(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記主フィルタ装置の後段に設けられる油を放出するための出口である主放出出口をさらに有する請求項1から請求項3のいずれか一に記載の移動型タンク内油ろ過装置。
遠心分離機を通過した油を後段の主フィルタ装置に通さないで直接放出するための出口である途中放出口を有する請求項1から請求項5のいずれか一に記載の移動型タンク内油ろ過装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記した従来のろ過作業において、地下タンクに備蓄されているA重油等の油燃料の体積が大きい場合には、この地下タンクから抜き取った大量の油燃料を収容するための大きな代替タンクを必要とするうえ、油燃料の抜き取りやろ過後における地下タンクへの戻しに多くの時間がかかってしまう。つまり、油燃料のろ過作業が大掛かりなものとなってしまい、これが定期的なろ過作業の阻害要因になっており、この問題を解決することが従来の課題となっていた。
【0007】
本発明は、上記した従来の課題を解決するために成されたものであり、地下タンクに備蓄されているA重油等の油燃料の体積が大きい場合であったとしても、大容量の代替タンクを必要とすることなく、短時間で油燃料をクリーンな状態にすることができる移動型タンク内油ろ過装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の移動型タンク内油ろ過装置を提供する。
すなわち、本発明の第一の態様は、輸送車に搭載され、非常用発電のためのタンクである貯留タンクに貯留されている油のスラッジを取り除くための移動型タンク内油ろ過装置であって、タンクから所定割合量のスラッジの混入した油を吸引する吸引部と、吸引された油からスラッジを除外するための遠心分離装置と、前記遠心分離装置とシリーズに接続され、吸引された油からスラッジを除外するための主フィルタ装置と、スラッジが除外され、前記所定割合よりも少ない割合のスラッジが混入した油をタンクに戻入する戻入部と、を有し、
前記タンクの油貯留体積と、移動型タンク内油ろ過装置に滞在する油体積とでは、前者の体積が後者の体積よりも大きいように構成されている。
【0009】
また、本発明の第二の態様において、吸引部は、遠心分離装置の前段に設けられる第一ポンプであり、戻入部は、遠心分離の後段に設けられる第二ポンプであり、第一ポンプの前段に貯留タンクからの油を取り入れるための油取入口を有する構成としている。
【0010】
さらに、本発明の第三の態様において、前記主フィルタ装置は、第二ポンプの後段に設けられる構成としている。
【0011】
さらにまた、本発明の第四の態様は、前記主フィルタ装置の後段に設けられる油を放出するための出口である主放出出口をさらに有する構成としている。
【0012】
さらにまた、本発明の第五の態様は、第二ポンプと、遠心分離機の中間にサンクションフィルタを有する構成としている。
【0013】
さらにまた、本発明の第六の態様は、遠心分離機を通過した油を後段の主フィルタ装置に通さないで直接放出するための出口である途中放出口を有する構成としている。
【0014】
さらにまた、本発明の第七の態様は、前記油取入口の前段に粗目フィルタをさらに有する構成としている。
【0015】
さらにまた、本発明の第八の態様において、前記粗目フィルタは、木毛フィルタである構成としている。
【0016】
さらにまた、本発明の第九の態様は、計時部と、計時部からの計時情報を取得して前記吸引部の動作を停止する吸引動作停止部と、さらに有する構成としている。
【0017】
さらにまた、本発明の第十の態様は、請求項2から請求項9のいずれか一に記載の移動型タンク内油ろ過装置に対して貯留タンクから油を吸引するためのホースを接続する吸引ホース接続ステップと、スラッジが少なくとも部分的に除去された油を貯留タンクに戻すために油を放出するためのホースを接続する放出ホース接続ステップと、前記ポンプを稼働するポンプ稼働ステップと、ポンプ稼働後にポンプを流通した油の体積が貯留タンクに貯留されていた油の体積の10分の2から10分の5の範囲に至ったタイミングでポンプの稼働を停止する稼働停止ステップと、を有する移動型タンク内油ろ過装置の動作方法としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る移動型タンク内油ろ過装置によれば、A重油等の油燃料を備蓄する地下タンクの容積が大きい場合であったとしても、大容量の代替タンクを必要とすることなく、短時間で油燃料をクリーンな状態にすることが可能であるという非常に優れた効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態を説明する。実施形態と請求項の相互の関係は以下のとおりである。実施形態1は主に請求項1〜4,10に関し、実施形態2は主に請求項5に関し、実施形態3は主に請求項6に関し、実施形態4は主に請求項7,8に関し、実施形態5は主に請求項9に関する。なお、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
<実施形態1>
【0021】
本実施形態は、主に請求項1〜4,10に関する。
<実施形態1 概要>
【0022】
本実施形態は、トラック等の輸送車に搭載することで移動可能としたろ過装置に係るものである。この移動型タンク内油ろ過装置は、非常用発電のための重油等の油燃料のタンクである貯留タンクの設置場所近傍に移動して、油燃料からスラッジを取り除くろ過作業を行う。この移動型タンク内油ろ過装置の主たる特徴は、貯留タンク内に備蓄される油燃料の体積と、ろ過作業時に移動型タンク内油ろ過装置に滞在する油の体積とにおいて、前者の体積が後者の体積よりも大きいように構成されている点である。
【0023】
この移動型タンク内油ろ過装置では、貯留タンク内に備蓄されている重油等の油燃料の体積が大きい場合であったとしても、大容量の代替タンクを必要とせずに油燃料からスラッジを取り除いて、短時間で油燃料を相対的にクリーンな状態にすることができる。
<実施形態1 構成>
【0024】
すなわち、
図1Aに示すように、本実施形態の移動型タンク内油ろ過装置0100は、輸送車であるトラック0101に搭載され、非常用発電機の油燃料を備蓄する貯留タンクTの設置場所近傍に移動してろ過作業を行うろ過装置であり、この実施形態では、貯留タンクT内の油燃料としてのA重油に析出するスラッジを取り除くろ過装置として構成されている。
【0025】
この移動型タンク内油ろ過装置0100は、
図1Bの配管図にも示すように、貯留タンクT内に備蓄されているA重油を吸引する吸引ポンプ(吸引部;第1ポンプ)0110と、この吸引ポンプ0110により吸引されたA重油からスラッジを除外するための遠心分離装置0120と、この遠心分離装置0120と直列に接続された主フィルタ装置0130と、主フィルタ装置0130を通過したA重油を貯留タンクTに戻入する戻入ポンプ(戻入部;第2ポンプ)0140を備えているほか、発電機0150及び制御盤0160を備えている。
<実施形態1 構成 トラック>
【0026】
移動型タンク内油ろ過装置0100を搭載する輸送車であるトラック0101には、この実施形態において、最大積載量3000kg以内で、荷台の寸法が全長4700mm以内、全幅1700mm以内、全高2000mm以内の3トン車を使用しているが、この仕様のトラックには限定しない。所謂、小型トラックと呼称されるトラックであればいずれも採用することができる。
<実施形態1 構成 吸引ポンプ(吸引部;第1ポンプ)>
【0027】
吸引ポンプ0110には、遠心ポンプや軸流ポンプや遠心ポンプ及び軸流ポンプの各特性を併せ持つ斜流ポンプを用いることができるが、これらのポンプに限定されない。
この吸引ポンプ0110は、遠心分離装置0120の前段に配置され、さらに、この吸引ポンプ0110の前段には、貯留タンクTからのA重油をろ過装置内に取り入れるための油取入口0111が設けられている。
<実施形態1 構成 油取入口>
【0028】
この油取入口0111には、マンホールHを通して一端側を貯留タンクTの底部に位置させたホース0112の他端を接続するようになっており、吸引ポンプ0110は、ホース0112を介して貯留タンクTから所定割合量のスラッジが混入したA重油を吸引し、ホース0113を介して遠心分離装置0120に導入する。この際、ホース0113の途上には流量計0114(
図1Bにのみ示す)が配置されている。
<実施形態1 構成 遠心分離装置>
【0029】
遠心分離装置0120は、遠心用モータ0121からの出力を得て作動するものであり、吸引部である吸引ポンプ0110により吸引されて導入された貯留タンクT内のA重油に含まれる比重の大きなスラッジと油分とを分離する。
この実施形態において、
図1Dのトラック正面側から見た説明図にも示すように、遠心分離装置0120でスラッジと分離したA重油の油分は、トラック0101に遠心分離装置0120とともに搭載されている受タンク0122にホース0123を介して一旦導入されるようになっている。
<実施形態1 構成 主フィルタ装置>
【0030】
遠心分離装置0120と直列に接続される主フィルタ装置0130は、
図1Eの右側面図において拡大して示すように、円筒形状のハウジング0131aに略ドーナツ状のエレメント0131bを複数充填して成るフィルタユニット0131で構成されており、この実施形態では、トラック0101の荷台後方に配置された4本のフィルタユニット0131で構成されている。これら4本のフィルタユニット0131は、後述する配管0141及び導入孔0131cを介して受タンク0122から導入される比重の大きなスラッジが分離されたA重油の油分をろ過して排出孔0131dから排出するように構成されている。
この場合、主フィルタ装置0130に負荷される圧力を表示する圧力計0135が装備されており、主フィルタ装置0130におけるフィルタユニット0131のエレメント0131bの交換時期をゲージ圧で表示するようになっている。
<実施形態1 構成 戻入ポンプ(戻入部;第2ポンプ)>
【0031】
戻入ポンプ0140にも、吸引ポンプ0110と同様に遠心ポンプや軸流ポンプや遠心ポンプ及び軸流ポンプの各特性を併せ持つ斜流ポンプを用いることができるが、これらのポンプに限定されない。
この戻入ポンプ0140は、受タンク0122の上面に配置されており、遠心分離装置0120から受タンク0122に導入されているスラッジと分離したA重油の油分を主フィルタ装置0130の4本のフィルタユニット0131に配管0141を介して送るようになっている。
<実施形態1 構成 主放出出口>
【0032】
そして、
図1Fのトラック背面側から見た説明図にも示すように、戻入ポンプ0140は、4本のフィルタユニット0131でろ過されたA重油の油分を主フィルタ装置0130の後段に設けられた主放出出口0132に送るようになっている。この際、主フィルタ装置0130及び主放出出口0132を結ぶホース0136の途上にも流量計0137(
図1Bにのみ示す)が配置されている。
【0033】
この主放出出口0132には、一端側が貯留タンクTの底部に位置する戻し管0133の他端を接続するようになっており、戻入ポンプ0140は、この戻し管0133を通して主フィルタ装置0130の4本のフィルタユニット0131でろ過したA重油の油分を貯留タンクTに戻入する。
<実施形態1 構成 その他 ドレーンコック>
【0034】
上記した遠心分離装置0120,受タンク0122及び主フィルタ装置0130には、いずれも図示しないドレーンコックが設けてあり、ろ過作業中にA重油の油分から分離する水分をそれぞれの部位において排出することができるようにしてある。
<実施形態1 構成 その他 発電機、制御盤>
【0035】
上記した発電機0150は、吸引ポンプ0110や遠心分離装置0120や戻入ポンプ0140等の電気機器に電源を供給し、制御盤0160は、配管内に配置した流量計0114,0137や受けタンク122に配置した水位計0125からのデータに基づいて電気機器の動作をコントロールする。
具体的には、吸引ポンプ0110の流量が例えば60l/minであり、戻入ポンプ0140の流量が例えば58.5minである場合、
図1Gに示すように、吸引ポンプ0110による吸い上げ量と、戻入ポンプ0140による戻入量との差Sが変化しないようにするために、すなわち、受けタンク122での油滞留量が大きく変動しないようにするために、制御盤0160において、流量計0114,0137や水位計0125からのデータに基づいて戻入ポンプ0140及び戻入ポンプ0140の各流量をコントロールする。
<実施形態1 構成 トラックに対する移動型タンク内油ろ過装置の搭載の仕方>
【0036】
図1Cの平面図に示すように、キャビンが図示左側にあるトラック0101の荷台0102上において、運転席側である右舷(
図1C上側に)には、受けタンク122、主フィルタ装置0130の4本のフィルタユニット0131及び戻入ポンプ0140を配置し、一方、助手席側である左舷(
図1C下側に)には、吸引ポンプ0110、遠心分離装置0120及び制御盤0160を配置している。
【0037】
つまり、全長4700mm以内で且つ全幅1700mm以内の荷台の限られたスペースに、重量の嵩む機材をバランスよく配置することで、走行時の安定化を図っている。加えて、貯留タンクTからのA重油をろ過装置内に取り入れるためのホース0112を接続する油取入口0111、及び、ろ過したA重油の油分を貯留タンクTに戻入するための戻し管0133を接続する主放出出口0132をいずれも通常は路肩側となる左舷側に配しているので、ろ過作業を行う際の準備や後始末の容易化も図っている。
<実施形態1 構成 ろ過作業中に装置の受タンク等に滞在する油体積>
【0038】
この実施形態に係る移動型タンク内油ろ過装置0100において、スラッジと分離したA重油の油分を遠心分離装置0120から導入する受タンク0122の容積を約0.3m
3(約300リットル)としてある。A重油を備蓄する貯留タンクTの容積は、ほとんどの場合、10m
3(約1万リットル)以上なので、この実施形態に係る移動型タンク内油ろ過装置0100によるろ過作業中には、貯留タンクTに備蓄されているA重油の油貯留体積が装置内に滞在するA重油の体積を大幅に上回ることになる。
【0039】
このように、貯留タンクTに備蓄されているA重油の量がろ過作業中に移動型タンク内油ろ過装置0100内に滞在するA重油の量よりもかなり多いので、A重油に含まれているスラッジのほとんどを除去しようとすると、ろ過作業に長い時間を費やさなくてはならない。
【0040】
そこで、この実施形態に係る移動型タンク内油ろ過装置0100では、ろ過作業に要する時間の短縮を図るべく、以下のような要領でろ過作業を行うこととしている。
<実施形態1 動作方法 吸引ホース接続ステップ>
【0041】
すなわち、この実施形態に係る移動型タンク内油ろ過装置によって、貯留タンクTに備蓄されているA重油からスラッジを所定量だけ除去する際には、まず、
図2のステップ(S0201)において、移動型タンク内油ろ過装置の油取入口に、貯留タンクからA重油を吸引するための吸引ホース、すなわち、一端側を貯留タンクの底部に位置させたホースの他端を接続する。
<実施形態1 動作方法 放出ホース接続ステップ>
【0042】
次いで、
図2のステップ(S0202)において、遠心分離装置及び主フィルタ装置によってスラッジが少なくとも部分的に除去されたA重油を貯留タンクに戻すための放出ホース、すなわち、一端側が貯留タンクの底部に位置する戻し管の他端を主フィルタ装置の主放出出口に接続する。
<実施形態1 動作方法 ポンプ稼働ステップ>
【0043】
この後、
図2のステップ(S0203)において、吸引ポンプ及び戻入ポンプを稼働する。具体的には、戻入ポンプにより主フィルタ装置を通過してろ過が終了したA重油の油分を貯留タンクTに戻し管を介して戻入しつつ、吸引ホースを介して吸引ポンプにより貯留タンクから所定割合量のスラッジが混入したA重油を吸引して遠心分離装置に導入する。すなわち、A重油の油分を循環させつつろ過を行う。
<実施形態1 動作方法 判定ステップ、稼働停止ステップ>
【0044】
そして、
図2のステップ(S0204)において、吸引ポンプ及び戻入ポンプ稼働後にポンプを流通したA重油の体積が貯留タンクTに貯留されていたA重油の体積の所定の範囲に至ったか否かを判定し、
図2のステップ(S0205)において、ポンプを流通したA重油の体積が所定の範囲に至ったタイミングでポンプの稼働を停止する。
<実施形態1 動作方法 稼働停止のタイミング>
【0045】
この実施形態に係る移動型タンク内油ろ過装置0100において、「ポンプを流通するA重油の体積」は吸引ポンプ及び戻入ポンプの各定格流量に基いて算出され、稼働停止を決める判断材料である「ポンプを流通するA重油の体積の所定範囲」を貯留タンクに貯留されているA重油の体積の10分の2から10分の5の範囲と定めている。
【0046】
ここで、
図3に示すように、非常用発電機を確実に作動させ得る許容値上限のスラッジ含有量(所定割合量)をA%とし、非常用発電機の作動に支障を来す量のスラッジが含まれているA重油の含有量をX%以上とする。
【0047】
貯留タンクに新しいA重油の備蓄を開始してから数年(例えば5年)が経過して、備蓄A重油のスラッジ含有量がA%を超えた時点でろ過作業が必要となる。
この際、A重油に含まれているスラッジのほとんどを除去して備蓄を開始したときのような状態にするには、かなり長い時間をかけてろ過作業を行わなくてはならない。
【0048】
そこで、ろ過作業において、貯留タンクに貯留されているA重油の体積に対してポンプを流通するA重油の体積が10分の5になった時点(貯留タンク内のA重油の半分のろ過が終了した時点)でポンプの稼働を停止すると、スラッジ含有量はB1%にまで下がる。この場合は、
図3に一点鎖線で示すように、スラッジの析出によってスラッジ含有量がA%にまで上昇して、再びろ過作業が必要になるまでのスパンL1は約2年半になる。
【0049】
一方、ろ過作業において、貯留タンクに貯留されているA重油の体積に対してポンプを流通するA重油の体積が10分の2になった時点(貯留タンク内のA重油の2割のろ過が終了した時点)でポンプの稼働を停止すると、スラッジ含有量はB2%まで下がる。この際、ろ過作業に必要な時間は、上述のスラッジ含有量をB1%まで下げる場合よりも半分以下で済むが、
図3に二点鎖線で示すように、スラッジの析出によってスラッジ含有量がA%にまで上昇して、再びろ過作業が必要になるまでのスパンL2はスパンL1よりも短くなって約3分の1になる。
【0050】
つまり、この実施形態に係る移動型タンク内油ろ過装置による貯留タンク内のA重油のろ過を2割終了時〜5割終了時のどの時点で終了するかについては、ろ過作業にかける手間暇(時間及びコスト)と、次のろ過作業までのスパンとの兼ね合いを考慮して決定することができる。
<効果>
【0051】
本実施形態によれば、A重油等の油燃料を備蓄する地下タンクの容積が大きい場合であったとしても、大容量の代替タンクを必要とすることなくスラッジを取り除いて、短時間で油燃料をクリーンな状態にすることが可能であるという非常に優れた効果が得られる。
【0052】
また、本実施形態によれば、主フィルタ装置を戻入ポンプの後段に設けていると共に、この主フィルタ装置の後段に主放出出口を設けるようにしているので、主フィルタ装置及び戻入ポンプを吸引ポンプや遠心分離機とともに限られたトラックの荷台にコンパクトに収めることができる。
<実施形態2>
【0053】
本実施形態は、主に請求項5に関する。
<実施形態2 概要>
【0054】
本実施形態は実施形態1を基本とし、サンクションフィルタをさらに有した構成としている。このように、サンクションフィルタを有する構成とすることで、ポンプを保護することができるという効果を奏する。
<実施形態2 構成>
【0055】
図4A,4Bに示すように、本実施形態に係る移動型タンク内油ろ過装置0400が、先の実施形態1の移動型タンク内油ろ過装置と相違するところは、受タンク0422上にサンクションフィルタ0470を配置した点にあり、他の構成は先の実施形態1の移動型タンク内油ろ過装置と同じである。
<実施形態2 構成 サンクションフィルタ>
【0056】
サンクションフィルタ0470は、
図4Cに示すように、導入孔0470ain及び排出孔0470aoutを有する円筒形状のハウジング0470aにフィルタ0470bを収納して蓋0470cで閉塞して成っており、
図4Dにも示すように、このサンクションフィルタ0470は、第二ポンプである戻入ポンプ0440と遠心分離機0420と間に位置している。つまり、このサンクションフィルタ0470は、遠心分離機0420通過後のA重油の油分を受タンク0422内から配管0471を介して戻入ポンプ0440に移送する段階においてろ過するものとなっており、これによって戻入ポンプ0440をスラッジから保護するようにしている。
なお、サンクションフィルタ0470に負荷される圧力を表示する真空計0472が装備されており、サンクションフィルタ0470の清掃等のメンテナンスの時期をゲージ圧で表示するようになっている。
<効果>
【0057】
本実施形態では、第二ポンプである戻入ポンプをスラッジから保護することができるという効果を奏する。
<実施形態3>
【0058】
本実施形態は、主に請求項6に関する。
<概要>
【0059】
本実施形態は実施形態1を基本とし、遠心分離機を通過した油を後段の主フィルタ装置に通さないで直接放出するための出口である途中放出口を有する構成としたことを特徴としている。
このように、主フィルタ装置に通すことなく、遠心分離機を通過した油を途中放出口から直接放出することができるので、すなわち、遠心分離機を通過させるだけでろ過作業を終えることができるので、例えば、スラッジの析出量が少ない油のろ過作業の短縮を実現可能であるという効果を奏する。
<実施形態3 構成>
【0060】
図5A,
図5Bに示すように、本実施形態に係る移動型タンク内油ろ過装置0500が、先の実施形態1の移動型タンク内油ろ過装置と相違するところは、遠心分離機0520を通過したスラッジと分離したA重油の油分油を後段の主フィルタ装置0530に通さないで直接放出するための途中放出口0542を有する構成とした点にあり、他の構成は先の実施形態1の移動型タンク内油ろ過装置と同じである。
<実施形態3 構成 途中放出口>
【0061】
途中放出口0542は、受タンク0522に導入されているスラッジと分離したA重油の油分を戻入ポンプ0540から主フィルタ装置0530に送る配管0541から分岐して配置されており、この途中放出口0542は閉止弁0543とセットで配置されている。
【0062】
本実施形態に係る移動型タンク内油ろ過装置0500では、主放出出口0532に接続される戻し管0533を
図5Aに仮想線で示すようにして途中放出口0542に繋ぎ替えることができるようになっている。つまり、例えば、スラッジの析出量が少ないA重油のろ過作業を行う場合において、戻し管0533を途中放出口0542に接続した上で閉止弁0543により配管0541の主フィルタ装置0530へのルートを閉止することによって、遠心分離機0520を通過したA重油を途中放出口0542から戻し管0533を介して備蓄タンクに直接戻すことができるようにしている。
<効果>
【0063】
本実施形態では、例えば、スラッジの析出量が少ない油のろ過作業の場合、遠心分離機を通過させるだけでろ過作業を終えることができるので、ろ過作業時間の短縮を実現可能であるという効果を奏する。
<実施形態4>
【0064】
本実施形態は、主に請求項7,8に関する。
<概要>
【0065】
本実施形態は実施形態1を基本とし、第一ポンプと油取入口との間に粗目フィルタである木毛フィルタをさらに有する構成としたことを特徴としている。
このように、第一ポンプと油取入口との間に木毛フィルタを配置することで、備蓄タンクに備蓄されているA重油等の油燃料に含まれている比較的大きめなスラッジの塊等の含有物を除去することが可能であるという効果を奏する。
<実施形態4 構成>
【0066】
図6A,6Bに示すように、本実施形態に係る移動型タンク内油ろ過装置0600が、先の実施形態1の移動型タンク内油ろ過装置と相違するところは、粗目フィルタである木毛フィルタ0680をさらに有している点にあり、他の構成は先の実施形態1の移動型タンク内油ろ過装置と同じである。
<実施形態4 構成 木毛フィルタ>
【0067】
木毛フィルタ0680は、円筒形状のハウジングに木質のフィルタ、例えばヤシ繊維から成るフィルタを収容して成っており、
図6Cにも示すように、ホース0612が接続される油取入口0611の前段に配置されている。
<効果>
【0068】
本実施形態では、第一ポンプの前段に粗目フィルタである木毛フィルタを配置しているので、備蓄タンクに備蓄されているA重油等の油燃料に含まれている比較的大きめなスラッジの塊等の含有物を除去可能であるという効果が得られる。
<実施形態5>
【0069】
本実施形態は、主に請求項9に関する。
<概要>
【0070】
本実施形態は実施形態1を基本とし、計時部と、計時部からの計時情報を取得して吸引部の動作を停止する吸引動作停止部と、さらに有することを特徴としている。
この実施形態では、タイマー自動運転が可能になるというという効果を奏する。
<実施形態5 構成>
【0071】
図7に部分的に示すように、本実施形態の移動型タンク内油ろ過装置が、先の実施形態の移動型タンク内油ろ過装置と相違するところは、制御盤0760内に計時部0761と、この計時部0761からの計時情報を取得して吸引ポンプの動作を停止させる吸引動作停止部0762を設けた点にあり、他の構成は先の実施形態の移動型タンク内油ろ過装置と同じである。
<効果>
【0072】
本実施形態によれば、タイマー自動運転によるろ過作業の実現が可能になるという非常に優れた効果が得られる。
【課題】大容量の代替タンクを必要とすることなく、地下タンクに備蓄されているA重油等の油燃料から非常用発電機の作動に支障を来さない程度にスラッジを短時間で取り除くことができる移動型タンク内油ろ過装置を提供する。
【解決手段】貯留タンクT内に備蓄されているA重油を吸引する吸引ポンプ0110と、吸引ポンプ0110により吸引されたA重油からスラッジを除外するための遠心分離装置0120と、遠心分離装置0120と直列に接続された主フィルタ装置0130と、主フィルタ装置0130を通過したA重油を貯留タンクTに戻入する戻入ポンプ0140を備え、貯留タンクT内に備蓄される油貯留体積と、ろ過作業時にろ過装置に滞在する油体積とにおいて、前者の体積が後者の体積よりも大きいように構成されている。