特許第6941371号(P6941371)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヘクスロクス ウーゲーの特許一覧

<>
  • 特許6941371-安全装置 図000002
  • 特許6941371-安全装置 図000003
  • 特許6941371-安全装置 図000004
  • 特許6941371-安全装置 図000005
  • 特許6941371-安全装置 図000006
  • 特許6941371-安全装置 図000007
  • 特許6941371-安全装置 図000008
  • 特許6941371-安全装置 図000009
  • 特許6941371-安全装置 図000010
  • 特許6941371-安全装置 図000011
  • 特許6941371-安全装置 図000012
  • 特許6941371-安全装置 図000013
  • 特許6941371-安全装置 図000014
  • 特許6941371-安全装置 図000015
  • 特許6941371-安全装置 図000016
  • 特許6941371-安全装置 図000017
  • 特許6941371-安全装置 図000018
  • 特許6941371-安全装置 図000019
  • 特許6941371-安全装置 図000020
  • 特許6941371-安全装置 図000021
  • 特許6941371-安全装置 図000022
  • 特許6941371-安全装置 図000023
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6941371
(24)【登録日】2021年9月8日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】安全装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 41/00 20060101AFI20210916BHJP
   F16B 23/00 20060101ALI20210916BHJP
   B25B 27/14 20060101ALN20210916BHJP
【FI】
   F16B41/00 Z
   F16B23/00 F
   !B25B27/14 Z
【請求項の数】26
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-530192(P2018-530192)
(86)(22)【出願日】2016年8月26日
(65)【公表番号】特表2018-529059(P2018-529059A)
(43)【公表日】2018年10月4日
(86)【国際出願番号】IB2016055109
(87)【国際公開番号】WO2017033158
(87)【国際公開日】20170302
【審査請求日】2019年8月26日
(31)【優先権主張番号】2015903463
(32)【優先日】2015年8月26日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】519309038
【氏名又は名称】ヘクスロクス ウーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ベレル、イアン、パトリック
【審査官】 鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−528290(JP,A)
【文献】 特開平08−014148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 41/00
F16B 23/00
B25B 27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結具を弛緩できるように適合される第1ツールを受容するように適合された雌型ソケットを備える前記締結具用の安全プラグであり、前記第1ツールが前記雌型ソケットに係合するのを防ぐために前記雌型ソケットに挿入されるように適合されるプラグであって、該プラグは、
前記雌型ソケットに補完的な外面、
前記雌型ソケット内で前記プラグを保持する保持部材、及び
前記プラグを前記雌型ソケットから取外せるように適合される第2ツールによって係合されるように適合される少なくとも1つの取外し部分
を含み、
前記プラグと前記第2ツールの一方は、少なくとも1つの円錐形又は截頭円錐形の係合面を有する少なくとも1つの長手方向に延在する第1凹部を含み、
前記プラグと前記第2ツールの他方は、前記少なくとも1つの係合面と係合するように適合され、
それにより、前記第2ツールと前記プラグとの係合は、前記第2ツールによって前記プラグに印加される力により、前記プラグを前記雌型ソケットから前記保持部材の作用に抗して引抜き可能にする、安全プラグ。
【請求項2】
前記第2ツールによる前記プラグの係合は、前記第2ツールを少なくとも1つの取外し部分に当接させることを含む、請求項1に記載の安全プラグ。
【請求項3】
前記第2ツールによる前記プラグの係合は、前記第2ツールを少なくとも1つの取外し部分に当接させることから成る、請求項1又は請求項2に記載の安全プラグ。
【請求項4】
前記雌型ソケットは、長手方向を備え、前記第2ツールによる前記プラグの係合は、前記長手方向に共に移動することから成る、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の安全プラグ。
【請求項5】
前記プラグと前記第2ツールの一方は、少なくとも1つの長手方向に延在する第1突起を含む、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の安全プラグ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの取外し部分と前記第2ツールの他方は、前記少なくとも1つの第1突起の少なくとも1つの係合面と係合する、請求項に記載の安全プラグ。
【請求項7】
少なくとも1つの第1突起は、少なくとも1つの第1凹部内で長手方向に延在する、請求項又は請求項に記載の安全プラグ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの取外し部分は、少なくとも1つの第1係合面を含み、該少なくとも1つの第1係合面に補完的な少なくとも1つの第2面を備える第2ツールによって係合されるように適合され、それにより、前記少なくとも1つの第1面と第2面との係合は、前記第2ツールと前記プラグとの間の係合を提供して、軸方向に印加される力により、前記保持部材の作用に抗して前記雌型ソケットから前記プラグを引抜き可能にする、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の安全プラグ。
【請求項9】
少なくとも1つの第1係合面は、モールステーパ又はモールステーパに類似するテーパを備える、請求項〜請求項のいずれか一項に記載の安全プラグ。
【請求項10】
少なくとも1つの取外し部分は、前記第2ツールの補完する極と係合するための少なくとも1つの第1磁石N極及び少なくとも1つの第1磁石S極を含む、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の安全プラグ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第1磁石N極及び少なくとも1つの第1磁石S極は、等しい磁力を備え、それにより、前記少なくとも1つの取外し部分に隣接して設置される単一の磁極は、前記第1N極及びS極と、略等しい引力及び反発力を備えることになる、請求項10に記載の安全プラグ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの保持部材は、少なくとも1つの磁性部分を備える締結具と係合する少なくとも1つの磁石を含む、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の安全プラグ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの保持部材は、少なくとも1つの磁性部分を備える締結具と係合するための、少なくとも1つの第2磁石N極及び少なくとも1つの第2磁石S極を含む、請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載の安全プラグ。
【請求項14】
第2凹部、及び該第2凹部内に配置される少なくとも1つの保持部材を含む、請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載の安全プラグ。
【請求項15】
前記第2凹部は、前記第1凹部と連通する内端に第2開口部を備える、請求項14に記載の安全プラグ。
【請求項16】
前記内端と前記少なくとも1つの保持部材との間に挟まれた前記第2凹部に配置されるスペーサを含む、請求項14に記載の安全プラグ。
【請求項17】
前記スペーサは、前記開口部を通り前記第1凹部内に延在する突起を含む、請求項16に記載の安全プラグ。
【請求項18】
前記スペーサは、非磁性である、請求項16又は請求項17に記載の安全プラグ。
【請求項19】
少なくとも1つの保持部材の少なくとも一部は、前記開口部を通り前記第1凹部内に延在する、請求項15〜請求項18のいずれか一項に記載の安全プラグ。
【請求項20】
少なくとも1つの保持部材は、前記ソケットの側壁と係合する、請求項1〜請求項19のいずれか一項に記載の安全プラグ。
【請求項21】
少なくとも1つの保持部材は、少なくとも1つのネジ山の少なくとも一部を画成し、それにより、前記第2ツールによる前記プラグの回転が、前記プラグの引抜きを生じさせる、請求項1〜請求項20のいずれか一項に記載の安全プラグ。
【請求項22】
少なくとも1つの保持部材は、伸縮可能な組立体を含み、それにより、伸縮が、前記組立体の少なくとも1接触面を、前記ソケットとの係合状態に又は脱係合状態に移動させる、請求項1〜請求項21のいずれか一項に記載の安全プラグ。
【請求項23】
少なくとも1つの保持部材は、第1部分及び第2部分を含み、それにより、前記第1部分の前記第2部分に対する回転が、前記少なくとも1つの保持部材の寸法を増大させる、請求項1〜請求項22のいずれか一項に記載の安全プラグ。
【請求項24】
少なくとも1つの保持部材は、少なくとも1つの取外し部分を含む、請求項1〜請求項23のいずれか一項に記載の安全プラグ。
【請求項25】
請求項1〜請求項24のいずれか一項に記載の安全プラグと、該プラグと補完的な前記第2ツールとの組合せ。
【請求項26】
前記第1磁極と該第1磁極の補完的な磁極は、前記少なくとも1つの取外し部分と前記第2ツールに配設され、それにより、前記少なくとも1つの取外し部分の前記少なくとも1つの第1N極の少なくとも1つは、前記第2ツールの補完的なS極と整列し、前記少なくとも1つの取外し部分の前記少なくとも1つの第1S極の少なくとも1つは、前記第2ツールの補完的N極と整列するようにする、請求項10に従属する場合の請求項25に記載の組合せ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全プラグに関し、特に、ボルトが弛緩されるのを防ぐためにボルトの頭部に取着する装置に関する。特に、本発明は、ボルトの雌型凹部内で係合する装置に関する。しかしながら、本発明は、ボルト及び/又は雌型凹部だけとの使用に限定されない。
【背景技術】
【0002】
安全抑止手段は、ナット及びボルト用に存在しているが、特別な新しいボルトを必要とする、又はボルトを取外し、該ボルトに安全キャップを取付け、該ボルトを再び挿入する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ナット又はボルトを取外す必要なく、そのままでボルト又はナットに取着できる安全プラグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
広義の一形態では、本発明は、ユーザが締結具を弛緩できるように適合される第1ツールを受容するように適合された雌型ソケットを備える締結具用の安全プラグであり、第1ツールが雌型ソケットに係合するのを防ぐために雌型ソケットに挿入されるように適合されるプラグであって、該プラグは、
雌型ソケットに補完的な外面、
雌型ソケット内でプラグを保持するための少なくとも1つの保持部材、及び
少なくとも1つの第1面に補完的な少なくとも1つの第2面を備え、ユーザが前記プラグを前記雌型ソケットから取外せるように適合される第2ツールによって係合されるように適合される少なくとも1つの第1面を含み、
それにより、少なくとも1つの第1面と第2面との係合が、第2ツールとプラグとの間の係合を提供して、第2ツールによってプラグに印加される力により、プラグを雌型ソケットから少なくとも1つの保持部材の作用に抗して引抜き可能にする、安全プラグを提供する。
【0005】
広義の別の形態では、本発明は、第1ツールを受容するように適合された雌型ソケットを備える締結具用の安全プラグであり、第1ツールが雌型ソケットに係合するのを防ぐために雌型ソケットに挿入されるように適合されるプラグであって、該プラグは、
雌型ソケットに補完的な外面、
雌型ソケット内でプラグを保持するための少なくとも1つの保持部材、及び
第2ツールによって係合されるように適合される少なくとも1つの取外し部分
を含み、
それにより、第2ツールとプラグとの係合が、第2ツールによってプラグに印加される力により、プラグを雌型ソケットから保持部材の作用に抗して引抜き可能にする、安全プラグを提供する。
【0006】
印加される力は、軸方向力、回転力、及び半径方向力の1つ又は複数としてもよい。
【0007】
第1面と第2面との係合は、機械的係合としてもよい、又は磁気的係合としてもよい。
【0008】
少なくとも1つの取外し部分と第2ツールとの係合は、機械的係合としてもよい、又は磁気的係合としてもよい。
【0009】
本発明の好適な形態では、係合は、機械的又は磁気的に係合するように2つの構成要素を共に当接させることによって、生じる。
【0010】
保持部材は、磁石であるのが好ましいが、ソケットとの機械的な接続を含んでもよい。例えば、保持部材は、ソケット、好適にはソケットの側壁(複数可)に係合する少なくとも1つの突起を含んでもよい。この少なくとも1つの突起は、少なくとも1つのネジ山の少なくとも一部を画成し、それにより、第2ツールによるプラグの回転が、プラグの引抜きを生じさせてもよい。
【0011】
保持部材は、伸縮可能な保持部材又は組立体を含み、それにより、伸縮が、保持部材の少なくとも1接触面を、ソケットとの係合状態に又は脱係合状態に移動させてもよい。
【0012】
保持部材は、第1部分及び第2部分を含み、それにより、第1部分の第2部分に対する回転が、組立体の寸法を増大させてもよい。
【0013】
第1面は、円錐形又は截頭円錐形であるのが好ましい。第1面は、モールステーパ又はモールステーパに類似するテーパを備えるのがより好ましい。
【0014】
第1面は、内面又は外面としてもよい。
【0015】
プラグは、管状部分を含んでもよく、第1面は、管状部分の内面としてもよい。
【0016】
第1面は、自由端及び内端を備えてもよい。自由端は、内端の直径より大きな直径を備えてもよい。
【0017】
プラグは、プラグに対する第2ツールの位置を限定するために1つ又は複数の停止面を含んでもよい。
【0018】
第1面が、管状部分の内面の少なくとも一部によって、少なくとも部分的に画成される場合、プラグは、少なくとも1つの突起を含んでもよい。突起は、管状部分に沿って軸方向に延在してもよい。
【0019】
好適実施形態では、突起の主要部分は、円錐面及び截頭円錐面の少なくとも一方を含む。好適には、主要部分は、截頭円錐面、及び截頭円錐面から延在する円錐面を含むが、円錐面を含んでもよい。主要部分は、円錐面を含み、好適には、円錐面の頂点は、開放端に、隣接して、又は付近に、配置される。
【0020】
突起は、第1面と一体的に形成されてもよい、又は別々の構成要素として形成されてもよい。
【0021】
一実施形態では、プラグは、第1面を画成するシェル、開口部及び該開口部から離隔する内端を備える凹部、スペーサ、及び該スペーサを内端と磁石との間に挟んだ状態で凹部内に配置される磁石を含む。
【0022】
プラグは、第1面を画成する少なくとも一部の内面を有する管状部分を備えてもよい。
【0023】
管状部分は、好適には、内端に開口部を備える。スペーサは、開口部を通り管状部分内に延在する突起を含んでもよい。
【0024】
少なくとも1つの保持部材は、少なくとも1つの取外し部材としてもよい。
【0025】
一実施形態では、少なくとも1つの保持部材は、少なくとも2個の棒磁石を、該少なくとも2個の棒磁石の中の少なくとも2個が、反対の極を互いに隣接させて配設された状態で含む。
【0026】
少なくとも2個の棒磁石は、プラグ内で延在して、物理的又は磁気的に、他方の極を、取外しツールによる作用に曝してもよい。
【0027】
また、本発明は、上述のようなプラグと、プラグの第1面に補完的な第2面を備える第2ツールとの組合せも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施形態による安全プラグの斜視図である。
図2図1の安全プラグの断面斜視図である。
図3】雌型アレンキーソケットを有するボルトに取付けられた図1の安全プラグの斜視図である。
図4図3の安全プラグ及びボルトの断面斜視図である。
図5】雌型アレンキーソケットを有するボルトに取付けられた図1の安全プラグ及び取外しツールの斜視図である。
図6】雌型アレンキーソケットを有するボルトに取付けられた図1の安全プラグに関する、取外しツールが該プラグと係合された状態の斜視図である。
図7】本発明の第2実施形態による安全プラグの上方からの斜視図である。
図8図7の安全プラグの下からの斜視図である。
図9図7の安全プラグの上方からの異なる斜視図である。
図10図7の安全プラグ、該プラグと共に使用されるボルト、及び取外しツールに関する分解斜視断面図である。
図11】共に使用されるボルト内にある図7の安全プラグ及び取外しツールの斜視断面図である。
図12】共に使用されるボルトから取外した後、取外しツールに接続されている図7の安全プラグの斜視断面図である。
図13】共に使用されるボルト内にある図7の安全プラグの上方からの平面図である。
図14】共に使用されるボルト内にある図7の安全プラグの上方からの平面図であり、保持部材の可能な別の相対的位置を示している。
図15】本発明の第3実施形態による安全プラグの斜視図である。
図16図15の安全プラグの側面図である。
図17図15の安全プラグの上方からの平面図である。
図18図15の安全プラグの側断面図である。
図19】ボルトに取付けられ、取外しツールと係合された図15の安全プラグの側断面図である。
図20図19の一部の詳細図である。
図21】本発明の別の実施形態による安全プラグの斜視図である。
図22図21の安全プラグの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1図6を参照すると、本発明の一実施形態による安全プラグ10が示されている。
【0030】
プラグ10は、シェル12、磁石14、及びスパイク部材16から成る。スパイク部材16は、任意であるが、更なる安全機能を提供する。シェル12及びスパイク部材16は、非磁性とするのが好ましく、ステンレス鋼、チタン又は任意の他の適当な材料で形成されてもよい。
【0031】
この実施形態のプラグ10は、ボルト20の雌型六角アレンキーソケット18内に挿入され、ソケット18に滑り嵌めするように意図される。従って、シェル12は、ソケット18の六角形に対応する六角形の周面22を備える。
【0032】
本発明は、六角アレンキーシステムで使用することに限定されず、他の締結システムと共に使用されてもよい。他の締結システムとしては、センタピンの有無にかかわらず、通常頂点が6つの星形をした凹部を備えるもの、センタピンの有無にかかわらず、典型的に4面若しくは5面を備える他の多角形システム、又は任意の適当なソケット形を備えるものがあるが、これらに限定されない。従って、外周面22は、意図される雌型ソケットと合致するように変形されてもよい。
【0033】
シェル12は、中央スパイク付きのスペーサである中央スパイク部材16と磁石14を受容する第2凹部である下側凹部24及び上側凹部26を備える。図示された実施形態では、下側凹部24は、平面図において、一定の直径を有する円筒面28を備えるが、面28は、円形又は一定の断面形状のものである必要はない。
【0034】
截頭円錐面30は、面28から上側凹部26まで延在する。
【0035】
中央スパイク部材16は、対応する截頭円錐面32を備える。所望であれば、面30及び32は、他の形状としてもよい。例えば、面30は、平面放射状に延在する面としてもよい。
【0036】
面30は、面32より径方向内方に延在するが、これは、重要ではない。 所望であれば、面30は、面32と同程度又はそれ以上に径方向内方に延在してもよい。
【0037】
中央スパイク部材16は、面32から径方向内方に延在する環状面34を備え、中央スパイク36は、開放端46に向かい上側凹部26内へと延在する。中央スパイク36は、移行面38、第1截頭円錐面40及び頂点44で終端する円錐面42を備える。頂点44は、適切なツール以外のツールが上側凹部26に挿入されるのを防止するために、開放端46の平面近くに存在する。頂点44は、開放端46と同一平面に存在させる又は開放端46に対して若干凹んでもよいが、平面を超えて延在しないことが好ましい。
【0038】
所望であれば、中央スパイクは、別個の面40及び42を備える必要はなく、1面又は2面以上を備える必要がある。面40及び42は、断面図では、平坦であるが、これは重要ではなく、所望であれば、面40及び42は、曲線の回転面(revoltion)を含んでもよい。軸から一定距離でない面を使用することで、ペンチ等で把持するのを防止する;圧縮力を付与すると、把持ツールを頂点44の方へと追いやるであろう。
【0039】
磁石14は、例えば、接着又は圧着又は他の適当な方法の中の1つ又は複数によって等、様々な機械的方法でシェル及び/又は中央スパイク部材16に固着される。
【0040】
図示された実施形態では、磁石14は、シェルの下縁部50を超えて下方に延在する。これは、重要ではなく、磁石の底面52は、下縁部50と面一にしてもよい。
【0041】
雌型ソケットの底面54の形に応じて、磁石の底面52は、非平面を備えてもよい。一部の締結具は、底面52から開放端46に向かい延在する中央ピンを含み、それに応じて、磁石は、中央凹部又は開口部を備えてもよい。必要であれば、中央スパイク部材16は、かかるピンを受容するために凹部又は開口部を備えてもよい。かかる凹部又は開口部が設けられる場合、中央ピンと滑り嵌めする必要はない。
【0042】
磁石14の側壁56には、磁石とシェル12とを接着可能にする及び/又はシェル12を磁石14に圧着可能にするために、周方向凹部58を備えてもよい。この凹部30は、重要ではなく、省略されてもよい。所望であれば、一連の軸方向に延在するスロット又は溝が、接着剤を受容するために、磁石とシェルのどちらか又は両方に設けられてもよい。
【0043】
図示された実施形態では、シェル12は、一連の脚部60を備え、該脚部60の各端部62は、凹部58に重なり、凹部から離隔され、それにより圧着可能になっている。脚部60の湾曲は、雌型ソケット18におけるシェルの嵌合に、それほど影響しない。 脚部60は、必須ではなく、シェルは、図21及び図22で見られるように、連続した面で形成されてもよい。これは、シェルに対して小径の磁石を使用することによって、達成される。
【0044】
上側凹部26は、磁石14に向かい内方及び下方にテーパが施された截頭円錐部の内面70を備える。この面70は、モールステーパ又はモールステーパと同様なものが好ましいが、他のテーパが使用されてもよい。モールステーパは、モールステーパを有する補完的な雄雌部材が自己保持できるようにするのが好ましい。
【0045】
面70の下端部72は、面40の下端部及び/又は移行壁38より直径が大きく、そのため間隙が、下端部72とスパイク36との間に存在する。
【0046】
円錐壁面74は、六角形の外面22の上から上方且つ内方に延在する。
【0047】
使用時、安全プラグ10は、ボルトが挿入され締着された後に、ボルトの雌型ソケット18に挿入されるだけである。既存の取付けに対して、ボルトを取外す又は緩める必要は全くない。図3以降では、ボルト20は、ボルト20の外面を把持するのを防止する更なる安全スリーブ76内に配置されて示されている。スリーブ76は、本発明の一部ではない。
【0048】
プラグ10の全高は、ソケット18に完全に挿入されたときに、プラグが、少なくとも雌型六角ソケットの端部80まで、より好適には、ボルトの自由端78へと延在するようにする。雌型ソケットを有する殆どのボルトは、関連する雄型(male)ツールを雌型ソケット内へセンタリングするのを助けるために、雌型ソケットの周りに円錐壁面82を備える傾向がある。
【0049】
図4及び図6に見られるように、六角形の外面22は、雌型ソケット18の全高まで延在していない。これは、異なる深さの雌型ソケットを有するボルトに対応するためで、その場合、取付けた際に、六角形の外面22が雌型ソケット内に配置され、雌型ソケットの外に全く又は僅でも延在しないことが好ましいからである。六角形の外面22のかなりの部分が、雌型ソケット18の外に延在すれば、これは、ボルト20を回すために把持できる非球状面を提供することになるだろう。
【0050】
外側円錐面74は、雌型ソケット18の露出部分へのアクセスを妨害し、六角形のツールによる係合を防ぐ。
【0051】
雌型ソケット18に挿入されると、磁石14は、ボルト20との磁力によってボルト20内でプラグ10を保持する。このように、プラグは、通常の使用中、ソケット18から落下することはなく、また、把持し易い面を呈しないため、適切なツールなしではソケットから容易に引抜かれない。
【0052】
一旦雌型ソケットに挿入されると、プラグは、ソケット内で確実に保持される。
【0053】
プラグを取外すには、補完的なツール100が必要である。ツールは、自由端106の小径へとテーパが施された円錐外面104を有する管状部材102を備える。外面104は、面50と同じテーパを備える。管状部材102の内面108は、管状部材102が上側凹部26に挿入可能で、中央スパイク36の表面と係合する前に、外面104によって面50と係合可能にするのに十分大きなサイズにする必要があるだけである。内面108は、円筒穴としてもよい。
【0054】
使用時、管状部材102は、凹部26内に挿入される。自由端106の外径は、内端と外端間の位置110で面50の直径と同じである。従って、管状部材102は、自由端106が位置110に達するまで、挿入されてもよい。この位置で、面50と面104は、同じテーパを備えるため、重なる領域全体に亘り係合する。小さな下向きの圧力で、強制的に、面50と面104とを密着状態にする。かかるテーパ接続に伴い、雄面104は、雌面50を極僅かに拡張させ、その結果雌面50によって雄面104に印加される圧縮力が、2つの構成要素を結合させる。
【0055】
面50と面104との重なり量は、磁石14及び六角形の壁面22とソケット18との間の締付け/摩擦に打ち勝つのに十分な「把持力(grip)」を提供するように選択される。
【0056】
その後、ユーザは、管状部材100に外方へ引く力を印加して、ソケット18からプラグ10を引抜いてもよい。その結果、ソケット18は、適切なツールによって自由にアクセスできる。
【0057】
従って、プラグは、該プラグを含まないことで、補完的ツールによって、ボルトを直接弛緩又は締付け可能にする。
【0058】
上述したように、内径108は、該内径と中央スパイク36との間に隙間が存在し、中央スパイクと全く相互作用がないように寸法取りされる。
【0059】
モールステーパは、フィート当たり約5/8インチ、約20分の1のテーパを備える。異なる「規格」のモールステーパでは、このテーパに関して多少のばらつきがある。上述したように、使用されるテーパは、モールステーパ又はモールステーパに類似のものであるが、標準的なモールステーパである必要はない。その理由は、プラグ10とツール100の複数の組合せを提供するために、本発明によるプラグが、位置110に関して異なるテーパ角度及び異なる直径で作製されるからである。
【0060】
ツール100の管状部分102は、同じテーパを有する凹部26にのみ係合し、異なるテーパを有するソケットには(たとえ係合したにしても)確実に係合しないであろう。様々なテーパを設けることは、如何なるツールも不特定な(random)ソケットに嵌合する可能性が低くなることを意味する。
【0061】
また、同様に、異なる直径を設けることで、同じテーパを有するツールが、異なるサイズのソケットで使用されるのを防止できる。凹部26と共に使用するように設計された第2ツールとテーパ角度は同じだが、第2ツールより拡径の自由端106を備える第1ツールは、第2ツールより開放端近くで面50に係合することになる。従って、プラグ10とツールとの重なり量及び結果として生じる把持力は、より小さくなる。
【0062】
特定の閾値より下では、その把持機能は、プラグ10を取外し可能にしないであろう。同じテーパ角度だが、縮径の自由端106を有するツールは、凹部26内に更に挿入される可能性があるが、環状面及び/又はスパイク面は、内方への移動を制限し、テーパ面が如何なるものに係合するのを防止するであろう。面50の内端に近い位置110を選択することで、縮径の自由端106を有するツールを使用するための範囲を限定する。
【0063】
図7図13は、本発明の第2実施形態による安全プラグ200について示している。プラグ200は、第1実施形態のプラグ10と同様の外形を有するシェル202を含む。プラグは、六角形の側面204及び円錐の上面206を備える。中央の円錐スパイク208は、凹部210内で上方に延在する。シェル202は、2個の棒磁石214及び216が配置される2つの穴212を含む。棒磁石は、シェル202の底面218より外に延在しており、棒磁石の上端220及び222が、凹部210及び中央スパイク208によって形成された面と面一になるように形成されるのが好ましい。
【0064】
2個の棒磁石214及び216は、隣合う端部が反対の極を備えるように配設される。従って、磁石216の下端部224がS極で、磁石214の下端部226がN極としてもよく、一方で端部222と220は、N極とS極になる。
【0065】
プラグは、ボルト232のソケット230に嵌合し、2個の磁石214及び216の磁力によってソケット内に保持されるように寸法取りされる。
【0066】
プラグの取外しは、ツール240を必要とし、該ツール240は、2個の棒磁石242及び244を、該磁石の下端部の反対極が、支持部材246内に配置された状態で、含む。ツール240の下端部は、棒磁石242及び244が、プラグ200内の棒磁石214及び216と整列した状態でプラグに載置してもよいように、プラグ200の上端部と補完的にする。4個の磁石間の磁力は、磁石214及び216とボルト232との間の磁力より強く、そのためユーザは、図12で示されたように、ツール240をソケット230から引離すだけで、ソケット230からプラグを引抜くことができる。
【0067】
反対の極を有する磁石を使用することで、単一の磁石による取外しを防止する。
【0068】
図13は、ボルト232内にあり、磁石214及び216が、径方向に互いに対向して配設された状態のプラグ200に関する平面図を示している。しかしながら、図14で示されるように、2個の磁石は、径方向に互いに対向して配設される必要はなく、部分的に円250で示されたように、ランダムな位置に配置されてもよい。円250は、同じ半径上に存在して示されているが、2個の磁石は、中心線から同じ径方向距離に配置される必要はない。
【0069】
磁石を径方向に互いに対向する位置以外の位置に設けることで、かなり多数の組合せを提供することになり、合致する取外しツール240が必要になる。
【0070】
示された実施形態が2個の磁石を備えるのに対して、3個以上の磁石が使用されてもよく、それにより可能な組合せ数が更に増加する。
【0071】
図15図20は、本発明の第3実施形態による安全プラグ300を示している。
【0072】
安全プラグ300は、円形の外面306を有するプラグ部分304及びベース部分304より径方向に延在するキャップ部分308を有するシェル302を含む。
【0073】
プラグ部分304の直径は、ボルト312のソケット310内に嵌合するように寸法取りされる。キャップ部分308は、プラグをソケット310内に挿入する深さを限定する。
【0074】
プラグ部分304は、少なくとも1つの突起314を含む。突起314は、図面では単純な円形として示されているが、ネジ山の一部としてもよい。
【0075】
突起314は、単一の連続した突起である必要はなく、一連の突起が、1つ又は複数の環状又は螺旋状経路に沿って並んで存在してもよい。突起314は、ソケットと締まり嵌めし、従ってソケットの面に食込み、プラグをソケット内に保持する。
【0076】
プラグ300は、ソケットに挿入されると、プラグを僅かに収縮可能にするスロット316を含み、そうして、外へ向う力を突起(複数可)に提供してもよい。
【0077】
プラグ300は、上側凹部320及び中央突起318を含み、該中央突起は、図16及び図18で最もよく分かるように、キャップ部分308の最上部から上方に延在している。プラグは、中央突起318に対する槌打ち、そうでなければ打撃によってソケット内に打込まれてもよい。
【0078】
凹部320の面322は、モールステーパ又はモールステーパに類似するテーパを、第1実施形態と同様な方法で、備える。ツール324は、面322と補完的なモールステーパ又はモールステーパに類似するテーパを有する外面328を備える管状部分326を有する。
【0079】
ツールをプラグ300に挿入する際、ユーザは、ツールを使用して、ソケットからプラグ300を引抜いてもよい。突起(複数可)314が、少なくとも1つのネジ山を画成する場合、これは、プラグに付与する回転運動を、単独で又は軸方向の引張り運動と組合せて、必要とするかも知れない。そうでなければ、単純な引張り運動で十分であるかも知れない。第1実施形態と関連して記載したテーパ面の変更例が、この実施形態にも等しく適用可能である。
【0080】
図21及び図22は、本発明の別の実施形態による安全プラグ400を示している。 プラグは、第1実施形態のプラグ10と実質的に同様であり、実質的に同じ方法で機能する。
【0081】
プラグ400は、シェル412、磁石414及びスペーサであるスパイク部材416から成る。シェル412は、モールステーパを有する凹部470を備え、該凹部470は、補完的なモールステーパを備えるツール100の外面104と係合する。
【0082】
プラグ400は、磁石414及びスパイク部材416其々が、シェル412と比べて、比例的に小径を備える点で、プラグ10とは異なる。従って、シェル412は、連続した六角形の周面422を備え、下側凹部424は、円筒穴としてもよい。この実施形態では、磁石は、プラグ10の凹部58に対応する周方向凹部を備えない。その代わりに、磁石414及びスパイク部材416は、他の方法を使用して保持される。磁石414及び、任意に、スパイク部材416は、凹部424に締まり嵌めされてもよい。或いは、又は、加えて、磁石及び、任意に、スパイク部材416は、糊又は接着剤を使用して保持されてもよい。磁石414が凹部424内に確実に保持されれば、スパイク部材416も保持されることが理解されよう。
【0083】
文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、明細書及びクレームを通して、単語「含む(comprise、comprising)」等は、排他的又は網羅的意味とは反対の包含的意味;即ち、「含むが、限定されない」の意味に解釈されるものとする。
【0084】
本書に記載又は言及された本発明の特徴は、特徴が互いに排他的でない場合、特徴の任意の組合せで、組合せられてもよい。
【0085】
多くの明白な変形及び変更が、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態に対して行われてもよいことは、当業者には明らかであろう。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22