサ、メモリ又はストレージ、ネットワークN及び撮像装置3用の通信インターフェイス、キーボード等の入力装置、ディスプレイにより実現できる。
【0048】
処理部31は、画像認識部311、認識結果出力部312、及び学習部313を含む機能を有する。これらの機能は、例えばプロセッサが所定のプログラムを実行することで実現される。
【0049】
画像認識部311は、通信部33を介して撮像装置3から画像データを受信し、受信した画像データに対して画像認識処理を行い、作業対象ワークWを認識する。画像認識処理は、画像認識部211と同様なので説明を省略する。なお、画像認識部311は、学習済データ321に格納されているマッチング用の画像データ(正解データ)を使用する。
【0050】
認識結果出力部312は、画像認識部311で得られた認識結果を、通信部33を介して画像処理装置20に出力する。
【0051】
学習部313は、入力部34又は通信部33を介してユーザから入力された画像データに基づいて、画像認識処理に関する学習を行う。例えば、画像認識処理に用いる学習済データ321に対する学習を行う。具体的には、学習部313は、ユーザから受け付けた画像データを、マッチング用の画像データ(正解データ)として学習済データ321に格納する。
【0052】
なお、画像認識部311の画像認識処理は、画像認識部211と同様に、例えば機械学習や深層学習により得た学習済モデルを使用してもよい。学習部313は、ユーザから入力された学習データ(ワークの画像データとワークの識別子)を用いて、学習済モデルにさらに学習させることができる。
【0053】
図3は、本発明の第1実施形態に係る画像処理装置20、30及び制御装置10の処理の一例を説明するシーケンス図である。本シーケンスは、コンベヤ4の搬出領域である第1領域内の全てのワークWの搬出が終わるまで繰り返し実行される。
【0054】
まず、画像認識部211は、コンベヤ4上の第1領域内を撮像した画像データを撮像装置2から受信し、画像認識処理を行い、作業対象ワークWを認識する(ステップS1)。認識結果出力部212は、ステップS1の認識結果(作業対象ワークWの位置座標、向き、及び識別子)を制御装置10に送信する(ステップS2)。
【0055】
制御装置10は、ステップS2で受信した認識結果に基づいて、当該作業対象ワークWをコンベヤ4の搬出領域からコンベヤ5の搬入領域まで運ぶように作動させる制御命令を生成し(ステップS3)、ロボット1に出力する(ステップS4)。ロボット1によってコンベヤ5に載置されたワークWは、コンベヤ5によって下流へ搬送される。
【0056】
画像認識部311は、コンベヤ5上の第2領域内を撮像した画像データを撮像装置3から受信し、画像認識処理を行い、作業対象ワークWを認識する(ステップS5)。認識結果出力部312は、ステップS5の認識結果(作業対象ワークWの識別子、及び画像データ)を画像処理装置20に送信する(ステップS6)。なお、ステップS6で送信する画像データは、撮像された画像データ内で認識された作業対象ワークWの占める部分で足りる。
【0057】
学習部213は、ステップS6で受信した識別子と画像データを関連付けて、マッチング用の画像データ(正解データ)として学習済データ221に格納する(ステップS7)
【0058】
以上、本発明の第1実施形態について説明した。本実施形態によれば、上流側よりも近距離で撮像された下流側の画像データを使った画像認識結果が、上流側の画像処理装置で学習される。これにより、上流側における画像認識の正確性を高めることができる。
【0059】
[第2実施形態]
第2実施形態では、画像処理装置20が認識結果を画像処理装置30に出力する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、共通する点については説明を省略する。
【0060】
図4は、本発明の第2実施形態に係る画像処理装置20及び画像処理装置30の構成例を示す図である。
【0061】
画像処理装置20の認識結果出力部212は、画像認識部211で得られた認識結果(ワークの位置座標、向き、及び識別子)を、制御装置10だけでなく画像処理装置30にも出力する。
【0062】
画像処理装置30は、認識結果比較部314を有する。認識結果比較部314は、画像処理装置20から送信された認識結果を受信し、画像認識部311で得られた認識結果と比較する。具体的には、認識結果比較部314は、ワークの識別子が一致するか否かを判定する。
【0063】
認識結果出力部312は、ワークの識別子が一致しないと判定された場合に、画像認識部311で得られた認識結果を、画像処理装置20に出力する。
【0064】
図5は、本発明の第2実施形態に係る画像処理装置20、30及び制御装置10の処理の一例を説明するシーケンス図である。
【0065】
認識結果出力部212は、ステップS1の認識結果(作業対象ワークWの識別子)を画像処理装置30に送信する(ステップS11)。
【0066】
認識結果比較部314は、ステップS5の認識結果とステップS11で受信した認識結果の識別子を比較し、一致するかどうかを判定する(ステップS12)。認識結果出力部312は、ステップS12で識別子が一致すると判定された場合(ステップS13でY)、ステップS6の処理を行わない。
【0067】
認識結果出力部312は、ステップS12で識別子が一致しないと判定された場合(ステップS13でN)、ステップS5の認識結果(作業対象ワークWの識別子、及び画像データ)を画像処理装置20に送信する(ステップS6)。
【0068】
なお、ステップS7において、学習部213は、正解データを学習するのに加え、ステップS1でマッチしたマッチング用の画像データを、不正解データと扱い、学習済データ221から削除してもよい。
【0069】
以上、本発明の第2実施形態について説明した。本実施形態によれば、上流側と下流側とで画像認識結果が不一致の場合のみ、上流側の画像処理装置に画像データが送信され、学習される。これにより、画像処理装置20の処理負荷を低減することができるし、画像データの伝送によるネットワークの通信負荷を低減することができる。
【0070】
[第3実施形態]
以下、第2実施形態と異なる点を中心に説明し、共通する点については説明を省略する。
【0071】
図6は、本発明の第3実施形態に係る画像処理装置20、30及び制御装置10の処理の一例を説明するシーケンス図である。
【0072】
認識結果出力部312は、ステップS12で識別子が一致しないと判定された場合(ステップS13でN)、認識結果として不一致であることを示すデータを画像処理装置20に送信する(ステップS21)。第2実施形態と異なり、作業対象ワークWの識別子、及び画像データを送信しない。
【0073】
学習部213は、ステップS21で不一致であることを示すデータを受信すると、不正解データとして学習する(ステップS22)。例えば、学習部213は、ステップS1でマッチしたマッチング用の画像データを、不正解データと扱い、学習済データ221から削除する。
【0074】
以上、第3実施形態について説明した。本実施形態によれば、下流側から上流側の画像処理装置へ画像データが送信されない。これにより、画像データの伝送によるネットワークの通信負荷をなくすことができる。
【0075】
[第4実施形態]
以下、第2実施形態と異なる点を中心に説明し、共通する点については説明を省略する。
【0076】
図7は、本発明の第3実施形態に係る画像処理装置20、30及び制御装置10の処理の一例を説明するシーケンス図である。
【0077】
学習部213は、ステップS6で認識結果を受信すると、ステップS1で認識された認識結果と、ステップS6で受信した認識結果とを表示する(ステップS31)。具体的には、学習部213は、ステップS1で撮像された画像データ内で認識された作業対象ワークWの画像およびその識別子と、ステップS6で受信した作業対象ワークWの画像およびその識別子とを並べた画面を表示部25に表示させる。
【0078】
それから、学習部213は、正解を受け付ける(ステップS32)。具体的には、学習部213は、表示部25に表示された画面上で、正解の認識結果を選択するユーザの操作を入力部24から受け付ける。
【0079】
そして、学習部213は、正解データを学習する(ステップS33)。具体的には、学習部213は、ステップS32で選択された正解の方の画像データを、マッチング用の画像データ(正解データ)として学習済データ221に格納する。なお、学習部213は、ステップS32で選択されなかった方の画像データが、ステップS1の認識結果である場合、ステップS1でマッチしたマッチング用の画像データを、不正解データと扱い、学習済データ221から削除してもよい。
【0080】
以上、本発明の第4実施形態について説明した。本実施形態によれば、ユーザは、上流と下流のどちらの認識結果が正しいか等を検討することができる。また、ユーザによる検討結果として学習が行われるので、より正確な学習が期待できる。
【0081】
本発明は、上記の各実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能であり、それらの態様を含むものである。ある実施形態の一部の構成要素を、他の実施形態に加えたり、他の実施形態の一部の構成要素と置換したりしてもよい。ある実施形態の構成要素のうち、一部の構成要素を省略することもできる。
【0082】
本発明は、画像処理搬送システム、画像処理装置だけでなく、画像処理方法、画像処理プログラムなどの様々な態様で提供することができる。
【符号の説明】
【0083】
1…ロボット、2…撮像装置、3…撮像装置、4…コンベヤ、5…コンベヤ、10…制御装置、20…画像処理装置、21…処理部、22…記憶部、23…通信部、24…入力部、25…表示部、30…画像処理装置、31…処理部、32…記憶部、32…ステップ、33…通信部、34…入力部、35…表示部、211…画像認識部、212…認識結果出力部、213…学習部、221…学習済データ、311…画像認識部、312…認識結果出力部、313…学習部、314…認識結果比較部、321…学習済データ、N…ネットワーク、P…パレット、W…ワーク
【要約】
【課題】画像処理搬送システムにおいて画像認識の正確性を向上する。
【解決手段】画像処理搬送システムは、1つ以上のワークが載置された上流側コンベヤの第1領域を撮像して第1撮像画像を得る第1撮像装置と、前記第1撮像画像に対する画像認識により作業対象ワークを認識する第1画像処理装置と、認識された前記作業対象ワークを前記上流側コンベヤから下流側コンベヤに移動させるように移載装置を制御する制御装置と、前記下流側コンベヤの第2領域を撮像して第2撮像画像を得る第2撮像装置と、前記第2撮像画像に対する画像認識により前記作業対象ワークを認識する第2画像処理装置と、を備え、前記第2画像処理装置は、前記作業対象ワークの認識結果を前記第1画像処理装置に送信し、前記第1画像処理装置は、前記第2画像処理装置から受信した前記認識結果に基づいて、画像認識処理に関する学習を行う。
【選択図】
図1