(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6941206
(24)【登録日】2021年9月7日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】向上されたエネルギー効率を有するダクト付き換気フードを運転するための方法、装置、及びシステム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/08 20060101AFI20210916BHJP
F24F 1/02 20190101ALI20210916BHJP
F24F 1/022 20190101ALI20210916BHJP
F24F 3/044 20060101ALI20210916BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20210916BHJP
【FI】
F24F7/08 101Z
F24F7/08 101N
F24F7/08 A
F24F1/02 446
F24F1/022
F24F3/044
F24F7/06 101A
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-131425(P2020-131425)
(22)【出願日】2020年8月3日
(62)【分割の表示】特願2017-204425(P2017-204425)の分割
【原出願日】2010年11月18日
(65)【公開番号】特開2020-186906(P2020-186906A)
(43)【公開日】2020年11月19日
【審査請求日】2020年9月1日
(31)【優先権主張番号】61/281,592
(32)【優先日】2009年11月19日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512121783
【氏名又は名称】フィパック・リサーチ・アンド・ディベロップメント・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】オーヴィル,フランソワ
【審査官】
伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭64−036034(JP,U)
【文献】
特開2004−144400(JP,A)
【文献】
特開2002−081688(JP,A)
【文献】
特開平05−272782(JP,A)
【文献】
特開平07−260222(JP,A)
【文献】
特開2008−307496(JP,A)
【文献】
特開平05−149580(JP,A)
【文献】
特開平04−254126(JP,A)
【文献】
韓国登録特許第10−0903975(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/08
F24F 1/02
F24F 1/022
F24F 3/044
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
向上されたエネルギー効率を有するダクト付き換気フードを運転する方法であって、前記換気フードは、前記換気フードが配置されている温度調整された研究所の周囲空気からベンチトップ作業空間を隔離するための保護された囲壁であり、前記換気フードは、前記換気フードが封止されているときに戸枠と係合する前部ドアで出入りされ、前記研究所は建屋内に配置された、方法において、
空気出口を介して排気を前記ダクト付き換気フードの中から熱交換器を通して前記建屋の外の空気へ送り、空気入口を介して新規空気を前記建屋の外の空気から前記熱交換器を通して前記建屋の中に送り、前記熱交換器は、前記排気と前記新規空気との間で熱含有量を伝達して、前記新規空気が前記建屋の中へ入る前に前記新規空気を加熱または冷却して温度調整するように構成され、
前記ダクト付き換気フードからの前記排気が、フィルタを通されてから、ろ過された空気の系統を介して前記熱交換器の中へ導入され、
前記新規空気が、新規空気の系統として前記ダクト付き換気フードを含む建屋の中へ導入され、
前記熱交換器が、前記ろ過された空気の系統の気流内に挿入された第1の熱交換器要素と、前記新規空気の系統の気流内に挿入された第2の熱交換器要素とを備え、さらに、流体系統が、前記第1の熱交換器要素を前記第2の熱交換器要素に接続し、
前記熱交換器が熱ポンプを備え、さらに、前記流体系統が、冷媒で満たされた冷媒系統を備え、選択的に冷媒を圧縮するための圧縮機をさらに備え、
前記熱交換器が可逆熱ポンプを備えるように、前記冷媒系統に配置された逆転弁をさらに備えた、方法。
【請求項2】
前記ろ過された空気の系統と前記新規空気の系統が、前記熱交換器を通るが互いと連絡していない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記可逆熱ポンプが、液体の冷媒を、前記第1の熱交換器要素から前記第2の熱交換器要素へ導くことによって、前記ろ過された空気の系統から熱含有量を抽出して、その熱含有量を前記新規空気の系統に付加する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記可逆熱ポンプが、液体の冷媒を、前記第2の熱交換器要素から前記第1の熱交換器要素へ導くことによって、前記新規空気の系統から熱含有量を抽出して、その熱含有量を前記ろ過された空気の系統に付加する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
向上されたエネルギー効率を有するダクト付き換気フードを運転するための装置であって、前記換気フードは、前記換気フードが配置されている温度調整された研究所の周囲空気からベンチトップ作業空間を隔離するための保護された囲壁であり、前記換気フードは、前記換気フードが封止されているときに戸枠と係合する前部ドアで出入りされ、前記研究所は建屋内に配置された、装置において、
前記ダクト付き換気フード内から空気出口を介して排気を受け取って、前記排気を前記建屋の外の空気に送るとともに、前記建屋の外の空気から空気入口を介して新規空気を受け取って、前記新規空気を前記建屋の中に送り、前記排気と前記新規空気との間で熱含有量を伝達して、前記新規空気が前記建屋の中へ入る前に前記新規空気を加熱または冷却して温度調整するように構成された熱交換器を備え、
前記ダクト付き換気フードからの前記排気が、フィルタを通されてから、ろ過された空気の系統を介して前記熱交換器の中へ入り、
前記新規空気が、新規空気の系統を介して前記ダクト付き換気フードを含む前記建屋の中へ入り、
前記熱交換器が、前記ろ過された空気の系統の気流内に配置された第1の熱交換器要素と、前記新規空気の系統の気流内に挿入された第2の熱交換器要素とを備え、さらに、流体系統が、前記第1の熱交換器要素を前記第2の熱交換器要素に接続し、
前記熱交換器が熱ポンプを備え、さらに、前記流体系統が、冷媒で満たされた冷媒系統を備え、選択的に冷媒を圧縮するための圧縮機をさらに備え、
前記熱交換器が可逆熱ポンプを備えるように、前記冷媒系統に配置された逆転弁をさらに備える、装置。
【請求項6】
前記ろ過された空気の系統と前記新規空気の系統とが、前記熱交換器を通るが互いと連絡しない、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記可逆熱ポンプが、液体の冷媒を、前記第1の熱交換器要素から前記第2の熱交換器要素へ導くことによって、前記ろ過された空気の系統から熱含有量を抽出して、その熱含有量を前記新規空気の系統に付加する、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記可逆熱ポンプが、液体の冷媒を、前記第2の熱交換器要素から前記第1の熱交換器要素へ導くことによって、前記新規空気の系統から熱含有量を抽出して、その熱含有量を前記ろ過された空気の系統に付加する、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
システムにおいて、
ダクト付き換気フードであって、前記換気フードが配置された温度調整された研究所の周囲空気からベンチトップ作業空間を隔離するための保護された囲壁であり、前記換気フードは、前記換気フードが封止されているときに戸枠と係合する前部ドアで出入りされ、前記研究所は建屋内に配置された、ダクト付き換気フードと、
前記ダクト付き換気フード内から空気出口を介して排気を受け取って、前記排気を前記建屋の外の空気へ送るとともに、前記建屋の外の空気から空気入口を介して新規空気を受け取って、前記新規空気を前記建屋の中へ送り、前記排気と前記新規空気との間で熱含有量を伝達して、前記新規空気が前記建屋の中へ入る前に前記新規空気を加熱または冷却して温度調整するように構成された熱交換器とを備え、
前記ダクト付き換気フードからの前記排気が、フィルタを通されてから、ろ過された空気の系統を介して前記熱交換器の中へ入り、
前記新規空気が、新規空気の系統を介して前記ダクト付き換気フードを含む前記建屋の中へ入り、
前記熱交換器が、前記ろ過された空気の系統の気流内に配置された第1の熱交換器要素と、前記新規空気の系統の気流内に挿入された第2の熱交換器要素とを備え、さらに、流体系統が、前記第1の熱交換器要素を前記第2の熱交換器要素に接続し、
前記熱交換器が熱ポンプを備え、さらに、前記流体系統が、冷媒で満たされた冷媒系統を備え、選択的に冷媒を圧縮するための圧縮機をさらに備え、
前記熱交換器が可逆熱ポンプを備えるように、前記冷媒系統に配置された逆転弁をさらに備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明者
Francois Hauville
係属中の従来の特許出願への参照
本特許出願は、Francois Hauvilleによって2009年11月19日に出願されたMODULAR FILTRATION ASSEMBLY(整理番号FIPAK−11 PROV)という係属中の従来の米国特許仮出願第61/281,592号の利益を主張するものであり、この特許出願は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に空気ろ過システムに関し、より具体的には、空気から危険物を除去するための空気ろ過システムに関する。
【背景技術】
【0003】
空気ろ過システムは、望ましくない物質を空気から除去するために多くの状況で使用される。このようなろ過システムは、その機能次第で、一般に様々な形で存在する。
例えば研究所でよく使われるタイプの空気ろ過システムの1つは、換気フードを備える。換気フードは、危険物が、近くの人員を危険にさらすことなく換気フード内で安全に扱われるように、研究所の周囲空気からベンチトップ作業空間を隔離するための保護された囲壁である。
【0004】
換気フードは、ダクト付きまたはダクトなしでよい。ダクト付き換気フードでは、換気フードからの排気は、外気に通じている建屋配管に導かれ、換気フードと外気の間の配管の中間にはフィルタが配置されている。ダクトなし換気フードでは、換気フードからの排気は、換気フードに直接取り付けられているフィルタへ導かれ、フィルタは、排気が研究所の周囲空気に戻される前に排気から危険物を除去する。
【0005】
ダクト付き換気フードには、例えば、複数の換気フードが1つのフィルタを通して排出され得ること、ダクト付き換気フードの固定された位置(建屋内部の固定された配管の結果)が監視および管理を容易にすることなどの特定の利点がある。しかし、ダクト付き換気フードには、研究所の周囲空気が換気フードを通って外気へと排出される不利益もある。結果として、冬季には加熱された空気が研究所から失われ、夏季には冷却された空気が研究所から失われ、それによってエネルギーのコストを押し上げる。ダクトなし換気フードは、ろ過された排気を研究所の周囲空気へ戻すので、ダクトなし換気フードにはこの不利益がない。しかし、ダクトなし換気フードには、各換気フードがそれ自体のフィルタを必要とし、フィルタの監視、フィルタの交換など補給管理上の課題が複雑になる可能性があるという不利益がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ダクト付き換気フードに向けられており、より具体的には、向上されたエネルギー効率を有するダクト付き換気フードを動作させるための斬新な方法および装置に向けられたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、向上されたエネルギー効率を有するダクト付き換気フードを運転するための斬新な方法および装置を提供する。
より具体的には、本発明は、換気フードの排気と他の空気の間で、他の空気の温度を調整するように、熱含有量を伝達する斬新な方法および装置を提供する。
【0008】
本発明の好ましい一形態では、向上されたエネルギー効率を有するダクト付き換気フードを運転する方法が提供され、この方法は、
他の空気の温度を調整するように、排気から他の空気に熱含有量を伝達するか、または他の空気から排気に熱含有量を伝達するように、ダクト付き換気フードからの排気を熱交換器に通し、他の空気を熱交換器に通すステップを含む。
【0009】
本発明の別の形態では、向上されたエネルギー効率を有するダクト付き換気フードを運転するための装置が提供され、この装置は、
他の空気の温度を調整するように、排気から他の空気に熱含有量を伝達するか、または他の空気から排気に熱含有量を伝達するように、ダクト付き換気フードからの排気を受け取り、他の空気を受け取るように構成された熱交換器を備える。
【0010】
本発明の別の形態では、
ダクト付き換気フードと、
他の空気の温度を調整するように、排気から他の空気に熱含有量を伝達するか、または他の空気から排気に熱含有量を伝達するように、ダクト付き換気フードからの排気を受け取り、他の空気を受け取るように構成された熱交換器とを備えるシステムが提供される。
【0011】
本発明のこれらおよび他の目的および特徴が、添付図面と一緒に検討されるべき本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明によって、より完全に開示されるかまたは明白にされることになり、図面では同じ番号は同じ部品を指す。
本願発明の実施形態は、例えば、以下の通りである。
[実施形態1]
向上されたエネルギー効率を有するダクト付き換気フードを運転する方法において、
前記ダクト付き換気フードからの排気を熱交換器に通すステップと、
新規空気を前記熱交換器に通すステップとを備え、
前記熱交換器は、前記排気が前記新規空気と混合することなく、前記排気と前記新規空気との間の熱含有量の伝達を引き起こすように構成され、これによって、前記新規空気の温度を調整する、方法。
[実施形態2]
前記ダクト付き換気フードからの前記排気が、フィルタを通されてから、ろ過された空気の系統として前記熱交換器の中へ導入される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]
前記新規空気が、新規空気の系統として前記ダクト付き換気フードを含む建屋の中へ導入される、実施形態2に記載の方法。
[実施形態4]
前記ろ過された空気の系統と前記新規空気の系統が、前記熱交換器を通るが互いと連絡していない、実施形態3に記載の方法。
[実施形態5]
前記熱交換器が、前記ろ過された空気の系統から前記新規空気の系統への熱エネルギー伝達、および逆方向の熱エネルギー伝達を可能にするように構成される、実施形態4に記載の方法。
[実施形態6]
前記熱交換器が、前記ろ過された空気の系統の気流に挿入された第1の熱交換器要素と、前記新規空気の系統の気流に挿入された第2の熱交換器要素を備え、さらに、流体系統が、前記第1の熱交換器要素を前記第2の熱交換器要素に接続する、実施形態3に記載の方法。
[実施形態7]
前記熱交換器が熱ポンプを備え、さらに、前記流体系統が、冷媒で満たされた冷媒系統を備え、選択的に冷媒を圧縮するための圧縮機をさらに備える、実施形態6に記載の方法。
[実施形態8]
前記熱交換器が可逆熱ポンプを備えるように、前記冷媒系統に配置された逆転弁をさらに備える、実施形態7に記載の方法。
[実施形態9]
前記可逆熱ポンプが、液体の冷媒を、前記第1の熱交換器要素から前記第2の熱交換器要素へ向けることによって、前記ろ過された空気の系統から熱含有量を抽出して、その熱含有量を前記新規空気の系統に付加する、実施形態8に記載の方法。
[実施形態10]
前記可逆熱ポンプが、液体の冷媒を、前記第2の熱交換器要素から前記第1の熱交換器要素へ向けることによって、前記新規空気の系統から熱含有量を抽出して、その熱含有量を前記ろ過された空気の系統に付加する、実施形態8に記載の方法。
[実施形態11]
向上されたエネルギー効率を有するダクト付き換気フードを運転するための装置において、
前記ダクト付き換気フードからの排気を受け取るとともに、新規空気を受け取って、前記排気が前記新規空気と混合することなく、前記排気と前記新規空気との間の熱含有量の伝達を引き起こし、これによって、前記新規空気の温度を調整するように構成された熱交換器を備える、装置。
[実施形態12]
前記ダクト付き換気フードからの前記排気が、フィルタを通されてから、ろ過された空気の系統として前記熱交換器の中へ導入される、実施形態11に記載の装置。
[実施形態13]
前記新規空気が、新規空気の系統として前記ダクト付き換気フードを含む建屋の中へ導入される、実施形態12に記載の装置。
[実施形態14]
前記ろ過された空気の系統と前記新規空気の系統が、前記熱交換器を通るが互いと連絡しない、実施形態13に記載の装置。
[実施形態15]
前記熱交換器が、前記ろ過された空気の系統から前記新規空気の系統への熱エネルギー伝達、および逆方向の熱エネルギー伝達を可能にするように構成される、実施形態14に記載の装置。
[実施形態16]
前記熱交換器が、前記ろ過された空気の系統の気流に挿入された第1の熱交換器要素と、前記新規空気の系統の気流に挿入された第2の熱交換器要素を備え、さらに、流体系統が、前記第1の熱交換器要素を前記第2の熱交換器要素に接続する、実施形態13に記載の装置。
[実施形態17]
前記熱交換器が熱ポンプを備え、さらに、前記流体系統が、冷媒で満たされた冷媒系統を備え、選択的に冷媒を圧縮するための圧縮機をさらに備える、実施形態16に記載の装置。
[実施形態18]
前記熱交換器が可逆熱ポンプを備えるように、前記冷媒系統に配置された逆転弁をさらに備える、実施形態17に記載の装置。
[実施形態19]
前記可逆熱ポンプが、液体の冷媒を、前記第1の熱交換器要素から前記第2の熱交換器要素へ向けることによって、前記ろ過された空気の系統から熱含有量を抽出して、その熱含有量を前記新規空気の系統に付加する、実施形態18に記載の装置。
[実施形態20]
前記可逆熱ポンプが、液体の冷媒を、前記第2の熱交換器要素から前記第1の熱交換器要素へ向けることによって、前記新規空気の系統から熱含有量を抽出して、その熱含有量を前記ろ過された空気の系統に付加する、実施形態18に記載の装置。
[実施形態21]
ダクト付き換気フードと、
前記ダクト付き換気フードからの排気を受け取るとともに、新規空気を受け取って、前記排気から前記新規空気へ熱含有量を伝達するか、または、前記排気が前記新規空気と混合することなく、前記新規空気と前記排気との間の熱含有量の伝達を引き起こし、これによって、前記新規空気の温度を調整するように構成された熱交換器とを備える、システム。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】とりわけ、ダクト付き換気フード、屋根フィルタ、およびダクト付き換気フードを屋根フィルタに接続する配管を示す概略図である。
【
図3】他の空気の温度を調整することによって研究所の周囲空気の温度を調整するために、換気フードの排気と他の空気の間で熱含有量を伝達するように熱交換器が使用される、本発明の斬新な方法および装置を示す概略図である。
【
図4】
図3のシステムの好ましい形態の詳細を示す概略図である。
【
図5】熱交換器が、換気フードの排気から熱を回収して研究所の周囲空気に戻すように構成された可逆熱ポンプを備える、本発明の好ましい一形態を示す概略図である。
【
図6】他の空気の温度を調整することによって研究所の周囲空気の温度を調整するために、可逆熱ポンプが、他の空気から換気フードの排気に熱含有量を伝達するように構成されていることを除けば、
図5と同じシステムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
最初に
図1を見ると、一般的なダクト付き換気フード5が示されている。ダクト付き換気フード5は、一般に、前部ドア15で出入りされる囲まれた作業空間10を備え、囲まれた作業空間が「封止される」とき、前部ドア15が戸枠20と係合する。空気入口25が、研究所からの周囲空気を囲まれた作業空間10の中へ入れ、空気出口30が、囲まれた作業空間10から排気を取り出す。空気出口30からの排気が、フィルタ(
図1には示されていない)に通じている配管35の中へ通されて、外気に放出される前にフィルタリングされる。
【0014】
より具体的には、ここで
図2を見ると、ダクト付き換気フード5からの排気は、配管35をフィルタ40まで通され、危険物を取り出す(それによって安全な排気にする)ためにフィルタリングされてから、外気に放出される。吸気ファン45が、排気を換気フード5からフィルタ40を通して引き込むように、フィルタ40の下流に設けられる。また、好ましくは、囲まれた作業空間の内部のあらゆる空気がフィルタ40を通ってから外気に放出されることを保証するために、換気フード5の囲まれた作業空間10が研究所の周囲空気に対して負の圧力差に保たれることを保証するように、換気フード5の空気出口30に排気ファン50(
図1)も設けられる。
【0015】
一般的な設置では、ダクト付き換気フード5は建屋内部の研究所に配置され、フィルタ40は建屋の屋根55上に配置され(
図2)て、配管35がダクト付き換気フード5の出力をフィルタ40の入力に接続し、フィルタ40の出力が外気に放出される。さらに、一般的な設置では、複数の換気フード5が屋上フィルタ40に接続されるが、図では、説明を簡単にするために、1つのダクト付き換気フード5だけがフィルタ40に接続して示されている。
【0016】
比較的温暖な気候では、研究所(その内部に換気フードが配置されている)の室温は、外気の温度にかなり近いはずであることが理解されよう。この状況では、研究所の温度調整された空気を外気へ放出して、外気の温度調整されていない空気と置換することからのエネルギー損は比較的小さいはずである。
【0017】
しかし、例えば大陸の米国およびヨーロッパといった他の気候では、研究所の周囲空気の温度と外気温度の間にかなりの差があることが多い。この状況では、研究所の温度調整された空気を外気へ放出して、外気の温度調整されていない空気と置換することからのエネルギー損は比較的大きいことがある。
【0018】
限定するものでない一例として、大陸の米国およびヨーロッパでは、冬季には、研究所の周囲空気の温度が22℃で、外部空気の温度が0℃である可能性がある。同様に、夏季には、研究所の内部の空気温度が22℃で、外気の温度が32℃である可能性がある。これらの環境では、「空調された」空気を研究所の内部から外気へ放出すると、新しい空気(外気から引き込まれたもの)が研究所に供給される前に「調整する」ためにさらなるエネルギーが必要とされるので、エネルギー効率がかなり低下する恐れがある。
【0019】
したがって、冬季には、加熱された研究所の空気を外気へ放出して、調整された研究所の空気の熱含有量を「浪費し」、夏季には、冷却された研究所の空気を外気へ放出して、調整された研究所空気の「冷たい熱含有量」を「浪費する」。
【0020】
限定するものでない一例として、大陸の米国およびヨーロッパでは、それぞれの排出口付き換気フードに対して、研究所の周囲空気の温度を調整するコスト(すなわち暖房または冷房のコスト)に、おおよそ6,000ドル〜8,000ドルを追加するのが一般的である。
【0021】
本発明は、換気フードの排気と他の空気の間で、他の空気の温度を調整するように、熱含有量を伝達するための極めて高効率で費用対効果が大きい手段を提供する。
より具体的には、ここで
図3を見ると、本発明に従って、フィルタ40の出力と吸気ファン45の入力の間に、すなわち最終的に排気を外気へ放出する前段に、熱交換器100が配置される。より具体的には、熱交換器100は、熱交換器を通るろ過された空気の系統102およびこれも熱交換器を通る新規空気の系統103を備える。ろ過された空気の系統102と新規空気の系統103は互いに連絡しておらず、すなわち、ろ過された空気の系統の内容は新規空気の系統の内容と混合しない。しかし、ろ過された空気の系統102および新規空気の系統103は、一方の空気系統から他方の空気系統へ熱エネルギーの伝達を可能にする。
【0022】
より具体的には、ここで引き続き
図3を見ると、ろ過された空気の系統102は、フィルタ40の出力に接続される第1の入力系統105および吸気ファン45の入力に接続される第1の出力系統110を備える。新規空気の系統103は、外気から新規の空気を引き込む第2の入力系統115および新規の空気を建屋の内部に供給する第2の出力系統120を備える。送風ファン125が、第2の入力系統115に新規の空気を引き込んで、それを第2の出力系統120へ吹き出すように、第2の入力系統115に接続される。
【0023】
熱交換器100は、新規の空気を建屋の中に導入するのに先立って新規の空気の温度を調整する(すなわち、暖めるかまたは冷やす)ように、熱交換器のろ過された空気の系統102と熱交換器の新規空気の系統103の間で熱含有量を伝達する。換言すれば、熱交換器100は、ろ過された空気の系統102と新規空気の系統103の間の温度差を低減することによって外部の空気が研究所の中に導入される以前にその温度を調整するように、ろ過された空気の系統102と新規空気の系統103の間で熱エネルギーを伝達する。
【0024】
前述のように、熱交換器のろ過された空気の系統102と熱交換器の新規空気の系統103は互いに連絡しておらず、すなわち、ろ過された空気の系統の内容は新規空気の系統の内容と混合しない。しかし、ろ過された空気の系統102および新規空気の系統103は、一方の空気系統から他方の空気系統へ熱エネルギーの伝達を可能にする。ここで
図4を見ると、この目的のために、本発明の一形態では、熱交換器100は、好ましくは、ろ過された空気の系統102の気流の中に挿入された第1の熱交換器要素130と新規空気の系統103の気流の中に挿入された第2の熱交換器要素135とを備え、第1の熱交換器要素130が、流体系統140によって第2の熱交換器要素135に接続さる。この構造では、第1の熱交換器要素130は、熱交換器のろ過された空気の系統102と熱交換器の新規空気の系統103の間で熱含有量を伝達することにより、新規の空気が建屋の中に入る前に新規の空気の温度を調整する。
【0025】
熱交換器は、一般に、フィルタの前段ではなくフィルタの後段に配置するのが好ましく、その結果、有害物質が、熱交換器に到達する前に換気フードの排気から除去され得ることに留意されたい。これは、熱交換器を、排気に含まれる有害物質との接触により生じる恐れのあるあらゆる損傷から保護することになる。したがって、フィルタが、第1に、望ましくない物質が外気に放出されないように排気から望ましくない物質を取り出し、第2に、熱交換器を有害物質との接触から保護する、といった2つの目的に役立つはずであることが理解されよう。
【0026】
本発明の好ましい一形態では、熱交換器100は可逆熱ポンプ100Aを備える。より具体的には、ここで
図5および
図6を見ると、可逆熱ポンプ100Aは、ろ過された空気の系統102の気流に配置された第1の熱交換器要素130、および新規空気の系統103の気流に配置された第2の熱交換器要素135を備える。圧縮機145は、冷却系統140を通して冷媒を循環させる。より具体的には、冷媒系統140は、熱交換するために第1の熱交換器要素130を通り、熱交換するために第2の熱交換器要素135を通る。可逆熱ポンプ100Aは、冷媒系統140を通る冷媒の流れを逆転するための逆転弁150も備える。可逆熱ポンプ100Aは、好ましくは、冷媒系統140に、1対の熱膨張弁155および1対のバイパス弁160も備える。
【0027】
図5および
図6は、それぞれ加熱モードおよび冷却モード中の可逆熱ポンプ組立体100Aの動作を示す。
より具体的には、
図5では、逆転弁150は、ろ過された空気の系統102から熱含有量を抽出して、その熱含有量を新規空気の系統103へ伝達することにより、新規空気の系統103を加熱するように設定される。
【0028】
図6では、逆転弁150は、新規空気の系統103から熱含有量を抽出して、その熱含有量をろ過された空気の系統102へ伝達することにより、新規空気の系統103を冷却するように設定される。
【0029】
重要なことには、可逆熱ポンプ100Aがろ過された空気の系統102との間で熱含有量を伝達するように設計され、また、ろ過された空気の系統102が室温に非常に近い温度を有する空気を含むので、可逆熱ポンプは、ほぼ22℃の空気を常に徐々に減らす。これは、ろ過された空気系統からの非常に効率的なエネルギー回収に役立ち、より小さくより効率的な可逆熱ポンプの使用を可能にする。可逆熱ポンプを使用することにより、ろ過された空気系統の熱エネルギーの90%もの量を回収することができると考えられる。
【0030】
変更形態
本発明は、本明細書に開示された特定の構造および/または図面に示された特定の構造に限定されるものではなく、本発明の範囲内のいかなる変更形態または等価物も包含することを理解されたい。