(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6941407
(24)【登録日】2021年9月8日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】超音波効果を有する交換可能なブラシヘッド
(51)【国際特許分類】
A46B 15/00 20060101AFI20210916BHJP
【FI】
A46B15/00 M
【請求項の数】15
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-528376(P2018-528376)
(86)(22)【出願日】2016年8月11日
(65)【公表番号】特表2018-523560(P2018-523560A)
(43)【公表日】2018年8月23日
(86)【国際出願番号】DE2016000315
(87)【国際公開番号】WO2017028835
(87)【国際公開日】20170223
【審査請求日】2019年8月9日
(31)【優先権主張番号】102015010483.7
(32)【優先日】2015年8月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518056553
【氏名又は名称】ヨヴィツァ ヴコサヴリエヴィチ
【氏名又は名称原語表記】Jovica Vukosavljevic
(73)【特許権者】
【識別番号】518056564
【氏名又は名称】ペーア ブルーメンシャイン
【氏名又は名称原語表記】Peer Blumenschein
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨヴィツァ ヴコサヴリエヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ペーア ブルーメンシャイン
【審査官】
田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−273621(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第101836901(CN,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0237720(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波機器用の、特に超音波歯ブラシ用の、かつ/または超音波治療機器および超音波マッサージ機器用の、超音波効果を有する交換可能なブラシヘッドであって、毛(B)を堅固に支持する基部エレメント(Bt−o)と、前記基部エレメントの、作用媒体(M)に面した側に取り付けられた複数の毛(B)とから成り、前記毛(B)は毛領域を形成しており、前記毛領域は、音場(Sch)の空間的作用領域内に位置している、交換可能なブラシヘッドにおいて、
前記音場(Sch)内に位置する少なくとも1つの電気機械的トランスデューサ(Pz)、特に圧電アクチュエータまたは積層圧電アクチュエータが、その超音波放射表面(Pz−o)を介して、かつ薄壁(W)と該薄壁の超音波放射表面(Wo)とを介してこれらを通過させて、超音波によるエネルギを前記作用媒体(M)へと放射し、
前記薄壁(W)は周面で材料的に堅固に隙間なくカプセル(K)に接続または合体されており、
カプセルにある全ての角隅と縁部とは丸く面取りされており、
前記薄壁および前記カプセルは、硬質材料から、特に硬質の非晶性プラスチックから成っており、
前記薄壁の壁厚さ(D)は、1mm以下であり、
前記電気機械的トランスデューサ(Pz)の前記超音波放射表面(Pz−o)と前記薄壁(W)とは、接着剤の層に分離不能に、直接結合または接着されており、
前記薄壁(W)の、前記電気機械的トランスデューサ(Pz)とは反対側の、前記超音波放射表面(Wo)は、前記毛(B)を堅固に支持する基部エレメント(Bt−o)の、前記作用媒体に面した側が位置する位置と、それぞれ装着された前記毛(B)の半分の高さに相当する位置(Wm)との間の、前記毛領域または前記音場または前記媒体(M)の内側の高さ位置に適宜位置し、
前記毛を堅固に支持する基部エレメント(Bt−o)は、前記交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)に堅固に材料的に接続されており、かつ/または接続されておらず、
前記薄壁(W)と、前記カプセル(K)と、前記交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)とは、前記交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)に軸方向で接続されているネック(H)に材料的に接続されており、
前記電気機械的トランスデューサ(Pz)は超音波による、または機械的振動によるエネルギを、前記毛の延在方向に対して平行な軸方向で放射することを特徴とする、超音波効果を有する交換可能なブラシヘッド。
【請求項2】
前記毛(B)を堅固に支持する基部エレメント(Bt−o)は、前記交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)に堅固に材料的に接続されている、請求項1記載の対象物。
【請求項3】
前記薄壁(W)と、前記カプセル(K)と、前記毛(B)を堅固に支持する基部エレメント(Bt−o)と、前記交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)とは、前記交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)に軸方向で接続されているネック(H)に材料的に接続されており、植毛前に製造技術的に一体的な部材を形成しており、
前記一体的な部材は、硬質材料から、特に硬質の非晶性プラスチックから成っており、
前記電気機械的トランスデューサ(Pz)の背面の上方にはカバー(A)が位置しており、
前記カバーは、前記電気機械的トランスデューサ(Pz)と、ケーブル通路(Kk)内に位置する、所定の領域から前記ネック(H)の縦方向の背面に沿って圧電素子のろう接点まで配線されているリード線(L)とを、機械的、電気的かつ化学的に保護するようにカバーしており、
前記カバー(A)は、前記交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)および前記ネック(H)の横断面に、それぞれ長手方向の延在にわたって連続的に適合している、請求項1または2記載の対象物。
【請求項4】
前記薄壁(W)と、前記電気機械的トランスデューサ(Pz)をその高さ方向の延在において隙間なしに材料的に全4面から堅固に取り囲み、前記薄壁(W)を支持し高さ方向でその端部を成すカプセル(K)と、前記カプセルに材料的に堅固に結合されている、前記交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)の収容凹部(Am)とは、材料的に堅固に、軸方向で中断されずに前記収容凹部の延長上に位置する前記ネック(H)と共に、全体として互いに材料的に結合されており、植毛前に製造技術的に一体的に製造されており、
前記一体的な部材は、硬質材料から、特に硬質の非晶性プラスチックから成っており、
前記ネック(H)の、前記収容凹部(Am)とは軸方向反対側の端部は、前記超音波歯ブラシ(Uz)の柄(Hg)に堅固に分離不能に機械的かつ電気的に接続されており、
前記電気機械的トランスデューサ(Pz)の背面の上方にはカバー(A)が位置しており、
前記カバーは、前記電気機械的トランスデューサ(Pz)と、ケーブル通路(Kk)内に位置する、所定の領域から前記ネック(H)の縦方向の背面に沿って圧電素子のろう接点まで配線されているリード線(L)とを、機械的、電気的かつ化学的に保護するようにカバーしており、
前記カバー(A)は前記交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)および前記ネック(H)の横断面に、それぞれ長手方向の延在にわたって連続的に適合している、請求項1記載の対象物。
【請求項5】
前記交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)は、底面と、前記底面をほぼ垂直に周方向で完全に取り囲む壁とから成り、これにより片側で開かれた前記収容凹部(Am)が構成されており、
前記収容凹部(Am)には、別個に製造された、前記毛(B)を堅固に支持する交換可能な交換インサート(Bt−E)の本体が係止可能に嵌め込まれ、
前記交換インサート(Bt−E)の外側の形状は、前記片側で開かれた収容凹部(Am)の内側の輪郭に、相互に係止するために適合されている、請求項1または4記載の対象物。
【請求項6】
前記ネック(H)の、前記毛領域とは軸方向で反対側の端部領域は、電気的かつ機械的な係止接続部(R)を有しており、前記係止接続部では、前記超音波歯ブラシ(Uz)の前記柄(Hg)に設けられた横断面多角形状のピンと、これに対応する、前記ネック(H)の下方の領域に設けられた凹部とにより、相対回動不能な機械的な係止接続部(R)が形成されており、同時に同じピンから成る金属ピンと、前記ネック(H)の相手部材における前記ピンに嵌まる接続スリーブとにより電気的な接続も形成され、全体的に交換可能なブラシヘッドを成している、請求項1から3までのいずれか1項記載の対象物。
【請求項7】
前記電気機械的トランスデューサ(Pz)の前記背面と前記カバー(A)との間に位置する層は、超音波の主方向における反射作用のために適している、請求項1から5までのいずれか1項記載の対象物。
【請求項8】
前記毛の材料に、超音波の伝播に関して1種以上の物質が少なくとも部分的に添加されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の対象物。
【請求項9】
前記毛を堅固に支持する基部エレメント(Bt−o)の、前記毛に面した側に、少なくとも1つの薄い圧電素子、特に薄い圧電フィルム(F)が取り付けられており、前記薄い圧電素子および/または薄い圧電フィルム(F)は、前記毛の延在方向に対して平行な軸方向で超音波を放射する、請求項1から5までのいずれか1項記載の対象物。
【請求項10】
前記毛を堅固に支持する基部エレメント(Bt−o)の、前記毛に面した側における前記薄い圧電素子、特に薄い圧電フィルム(F)は、全ての側面から、薄いカプセル(K)によって取り囲まれているか、またはこのカプセル内に機械的に堅固に封入されており、前記薄いカプセル(K)は、硬質材料から、特に硬質の非晶性プラスチックから成っており、前記薄い圧電フィルム(F)および/または薄い圧電素子と前記カプセル(K)の内壁とは、硬質ないし剛性の接着剤によって接着剤層において堅固に互いに直接に接続または接着されており、前記カプセルの、前記毛の自由端部とは反対側の面は、前記交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)に直接、堅固に接続、または接着されている、請求項1から5までおよび9のいずれか1項記載の対象物。
【請求項11】
前記電気機械的トランスデューサ(Pz)は、前記収容凹部(Am)または前記毛領域と、軸方向で続いている前記ネック(H)の領域との間の直接的な軸方向接続領域で、前記交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)に配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の対象物。
【請求項12】
前記交換可能なブラシヘッドの支持体の全体的に交換可能な本体(Bt)は、それぞれ互いに半径方向でずらされた、ボディが互いに接続された3つのブラシヘッドセグメントから成っており、前記ネック(H)、前記薄壁(W)、前記接続エレメントおよび前記カプセル(K)を有する、3部分から成るブラシヘッド(Bt)の完全な基本体がまずは毛なしで一体に形成されており硬質の非晶性プラスチックから形成されており、少なくとも1つのブラシヘッドセグメントおよび/またはその直接的な周囲が前記電気機械的トランスデューサ(Pz)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の対象物。
【請求項13】
交換可能な3つのヘッドの交換インサート(Bt−E)が、半径方向で真ん中に配置された1つの基本交換インサート(Bt−E)と、その上でそれぞれ互いに半径方向でずらされていてボディが互いに接続された3つのブラシヘッドセグメントとから成っており、前記収容凹部(Am)、前記ネック(H)、前記薄壁(W)および前記カプセル(K)を有する、前記交換可能なブラシヘッドの交換可能ではない支持体本体(Bt)が一体に形成されており、硬質の非晶性プラスチックから成っており、内側では、半径方向真ん中の、かつ/または近くの領域に位置するカプセル(K)内に、前記電気機械的トランスデューサ(Pz)が位置しており、各ブラシヘッドセグメントは固有の毛領域を有しており、前記交換インサート(Bt−E)は3つ全ての前記ブラシヘッドセグメントを一体的に有しており、または前記交換インサート(Bt−E)は最初は毛なしで一体的に製造されている、請求項1、4、5のいずれか1項記載の対象物。
【請求項14】
交換可能な2つのヘッドの交換インサート(Bt−E)が、半径方向で真ん中に配置された、固有の毛領域を有していない基本交換インサート(Bt−E)と、その上で一方では前記基本交換インサートの左側に、他方では前記基本交換インサートの右側に、互いに半径方向でずらされていてボディが互いに接続された2つのブラシヘッドセグメントとから成っており、前記収容凹部(Am)、前記ネック(H)、前記薄壁(W)、および前記カプセル(K)を有する、前記交換可能なブラシヘッドの交換可能ではない支持体本体(Bt)が一体に形成されており、硬質の非晶性プラスチックから成っており、前記両ブラシヘッドセグメントはそれぞれ固有の毛領域を有しており、係止状態では機能的に、交換可能なブラシヘッドの交換可能ではない支持体の本体(Bt)のカプセル(K)内に堅固に取り付けられている前記電気機械的トランスデューサ(Pz)は、直接的な前記基本交換インサート(Bt−E)の真ん中の領域から、前記薄壁(W)を通して、超音波エネルギを作用媒体に直接、かつ毛領域/音場における作用媒体に伝播し、前記交換インサート(Bt−E)の断面図では、少なくともいくつかの毛束が、毛の自由端部の領域で相互に交差している、請求項1、4、5のいずれか1項記載の対象物。
【請求項15】
超音波効果を有した前記交換可能なブラシヘッドは、歯磨きペーストと協働する、請求項1から5までのいずれか1項記載の対象物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の形式の、超音波機器用の、特に超音波歯ブラシ用の、かつ/または超音波治療機器および超音波マッサージ機器用の、超音波効果を有する交換可能なブラシヘッドに関する。このような冒頭で述べた形式の、超音波効果を有する交換可能なブラシヘッド、または超音波歯ブラシ用の交換ブラシヘッドは、例えば国際公開第2009/108262号と対応する米国特許第7849548号明細書により公知である。
【背景技術】
【0002】
このような形式の交換ブラシヘッドでは、持ち手部分の延長部に電気機械的トランスデューサまたは圧電素子が堅固に取り付けられており、毛を有する交換可能な交換インサートと協働して、電気機械的トランスデューサまたは圧電素子の作用表面が、毛先端平面の下方に極めて密に位置するようになっている。このことは、確かに超音波を作用媒体内へ良好に伝播させるが、安全技術的および医療的に著しい欠点を有している。すなわち、このように高い位置に配置された硬質な材料で使用者が負傷し易い恐れがあり、または使用中、この極めて高く突出した特徴部を常に歯に当て付け、かつ/または歯にこすりつけ、引っ掻くなどし、かつ/または圧電素子の領域も損傷し易い恐れがある。何故ならば、使用者は、超音波歯ブラシでもしばしば手動力を使用するからであり、このことは実用においては全く見過ごすことはできない。このことは、上記明細書において、
図1、
図2、
図4、
図5、および4段落6〜9行、および請求項1のd.)に記載されている。ここに記載された係止接続部も極めて嵩張るものであり、極めて重量があり構造化および製造にコストがかかる。さらにこの場合、いずれにせよ不安的な接触面は無数の細菌というさらなる欠点をもたらす。特に
図1〜
図2における上述したような同様の欠点は、特開2005−066024号公報も有している。
【0003】
超音波歯ブラシ用の類似の交換可能なブラシヘッドは、欧州特許第1681956号明細書の
図1〜
図3および請求項1にも記載されている。この明細書にも、
図1〜
図2に示されているような、極めて高い、嵩張る、丸み付けされた、アクティブ要素(24)のアーチが設けられている。この場合、極めて嵩張る、円形のアーチには、コストをかけて困難にしか製造することのできない複数の適合層(インピーダンス適合層)が設けられており、これらの層がブラシヘッド内に設けられた圧電素子から、アクティブ媒体内に超音波を伝達する。
【0004】
この場合も、複数の厚い層の間の多数の長い接続面・接触面により、超音波エネルギ、超音波出力、および超音波強度の大きな損失を甘受する。その他の点では、この対象物にも、上述した米国特許第7849548号明細書について示した欠点と同様のさらなる欠点が存在している。
【0005】
米国特許出願公開第20100237720号明細書にも超音波歯ブラシ用の交換可能なブラシヘッドが記載されており、この場合、圧電素子(この明細書の
図1、符号22)はブラシヘッドに取り付けられている。しかしながら、明細書全体にわたって、この特徴の配置または具体的な機能についての具体的な記載がない。
【0006】
特開2009247800号明細書には、
図1、
図3、
図4に、持ち手のネックに設けられた圧電素子(12)が記載されている。この場合、超音波から毛先端(22)および放射面(21)への超音波エネルギの伝達距離は極めて長く複雑であり、エネルギ損失は極めて大きい。
【0007】
国際公開第2012/062277号と同じである米国特許第5546624号明細書および欧州特許第2637600号明細書により、従来の形式で作動する超音波歯ブラシが公知である。これら2つの機器またはその交換可能なブラシヘッドでは、圧電トランスデューサが、固定側の毛領域のすぐ上に取り付けられている。このような形式の手段では、超音波出力および超音波強度における極めて高い損失、すなわち99.9%を超える高さの損失が生じる。
【0008】
国際公開第2012/062277号に記載の上記発明の対象物は、数年来、ドイツの会社のEmag株式会社(Emag AG)によって生産され、国際的に販売されており、商品名は「Emmi Dental Professional」である。
【0009】
この発明による超音波歯ブラシ「Emmi Dental Professional」は、2014年9月18日に、テュフズード(TUEV SUED Product Service GmbH)能動医療機(Active Medical Products)ミュンヘン、超音波医療技術部門により検査された。毛領域の超音波音響測定では(ニードルハイドロフォンの測定ゾンデ先端までの各毛先端からの距離約2mm)、英国の専門業者「Precision Acoustic」による、検定済みの較正されたニードルハイドロフォンを用いて、21.3℃の脱気および脱イオン水浴において(全ては国際的な試験ガイドラインIEC60601−13に基づいており、IEC62304に準拠するソフトウェアによる)、平均的な超音波強度I=0.0000124ワット/cm
2(=0.0124ミリワット/cm
2)しか得られなかった。各最小面積のピーク値はI=0.0000312ワット/cm
2(=0.0312ミリワット/cm
2)である。この結果は歯および歯茎を摩擦なしでクリーニングすべき、クリーニング媒体におけるキャビテーション形成およびキャビテーション衝撃には全く適していない。
【0010】
したがって、測定値は単に象徴的な意味しか有していない。公知のように、280Khz〜1.7Mhzの周波数範囲(超音波歯ブラシはこの周波数範囲で働く)にあるキャビテーション閾値は明らかにより高く、約0.02ワット/cm
2〜約(むしろ)1.50ワット/cm
2の範囲で動くので、超音波歯ブラシ「Emmi Dental Professional」ではこの値を1.613倍〜121.000倍も下回っている。これにより、同(この発明による)超音波歯ブラシ「Emmi Dental Professional」では、超音波により歯および歯茎を全くクリーニングすることはできないと認識せざるを得ない。
【0011】
同時に、2014年9月18日の機会では、さらに別の2つの商品である超音波歯ブラシ、商品名「Megasonex M8」と「Smilex」とが測定された。この場合、両歯ブラシとも、米国特許第5546624号明細書に基づき構造化され、構成された。これら2つの超音波歯ブラシでは、極めて高感度かつプロ用の測定機器を使用したにも関わらず、その損失が極端に高いため超音波強度および超音波出力は全く測定されなかった。
【0012】
独国特許出願公開第102012021262号明細書には3ヘッド式の超音波歯ブラシが開示されている。これも、1つ以上の圧電素子が毛の取り付け側の領域に直接接続する部分に取り付けられている。この場合も、音波出力および音波強度における高い損失が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の課題は、先行技術の上述した欠点を少なくとも低減させ、または同時に使用者の安全技術的な側面に注意し、同時に同様に、作用クリーニング媒体におけるキャビテーションおよび/または衝撃の形成のために必要な超音波強度および超音波出力の形成を考慮することであり、作用媒体には超音波エネルギをできるだけ直接、超音波放射面から供給し、ブラシヘッドの本体全体および毛を通る超音波エネルギの極めて大きな損失を伴う伝播をできるだけ回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は、冒頭で述べた形式の、請求項1の特徴を有する、超音波機器用の、特に超音波歯ブラシ用の、かつ/または超音波治療機器および超音波マッサージ機器用の、超音波効果を有する交換可能なブラシヘッドによって解決される。
【0015】
超音波機器用の、特に超音波歯ブラシ用の、かつ/または超音波治療機器および超音波マッサージ機器用の、超音波効果を有する交換可能なブラシヘッドの有利な別の構成および構造は従属請求項に記載されている。
【0016】
本発明の実施例が
図1〜
図28に示されており、以下に図面に基づき説明する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1には、端面図および/または側面図で概略的に、超音波機器用の、特に超音波歯ブラシ用の、かつ/または超音波治療機器および超音波マッサージ機器用の、超音波効果を有する交換可能なブラシヘッドであって、毛(B)を堅固に支持する基部エレメント(Bt−o)と、基部エレメントの、作用媒体(M)に面した側に取り付けられた複数のまたは多数の毛(B)とから成り、毛(B)は毛領域を形成しており、毛領域は、音場(Sch)の空間的作用領域内に位置している、交換可能なブラシヘッドが示されている。この図により、音場(Sch)内に位置する少なくとも1つの電気機械的トランスデューサ(Pz)、特に圧電アクチュエータまたは積層圧電アクチュエータが、その超音波放射表面(Pz−o)を介して、かつ薄壁(W)と薄壁の超音波放射表面(Wo)とを介して(これらを通過させて)、超音波によるエネルギを作用媒体(M)へと放射し、薄壁(W)は周面で材料的に堅固にカプセル(K)に接続または合体されており、カプセルにある全ての角隅と縁部とは丸く面取りされており、薄壁およびカプセルは、低い減衰係数を有する硬質材料から、特に硬質の非晶性プラスチックから成っており、薄壁の壁厚さ(D)は、1mm以下であり、電気機械的トランスデューサ(Pz)の超音波放射側/面(Pz−o)と薄壁(W)とは、低い減衰係数を有する接着剤の極めて薄い層に分離不能に、直接結合または接着されており、薄壁(W)の、電気機械的トランスデューサ(Pz)とは反対側の、超音波伝播/放射面(Wo)は、毛(B)を堅固に支持する基部エレメント(Bt−o)の、作用媒体に面した側/平面(Bt−o)も位置する位置(Wo)と、それぞれ装着された毛(B)のほぼ半分の高さに相当する位置(Wm)との間の、毛領域/音場/媒体(M)の内側の高さ位置に適宜位置し、毛を堅固に支持する基部エレメント(Bt−o)は、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)に堅固に材料的に接続されており、かつ/または接続されておらず、薄壁(W)と、カプセル(K)と、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)とは、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)に軸方向で接続されているネック(H)にいずれにせよ材料的に接続されており、電気機械的トランスデューサ(Pz)は、超音波によるまたは機械的振動によるエネルギを、毛の延在方向に対して平行またはほぼ平行な軸方向で放射することが示されている。
【0019】
図1に示された鉛直方向の二重矢印と同心的な「波記号」は、超音波の延在方向を示しており、超音波が電気機械的トランスデューサ(Pz)と伝導性の薄壁(W)とから作用媒体(M)内へ導入される様子、または電気機械的トランスデューサ(Pz)が超音波によるエネルギまたは機械的振動によるエネルギを、毛の延在方向に平行な、またはほぼ平行な軸方向に放出することを示している。
【0020】
符号(Sch)(=Schallfeld)は、毛領域の空間的体積を越えて広がる作用媒体で生じる音場の空間的な作用領域を略示している。
【0022】
本発明の形態は、2つの基本的な構成形態、すなわち、
a.)交換可能なブラシヘッドの支持体の完全な本体(Bt)であって、この本体上に堅固に取り付けられた毛(B)と、堅固に接続された電気機械的トランスデューサ(Pz)と、堅固に接続された薄壁(W)と、堅固に接続されたカプセル(K)と、堅固に接続されたネック(H)と、さらに記載する別のエレメントとを備え、完全に機能する製品として交換可能である基本的な構成形態、および
b.)その上に堅固に位置する毛(B)を備えた交換インサート(Bt−E)のみが交換可能であって、別個に構成されており、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)と、ネック(H)と、電気機械的トランスデューサ(Pz)と、薄壁(W)と、カプセル(K)と、さらに記載する別のエレメントとは、標準的な通常使用においては交換可能ではなく、またはこの基本的な構成形態では、交換可能なブラシヘッドの支持体の完全な本体(Bt)はネック(H)によって直接、完全な超音波歯ブラシ(Uz)の柄(Hg)に永続的に機械的かつ電気的に堅固に接続されている構成形態
を含む。
【0023】
カプセル(K)としての、薄壁(W)としての、毛(B)を堅固に支持する基部エレメント(Bt−o)としての、ネック(H)としての、交換インサート(Bt−E)の本体としての、および交換可能なブラシヘッドの支持体の完全な本体(Bt)としての使用のためには、新規に開発された、極めて有効な材料、または例えばプラスチックグラフェンのようなプラスチックが適している。グラフェンは、2次元的な構造をもつ炭素の変化形であって、極めて薄い層の形態で、極めて高い硬度と強度を有し、同時に超音波の伝播に関する減衰係数も低い。将来的には、専門分野でさらなる進歩が期待される。
【0024】
カプセル(K)としての、薄壁(W)としての、毛(B)を堅固に支持する基部エレメント(Bt−o)としての、交換インサート(Bt−E)の本体としての、ネック(H)としての、および交換可能なブラシヘッドの支持体の完全な本体(Bt)としての使用のためには、超音波の伝導/伝播に関して低い減衰係数を有する硬質の非晶性プラスチックとして既に、例えば以下のプラスチックが存在している:ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチロール(ABS)等。将来的には、専門分野でさらなる進歩も期待される。
【0025】
電気機械的トランスデューサ(Pz)の材料としては多くの材料が基本的に適している。とりわけ、PZTセラミックス(チタン酸ジルコン酸鉛)、特に材料群5および8のPZTセラミックスが、その機械的、電気的、物理的かつ製造技術的特性により適している。
【0026】
超音波機器用の超音波効果を有する本発明による交換可能なブラシヘッドは、できるだけ低い減衰係数を有する磨きペーストと共に協働する。
【0027】
図2は、超音波機器用の、特に超音波歯ブラシ用の、かつ/または超音波治療機器および超音波マッサージ機器用の、超音波効果を有する交換可能なブラシヘッドの端面図および/または側面図を概略的に、基本的な構成形態a.)において示している。この場合、薄壁(W)とカプセル(K)とは、毛(B)を堅固に支持する基部エレメント(Bt−o)と、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)とに材料接続的に接続されている。さらに
図2には、概略的に、薄壁(W)と、カプセル(K)と、基部エレメント(Bt−o)と、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)とがボディとしてまとまっていること、および、これらが、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)に軸方向で中断せずに接続して位置しているネック(H)と共に、製造技術的に一体の1つの部材を、植毛前に形成していることが示されている。この一体的な部材は、低い減衰係数を有する硬質材料から、特に硬質の非晶性プラスチックから成っており、電気機械的トランスデューサ(Pz)の背面の上方には、カバー(A)が、隙間を閉じるように/輪郭を閉じるように/通路を閉鎖するように、かつ電気機械的トランスデューサ(Pz)を機械的、電気的、かつ化学的に保護するように位置している。
【0028】
図3は、超音波効果を有する交換可能なブラシヘッドの端面を、概略的に、基本的な構成形態b.)において示している。この場合、薄壁(W)と、電気機械的トランスデューサ(Pz)をその高さ方向の延在において完全に継ぎ目なしに材料的に全4面から堅固に取り囲み、薄壁(W)を支持し高さ方向でその端部を成すカプセル(K)と、カプセルに材料的に堅固に結合されている収容凹部(Am)とは、材料的に堅固に、軸方向で中断されずに収容凹部の延長上に位置するネック(H)と共に、全体として互いに材料的に結合されており、植毛前に製造技術的に一体的に製造される。ネック(H)の、収容凹部(Am)とは軸方向反対側の端部は、超音波歯ブラシ(Uz)の柄(Hg)に堅固に分離不能に機械的かつ電気的に接続されている。カプセル(K)にある全ての角隅と縁部は、丸く面取りされている。さらに、電気機械的トランスデューサ(Pz)の背面の上方には、カバー(A)が、隙間を閉じるように/輪郭を閉じるように/通路を閉鎖するように位置しており、さらにこのカバーは、電気機械的トランスデューサ(Pz)と、ケーブル通路(Kk)内に位置する、所定の領域からネック(H)の縦方向の背面に沿って圧電素子のろう接点まで配線されているリード線(L)とを、機械的、電気的、かつ化学的に保護するようにカバーしている。
【0029】
さらに
図3は、概略的に、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)が、底面と、この底面をほぼ垂直に周方向で完全に取り囲む壁とから成っていること、および、これにより片側で開かれた収容凹部(Am)が構成されていることを示している。この場合、別個に製造される、毛(B)を堅固に支持している交換インサート(Bt−E)の外側の形状は、片側で開かれた収容凹部(Am)の内側の輪郭に、相互に係止するために適合されている。さらに
図3には、毛を支持する交換インサート(Bt−E)と、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)または収容凹部(Am)との間に、安定的な、しかしながら再び解除可能な係止接続部(R)が形成されていることも概略的に示されている。この係止接続部は、収容凹部(Am)の開口部近傍で壁全体の内周面に設けられた、複数存在する係止溝(Rn)が、この溝に対応する、交換インサート(Bt−E)の同じく周面に設けられた、同じく複数存在する係止ストリップ(Rl)に係合することにより、または係止ストリップ(Rl)が係止溝(Rn)に係合することにより生じる。係止および係止解除は、毛の長手方向延在に平行な、またはほぼ平行な方向で行われる。
図3は、符号(Wo)によって、薄壁(W)の超音波放射面の最も低い高さ位置を示している。ここでは、この位置(Wo)が、基部エレメントの、作用媒体に面した側(Bt−o)と同じ平面に位置していることが示されている。このことは、安全技術的に、使用に関して、かつ製造技術的に多くの利点をもたらす。
【0030】
同じ
図3は、符号(Wm)と水平破線とにより、薄壁(W)の超音波放射面の最も高い高さ位置を、装着された毛(B)の高さに関して示しており、この高さ(位置)は、それぞれ装着された毛(B)の高さの半分にほぼ相当する。薄壁(W)の超音波放射面の高さまたは位置は、勿論常に、使用者の安全と使いやすさ、および構造的/製造技術的な要件に注意しなければならず、したがって、さらに強力な音波パワーおよび音波レベルに達したいという欲求、超音波放射面から歯へのより考えられ得る短い距離を得たいという欲求にぶつかる。
【0031】
この実施例には、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)の軸方向真ん中に取り付けられた電気機械的トランスデューサ(Pz)が示されている。本発明の対象は、勿論この実施例のみに規定されるものではない。
【0032】
図4では概略的に、収容凹部(Am)の壁の断面図で、収容凹部(Am)の開口部領域の高さで交換可能な交換インサート(Bt−E)の外面に、特にネック(H)の近傍領域で、小さい面積の係止解除溝(En)が設けられていることが示されている。この場合、収容凹部の側壁の空間的に対応する個所には、これに嵌まり込む切り込みが設けられており、これにより、工具の尖端によるてこの作用により係止解除を行うことができる。係止解除領域における全ての縁部と角隅とは丸く面取りされている。係止および係止解除は、毛の長手方向延在に平行な、またはほぼ平行な方向で行われる。
【0033】
図5は概略的に、本発明による交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)の平面図を示しており、形状的にほぼ中心部に配置された、円形の電気機械的トランスデューサ(Pz)示されている。
【0034】
図6は概略的に、本発明による交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)の平面図を示しており、形状的にほぼ中心部に配置された、正方形の電気機械的トランスデューサ(Pz)が示されている。軸方向で毛領域とネック(H)との間の接続部にはさらに、ほぼ台形の形状の第2の電気機械的トランスデューサ(Pz)が取り付けられており、台形の底辺側は毛領域に面している。
【0035】
図7は概略的に、本発明による交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)の平面図を示しており、内側内部に取り付けられた円形の電気機械的トランスデューサ(Pz)が、軸方向で毛領域とネック(H)との間の接続部に示されている。
【0036】
図8は概略的に、本発明による交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)の平面図を示しており、形状的にほぼ中心部に配置された、正方形の電気機械的トランスデューサ(Pz)が示されている。軸方向で毛領域とネック(H)との間の接続部にはさらに、ほぼ弓形の形状の第2の電気機械的トランスデューサ(Pz)が取り付けられており、弓形の形状の底辺側は毛領域に面している。
【0037】
図9は概略的に、本発明による交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)の平面図を示しており、2つの円形の電気機械的トランスデューサ(Pz)が示されている。この場合、一方の電気機械的トランスデューサは形状的にほぼ中心部に配置されており、他方の電気機械的トランスデューサは軸方向で毛領域とネック(H)との間の接続部に配置されている。
【0038】
図10は概略的に、交換可能なブラシヘッドの本発明による支持体本体(Bt)の平面図を示しており、毛を堅固に支持する基部エレメント(Bt−o)の、毛に面した側に、少なくとも1つの薄い圧電素子が、特に薄い圧電フィルム(F)が取り付けられていることが示されている。この場合、薄い圧電素子および/または薄い圧電フィルム(F)は超音波を、毛の延在方向に対して平行またはほぼ平行な軸方向で放射する。面状の、ほぼ半円形の「頭部」を毛領域とネックの軸方向延長線上に存在する部分との間の接続領域に有する、図示した「ねじ形状」は今日既に使用可能であって、すなわちいわゆる平面トランスデューサまたはフィルムトランスデューサとして、例えばドイツの会社Pi Ceramic GmbHにより既に、圧電アクチュエータ/ピエゾセラミックスアクチュエータとして提供されている。
【0039】
薄い圧電フィルム、または圧電材料の被着された薄い層を有するカプセルとしての使用のためには、新規に開発された、極めて有効な材料、または例えばプラスチックグラフェンのようなプラスチックが適している。グラフェンは、2次元的な構造をもつ炭素の変化形であって、極めて薄い層の形態で、極めて高い硬度と強度を有し、同時に超音波伝播に関する減衰係数も低い。
【0040】
将来的には、専門分野でさらなる進歩が期待される。
【0041】
図11には概略的に、毛を堅固に支持する基部エレメント(Bt−o)の、毛に面した側における薄い圧電素子、特に薄い圧電フィルム(F)が、全ての側面から、薄いカプセル(K)によって取り囲まれているか、またはこのカプセル内に機械的に堅固に封入されていることが示されている。薄いカプセル(K)は、低い減衰係数を有する硬質材料から、特に硬質の非晶性プラスチックから成っており、薄い圧電フィルム(F)および/または薄い圧電素子とカプセル(K)の内壁とは、減衰係数の低い硬質ないし剛性の接着剤によって極めて薄い接着剤層において堅固に互いに直接に接続または接着されている。カプセルの、毛の自由端部とは反対側の面は、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)に直接、堅固に接続または接着されている。
【0042】
図12には概略的に、本発明による超音波効果を有する交換可能な交換インサート(Bt−E)が平面図で示されており、この図では、電気機械的トランスデューサ(Pz)が、収容凹部(Am)または毛領域と、軸方向で続いているネック(H)の領域との間の直接的な軸方向接続領域で、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)に配置されていることが示されている。電気機械的トランスデューサ(Pz)は平面図でほぼ台形の形状を有しており、この台形の比較的長い底辺側で毛領域に面しており、または、電気機械的トランスデューサ(Pz)の形状が平面図で対称性をもって面を拡大させながら、この領域における交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)の輪郭に最大限適合していることが示されている。
【0043】
図13には概略的に、本発明による超音波効果を有する交換可能な交換インサート(Bt−E)が側面図で示されており、この図では、電気機械的トランスデューサ(Pz)が、収容凹部(Am)または毛領域と、軸方向で続いているネック(H)の領域との間の直接的な軸方向接続領域で、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)に配置されていることが示されている。この図は、ケーブル通路(Kk)と、ケーブル通路内に配設されたリード線(L)との延在も示している。収容凹部(Am)内に係止された交換インサート(Bt−E)の本体、およびその上に取り付けられた毛(B)も示されており、符号(Wm)により、装着された毛(B)の高さに関して薄壁(W)の超音波放射面の最も高い高さ位置が詳しく示されている。図示されている垂直の両方向矢印と同心的な「波記号」は、薄壁(W)を通過して圧電トランスデューサ(Pz)から放射された超音波の、毛(B)に平行にまたはほぼ平行に延びる延在方向を示している。様々な方向を示す矢印を伴う符号(M)は、空間的な作用媒体を意味し、この作用媒体は、水、唾液、歯磨きペーストの混合物から成っている。
【0044】
図14には概略的に、本発明による交換可能なブラシヘッド(3つのヘッド)が示されており、この図により、交換可能なブラシヘッドの支持体の全体的に交換可能な本体(Bt)が、それぞれ互いに半径方向でずらされた、ボディが互いに接続された3つのブラシヘッドセグメントから成っていることが示されている。この場合、ネック(H)、薄壁(W)、接続エレメント、およびカプセル(K)を含む、3部分から成るブラシヘッド(Bt)の完全な基本体は、まずは毛なしで一体に形成されており、すなわち低い減衰係数を有する硬質の非晶性プラスチックから形成されており、少なくとも1つのブラシヘッドセグメントおよび/またはその直接的な周囲が電気機械的トランスデューサ(Pz)を有している。このような特別な実施例により、1つの歯の部分が同時に全3方向からクリーニングされ、これにより歯のクリーニングが約3倍に加速されるという利点が得られ、このようなブラシヘッド形状は、音場の全範囲においてより多くの活性のクリーニング媒体(M)を束ねることができ、このことは超音波による放射出力の効率を著しく向上させる。
【0045】
図15には概略的に、本発明による交換可能ブラシヘッドが基本的な構成形態b.)において側面図で示されており、超音波歯ブラシ(Uz)の完全な本体と共に示されている。この図により、柄(Hg)内に存在している電気的な電子誘導装置(8,8a)により、電流供給ユニットまたはバッテリ(2)の電流供給が行われることがわかる。バッテリにより、機器全体にまたは機器の構成部分に電流が供給される。制御および電子ユニット(3)により高周波電流が発生され、この電流は電子的な最終段(E)からリード線(L)により電気機械的トランスデューサ(Pz)へと通され、次いでここで電気機械的トランスデューサ(Pz)により超音波が発生させられ、さらに伝達される。
【0046】
さらに、電気機械的トランスデューサ(Pz)の背面の上方にはカバー(A)が位置しており、このカバーは、電気機械的トランスデューサ(Pz)と、ケーブル通路(Kk)内に位置する、所定の領域からネック(H)の縦方向の背面に沿って圧電素子のろう接点まで配線されているリード線(L)とを、機械的、電気的、かつ化学的に保護するようにカバーしていることが示されている。このカバー(A)は、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)およびネック(H)の横断面の経過に連続的に、それぞれ長手方向の延在にわたって適合している。ケーブル通路(Kk)の延在は、ほぼ垂直な破線で略示されている。付加的な振動運転が振動体(V)により可能である。
【0047】
図15には概略的に、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)の領域も示されており、ここには、収容凹部(Am)内に係止された交換インサート(Bt−E)が、その上に位置する毛(B)と共に示されている。
【0048】
万全を期すために、柄内に存在している機能表示(5)、作動スイッチまたはプログラムボタン(4)、ディスプレイ(6)、充電ステーションのホルダ(7)も示されている。
【0049】
図16には概略的に、本発明による超音波効果を有する交換可能なブラシヘッドが側面図で示されており、この図では、電気機械的トランスデューサ(Pz)が、収容凹部(Am)または毛領域と、軸方向で続いているネック(H)の領域との間の直接的な軸方向接続領域で、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)に配置されていることが示されている。この図ではさらに、毛領域の、ネック(H)に軸方向で面した端部領域において、少なくともいくつかの毛束が、ネックのこの領域に向かって傾いていることが示されている。このことは、濃く図示された毛(B)で示されている。
【0050】
このような構成により、薄壁(W)の音波放射面の上方で、水、唾液、および歯磨きペーストから成る作用媒体(M)の液体のより多くの体積/質量が、毛領域でおよび十分な音場で束ねられるので、超音波によるエネルギ伝達の効率がさらに向上する。
【0051】
図16は、ケーブル通路(Kk)および、ケーブル通路内に配設されたリード線(L)の延在も示している。収容凹部(Am)内に係止された交換インサート(Bt−E)の本体、およびその上に取り付けられた毛(B)も示されており、符号(Wm)により、装着された毛(B)の高さに関して薄壁(W)の超音波放射面の最も高い高さ位置が詳しく示されている。図示されている垂直の両方向矢印と同心的な「波記号」は、薄壁(W)を通過して圧電トランスデューサ(Pz)から放射された超音波の、毛(B)に平行に、またはほぼ平行に延びる延在方向を示している。様々な方向を示す矢印を伴う符号(M)は、水、唾液、歯磨きペーストの混合物から成る空間的な作用媒体を意味し、符号(Sch)は、毛領域と比較してさらに遠くまで広がる音場(Sch)の空間的な領域を示している。
【0052】
図17には概略的に、本発明による交換可能ブラシヘッドが基本的な構成形態a.)において側面図で示されており、超音波歯ブラシ(Uz)の完全な本体と共に示されている。この図により、ネック(H)の、軸方向で毛領域とは反対の端部領域が、電気的かつ機械的な係止接続部(R)を有していることがわかる。この係止接続部では、超音波歯ブラシ(Uz)の柄(Hg)に設けられた横断面多角形状のピンと、これに対応する、ネック(H)の下方の領域に設けられた凹部とにより、相対回動不能な機械的な係止接続部(R)が形成されており、同時に、同じピンから成る金属ピンと、ネック(H)の相手部材におけるこれに嵌まる接続スリーブとにより、電気的な接続も形成されており、全体的に交換可能なブラシヘッドを成している。
【0053】
図17には、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)の領域も示されており、これにより、電気機械的トランスデューサ(Pz)が交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)に不動に取り付けられており、ひいては交換可能ではないことが、またはこのようなブラシヘッドは全体的に交換しなければならないので、このことは特に環境的ではなく、コスト節約にもならないことを示している。その他の点では、
図15の実施例につき行ったのと同じ記載が当てはまる。
【0054】
図18には概略的に、交換可能な(3つのヘッドの)交換インサート(Bt−E)が、半径方向で真ん中に配置された1つの基本交換インサート(Bt−E)と、その上でそれぞれ互いに半径方向でずらされていてボディが互いに接続された3つのブラシヘッドセグメントとから成っていることが示されている。収容凹部(Am)、ネック(H)、薄壁(W)、カプセル(K)を含む、交換可能なブラシヘッドの交換可能ではない支持体の本体(Bt)は一体に形成されており、低い減衰係数を有する硬質の非晶性プラスチックから成っている。内側では、半径方向真ん中の、かつ/または近くの領域に位置するカプセル(K)内に、電気機械的トランスデューサ(Pz)が位置している。各ブラシヘッドセグメントは固有の毛領域を有しており、交換インサート(Bt−E)は3つ全てのブラシヘッドセグメントを一体的に有しており、またはこの場合、交換インサート(Bt−E)は最初は毛なしで一体的に製造される。このような特別な実施例により、1つの歯の部分が同時に全3方向からクリーニングされ、これにより歯のクリーニングは約3倍に加速されるという利点が得られる。このようなブラシヘッド形状は、音場の全空間的範囲においてより多くの活性のクリーニング媒体(M)を束ねることができ、このことは超音波による放射出力の効率を著しく向上させる。この実施例は、真ん中のセグメントに位置する毛(B)はそれぞれの毛端部が互いに交差していることも示している。
【0055】
図19には概略的に、交換可能な2つのヘッドの交換インサート(Bt−E)が、半径方向で真ん中に配置された、固有の毛領域を有していない基本交換インサート(Bt−E)と、その上で一方では基本交換インサートの左側に、他方では基本交換インサートの右側に、互いに半径方向でずらされていてボディが互いに接続された2つのブラシヘッドセグメントとから成っていることが示されている。収容凹部(Am)、ネック(H)、薄壁(W)、カプセル(K)を含む、交換可能なブラシヘッドの交換可能ではない支持体の本体(Bt)は一体に形成されており、低い減衰係数を有する硬質の非晶性プラスチックから成っている。両ブラシヘッドセグメントはそれぞれ固有の毛領域を有している。係止状態では機能的に、交換可能なブラシヘッドの交換可能ではない支持体の本体(Bt)のカプセル(K)内に堅固に取り付けられている電気機械的トランスデューサ(Pz)は、直接的な基本交換インサート(Bt−E)の半径方向形状的に真ん中の領域から、または真ん中の開口の領域から、薄壁(W)を通して、超音波エネルギを作用媒体に直接、かつ毛領域/音場における作用媒体に伝播する。交換インサート(Bt−E)の端面図では少なくともいくつかの毛束が、毛の自由端部の領域で相互に交差している。毛束のそれぞれ内側の縦方向列には、この実施例では比較的長い毛が設けられているので、毛の交差領域はよりはっきりと存在している。これにより、この弾性的に交差する領域は機能的に、省かれた第3のヘッドの代替を成すが、構造的により簡単になり、より簡単に製造することができる。
【0056】
図20には概略的に、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)が端面図で示されており、これは縦方向の毛束列の間、軸方向真ん中に配置された電気機械的トランスデューサ(Pz)を有しており、毛(B)を堅固に支持する基部エレメント(Bt−o)の、作用媒体(M)に面した側に対してほぼ垂直に直立する毛(B)を有している。
【0057】
図21には概略的に、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)が端面図で示されており、これは縦方向の毛束列の間、軸方向真ん中に配置された電気機械的トランスデューサ(Pz)を有しており、この図によれば、毛領域の左側毛束のそれぞれ1つの内側の縦方向列は、毛領域の右側毛束の対応する内側の縦方向列に向かって傾いていることがわかる。これにより、音場と毛領域とが均一に形成される。
【0058】
図22には概略的に、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)が端面図で示されており、これは縦方向の毛束列の間、軸方向真ん中に配置された電気機械的トランスデューサ(Pz)を有している。この図によれば、毛領域の左側毛束の全ての縦方向列は、毛領域の右側毛束の全ての対応する縦方向列に向かって傾いていることがわかる。この構成により、毛領域および音場が束ねられる。
【0059】
図23には概略的に、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)が端面図で示されており、これは縦方向の毛束列の間、軸方向真ん中に配置された電気機械的トランスデューサ(Pz)を有しており、毛(B)を堅固に支持する基部エレメント(Bt−o)の、作用媒体(M)に面した側に対してほぼ垂直に直立する毛(B)を有している。この場合、薄壁(W)の音波放射側の高さは、装着された毛の高さの約25%に達している。
【0060】
図24には概略的に、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)が端面図で示されており、これは縦方向の毛束列の間、軸方向真ん中に配置された電気機械的トランスデューサ(Pz)を有しており、この図によれば、毛領域の左側毛束のそれぞれ1つの内側の縦方向列は、毛領域の右側毛束の対応する内側の縦方向列に向かって傾いていることがわかる。これにより、音場と毛領域とは均一に形成される。この場合、薄壁(W)の音波放射側の高さは、装着された毛の高さの約30%に達している。
【0061】
図25には概略的に、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)が端面図で示されており、これは縦方向の毛束列の間、軸方向真ん中に配置された電気機械的トランスデューサ(Pz)を有しており、この図によれば、毛領域の左側毛束の全ての縦方向列は、毛領域の右側毛束の全ての対応する縦方向列に向かって傾いていることがわかる。この構成により、毛領域および音場が束ねられる。この場合、薄壁(W)の音波放射側の高さは、装着された毛の高さの約20%に達している。
【0062】
図26には概略的に、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)が端面図で示されており、これは縦方向の毛束列の間、軸方向真ん中に配置された電気機械的トランスデューサ(Pz)を有しており、この図によれば、毛領域または交換インサート(Bt−E)の左側で軸方向長手方向に延在する内側毛束列はそれぞれ、毛領域の右側毛束のそれぞれ対応する内側縦列に交差していることがわかる。この場合、薄壁(W)の音波放射側の高さは、装着された毛の高さの約20%に達している。この場合、放射される音波出力および音波強度をさらに高めることができると同時に、電気機械的トランスデューサ(Pz)は交差する毛束によって良好に遮蔽されているので、使用者は怪我や障害から保護されるという利点が得られる。
【0063】
図27には概略的に、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)が平面図で、この本体上で直立する毛(B)と、縦方向の毛束列の間の、軸方向真ん中に配置された電気機械的トランスデューサ(Pz)と共に示されている。
【0064】
図28には概略的に、交換可能なブラシヘッドの支持体本体(Bt)が端面図で示されており、これは縦方向の毛束列の間、軸方向真ん中に配置された電気機械的トランスデューサ(Pz)を有しており、この図によれば、毛領域または交換インサート(Bt−E)の左側で軸方向長手方向に延在する内側の毛束列はそれぞれ、毛領域の右側毛束のそれぞれ対応する内側縦列に交差していることがわかる。この場合、薄壁(W)の音波放射側の高さは、最も低い位置(Wo)に達している。この場合、電気機械的トランスデューサ(Pz)は交差する毛束によって良好に遮蔽されているので、使用者が怪我や障害から保護されるという利点が得られる。
【0065】
図示されていない実施例は、電気機械的トランスデューサ(Pz)の背面とカバー(A)との間に位置する層が、超音波の主方向における反射作用のために適しているという、本発明の対象の構成を有している。このような層は例えば、プラスチック発泡体を主体として、金属屑と混合されて形成される。このためには例えば、タングステン屑と混合されたポリウレタンフォームが適している。
【0066】
図示されていない別の実施例は、毛の材料に、超音波の伝播に関して低い減衰係数を有する1種以上の物質が少なくとも部分的に添加されているという、本発明の対象の構成を有している。このためには例えば、ガラスビード、および/または様々なプラスチック化合物、および新規に開発された、例えば2次元的な構造を有した炭素の変化形であるプラスチックグラフェンのような材料が適している。
【符号の説明】
【0067】
a.) 基本的な構成形態a.)電気機械的トランスデューサ(Pz)およびネック(H)を含む完全なブラシヘッドが交換可能である
b.) 基本的な構成形態b.)毛(B)をその上に備えた交換インサート(Bt−E)のみが交換可能である
(A) ケーブル通路(Kk)、リード線(L)、電気機械的トランスデューサ(Pz)のカバー
(Am) 収容凹部
(B) 毛
(Bt) 交換可能なブラシヘッドの支持体本体
(Bt−o) 毛(B)を堅固に支持する基部エレメントの、作用媒体(M)に面した側
(Bt−E) 毛(B)を備えた交換可能な交換インサート
(D) 薄壁(W)の壁厚さ
(E) 超音波歯ブラシ(Uz)の電子的な最終段
(En) 係止解除溝
(F) 薄い圧電素子、特に薄い圧電フィルム
(H) 交換可能なブラシヘッドの支持体本体のネック、または一方で超音波歯ブラシ(Uz)の柄(Hg)に機械的かつ電気的に堅固に結合されたネック
(Hg) 超音波歯ブラシ(Uz)の柄
(K) 電気機械的トランスデューサ(Pz)もしくは薄い圧電素子、および/または薄い圧電フィルムのカプセル
(Kk) リード線(L)および電気機械的トランスデューサ(Pz)のケーブル通路
(L) リード線
(M) 作用媒体
(Mo) 作用媒体(M)と、毛(B)を堅固に支持する基部エレメントの、作用媒体(M)に面した側(Bt−o)との連結面
(Pz) 電気機械的トランスデューサ
(Pz−o) 電気機械的トランスデューサ(Pz)の超音波放射表面
(R) 係止接続部
(Rl) 係止ストリップ
(Rn) 係止溝
(Sch) 音場
(V) 振動体
(W) 薄壁
(Wo) 薄壁(W)の超音波放射面の最も低い高さ位置、一般に、薄壁(W)の超音波放射面
(Wm) 装着された毛(B)の高さに関して、薄壁(W)の超音波放射面の最も高い高さ位置
(Uz) 超音波歯ブラシ
2 電流供給ユニット、バッテリ
3 制御および電子ユニット
4 作動スイッチ、プログラムボタン
5 機能表示
6 ディスプレイ
7 充電ステーションのホルダ
8,8a 電気的な電子誘導装置