(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る遊技機の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。まず、
図1および
図2を参照して、パチンコ機1の機械的構成について説明する。
【0009】
図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は正面視略正方形の板状であり(
図2参照)、透明なガラス板を保持した前面枠13によって前面を保護されている。遊技盤2の下部には上皿5が設けられている。上皿5は、遊技球発射装置37(
図3参照)に金属製の遊技球を供給し、且つ賞球を受ける。上皿5の上面には、遊技者によって操作される操作ボタン9が設けられている。上皿5の直下には、賞球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。発射ハンドル7は、遊技者が回転操作できるように設けられており、遊技者が発射ハンドル7を回転させて発射操作を行うと、発射ハンドル7の回転角度に応じた強度で、遊技球発射装置37によって遊技球が発射される。前面枠13の上部の左右の角には、スピーカ48が夫々設けられている。
【0010】
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。遊技球発射装置37(
図3参照)によって発射された遊技球は、ガイドレール3によって遊技領域4へ導かれ、遊技領域4内を流下する。遊技領域4は、発射ハンドル7の発射強度に応じて、遊技球が流下する度合いを互いに異にする第一遊技領域4Lと第二遊技領域4Rとを備えている。第一遊技領域4Lは、パチンコ機1に正対した遊技者から見て遊技領域4の左側に位置し、第二遊技領域4Rは、遊技者から見て遊技領域4の右側に位置している。ガイドレール3は遊技領域4の左側に形成されている。発射ハンドル7によって所定の強度以上の発射強度で発射された遊技球は第二遊技領域4Rを流下し(例えば
図2の矢印11参照)、所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は第一遊技領域4Lを流下する(例えば
図2の矢印10参照)。以下、矢印10に示すように遊技球を発射することを「左打ち」と、矢印11に示すように遊技球を発射することを「右打ち」という。
【0011】
遊技領域4の略中央には、各種演出を実行する演出装置8が設けられている。演出装置8は、LCDからなる表示画面28を中央に備える。表示画面28は様々な映像を表示するが、特に大当たり判定の結果を遊技者に報知する演出用の図柄である演出図柄28A、28B、28Cを表示する。パチンコ機1は、複数(本実施形態では3つ)の演出図柄28A〜28Cを変動させた後に、大当たり判定の結果を示す演出図柄28A〜28Cの組合せを確定表示させる報知演出を実行することで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する。本実施形態では、演出図柄28A〜28Cの各々は、数字の「0」〜「9」の10種類の候補図柄で構成される。
【0012】
演出装置8において、表示画面28の上方に可動役物30が設けられている。可動役物30は、可動部を動作させることで各種演出を行う。演出装置8の右下部には普通図柄作動ゲート12が設けられている。演出装置8の下方には第一始動口14および第二始動口15が設けられており、その下方には大入賞口16が設けられている。第二始動口15は、普通電動役物(普通当たり判定の結果に基づき入賞口の入り口の大きさを変化させる役物)としての開閉部材を備え、開閉部材が開放された場合にのみ第二始動口15の入り口が開放され、遊技球は第二始動口15に入賞できる。なお、第二始動口15は、開閉部材が閉鎖された閉鎖状態にも遊技球の入賞が可能であって、開閉部材が開放されることで閉鎖状態よりも遊技球が入賞容易となる構成であってもよい。大入賞口16も開閉部材を備え、開閉部材が開放された場合にのみ、遊技球は大入賞口16に入賞できる。各開閉部材はソレノイドによって電気的に開閉される。更に遊技盤2には、上記以外に各種の電飾ランプ、入賞口、風車、および遊技くぎ等が設けられている。
【0013】
本実施形態では、普通図柄作動ゲート12を通過する遊技球は、右打ちによって第二遊技領域4Rを流下した遊技球が大半であり、左打ちによって第一遊技領域4Lを流下した遊技球が普通図柄作動ゲート12を通過することは困難である。第一始動口14、第二始動口15および大入賞口16は、左打ちによって第一遊技領域4Lを流下した遊技球と右打ちによって第二遊技領域4Rを流下した遊技球の何れもが入賞可能に配置されている。このうち第一始動口14については、入賞口および遊技くぎ等の配置により、左打ちによって第一遊技領域4Lを流下した遊技球の方が、右打ちによって第二遊技領域4Rを流下した遊技球よりも入賞しやすい配置となっている。また第二始動口15および大入賞口16については、入賞口および遊技くぎ等の配置により、右打ちによって第二遊技領域4Rを流下した遊技球の方が、左打ちによって第一遊技領域4Lを流下した遊技球よりも入賞しやすい配置となっている。
【0014】
遊技盤2の右下部には、大当たり判定の結果および保留球数等を表示する図柄表示部24が設けられている。図柄表示部24は、第一特別図柄表示部24Aおよび第二特別図柄表示部24B(
図16参照)、図示外の普通図柄表示部、第一特別図柄記憶数表示LED、第二特別図柄記憶数表示LEDおよび普通図柄記憶数表示LEDを備える。第一特別図柄表示部24Aおよび第二特別図柄表示部24Bは、夫々、1つの7セグメントLEDからなり、第一大当たり判定および第二大当たり判定の結果を示す第一特別図柄および第二特別図柄を表示する。以下、第一大当たり判定および第二大当たり判定を総称する場合、または何れかを特定しない場合、大当たり判定ともいう。普通図柄表示部は、LEDの点灯および消灯によって普通当たり判定の結果を表示する。第一特別図柄記憶数表示LEDおよび第二特別図柄記憶数表示LEDは、大当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数(所謂「特別図柄保留球数」)を表示する。普通図柄記憶数表示LEDは、普通当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数(所謂「普通図柄保留球数」)を表示する。
【0015】
次に、パチンコ機1における遊技の流れについて概略的に説明する。パチンコ機1には、大当たり遊技、および普通当たり遊技が設けられている。パチンコ機1では、大当たり判定において「大当たり」と判定されると、大当たり遊技が行われる。パチンコ機1は、1回の大当たり遊技中に、所定条件を満たすまで大入賞口16へ遊技球が入賞可能な状態が維持されるラウンドを、予め定められた回数だけ繰り返す。所定条件とは、例えば、大入賞口16が開放されてから規定数の遊技球が入賞するか、または大入賞口16が開放されてから規定時間が経過することである。パチンコ機1は、大当たり判定において「大当たり」と判定される大当たり確率が約1/300である非確率変動状態と、約1/60である確率変動状態とを、大当たり遊技の終了後に生起させることができる。また、第二始動口15の開閉部材が開放される割合が通常の割合である非時短状態と、非時短状態よりも第二始動口15の開閉部材が開放される割合が高くなる時短状態とを、大当たり遊技の終了後に生起させることができる。パチンコ機1は、これらの組合せにより、「非確率変動非時短状態」(以下、「通常状態」という。)「確率変動時短状態」(以下、「確変時短状態」という。)、および「非確率変動時短状態」(以下、「非確変時短状態」という。)の三種類の遊技状態を生起する。ただし、この実施形態に限られず、パチンコ機1は、例えば、「確率変動非時短状態」等を含む四種類以上の遊技状態を生起してもよい。また、パチンコ機1は、二種類以下の遊技状態を生起するものであってもよい。
【0016】
本実施形態では、大当たり遊技の終了後に確率変動状態が生起された場合、同時に時短状態が生起される。生起された確率変動状態および時短状態は、大当たり遊技の終了後から次回の大当たり遊技が開始されるまで継続する。つまり、本実施形態において大当たり遊技の終了後に生起された「確率変動時短状態」は、大当たり遊技の終了後から次回の大当たり遊技が開始されるまで継続する。
【0017】
また、大当たり遊技の終了後に確率変動状態が生起されず、且つ、時短状態が生起される場合がある。この場合、生起された時短状態は、大当たり遊技の終了後から次回の大当たり遊技の実行開始まで、または、第一大当たり判定の回数と第二大当たり判定の回数との和(以下、「判定回数」という。)が規定回数(以下、「時短回数」という。)に達するまで継続する。本実施形態では、時短回数は100回である。つまり、パチンコ機1の「非確率変動時短状態」は、大当たり遊技終了後における判定回数が時短回数に達すること、または大当たり遊技の終了後に次回の大当たり遊技が開始されることによって終了する。上記の終了条件を満たすことで、遊技状態は「非確率変動時短状態」から「通常状態」へ移行する。なお、時短回数は、本実施形態の100回に限られず、遊技性に応じた種々の回数を設定できる。例えば、パチンコ機1は、大当たりと判定された際に決定される特別図柄と、大当たり判定時に生起されている遊技状態とに応じて、大当たり遊技終了後に生起する時短状態の時短回数を、複数の時短回数の中から決定してもよい。
【0018】
「非確率変動時短状態」および「確率変動時短状態」は、大当たり遊技開始時に終了する。即ち、大当たり遊技状態中には、「通常状態」が生起される。このため、判定回数および時短回数の計数は、大当たり遊技の開始によってクリアされる。なお、確率変動状態の終了条件は、本実施形態の例に限られない。例えば、大当たり遊技の終了後に生起された確率変動状態が、判定回数が所定の回数に達することで終了する所謂回数切り確変機能を有する遊技機であってもよい。また、パチンコ機1は、大入賞口16の内部に特定の領域を設け、大当たり遊技中に遊技球が特定の領域を通過することを条件として、大当たり遊技終了後に確率変動状態を生起することとしてもよい。また、パチンコ機1は、1回の大当たり判定毎に確率変動状態を終了させる転落抽選を行い、転落抽選に当選した場合に確率変動状態を終了させてもよい。
【0019】
次いで、普通当たり遊技について説明する。遊技球が普通図柄作動ゲート12を通過することを契機として、普通当たり判定が行われる。時短状態において普通当たりと判定される確率(本実施形態では99/100)は、非時短状態において普通当たりと判定される確率(本実施形態では4/100)よりも高い。また、普通当たり遊技中の第二始動口15の開閉部材の最大開放時間は、非時短状態(本実施形態では0.2秒)よりも時短状態(本実施形態では4.2秒)の方が長い。更に普通図柄の変動時間は、非時短状態における変動時間(本実施形態では10秒)よりも時短状態における変動時間(本実施形態では2秒)の方が短い。当たりを示す普通図柄が図柄表示部24の普通図柄表示部に確定表示された後に、第二始動口15の開閉部材が開放される。時短状態である「確率変動時短状態」および「非確率変動時短状態」では、第二始動口15の開閉部材が開放される割合が非時短状態よりも高くなる。この結果、時短状態においては、第一始動口14よりも第二始動口15に容易に遊技球を入賞させることができる。従って、時短状態中は、右打ちによって遊技を進行することが、左打ちによって遊技を進行するよりも遊技者にとって有利となる。一方、非時短状態である「通常状態」では、第二始動口15の開閉部材が開放される割合が時短状態よりも低くなるため、第二始動口15よりも第一始動口14に容易に遊技球を入賞させることができる。従って、非時短状態においては、左打ちによって遊技を進行することが、右打ちによって遊技を進行するよりも遊技者にとって有利となる。なお、パチンコ機1は、遊技状態によらず、左打ちによって遊技を進行することが、右打ちによって遊技を進行するよりも遊技者にとって有利である遊技機であってもよい。
【0020】
図3を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。パチンコ機1の制御部40は、主基板41、サブ制御基板58、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、中継基板47、および電源基板42を主に備える。
【0021】
主基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主基板41は、主基板CPUユニット50を備える。主基板CPUユニット50は、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とを備える。主基板CPUユニット50は、割込信号発生回路57と電気的に接続する。主基板41は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。
【0022】
主基板41は、I/Oインタフェイス54を介して、サブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47、出力ポート55、第一始動口スイッチ72、および第二始動口スイッチ73と電気的に接続する。出力ポート55は、図示しない遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の各種情報を出力する。第一始動口スイッチ72は、第一始動口14に入賞した遊技球を検出する。第二始動口スイッチ73は、第二始動口15に入賞した遊技球を検出する。
【0023】
サブ制御基板58は、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。サブ制御基板58は、CPU581、RAM582、およびROM583を備え、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、操作ボタン9、およびスピーカ48と電気的に接続する。ランプドライバ基板46は、演出装置8の各種照明の動作および可動役物30の動作等を制御する。演出制御基板43は、CPU431、CGROM432等を備え、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って表示画面28の表示を制御する。
【0024】
払出制御基板45は、CPU45a等を備える。払出制御基板45は、主基板41から送信されるコマンドに応じて賞球払出装置49の動作を制御し、遊技球の入賞に応じた所定数の遊技球を賞球として払い出させる。
【0025】
中継基板47は、普通電動役物開閉ソレノイド69、大入賞口開閉ソレノイド70、普通図柄作動スイッチ74、大入賞口スイッチ75および図柄表示部24と、電気的に接続する。普通電動役物開閉ソレノイド69は、普通当たり遊技中に第二始動口15の開閉部材を開閉する。大入賞口開閉ソレノイド70は、大当たり遊技中に大入賞口16の開閉部材を開閉する。普通図柄作動スイッチ74は、普通図柄作動ゲート12を通過した遊技球を検出する。大入賞口スイッチ75は、大入賞口16に入賞した遊技球を検出する。
【0026】
電源基板42は、主基板41および遊技球発射装置37と電気的に接続し、各基板および遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置37は、一定間隔(本実施形態では0.6秒)毎に、遊技球を1個ずつ遊技領域4へ向けて発射する。
【0027】
図4を参照して、RAM52の第一大当たり関係情報記憶エリアについて説明する。第二大当たり関係情報記憶エリアの構成は、第一大当たり関係情報記憶エリアの構成と同様であるため、説明を簡略化する。第一大当たり関係情報記憶エリアおよび第二大当たり関係情報記憶エリアは、後述するメイン処理の特別図柄処理(
図12から
図14参照)において使用される。第一大当たり関係情報記憶エリアには複数の記憶エリアが設けられている。第一始動口14に遊技球が入賞した際に、特別図柄保留球数のうち第一始動口14への入賞による第一保留球数が4未満(0〜3)であれば、番号の小さい記憶エリアから順に乱数が記憶される。本実施形態において、第一始動口14に入賞した遊技球に対して、大当たり判定を保留して乱数を記憶しておくことのできる数(最大第一保留球数)は「4」である。CPU51は、処理が未だ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号が小さい記憶エリアを判定エリアとし、判定エリアに記憶されている乱数について大当たり判定等の各種処理を行う。判定エリアに記憶されている乱数に関する処理(具体的には、大当たり判定結果を報知する報知演出、および、大当たり判定結果が大当たりの場合に実行される大当たり遊技)が終了すると、次に番号が小さい記憶エリアが判定エリアとされて、大当たり判定等の処理が繰り返される。なお、処理が終了した記憶エリアの乱数は、適宜消去してもよい。
【0028】
各記憶エリアには、第一大当たり判定カウンタの値が記憶される第一大当たり乱数欄、第一特別図柄決定カウンタの値が記憶される第一特別図柄決定乱数欄、および第一変動パターン決定カウンタの値が記憶される第一変動パターン決定乱数欄が設けられている。第一始動口14に遊技球が入賞すると、その時点で計数されている夫々の乱数取得カウンタの値が各欄に記憶される。第一大当たり乱数は、第一大当たり判定のために用いられる。第一特別図柄決定乱数は第一特別図柄を決定するために用いられる。第一変動パターン決定乱数は、図柄表示部24の第一特別図柄表示部24Aに表示される第一特別図柄の変動時間を示す変動パターンを決定するために用いられる。
【0029】
パチンコ機1において、第一特別図柄および第二特別図柄の変動時間は、第一大当たり判定および第二大当たり判定の結果を遊技者に報知する報知演出の演出時間に等しい。サブ制御基板58は、主基板41で決定された変動パターンに従って報知演出を制御する。具体的には、主基板41は、第一変動パターン決定乱数に基づく第一変動パターンに従って、第一特別図柄の変動を開始する。また、主基板41は、第二変動パターン決定乱数に基づく第二変動パターンに従って、第二特別図柄の変動を開始する。サブ制御基板58は、第一特別図柄および第二特別図柄の何れかの変動開始に同期して、演出図柄28A〜28Cの変動表示を開始する。主基板41は、変動を開始した第一特別図柄および第二特別図柄の何れかの変動時間が終了すると、変動させていた第一特別図柄または第二特別図柄を、所定の特別図柄停止表示時間(本実施形態では0.8秒)の間、確定表示させる。サブ制御基板58は、特別図柄停止表示時間に同期して、演出図柄28A〜28Cを確定表示させる。また、サブ制御基板58は、演出図柄28A〜28Cによる他、表示画面28、可動役物30、スピーカ48等によっても、変動パターンと同期した報知演出を実行する。
【0030】
第二大当たり関係情報記憶エリアは、後述するメイン処理の特別図柄処理(
図12から
図14参照)において使用される。第二大当たり関係情報記憶エリアには、第一大当たり関係情報記憶エリアと同様に、複数の記憶エリアが設けられている。第二始動口15に遊技球が入賞した際に、特別図柄保留球数のうち第二始動口15への入賞による第二保留球数が4未満(0〜3)であれば、番号の小さい記憶エリアから順に乱数が記憶される。本実施形態において、第二始動口15に入賞した遊技球に対して、大当たり判定を保留して乱数を記憶しておくことのできる数(最大第二保留球数)は「4」である。
【0031】
以下の説明では、第一大当たり乱数および第二大当たり乱数を総称する場合、または何れかを特定しない場合、大当たり乱数ともいう。また、第一変動パターン決定乱数および第二変動パターン決定乱数を総称する場合、または何れかを特定しない場合、変動パターン決定乱数ともいう。また、第一大当たり関係情報記憶エリアおよび第二大当たり関係情報記憶エリアを総称する場合、または何れかを特定しない場合、大当たり関係情報記憶エリアともいう。また、大当たり関係情報記憶エリアに記憶された状態で大当たり判定が保留されている大当たり乱数、および大当たり判定が保留されている大当たり乱数とともに取得されて大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている各種乱数を総称して保留乱数という。保留乱数のうち第一大当たり関係エリアに記憶されている第一保留乱数の数は、第一保留球数に対応する。保留乱数のうち第二大当たり関係エリアに記憶されている第二保留乱数の数は、第二保留球数に対応する。なお、RAM52には、普通図柄作動ゲート12への遊技球の入賞時に取得される乱数を記憶するための普通当たり関係情報記憶エリアが設けられている。普通当たり関係情報記憶エリアも、大当たり関係情報記憶エリアと同様に構成されている。
【0032】
図5を参照して、ROM53に記憶されている特別図柄決定テーブルについて説明する。パチンコ機1は、第一大当たり判定の結果が大当たりであることを示す第一特別図柄と、第二大当たり判定の結果が大当たりであることを示す第二特別図柄とを、特別図柄決定テーブルを参照することで決定する。第一特別図柄および第二特別図柄は、夫々、複数の大当たり種別の何れかに分類される。
【0033】
本実施形態における大当たり種別は、第一特別図柄および第二特別図柄の双方ともに、特別図柄決定テーブルにおける「大当たり種別」欄の「種別名称」に示す「8R通常」「8R確変」「16R確変」の三種類である。「大当たり種別」欄の「遊技状態」は、大当たり遊技の終了後に生起される遊技状態を示す。「大当たり種別」欄の「時短継続」は、大当たり遊技の終了後に生起された時短状態の継続条件を示す。「100回」は、時短回数が100回であることを示し、「次回まで」は、大当たり遊技の終了後から次回の大当たり遊技が開始されるまで時短状態が継続することを示す。「大当たり種別」欄の「ラウンド数」は、1回の大当たり遊技中に繰り返されるラウンドの合計回数を示す。即ち、大当たり種別の種別名称に含まれる「8R」「16R」は、大当たり種別毎に予め定められているラウンド数を略記したものに対応する。また、大当たり遊技の終了後に確率変動状態が生起される大当たりは、「確変大当たり」ともいい、大当たり遊技の終了後に確率変動状態が生起されない大当たりは、「通常大当たり」ともいう。即ち、大当たり種別の種別名称に含まれる「確変」および「通常」は、「確変大当たり」および「通常大当たり」であること示す。
【0034】
図5に示すように、特別図柄決定テーブルには、第一特別図柄および第二特別図柄の夫々について、複数の大当たり種別に各々対応する特別図柄決定乱数の乱数値が定義されている。大当たり判定によって大当たりと判定されると、特別図柄決定乱数の値に対応する特別図柄が決定される。決定された特別図柄の属する大当たり種別に応じて、ラウンド数、大当たり遊技終了後に生起される遊技状態および生起される時短状態の継続条件が決定される。パチンコ機1では、第一大当たり判定および第二大当たり判定において大当たりと判定された場合には、「8R通常」となる割合は25%、「8R確変」となる割合は25%、「16R確変」となる割合は50%である。
【0035】
本実施形態では、大当たり種別が「8R確変」または「16R確変」の場合、大当たり遊技の終了後に確率変動時短状態が生起される。また、大当たり種別が「8R通常」の場合、大当たり遊技の終了後に非確率変動時短状態が生起される。「確変大当たり」である「8R確変」および「16R確変」の大当たり種別による大当たり遊技が実行された場合、大当たり遊技の終了後から次回の大当たり遊技まで確率変動状態が継続する。このため、大当たり種別が「8R確変」および「16R確変」の場合、大当たり種別が「8R通常」の場合よりも、以降に大当たり判定において大当たりと判定されて、大当たり遊技が実行される期待値が高くなる。従って、大当たり種別が「8R確変」および「16R確変」の場合、大当たり種別が「8R通常」の場合よりも、賞球の払い出しに関して遊技者が有利となる期待値が高くなる。また、「8R確変」による大当たり遊技と、「16R確変」による大当たり遊技とを比較すると、ラウンド数の大きい「16R確変」の方が、「8R確変」よりも賞球の払い出しに関して遊技者が有利となる期待値が高くなる。従って、本実施形態では、「8R通常」、「8R確変」、「16R確変」の順に、遊技者が有利となる期待値が高くなる。
【0036】
図6を参照して、ROM53に記憶されている変動パターン決定テーブルについて説明する。
図6に示すように、変動パターン決定テーブルは、大当たり判定が第一大当たり判定および第二大当り判定の何れであるか、大当たり判定時の遊技状態(通常状態、確率変動時短状態、または非確率変動時短状態)および大当たり判定の結果(大当たりまたははずれ)に応じて、複数のテーブルを設けている。夫々のテーブルには複数種類の変動パターンが割り当てられており、各変動パターンと変動パターン決定乱数の値(0〜511)とが対応付けられている。第一大当たり判定が行われると、その時点の遊技状態と判定結果とに応じたテーブルが参照され、大当たり乱数とともに取得されている変動パターン決定乱数の値に対応する変動パターンが1つ決定される。
【0037】
図6に示すように、通常状態における第一大当たり判定の判定結果が大当たりの場合には、「リーチ演出A」、「リーチ演出B」、「リーチ演出C」、「リーチ演出D」、「リーチ演出E」の順に、変動パターンが決定される割合が高くなる。ここで、「リーチ演出」とは、例えば3つの演出図柄28A〜28Cのうち2つが同じ図柄で停止するリーチ状態が構成された後に、大当たりの可能性があることを示す演出を実行する報知演出である。一方、判定結果がはずれの場合には、「リーチ演出A」、「リーチ演出B」、「リーチ演出C」、「リーチ演出D」、「リーチ演出E」の順に、変動パターンが決定される割合が低くなる。従って、第一大当たり判定の結果が大当たりとなる期待値は、「リーチ演出A」、「リーチ演出B」、「リーチ演出C」、「リーチ演出D」、「リーチ演出E」の順に高くなる。また、判定結果が小当たりの場合には「リーチ演出C」が決定される。なお、本実施形態において、「非リーチ」の変動パターンは、リーチ状態に至ることなく演出が終了する報知演出であり、本実施形態では、大当たり判定の結果がはずれの場合にのみ決定される。
【0038】
なお、詳細は省略するが、変動パターン決定テーブルにおいて、第二大当り判定についても、遊技状態に応じて複数種類の変動パターンが割り当てられており、各変動パターンと変動パターン決定乱数の値とが対応付けられている。主基板41は、決定した変動パターンに応じて決められている変動時間だけ、第一特別図柄または第二特別図柄を変動させる。また、主基板41は、変動パターン決定テーブルが参照されて決定された変動パターンを指定するコマンドである変動パターン指定コマンドを、サブ制御基板58へ送信する。サブ制御基板58は、コマンドによって指定された変動パターンに応じて表示画面28およびスピーカ48等を制御する。
【0039】
図7から
図14を参照して、パチンコ機1の主基板41による動作について説明する。パチンコ機1の主制御は、ROM53に記憶されている制御プログラムによって行われる。本実施形態では、パチンコ機1を初期状態に戻したい場合、所定のリセット操作によってパチンコ機1に電源が投入される。また、パチンコ機1の遊技中に電源が落ちた場合に、所定の復電操作によってパチンコ機1に電源が投入される。このようにパチンコ機1に電源が投入されると、CPU51は制御プログラムに基づいて、電源投入時処理(
図7参照)を実行する。その後、CPU51は制御プログラムに基づいて、メイン処理(
図11参照)を実行する。メイン処理は、割込信号発生回路57(
図3参照)が4ms毎に発生する割込信号をCPU51が感知した際に実行される。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
【0040】
図7に示すように、電源投入時処理が開始されると、まずメイン初期処理が実行される(S1)。メイン初期処理では、先述のリセット操作によって電源投入された場合、例えばRAM52に記憶されているフラグ、カウンタ等の各種データが初期化されることで、パチンコ機1が初期状態に設定される。後述の確率変動フラグが初期値である「0」に設定されるため、初期化前に確率変動フラグが「ON」となっている場合でも「OFF」となる。同様に、時短フラグも初期値である「0」に設定されて、「OFF」とされる。その結果、メイン初期処理後の遊技状態は「非確率変動非時短状態」となる。
【0041】
一方、パチンコ機1の遊技中に電源が落ちた場合には、公知のように電断直前のパチンコ機1の状態を示すバックアップ情報が、RAM52に保存されている。メイン初期処理では、先述の復電操作によって電源投入された場合、RAM52からバックアップ情報が読み出されて、電断直前のパチンコ機1の状態に復帰させるための各種処理が実行される。例えば、確率変動フラグ及び時短フラグがバックアップ情報に応じて設定されるため、メイン初期処理後の遊技状態は電断直前の遊技状態に制御される。電断直前に大当たり遊技中であった場合には、大当たり遊技が再開される。
【0042】
次いで、特別図柄の初期出目(特図初期出目)の表示制御が実行される(S2)。特図初期出目は、パチンコ機1の電源投入直後に表示される特別図柄の表示態様である。本実施形態のパチンコ機1は、二つの特別図柄(第一特別図柄および第二特別図柄)を有する。S2では、第一特別図柄の初期出目を指示する第一特図出目指示コマンドと、第二特別図柄の初期出目を指示する第二特図出目指示コマンドとが、主基板41から図柄表示部24に出力される。第一特別図柄表示部24A(
図16参照)では、第一特図出目指示コマンドが指示する初期出目で第一特別図柄が表示される。第二特別図柄表示部24B(
図16参照)では、第二特図出目指示コマンドが指示する初期出目で第二特別図柄が表示される。
【0043】
一般に遊技機は、同一機種であっても、複数の異なる遊技仕様である複数スペック(例えば、大当たり確率、確変割合、ラウンド数、カウント数、時短回数など)で提供されることがある。主基板41のCPU51は、複数スペックのうちで予め実行対象として設定されている実装スペックに基づいて、遊技制御を実行する。本実施形態では、同一機種のパチンコ機1について、4つの異なるスペック「A1」〜「A4」が提供可能であるとする。以下の説明では、パチンコ機1の実装スペックは「A1」であるものとする。
【0044】
主基板41のROM53には、実装スペックが複数スペックの何れであるかに関わらず、複数の当選種別(即ち、大当たり判定結果)に夫々対応する特別図柄の表示態様が共通に設定されている。CPU51は、ROM53に設定されている特別図柄の表示態様に基づいて、第一特別図柄および第二特別図柄を当選種別に対応する表示態様で表示制御する。例えば、当選種別「はずれ」に対応する第一特別図柄および第二特別図柄の表示態様は、実装スペックが複数スペックの何れであるかに関わらず「−」である。当選種別「16R確変」に対応する第一特別図柄および第二特別図柄の表示態様は、実装スペックが複数スペックの何れであるかに関わらず「7」である。なおROM53には、第一特別図柄および第二特別図柄の夫々に対応して、同じ当選種別に異なる表示態様が定義されてもよい。
【0045】
S2では、先述のリセット操作によって電源投入された場合、特図初期出目として当選種別「はずれ」に対応する表示態様(例えば「−」)で、第一特別図柄および第二特別図柄が図柄変動を行うことなく表示制御される。一方、先述の復電操作によって電源投入された場合、S1で読み出されたバックアップ情報に基づいて、特図初期出目が表示制御される。詳細には、図柄変動の停止中に電源が落ちた場合、復電操作後の特別図柄は図柄変動を行うことなく、特図初期出目として電断時の停止表示態様で表示制御される。図柄変動中に電源が落ちた場合、復電操作後の特別図柄はバックアップ情報に基づいて残り変動時間分を変動表示された後、特図初期出目として電断時の図柄変動に対応する停止表示態様で表示制御される。即ち、電断時の図柄変動が所謂はずれ変動であった場合、はずれに対応する特図初期出目で停止表示される一方、電断時の図柄変動が所謂当たり変動であった場合、大当たりに対応する特図初期出目で停止表示される。
【0046】
例えば、第一特別図柄および第二特別図柄が何れも「はずれ」に対応する表示態様(例えば「−」)の停止状態で電源が落ちた場合や、第一特別図柄又は第二特別図柄がはずれ変動中に電源が落ちた場合、パチンコ機1の復電操作が行われると、各特別図柄の特図初期出目は「はずれ」に対応する表示態様となる。一方、第一大当たり判定に基づく「16R確変」の大当たり遊技中に電源が落ちた場合や、第一特別図柄の「16R確変」の当たり変動中に電源が落ちた場合、パチンコ機1の復電操作が行われると、第一特別図柄の特図初期出目として、「16R確変」に対応する表示態様(例えば「7」)が表示される。
【0047】
次いで、先述のリセット操作又は復電操作に応じて遊技演出の開始を指示する演出開始コマンドが、主基板41からサブ制御基板58に出力される(S3)。サブ制御基板58のCPU581は、演出開始コマンドの受信に応じて遊技演出を開始する。例えば、先述のリセット操作によって電源投入された場合、表示画面28において所定の電源投入時画面が表示された後、通常状態の演出画面が表示される。先述の復電操作によって電源投入された場合、表示画面28において所定の復帰中画面が表示された後、電断直前の遊技状態に応じた演出画面が表示される。なお、図柄変動中に電源が落ちた場合には、この演出画面において演出図柄28A〜28Cが、特別図柄と同様に残り変動時間分を変動表示される。
【0048】
次いで、演出図柄28A〜28Cの初期出目(演出初期出目)を指示する初期出目指定コマンドが、主基板41からサブ制御基板58に出力される(S4)。演出初期出目は、パチンコ機1の電源投入直後に表示される演出図柄28A〜28Cの図柄組合せである。本実施形態では、複数スペック毎に異なる演出初期出目が予め割り振られており、実装スペックに対応する演出初期出目がROM53に予め記憶されている。例えば演出初期出目は、演出図柄28A〜28Cが「はずれ」を示す図柄組合せ(具体的には、演出図柄28A〜28Cの全てが同一の候補図柄とならない図柄組合せ)である。S4では、ROM53に記憶されている演出初期出目が初期出目指定コマンドに設定されて、サブ制御基板58に出力される。後述するようにCPU581は、初期出目指定コマンドで指示された演出初期出目で、演出図柄28A〜28Cを表示制御可能である。
【0049】
図8を参照して、本実施形態の初期出目指定コマンドのコマンド構成を示す。初期出目指定コマンドのコマンド構成は、パチンコ機1の全スペックに共通である。但し、初期出目指定コマンドが指定する演出初期出目(後述の「中表示図柄」および「左右表示図柄」の組合せ)は、実装スペックに応じて異なる。
【0050】
図8(A)に示すように、本実施形態の初期出目指定コマンドは、2バイト構成のコマンドであり、1バイト(8ビット)の先行コマンドと、1バイト(8ビット)の後続コマンドとを含む。先行コマンドは、最上位のビット7が固定値「1」であるため、16進数で「80」〜「FF」の範囲内の数値を表現可能である。本例の先行コマンドは、コマンド種別として、上位4ビット(ビット4〜7)の数値「A」と下位4ビット(ビット0〜3)の数値「0」から成るスペック「A0」を示す。
【0051】
後続コマンドは、最上位のビット7が固定値「0」であるため、16進数で「00」〜「7F」の範囲内の数値を表現可能である。上位4ビットの残り3ビット(ビット4〜6)は、中表示図柄(演出図柄28B)の初期出目を示す。下位4ビット(ビット0〜3)のうち、最上位のビット3は未使用であるため初期値「0」が設定されており、残り3ビット(ビット0〜2)は左右表示図柄(演出図柄28A、28C)の初期出目を示す。
【0052】
図8(B)に示すように、後続コマンドのビット4〜6は、最大8パターンの初期出目の何れかを指示可能であり、本実施形態では「1」〜「7」の何れかを示す。後続コマンドのビット0〜2は、最大8パターンの初期出目の何れかを指示可能であり、本実施形態では「1」〜「7」の何れかを示す。例えば、ROM53に記憶されている演出初期出目が「171」である場合、ビット4〜6は数値「7」を示し、ビット0〜2は数値「1」を示すため、後続コマンドは16進数「71」で表される。
【0053】
次いで、演出図柄28A〜28Cの報知種別を指示する演出図柄指定コマンドが、主基板41からサブ制御基板58に出力される(S5)。報知種別は、サブ制御基板58側で演出図柄28A〜28Cの出目を決定するための情報(例えば、後述の特図種別、図柄種別など)である。本実施形態では、実装スペックおよびそれに対応する報知種別が、ROM53に予め記憶されている。S5では、ROM53に記憶されている報知種別のうち、大当たり判定結果に対応する報知種別を指示する演出図柄指定コマンドが、サブ制御基板58に出力される。後述するようにCPU581は、演出図柄指定コマンドで指示された報知種別に対応する出目で、演出図柄28A〜28Cを表示制御可能である。
【0054】
図9を参照して、本実施形態の演出図柄指定コマンドのコマンド構成を示す。演出図柄指定コマンドは、パチンコ機1の実装スペックに応じて予め定義されている。
図9は、実装スペック「A1」のコマンド構成を例示する。
【0055】
図9(A)に示すように、本実施形態の演出図柄指定コマンドは、初期出目指定コマンドと同様に2バイト構成のコマンドであり、1バイト(8ビット)の先行コマンドと、1バイト(8ビット)の後続コマンドとを含む。先行コマンドは、最上位のビット7が固定値「1」であるため、16進数で「80」〜「FF」の範囲内の数値を表現可能である。後続コマンドは、最上位のビット7が固定値「0」であるため、16進数で「00」〜「7F」の範囲内の数値を表現可能である。但し、演出図柄指定コマンドが示す情報は、パチンコ機1の実装スペックに応じて異なる。
図9(A)に示す先行コマンドは、コマンド種別として、上位4ビット(ビット4〜7)の数値「A」と下位4ビット(ビット0〜3)の数値「1」から成るスペック「A1」を示す。
【0056】
図9(B)に示すように、後続コマンドのビット6は、特図種別として「特
図1」または「特
図2」を示す。後続コマンドのビット0〜3は、最大15パターンの図柄種別(即ち、大当たり判定の結果)の何れかを指示可能であり、本実施形態では「はずれ」、「8R通常」、「8R確変」、「16R確変」の何れかを示す。例えば、第一特別図柄の大当たり判定結果が「16R確変」である場合、ビット6の数値「0」は特図種別「特
図1」を示し、ビット0〜3の数値「4」は図柄種別「16R確変」を示すため、後続コマンドは16進数「04」で表される。
【0057】
本実施形態では、演出図柄指定コマンドは、特別図柄の表示制御に対応してサブ制御基板58に出力される。先述のS2で第一特別図柄および第二特別図柄が何れも「はずれ」で表示制御される場合、CPU51はS5において、第一特別図柄の「はずれ」に対応する演出図柄指定コマンド(先行コマンド「A1」および後続コマンド「01」)と、第二特別図柄の「はずれ」に対応する演出図柄指定コマンド(先行コマンド「A1」および後続コマンド「41」)とを、サブ制御基板58に出力する。一方、先述のS2で第一特別図柄が「16R確変」および第二特別図柄が「はずれ」で表示制御される場合、CPU51はS5において、第一特別図柄の「16R確変」に対応する演出図柄指定コマンド(先行コマンド「A1」および後続コマンド「04」)と、第二特別図柄の「はずれ」に対応する演出図柄指定コマンドとを、サブ制御基板58に出力する。以上により電源投入時処理が終了して、後述のメイン処理が開始される。
【0058】
図10は比較例として、
図9とは異なる実装スペック「A2」の演出図柄指定コマンドのコマンド構成を示す。実装スペック「A2」のパチンコ機1は、スペック「A1」と同一機種であるが、先述の転落抽選が実行される点と、大当たり種別として「4R通常」、「4R確変」、「8R通常」、「8R確変」、「16R通常」、「16R確変」を有する点が、スペック「A1」と異なる。
図10(A)に示す先行コマンドは、コマンド種別として、上位4ビットの数値「A」と下位4ビットの数値「2」から成るスペック「A2」を示す。
図10(B)に示すように、後続コマンドは報知種別として、ビット6で特図種別を示し、ビット5で転落有無を示し、ビット0〜3で図柄種別を示す。
【0059】
例えば実装スペック「A2」のパチンコ機1では、電源投入時処理(
図7参照)のS1〜S3が、実装スペック「A1」の場合と同じ処理が実行される。電源投入時処理(
図7参照)のS4では、ROM53に記憶されている実装スペック「A2」の演出初期出目が「212」である場合、先行コマンド「A0」および後続コマンド「12」の初期出目指定コマンドが出力される。
【0060】
電源投入時処理(
図7参照)のS5では、S2で第一特別図柄および第二特別図柄が何れも「はずれ」で表示制御される場合、第一特別図柄の「はずれ」に対応する演出図柄指定コマンド(先行コマンド「A2」および後続コマンド「01」)と、第二特別図柄の「はずれ」に対応する演出図柄指定コマンド(先行コマンド「A2」および後続コマンド「41」)とが、サブ制御基板58に出力される。一方、S2で第一特別図柄が「8R通常」および第二特別図柄が「はずれ」で表示制御される場合、第一特別図柄の「8R通常」に対応する演出図柄指定コマンド(先行コマンド「A2」および後続コマンド「04」)と、第二特別図柄の「はずれ」に対応する演出図柄指定コマンドとが、サブ制御基板58に出力される。
【0061】
本実施形態では、例えばスペック「A1」における第一特別図柄の「16R確変」(
図9参照)と、スペック「A2」における第一特別図柄の「8R通常」(
図10参照)とは、何れも同じ後続コマンド「04」となる。このような場合も、サブ制御基板58は先行コマンドが示す実装スペックに基づいて、報知種別に対応する演出図柄28A〜28Cの図柄組合せを適切に決定および表示できるが、詳細は後述する。
【0062】
図11に示すように、メイン処理が開始されると、まず、コマンド出力処理が行われる(S10)。コマンド出力処理では、制御コマンドが、サブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47等に出力される。ここで出力される制御コマンドは、前回実施されたメイン処理においてRAM52に記憶された制御コマンドである。
【0063】
次いで、スイッチ読込処理が行われる(S11)。詳細は後述するが、スイッチ読込処理では、普通図柄作動ゲート12、各入賞口に設けられた各スイッチ(
図3参照)の検出結果から、遊技球を検知するための処理が行われる。
【0064】
次いで、カウンタ更新処理が行われる(S12)。カウンタ更新処理では、RAM52に記憶されている乱数取得カウンタの値が加算され、且つ、特別図柄の変動時間を計測するためのタイマカウンタである特別図柄変動時間カウンタの値が減算される。
【0065】
次いで、特別電動役物処理が行われる(S13)。特別電動役物処理では、大当たり遊技の動作(主に大入賞口16の開閉部材の開閉動作)を制御するための処理と、大当たり遊技終了後に生起される遊技状態に関する処理とが行われる。本実施形態では、通常状態において大当たりと判定された場合においては、大当たり種別が「8R確変」および「16R確変」の場合、後述の確率変動フラグおよび時短フラグが、大当たり遊技終了後に「ON」とされる。また、大当たり種別が「8R通常」の場合には、時短フラグが大当たり遊技終了後に「ON」とされる。なお、大当たり遊技におけるラウンド数は、後述する特別図柄処理において、大当たり種別に応じて決定される。本実施形態では、大当たり遊技の各ラウンドにおいて、大入賞口16が最大開放時間29秒で開放される。そして、一旦開放された大入賞口16は、最大開放時間の経過、および9個の遊技球の入賞の何れかの条件が満たされると閉鎖される。
【0066】
次いで、特別図柄処理が行われる(S14)。詳細は後述するが、特別図柄処理では、大当たり判定、変動パターンの決定、特別図柄の決定、および遊技状態の移行処理等が行われる(
図12〜
図14参照)。
【0067】
次いで、普通電動役物処理が行われる(S15)。普通電動役物処理では、普通当たり遊技の動作(主に第二始動口15の開閉部材の開閉動作)を制御するための処理が行われる。CPU51は、時短状態中に普通当たりと判定された場合、第二始動口15の開閉部材を、非時短状態中よりも長く開放させる。なお、CPU51は、時短フラグが「ON」とされていれば、時短状態中であると判断する。
【0068】
次いで、普通図柄処理が行われる(S16)。普通図柄処理では、普通図柄作動スイッチ74が遊技球を検出することを契機として、普通当たり乱数が取得される。取得された乱数に基づいて、普通当たり判定、普通図柄の変動を制御するためのコマンドの記憶等の処理が行われる。前述したように、普通当たり判定は、時短状態が生起されているか否かに応じて、夫々の確率(99/100または4/100)で判定される。
【0069】
次いで、払出処理(S17)、エラーチェック(S18)、および情報出力処理(S19)が行われる。払出処理では、賞球の払い出しが制御される。エラーチェックでは、エラーが発生している場合に、表示画面28およびスピーカ48等を用いてエラーが報知される。情報出力処理では、遊技場管理用コンピュータ(図示略)に各種の情報が出力される。
【0070】
図12から
図14を参照して、特別図柄処理(S14、
図11参照)の詳細について説明する。まず、特別図柄処理で使用されるフラグについて説明する。RAM52には、大当たり遊技状態フラグ、特別図柄表示状態フラグ、確率変動フラグ、時短フラグ等が記憶されている。大当たり遊技状態フラグは、大当たり遊技中に「1」が記憶されて「ON」となり、大当たり遊技中でない場合には「0」が記憶されて「OFF」となる。特別図柄表示状態フラグは、第一特別図柄および第二特別図柄の何れか一方が変動している場合(変動中)に「1」、何れか一方が停止表示されている場合(停止表示中)に「2」、何れも変動中でも停止表示中でもない場合に「0」が記憶される。確率変動フラグは、確率変動状態中に「1」が記憶されて「ON」となる。時短フラグは、時短状態中に「1」が記憶されて「ON」となる。
【0071】
図11に示すように、特別図柄処理が開始されると、第一始動口14に遊技球が入賞しているか否かが判断される(S41)。第一始動口14に設けられた第一始動口スイッチ72が遊技球の入賞を検出すると、メイン処理のスイッチ読込処理(S11、
図11参照)において、第一始動口スイッチ72に対応するフラグ(第一始動口フラグ)が「ON」となる。第一始動口フラグが「ON」でない場合には、遊技球が入賞していないと判断されて(S41:NO)、処理はS51の判断へ移行する。第一始動口14に遊技球が入賞していれば(S41:YES)、第一保留球数が「4」であるか否かが判断される(S42)。RAM52に記憶されている第一保留球数が「4」であれば(S42:YES)、記憶可能な保留球の数が上限に達しているため、処理はS51の判断へ移行する。
【0072】
第一保留球数が「4」でない場合には(S42:NO)、RAM52に記憶されている第一保留球数に「1」が加算される(S43)。次いで、各種乱数が取得され、第一大当たり関係情報記憶エリア(
図4参照)における空の記憶エリアのうち、番号が最も小さい記憶エリアに記憶される(S45)。具体的には、第一大当たり乱数欄には第一大当たり判定カウンタの値(第一大当たり乱数)が、第一特別図柄決定乱数欄には第一特別図柄決定カウンタの値(第一特別図柄決定乱数)が、第一変動パターン決定乱数欄には第一変動パターン決定カウンタの値(第一変動パターン決定乱数)が記憶される。
【0073】
次いで、第二始動口15に遊技球が入賞しているか否かが判断される(S51)。第二始動口15に設けられた第二始動口スイッチ73が遊技球の入賞を検出すると、メイン処理のスイッチ読込処理(S11、
図11参照)において、第二始動口スイッチ73に対応するフラグ(第二始動口フラグ)が「ON」となる。第二始動口フラグが「ON」でない場合には、遊技球が入賞していないと判断されて(S51:NO)、処理はS61(
図13参照)の判断へ移行する。第二始動口15に遊技球が入賞していれば(S51:YES)、第二保留球数が「4」であるか否かが判断される(S52)。RAM52に記憶されている第二保留球数が「4」であれば(S52:YES)、記憶可能な保留球の数が上限に達しているため、処理はS61の判断へ移行する。
【0074】
第二保留球数が「4」でない場合には(S52:NO)、RAM52に記憶されている第二保留球数に「1」が加算される(S53)。次いで、各種乱数が取得され、第二大当たり関係情報記憶エリア(図示せず)における空の記憶エリアのうち、番号が最も小さい記憶エリアに記憶される(S55)。具体的には、第二大当たり乱数欄には第二大当たり判定カウンタの値(第二大当たり乱数)、第二特別図柄決定カウンタの値(第二特別図柄決定乱数)、第二変動パターン決定カウンタの値(第二変動パターン決定乱数)が夫々記憶される。その後、処理はS61の判断へ移行する。
【0075】
次いで、
図13に示すように、大当たり遊技状態であるか否かが判断される(S61)。大当たり遊技状態フラグが「ON」である場合、大当たり遊技状態中であると判断されて(S61:YES)、処理はメイン処理へ戻る。大当たり遊技状態フラグが「OFF」である場合、大当たり遊技状態中でないと判断されて(S61:NO)、第一特別図柄および第二特別図柄の何れかが変動中であるか否かが判断される(S62)。特別図柄表示状態フラグが「1」でない場合には、何れも変動中でないと判断されて(S62:NO)、第一特別図柄および第二特別図柄の何れかが停止状態中であるか否かが判断される(S63)。特別図柄表示状態フラグが「2」でない場合は、何れも停止表示中でないと判断されて(S63:NO)、処理はS71(
図14参照)へ移行し、大当たり判定等の処理が行われる。
【0076】
本実施形態では、大当たり判定において、第二大当り判定が第一大当たり判定よりも優先して行われる。
図14に示すように、まず、第二保留球数が「1」以上であるか否かが判断される(S71)。RAM52に記憶されている第二保留球数が「1」以上である場合には(S71:YES)、第二大当り判定が行われるが、詳細は後述する。第二保留球数が「0」である場合には(S71:NO)、第一保留球数が「1」以上であるか否かが判断される(S72)。RAM52に記憶されている第一保留球数が「0」であれば(S72:NO)、処理はメイン処理へ戻る。
【0077】
第一保留球数が「1」以上である場合には(S72:YES)、RAM52に記憶されている第一保留球数が「1」減算される(S73)。第一大当たり関係情報記憶エリア(
図4参照)の判定エリアが、次の番号の記憶エリアにシフトされる(S75)。次いで、確率変動状態であるか否かに応じた第一大当たり判定が行われる(S76)。S76では、確率変動フラグの状態を参照して、現時点において確率変動状態が生起されているか否かが特定される。確率変動状態が生起されているか否かが特定された結果に対応して、前述の低確率判定テーブルまたは高確率判定テーブルが選択される。選択された低確率判定テーブルまたは高確率判定テーブルが参照されて、S75でシフトされた判定エリアに記憶されている第一大当たり乱数が「大当たり」および「はずれ」の何れに対応するかが判定される。これにより、RAM52に記憶された未判定の第一大当たり乱数に基づく第一大当たり判定が、第一大当たり乱数の記憶された順に行われる。
【0078】
次いで、第一大当たり判定の結果が大当たりであるか否かが判断される(S77)。第一大当たり判定の結果が大当たりの場合(S77:YES)、大当たりであることを示す第一特別図柄が決定される(S78)。具体的には、特別図柄決定テーブル(
図5参照)が参照されて、S75でシフトされた判定エリアに記憶されている大当たり乱数と同時に取得された第一特別図柄決定乱数の値に対応する第一特別図柄が決定される。また、決定された第一特別図柄に応じた大当たり種別が決定される(S79)。その後、処理はS111へ移行する。第一大当たり判定の結果がはずれの場合(S77:NO)、はずれであることを示す所定の第一特別図柄が決定されて(S80)、処理はS111へ移行する。
【0079】
また、第二大当り判定では、まず第二保留球数が「1」減算される(S93)。第二大当たり関係情報記憶エリアの判定エリアが、次の番号の記憶エリアにシフトされる(S95)。次いで、確率変動状態であるか否かに応じた第二大当たり判定が行われる(S96)。S96では、確率変動フラグの状態を参照して、現時点において確率変動状態が生起されているか否かが特定される。確率変動状態が生起されているか否かが特定された結果に対応して、前述の低確率判定テーブルまたは高確率判定テーブルが選択される。選択された低確率判定テーブルまたは高確率判定テーブルが参照されて、S95でシフトされた判定エリアに記憶されている第二大当たり乱数が「大当たり」および「はずれ」の何れに対応するかが判定される。これにより、RAM52に記憶された未判定の第二大当たり乱数に基づく第二大当たり判定が、第二大当たり乱数の記憶された順に行われる。
【0080】
次いで、第二大当たり判定の結果が大当たりであるか否かが判断される(S97)。第二大当たり判定の結果が大当たりの場合(S97:YES)、大当たりであることを示す第二特別図柄が決定される(S98)。具体的には、特別図柄決定テーブル(
図5参照)が参照されて、S95でシフトされた判定エリアに記憶されている大当たり乱数と同時に取得された第二特別図柄決定乱数の値に対応する第二特別図柄が決定される。また、決定された第二特別図柄に応じた大当たり種別が決定される(S99)。その後、処理はS111へ移行する。第一大当たり判定の結果がはずれの場合(S97:NO)、はずれであることを示す所定の第二特別図柄が決定されて(S100)、処理はS111へ移行する。
【0081】
次いで、変動パターン決定処理が行われる(S111)。変動パターン決定処理は、第一特別図柄および第二特別図柄の変動パターンを決定する処理である。変動パターン決定処理では、ROM53に記憶されている変動パターン決定テーブル(
図6参照)のうち、大当たり判定が第一大当たり判定および第二大当たり判定の何れであるか、大当たり判定時の遊技状態(通常状態、確率変動時短状態、または非確率変動時短状態)および大当たり判定の結果(大当たりまたははずれ)に応じたテーブルが参照されて、第一特別図柄および第二特別図柄の変動パターンが決定される。
【0082】
変動パターンが決定されると、決定された変動パターンを指定するための変動パターン指定コマンドがRAM52に記憶される(S112)。変動パターン指定コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、
図11参照)において、サブ制御基板58に送信される。決定された変動パターンに応じて決められている第一特別図柄または第二特別図柄の変動時間が、特別図柄変動時間カウンタにセットされる(S113)。第一特別図柄および第二特別図柄の何れかが変動中であることを示す「1」が特別図柄表示状態フラグに記憶される(S114)。
【0083】
次いで、演出図柄指定コマンドがRAM52に記憶される(S115)。S115で記憶される演出図柄指定コマンドは、
図9と同じ構成である。詳細には、S79が実行された場合、特図種別「特
図1」および図柄種別「S79で決定された大当たり種別」を示す演出図柄指定コマンド(先行コマンド「A1」および後続コマンド「02」〜「04」の何れか)が記憶される。S80が実行された場合、特図種別「特
図1」および図柄種別「はずれ」を示す演出図柄指定コマンド(先行コマンド「A1」および後続コマンド「01」)が記憶される。S99が実行された場合、特図種別「特
図2」および図柄種別「S99で決定された大当たり種別」を示す演出図柄指定コマンド(先行コマンド「A1」および後続コマンド「42」〜「44」の何れか)が記憶される。S100が実行された場合、特図種別「特
図2」および図柄種別「はずれ」を示す演出図柄指定コマンド(先行コマンド「A1」および後続コマンド「41」)が記憶される。演出図柄指定コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、
図11参照)において、サブ制御基板58に送信される。その後、処理はメイン処理へ戻る。
【0084】
また、
図13に示すS62の判断において、特別図柄表示状態フラグに「1」が記憶されている場合には、第一特別図柄および第二特別図柄の何れかが変動中であると判断され(S62:YES)、変動時間が経過したか否かが判断される(S121)。S113(
図14参照)の処理においてセットされた特別図柄変動時間カウンタの値が「0」となっている場合には、変動時間が経過したと判断され(S121:YES)、RAM52に特別図柄停止コマンドが記憶される(S122)。このコマンドは、コマンド出力処理(S10、
図11参照)によって中継基板47およびサブ制御基板58に送信され、第一特別図柄または第二特別図柄、および演出図柄28A〜28Cの変動停止を指示する。次いで、所定の特別図柄停止表示時間(本実施形態では0.8秒)が特別図柄停止時間カウンタに記憶される(S123)。第一特別図柄および第二特別図柄の何れかが停止表示中であることを示す「2」が特別図柄表示状態フラグに記憶される(S124)。その後、第一始動口フラグおよび第二始動口フラグのうち「ON」となっているものが「OFF」とされて(S125)、処理はメイン処理へ戻る。一方、S101の判断において、変動時間がまだ経過していないと判断された場合には(S121:NO)、処理はメイン処理へ戻る。
【0085】
また、S113の判断において、特別図柄表示状態フラグに「2」が記憶されている場合(S63:YES)、S122においてセットされた特別図柄停止時間カウンタの値によって、停止表示時間が経過したか否かが判断される(S126)。特別図柄停止時間カウンタの値が「0」でない場合には、停止表示時間がまだ経過していないと判断され(S126:NO)、処理はメイン処理へ戻る。停止表示時間が経過した場合には(S126:YES)、第一特別図柄および第二特別図柄の何れもが変動中でも停止表示中でもないことを示す「0」が、特別図柄表示状態フラグに記憶される(S127)。次いで、遊技状態移行処理が行われて(S128)、処理はメイン処理へ戻る。
【0086】
なお、遊技状態移行処理では、大当たりと判定された場合に遊技を大当たり遊技へ移行させるためのフラグの制御と、所定の終了条件が成立した場合に時短状態および確率変動状態を終了させるためのフラグの制御とが行われる。詳細には、大当たり判定の結果が大当たりである場合に大当たり遊技状態フラグが「ON」となり、遊技状態が大当たり遊技状態へ移行される。この場合、大当たり遊技を開始することを示す大当たり遊技開始コマンドがRAM52に記憶され、コマンド出力処理(S10、
図11参照)によってサブ制御基板58に送信される。なお、大当たり遊技中は、遊技状態が通常状態へ移行する。また、時短状態および確率変動状態の終了条件が満たされていれば、これらの遊技状態が終了し、遊技状態は非時短状態および非確率変動状態へ移行する。
【0087】
図15を参照して、サブ制御基板58が実行するサブ制御基板処理について説明する。サブ制御基板処理では、主基板41から送信されるコマンドに従って、表示画面28、スピーカ48等による演出を制御する処理が行われる。特に、サブ制御基板処理では、大当たり判定の結果を報知するための報知演出が制御される。サブ制御基板処理は、ROM583に記憶されているプログラムに従って、CPU581において実行される。なおサブ制御基板処理では、主基板41から演出開始コマンド(S3、
図7参照)を受信すると、先述したようにリセット操作又は復電操作に応じて遊技演出を開始する。
【0088】
図15に示すように、サブ制御基板処理が開始されると、主基板41から初期出目指定コマンドを受信したか否かが判断される(S201)。S201では、受信コマンドの先行コマンドがコマンド種別「A0」を示す場合、初期出目指定コマンドを受信したと判断される。初期出目指定コマンドを受信していない場合(S201:NO)、処理はS211の判断へ移行する。
【0089】
初期出目指定コマンドを受信した場合(S201:YES)、主基板41から演出図柄指定コマンドを受信したか否かが判断される(S202)。S202では、受信コマンドの先行コマンドがコマンド種別「A1」〜「A4」の何れかを示す場合、演出図柄指定コマンドを受信したと判断される(S202:YES)。この場合、受信した演出図柄指定コマンドの図柄種別が「大当たり」であるか否かが判断される(S203)。本実施形態では、演出図柄指定コマンドの図柄種別が「はずれ」である場合は、図柄種別が「大当たり」でないと判断される(S203:NO)。この場合、受信した初期出目指定コマンドが指示する演出初期出目が停止表示される(S204)。その後、処理はS211の判断へ移行する。
【0090】
本実施形態では、サブ制御基板58のROM583に、図示外の演出出目決定テーブルおよび演出初期出目テーブルが記憶されている。演出出目決定テーブルには、パチンコ機1と同一機種の全スペック「A1」〜「A4」の各々について、演出図柄指定コマンドの後続コマンドが示す数値に対応する報知種別が定義されている。例えば、スペック「A1」の演出出目決定テーブルには、演出図柄指定コマンドの後続コマンドのうちで、ビット6の数値に対応する特別図柄と、ビット0〜3の数値に対応する図柄種別が定義されている。先述のS203では、受信した演出図柄指定コマンドの先行コマンドが示すスペック「A1」の演出出目決定テーブルを参照し、演出図柄指定コマンドの後続コマンドに対応する図柄種別が「大当たり」(8R通常、8R確変、16R確変の何れか)であるか否かが判断される。
【0091】
また、演出初期出目テーブルには、初期出目指定コマンドの後続コマンドが示す数値に対応する演出初期出目が、パチンコ機1の実装スペックに関係なく共通に定義されている。換言するとサブ制御基板58には、パチンコ機1の各スペック(実装スペックを含む)に固有の演出初期出目が予め設定されていない。例えば、演出初期出目テーブルには、初期出目指定コマンドの後続コマンドのうちで、ビット4〜6の数値に対応する中表示図柄「1」〜「7」と、ビット0〜3の数値に対応する左右表示図柄「1」〜「7」とが定義されている。先述のS204では、受信した初期出目指定コマンドの後続コマンドに対応する「中表示図柄」および「左右表示図柄」を、演出初期出目テーブルを参照して特定する。CPU581は、演出制御基板43を介して表示画面28を制御することで、特定した「中表示図柄」を演出図柄28Bに表示させ、特定した「左右表示図柄」を演出図柄28A、28Cに表示させる。
【0092】
先述したとおり、本実施形態では先述のリセット操作によって電源投入された場合、第一特別図柄および第二特別図柄に夫々対応する「はずれ」の演出図柄指定コマンドが、サブ制御基板58に出力される(S5、
図7)。また、各特別図柄が何れも「はずれ」の表示状態で電源が落ちた場合や先述のはずれ変動中に電源が落ちた場合に、復電操作によって電源投入されたときも、上記と同様に「はずれ」の演出図柄指定コマンドがサブ制御基板58に出力される。このような場合、スペック「A1」の演出出目決定テーブルに基づいて、各演出図柄指定コマンドが何れも図柄種別「はずれ」であることが特定されて、初期出目指定コマンドで指定された演出初期出目「171」が表示される(S201:YES、S202:YES、S203:NO、S204)。なお、先述したように、はずれ変動中に電源が落ちた後に復電操作された場合には、復電後に演出図柄28A〜28Cが残り変動時間分を変動表示されたタイミングで、はずれに対応する演出初期出目「171」で停止表示される。
【0093】
演出図柄指定コマンドを受信していない場合(S202:NO)、処理はS204に移行し、初期出目指定コマンドで指定された演出初期出目が表示される。例えば、パチンコ機1が電源投入された場合、主基板41とサブ制御基板58との通信エラーによって、演出図柄指定コマンドがサブ制御基板58に受信されない場合がある。CPU581は、パチンコ機1の電源投入直後に演出図柄指定コマンドが受信されていない場合も、初期出目指定コマンドで指定された演出初期出目を表示させる(S201:YES、S202:NO、S204)。
【0094】
演出図柄指定コマンドの図柄種別が「大当たり」である場合(S203:YES)、演出図柄28A〜28Cが受信済みの初期出目指定コマンドに関係なく、演出図柄指定コマンドに対応する図柄組合せで停止表示される(S205)。本実施形態では、先述したように大当たり遊技中や当たり変動中などに電源が落ちた場合に、先述の復電操作によって電源投入されると、「大当たり」の演出図柄指定コマンドがサブ制御基板58に出力される(S5、
図7)。この場合、スペック「A1」の演出出目決定テーブルに基づいて、各演出図柄指定コマンドの何れかが図柄種別「大当たり」であることが特定される(S203:YES)。
【0095】
更に、先述の演出出目決定テーブルには、パチンコ機1と同一機種の全スペック「A1」〜「A4」の各々について、報知種別に対応する演出図柄28A〜28Cの図柄組合せが定義されている。例えば、スペック「A1」の演出出目決定テーブルには、図柄種別「16R確変」および「8R確変」には複数の奇数ゾロ目(777等)が定義され、図柄種別「8R通常」には複数の偶数ゾロ目(222等)が定義され、図柄種別「はずれ」にはゾロ目以外の図柄組合せ(156等)が定義されている。なお、特図種別「特
図1」および「特
図2」の夫々に対応して、同じ図柄種別に異なる図柄組合せが定義されてもよい。
【0096】
例えば先述のS205では、受信した演出図柄指定コマンドの先行コマンドが示すスペック「A1」の演出出目決定テーブルを参照し、演出図柄指定コマンドの後続コマンドに基づいて、図柄種別「16R確変」に対応する図柄組合せから例えば「777」が決定および表示される(S201:YES、S202:YES、S203:YES、S205)。なお、先述したように、当たり変動中に電源が落ちた後に復電操作された場合には、復電後に演出図柄28A〜28Cが残り変動時間分を変動表示されたタイミングで、「16R確変」に対応する図柄組合せ「777」で停止表示される。このように、先行コマンドが示す実装スペックの演出出目決定テーブルを参照して図柄組合せが決定されるため、先述したように後続コマンドが同一であっても、各々の実装スペックに応じた図柄組合せを特定できる。
【0097】
次いで、主基板41から変動パターン指定コマンドを受信したか否かが判断される(S211)。変動パターン指定コマンドを受信していない場合(S211:NO)、処理はS221の判断へ移行する。変動パターン指定コマンドを受信した場合(S211:YES)、主基板41から受信した変動パターン指定コマンドによって指定された変動パターンが、RAM582に記憶される(S212)。次いで、変動パターンに応じて報知演出が制御される(S213)。これにより、表示画面28において、演出図柄28A〜28Cの変動表示を含む報知演出が開始される。処理はS221の判断へ移行する。
【0098】
次いでS202と同様に、主基板41から演出図柄指定コマンドを受信したか否かが判断される(S221)。演出図柄指定コマンドを受信していない場合(S221:NO)、処理はS231の判断へ移行する。本実施形態では、主基板41において大当たり判定が行われる毎に、各種コマンドの一つとして演出図柄指定コマンドがサブ制御基板58に出力される(S115、
図14)。このように演出図柄指定コマンドを受信した場合(S221:YES)、S205と同様の手法で、受信した演出図柄指定コマンドに対応する図柄組合せが決定される(S222)。決定された図柄組合せは、RAM582に一時記憶される。その後、処理はS231の判断へ移行する。
【0099】
次いで、主基板41から特別図柄停止コマンドを受信したか否かが判断される(S231)。特別図柄停止コマンドを受信していない場合(S231:NO)、処理はS241の判断へ移行する。特別図柄停止コマンドを受信した場合(S231:YES)、変動表示中の演出図柄28A〜28Cが、S222でRAM582に一時記憶された図柄組合せで確定表示される(S232)。このように演出図柄28A〜28Cが実装スペックおよび当選種別に応じた図柄組合せで確定表示されることで、大当たり判定の判定結果が報知されて、報知演出が終了する。その後、処理はS241の判断へ移行する。
【0100】
次いで、主基板41から大当たり遊技開始コマンドを受信したか否かが判断される(S241)。大当たり遊技開始コマンドを受信していない場合(S241:NO)、処理はS201の判断へ移行する。大当たり遊技開始コマンドを受信した場合(S241:YES)、大当たり遊技演出が実行される(S242)。大当たり遊技演出は、大当たり遊技中であることを遊技者に報知するために実行される演出である。処理はS201の判断へ移行する。
【0101】
図16を参照して、本実施形態における特別図柄および演出図柄の表示例を説明する。
図16(A)〜16(D)は、夫々、実装スペック「A1」〜「A4」の各パチンコ機1の表示画面28に表示された演出初期出目を例示する。
図16(E)は、実装スペック「A1」〜「A4」の各パチンコ機1の図柄表示部24に表示された特図初期出目を示す。本例の図柄表示部24には、先述したように第一特別図柄表示部24Aおよび第二特別図柄表示部24Bが設けられている。
【0102】
実装スペック「A1」〜「A4」の各パチンコ機1において、所定のリセット操作によって電源が投入された場合を想定する。これにより、各パチンコ機1の図柄表示部24では、第一特別図柄表示部24Aおよび第二特別図柄表示部24Bの夫々に、特図初期出目として当選種別「はずれ」に対応する表示態様「−」が表示される(S2)。このように各パチンコ機1では、実装スペックに関係なく当選種別に応じた共通の表示態様で、第一特別図柄および第二特別図柄の各々が表示制御される。
【0103】
各パチンコ機1の表示画面28では、第一特別図柄および第二特別図柄の表示制御と同期して、各パチンコ機1の実装スペックに固有の演出初期出目で、演出図柄28A〜28Cが表示制御される(S2〜S5、S201:YES、S202:YES、S203:NO、S204)。例えば、実装スペック「A1」のパチンコ機1では、演出図柄28A〜28Cが演出初期出目「171」で表示される。実装スペック「A2」のパチンコ機1では、演出図柄28A〜28Cが演出初期出目「212」で表示される。実装スペック「A3」のパチンコ機1では、演出図柄28A〜28Cが演出初期出目「363」で表示される。実装スペック「A4」のパチンコ機1では、演出図柄28A〜28Cが演出初期出目「424」で表示される。
【0104】
このように各パチンコ機1では、主基板41がサブ制御基板58に対して、実装スペックに固有の演出初期出目を表示させることができる。
図16に示す例では、所定のリセット操作による電源投入に応じて、各スペックに夫々対応する演出初期出目として、演出図柄28A〜28Cが「はずれ」を示す図柄組合せ、且つ各スペックで異なる図柄組合せで停止表示されている。
【0105】
以上説明したように、本実施形態のパチンコ機1によれば、主基板41(詳細には、CPU51)は、所定条件の成立時に実行する抽選処理(例えば、始動口入賞に基づく大当たり判定)を含んだ遊技動作を制御する。サブ制御基板58(詳細には、CPU581)は、主基板41が出力する制御コマンドに基づいて演出動作を制御する。演出装置8の表示画面28は、演出図柄28A〜28Cを表示可能であって、サブ制御基板58が制御コマンドに応じた態様で演出図柄28A〜28Cを表示制御する。主基板41は、所定の初期化条件が満たされた場合に(例えば、リセット操作または復電操作の実行時に)、主基板41が設定した演出初期出目を示す初期出目指定コマンドを、サブ制御基板58に出力する(S4)。サブ制御基板58は、サブ制御基板58に演出初期出目が設定されておらず、主基板41から出力された初期出目指定コマンドが示す演出初期出目で、演出図柄28A〜28Cを停止表示させる(S204)。
【0106】
これによれば、主基板41がサブ制御基板58に対して、演出初期出目を指定して表示させることができる。その結果、演出初期出目をサブ制御基板58に予め設定した場合と比べて、演出初期出目のパターンをより多様にすることができ、且つ演出初期出目をより柔軟に変更することが可能となる。従って、演出図柄28A〜28Cを用いて表示可能な初期出目の表示態様およびパターン数を容易に調整できる。
【0107】
また、主基板41は、同一機種のパチンコ機1に提供される複数の遊技仕様(スペック)のうち、実行対象の遊技仕様である実装スペックに応じた遊技動作を制御する。そして、初期化条件が満たされた場合に、実装スペックに対応する演出初期出目を設定して、初期出目指定コマンドをサブ制御基板58に出力する(S4)。これによれば、実装スペックに固有の演出初期出目をサブ制御基板58に予め設定することなく、主基板41がサブ制御基板58に対して、実装スペックに固有の演出初期出目を表示させることができる。
【0108】
従来の遊技機では、実装スペックに固有の演出初期出目が、サブ制御基板に予め設定されていた。そのため、例えばパチンコ機の製造販売後に同一機種の新スペックが追加された場合、新スペックのパチンコ機のサブ制御基板に、新スペックに固有の演出初期出目を設定する必要があった。その結果、同一機種のパチンコ機であっても、旧スペックと新スペックとで共通のサブ制御基板を使用できない場合があった。
【0109】
これに対し、本実施形態のパチンコ機1によれば、例えばパチンコ機の製造販売後に同一機種の新スペックが追加された場合、新スペックのパチンコ機1では主基板41からサブ制御基板58に対して、新スペックに固有の演出初期出目を指示できる。そのため、パチンコ機1では旧スペックと新スペックとで共通のサブ制御基板を使用することができるため、パチンコ機1の製造コストや製造負担を抑制することができる。
【0110】
また、図柄表示部24(第一特別図柄表示部24Aおよび第二特別図柄表示部24B)は、特別図柄(第一特別図柄および第二特別図柄)を表示可能であって、主基板41が抽選処理の結果に応じた態様で特別図柄を表示制御する。主基板41は、初期化条件が満たされた場合に、実装スペックが複数スペックで何れであるかに関わらず共通の特図初期出目で、特別図柄を停止表示させる(S2)。これによれば、主基板41は、実装スペックに関係なく複数スペックに共通の態様で、当選種別に応じて特図初期出目を表示制御できる。従って、スペックが異なる複数のパチンコ機1において、主基板41による特図初期出目を共通化できる。
【0111】
演出装置8の表示画面28は、互いに共通の候補図柄群(例えば「0」〜「9」)で構成された複数の演出図柄28A〜28Cを表示可能である。演出初期出目は、複数の演出図柄28A〜28Cの各々に停止表示させる候補図柄の組合せである。これによれば、主基板41がサブ制御基板58に対して、演出初期出目として複数の演出図柄28A〜28Cを任意の図柄組合せで停止表示させることができる。
【0112】
初期出目指定コマンドは、複数の演出図柄28A〜28Cの少なくとも一つに停止表示させる候補図柄である第一初期図柄(例えば、中表示図柄)を示す第一ビット群(後続コマンドのビット4〜6)と、複数の演出図柄28A〜28Cの残りに停止表示する候補図柄である第二初期図柄(例えば、左右表示図柄)を示す第二ビット群(後続コマンドのビット0〜2)とを一バイトに含む。これによれば、初期出目指定コマンドは、一バイトのコマンドによって、演出初期出目として複数の演出図柄28A〜28Cの図柄組合せを指示できる。
【0113】
上記実施形態において、パチンコ機1が本発明の「遊技機」に相当する。主基板41(詳細には、CPU51)が、本発明の「主制御手段」に相当する。サブ制御基板58(詳細には、CPU581)が、本発明の「サブ制御手段」に相当する。初期出目指定コマンドが、本発明の「初期化コマンド」に相当する。実装スペックが本発明の「対象仕様」に相当する。演出装置8の表示画面28が、本発明の「演出図柄表示手段」に相当する。図柄表示部24(第一特別図柄表示部24Aおよび第二特別図柄表示部24B)が、本発明の「主図柄表示手段」に相当する。第一特別図柄および第二特別図柄が、本発明の「主図柄」に相当する。特図初期出目が、本発明の「主図柄初期出目」に相当する。第一初期図柄が、本発明の「中表示図柄」に相当する。第二初期図柄が、本発明の「左右表示図柄」に相当する。
【0114】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、各種変形が可能である。例えば、本発明は、サブ制御基板が演出図柄を表示制御可能な遊技機に適用可能であるため、パチンコ機のみならず、スロット機、パチコン機、アレンジボール機などにも適用できる。表示画面28に表示される演出図柄は、3つの演出図柄に限定されず、2つの演出図柄または4つ以上の演出図柄でもよい。特別図柄の数量も限定されず、例えば特別図柄は一つでもよい。
【0115】
主基板41はサブ制御基板58に対して、実装スペックに固有の演出初期出目を指示するものに限定されず、他の属性に対応する演出初期出目を指示してもよい。例えば、主基板41はサブ制御基板58に対して、台装飾やモチーフが異なる同一機種のパチンコ機1毎に異なる演出初期出目を指示してもよい。
【0116】
初期出目指定コマンドおよび演出図柄指定コマンドは、上記実施形態に限定されず、各種変形が可能である。例えば初期出目指定コマンドおよび演出図柄指定コマンドは、先行コマンドおよび後続コマンドの2バイト構成に限定されず、1バイトまたは3バイト以上で構成されてもよい。また、演出図柄指定コマンドは、パチンコ機1のスペックに応じてコマンド情報の定義内容を自由に設定可能である。
【0117】
図17に示す変形例の初期出目指定コマンドは、
図8と同様に、先行コマンド「A0」および後続コマンドの2バイト構成であるが、後続コマンドのデータ構成が異なる。
図17(B)に示すように、後続コマンドのビット4〜6(中表示図柄)は、最大8パターンの初期出目の何れかを指示可能である。後続コマンドのビット2〜3(左表示図柄)およびビット0〜1(右表示図柄)は、夫々、最大4パターンの初期出目の何れかを指示可能である。例えば、ROM53に記憶されている演出初期出目が「312」である場合、ビット4〜6は数値「1」を示し、ビット2〜3は数値「1」を示し、ビット0〜1は数値「1」を示す。
図17に示す初期出目指定コマンドによれば、演出初期出目として停止表示させる候補図柄を、3つの演出図柄28A〜28C毎に指定できる。
【0118】
なお、上記実施形態では、電源投入時処理(
図7参照)において、特図初期出目が表示制御されるとともに(S2)、初期出目指定コマンドのみならず演出図柄指定コマンドも出力される(S4、S5)。サブ制御基板処理(
図15参照)において、サブ制御基板58に出力された初期出目指定コマンドおよび演出図柄指定コマンドに基づいて、演出初期出目が表示制御される(S201〜S205)。これにより、復電操作による電源投入時には、復電前の遊技状態に応じた特図初期出目および演出初期出目を表示可能となっている。
【0119】
これに代えて、演出図柄指定コマンドの出力(
図7のS5)が省略されてもよい。この場合、主基板41では、第一特別図柄および第二特別図柄が何れも「はずれ」の特図初期出目で表示制御され(
図7のS2)、且つサブ制御基板58ではS202、S203、S205が実行されずに、演出図柄28A〜28Cが「はずれ」の演出初期出目で表示制御されればよい(
図15のS201:YES、S204)。この例によれば、復電操作およびリセット操作の何れによる電源投入が行われた場合でも、特図初期出目および演出初期出目は何れも「はずれ」を示すため、パチンコ機1の初期出目制御が簡易となる。