【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的に達成するために、本発明は、以下の技術案を採用することによって実現される。
周波数安定化モジュールに基づく磁気共鳴CESTイメージングシーケンスは、
ステップ1であって、周波数安定化モジュールに、フリップ角が90°未満の無線周波数パルスで目標層面を励起し、それぞれt
1、t
2、t
3の3つの異なる時刻で3行の非位相エンコードk空間データを収集し、t
2-t
1<t
3-t
2<2(t
2-t
1)であるステップ1と、
ステップ2であって、第1、第2行の非位相エンコードk空間データの行間の位相差を計算することにより、主磁界周波数ドリフトの精確推定値を取得するステップ2と、
ステップ3であって、第2、第3行の非位相エンコードk空間データの行間の位相差と第1、第2行の非位相エンコードk空間データの行間の位相差との差を計算することにより、主磁界周波数ドリフトの粗略推定値を取得するステップ3と、
ステップ4であって、粗略推定値と精確推定値との差を閾値と比較し、粗略推定値と精確推定値との差が閾値より小さい場合には、精確推定値を主磁界周波数ドリフトの値として選択し、そうでない場合には、粗略推定値を主磁界周波数ドリフトの値として選択するステップ4と、
ステップ5であって、主磁界周波数ドリフトの値に基づいて、無線周波数パルスの中心周波数を調整した後、調整後の無線周波数パルスの中心周波数に基づいて、磁気共鳴CESTイメージングを行うステップ5と、を含む。
本発明の更なる改善は、前記ステップ2において精確推定値の計算が以下の方法に従って行うことにある。
まず、第1、第2行の非位相エンコードk空間データの行間の単一データサンプリング点の位相差を平均し、第1、第2行の非位相エンコードk空間データの行間の位相差を取得し、さらに、位相と周波数との関係から、主磁界周波数ドリフトの精確推定値Δf
fineを計算し、計算プロセスは以下の式に基づくものである。
【数1】
ただし、ΔTE
2-1はt
1、t
2時刻の時間間隔であり、
は第1、第2行の非位相エンコードk空間データの行間の位相差であり、計算式は以下の通りである。
【数2】
ただし、
は第1、第2行の非位相エンコードk空間データの行間のi個目のデータサンプリング点の位相差であり、nは行ごとの非位相エンコード空間データサンプリング点の数である。
本発明の更なる改善は、前記ステップ3において粗略推定値の計算が以下の方法に従って行うことにある。
第2、第3行の非位相エンコード空間データの行間の位相差と第1、第2行の非位相エンコード空間データの行間の位相差との差を計算し、主磁界周波数ドリフトの粗略推定値を取得し、計算プロセスは以下の式に基づくものである。
【数3】
ただし、τはt
2、t
3時刻の間の空白時間間隔(blank interval、即ち、周波数安定化モジュールにおいてt
2時刻とt
3時刻の間に周波数エンコード勾配が印加されない時間間隔)であり、τ=(t
3-t
2)-(t
2-t
1)であり、
は第2、第3行の非位相エンコードk空間データの行間の位相差であり、計算式は以下の通りである。
【数4】
ただし、
は第2、第3行の非位相エンコードk空間データの行間のi個目のデータサンプリング点の位相差である。
本発明の更なる改善は、前記ステップ4において主磁界周波数ドリフトの値の特定が以下の方法に従って行うことにある。
(Δf
coarse−Δf
fine)<f
thresholdであると、精確推定値を主磁界周波数ドリフトの値として選択し、そうでないと、粗略推定値を主磁界周波数ドリフトの値として選択し、ここで、閾値
である。
【0005】
本発明の更なる改善は、前記ステップ1においてフリップ角が10°未満であることが好ましいことにある。
【0006】
本発明の更なる改善は、前記空白時間間隔τ=0であることにある。
【0007】
本発明は、上記イメージングシーケンスに対応する周波数安定化モジュールに基づく磁気共鳴CESTイメージング装置を提供し、当該装置が周波数安定化モジュールとCESTイメージングモジュールとを含むことを他の目的とする。
前記周波数安定化モジュールは、
ステップ1であって、周波数安定化モジュールに、フリップ角が90°未満の無線周波数パルスで目標層面を励起し、それぞれt
1、t
2、t
3の3つの異なる時刻で3行の非位相エンコードk空間データを収集し、t
2-t
1<t
3-t
2<2(t
2-t
1)であるステップ1と、
ステップ2であって、第1、第2行の非位相エンコードk空間データの行間の位相差を計算することにより、主磁界周波数ドリフトの精確推定値を取得するステップ2と、
ステップ3であって、第2、第3行の非位相エンコードk空間データの行間の位相差と第1、第2行の非位相エンコードk空間データの行間の位相差との差を計算することにより、主磁界周波数ドリフトの粗略推定値を取得するステップ3と、
ステップ4であって、粗略推定値と精確推定値との差を閾値と比較し、粗略推定値と精確推定値との差が閾値より小さい場合には、精確推定値を主磁界周波数ドリフトの値として選択し、そうでない場合には、粗略推定値を主磁界周波数ドリフトの値として選択するステップ4と、
ステップ5であって、主磁界周波数ドリフトの値に基づいて、無線周波数パルスの中心周波数を調整した後、CESTイメージングモジュールを用いて調整後の無線周波数パルスの中心周波数に基づいて、磁気共鳴CESTイメージングを行うステップ5とを実行するためのものである。
【0008】
本発明では、ステップ5において、磁気共鳴CESTイメージングが通常の磁気共鳴CESTイメージングを用いることができる。一般的に、通常の磁気共鳴CESTイメージングシーケンスは、CEST飽和、スペクトル事前飽和反転回復脂肪抑制、高速スピンエコー収集の3つのモジュールを含む。
【0009】
本発明における上述した装置に対する更なる改善は、前記周波数安定化モジュールにおいて、ステップ2において精確推定値の計算が以下の方法に従って行うことにある。
まず、第1、第2行の非位相エンコードk空間データの行間の単一データサンプリング点の位相差を平均し、第1、第2行の非位相エンコードk空間データの行間の位相差を取得し、さらに、位相と周波数との関係から、主磁界周波数ドリフトの精確推定値Δf
fineを計算し、計算プロセスは以下の式に基づくものである。
【数1】
ただし、ΔTE
2-1はt
1、t
2時刻の時間間隔であり、
は第1、第2行の非位相エンコードk空間データの行間の位相差であり、計算式が以下の通りである。
【数2】
ただし、
は第1、第2行の非位相エンコードk空間データの行間のi個目のデータサンプリング点の位相差であり、nは行ごとの非位相エンコード空間データサンプリング点の数である。
【0010】
本発明における上述した装置に対する更なる改善は、前記周波数安定化モジュールにおいて、ステップ3において粗略推定値の計算が以下の方法に従って行う。
第2、第3行の非位相エンコード空間データの行間の位相差と第1、第2行の非位相エンコード空間データの行間の位相差との差を計算し、主磁界周波数ドリフトの粗略推定値Δf
coarseを取得し、計算プロセスは以下の式に基づくものである。
【数3】
ただし、τはt
2、t
3時刻の間の空白時間間隔であり、τ=(t
3-t
2)-(t
2-t
1)であり、
は第2、第3行の非位相エンコードk空間データの行間の位相差であり、計算式は以下の通りである。
【数4】
ただし、
は第2、第3行の非位相エンコードk空間データの行間のi個目のデータサンプリング点の位相差である。
【0011】
本発明における上述した装置に対する更なる改善は、前記周波数安定化モジュールにおいて、ステップ4において主磁界周波数ドリフトの値の特定が以下の方法に従って行うことにある。
(Δf
coarse−Δf
fine)<f
thresholdであると、精確推定値を主磁界周波数ドリフトの値として選択し、そうでないと、粗略推定値を主磁界周波数ドリフトの値として選択し、ここで、閾値
である。
【0012】
本発明における上述した装置に対する更なる改善は、前記周波数安定化モジュールにおいて、ステップ1においてフリップ角が10°未満であることが好ましいことにある。
【0013】
本発明の更なる改善は、前記空白時間間隔τ=0であることにある。