特許第6941351号(P6941351)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6941351
(24)【登録日】2021年9月8日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/22 20060101AFI20210916BHJP
   B65D 47/40 20060101ALI20210916BHJP
【FI】
   B65D51/22 110
   B65D47/40 200
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-121791(P2017-121791)
(22)【出願日】2017年6月22日
(65)【公開番号】特開2019-6431(P2019-6431A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 聡
【審査官】 小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−030849(JP,A)
【文献】 特開2013−043691(JP,A)
【文献】 特開2016−008058(JP,A)
【文献】 特開2015−163525(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0011697(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/22
B65D 47/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に取り付けられる中栓と、回転することにより中栓に着脱自在なねじ式の蓋とを有し、
中栓は周囲が破断可能な弱化部で囲まれた筒状の離脱部を有し、
弱化部が破断して離脱部が中栓から離脱することにより、中栓に注出口が形成されるキャップであって、
互いに螺合するねじが中栓と蓋とに形成され、
蓋は、内部に、内外二重に配設された筒状の内側および外側保持部を有し、
蓋が閉じた状態で、中栓の離脱部が蓋の内側保持部と外側保持部との間に保持され、
離脱部の外周に第1の外周側係合部が形成され、
離脱部の内周に第1の内周側係合部が形成され、
外側保持部の内周に第2の内周側係合部が形成され、
内側保持部の外周に第2の外周側係合部が形成され、
蓋が開方向へ回転した際、第2の内周側係合部が開方向において第1の外周側係合部に係合するとともに、第2の外周側係合部が開方向において第1の内周側係合部に係合し、
蓋は打栓により中栓に装着されることを特徴とするキャップ。
【請求項2】
第1の外周側係合部と第1の内周側係合部と第2の内周側係合部と第2の外周側係合部とはそれぞれ周方向において複数形成されていることを特徴とする請求項1記載のキャップ。
【請求項3】
第1の外周側係合部は離脱部の外周面から径方向外側へ突出する突起であり、
第1の内周側係合部は離脱部の内周面から径方向内側へ突出する突起であり、
第2の内周側係合部は外側保持部の内周面から径方向内側へ突出する突起であり、
第2の外周側係合部は内側保持部の外周面から径方向外側へ突出する突起であり、
周方向において隣同士の第1の外周側係合部間に第2の内周側係合部が挿入され、
周方向において隣同士の第1の内周側係合部間に第2の外周側係合部が挿入されていることを特徴とする請求項2記載のキャップ。
【請求項4】
第1の外周側係合部は外側保持部を離脱部の径方向外側へ案内する外側案内部を有し、
第1の内周側係合部は内側保持部を離脱部の径方向内側へ案内する内側案内部を有していることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のキャップ。
【請求項5】
第1の外周側係合部と第1の内周側係合部とが周方向において交互に配置されていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のキャップ。
【請求項6】
離脱部は、円筒部と、円筒部の底部を閉鎖する閉鎖部とを有し、
第1の外周側係合部が円筒部の外周に形成され、
第1の内周側係合部が円筒部の内周に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のキャップ。
【請求項7】
閉鎖部の底面に、付着した液を集めて滴下させる勾配を設けたことを特徴とする請求項6に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部に取り付けられるキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のキャップとしては、例えば図14図15に示すように、容器101の口部102に取り付けられる中栓103と、回転することにより中栓103に着脱自在なねじ式の蓋104とを有し、中栓103は周囲が破断可能な弱化部105で囲まれた円筒状の離脱部106を有し、弱化部105が破断して離脱部106が中栓103から離脱することにより、中栓103に注出口が形成されるものがある。
【0003】
蓋104は、内部に、円筒状の保持部110を有している。図14に示すように、蓋104が閉じた状態で、中栓103の離脱部106が下方から蓋104の保持部110内に挿入されている。離脱部106の外周に複数の外周側係合部111が形成され、保持部110の内周に複数の内周側係合部112が形成されている。尚、外周側係合部111は離脱部106の外周面から径方向外側へ突出した突起であり、内周側係合部112は保持部110の内周面から径方向内側へ突出した突起である。
【0004】
これによると、蓋104を開方向Oへ回転した際、開方向Oにおいて内周側係合部112が外周側係合部111に係合し、これにより、蓋104を回転した際の回転トルクが内周側係合部112と外周側係合部111とを介して離脱部106に作用し、この回転トルクによって弱化部105が破断し、離脱部106が中栓103から離脱し、中栓103に注出口が形成される。
【0005】
尚、上記のようなキャップは例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−8058
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記の従来形式では、大きな回転トルクが離脱部106の外周側係合部111に作用した場合、離脱部106や外周側係合部111が径方向内側D2に撓んで逃げ、回転トルクが十分に離脱部106に伝えられない虞がある。
【0008】
本発明は、蓋を回転した際の回転トルクを十分に離脱部に伝えることができるキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本第1発明は、容器の口部に取り付けられる中栓と、回転することにより中栓に着脱自在なねじ式の蓋とを有し、
中栓は周囲が破断可能な弱化部で囲まれた筒状の離脱部を有し、
弱化部が破断して離脱部が中栓から離脱することにより、中栓に注出口が形成されるキャップであって、
互いに螺合するねじが中栓と蓋とに形成され、
蓋は、内部に、内外二重に配設された筒状の内側および外側保持部を有し、
蓋が閉じた状態で、中栓の離脱部が蓋の内側保持部と外側保持部との間に保持され、
離脱部の外周に第1の外周側係合部が形成され、
離脱部の内周に第1の内周側係合部が形成され、
外側保持部の内周に第2の内周側係合部が形成され、
内側保持部の外周に第2の外周側係合部が形成され、
蓋が開方向へ回転した際、第2の内周側係合部が開方向において第1の外周側係合部に係合するとともに、第2の外周側係合部が開方向において第1の内周側係合部に係合し、
蓋は打栓により中栓に装着されるものである。
【0010】
これによると、蓋を開方向へ回転した際、開方向において、第2の内周側係合部が第1の外周側係合部に係合するとともに、第2の外周側係合部が第1の内周側係合部に係合し、これにより、蓋を回転した際の回転トルクが第2の内周側係合部と第1の外周側係合部および第2の外周側係合部と第1の内周側係合部を介して離脱部に作用し、この回転トルクによって弱化部が破断する。
【0011】
この際、離脱部が蓋の内側保持部と外側保持部との間に保持されているため、大きな回転トルクが離脱部の第1の外周側および内周側係合部に作用しても、離脱部や第1の外周側係合部が径方向内側に撓んで逃げたり、或いは、離脱部や第1の内周側係合部が径方向外側に撓んで逃げたりするのを防止することができる。
【0012】
これにより、蓋を回転した際の回転トルクが十分に離脱部に伝えられて、弱化部が確実に破断され、離脱部が中栓から離脱し、中栓に注出口が形成される。
【0013】
本第2発明におけるキャップは、第1の外周側係合部と第1の内周側係合部と第2の内周側係合部と第2の外周側係合部とはそれぞれ周方向において複数形成されているものである。
【0014】
これによると、蓋を開方向へ回転した際、開方向において、複数の第2の内周側係合部が複数の第1の外周側係合部に係合するとともに、複数の第2の外周側係合部が複数の第1の内周側係合部に係合するため、開方向の力が、離脱部の外周側において複数の第1の外周側係合部に分散して作用するとともに、離脱部の内周側において複数の第1の内周側係合部に分散して作用する。このため、開方向の力がいずれかの第1の外周側係合部又は第1の内周側係合部に集中することはなく、第1の外周側係合部および第1の内周側係合部の損傷を防止することができる。
【0015】
本第3発明におけるキャップは、第1の外周側係合部は離脱部の外周面から径方向外側へ突出する突起であり、
第1の内周側係合部は離脱部の内周面から径方向内側へ突出する突起であり、
第2の内周側係合部は外側保持部の内周面から径方向内側へ突出する突起であり、
第2の外周側係合部は内側保持部の外周面から径方向外側へ突出する突起であり、
周方向において隣同士の第1の外周側係合部間に第2の内周側係合部が挿入され、
周方向において隣同士の第1の内周側係合部間に第2の外周側係合部が挿入されているものである。
【0016】
これによると、中栓に対して上方から蓋を打栓して、蓋を中栓に装着する際、蓋の第2の内周側係合部が上方から中栓の第1の外周側係合部間に挿入され、蓋の第2の外周側係合部が上方から中栓の第1の内周側係合部間に挿入されるため、蓋を無理せずにスムーズに中栓に打栓することができる。
【0017】
本第4発明におけるキャップは、第1の外周側係合部は外側保持部を離脱部の径方向外側へ案内する外側案内部を有し、
第1の内周側係合部は内側保持部を離脱部の径方向内側へ案内する内側案内部を有しているものである。
【0018】
これによると、中栓に対して上方から蓋を打栓して、蓋を中栓に装着する際、外側保持部が第1の外周側係合部の外側案内部によって離脱部の径方向外側へ案内され、内側保持部が第1の内周側係合部の内側案内部によって離脱部の径方向内側へ案内されるため、離脱部が確実に内側保持部と外側保持部との間に挿入される。
【0019】
本第5発明におけるキャップは、第1の外周側係合部と第1の内周側係合部とが周方向において交互に配置されているものである。
【0020】
これによると、蓋を開方向へ回転した際、開方向において、複数の第2の内周側係合部が複数の第1の外周側係合部に係合するとともに、複数の第2の外周側係合部が複数の第1の内周側係合部に係合する。この際、第1の外周側係合部と第1の内周側係合部とが周方向において交互に配置されているため、開方向の力が離脱部の周方向において均等に分散して作用する。これにより、開方向の力が離脱部の周方向における特定箇所に偏って集中することはなく、離脱部の変形を防止することができる。
【0021】
本第6発明におけるキャップは、離脱部は、円筒部と、円筒部の底部を閉鎖する閉鎖部とを有し、
第1の外周側係合部が円筒部の外周に形成され、
第1の内周側係合部が円筒部の内周に形成されているものである。
【0022】
これによると、未使用のキャップを容器の口部に取り付けた状態では、離脱部の円筒部の底部は閉鎖部で閉鎖されているため、容器内の液が離脱部の円筒部内に侵入するのを阻止することができる。これにより、容器内の液が離脱部の円筒部内に付着してそのまま残留するのを防止することができる。
【0023】
本第7発明におけるキャップは、閉鎖部の底面に、付着した液を集めて滴下させる勾配を設けたものである。
【0024】
これによると、未使用のキャップを容器の口部に取り付けた状態で、容器内の液が閉鎖部の底面に付着しても、付着した液は閉鎖部の底面の勾配によって集められて容器内に滴下する。これにより、閉鎖部の底面に付着する液の付着量が低減される。
【発明の効果】
【0025】
以上のように本発明によると、蓋を開方向へ回転したときの回転トルクによって弱化部を破断する際、離脱部が蓋の内側保持部と外側保持部との間に保持されているため、大きな回転トルクが離脱部の第1の外周側および内周側係合部に作用しても、離脱部や第1の外周側係合部が径方向内側に撓んで逃げたり、或いは、離脱部や第1の内周側係合部が径方向外側に撓んで逃げたりするのを防止することができる。
【0026】
これにより、蓋を回転した際の回転トルクが十分に離脱部に伝えられて、弱化部が確実に破断され、離脱部が中栓から離脱し、中栓に注出口が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施の形態におけるキャップの縦断面図である。
図2図1におけるX−X矢視図である。
図3】同、キャップの縦断面図であり、蓋を中栓に打栓する前の分離した様子を示す。
図4図3におけるX−X矢視図である。
図5】同、キャップの中栓の離脱部の一部拡大縦断面図である。
図6図5におけるX−X矢視図である。
図7】同、キャップの縦断面図であり、離脱部を中栓から離脱して開栓した様子を示す。
図8図3におけるY−Y矢視図である。
図9】同、蓋の一部拡大縦断面図である。
図10】同、キャップ内に設けられた撥音機構の拡大図である。
図11図9におけるX−X矢視図である。
図12図9におけるY−Y矢視図である。
図13】同、キャップの一部拡大横断面図であり、蓋を開方向に回して、第2の内周側係合突起が第1の外周側係合突起に係合するとともに、第2の外周側係合突起が第1の内周側係合突起に係合した様子を示す。
図14】従来のキャップの縦断面図である。
図15】同、キャップの縦断面図であり、蓋を中栓に打栓する前の分離した様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0029】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、図1に示すように、1はキャップであり、容器2の口部3に取り付けられる中栓4と、回転することにより中栓4に着脱自在なねじ式の蓋5とを有している。尚、キャップ1の軸心方向Aを上下方向とし、キャップ1の軸心36に直交する方向を径方向Bとし、軸心36を中心とする円周方向を周方向Cと定義する。
【0030】
図3図6に示すように、中栓4は、口部3に嵌められる台座部10と、台座部10上に設けられた周壁部11と、周壁部11上に設けられた円筒状の注出筒12と、周囲が薄肉の破断可能な弱化部13で囲まれた離脱部14とを有している。
【0031】
周壁部11の外周面には雄ねじ15が形成されている。また、周壁部11の上面には、上向きに突出した複数の第1閉ストッパー16と、上向きに突出した複数の突部17とが設けられている。
【0032】
離脱部14は、注出筒12の内部にあり、上部が開口した円筒部19と、円筒部19の底部を閉鎖する円形状の閉鎖部20とを有している。閉鎖部20の底面21は、中央部が下向きに膨らんだ円弧形状であり、付着した容器2内の液22を中央部に集めて滴下させる勾配を有している。
【0033】
図7に示すように、弱化部13が破断して離脱部14が中栓4から離脱することにより、注出筒12内に注出口24が形成される。
【0034】
図3図8図9に示すように、蓋5は、円形の頂板部30と、頂板部30の外周縁から垂下された円筒状のスカート部31と、内外二重に配設された円筒形状の内側および外側保持部32,33と、下部が開口した円筒形状の周筒部34と、下部が開口した円筒形状の閉止用筒部35とを有している。内側および外側保持部32,33と周筒部34と閉止用筒部35とは、スカート部31の内部にあり、軸心36を中心とする同心円状に配置されている。
【0035】
周筒部34の内周面には、中栓4の雄ねじ15に螺合する雌ねじ38と、複数の第2閉ストッパー39と、複数の撥音用突片40とが設けられている。蓋5を閉方向Sに回して中栓4に締め付けた際、第2閉ストッパー39が閉方向Sから第1閉ストッパー16の端部に当接することで、蓋5をこれ以上閉方向Sへ回すことが阻止される。
【0036】
また、蓋5を開方向O又は閉方向Sに回した際、図10に示すように、撥音用突片40の下端部が中栓4の突部17(図4参照)に当接して突部17上を周方向Cに通過する度に、音が発せられる。尚、撥音用突片40と突部17とで撥音機構が構成されている。
【0037】
図1図2に示すように、蓋5が閉じた状態で、離脱部14の円筒部19が蓋5の内側保持部32と外側保持部33との間に挟まれて保持される。
【0038】
図3図6に示すように、離脱部14の円筒部19の外周面に第1の外周側係合突起41(第1の外周側係合部の一例)が形成され、円筒部19の内周面に第1の内周側係合突起42(第1の内周側係合部の一例)が形成されている。
【0039】
第1の外周側係合突起41は、円筒部19の外周面から径方向外側へ突出しており、周方向Cにおいて所定角度(例えば90°)おきに複数個(例えば4個)形成されている。また、第1の内周側係合突起42は、円筒部19の内周面から径方向内側へ突出しており、周方向Cにおいて所定角度(例えば90°)おきに複数個(例えば4個)形成されている。
【0040】
また、第1の外周側係合突起41と第1の内周側係合突起42とは周方向Cにおいて交互に配置されている。すなわち、周方向Cにおいて隣同士の第1の外周側係合突起41の中間箇所に第1の内周側係合突起42が位置するとともに、周方向Cにおいて隣同士の第1の内周側係合突起42の中間箇所に第1の外周側係合突起41が位置している。
【0041】
第1の外周側係合突起41は、その上部に、外側保持部33を離脱部14の径方向外側D1へ案内する第1の外側案内部45を有している。第1の外側案内部45は下部ほど径方向外側D1へ傾斜している傾斜部である。尚、第1の外周側係合突起41は上端部が次第に細くなって尖っている。
【0042】
第1の内周側係合突起42は、その上部に、内側保持部32を離脱部14の径方向内側D2へ案内する第1の内側案内部46を有している。第1の内側案内部46は下部ほど径方向内側D2へ傾斜している傾斜部である。尚、第1の内周側係合突起42は上端部が次第に細くなって尖っている。
【0043】
図3図8図9図11図12に示すように、蓋5の内側保持部32の外周面に第2の外周側係合突起50(第2の外周側係合部の一例)が形成され、また、外側保持部33の内周面に第2の内周側係合突起51(第2の内周側係合部の一例)が形成されている。
【0044】
第2の外周側係合突起50は、内側保持部32の外周面から径方向外側へ突出しており、周方向Cにおいて所定角度(例えば90°)おきに複数個(例えば4個)形成されている。
【0045】
また、第2の内周側係合突起51は、外側保持部33の内周面から径方向内側へ突出しており、周方向Cにおいて所定角度(例えば90°)おきに複数個(例えば4個)形成されている。
【0046】
また、第2の外周側係合突起50と第2の内周側係合突起51とは周方向Cにおいて交互に配置されている。すなわち、周方向Cにおいて隣同士の第2の外周側係合突起50の中間箇所に第2の内周側係合突起51が位置するとともに、周方向Cにおいて隣同士の第2の内周側係合突起51の中間箇所に第2の外周側係合突起50が位置している。
【0047】
第2の外周側係合突起50は、その下部に、離脱部14の円筒部19を内側保持部32の径方向外側D1へ案内する第2の外側案内部55を有している。第2の外側案内部55は上部ほど径方向外側D1へ傾斜している傾斜部である。
【0048】
第2の内周側係合突起51は、その下部に、離脱部14の円筒部19を外側保持部33の径方向内側D2へ案内する第2の内側案内部56を有している。第2の内側案内部56は上部ほど径方向内側D2へ傾斜している傾斜部である。
【0049】
図2に示すように、周方向Cにおいて隣同士の第1の外周側係合突起41間に第2の内周側係合突起51が挿入され、周方向Cにおいて隣同士の第1の内周側係合突起42間に第2の外周側係合突起50が挿入されている。
図2に示した未使用状態から蓋5を開方向Oへ回転した際、図13に示すように、第2の内周側係合突起51が開方向Oにおいて第1の外周側係合突起41に係合するとともに、第2の外周側係合突起50が開方向Oにおいて第1の内周側係合突起42に係合する。
【0050】
以下、上記構成における作用を説明する。
【0051】
図3に示すように、蓋5を、中栓4に対して上方から下方へ打栓して、中栓4に装着する際、図2に示すように、上方から、蓋5の第2の内周側係合突起51が中栓4の周方向Cにおいて隣同士の第1の外周側係合突起41間に挿入されるとともに、蓋5の第2の外周側係合突起50が中栓4の周方向Cにおいて隣同士の第1の内周側係合突起42間に挿入される。このため、蓋5を無理せずにスムーズに中栓4に打栓することができる。
【0052】
また、上記のような打栓の際には、図5に示すように、蓋5の外側保持部33が第1の外周側係合突起41の第1の外側案内部45によって離脱部14の径方向外側D1へ案内され、内側保持部32が第1の内周側係合突起42の第1の内側案内部46によって離脱部14の径方向内側D2へ案内される。これにより、離脱部14が正確に内側保持部32と外側保持部33との間に挿入される。
【0053】
さらに、上記のような打栓の際には、図9に示すように、離脱部14の円筒部19が、第2の外周側係合突起50の第2の外側案内部55によって内側保持部32の径方向外側D1へ案内されるとともに、第2の内周側係合突起51の第2の内側案内部56によって外側保持部33の径方向内側D2へ案内される。これにより、図1に示すように、内側保持部32が正確に離脱部14の円筒部19の径方向内側D2に挿入されるとともに、外側保持部33が正確に離脱部14の円筒部19の径方向外側D1に嵌められる。
【0054】
上記打栓により蓋5を中栓4に装着した後、この未使用のキャップ1を容器2の口部3に取り付ける。この状態では、図1に示すように、離脱部14の円筒部19の底部は閉鎖部20で閉鎖されているため、容器2内の液22が離脱部14の円筒部19内に侵入するのを阻止することができる。これにより、容器2内の液22が離脱部14の円筒部19内に付着してそのまま残留するのを防止することができる。
【0055】
また、容器2内の液22が閉鎖部20の底面に付着しても、付着した液22は、図5に示すように、閉鎖部20の円弧形状の底面21の勾配によって閉鎖部20の中央部に集められ、容器2内に滴下する。これにより、閉鎖部20の底面21に付着する液22の付着量が低減される。
【0056】
その後、キャップ1を開栓して容器2内の液22を取り出すには、蓋5を開方向Oに回せばよい。この際、図13に示すように、開方向Oにおいて、複数の第2の内周側係合突起51が複数の第1の外周側係合突起41に係合するとともに、複数の第2の外周側係合突起50が複数の第1の内周側係合突起42に係合する。
【0057】
これにより、蓋5を回した際の回転トルクが第2の内周側係合突起51と第1の外周側係合突起41および第2の外周側係合突起50と第1の内周側係合突起42を介して離脱部14に作用し、この回転トルクによって弱化部13が破断する。
【0058】
この際、離脱部14の円筒部19が蓋5の内側保持部32と外側保持部33との間に挟まれて保持されているため、大きな回転トルクが離脱部14の第1の外周側および内周側係合突起41,42に作用しても、離脱部14や第1の外周側係合突起41が径方向内側に撓んで逃げたり、或いは、離脱部14や第1の内周側係合突起42が径方向外側に撓んで逃げたりするのを防止することができる。
【0059】
これにより、蓋5を回転した際の回転トルクが十分に離脱部14に伝えられて、弱化部13が確実に破断され、離脱部14が中栓4から離脱し、図7に示すように、中栓4に注出口24が形成される。
【0060】
また、上記のように蓋5を開方向Oに回して、キャップ1を開栓する際、開方向Oの力が、離脱部14の外周側において複数の第1の外周側係合突起41に分散して作用するとともに、離脱部14の内周側において複数の第1の内周側係合突起42に分散して作用する。このため、開方向Oの力がいずれかの第1の外周側係合突起41又は第1の内周側係合突起42に集中することはなく、第1の外周側係合突起41又は第1の内周側係合突起42の損傷を防止することができる。
【0061】
さらに、周方向Cにおいて隣同士の第1の外周側係合突起41の中間箇所に第1の内周側係合突起42が位置するとともに、周方向Cにおいて隣同士の第1の内周側係合突起42の中間箇所に第1の外周側係合突起41が位置するため、開方向Oの力が離脱部14の周方向Cにおいて均等に分散して作用する。これにより、開方向Oの力が離脱部14の周方向Cにおける特定箇所に偏って集中することはなく、離脱部14の変形を防止することができる。
【0062】
上記のように蓋5を開方向Oに回して離脱部14を中栓4から離脱させ、蓋5を中栓4から取り外すことにより、図7に示すように、注出筒12内に注出口24が形成されるため、容器2内の液22を注出筒12から外部に注出することができる。この際、中栓4から離脱した離脱部14は蓋5の内側保持部32と外側保持部33との間に保持される。
【0063】
その後、蓋5を閉方向Sに回して中栓4に取り付けることにより、図1に示すように、蓋5の閉止用筒部35が全周にわたって注出筒12の先端部内周に密接するため、注出口24が蓋5で閉じられる。尚、蓋5を閉方向Sに回して中栓4に締め付けた際、第2閉ストッパー39が閉方向Sから第1閉ストッパー16の端部に当接することで、蓋5をこれ以上閉方向Sへ回すことが阻止される。
【0064】
また、蓋5を閉方向S又は開方向Oに回すことにより、撥音用突片40の下端部が突部17に当接して突部17上を周方向Cに乗り越える際に、音が発生する。
【符号の説明】
【0065】
1 キャップ
2 容器
3 口部
4 中栓
5 蓋
13 弱化部
14 離脱部
19 円筒部
20 閉鎖部
21 底面
24 注出口
32 内側保持部
33 外側保持部
41 第1の外周側係合突起(第1の外周側係合部)
42 第1の内周側係合突起(第1の内周側係合部)
45 第1の外側案内部
46 第1の内側案内部
50 第2の外周側係合突起(第2の外周側係合部)
51 第2の内周側係合突起(第2の内周側係合部)
C 周方向
D1 径方向外側
D2 径方向内側
O 開方向
図1
図2
図3
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図5
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