(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記選択部は、電源部から前記高周波増幅部に電力を供給する状態を前記第1の状態として形成し、前記電源部から前記高周波増幅部に電力を供給しない状態を前記第2の状態として形成する、
請求項1に記載の無線受信装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、消費電力の低減に対する要望は尽きることがなく、消費電力のさらなる低減が要望されている。
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、消費電力の低減を図ることができる無線受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためにこの発明の第1の態様の無線受信装置は、高周波増幅部が
基地局から送信されて受信アンテナにより得られた高周波信号を増幅する第1の状態と増幅しない第2の状態とを選択的に形成する選択部を備え、復調部は、選択部により第1の状態が形成された場合には高周波増幅部により増幅された高周波信号から、また選択部により第2の状態が形成された場合には高周波増幅部により増幅されていない高周波信号から変調信号を復調する。さらに判定部により、現在位置が
第1の範囲
よりも基地局から遠い第2の範囲内であることを判定した場合には、
制御部が第1の状態を形成するように選択部を制御し、判定部により、現在位置が第1の範囲内又は第2の範囲よりも基地局から遠い第3の範囲内であることを判定した場合には、制御部が第2の状態を形成するように選択部を制御する。
【0007】
この発明の第2の態様は、第1の態様における選択部が、電源部から高周波増幅部に電力を供給する状態を第1の状態として形成し、電源部から高周波増幅部に電力を供給しない状態を第2の状態として形成する。
【0008】
この発明の第3の態様は、第1の態様又は第2の態様における判定部が、
第1の範囲、第2の範囲及び第3の範囲に
それぞれ属する座標を表した情報を記憶する記憶部と、現在位置の座標を取得する取得部と、を備え、取得部により取得された座標が、記憶部により記憶された情報
で第1の範囲に属する座標として表
される場合に現在位置が
第1の範囲内であると判定
し、記憶部により記憶された情報で第2の範囲に属する座標として表される場合に現在位置が第2の範囲内であると判定し、記憶部により記憶された情報で第3の範囲に属する座標として表される場合に現在位置が第3の範囲内であると判定する。
【0009】
この発明の第4の態様は、第3の態様における記憶部が、無線受信装置による受信が行われ得る領域を複数に区切った小領域のそれぞれに関して、
第1の範囲、第2の範囲及び第3の範囲
のいずれに属する
かを判定するための予め定められた情報を記憶する。
【発明の効果】
【0010】
第1の態様によれば、
現在位置が第2の範囲内であることを判定した場合には、高周波増幅部が受信アンテナにより得られた高周波信号を増幅する第1の状態が形成され、現在位置が
第1の範囲内又は第3の範囲内であることを判定した場合には、高周波増幅部が受信アンテナにより得られた高周波信号を増幅しない第2の状態が形成される。このため、高周波増幅部が高周波信号を増幅する期間が短縮され、高周波増幅部による消費電力を低減できる。
【0011】
第2の態様によれば、第2の状態においては、高周波増幅部に電力が供給されない。このため、第2の状態における高周波増幅部での消費電力をゼロとすることができる。
【0012】
第3の態様によれば、記憶部に記憶された
第1の範囲、第2の範囲及び第3の範囲に
それぞれ属する座標と、取得部により取得された現在位置の座標との比較により現在位置が
第1の範囲内、第2の範囲内及び第3の範囲内
のいずれであるかの判定がなされる。このため、当該判定が簡易に行える。
【0013】
第4の態様によれば、記憶部では、無線受信装置による受信が行われ得る領域を複数に区切った小領域のそれぞれに関して、
第1の範囲、第2の範囲及び第3の範囲
のいずれに属する
かを判断するための予め定められた情報を記憶される。このため、無線受信装置による受信が行われ得る領域よりも小さな領域毎の事情を考慮して
第1の範囲、第2の範囲及び第3の範囲
のいずれに属する
かを決めることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
なお本実施形態においては、業務用無線システム用であり、無線受信装置を搭載した無線通信端末について説明する。
【0016】
(構成)
図1は業務用無線システム100の概略構成を示す図である。
業務用無線システム100は、1台の基地局101と、複数の無線通信端末102とを含む。なお、
図1には3台の無線通信端末102を示している。しかしながら、業務用無線システム100に含まれる無線通信端末102の台数は任意であってよい。また業務用無線システム100には、無線通信端末102とは異なる無線通信端末が含まれてもよい。
【0017】
この業務用無線システム100では、基地局101が無線通信端末102と通信できる範囲がサービスエリア200となる。基地局101は、所要のサービスエリア200を形成するのに適する場所に固定される。基地局101は、無線通信端末102と双方向で無線通信することで、当該無線通信端末102と他の無線通信端末102との双方向通信を可能とする。基地局101はまた、インターネット又は公衆通信網などの図示しないネットワークを介した双方向通信を無線通信端末102が行うことを可能とする。
無線通信端末102は、利用者により携帯されて、あるいは車両等に搭載されて、移動可能である。無線通信端末102は、基地局101と無線通信することにより、サービスエリア200内の任意の位置において、任意の相手と基地局101を介して双方向通信する。
【0018】
図2は無線通信端末102のうちの受信系の回路構成の一部を示すブロック図である。
無線通信端末102は、送信系の回路も備えるが、その図示及び説明については省略する。
無線通信端末102は、受信アンテナ1、BPF(band-pass filter)2、電源部3、スイッチ4、LNA(low noise amplifier)5、セレクタ6、後段回路部7、GPS(global positioning system)アンテナ8、取得部9、記憶部10、制御部11及び表示部12を含む。
【0019】
受信アンテナ1は、空間を伝播する電波として到来する無線信号を受けて高周波の電気信号(以下、高周波信号と称する)を出力する。
BPF2は、受信アンテナ1から出力された高周波信号のうちの予め定められた周波数帯域の成分のみを通過させる。上記の周波数帯域は、基地局101から無線通信端末102へのダウンリンクに割り当てられた周波数帯域である。つまりBPF2は、様々な無線信号の成分を含んだ高周波信号から、基地局101から送信された無線信号に相当する信号を抽出して出力する。
【0020】
電源部3は、例えばバッテリを含む。電源部3は、無線通信端末102に含まれる各種の電気回路を動作させるための電力を出力する。なお
図2においては、LNA5への電力供給の経路のみを示しており、その他の電力供給の経路の図示は省略している。
スイッチ4は、制御部11の制御の下に、電源部3からLNA5への電力供給をオン/オフする。
【0021】
LNA5は、BPF2から出力された高周波信号を増幅して出力する。
セレクタ6は、BPF2から出力される高周波信号とLNA5から出力される高周波信号とを、制御部11の制御の下に選択して出力する。
後段回路部7は、ミキサ7a及びベースバンド部7bを含む。ミキサ7aは、セレクタ6から出力された高周波信号に対して、別途入力されるローカル信号を混合することによって周波数変換を行い、ベースバンド信号を得る。ベースバンド部7bは、ミキサ7aから出力されるベースバンド信号に対して、予め定められた信号処理を行う。この信号処理には、高周波信号に含まれていた変調信号を復調する処理が少なくとも含まれる。従って後段回路部7は、復調部としての機能を備える。
【0022】
GPSアンテナ8は、複数のGPS衛星から送信されて電波として到来する衛星信号を受けて電気信号(以下、GPS信号と称する)を出力する。
取得部9は、GPSアンテナ8から出力されたGPS信号に基づいて、現在位置の座標情報を取得し、出力する。この取得部9としては、例えば既製のGPS測位デバイスを用いることができる。座標情報は例えば、地球の緯度及び経度をそれぞれ表す数値の組み合わせである。
【0023】
記憶部10は、受信状況情報を記憶する。受信状況情報は、サービスエリア200内及びその周辺の様々な位置をそれぞれ表す座標に関して、その座標に位置する無線通信端末102での基地局101から送信された無線信号の受信レベルを記述している。受信状況情報は、例えば業務用無線システム100の構築時などにおいて、作業者などにより作成される。受信状況情報の作成に際して作業者は、例えば無線通信端末102での受信レベルを、実測、コンピュータシミュレーション又は論理計算などにより求めて、受信状況情報に反映する。
【0024】
制御部11は、取得部9から出力される座標情報と記憶部10に記憶された受信状況情報とに基づいて無線通信端末102の現在位置における受信レベルを判定し、それに応じてスイッチ4及びセレクタ6を後述するように制御する。
制御部11は、例えばコンピュータを備え、当該コンピュータによる情報処理により上記の制御を実現する。ただし制御部11は、ロジック回路などにより構成することも可能である。
表示部12は、制御部11の制御の下に任意の情報を表示する。表示部12には、例えば液晶表示器などの周知の表示デバイスを含み得る。
【0025】
図3は受信状況情報における受信レベルの設定例を示す図である。
この例では、破線で示すように、サービスエリア200及びその周辺を緯度方向及び経度方向にメッシュ状に区切って形成される多数のセルCのそれぞれについて受信レベルを決定する例である。なお、各セルCの大きさ及びセルCの総数は、任意であってよい。また、異なるサイズのセルCが混在してもよい。例えば基地局101の周辺のセルCのサイズを、サービスエリア200の外のセルCのサイズよりも小さく設定するなどしてもよい。
【0026】
図3中の点P0は、基地局101の位置を示す。エリア201は、受信電界強度が−70dBm以上となる範囲を表している。
そして
図3に左上がりのハッチングで示しているセルCの内部についての受信レベルをレベル1と定める。
図3に右上がりのハッチングで示しているセルCの内部についての受信レベルをレベル2と定める。さらに、
図3でハッチングを付していないセルCの内部についての受信レベルをレベル3と定める。つまり、セルC内の大半の位置で受信電界強度が−70dBm以上となるセルCの受信レベルをレベル1としている。また、セルC内の大半の位置がサービスエリア200内であるものの、受信電界強度が−70dBm未満となるセルCの受信レベルをレベル2としている。そして、セルC内の大半の位置がサービスエリア200外であるセルCの受信レベルをレベル3としている。
【0027】
ただし、受信電界強度は、基地局101からの距離だけでなく、物理的又は電磁的な外乱によっても変化する。そこで、そのような外乱の影響を受ける環境にあるならば、それを考慮して各セルCの受信レベルが設定されることが好ましい。
【0028】
図4は上記のような設定に基づいて生成される受信状況情報の一例を示す図である。
受信状況情報は、セルCのそれぞれを区別するためのセル番号に関連付けて、そのセルCの対角に位置する第1及び第2の座標と、そのセルCに設定された受信レベルの値とを記述している。
【0029】
ここでは、セル番号「CE1−1」は、
図3中の上から1行目、かつ左から1列目に位置するセルCを、すなわち
図3中の左上角に位置するセルCを表す。セル番号「CE1−15」は、
図3中の上から1行目、かつ左から15列目に位置するセルを、
図3中の右上角に位置するセルを表す。
【0030】
図4に受信状況情報は、セル番号CE1−1のセルCは、座標Ca1−1及び座標Cb1−1を対角とする矩形の範囲であることを表している。なお、便宜的に座標を「Ca1−1」及び「Cb1−1」のように表しているが、実際には取得部9が出力する座標情報と同じ座標系を表す値が受信状況情報に記述される。
【0031】
そして受信状況情報は、例えば
図3中の上から1行目の全てのセルCと、2行目の1列目〜7列目の各セルCは、いずれも受信レベルがレベル3であることを数値「3」として記述している。また受信状況情報は、例えば
図3中の上から2行目、かつ左から8列目のセル「CE2−8」は、受信レベルがレベル2であることを数値「2」として記述している。さらに受信状況情報は、例えば
図3中の上から4行目、かつ左から8列目のセル「CE4−8」は、受信レベルがレベル1であることを数値「1」として記述している。
【0032】
(動作)
次に、以上のように構成された無線通信端末102の動作について説明する。
図5は制御部11による情報処理のフローチャートである。なお、この
図5に示すとともに以下に説明する処理は、一例であって、同様の結果を得ることができれば処理の順序などを適宜に変更可能である。
制御部11は、無線通信端末102の動作状態が待ち受け状態になると、この
図5に示す情報処理を開始する。
【0033】
ステップSa1において制御部11は、取得部9から位置情報を取得する。
ステップSa2において制御部11は、現在位置に関するレベルを判定する。すなわち制御部11は具体的には、ステップSa1で取得した位置情報で示される現在位置が属するセルCを記憶部10に記憶された受信状況情報を参照して判定し、さらにそのセルCに関して受信状況情報に記述されたレベルを取得する。
【0034】
ステップSa3において制御部11は、上記の判定したレベルが「1」であるか否かを確認する。そして制御部11は、当該のレベルが「1」であるならばYesと判定し、ステップSa4へと進む。
ステップSa4において制御部11は、スイッチ4及びセレクタ6をともに第2の状態とする。これによりスイッチ4がオフとなり、LNA5への電源部3からの電力供給が断たれる。またBPF
2が出力する高周波信号をセレクタ6が選択することにより、当該高周波信号が後段回路部7へと入力される。つまり、LNA5の動作が無効な状態となる。
このように制御部11は、現在位置がレベル1として受信状況情報に設定された範囲である場合に、現在位置が所定範囲内であると判定し、第2の状態を形成するようにスイッチ4及びセレクタ6からなる選択部を制御する。従って受信状況情報は所定範囲に属する座標を表した情報の一例である。制御部11は、取得部9により取得された座標が記憶部10により記憶された受信状況情報が所定範囲に属する座標として表す座標である場合に、現在位置が所定範囲内であると判定する。従って、取得部9、記憶部10及び制御部11により判定部としての機能が実現される。また制御部11は、制御部としての機能を備える。
【0035】
制御部11は、ステップSa2で判定したレベルが「1」ではないならば、ステップSa3でNoと判定し、ステップSa5へと進む。
ステップSa5において制御部11は、ステップSa2で判定したレベルが「2」であるか否かを確認する。そして制御部11は、当該のレベルが「2」であるならばYesと判定し、ステップSa6へと進む。
ステップSa6において制御部11は、無線通信端末102の動作状態として第1の状態を形成する。具体的には制御部11は、スイッチ4を
図2に示すようにオンとし、またセレクタ6を
図2に示すようにLNA5の出力を選択する状態とする。かくして、スイッチ4を介してLNA5へと電源部3から電力供給される。またLNA5が出力する高周波信号が、セレクタ6を介して後段回路部7へと入力される。つまり、LNA5の動作が有効な状態となる。
【0036】
制御部11は、ステップSa2で判定したレベルが「2」ではないならば、すなわちレベルが「3」であるならば、ステップSa5でNoと判定し、ステップSa7へと進む。
ステップSa7において制御部11は、無線通信端末102の動作状態として第2の状態を形成する。具体的には制御部11は、スイッチ4をオフとし、またセレクタ6をBPF2の出力を選択する状態とする。かくして、LNA5へと電源部3からの電力供給はスイッチ4により遮断される。またBPF2が出力する高周波信号が、セレクタ6を介して後段回路部7へと入力される。つまり、LNA5の動作が無効な状態となる。
以上のように、スイッチ4及びセレクタ6により、高周波信号を増幅する第1の状態と増幅しない第2の状態とを選択的に形成する選択部としての機能が実現される。
ステップSa8において制御部11は、無線通信端末102がサービスエリア200の外に位置していることを利用者に通知するための圏外表示を表示部12に行わせる。
【0037】
制御部11は、ステップSa4、ステップSa6又はステップSa8を終えたならば、いずれの場合もステップSa9へと進む。
ステップSa9において制御部11は、無線通信端末102が待ち受け中であるか否かを確認する。そして制御部11は、待ち受け状態が継続しているならばYesと判定し、ステップSa10へと進む。
ステップSa10において制御部11は、現在位置をチェックすべきタイミングとして予め定められたチェックタイミングとなったか否かを確認する。そして制御部11は、チェックタイミングではないならばNoと判定し、ステップSa9に戻る。
かくして制御部11はステップSa9及びステップSa10においては、待ち受け状態が解消されるか、又はチェックタイミングとなるまで待機する。そして制御部11は、チェックタイミングとなったならばステップSa10にてYesと判定し、ステップSa1以降の処理を繰り返す。なお、どのようなタイミングをチェックタイミングとするかは、無線通信端末102の設計者又は無線通信端末102の利用者により任意に決定されてよい。チェックタイミングは例えば、一定間隔毎とすることや、加速度センサなどによって無線通信端末102の移動が検出された時とすることが想定される。
【0038】
制御部11は一方、ステップSa9及びステップSa10の待機状態にあるときに待ち受け状態が解消されたならば、ステップSa9にてNoと判定し、ステップSa11へと進む。
ステップSa11において制御部11は、無線通信端末102の動作状態として第1の状態を形成する。これは、待ち受け状態が解消されて通信状態となるのに備えるためである。本実施形態においては、通信状態においては、無線通信端末102の現在位置に拘わらずにLNA5の動作を有効とすることとしている。そして制御部11は、
図5に示す情報処理を終了する。
【0039】
(効果)
以上述べたように無線通信端末102では、当該無線通信端末102が待ち受け状態にあり、かつ当該無線通信端末102がレベル1として設定されたセル内に位置する場合には、制御部11は第2の状態を形成する。第2の状態では、LNA5に高周波信号が入力されず、LNA5での電力消費は高周波信号を増幅している場合に比べて小さく抑えられる。無線通信端末102は、移動端末であるから、典型的には電源部3に含まれるバッテリに蓄えられた電力を用いて動作する。無線通信端末102は、このバッテリからの電力消費を低減できるので、バッテリライフを延長することが可能となる。そして本実施形態においては、セルC内の大半の位置で受信電界強度が−70dBm以上となるセルCの受信レベルをレベル1としている。このため、無線通信端末102がレベル1として設定されたセル内に位置する場合には、当該無線通信端末102は基地局101から送信された無線信号を高強度で受信できる可能性が高い。従って、LNA5での増幅を経ない高周波信号から後段回路部7にて呼び出し信号等を抽出することが可能であり、待ち受け状態を正常に維持できる可能性が高い。
【0040】
また無線通信端末102では、当該無線通信端末102がレベル3として設定されたセル内に位置する場合にも、制御部11は第2の状態を形成する。無線通信端末102がレベル3として設定されたセル内に位置する場合には、当該無線通信端末102には基地局101から送信された無線信号がほとんど到達しない可能性が高い。つまり、後段回路部7にて呼び出し信号等を抽出することが可能なレベルで高周波信号を得ることがそもそも困難なのであり、LNA5における増幅の必要性は非常に低い。このため、第2の状態としても大きな問題はなく、さらなる電力消費の低減を図ることが可能となる。
ただし、基地局101から送信された無線信号のある位置での受信強度は常に一定な訳ではなく、環境に応じて変動することが知られている。このため、レベル3として設定されたセル内に位置する無線通信端末102であっても、基地局101との通信が行える可能性はゼロではない。このため、無線通信端末102がレベル3として設定されたセル内に位置する場合であっても、制御部11は第1の状態を形成してもよい。あるいは、レベル3として設定されたセルの設定をレベル2に変更してもよい。これにより、電力消費量は上記実施形態よりも増加するものの、サービスエリア200の外縁近傍に位置する無線通信端末102が通信を行える可能性を高めることができる。
【0041】
セレクタ6をBPF2とLNA5との間に設けて、第2の状態においてはLNA5への高周波信号の入力を行わないようにしてもよい。そしてこの場合には、スイッチ4を省略することもできる。LNA5は、増幅対象の信号が入力されないならば、信号の増幅のためのエネルギ消費は生じず、増幅対象の信号が入力される場合に比べて消費電力は少ない。このため、電源部3からの電力供給を継続したままであっても、消費電力の低減が図れる。
ただし、スイッチ4により電源部3からLNA5への電力供給を断てば、LNA5の内部回路の損失等による電力消費をも生じさせないようにすることができるので、上記実施形態のようにスイッチ4を制御することが、消費電力低減の点では好ましい。
【0042】
[その他の実施形態]
無線通信端末102が基地局101を介して他の任意の通信端末と行う通信を、LNA5を用いずに実行可能な程度の受信電界強度が得られるセルCをレベル1として設定しておくならば、他の任意の通信端末との通信中においても第2の状態を形成してもよい。つまり、第2の状態を設定するのは、無線通信端末102が待ち受け状態にある場合に限る必要はない。このようにすれば、LNA5における電力消費を低減できる期間を前記実施形態よりも長くすることができ、さらなる消費電力の低減を図ることができる。
【0043】
受信状況情報は、第1の状態を形成すべきセルCに関する情報のみを記述していてもよいし、逆に第2の状態を形成すべきセルCに関する情報のみを記述していてもよい。そして制御部11は、前者の場合には、現在位置が属するセルCに関する情報が受信状況情報に記述されている場合には第1の状態を形成し、記述されていない場合には第2の状態を形成する。また制御部11は、後者の場合には、現在位置が属するセルCに関する情報が受信状況情報に記述されている場合には第2の状態を形成し、記述されていない場合には第1の状態を形成する。
【0044】
基地局101は固定であるから、その存在位置の座標は既知である。このため、制御部11では、取得部9から出力される位置情報で示される座標と、上記の基地局101の座標とから、基地局101に対する無線通信端末102の離間距離を周知のように計算することが可能である。また、無線通信端末102における受信電界強度は、基本的には基地局101に対する無線通信端末102の離間距離に反比例する。そこで制御部11は、上記のように計算した離間距離が、第1の閾値未満である場合にはレベル1とし、第1の閾値以上で、第1の閾値よりも大きな第2の閾値未満である場合にはレベル2とし、第2の閾値以上である場合にはレベル3として判定してもよい。このようにすれば、受信状況情報を記憶部10に記憶する必要がない。ただし、前記実施形態によれば、基地局101からの離間距離が同じである別々のセルCに対して別々のレベルを設定することが可能である。つまり、離間距離以外の事情によるセルC毎での受信電界強度の違いを考慮することが可能であり、上記の変形例よりも適正な制御が可能である。
【0045】
基地局と無線通信端末との間で無線通信を行うことにより無線通信端末による通信を可能とするシステムであれば、業務用無線システム以外の様々な無線システムに本願発明を適用することが可能である。また、双方向通信を行うものではなく、基地局から送信される無線信号を受信するだけの無線受信装置として実現することも可能である。
【0046】
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。