特許第6941512号(P6941512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6941512
(24)【登録日】2021年9月8日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/53 20060101AFI20210916BHJP
   A61F 13/532 20060101ALI20210916BHJP
【FI】
   A61F13/53 100
   A61F13/53 300
   A61F13/532 200
   A61F13/532 100
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-171504(P2017-171504)
(22)【出願日】2017年9月6日
(65)【公開番号】特開2019-42401(P2019-42401A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 瓊
(72)【発明者】
【氏名】一萬田 俊明
【審査官】 津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−148328(JP,A)
【文献】 特開2010−068954(JP,A)
【文献】 特開2012−075566(JP,A)
【文献】 特開2015−066027(JP,A)
【文献】 特開2010−057526(JP,A)
【文献】 特開2012−105962(JP,A)
【文献】 特開2017−108883(JP,A)
【文献】 特開2013−123619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液保持性の吸収性コアと該吸収性コアの肌対向面を被覆する肌側コアラップシートとを有する吸収体、及び該吸収体の肌対向面側に配された液透過性の表面シートを具備し、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる縦方向とこれに直交する横方向とを備えると共に、該股間部に配される股下部並びにその前後に延在する腹側部及び背側部を備える吸収性物品であって、
前記肌側コアラップシートは、前記吸収性コアに当接する内面側に配され且つ非熱可塑性の親水性繊維を主体として構成された親水性繊維層と、該親水性繊維層に当接する外面側に配され且つ熱可塑性合成繊維を主体として構成された合成繊維層とを有する積層シートであり、
前記吸収体は、前記肌側コアラップシートが前記吸収性コアの内部に食い込んだ凹陥部を有し、
前記吸収体の前記凹陥部では、前記表面シートと前記吸収体との間に空間が形成されており、
前記肌側コアラップシートは、前記凹陥部での液透過性が、該凹陥部以外の部分での液透過性よりも高い、吸収性物品。
【請求項2】
液保持性の吸収性コアと該吸収性コアの肌対向面を被覆する肌側コアラップシートとを有する吸収体、及び該吸収体の肌対向面側に配された液透過性の表面シートを具備し、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる縦方向とこれに直交する横方向とを備えると共に、該股間部に配される股下部並びにその前後に延在する腹側部及び背側部を備える吸収性物品であって、
前記肌側コアラップシートは、前記吸収性コアに当接する内面側に配され且つ非熱可塑性の親水性繊維を主体として構成された親水性繊維層と、該親水性繊維層に当接する外面側に配され且つ熱可塑性合成繊維を主体として構成された合成繊維層とを有する積層シートであり、
前記肌側コアラップシートを構成する前記熱可塑性合成繊維は、その親水度が、前記非熱可塑性の親水性繊維の親水度よりも低く、
前記吸収体は、前記肌側コアラップシートが前記吸収性コアの内部に食い込んだ凹陥部を有し、
前記凹陥部では、前記肌側コアラップシートにおける前記親水性繊維層を構成する前記非熱可塑性の親水性繊維が外面側の前記合成繊維層を通り抜けて前記吸収体の肌対向面側に露出しており、
前記肌側コアラップシートは、前記凹陥部での液透過性が、該凹陥部以外の部分での液透過性よりも高い、吸収性物品。
【請求項3】
前記肌側コアラップシートを構成する前記非熱可塑性の親水性繊維と、前記吸収性コアを構成する吸収性材料に含まれる親水性繊維とが、ともに木材パルプ繊維である、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収体の前記凹陥部では、前記吸収性コアの密度が、該凹陥部以外の該吸収性コアの部分の密度よりも大きい、請求項1〜の何れか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつなどの吸収性物品として、一般的に、肌対向面を形成する液透過性の表面シート、非肌対向面を形成する液不透過性の裏面シート及びこれら両シート間に配置された吸収体を具備し、該吸収体が、木材パルプや吸水性ポリマー等の吸収性材料を含む吸収性コアと、該吸収性コアの外面を被覆するコアラップシートとからなるものが知られている。
【0003】
コアラップシートは、吸収体の製造時には吸収性材料を受けるためのシートとして働き、製造後には吸収性コアを包んで形状化する役割等を果たす。コアラップシートとしては、薄葉紙、吸収紙等の透水性シートを用いるのが一般的であるところ、体液吸収後の吸収体の強度向上の観点から、本出願人は、先に、不織布製の透水性シートを用いることを提案した(特許文献1)。
【0004】
特許文献1には、液保持性の吸収性コアに非積繊部を設け、該非積繊部において、吸収性コアを覆う肌側のコアラップシートと非肌側のコアラップシートとが接合している吸収体を備える吸収性物品が記載されている。特許文献1には、コアラップシートとして、親水化処理が施された繊維からなる親水性不織布を用いることが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、吸収性物品の具備する吸収体が、厚み方向に圧縮した圧搾部を有し、該圧搾部が第1傾斜方向に延びる第1圧搾部及び第2傾斜方向に延びる第2圧搾部を備えている吸収性物品が記載されている。特許文献2に記載の吸収体の有する第1圧搾部及び第2圧搾部は、間隔を空けて交互に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−83194号公報
【特許文献2】特開2014−100262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の吸収性物品によれば、吸収体の保形性に優れ、着用中に吸収体が壊れ難く、使用感が向上する。
【0008】
しかし、特許文献1及び2には、コアラップシートに、多層構造の不織布を用いることに関して、何ら記載されていない。また、特許文献1及び2には、肌の濡れを低減し、肌への液戻り防止性に関して、何ら記載されていない。
【0009】
したがって本発明は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、液保持性の吸収性コアと該吸収性コアの肌対向面を被覆する肌側コアラップシートとを有する吸収体、及び該吸収体の肌対向面側に配された液透過性の表面シートを具備し、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる縦方向とこれに直交する横方向と
を備えると共に、該股間部に配される股下部並びにその前後に延在する腹側部及び背側部を備える吸収性物品であって、前記肌側コアラップシートは、前記吸収性コアに当接する内面側に配され且つ非熱可塑性の親水性繊維を主体として構成された親水性繊維層と、該親水性繊維層に当接する外面側に配され且つ熱可塑性合成繊維を主体として構成された合成繊維層とを有する積層シートであり、前記吸収体は、前記肌側コアラップシートが前記吸収性コアの内部に食い込んだ凹陥部を有し、前記肌側コアラップシートは、前記凹陥部での液透過性が、該凹陥部以外の部分での液透過性よりも高い、吸収性物品である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、体液の液拡散性が向上して、着用中の肌の濡れを低減すると共に、肌への液戻り防止性に優れる吸収性物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態である展開型使い捨ておむつの肌対向面即ち表面シート側を模式的に示す平面図であり、各部の弾性部材を伸張させて平面状に拡げた展開状態における平面図である。
図2図2は、図1のII−II線断面を模式的に示す横断面図である。
図3図3は、図1に示す使い捨ておむつの備える吸収体の平面図である。
図4図4は、図1のIV−IV線断面を模式的に示す横断面図である。
図5図5は、図1に示す使い捨ておむつの備える吸収体における凹陥部の厚み方向に沿う断面を模式的に示す断面図である。
図6図6は、本発明に係る吸収体における凹陥部の他のパターンを模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい一実施形態である展開型使い捨ておむつの一例に基づき図面を参照して説明する。図1及び図2には、本実施形態の展開型使い捨ておむつ1が示されている。おむつ1は、液保持性の吸収性コア40と吸収性コア40の肌対向面を被覆する肌側コアラップシート41Uとを有する吸収体4、及び吸収体4の肌対向面側に配された液透過性の表面シート2を具備する。おむつ1は、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを備えると共に、該股間部に配される股下部1M並びにその前後に延在する腹側部1F及び背側部1Rを備える。腹側部1F、股下部1M及び背側部1Rは、おむつ1を縦方向Xに三等分した場合の各領域に相当する。股下部1Mは、おむつ1の着用時に着用者のペニス、肛門等の排泄部に対向配置される排泄部対向部を有しており、該排泄部対向部は通常、おむつ1の縦方向Xの中央部又はその近傍に位置している。尚、縦方向X及び横方向Yからなる面方向に直交する垂直方向である厚み方向をZ方向として説明する。
【0014】
おむつ1は、図1及び図2に示すように、吸収性コア40を有する吸収体4と、吸収体4の肌対向面側に配され、吸収体4よりも着用者の肌に近くに位置して着用時に着用者の肌と接触し得る液透過性の表面シート2と、吸収体4の非肌対向面側に配され、吸収体4よりも着用者の肌から遠くに位置する液不透過性ないし撥水性の裏面シート3とを具備している。おむつ1は、図1に示す如き平面視において、股下部1Mに位置する縦方向Xの中央部が内方に括れ且つ一方向即ち縦方向Xに長い、縦長の砂時計状をなしている。表面シート2及び裏面シート3は、それぞれ、両シート2,3間に介在配置された吸収体4よりも大きな寸法を有し、図1に示す如き展開且つ伸張状態のおむつ1の外形を形成している。
【0015】
尚、本明細書において、「肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収性コア40)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面、即ち相対的に
着用者の肌に近い側であり、「非肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌から遠い側である。尚、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置が維持された状態を意味する。
【0016】
腹側部1F及び背側部1Rそれぞれのウエスト部、即ち縦方向Xの端部における表面シート2と裏面シート3との間には、帯状の弾性部材11が、おむつ1の横方向Yの略全長に亘って横方向Yに伸長状態で固定されており、これにより、おむつ1の着用時における該ウエスト部には、弾性部材11の収縮によりウエストギャザーが形成される。また、背側部1Rにおける着用者の胴周りに対応する胴周り部における表面シート2と裏面シート3との間には、糸状の弾性部材12が横方向Yに伸長状態で複数固定されており、これにより、おむつ1の着用時における該胴周り部には、弾性部材12の収縮により胴周りギャザーが形成される。また、おむつ1の表面シート2側即ち肌対向面側における縦方向Xに沿う左右両側には、それぞれサイドシート5が配されている。サイドシート5は、縦方向Xに沿う内側縁部と、該内側縁部よりも横方向Yの外方に位置して縦方向Xに沿う外側縁部とを有し、図1に示す如き平面視において、該内側縁部は吸収体4と重なり、該外側縁部は吸収体4の縦方向Xに沿う側縁から横方向Yの外方に延出し、図2に示すように、裏面シート3と接合されている。着用者の脚周りに配される左右のレッグ部におけるサイドシート5と裏面シート3との間には、糸状の弾性部材13が縦方向Xに沿って伸長状態で固定されており、これにより、おむつ1の着用時における該レッグ部には、弾性部材13の収縮により一対のレッグギャザーが形成される。また、サイドシート5の内側縁部には、糸状の弾性部材14が縦方向Xに沿って伸長状態で固定されていると共に、該内側縁部は、少なくとも股下部1M、具体的には例えば、股下部1M並びに腹側部1F及び背側部1Rにおける股下部1M寄りの部分においては、表面シート2をはじめとするおむつ1の他の構成部材と非接合の自由端部とされ、腹側部1F及び背側部1Rにおける縦方向Xの前後端部においては、表面シート2に接合されている(図示せず)。斯かるサイドシート5の構成により、おむつ1の着用時には縦方向Xに弾性部材14の収縮力が働き、サイドシート5は、少なくとも内側縁部が自由端部とされている領域である股下部1Mにおいて、裏面シート3との接合部を起点として着用者の肌に向かって起立し、左右一対の防漏カフが形成される。表面シート2、裏面シート3、吸収体4、サイドシート5及び各弾性部材11〜14は、ホットメルト接着剤等の公知の接合手段により互いに接合されている。
【0017】
図1に示すように、おむつ1の背側部1Rの縦方向Xに沿う両側縁部には、一対のファスニングテープ6,6が設けられている。ファスニングテープ6には、機械的面ファスナーのオス部材からなる止着部61が取り付けられている。また、おむつ1の腹側部1Fの非肌対向面には、機械的面ファスナーのメス部材からなる被止着領域7が形成されている。被止着領域7は、腹側部1Fの非肌対向面を形成する裏面シート3の非肌対向面に、機械的面ファスナーのメス部材を公知の接合手段、例えば接着剤やヒートシール等で接合固定して形成されており、ファスニングテープ6の止着部61を着脱自在に止着可能になされている。
【0018】
表面シート2としては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来使用されている各種のものを特に制限なく用いることができ、尿や便などの体液を透過し得る液透過性シートであることを前提として、合成繊維又は天然繊維からなる織布や不織布、多孔性シート等を用いることができる。表面シート2の一例として、コットン等の天然繊維を材料とする不織布や、各種合成繊維に親水化処理を施したものを材料とする不織布を用いることができる。例えば、芯成分にポリプロピレンやポリエステル、鞘成分にポリエチレンを用いた、芯鞘構造型(サイドバイサイド型も含む)複合繊維をカーディングによりウエブ化した後、エアスルー法によって不織布(この後所定箇所に開孔処理を施しても良い)としたものが挙げられる。また、透液性の高さの点(ドライ感)から、低密度ポリエチレン等のポリオ
レフィンからなる開孔シートも好ましく用いることができる。
裏面シート3としては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来使用されている各種のものを特に制限なく用いることができ、液不透過性(撥水性を含む)で、且つ透湿性のものが好ましく用いられる。具体的に十分な水蒸気透過性を得るために、炭酸カルシウム等のフィラーからなる微粉を分散させたポリエチレン等の合成樹脂製のフィルムを延伸し、微細な孔を設けた多孔質フィルムは、裏面シート3として好適に使用できる。
サイドシート5としては、裏面シート3として使用可能なものを用いることができる。
【0019】
吸収体4は、図2及び図3に示すように、液保持性の吸収性コア40と、吸収性コア40を被覆するコアラップシート41とを含んで構成されている。吸収性コア40とコアラップシート41との間は、ホットメルト接着剤等の公知の接合手段により接合されていることが好ましい。吸収体4を構成する吸収性コア40は、図1及び図3に示す如き平面視において、股下部1Mに位置する縦方向Xの中央部が内方に括れた砂時計状で且つ縦方向Xに長い縦長の形状を有している。
【0020】
吸収性コア40は吸収性材料を主体として構成され、吸収性コア40における吸収性材料の含有量は通常ほぼ100質量%である。吸収性材料としては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来使用されている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、木材パルプ等のセルロース系繊維、親水化剤により処理された合繊繊維等の親水性繊維や吸水性ポリマーが挙げられる。吸収性コア40の構成として、親水性繊維の積繊体、あるいは該積繊体に吸水性ポリマーを担持させた構成、あるいは吸水性ポリマーのみからなる構成を例示できる。吸収性コア40の坪量は、おむつ1の着用時の違和感を抑制し、フィット性を向上させる観点から、50g/m2以上500g/m2以下であることが好ましく、100g/m2以上450g/m2以下であることが更に好ましい。
【0021】
コアラップシート41は、おむつ1では、図2図4に示すように、吸収性コア40の肌対向面を被覆する肌側コアラップシート41Uと、吸収性コア40の非肌対向面を被覆する非肌側コアラップシート41Dとを有している。肌側コアラップシート41U及び非肌側コアラップシート41Dは、それぞれ別のシートで形成されていてもよいが、おむつ1では、1枚のコアラップシート41で形成されている。具体的には、1枚のコアラップシート41は、縦方向Xにおいては、吸収性コア40の縦方向Xの長さ以上の長さであり、横方向Yにおいては、図2に示すように、吸収性コア40の肌対向面を被覆し、更に、該コアラップシート41の縦方向Xに沿う両側部が吸収性コア40の非肌対向面側に巻き込まれ、吸収性コア40の非肌対向面の横方向Y中央部で重なり合うようにして、吸収性コア40を包み込んでいる。このように吸収性コア40を包み込んだ1枚のコアラップシート41において、吸収性コア40の肌対向面を被覆するシート部分が肌側コアラップシート41Uとなり、吸収性コア40の非肌対向面を被覆するシート部分が非肌側コアラップシート41Dとなる。
【0022】
肌側コアラップシート41U及び非肌側コアラップシート41Dは、それぞれ、図2及び図3に示すように、吸収性コア40に当接する内面側に配され且つ非熱可塑性の親水性繊維45を主体として構成された親水性繊維層43と、親水性繊維層43に当接する外面側に配され且つ熱可塑性合成繊維44を主体として構成された合成繊維層42とを有する積層シートである。図4には、吸収性コア40と、吸収性コア40の肌対向面側に配された肌側コアラップシート41Uと、吸収性コア40の非肌対向面側に配された非肌側コアラップシート41Dとの厚み方向(Z方向)に沿う断面が示されている。
【0023】
合成繊維層42は熱可塑性合成繊維44を主体とし、親水性繊維層43は非熱可塑性の親水性繊維45を主体として構成されている。合成繊維層42は、熱可塑性合成繊維44を少なくとも80質量%以上含有し、熱可塑性合成繊維44の含有量は合成繊維層42の
全質量に対して100質量%でも良い。また、親水性繊維層43は、親水性繊維45を少なくとも80質量%以上含有し、親水性繊維45の含有量は親水性繊維層43の全質量に対して100質量%でも良い。
【0024】
肌側コアラップシート41Uは、図4に示すように、着用者の肌から相対的に近く、吸収性コア40の外面側に配される合成繊維層42と、着用者の肌から相対的に遠く、吸収性コア40に当接する内面側の親水性繊維層43との積層構造(2層構造)を含んで構成されている。肌側コアラップシート41Uの合成繊維層42は表面シート2に対向配置され、親水性繊維層43は吸収性コア40に対向配置されている。合成繊維層42と親水性繊維層43とは、少なくとも後述する凹陥部8を介して一体とされており、その製法によってはさらに、両層42,43の構成繊維どうしの絡み合い、接着剤などの接合手段などの他の一体化手段によっても一体とされ得る。
【0025】
非肌側コアラップシート41Dは、図4に示すように、着用者の肌から相対的に遠く、吸収性コア40の外面側に配される合成繊維層42と、着用者の肌から相対的に近く、吸収性コア40に当接する内面側の親水性繊維層43との積層構造(2層構造)を含んで構成されている。非肌側コアラップシート41Dの合成繊維層42は裏面シート3に対向配置され、親水性繊維層43は吸収性コア40に対向配置されている。合成繊維層42と親水性繊維層43とは、その製法によってはさらに、両層42,43の構成繊維どうしの絡み合い、接着剤などの接合手段などの一体化手段によって一体とされ得る。
【0026】
おむつ1のコアラップシート41では、合成繊維層42及び親水性繊維層43は何れも繊維集合体である。斯かる繊維集合体の形態は特に制限されず、例えば不織布、織布、紙が挙げられる。典型的な形態は、合成繊維層42が不織布、親水性繊維層43が紙である。尚、図4及び図5では理解を容易にする観点から、熱可塑性合成繊維44を相対的に細い線で、非熱可塑性の親水性繊維45を相対的に太い線で表示しているが、実際の繊維の太さとは無関係である。
【0027】
肌側コアラップシート41U及び非肌側コアラップシート41Dは、それぞれ、合成繊維層42を構成する不織布を含んで構成されている。合成繊維層42を構成する不織布としては、各種製法によるものを特に制限なく用いることができ、例えば、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布などが挙げられ、更に、エアスルー不織布、スパンレース不織布、レジンボンド不織布、ニードルパンチ不織布などが挙げられる。これらの不織布を2種以上組み合わせた積層体や、これらの不織布とフィルム等とを組み合わせた積層体を用いることもできる。これらの不織布の中でも、スパンボンド不織布及びスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布は、エアスルー不織布などに比して、吸収性コア40に含まれる吸水性ポリマーなどの吸収性材料の漏れ出しを防止する効果に優れるため好ましい。同様な観点から、スパンボンド不織布、又はスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布の平均繊維間距離は、好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上、そして、好ましくは200μm以下、さらに好ましくは180μm以下である。平均繊維間距離は下記方法により測定される。尚、肌側コアラップシート41Uの該平均繊維間距離は、凹陥部8以外の部分(非凹陥部であるエンボス区画領域ET)で測定する。
【0028】
<合成繊維層42を構成する不織布の平均繊維間距離の測定方法>
不織布、紙等の繊維集合体の平均繊維間距離は、Wrotnowskiの仮定に基づく下記式(1)により求められる。下記式(1)は一般に、繊維集合体の繊維間距離を求める際に用いられる。Wrotnowskiの仮定の下では、繊維は円柱状であり、それぞれの繊維は交わることなく規則正しく並んでいる。
測定対象のシート(肌側コアラップシート41U又は非肌側コアラップシート41D)
が単層構造の場合、その単層構造のシートの平均繊維間距離は下記式(1)で求められる。
測定対象のシートがSMS不織布の如き多層構造の場合、その多層構造のシートの平均繊維間距離は以下の手順に従って求められる。
まず、下記式(1)により、多層構造を構成する各層の平均繊維間距離を算出する。その際、下記式(1)で用いる厚みt、坪量W、繊維密度ρ及び繊維径Dは、それぞれ、測定対象の層についてのものを用い、厚みtについては、測定対象の層の厚み方向に沿う断面の顕微鏡観察により測定する。厚みt、坪量W及び繊維径Dは、それぞれ、複数の測定点における測定値の平均値である。坪量W(g/m2)は、測定対象のシートを所定の大
きさにカットし、重量測定後に、その重量測定値を、該所定の大きさから求まる面積で除することで求められる。繊維密度ρ(g/cm3)は、密度勾配管を使用して、JIS
L1015化学繊維ステープル試験方法に記載の密度勾配管法の測定方法に準じて測定する(URLはhttp://kikakurui.com/l/L1015−2010−01.html、書籍ならJISハンドブック繊維−2000、(日本規格協会)のP.764〜765に記載)。繊維径D(μm)は、走査型電子顕微鏡(セイコーインスツルメンツ株式会社製DSC6200)を用いて、カットした繊維の繊維断面を10本測定し、その平均値を繊維径とする。
次に、各層の平均繊維間距離に、多層構造全体の厚みに占める該層の厚みの割合を乗じ、さらに、そうして得られた各層ごとの数値を合計することで、目的とする多層構造のシートの構成繊維の平均繊維間距離が求められる。例えば、2層のS層と1層のM層とからなる3層構造のSMS不織布において、2層のS層をまとめて1つの層として扱い、3層構造全体の厚みtが0.11mm、S層の厚みtが0.1mm、S層の平均繊維間距離LSが47.8μm、M層の厚みtが0.01mm、M層の平均繊維間距離LSが3.2μmの場合、斯かるSMS不織布の構成繊維の平均繊維間距離は、43.8μm〔=(47.9×0.1+3.2×0.01)/0.11〕となる。
【0029】
【数1】
【0030】
前記の好ましい肌側コアラップシート41U及び非肌側コアラップシート41Dは、平均繊維間距離が前記範囲内にあるスパンボンド不織布又はSMS不織布からなる、合成繊維層42を具備し、この合成繊維層42の主たる構成繊維である熱可塑性合成繊維44と、木材パルプ等の非熱可塑性の親水性繊維45とが絡み合って構成されている。合成繊維層42の平均繊維間距離が小さすぎると、繊維間空隙が狭くなりすぎるため、該合成繊維層42内での親水性繊維45の厚み方向における連続性の確保が困難になるおそれがあり、結果として、肌側コアラップシート41U及び非肌側コアラップシート41Dにおいて親水性繊維45が該合成繊維層42の肌対向面側から非肌対向面側に亘って連続し難くなるおそれがある。また、前記合成繊維層42の平均繊維間距離が大きすぎると、肌側コアラップシート41U及び非肌側コアラップシート41Dによる吸収性コア40からの吸収性材料の漏れ出し防止効果が低減し、特に該吸収性材料として粒径の小さな吸水性ポリマーが使用されている場合には該粒子が外部に漏れ出すおそれがある。
【0031】
肌側コアラップシート41U及び非肌側コアラップシート41Dの合成繊維層42として、スパンボンド不織布又はSMS不織布を採用した理由は、コアラップシート41に適
した強度と繊維間距離を両立するためである。これら不織布の主たる構成繊維である熱可塑性合成繊維44としては、親水化処理が施された、または、施されていない合成繊維(例えばポリプロピレン繊維)を例示できる。肌側コアラップシート41U及び非肌側コアラップシート41Dそれぞれの合成繊維層42の坪量は、好ましくは5g/m2以上、さ
らに好ましくは7g/m2以上、そして、好ましくは30g/m2以下、さらに好ましくは15g/m2以下である。
【0032】
熱可塑性合成繊維44の素材である熱可塑性樹脂としては、不織布などの構成繊維に通常用いられているものを特に制限なく用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリペンテン−1、及びこれらのランダム又はブロック共重合体等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフテレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン−6、ナイロン−66等のポリアミドが挙げられる。熱可塑性合成繊維44は、単一の熱可塑性樹脂を用いて形成された単一繊維でもよく、2種以上の熱可塑性樹脂を用いて形成された複合繊維でもよい。複合繊維としては、例えば、芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、分割型繊維、交互配列型繊維、海島型繊維が挙げられる。合成繊維層42には、2種類以上の熱可塑性合成繊維44が含有されていてもよい。これらの中でも特に、ポリエチレン、ポリプロピレンは、比較的低融点のため、後述する凹陥部8を介してエンボス加工により一体化する場合には、熱可塑性合成繊維44として好ましく用いられる。
【0033】
肌側コアラップシート41U及び非肌側コアラップシート41Dは、それぞれ、親水性繊維層43を構成する非熱可塑性の親水性繊維45として、熱可塑性を有しないことを前提として、吸収性物品に従来使用されている各種の親水性繊維を特に制限なく用いることができ、典型的なものはセルロース繊維である。セルロース繊維としては、例えば、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ等の木材パルプやコットンパルプ、ワラパルプ等の非木材パルプ等の天然セルロース繊維;レーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
これらの中でも特に、木材パルプは繊維長が再生セルロースや非木材パルプに比べて短い為、合成繊維層42を構成する熱可塑性合成繊維44の隙間を通り抜けて表面に露出しやすいという観点から最も好ましく用いられる。
【0034】
肌側コアラップシート41U及び非肌側コアラップシート41Dの内、少なくとも肌側コアラップシート41Uでは、親水性繊維層43を構成する非熱可塑性の親水性繊維45と、吸収性コア40を構成する吸収性材料に含まれる親水性繊維とが、ともに木材パルプ繊維であることが好ましい。前述したようにセルロース繊維は親水性が強く、その中でも木材パルプ繊維は繊維長が非木材パルプや再生セルロース繊維に比して短い。この木材パルプ繊維を肌側コアラップシート41U及び非肌側コアラップシート41Dの内、少なくとも肌側コアラップシート41Uの親水性繊維層43を構成する親水性繊維45と、吸収性コア40を構成する吸収性材料に含まれる親水性繊維の双方に用いることで、親水性繊維層43の繊維間に吸収性コア40中の親水性繊維が入り込むような構造を取りやすく、互いの繊維の接点もできやすい。これにより肌側から取り込まれた体液をスムースに吸収性コア40ヘ伝達することができる。
【0035】
おむつ1では、肌側コアラップシート41U及び非肌側コアラップシート41Dそれぞれにおいて、一度吸収性コア40に吸収された体液を吸収性コア40の外面側に配される合成繊維層42で表面シート2側に戻るのを防止する観点から、合成繊維層42を構成する熱可塑性合成繊維44は、その親水度が、親水性繊維層43を構成する非熱可塑性の親水性繊維45の親水度よりも低いことが好ましい。また、吸収性コア40に対向配置される親水性繊維層43で体液を拡散させ吸収性コア40の利用効率を向上させる観点から、親水性繊維層43を構成する非熱可塑性の親水性繊維45は、その親水度が、合成繊維層
42を構成する熱可塑性合成繊維44の親水度よりも高いことが好ましい。
【0036】
本発明において、繊維の親水度は、下記方法で測定される水との接触角に基づき判断され、該接触角が90度未満であれば親水性、90度以上の場合であれば疎水性である。下記方法で測定される水との接触角が小さいほど親水性が高く(疎水性が低く)、該接触角が大きいほど親水性が低い(疎水性が高い)。コアラップシート41において、親水性繊維層43の主体をなす非熱可塑性の親水性繊維45の水との接触角は90度未満であり、合成繊維層42の主体をなす熱可塑性合成繊維44の水との接触角は90度以上であることが好ましい。
【0037】
<接触角の測定方法>
測定対象(肌側コアラップシート41U又は非肌側コアラップシート41D)から繊維を取り出し、その繊維に対する水の接触角を測定する。測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA−Jを用いる。接触角の測定には蒸留水を用いる。インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC−25)から吐出される液量を20ピコリットルに設定して、水滴を、繊維の真上に滴下する。滴下の様子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが望ましい。本測定では、17msec毎に画像が録画される。録画された映像において、繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトFAMAS(ソフトのバージョンは2.6.2、解析手法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と繊維とのなす角を算出し、接触角とする。測定対象物から取り出した繊維は、繊維長1mmに裁断し、該繊維を接触角計のサンプル台に載せて、水平に維持する。繊維1本につき異なる2箇所の接触角を測定する。N=5本の接触角を小数点以下1桁まで計測し、合計10箇所の測定値を平均した値(小数点以下第2桁で四捨五入)を、当該繊維の水との接触角と定義する。測定環境は、室温22±2℃、湿度65±2%RHとする。
【0038】
尚、吸収性物品からその構成部材(例えばコアラップシート41)を取り出して評価測定する場合において、その構成部材が、接着剤、融着などによって他の構成部材に固定されている場合には、その固定部分を、溶剤の塗布、ドライヤーによる熱風吹き付け、コールドスプレー(例えばニチバン株式会社製の市販品)の吹き付けなどによって除去してから取り出す。
【0039】
肌側コアラップシート41Uは、後述する凹陥部8での液透過性が、凹陥部8以外の部分(非凹陥部であるエンボス区画領域ET)での液透過性よりも高くなっている。凹陥部8での液透過性が凹陥部8以外の部分での液透過性よりも高いか否かは、以下の水滴消失率の測定方法により測定される水滴消失率により判断できる。以下の水滴消失率の測定方法により測定される凹陥部8での水滴消失率と凹陥部8以外の部分での水滴消失率との比率は、前者が後者よりも大きいことを前提として、前者/後者として、好ましいのは1.
2倍以上、さらに好ましいのは、3倍以上である。凹陥部8の水滴消失率は、好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上であり、そして上限は100%である。
凹陥部8以外の部分の水滴消失率は、好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下であり、そして下限は0%である。
尚、凹陥部8と凹陥部8以外の部分で水滴消失率の差が10%以上であれば、透過性が高いとみなす。
【0040】
<凹陥部8及び凹陥部8以外の部分での水滴消失率の測定方法>
評価対象のシート(凹陥部8或いは凹陥部8以外の部分を含む肌側コアラップシート4
1U)を合成繊維層42が上となる向きで、水平になるように空中に固定する。そして凹陥部8上の20箇所、或いは凹陥部8以外の部分の20箇所に、生理食塩水(濃度0.9質量%の食塩水)の水滴(1滴2μl)を、マイクロシリンジを用いて滴下する。評価対象のシートにおける滴下した箇所の親水度が高ければ、水滴は滴下後速やかに該シートに吸収されて消失し、該滴下した箇所の親水度が低ければ、吸収されずに該シートの上面に残ったままとなる。水滴の消失の判定は、水滴を滴下してから10秒後にシートの上面を目視観察する事により行う。また水滴消失率(%)は、20箇所の測定の内、10秒以内に水滴が消失した箇所の割合を算出することにより求める。
【0041】
おむつ1では、吸収体4は、肌側コアラップシート41Uが吸収性コア40の内部に食い込んだ凹陥部8を有している。凹陥部8は、肌側コアラップシート41Uを構成する外面側の合成繊維層42及び内面側の親水性繊維層43を熱を掛けて溶融・一体化するためにエンボス加工を施して形成されたもの、或いは、合成繊維層42及び親水性繊維層43を熱を掛けずに加圧して圧着・一体化するためにエンボス加工を施して形成されたもの等、広くエンボス加工により形成されるエンボス部を包含する意味である。尚、おむつ1では、凹陥部8は、肌対向面側の合成繊維層42を熱により可塑化することにより非熱可塑性の親水性繊維45が肌対向面側の合成繊維層42を通り抜けて吸収体4の肌対向面側に露出し易くなる観点から、熱融着して複合・一体化するために熱を掛けてエンボス加工を施して形成されたものとなっている。おむつ1では、吸収体4の肌対向面側から非肌対向面側に向かって、エンボス加工を施し、吸収性コア40の内部にまで、合成繊維層42及び親水性繊維層43を有する肌側コアラップシート41Uを食い込ませて凹陥部8を形成する。凹陥部8においては、肌側コアラップシート41Uの合成繊維層42が溶融することにより親水性繊維層43と一体化して接合されている。
【0042】
親水性繊維層43に親水性の熱可塑性合成繊維(不図示)を含む場合、親水性の熱可塑性合成繊維(不図示)としては、上述した合成繊維層42の主体となる熱可塑性合成繊維44と同じ素材からなる繊維に、不織布などの構成繊維に通常用いられる親水化剤を添加したものを用いることができる。該親水性の熱可塑性合成繊維(不図示)の親水度は、親水性繊維層43を構成する非熱可塑性の親水性繊維45の親水度よりも低くてもよいが、合成繊維層42を構成する熱可塑性合成繊維44の親水度よりも高いことが好ましい。
【0043】
おむつ1では、凹陥部8は、吸収体4の肌対向面に複数配されている。凹陥部8は、例えば間欠的にドット状に配されていてもよいが、好ましいのは、直線、波線、曲線等の連続線で配されていることである。おむつ1では、図1及び図3に示すように吸収体4を平面視して、凹陥部8は、各縦方向X及び横方向Yに対して角度を有するように、複数本の連続線に形成されている。複数本の連続線に形成された凹陥部8は、互いに交差する交差部8kを形成している。好適には、複数本の連続線に形成された凹陥部8が互いに交差する交差点に交差部8kを形成し、互いに交差する連続線の凹陥部8で周囲が囲まれた複数の非エンボス部となるエンボス区画領域ETを形成している。すなわち、おむつ1では、エンボス区画領域ETでの液透過性が凹陥部8での液透過性に比して低くなっており、このエンボス区画領域ETの全周を取り囲むように液透過性の高い凹陥部8が配置されている。凹陥部8をこのように配することにより、液透過性の低いエンボス区画領域ET上に体液が排出されて、エンボス区画領域ET上を流れてしまったとしても、その周囲の液透過性の高い凹陥部8で体液を吸収でき、漏れを防止することができる。このような漏れを防止するという観点からエンボス区画領域ETの全周を取り囲むように凹陥部8を配することが好適である。
【0044】
前述したように、凹陥部8は体液を透過しやすくなっており、エンボス区画領域ETに比べて、着用者から排出された体液の吸収性コア40への透過性が高いのと同時に、吸収性コア40に吸収された体液が着用者の肌へ戻る方向にも透過しやすくなっている。体液
を吸収性コア40に透過しやすくするという観点から、吸収体4の表面積(S0)に対する凹陥部8の面積(S1)の割合((S1/S0)×100)は、10%以上であることが好ましく、15%以上であることが更に好ましく、そして、吸収性コア40に吸収された体液が着用者側へ戻るのを防止する観点から、40%以下であることが好ましく、35%以下であることが更に好ましく、両者の観点から、10%以上40%以下であることが好ましく、20%以上35%以下であることが更に好ましい。
ここでいう、吸収体4の表面積(S0)とは、コアラップシート41で覆われた吸収性コア40を平面視したときの吸収体4全体の面積を意味し、凹陥部8の面積(S1)とは、コアラップシート41で覆われた吸収性コア40を平面視したときの全ての凹陥部8の底部の総表面積を意味する。尚、吸収体4の表面積(S0)には、凹陥部8の面積(S1)が含まれるものとする。
【0045】
おむつ1では、縦方向X及び横方向Yに対して角度を有する連続線の凹陥部8は、好適に、互いに平行に且つ所定の間隔で配された多数の第1凹陥部81と、互いに平行に且つ所定の間隔で形成された多数本の第2凹陥部82とを有しており、図3に示すように、第1凹陥部81と第2凹陥部82とが角度αをなして互いに交差している。更に好適に、おむつ1では、第1凹陥部81の溝幅W1(図3参照)と第2凹陥部82の溝幅とは同じであり、隣り合う第1凹陥部81,81どうしの間隔W2(図3参照)と隣り合う第2凹陥部82,82同士の間隔とも同じである。
【0046】
第1凹陥部81の溝幅W1(第2凹陥部82の溝幅)(図3参照)は、体液を吸収性コアに透過しやすくするという観点から、0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上であることが更に好ましく、そして、吸収性コアにある体液が着用者側へ戻るのを防止する観点から、3mm以下であることが好ましく、2mm以下であることが更に好ましく、具体的には、0.5mm以上3mm以下であることが好ましく、1mm以上2mm以下であることが更に好ましい。
【0047】
また、第1凹陥部81,81どうしの間隔W2(第2凹陥部82,82同士の間隔)(図3参照)を狭めることは、液透過性の低いエンボス区画領域ET上に体液が排出されて、エンボス区画領域ET上を流れてしまったとして、その体液の流れる距離を短くして漏れを防止するという観点で好適である一方、この間隔W2を狭めることは同時に連続線として形成された凹陥部8の本数を増やすことになり、吸収性コア40中に吸収された体液を着用者の肌へ戻りにくくするという観点では不適となる。このような両者のバランスの観点から、間隔W2は5mm以上であることが好ましく、15mm以上であることが更に好ましく、そして、40mm以下であることが好ましく、20mm以下であることが更に好ましく、具体的には、5mm以上40mm以下であることが好ましく、15mm以上20mm以下であることが更に好ましい。
【0048】
また、おむつ1では、吸収体4は横方向Yに短く縦方向Xに長い形状となっており、特に着用者の排泄部付近の股下部1Mでは横方向Y内方にくびれた形状となっており、横方向Yの長さ(幅)が最も小さくなっている。このため体液の漏れを防止するという観点からは、縦方向Xよりも横方向Yの液流れを抑制する必要がある。そのような観点から、第1凹陥部81と第2凹陥部82とのなす角(角度α)(図3参照)は、90°以下にすることが好ましく、60°以下にすることが更に好ましい。一方でこの角度αを小さくし過ぎることは、同時に連続線として形成された凹陥部8の本数を増やすことになり、吸収性コア40中にある体液を着用者の肌へ戻りにくくするという観点では不適となる。このような観点から角度αは15°以上が好ましく、30°以上にすることが更に好ましい。
【0049】
おむつ1の吸収体4における第1凹陥部81及び第2凹陥部82を有する凹陥部8は、例えば、アルミニウム合金又は鉄鋼等の金属性の円筒形状のローラの周面に、第1凹陥部
81及び第2凹陥部82に対応する凸部を有するヒートシールローラを備えるヒートシール装置、或いは、金属性の円筒形状のローラの周面に、第1凹陥部81及び第2凹陥部82に対応する凸部を有するパターンローラと超音波ホーンとを備える装置を用いて形成することができる。
【0050】
おむつ1の吸収体4の凹陥部8では、図5に示すように、肌側コアラップシート41Uにおける親水性繊維層43を構成する非熱可塑性の親水性繊維45が外面側の合成繊維層42を通り抜けて吸収体4の肌対向面側に露出している。好適に、凹陥部8は、肌側コアラップシート41Uが吸収性コア40の内部に食い込む程度に厚み方向に圧密化された部分であるところ、この圧密化は、おむつ1では、熱、超音波などの、熱可塑性合成繊維44の溶融を促進させる溶融促進手段を伴うエンボス加工(圧搾)によって実施されている。肌側コアラップシート41Uに対して斯かる溶融促進手段を伴う圧搾を行う場合、肌側コアラップシート41Uを構成する熱可塑性合成繊維44の溶融促進の観点から、肌側コアラップシート41Uの外面側の合成繊維層42に対して該圧搾を施すことが好ましい。凹陥部8は、肌側コアラップシート41Uにおける凹陥部8以外の部分(非凹陥部であるエンボス区画領域ET)に比して、繊維間空隙が狭いか又は繊維間空隙が実質的に存在していない高密度部であり、該非凹陥部は、凹陥部8に比して繊維間空隙が広い低密度部である。
【0051】
おむつ1では、上述したように、各凹陥部8においては、図5に示すように、肌側コアラップシート41Uを構成する非熱可塑性の親水性繊維45が外面側の合成繊維層42を通り抜けて吸収体4の肌対向面側に露出している。そして、肌側コアラップシート41Uの親水性繊維層43と吸収性コア40とが当接している。その為、吸収体4の肌対向面側に露出する親水性繊維45と、吸収性コア40の吸収性材料の親水性繊維とが、肌側コアラップシート41Uの合成繊維層42を通り抜けて繋がっている。各凹陥部8において、肌側コアラップシート41U側の親水性繊維45が合成繊維層42を通り抜けて吸収体4の肌対向面側に露出しているか否かの確認は、該凹陥部8の厚み方向(Z方向)に沿う断面の顕微鏡観察によって行うことができ、具体的には下記方法によって行うことができる。
【0052】
<凹陥部8において非熱可塑性の親水性繊維45が合成繊維層42を通り抜けて吸収体4の肌対向面側に露出していることの確認方法>
0.5質量%の青色水溶液(ダイワ化成製造の愛染食用色素の食用青色1号)に評価対象のシート(肌側コアラップシート41U)を浸し、3分静置後に該水溶液から該シートを取り出し、取り出したシートの肌対向面側を下に向けて、予め敷いておいた紙(キムタオル、日本製紙クレシア株式会社製)の上に載せ、該シートの上方から3kPaの荷重を1分間かけて脱水する。この操作により該評価対象シートの構成繊維のうち親水性繊維は染色される。こうして得られた染色済みのシートの評価対象の凹陥部8をおむつ1の横方向Yに沿ってフェザー社製片刃剃刀を用いて切断し、その切断面をマイクロスコープ(KEYENCE社製VHX−1000)を用いて200〜500倍の倍率で観察し、該凹陥部8の肌対向面側に、非肌対向面側の親水性繊維層43の主体をなす非熱可塑性の親水性繊維45が露出しているか否かを確認する。凹陥部8において、親水性繊維45は染色されているため凹陥部8の肌対向面側に露出しているか否かの判別は容易である。
【0053】
前述したように凹陥部8は、典型的には熱、超音波などを伴うエンボス加工によって形成されるところ、斯かるエンボス加工によって形成された凹陥部8の肌側コアラップシート41Uの合成繊維層42においては、その主体をなす熱可塑性合成繊維44がエンボス加工時の熱や超音波によって軟化・溶融するため、本来の繊維集合体の形態が失われており、フィルム化している。このように凹陥部8のフィルム化した(繊維形態が失われた)合成繊維層42に、親水性繊維層43の主体をなす非熱可塑性の親水性繊維45の一部が
入り込んで、吸収体4の肌対向面側に露出している。つまり、凹陥部8において、吸収体4の肌対向面側を平面視して、フィルム化した合成繊維層42の中に、親水性繊維45の露出部が1個以上存在している。この露出部をなしている親水性繊維45は、合成繊維層42を通り抜け、肌側コアラップシート41Uの肌対向面側から非肌対向面側に亘って連続している。
【0054】
おむつ1において、吸収体4の凹陥部8では、表面シート2と吸収体4との間に空間Kが形成されている。好適に、おむつ1では、吸収体4の肌対向面側に隣接して配された表面シート2が、吸収体4の凹陥部8に入り込んでおらずに、図4に示すように、凹陥部8において、表面シート2の非肌対向面と吸収体4の凹陥部8の肌対向面とで空間Kが形成されている。空間Kは、おむつ1を図3に示すように平面視して、第1凹陥部81及び第2凹陥部82を有する凹陥部8の形状パターンに対応して形成されている。
また、このような構造は、吸収体4に凹陥部8を形成した後に、吸収体4の肌対抗面側の少なくとも凹陥部8を除く部分に接着剤を塗布し、その後に表面シート2を吸収体4の肌対抗面側に貼り付ける工程により形成することができる。接着剤は好適にはホットメルト接着剤である。接着剤の塗工法は特に限定されないが、接触式コーター塗工機のコーターガンを吸収体4の肌対抗面側の凹陥部8を除く部分に接触させて塗工する方法による方法が好適である。コーター塗工機での塗工パターンは面塗工パターンやストライプ塗工パターンなどが適用されるが、ストライプ塗工パターンの方が接着剤による体液の透過の阻害が起きにくいことから好適である。
【0055】
上述のように、おむつ1は、図2図4に示すように、吸収体4を構成する吸収性コア40が肌側コアラップシート41Uで覆われており、肌側コアラップシート41Uが、吸収性コア40に当接する内面側に配され且つ非熱可塑性の親水性繊維45を主体として構成された親水性繊維層43と、親水性繊維層43に当接する外面側に配され且つ熱可塑性合成繊維44を主体として構成された合成繊維層42とを有する積層シートで形成されている。そして、吸収体4は、肌側コアラップシート41Uが吸収性コア40の内部に食い込んだ凹陥部8を有しており、肌側コアラップシート41Uは、凹陥部8での液透過性が凹陥部8以外の部分(凹陥部8で周囲が囲まれた非エンボス部であるエンボス区画領域ET)での液透過性よりも高いものである。その為、着用中に体液が肌側コアラップシート41Uにおける凹陥部8から吸収性コア40の内部に吸収され易い。その際、肌側コアラップシート41Uにおける吸収性コア40側の親水性繊維層43を介して体液が面方向に伝わり易く、液拡散性が向上し、吸収体4の利用効率が向上し、着用中の肌の濡れを低減することができる。
また、凹陥部8に位置する肌側コアラップシート41Uが吸収性コア40の内部に食い込んでいるため、表面シートと距離があくため、体液の戻りが凹陥部8を介して吸収性コア40に吸収された体液が肌に戻り難く、肌への液戻り防止性に優れる。
【0056】
また、おむつ1は、凹陥部8は液透過性が凹陥部8以外の部分の液透過性よりも高く、体液を吸収性コア40の内部へ吸収しやすいのと同時に、吸収性コア40の内部にある体液が着用者側へ戻りやすくなっている。しかし、この凹陥部8は、吸収性コア40の内部へ食い込んでおり、凹陥部8は着用者の肌に対して、凹陥部8以外の部分よりも距離が離れているために着用者の肌の濡れを低減することができる。更に、凹陥部8において、表面シート2の非肌対向面と吸収体4の凹陥部8の肌対向面とで空間Kが形成されるように表面シート2が配されているので、着用中に着用者の肌が凹陥部に近接することが無く、この観点からも着用者の肌の濡れを低減することができる。
更に合成繊維層42の熱可塑性合成繊維44の親水度が、非熱可塑性の親水性繊維45の親水度よりも低ければ、一度吸収体4に吸収された体液は、親水性繊維層43に当接する外面側に配された合成繊維層42によって、着用者の肌側に更に戻り難く、液戻り防止性に優れ、おむつ1の使用感が向上する。
【0057】
また、おむつ1は、各凹陥部8において、図5に示すように、肌側コアラップシート41Uの非熱可塑性の親水性繊維45が外面側の合成繊維層42を通り抜けて吸収体4の肌対向面側に露出し、肌側コアラップシート41Uの内面側の親水性繊維層43が吸収性コア40と当接している。その為、各凹陥部8において、吸収体4の肌対向面側に露出する親水性繊維45が、体液の通液路(通液トリガー)として機能し易く、凹陥部8に位置する吸収体4の肌対向面上の体液が、凹陥部8(親水性繊維45の露出部)を通じて、親水性繊維層43に拡散して吸収性コア40内に速やかに取り込まれ易い。特に、おむつ1では、複数本の連続線に形成された凹陥部8が、互いに交差する交差部8kを形成するように配されている。その為、交差部8kを介して、吸収性コア40内に速やかに取り込まれ易くなる。
【0058】
また、おむつ1では、図2に示すように、肌側コアラップシート41U及び非肌側コアラップシート41Dが、不織布製の合成繊維層42を含む1枚のコアラップシート41で形成されている。その為、着用中の吸収体4の保形性に優れ、着用中に吸収体4が壊れ難く、使用感が向上する。
【0059】
上述した効果を一層奏する観点から、おむつ1では、以下の構成の1つ又は複数を備え
ていることが好ましい。
【0060】
吸収体4に存在する複数の凹陥部8から任意に10個を選択した場合に、その10個の凹陥部8において、吸収体4の肌対向面側、言い換えれば凹陥部8の肌対向面側に非熱可塑性の親水性繊維45(肌側コアラップシート41Uの親水性繊維層43の構成繊維)が露出している凹陥部(以下、「親水部露出凹陥部」ともいう)が占める割合、即ち「(親水部露出凹陥部の数/10)×100」によって算出される値は、50%以上が好ましく、80%以上がさらに好ましい。
尚、ある凹陥部が前記親水部露出凹陥部であるか否かは、次の方法によって確認する。即ち、評価対象の凹陥部について、前記方法により、該凹陥部の肌対向面側に親水性繊維層43の繊維(親水性繊維45)が露出しているか否かを確認し、斯かる繊維の露出が1箇所でも確認できた場合、該凹陥部は前記親水部露出凹陥部であるとする。
また、凹陥部8が連続線となっている場合は、凹陥部8の連続線の10mm分を1個の凹陥部として定義し、重複しないように任意の10箇所を選択する。
【0061】
肌側コアラップシート41Uでは、凹陥部8以外の部分(エンボス区画領域ET)において、合成繊維層42は親水性繊維層43に比して親水度が低い、換言すれば、親水性繊維層43は合成繊維層42に比して親水度が高いことが好ましい。ここでいう、シート(層)の親水度は、下記方法で測定される水滴消失率によって評価される。水滴消失率の値が小さいほど親水度が低く、水滴消失率の値が大きいほど親水度が高い。従って、「合成繊維層42の水滴消失率<親水性繊維層43の水滴消失率」なる大小関係が成立することが好ましいということになる。
【0062】
<コアラップシートまたはその合成繊維層若しくは親水性繊維層の水滴消失率の測定方法>
評価対象のシート(例えば肌側コアラップシート41U又はその合成繊維層42若しくは親水性繊維層43)を、表面が水平になるように空中に固定し、該シートの上面の任意の20箇所に、生理食塩水(濃度0.9質量%の食塩水)の水滴(1滴2μl)を、マイクロシリンジを用いて滴下する。評価対象のシートの親水度が高ければ、水滴は滴下後速やかに該シートに吸収されて消失し、該シートの親水度が低ければ、吸収されずに該シートの上面に残ったままとなる。水滴の消失の判定は、水滴を滴下してから10秒後にシートの上面を目視観察する事により行う。また水滴消失率(%)は、20箇所の測定の内、
10秒以内に水滴が消失した箇所の割合を算出することにより求める。
【0063】
合成繊維層42の凹陥部8以外の部分の水滴消失率と親水性繊維層43の凹陥部8以外の部分の水滴消失率との比率は、前者が後者よりも小さいことを前提として、前者/後者として、好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.3以下である。
合成繊維層42の凹陥部8以外の部分の水滴消失率は、好ましくは0%以上、さらに好ましくは20%以上、そして、好ましくは80%以下、さらに好ましくは50%以下である。
親水性繊維層43の凹陥部8以外の部分の水滴消失率は、好ましくは50%以上、さらに好ましくは80%以上である。
水滴数消失率の調整、即ち親水度の調整は、合成繊維層42の構成繊維(熱可塑性合成繊維44)及び親水性繊維層43の構成繊維(親水性繊維45)の種類、疎水化剤(主として合成繊維層42用)や親水化剤(主として親水性繊維層43用)の使用などによって実施可能である。
【0064】
吸収体4を構成する吸収性コア40は、おむつ1では、吸水性ポリマーとセルロース系繊維とを含んで構成されており、吸水性ポリマーとセルロース系繊維との含有質量比は、前者:後者として、好ましくは40:60〜70:30であり、更に好ましくは50:50〜60:40である。
【0065】
更に好ましいおむつ1の形態では、凹陥部8に相当する領域での吸収性コア40における吸水性ポリマーの坪量は、凹陥部8以外の部分に相当する領域での吸収性コア40における吸水性ポリマーの坪量よりも少ない。吸収性コア40が体液を吸収するとその中に含まれる吸水性ポリマーが膨潤し、吸収性コア40はZ方向(厚み方向)に厚みが増す。この厚みの増加量は、吸水性ポリマーの坪量に応じる。凹陥部8に相当する領域での吸収性コア40における吸水性ポリマーの坪量を、凹陥部8以外の部分に相当する領域での吸収性コア40における吸水性ポリマーの坪量よりも少なくした場合には、凹陥部8での厚みの増加量は凹陥部8以外の部分の厚みの増加量よりも小さく抑えられ、体液吸収後においても、凹陥部8が凹陥部8以外の部分に比して吸収性コア40に食い込んでいる状態を維持できる。液透過性の高い凹陥部8が吸収性コア40に食い込んでいて、更に、表面シート2の非肌対向面と吸収体4の凹陥部8の肌対向面とで空間Kが形成されるように表面シート2を配する構成の効果は前述したとおりであるが、この効果を体液吸収後も持続できるという観点から、凹陥部8に相当する部分での吸収性コア40における吸水性ポリマーの坪量を、凹陥部8以外の部分に相当する部分での吸収性コア40における吸水性ポリマーの坪量よりも少ない構成とすることは好適である。
ここで吸収性コア40における凹陥部8と、吸水性ポリマーの坪量が少ない部分は、完全に一致する必要は無く、吸収性コア40を平面視で見た時の凹陥部8の総面積に対して、ポリマーの含有量が少ない部分と凹陥部8とが重なる面積が50%以上、より好ましくは75%以上であればよい。最も好ましいのは吸収性コア40を平面視で見た時の凹陥部8の形状パターンを縁取り、凹陥部8を包含する形状パターンでポリマーの含有量が少ない部分を配する形態である。すなわち、凹陥部8のパターンが連続線の場合には、凹陥部8と一致する位置に連続線を配し且つ連続線の幅を凹陥部よりも太くした形状パターンで吸水性ポリマーの坪量が少ない部分を配する形態である。このような形態とすることで、上述の効果をより一層高めることができる。
なお、この形態において、連続線の凹陥部8の長手方向と直交する方向での幅は、凹陥部8の幅に対して吸水性ポリマーの坪量が少ない部分の幅は、ほぼ一致するか或いは凹陥部8の幅よりも広いことが好ましく、より好ましくは3mm以上広いことが好ましく、更に好ましくは5mm以上広いことが好ましい。一方で吸水ポリマーの坪量が少ない部分の幅を広げていくと吸収性コア40全体の吸収容量を少なくすることにつながり、体液が漏れやすくなる懸念が生じる。この観点から、吸収性コア40を平面視で見た時の吸水ポリ
マーの坪量が少ない部分の面積は、吸収性コア40の全体の面積に対して50%以下が好ましく、40%以下がより好ましい。
上述した形態の吸収性コア40の製造方法は、特に限定されないが、例えば、親水性繊維と吸水性ポリマーを均一に混合して積繊したのちに、次の工程で、凹陥部8以外の場所に吸水性ポリマーをパターンで散布する方法などが挙げられる。
【0066】
また、おむつ1の吸収性コア40では、吸水性ポリマーが少ない部分の坪量は、それ以外の部分の坪量を100%としたときに、同様の観点から、好ましくは70%以下、更に好ましくは50%以下である。
尚、吸収性コア40中に含まれる吸水性ポリマーの量は、ナトリウムイオンをICP発光分析等の手段により定量し、吸水性ポリマーに含まれるナトリウムイオンの量の比から求めることもできるが、吸水性ポリマーが少ない部分のポリマー坪量とそれ以外の領域でのポリマー坪量の比を求めるより簡易的な手段として、それぞれの部分の吸収性コア40を同面積切り出し、それらの遠心保持量を比較することでも十分代用可能である。遠心保持量は、下記測定方法で測定することができる。
【0067】
<遠心保持量の測定方法>
遠心保持量(吸水量)の測定は、JIS K 7223(1996)に準拠して行う。ナイロン製の織布(三力製作所販売、品名:ナイロン網、規格:250メッシュ)を幅10cm、長さ40cmの長方形に切断して長手方向中央で二つ折りにし、両端をヒートシールして幅10cm(内寸9cm)、長さ20cmのナイロン袋を作製する。次いで、測定試料を作製したナイロン袋に入れる。次いで、試料の入ったナイロン袋を、25℃に調温した生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)に浸漬させる。そして浸漬開始から1時間後にナイロン袋を生理食塩水から取り出し、1時間垂直状態に吊るして水切りした後、遠心脱水器(コクサン(株)製、型式H−130C特型)を用いて脱水する。脱水条件は、143G(800rpm)で10分間とする。脱水後、試料の質量を測定し、次式に従って目的とする遠心保持量(吸水量)を算出する。
遠心保持量(g)=(a’−b−c)
式中、a’は遠心脱水後の試料及びナイロン袋の総質量(g)、bはナイロン袋の吸水前(乾燥時)の質量(g)、cは試料の吸水前(乾燥時)の質量(g)を表す。測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とする。尚、測定は23±2℃、湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した上で測定する
【0068】
また、尿等の体液の縦方向Xへの拡散を促進する観点から、肌側コアラップシート41Uは、親水性繊維層43の主体をなす非熱可塑性の親水性繊維45が、縦方向Xに配向していることが好ましい。
【0069】
吸収体4に形成された凹陥部8の総面積は、好ましくは750mm2以上、さらに好ま
しくは1500mm2以上、そして、好ましくは6000mm2以下、さらに好ましくは5000mm2以下である。
【0070】
吸収体4の凹陥部8では、吸収性コア40の密度が、凹陥部8以外の吸収性コア40の部分の密度よりも大きくなっていることが好ましい。なお、密度は、後述する測定法に基づいて得られた坪量及び厚みを用いることで算出される。
吸収体4の凹陥部8では、吸収性コア40の坪量が、凹陥部8以外の吸収性コア40の部分の坪量と同じ坪量となっていることが好ましい。吸収性コア40の凹陥部8における坪量、及び吸収性コア40の凹陥部8以外の部分における坪量は、好ましくは200g/m2以上、さらに好ましくは400g/m2以上、そして、好ましくは800g/m2以下
、さらに好ましくは500g/m2以下である。吸収性コア40の坪量は、以下の測定法
により測定する。
吸収体4の凹陥部8では、吸収性コア40の厚みが、凹陥部8以外の吸収性コア40の部分の厚みよりも小さくなっていることが好ましい。吸収性コア40の凹陥部8における厚みは、好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは1.0mm以上、そして、好ましくは4mm以下、さらに好ましくは2.0mm以下である。吸収性コア40の凹陥部8以外の部分における厚みは、好ましくは2.0mm以上、さらに好ましくは3.0mm以上、そして、好ましくは5.0mm以下、さらに好ましくは4.0mm以下である。吸収性コア40の厚みは、以下の測定法により測定する。
【0071】
<吸収性コア40の坪量の測定法>
吸収体4を凹陥部8と凹陥部8以外の部分(エンボス区画領域ET)との境界線に沿ってフェザー社製片刃剃刀を用いて切断し、吸収体4における凹陥部8の小片と、吸収体4における凹陥部8以外の部分の小片を得る。これらの小片は、あらかじめ定めた面積となるように、切り出す。切り出された小片から、コアラップシート41等の部分を除いて、吸収性コア40の部分のみとなるようにして、凹陥部8に位置する吸収性コア40の小片と、凹陥部8以外の部分に位置する吸収性コア40の小片とを得る。次に、凹陥部8に位置する吸収性コア40の小片の重量、及び凹陥部8以外の部分に位置する吸収性コア40の小片の重量を、電子天秤(A&D社製電子天秤GR−300、精度:小数点以下4桁)を用いて測定する。求めた重量を、前記あらかじめ定めた面積で除して小片の坪量を算出する。吸収性コア40の凹陥部8、及び吸収性コア40の凹陥部8以外の部分、それぞれについて、小片5個の坪量の平均を坪量とする。
【0072】
<吸収性コア40の厚みの測定法>
吸収性コア40の凹陥部8における厚み、及び吸収性コア40の凹陥部8以外の部分における厚みの測定は、各々の部位について坪量を測定するために切り出した、吸収体4における凹陥部8の小片と、吸収体4における凹陥部8以外の部分の小片を用いて測定することで行う。大きさ20mm×20mm、厚み3mmのアクリルプレートを、その中心が小片の中心に一致するように置き、マイクロスコープ(KEYENCE社製VHX−1000)を用いて20〜100倍の倍率で切断面を観察し、吸収性コア40の部分と、吸収性コア40以外のコアラップシート41等の部分との境界からの厚みを測定する。尚、厚み測定時圧力は0.5g/cm2(=0.05kPa)とする(=0.05kPa)。
【0073】
吸収体4は、凹陥部8での深さが、吸収性コアあにある体液の戻りを防止するための観点から、吸収性コアの厚みの15%以上であることが好ましい。そして、液の透過性が高い観点から、好ましいのは、吸収性コアの厚みの80%以下である。凹陥部8での深さは、以下の測定法により測定する。
【0074】
<凹陥部8での深さの測定法>
凹陥部8での深さは、吸収体4を凹陥部8の全幅に亘ってフェザー社製片刃剃刀を用いて切断し、切り出した小片の切断面を観察することで行う。大きさ20mm×20mm、厚み3mmのアクリルプレートを、その中心が小片の中心に一致するように置き、マイクロスコープ(KEYENCE社製VHX−1000)を用いて20〜100倍の倍率で切断面を観察し、吸収性コア40の部分と、吸収性コア40以外のコアラップシート41等の部分との境界から、凹陥部8の底面までの距離を深さとして測定する。尚、深さ測定時圧力は0.5g/cm2とする。
【0075】
肌側コアラップシート41Uでは、熱可塑性合成繊維44及び非熱可塑性の親水性繊維45の繊維径は何れも細い方が好ましい。合成繊維層42の主体をなす熱可塑性合成繊維44の繊維径が比較的小さいことで、圧密化による該繊維44の溶融、変形が一層起こりやすく、また、吸収体4の肌対向面側での親水性繊維45の露出が一層起こりやすくなり
、また、親水性繊維層43の主体をなす親水性繊維45の繊維径が比較的小さいことで、該繊維45の斯かる露出が一層起こりやすくなる。以上の点から、熱可塑性合成繊維44の繊度は、好ましくは0.7dtex以上、さらに好ましくは1.0dtex以上、そして、好ましくは4.4dtex以下、さらに好ましくは2.2dtex以下である。また、非熱可塑性の親水性繊維45の太さ、即ち、親水性繊維45の長さ方向と直交する方向の断面形状が円形状の場合は直径、楕円・扁平形状の場合はその長軸の長さが、それぞれ、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。
【0076】
また、非熱可塑性の親水性繊維45に関し、親水性繊維45の断面は、真円又はそれに近い円形状であることが、吸収体4の肌対向面側での露出をより確実に実現する観点から好ましい。
【0077】
また、合成繊維層42の坪量に関しては、比較的小さいことが好ましい。合成繊維層42の坪量が過大となると、凹陥部8における合成繊維層42(熱可塑性合成繊維44)のフィルム化が過剰に促進される結果、凹陥部8の肌対向面側がフィルム化した合成繊維層42によって完全に閉塞されてしまい、非熱可塑性の親水性繊維45が吸収体4の肌対向面側に露出し難くなるおそれがある。以上の点から、合成繊維層42の坪量は、好ましくは5g/m2以上、さらに好ましくは10g/m2以上、そして、好ましくは20g/m2
以下、さらに好ましくは15g/m2以下である。
【0078】
肌側コアラップシート41Uは、合成繊維層42の原反シート(典型的には、熱可塑性合成繊維44を主体とする不織布)と、該原反シートは別体の、親水性繊維層43の原反シート(典型的には、非熱可塑性の親水性繊維45を主体とする紙)とを重ね合わせた積層体であってもよい。上述した吸収体4は、このような積層体からなる肌側コアラップシート41Uを用いて吸収性コア40を被覆し、凹陥部8の形成予定箇所に対して、熱、超音波などの、熱可塑性合成繊維44の溶融を促進させる溶融促進手段を伴うエンボス加工(圧搾)を施すことによって製造することができる。このエンボス加工によって、外面側の合成繊維層42の原反シートにおける熱可塑性合成繊維44が溶融、変形してフィルム化されると共に、内面側の親水性繊維層43の原反シートにおける親水性繊維45が、そのフィルム化した部分の表面側に露出しやすくなる。斯かる方法によって製造された吸収体4においては、エンボス加工部が施された部分が凹陥部8となり、合成繊維層42と親水性繊維層43とは凹陥部8を介して接合一体化されている。このように、2枚の原反シートからなる積層体で形成された肌側コアラップシート41Uを用いる場合、親水性繊維層43の坪量は、紙としての形態を維持する観点から、好ましくは10g/m2以上、さ
らに好ましくは13g/m2以上、そして、好ましくは30g/m2以下、さらに好ましくは20g/m2以下である。
【0079】
また、肌側コアラップシート41Uは、合成繊維層42の原反シートと、非熱可塑性の親水性繊維45を含む紙料スラリーと、抄紙網とを用いて、公知の湿式抄紙法によって製造されたシートであってもよい。具体的には、先ず、抄紙網上に合成繊維層42の原反シートを載せる。次に、この抄紙網上の原反シートに親水性繊維45を含む紙料スラリーを流し込む。流し込まれた紙料スラリー中の水は、原反シート及び抄紙網を順次透過して該抄紙網の下方から流れ落ち、該紙料スラリー中の親水性繊維45は、原反シートの構成繊維(熱可塑性合成繊維44)に絡まって原反シート中に留まり、これによって該抄紙網上に親水性繊維45及び熱可塑性合成繊維44を含有する2層構造の湿潤シートが形成される。抄紙網を挟んで原反シートとは反対側に吸引手段を配置しておき、該吸引手段で原反シートの脱水を促進しても良い。そして、この湿潤シートを湿式抄紙法で採用されている種々の乾燥手段によって乾燥することによって、目的とする肌側コアラップシート41Uが製造される。上述した吸収体4は、このように製造された肌側コアラップシート41Uを用いて吸収性コア40を被覆し、凹陥部8の形成予定箇所に対して、熱、超音波などの
、熱可塑性合成繊維44の溶融を促進させる溶融促進手段を伴うエンボス加工(圧搾)を施すことによって製造することができる。斯かる方法によって製造された吸収体4においては、エンボス加工部が施された部分が凹陥部8となり、また、合成繊維層42と親水性繊維層43との一体化は、凹陥部8の他、両繊維44,45の絡み合いによってもなされている。
【0080】
このような湿式抄紙法によって製造された肌側コアラップシート41Uにおいては通常、前記原反シートにおける前記抄紙網との対向面側いわゆるワイヤー面側(前記紙料スラリーの供給側とは反対側)に非熱可塑性の親水性繊維45が偏在するので、このワイヤー面側が親水性繊維層43となる。肌側コアラップシート41Uにおける親水性繊維45の分布状態は、前記抄紙網が有する脱水孔の孔径やピッチなどを適宜調整することで調整可能である。特に、親水性繊維45を含む前記紙料スラリーを原反シートに流し込んだ後に、該原反シートにおける前記フェルト面側に高圧水流を噴射すると、その後のエンボス加工によって形成された凹陥部8において、親水性繊維45が吸収体4の肌対向面側或いは非肌対向面側に露出しやすくなるため、好ましい。
【0081】
以上、本発明をその実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に制限されることなく適宜変更が可能である。
【0082】
例えば、おむつ1では、図1及び図3に示すように平面視して、凹陥部8は、縦方向X及び横方向Yに対して角度を有する連続線である第1凹陥部81及び第2凹陥部82により交差する交差部8kを形成するパターンで配置されているが、他のパターンで交差部8kを形成していてもよい。例えば、図6に示す凹陥部8は、縦方向Xに平行に連続して延びる第3凹陥部83を複数有し、横方向Yに平行に連続して延びる第4凹陥部84を複数有している。図6に示す吸収体4では、縦方向Xに平行に連続して延びる第3凹陥部83が、横方向Yに等間隔を空けて配されており、横方向Yに平行に連続して延びる第4凹陥部84が、縦方向Xに等間隔を空けて配されて、直角に交わる交差部8kが形成されている。図6に示す吸収体4を備える使い捨ておむつによっても、上述したおむつ1と同様の効果が得られる。
【0083】
また、おむつ1のコアラップシート41は、図2に示すように、1枚からなるが、吸収性コア40の肌対向面側を肌側コアラップシート41Uで被覆し、吸収性コア40の非肌対向面側を肌側コアラップシート41Uとは別の2枚目の非肌側コアラップシート41Dで被覆して、吸収性コア40を包み込んでもよい。肌側コアラップシート41Uと非肌側コアラップシート41Dとが別体である場合、非肌側コアラップシート41Dは、その組成や材質に関して、肌側コアラップシート41Uと同じでも異なっていてもよい。
【0084】
また、吸収性や防漏性等の向上の観点から、表面シート2と吸収体4(肌側コアラップシート41U)との間に、サブレイヤーなどとも呼ばれる、紙あるいは各種不織布からなる液透過性シートが介在配置されていても良い。同様の観点から、おむつ1の肌対向面に、表面シート2及び吸収体4が一体的に圧密化されてなる溝が形成されていても良い。
【0085】
また、本発明の吸収性物品は、展開型の使い捨ておむつに制限されず、人体から排出される体液(尿、軟便、経血、汗等)の吸収に用いられる物品を広く包含し、パンツ型の使い捨ておむつ、生理用ナプキン、生理用ショーツ等も包含される。
【符号の説明】
【0086】
1 展開型使い捨ておむつ(吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
40 吸収性コア
41 コアラップシート
41U 肌側コアラップシート
41D 非肌側コアラップシート
42 合成繊維層
43 親水性繊維層
44 熱可塑性合成繊維
45 非熱可塑性の親水性繊維
8 凹陥部
81 第1凹陥部
82 第2凹陥部
83 第3凹陥部
84 第4凹陥部
8k 交差部
1F 腹側部
1M 股下部
1R 背側部
X 縦方向
Y 横方向
K 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6