(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本実施形態は、ケースの広い範囲において電極体を押圧することのできる蓄電素子、及び前記蓄電素子を備える蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態の蓄電素子は、
積層された電極を有する電極体と、
前記電極体が収容されたケースと、を備え、
前記ケースは、前記電極の積層方向に並んで前記電極体の外面と対向する一対の対向壁部と、前記対向壁部の対向する端部同士を接続する接続壁部と、を含み、
前記接続壁部は、前記一対の対向壁部の並ぶ方向と交差する方向に延びる稜線を有し且つ該稜線に沿って曲げ変形可能な曲げ部を有する。
【0010】
かかる構成によれば、接続壁部が一対の壁部の並ぶ方向と交差する方向に延びる稜線に沿って曲げ変形可能な曲げ部を有するため、蓄電素子(ケース)に対して一対の壁部の並ぶ方向に力が加わると、その力によって曲げ部が自身の稜線に沿って曲げ変形し易く、これにより、一対の対向壁部の接続壁部側の端部においてもその間隔が小さくなり易い。その結果、ケースの広い範囲で電極体が押圧される。
【0011】
前記蓄電素子では、
前記接続壁部は、基端と該基端の反対側の先端とを含み且つ前記対向壁部に対して交差する方向に延出する一対の傾斜部を有し、
前記曲げ部は、前記傾斜部の基端と前記対向壁部とを繋ぐ端部曲げ部を含んでもよい。
【0012】
かかる構成によれば、傾斜部と対向壁部とを繋ぐ位置に、一対の壁部の並ぶ方向と交差する方向に延びる稜線に沿って曲げ変形可能な端部曲げ部が設けられているため、蓄電素子に対して一対の壁部の並ぶ方向に力が加わると、その力によって端部曲げ部が自身の稜線に沿って曲げ変形し易く、これにより、一対の対向壁部の接続壁部側の端部においてその間隔が小さくなり易い。その結果、ケースの広い範囲で電極体が押圧され易くなる。
【0013】
また、前記蓄電素子では、
前記接続壁部は、前記一対の傾斜部の先端間に配置され、且つ前記対向壁部と直交又は略直交する方向に広がる平板部を有し、
前記曲げ部は、前記平板部の周縁と前記傾斜部の先端とを繋いでいる一対の中間曲げ部を含んでもよい。
【0014】
かかる構成によれば、一対の傾斜部の先端間に中間折り曲げ部を介して対向壁部と直交又は略直交する方向に広がる平板部が配置されているため、一対の対向壁部に該対向壁部が並ぶ方向に力が加わったときに、平板部が該力の加わる方向に延びている(広がっている)ため接続壁部の他の部位(中間曲げ部及び端部曲げ部)に力が集中し、これにより、中間曲げ部及び端部曲げ部が曲げ変形し易くなる。このため、一対の対向壁部の接続壁部側の端部においてその間隔がより小さくなり易くなり、その結果、ケースの広い範囲で電極体がさらに押圧され易くなる。
【0015】
しかも、一対の対向壁部が並ぶ方向に力が加わったときに、平板部が該力の加わる方向に延びている(広がっている)ことで該平板部での変形が抑えられるため、ケースの接続壁部における過度な変形が抑えられる。
【0016】
前記蓄電素子では、
前記電極は、積層された状態で巻回され、
前記電極体は、巻回中心軸方向の一方の端部を前記接続壁部に向けた状態で前記ケースに収容されてもよい。
【0017】
かかる構成によれば、電極体が巻回中心軸方向の端部を接続壁部の近くに配置した状態でケースに収容されているため、蓄電素子に対して一対の対向壁部の並ぶ方向に力が加わったときに、巻回中心軸方向の一方の端部にも、前記一対の対向壁部の並ぶ方向の力が加わり易くなる。
【0018】
また、前記蓄電素子では、
前記電極は、金属箔と該金属箔に積層される活物質層とを有し、
前記活物質層は、前記巻回中心軸方向において前記電極体の前記一方の端部まで配置されてもよい。
【0019】
かかる構成によれば、蓄電素子に一対の対向壁部の並ぶ方向に力が加わったときに、電極体の一方の端部にも前記力が加わり易く、これにより、一対の対向壁部が並ぶ方向において前記一方の端部において巻回された状態の電極同士の間隔(詳しくは、積層方向に隣り合う電極の活物質層同士の間隔)が広がることが抑えられる。その結果、前記間隔が広がることに起因する性能低下を防ぐことができる。
【0020】
また、本実施形態の蓄電装置は、
上記いずれかの複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子を保持する保持部材と、を備え、
前記複数の蓄電素子は、隣り合う蓄電素子が対向壁部同士を対向させた状態で前記一対の対向壁部の並ぶ方向に積層され、
前記保持部材は、前記一対の対向壁部の並ぶ方向の外側から前記複数の蓄電素子を押圧する。
【0021】
各蓄電素子において、一対の壁部の並ぶ方向に力が加わったときに、一対の対向壁部の接続壁部側の端部においてその間隔が小さくなり易いため、かかる構成によれば、保持部材によって各蓄電素子が一対の対向壁部の並ぶ方向の外側から押圧されることで、各蓄電素子のケース(対向壁部)の広い範囲で電極体が押圧されている。これにより、電極体の膨張に起因する性能低下が抑えられる。
【発明の効果】
【0022】
以上より、本実施形態によれば、ケースの広い範囲において電極体を押圧することのできる蓄電素子、及び前記蓄電素子を備える蓄電装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る蓄電素子の一実施形態について、
図1〜
図7を参照しつつ説明する。蓄電素子には、一次電池、二次電池、キャパシタ等がある。本実施形態では、蓄電素子の一例として、充放電可能な二次電池について説明する。尚、本実施形態の各構成部材(各構成要素)の名称は、本実施形態におけるものであり、背景技術における各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
【0025】
本実施形態の蓄電素子は、非水電解質二次電池である。より詳しくは、蓄電素子は、リチウムイオンの移動に伴って生じる電子移動を利用したリチウムイオン二次電池である。この種の蓄電素子は、電気エネルギーを供給する。蓄電素子は、単一又は複数で使用される。具体的に、蓄電素子は、要求される出力及び要求される電圧が小さいときには、単一で使用される。一方、蓄電素子は、要求される出力及び要求される電圧の少なくとも一方が大きいときには、他の蓄電素子と組み合わされて蓄電装置に用いられる。前記蓄電装置では、該蓄電装置に用いられる蓄電素子が電気エネルギーを供給する。
【0026】
蓄電素子は、
図1〜
図4に示すように、積層された電極(正極23、負極24)を有する電極体2と、電極体2が収容されたケース3と、を備える。また、蓄電素子1は、ケース3の外側に配置される外部端子4と、電極体2と外部端子4とを繋ぐ集電体5と、電極体2及び集電体5とケース3との間に配置される絶縁部材6と、を備える。
【0027】
電極体2は、巻回された電極(正極23、負極24)を有する。この電極体2は、偏平な筒状であり、電極23、24が湾曲した状態で積層されている湾曲部201、202と、電極23、24が平坦若しくは略平坦な状態で積層されている平坦部203と、を有する(
図4参照)。詳しくは、以下の通りである。
【0028】
電極体2は、積層された状態で巻回される電極(正極23及び負極24)を有する。具体的に、電極体2は、巻芯21と、正極23と負極24とが互いに絶縁された状態で積層され且つ巻芯21の周囲に巻回された積層体22と、を備える(
図3参照)。電極体2においてリチウムイオンが正極23と負極24との間を移動することにより、蓄電素子1が充放電する。
【0029】
巻芯21は、通常、絶縁材料によって形成される。本実施形態の巻芯21は、偏平な筒状である。この巻芯21は、可撓性又は熱可塑性を有するシートを巻回することによって形成される。
【0030】
正極23は、帯状の金属箔231と、金属箔231に重ねられる正極活物質層232と、を有する。
【0031】
この金属箔231では、幅方向の一方の端縁(
図4における上側の端縁)において湾曲部201と対応する部位201Aが平坦部203と対応する部位203Aより幅方向の一方側に突出している。詳しくは、金属箔231の幅方向の他方の端縁(
図4における下側の端縁)は、金属箔231の長尺方向に真っ直ぐであり、幅方向の一方の端縁は、湾曲部201と対応する部位201Aが平坦部203と対応する部位203Aより幅方向に突出している。これら湾曲部201と対応する部位201Aと、平坦部203と対応する部位203Aとは、長尺方向に交互に配置されている。このように構成される正極23が巻回されている電極体2では、巻回中心軸C方向の一方の端部(
図4における上部)において平坦部203より湾曲部201が突出している。本実施形態の金属箔231は、例えば、アルミニウム箔である。
【0032】
また、正極活物質層232は、金属箔231における平坦部203と対応する部位203Aより前記幅方向の一方側に突出している部位(湾曲部201と対応する部位201Aを含む部位:非被覆部)を露出させた状態で金属箔231に重ねられる。
【0033】
負極24は、帯状の金属箔241と、金属箔241に重ねられる負極活物質層242と、を有する。
【0034】
この金属箔241では、幅方向の一方の端縁(
図4における上側の端縁)において湾曲部202と対応する部位202Bが平坦部203と対応する部位203Bより幅方向の一方側に突出している。詳しくは、金属箔241の幅方向の他方の端縁(
図4における下側の端縁)は、金属箔241の長尺方向に真っ直ぐであり、幅方向の一方の端縁は、湾曲部202と対応する部位202Bが平坦部203と対応する部位203Bより幅方向に突出している。これら湾曲部202と対応する部位202Bと、平坦部203と対応する部位203Bとは、長尺方向に交互に配置されている。このように構成される負極24が巻回されている電極体2では、巻回中心軸C方向の一方の端部(
図4における上部)において平坦部203より湾曲部202が突出している。本実施形態の金属箔241は、例えば、銅箔である。
【0035】
また、負極活物質層242は、金属箔241における平坦部203と対応する部位203Bより前記幅方向の一方側に突出している部位(湾曲部202と対応する部位202Bを含む部位:非被覆部)を露出させた状態で金属箔241に重ねられる。
【0036】
本実施形態の電極体2では、以上のように構成される正極23と負極24とがセパレータ25によって絶縁された状態で巻回されている。即ち、本実施形態の電極体2では、正極23、負極24、及びセパレータ25の積層体22が巻回されている。
【0037】
セパレータ25は、絶縁性を有する部材であり、正極23と負極24との間に配置される。これにより、電極体2(詳しくは、積層体22)において、正極23と負極24とが互いに絶縁される。また、セパレータ25は、ケース3内において、電解液を保持する。これにより、蓄電素子1の充放電時において、セパレータ25を挟んで交互に積層される正極23と負極24との間を、リチウムイオンが移動可能となる。このセパレータ25は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、ポリアミドなどの多孔質膜によって構成される。
【0038】
セパレータ25の幅方向の寸法は、正極23(又は負極24)における非被覆部を除いた部位より僅かに大きい。このセパレータ25は、前記幅方向の他方の端縁をZ軸方向において一致させた状態で交互に積層された正極23と負極24との間、詳しくは、正極23における正極活物質層232が配置された部位と、負極24における負極活物質層242が配置された部位との間に配置されている(
図4参照)。このとき、正極23の非被覆部と、負極24の非被覆部とは重なっていない。即ち、正極23の非被覆部は、湾曲部201の位置において重なって非被覆積層部26Aを構成し、負極24の非被覆部は、湾曲部202の位置において重なって非被覆積層部26Bを構成している。
【0039】
ケース3は、電極体2の平坦部203における電極23、24の積層方向(
図3におけるY軸方向)に並んで電極体2の外面と対向する一対の長壁部(対向壁部)313と、長壁部313の対向する端部同士を接続する閉塞部(接続壁部)311と、を含む。詳しくは、以下の通りである。
【0040】
ケース3は、開口を有するケース本体31と、ケース本体31の開口を塞ぐ(閉じる)蓋板32と、を有する。ケース3は、電極体2及び集電体5等と共に、電解液を内部空間に収容する。ケース3は、電解液に耐性を有する金属によって形成される。本実施形態のケース3は、例えば、アルミニウム、又は、アルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料によって形成される。
【0041】
ここで、電解液は、非水溶液系電解液である。電解液は、有機溶媒に電解質塩を溶解させることによって得られる。有機溶媒は、例えば、プロピレンカーボネート及びエチレンカーボネートなどの環状炭酸エステル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート類である。電解質塩は、例えば、LiClO
4、LiBF
4、及びLiPF
6である。
【0042】
ケース3の説明に戻り、ケース3は、ケース本体31の開口周縁部34と(
図2参照)、蓋板32の周縁部とを重ね合わせた状態で接合することによって形成される。また、ケース3では、ケース本体31と蓋板32とによって内部空間が画定されている。
【0043】
ケース本体31は、
図5〜
図7にも示すように、少なくとも一つの稜線を有する板状の閉塞部311と、閉塞部311の周縁に接続される筒状の胴部312と、を備える。
【0044】
胴部312は、偏平な角筒状である。この胴部312は、互いに平行な一対の長壁部313と、一対の長壁部313の対向する端縁同士を接続し且つ互いに平行な一対の短壁部314と、を有する。
【0045】
閉塞部311は、一対の壁部(本実施形態の例では、長壁部313又は短壁部314)の並ぶ方向と交差する方向に延びる稜線(本実施形態の例では、第一端部稜線3114A、第一中間稜線3115A、第二端部稜線3116A、第二中間稜線3117A)を有し且つ該稜線に沿って曲げ変形可能な曲げ部を有する。本実施形態の閉塞部311は、第一端部稜線3114Aに沿って曲げ変形可能な第一端部曲げ部3114、第一中間稜線3115Aに沿って曲げ変形可能な第一中間曲げ部3115、第二端部稜線3116Aに沿って曲げ変形可能な第二端部曲げ部3116、及び第二中間稜線3117Aに沿って曲げ変形可能な第二中間曲げ部3117を有する。即ち、本実施形態の閉塞部311において、前記曲げ部(稜線に沿って曲げ変形可能な曲げ部)は、第一端部曲げ部3114、第一中間曲げ部3115、第二端部曲げ部3116、及び第二中間曲げ部3117を含む。
【0046】
また、閉塞部311は、長壁部313及び短壁部314の端縁(開口周縁部34と反対側の端縁)よりもケース3の内側(開口周縁部34側)に位置する平板部3110と、長壁部313と平板部3110とを接続する第一傾斜部3111と、短壁部314と平板部3110とを接続する第二傾斜部3112と、を有する。これら平板部3110と第一傾斜部3111とは、第一中間曲げ部(中間曲げ部)3115を介して接続され、平板部3110と第二傾斜部3112とは、第二中間曲げ部(中間曲げ部)3117を介して接続されている。また、第一傾斜部3111と長壁部313とは、第一端部曲げ部(端部曲げ部)3114を介して接続され、第二傾斜部3112と短壁部314とは、第二端部曲げ部(端部曲げ部)3116を介して接続される。
【0047】
以上の閉塞部311についての詳細は、以下の通りである。
【0048】
平板部3110は、長壁部313及び短壁部314と直交する方向に広がる矩形平板状の部位である。平板部3110の輪郭は、開口周縁部34と対応した矩形状である。この平板部3110は、ケース本体31の開口方向(平板部3110の法線方向)から見て、開口周縁部34より小さく且つ胴部312に囲まれた領域の中央部に配置されている。尚、本実施形態では、平板部3110の長辺方向をX軸方向とし、平板部3110の短辺方向をY軸方向とし、平板部3110の法線(厚さ)方向をZ軸方向とする。
【0049】
第一傾斜部3111は、長壁部313側の端部である基端と該基端の反対側(平板部3110側)の端部である先端とを含み、且つ長壁部313に対して交差する方向に延びる。この第一傾斜部3111は、長壁部313及び平板部3110に対して傾斜している(
図3及び
図7参照)。第一傾斜部3111の基端は、第一端部曲げ部3114を介して長壁部313と接続され(繋がれ)、第一傾斜部3111の先端は、第一中間曲げ部3115を介して平板部3110の周縁(長辺)と接続される(繋がれる)。即ち、本実施形態の閉塞部311は、第一端部曲げ部3114と第一中間曲げ部3115とを有している。また、本実施形態のケース3は、一対の第一傾斜部3111を有する。
【0050】
第一端部曲げ部3114は、一対の長壁部313の並ぶ方向(Y軸方向)と交差する方向に延びる第一端部稜線3114Aを有し且つ該第一端部稜線3114Aに沿って曲げ変形可能である。本実施形態の第一端部稜線3114Aは、X軸方向に延びている。
【0051】
第一中間曲げ部3115は、一対の長壁部313の並ぶ方向(Y軸方向)と交差する方向に延びる第一中間稜線3115Aを有し且つ該第一中間稜線3115Aに沿って曲げ変形可能である。本実施形態の第一中間稜線3115Aは、第一端部稜線3114Aと同方向(X軸方向)に延びている。
【0052】
第二傾斜部3112は、短壁部314側の端部である基端と該基端の反対側(平板部3110側)の端部である先端とを含み、且つ短壁部314に対して交差する方向に延びる。この第二傾斜部3112は、短壁部314及び平板部3110に対して傾斜している。第二傾斜部3112の基端は、第二端部曲げ部3116を介して短壁部314と接続され(繋がれ)、第二傾斜部3112の先端は、第二中間曲げ部3117を介して平板部3110の周縁(短辺)と接続される(繋がれる)。即ち、本実施形態の閉塞部311は、第二端部曲げ部3116と第二中間曲げ部3117とも有している。また、本実施形態のケース3は、一対の第二傾斜部3112を有する。
【0053】
第二端部曲げ部3116は、一対の短壁部314の並ぶ方向(X軸方向)と交差する方向に延びる第二端部稜線3116Aを有し且つ該第二端部稜線3116Aに沿って曲げ変形可能である。本実施形態の第二端部稜線3116Aは、Y軸方向に延びている。
【0054】
第二中間曲げ部3117は、一対の短壁部314の並ぶ方向(X軸方向)と交差する方向に延びる第二中間稜線3117Aを有し且つ該第二中間稜線3117Aに沿って曲げ変形可能である。本実施形態の第二中間稜線3117Aは、第二端部稜線3116Aと同方向(Y軸方向)に延びている。
【0055】
以上のように、ケース本体31は、開口方向(Z軸方向)における一方の端部が塞がれた角筒形状(即ち、有底角筒形状)を有する。このケース本体31には、電極体2が巻回中心軸C方向(
図3参照)をZ軸方向と一致させた状態で収容される。詳しくは、電極体2は、平坦部203を長壁部313と対向させ、且つ、湾曲部201、202の頂部を短壁部314と対向させた状態でケース本体31に収容されている。また、電極体2は、巻回中心軸C方向の前記他方の端部(非被覆積層部26A、26Bが配置された端部とは反対側の端部)を閉塞部311と対向させた状態でケース本体31に収容されている(
図3参照)。このとき、電極体2の前記他方の端部は、閉塞部311の平板部3110と近接した位置(例えば、絶縁部材6を介して平板部3110と当接する位置)にある。
【0056】
蓋板32は、ケース本体31の開口を塞ぐ板状の部材である。具体的に、蓋板32の輪郭形状は、Z軸方向から見て、ケース本体31の開口周縁部34に対応している。即ち、蓋板32は、Z軸方向から見て、X軸方向に長い矩形板状の部材である。
【0057】
本実施形態の蓋板32には、電解液を注入するための注液穴325が設けられている(
図2参照)。注液穴325は、蓋板32をZ軸方向(厚さ方向)に貫通する。この注液穴325は、注液栓326によって密閉(封止)されている。即ち、ケース3は、蓋板32の注液穴325を密閉する注液栓326を有する。本実施形態の注液栓326は、溶接によって蓋板32に固定されている。
【0058】
外部端子4は、他の蓄電素子の外部端子又は外部機器等と電気的に接続される部位である。外部端子4は、導電性を有する部材によって形成される。例えば、外部端子4は、アルミニウム又はアルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料、銅又は銅合金等の銅系金属材料等の溶接性の高い金属材料によって形成される。本実施形態の外部端子4は、バスバ等が溶接可能な面41を有する。
【0059】
集電体5は、導電性を有する部材によって形成され、電極体2と外部端子4とを通電させる。具体的に、集電体5は、外部端子4に接続される第一接続部51と、電極体2に接続される第二接続部52と、を有する。
【0060】
第一接続部51は、外部端子4から蓋板32に沿って短壁部314に向けて延びる板状の部位である。第二接続部52は、第一接続部51の短壁部314側の端部から延び、且つ非被覆積層部26A、26Bに沿って湾曲状態で広がる板状の部位である。この第二接続部52は、例えば、溶接によって非被覆積層部26A、26Bに接続される。
【0061】
以上のように構成される集電体5は、蓄電素子1の正極と負極とにそれぞれ配置される(
図2参照)。本実施形態の蓄電素子1では、ケース3内において、電極体2の正極の非被覆積層部26Aと、負極の非被覆積層部26Bとに対応する位置にそれぞれ配置される。正極の集電体5と負極の集電体5とは、異なる素材によって形成される。具体的に、正極の集電体5は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金によって形成され、負極の集電体5は、例えば、銅又は銅合金によって形成される。
【0062】
絶縁部材6は、ケース3(詳しくはケース本体31)と、電極体2及び集電体5との間に配置される。この絶縁部材6は、絶縁性を有する樹脂によって形成されている。本実施形態の絶縁部材6は、所定の形状に裁断された絶縁性を有するシート状の部材を折り曲げることで形成された袋状である。
【0063】
以上の蓄電素子1は、閉塞部311がY軸方向と交差する方向に延びる第一中間稜線3115Aに沿って曲げ変形可能な第一中間曲げ部3115を有している。このため、蓄電素子1(ケース3)に対してY軸方向に力が加わると、その力によって第一中間曲げ部3115が自身の稜線(第一中間稜線)3115Aに沿って曲げ変形し易い。これにより、ケース3では、閉塞部311が長壁部及び短壁部と直交し且つ平らな板状(即ち、稜線のない平板)である場合に比べ、一対の長壁部313の閉塞部311側の端部においてもその間隔が小さくなり易い。その結果、ケース3の広い範囲で電極体2が押圧される。
【0064】
また、本実施形態の蓄電素子1では、閉塞部311が、第一傾斜部3111の基端と長壁部313とを繋ぐと共に、Y軸方向と交差する方向(本実施形態ではX軸方向)に延びる第一端部稜線3114Aを有し且つ該第一端部稜線3114Aに沿って曲げ変形可能な第一端部曲げ部3114を有している。これにより、蓄電素子1に対してY軸方向に力が加わると、その力によって第一中間曲げ部3115に加え第一端部曲げ部3114も自身の稜線(第一端部稜線)3114Aに沿って曲げ変形し易い。このため、一対の長壁部313の閉塞部311側の端部においてその間隔がより小さくなり易く、その結果、ケース3の広い範囲で電極体2がより押圧され易くなる。
【0065】
また、本実施形態の蓄電素子1では、ケース3において、一対の第一中間曲げ部3115のそれぞれが、平板部3110の周縁と第一傾斜部3111の先端とを繋いでいる。この蓄電素子1において、一対の長壁部313に対してY軸方向の外側から力が加わると、平板部3110が該力の加わる方向に延びている(広がっている)ため、閉塞部311の他の部位(第一中間曲げ部3115、第一端部曲げ部3114等)に力が集中する。これにより、第一中間曲げ部3115及び第一端部曲げ部3114がより曲げ変形し易くなる。このため、一対の長壁部313の閉塞部311側の端部においてその間隔がより小さくなり易くなり、その結果、ケース3の広い範囲で電極体2がさらに押圧され易くなる。しかも、Y軸方向に力が加わったときに、平板部3110が該力の加わる方向に延びている(広がっている)ことで該平板部3110での変形が抑えられるため、ケース3の閉塞部311における過度な変形が抑えられる。
【0066】
また、本実施形態の蓄電素子1では、電極体2が、巻回中心軸C方向の一方の端部を閉塞部311に向けた状態でケース3に収容されている。このように、電極体2が巻回中心軸C方向の前記他方の端部(非被覆積層部26A、26Bが配置された端部とは反対側の端部)を閉塞部311と近接させた状態でケース3に収容されることで、蓄電素子1に対してY軸方向に力が加わったときに、巻回中心軸C方向の前記他方の端部にも、前記Y軸方向の力が加わり易くなる。
【0067】
本実施形態の電極体2では、活物質層232、242が、巻回中心軸C方向における電極体2の前記他方の端部まで配置されている。また、本実施形態の蓄電素子1では、蓄電素子1にY軸方向の外側から力が加わったときに、電極体2の前記他方の端部にも前記力が加わり易い。このため、蓄電素子1にY軸方向の外側から力が加わったときに、電極体2の前記他方の端部において、巻回された状態の電極23、24同士の間隔(詳しくは、積層方向に隣り合う電極23、24の活物質層232、242同士の間隔)が広がることが抑えられる。その結果、蓄電素子1において、前記間隔が広がることに起因する性能低下を防ぐことができる。
【0068】
次に、本発明に係る蓄電装置の一実施形態について
図8及び
図9も参照しつつ説明する。尚、以下の説明では、上記実施形態と同じ構成には同じ符号を用いている。
【0069】
本実施形態の蓄電装置は、上記実施形態の蓄電素子1を備える。具体的に、蓄電装置10は、複数の蓄電素子1と、複数の蓄電素子1を保持する保持部材11と、を備える。また、蓄電装置10は、蓄電素子1と隣り合う隣接部材12と、複数の蓄電素子1と保持部材11との間を絶縁するインシュレータ13と、隣り合う二つの蓄電素子1同士を電気的に接続するバスバ14等も備える。本実施形態の蓄電装置10では、複数の蓄電素子1が、ケース3の長壁部313同士を対向させた状態で並んでいる。
【0070】
隣接部材12は、絶縁性を有し、X軸方向に隣り合う蓄電素子1の間、及び、蓄電素子1と保持部材11(詳しくは、終端部材111)との間に配置される板状の部材である。この隣接部材12が配置されることで、X軸方向に並ぶ蓄電素子1の間、及びX軸方向に並ぶ蓄電素子1と保持部材11との間に、所定の間隔(沿面距離等)が確保される。本実施形態の隣接部材12は、樹脂製である。
【0071】
保持部材11は、複数の蓄電素子1と複数の隣接部材12との周囲を囲むことで、これら複数の蓄電素子1と複数の隣接部材12とをひとまとめに保持する。この保持部材11は、金属等の導電性を有する部材によって構成される。具体的に、保持部材11は、X軸方向において複数の蓄電素子1が間に位置するように配置される一対の終端部材111と、複数の蓄電素子1とY軸方向に対向した状態で一対の終端部材111同士を接続する一対の対向部材112と、を備える。
【0072】
一対の終端部材111のそれぞれは、Y−Z面(Y軸方向とZ軸方向とを含む面)方向に広がる板状の部材である。
【0073】
一対の対向部材112のそれぞれは、Y軸方向に延び且つZ軸方向に間隔をあけて配置される一対の梁部1121と、一対の梁部1121の端部同士を連結する一対の第一連結部1122と、Y軸方向における途中位置において一対の梁部1121同士を連結する第二連結部1123と、を有する。このように構成される対向部材112によって一致の終端部材111が接続されることで、保持部材11は、Y軸方向(一対の長壁部313の並ぶ方向)の外側から複数の蓄電素子1を押圧する。即ち、蓄電装置10において、保持部材11に保持される複数の蓄電素子1のそれぞれ(詳しくは、各蓄電素子1のケース3)に対し、Y軸方向に挟み込まれる力が加わる。
【0074】
インシュレータ13は、絶縁性を有する。このインシュレータ13は、対向部材112と、Y軸方向に並ぶ複数の蓄電素子1との間に配置される。具体的に、インシュレータ13は、保持部材11における少なくとも複数の蓄電素子1と対向する領域を覆う。これにより、インシュレータ13は、保持部材11と、複数の蓄電素子1との間を絶縁する。
【0075】
バスバ14は、金属等の導電性を有する板状の部材によって構成され、蓄電素子1の外部端子4同士を導通させる。バスバ14は、蓄電装置10において複数(複数の蓄電素子1と対応する数)設けられる。本実施形態の複数のバスバ14は、蓄電装置10に含まれる複数の蓄電素子1の全てを直列に接続する(導通させる)。
【0076】
以上の蓄電装置10によれば、各蓄電素子1においてY軸方向に力が加わったときに一対の長壁部313の閉塞部311側の端部においてその間隔が小さくなり易いため、保持部材11によって各蓄電素子1がY軸方向の外側から押圧されることで、各蓄電素子1のケース3(長壁部313)の広い範囲で電極体2が押圧されている。これにより、本実施形態の蓄電装置10では、電極体2の膨張に起因する性能低下が抑えられる。
【0077】
尚、本発明の蓄電素子及び蓄電装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0078】
上記実施形態の蓄電素子1における閉塞部311では、平板部3110が、胴部312の閉塞部311側の周縁よりケース3の内側(開口周縁部34側)に配置されている(
図3及び
図7参照)が、この構成に限定されない。例えば、
図10に示すように、平板部3110は、胴部312の前記周縁よりケース3の外側に配置、即ち、第一中間稜線3115Aが胴部312の前記周縁より外側に配置されてもよい。
【0079】
また、上記実施形態の閉塞部311の曲げ部は、第一中間曲げ部3115と、第一端部曲げ部3114とを含んでいるが、この構成に限定されない。例えば、
図11に示すように、閉塞部311の曲げ部は、第一端部曲げ部3114のみを含む構成(即ち、第一中間曲げ部3115のない構成)でもよい。かかる構成によっても、蓄電素子1(ケース3)に対してY軸方向の外側から力が加わると、その力によって第一端部曲げ部3114が自身の稜線(第一端部稜線)3114Aに沿って曲げ変形し易く、これにより、一対の長壁部313の閉塞部311側の端部においてその間隔が小さくなり易い。
【0080】
また、上記実施形態のケース3では、閉塞部311が折り曲げられる(屈曲する)ことにより第一中間稜線3115A及び第一端部稜線3114Aが形成されているが、この構成に限定されない。例えば、
図12に示すように、閉塞部311等が湾曲することによって稜線rが形成されてもよい。この場合、湾曲部位の頂部(
図12の例では、Y−Z面方向の断面において、胴部312の周縁からZ軸方向において最も離れた位置)を繋いだ線が稜線(第一中間稜線)rである。
【0081】
また、上記実施形態のケース3では、第一中間曲げ部3115及び第一端部曲げ部3114は、閉塞部311及びその周縁部に形成されているが、この構成に限定されない。例えば、第一中間曲げ部3115及び第一端部曲げ部3114は、蓋板32及びその周縁部に形成されてもよい。
【0082】
上記実施形態の蓄電素子1では、電極体2は、帯状の電極23、24が巻回されたいわゆる巻回型の電極体であるが、この構成に限定されない。電極体2は、枚葉状の電極が積層されたいわゆる積層型の電極体であってもよい。また、電極体2は、正極23、負極24及びセパレータ25の少なくとも一つをつづら折り(蛇腹状)にしたものでもよい。例えば具体的に、電極2は、
図13に示すように、長尺なセパレータ25をつづら折りとし、折り曲げられた部位に枚葉状の正極23と負極24とが交互に配置される構成でもよい。また、電極2は、
図14に示すように、長尺な負極24をつづら折りとし、折り曲げられた部位に枚葉状の正極23を配置すると共に正極23と負極24との間を隔てるようにセパレータ25が配置される構成でもよい。また、電極2は、
図15に示すように、正極23、負極24、及びセパレータ25の全てが長尺で且つつづら折りされていてもよい。
【0083】
また、上記実施形態の蓄電素子1では、一つの電極体2が巻回中心軸C方向をZ軸と一致させた状態でケース3に収容されているが、この構成に限定されない。複数の電極体2が巻回中心軸C方向をZ軸と一致させ且つ互いの巻回中心軸C同士が平行となるように並んだ状態でケース3に収容される構成でもよい。
【0084】
また、上記実施形態の蓄電素子1では、第一中間曲げ部3115、第一端部曲げ部3114、第二端部曲げ部3116、及び第二中間曲げ部3117等は、閉塞部311及びその周縁部に形成されていたが、この構成に限定されない。第一中間曲げ部3115、第一端部曲げ部3114、第二端部曲げ部3116、及び第二中間曲げ部3117等は、蓋板32及びその周縁部や、短壁部314及びその周縁部等に形成されてもよい。
【0085】
上記実施形態の蓄電素子1では、第一中間曲げ部3115Aが、閉塞部311に二つ配置されているが、この構成に限定されない。第一中間曲げ部3115Aは、閉塞部311に一つ配置されてもよく、三つ以上配置されてもよい。
【0086】
また、上記実施形態においては、蓄電素子が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、蓄電素子の種類や大きさ(容量)は任意である。また、上記実施形態において、蓄電素子の一例として、リチウムイオン二次電池について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明は、種々の二次電池、その他、一次電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタの蓄電素子にも適用可能である。
【0087】
上記実施形態の蓄電装置10では、全ての蓄電素子1が第一中間曲げ部3115A及び第一端部曲げ部3114の少なくとも一方を有しているが、この構成に限定されない。複数の蓄電素子を備える蓄電装置10において、少なくとも一つの蓄電素子1が第一中間曲げ部3115A及び第一端部曲げ部3114の少なくとも一方を有していればよい。